説明

脈管を治療するための装置及び方法

【課題】 例えば腫瘍、動脈瘤及び静脈瘤膨脹などの種々の疾病及び/または病気を治療するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】 治療法には、例えば、カテーテルを用いて標的に向けて遮断器具を挿入すること、治療部位においてゼロ圧力を維持しながら脈管に硬化薬または他の薬剤を送達することが含まれる。遮断器具は、治療のための物質、塞栓、デブリなどが脈管の上流部へ入ることを防止することがある。遮断器具には、例えば、キャップ状部または他の凹形のものが含まれることがあり、脈管の壁に向かって拡張可能または伸張可能であることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管などの脈管(vessel)の遮断、閉塞及び/または治療を可能にする方法及び装置に関する。詳細には、本発明の実施形態は、静脈または動脈の選択されたセグメントを遮断し得る装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の疾病及び/または病気(例えば、腫瘍、動脈瘤及び静脈瘤膨脹を含む)は、治療部位に血液を供給するかまたは治療部位から血液を運び出す静脈または動脈に関する機能不全または他の問題によって引き起こされることがある。例えば、下肢の静脈系には、表在系(大伏在静脈及び小伏在静脈)及び深部系(膝窩静脈及び大腿静脈)が含まれる。これら2つの並行する系は、貫通静脈を介して相互接続されている。深部系及び表在系の分岐点の間の接合部、大腿静脈接合部及び膝窩静脈接合部には、一方向弁が存在する。
【0003】
大静脈瘤、例えば直径が2mmないし2cmで皮膚の表面上に隆起している蛇行静脈は、概して大腿静脈接合部または膝窩静脈接合部のいずれかで弁閉鎖不全症に関係がある。深部系における静脈の圧力は一般的に表在系の静脈の圧力より大きいので、弁閉鎖不全症は、皮膚に近いところにある表在静脈系に伝えられて究極的に静脈瘤を発生させるような静水圧の上昇をもたらす。静脈瘤の塊は、貫通性脈管(例えば、それぞれ中位及び遠位大腿に位置するHunter及びDoddの貫通静脈など)の部位に現れることがある。この静脈瘤パターンは、概して大腿静脈接合部での機能不全に関連する。
【0004】
場合によっては、弁閉鎖不全症は、貫通静脈(例えば、前内側腓腹に位置するBoyd貫通静脈など)に限局されることがある。これらの静脈瘤は、多くの場合、伏在静脈不全とは関連しない。というのも、下肢の貫通静脈は伏在静脈と直接通じていないからである。多くの静脈瘤は無症候性であるが、かゆみ、倦怠感、痛みを含む症状が発生することがある。その上、静脈瘤は、静脈不全、出血、血栓静脈炎、静脈潰瘍形成、慢性的な皮膚の変化に起因する末梢性浮腫によって悪化させられることがある。
【0005】
静脈瘤は、よく見られる病態である。西欧の成人集団において、肉眼で見える静脈瘤は、女性の20〜25%、男性の10〜15%に存在する。ほとんどの人において、静脈瘤は外見が悪くなること以外の症候を引き起こさない。静脈瘤の手術は、米国で最も一般に行われる美容技法の1つである。
【0006】
ほとんどの静脈瘤は、医学的処置を必要としない(非特許文献1)。しかし、場合によっては、脚及び足首の腫脹、不快感、打診痛知覚、または倦怠感を引き起こすほど血行が妨げられることがある。静脈瘤患者のほとんどにとって、特別に適合された弾性ストッキングを穿けば十分である。このストッキングは、細かく各個人に合わせてほとんどの圧力を下肢に与えるようなものであるべきである。ウォーキングやサイクリングなどの運動もまた、下半身からの血行を良くするのに役立つ。定期的に脚を上げるとき、そして長時間立位を避けるとき、症候はしばしば軽減される。静脈瘤は、通常、非外科的手段によって治療することができる。
【0007】
伝統的な治療手段がうまくいかないときは、追加の治療オプションとして、先ず逆流部位の同定及び矯正に焦点を合わせ、次に無傷の弁を有する静脈を流れる静脈流の方向転換に焦点を合わせるのが典型的である。静脈瘤の手術治療法には、手術前ドップラー超音波検査によって同定されるような、通常は大腿静脈接合部での、最も近位の逆流点の制御が含まれることがある。大腿静脈接合部または膝窩静脈接合部の外科結紮及び切除は、弁閉鎖不全症を治療するために行われる。別の手術治療法には、血流からの逆流する大伏在静脈及び/または小伏在静脈の抜去が含まれる。分離のための最も典型的な戦略はストリッピング(静脈抜去術)であり、これは一般的に静脈の結紮及び切除に先行される。更なる手術治療法には、静脈瘤の支流の除去が含まれる。除去のための戦略には、初期治療時またはその後のいずれかに行う穿刺抉出(stab avulsion)または注入硬化療法が含まれる。
【0008】
結紮及びストリッピングに代わる、硬化療法、腔内の高周波アブレーション、レーザ切除を含む種々の異なる低侵襲治療について、長年にわたり調べられてきた。硬化療法の目的は一般的に、刺激性溶液(例えば、界面活性剤、浸透圧液、または化学性刺激物)の注入により標的脈管の内皮を破壊することであり、究極的には脈管を完全に閉塞させる。破壊が少なすぎると、線維症なしの血栓症及び究極的な再疎通をもたらすことがある。破壊が多すぎると、脈管裂(vascular dehiscence)をもたらすことがある。治療の成功は、脈管の正確な注射、硬化剤の適切な注入物質量及び濃度、術後圧迫に掛かっていることがある。圧迫は、理論的には、治療を行う静脈壁を直接付着させてより有効な線維化を生じさせ、さらに、血栓症形成の範囲を小さくすることがある。従って、技術的限界のため、大静脈及びかなり蛇行した静脈は硬化療法の良好な候補でないかもしれない。
【0009】
硬化療法は、毛細血管拡張性血管の一般に受け入れられていて効果的な治療であるが、事前に結紮せずに、ストリッピングを行うかまたは行わない静脈瘤の支流の治療にも用いられてきた。この硬化療法の適用は、逆流点の制御及び逆流する伏在静脈の分離がない場合には、その有効性に関する問題を引き起こす。加えて、硬化剤が大伏在静脈または小伏在静脈に注入されるとき、硬化療法は、結紮を行うかまたは行わないかいずれかで、ストリッピングに代わる低侵襲治療として研究されてきた。伏在静脈は裸眼では見えないので、注入は超音波検査によって誘導されるのが典型的である。この併用療法は、「エコー硬化療法」と呼ばれることがある。大伏在静脈は毛細血管拡張性皮膚静脈より大きくかつ深いので、この静脈の硬化療法は、硬化剤の適切な量及び濃度に関する問題及び適切な術後圧迫を与える能力を高める。さらに、硬化療法の使用は、ストリッピングによる静脈の物理的除去とは対照的に、再疎通に起因する再発の問題を生じさせる。
【0010】
非特許文献2は、伏在静脈逆流を起こしている大伏在静脈の静脈瘤患者の治療における超音波誘導フォーム硬化療法(COMPASS(comprehensive objective mapping, precise image-guided injection, antireflex positioning and sequential sclerotherapy)技術)の有効性について報告している。公表されたCOMPASS技術の研究には、比較的短期間の追跡調査が含まれる。被験者は、3年間、そして1年間にわたり投与された一連の繰り返し硬化剤注入療法の完了後は2年間だけ、追跡された。さらに、これらの研究には、手術により治療される患者の比較群が含まれないが、手術は、大伏在静脈の不全を治療する主要な方法であり続けている。それゆえに、大伏在静脈の静脈瘤及び大腿静脈不全の治療のための手術に比べてCOMPASS技術の結果の耐久性またはその有効性に関して決定的な結論を下すことはできない。しかも、公表されたCOMPASS技術の研究は、1つの研究者グループによってもたらされたものである。
【0011】
公表された長期の無作為比較臨床試験は、大腿静脈接合部の機能不全に関連する静脈瘤の治療には手術単独よりも手術併用硬化療法が有効であることを実証した。非特許文献3は、フォーム硬化療法の第1の長期の無作為比較臨床試験であるVEDICO(Venous Disease International Control)試験から得られた結果について報告した。VEDICO試験では、静脈瘤及び伏在静脈不全の749人の患者を、6つの異なるアプローチ、即ち、一般的硬化療法、高用量硬化療法、外科結紮、穿刺抉出、フォーム硬化療法、手術(結紮または穿刺抉出)及び高用量硬化療法の併用、によって無作為に治療した。10年で、新たな静脈の発生は、一般的硬化療法で56%、フォーム硬化療法で51%、高用量硬化療法で49%、穿刺抉出で41%、結紮で38%、手術及び硬化療法の併用で27%であった。
