説明

脱硫装置及び燃料電池システム

【課題】配管の接続部からのガス漏れが発生し難い信頼性の高い脱硫装置を提供する。
【解決手段】この脱硫装置では、形状が異なる配管接続口を両端に有するとともに、内部に硫黄除去触媒を有する中空円筒状の2本の脱硫筒5a、5bを一方が逆向きになるように平行に配置し、U字形状の金属配管23により直列に接続するとともに、2本の脱硫筒5a、5bの外周には各々にバンド22a、22bが巻かれており、バンド22a、22bを環状の連結部材21と連結することにより、脱硫筒5a、5bが一体化される構成とした。これによって、金属配管23と接続する脱硫筒5a、5bの配管接続口7b、7cの配置を金属配管23の寸法に合わせて微調整を行うことができ、脱硫筒の配管接続口と金属配管の中心位置を合わせることができる。例えばOリングで流体を密閉する場合においてもシール性について高い信頼性を確保することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭や事業所などの敷地に設置する定置用コージェネレーションシステムに使用される脱硫装置及び上記脱硫装置を備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池発電システムは、発電部の本体である燃料電池スタック(以下、「燃料電池」という)に、水素含有ガスと酸素含有ガスとを供給し、水素と酸素との電気化学反応により発生させた化学的なエネルギーを、電気的なエネルギーとして利用して発電するシステムである。また、燃料電池発電システムは、高効率に発電することができ、さらに発電運転の際に発生する熱エネルギーを簡単に取り出して利用することができるので、高いエネルギー利用効率を実現する分散型の発電システムとして、開発が進められている。
【0003】
燃料電池発電システムにおいて必要な燃料となる水素ガスは、既存のインフラ(infrastructure)としては未だ整備されていない。そこで、例えば、都市ガス、プロパンガス等の既存インフラから供給される原料を利用し、水素含有ガスを生成させる水素生成装置を、その発電システムに併設する必要がある。
【0004】
既存のインフラから供給される都市ガスやプロパンガスには、通常、メチルメルカプタンやジメチルスルフィド等の硫黄化合物に代表される付臭成分が、概ね数ppm程度の体積濃度で添加されている。これは、インフララインの配管等からのガス漏れを検知するためである。しかし、付臭成分として含まれる硫黄化合物は、水素生成装置で使用される触媒の被毒成分となる。従って、触媒の硫黄被毒の影響を抑えるため、原料を水素生成装置に供給する前に、脱硫装置によって原料から硫黄化合物を除去する必要がある。また、燃料電池発電システムの運転時間が長くなるに伴い、脱硫装置は、その性能が次第に低下するようになるため、そのままでは燃料電池発電システムの運転が維持できなくなる。そのために、脱硫装置は、運転時間に応じて交換やメンテナンスが必要とされる。
【0005】
従来、都市ガス等の燃料の脱硫を行う脱硫装置としては、脱硫剤が内部に充填された長尺で略円柱形状の中空の脱硫筒で、燃料の出入口配管が脱硫筒の端面に垂直に設けられたものが用いられている。燃料入口配管と燃料出口配管とは共に、脱硫筒の略円柱形状における軸線の延長線上に設けられ、燃料入口配管から脱硫筒内部に流入された燃料は、脱硫筒内部に充填されている脱硫剤と接触されることによって脱硫され、燃料出口配管から脱硫筒外部へ流出される。すなわち、燃料をこの脱硫装置に通すことによって燃料の脱硫を行うことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
