説明

腫瘍の治療のための薬剤活性物質として使用されるプロリン誘導体

【課題】 本発明はプロリン誘導体およびそれらの塩、該誘導体を含有する医薬用薬剤、および腫瘍を治療するための該医薬用薬剤の使用に関する。本発明はまた該化合物ならびに医薬用薬剤を生産するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプロリン誘導体、特にシスヒドロキシプロリン誘導体(CHP誘導体)およびその塩、それらからなる医薬用薬剤および腫瘍の治療における前記医薬用薬剤の使用に関する。さらに本発明は上記の化合物および医薬用薬剤の生産に関する。
【0002】
用語"腫瘍"(または癌)は、細胞の増殖と分化が制御できない複合臨床像を指す。一般に、未治療の癌は死に至る。毎年世界中で700万の癌の新規の発症があり、増加傾向にある。この疾病は2000年に、先進工業国における死亡の第一の原因と見做された。
【背景技術】
【0003】
1930年代と1940年代に、マウスにおける腫瘍で種々のアミノ酸の効果がテストされた。ここで使用されたアミノ酸の中にプロリンとヒドロキシプロリンがある。その後の調査で、マウスから得られた結果はヒト癌性疾患に適用できないことが示された(ドイツ国特許第 35 38 619号)。
【0004】
見込みのある初期テストに基づき、癌の予防と治療に使用し得るプロリンとヒドロキシプロリンに基づいた薬剤を提供するために、繰り返し努力がなされた。たとえば、ドイツ国特許第35 38 619号の文書は、癌腫と関連の腫瘍の治療におけるヒドロキシプロリンのシス異性体の使用について記述している。プロリンとヒドロキシプロリンの種々のアルキル誘導体と、癌性疾患の治療における薬物としてのそれらの使用が欧州特許出願第02 223 850号において開示されている。欧州特許出願第02 223 850号には、前記アルキル誘導体の例として、種々なN-メチル誘導体の考察がある。
【0005】
国際出願公開第97/33578号は、特に癌治療において、治療有効成分として使用するシスヒドロキシプロリンとN-メチルシスヒドロキシプロリンの組み合わせからなる薬物について記述している。国際出願公開第97/33578号によれば、細胞増殖の有意な抑制に基づく抗腫瘍効果が、腫瘍細胞の細胞培養において検出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に開示された薬剤は、効果を達成するには高用量で使用する必要がある。さらに、記述されている結果を再現するのは非常に困難であることがわかった。
【0007】
したがって本発明の目的は、癌細胞の増殖、浸潤、侵襲、血管形成および/または転移を容易に、信頼性のあるおよび効果的な態様で抑制または防止するために使用可能な薬剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般構造式(I)の化合物を提供することによって上記の問題を解決する。
【化1】