【0012】
非特許文献4は、静脈瘤及び表在静脈不全の患者96人において超音波誘導硬化療法を手術単独または硬化療法と併用される手術と比較した無作為比較臨床試験の結果について報告している。全てのアプローチが静脈不全の進行を制御する際に有効であることが報告されたが、手術は長期的に最も有効な方法であるように思われ、硬化療法と併用される当該手術は手術単独よりも有効であることがある。10年間の追跡調査の後、超音波誘導硬化療法に割り当てられた患者の四肢では18.8%が不全であったのと比べて、手術に割り当てられた両群においては、大腿静脈接合部の不全は観察されなかった。手術単独で治療された患者の四肢では36%、手術併用硬化療法で治療された患者の四肢では16.1%が不全であったのと比べて、超音波誘導硬化療法で治療された四肢のうち、遠位静脈系の43.8%が不全であった。
【0013】
近年、ES(血管内硬化療法)及びフォーム硬化療法(超音波誘導を用いる)などの新たな方法が、様々な種類の静脈瘤に対するの硬化療法安全性及び効能を向上させるために開発・提案されている。大伏在静脈不全の患者を治療するためのこれらの新技術に関する証拠は限定されており、大静脈瘤(伏在静脈または非伏在静脈)のための第1の治療法としての硬化療法の地位には議論の余地が残されている。
【0014】
腔内の高周波アブレーション及びレーザ治療(例えば、ドルニエダイオード社(Dornier Diode)製のVNUS(登録商標)Closure(商標)システム(Medilas D)及びダイオメド社(Diomed)製810nm手術レーザ及びEVLT(endovenous laser therapy:血管内レーザ治療法))が、静脈結紮及びストリッピングに代わる低侵襲治療として研究されてきた。高周波エネルギー及びレーザ治療は共に、脈管の内膜壁を傷つけ、線維症及び究極的には静脈の長いセグメントを閉塞させるように同じようにデザインされている。高周波アブレーションは、一般に、遠位内側大腿において小さい切開により1〜2cm以内の大腿静脈接合部へ挿入されるような特別に設計されたカテーテルによって行われる。高周波(HF)電波(200〜300kHz)がカテーテル電極を介して供給され、脈管壁の直接加熱を行い、静脈を虚脱させる。カテーテルはゆっくりと引き出され、静脈が閉じられる。同じようにしてレーザ切除が行われる。腔内のレーザ治療の場合、先端剥き出しのレーザファイバが超音波誘導下で大伏在静脈に差し込まれる。レーザは、アクティブにされて、伏在静脈の流れに沿ってゆっくりと取り除かれる。
【0015】
そのようなカテーテルにより、一般に直径が2ないし12mmの静脈を治療することがある。各カテーテルは、静脈壁の温度をモニタするためにマイクロ熱電対を有することがある。実際には、電極が被覆されているカテーテルが、静脈穿刺または伏在静脈の外科手術による直接露出を通じて前進または後退のいずれかで通過させられる。カテーテル位置は、超音波画像診断によって確認されることがあり、静脈の瀉血は、外部弾性包帯巻き(エスマルヒ包帯法)または大量の非常に希薄な局所麻酔(チューメセント法)によって達成されることがある。
【0016】
ことによると、静脈瘤の手術、または他の静脈遮断手術の最も重篤な合併症は、肺の塞栓があるかまたはない深部静脈血栓症である。静脈瘤手術及び低侵襲腔内療法についての多くの初期の報告において、肺の塞栓の発生率は、0.4%ないし1%である。それほど重篤ではないが厄介な合併症は、大伏在神経の領域における機能不全である。これは、腔内治療によって治療された四肢の12.5%で見られた。
【0017】
内視鏡的筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS)は、脚を大きく切開する必要性をなくした低侵襲内視鏡的手技である。SEPSは、慢性静脈不全の伝統的な開腹外科手術治療法の代替として探究されてきた。この手技の目的は、静脈逆流を低下させ、静脈性潰瘍が最も頻繁に発生する足首の上方の重要部位における移動性静脈高血圧を減少させるように、不全の内側腓腹貫通静脈を妨げることである。非特許文献5は、入手可能な証拠により開存穿通枝結紮に対するSEPSの優位性が確かめられると述べているが、進行性慢性静脈不全(CVI)及び静脈性潰瘍形成の手術治療法におけるその役割については言及されていない。側枝静脈瘤の抉出を伴う大伏在静脈の高位結紮術及びストリッピングによる表在逆流の消失は、SEPSを受けている大部分の患者において同時に行われる。SEPSに起因し得る臨床的及び血行力学的な改善は、それゆえ、確認することが困難である。開存穿通枝結紮と同様に、臨床的及び血行力学的な結果は、血栓後(PT)後遺症の患者より原発性弁閉鎖不全(PVT)の患者の方が良好である。
【0018】
SEPSに対する禁忌には、関連動脈閉塞症、感染性潰瘍、非外来患者、医学的ハイリスク患者が含まれる。糖尿病、腎不全、肝不全、病的肥満、リウマチ性関節炎患者の潰瘍、または強皮症、及び手術前画像診断上の膝窩静脈またはそれより高いレベルでの深部静脈閉塞の存在は、比較的禁忌である。広範な皮膚の変化、全周性の大きな潰瘍、最近の深部静脈血栓症、重症リンパ浮腫、または大きな脚を有する患者は、適切な候補ではないかもしれない(非特許文献5)。
【非特許文献1】Tapley, et al (2003)
【非特許文献2】McDonagh, et al (2002, 2003)
【非特許文献3】Belcaro, et al (2003)
【非特許文献4】Belcaro, et al (2000)
【非特許文献5】Kalra and Gloviczki (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
以下の説明は、当業者が、特定の用途及びその必要性との関連で規定されているように本発明を行いかつ利用できるように提示されている。記載されている実施形態に対する種々の改変は当業者に明らかであろうし、本明細書で画定される原則は他の実施形態にも適用されることがある。従って、本発明は、図示及び説明されている特定の実施形態に限定されるように意図されたものではなく、本明細書に開示されている原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲と一致する。場合によって、公知の方法、手順、及び構成要素は、本発明を分かりにくくしないように詳述されていない。
【0020】
本発明の実施形態には、一般に低侵襲手技を用いて脈管の少なくとも一部を選択的に遮断することによって脈管、例えば分岐静脈瘤または他の損傷した脈管、管腔などにおける合併症を治療するように構成された腔内器具が含まれることがある。例えば、分岐静脈の所定の領域(例えば大腿静脈領域)は、遮断または閉塞され、一般に脈管の遮断されていない領域を害することなく治療されることがある。脈管の遮断されていない部位は、例えば、結紮、熱及び/または硬化薬または他の適切な薬剤を用いて治療されることがある。他の管腔は、本発明の種々の実施形態を用いて閉塞または遮断されることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここで、図1を参照されたい。図1は、分岐を伴う脈管102を含むヒトの静脈系の一部を簡素化したものを概略的に示している。伏在静脈106は、大腿静脈接合部107を経由して大腿静脈104へ延在する。脈管遮断器具108は、以下に詳述するように、脈管106の少なくとも一部を遮断するべく、脈管102中で、例えば大腿静脈接合部107の近位で、または他の適切な位置で利用可能な状態にされることがある。例えば、静脈の上流部及び/または遮断された部分の治療及び/または破壊を可能にするように静脈の上流部が遮断されることがある。
【0022】
