説明

腫瘍の治療

本発明は細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防に対する薬剤の製造における金属イオンキレート剤の使用を提供し、前記金属イオンキレート剤は腫瘍形成性細菌が生存のために依存する少なくとも1個の金属イオンに対して金属イオンキレート能を与える。本発明は腫瘍の治療あるいは予防に対する方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒトおよびヒトを除いた動物における細菌を介した癌病変および腫瘍の治療における金属キレート組成物の製造と適用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌状態の原因あるいは起源についてなお論争が盛んに行なわれ、長年の後、強固な指摘にもかかわらず、細菌が原因である可能性はなお強く否定されている。細菌がもたらす癌に関する強固な研究は18世紀にさかのぼり、その時でも細菌の形態がおそらく原因であると認められていた。他の病状に関する近年の進展により細菌はその形状を変えることができ(多形態性)、そのような変化により細菌は異なる病状をもたらすことができると認められている。
【0003】
細菌は一つの形態(桿形状)からもう一つの形態(ココリス形状)および逆に変化し、これらの環境下細菌は病変に蓄積し、その後癌になると思われる。時にはこれらの病変はサルコイド病変と呼ばれるものを形成し、それらは多くの場合かなり広がることができる。これらの病変は局所的環境に反応する自己免疫システムからの突発(eruptions)と言われている。局所的環境は多形態性細菌の周囲が中心であることは明らかである。
【0004】
多形態性により、細菌が形状を変える時細胞壁構造は無いかあるいは最小にすぎないことは明らかで、これが起こる時細菌は抗生物質および化学物質を通さないように常態ではカルシウムのバイオフィルムでそれ自身を覆うことは明らかである。
【0005】
細菌が免疫システムあるいは抗生物質により脅かされる時、細菌はそれらの細胞壁を失い、免疫システムによる攻撃を受けないように異なる発育形をとることも事実であることは明らかである。この細胞性応答の欠如が、医者仲間が細菌が癌の原因であることを受け入れるのに困難さを認めているもう一つの理由である。
【0006】
出生時の多数の新生児死の根拠として1908年に最初に述べられ、1945年後猩紅熱の原因であったストレプトコッカス・パイオジエン(Streptococcus pyogene)がリューマチ熱および壊死性筋膜炎の原因であることが現在知られている。この細菌は多形態性であることが知られており、したがってその性質と構造を変えることができ、この能力によって多くの病状を生じることができる。
【0007】
誰にでも存在し、不純物として多くのワクチンに存在することも認められているナノバクテリアは、多形態性でもありバイオフィルムコーティングを有していることも知られている。このことが何故抗生物質と体の免疫システムがそれらに対処できないかの理由の一つである。カルシウムバイオフィルムコーティングにより、身体はナノバクテリアを単にシステム内を移動する一片のカルシウムとみなす。ある疾患下でもこれらのナノバクテリアは病変に蓄積し成長するようである。
【0008】
癌状態の可能な前駆体源として細菌に起因する多形態性のこの特別な性質により、これらの細菌は癌腫瘍治療の標的となる。細菌は多かれ少なかれ身体のどこにでも蓄積し、そのような蓄積により腫瘍に進展する。さらに、腫瘍の成長も多形態性細菌に関連する第二鉄イオン依存性細菌に依存するようである。
【0009】
多形態性の性質は細菌の多くの異なる種に認められる。したがって、例えば、皮膚あるいは粘膜にみられる常態では非病原性細菌であるスタフィロコッカス・エピデルミス(Staphylococcus epidermis)は、桿状形およびココリス様形で乳房組織に局在し癌病変を引き起こすことが判明している。マイコバクテリウムの種も形を変えることができ様々な他の疾患を生じることが知られている。
【0010】
