脆性基板切断補助装置
【課題】脆性基板を加熱後冷却することで切断する方法において、高速で加工を行えるようにする手段を提供する。
【解決手段】脆性材料からなる基板を切断線に沿って加工手段に対し相対的に移動させながら、前記加工手段により加熱と冷却を行い、このとき発生する熱衝撃力で前記基板を切断する切断方法に用いられる脆性基板切断補助装置として、前記基板の移動につれて移動する前記切断線上もしくは切断線近傍の点である撓み付加点が前記基板の一面側に移動する方向に、当該撓み付加点に力を加える撓み付加手段と、前記撓み付加点の両側に存する固定点を前記方向に移動しないように固定する固定手段とを設ける。
【解決手段】脆性材料からなる基板を切断線に沿って加工手段に対し相対的に移動させながら、前記加工手段により加熱と冷却を行い、このとき発生する熱衝撃力で前記基板を切断する切断方法に用いられる脆性基板切断補助装置として、前記基板の移動につれて移動する前記切断線上もしくは切断線近傍の点である撓み付加点が前記基板の一面側に移動する方向に、当該撓み付加点に力を加える撓み付加手段と、前記撓み付加点の両側に存する固定点を前記方向に移動しないように固定する固定手段とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脆性基板を過熱後冷却することにより分断する際に用いられる切断補助装置に関する。脆性基板としては、ガラス基板、張り合わせガラス基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
脆性基板の切断方法の一つとして、予め加工する脆性基板に基点となる微小なクラックを付け、このクラック点を基点としレーザー等を用いて脆性基板を切断線に沿って加熱して膨張させ、加熱直後に冷却装置を配して膨張した脆性基板を冷却することで、発生する熱衝撃により脆性基板にスクライブ線を作るか、又は、フルボディカットを行う技術が知られている。なお、スクライブ線を作る場合は、スクライブ線が形成された後に、このスクライブ線をローラーなどで加圧、又は、スクライブ線の下方に段差を設け押下し、スクライブ線に沿ってブレイクすることで切断する。
現在の液晶基板の製造において、構成するガラス板は薄板になりつつあり、加熱後冷却することで切断するカッティング方式は、物理的に刃物で傷をつけ切断する方法に比べて加工端面が非常にきれいなため加工後の材料の強度が非常に高く、且つ後工程で研磨する必要も無いため注目されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この方法では、高速で加工をしようとしても、発生する熱衝撃は、機械的に切削するのではなく、材料の熱応力を利用したものである為、ある程度の高速で過熱冷却をする場合には100ミクロン程度のごく浅いスクライブ線が形成されるのみである。従って、上述したようにスクライブ線が形成された後に、スクライブ線に沿ってブレイクするといった作業が必要となる。
一方、ブレイク作業を省くためにフルボディカットを行うためには、加熱した熱がガラス下面まで伝達する必要があるため非常に遅い速度で加工することになってしまう。
このため、現状では、様々な利点を有するにも関わらず加熱後冷却することで切断するカッティング方式は液晶基板の製造において主流とはなりえてない。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みて、脆性基板を加熱後冷却することで切断する方法において、高速で加工を行えるようにする手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、脆性材料からなる基板を切断線に沿って加工手段に対し相対的に移動させながら、前記加工手段により加熱と冷却を行い、このとき発生する熱衝撃力で前記基板を切断する切断方法に用いられる脆性基板切断補助装置であり、前記基板の移動につれて移動する前記切断線上もしくは切断線近傍の点である撓み付加点が前記基板の一面側に移動する方向に、当該撓み付加点に力を加える撓み付加手段と、前記撓み付加点の両側に存する固定点を前記方向に移動しないように固定する固定手段とを有する。なお、撓み付加手段による力の加え方としては、撓み付加点の移動方向側から吸引することにより力を加えたり、撓み付加点の移動方向と反対面側から気体を吹き付けたり、ローラーで加圧することで力を加えたりする方法が例示される。また、固定手段による固定方法としては、撓み付加点の移動方向側から気体を吹き付けたり、ローラーで加圧することで移動を規制したり、撓み付加点の移動方向と逆側から基板を吸引する方法が例示される。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置において、前記撓み付加手段は、前記基板に非接触状態で、前記撓み付加点を前記基板の表面近傍を減圧することで吸引する吸引部を有し、前記固定手段は、前記基板の前記固定点を前記吸引部に吸引される方向とは逆方向に加圧する、前記基板上を移動可能に形成される加圧部を有する。なお、加圧には、積極的な加圧のみならず、吸引される基板の移動を規制することにより生じる加圧が含まれる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の脆性基板切断補助装置において、前記基板は、一方の面側から冷却されるものであって、前記撓み付加点および吸引部が吸引する表面は当該冷却される面側に設けられるものである。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記基板に平行かつ前記切断線に直角な回転軸を持つローラーにより固定点を加圧するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記固定点に気体を吹き付けることで加圧するものである。
請求項6に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記撓み付加点に対する前記固定点の相対的位置が前記切断線に沿って可変に形成されるものである。
請求項7に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記撓み付加点の両側のそれぞれにおいて2以上の固定点を固定するものである。
【0008】
請求項8に記載の発明は、前記脆性基板切断補助において、前記撓み付加手段は、前記加工手段の冷却位置を前記切断線に沿った方向に挟む2箇所で前記撓み付加点を可変に形成されるものである。
請求項9に記載の発明は、前記脆性基板切断補助において、前記撓み付加点は、両側の固定点の内側であって、前記加工手段による冷却位置の両側に2点設けられるものである。
【0009】
請求項10に記載の発明は、脆性材料からなる基板を固定するテーブルと、前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に設けられる、前記基板の切断線部分を加熱する加熱手段と、前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に、前記加熱手段の前記切断線に沿った方向に並んで設けられる、前記基板の切断線部分を冷却する冷却手段と、前記テーブルと冷却手段および加熱手段とを、前記テーブルが加熱手段から冷却手段に向かう方向に相対的に前記切断線に沿って移動させる移動手段と、請求項1から9のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置とを有する脆性基板切断装置である。
