説明

腐敗を低減するための食品の圧力処理

本発明は、培養菌を含む食品の圧力処理方法を広く記載する。ここで該圧力処理は、培養菌は生き残るが、一方腐敗性ミクロフローラの成長が低減し、遅延し、抑制し、又は除去される条件下で行われる。本発明に従って処理された食品は、発酵乳食品(例えばヨーグルト)、フルーツ及び野菜ジュース、及び他の乳食品(例えばチーズ)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の腐敗を低減するための食品の圧力処理方法に関する。より特異的に、本発明は、所望の生培養菌を維持する一方で、食品の微生物腐敗を低減するため及び/又は食品を食用として安全にするための高圧処理の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの食品は、酵母及びカビなどの不所望の汚染菌が存在するため、保存期間が比較的短い。そうした酵母及びカビは、不所望の腐敗を引き起こし、そしてしばしば食品を食べられない物にしてしまう。
【0003】
様々な方法により、食品中の不所望の微生物を不活性化することが知られている。最も一般的なものは熱処理である。熱処理は、食品の安全性及び食品品質の維持の両方をかなり改善することができる。特に、食品の保存期間を延長することができる。
【0004】
しかしながら、幾つかの食品の味、質感、及び栄養価などの性質は、熱処理により失われうる。例えば、熱処理された肉は、受け入れがたい加熱調理された香味を持ちうる。熱処理されたヨーグルトなどの発酵乳製品は、培養菌がこの処理により不活性化されているので、生培養菌を含まない。
【0005】
前世紀の始めにおいて、ヨーグルトなどの食品の発酵に使用される細菌は、生きたまま摂取されると人の健康に有益であることが認められた。プロバイオティクスとして定義される生きた微生物の特定の培養菌は、一定の数を摂取すると基本栄養を超える健康効果を発揮すると認識されている(Holzapfel et al)。これらのプロバイオティクスの細菌を、摂食によりデリバリーするため、食品に加えることが知られている(Lee and Salaminen)。しかしながら、そうした細菌を十分な数で熱処理される食品に保つことは難しい。
【0006】
改良された又は代替の食品処理方法を提供すること、及び/又は従来技術が遭遇する問題に打ち勝つために少なくとも少しは助けになることが本発明の目的である。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
第一態様では本発明は、以下のステップ:
- 培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選び、ここで該菌株は、規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができ、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下で処理圧力にかけるステップ、ここで、該処理圧力は、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は削減する
を含む食品の処理方法を広く含む。
本発明に従った有用な処理圧力は、350MPa、360MPa、370MPa、380MPa、390MPa、400MPa、410MPa、420MPa、430MPa、440MPa、450MPa、460MPa、470MPa、480MPa、490MPa、500MPa、510MPa、520MPa、530MPa、540MPa、550MPa、560MPa、570MPa、580MPa、590MPa、600MPa、610MPa、620MPa、630MPa、640MPa、及び650MPaから選ばれうる。
【0008】
好ましくは、食品は少なくとも350MPaの圧力をかけられる。
より好ましくは、食品は少なくとも400MPaの圧力をかけられる。
【0009】
本発明が、以下の:3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、及び8.0から選ばれるpHレベルで行われうることが認識される。
【0010】
好ましい実施態様では、食品は、処理圧力にかけられるとき、3.0〜8.0の間のpHである。
好ましくは、pHは、3.6〜4.8である。
最も好ましくは、pHは、4.0〜4.6である。
【0011】
本発明が実施されうる好ましい温度は、0、4、5、10、15、20、25、30、35、及び40度(摂氏)から選ばれうる。
好ましくは、食品は、摂氏0度〜摂氏40度の範囲の温度で圧力処理される。
最も好ましくは、食品は、摂氏0度〜摂氏20度の範囲の温度で圧力処理される。
【0012】
好ましい実施態様では、食品はパッケージングされた後に圧力処理される。
本発明のこの態様に従った好ましい食品は、発酵乳製品である。
本発明で使用される好ましい発酵乳製品は、ヨーグルトである。
本発明で使用される代わりの発酵乳製品は、ヨーグルト飲料、乳製品デザート、カッテージチーズ、クリームチーズ、及び発酵飲料から選ばれうる。
【0013】
本発明のこの態様で使用される培養菌の好ましい菌株は:ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)HN017株(AGAL受託番号NM97/09515・1997年8月18日)、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifdobacterium lactis)HN019株(AGAL受託番号NM97/09513・1997年8月18日)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)St10株、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)St49株、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)Lh1株、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)Lh5001株、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrukeii subsp bulgaricus)Lb1株、ローディア(Rhodia)MY900(商標「MY900」としてRohdiaにより市販される)、ローディアMY105、ローディアMYE95、ローディアMYBio6、ローディアTA060、ローディアLH100、クリスチャン・ハンセン(Chr.Hansen)ABT4、クリスチャン・ハンセンYC-X11、クリスチャン・ハンセンABT3、ダニスコ(Danisco)V1、ダニスコYo Mix VW、ダニスコ MSK Mix ABN1-45、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)Bb12株(商標「Bb12」としてNestleにより市販される)、ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)ウィスビー(Wisby)420株(商標「420」としてWisbyにより市販される)、及びそれらの組み合わせから選ばれる。St10、St49、Lh1、Lh5001、及びLb1として同定される菌株は、Foterra研究センター(Palmeston North, New Zealand)から市販される。
【0014】
第二態様では、本発明は、以下のステップ:
- 培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選択し、ここで該菌株が、規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができるプロバイオティック菌株であり、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下で処理圧力にかけるステップ、ここで該処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去する、
を含む食品の処理方法を広く含む。
【0015】
プロバイオティックは、食品を発酵するために使用されうるし、又は食品に直接加えられうるということが認識される。
【0016】
本発明で使用されるプロバイオティック菌株は、ビフィドバクテリウム菌株、好ましくはビフィドバクテリウム・ラクチスから選ばれうる。
【0017】
本発明で使用される好ましいプロバイオティック菌株は、ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019株(AGAL受託番号NM97/09513・1997年8月18日)、及び、商標名Bb12(Nestle)及びウィスビー420で販売されるビフィドバクテリウムから選ばれる。
【0018】
本発明において使用される別の好ましいプロバイオティック菌株は、 ラクトバチルス、好ましくはラクトバチルス・アシドフィラスから選ばれる。
【0019】
最も好ましくは、本発明において使用されるプロバイオティック菌株は、ラクトバチルス・アシドフィラスHN017株(AGAL受託番号NM97/09515・1997年8月18日)である。
【0020】
