説明

腐食防止セラミックコーティングおよび塗装方法

【課題】高い動作温度に曝されるタービンエンジンの構成要素の腐食を防止するコーティングを提供する。
【解決手段】タービンディスク、タービンシール要素、およびタービンシャフトなどのエンジンの構成要素用の耐食性コーティングが提供される。このコーティングは、タービンブレード、タービン静翼、ライナおよび排気フラップなどを含むガス流体の流路内またはその他のタービン構成要素にも用途を見出すことができる。ガスタービン構成要素で使用される本発明の耐食性コーティングは、ガラス状のセラミックマトリクスを含み、ガラス状のマトリクスは、シリカベースであり、粒子は、マトリクス内に実質的に均一に分配された耐火性酸化物粒子であるMCrAlX粒子、およびこれらの粒子の組合せからなる群から選択される。耐火性酸化物および/またはMCrAlXは、耐食性を有するコーティングを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中程度の温度および腐食性の環境に曝されるタービンエンジンの構成要素に使用するための腐食防止コーティング、およびタービンエンジンの構成要素にコーティングを塗装する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
本出願は、本出願の譲受人に譲渡され、本明細書に参照によって組み込まれる米国特許出願第11/011695号に関連する。
【0003】
航空機のガスタービンエンジンの圧縮機部分では、大気は、大気圧の10〜25倍に圧縮され、プロセスで427〜677℃(800〜1250°F)に断熱的に加熱される。この加熱され圧縮された空気は燃焼器に導かれ、そこで空気は燃料と混合される。燃料は点火され、燃焼プロセスは、ガスを1649℃(3000°F)を超える非常に高い温度に加熱する。これらの高温のガスは、エンジンのファンおよび圧縮機を駆動するために、回転するタービンホイールがエネルギーを抽出するタービン、および航空機を推進するためにガスが推力を供給する排気システムを通過する。航空機のエンジンの動作の効率を向上させるために、燃焼温度を上昇させる。当然のことながら、燃焼温度を上昇させると、より高い動作温度の結果としてのエンジンの構成要素の劣化を直接的および間接的に防ぐステップを実行する必要がある。
【0004】
性能に求められるものの中に、より高い推力およびより良い燃料経済があることにより、より新しいエンジンおよび実証された設計の修正に対する性能の向上への要求が高まり続けている。エンジンの動作を向上させるために、燃焼温度を非常に高い温度に上昇させる。これは、推力をより高くおよび/または燃料経済をより良くすることができる。この燃焼温度は十分に高くなっているので、燃焼路内にない超合金の構成要素でも劣化に曝される。こうした超合金の構成要素は、これまで一般に経験したことのない仕組みによって劣化に曝され、解決する必要のある、これまでに表面化しなかった問題を生じる。最近、高性能の航空機エンジンの改修中に発見された1つの問題は、タービンディスク、シール、および冷却空気を供給されるその他の構成要素の孔食である。冷却空気は、土ぼこり、火山灰、フライアッシュ、コンクリートの塵、砂、海塩、ならびに金属、硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物、炭酸塩、粒子またはガス状の形の種々様々な酸化物、および/または多様な塩類など吸い込んだ粒子を含む。これらの材料は、基材(substrate)の表面に堆積する。金属表面に堆積すると、こうした材料は互いに、および金属表面と相互作用して表面を腐食するおそれがあり、その作用は高温で加速される。タービンエンジンで使用される材料は一般に、これらの材料が高温での厳しい条件の下で劣化するものであっても腐食に耐える能力を含む、高い温度特性によって選択される。観察された孔食問題の調査の際に、孔食は、周囲の空気が運ぶ粒子状の異物およびガス状の物質のから生じる腐食生成物の形成によって発生することが発見され、腐食生成物は、それが含まれる冷却空気の流れの結果として、ディスク、シール、またはその他の構成要素上に堆積する。これらのエンジンの構成要素が受けるより高温の状況と共に、この堆積は腐食生成物の形成を招くことになる。腐食生成物は、燃料内の汚染物質からの酸化および腐食成生物と通常は関係する、燃焼の高温のガスにエンジンの構成要素を曝した結果ではないことに留意すべきである。シール、タービンディスク、ならびに検討中の、本明細書に全般的に論じられるその他の構成要素は漏洩が存在すると、空気が検討中の構成要素の方向ではなく、燃焼の高温ガスの流れの方向に漏洩するように設計される。
【0005】
腐食生成物は、エンジンの構成要素を周囲の空気環境から引かれた冷却空気に曝して生じるものであり、航空機が別の互いに異なる大気状態を有する異なる地理上の場所へ行くことにより、異なるエンジンの間では均質にならない。例えば、航空機には塩水の環境に曝されるものもあれば、一方で高度先進地域からの大気汚染物質に曝される可能性のあるものもある。その結果、構成要素によっては、その他の構成要素よりも進行した腐食を受ける。
【0006】