請求項11に記載の発明は前記脆性基板切断装置において、前記撓み付加点の少なくとも1つが、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側近傍に設けられるものである。
請求項12に記載の発明は、前記脆性基板切断装置において、前記脆性基板切断補助装置が請求項9に記載の脆性基板切断補助装置であり、前記2つの撓み付加点を結ぶ線分が、前記冷却手段による冷却位置を通るよう前記撓み付加点が設けられるものである。
請求項13に記載の発明は、前記脆性基板切断装置において、前記撓み付加点が、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側とは逆側に設けられるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、加圧、冷却される切断線上の撓み付加点に応力を加えるとともに、撓み付加点の両側に存する固定点を固定することで撓み付加点近傍を撓ませることができるので、これによりスクライブラインを生成する際、材料をスクライブラインと直角方向に引き離し、スクライブラインを形成する亀裂を進行させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、吸引により撓み付加点に力を付与し、この吸引方向とは逆方向に加圧することで固定点を固定する構成を有するので、基板の一方の面から撓み付加点および固定点に力を付与することとなり、脆性基板切断補助装置を加工する基板の一面側に存する一体の機器として構成することができる。
請求項3に記載の発明は、撓み付加点の吸引を冷却面側から行うことで、冷却された側が広がる方向に撓みが発生するので、スクライブ線中の亀裂の進行を促進することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、ローラーにより固定点を加圧することで、基板を固定する構成であるので、固定手段の構造を簡単にすることができる。
請求項5に記載の発明は、気体を吹き付けることで固定点を加圧することにより、基板を固定する構成であるので、基板に過度の力が加わることがなく、基板の予期せぬ破損などが発生することが抑制される。
請求項6に記載の発明は、固定手段が固定する固定点の位置を撓み付加点に対して相対的に可変に形成することで、基板の進行方向前後の縁部などに固定点が存することで固定力が弱まるような場合があるが、このような場合に、固定点を縁部より内側に移動させることで、よりしっかりと基板を固定することができる。
請求項7に記載の発明は、固定点を撓み付加点の両側のそれぞれにおいて2以上設けることで、基板をより安定して固定することができる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、撓み付加点を冷却位置を切断方向の前後で挟み、切り替え可能とすることで、脆性基板の進行方向前後の縁部に撓みを加える場合に、冷却と撓みの付与が同時に起こらないような場合が生じるが、撓み付加点を切り替えることで、このような事態を防ぐことができる。
請求項9に記載の発明は、冷却位置の両側に撓み付加点を設けることで、冷却位置と撓みを加える位置とを一致させることができる。
【0014】
請求項10に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置を設けることにより、亀裂の進行を早めることができ、脆性基板の切断加工速度を早くすることができる。
請求項11に記載の発明は、撓み付加点が冷却位置の加熱手段側の近傍に設けられることで、脆性基板の進行方向手前の縁部における切断線上の冷却点を撓みを加えながら冷却することができる。
請求項12に記載の発明は、脆性基板の切断線上の冷却点と撓みを加える点とが一致するので、冷却と撓みの付与を確実に同時に行うことができる。
請求項13に記載の発明は、撓み付加点を冷却位置の加熱手段の逆側に設けることで、脆性基板切断補助装置を冷却手段と加熱手段の間に設置する場合に比較して、簡易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
図1に実施形態1に係る脆性基板切断補助装置Xの斜視図を示し、図2に脆性基板切断補助装置Xの正面図を示す。脆性基板切断補助装置Xは、直方体状の本体30、本体30の底面中央に開口を有する撓み付加手段となる吸引部10、本体30の両側面に設けられる固定手段となる加圧部20を有する。
本体30はアルミ材料からなる直方体状のブロック体であり、後述する吸引部10の空気が通る導通部12が底面から背面を連通するように内部に形成される。なお、本体部30の上面には圧縮コイルバネ40aと圧縮コイルバネ40a内部を通る棒体40bからなる押圧部40が左右に2箇所設けられ、この押圧部40の棒体の上端は、板状体からなる固定部50に設けられる貫通孔50aを通って上方で抜け止め40bbが設けられることにより、貫通孔内でスライドでき、かつ、下方に抜けないように固定されている。
【0016】
吸引部10は本体30の下面に設けられる開口部11と、開口部11から本体30背面に連通する本体30内に形成される導通部12と、導通部12の背面側の開口に接続されるエアチューブ13とから構成される。エアチューブ13の基端側は真空ポンプが接続される。
加圧部20は2つの回動するローラー体により形成され、硬質ゴム製のローラーと当該ローラーを本体30の側面に軸支する軸部とから構成される。軸部とローラーとの間には図示しないベアリングが設けられる。
【0017】
次に、以上のような構成を有する脆性基板切断補助装置Xの動作について説明する。図3に脆性基板切断補助装置Xを有する脆性基板切断装置Pを模式的に表した側面図を示す。
脆性基板切断装置Pは、脆性基板切断補助装置Xの他に、切断する脆性基板Bを載置し移動させるテーブルであるステージS、脆性基板Bを加熱するレーザー照射器L、脆性基板Bを冷却する冷却器C、脆性基板切断補助装置Xの固定部50の高さを調節可能に支持固定する支持フレームD、 真空ポンプAを有する。レーザー照射器Lによるレーザー照射位置、冷却器Cの冷却位置、脆性基板切断補助装置Xの吸引部10の開口部11による吸引位置は、ステージSの移動方向に沿って一直線上に並ぶようになっている。
ここでは加工する脆性基板としてガラス基板を用いる。加工の前に、脆性基板切断補助装置Xの固定部50の上下方向の位置を支持フレームDにより調整しておく、固定部50の高さを低くすると、押圧部40の圧縮コイルバネが押し付けられて縮み量が増加するので、加圧部20により脆性基板Bに対する加圧力が強くなり、逆に、固定部50の高さを低くすると押圧部40の圧縮コイルバネの縮み量が少なくなるので、それだけ、加圧部20による脆性基板Bに対する加圧力が弱くなる。
【0018】
最初に、微小なクラックが切断線の先端位置に形成された脆性基板Bを、切断線がレーザー照射器Lのレーザー照射位置を通るようにステージSに固定する。この状態で、ステージSを図の矢印の方向へ移動させていく。これにより、まず、切断線上に沿ってレーザー照射器Lによってレーザーが照射され、その直後に、冷却装置Cによって切断線が冷却される。これにより、脆性基板B上の切断線内部に亀裂が発生する。さらに、脆性基板切断補助装置Xが、脆性基板Bに発生した亀裂を助長する方向にガラスを撓ませる。具体的には、図2の想像線が示すように、脆性基板切断補助装置Bの下に脆性基板Bが位置すると、加圧部20のローラーが脆性基板Bを抑えるとともに、吸引部10が脆性基板Bを吸い上げる。脆性基板Bにおいて加圧部20のローラーが加圧している点が固定点となる加圧点B2となり、吸引部10により吸い上げられる点が撓み付加点となる吸引点B1となる。加圧点B2と吸引点B1とは10mm〜20mm程度離れている。これにより、脆性基板Bの切断線内で発生した亀裂が大きくなり下面側に至ることとなる。