上記問題の1つ以上を避けるかあるいは最小とすることが本発明の目的である。
【0011】
我々の初期の特許出願WO03/032944において、皮膚創傷と開放創傷の抗生物質抵抗性感染および汚染との闘いに用いるのに適切な様々な局所用キレート組成物があらかじめ提唱されている。しかしながら、他の疾患に対するこのような組成物の有用性の可能性はあらかじめ示唆されていない。
【0012】
WO03/032944で開示したようにキレート化合物の使用に基づいた組成物(その内容はそれに対する参照文献によりこれによってここに挿入されている)が、癌腫瘍を治療し、それらの大きさを減少させその間存在する癌細胞の量を減少させる性質を有することを現在我々は見出している。
【0013】
このように第一の態様において本発明は細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防に対する薬剤の製造における金属イオンキレート剤の使用を提供し、上記金属イオンキレート剤は上記腫瘍形成性細菌が生存のために依存する少なくとも1個の金属イオンに対して金属イオンキレート能を与える。
【0014】
本発明はカポジ肉腫およびサルコイド腫瘍から選ばれた腫瘍の治療あるいは予防に対する薬剤の製造における金属イオンキレート剤の使用をも提供する。
【0015】
さらなる態様において本発明はそのような治療を必要とするヒトあるいは動物に金属イオンキレート剤の有効量の投与からなる細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防の方法を提供し、上記金属イオンキレート剤は上記腫瘍形成性細菌が生存のために依存する少なくとも1個の金属イオンに対して金属イオンキレート能を与える。
【0016】
広範囲の腫瘍形成性細菌におけるカルシウムコーティングの存在に注目して、そのような場合“栄養素”金属イオンと便利に呼ばれるMg2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Zn2+、Mn2+、Ni2+およびSe2+のような腫瘍形成性細胞の生存に必要な1個以上の金属イオンに対してキレート能を有するキレート剤により細菌細胞を攻撃されやすくするために腫瘍形成性細菌膜におけるカルシウムコーティングに存在するカルシウムを吸収するキレート剤を用いることも不可欠であることを我々は見出した。望ましくは腫瘍の成長を支援する第二鉄依存性細菌細胞を攻撃するために第二鉄イオンに対してキレート能を有するキレート剤も用いられる。適切には、カルシウムイオンキレート剤は当該技術分野において良く知られており、とりわけEDTAを含む。
【0017】
したがってもう一つの態様において本発明は細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防における薬剤の製造のために少なくとも1個の金属イオンキレート剤の使用を提供し、上記金属イオンキレート剤は上記腫瘍形成性細菌が生存のために依存するカルシウムイオンおよび少なくとも1個の金属イオンに対し金属イオンキレート能を与える。
【0018】
さらなる態様において本発明はこのような治療を必要とするヒトあるいは動物へ少なくとも1個の金属イオンキレート剤の有効量の投与からなる細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防の方法を提供し、上記の少なくとも1個の金属イオンキレート剤は上記腫瘍形成性細菌が生存のために依存するカルシウムイオンおよび少なくとも1個の金属イオンに対し金属イオンキレート能を与える。
【0019】
原則として2個以上の上記の必須なあるいは望ましい要求を提供する1個のキレート剤の使用は可能である。実際に異なるキレート剤は異なる金属イオンに対し異なるキレート能あるいはキレート力を有することを我々は見出したにもかかわらず、様々な異なる金属イオン標的に対するキレート能が多かれ少なかれ最大化される2つ以上の異なるキレート剤の使用が一般に必要である。
【0020】