本発明に従った有用な処理圧力は、350MPa、360MPa、370MPa、380MPa、390MPa、400MPa、410MPa、420MPa、430MPa、440MPa、450MPa、460MPa、470MPa、480MPa、490MPa、500MPa、510MPa、520MPa、530MPa、540MPa、550MPa、560MPa、570MPa、580MPa、590MPa、600MPa、610MPa、620MPa、630MPa、640MPa、及び650MPaから選ばれうる。
【0021】
より好ましくは、圧力は少なくとも350MPaである。
さらにより好ましくは、圧力は少なくとも400MPaである。
或いは、圧力は少なくとも500MPaである。
【0022】
本発明は、以下の:3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、及び4.6から選ばれるpHレベルで行われると認識される。
【0023】
好ましい実施態様では、食品は、処理圧力にかけられるとき、3.0〜4.6の間のpHである。
【0024】
温度の好ましい条件は、本発明の第一態様に記されるとおりである。
【0025】
第三態様では、本発明は、以下のステップ:
- 保護用培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選び、ここで該菌株は、規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができ、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下で処理圧力にかけるステップ、ここで、該処理圧力は、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は削減する
を含む食品の処理方法を広く含む。
【0026】
好ましくは、保護用培養菌は、発酵乳食品、発酵食品、調理済みの肉、野菜、サラダ、調理済み-冷凍食品、インスタント食品において使用される培養菌から選ばれる。
【0027】
pHと温度の好ましい条件は、本発明の第一態様において記載されるとおりである。
【0028】
第四態様において、本発明は、規定の圧力での圧力処理を受ける食品中に少なくとも1の細菌株を使用することであり、その結果、該細菌株が生き残る一方で不所望のミクロフローラが不活性化される。該細菌株は、ラクトバチルス・アシドフィラス、ビフィドバクテリウム・ラクチス、ラクトバチルス・アシドフィラスHN017株(AGAL受託番号NM97/09515・1997年8月18日)、ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019株(AGAL受託番号NM97/09513・1997年8月18日)、ストレプトコッカス・サーモフィラスSt10株、ストレプトコッカス・サーモフィラスSt49株、ラクトバチルス・ヘルベチカスLh1株、ラクトバチルス・ヘルベチカスLh5001、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカスLb1、ローディアMY900、ローディアMY105、ローディアMYE95、ローディアMYBio6、ローディアTA060、ローディアLH100、クリスチャン・ハンセンABT4、クリスチャン・ハンセンYC-X11、クリスチャン・ハンセンABT3、ダニスコV1、ダニスコYo Mix VW、ダニスコMSK Mix ABN1-45、及び商標名Bb12(Nestle)及びウィスビー420(Wisby)で販売されるビフィドバクテリウムから選ばれる。
【0029】
本発明の態様に従って、食品は、約1秒〜約10分間圧力処理をかけられうる。好ましい時間は、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒、90秒、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、又は10分である。
【0030】
本発明はまた、本明細書中に記載される方法により処理される食品である。
【0031】
本発明は、以下の例で記載され又は示される特徴の別の組合せの全てを広く含むといわれている。これらの特徴の明示されていない周知の同等物は、明示されていないが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本明細書中に記載されるとき、「圧力処理」又は「UHP処理」という記載は、超高圧処理を意味する。そうした処理は、少なくとも100MPaの圧力を使用する圧力処理として一般的に受け取られる。この処理はまた、「高圧」、「高静水圧(HHP)」、又は「高圧処理(HPP)」として当該技術分野に周知である。
【0033】
圧力処理は、以下のステップ:
- 食品をチャンバー内に設置し、そしてチャンバーを密閉し、
- 該チャンバー内の圧力を上げ、そしてそれにより該食品を規定の圧力まで上げ、
- 該食品を、(処理時間、滞留時間、又は保持時間と名付けられる)規定の時間この圧力に維持し、そして
- 該チャンバーから上記圧力を開放し、そして該食品を移すステップ
を含むと理解されている。
【0034】
使用される高圧装置の特性は、本発明を成功するように行うために必要とされる条件に影響するであろう。特に、食品が処理圧力で長時間維持されることが必要とされない状況においては、処理圧力に達するためにかかる時間及び、食品から処理圧力を開放するためにかかる時間、並びに処理圧力がもたらされ制御される正確性は、結果に影響しうる。
【0035】
圧力処理過程の性質により、処理の間、処理された食品の温度変動がもたらされる。そのようなものとして、圧力処理の間の好ましい温度についての記載は、圧力が上昇する前の食品又は飲料の温度を指す。
【0036】
本明細書中に記載されるとき、「食品」又は「食材」という記載は、例えばヨーグルト、ヨーグルト飲料、ケフィア、チーズ、ミルク、乳製品、乳製品デザート、果物ジュース、飲料、スポーツ飲料などを含む。
【0037】
本明細書中に記載されるとき、「腐敗性ミクロフローラ」という記載は、酵母及びカビ、食中毒細菌、病原菌、天然細菌、及び機能を果たしたスターター生物などの汚染菌のことを指す。「腐敗」という記載は、食品又は食材中にそうした生物が存在することを指し、そしてこの存在が、食品の様々な性質(例えば保存期間、味、又は質感)に与える影響のことを指す。
【0038】
腐敗性ミクロフローラを低減し、遅延し、抑制し、又は削減することについて記載される。そうした記載は、存在する腐敗性ミクロフローラを不活性化する状況、特に、そうした不活性化が食品安全表示又は規制基準に合わせるために必要とされる状況を含む。
【0039】
本明細書中に記載されるとき、「保護用培養菌」という記載は、抗菌活性を示す代謝産物を産生する生培養菌のことを指す。
【0040】
本明細書中で記載されるとき、「プロバイオティクス」という記載は、健康増進及び免疫亢進性質を有する細菌株を指す。そうした菌株は、腸の中で生存し、そしてコロニー形成する能力を有し、そして当業者に周知である。
【0041】
本明細書中に記載されるとき、圧力処理を「生き残る」という記載は、実用性のある数で菌株が生き残ることを指す。例えば、ヨーグルトでは圧力処理を「生き残る」ということは、圧力処理後の無傷の生きたスターター生物の数が、 同一性の基準、製品定義、及び製品規制を満たす数(典型的には、1グラムあたり10万コロニー形成ユニット、又はそれ以上)である。プロバイオティクスに関して、「生き残る」は、多量の食品と共に摂取されるとき、投与量に必要とされる無傷のプロバイオティック生物の数(典型的には、1グラムあたり10万のコロニー形成ユニット、又はそれ以上)を指す。
【0042】
UHP処理の所望の特徴は、非浸潤性性質である。適切な装備では、食材などは、消費者に届けられるのと同じ容器内で処理されうる。例えば、セットされ又は攪拌されたヨーグルトは、ポトル内で処理されうるし、そして発酵された乳製品飲料は、その容器内で処理されうる。圧力処理は、フルーツ、ナッツ、又はフルーツ・ピューレを含むヨーグルトなどの非均一性食品にも適用されうる。
【0043】
食品がすでに相当の数の腐敗性ミクロフローラを含み、そして消費者及び/又は規制基準により「ボーダーライン」であると考えられるとき、本発明に従って食品を処理しうるということが認識される。
【0044】
所望の微生物(例えば、ヨーグルト培養菌及び/又はプロバイオティクス)及び不所望の微生物、例えば汚染菌が、同じ密閉容器内に存在する状況では、選択的不活性化方法が同定された。
【0045】
腐敗性ミクロフローラ又は他の不所望の微生物を不活性化するが、所望の細菌が実用的な数で処理を生き残るUHP処理に食品をかけられることが確認された。所望の細菌は、典型的に、生きているまま摂取されると健康上の有益性を与えるヨーグルト又はプロバイオティック培養菌であるか、又は微生物汚染を防ぐことができる生保護用培養菌である。
【0046】
本発明は、重大な商業的価値のある生培養菌を含む食品の性質を保持する能力を提案する。特に、我々は、酵母及びカビなどの腐敗性ミクロフローラによる腐敗を低減したために延長された保存期間を有する発酵乳製品(例えば、多数の生培養菌を含むヨーグルト)を作り出すことができるということを発見した。
【0047】
多数の生プロバイオティック培養菌を含む一連の食品であって、微生物汚染又は腐敗を低減したために改良された保存性を有する食品を生産するために、本発明は使用されうる。
【0048】
生保護用培養菌を含む食品の処理方法であって、腐敗性ミクロフローラを不活性化することができる方法が同定される。この処理は、ある食品の安全性及び保存性を改良するために使用されうる。