図4(イ)、(ロ)、(ハ)は、特許文献1に記載された従来の脱硫装置の概略図である。従来の脱硫装置では、2つの脱硫筒5aと5bを並列に接続し、2つの脱硫筒5aと5bの各入口側と各出口側にそれぞれ開閉弁12,13と開閉弁14,15を設けている。また、脱硫筒5aと開閉弁12との間及び脱硫筒5bと開閉弁13との間を、途中に三方弁17を有するバイパス配管16で接続する。同様に、脱硫筒5aと開閉弁14の間及び脱硫筒5bと開閉弁15の間を、途中に三方弁19を有するバイパス配管18で接続する。さらに、三方弁17、19を連絡配管20で接続する。開閉弁12,13,14,15の切換えと、三方弁17、19の切換えとにより、脱硫筒5aと脱硫筒5bを直列にしていずれかを上流側に選択できるように構成されている。この構成により、上流側となる脱硫筒は、脱硫触媒を吸着能力限界まで使い切ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−287575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、2つの脱硫筒を一般的には耐食性の高い金属配管で接続しているため、脱硫筒の配管接続口の位置に合わせて、剛体の金属配管の曲げ形状を高精度で作り込むことが困難であるという課題を有していた。金属配管の寸法精度が低いと、2つの脱硫筒の配置とその脱硫筒を接続する金属配管の長さの差異により、脱硫筒の配管接続口と金属配管の中心が合わなくなる。例えば、金属配管の端部に設けた溝形状にOリングを装着し、金属配管を脱硫筒の配管接続口に挿入してガスを密閉しようとした場合、Oリングのシール面が配管接続口に片当たりを起こし、ガス漏れのリスクが高くなることが想定されるため、金属配管には高い寸法精度が要求されていた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、複数の脱硫筒を有する脱硫装置において、脱硫筒の配管接続口と金属配管の中心の位置合わせを柔軟に行うことができ、ガス漏れに対する信頼性の高い脱硫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の脱硫装置は、原料ガスから硫黄成分を除去するとともに側面に接続部を有する第1及び第2の脱硫筒と、
前記第1の脱流筒の原料ガスの流れの下流端及び前記第2の脱硫筒の原料ガスの流れの上流端のそれぞれに連結する配管と、
前記第1及び第2の脱硫筒のそれぞれの前記接続部を繋げる連結部材と、
を有し、
前記第1及び第2の脱硫筒は、前記連結部材を介して互いの相対位置を移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によって、第1及び第2の脱硫筒の軸方向と軸方向に垂直な方向との移動は可能であるが、所定範囲内に制限される。このため、隣り合う脱硫筒を配管接続する際に、配管の寸法に合わせて脱硫筒の配置の微調整が可能となり、脱硫筒の配管接続口と配管の中心位置を合わせることができる。そのため、配管に装着したOリングのシール面が片当たりを起こすことなく、脱硫筒の接続部に接続することができる。また、脱硫装置の交換の際には、複数の脱硫装置を一体に着脱できることから、短時間で容易に作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の脱硫装置は、交換が容易で、配管のOリングのシール面が片当たりを起こすことなく接続することができるので、接続部からのガス漏れに対する信頼性の高い脱硫装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における脱硫装置を有する燃料電池発電システム
【図2】本発明の実施の形態1における脱硫装置の概略図
【図3】本発明の実施の形態2における脱硫装置の概略図
【図4】(イ)、(ロ)、(ハ)は、従来例における脱硫装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明に係る脱硫装置は、原料ガスから硫黄成分を除去するとともに側面に接続部を有する第1及び第2の脱硫筒と、
前記第1の脱流筒の原料ガスの流れの下流端及び前記第2の脱硫筒の原料ガスの流れの上流端それぞれに連結する配管と、
前記第1及び第2の脱硫筒のそれぞれの前記接続部を繋げる連結部材と、
を有し、
前記第1及び第2の脱硫筒は、前記連結部材を介して互いの相対位置を移動可能に構成されている。
【0015】