式中、R1はヒドロキシ基、アリール基またはアミノ酸基で、
R2は水素、アルキル(C1 - C4)基、置換アルキル(C1 - C4)基、ジアルキル(C1 - C4)基、シクロヘキシル基、フェニル基またはジフェニル基で、
R3はアルキル(C2 - C5)基、
および/またはそれらの塩で、
ただしR1がヒドロキシ基であれば、R2はメチル基でない。
【発明の効果】
【0009】
驚くべきことに、上記の化合物、すなわちヒドロキシプロリン(CHP)誘導体は高用量、たとえば体重量1kg当たり0.1 g以上または0.2 gでも多大な副作用なく使用し得ることを実証可能であった。驚くべきことに、新規の誘導体、特にN-ジメチルエステルおよびフェニルアミノカルボニルエステル、ならびにほかの本発明の化合物は、公知の抗増殖剤と比較してより有効に使用可能である。
【0010】
本発明の薬剤は、静注でたとえば1日当たり5〜15 gの範囲、経口でたとえば1日当たり50〜150 gの範囲で投与可能である。公知のプロリン誘導体は特に癌腫、すなわち上皮性起源の腫瘍に使用可能である一方、本発明の薬剤は細胞増殖または転移によって実質的に判断された種々の疾病に使用可能である。
【0011】
有利には、本発明の化合物は特にハイブリッド分子としてまたは併用薬剤において使用可能である。たとえば、ハイブリッド分子は、オキソプラチンまたはオキソプラチンと5-フルオロウラシル(5-FU)に結合した本発明の化合物を含む構造とすることができる。当業者に公知の製薬技術手法を使用して、該ハイブリッド分子をプロドラッグとしての使用ができる方法で提供可能である。
【0012】
極性化合物からなる活性物質の細胞取り込みのためのエンドサイトーシスの利用は、一部の、特に長期間安定の物質には非常に有効であるが、より一般的な用法に移すのは非常に困難である。一つの代替法は当業者に公知のプロドラッグの概念である。定義によれば、プロドラッグは、非活性前駆代謝物質の形でその活性物質を含む。キャリアプロドラッグシステムと生体内変化システムの区別は可能である。後者は化学的代謝または生物学的代謝を要求する形で活性物質を含んでいる。かかるプロドラッグシステムは当業者に公知である。キャリアプロドラッグシステムは、好適には簡単な制御可能な機序で開裂可能なマスキング群に結合する形の活性物質を含んでいる。本発明の化合物におけるマスキング群の独創的な機能は、細胞による受容の改善のためのチャージの中性化である。本発明の化合物をマスキング群と併用する場合、後者は経口バイオアベイラビリティ、組織中での分布、薬物動態ならびに非特異的ホスファターゼに対する安定性のようなそのほかの薬理学的パラメータに影響することがある。加えて、活性物質の遅延放出がデポー効果を引き起こすことがある。さらに、代謝の修飾が起こることがあり、これにより活性物質または器官特異性の高効率が達成される。プロドラッグを製剤する場合、マスキング群、またはマスキング群を活性物質に結合するリンカー群は、血清中で溶解されるための十分な親水性、作用部位に到達するための十分な化学的安定性と酵素安定性、および拡散律速膜輸送に適した親水性をプロドラッグが持つように選択される。さらに、活性物質の化学的遊離または酵素的遊離が適度な時間内に可能でなければならず、もちろん遊離された補助成分が毒性であってはならない。しかし本発明の意味から、マスクのないまたはリンカーのない化合物およびマスクなしもプロドラッグとして理解可能で、これは細胞内の組み込まれた化合物から酵素工程と生化学的工程を経て最初に生成される必要がある。
好適な態様では、アミノ酸はBiochemie; Berg, Tymoczko, Stryer (2003)またはそのほかの標準的な生物学の教科書に開示されているような天然のまたは人工的なアミノ酸である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適な実施態様において、
R1はヒドロキシ基、フェニルアミノ基またはアミノ酸基で、
R2は水素、メチル基、ジメチル基、シクロヘキシル基またはジフェニルメチル基で、および
R3はエチル基、イソブチル基および/または水素である。
【0014】
特に好適な実施態様において、上記の化合物のフェニルアミノ基は修飾アミノ基、特にフェニルアミノカルボニルオキシ基を含む。特に好適な態様において、該化合物は4-ヒドロキシプロリン エチルエステル(4-hydroxyproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-プロリン エチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline ethyl ester iodide)、4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン イソブチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline isobutyl ester iodide)、4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-cyclohexylproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩(4-hydroxy1-1-diphenylmethylproline isobutyl ester hydrobromide)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン(4-hydroxy-1-methylproline)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline)および/または1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン イソブチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline isobutyl ester)からなる群から選択される。
【0015】
また本発明は、任意選択で従来の助剤、好ましくは薬理学的に受容可能な担体、アジュバントおよび/または賦形剤と共に、本発明による化合物を含む医薬用薬剤に関する。
【0016】
本発明の化合物は、無機酸または有機酸由来の塩の形で使用可能である。たとえばかかる酸性塩は下記を含む:酢酸塩(acetate)、アジピン酸塩(adipate)、アルギン酸塩(alginate)、アスパラギン酸塩(aspartate)、安息香酸塩(benzoate)、ベンゼンスルホナート(benzenesulfonate)、重硫酸塩(bisulfate)、クエン酸塩(citrate)、樟脳(camphorate)、カンファースルホン酸(camphorsulfonate)、シクロペンタンプロピオン酸塩(cyclopentanepropionate)、ジグルコン酸塩(digluconate)、ドデシル硫酸塩(dodecylsulfate)、エタンスルホン酸塩(ethanesulfonate)、フルマル酸塩(fumarate)、グルコヘプタノエート(glucoheptanoate)、グリセロリン酸塩(glycerophosphate)、ヘミサルフェート(hemisulfate)、ヘプタノエート(heptanoate)、ヘキサン酸塩(hexanoate)、塩酸塩(hydrochloride)、臭化水素酸塩(hydrobromide)、ヨウ化水素酸塩(hydroiodide)、2-ヒドロキシエタンスルホネート(2-hydroxyethanesulfonate)、乳酸塩(lactate)、マレイン酸塩(maleate)、メタンスルホン酸塩(methanesulfonate)、2-ナフタレンスルホネート(2-naphthalenesulfonate)、ニコチン酸塩(nicotinate)、シュウ酸塩(oxalate)、パルモエート(palmoate)、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩(persulfate)、3-フェニルプロピオネート(3-phenylpropionate)、ピクリン酸塩(picrate)、ピバレート(pivalate)、プロピオン酸塩(propionate)、コハク酸塩(succinate)、酒石酸塩(tartrate)、チオシアン酸塩(thiocyanate)、トシレート(tosylate)およびウンデカン酸塩(undecanoate)、および特に好適な態様においては、前記化合物の塩はヨウ化物、臭化物および/または塩化物である。
【0017】
本発明の意味における医薬用薬剤は、生物体の全体の状態または特定部位の状態の病原修飾を少なくとも一時的に確立できるような方法で、特に腫瘍細胞または発癌と接触するようになった患者の予防、診断、治療、フォローアップまたはアフタケアに使用可能な、医薬業界における任意の薬剤である。たとえば本発明の意味における医薬用薬剤は、ワクチン、免疫治療薬または免疫予防剤であることができる。本発明の意味における医薬用薬剤は、本発明の化合物または本発明の化合物および/またはその受容できる塩またはその化合物を含むことができる。たとえば、リン酸のような無機酸の塩が関与することができ、または有機酸の塩もそうである。さらに、該塩はカルボキシル基なしであり得て、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは鉄水酸化物のような無機塩基に、またはイソプロピルアミン(isopropylamine)、トリメチルアミン(trimethylamine)、2-エチルアミノエタノール(2-ethylaminoethanol)、ヒスチジン(histidine)ほかのような有機塩基に由来する。
液体担体の例は、水のような追加材料または活性成分を含まない無菌水溶液、または生理的pH値のあるリン酸ナトリウムまたは生理的食塩水または両者、たとえばリン酸緩衝塩化ナトリウム溶液、のような緩衝剤を含むものである。そのほかの液体担体は、たとえば塩化ナトリウムと塩化カリウム、デキストロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの、1以上の緩衝塩を含むことができる。
【0018】
前記医薬用薬剤の液体組成は、さらに液相を含めることができるが、水を除く。かかる追加の液相の例はグリセロール、植物油、有機エステルまたは水-油エマルジョンである。医薬組成すなわち医薬用薬剤は、全体の医薬組成に対して、典型的には本発明による化合物の少なくとも0.1重量パーセントの含有量を含む。
【0019】
好ましくは、4-ヒドロキシプロリン エチルエステル(4-hydroxyproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-プロリン エチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline ethyl ester iodide)、4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン イソブチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline isobutyl ester iodide)、4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-cyclohexylproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩(4-hydroxy1-1-diphenylmethylproline isobutyl ester hydrobromide)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン(4-hydroxy-1-methylproline)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline)、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン イソブチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline isobutyl ester)、(R)-(+)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール((R)-(+)-α,α-diphenyl-2-pyrrolidinemethanol) および/または(S)-(-)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール((S)-(-)-α,α-diphenyl-2-pyrrolidinemethanol)が、細胞増殖、細胞分化および/または細胞分裂に関連した疾患、特に腫瘍、の診断、予防、フォローアップ、治療および/またはアフタケアに使用される。本発明の医薬用薬剤を投与するためのそれぞれの投与量または投与範囲は、所望の予防または治療の抗ウイルス効果を達成するのに十分な量である。不所望の副作用が支配的になるように投与量を選択してはならない。一般に投与量は、患者の年齢、体質、性別および明らかに疾患の重症度によって変動する。個々の投与量は原疾患ならびにさらなる合併症を防ぐ両面から調整可能である。正確な投与量は、たとえば腫瘍の大きさ、白血球数などを投与量の関数としてまたはワクチン接種スキームのまたは製薬担体などの関数として決めることによって、公知の手段を使用して当業者によって知ることができる。投与量は患者に依存して個別に決定可能である。たとえば、患者が耐容できる医薬用薬剤の投与量は、血漿または個々の器官における局部レベルが0.1〜100,000 μM、好ましくは1〜1,000 μMの範囲にある場合であることができる。別法として、投与量を患者の体重量に関して推定することも可能である。この場合、たとえば、医薬用薬剤の典型的な投与量は、体重量1 kg当たり0.1 g以上の範囲、好ましくは0.1〜5,000 g/kgの間で調整される。さらに、投与量を患者全体というよりむしろ個々の器官に関して決定することも可能である。これは、たとえばバイオポリマーに入れてそれぞれの患者に取り入れられた本発明の医薬用薬剤を、手術という手段によって特定の器官の近くに置く場合に適用される。分子を所望の態様で作用させることが可能な多数のバイオポリマーが当業者に公知である。たとえばこのようなゲルは、本発明の化合物または医薬用薬剤をゲルの組成ml当たり1〜1000 g、好ましくは5〜500 g/ml、そしてより好ましくは10〜100 g/ml含むことができる。この場合、該医薬用薬剤は固体、ゲル様または液体組成の形で投与されることになる。
【0020】