図2を参照されたい。図2は、本発明の一実施形態に基づき、脈管遮断器具のカテーテル挿入を概略的に示す。脈管遮断器具200は、例えば治療が必要な標的脈管205(例えば、遮断及び/または別な方法で治療されることになるような分岐を伴う脈管または閉塞された血液セグメント)に挿入されることがある。器具200のそのような挿入は、例えばカテーテル210などの挿入具を用いて実現されることがあり、そのような挿入具には、選択された位置に器具200を誘導するのに役立つような例えばガイドワイヤ230が含まれることがある。他の挿入具及び方法が用いられることもある。カテーテル210を介して、医薬品、薬物、溶液、泡または別の適切な薬剤、例えば硬化薬などを標的領域に送達することを可能にするように、カテーテル210には例えば薬剤分注機構215が含まれることがある。カテーテル210には、近位端(図示せず。典型的にはカテーテル210の制御端側または制御端)及び遠位端220が含まれることがある。ここで用いられる近位及び遠位は、典型的にはカテーテル210の制御端または保持端に対しての相対的な表現であり、例えば近位は制御端または外部端により近い。制御端(例えば近位端)は、例えば医者または医療スタッフによってカテーテル210を保持及び操作するために用いられることがある。遠位端220は、挿入後に、遮断及び/または治療部位に近接して位置することがある。脈管遮断器具200には、1若しくは複数の膨脹自在のバルーン240が含まれることがあり、例えば拡張/収縮のための流通路225を経由して気体及び/または液体を例えば注入及び/または抽出することによって、膨脹自在のバルーン240が遠隔にて膨らまされ及び/またはすぼめられることがある。他の、または異なる流通路が用いられることもある。バルーン以外の他の適切な拡張または加圧要素が用いられることがある。脈管遮断器具200には、脈管を遮断するように伸張または拡張させられることがある伸張可能または拡張可能なカバーまたはキャップ状部250が含まれることがある。本明細書中で用いられている「キャップ状部」なる語は、例えば、遮断器具、シールド、プラグ、栓(ストッパ)、閉塞部、または他の器具または装置であって選択された管腔または脈管を部分的にまたは完全に栓をするか、遮断または閉塞するものが含まれることがある。キャップ状部250は、凹形または椀形状であることがあり、リム251を含むことがある。キャップ状部250は、例えば圧力が内部に供給されるときにリム251が脈管壁に向かって外側に伸張し得るように拡張可能であることがある。例えば、バルーン240は、膨らまされ、それによってキャップ状部250に圧力をかけて脈管205の壁に向かって伸張するようにすることがある。キャップ状部250は、シリコン、プラスチック、ゴム、金属または他の適切な材料または材料群の組合せから作られることがある。例えば、キャップ状部250は、脈管または管腔内で伸張、拡張、退縮、収縮し得る可動構造であることがある。2個以上のキャップ状部が用いられることがあり、例えば、幅細の端部と幅細の端部または幅広の端部と幅広の端部を接続して取り付けられたキャップ状部が用いられることがある。
【0023】
脈管遮断器具200には、選択された位置におけるキャップ状部250の安定化及び/または脈管遮断器具200の永久的または半永久的強化を可能にするように、例えば、ステンレス鋼、ゴム、メッシュまたは他の適切な材料から作られた底部260が含まれることがある。底部260は、キャップ状部250及び/またはバルーン240の一部に、例えば、接着剤、クリップ、溝または他の適切な結合機構により機械的に結合されることがある。底部260は、バルーン240、キャップ状部250を囲むことがあるか、代わりにキャップ状部250及び/またはバルーン240を適切に支持するように配されることがある。バルーン240は、キャップ状部250と底部260の間に配置されることがある。底部260及び/またはキャップ状部250は、バルーン240を部分的に囲繞することがある。脈管遮断器具200には、キャップ状部の内部の圧力を増加させてキャップ状部を脈管壁に向かって外向きに伸張させるためにキャップ状部250と底部260の間に配置される拡張要素(例えば、バルーン、ばね、ステント様の機構など)が含まれることがある。底部260は、キャップ状部形状であることもあり、例えば2つのキャップ状部が幅細の端部または幅広の端部のいずれかで接続されることがある。底部260は、例えば球状、楕円形、丸形または平らであることがあり、あるいは他の適切な幾何学的または非幾何学的形状を有することがあり、それによって脈管205におけるキャップ状部250及び/またはバルーン240の強化または安定化を可能にする。底部260は、例えばバルーン240の拡張及び/またはキャップ状部250の伸張によって、脈管205の壁に向かって外向きに伸張または拡張させられることがある。脈管遮断器具200は、挿入具(例えばカテーテル210)の遠位端220に位置することがあり、キャップ状部250は、キャップ状部に対してカテーテル210の遠位にあることがある。バルーン240は、キャップ状部250と底部260の間に配置されることがある。
【0024】
脈管遮断器具200はカテーテル210または別の挿入ユニットから断ち切られることがあり、脈管205の適所に脈管遮断器具200の必要な要素を残して、脈管遮断器具200の不要な要素及び/または脈管205からの他の要素は、カテーテル210と共に身体から取り除かれることがある。例えば、脈管の遮断がキャップ状部250及び/または底部260によって挿入または実現された後、ガイドワイヤ230、バルーン240及び/または他の不要な要素が、例えばカテーテル210を介して、脈管205から引き抜かれることがある。脈管遮断器具200は、脈管205の完全な遮断の維持を可能にすることがあるので、例えば、脈管205の或る部位において行われた治療が、キャップ状部250及び/または底部260によって画定される選択された領域で限局されることがあり、それによって、治療のための物質、塞栓、デブリ(壊死組織片)などが脈管205の上流部へ入ることを防止することがある。例えば、脈管205は、脈管遮断器具200によって部分的にまたは完全に遮断されることがあり、その一方で脈管205の少なくとも一部が例えば硬化療法及び/または結紮または他の治療法を用いて治療され、それによって、塞栓、デブリ、医薬品及び/または他の有害物質が脈管205を通って、例えば、脳、心臓または他の重要な臓器へ上流に向かって流れることを防止する。
【0025】
図3A及び図3Bを参照されたい。図3A及び図3Bは、本発明のいくつかの実施形態に基づく脈管遮断器具のアンカー機構の種類を概略的に示している。底部260には、1若しくは複数のアンカー機構310、例えば突起物、フック、または他の適切な形状または機構であって基層(substrate)320上に置かれるものが含まれることがある。アンカー機構310は、例えば医用ゴム、金属、または他の適切な材料であって当該分野で公知であるもの、または他の適切な材料群から作られることがある。アンカー機構310は、可変の形状及び装置構成を有することがあり、例えば、アンカー機構310は、真っ直ぐな突起物、ある角度に曲がった突起物、ねじれた突起物などのアレイとして形成されることがある。任意の適切な組合せにおいて、脈管壁205へのキャップ状部250の適切な固着を可能にするように、突起物の種類、形状、角度などの任意の適切な組合せが用いられることがある。アンカー機構310は、底部260が伸張させられるとき、より優れた柔軟性を可能にするように底部260上の単一の基層320または複数の別個の基層上に位置することがある。固着または保持のための他の構造または構成が用いられることがある。いくつかの実施形態において、特定のアンカー機構が用いられる必要はない。例えば、圧力または摩擦が固着のために用いられることがある。
【0026】
いくつかの実施形態において、アンカー機構310はキャップ状部250及び/または底部260に関連及び/または接続され、キャップ状部250及び底部260が個々に及び/または組み合わせて脈管205の壁に固着することを任意選択で可能にすることがある。
【0027】
図3Bを参照するとわかるように、キャップ状部250には、本発明のいくつかの実施形態に基づき、脈管205からの器具200の抜去を可能にするための抜去可能な機構または付着機構330、例えばフック形状の機構または他の適切な機構が含まれることがある。例えば、もし必要であれば、例えば、抜去可能な機構330で器具200上にフックで引っ掛けるかまたは別な方法で器具200と接続しかつ器具200を引き抜くように、カテーテル210または他の挿入機構に関連する引出しフックまたはワイヤなどを用いることによって、器具200が脈管205から引き抜かれることがある。バルーン240は、器具200を引き抜く前に拡張させられることがあり、任意選択でカテーテル210を経由して引き抜かれることがある。更に、脈管中の血液の流れに逆らって器具200を逆に引き抜くことにより、アンカー機構310の係合解除を比較的容易に可能にすることがある。というのも、引き抜く方向は、アンカー機構310の係合の反対方向であることがあるからである。
【0028】