【0019】
脆性基板Bが切断される様子を図4(a)〜(d)に模式的に示す。まず、脆性基板Bには図4(a)に示すように微小なクラックが入れられている。ここに、レーザーが照射されると脆性基板Bは図4(b)に示すように表面から熱せられ膨張する。次に、この部分を急激に冷却すると図4(c)に示すように、クラック部分から脆性基板が割れ、表面から内部に向って亀裂が発生する。ここで、脆性基板切断補助装置Xが、亀裂が入った脆性基板Bを亀裂が助長するようにガラスを撓ませるので、図4(d)に示すように亀裂が下面にまで達する。この動作が切断線すべてに渡って行われることで、脆性基板Bをフルボディカットすることができる。
この方法を用いることで、脆性基板を切断する加工速度を向上させることができ、例えば、0.7tの板ガラスに於いて、従来の方法でフルボディカットを行うと、90mm/秒から120mm/秒程度の移動速度が限界値であるが、本装置を用いることで、300mm/秒のフルボディカットを実現することができた。
【0020】
以上の動作を簡易化したモデルにより説明する。まず、レーザー加熱による加熱部分の膨張量は、次の通りになる。即ち、線膨張の計算式R=R0(1+αt) (α:線膨張係数)より、レーザー加熱による実際の膨張量ΔRはレーザービーム幅をR0とすると、ΔR=R0 ・ αtとなる。
次に、本装置による加圧点から吸引点までにおける伸び量ΔDは、図5に示す加圧点、吸引点、基板の変移点からなる直角三角形に基板の変形を近似すると、ΔD=(√(L0)2+(L1)2)−L0(L0:吸引点から加圧点までの距離、L1:吸引点における基板の変移量)と近似できる。(加圧点は移動しないと仮定する)。
このうちの、レーザービーム幅R部分に関する伸び量ΔLは、
ΔL=2・ΔD・(R0/2L0)
=2・((√(L0)2+(L1)2)−L0)・(R0/2L0)
=(√(L0)2+(L1)2)・(R0/L0)−R0
となる。即ち、元の加熱で生成した膨張ΔRに湾曲させることで増大したΔLを加えることができ、これにより熱衝撃力を増加させることができる。
【0021】
(実施形態2)
図6に実施形態2に係る脆性基板切断補助装置Yの斜視図を示し、図7に脆性基板切断補助装置Yの正面図を示す。本脆性基板切断補助装置Yの実施形態1に係る脆性基板切断補助装置Xとの相違点は、加圧部60がローラーで押さえることで加圧することに替えて、空気を吹き付けることで加圧する構成を有する点である。他の構成は実施形態1に係る脆性基板切断補助装置Xと同様なので、説明は省略する。
【0022】
加圧部60は、吸引部10の両側に2箇所設けられる。各加圧部60は、本体30の下面に設けられる開口部61と、開口部61から本体30背面に連通する本体30内に形成される導通部62と、導通部62の背面側の開口に接続されるエアチューブ63とから構成される。エアチューブ63の基端側はエアーコンプレッサーが接続される。吸引部10の開口部11と加圧部60の開口部61とは10mm〜20mm程度の間隔が空けられる。
【0023】
次に、本脆性基板切断補助装置Yの動作について説明する。図8に脆性基板切断補助装置Yを有する脆性基盤切断装置Qを模式的に表した側面図を示す。脆性基板切断装置Qは実施形態1に係る脆性基板切断装置Pとほぼ同様の構成を有しているが、脆性基板切断補助装置Xに代えて脆性基板切断補助装置Yを備えるとともに、エアーコンプレッサーA2を有する点において相異する。
使用に際しては、脆性基板切断補助装置Yの固定部60の上下方向の位置を支持フレームDにより調整し、微小なクラックが切断線の先端位置に形成された脆性基板Bを、切断線がレーザー照射器Lのレーザー照射位置を通るようにステージSに固定する。その後、ステージSを図の矢印の方向へ移動させていく。これにより、まず、切断線上に沿ってレーザー照射器Lによってレーザーが照射され、その直後に、冷却装置Cによって切断線が冷却される。これにより、脆性基板B上の切断線内部に亀裂が発生する。さらに、脆性基板切断補助装置Yが、吸引部10により切断線上の撓み付加点となる吸引点を吸引するとともに、加圧部60が吸引点の両側に位置する加圧点に空気を吹き付け、固定点となる加圧点が上方に移動しないように固定することで、脆性基板Bに発生した亀裂を助長する方向に脆性基板Bを撓ませる。これにより、脆性基板Bの切断線内で発生した亀裂が大きくなり下面側に至ることとなる。
本実施形態に係る脆性基板切断補助装置Yは、物理的に脆性基板に触れることがないので、脆性基板に過剰な付加を掛けることがなく、また、加圧力の微調整を比較的容易に行うことができる。
【0024】
(実施形態3)
上記各実施形態では、吸引部10の開口部11は1つであったが、これを脆性基板切断装置の冷却器Cを挟んで2つ設けるようにすることもできる。図9にかかる構成を有する脆性基盤切断補助装置Zを有する、脆性基板切断装置Rの構成を模式的に表す側面図を示し、図10に脆性基盤切断補助装置Zの底面図を示す。
脆性基板切断補助装置Zは、吸引部70として本体30の下面に切断する脆性基板の切断線に沿った方向に並ぶ2つの開口部71a、71bを有する。また、本体30内の各開口部71a、71bの間には冷却器Cが設けられ、開口部71a、71bの間が冷却位置となる。そして、それぞれの開口部71a、71bから本体30の背面に連通する本体30内に形成される導通部72a、72b、及び、各導通部72a、72bの背面側の開口に接続されるエアチューブ73a、73bが設けられる。各エアチューブ73a、73bは脆性基板切断装置Rの真空ポンプAxに接続され、真空ポンプAx内の図示しない切り替え弁により、いずれの開口部から吸引するかを切り替えることができるようになっている。
また、脆性基板補助装置Zには、加圧部80を構成する2組のローラー体80a、80bが吸引部70の各開口部71a、71bの位置に対応するように設けられている。
【0025】
このような構成を有する脆性基盤切断補助装置Zを有する脆性基盤切断装置Rの動作は、基本的は上記実施形態1、2に係る脆性基板切断装置P、Qと同様であるが、脆性基板Bの位置に応じて吸引部71a、71bによる吸引位置を切り替える点に特徴がある。即ち、当初は、加熱装置Lから近い側の吸引部71aにより吸引を行うようにすることで、脆性基板Bの進行方向先端縁近傍の切断線端部が冷却されている際にも、冷却位置に撓みを付与できるようにする。そして、ある程度、脆性基板Bが進んだ後に、加熱装置Lから遠い側の吸引部71bによる吸引に切り替え、脆性基板Bの進行方向後端縁近傍の切断線端部が冷却されている際にも、冷却位置に撓みを付与できるようにする。
このように、本実施形態に係る脆性基板切断補助装置Zは、吸引部の開口を冷却位置を挟むように2箇所設け、適宜吸着位置を切り替えることで、特に端部位置での適切な切断補助を行うことができる。
【0026】
(実施形態4)
実施形態3では、吸引部70の開口部71a、71bを冷却位置を脆性基板の進行方向に対して前後に挟むように設けたが、これを、冷却位置を脆性基板の進行方向に対して左右に挟むように設けることもできる。図11にかかる構成を有する脆性基盤切断補助装置Wを有する、脆性基板切断装置Sの構成を模式的に表す側面図を示し、図12に脆性基盤切断補助装置Wの底面図を示す。
脆性基板切断補助装置Wは、吸引部90として本体30の下面に脆性基板の切断線に対象に左右に並ぶ2つの開口部91a、91bを有する。そして、本体30内の各開口部91a、91bの間には冷却器Cが設けられ、開口部91a、91bの間が冷却位置となる。そして、開口部91a、91bから本体30の背面側の1つの開口に連通する、内部で二股に分かれた動通部92、導通部92の背面側の開口部に接続されるエアチューブ93が設けられる。エアチューブ93は真空ポンプAに接続されている。