本発明の化合物の使用の間の上記の濃度に加えて、好ましい実施態様における該化合物は、24時間に体重量1 kg当たり0.05〜500 g/kgの全量で、好ましくは体重量1 kg当たり5〜10 g/kgで使用可能である。有利には、これはある疾患の症状または反応のよい病理的に生理学的状態を防止または改善するのに使用される治療量である。投与量は、腫瘍の増殖、転移、侵襲、浸潤または血管形成を防止または抑制するのに十分なものである。これらの予防または治療の可能性に関し、本発明の化合物が上記の腫瘍に与える影響が、たとえば増殖ほかの抑制として見られる。たとえば、治療効果は、好ましい副作用として、特に抗腫瘍薬物がそれらの効果において改善されたこと、または投与量を低減することによってこれらの薬物の副作用の数が、本発明の化合物を適用した結果減少するようなものであることができる。もちろん治療効果は、腫瘍に対する直接作用も含む。しかし本発明の化合物の効果は、腫瘍を除去することに限られるのではなく、むしろ予防と治療における好都合な効果の全体の領域を含むものである。上記に述べたように、明らかに、投与量はレシピエントの年齢、健康および体重量、疾患の程度、必要な同時治療のタイプ、治療の頻度と所望の効果のタイプおよび副作用に依存する。所望の結果を得るために、0.05〜500 g/kg体重量の1日用量を単回投与量としてまたは反復投与で適用可能である。1日当たりの投与量レベルは、腫瘍疾患の防止ならびに治療において使用可能である。典型的には、とりわけ医薬用薬剤は1日当たり約1〜15回の投与において使用され、または別法としてまたは追加で静注として使用される。かかる投与は長期治療または緊急治療として適用可能である。もちろん担体材料と組み合わせて単一剤形を生成する活性物質の量は、治療する受容者と投与の特定のタイプの投与に依存する。好適な態様において、1日用量は2〜5回に分け、1回につき体重量1 kg当たり0.05〜5 g/kgの活性物質を含有する錠剤を1〜2錠投与する。もちろん、たとえば500 g/kgの濃度までの高含有量の活性物質を選択することも可能である。たとえば錠剤を持続放出性錠とし得て、この場合1日当たりの適用回数は1〜3回に減少する。持続放出性錠の活性物質の含有量は3〜300 gとし得る。上記に説明したように、活性物質を注射剤により投与する場合、受容者は好ましくは本発明の化合物に1日当たり1〜8回接触し、または持続注入によって投与され、この場合の投与量は好ましくは1日当たり1〜400 gである。1日当たり好ましい全量は、ヒトおよび動物薬のいずれにおいても有利なことが見いだされた。上記の用量から逸脱することが必要になることがあり、これは治療する受容者の素質と体重量、疾患のタイプと重症度、薬物の剤形のタイプと適用、および投与が行なわれる期間または間隔に依存する。場合によっては上記より少量で器官に接触するのが好ましいが、ほかの場合では上記の活性物質の量がこれに勝るものでなければならない。当業界で特別な知識を有している当事者は、それぞれのケースで必要な活性物質の最適量と活性物質の適用のタイプを容易に決定可能である。本発明のもう一つの特に好ましい実施態様において、本発明の化合物または医薬用薬剤は体重量当たり1〜80 g/kg、特に1〜30 g/kgの単回投与において使用される。同様に1日当たりの総量として、適用当たりの1回量は当業界で特別な知識を有している当事者で異なることがある。同様に、本発明に従って使用される化合物は、上記の単一濃度および剤形で、飼料または配合飼料または飲料水と共に動物薬において使用可能である。1回量は好ましくは、単回の適用で投与される活性物質の量を含み、通常1日用量の1回全量、1日用量の半分、または1日用量の3分の1または4分の1に対応する。したがって用量単位は好ましくは1、2、3または4またはそれ以上の1回量を含み、または1回量の0.5、0.3または0.25となる。好ましい態様において、本発明の化合物の1日用量は2〜10回の適用、好ましくは2〜7回、より好ましくは3〜5回の適用に分けて投与される。もちろん本発明の薬剤の持続注入も可能である。
【0021】
本発明の特に好ましい実施態様において、本発明の化合物の各経口投与で1〜2錠が投与される。本発明による錠剤は、当事者に公知のコーティングおよび外皮を施して提供可能で、または活性物質(複数)を受容者の好ましい、特定の領域でのみ放出するように構成可能である。
【0022】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、本発明による化合物を少なくとも1のそのほかの公知の医薬用薬剤と併用して使用可能である。すなわち、本発明の化合物は、公知の薬物と予防または治療の組み合わせで使用可能である。かかる組み合わせは、所望の予防または治療効果を達成する目的で、たとえば統合医薬剤形においてまたは別々に、たとえば同時または異なる時間に投与される錠剤、注射またはほかの投薬の形で同時に投与可能である。これらの公知の薬剤は、本発明による化合物の効果を亢進する薬剤であり得る。これにはベンジルピリミジン、ピリミジン、スルフォアミド、リファンピシン、トブラマイシン、フシジン酸、クリンダマイシン、クロラムフェニコールおよびエリスロマイシンのような抗菌薬または抗ウイルス薬が含まれる。したがって本発明のもう一つの実施態様は、第2の薬剤が少なくとも上記の抗ウイルス薬または抗菌薬または薬剤のクラスの一つである組み合わせに関する。本発明の化合物と組み合わせは、免疫修飾治療および治療法に関連して使用可能であることにも留意すべきである。
【0023】
典型的には、互いにおよび/または活性物質が最適比率で存在する(プロベネシド、アセトアミノフェン、アスピリン、ロラゼパン、シメチジン、ラニチジン、コリフィブレート、インドメタシン、ケトプロフェン、ナプロキセンなどの輸送阻害剤、代謝阻害剤、腎排せつまたはグルクロン酸化などの抑制剤などの)治療薬または効果促進剤に関して、本発明の化合物の最適比率が存在する。最適比率は本発明の化合物のそのほかの治療薬(複数)に対する比率と定義され、ここでは全体の治療効果が個々の治療薬の効果の合計より大きくなる。一般に、最適比率は、薬剤が10:1〜1:10、20:1〜1:20、100:1〜1:100および500:1〜1:500の比率で存在するときに見いだされる。場合によっては、1またはそれ以上のほかの薬剤の効果を増大させるのに非常に僅かの治療薬で十分である。加えて、本発明の化合物を組み合わせて使用すると、癌抵抗性が増大するリスクを低減するのに特に有益である。もちろん、本発明の化合物をほかの公知の抗癌剤と併用することが可能である。かかる薬剤は当事者に公知である。したがって本発明の化合物は、単剤または合剤のいずれかで、すべての従来の薬剤、特に抗癌剤との関連で使用できる特にほかの薬剤との併用投与が可能である。これらは単独でまたはそれとの併用で投与可能である。
【0024】
好ましい態様において、本発明の化合物は、約0.005〜1の比率で前記公知の医薬用薬剤と併用投与される。好ましくは本発明の化合物は、前記公知の薬剤が0.05〜約0.5部の比率でそして1部までの比率で特に抗腫瘍剤と併用投与される。この場合、抗菌剤も関与し得る。医薬組成は保存剤、緩衝物質、溶液の浸透圧を調整する物質などと共に、物質中にまたは水溶液として存在可能である。本発明は、本発明の化合物、任意選択で該キットの内容物を組み合わせるための情報を含むキットにも関する。 キットの内容物を組み合わせるための情報は、疾患、特に腫瘍疾患の予防および/または治療における前記キットの使用に関する。たとえば、該情報は治療形態、すなわち具体的な注入または投薬スケジュール、投与すべき投与量などにも関する。
【0025】
好ましい態様において、医薬用薬剤は抗ウイルス薬、殺菌剤または抗菌剤および/または免疫促進物質または化学療法薬の群から選択される1またはそれ以上の追加の薬剤をさらに含んでよい。好ましくは、該抗ウイルス薬はプロテアーゼ阻害剤および/または逆転写酵素阻害薬である。該免疫促進物質は好ましくはブロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、IL-2、GM-CSF、インターフェロン、ジエチルジチオカルバマート、腫瘍壊死因子、ナルトレキソン、tuscarasolおよび/またはrEPOである。該化学療法薬は好ましくはalitretinoin、アルデスロイキン(IL-2)、アルトレタミン、全トランス-レチノイン酸(トレチノイン)、アミノグルテチミド、アナグレリド、アナストロゾール、アスパラギナーゼ(E. coli)、アザチオプリン、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン(2-CDA)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシンD、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、リポソームダウノルビシン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、エピルビシン、リン酸エストラムスチン、エトポシド(VP-16-213)、エキセメスタン、フロクスウリジン、5-フルオロウラシル、フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲンツズマブ、酢酸ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、メシル酸イマチミブ、イリノテカン、α-インターフェロン、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、レバミソール−塩酸、ロムスチン、酢酸メゲストロール、メルファラン(L-フェニルアラニンマスタード)、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、メトキサレン(8-MOP)、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ナイトロジェン マスタード(メクロレタミン塩酸塩)、オクトレオチド、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン)、プリカマイシン、ポルフィマー、プロドニソン、プロカルバジン、リツキシマブ、ストレプトゾトシン、タモキシフェン、テニポシド(VM-26)、6-チオグアニン、サリドマイド、チオテパ、トポテカン、トレミフェン、トラスツズマブ、トリメトレキサート、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび/またはビノレルビンである。本発明の化合物は免疫修飾物質または免疫促進物質と併用することも可能で;好ましい免疫修飾物質または免疫促進物質は:プロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、IL-2、GM-CSF、インターフェロン−アルファ、ジエチルジチオカルバマート、腫瘍壊死因子、ナルトレキソン、tuscarasol、rEPOおよびイセチオン酸ペンタミジンのような抗生物質であるが、ウイルス性疾患に関連した悪性腫瘍を防止または効果がある薬剤も含まれる。ウイルス感染、細菌感染、殺菌および/または寄生虫感染の治療または癌の治療のための方法において、本発明の化合物は上記に説明の通り、耐容できる担体、アジュバントまたは賦形剤と共に投与可能である。本発明の薬物に使用可能な医薬的に耐容できる担体、アジュバントおよび賦形剤にはイオン交換体、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール-1000コハク酸塩または類似のほかのポリマー送達マトリックスのような自己乳化薬物送達システム(SEDDS)、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または硫酸プロタミンのような電解質、リン酸水素ニナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリコン二酸化物、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これに限定されない。α-, β- および γ-シクロデキストリンのようなシクロデキストリン、または2- および 3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンのような化学的修飾された誘導体またはほかの可溶化誘導体も、本発明による化合物の送達を促進するのに有利に使用可能である。この方法に照らして、本発明の化合物は経口、非経口、経吸入スプレー、局所、経直腸、経鼻、経口腔、経膣または埋め込みリザーバによって投与可能である。接触の形としては経口投与または注入を経由した投与が好ましい。本発明の薬物は従来の非毒性で医薬的に耐容できる担体、アジュバントまたは賦形剤をすべて含むことができる。場合によっては、処方化合物またはその送達形態の安定性を高めるために、製剤のpH値を医薬的に耐容できる酸、塩基または緩衝剤で調整可能である。本明細書で使用する用語「非経口」は接触の形として、皮下、皮内、静注、筋注、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内および頭蓋内注入または輸液による方法を含む。
【0026】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、担体は増量剤、希釈剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、溶出遅延剤、吸収相乗剤、加湿剤、吸収剤および/または滑剤からなる群から選択される。
【0027】
増量剤と希釈剤は好ましくはスターチ、乳糖、甘蔗糖、グルコース、マンニトールおよびシリカで、結合剤は好ましくはカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドンで、湿潤剤は好ましくはグリセロールで、崩壊剤は好ましくは寒天、炭酸カルシウムと炭酸ナトリウムで、溶出遅延剤は好ましくはパラフィンで、そして吸収相乗剤は好ましくは第4アンモニウム化合物で、加湿剤は好ましくはセチルアルコールとグリセロールモノステアレートで、吸収剤は好ましくはカオリンとベントナイトで、そして滑剤は好ましくはタルク、カルシウムおよびマグネシウムステアレートと固体のポリエチレングリコールまたは上記物質の混合物である。
【0028】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、本発明の化合物はゲル、散剤散布、パウダー、錠剤、持続放出錠剤、プレミックス、エマルジョン、ブリューアップ(brew-up)製剤、ドロップ、濃縮物、顆粒、シロップ、ペレット、ボーラス、カプセル、エアロゾル、スプレーおよび/または吸入薬の形で医薬用薬剤として製剤され、および/またはこの形で使用される。錠剤、コーティングした錠剤、カプセル、ピルおよび顆粒は、任意選択で混濁剤を含み、従来のコーティングおよび外皮で提供可能で、活性物質(複数)の放出が腸管の特定領域でのみまたは好ましくは腸管の特定領域で起こるように構成可能で、任意選択で遅延の態様で行い、これらには包埋物質としてエンドポリマー物質ならびにワックスが使用可能である。
【0029】
好ましくは、本発明の化合物または薬物は、カプセル、錠剤および水性懸濁液および溶液を含み、ただしこれらに限定されることなく、任意の経口で耐容できる剤形で経口投与にて使用可能である。経口適用のための錠剤の場合、頻回に使用される担体に乳糖とコーンスターチがある。典型的には、マグネシウムステアレートのような滑剤が添加される。使用可能なカプセル、希釈剤の形での経口投与には、乳糖と乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液の経口投与では、活性物質は乳化剤および懸濁化剤と組み合わされる。また所望であれば、特定の甘味料および/またはフレーバおよび/または着色剤を添加可能である。
【0030】
活性物質(複数)は、任意選択で一またはそれ以上の上記に示した担体物質と共に、マイクロカプセル化の形でも存在可能である。
【0031】
活性物質(複数)に加えて、坐薬はポリエチレングリコール、たとえばココア脂のような脂質および高エステル類(たとえばC16脂肪酸を有するC14アルコール類)のような従来の水溶性のまたは非水溶性の担体、またはこれら物質の混合物を含んでよい。
【0032】
活性物質(複数)に加えて、軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは動物および植物脂質、ワックス、パラフィン、スターチ、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれら物質の混合物のような従来の担体を含むことができる。
【0033】
活性物質(複数)に加えて、粉末およびスプレーは乳糖、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末またはこれら物質の混合物のような従来の担体を含むことができる。加えて、スプレーはクロロフルオロ炭化水素のような従来の推進薬を含むことができる。
【0034】