腐食は予期されないものではなかった。しかし、生産中に着手される改善の努力は、効果を生じなかった。これまでに様々なコーティングが提案され、腐食の問題を緩和しようとした。その1つは、本出願の譲受人に譲渡され、本明細書に参照によって組み込まれる、2004年12月15日に提出のCORROSION RESISTANT COATING COMPOSITION, COATED TURBINE COMPONENT AND METHOD FOR COATING SAMEという名称の米国特許出願第11/011695号に明記されるフォスフェートベースのものである。その他のものは、フォスフェート/クロマートバインダー(binder)システム、およびアルミニウム/アルミナ粒子を備える水溶性の耐食コーティング成分を含む。例えば、1986年8月19日発行の米国特許第4606967号(Mosser)(球状アルミニウム粒子)、および1985年10月1日発行の米国特許第4544408号(Mosser等)(分散性のアルミナ水和物粒子)を参照されたい。耐食拡散コーティングは、アルミニウムまたはクロミウム、あるいはそれぞれの酸化物(すなわちアルミナまたは酸化クロム)から形成することもできる。例えば、共通して譲渡された1994年11月29日発行の米国特許第5368888号(Rigney)(アルミナイド拡散コーティング)、および共通して譲渡された2001年9月4日発行の(NAGARAJ等)米国特許第6283715号(クロム拡散コーティング)を参照されたい。いくつかの耐食コーティングもタービンディスク/シャフト、およびシール要素に使用するために具体的に検討されてきた。例えば、2004年1月22日刊行の米国特許出願第2004/0013802A1号(Ackerman等)(タービンディスク上のアルミニウム、ケイ素、タンタル、チタン、または酸化クロム、および保護コーティングを与えるためのシール要素の有機金属化合物化学蒸着)を参照されたい。特にこれらの以前の耐食コーティングは、(1)その下にある金属の基材に拡散するとき、タービンディスク/シャフト、およびシール要素の耐用年数に高い可能性で悪影響を与えること、(2)コーティングをより剥離しやすくする可能性のある、コーティングとその下にある金属の基材との間の熱膨張係数(CTE)の起こりうる不整合、(3)金属基材に耐食コーティングを塗装するためのより複雑で費用のかかるプロセス(例えば、化学蒸着)を含む、いくつかの不利な点を有する可能性がある。その他には、ある種の構成要素に塗装された腐食緩和のコーティングが効果的でないことが証明された。このコーティングは6価クロムを使用するクロマート−フォスフェートバインダーのアルミナ顔料(pigment)であり、高温に曝された後に亀裂を生じた。当然のことながら、コーティングは、環境に有害な元素であるクロムを含む欠点も有し、それは塗装中の課題を提示する。そのようなコーティングは、低い温度で効果的であるが、膨張係数が低いので0.5〜2.5ミル程度の薄さで塗装されても、より新しいエンジンによって受けるより高い温度でコーティングが亀裂を生じる。実際に1.5ミル以上の厚さでは、このコーティングは、704℃(1300°F)での1つの熱サイクルの後に離層を生じた。説明された問題は、より新しい高性能のエンジンで最も明らかになってきているが、その動作により要求される極端な状態のために、問題はそれほど限定されるものではない。ほとんどの航空機エンジンならびにその他のガスタービン機関に関して温度が上昇し続けるので、これらのエンジンは、それに使用される材料に関係する温度閾値を超えるとき、同様に問題に直面する。
【特許文献1】米国特許出願第11/011695号
【特許文献2】米国特許第4606967号
【特許文献3】米国特許第4544408号
【特許文献4】米国特許第5368888号
【特許文献5】米国特許第6283715号
【特許文献6】米国特許出願第2004/0013802A1号
【特許文献7】米国特許第5723078号
【特許文献8】米国特許第4563239号
【特許文献9】米国特許第4353780号
【特許文献10】米国特許第4411730号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
広範囲の様々な大気中でタービンエンジンの構成要素が高い動作温度に曝される場合でもタービンエンジンの構成要素の腐食を防止することができるコーティングが必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
最高の動作温度で使用するためのタービンエンジンの構成要素は一般に、鉄、ニッケル、コバルトの超合金、またはそれらの組合せ、あるいは優れた高温靱性(elevated temperature toughness)および耐疲労性が得られるように選択されたステンレス鋼などのその他の耐腐食性材料から作製される。そのすべてがよく知られた例示の超合金は、例えばInconel(登録商標)600、Inconel(登録商標)722、およびInconel(登録商標)718などのInconel(登録商標)、Nimonic(登録商標)、例えばRene(登録商標)88DT、Rene(登録商標)104、Rene(登録商標)95、Rene(登録商標)100、Rene(登録商標)80、およびRene(登録商標)77などのRene(登録商標)、例えばUdimet(登録商標)500などのUdimet(登録商標)、例えばHastelloy X、HS 188、およびその他の同様の合金などのHastelloyなどの商品名で呼ばれる。これらの材料は、酸化および腐食の損傷に耐性があるが、その耐性は、現在ガスタービンエンジン内で到達する持続する動作温度でそれらを保護するのに十分でない。ディスクおよびその他のロータ(rotor)構成要素などのエンジンの構成要素は、低いレベルのクロムを含む新世代の合金から作製され、したがって腐食の攻撃により影響を受けやすいおそれがある。これらのエンジンの構成要素には、タービンディスク、タービンシール要素、タービンシャフト、回転ブレードまたは固定静翼として分類されるエーロフォイル、タービンブレード保持器、センターボディ、エンジンのライナおよびフラップが含まれる。このリストは、例示であり、包括的であることを意図しない。
【0009】
上記に列挙したすべての構成要素は、本発明に対する利点を見出すことができるが、タービンディスク、タービンシール要素、およびタービンシャフトなどのエンジンの構成要素は、燃焼生成物のガス経路内に直接あるのではなく、また一般に、これらの腐食性および酸化性の高いガスに曝された結果として遭遇する、腐食性の生成物と共に確認されるものではない。それにもかかわらず、これらの構成要素は、より高い動作温度に遭遇し、これらのより高い動作温度の結果としてのより強い腐食効果を経験する。本発明は、腐食問題を緩和しまたは最小限に抑えるためにこれらの構成要素に塗装される耐食コーティングである。