【0027】
このような構成を有する脆性基盤切断補助装置Zを有する脆性基盤切断装置Rの動作は、上記実施形態1、2に係る脆性基板切断装置P、Qと同様であるが、吸引部90による脆性基板上の吸引点が切断線を挟む2点となる点に特徴を有する。このような構成により、開口部91a、91bによる2つの吸引点を結んだ線分と切断線上とが交わる位置が冷却位置となるので、本実施形態に係る脆性基板切断装置Sは、切断線上の冷却位置に対し、冷却とほぼ同時に撓みを付与することができる。
【0028】
なお、上記実施形態3、4では加圧部としてローラーを用いているが、実施形態2に示すように空気を吹き付けることで加圧する構成を採用することもできる。また、加圧部は実施形態3に示すように、固定点を複数有するように2組以上設けてもよく、これは、実施形態2に示す空気を吹き付けることで加圧する場合でも同様である。さらに、固定点を複数設ける場合に同時に加圧する場合の他、加圧点を適宜変更するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、撓み付加手段として、基板を吸引する方法を採用しているが、ステージSの切断線下方に位置する位置にスリットを設け、下方からローラーで押圧したり、空気を吹き付けたりすることで切断線下を押し上げるようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態では、冷却位置において冷却している箇所に撓みを付与する構成としているが、冷却位置よりも脆性基板の進行方向側(加熱位置から冷却位置に向う方向)に離して、撓みを付与するようにしてもよい。この場合は、脆性基板切断補助装置の作用は、冷却による亀裂の進行を補助するのではなく、従来のように、冷却により生じたスクライブ線を撓ませることでブレイクするものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1に係る脆性基板切断補助装置を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る脆性基板切断補助装置の正面図である。
【図3】実施形態1に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図4】(a)〜(d)は、脆性基板が切断される様子を模式的に示す縦断面図である。
【図5】撓みによる伸びを算出するためのモデルを示す図である。
【図6】実施形態2に係る脆性基板切断補助装置を示す斜視図である。
【図7】実施形態2に係る脆性基板切断補助装置の正面図である。
【図8】実施形態2に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図9】実施形態3に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図10】実施形態3に係る脆性基盤切断補助装置の底面図である。
【図11】実施形態4に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図12】実施形態4に係る脆性基盤切断補助装置の底面図である。
【符号の説明】
【0030】
X、Y、Z、W 脆性基板切断補助装置
P、Q、R、S 脆性基板切断装置
L レーザー照射器
C 冷却器
S ステージ
A、Ax 真空ポンプ
A2 エアコンプレッサー
10、70、90 吸引部
20、60、80 加圧部
30 本体
【技術分野】
【0001】
本発明は脆性基板を過熱後冷却することにより分断する際に用いられる切断補助装置に関する。脆性基板としては、ガラス基板、張り合わせガラス基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
脆性基板の切断方法の一つとして、予め加工する脆性基板に基点となる微小なクラックを付け、このクラック点を基点としレーザー等を用いて脆性基板を切断線に沿って加熱して膨張させ、加熱直後に冷却装置を配して膨張した脆性基板を冷却することで、発生する熱衝撃により脆性基板にスクライブ線を作るか、又は、フルボディカットを行う技術が知られている。なお、スクライブ線を作る場合は、スクライブ線が形成された後に、このスクライブ線をローラーなどで加圧、又は、スクライブ線の下方に段差を設け押下し、スクライブ線に沿ってブレイクすることで切断する。
現在の液晶基板の製造において、構成するガラス板は薄板になりつつあり、加熱後冷却することで切断するカッティング方式は、物理的に刃物で傷をつけ切断する方法に比べて加工端面が非常にきれいなため加工後の材料の強度が非常に高く、且つ後工程で研磨する必要も無いため注目されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この方法では、高速で加工をしようとしても、発生する熱衝撃は、機械的に切削するのではなく、材料の熱応力を利用したものである為、ある程度の高速で過熱冷却をする場合には100ミクロン程度のごく浅いスクライブ線が形成されるのみである。従って、上述したようにスクライブ線が形成された後に、スクライブ線に沿ってブレイクするといった作業が必要となる。
一方、ブレイク作業を省くためにフルボディカットを行うためには、加熱した熱がガラス下面まで伝達する必要があるため非常に遅い速度で加工することになってしまう。
このため、現状では、様々な利点を有するにも関わらず加熱後冷却することで切断するカッティング方式は液晶基板の製造において主流とはなりえてない。
【0004】
本発明は、このような問題に鑑みて、脆性基板を加熱後冷却することで切断する方法において、高速で加工を行えるようにする手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、脆性材料からなる基板を切断線に沿って加工手段に対し相対的に移動させながら、前記加工手段により加熱と冷却を行い、このとき発生する熱衝撃力で前記基板を切断する切断方法に用いられる脆性基板切断補助装置であり、前記基板の移動につれて移動する前記切断線上もしくは切断線近傍の点である撓み付加点が前記基板の一面側に移動する方向に、当該撓み付加点に力を加える撓み付加手段と、前記撓み付加点の両側に存する固定点を前記方向に移動しないように固定する固定手段とを有する。なお、撓み付加手段による力の加え方としては、撓み付加点の移動方向側から吸引することにより力を加えたり、撓み付加点の移動方向と反対面側から気体を吹き付けたり、ローラーで加圧することで力を加えたりする方法が例示される。また、固定手段による固定方法としては、撓み付加点の移動方向側から気体を吹き付けたり、ローラーで加圧することで移動を規制したり、撓み付加点の移動方向と逆側から基板を吸引する方法が例示される。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置において、前記撓み付加手段は、前記基板に非接触状態で、前記撓み付加点を前記基板の表面近傍を減圧することで吸引する吸引部を有し、前記固定手段は、前記基板の前記固定点を前記吸引部に吸引される方向とは逆方向に加圧する、前記基板上を移動可能に形成される加圧部を有する。なお、加圧には、積極的な加圧のみならず、吸引される基板の移動を規制することにより生じる加圧が含まれる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の脆性基板切断補助装置において、前記基板は、一方の面側から冷却されるものであって、前記撓み付加点および吸引部が吸引する表面は当該冷却される面側に設けられるものである。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記基板に平行かつ前記切断線に直角な回転軸を持つローラーにより固定点を加圧するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記固定点に気体を吹き付けることで加圧するものである。