これによって、第1及び第2の脱硫筒の軸方向と軸方向に垂直な方向との移動は可能であるが、所定範囲内に制限される。このため、隣り合う脱硫筒を配管で接続する際に、配管の寸法に合わせて脱硫筒の位置の微調整が可能となり、脱硫筒の配管接続口と配管の中心位置を合わせができる。例えば、配管の端部に設けた溝形状にOリングを装着し、配管を脱硫筒の配管接続口に挿入してガスを密閉しようとした場合、Oリングのシール面が配管接続口に片当たりを起こすことなく接続することができるので、接続部からのガス漏れに対する信頼性の高い脱硫装置を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1の脱硫筒の原料ガスの流れの上流端に接続する供給配管と、
前記第2の脱硫筒の原料ガスの流れの下流端に接続する排出配管と、
をさらに有し、
前記供給配管の接続口と前記排出配管の接続口とは、形状が互いに異なるように構成され、前記第1の脱硫筒の上流端が前記供給配管に接続し、前記第2の脱硫筒の下流端が前記排出配管に接続する。
【0017】
これによって、隣り合う脱硫筒を配管で接続する際に、配管の寸法に合わせて脱硫筒の位置の微調整が可能となり、脱硫筒の配管接続口と配管の中心位置を合わせることができる。例えば、金属配管の端部に設けた溝形状にOリングを装着し、配管を脱硫筒の配管接続口に挿入してガスを密閉しようとした場合、Oリングのシール面が配管接続口に片当たりを起こすことなく接続することができるので、接続部からのガス漏れに対する信頼性の高い脱硫装置を提供することができる。また、燃料入口配管接続口と燃料出口配管接続口の形状が異なることから、上流端と下流端が配管接続された状態の2本の脱硫筒を一度取り外した後、再度取り付ける際に入出口の配管接続口を間違うことなく、確実に交換やメンテナンスを行うことができる。この時、一定時間使用していた脱硫筒をメンテナンスにより着脱する場合に、着脱前後で燃料の流路が異なると、触媒による硫黄除去ができない為、前述の構成のように脱硫筒の入出口配管接続口を誤接続しないことが重要である。
【0018】
第3の発明は、第2の発明において、前記第1及び第2の脱流筒は、一端の接続口と他端の接続口との形状が互いに異なる、同一形状の脱硫筒で構成されている。
これによって、同一形状の脱硫筒を複数本用いていることから、共用化によるコストダウンを図れることができる。
【0019】
第4の発明は、第2の発明において、前記第1の脱硫筒の前記供給配管の接続口と、前記第2の脱硫筒の前記排出配管の接続口とは、形状が互いに異なるように構成され、前記第1の脱流筒の原料ガスの流れの下流端接続口及び前記第2の脱硫筒の原料ガスの流れの上流端接続口の少なくともいずれか1方の接続口の形状が、前記供給配管の接続口及び前記排出配管接続口の形状とは異なるように構成されている。
これによって、燃料入口配管接続口と燃料出口配管接続口の形状が異なることから、上流端と下流端が配管接続された状態の2本の脱硫筒を一度取り外した後、再度取り付ける際に入出口の配管接続口を間違うことなく、確実に交換やメンテナンスを行うことができる。また、誤って脱硫筒の上流端と下流端を接続する配管を外した場合においても、上流端接続口と下流端接続口のうち少なくとも1方の形状が、供給配管の接続口及び排出配管の接続口と異なることから、配管の接続間違いを防止できる。
【0020】
第5の発明は、第3の発明において、前記第1及び第2の脱硫筒のそれぞれの前記接続部の位置が、上端部もしくは下端部に構成されている。
これによって、脱硫筒の上下方向を特定することが可能となる為、2本の脱硫筒を一度取り外した後、再度取り付ける際に入出口の配管接続口を間違うことなく、確実に交換やメンテナンスを行うことができる。また、誤って脱硫筒の上流端と下流端を接続する配管を外した場合においても、接続部の位置により脱硫筒の上下方向を特定することが可能であるため、配管の接続間違いを防止できる。
【0021】
第6の発明に係る燃料電池システムは、第1の発明から第5の発明に係る脱硫装置を備えることを特徴とする。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の脱硫装置を有する燃料電池発電システムの構成図である。この燃料電池発電システムは、硫黄成分を含む炭化水素系の原料を通過させて、原料に含まれる硫黄成分を吸着する脱硫装置5と、脱硫装置5を通過させた後の原料と水蒸気との改質反応を主に進行させて水素含有ガスを生成させる改質部(「水蒸気改質部」ともいう)を有する改質器20と、改質器20から水素ガス供給経路12を介して供給される水素含有ガスを用いて発電を行う燃料電池8と、脱硫装置5に供給される原料の流量(原料流量)を制御するための原料供給部4と、原料供給部4および燃料電池8の動作を制御する運転制御部16と、を備えている。