【0049】
本発明において使用する適切な培養菌を同定する方法の一つは、食品に菌株を植菌し、そして次に不所望の微生物を制御するために適した圧力、例えば、350MPaで5分間、450MPaで1分間、460MPaで1秒間、又は600MPaで1秒間食品を処理する。試験圧力処理を実用的な数で生き残る菌株は、本発明に従った有用菌株として同定される。
【0050】
ヨーグルトの場合では、「実用的な数」は、同一性の基準、製品定義、及び製品規制により特定される生スターター(又は特定化された微生物)の数を意味する(典型的には、1グラムあたり10万コロニー形成ユニット、又はそれ以上である)。ブロバイオティック生細菌を含む食品の場合、実用的な数は、必要とされる生細菌の数を意味し(典型的には、1グラムあたり十万コロニー形成ユニット、又はそれ以上である)、その結果十分な投与量が食品の特定量とともに摂取される。
【0051】
培養菌の適切な耐性菌株がひとたび同定されたなら、食品は、その培養菌株を含んで製造される。或いは、圧力耐性細菌を含むと知られている食品が同定されうる。食品は、腐敗性ミクロフローラを不活性化するが、選ばれた培養菌株の生存を許容する条件下で、圧力処理にかけられた。
【0052】
選択的不活性化の方法は、pH4.4のヨーグルト中の所望の細菌(市販のスターター・ローディアMY900)と腐敗性ミクロフローラ(意図的に加えたアオカビ)のレベルを比較する図1aと図1bを参照することで理解されうる。図1aでは、ヨーグルトを、1秒間の様々な処理圧力にかけた。約460MPaでの圧力処理の後に、生スターター細菌の数は、1グラムあたり1億コロニー-形成ユニット又はそれ以上である。しかし、アオカビは、検出限界以下のレベルまで不活性化される。約430MPaの圧力処理後、生スターター細菌の数は、1グラムあたり1億コロニー形成ユニット又はそれ以上であるが、カビは、数において少なくとも2.4logサイクル分低減される(この数は、1グラムあたりカビの100コロニー形成ユニット未満の処理前の品質規格を有するヨーグルトにおいて腐敗を妨げるために十分でありうる。)。410MPa未満の圧力処理の後では、カビの存在が増加した。図1bにおいて、ヨーグルトを5分間、様々な処理圧力に欠けた。約400MPaの圧力処理の後に、生スターター細菌の数は、1億コロニー形成ユニット、又はそれ以上であった。約350MPaの圧力処理の後では、カビ数は、少なくとも1logサイクル分削減され、そして約400MPaの圧力では、カビ数は検出限界未満のレベルまで減った。しかしながら、450MPa又はそれ以上の圧力では、カビ数は検出限界未満のレベルまで減ったが、生スターター細菌の数は、500MPaでグラムあたり約100万から600MPaでグラムあたり約10まで減少した。圧力処理条件は、カビ腐敗に対する必要とされる防御レベル、及び処理前の汚染のレベル、並びに必要とされる所望の生細菌の数などを考慮することに基いて選ばれうる。
【0053】
図1a及び1bは、所望の微生物を実用的な数で保持する(ローディアMY900ヨーグルト・スターターは、白丸で表される)一方で、様々な圧力処理が、不所望の微生物を不活性化するために使用される(この例では、グラフ上でアオカビは黒丸として表される)。灰色のハイライト部分は、所望の微生物生存度と不所望の汚染菌の不活性化の競合要件が満たされる処理枠を表す。
【0054】
いくつかの培養菌は、特定の微生物に対する特異的な保護を与える抗菌代謝産物(例えばバクテリオシン)を産生できる(Holzapfel et al, Caplice & Fitzgerald)。そうした保護用培養菌は、生スターター生物として、或いは補助生物として直接食品に加えられ、その結果、食品の微生物の安全性を改良し、そして特に流通及び貯蔵の際の温度撹乱から保護する。そうした培養菌を使用するための代替の方法は、まず適切な基質を発酵させて、所望の代謝産物を産生し、そして次に、その培養菌を販売のために不活性化し、続いて食品中に混和する方法である。
【0055】
プロバイオティック細菌は、常在腸内フローラに影響を与える点から、保護用培養菌の例として考えられる(Holzapfel et al Lee & Salamin)。
【0056】
保護用培養菌は、発酵乳製品、発酵食品、調理済みの肉、野菜、サラダ、調理済み冷凍食品、及びインスタント食品において使用されうる。
【0057】
本発明中に開示される方法を使用することで、腐敗性ミクロフローラ、例えば腐敗性生物を不活性化し、一方食品中の生保護用培養菌を保護して、細菌又は細菌胞子などの不所望のミクロフローラの成長を防御することにより、幾つかの食品の保存期間を延長し、及び/又は腐敗レベルを低減することができる。
【0058】
本発明は、上記部分に記載され、そして下記部分が実施例を与える構成をとる。
【実施例】
【0059】
以下の実施例の幾つかにおいて、典型的な汚染菌が故意に食品に加えられた。この食品は、つぎに本発明の方法に従って処理された。
【0060】
以下の実施例において、細菌を列挙するために使用された方法は、表5において要約される(「cfu」=コロニー形成ユニット)。全ての培養菌を、他に特記がない限りForterra Research Centre Culture Collection(FRCCC)(Palmerston North, New Zealand)から取得した。この実施例で使用される汚染培養菌及びそれらの対応する起源は表6に要約される。
【0061】
圧力処理を、Stansted Fluid Power FoodLab laboratory (30mL)及びパイロット容器(675mL)で行った(但し、実施例10及び11は、フロー・オートクレーブ・システム2Lユニットで行った)。
【0062】
処理温度が与えられる実施例では、処理温度は、圧力が上がる前におけるチャンバーの中身の温度であった。
【0063】
実施例1:生培養菌を含む発酵乳製品
10%の還元スキムミルク(RSM)基質を1%のストレプトコッカス・サーモフィラスSt-10株(FRCCC)で植菌し、そして一晩37℃で発酵した。発酵されたスキムミルクのpHを乳酸を加えることにより4.4%に調節し、そして故意にヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)酵母を1.8×106cfu/gでスパイクして故意に汚染させた(表5)(表6)。そうして作られた汚染された発酵乳を次に10℃で400MPaの圧力を5分間かけることにより処理した。この過程により、検出される汚染酵母(>5log不活性化)を含まず、一方スターター培養菌のカウント、3.3×107cfu/g(M17アガー、表5)を保持する製品を作り出した。
【0064】
実施例2:生培養菌を含む発酵乳製品
10%RSM基質を1%のラクトバチルス・ヘルベチカスLh―5001(FRCCC)の培養菌で植菌し、そして一晩37℃で発酵させた。発酵されたスキムミルクのpHを4.4に調節し、そしてアオカビを3.1×106cfu/g(表5)でスパイクすることにより故意に汚染させた。そうして作られた汚染された発酵乳を、10℃で5分間400MPaの圧力をかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染カビを伴わないが、一方1.3×108cfu/g(MRSアガー、表5)のカウントのスターター培養菌を保持する製品を作り出した。
【0065】
実施例3:生培養菌を含む発酵乳製品
10%のRSM基質を1%のLb.デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカスLb1株(FRCCC)で植菌し、そして一晩37℃で発酵させた。発酵スキムミルクのpHを4.4に合わせ、そしてデブロマイシス・ハンセイ(Debromyces hanseii)酵母(表6)を9.3×107cfu/g(表5)でスパイクすることにより故意に汚染させた。こうして作られた汚染発酵乳を次に、10℃で5分間350MPaの圧力をかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染酵母を伴わず、一方7.6×107cfu/gのカウント(MRSアガー、表5)のスターター培養菌を保持する製品を作り出した。
【0066】
実施例4:重要な生培養菌を含まない発酵乳製品[コントロールの実施例]
10%のRSM基質を1%のS.サーモフィラスSt-1株(FRCCC)で植菌し、そして37℃で一晩発酵させた。乳酸を加えることにより、発酵スキムミルクのpHを4.4に合わせ、そしてピンク酵母(pink yeast)(表6)を3.5×106cfu/g(表5)でスパイクすることにより故意に汚染させた。汚染発酵乳を次に、10℃で5分間400MPaの圧力をかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染酵母(>5log不活性化)を伴わない製品を作り出した。しかしながら、圧力処理によりスターター培養菌を4.4×107cfu/g〜6.8×102cfu/g(>4log不活性化)に低減した。
【0067】
実施例5:生培養菌を含むヨーグルト