【0010】
本発明は、タービンディスク、タービンシール要素、およびタービンシャフトなどのエンジンの構成要素に対する耐食コーティングを提供するための新規のコーティングを使用する。このコーティングは、例えばタービンブレード、タービン静翼、ライナ、および排気フラップを含む、ガス流体の流路内またはその境界に配置されるタービン構成要素などの高温で腐食性の環境に曝されるその他のタービン構成要素に用途を見出すこともできる。ガスタービン構成要素で使用される本発明の耐食性のコーティングは、ガラス状の(glassy)セラミックマトリクス(matrix)を含み、ガラス状のマトリクスは、シリカベースであり、実質的にマトリクス内に均一に分配された耐火性酸化物であるMCrAlX、MCr、MAl、MCrX、MAlX、およびこれらの粒子の組合せからなる群から選択される粒子である。シリカベースのマトリクスは、硬化時にセラミック粒子の周りでガラス化し、高い動作温度においてガラス状のセラミックに転換する。粒子は、コーティングに耐食性を与える。重要なことには、本発明のコーティングは、アルミナより大きい熱膨張係数(CTE)を有し、それは高い動作温度で剥離する。コーティングのCTEは、基材の材料すなわちコーティングが塗装される構成要素に十分に近く、それによってコーティングは、受ける熱応力が少なく、高温での頻繁なエンジンサイクリングの後に剥離しない。
【0011】
本発明のコーティングは、耐食保護を必要とする高温のタービンエンジンの構成要素に塗装される。本明細書では、高温のタービンエンジンの構成要素は、タービンディスク、シール、またはシャフトなど、少なくとも約593℃(1100°F)の温度を繰り返して受ける構成要素である。耐食性粒子は、コロイドシリカ(colloidal silica)と混合される。耐食性粒子は、耐火性酸化物粒子であるMCr、MAl、MCrX、MAlX、およびMCrAlXからなる群から選択される。ただし、Mは、鉄、ニッケル、およびコバルトから選択される元素であり、Xは、例えばTa、Reからなるガンマプライムフォーマ(gamma prime formers)、および固溶体強化剤(solid solution strengthener)、Y、Zr、Hf、Si、Laなどの反応性元素、またはBおよびCならびにそれらの組合せからなる粒界強化剤(grain boundary strengthener)の群から選択される元素である。混合は、構成要素の表面の少なくとも一部分に塗装できるスラリ(slurry)を形成するように行われるが、それはシリカベースの流体によって実質的に均一に粒子をコーティングする必要もある。当然のことながら、スラリの粘度は、構成要素の表面にコーティングを塗装する方法に合わせて調整することができる。スラリが構成要素の表面に塗装される前に、構成要素の表面は一般に、その接着を強化するように処理される。表面に応じて、この調整は単に表面の洗浄であっても、さらに化学エッチングまたは機械的な目荒しを含むものであってもよい。スラリは、構成要素の表面の少なくとも一部分に塗装された後に乾燥させることができる。乾燥は一般に、2つの段階で行われる。第1の低温の段階では、スラリから結合していない流体を除去し、構成要素の表面の少なくとも一部分の上に予め選択された厚さのコーティングを形成するように乾燥が行われる。コーティングスラリ(coating slurry)から残留するいかなる結合流体または閉じ込められた流体も除去し、最初にコーティングを表面の上に硬化させ、表面と化学的および/または機械的な結合を形成するために、さらなる乾燥が必要である。乾燥の後にコーティングは均一に分配された粒子を有する少なくともガラス状のマトリクスを形成するために、予め選択された温度に焼成される(fired)。理想的には、構成要素の表面が動作の際に受けることが予想される温度に等しいかそれを超える温度にコーティングを焼成する。
【0012】
本発明の耐食コーティングの1つの利点は、そのコーティングが、タービンエンジンの品目に対して使用される多くの合金に適合した熱膨張係数を有することである。したがって、コーティングは、航空機エンジンの動作中の大幅な温度変化から生じる熱サイクルの結果としての剥離によって制約されない。
【0013】
本発明の別の利点は、593℃(1100°F)を超える温度を反復的に受けるエンジンの構成要素に耐食性を与えるのに使用できることである。さらに、本発明は1149℃(2100°F)程度の高さの温度を受ける用途に耐用できる能力を有する。
【0014】
本発明のコーティングの別の利点は、耐火性酸化物であるMCrAlX、MCr、MAl、MCrX、MAlX、およびその組合せの量を変えることによって熱膨張係数が変更でき、そうすることで熱膨張係数が、航空機エンジンに使用されるほとんどの基材の熱膨張係数に一致し、または近似するように修正され、それによって基材とコーティングの間の熱応力を低減できることである。その結果、コーティングの破損が熱サイクルから生じない。
【0015】
関連する利点は、コーティングが複数の層として塗装できることであり、各層が異なる熱膨張係数を有するように、各層が異なるローディング(loading)の耐火性酸化物であるMCrAlX、MCr、MAl、MCrX、MAlX、およびその組合せを有する。この様式で複数の層としてコーティングを塗装することによって、層の間の応力を慎重に制御でき、それによって応力が、層に関する疲労強度限界より低くなり、ここでも同様に熱サイクルによる破損メカニズムとしての疲労をなくす。
【0016】
本発明の非常に重要な利点は、環境的に安全な水ベースの材料として適用できることである。
【0017】
本発明のコーティングの別の利点は、フォスフェートベースのコーティングで使用されるようなクロマートが不要になることである。
【0018】