【0024】
脱硫装置5に供給される炭化水素系の原料は、炭化水素等の少なくとも炭素及び水素から構成される有機化合物を含む原料であればよく、例えばメタンを主成分とする都市ガス、天然ガス、LPG等である。ここでは、原料の供給源として都市ガスのガスインフラライン6を用い、そのガスインフラライン6に脱硫装置5が接続されている。脱硫装置5は、上流側および下流側に配置された接続部7に着脱可能な形状を有しており、一定期間の使用によって脱硫装置5の硫黄成分に対する吸着量が飽和して吸着特性が低下すると、新しい脱硫装置に交換される。本実施形態における脱硫装置5には、都市ガス中の付臭成分である硫黄化合物を吸着するゼオライト系吸着除去剤が充填されている。
【0025】
脱硫装置5を通過した後の原料は、原料供給経路10を介して改質器20に供給される。改質器20には、改質器20の水蒸気改質部に水を供給する水供給部3が接続されている。本実施形態における水供給部3は、流量調節機能を有するポンプを有しており、燃料電池発電システム内で回収され、活性炭及びイオン交換樹脂で浄化された水を水蒸気改質部に供給する。改質器20には、さらに、改質反応に必要な反応熱を水蒸気改質部に供給するための燃焼部(バーナー)2、および、燃焼部2に燃焼用空気を供給する燃焼ファン18が設けられている。図示しないが、本実施形態における改質器20は、原料と水蒸気との改質反応を進行させる水蒸気改質部の他に、水蒸気改質部で生成した水素含有ガス中の一酸化炭素と水蒸気とを変成反応させて、水素含有ガスの一酸化炭素濃度を低減させる変成部と、空気供給部19から供給される空気を用いて、変成部を通過した後の水素含有ガス中に残留する一酸化炭素を主に酸化させて除去する選択酸化部とを有している。水蒸気改質部、変成部および選択酸化部の構成は、一般的な構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0026】
原料供給部4は、脱硫装置5の上流側に配置され、ガスインフラライン6から脱硫装置5に供給される原料の流量を制御している。なお、原料供給部4は、脱硫装置5に供給される原料の流量を制御できればよく、脱硫装置5の下流側、例えば脱硫装置5と改質器20とを接続する原料供給経路10に配置されていてもよい。このとき、脱硫装置5を通過させる原料の積算流量と、脱硫装置5の炭化水素成分の吸着特性との関係をテーブル化しておくことにより、脱硫装置5に対する原料の流入量をより正確に制御できる。
【0027】
本実施の形態1では、原料供給部4はブースターポンプを有しており、例えば入力する電流パルス、入力電力等を制御することにより、脱硫装置5に供給される原料の流量を調節できる。
【0028】
改質器20と燃料電池8とを接続する水素ガス供給経路12には、ガスの流れを調節するガス切り替え部9が設けられている。ガス切り替え部9は、原料供給経路10からのバイパス経路となる改質器バイパス経路11と接続されている。一方、燃料電池8には、発電時に未使用となる水素オフガスを排出するオフガス経路14が設けられ、燃料電池バイパス経路13とともに、燃焼部2に接続される燃焼ガス供給経路15に接続されている。燃料電池8の構成は、一般的に用いられる固体高分子型の燃料電池の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0029】