7.0%スキムミルク粉末(SMP)と7.5%全ミルク粉末(WMP)から作られたヨーグルトミルクを55℃で熱し、そして150/50barでホモジェナイズした。ホモジェナイズされたミルクを、スチーム加熱水浴中で90℃に熱し、そしてその温後で10分間維持した。42℃まで急冷したのちに、このミルクを1%S.サーモフィラスSt-10株及びLb.デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカスLb5033株(FRCCC)で植菌し、次に42℃でpH4.4まで発酵させ、pH4.4になったらすぐに4℃に冷却した。得られたヨーグルトをアオカビ及びピンク酵母4.4×106cfu/gでスパイクすることにより故意に汚染させた。汚染ヨーグルトを次に15℃で1分間、450MPaの圧力にかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染酵母又はカビを伴わず(>5log 不活性化)、一方3.0×108cfu/g(M17アガー、表5)及び1.4×108cfu/g(MRSアガー、表5)のスターター培養菌のカウントを保持する製品を作り出した。
【0068】
実施例6:生培養菌を含むフルーツ・ヨーグルト
7%の滅菌済みフルーツピューレを実施例5で作られたヨーグルトへと加えた。アオカビ及びピンク酵母の5.4×106cfu/gでスパイクすることにより故意に汚染させた。汚染されたヨーグルトを次に、15℃で約1分間450MPaの圧力をかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染酵母又はカビ(>5log不活性化)を伴わず、一方6.6×108cfu/gのスターター培養菌のカウント(M17アガー、表5)を保持する製品を作り出した。
【0069】
実施例7:生培養菌を含むヨーグルト飲料
実施例5で作られるヨーグルトを、8%糖、1%タンパク質、及び0.4%カルボキシメチルセルロースの終量に作り上げた。クエン酸/乳酸溶液を加えることによりヨーグルトのpHを次に4.0に調節し、そして200barでホモジェナイズした。得られたヨーグルト飲料をアオカビ及びピンク酵母の7.9×106cfu/mlでスパイクすることにより故意に汚染させた。汚染されたヨーグルト飲料を次に15℃で約1分間、450MPaの圧力をかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染酵母(>5log不活性化)を伴わず、一方2.1×108cfu/ml(M17アガー、表5)のスターター培養菌のカウントを保持する製品を作り出した。
【0070】
実施例8:生培養液を含むヨーグルト
7.0%SMP及び7.5%WMPで作られたヨーグルト・ミルクを、55℃まで熱して、150/50barでホモジェナイズした。ホモジェナイズしたミルクを次にスチーム加熱水浴中で90度に熱し、そしてその温度で10分間維持した。42℃まで急速に冷却した後に、ヨーグルト・ミルクを1%のS.サーモフィラスSt-10株とLb.デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカスLb1株で植菌し、そして42℃でpH4.0になるまで発酵した。pH4.0になるとすぐに4℃に冷却した。ヨーグルトをアオカビ及びピンク酵母の3.0×106cfu/gでスパイクすることにより汚染し、そして15℃で約1分間、450MPaの圧力をかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染菌(>5log・不活性化)を伴わず、一方1.8×108cfu/g(M17アガー、表5)及び4.1×107cfu/g(MRSアガー、表5)のスターター培養菌カウントを保持する製品を作り出した。
【0071】
実施例9:低終pHで処理後、重要な生培養菌を含まないヨーグルト
7.0%SMP及び7.5%WMPから作られるヨーグルト・ミルクを、55℃に熱し、そして150/50barでホモジェナイズした。ホモジェナイズしたミルクを次にスチーム加熱水浴中で90℃に熱し、そしてその温度で10分間維持した。42℃に急冷した後に、ヨーグルトミルクを各1%のS.サーモフィラスSt10株とLb.デルブルッキー・サブスピーシーズ・:ブルガリカス・Lb-1株で植菌し、そして42℃でpH3.6まで発酵した。pH3.6になったらすぐに、4℃まで冷却した。ヨーグルトを3.0×106cfu/gのアオカビとピンク酵母でスパイクすることにより故意に汚染し、そして15℃で約1分間450MPaの圧力をかけることにより処理した。この過程により、検出できる汚染菌(>5log不活性化)を伴わない製品を作り出した。しかしながら、スターター培養菌のカウントは、3.2×108cfu/gから1.3×104cfu/g(M17アガー、表5)に減少した。
【0072】
実施例10;生プロバイオティック培養菌を含むヨーグルト
7.0%SMP及び7.5%WMPから作られるヨーグルトミルクを55℃に熱し、そして150/50barでホモジェナイズした。ホモジェナイズしたミルクを次にスチーム加熱水浴中で90℃に熱して、そしてその温度で10分間保持した。42℃に急冷した後に、ヨーグルト・ミルクを1%B.ラクチスHN019株、0.25%ST10株、及び0.25%Lb TH株(Lb.デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス・TH、FRCCC)で植菌した。ヨーグルト・ミルクを38℃で一晩(16時間)、pH4.0になるまでインキュベーションした。pH4.0になるとすぐに、インキュベーターから移し、そして約25℃まで冷却した。0barでホモジェナイザーを通すことにより滑らかにし、そして375gのPETボトル中に満たし、そして5℃で保存した。ヨーグルトを375MPaで5分間圧力処理した。
【0073】
未処理ヨーグルトサンプルをコントロールとして採っておいた。
4℃で4週間貯蔵後、ヨーグルトは、酵母及びカビの汚染を伴わずに、生プロバイオティック培養菌(B.ラクチスHN019)1.3×107cfu/g(RBAアガー、表5)を含んだ。
【0074】
対照的に、未処理のコントロールサンプルは、4℃で4週間後において、生プロバイオティック培養菌2.0×107cfu/gを含んだが、1.2×103cfu/gの酵母及びカビで汚染されていた。
【0075】
実施例11:生プロバイオティック培養菌を含むヨーグルト
7.0%SMP、7.5%WMP、0.1%ペプシン、及び0.4%スターチとして調製されたヨーグルトを、実施例10のように調製した。このヨーグルトを375MPaで5分間圧力処理し、そして未処理ヨーグルトをコントロールとして取っておいた。処理されたサンプルを4℃で4週間貯蔵した後に、このサンプルは、生プロバイオティック培養菌5.6×107cfu/ml(RBAアガー、表5)を含み、汚染酵母及びカビを伴わなかった。対照的に、未処理コントロールサンプルは、(4℃で4週間後)生プロビオティック培養菌6.2×107cfu/ml含んだが、3.2×102cfu/mlの酵母及びカビで汚染されていた。
【0076】
実施例12:生プロビオティック培養菌を含む直接酸性化された乳飲料
直接酸性化乳飲料を、カルボキシメチルセルロース(CMC)を糖と混合することにより作り、そして1.5Lの温水(55℃)中に分散した。WMPを分離して1.5L温水(55℃)中に分散し、そしてCMC糖溶液と混合した。さらに糖を加えて、8%糖、3.2%WMP、及び0.4%CMCの最終組成を与えた。乳飲料のpHをクエン酸/乳酸溶液を加えることにより4.0に調節し、200barでホモジェナイズし、そしてスチームバスで5分間85℃で滅菌した。飲料を次に凍結し、そして5.7×107cfu/ml(RCAアガー、表5)のビフィドバクテリウム(ウィスビー 株420)で植菌した。作られたプロバイオティック飲料を次に室温(15℃)で5分間、350MPaの圧力処理をかけることにより処理した。4.7×107cfu/ml(RCAアガー、表5)のレベルで生きたプロバイオティック・ビフィドバクテリウムを含む飲料は、こうして作られた。
【0077】
実施例13:重要な生プロバイオティック培養菌を含まない直接酸性化された乳飲料[コントロールの例]
実施例12において作られる直接酸性化された乳飲料を、4.9×107cfu/ml(MRSアガー、表5)のL.カゼイ(L.casei)・ヤクルト・シロタ株で植菌した。サンプルを15℃で5分間350MPaの圧力で処理した。圧力処理の後に、この過程により、240cfu/ml(5.3log減少)カウントのL.カゼイプロバイオティック培養菌しか伴わない製品を作り出した。
【0078】
実施例14:生プロバイオティック培養菌を含むオレンジジュース
オーストラリア産のネーブル・オレンジを絞り、pH3.48のオレンジジュースを生産し、そして全固形物の10.6%のB.ラクチスHN019株を、1.1×108cfu/ml(RCAアガー、表5)でジュースに植菌し、そしてこのジュースを2.2×107cfu/mlのピンク酵母でスパイクすることにより故意に汚染した。汚染されたプロバイオテッィク・オレンジジュースは、次に15℃で5分間、350MPaの圧力で処理された。この処理により、検出できる汚染ピンク酵母(>6log不活性化)を伴わず、一方1.1×108cfu/ml(RCAアガー、表5)のカウントのプロバイオティック培養菌を保持する製品を作り出した。
【0079】
実施例15:生プロバイオティック培養菌及び不所望の生物を含むオレンジ・ジュース
実施例14において作られる汚染オレンジジュースを、15℃で5分間、300MPaの圧力で処理した。しかしながら、この産物は1.1×108cfu/ml(RCAアガー、表5)を保持したが、3.8×103cfu/mlのピンク酵母により汚染されていた。
【0080】
実施例16:生プロバイオティック培養菌を含むオレンジジュース