本発明の別の利点は、それが、予め選択された塗装方法に対して必要に応じて希釈し、または濃縮でき、硬化なしに乾燥でき、ガラス状のセラミックを特徴付ける熱硬化の結合を形成することなく部分的に硬化できることである。これによって、基材に対する様々な塗装方法が可能になり、材料が非常に有用になる。さらに、塗装方法を変えることによって、層の全体の強度または複数の層の間の強度が変更可能になり、材料を非常に用途の広いものにする。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、例として本発明の原理を示す添付図面と関連させて読めば、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、タービンエンジンの構成要素の上に塗装される耐食コーティングである。耐食コーティングは、シリコンベースのマトリクスに均一に分配された耐火性酸化物粒子であるMAl、MAlX、MCr、MCrX、MCrAlX粒子、またはその組合せからなる。粒子は、コーティングに主要な耐食性をもたらし、シリコンベースの材料は、塗装中にはバインダーであり、硬化後にマトリクスを形成する。硬化時に、シリコンベースの材料はガラス状のケイ酸塩マトリクスを形成し、そのマトリクスは、焼成(firing)時に少なくとも部分的にガラス状のセラミックマトリクスに転換する。
【0021】
本明細書では、用語「耐食コーティング」は、本発明の堆積した耐食コーティング成分の硬化後に、非結晶でガラス状のマトリクスまたはガラス状−セラミックマトリクスを有し、その中に埋め込まれ、その中に密閉され、それによって封入され、またはそうでなければそこに接着される、耐食性粒子の構成要素からの粒子を有する、金属基材に隣接する少なくとも1つの層を備えるコーティングを指す。本発明のコーティングが動作する構成要素は一般に、約1500°F(815℃)の温度に達するが、本発明の耐食性コーティングは、2100°F(1150℃)以下の高さの温度で、金属(例えばアルカリ性)硫酸塩、亜硫酸塩、塩化物、炭酸塩、酸化物、および吸い込んだ土ぼこり、火山灰、フライアッシュ、コンクリートの塵、砂、海塩などから生じるその他の腐食性の塩の堆積物を含む、様々な腐食性のものによって生じる腐食に対して耐性を与えることができる。2100°F(1150℃)を超える温度能力を有するケイ酸塩ベースのセラミックを形成するための元素を加えることによってケイ酸塩ガラスを変更することも可能である。上記に示したように、コーティングを異なる方法によって塗装することを可能にするコーティングの多用性により、本発明の耐食コーティングは、一体構造の層として要求される工学的な要件と両立する厚さに塗装可能であり、金属基材の上に重なる複数の個別の層を備えることができる。個別の粒子はマトリクス内に結合され、そのマトリクスは、焼成温度に依存するガラス状またはガラス状−セラミックであることができる。一般に、所望であれば、ガラス状のトップコート(top coat)は、耐食層の上に塗装することができる。トップコートは、装飾のため、シールのため、腐食の副生成物が構成要素に付着しないように非粘着性を与えるため、または表面粗さの改善のためなどいくつもの理由で塗装可能である。ケイ酸塩ガラスまたはフォスフェート(AlPOまたはMgPO)ガラスのトップコートが好ましい。
【0022】
図1は、エンジンの中心線に沿ったガスタービンエンジンのタービン部の一部分を示す断面図である。タービン部30は2段タービンであるが、タービン設計に応じて任意の数の段が使用できる。本発明は、タービンの段の数によって限定されない。タービンディスク32は図示のように、エンジンの中心線(CL)に沿ったディスク32のボアを通って延びるシャフト(図示せず)に装着されている。第1の段のブレード38が第1の段のディスク36に装着され、第2の段のブレード42が第2の段のディスク40に装着される。静翼410は、ケーシング420から延出する。ケーシング420の内面は、ガス流路内を流れる燃焼の高温ガス用のライナ430を形成する。第1の段のブレード38、第2の段のブレード42、および静翼410は、高温のガス流路内に延出する。静翼は固定され、高温のガスの流れを導く働きをし、ディスク36、40に装着されたブレード38、42は、高温のガスがそれらに衝突すると回転し、エンジンを動作させるエネルギーを取り出す。
【0023】
シール要素34、前方シール44、後方シール46、段間シール48、ステージ1後方ブレード保持器50、およびステージ2後方ブレード保持器52は、タービンブレードおよびノズルへの圧縮機空気冷却回路を密封し、完全なものにする働きをする。これらのシールはディスクと接触し、ディスクと共に回転する。段間シール48は、静翼410の内側寄り、および第1の段のディスク36と第2の段のディスク40の間に配置される。ブレードをディスクに固定する、オプションのブレード保持器50、52も図示される。そのような保持器の設計はエンジン設計に応じて変更され、エンジン設計によっては保持器が必要でない。
【0024】
これらのシールおよびブレード保持器は、それが導く冷却回路の空気の温度に加熱される。さらに、燃焼路に最も近い部分も、燃焼路部分からの伝導的な熱伝達によって加熱される。例えば、タービンディスクのリムは、タービンブレードによって伝導的に加熱される。上記に論じたように、冷却空気内の汚染物質は冷却キャビティを形成するディスク、シール、および保持器の表面に堆積し、こうした高温での汚染源である。したがって、本発明は、冷却空気の汚染物質の堆積または蓄積による腐食生成物が起こす腐食に曝されるいかなる表面にも保護を施すことができる。
【0025】
図2は、図1のディスク36または40などの一般的なガスタービンエンジンディスク82の斜視図であり、そのエンジンディスクは一般に、前記に論じられた超合金材料のうちの1つなどの超合金材料から作製される。ディスク82は一般的に、ボアを含むエンジンの中心線に沿ってハブ74を備え、そのボアを貫通してシャフト(図示せず)が延びる。ディスクは、ディスクの外周面に沿ってダブテール溝86を備え、その中にタービンブレードが挿入される。ディスク82のウェブ部78が、ダブテール溝が配置される外周面とハブの間に延出する。本発明は、ダブテール溝を含むディスク82に沿ったどの場所にも使用できるが、ハブ74のボアとは異なり、高温の冷却空気に直接曝される、ウェブ部78およびダブテール溝86の表面に沿ってその特定の用途が見出される。