ここで、図3Cを参照されたい。ここでは、本発明のいくつかの実施形態に基づき、網目状またはステント様の機構340がキャップ状部250及び/または底部260の少なくとも一部を囲むことがある。ステント様の機構340は、バルーン240及び/またはキャップ状部250によって拡張させられ、任意選択で脈管遮断器具200を支えることがある。ステント様の機構340には、ステント様の機構340が十分に拡張させられとき、脈管の壁に脈管遮断器具200を固着するための1若しくは複数のアンカー機構310が含まれることがある。ステント様の機構340は、金属または他の適切な材料から作られることがある。ステント様の機構340は、キャップ状部250及び/または底部260に接着剤または別な方法で結合または接続されることがある。
【0029】
ここで、図3Dを参照されたい。図3Dは、脈管遮断器具200に結合または別な方法で接続されることがあるコイル様の機構350を示す。コイル様の機構350は、本発明のいくつかの実施形態に基づき、キャップ状部250及び/または底部260の少なくとも一部を囲むことがある。コイル様の機構350は、例えばバルーン240、キャップ状部250及び/または底部260によって拡張させられることがあり、任意選択で、脈管遮断器具200を支える。図3Eを参照するとわかるように、コイル様の機構350には、ステント様の機構340が十分に拡張させられるとき脈管遮断器具200を脈管の壁に固着するための1若しくは複数のアンカー機構310が含まれることがある。ステント様の機構340は、金属または他の適切な材料から作られることがある。
【0030】
ここで、図4を参照されたい。図4は、本発明のいくつかの実施形態に基づき、基層400上にあるアンカー機構の例4(A)ないし4(E)を示す。図4(A)は、基層400から延在する真っ直ぐな突起物を示す。図4(B)は、基層400から延在するX形突起物を示す。図4(C)は、基層400から外向きに延在するフック様の突起物を示す。図4(D)は、例えば十字固着を可能にする、基層400から種々の角度をなして延在する曲がった突起物を示す。図4(E)は、基層400上で互いに「連結」された複数の突起物を示す。突起物、フック、ピンまたは他の適切な結合要素を用いて他のアンカー機構が用いられることもある。アンカー機構は、他の適切な装置構成で、または装置構成を任意に組み合わせて配されることがある。アンカー機構は、金属、プラスチックまたは他の適切な材料群から作られることがある。
【0031】
ここで、図5Aを参照されたい。図5Aは、本発明のいくつかの実施形態に基づき脈管遮断器具200を示す。脈管遮断器具200には、例えばキャップ状部250のそれぞれ近位側及び遠位側にある2つのバルーンまたは対をなすバルーン(例えば560及び570)が含まれることがある。例えば、バルーンの組の両方を膨らませた後、カテーテル210から気体及び/または液体が放出されることがある。気体及び/または液体の放出は、バルーン560とバルーン570の間に低圧力または比較的低圧力領域または真空の形成を生じさせることがある。圧力は、例えば周囲の組織、または脈管の近くの部位における血圧に比べて低いことがある。真空は、例えばアンカー機構310が自身を脈管205の壁555に固着するまで、脈管205の壁555を内方へ、例えばキャップ状部250及び/または底部260に向かって、吸い込まれるようにさせることがある。キャップ状部250及び/または底部260の壁555への固着が完了した後、バルーンは、すぼめられることがあり、カテーテル210は、脈管205にキャップ状部250及び/または底部260の必要な要素を残して、脈管遮断器具200の他の不要な要素と共に引き抜かれることがある。任意の数または種類のバルーンが、任意の組合せで用いられることがある。
【0032】
ここで、図5Bを参照されたい。図5Bは、フック型のアンカー機構580を用いて脈管205の壁555に固着されている脈管遮断器具200を示す。図5Aに関連して説明したように、脈管205の領域に低圧力または比較的低圧力領域または真空が作られることがあり、従って、脈管壁をフック580に係合するまで内方へ押し付けられるようにする。キャップ状部250及び/または底部260の壁555への固着が完了した後、バルーンはすぼめられることがあり、カテーテルは脈管205にキャップ状部及び/または底部260を残して引き抜かれることがある。上記過程の任意の組合せが実現され得る。他の過程が用いられることもある。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態に基づき、脈管を虚脱させ得るような内部圧力を発生させ、それによって脈管を持続的に遮断するために複数のバルーンが用いられることがある。複数の脈管の各々は、個々にまたは集団で制御されることがある。例えば、バルーンは、脈管の内部圧力の制御、脈管壁への脈管遮断器具200の固着及び固着解除、または他の適切な機能を可能にするように膨らまされかつすぼめられることがある。
【0034】
ここで、図5Cを参照されたい。図5Cは、本発明の一実施形態に基づき脈管を遮断する方法のフローチャートである。ブロック50においては、脈管遮断器具(例えば図2の器具200またはここに開示されている他の実施形態)が、脈管遮断器具200の要素が収縮または折り畳まれた状態にあるようにして、例えばカテーテル(例えば図2の210)内から、挿入具によって脈管(例えば図2の205)に挿入されることがある。他の適切な器具が用いられることもある。例えば、遮断器具200は、表在性脈管または別の脈管が遮断及び/または治療されることになる脈管の結合部(例えば図1の106)に挿入されることがある。ブロック51においては、1若しくは複数のバルーン(例えば図2のバルーン240)または他の拡張可能な器具は、拡張させられ(例えば膨らまされ)、それによって遮断器具のキャップ状部及び/または底部(例えば図2の遮断器具200のキャップ状部250及び/または底部260)を脈管壁に向かって拡張させることがある。他の実施形態において、例えば、少なくとも1つのバルーンの拡張は、脈管遮断器具のアンカー機構(例えば図5Aの遮断器具200のアンカー機構310)に係合するまで脈管壁が内方へ押し付けられるようにし得る脈管の領域において真空または低圧力領域を作ることがある。ブロック52においては、キャップ状部250及び/または底部260は、脈管壁への脈管遮断器具200の固着を可能にするように脈管壁に穴をあけ、衝突し、圧迫するまで拡張させられ続けることがある。ブロック53においては、脈管205の少なくとも一部に、例えば、硬化療法、結紮及び/または他の適切な治療法または手技などの治療が施されることがある。ブロック54においては、脈管遮断器具(例えば図2の器具200)はカテーテル(例えば図2のカテーテル210)から切断されることがあり、脈管205の適所に脈管遮断器具200の必要な要素を残して、脈管遮断器具200の不要な要素及び/または脈管205内からの他の要素は、カテーテル210と共に患者から取り除かれることがある。上記過程の任意の組合せが実現されることがある。他の過程が用いられることもある。
【0035】
ここで、図6Aを参照されたい。図6Aは、本発明のいくつかの実施形態に基づく脈管遮断器具の概略図である。脈管遮断器具は、圧潰可能(collapsible)または可逆の器具であることがあり、例えばこれは形状を変えたり以前の形状に戻したりすることが可能である。圧潰可能プラグまたは遮断器具600は、ステンレス鋼、ニチノール、生分解性ポリプロピレン、プラスチック材料であって血管内で使用されるもの、または他の適切な材料群から作られることがあり、送達カプセル、カテーテルまたは代替の送達器具内、例えばカテーテルのガイドワイヤまたはガイドバルーン内などから、圧潰されたかまたは折り畳まれた状態で送達されることがある。プラグ600は、脈管605(例えば静脈瘤)内にぴたりと嵌まるように、そして標的位置で脈管壁間に実質的に収容されるように、任意の適切な形状に拡張可能であることがある。例えば、拡張した形のプラグ600は、輪状、卵円形、8の字形状(例えば図6B)または別の適切な形状を有することがある。プラグ600には、ステント術の分野で既知であるような相互接続された構造または網目状構造が含まれることがある。他の適切な構造が用いられることもある。プラグ600には、プラグ600を脈管605の壁に係合、制動、ファスニング、抵抗または別な方法で係止することを可能にするように、クラスプ、ファスナー、フック610または他の適切な係止または制動要素が含まれることがある。フック610は、複数の方向及び位置でプラグ600を脈管605の壁に係止できるように複数の方向に方向付けられるように構成されることがある。例えば、フックは、ベルクロ(登録商標)または他の適切なファスニングテープなどの、例えば、微小なフックがある面を有する細長いナイロン片及びフックが引っ掛かるリング状パイルがある面を有する対応する細長いナイロン片からなるもので構成されることがある。一実施形態において、フック610は、脈管605の左壁620及び右壁625(左及び右は相対的なもので、視点を示すために用いられている)に面するように方向付けられることがあり、従って、プラグ600のすぐ近傍にある脈管605に外部から圧力が加えられるとき、フック610は、脈管の左壁620及び右壁625の両方及び/または天井及び床の両方と係合し、それによって脈管壁を(任意選択でプラグ600付近で)一体に融合させることがある。フックは、他の方向に、1若しくは複数の位置で脈管605へのプラグ600のシーリングを可能にするように構成されることがある。