実施例14において作られる汚染したオレンジジュースを、15℃で5分間600MPaで処理した。この処理により、検出できる汚染ピンク酵母(>6log不活性化)を伴わず、一方4.1×106cfu/ml(RCAアガー、表5)のカウントのプロバイオティック培養菌を保持する製品を作り出した。
【0081】
実施例17:菌株選別方法
潜在的なプロバイオティック菌株を、圧力処理直接酸性化乳飲料の製造における適切度についてスクリーニングした。多くの市販のプロバイオティック菌株を乳飲料中に植菌し、そして次に酵母及びカビによる汚染を制御する為に適した圧力、特に350MPaで5分間処理した。選別方法の結果を、表1に示した。ラクトバチルス菌株のいずれもが、圧力処理を十分な数で生き残らないと評価された。しかしながら、商標「Bb12」(Nestle)及び「ウィスビー420」(Wisby)で販売されるビフィドバクテリウム菌株の二つの菌株は、圧力処理試験により目に付くほどは不活性化されない。
【0082】
【表1】

【0083】
実施例18:菌株選別方法
潜在的なプロバイオテッィク菌株を以下の圧力処理されたプロバイオティック・オレンジジュースの製造における適切度について選別した。二種の市販のプロバイオティック菌株をジュース(pH4.0)に植菌し、そして腐敗細菌による汚染を制御する為に適した圧力、特に600MPaで5分間処理した。選別方法の結果は、表2に示される。これらの条件下で、ビフィドバクテリウム株の両方は、圧力処理されたオレンジジュース中にデリバリーに十分な数で圧力処理を生き残った。
【0084】
【表2】

【0085】
実施例19:生プロバイオティック培養菌を含む低pHのスポーツドリンク
pH3.4の乳清タンパク質単離スポーツドリンク(乳性タンパク質単離タンパク質4.8%、脂質0%、及び炭水化物10%)を、ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019株で、9.2×107cfu/ml(RCA・アガー、表5)で植菌し、そして4.5×105cfu/mlのピンク酵母でスパイクすることにより故意に汚染させた。汚染したプロバイオティック低pHスポーツドリンクを次に400MPaの圧力で5分間、15℃で処理した。この処理により、2.7×107cfu/mlのプロバイオティック培養菌のカウント(RCAアガー、表5)を保持する一方で、検出できる汚染ピンク酵母(>4.6log不活性化)を含まない低pHスポーツドリンクを製造した。
【0086】
実施例20:生プロバイオティック培養菌を含む栄養シェイク
EAS(USA)製のマイオプレックス・フレンチ・バニラ・ニュートリション・シェイク(Myoplex French vanilla nutrition shake)(330mlあたりタンパク質(乳清及びダイズタンパク質単離体) 20g、脂質4.6g、及び炭水化物20g)を、5.5×107cfu/mlのビフィドバクテリウム・ラクチスHN019株で植菌し、そして5.4×105cfu/mlのピンク酵母でスパイクすることにより故意に汚染した。汚染プロバイオティック・スポーツドリンク(中性pH)を次に500MPaの圧力で5分間15℃で処理した。この処理により、4.8×107cfu/mlのプロバイオティック培養菌のカウントを保持する一方で、検出できる汚染ピンク酵母(>4.7log不活性化)を含まない中性pHスポーツドリンクを製造した。
【0087】
実施例21:生培養菌を含むヨーグルト
7.0%SMPと7.5%WMPで作られるヨーグルト・ミルクを55℃に熱し、そして150/50barでホモジェナイズした。ホモジェナイズされたミルクを次にスチーム加熱水浴中で90℃に熱し、そしてその温度で10分間維持した。42℃に急冷した後に、ヨーグルト・ミルクを、1%の商標「MY900」でRohdiaにより販売されるスターター培養菌で植菌し、そして42℃で、pH4.1になるまで発酵させ、pH4.1になるとすぐに4℃に冷却した。ヨーグルトを5分間400MPaで圧力処理した(処理は、前述の実施例の様に、酵母及びカビ汚染の不活性化に基いて選ばれた)。処理されたヨーグルトは、7.9×107cfu/g(M17アガー、表6)の生培養菌を有した。
【0088】
実施例22:生培養菌を含むヨーグルト
12%全ミルク粉末(WMP)と1.7%の乳清タンパク質濃縮物から作られるヨーグルトミルクを、スチーム加熱水浴中で90℃に熱し、そして10分間その温度で保持した。42℃まで冷却した後に、ヨーグルトミルクを商標「MY900」(市販の培養菌)でRhodiaにより販売されるスターター培養菌で植菌し、そして42℃で6時間、pH4.4まで発酵し、pH4.4になるとすぐに4℃まで冷却した。汚染ヨーグルトを次に450MPa、15℃で5分間圧力処理した。前述の実施例に基いて、この処理は、典型的な腐敗性酵母及びカビを不活性化するために十分である。この処理により、3.0×107cfu/ml(M17アガー、表5)のスターター培養菌のカウントを有する製品を製造した。
【0089】
実施例23:生培養菌を含むヨーグルト
7.0%スキムミルク粉末と7.5%全ミルク粉末から作られるヨーグルト・ミルクを55℃に熱し、そして150/50barでホモジェナイズした。ホモジェナイズされたミルクを次に90℃に熱し、10分間維持し、そして42℃に急冷した。このミルクを次にRohdia MY900培養菌で植菌し、42℃でpH4.5になるまで発酵し、そして4℃に冷却した。得られたヨーグルトの2のサンプルを、1分間350MPa及び450MPaで圧力処理し、そして冷蔵保存した。4℃で95日間貯蔵した後に、生培養菌及び汚染カビのカウントを未処理のコントロール・サンプルのカウントと比較した。結果を図2に示した。未処理及び350MPaで処理したサンプルは、1グラムあたり100万のカビのコロニー形成ユニットにより汚染していたが、450MPa処理サンプルは、検出できるカビを有しなかった。3の場合のすべてにおいて、生培養菌カウントは、95日目で1グラムあたり1000万コロニー形成ユニットを超えた。
【0090】
実施例24:生培養菌を含む圧力処理されたヨーグルト
ヨーグルトを実施例24のとおりに作り、そして430MPaで約1秒圧力処理を行った。20℃で15日間貯蔵した後に、生培養菌と汚染カビのレベルを、未処理のコントロールサンプルと比較した。図3に示される結果により、貯蔵の後、未処理コントロールは、104cfu/ml以上のカビにより汚染されているが、圧力処理されたヨーグルトは、検出できるカビを有しなかったということが明らかにされた。両方の場合、生培養菌は、15日で107cfu/mlを超えた。
【0091】
実施例25:生培養菌を含む圧力処理されたヨーグルト
ヨーグルトを実施例24の通りに作り、そしてアオカビ>105cfu/gで故意にスパイクし、そして360MPa、400MPa、430MPa、460MPa、480MPa、及び500MPaの圧力で約1秒圧力処理した。生培養菌及びカビのカウント、並びにカビの対数減衰を、比較のために未処理のコントロールヨーグルトと共に、表3に与えた。全ての圧力処理は、9×108cfu/gを超える生培養菌を有するヨーグルトを製造した。360MPa及び400MPaの圧力処理は、カビ汚染のレベルを有意に低減しなかった。430MPaの処理により、カビ・カウントの2.4logサイクル減少をもたらし、一方460MPa、480MPa、及び500MPaの処理により、検出できるカビを含まないヨーグルト(>4.8logサイクル減少)を製造した。
【0092】
【表3】

【0093】
実施例26:生プロバイオティック培養菌を含む発酵飲料
水で溶かしたスキムミルク(10%)を、ビフィドバクテリウム・ラクチスで発酵し、そしてリン酸でpH4.0に調節されたスクロース、カルボキシメチルセルロース混合液中に混合し、そして200barでホモジェナイズして、3%ミルク固体、8%糖、及び0.4%カルボキシメチルセルロースのプロバイオティックを含む飲料を製造した。この飲料を600MPaで1秒圧力処理し、そして微生物汚染のレベルを未処理のコントロール飲料と比較した。圧力処理及びコントロールの未処理飲料の両方が、生培養菌>108cfu/gを超える生培養菌を含むが、未処理飲料も30cfu/gの好気性プレートカウント及び20cfu/gの酵母/カビカウントを有した。圧力処理された飲料は、これらの2つの方法により検出される汚染を有さない。
【0094】
実施例27:3の異なるpH値に作られるヨーグルト
水に再溶解された7.0%スキムミルク粉末及び7.5%全ミルク粉末を、ストレプトコッカス・サーモフィラス(St10)及びラクトバチルス・ブルガリカス(Lb1)の培養菌で、3の異なる終pH値、4.3、4.1、及び3.9まで発酵することにより、3種のヨーグルトを作った。3種のヨーグルトを次に350MPa及び450MPaで5分間圧力処理し、そして各場合においてM17アガー上で生存培養菌を計測し、そして図4に示した。高pH(pH=4.3)のヨーグルトは、両方の処理の後に107cfu/mlを超える生培養菌・カウントを有した。中程度のpH(pH=4.1)のヨーグルトは、350MPa処理の後において107cfu/mlを超える生培養菌・カウントを有したが、450MPaの処理後では有さなかった。低pH(pH3.9)のヨーグルトは、両方の処理後、107cfu/ml未満の生培養菌カウントを有した。
【0095】
実施例28:3の異なる処理時間で圧力処理されたヨーグルト