運転制御部16は、改質器20の水素含有ガスの生成動作や燃料電池8の発電動作を制御する制御部である。また、運転制御部16は、原料供給部4から改質器20に供給される原料の供給量、水供給部3から改質器20に供給される水の供給量および燃料電池8の出力などの制御を行う。なお、運転制御部16は、半導体メモリーやCPU等により、燃料電池発電システム100の運転動作シーケンス、原料積算流量など運転情報等を記憶し、状況に応じた適切な動作条件を演算し、かつ、水供給部3や原料供給部4等のシステム運転に必要な構成に動作条件を指示することができる。また、運転制御部16には、燃料電池発電システム100に対する運転指示信号や脱硫装置5の交換信号等を入力するための入力部17が接続されている。従来のシステムでは、運転指示信号を入力する入力部が使用されているが、本実施形態における入力部17は、運転指示信号に加えて交換信号も入力できる点で、従来のシステムで使用される入力部と異なっている。例えば、入力部17はタッチパネルを備えており、メンテナンス業者やユーザーは、必要に応じて、タッチパネルから運転指示信号や交換信号を入力してもよい。
【0030】
図示しないが、燃料電池発電システム100では、脱硫装置5の交換信号が運転制御部16に出力される。交換信号は、例えばシステムのメンテナンス業者が入力部17に入力した信号に基づいて出力されてもよい。または、脱硫装置5を保持する機構(例えば配管接続部7)などに脱硫装置5の交換を検知するための脱硫装置交換検知部(接点スイッチやセンサなど)を設け、脱硫装置交換検知部によって交換が検知されると、交換信号を生成して運転制御部16に出力することもできる。
【0031】
本実施の形態1では、燃料電池発電システムの起動の一工程である改質器20の起動時(起動期間)には、ガス切り替え部9を動作させることにより、水素ガス供給経路12から、燃料電池バイパス経路13および燃焼ガス供給経路15を介して、改質器20で生成した水素含有ガスを燃焼部2へ供給する。改質器20を起動させた後は、燃料電池8の発電時に余剰になった水素オフガスを、オフガス経路14から燃焼ガス供給経路15を介して改質器20の燃焼部2へ供給する。また、原料を燃焼部2で直接燃焼させることが必要な場合には、改質器バイパス経路11を用いて、改質器20を通過させることなく、脱硫装置5を通過した原料を燃焼部2や燃料電池8へ供給できるように構成されている。
【0032】
次に、燃料電池発電システム100の通常時の運転動作を説明する。
停止状態から燃料電池発電システム100を起動させる場合、まず、燃料電池発電システム100のガス流路に設置されているバルブ等(詳細は図示せず)を適宜閉め、各ガス流路等からのガス漏れの有無をチェックする動作を行う。ガス漏れがない場合は、改質器20の起動を行う。運転制御部16からの指令により、改質器20を通過させた原料を燃焼部2に供給し、燃焼部2で原料に着火して水蒸気改質部の加熱を開始する。
【0033】
この時、水供給部3を動作させて改質器20に水を供給し、水と原料との改質反応を開始させる。本実施の形態では、メタンを主成分とする都市ガス(13A)を原料とする。水供給部3からの水の供給量は、都市ガスの平均分子式中の炭素原子数1モルに対して水蒸気が3モル程度になるように制御される(スチームカーボン比(S/C)で3程度)。改質器20では、水蒸気改質反応、変成反応、一酸化炭素の選択酸化反応を進行させ、一酸化炭素濃度を体積濃度で約20ppm以下まで低減させた水素含有ガスを生成する。
【0034】
続いて、生成された水素含有ガスを、水素ガス供給経路12を通して燃料電池8に供給し、発電運転を行う。通常の発電運転時には、運転制御部16によって原料供給部4の動作を制御して、改質器20に燃料電池8の発電量(目標値)に対して予め設定された流量で原料を供給し、生成された水素含有ガスを燃料電池8に供給する。
【0035】
一方、燃料電池発電システム100の発電運転を停止させる場合には、改質器20への原料および水の供給を停止させ、改質器20の水蒸気改質部、変成部、選択酸化部の各触媒層の温度を低下させる。各触媒層の温度を設定温度まで低下させた後、改質器20に原料を供給し、改質器20のガス経路内部に滞留する水素含有ガスを原料で置換する。この時、改質器20の内部から置換される水素含有ガスは、燃焼部2に通気して燃焼させる。なお、燃料電池8のガス経路内部に残留する水素含有ガスは、改質器20と同様に原料で置換する動作を行う。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態1における脱硫装置の概略図である。脱硫装置は、燃料電池発電システムの運転時間が長くなるに伴い、その性能が次第に低下するようになるため、燃料電池発電システムの運転を継続するには、脱硫装置の交換やメンテナンスが必要となる。交換やメンテナンスの頻度を少なくするためには、脱硫剤の容積を増やす必要があるが、長手方向に長い脱硫筒は交換やメンテナンスの際に着脱し難い。