【0036】
図6Bを参照するとわかるように、脈管の標的領域、例えば分岐静脈における選択された結合部は、記憶材料、例えばニチノールまたは他の適切な材料から作られたプラグ660を含み得る脈管遮断器具によって遮断されることがある。記憶プラグ660は、送達カプセル、カテーテルまたは代替の送達器具内、例えばカテーテルのガイドワイヤまたはガイドバルーン内などから、圧潰されたかまたは折り畳まれた状態で送達されることがある。記憶プラグ660は、選択された領域への送達の後で拡張させられることがあり、従って、プラグは脈管675の壁に係合することがある。記憶プラグ660には、プラグ660を脈管壁675に係合、制動、または別な方法で係止することを可能にするようにフック670または他の適切な係止または制動要素が含まれることがある。フック670は、プラグ660を脈管675の壁に係止できるように1若しくは複数の方向に方向付けられるように構成されることがある。脈管壁の係合時に、記憶プラグ660は、所定の形状、例えば、プラグ660付近で脈管壁が遮断、融合または密閉されることを可能にする平らな形状に戻ることがある。例えば、プラグ660のすぐ近傍にある脈管675に外部から圧力を加えることによって、フック670は、脈管壁675に係合することがあり、プラグ660付近で脈管壁を一体に融合させかつ/または接続することがある。例えば、医者または医療スタッフは、プラグ660の位置に近接する身体の外側を押すことがあり、プラグ660を平らにしかつ/または圧潰することがある。
【0037】
プラグ660は、治療部位(例えば大腿静脈接合部領域)における被包化を増進することがありかつ再疎通を防止することがあるような一定期間経過後に体内で溶解し得る吸収性及び/または溶解可能な材料から作られることがある。
【0038】
図6Cを参照するとわかるように、圧潰された状態、折り畳まれた状態または加圧状態にあるプラグ600は、静脈605の壁を永久に結び合わせることがあり、任意選択で、プラグ600に融合されることによって壁を結合し、それによって、治療が施され得る密閉区域または領域を提供する。プラグ600が脈管の好適な位置に適所に置かれるとき、プラグ600に外部圧力が加えられることがあり、例えばフックまたは他のアンカー機構によってプラグ600に向かって脈管壁を係合及び/または圧潰する結果になることがある。このことは、脈管の遮断または閉塞を可能にすることがある。プラグ600は、自力で拡張可能、圧潰可能であることがあるか、形状記憶物質であることがあるか、脈管において密閉区域の形成を可能にするように他の適切な形状及び/またはデザインを有することがある。
【0039】
ここで、図6Dを参照されたい。図6Dは、本発明の一実施形態に基づき圧潰可能プラグまたは遮断器具を用いて脈管を遮断する方法のフローチャートである。ブロック60においては、圧潰された、最小化された、または収縮した形のプラグは、例えば送達カテーテルを用いて、そして任意選択で、選択された位置を判定するために超音波走査を用いて、選択された位置へ送達されることがある。ブロック61においては、プラグは、例えばバルーンまたは他の適切な機構を用いて拡張させられることがある。ブロック62においては、脈管壁への係止機構の係合を許容するように、選択された位置に近接している領域で脈管に外部から圧力が加えられることがある。ブロック63においては、フックまたは他の係止機構は、脈管壁を(任意選択で、プラグ付近で)一体に融合させることによって脈管壁に係合することがある。例えば、係止機構は、遮断プラグを脈管壁に固着及び/または接続することがあり、外部圧力は、プラグの形状を変えることがあり、かつ脈管を閉塞することがある。ブロック64においては、外部圧力は放出されることがある。ブロック65においては、脈管の選択された位置で密閉または遮断を行うように、プラグが、永久に潰されることがある。ブロック66においては、例えば超音波走査または他の検証法を用いて、脈管遮断が検証されることがある。ブロック67においては、治療部位に治療が施されることがあるが、治療部位はプラグのポジショニングによって画定されることがある。他の過程が用いられることもあり、一定の過程が省略されることがある。
【0040】
選択された脈管または結合部がひとたび遮断されると、遮断の脈管上流が治療され得る。例えば図2の器具200及び/または他の適切な器具を用いて、塞栓による損傷のリスクを著しく制限しながら、そして任意選択で周囲の組織に負わせる外傷を最小にしながら、セグメントを結紮することがある。追加的にまたは代替的に、例えば送薬カテーテルを用いて、結紮より遠位のセグメントに硬化薬が送達されることがある。薬の送達は、ゼロ圧力を発生させるようにカテーテル210を介して血液を吸引しながら行われることがある。ゼロ圧力は、硬化薬が他の脈管に入り込むことを防止することがある。そのような硬化薬または他の適切な薬剤は、器具200の遠位端220で、または他の適切な位置で分散されることがある。他の過程が用いられることもある。
【0041】
ここで、図7Aを参照されたい。図7Aは、本発明の一実施形態に基づく圧力制御機構の概略図である。脈管205中へのプラグまたは遮断器具760の挿入後、遮断器具760とカテーテル710の遠位端の間に治療部位720が存在することがある。脈管中への硬化薬または他の適切な薬剤の送達は、治療部位720内の圧力を上昇させることがある。カテーテル710のポート751から挿入されることがありかつカテーテル710の遠位端755に届くことがあるような小径カテーテル730または他の適切な器具を介して、硬化薬または他の適切な薬剤が治療部位720中へ送達される。圧力の上昇は、例えば、硬化薬が静脈または他の望まれていない位置の支流に入り込み、それによって患者の血流へ入ることを可能にすることがある。内部静脈圧力は、静脈から内容物を選択的に取り除くように吸引装置を用いて制御されることがある。例えば、吸引装置またはポート750は、例えば、シリンジ、吸引ポンプ、バルーン装置、または他の適切な装置であって、治療部位720において圧力を低下させるためにカテーテル710の遠位端755付近から内容物(例えば血液)を引き出すかまたは送り出すために用いられるものであることがある。一実施形態において、吸引装置750は、注入されているのと同様の量の内容物を取り除き、それによって治療部位720における圧力を維持するために、例えばポート751及びインナーカテーテル730を介しての硬化薬の送達と同調的に操作されることがある。他の実施形態において、吸引750は、治療部位720において最小、低、またはゼロ圧力を維持し、治療部位720を外れて硬化薬が血流中に迷入することを減らすために用いられることがある。さらに、他の過程が用いられることもある。
【0042】
ここで、図7Bを参照されたい。図7Bは、本発明の一実施形態に基づき脈管を遮断し、脈管への治療を施す方法を説明するフローチャートである。ブロック70においては、圧潰された形のプラグまたは遮断器具は、例えば送達カテーテルを用いて、選択された位置へ送達されることがある。選択された位置を判定し、選択された位置へのプラグの送達をモニタするために超音波走査が用いられることがある。ブロック71においては、プラグまたは遮断器具は、圧潰された形に抑制された、例えば半径方向力によって、バルーンまたは他の適切な機構を用いて、利用可能な状態にされて(例えば拡張されて)、選択された脈管(上記に詳述したようなもの)を遮断することがある。ブロック72においては、治療部位に治療が施されることがあるが、治療部位はプラグのポジショニングによって画定されることがある。例えば、選択された脈管を閉鎖するために硬化薬または他の薬剤が投薬されることがあり、例えば、硬化薬がカテーテルを介して遮断された領域に挿入されることがある。ブロック73においては、吸引装置(例えば図7Aの吸引装置750)は、例えば図7Aのカテーテル710の遠位端755に隣接して内容物を、例えば血管から血液を、吸引することができる。吸引は、例えば治療部位内の圧力の制御を可能にすることがある。例えば、吸引装置(例えば図7Aの吸引装置750)は、注入されているのと同様の量の内容物を取り除き、それによって治療部位(例えば図7Aの治療部位720)における圧力を維持するために、硬化薬の送達と同調的に操作されることがある。他の実施形態において、圧力の低下(例えば吸引)は、治療部位において最小、低、またはゼロ圧力を維持し、治療部位を外れて硬化薬が血流中に迷入することを減らすために用いられることがある。ブロック74においては、脈管中に残すつもりがないカテーテル及び種々の構成品が脈管から引き出されることがある。プラグは、硬化薬と共に脈管中に残されて、不要な脈管を破壊するかまたは閉じ、脈管を封鎖して、硬化薬が脈管を通って血流中に流れ込むことができないようにすることがある。さらに、他の過程が用いられることもある。