【0026】
図3は、エンジンの構成要素に堆積した本発明のコーティングを断面でその最も単純な形で示す。耐食コーティング64が、基材60の表面62に堆積される。基材60は、第1の段のディスク36または第2の段のディスク40などのタービンエンジンディスクであることができる。基材60は、タービンディスク82のウェブ部78などの一般的な表面であることができる。所望であれば、ニッケル、コバルト、鉄、およびその組合せに基づいた合金で構成される基材60は例えば、NiCrAlY、NiCoCrAlY、NiAlなどのアルミナイド、または(PtNi)Alなどの貴金属改質アルミナイド(noble metal−modified aluminide)などのMCrAlXコーティングなどの基材表面62の上の適合したコーティングを含むこともできる。上記に論じたように、コーティング64は、漸変する(graded)コーティングの単一の層として硬化することができ、表面66は、表面に対する環境を形成する冷却空気に曝される。あるいは、コーティング64は、実質的に単一の成分であることができる。コーティングを漸変させる場合には、別の層がコーティング層64の上に塗装され、第1の層が外側表面66の上に塗装され、別の層がそれに続く外側の層の上に塗装される。
【0027】
本発明の耐食コーティング64を金属基材60の表面62に形成する前に、金属面62は、表面をコーティング64に対してより受け入れるものにするために、一般的に機械的に化学的にまたはその両方で前処理される。適切な前処理方法には、グリッドブラスト法を受けない表面のマスキングを使用するまたは使用しないグリッドブラスト法(参照により組み込まれる1998年3月3日に発行のNagaraj等の米国特許第5723078号、特にコラム4、46〜66行目を参照されたい)、微細加工レーザエッチング(参照によって組み込まれる1998年3月3日に発行のNagaraj等の米国特許第5723078号、特にコラム4、67行目からコラム5、3行目および14〜17行目を参照されたい)、塩酸、フッ化水素酸、硝酸、フッ化水素アンモニウム、およびその組合せを含むものなどの化学的なエッチング剤による処理(例えば、そのすべてが参照により組み込まれる、1998年3月3日に発行のNagaraj等の米国特許第5723078号、特にコラム5、3〜10行目、1986年1月7日に発行のAdinolfi等の米国特許第4563239号、特にコラム2、67行目からコラム3、7行目、1982年10月12日に発行のFishter等の米国特許第4353780号、特にコラム1、50〜58行目、1983年10月25日に発行のFishter等の米国特許第4411730号、特にコラム2、40〜51行目を参照されたい)、研磨粒子によるローディングを使用するまたは使用しない、圧力下の水による処理(すなわち、ウォータジェット処理)、ならびにこれらの方法の様々な組合せが含まれる。一般に、金属基材60の表面62は、グリッドブラスト法によって前処理され、その場合表面62は、炭化ケイ素粒子、鋼鉄粒子、アルミナ粒子、またはその他のタイプの研磨粒子の研磨作用を受ける。グリッドブラスト法で使用されるこれらの粒子は、一般にアルミナ粒子であり、典型的には約600から約35メッシュ(約25から約500マイクロメートル)、より典型的には約360から約35メッシュ(約35から約500マイクロメートル)の粒子寸法を有する。
【0028】
漸変する複数の層のコーティングを得るために、コーティングの別の層が表面66の上に塗装される場合、一般に別の層を塗装する前にコーティング表面66を処理する必要はない。
【0029】
上記は、本発明のコーティングに関する好ましい用途の例を提供するが、本発明はそのようには限定されず、ベースメタルの腐食が明らかである場合のどのような塗装にも使用することができる。本発明は、約0.0001”(0.1ミル)から約0.005”(5ミル)、好ましくは、約0.0005”(0.5ミル)から約2.5”の厚さのコーティングとして塗装される。コーティングは、またはこれらの範囲で全体的な厚さを達成するために、単一の層としてそのような厚さに塗装され、または複数の個別の層として塗装できる。
【0030】
コーティングは、全体にわたって実質的に均一に分散した耐食性粒子を有するケイ素ベースのマトリクスを形成するために塗装される。耐食性は、耐火性酸化物であるMCrAlXの粒子、またはこれらの粒子の組合せによってもたらされる。シリコンベースのマトリクスは、多くの方式のうちの任意の1つで配合できる。しかし、水ベースのシステムは、コロイドシリカを使用する。これは、所望の粘度を得るために水を加えまたは水が蒸発できるようにして、粘度を調整できる好ましいシステムである。本発明を実施する最良の形態では、粘度がいくつかの利用可能なコロイドシリカの溶液のうちの1つを選択することによって達成される。これらの溶液には、デラウェア州WilmingtonのDupont Corpから販売されるLP10、LP20、およびLP30などのLPシリーズが含まれる。LP10は、重量で10%のケイ素の固体およびバランスの水を含む。LP20は、20%のケイ素の固体およびバランスの水を含む。LP30は、30%のケイ素の固体およびバランスの水を含む。溶液の粘度は、固体/バインダー比および所望の塗装方法によって決定される。
【0031】