上記に関して、8−ヒドロキシキノリンがナトリウム、カリウムおよびカルシウム以外のほとんどの金属イオン(第二鉄を含む)を非常に有効にキレートする特に広い活性スペクトルを有することが判明した。したがって第二のカルシウムイオンキレート剤と組み合わせてこのキレート剤を用いることが必要である。適切には、カルシウムイオンキレート剤は当該技術分野において良く知られており、とりわけEDTAを含む。
【0021】
標的金属イオンと便利に呼ばれる様々な金属イオンを除去する金属イオンキレート剤を提供することによって、本発明の組成物の有効性は増強される。したがって、細菌細胞の基本的な“栄養素”金属イオンの要求に対する攻撃に関して、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、Zn2+、Mn2+、Ni2+およびSe2+から選択された大多数の金属イオンとキレートを形成できる金属イオンキレート剤を用いることが好ましい。
【0022】
一次−栄養素金属イオンキレート剤の効果の少なくとも一部は一次キレート剤による腫瘍形成性細菌のコーティングのおかげであり、それによって効果的に細菌を窒息させることは明らかである。一次キレート剤は腫瘍の成長をコントロールすることが明らかな第二鉄イオン依存性細菌に対し同様な窒息効果を有することも明らかである。
【0023】
一次キレート剤および二次キレート剤のいずれかあるいはいずれも細胞間の媒体において遊離イオンをもキレートし、細菌の成長と発育のサポートにそれらを利用できなくさせる。その結果生じた第二鉄イオンを介する細菌の損傷はその後腫瘍の萎縮開始を誘発する。本発明のキレート化合物組成物のコンスタントな適用により、第二鉄イオンを介するおよび多形態性腫瘍形成性細菌を引き続き拒絶し、それらが完全に除去されるまでいずれの栄養物をも拒絶するであろう。
【0024】
本発明のキレート化合物組成物のもう一つの重要な利点は、腫瘍部位における神経受容体をコートし、患者によって経験された痛みをそれによって軽減することである。この作用は腫瘍あるいは癌状態の治療の有効性をさらに高めることも明らかである。
【0025】
好ましいキレート剤は様々な異なる金属イオンをキレートすることができ、それによって多様な、直接的なおよび間接的な経路によって腫瘍形成性細菌を攻撃することができる。特に、Mg2+、Fe2+、Cu2+、Zn2+、Mn2+、Ni2+およびSe2+から選択された多数の金属イオンとキレートを形成するのに用いられるキレート剤が好ましい。8−ヒドロキシキノリンはナトリウム、カリウムおよびカルシウム以外のほとんどの金属をキレートする、特に広い活性スペクトルを有することが認められている。
【0026】
好ましくは一次“栄養素”金属イオンキレート剤は少なくとも1個のヘテロ原子部分が水素原子アクセプターとして働く少なくとも1個の不飽和結合を有する複素環6員環からなり、上記化合物はまた少なくとも1個の水素原子ドナー部分、好ましくは水酸基からなる異極性化合物であり、上記異極性化合物はそれ自身あるいはもう1個の置換基あるいは複数の置換基と共に立体障害を形成しおよび/あるいはその分子を著しく塩基性あるいは酸性にしあるいは1個の異極性化合物分子の水素原子ドナーおよびアクセプター部分とその異極性化合物のもう一個の分子の水素原子ドナーおよびアクセプター部分との相互作用を阻止するように分子の立体構造を変える置換基を持たない。
【0027】
一般に好ましい“栄養素”金属イオンキレート剤は共にキレート機能を提供するように環構造に少なくとも1個の窒素原子と環構造に配置した少なくとも1個の水酸基置換基を有するヘテロアリール化合物である。好ましい金属イオンキレート剤は随意に置換された2,3−ジヒドロキシピリジン;4,6−ジヒドロキシピリミジン;2−プテリジノール;2,4−キノリンジオール;2,3−ジヒドロキシキノキサリン;2,4−プテリジンジオール;6−プリノール;3−フェナンスリジノール;2−フェナンスロリノール;2−フェナジニロールから選択され、最も好ましいのは8−ヒドロキシキノリンである。8−ヒドロキシキノリンは特に広範囲の異なる金属イオンと金属イオンキレートを形成する利点がある。
【0028】