活性物質(複数)に加えて、溶液およびエマルジョンは溶媒、可溶化剤および水のような乳化剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピルグリコール、1, 3-ブチレングリコール、ジメチルフォルムアミド、油類、特に綿実油、ピーナッツ油、コーンオイル、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グルセロール、グリセロールフォーマル、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれら物質の混合物のような従来の担体を含むことができる。非経口適用については、溶液とエマルジョンは無菌および血液等張の形ででも存在できる。
【0035】
活性物質(複数)に加えて、縣濁液は液体希釈剤、たとえば水、エチルアルコール、プロピレングリコール、懸濁化剤、たとえばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天およびトラガカントまたはこれら物質の混合物のような従来の担体を含むことができる。
【0036】
薬物は無菌注射製剤、たとえば無菌注射水性または油性縣濁として、無菌注射製剤の形で存在可能である。かかる縣濁は、適当な分散剤または湿潤剤(Tween 80など)および懸濁化剤を使用して、当該技術において公知の手段によっても処方可能である。無菌注射製剤は、無菌注射剤または非毒性、非経口耐容希釈剤または溶剤、たとえば1,3-ブタンジオール中の溶液、中の縣濁であることも可能である。使用可能な耐容賦形剤および溶媒は、マンニトール、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液を含む。さらに、無菌の非揮発性油は、これまで溶媒または懸濁化剤として使用されている。合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意のマイルドな非揮発性油は、この目的のために使用可能である。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、たとえばオリーブ油またはヒマシ油のような天然の医薬的に耐容できる油で、特にそれらのポリオキシエチル化の形で、注射剤の生産において使用可能である。かかる油剤または縣濁液は、長鎖アルコールまたは類似のアルコールを希釈剤または分散剤として含むこともできる。
【0037】
上記の製剤の形はさらに、着色剤、保存剤ならびに臭気改良添加剤および風味改良添加剤、たとえばペパーミント油およびユーカリ油、および甘味料、たとえばサッカリン、を含むことができる。好ましくは、化学式(I)の活性物質が上記の医薬用製剤の中に、混合物全体の約0.1〜99.5、より好ましくは約0.5〜95 wt%の濃度で存在しなければならない。
【0038】
化学式(I)および(II)の化合物に加えて、上記の医薬用製剤はさらなる医薬的活性物質を含むことができる。上記に示した医薬用製剤の生産は、たとえば活性物質(複数)を担体物質(複数)と混合することによって、公知の方法によって通常の態様で進行する。
【0039】
上記の製剤はヒトおよび動物において、経口、経直腸、非経口(静注、筋注、皮下注)、嚢内、膣内、腹腔内経路、局所(粉末、軟膏、ドロップ)で投与可能で、治療において使用される。注射溶液、経口療法のための溶液および縣濁液、ゲル、ブリューアップ(brew-up)製剤、エマルジョン、軟膏またはドロップは適切な製剤として可能である。局所療法のために、眼科用および皮膚用の製剤、銀塩およびそのほかの塩、点耳剤、眼軟膏、粉末または溶液を使用可能である。動物の場合は、適切な製剤で飼料または飲料水経由で注入が可能である。さらに、ゲル、粉末、錠剤、持続放出性錠、プレミックス、濃縮物、顆粒、ペレット、ボーラス、カプセル、エアロゾル、スプレー、吸入薬がヒトおよび動物において使用可能である。また、本発明の化合物は、プラスティック(局所療法用にプラスティックチェーン)コラーゲンまたは骨セメントなどのほかの担体材料に組み込み可能である。
【0040】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、本発明の化合物は0.1〜99.5、好ましくは0.5〜95、さらに好ましくは20〜80 wt%の濃度で製剤中に組み込まれる。すなわち本発明の化合物は、たとえば錠剤、ピル、顆粒およびそのほかの形で、好ましくは全体の混合物の0.1〜99.5 wt%の濃度で、上記に示した医薬製剤中に存在する。活性物質の量、すなわち単一剤形を生成するための担体物質と組み合わされた独創的な化合物の量は、治療を受ける受容者および投与の特定のタイプによって異なることがある。受容者または患者の状態が改善されると、維持量を得るために製剤中の活性を持つ化合物の割合を修正可能である。症状によって、投与量または投与頻度またはその両方を、改善された状態が保持されるレベルまで低減可能である。所望のレベルまで症状が緩和すれば、治療を終了すべきである。しかし疾患の任意の症状が再発するようであれば、患者は長期ベースの間欠治療を必要とすることがある。よって、化合物の割合、すなわち医薬用製剤の全体の混合物における化合物の濃度、ならびにこれらの組成または組み合わせは可変であり、修正可能で、当業界で特別な知識を有している当事者によって調整される。
【0041】
当業者は、本発明の化合物が生物体と、好ましくはヒトまたは動物と、種々な経路によって接触可能であるとの事実に気付くであろう。さらに当業者は、特に医薬用薬剤は用量を変動させて適用可能であるとの事実を熟知しているであろう。適用は、ウイルス性疾患にできるだけ効果的に効くか、またはかかる疾患の発症が予防的投与によって防止されるように作用しなければならない。適用の濃度とタイプは当業者がルーチンのテストを使用して決定可能である。本発明の化合物の好ましい適用は、粉末、錠剤、混合流体、ドロップ、カプセルなどの形による経口による投与、坐薬、溶液などの形による直腸投与、注射、輸液および溶液、ベーパーの吸入、エアロゾルおよび粉末およびパッドの形による非経口投与および軟膏、パッド、包帯、洗浄などの形による局所適用である。本発明の化合物と接触することは、好ましくは予防または治療の態様で行なわれる。予防的投与において、腫瘍の発達が防止されるべきである。治療的接触において、腫瘍疾患は既に存在しており、体内に既に存在する癌細胞を破壊すべきかあるいははそれらの増殖を抑制すべきである。この目的のために好ましい適用のそのほかの形は、たとえば皮下投与、舌下投与、静注、筋注、腹腔内投与および/または局所投与である。
【0042】
たとえば、適用の選択された形の適切性、投与量、適用計画、およびアジュバントなどの選択の適切性は、患者から血清アリコートを採取するかまたは治療の途中で撮像法を使用して決定可能である。代案としてまたは併用で、肝臓の状態のみならずT細胞または免疫系のそのほかの細胞の数を従来の態様で決定して、患者の免疫学的体質、特に代謝に重要な器官、特に肝臓の体質の一般的な調査を行い得る。さらに、所望の効果、特に抗腫瘍効果に対する患者の臨床症状を取得可能である。腫瘍疾患はさらなる感染、たとえば細菌感染または真菌感染に関連している可能性があり、そのためにもこのような同時感染の経過の追加の臨床同時モニタリングも可能である。得られた抗腫瘍効果が不十分な場合、患者に本発明の薬剤を使用したさらなる治療を受けさせることが可能で、任意選択で全体の体質を改善すると期待されるほかの公知の薬物によって改変を行う。明らかに、医薬用薬剤の担体または賦形剤を改変するかまたは投与経路を変更することも可能である。経口摂取に加えて、たとえば筋注または皮下注または血管への注射は、本発明の化合物の治療的投薬のほかの好ましい経路と想定し得る。同時に、カテーテルまたは外科用チューブ経由の供給も使用可能である。
【0043】
したがって本発明は、細胞増殖、細胞分化および/または細胞分裂に関連した疾患の診断、予防、フォローアップ、治療および/またはアフタケアにおける該化合物の使用にも関する。
【0044】
好適な実施態様において、細胞増殖、細胞分化および/または細胞分裂に関連した疾患は腫瘍である。特に好ましい態様において、該腫瘍は充実性腫瘍または白血病である。
【0045】
好適な実施態様において、治療されるまたは予防的に防止される、またはその再発が防止されるものは、癌性疾患または腫瘍、耳鼻咽頭部位、肺、縦隔、消化管、泌尿生殖器系、婦人科系、胸部、内分泌系、皮膚、骨および軟部組織の肉腫、中皮腫、黒色腫、中枢神経系の新生物、幼年期の癌性疾患または腫瘍疾患、リンパ腫、白血病、腫瘍随伴症候群、原発腫瘍不明の転移(CUP症候群)、腹膜癌症、免疫抑制関連悪性腫瘍および/または腫瘍転移の癌性疾患または腫瘍の群から選択される。
【0046】
より特異的には、腫瘍は下記のタイプの癌からなる:胸部の腺癌、前立腺および結腸;気管支を始点とするすべての形態の肺癌、骨髄癌、黒色腫、肝癌、神経芽細胞腫;乳頭腫;アプドーマ、分離腫、鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患、癌腫(たとえば、ウォカー癌腫、基底細胞癌、後頭鱗基底癌、ブラウン−ピアース癌、腺管癌、エールリッヒ癌、上皮内癌、cancer-2癌腫、マーケル細胞癌腫、粘膜癌、非小細胞気管支癌、燕麦細胞癌腫、乳頭癌腫、硬性癌、細気管支−歯槽癌腫、気管支癌、扁平上皮細胞癌および移行細胞癌);組織球性機能疾患;白血病(たとえばB細胞白血病、混合型白血病、ヌル細胞白血病、T細胞白血病、慢性T細胞白血病、HTLV-II関連白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、マスト細胞白血病および骨髄性白血病);悪性組織球増殖症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、孤立性プラズマ細胞腫瘍;細網内皮症、軟骨芽細胞腫;軟骨腫、軟骨肉腫;腺維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫、脂肪肉腫;白血肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;ユーイング肉腫;滑液腫瘍;腺線維腫;腺リンパ腫;癌肉腫、脊索腫、頭蓋咽頭腫、未分化胚細胞腫、過誤腫;間葉腫;中腎腫、筋肉腫、エナメル上皮腫、セメント腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫、絨毛膜芽細胞腫;腺癌、アデノーマ;胆管腫;コレステリン腫;円柱腫;嚢胞腺癌、嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;男女性胚細胞腫;汗腺腫; 膵島細胞腫;ライジッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫、卵胞膜細胞腫、平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫;筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣細胞腫;神経節細胞腫、神経膠腫;髄芽細胞腫、髄膜腫;神経鞘腫;神経芽腫;神経上皮腫;神経線維腫、神経腫、傍神経節腫、非クロム親和傍神経節腫、角化血管腫、好酸球増多症のある血管リンパ様過形成;硬化血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮芽細胞腫;血管腫;血管周囲細胞腫;血管肉腫;リンパ管腫、リンパ管筋腫、リンパ管肉腫;松果体腫;葉状嚢肉腫;血管肉腫;リンパ管肉腫;粘液肉腫、卵巣癌;肉腫(たとえばユーイング肉腫、実験的に、カポジ肉腫および肥満細胞肉腫);新生物(たとえば、骨新生物、乳癌、消化器官の新生物、結腸直腸の新生物、肝新生物、膵臓新生物、脳下垂体新生物、睾丸新生物、眼窩新生物、頭部と頚部の新生物、中枢神経系の新生物、聴覚器官、骨盤、呼吸管および尿生殖路の新生物);神経線維腫症および頚部扁平上皮細胞形成不全。
【0047】
もう一つの好適な実施態様において、治療を受けたまたは予防的に防止された、またはその再発が防止された癌性疾患または腫瘍は、癌性疾患または腫瘍の以下の群から選択される: 内鼻、副鼻腔、鼻咽頭、唇、口腔、中咽頭、喉頭、下咽頭、耳、唾液腺の腫瘍からなる耳鼻咽頭部位の腫瘍、パラグリオーマ、非小細胞気管支癌、小細胞気管支癌からなる肺の腫瘍、縦隔の腫瘍、食道、胃、膵臓、肝臓、胆嚢および胆道、小腸の腫瘍、結腸および大腸の癌腫および肛門癌腫からなる消化器官の腫瘍、腎臓、尿管、膀胱、前立腺、尿道、陰茎および睾丸の腫瘍からなる泌尿生殖器腫瘍、子宮頚、膣、外陰部の腫瘍、子宮癌、悪性絨毛性疾患、卵巣癌、卵管(ファロピウス管)の腫瘍からなる婦人科腫瘍、腹腔の腫瘍、乳癌、甲状腺、副甲状腺、副腎皮質の腫瘍、膵臓内分泌部の腫瘍、カルチノイド腫瘍およびカルチノイド症候群、多発性内分泌腺腫、骨および軟部組織の肉腫、中皮腫、皮膚腫瘍からなる内分泌器官の腫瘍、皮膚黒色腫および眼内黒色腫からなる黒色腫、中枢神経系の腫瘍、網膜芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、神経線維腫症、神経芽細胞腫、ユーイング肉腫系、胎児型横紋筋肉腫からなる幼年期の腫瘍、非ホジキンリンパ腫、皮膚 T 細胞性リンパ腫、中枢神経系の原発性リンパ腫、ホジキン病からなるリンパ腫、急性白血病、慢性骨髄性白血病およびリンパ性白血病からなる白血病、形質細胞腫、肢異常形成症候群(melodysplasia syndrome)、腫瘍随伴症候群、原発腫瘍不明の転移(CUP症候群)、腹膜癌、カポジ肉腫のようなAIDS関連悪性腫瘍からなる免疫抑制関連悪性腫瘍、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系のAIDS関連リンパ腫、AIDS関連ホジキン病およびAIDS関連肛門性器腫瘍、移植関連悪性腫瘍、脳転移、肺転移、肝転移、骨転移、胸膜および心嚢転移からなる転移腫瘍、および悪性腹水。
【0048】
もう一つの好適な実施態様において、治療を受けたまたは予防的に防止された、またはその再発が防止された癌性疾患または腫瘍は、乳癌、結腸癌、胃癌、大腸癌および小腸癌を含む胃腸腫瘍、膵臓癌、卵巣癌、肝癌、肺癌、腎細胞癌、多発性骨髄腫のような癌性疾患または腫瘍からなる群から選択される。
【0049】
本発明の特定の実施態様において、該化合物または医薬組成は特に腫瘍の治療において、併用療法において使用される。特に好ましい態様において、前記併用療法は化学療法、細胞増殖抑制剤による治療および/または放射線治療法からなる。
【0050】
本発明の特に好ましい実施態様において、該併用療法は補助的な、生物学的に指定された形の療法である。より好ましくは、療法の前記の形は免疫療法である。同様に特に好ましい態様において、前記併用療法は遺伝子治療である。
【0051】
本発明の意味から、遺伝子治療は、天然または組み替え技術によって作られた核酸構築物、単一の遺伝子配列または遺伝子全体または染色体部分またはコードされた転写領域、それらの誘導体/修飾を使用した治療のある形態で、その目的は疾患の症状および/またはその原因起点の生物学に基づいた選択的抑制または転換であり、特別な場合これは核酸レベル、特に疾病の経過において過剰発現された転写レベル、における標的分子の抑制を含むものと理解される。
【0052】
特に腫瘍の治療について、種々な併用療法が当業者に公知である。たとえば細胞増殖抑制剤による治療またはたとえば特定の腫瘍領域の放射線治療は、併用療法の範囲で想定可能で、そしてこの治療は本発明の化合物を抗癌剤として使用することによって、遺伝子治療と組み合わされる。しかし本発明による薬剤も、そのほかの抗癌剤との併用で使用可能である。よって特に好ましい態様において、該化合物は細胞増殖抑制剤および/または放射線治療に対する腫瘍細胞の感度を高めるのに使用可能である。さらに、化合物の好ましい使用は細胞の増殖力と増殖速度を抑制することおよび/またはアポトーシスと細胞周期停止を誘発することにある。
【0053】
本発明は、本発明による化合物の製造の方法にも関する。たとえば、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)とフェニルイソシアネート(phenyl isocyanate)をアセトニトリル中で反応させることによって1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン エチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline ethyl ester)が得られる。