次に、耐食性粒子がシリカ溶液に加えられる。これらの粒子は、アルミナ、酸化イットリウム(Y)、酸化ジルコニウム(Zr)、二酸化チタン(TiO)、およびその組合せなどのコーティングに耐食性を与えることができる耐火性酸化物粒子を含むことができる。その他の適切な材料には、アルミナのCTEより多くCTEを含み、比較的に不活性または反応しないセラミクスが含まれる。タングステン、クロム、およびレニウムなどの、その他の金属の酸化物が使用できるが、それらは、好ましい耐火性酸化物のように環境保全性があると考えられないので好ましいものではない。あるいは、層に所定のCTEを与えるため、MCrAlX、MCr、MAl,MCrX、またはMAlX粒子を単体でまたは耐火性酸化物粒子と組み合わせて溶液に加えることができる。粒子が重量で全体の溶液の5〜60%、界面活性剤が15%までを構成し、バランスがLPコロイドシリカ溶液のうちの1つになって、粒子はコロイドシリカの溶液に加えられる。
【0032】
したがって、例えば、LP30のコロイド溶液に対して、粒子が重量で約30%まで加えられると、重量で約21%は、シリカの固体を含み、10%までは界面活性剤および溶液のバランスであり、約49%は水からなる。粒子は25ミクロン以下の寸法範囲で提供される。粒子は、実質的に等軸(球形)または非等軸(薄片)であることができる。好ましくは、粒子は10ミクロン以下の寸法である。高い粒子密度が望まれる場合、粒子は少なくとも2つの寸法で提供される必要がある。そのような環境では、好ましくは平均の粒子寸法が約10倍だけ異なる必要がある。粒子の間の寸法差は、より小さな粒子がより大きな粒子の間の領域を満たすことを可能にする。これは、粒子が実質的に等軸である場合に特に明らかである。したがって、高い実装密度が必要とされ、粒子の寸法が約5ミクロンである場合、粒子の第2の寸法範囲は、粒子が0.5ミクロン以下で含まれることも必要である。粒子の実装密度は、層のCTEに対してある程度の効果を有する。
【0033】
1つの好ましい成分は、重量パーセントで約10%のTriton(商標)X界面活性剤、約22.5%のLUCALOX(登録商標)アルミナ、約67.5%のコロイドシリカであるバランスからなるLBK−51Fとして認識される。第2の好ましい成分は、重量パーセントで約2%の界面活性剤、約24.5%の酸洗浄の−325メッシュのアルミナ、および約73.5%のバランスであるコロイドシリカからなるLBK−51Gである。両方の好ましい成分は、噴霧によって加えられる。LUCALOX(登録商標)は、コネチカット州FairfieldのGeneral Electric Companyの登録商標であり、LUCALOX(登録商標)アルミナは、同社から市販される多結晶アルミナである。TRITON(登録商標)シリーズの界面活性剤は、Dow Chemical社から市販されている湿潤性および洗浄力が認知されている非イオン性のオクチルフェノールエトキシレート型の界面活性剤である。
【0034】
耐食性粒子がスラリを形成するために溶液に加えられた後に、スラリの粘度は、混合物に液体を加えまたは追加の粒子を加えることによって調整される。スラリのpHは、わずかに塩基性であり、約3.5〜4.5の範囲であり、典型的には約4.0である。界面活性剤および分散剤は、必要な時にスラリに加えることができる。粘度は、必要であれば意図された塗装方法に合うように調整する必要がある。スラリが噴霧される場合、粘度は非常に低く調整する必要があり、それに対して例えば、厚さを調整するためにドクターブレードを使用してスラリがゲルとして塗装される場合、スラリが容易に流れないように液体が除去される必要がある。スラリをテープに形成する場合、より多くの液体を除去する必要がある。最後の2つの例では、混合が完了した後に最終の粘度調整が行われる。意図された塗装方法にかかわらず、混合物は完全に攪拌される。攪拌は約0.5〜5時間、任意の便利な方法によって行うことが可能である。好ましくは、混合は約1〜2時間の間、行われる。これは、粒子がスラリ全体にわたって均一に完全に分配されるだけでなく、溶液が完全に粒子を湿潤しまたはコーティングすることからも重要な段階である。粒子に応じて、粒子の表面が加水分解されると考えられ、それによって以下に論じられるように、加水分解されるシリカベースの材料と結合できるようにする。
【0035】
好ましい実施形態では、粘度はスラリが噴霧によって塗装できるように調整される。この環境では、スラリは、塗装の用意ができるまでボールミル上に置くことによって連続的に攪拌される。スラリが噴霧されるときでも、スラリは、スプレーガンのポットを使用することにより空気圧で攪拌できる。スラリは、調整可能なオリフィスを有するBosch型スプレーガンを使用して塗装される。オリフィスの寸法は、スラリで最大の粒子よりも大きくする必要がある。スラリは、約20〜60psiの圧力で噴霧される。コーティングは、予め選択された厚さで塗装され、より厚いコーティングが所望される場合より大きなオリフィスが選択される。
【0036】
混合物は、構成要素の表面に塗装された後に乾燥させることができる。乾燥は、2つの段階で行われる。第1の段階では、乾燥は、結合していない水を除去するために行われる。これは、ゲルまたはペーストをコーティングするスプレーとして、構成要素の表面に混合物を塗装した後に、好ましくは温度を212°F(100℃)より下に上昇させ、または湿度を相対湿度の30%の下に低下させることによって行われる。より高い湿度および/またはより低い温度も乾燥を与えるが、必要な乾燥を行うのにより長い時間を必要とすることが、当業者によって認識されるであろう。コーティングが0.001”(1ミル)またはそれより多い厚さで塗装されると、膨れを防止するために約5〜15°F/分以下の比率で加熱を行う必要がある。次に、結合していない水を飛ばし、材料を硬化させるために、コーティングが約204℃(400°F)またはそれより高い温度に加熱される。
【0037】
コーティングされた基材を硬化温度の上の高温に焼成すると、ガラスコーティングの少なくとも一部分が、実質的に均一に分散した粒子をその中に分散させて有するガラス状のセラミックに転換される。好ましくは、焼成は構成要素の予測される動作温度で、またはそれより高い温度で行われる。好ましい焼成サイクルは、1分当たり約10°Fの比率で1000°Fで30分間の間である。コーティングは、約2100°Fまで焼成できる。