水に再溶解された10%スキムミルク粉末を、Lb-5033及びSt-10で植菌し、そして37℃でpH4.4になるまで発酵した。得られた発酵ミルクを次にピンク酵母とアオカビの混合体に晒し、そして350MPaで5、10、又は15分間圧力処理を行った。5分間処理された発酵乳は、2.8×107cfu/g(M17アガー)の生培養菌・カウントを有し、そして酵母及びカビ汚染の4.1logサイクル減少を有した。10分間処理された発酵乳は、5.7×105cfu/g(M17アガー)の生培養菌・カウントを有し、検出できる汚染酵母及びカビを含まなかった。15分間処理された発酵乳は、1.9×105cfu/g(M17アガー)の生培養菌カウントを有し、検出できる汚染酵母及びカビを含まなかった。
【0096】
実施例29:市販のヨーグルト培養菌の圧力処理
10%SMPを再溶解することによりヨーグルトミルクを調製した。ミルクを55℃まで加熱し、そして150/50barでホモジェナイズし、そして90℃で10分間熱し、そして冷却した。ミルクを次に等量に分割し、そして各々別々に表4に記載の市販のスターターで植菌した。ミルクを40℃又は38℃で16時間インキュベーションした。インキュベーションの後に、ヨーグルトを氷浴中で冷却し、そしてpHを計測し、そして必要に応じて4.4に調節した。ヨーグルトを各々400MPaの圧力で5分間処理し、そして107cfu/gを超える培養菌・カウント(M17アガー上)を有した。
【0097】
【表4】

【0098】
培養菌の計数
適切な量のサンプルを、希釈液に加えて、10-1希釈を作った。次に希釈液を連続的に調製して、各サンプルについて10-1〜10-7の範囲でプレートに撒いた。希釈液を各種毎に適切なアガー上に撒いた(表5)。アガーを試験される種の有効回収量について選別し、そして製法説明書に従って調製した。種及び使用される対応の方法は表5に要約される。
【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
上の表は、本発明の幾つかの好ましい実施態様を記述し、そして幾つかの可能な改変を指し示すが、別の改変が、本発明の範囲からかけ離れることなく行われうるということが当業者により認められるだろう。
【0102】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1a及び図1bは、アオカビとヨーグルト・スターター(MY900-ローディアにより市販される)に関する様々な圧力処理の効果を示すグラフである。
【図2】図2は、95日間摂氏4℃で貯蔵した後の生培養菌と腐敗性生物のレベルに関する様々な圧力処理の効果を示す。
【図3】図3は、15日間摂氏20℃で貯蔵した後の生培養菌と腐敗性生物のレベルに関する様々な圧力処理の効果を示す。
【図4】図4は、異なるpHレベルで行われる圧力処理の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
- 培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選択し、該菌株は、規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができ、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下の処理圧力にかけるステップ、
を含む食品処理方法であって、ここで上記処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去する、前記方法。
【請求項2】
前記処理圧力が、少なくとも350MPaである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理圧力が、少なくとも400MPaである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理圧力にかけるとき、前記食品が、3.0〜8.0のpHである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記pHが3.6〜4.8である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記pHが4.0〜4.6である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記食品が、発酵乳製品である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記発酵乳製品が、ヨーグルトである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記食品が、ヨーグルト飲料、乳製品デザート、カッテージ・チーズ、クリーム・チーズ、及び発酵飲料から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記培養菌の菌株が以下の:
- i) ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus);
- ii) ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifdobacterium lactis);
- iii) ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus);
- iv) ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus);
- v) ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrukeii subsp bulgaricus);
又はそれらの組み合わせのいずれかから選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
以下のステップ:
- 培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選び、ここで該菌株が、規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができるプロバイオティック菌株であり、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下の処理圧力にかけるステップ、
を含む食品処理方法であって、ここで上記処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去する、前記方法。
【請求項12】
前記プロバイオティック菌株が、ビフィドバクテリウムである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロバイオティック菌株が、ビフィドバクテリウム・ラクチスである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロバイオティック菌株が、ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019(AGAL受託番号NM97/09513、1997年8月18日付け)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロバイオティック菌株が、ラクトバチルスである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記プロバイオティック菌株が、ラクトバチルス・アシドフィラスである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プロバイオティック菌株が、ラクトバチルス・アシドフィラスHN017(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け)である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記処理圧力が、少なくとも350MPaである、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記処理圧力が、少なくとも400MPaである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記処理圧力が、少なくとも500MPaである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記処理圧力にかけるとき、前記食品が、pH3.0〜4.6である、請求項11〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記食品が、ヨーグルト、発酵乳製品、飲料、フルーツジュース、又は野菜ジュースから選ばれる、請求項11〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
以下のステップ:
- 保護用培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選び、該菌株が規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができ、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下の処理圧力にかけるステップ、
を含む食品処理方法であって、ここで上記処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去する、前記方法。
【請求項24】