【0043】
ここで、図7Cを参照されたい。図7Cは、本発明のいくつかの実施形態に基づく減圧装置の概略図である。脈管中への硬化薬または他の適切な薬剤の送達は、治療部位(例えば図7Aの治療部位720)内の圧力を上昇させることがある。圧力の上昇は、例えば、硬化薬が静脈または他の望まれていない位置の支流に入り込み、それによって患者の血流へ入ることを可能にすることがある。減圧装置770(例えば1若しくは複数の拡張可能/折たたみバルーン775を含むことがある)を用いて、静脈/脈管702から内容物(例えば血液)を押し動かしかつ/または取り出し、治療部位720における圧力を低下させることがある。例えば、バルーンは、脈管702からカテーテル710を引き抜くことによって脈管から引き出されることがある。一実施形態において、減圧装置770は、注入されているのと同様の量の内容物を取り除き、それによって治療部位720における圧力を維持するために、硬化薬の送達と同調的に操作されることがある。他の実施形態において、減圧装置770は、治療部位720において最小、低、またはゼロ圧力を維持し、治療部位720を外れて硬化薬が血流中に迷入することを減らすために用いられることがある。
【0044】
図8を参照されたい。図8は、本発明の一実施形態に基づき腔内脈管閉塞ステントまたは遮断器具800の断面図を概略的に示している。閉塞ステント800は、例えば治療を必要とする標的脈管805に挿入されることがあるが、そのような標的脈管805は、例えば、伏在静脈、分岐を伴う脈管または閉塞された血液セグメントであって遮断されるか及び/または別な方法で治療されることになるもの、または深部静脈843と伏在静脈805の間の大腿静脈接合部領域845である。他の適切な領域が治療されることもある。標的脈管805は、例えば伏在静脈が複数の貫通静脈842によって深部静脈に接続されるように、別の脈管に接続されることがある。閉塞ステント800のそのような挿入は、例えば挿入具(例えばカテーテル810)を用いて実現されることがあり、そのような挿入具にはガイドワイヤ830が含まれることがあり、選択された位置に閉塞ステント800を誘導するのに役立つ。閉塞ステント800は、小さくまとめられたか、潰されたか、または最小化された形または形状で、カテーテル810を介して脈管805に挿入されることがある。カテーテル810が治療部位に位置決めされた後、閉塞ステント800はカテーテル810のプッシャまたは追加のカテーテル835によって血管中に留置されることがある。追加のカテーテル835は、カテーテル810に比べて細い管腔カテーテルであることがあり、カテーテル810の内腔(図示せず)内に挿入されることがある。閉塞ステント800がカテーテル810の外にあるとき、閉塞ステント800は、脈管壁に向かって拡張することがあり、形状を変えることがある。他の挿入具及び挿入方法が用いられることもある。
【0045】
カテーテル835には、標的領域への医薬品、薬物または薬剤(ここでは硬化薬と呼ばれる)の送達を可能にするために例えば薬剤分注機構825が含まれることがある。カテーテル810には、遮断領域に近接して位置することがある遠位端820が含まれることがある。脈管閉塞ステントまたは遮断器具800は、脈管805(例えば静脈瘤)内にぴたりと嵌まるように、そして標的位置で脈管壁間に実質的に収容されるように、砂時計形状、即ち典型的には一方の幅細の端部と他方の幅細の端部とで接続または取着される2つの円錐形状805及び806または他の凹形、椀形または半球形状の器具に拡張可能であることがある。他の形状が用いられることもある。例えば、拡張された形の脈管閉塞ステント800は2つの円錐の形状を有することがあり、ここで、上方の円錐は血液が治療部位833に浸透することを防止することがあり、下方の円錐は硬化薬が治療部位833を外れて血流中に入ることを防止することがある。上方及び下方は、本明細書中で用いられるときには相対的な条件であり、下方は一般的に挿入具の挿入点に近接していることを意味する。脈管閉塞ステント800には、ステント術の分野で既知であるような相互接続された構造または網目状構造が含まれることがある。他の適切な構造が用いられることもある。脈管閉塞ステント800は、ステンレス鋼、グラフト、薄膜(フィルム)、ニチノール、生分解性ポリプロピレン、プラスチック材料であって血管内で使用されるもの、または他の適切な材料群から作られることがある。脈管閉塞ステント800は、一定期間経過後に体内で溶けることができる吸収性及び/または溶解可能な材料から作られることがあり、治療部位(例えば大腿静脈接合部領域845)における被包化を増進することがあり、再疎通を防止することがある。脈管閉塞ステント800は、送達カプセルまたは代替の送達器具内、例えばカテーテルのガイドワイヤまたはガイドバルーン内から、潰れた状態で送達されることがある。
【0046】
脈管閉塞ステント800には、脈管閉塞ステント800を脈管壁805に係合、制動、ファスニング、抵抗または別な方法で係止することを可能にするべく、クラスプ、ファスナー、フック811及び/または812または他の適切な係止または制動要素が含まれることがある。フック811及び/または812は、複数の方向及び位置で脈管閉塞ステント800を脈管805の壁に係止できるように複数の方向に方向付けられるように構成されることがある。例えば、フック、ベルクロ(登録商標)または他の適切なファスニングテープなどの、例えば、微小なフックがある面を有する細長いナイロン片及びフックが引っ掛かるリング状パイルがある面を有する対応する細長いナイロン片からなるもので構成されることがある。フックは、他の方向に、1若しくは複数の位置で脈管805への脈管閉塞ステント800のシーリングを可能にするように構成されることがある。他のファスニングまたは固定方法が用いられることもある。
【0047】
脈管閉塞ステント800には、絹糸またはワイヤ840、例えば、吸収性かつ一定期間経過後に体内で溶けることができる医用縫合糸タイプのものが含まれることがある。例えば、縫合糸は生体適合性材料で作られることがある。ワイヤ840は、閉塞物質(occluding agent)、例えば、フィブリン、硬化剤または他の適切な閉塞材料で被覆されることがある。ワイヤ840は、脈管閉塞ステント800の下方の円錐806または脈管閉塞ステント800の他の点に接続されることがあり、カテーテル810のプッシャまたはカテーテル835をカテーテル810から引っ張りながらカテーテル810のポート816から出てくることがあるかまたは解放されることがある。ワイヤ840は、選択された位置に器具800を誘導しかつ通すために用いられることがある。ワイヤ840は、フック留め機構811及び/または812が脈管壁805に係合されるまで脈管805内での脈管閉塞ステント800の移動または動きを阻止するために用いられることがある。その上、ワイヤ840は、緊急の場合に脈管805から脈管閉塞ステント800を引き出すために用いられることもある。
【0048】