【0037】
また、メンテナンスのために、一定時間使用していた脱硫筒を燃料電池本体から取り外す必要が生じた場合、再度取り付けて継続使用する際には、着脱前後で燃料の流路が異なると触媒による硫黄除去ができないので注意が必要である。
【0038】
本発明では、一端の接続口と他端の接続口の形状が異なり、内部に硫黄除去触媒を有する中空円筒状の2本の脱硫筒5a、5bを一方が逆向きになるように互いに平行に配置し、U字形状の金属配管23により直列に接続する。さらに、2本の脱硫筒5a、5bの外周には各々に樹脂製のバンド22a、22b(接続部)が巻かれており、バンド22a、22bを樹脂製の環状の連結部材21と連結することにより、脱硫筒5a、5bが一体化される構成とした。このような連結構成をとることにより、2本の脱硫筒5a、5bが連結部材21を介してそれぞれの軸方向と軸方向に垂直な方向に相対位置を移動可能となる。そこで、金属配管23と接続する脱硫筒5a、5bの配管接続口7b、7cの配置を金属配管23の寸法に合わせて微調整を行うことができ、脱硫筒の配管接続口と金属配管の中心位置とを合わせることができる。例えば、金属配管の端部に設けた溝形状にOリング(図示せず)を装着し、金属配管を脱硫筒の配管接続口に挿入してガスを密閉しようとした場合、Oリングのシール面が配管接続口に片当たりを起こすことなく接続することができる。
【0039】
また、同一形状の脱硫筒を複数本用いていることから、共用化によるコストダウンが図れる。さらに、2本の脱硫筒がバンド及び連結部材により一体化され、燃料入口配管接続口と燃料出口配管接続口の形状が異なることから、一度取り外した脱硫筒を再度取り付ける際に入出口の配管接続口を間違うことなく、確実に交換やメンテナンスを行うことができる。
【0040】
本実施の形態1では、連結部材21を環状としたが、バンド22a、22bと連結できる構成であれば、四角や多角形としても良く、例えば紐やゴム等のその他の連結部材を用いても良い。また、連結部材21と連結される接続部として、バンド22a、22bを用いたが、脱硫筒5a、5bの側面に接続部が一体的に形成されているのであれば、そちらを利用しても良い。脱硫筒5a、5bに巻きつけたバンド22a、22bの位置は、U字形状の金属配管23の対角としたが、この位置に限定されるものではなく、任意の位置に複数本巻きつける構成としても良い。また、脱硫筒が2本の場合について説明しているが、同様の構成とすることで、3本以上の場合についても適用できる。
【0041】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における脱硫装置の概略図である。
本発明では、一端の接続口と他端の接続口の形状が異なり、内部に硫黄除去触媒を有する中空円筒状の2本の脱硫筒5a、5bを平行に配置し、2本の脱硫筒5a、5bの間に仕切り板24を挟みこみ、U字形状の金属配管23により直列に接続する。2本の脱硫筒5a、5bの外周には各々にバンド22a、22bが、2本の脱硫筒5a、5bの上端(燃料電池システムの配管と接続する側)に巻かれており、仕切り板24はバンド22a、22bの下端側に取り付けられている。バンド22a、22bが環状の連結部材21と連結することにより、脱硫筒5a、5bが一体化される。このような連結構成をとることにより、2本の脱硫筒5a、5bが連結部材21を介して軸方向と軸方向に垂直な方向に相対位置が移動可能となる。そこで、金属配管23と接続する脱硫筒5a、5bの配管接続口7b、7cの配置を金属配管23の寸法に合わせて微調整を行うことができ、脱硫筒5a、5bの配管接続口と金属配管の中心位置を合わせることができる。例えば、金属配管の端部に設けた溝形状にOリング(図示せず)を装着し、金属配管を脱硫筒の配管接続口に挿入してガスを密閉しようとした場合、Oリングのシール面が配管接続口に片当たりを起こすことなく接続することができる。