請求項6に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記撓み付加点に対する前記固定点の相対的位置が前記切断線に沿って可変に形成されるものである。
請求項7に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置において、前記固定手段は、前記撓み付加点の両側のそれぞれにおいて2以上の固定点を固定するものである。
【0008】
請求項8に記載の発明は、前記脆性基板切断補助において、前記撓み付加手段は、前記加工手段の冷却位置を前記切断線に沿った方向に挟む2箇所で前記撓み付加点を可変に形成されるものである。
請求項9に記載の発明は、前記脆性基板切断補助において、前記撓み付加点は、両側の固定点の内側であって、前記加工手段による冷却位置の両側に2点設けられるものである。
【0009】
請求項10に記載の発明は、脆性材料からなる基板を固定するテーブルと、前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に設けられる、前記基板の切断線部分を加熱する加熱手段と、前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に、前記加熱手段の前記切断線に沿った方向に並んで設けられる、前記基板の切断線部分を冷却する冷却手段と、前記テーブルと冷却手段および加熱手段とを、前記テーブルが加熱手段から冷却手段に向かう方向に相対的に前記切断線に沿って移動させる移動手段と、請求項1から9のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置とを有する脆性基板切断装置である。
請求項11に記載の発明は前記脆性基板切断装置において、前記撓み付加点の少なくとも1つが、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側近傍に設けられるものである。
請求項12に記載の発明は、前記脆性基板切断装置において、前記脆性基板切断補助装置が請求項9に記載の脆性基板切断補助装置であり、前記2つの撓み付加点を結ぶ線分が、前記冷却手段による冷却位置を通るよう前記撓み付加点が設けられるものである。
請求項13に記載の発明は、前記脆性基板切断装置において、前記撓み付加点が、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側とは逆側に設けられるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、加圧、冷却される切断線上の撓み付加点に応力を加えるとともに、撓み付加点の両側に存する固定点を固定することで撓み付加点近傍を撓ませることができるので、これによりスクライブラインを生成する際、材料をスクライブラインと直角方向に引き離し、スクライブラインを形成する亀裂を進行させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、吸引により撓み付加点に力を付与し、この吸引方向とは逆方向に加圧することで固定点を固定する構成を有するので、基板の一方の面から撓み付加点および固定点に力を付与することとなり、脆性基板切断補助装置を加工する基板の一面側に存する一体の機器として構成することができる。
請求項3に記載の発明は、撓み付加点の吸引を冷却面側から行うことで、冷却された側が広がる方向に撓みが発生するので、スクライブ線中の亀裂の進行を促進することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、ローラーにより固定点を加圧することで、基板を固定する構成であるので、固定手段の構造を簡単にすることができる。
請求項5に記載の発明は、気体を吹き付けることで固定点を加圧することにより、基板を固定する構成であるので、基板に過度の力が加わることがなく、基板の予期せぬ破損などが発生することが抑制される。
請求項6に記載の発明は、固定手段が固定する固定点の位置を撓み付加点に対して相対的に可変に形成することで、基板の進行方向前後の縁部などに固定点が存することで固定力が弱まるような場合があるが、このような場合に、固定点を縁部より内側に移動させることで、よりしっかりと基板を固定することができる。
請求項7に記載の発明は、固定点を撓み付加点の両側のそれぞれにおいて2以上設けることで、基板をより安定して固定することができる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、撓み付加点を冷却位置を切断方向の前後で挟み、切り替え可能とすることで、脆性基板の進行方向前後の縁部に撓みを加える場合に、冷却と撓みの付与が同時に起こらないような場合が生じるが、撓み付加点を切り替えることで、このような事態を防ぐことができる。
請求項9に記載の発明は、冷却位置の両側に撓み付加点を設けることで、冷却位置と撓みを加える位置とを一致させることができる。
【0014】
請求項10に記載の発明は、前記脆性基板切断補助装置を設けることにより、亀裂の進行を早めることができ、脆性基板の切断加工速度を早くすることができる。
請求項11に記載の発明は、撓み付加点が冷却位置の加熱手段側の近傍に設けられることで、脆性基板の進行方向手前の縁部における切断線上の冷却点を撓みを加えながら冷却することができる。
請求項12に記載の発明は、脆性基板の切断線上の冷却点と撓みを加える点とが一致するので、冷却と撓みの付与を確実に同時に行うことができる。
請求項13に記載の発明は、撓み付加点を冷却位置の加熱手段の逆側に設けることで、脆性基板切断補助装置を冷却手段と加熱手段の間に設置する場合に比較して、簡易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
図1に実施形態1に係る脆性基板切断補助装置Xの斜視図を示し、図2に脆性基板切断補助装置Xの正面図を示す。脆性基板切断補助装置Xは、直方体状の本体30、本体30の底面中央に開口を有する撓み付加手段となる吸引部10、本体30の両側面に設けられる固定手段となる加圧部20を有する。
本体30はアルミ材料からなる直方体状のブロック体であり、後述する吸引部10の空気が通る導通部12が底面から背面を連通するように内部に形成される。なお、本体部30の上面には圧縮コイルバネ40aと圧縮コイルバネ40a内部を通る棒体40bからなる押圧部40が左右に2箇所設けられ、この押圧部40の棒体の上端は、板状体からなる固定部50に設けられる貫通孔50aを通って上方で抜け止め40bbが設けられることにより、貫通孔内でスライドでき、かつ、下方に抜けないように固定されている。
【0016】
吸引部10は本体30の下面に設けられる開口部11と、開口部11から本体30背面に連通する本体30内に形成される導通部12と、導通部12の背面側の開口に接続されるエアチューブ13とから構成される。エアチューブ13の基端側は真空ポンプが接続される。