規定の圧力で処理圧力にかけられる食品中の少なくとも1の細菌株の使用であって、ここで該処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去し、かつ上記細菌株が以下の:
- i) ラクトバチルス・アシドフィラスHN017(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け);
- ii) ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019(AGAL受託番号NM97/09513、1997年8月18日付け);
- iii) ストレプトコッカス・サーモフィラス;
- iv) ラクトバチルス・ヘルベチカス;
- v) ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス;
- vi) ラクトバチルス・アシドフィラス;
- vii) ビフィドバクテリウム・ラクチス;
又はそれらの組み合わせのいずれかから選ばれる、前記使用。
【請求項25】
以下のステップ:
- ラクトバチルス・アシドフィラスHN017(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け)を含む食品を選び;そして
- 該食品を約3.0〜約8.0のpHで、350MPa〜600MPaの処理圧力にかけるステップ
を含む食品処理方法。
【請求項26】
以下のステップ:
- ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け)を含む食品を選び;そして
- 該食品を約3.0〜約8.0のpHで、350MPa〜600MPaの処理圧力にかけるステップ
を含む食品処理方法。
【請求項27】
前記食品を10分間未満の間、前記処理圧力にかける、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記食品を約5分間、前記処理圧力にかける、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記食品を5分未満の間、前記処理圧力にかける、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記食品を約1分間、前記処理圧力にかける、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記食品を1分未満の間、前記処理圧力にかける、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記食品を30秒未満の間、前記処理圧力にかける、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記食品を5秒未満の間、前記処理圧力にかける、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記食品を約1秒間、前記処理圧力にかける、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記食品を、約0℃〜40℃の温度で、前記処理圧力にかける、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記食品を、約0℃〜20℃の温度で、前記処理圧力にかける、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法により製造される食品。
【請求項38】
前記食品が、ヨーグルト、発酵乳製品、飲料、又はフルーツ若しくは野菜ジュースから選ばれる、請求項37に記載の食品。
【請求項39】
少なくとも400MPaの圧力処理の後に、少なくとも4.0のpH及び1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する発酵乳製品。
【請求項40】
少なくとも450MPaの圧力処理の後に、1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する、少なくとも4.0のpHの発酵乳製品。
【請求項41】
少なくとも500MPaの圧力処理の後に、1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する、少なくとも4.0のpHの発酵乳製品。
【請求項42】
少なくとも600MPaの圧力処理の後に、1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する、少なくとも4.0のpHのヨーグルト又はヨーグルト飲料。
【請求項43】
10分間未満の少なくとも400MPaの圧力処理の後に、プロバイオティック細菌の少なくとも1の菌株1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌・カウントを有する食品又は飲料。
【請求項44】
10分間未満の少なくとも450MPaの圧力処理の後に、プロバイオティック細菌の少なくとも1の菌株1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌・カウントを有する食品又は飲料。
【請求項45】
前記食品が、前記処理圧力にかけられる前にパッケージされる、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記腐敗性生物が、貯蔵の間長期間抑制され、ここで、該長期間が、培養菌の菌株を含む未処理食品により達成される期間より長い、請求項1〜36のいずれか1項に記載の方法により製造される食品。
【請求項47】
前記貯蔵が、約4℃で少なくとも50日間である、請求項46に記載の食品。
【請求項48】
前記貯蔵が、約4℃で少なくとも90日間である、請求項46に記載の食品。
【請求項49】
前記貯蔵が、20℃で少なくとも15日間である、請求項46に記載の食品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
- 培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選択し、該菌株は、規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができ、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下の処理圧力にかけるステップ、
を含む食品処理方法であって、ここで上記処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去し、そして該処理圧力が少なくとも350MPaである、前記方法。
【請求項2】
前記処理圧力が、少なくとも400MPaである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理圧力にかけるとき、前記食品が、3.0〜8.0のpHである、請求項1〜2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記pHが3.6〜4.8である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記pHが4.0〜4.6である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記食品が、発酵乳製品である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記発酵乳製品が、ヨーグルトである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記食品が、ヨーグルト飲料、乳製品デザート、カッテージ・チーズ、クリーム・チーズ、及び発酵飲料から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記培養菌の菌株が以下の:
- i) ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus);
- ii) ビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifdobacterium lactis);
- iii) ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus);
- iv) ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus);
- v) ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrukeii subsp bulgaricus);
又はそれらの組み合わせのいずれかから選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
以下のステップ:
- 培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選び、ここで該菌株が、規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができるプロバイオティック菌株であり、そして
- 該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下の処理圧力にかけるステップ、