【0038】
漸変し、または層になったコーティングは、第1の層およびその後に続く層の上に追加の層を塗装することによって達成することができ、後に続く各層は、結合していない水を除去するために乾燥させた後に塗装される。当然ではあるが、各層は、異なるローディングの粒子および/または異なる成分の粒子を有するように調整され、ローディングおよび粒子のタイプは、層のCTEを決定する。漸変するコーティングがこの様式で塗装されると、層の間の境界面でのローディングのある程度の混合がある可能性がある。硬化時には、層の間に強い結合があり、ローディングおよび/またはタイプを除いて、コーティングは均一のコーティングとして作用する。CTEは、厚さによって調整することができるので、それによって生じる応力および歪みは、コーティング厚さの関数として設計できる。これによって、所望であれば、アルミナなどの耐食性が高くCTEが低い粒子をコーティング層に使用することができ、その層は、基材へのコーティングの接着に悪影響を与えずに、CoNiCrAlY粒子を含む層などの耐食性のより低いCTEのより高いコーティング層の上に塗装することができる。
【0039】
本発明のコーティングは、図3のマトリクス内でRおよびRの実質的に均一に分散した粒子65を有するシリカマトリクス63からなる。RおよびRは、耐食性で耐火性の酸化物MCr、MCrX、MAl、MAlX、またはMCrAlX粒子のいずれかであることができ、ここでRは、CoNiCrAlY粒子を表し、R1はジルコニア粒子を表す。CoNiCrAlY粒子は、シリカマトリクスによって囲まれたものとして示される。分散したジルコニア粒子およびCoNiCrAlY粒子は、耐食性を有するコーティングをもたらす。粒子の成分、または様々な成分の粒子の組合せは、剥離を防止しながらコーティング64と基材60の間に十分に近似するCTEをもたらすために選択される。要求されるレベルの耐食性、および要求されるCTEが達成できない場合、中間のCTEを有する中間層を基材の上、および要求される耐食性を有する層の下に塗装することができる。外層70も、コーティング64の上に重なって示される。外層70は、コーティング64に結合されたケイ酸塩ガラス層である。この実施形態では、ケイ酸塩ガラスは装飾層として設けられる。層の間の機械的な結合は比較的弱い。ここで、オプションの層70は、輸送および設置の間、コーティング64を保護するように設計されている。実際には、構成要素が使用され、反復的な熱応力に曝されるようになった直後に層の間の境界面68に沿って剥離するように設計されている。しかし、層70は、要求に応じて、また上記に論じたように、シーリング層として、または基材により強く結合するように設計することができる。
【0040】
図4は、シリカマトリクスに分散したアルミナ粒子のコーティングによってコーティングされたRene(登録商標)88の切取り試片を示す。切取り試片は、1”×1”であった。コーティングは、前述のような乾燥、焼成、および硬化を含む処理によってコロイドシリカのバインダーに懸濁されたアルミナ粒子のスラリを噴霧することによって塗装された。切取り試片は、ガスタービンエンジンが遭遇する腐食性物質に試片を曝し、試片に1300°Fの温度を繰り返して受けさせることを伴う、ロータ腐食試験を受ける。ラン1はロータ腐食試験の1サイクル後の切取り試片を示し、ラン11はそのような11サイクル後のものを示す。図5は、腐食試験の1サイクル後および11サイクル後の図4の切取り試片の顕微鏡写真である。図示のように、腐食試験の11サイクル後のコーティング上にNiS/NiOの腐食が形成される。これは、コーティングされていないRene(登録商標)88よりも4倍の改善であり、先行技術のコーティングによって提供された腐食保護と同等である。しかし、従来技術のコーティングと異なり、基材のCTEにより近く適合するCTEを有する本発明のコーティングは、剥離すると予測されず6価クロムを含まないバインダーを取り入れる。本発明を好ましい実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更を行うことができ、その要素を等価物に置き換えることができることを当業者は理解するであろう。さらに、特定の状態または材料を本発明の教示に適合するために、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに多くの変更を行うことができる。したがって、本発明は、それを実施するために企図される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されず、本発明は添付の特許請求の範囲内に収まるすべての実施形態を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ガスタービンエンジンのタービン部の一部分の断面図である。
【図2】本発明の耐食コーティングがどこに望ましく配置できるかを示す、ガス流れの方向でエンジンの前面またはファン部分から見た、タービンディスクの斜視図である。
【図3】基材に塗装される本発明のコーティングの単一の層の断面図である。
【図4】本発明によってコーティングされた腐食試験前後の切取り試片を示す図である。
【図5】図4の切取り試片の腐食試験前後の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0042】
30 タービン部
32 タービンディスク
34 シール要素
36 第1の段のディスク
38 第1の段のブレード
40 第2の段のディスク
42 第2の段のブレード
410 静翼
44 前方シール
46 後方シール
48 段間シール
50 ステージ1後方ブレード保持器
52 ステージ2後方ブレード保持器
420 ケーシング
430 ライナ
74 ハブ
78 ウェブ部
82 ディスク
86 ダブテール溝
60 基材
62 基材表面
63 マトリクス