加圧部20は2つの回動するローラー体により形成され、硬質ゴム製のローラーと当該ローラーを本体30の側面に軸支する軸部とから構成される。軸部とローラーとの間には図示しないベアリングが設けられる。
【0017】
次に、以上のような構成を有する脆性基板切断補助装置Xの動作について説明する。図3に脆性基板切断補助装置Xを有する脆性基板切断装置Pを模式的に表した側面図を示す。
脆性基板切断装置Pは、脆性基板切断補助装置Xの他に、切断する脆性基板Bを載置し移動させるテーブルであるステージS、脆性基板Bを加熱するレーザー照射器L、脆性基板Bを冷却する冷却器C、脆性基板切断補助装置Xの固定部50の高さを調節可能に支持固定する支持フレームD、 真空ポンプAを有する。レーザー照射器Lによるレーザー照射位置、冷却器Cの冷却位置、脆性基板切断補助装置Xの吸引部10の開口部11による吸引位置は、ステージSの移動方向に沿って一直線上に並ぶようになっている。
ここでは加工する脆性基板としてガラス基板を用いる。加工の前に、脆性基板切断補助装置Xの固定部50の上下方向の位置を支持フレームDにより調整しておく、固定部50の高さを低くすると、押圧部40の圧縮コイルバネが押し付けられて縮み量が増加するので、加圧部20により脆性基板Bに対する加圧力が強くなり、逆に、固定部50の高さを低くすると押圧部40の圧縮コイルバネの縮み量が少なくなるので、それだけ、加圧部20による脆性基板Bに対する加圧力が弱くなる。
【0018】
最初に、微小なクラックが切断線の先端位置に形成された脆性基板Bを、切断線がレーザー照射器Lのレーザー照射位置を通るようにステージSに固定する。この状態で、ステージSを図の矢印の方向へ移動させていく。これにより、まず、切断線上に沿ってレーザー照射器Lによってレーザーが照射され、その直後に、冷却装置Cによって切断線が冷却される。これにより、脆性基板B上の切断線内部に亀裂が発生する。さらに、脆性基板切断補助装置Xが、脆性基板Bに発生した亀裂を助長する方向にガラスを撓ませる。具体的には、図2の想像線が示すように、脆性基板切断補助装置Bの下に脆性基板Bが位置すると、加圧部20のローラーが脆性基板Bを抑えるとともに、吸引部10が脆性基板Bを吸い上げる。脆性基板Bにおいて加圧部20のローラーが加圧している点が固定点となる加圧点B2となり、吸引部10により吸い上げられる点が撓み付加点となる吸引点B1となる。加圧点B2と吸引点B1とは10mm〜20mm程度離れている。これにより、脆性基板Bの切断線内で発生した亀裂が大きくなり下面側に至ることとなる。
【0019】
脆性基板Bが切断される様子を図4(a)〜(d)に模式的に示す。まず、脆性基板Bには図4(a)に示すように微小なクラックが入れられている。ここに、レーザーが照射されると脆性基板Bは図4(b)に示すように表面から熱せられ膨張する。次に、この部分を急激に冷却すると図4(c)に示すように、クラック部分から脆性基板が割れ、表面から内部に向って亀裂が発生する。ここで、脆性基板切断補助装置Xが、亀裂が入った脆性基板Bを亀裂が助長するようにガラスを撓ませるので、図4(d)に示すように亀裂が下面にまで達する。この動作が切断線すべてに渡って行われることで、脆性基板Bをフルボディカットすることができる。
この方法を用いることで、脆性基板を切断する加工速度を向上させることができ、例えば、0.7tの板ガラスに於いて、従来の方法でフルボディカットを行うと、90mm/秒から120mm/秒程度の移動速度が限界値であるが、本装置を用いることで、300mm/秒のフルボディカットを実現することができた。
【0020】
以上の動作を簡易化したモデルにより説明する。まず、レーザー加熱による加熱部分の膨張量は、次の通りになる。即ち、線膨張の計算式R=R0(1+αt) (α:線膨張係数)より、レーザー加熱による実際の膨張量ΔRはレーザービーム幅をR0とすると、ΔR=R0 ・ αtとなる。
次に、本装置による加圧点から吸引点までにおける伸び量ΔDは、図5に示す加圧点、吸引点、基板の変移点からなる直角三角形に基板の変形を近似すると、ΔD=(√(L0)2+(L1)2)−L0(L0:吸引点から加圧点までの距離、L1:吸引点における基板の変移量)と近似できる。(加圧点は移動しないと仮定する)。
このうちの、レーザービーム幅R部分に関する伸び量ΔLは、
ΔL=2・ΔD・(R0/2L0)
=2・((√(L0)2+(L1)2)−L0)・(R0/2L0)
=(√(L0)2+(L1)2)・(R0/L0)−R0
となる。即ち、元の加熱で生成した膨張ΔRに湾曲させることで増大したΔLを加えることができ、これにより熱衝撃力を増加させることができる。
【0021】
(実施形態2)
図6に実施形態2に係る脆性基板切断補助装置Yの斜視図を示し、図7に脆性基板切断補助装置Yの正面図を示す。本脆性基板切断補助装置Yの実施形態1に係る脆性基板切断補助装置Xとの相違点は、加圧部60がローラーで押さえることで加圧することに替えて、空気を吹き付けることで加圧する構成を有する点である。他の構成は実施形態1に係る脆性基板切断補助装置Xと同様なので、説明は省略する。
【0022】
加圧部60は、吸引部10の両側に2箇所設けられる。各加圧部60は、本体30の下面に設けられる開口部61と、開口部61から本体30背面に連通する本体30内に形成される導通部62と、導通部62の背面側の開口に接続されるエアチューブ63とから構成される。エアチューブ63の基端側はエアーコンプレッサーが接続される。吸引部10の開口部11と加圧部60の開口部61とは10mm〜20mm程度の間隔が空けられる。
【0023】
次に、本脆性基板切断補助装置Yの動作について説明する。図8に脆性基板切断補助装置Yを有する脆性基盤切断装置Qを模式的に表した側面図を示す。脆性基板切断装置Qは実施形態1に係る脆性基板切断装置Pとほぼ同様の構成を有しているが、脆性基板切断補助装置Xに代えて脆性基板切断補助装置Yを備えるとともに、エアーコンプレッサーA2を有する点において相異する。
使用に際しては、脆性基板切断補助装置Yの固定部60の上下方向の位置を支持フレームDにより調整し、微小なクラックが切断線の先端位置に形成された脆性基板Bを、切断線がレーザー照射器Lのレーザー照射位置を通るようにステージSに固定する。その後、ステージSを図の矢印の方向へ移動させていく。これにより、まず、切断線上に沿ってレーザー照射器Lによってレーザーが照射され、その直後に、冷却装置Cによって切断線が冷却される。これにより、脆性基板B上の切断線内部に亀裂が発生する。さらに、脆性基板切断補助装置Yが、吸引部10により切断線上の撓み付加点となる吸引点を吸引するとともに、加圧部60が吸引点の両側に位置する加圧点に空気を吹き付け、固定点となる加圧点が上方に移動しないように固定することで、脆性基板Bに発生した亀裂を助長する方向に脆性基板Bを撓ませる。これにより、脆性基板Bの切断線内で発生した亀裂が大きくなり下面側に至ることとなる。
本実施形態に係る脆性基板切断補助装置Yは、物理的に脆性基板に触れることがないので、脆性基板に過剰な付加を掛けることがなく、また、加圧力の微調整を比較的容易に行うことができる。
【0024】
(実施形態3)
上記各実施形態では、吸引部10の開口部11は1つであったが、これを脆性基板切断装置の冷却器Cを挟んで2つ設けるようにすることもできる。図9にかかる構成を有する脆性基盤切断補助装置Zを有する、脆性基板切断装置Rの構成を模式的に表す側面図を示し、図10に脆性基盤切断補助装置Zの底面図を示す。