脈管805に脈管閉塞ステント800を挿入後、治療部位833は、閉塞ステント800とカテーテル810の遠位端820の間にあることがある。カテーテル810及び/またはカテーテル835を引き出しながら脈管中へ硬化薬または他の適切な薬剤を送達すると、治療部位833内の圧力を上昇させることがある。ポート825から挿入されることがありかつカテーテル810の遠位端820及び治療部位833に到達し得るカテーテル835または他の適切な器具を介して、硬化薬または他の適切な薬剤が治療部位833に送達されることがある。圧力の上昇は、例えば、硬化薬が静脈または他の望まれていない位置の支流に入り込み、それによって例えば貫通静脈842を経由して患者の血流へ入ることを可能にすることがある。内部静脈圧力は、静脈から内容物を選択的に取り除くように吸引装置を用いて制御されることがある。例えば、吸引装置またはポート815は、例えば、シリンジ、吸引ポンプ、バルーン装置、または他の適切な装置であって、治療部位833において圧力を低下させるためにカテーテル810の遠位端820付近から内容物(例えば血液)を引き出すかまたは送り出すために用いられるものであることがある。一実施形態において、吸引装置815は、注入されているのと同様の量の内容物を取り除き、それによって治療部位833における圧力を維持するために、例えばポート815及びインナーカテーテル835を介しての硬化薬の送達と同調的に操作されることがある。他の実施形態において、治療部位の圧力の制御には、治療部位における圧力の低下が含まれることがあり、例えば、吸引815は、治療部位833において最小、低、またはゼロ圧力を維持し、治療部位833を外れて硬化薬が血流中に迷入することを減らすために用いられることがある。さらに、他の過程が用いられることもある。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態に基づき、脈管(例えば図2の脈管205)からカテーテル(例えば図2のカテーテル210)または他の注入器具を引き抜いた後、カテーテルガイドワイヤ(例えば図2のガイドワイヤ230)を抜き去ることによって孔が残されることがある。そのような孔、間隙または開口などは、キャップ状部(例えば図2のキャップ状部250)が脈管205を封止することを可能にするように、例えばプラグまたは他の適切な遮断要素を用いて、部分的にまたは完全に遮断されることがある。
【0050】
上記した本発明のいくつかの実施形態は、脈管結紮のために構成された腔内器具を参照していることがあるが、本発明の他の実施形態に基づく腔内器具が、例えば、細くしたか、弱めたか、歪めたか、または別な方法で変形させた構造を有し得るような脈管系、胆管系、尿生殖器系、胃腸管系、神経系及び呼吸器系における他の分岐を伴う管腔、動脈または脈管の結紮のために構成され得ることは当業者に理解されよう。他の管腔が遮断されることもある。
【0051】
本発明の実施形態の前述の説明は、例証及び説明のために提示されている。余すところなく説明しているものではなく、あるいは開示されている正確な形に本発明を限定するものではない。上記の教示に照らして多くの改変、変型、転換、変更、及び均等が可能であることは当業者に理解されよう。従って、本発明の真の精神の範囲内にあるような特許請求の範囲は全てのそのような改変及び変更を包含することを目的としていることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に基づく分岐を伴う脈管中の脈管閉鎖器具の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に基づく脈管遮断器具のカテーテル送達の概略図である。
【図3A】本発明のいくつかの実施形態に基づく異なる種類のアンカー機構を有する脈管遮断器具の概略図である。
【図3B】本発明のいくつかの実施形態に基づく異なる種類のアンカー機構を有する脈管遮断器具の概略図である。
【図3C】本発明のいくつかの実施形態に基づく異なる種類のアンカー機構を有する脈管遮断器具の概略図である。
【図3D】本発明のいくつかの実施形態に基づく異なる種類のアンカー機構を有する脈管遮断器具の概略図である。
【図3E】本発明のいくつかの実施形態に基づく異なる種類のアンカー機構を有する脈管遮断器具の概略図である。
【図4】図4は(A)ないし(E)からなり、本発明のいくつかの実施形態に基づくそれぞれの基層上のアンカー機構の概略図である。
【図5A】本発明の一実施形態に基づき内部の真空を用いたそれぞれの脈管遮断器具の脈管壁中への固着を示す概略図である。
【図5B】本発明の一実施形態に基づき内部の真空を用いたそれぞれの脈管遮断器具の脈管壁中への固着を示す概略図である。
【図5C】本発明の一実施形態に基づき脈管を遮断する方法を説明するフローチャートである。
【図6A】本発明のいくつかの実施形態に基づき脈管遮断器具の脈管壁中への固着を示す概略図である。
【図6B】本発明のいくつかの実施形態に基づき脈管遮断器具の脈管壁中への固着を示す概略図である。
【図6C】本発明のいくつかの実施形態に基づき脈管遮断器具の脈管壁中への固着を示す概略図である。
【図6D】本発明の別の実施形態に基づき脈管を遮断する方法を説明するフローチャートである。
【図7A】本発明の一実施形態に基づき脈管遮断器具の脈管壁への固着を示す概略図である。
【図7B】本発明の一実施形態に基づき脈管を遮断する方法を説明するフローチャートである。
【図7C】本発明の一実施形態に基づき脈管遮断器具の脈管壁への固着を示す概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に基づく腔内脈管閉塞ステントまたは遮断器具800の断面図の概略図である。 図の簡素化及び明確化のため、図面に示されている要素は必ずしも正しいスケールで描かれているとは限らないことは理解されよう。例えば、要素のいくつかの寸法は明確化のために他の要素に対して誇張されていることがある。さらに、適切であると考えられるときには、一連の図面を通じて対応するまたは類似の要素を示すために複数の図面間で符号が繰り返されることがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管遮断器具であって、
脈管を遮断するための拡張可能なキャップ状部と、
脈管において前記キャップ状部を安定化するための底部とを含むことを特徴とする器具。
【請求項2】
前記キャップ状部と前記底部との間に配置された拡張要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記キャップ状部と前記底部との間に配置された膨脹自在のバルーンを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記キャップ状部が、前記バルーンを部分的に囲繞することを特徴とする請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記底部が、前記バルーンを部分的に囲繞することを特徴とする請求項3に記載の器具。
【請求項6】
前記遮断器具が挿入具の遠位端に位置し、前記キャップ状部が前記キャップ状部に対して前記挿入具の遠位にあり、前記バルーンが前記キャップ状部と前記底部の間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の器具。
【請求項7】
前記キャップ状部が凹形であり、前記キャップ状部のリムが脈管壁に向かって外向きに伸張することができるように前記キャップ状部が拡張可能であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記底部が、脈管壁に向かって外向きに拡張可能であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記キャップ状部の内部の圧力の増加が、前記キャップ状部を前記脈管壁に向かって外向きに拡張させることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記圧力が、バルーン拡張によって供給されることを特徴とする請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記キャップ状部に蓄えられた圧力が、前記キャップ状部を前記脈管壁に向かって外向きに拡張させることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記圧力が、ステント様の機構によって供給されることを特徴とする請求項11に記載の器具。
【請求項13】
前記圧力が、コイル様の機構によって供給されることを特徴とする請求項11に記載の器具。
【請求項14】
前記底部が、前記キャップ状部を脈管壁に固着するためのアンカー機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前記アンカー機構が、突起物を含むことを特徴とする請求項14に記載の器具。
【請求項16】
前記アンカー機構が、フックを含むことを特徴とする請求項14に記載の器具。
【請求項17】
前記遮断器具を脈管から引き抜くための抜去可能な機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項18】
吸収性ワイヤを含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項19】
前記吸収性ワイヤが、閉塞物質で被覆されていることを特徴とする請求項18に記載の器具。
【請求項20】