【0054】
独創的な化合物1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン イソブチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline isobutyl ester)は、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)とフェニルイソシアネート(phenyl isocyanate)をアセトニトリル中で反応させることによって得られる。
【0055】
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン(4-hydroxy-1-methylproline)は、4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)を、水素化装置の中で、ホルマリン中でPd/Cと反応させることによって得られる。
【0056】
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)は、4-ヒドロキシプロリン エチルエステル(4-hydroxyproline ethyl ester)とホルマリンをエタノール中で反応させることによって得られる。
【0057】
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステルは(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)、ホルマリン、Pd/Cおよびエタノールおよび4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)を反応させることによって得られる。
【0058】
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)は、ホルマリンと4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)をPd/Cの存在下でエタノール中で反応させることによって得られる。
【0059】
4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)の誘導体は次のようにして得られる。シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン エチルエステル(cis-4-Hydroxy-L-proline ethyl ester)は、4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)をエタノール中でHClと接触させることによって得られる(例参照)。
【0060】
シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン イソブチルエステル(cis-4-hydroxy-L-proline isobutyl ester)は、4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)をイソブタノール中で反応させることによって得られ、精製は4-ヒドロキシプロリン エチルエステル(4-hydroxyproline ethyl ester)と同様にして行なわれる。
【0061】
4-ヒドロキシ-1(4-hydroxy-1)、1-ジメチルプロリン エチルエステルヨウ化塩(1-dimethylproline ethyl ester iodide)は、ヒドロキシプロリン エチルエステル(hydroxyproline ethyl ester)をアセトニトリル中に溶解し、メチルヨウ化物とトリエチルアミン(triethylamine)を添加して得られる。
【0062】
4-ヒドロキシ-1(4-hydroxy-1)、1-ジメチルプロリン イソブチルエステルヨウ化塩(1-dimethylproline isobutyl ester iodide)は、4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)とメチルヨウ化物をトリエチルアミンとアセトニトリル中で反応させることによって得られる。
【0063】
4-ヒドロキシ-1-アルキルプロリン エステル臭化塩(4-hydroxy-1-alkylproline ester bromide)は、4-ヒドロキシプロリンエステル(4-hydroxyproline ester)をアセトニトリル中に縣濁させ、対応するアルキル臭化塩と接触させることによって得られる。
【0064】
4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-cyclohexylproline isobutyl ester)は、臭化水素酸塩をクロロホルム中に溶解し、続いてアンモニアガス中で乾燥させて得られる。
【0065】
4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩(4-hydroxy-1-diphenylmethyl proline isobutyl ester hydrobromide)は、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン イソブチルエステルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline isobutyl ester iodide)と同様にして得られる。
【0066】
また本発明は、コラーゲンIVおよび/またはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を抑制するための化合物の使用に関する。前記化合物は、癌治療のために上記に説明したものである。
【0067】
細胞培養または生物体におけるGSTの抑制または低減および/またはコラーゲンIVの抑制または低減については多くの結果が得られている。たとえば生物体内またはインビトロ培養において、GSTはGSHに結合することができ、後者を細胞外輸送のために調整する。このことは腫瘍細胞の場合には、次の意味になる:GSTはオンコジェン(oncogens)または腫瘍細胞の他の構成成分からGSHへ結合し、それらを細胞外領域に輸送し、このことはとりわけ波及効果を生じ、その結果、転移の形成が行なわれる。GSH結合が増大する結果、後者はもはやほかの細胞プロセスのために利用できず、これが細胞における病理変化を生じる。加えて、腫瘍細胞片の結合は、機能が異なる方法で進行するように、細胞内の情報処理の方法が異なることになり、これにより細胞の形質転換が開始されるかまたは促進される。さらに、上記の過程はアポトーシスを促進する。
【0068】
しかし発癌にたいする高い耐性と発癌性の抑制は、CHP誘導体によってもたらされた抑制の唯一の結果ではない。かかる抑制のそのほかの第2の応答は、たとえば自己免疫疾患の治療または緩和、化学療法に続くまたは化学療法に並行した細胞の再生、干渉するラジカルを除去することによる老化プロセスの軽減、感染症ならびに特に肝臓、膵臓、腸および/または胃の代謝性疾患の治療からなる。
【0069】
好ましい実施態様において、GST抑制のかかる第2のプロセスは、コラーゲンIV抑制のそのほかの化学的な第2のプロセスと関連している。特に、コラーゲンIV抑制の第2のプロセスは、腫瘍細胞はこの糖タンパク質の主コラーゲンドメイン経由でドックし、ひいては細胞に浸潤し、浸透する、との事実に由来している。しかしコラーゲン抑制は腫瘍疾患の転移および浸潤および侵襲の縮小に帰着するのみならず、すべての炎症性疾患、たとえば肺線維症、肝硬変、膵臓線維症および/または糸球体硬化症、における治療効果を示し、ここでは正常な細胞が結合組織中に再建される。さらに、コラーゲンIV抑制は、強皮症/マルファン症候群、血管疾患、代謝性疾患、自己免疫疾患および神経系疾患に好ましい影響を与え、ここではたとえばアルツハイマー病の場合のように、神経組織が結合組織、所謂グリオーシス、に変化する。CHPによるコラーゲンIVの抑制に加えて、特に最後に挙げた疾患において、線維形成を抑制する薬物、たとえばブレオマイシン/ブスルファン、を支持療法/追加療法の形で併用可能であることが明らかである。
【0070】
本発明は、ある生物体および/またはサンプルにおいてコラーゲンIVおよび/またはGSTを抑制する方法にも関する。この方法では生物体またはサンプルがCHPに接触する。たとえば、この方法は併用療法として使用可能で、これにより生物体中の細胞が化学療法に続いて再生する。たとば、CHPを生物体または処理するサンプルと接触させることは、経口、皮下注、静注、筋注、腹腔内投与、経膣、経直腸、局所投与および/または舌下投与で行い得る。
【0071】
本発明は抗コラーゲンIV剤および/または抗GST剤またはコラーゲンIV降下剤またはCHPを含むGST降下剤にも関し、任意選択で標準の助剤と併用される。より明確には、これらの標準的助剤は医薬的に受容できる担体、アジュバントおよび/または賦形剤であって、前記担体は増量剤、希釈剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、溶出遅延剤、吸収相乗剤、加湿剤、吸収剤および/または滑剤からなる群から選択される。コラーゲンIV降下剤または抑制剤またはGST降下剤またはCHP誘導体を含む抑制剤は、ゲル、散剤散布、パウダー、錠剤、持続放出錠剤、プレミックス、エマルジョン、ブリューアップ(brew-up)製剤、ドロップ、濃縮物、輸液、顆粒、シロップ、ペレット、ボーラス、カプセル、エアロゾル、スプレーおよび/または吸入の形で調製および/または使用可能である。好ましい態様において、CHPは0.1〜99.5、好ましくは0.5〜95、そしてより好ましくは1〜80 wt%の濃度で製剤中に存在する。特に好ましい態様において、該製剤は輸液であり、ここではCHPは1〜2 wt%の範囲内で存在する。
【0072】
本発明のもう一つの実施態様において、CHP誘導体は体重量当たり0.05〜1000 mg/kg、好ましくは体重量当たり5〜450 mg/kg/24時間の全体量で使用される。
【0073】
コラーゲンIV抑制剤またはGST抑制剤またはCHP誘導体は、1日当たり患者当たり0.1〜100 gで単独で使用可能である。もちろん1日の投与量を分割して、分割量を2、4、6または10回またはそれ以上で生物体と接触させることも想定可能である。
【0074】
CHP誘導体によるコラーゲンIVおよび/またはGST、好ましくはαGST、の抑制は、(i)炎症の治療において、特に好ましくは(ii)自己免疫疾患の治療において使用される。
(i)本発明の意味における炎症は、外部または内部で引き金となった炎症性刺激に対する、結合組織と血管によって仲介された、生物体の反応であり、その目的は該刺激を除外するかまたは不活性としそして前記刺激によって生じた組織病変を修復することである。引き金効果は機械的な刺激(異物、圧力、外傷)およびほかの物理的要因(電離放射線、紫外線、熱、寒さ)、化学物質(アルカリ溶液、酸、重金属、細菌毒素、アレルギーおよび免疫複合物)、および病原体(微生物、虫、昆虫)または病的代謝産物、逸脱酵素、悪性腫瘍である。このプロセスは(アドレナリン効果の結果として)単純な細動脈の狭細化で始まり、循環不全と組織変化が認められ、続いて古典的な局所炎症兆候(ガレンとケルススによる主症状)が現れる。すなわち発赤(= 潮紅;ヒスタミンによって生じる血管拡張)、熱(= 熱;代謝の局所増加の結果として)、腫張(=膨圧;ヒスタミンによって変化した血管壁からタンパク質を豊富に含む液が分泌した結果、とりわけうっ血前症からうっ血までの意味における血液循環の減速でわかる)、疼痛(=疼痛;組織間緊張と発痛炎症生成物の増悪の結果、たとえばブラジキニン)および機能障害(= 機能喪失)。このプロセスは電解質代謝における疾患(石化)、血管壁を経由した好中球および単球の侵襲(ロイコタキシスと比較)に伴われ、その目的は炎症性刺激および壊死細胞(食細胞)への損傷を除去することで;さらにリンパ球エフェクター細胞の侵襲、炎症性刺激(免疫反応)に抗する特異的抗体の形成、および好酸球の形成を生じる(治癒の段階でまたはアレルギーヒペルエルギープロセスの非常に早い段階)。反応の間に起こる補体系の活性化の結果、このシステムのフラグメント(C3aおよびC5a)が遊離し、すなわち上記の血液細胞の走化性を刺激する意味において、これがヒスタミンおよびブラジキニンのように炎症媒介物質として作用する。さらに、血液凝固が活性化される。その結果、関連の器官の扁平組織の損傷(ジストロフィーと凝固壊死)が生じる。炎症の強さとタイプ次第で、生物体全体が熱、ストレス(適応症候群と比較)、白血球増加および血漿タンパクの組成の変化(急性期反応)に反応し、赤血球の沈降が加速される。本発明の意味における好適な炎症は化膿性の、滲出性の、線維素性の、壊疽性の、肉芽腫性の、出血性の、カタルの、壊死性の、増殖または生産的な、偽膜性の、漿液の、特異的および/または潰瘍性の炎症である。
【0075】
(ii)本発明の意味における自己免疫疾患は、全面的にまたは部分的に自己抗体の形成と、全体の生物体または器官系におよぼすそれらの損傷効果による疾患である。すなわち自己攻撃によるものである。器官特異的、媒介および/または全身性自己免疫疾患への分類が可能である。好適な器官特異的自己免疫疾患は橋本甲状腺炎、原発性粘液水腫、甲状腺亢進(バセドー氏病)、悪性貧血、アジソン氏病、重症筋無力症および/または若年型糖尿病である。好適な仲介自己免疫疾患はグッドパスチャー症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫白血球減少症、特発性血小板減少症、尋常性天疱瘡、交感性眼炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、潰瘍性大腸炎および/またはシェーグレン症候群である。好適な全身性自己免疫疾患は関節リウマチ、リウマチ熱、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎/多発性筋炎、進行性全身性硬化症、ヴェグナー肉芽腫症、汎動脈炎および/または過敏性血管炎である。典型的な自己免疫疾患は甲状腺亢進、甲状腺起因粘液水腫、橋本甲状腺炎、全身性内分泌障害、悪性貧血、A型慢性胃炎、血液の単一またはすべての粒子の疾患(たとえば自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少症または血小板病;突発性白血球減少症または無顆粒球症)、尋常性天疱瘡および類天疱瘡、交感性眼炎およびブドウ膜炎の多くの形態、原発性胆汁性肝硬変および慢性進行性自己免疫肝炎、I型糖尿病、クローン病および潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、アジソン氏病、播種性紅斑性狼瘡および前記疾患の円板状の形態、皮膚筋炎および強皮症として、関節リウマチ(= 原発性慢性多発性関節炎)、抗糸球体基底膜腎炎である。ベースは自己決定要因に対する免疫寛容の破綻による攻撃的免疫反応およびT抑制細胞の活動の低下(リンパ球マーカーT8による)または抑制細胞に対するTヘルパー細胞の過剰(リンパ球マーカーT4による)である。さらに、自己抗原の形成が可能で、これはたとえば宿主タンパク質のハプテン(たとえば薬物)への結合、自己免疫寛容が発現されるまで発現されない個体発生的組織、たとえばウイルスまたは細菌による感染に関連したタンパク質の立体構造変化の結果としてデマスキングされたタンパク質成分、新生組織形成に関連して形成された新しいタンパク質によるものである。さらに好適なのは、コラーゲンIVおよび/またはGSTの抑制を経由した、上記のすべての癌性疾患の治療である。
【0076】
制限を加えようとの意図なく、以下の例を参照することによって本発明はさらに詳細に説明されよう。
【0077】
1. ヒドロキシプロリン誘導体