脆性基板切断補助装置Zは、吸引部70として本体30の下面に切断する脆性基板の切断線に沿った方向に並ぶ2つの開口部71a、71bを有する。また、本体30内の各開口部71a、71bの間には冷却器Cが設けられ、開口部71a、71bの間が冷却位置となる。そして、それぞれの開口部71a、71bから本体30の背面に連通する本体30内に形成される導通部72a、72b、及び、各導通部72a、72bの背面側の開口に接続されるエアチューブ73a、73bが設けられる。各エアチューブ73a、73bは脆性基板切断装置Rの真空ポンプAxに接続され、真空ポンプAx内の図示しない切り替え弁により、いずれの開口部から吸引するかを切り替えることができるようになっている。
また、脆性基板補助装置Zには、加圧部80を構成する2組のローラー体80a、80bが吸引部70の各開口部71a、71bの位置に対応するように設けられている。
【0025】
このような構成を有する脆性基盤切断補助装置Zを有する脆性基盤切断装置Rの動作は、基本的は上記実施形態1、2に係る脆性基板切断装置P、Qと同様であるが、脆性基板Bの位置に応じて吸引部71a、71bによる吸引位置を切り替える点に特徴がある。即ち、当初は、加熱装置Lから近い側の吸引部71aにより吸引を行うようにすることで、脆性基板Bの進行方向先端縁近傍の切断線端部が冷却されている際にも、冷却位置に撓みを付与できるようにする。そして、ある程度、脆性基板Bが進んだ後に、加熱装置Lから遠い側の吸引部71bによる吸引に切り替え、脆性基板Bの進行方向後端縁近傍の切断線端部が冷却されている際にも、冷却位置に撓みを付与できるようにする。
このように、本実施形態に係る脆性基板切断補助装置Zは、吸引部の開口を冷却位置を挟むように2箇所設け、適宜吸着位置を切り替えることで、特に端部位置での適切な切断補助を行うことができる。
【0026】
(実施形態4)
実施形態3では、吸引部70の開口部71a、71bを冷却位置を脆性基板の進行方向に対して前後に挟むように設けたが、これを、冷却位置を脆性基板の進行方向に対して左右に挟むように設けることもできる。図11にかかる構成を有する脆性基盤切断補助装置Wを有する、脆性基板切断装置Sの構成を模式的に表す側面図を示し、図12に脆性基盤切断補助装置Wの底面図を示す。
脆性基板切断補助装置Wは、吸引部90として本体30の下面に脆性基板の切断線に対象に左右に並ぶ2つの開口部91a、91bを有する。そして、本体30内の各開口部91a、91bの間には冷却器Cが設けられ、開口部91a、91bの間が冷却位置となる。そして、開口部91a、91bから本体30の背面側の1つの開口に連通する、内部で二股に分かれた動通部92、導通部92の背面側の開口部に接続されるエアチューブ93が設けられる。エアチューブ93は真空ポンプAに接続されている。
【0027】
このような構成を有する脆性基盤切断補助装置Zを有する脆性基盤切断装置Rの動作は、上記実施形態1、2に係る脆性基板切断装置P、Qと同様であるが、吸引部90による脆性基板上の吸引点が切断線を挟む2点となる点に特徴を有する。このような構成により、開口部91a、91bによる2つの吸引点を結んだ線分と切断線上とが交わる位置が冷却位置となるので、本実施形態に係る脆性基板切断装置Sは、切断線上の冷却位置に対し、冷却とほぼ同時に撓みを付与することができる。
【0028】
なお、上記実施形態3、4では加圧部としてローラーを用いているが、実施形態2に示すように空気を吹き付けることで加圧する構成を採用することもできる。また、加圧部は実施形態3に示すように、固定点を複数有するように2組以上設けてもよく、これは、実施形態2に示す空気を吹き付けることで加圧する場合でも同様である。さらに、固定点を複数設ける場合に同時に加圧する場合の他、加圧点を適宜変更するようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、撓み付加手段として、基板を吸引する方法を採用しているが、ステージSの切断線下方に位置する位置にスリットを設け、下方からローラーで押圧したり、空気を吹き付けたりすることで切断線下を押し上げるようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態では、冷却位置において冷却している箇所に撓みを付与する構成としているが、冷却位置よりも脆性基板の進行方向側(加熱位置から冷却位置に向う方向)に離して、撓みを付与するようにしてもよい。この場合は、脆性基板切断補助装置の作用は、冷却による亀裂の進行を補助するのではなく、従来のように、冷却により生じたスクライブ線を撓ませることでブレイクするものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態1に係る脆性基板切断補助装置を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る脆性基板切断補助装置の正面図である。
【図3】実施形態1に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図4】(a)〜(d)は、脆性基板が切断される様子を模式的に示す縦断面図である。
【図5】撓みによる伸びを算出するためのモデルを示す図である。
【図6】実施形態2に係る脆性基板切断補助装置を示す斜視図である。
【図7】実施形態2に係る脆性基板切断補助装置の正面図である。
【図8】実施形態2に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図9】実施形態3に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図10】実施形態3に係る脆性基盤切断補助装置の底面図である。
【図11】実施形態4に係る脆性基板切断補助装置を有する脆性基板切断装置を模式的に示す側面図である。
【図12】実施形態4に係る脆性基盤切断補助装置の底面図である。
【符号の説明】
【0030】
X、Y、Z、W 脆性基板切断補助装置
P、Q、R、S 脆性基板切断装置
L レーザー照射器
C 冷却器
S ステージ
A、Ax 真空ポンプ
A2 エアコンプレッサー
10、70、90 吸引部
20、60、80 加圧部
30 本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料からなる基板を切断線に沿って加工手段に対し相対的に移動させながら、前記加工手段により加熱と冷却を行い、このとき発生する熱衝撃力で前記基板を切断する切断方法に用いられる切断補助装置であって、
前記基板の移動につれて移動する前記切断線上もしくは前記切断線近傍の点である撓み付加点が前記基板の一面側に移動する方向に、当該撓み付加点に力を加える撓み付加手段と、
前記撓み付加点の両側に存する固定点を前記方向に移動しないように固定する固定手段と
を有する脆性基板切断補助装置。
【請求項2】
前記撓み付加手段は、前記基板に非接触状態で、前記基板の前記撓み付加点を含む表面近傍を減圧することで吸引する吸引部を有し、
前記固定手段は、前記基板の前記固定点を前記吸引部に吸引される方向とは逆方向に加圧する、前記基板上を移動可能に形成される加圧部を有する
請求項1に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項3】
前記基板は、一方の面側から冷却されるものであって、
前記撓み付加点および吸引部が吸引する表面は当該冷却される面側に設けられるものである請求項2に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項4】
前記固定手段は、前記基板に平行かつ前記切断線に直角な回転軸を持つローラーにより前記固定点を加圧するものである請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項5】