を含む食品処理方法であって、ここで上記処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去し、そして該処理圧力が少なくとも350MPaである、前記方法。
【請求項11】
前記プロバイオティック菌株が、ビフィドバクテリウムである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロバイオティック菌株が、ビフィドバクテリウム・ラクチスである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロバイオティック菌株が、ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019(AGAL受託番号NM97/09513、1997年8月18日付け)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロバイオティック菌株が、ラクトバチルスである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記プロバイオティック菌株が、ラクトバチルス・アシドフィラスである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プロバイオティック菌株が、ラクトバチルス・アシドフィラスHN017(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記処理圧力が、少なくとも400MPaである、請求項10〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記処理圧力が、少なくとも500MPaである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処理圧力にかけるとき、前記食品が、pH3.0〜4.6である、請求項10〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記食品が、ヨーグルト、発酵乳製品、飲料、フルーツジュース、又は野菜ジュースから選ばれる、請求項10〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
以下のステップ:
保護用培養菌の少なくとも1の菌株を含む食品を選び、該菌株が規定の圧力及びpHでの圧力処理を生き残ることができ、そして
該食品を規定の圧力又は規定の圧力以下の処理圧力にかけるステップ、
を含む食品処理方法であって、ここで上記処理圧力は、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去し、そして該処理圧力が少なくとも350MPaである、前記方法。
【請求項22】
食品における少なくとも1の細菌株の使用であって、ここで、該食品を少なくとも350MPaの処理圧力にかけ、ここで該処理圧力が、腐敗性ミクロフローラの成長を低減し、遅延し、抑制し、又は除去し、かつ上記細菌株が生き残り、該細菌株が以下の:
- i) ラクトバチルス・アシドフィラスHN017(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け);
- ii) ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019(AGAL受託番号NM97/09513、1997年8月18日付け);
- iii) ストレプトコッカス・サーモフィラス;
- iv) ラクトバチルス・ヘルベチカス;
- v) ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス;
- vi) ラクトバチルス・アシドフィラス;
- vii) ビフィドバクテリウム・ラクチス;
又はそれらの組み合わせのいずれかから選ばれる、前記使用。
【請求項23】
以下のステップ:
- ラクトバチルス・アシドフィラスHN017(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け)を含む食品を選び;そして
- 該食品を約3.0〜約8.0のpHで、350MPa〜600MPaの処理圧力にかけるステップ
を含む食品処理方法。
【請求項24】
以下のステップ:
- ビフィドバクテリウム・ラクチスHN019(AGAL受託番号NM97/09515、1997年8月18日付け)を含む食品を選び;そして
- 該食品を約3.0〜約8.0のpHで、350MPa〜600MPaの処理圧力にかけるステップ
を含む食品処理方法。
【請求項25】
前記食品を10分間未満の間、前記処理圧力にかける、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記食品を約5分間、前記処理圧力にかける、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記食品を5分未満の間、前記処理圧力にかける、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記食品を約1分間、前記処理圧力にかける、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記食品を1分未満の間、前記処理圧力にかける、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記食品を30秒未満の間、前記処理圧力にかける、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記食品を5秒未満の間、前記処理圧力にかける、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記食品を約1秒間、前記処理圧力にかける、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記食品を、約0℃〜40℃の温度で、前記処理圧力にかける、請求項1〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記食品を、約0℃〜20℃の温度で、前記処理圧力にかける、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法により製造される食品。
【請求項36】
前記食品が、ヨーグルト、発酵乳製品、飲料、又はフルーツ若しくは野菜ジュースから選ばれる、請求項35に記載の食品。
【請求項37】
少なくとも400MPaの圧力処理の後に、少なくとも4.0のpH及び1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する発酵乳製品。
【請求項38】
少なくとも450MPaの圧力処理の後に、1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する、少なくとも4.0のpHの発酵乳製品。
【請求項39】
少なくとも500MPaの圧力処理の後に、1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する、少なくとも4.0のpHの発酵乳製品。
【請求項40】
少なくとも600MPaの圧力処理の後に、1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌を有する、少なくとも4.0のpHのヨーグルト又はヨーグルト飲料。
【請求項41】
10分間未満の少なくとも400MPaの圧力処理の後に、プロバイオティック細菌の少なくとも1の菌株の1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌カウントを有する食品又は飲料。
【請求項42】
10分間未満の少なくとも450MPaの圧力処理の後に、プロバイオティック細菌の少なくとも1の菌株の1グラムあたり少なくとも10万コロニー形成ユニットの生培養菌カウントを有する食品又は飲料。
【請求項43】
前記食品が、前記処理圧力にかけられる前にパッケージされる、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記腐敗性生物が、貯蔵の間長期間抑制され、ここで、該長期間が、培養菌の菌株を含む未処理食品により達成される期間より長い、請求項1〜34のいずれか1項に記載の方法により製造される食品。
【請求項45】
前記貯蔵が、約4℃で少なくとも50日間である、請求項44に記載の食品。
【請求項46】
前記貯蔵が、約4℃で少なくとも90日間である、請求項44に記載の食品。
【請求項47】
前記貯蔵が、20℃で少なくとも15日間である、請求項44に記載の食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−501843(P2006−501843A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542926(P2004−542926)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/NZ2003/000224
【国際公開番号】WO2004/032655
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(504214246)フォンテラ コ−オペレイティブ グループ リミティド (17)
【Fターム(参考)】