1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン エチルエステルの調製(A-1-23)
【化2】

バッチ:
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル430 mg (0.0025 mol)、イソシアン酸フェニル300 mg、アセトニトリル30 ml。
合成:
出発物質をアセトニトリルに溶解し、約5時間還流させる。室温まで冷却した後、この溶剤を真空中で除去し、原産物をアセトンに溶解し、エーテル/ヘプタンで沈殿させる。
収率:200 mg(理論量の27%)
融点:178〜80℃
【0078】
1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン イソブチルエステルの調製(A-2-23)
【化3】

バッチ:
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル500 mg (0.0025 mol)、イソシアン酸フェニル300 mg、アセトニトリル30 ml。
合成:
A-1-23と同様。
【0079】
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリンの調製(A-0-21)
【化4】

合成:
4-ヒドロキシプロリン4 g、ホルマリン4 ml、Pd/C 200 mgおよびエタノール250 mlを
水素化装置の中で水素雰囲気(常用圧力、室温)中で約36時間撹拌する(還元的アミノ化)。その後触媒をろ過して取り除き、ろ液をほぼ乾燥まで濃縮し、アセトン約250 mlを添加して反応生成物を沈殿させ(この精製手順は必要なら2回繰り返す);生成物を吸引して真空中で乾燥させる。
収率:4.0 g(理論量の約91%)
融点:190℃
【0080】
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステルの調製(A-1-21)
【化5】

バッチ:
4-ヒドロキシプロリン エチルエステル2 g、ホルマリン2 g、Pd/C 200 mg、エタノール150 ml。
合成:
A-0-21と同様。
収率:1.4 g(理論量の約64%)
融点:204℃
【0081】
4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステルの調製(A-2-21)
【化6】

バッチ:
4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル2 g、ホルマリン2 g、Pd/C 200 mg、エタノール150 ml。
合成:
A-0-21と同様。
収率:1.5 g(理論量の約65%)
融点:220℃
【0082】
4-ヒドロキシプロリンの誘導体
シス-ヒドロキシ-L-プロリン エチルエステルの調製(A-1)
【化7】

合成:
無水エタノール400 ml中の4-ヒドロキシプロリン20 g(0.15 mol)の縣濁中に、乾燥HClガスを導入し、4-ヒドロキシプロリンが溶解するまで撹拌および氷冷(約2時間)し、追加HClガスを1日1回導入する(約5〜10分)。

ワークアップ/精製:真空中でアルコールを除去した後、残留エステル塩酸塩をクロロホルム/メタノール(8 : 2)中に溶解し、乾燥NH3ガスを導入し(約5分)、溶剤を真空中で除去し、生成物の混合物(プロリンエステル + NH4Cl)を温クロロホルムで処理する。NH4Clを吸引した後、ろ液を真空中で乾燥まで濃縮する。
収率:18 g(理論量の75.5%)
融点:115℃
【0083】
シスヒドロキシ-L-プロリン イソブチルエステルの調製(A-2)
【化8】

バッチ:
4-ヒドロキシプロリン10 g(0.075 mol)、イソブタノール(ドライ)250 ml。
合成:
ワークアップ/精製:4-ヒドロキシプロリン エチルエステルと同様。
収率:11 g(理論量の78.6%)
融点:139℃
【0084】
4-ヒドロキシ-1、1-ジメチルプロリン エチルエステルヨウ化塩の調製(A-1-01)
【化9】

合成:
ヒドロキシプロリン エチルエステル(0.8 g)をアセトニトリル30 ml中に溶解し、ヨウ化メチル0.6 gおよびトリエチルアミン1 mlを添加する。一晩放置(室温)した後、反応混合物を僅かに加熱し(反応生成物はアセトニトリル中に完全に溶解)、熱いうちに直ちにろ過する(トリエチルヨウ化アンモニウムの除去)。アセトニトリルを真空中で除去し、残留固体結晶質最終生成物を真空中で乾燥する。
収率:600 g(理論量の44.4%)
融点:118〜120℃
【0085】
4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン イソブチルエステルヨウ化塩の調製(A-2-01)
【化10】