前記固定手段は、前記固定点に気体を吹き付けることで加圧するものである請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項6】
前記固定手段は、前記撓み付加点に対する前記固定点の相対的位置を前記切断線に沿って可変に形成される請求項1から5のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項7】
前記固定手段は、前記撓み付加点の両側のそれぞれにおいて2以上の固定点を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項8】
前記撓み付加手段は、前記加工手段の冷却位置を前記切断線に沿った方向に挟む2箇所で前記撓み付加点を可変に形成される請求項1から7のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助。
【請求項9】
前記撓み付加点は、両側の固定点の内側であって、前記加工手段による冷却位置の両側に2点設けられるものである請求項1から7に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項10】
脆性材料からなる基板を固定するテーブルと、
前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に設けられる、前記基板の切断線部分を加熱する加熱手段と、
前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に、前記加熱手段の前記切断線に沿った方向に並んで設けられる、前記基板の切断線部分を冷却する冷却手段と、
前記テーブルと冷却手段および加熱手段とを、前記テーブルが加熱手段から冷却手段に向かう方向に相対的に前記切断線に沿って移動させる移動手段と、
請求項1から9のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置と
を有する脆性基板切断装置。
【請求項11】
前記撓み付加点の少なくとも1つが、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側近傍に設けられる請求項10に記載の脆性基板切断装置。
【請求項12】
前記脆性基板切断補助装置が請求項9に記載の脆性基板切断補助であり、
前記2つの撓み付加点を結ぶ線分が、前記冷却手段による冷却位置を通るよう前記撓み付加点が設けられる請求項10に記載の脆性基板切断装置。
【請求項13】
前記撓み付加点が、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側とは逆側に設けられる請求項10に記載の脆性基板切断装置。
【請求項1】
脆性材料からなる基板を切断線に沿って加工手段に対し相対的に移動させながら、前記加工手段により加熱と冷却を行い、このとき発生する熱衝撃力で前記基板を切断する切断方法に用いられる切断補助装置であって、
前記基板の移動につれて移動する前記切断線上もしくは前記切断線近傍の点である撓み付加点が前記基板の一面側に移動する方向に、当該撓み付加点に力を加える撓み付加手段と、
前記撓み付加点の両側に存する固定点を前記方向に移動しないように固定する固定手段と
を有する脆性基板切断補助装置。
【請求項2】
前記撓み付加手段は、前記基板に非接触状態で、前記基板の前記撓み付加点を含む表面近傍を減圧することで吸引する吸引部を有し、
前記固定手段は、前記基板の前記固定点を前記吸引部に吸引される方向とは逆方向に加圧する、前記基板上を移動可能に形成される加圧部を有する
請求項1に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項3】
前記基板は、一方の面側から冷却されるものであって、
前記撓み付加点および吸引部が吸引する表面は当該冷却される面側に設けられるものである請求項2に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項4】
前記固定手段は、前記基板に平行かつ前記切断線に直角な回転軸を持つローラーにより前記固定点を加圧するものである請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項5】
前記固定手段は、前記固定点に気体を吹き付けることで加圧するものである請求項2又は3に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項6】
前記固定手段は、前記撓み付加点に対する前記固定点の相対的位置を前記切断線に沿って可変に形成される請求項1から5のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項7】
前記固定手段は、前記撓み付加点の両側のそれぞれにおいて2以上の固定点を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項8】
前記撓み付加手段は、前記加工手段の冷却位置を前記切断線に沿った方向に挟む2箇所で前記撓み付加点を可変に形成される請求項1から7のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助。
【請求項9】
前記撓み付加点は、両側の固定点の内側であって、前記加工手段による冷却位置の両側に2点設けられるものである請求項1から7に記載の脆性基板切断補助装置。
【請求項10】
脆性材料からなる基板を固定するテーブルと、
前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に設けられる、前記基板の切断線部分を加熱する加熱手段と、
前記テーブルに固定された前記基板の切断線に対向する位置に、前記加熱手段の前記切断線に沿った方向に並んで設けられる、前記基板の切断線部分を冷却する冷却手段と、
前記テーブルと冷却手段および加熱手段とを、前記テーブルが加熱手段から冷却手段に向かう方向に相対的に前記切断線に沿って移動させる移動手段と、
請求項1から9のいずれか1項に記載の脆性基板切断補助装置と
を有する脆性基板切断装置。
【請求項11】
前記撓み付加点の少なくとも1つが、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側近傍に設けられる請求項10に記載の脆性基板切断装置。
【請求項12】
前記脆性基板切断補助装置が請求項9に記載の脆性基板切断補助であり、
前記2つの撓み付加点を結ぶ線分が、前記冷却手段による冷却位置を通るよう前記撓み付加点が設けられる請求項10に記載の脆性基板切断装置。
【請求項13】
前記撓み付加点が、前記冷却手段による冷却位置の前記加熱手段側とは逆側に設けられる請求項10に記載の脆性基板切断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−154516(P2009−154516A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13578(P2008−13578)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(501142560)株式会社日本エミック (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(501142560)株式会社日本エミック (2)
【Fターム(参考)】
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