【0042】
また、同一形状の脱硫筒を複数本用いていることから、共用化によるコストダウンが図れる。さらに、2本の脱硫筒がバンドにより一体化され、着脱時に仕切り板に合わせて脱硫筒を所定の位置に設置することで、一度取り外した脱硫筒を再度取り付ける際に入出口の配管接続口を間違うことなく、確実に交換やメンテナンスを行うことができる。
【0043】
本実施の形態2では、2本の脱硫筒とは別に仕切り板を設けたが、一方の脱硫筒に他方と区別するために凸部等を設けて、所定の位置以外では取り付かない構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係る脱硫装置は、2本の脱硫筒とそれを結ぶ配管の接続部の中心位置を合わせて接続することができる。例えば、Oリングで流体を密閉する場合においてもシール性について高い信頼性を確保することが可能になるので、燃料電池システムだけでなく、脱硫装置を用いる機器全般に適用できる。さらに、脱硫装置に限らず複数本の金属筒を連結する用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0045】
2 燃焼部
3 水供給部
4 原料供給部
5 脱硫装置
6 ガスインフラライン
7 配管接続口
8 燃料電池
9 ガス切り替え部
10 原料供給経路
11 改質器バイパス経路
12 水素ガス供給経路
13 燃料電池バイパス経路
14 オフガス経路
15 燃焼ガス供給経路
16 運転制御部
17 人力部
18 燃焼ファン
19 空気供給部
20 改質器
21 連結部材
22 バンド(接続部)
23 金属配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスから硫黄成分を除去するとともに側面に接続部を有する第1及び第2の脱硫筒と、
前記第1の脱流筒の原料ガスの流れの下流端及び前記第2の脱硫筒の原料ガスの流れの上流端のそれぞれに連結する配管と、
前記第1及び第2の脱硫筒のそれぞれの前記接続部を繋げる連結部材と、
を有し、
前記第1及び第2の脱硫筒は、前記連結部材を介して互いの相対位置を移動可能に構成されている脱硫装置。
【請求項2】
前記第1の脱硫筒の原料ガスの流れの上流端に接続する供給配管と、
前記第2の脱硫筒の原料ガスの流れの下流端に接続する排出配管と、
をさらに有し、
前記供給配管の接続口と前記排出配管の接続口とは、形状が互いに異なるように構成され、
前記第1の脱硫筒の上流端が前記供給配管に接続され、前記第2の脱硫筒の下流端が前記排出配管に接続される、請求項1に記載の脱硫装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の脱流筒は、一端の接続口と他端の接続口とが形状が互いに異なる、同一形状の脱硫筒で構成されている、請求項2に記載の脱硫装置。
【請求項4】
前記第1の脱硫筒の前記供給配管の接続口と、前記第2の脱硫筒の前記排出配管の接続口とは、形状が互いに異なるように構成され、
前記第1の脱流筒の原料ガスの流れの下流端接続口及び前記第2の脱硫筒の原料ガスの流れの上流端接続口の少なくともいずれか一方の接続口の形状が、前記供給配管の接続口及び前記排出配管接続口の形状とは異なるように構成されている、請求項2に記載の脱硫装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の脱硫筒のそれぞれの前記接続部の位置が、上端部もしくは下端部に構成されている請求項3に記載の脱硫装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の前記脱硫装置を備えた、燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−179561(P2012−179561A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44771(P2011−44771)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】