バッチ:
4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(A-2)0.9 g、ヨウ化メチル1 g、トリエチルアミン1 ml、アセトニトリル40 ml。
合成:
A-1-01と同様。
収率:0.6 g(理論量の36.6%)
融点:180℃
【0086】
4-ヒドロキシ-1-アリキルプロリン エステル臭化塩の調製
【化11】

一般プロトコル:
それぞれの4-ヒドロキシプロリン エステル(0.01 mol)をアセトニトリル40 mlに縣濁し、0.01 molの対応するアルキル臭化塩を添加した後5時間還流させる。室温まで冷却した後、反応混合物をエーテル400 mlに加え、一晩冷却する(約-20℃)。これを吸引して真空中で乾燥する。
【0087】
4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステルの調整(A-2-03)
【化12】

合成:
対応する臭化水素酸塩(1.7 g)を温クロロホルム150 ml中に溶解させ、続いて乾燥アンモニアガスを約3分間導入する。室温まで冷却した後、沈殿した臭化アンモニウムを吸引し、クロロホルムを真空中で除去し、最後に残留原産物をヘプタンより再結晶させる。
収率:0.8 g(理論量の61.1%)
融点なし(糊状)
【0088】
4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩の調製(A-2-04)
【化13】

合成:
A-2-01参照
収率:2.8 g(理論量の64.5%)
融点:49 ~ 147℃
【0089】
2. 合成ヒドロキシプロリン誘導体の腫瘍細胞の増殖に与える影響
本発明の化合物を、膵臓腫瘍細胞株MIYPaCa2およびBxPC3、乳癌細胞株MDA-MB-435およびBT20、ならびに結腸癌細胞株Colo205およびHT29を使用してテストした。これらの細胞を、96-ウエルのマイクロタイタープレート中の培地(10%ウシ胎仔血清および4 mMのグルタミンを有するRPMI-1640)に置き、ウエル当たり10,000細胞とした。テストする独創的な化合物は、公知の手順に従いマイクロタイタープレート中で希釈し、細胞培養条件下(37oC、5% CO2)で4日間培養した。
【0090】
培養に続き、バイオメディカ(ウイーン、オーストリア)から入手したテトラゾリウムベースのEZ4Uキットを使用して増殖をテストした。各ウエルの光学密度(OD)をELISAリーダーで測定し、得られた対照培地を100%と設定した(OD490 nm = 0.5 ~ 1.5)。表1に示す値はパーセント表示で、細胞増殖の抑制を示しており、濃度は400 μg/ml(高値)および200 μg/ml(低値)である。
【0091】
【表1】

【0092】
CHPは最高の活性を有しており(40 ± 10.1%抑制;400 μg/mlにおける6つの細胞株すべてに対し平均値 ± SEM、続いてA1.21(36.5 ± 11.4)およびA0.21(16.3 ± 2.7)およびA1.23、A2.21、活性が8%以下のA2.23。A1.21はCHPのそれとは異なるスペクトラムを有しており、CHPと比較して低濃度においてより低い活性を有している。
【0093】
驚くべきことに、シス-ヒドロキシ-N-メチルプロリン エチルエステルは、いずれも乳癌の細胞株であるMDA-MB435およびBT20のような特定の細胞株に対して高活性を示した。さらなるテストにおいて、物質を水に溶解し、標的としての結腸腺癌の細胞株Colo205および膵臓腺癌の細胞株BxPC3に対するそれらの効果をテストした。得られた結果はμg/ml で表したIC50濃度で示し、表2に示す。
【0094】
【表2】

【0095】
驚くべきことに、特別にテストした細胞株に対するシス-4-ヒドロキシ-L-プロリン エチルエステル(A1)、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン イソブチルエステル(A2)、シス-4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステル(A-2-03)および4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩(A-2-04)の効果は、匹敵する物質CHPのそれと比較して数倍高いことがわかった。特に、シス-4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン エチルエステルヨウ化塩(A-1-01)は、膵臓腺癌の細胞株(BX PC3)に対してシス-4-ヒドロキシ-1-プロリンより特異的に高い活性を示した。
【0096】
IC50(50%抑制を達成するのに必要な活性物質の濃度)の測定は、活性物質の医薬用薬剤効果の測定における関連パラメータである。物質シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン エチルエステル、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン イソブチルエステル、シス-4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩およびシス-4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン エチルエステルヨウ化塩の使用は、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリンおよび/またはシス-4-ヒドロキシ-1-メチルプロリンのようなほかの物質に対して非常に大きな治療効果を有することであろう。
【0097】
この場合、必要な治療用量はより低くなり、したがってたとえば、1日数回投与よりむしろ1日1回使用する医薬経口製剤(1日1回の低用量)が可能になろう。このことは患者の生活の質、治療コストおよび患者のコンプライアンスに大切なことである。
【0098】
IC50(50%抑制を達成するのに必要な活性物質の濃度)の測定の結果から始めて、物質シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン エチルエステル、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン イソブチルエステル、シス-4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩およびシス-4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン エチルエステルヨウ化塩の使用は、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリンおよび/またはシス-4-ヒドロキシ-1-メチルプロリンのようなほかの物質に対して非常に大きな治療効果を有することを実証可能であった。
【0099】
さらに驚くべきことに、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリンとシス-4-ヒドロキシ-1-メチル-L-プロリンの併用が、特定の細胞株Colo205、SW620およびT47D、前者は結腸癌の細胞株で最後は乳癌の細胞株、に拮抗作用を持っていることを実証可能であった。最初の希釈400 μg/mlで上記の増殖テストを単独で、または400、200または100 μgのCHPとの組み合わせで実施した。使用した細胞株を表3に示す。"Con"の列は、異なる濃度のA0.21による増殖のパーセント抑制(負号)を示す。一般に、A0.21の増殖防止効果をCHPが反対側に変えていることを結果が示している。組み合わせ剤を使用した場合、増殖が増加するかまたは特定の物質で達成される抑制が低いことが往々にして見られる。CHP単独の効果は、CHPの最大濃度(400 μg/ml)に対して表の左に、それぞれの指定された細胞株の下に示されている。表3の値は、A0.21およびCHPが、関連の濃度および重要な濃度における指定の条件下で拮抗作用を有していることを示している。
【0100】
CHPとA0.21(4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン)の組み合わせ
【表3】

【0101】
さらに、(R)-(+)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール((R)-(+)-α,α-diphenyl-2-pyrrolidinemethanol)および(S)-(-)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール((S)-(-)-α,α-diphenyl-2-pyrrolidinemethanol)をテストした。表4に両光学異生体の値を示す。結果はIC50(μg/ml)で示されている。
【0102】
ジフェニル-2-ピロリジンメタノール
【表4】

【0103】
さらに、本発明の化合物によるテストを実施した。このテストはシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンを参照して以下に説明する。
【0104】
シス-4-ヒドロキシ-L-プロリンが、ラットに経口で28日間反復投与された。血清サンプルおよび尿サンプルにおけるシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンをLC/MS技法を使用して分析した。
【0105】
血清または尿中のシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンの濃度が、反復投与の後、急激に低下したことが測定された。LC/MS技法によるシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンの濃度の低下の測定は、調査したサンプル中のシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンの異性体および代謝産物の検出と関連していた。
【0106】
驚くべきことに、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリンの以下の生体内変化を検出することが可能であった。
【0107】
シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン ⇔ トランス-4-ヒドロキシ-L-プロリン
シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン ⇔ トランス-4-ヒドロキシ-D-プロリン
シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン ⇔ トランス-3-ヒドロキシ-D-プロリン
シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン ⇔ D-プロリン
【0108】
上記の生体内変化は、これまで未知のCHP異性化酵素および/またはCHPエピメラーゼによって触媒された。
【0109】
トランス-4-ヒドロキシ-L-プロリンまたは生体内変化のそのほかの生成物の形成は、これらがしばしば薬理学的活性に欠けるとの理由で不利である。
【0110】
CHP異性化酵素および/またはCHPのエピメラーゼの特定の阻害物質は、生体内変化またはシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンのトランス-4-ヒドロキシ-L-プロリン、トランス-4-ヒドロキシ-D-プロリン、トランス-3-ヒドロキシ-D-プロリンまたは一般に、D-プロリンへの転換を防止可能で、これにより生物体におけるシス-4-ヒドロキシ-L-プロリンの濃度を高レベルに維持している。
【0111】
CHP異性化酵素および/またはCHPエピメラーゼを、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリンの経口またはほかの投与に関連して、同時または時間をずらせた態様で追加で投与する場合、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリンまたはその誘導体の用量は、生体における生物体内変化、すなわち生体における異性化およびエピマー化、の結果としてのロスが防止されるので、低量とすることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