カテーテル器具を含むことを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項21】
ガイドワイヤを含むことを特徴とする請求項20に記載のカテーテル器具。
【請求項22】
薬剤分注機構を含むことを特徴とする請求項20に記載のカテーテル器具。
【請求項23】
前記バルーンを遠隔にて膨らませ、すぼませるための流通路を含むことを特徴とする請求項20に記載のカテーテル器具。
【請求項24】
前記底部が、キャップ状部形状であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項25】
脈管遮断器具であって、
一方の幅細の端部と他方の幅細の端部とで接続された2つの凹形遮断器具と、
アンカー機構とを含むことを特徴とする器具。
【請求項26】
前記脈管遮断器具が、折り畳み可能であることを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項27】
前記脈管遮断器具が、砂時計形状を有することを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項28】
前記凹形遮断器具が各々リムを含み、前記リムが脈管に向かって拡張可能であることを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項29】
遮断器具を脈管に向けて拡張させるための拡張要素を含むことを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項30】
前記拡張可能な脈管遮断器具を脈管から引き抜くための抜去可能な機構を含むことを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項31】
吸収性ワイヤを含むことを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項32】
前記吸収性ワイヤが、閉塞物質で被覆されていることを特徴とする請求項31に記載の器具。
【請求項33】
前記アンカー機構が、突起物を含むことを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項34】
前記アンカー機構が、フックを含むことを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項35】
カテーテル器具を含むことを特徴とする請求項25に記載の器具。
【請求項36】
ガイドワイヤを含むことを特徴とする請求項35に記載のカテーテル器具。
【請求項37】
薬剤分注機構を含むことを特徴とする請求項35に記載のカテーテル器具。
【請求項38】
インナーカテーテル器具を含むことを特徴とする請求項35に記載のカテーテル器具。
【請求項39】
治療方法であって、
遮断器具を標的脈管に挿入する過程と、
前記遮断器具を利用可能な状態にして治療部位を遮断する過程と、
前記治療部位における圧力を制御しながら前記治療部位へ閉塞物質を送達する過程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
遮断器具を挿入する前記過程が、挿入具を使用する過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記挿入具が、カテーテルであることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記挿入具が、カプセルであることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記遮断器具を利用可能な状態にする前記過程が、前記遮断器具を脈管壁にぴたりと嵌まるように拡張させる過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記遮断器具を利用可能な状態にする前記過程が、前記遮断器具を脈管壁に固定する過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記遮断器具を利用可能な状態にする前記過程が、前記遮断器具を脈管壁に係合させるために当該脈管壁に外部圧力を加える過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記遮断器具を利用可能な状態にする前記過程が、吸収性ワイヤを用いて前記遮断器具を選択された位置に誘導及び保持する過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記挿入具を用いて前記脈管から不要な要素を切断及び除去する過程を含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記閉塞物質が、硬化薬であることを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項49】
カテーテルを用いて閉塞物質を送達する過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記治療部位からの内容物の吸引を利用して前記治療部位における圧力を制御する過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記治療部位における圧力の低下によって前記治療部位における圧力を制御する過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項52】
前記治療部位からの内容物の吸引が、吸引器具を用いて行われることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記吸引器具が、ポンプであることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記吸引器具が、バルーンであることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記吸引器具が、シリンジであることを特徴とする請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記治療部位に薬剤を送達しつつ、前記治療部位からの内容物の吸引を利用して前記治療部位における圧力を制御する過程を含むことを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記治療部位における圧力を制御する過程が、前記治療部位におけいて圧力を維持する過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項58】
前記治療部位においてゼロ圧力を維持する過程を含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記治療部位における圧力を制御する過程が、前記治療部位を外れて硬化薬が血流中に迷入することを減らす過程を含むことを特徴とする請求項57に記載の方法。
【請求項60】
一方の幅細の端部と他方の幅細の端部とで接続された2つのキャップ状部を遮断器具として用いる過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項61】
拡張可能な輪状の遮断器具を用いる過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項62】
拡張可能な8の字形状の遮断器具を用いる過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項63】
拡張可能な卵円形状の遮断器具を用いる過程を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−508079(P2008−508079A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524899(P2007−524899)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/027351
【国際公開番号】WO2006/017470
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(507034975)
【氏名又は名称原語表記】MERKECHTEN EN PATENTEN NEDERLAND B.V. (M.P.N.)
【住所又は居所原語表記】Papenburgerstraat 109, NL−1011 YL Amsterdam (NL)
【Fターム(参考)】