64 コーティング
65 粒子
66 表面
68 境界面
70 外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンの構成要素(60)と、腐食に耐性があり前記エンジンの構成要素(60)の少なくとも一部分の上に重なる、少なくとも1つのコーティングの層(64)とを備え、
前記コーティング(64)が、ガラス状のマトリクス(63)、および耐火性の酸素粒子(65)を含み、
前記ガラス状のマトリクス(63)がシリカであり、
前記耐火性の酸素粒子(65)が前記マトリックス(63)内で実質的に均一に分配され且つ前記コーティング(64)に予め選択された熱膨張係数をもたらすように選択され、
前記コーティング(64)が耐食性である
耐食性のタービンエンジンの構成要素。
【請求項2】
前記コーティングマトリクス(63)がガラス状のセラミックマトリクスである、請求項1記載の構成要素(60)。
【請求項3】
前記耐火性酸化粒子(65)が、Al、Y、Zr、Ti、およびその組合せからなる群から選択される、請求項1記載の構成要素(60)。
【請求項4】
前記コーティング(64)の前記所定の熱膨張係数が、アルミナの層の前記熱膨張係数よりも大きくなっている、請求項1記載の構成要素(60)。
【請求項5】
前記コーティング(64)がさらに、MAl、MAlX、MCr、MCrX、MCrAlX粒子、およびその組合せからなる群から選択される金属粒子を含み、Mが、ニッケル、鉄、コバルトおよびその組合せから選択される元素であり、Xが、La、Ta、Re、Y、Zr、Hf、Si、B、Cおよびその組合せからからなる群から選択される元素であり、前記金属粒子が前記コーティング(64)に所定の熱膨張係数を与えるために前記マトリクス(63)内に実質的に均一に分配される、請求項1記載の構成要素。
【請求項6】
タービンエンジンの構成要素(60)を提供するステップと、コロイドシリカ、および適宜、界面活性剤を含む流体を提供するステップと、耐火性酸化物であるMAl、MAlX、MCr、MCrX、MCrAlX、およびその組合せからなる群から選択される耐食性粒子(65)を提供するステップであって、Mが、ニッケル、鉄、コバルトおよびその組合せから選択される元素であり、Xが、La、Ta、Re、Y、Zr、Hf、Si、B、Cおよびその組合せからからなる群から選択される元素であるステップと、前記流体が前記粒子を実質的に均一にコーティングするスラリを形成するために前記粒子(65)を前記流体と混合するステップと、前記スラリを前記構成要素(60)の前記表面(62)の少なくとも一部分に塗装するステップと、結合していない水を除去し、前記構成要素(60)の前記表面(62)の少なくとも前記一部分の上に予め選択された厚さのコーティング(64)を形成するために前記スラリを乾燥させるステップと、残留するいかなる結合水も除去し、前記コーティング(64)をそれが塗装される前記表面(62)の少なくとも前記一部分の上で最初に硬化させるために、所定の加熱率で予め定められた温度に加熱することによって予め定められた厚さの前記コーティング(64)をさらに乾燥させるステップと、均一に分配された粒子(65)を有する少なくとも1つのガラス状のマトリクス(63)を含む第1の層を形成するために予め定められた温度で前記コーティング(64)を焼成するステップであって、前記第1の層が所定の熱膨張係数を有するステップとを含む、耐食性のコーティングの層(64)をタービンエンジンの構成要素(60)に塗装する方法。
【請求項7】
前記流体が前記粒子を実質的に均一にコーティングする第2のスラリを形成するために粒子(65)を流体と混合するステップであって、前記第2のスラリの成分が前記層を形成する前記スラリの成分とは異なるステップと、前記第2のスラリを前記第1の層の少なくとも一部分に塗装するステップと、結合していない水を除去し、前記第1の層の少なくとも前記一部分の上に予め選択された厚さの第2のコーティング(70)を形成するために前記第2のスラリを乾燥させるステップと、残留するいかなる結合水も除去し、前記第2のコーティングをそれが塗装された前記第1の層の少なくとも前記一部分の上で最初に硬化させるために、予め定められた加熱率で所定の温度に加熱することによって所定の厚さの前記第2のコーティングをさらに乾燥させるステップと、均一に分配された粒子(65)を有する少なくとも1つのガラス状のマトリクス(63)を含む、前記第1の層の上に重なる第2の層を形成するために少なくとも538℃(1000°F)の予め定められた温度で前記第2のコーティング(70)を焼成するステップであって、前記第2の層が前記第1の層の前記熱膨張係数とは異なる第2の所定の熱膨張係数を有するステップとをさらに含む請求項6記載のコーティング方法。
【請求項8】
コロイドシリカ、適宜、界面活性剤および耐食性粒子(65)を含む流体を供給する前記ステップが、重量パーセントで15%までの界面活性剤、5〜60%の粒子、およびバランスのコロイドシリカを供給する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
粒子(65)を提供する前記ステップがさらに、25ミクロン以下の寸法の範囲で粒子(25)を提供するステップを含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
粒子(65)を提供する前記ステップが、少なくとも2つの寸法の範囲で粒子(65)を提供するステップを含み、前記提供された粒子の平均寸法が略10倍だけ異なる、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−187152(P2007−187152A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−326508(P2006−326508)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】