式I

式中、
R1はヒドロキシ基、アリール基またはアミノ酸基、
R2は水素、アルキル(C1 - C4)基、置換アルキル(C1 - C4)基、ジアルキル(C1 - C4)基、シクロヘキシル基、フェニル基またはジフェニル基で、
R3はアルキル(C2 - C5)基、
および/またはそれらの塩で、
ただしR1がヒドロキシ基であれば、R2はメチル基でない。
【請求項2】
請求項1記載の化合物であって、
R1はヒドロキシ基、フェニールアミノ基またはアミノ酸基、
R2は水素、メチル基、ジメチル基、シクロヘキシル基またはジフェニルメチル基、および
R3はエチル基、イソブチル基および/または水素であることを特徴とする化合物。
【請求項3】
請求項1または2記載の化合物であって、
その塩が上記化合物のヨウ化塩、臭化塩および/または塩化塩であることを特徴とする化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物であって、
フェニルアミノ基が修飾アミノ基、特にフェニルアミノカルボニルオキシ基を含むことを特徴とする化合物。
【請求項5】
先行請求項のいずれかに記載の化合物であって、
化合物が4-ヒドロキシプロリン エチルエステル(4-hydroxyproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-プロリン エチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline ethyl ester iodide)、4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン イソブチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline isobutyl ester iodide)、4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-cyclohexylproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩(4-hydroxy1-1-diphenylmethylproline isobutyl ester hydrobromide)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン(4-hydroxy-1-methylproline)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline)および/または1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン イソブチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline isobutyl ester)からなる群から選択されることを特徴とする化合物。
【請求項6】
先行請求項のいずれかに記載の化合物を含む医薬用薬剤であって、任意選択により従来の助剤、好ましくは医薬的に受容可能な担体、アジュバントおよび/または賦形剤と共に含む医薬用薬剤。
【請求項7】
前請求項に記載の医薬用薬剤であって、担体が増量剤、希釈剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、溶出遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸着剤および/または滑沢剤からなる群から選択されることを特徴とする医薬用薬剤。
【請求項8】
請求項6または7に記載の医薬用薬剤であって、担体がリポソーム、シオゾーム(siosomes)および/またはニオソーム(niosomes)であることを特徴とする医薬用薬剤。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の医薬用薬剤であって、その薬剤がさらに化学療法剤を含むことを特徴とする医薬用薬剤。
【請求項10】
前請求項に記載の医薬用薬剤であって、化学療法剤がオキソプラチン、シス−オキソプラチン、タキソール、ゲムシタビン、ビノレルビン、パクリタキセル、シクロスポリンおよび/またはこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする医薬用薬剤。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載の医薬用薬剤であって、それが抗ウイルス剤、抗殺真菌剤、抗菌剤および/または免疫促進剤からなる群から選択される1以上の追加の薬剤をさらに含むことを特徴とする医薬用薬剤。
【請求項12】
細胞増殖、細胞分化および/または細胞分裂に関連した疾患の診断、予防、フォローアップ、治療および/またはアフタケアのための薬物の生産における、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物および/または請求項6〜11いずれかに記載の医薬用薬剤の使用。
【請求項13】
細胞増殖、細胞分化および/または細胞分裂に関連した疾患の診断、予防、フォローアップ、治療および/またはアフタケアにおける、4-ヒドロキシプロリン エチルエステル(4-hydroxyproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン エチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline ethyl ester iodide)、4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン イソブチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline isobutyl ester iodide)、4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-cyclohexylproline isobutyl ester)、4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩(4-hydroxy-1-diphenylmethylproline isobutyl ester hydrobromide)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン(4-hydroxy-1-methylproline)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline)、1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン イソブチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline isobutyl ester)、(R)-(+)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール((R)-(+)-α,α-diphenyl-2-pyrrolidinemethanol)および/または(S)-(-)-α,α-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール((S)-(-)-α,α-diphenyl-2-pyrrolidinemethanol)および/またはこれらの誘導体、代謝産物、鏡像体および/または異性体の使用。
【請求項14】
前請求項に記載の使用であって、疾患が腫瘍であることを特徴とする使用。
【請求項15】
前請求項に記載の使用であって、腫瘍疾患が新生物腫瘍、炎症性腫瘍、膿瘍、滲出および/または浮腫の群から選択されることを特徴とする使用。
【請求項16】
前請求項に記載の使用であって、腫瘍が充実性腫瘍または白血病であることを特徴とする使用。
【請求項17】
前請求項に記載の使用であって、充実性腫瘍が尿生殖路および/または消化管の腫瘍であることを特徴とする使用。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれかに記載の使用であって、腫瘍が結腸癌、胃癌、膵臓癌、小腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、前立腺癌、乳癌、腎細胞癌、脳腫瘍、頭部−咽喉腫瘍、肝癌および/または上記腫瘍の転移であることを特徴とする使用。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれかに記載の使用であって、充実性腫瘍が乳癌、気管支癌、結腸直腸癌および/または前立腺癌および/または上記腫瘍の転移であることを特徴とする使用。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれかに記載の使用であって、尿生殖路の腫瘍が膀胱癌および/またはかかる腫瘍の転移であることを特徴とする使用。
【請求項21】
請求項12〜20のいずれかに記載の使用であって、上記フォローアップが抗腫瘍治療の効果のモニタリングであることを特徴とする使用。
【請求項22】
請求項12〜21のいずれかに記載の使用であって、転移、侵襲、浸潤、腫瘍増殖および/または血管形成の予防、防止、診断、弱化、治療、フォローアップおよび/またはアフタケアにおいて、請求項1〜5のいずれかに記載の少なくとも一の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤を使用することを特徴とする使用。
【請求項23】
請求項12〜22のいずれかに記載の使用であって、上記フォローアップが抗腫瘍治療の効果のモニタリングであることを特徴とする使用。
【請求項24】
請求項12〜23のいずれかに記載の使用であって、併用療法において請求項1〜5のいずれかに記載の少なくとも一の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤を使用することを特徴とする使用。
【請求項25】
前請求項に記載の使用であって、上記併用療法が化学療法、細胞増殖抑制剤による治療および/または放射線治療を含むことを特徴とする使用。
【請求項26】
前請求項に記載の使用であって、併用療法がアジュバント、生物学的に特定された形態の治療を含むことを特徴とする使用。
【請求項27】
前請求項に記載の使用であって、上記治療の形態が免疫療法であることを特徴とする使用。
【請求項28】
細胞増殖抑制剤および/または放射線に対する腫瘍細胞の感度を増大するための請求項12〜27のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
アポトーシスおよび/または細胞周期停止の誘発を目的として、細胞の増殖力、増殖速度を阻害するための請求項12〜28のいずれかに記載の使用。
【請求項30】
請求項12〜29のいずれかに記載の使用であって、請求項1〜5のいずれかに記載の少なくとも1の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤が、ゲル、散剤散布、パウダー、錠剤、持続放出錠剤、プレミックス、エマルジョン、ブリューアップ(brew-up)製剤、ドロップ、濃縮物、顆粒、シロップ、ペレット、ボーラス、カプセル、エアロゾル、スプレーおよび/または吸入剤および/または吸入剤として製剤され、および/またはこの形態で使用されることを特徴とする使用。
【請求項31】
前請求項に記載の使用であって、請求項1〜5のいずれかに記載の少なくとも一の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤が、製剤中に0.1〜99.5、好ましくは0.5〜95.0、より好ましくは20.0〜80.0重量%で存在することを特徴とする使用。
【請求項32】
前請求項に記載の使用であって、製剤が経口、皮下注、静注、筋注、腹腔内投与および/または局所適用されることを特徴とする使用。
【請求項33】
請求項12〜32のいずれかに記載の使用であって、請求項1〜5のいずれかに記載の少なくとも一の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤が、24時間当たり、体重量1kg当たり0.1g以上の全体量で使用されることを特徴とする使用。
【請求項34】
請求項12〜33のいずれかに記載の使用であって、請求項1〜5のいずれかに記載の少なくとも一の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤が、24時間当たり、体重量1kgたり0.05〜500g、好ましくは24時間当たり、体重量1kg当たり5〜100gの全体量で使用されることを特徴とする使用。
【請求項35】
腫瘍疾患の治療方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤の有効量を生物体に接触させることを特徴とする方法。
【請求項36】
コラーゲンIVおよび/またはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を阻害するための請求項1〜5のいずれかに記載の化合物および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤の使用。
【請求項37】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)とイソシアン酸フェニル(phenyl isocyanate)をアセトニトリル中で反応させることによって1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン エチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline ethyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)とイソシアン酸フェニル(phenyl isocyanate)をアセトニトリル中で反応させることによって1-メチル-4-フェニルアミノカルボニルオキシプロリン イソブチルエステル(1-methyl-4-phenylaminocarbonyloxyproline isobutyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)を水素化装置においてホルマリン中Pd/Cと反応せせることによって4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン(4-hydroxy-1-methylproline)を得ることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシプロリン エチルエステル(4-hydroxyproline ethyl ester)とホルマリンをエタノール中で反応させることによって4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン エチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline ethyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、ホルマリン、Pd/Cおよびエタノールおよび4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)を反応させることによって4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、ホルマリンと4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)をPd/Cの存在下にエタノール中で反応させることによって4-ヒドロキシ-1-メチルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-methylproline isobutyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)をエタノール中でHClと接触させることによってシス-4-ヒドロキシ-L-プロリン エチルエステル(cis-4-hydroxy-L-proline ethyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項44】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシプロリン(4-hydroxyproline)をイソブタノール中で反応させることによってシス-4-ヒドロキシ-L-プロリン イソブチルエステル(cis-4-hydroxy-L-proline isobutyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項45】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、ヒドロキシプロリン エチルエステル(hydroxyproline ethyl ester)をアセトニトリル、ヨウ化メチルおよびトリエチルアミン中で反応させることによって4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン エチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline ethyl ester iodide)を得ることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)およびヨウ化メチルをトリエチルアミンおよびアセトニトリル中で反応させることによって4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルプロリン イソブチルエステルヨウ化塩(4-hydroxy-1,1-dimethylproline isobutyl ester iodide)を得ることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシプロリン エステル(4-hydroxyproline ester)をアセトニトリル中に縣濁させ、エーテルの存在下で対応する臭化アルキルと接触させることによって4-ヒドロキシ-1-アルキルプロリン エステル臭化塩(4-hydroxy-1-alkylproline ester bromide)を得ることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、対応する臭化水素酸塩をクロロホルムに溶解し、気体アンモニアと接触させることによって4-ヒドロキシ-1-シクロヘキシルプロリン イソブチルエステル(4-hydroxy-1-cyclohexylproline isobutyl ester)を得ることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、4-ヒドロキシプロリン イソブチルエステル(4-hydroxyproline isobutyl ester)、ヨウ化メチル、トリエチルアミンをアセトニトリル中で接触させることによって4-ヒドロキシ-1-ジフェニルメチルプロリン イソブチルエステル臭化水素酸塩(4-hydroxy-1-diphenylmethylproline isobutyl ester hydrobromide)を得ることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の少なくとも一および/または請求項6〜11のいずれかに記載の医薬用薬剤を含むキットであって、任意選択によりこのキットの内容物を組み合わせるための情報を共に含むキット。
【請求項51】
腫瘍疾患の予防または治療における前請求項に記載のキットの使用。
【請求項52】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を含むハイブリッド分子および/またはプロドラッグ分子。
【請求項53】
腫瘍疾患の予防または治療における、請求項52に記載のハイブリッド分子、プロドラッグ分子および/または請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の誘導体、代謝物質、鏡像体および/または異性体の使用。

【公表番号】特表2007−523829(P2007−523829A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512148(P2005−512148)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/DE2003/004211
【国際公開番号】WO2005/058816
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506126255)
【Fターム(参考)】