さらなる態様において本発明はそれらに対する薬学的に許容しうる担体、好ましくは水性担体において上記一次キレート剤および二次キレート剤からなる内用、外用あるいは注入用のための医薬組成物を提供する。適切な水性担体は一般に中間希釈剤、湿潤剤,必要なら増粘剤および望ましくはpH調整剤をも含む。組成物は一般に液体、ゲルあるいはペーストの形であり、とりわけ用いられる特定の投与経路に依存して一般に(一次および二次)キレート剤の0.0031%w/w〜0.20%w/w、好ましくは0.02%w/w〜0.1%w/wからなる。
【0029】
ヒトの場合、胃、肝臓および腸における腫瘍のコントロールに対し、組成物は都合よく1回の投薬当たり5mlの一定量を1日2回服用する。この投薬量は癌腫瘍が縮小し始めその後結局消失するまで維持する。咽頭癌に対しては、10mlの水性混合物を一杯の水で服用しその後それで嗽をする。
【0030】
それから孤立性腫瘍のコントロールのためにキレート剤組成物を望ましくは腫瘍に直接注入する。腫瘍の特別な位置に依存して、混合物の適切な部位への注入を確実にするために適切なスキャナーの助けを用いた遠隔装置によって有利に注入することができる。もう一つの方法は予め決めた間隔で腫瘍内に必要な間キレート溶液を投薬する注入ポンプあるいはシリンジポンプを設置する方法である。注入期間または必要な投与量は腫瘍の縮小を確実にする腫瘍の適切なモニタリングによって一般に決定される。
【0031】
ヒトのカポジ肉腫、先端の開いた腫瘍、眼に見えない腫瘍あるいは動物の同様の腫瘍およびウマに流行しているサルコイドのような体外腫瘍の場合、ペースト製剤が有利に用いられる。投与割合は身体における腫瘍の位置に依存し、先端が開いている腫瘍であれ眼に見えない腫瘍であれ、後者は大体は高投与量を必要とし、それでもほどほどの成功を収めるに過ぎない。サルコイドのような先端の開いた腫瘍に対してはペースト製剤を一般に1日に2回数日間、典型的には10日間投与する。6〜8週以内にそれらの存在していた皮膚上に小さな隆起のみを残してサルコイドが消失することを我々は認めている。
【0032】
口腔腫瘍の場合、例えば、歯肉癌の場合、患部にすり込めるペースト製剤が都合良く1日2回有利に用いられる。
【0033】
組成物のその他の成分の選択は金属イオンキレート剤の性質によって限られることが認められる。したがって、例えば、好ましい金属イオンキレート剤の故に8−ヒドロキシキノリンは一般に水溶液に不溶あるいは僅かに溶解するにすぎない。8−ヒドロキシキノリンの適切な水性組成物はグリコール、好ましくはプロピレングリコール、グリセリンあるいはソルビトールを含むポリオールのような中間溶剤および湿潤剤を用いて調整することができる。当該分野におけるそれらの技術は用い得る広範囲の湿潤剤が利用可能であり、とりわけポリオキシエチレン・ソルビタン・脂肪酸エステルのT20、T40、T60およびT80(ポリソルベート)を含むグリコールおよびC9〜C11のアルコールエトキシレート(Symperonic91/8、あるいはより好ましくは、Symperonic91/6)に金属イオンキレート剤を溶解することを認める。
【0034】
水性組成物の様々な成分の異なる割合の範囲は用いられる金属イオンキレート剤の溶解度、必要とされる最終濃度などに依存して用いられることが認められる。一般に用いられる湿潤剤の量が比較的大きな影響を及ぼすことを我々は見出した。中間溶剤(グリコールなど)の場合、金属キレート剤の水への可溶化に必要な最少量があれば、その後この中間溶剤の量は通常はそうする特別な利点はないにもかかわらず、さらに容易に増やすことができる。
【0035】
有利なことには組成物のアルカリ性pH、最も好ましくは9.2〜9.4のpHを確保するためにpH調整剤も含まれる。pH調整剤は単に水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウムである。しかし、好ましくは、二ナトリウム塩あるいは四ナトリウム塩の形でEDTAが便利に用いられる。
【0036】
8−ヒドロキシキノリンの場合腫瘍の治療における使用に適切な本発明の液体、水性組成物に用いられる適切な割合は一般に以下の組成を有することを我々は見出した。
【0037】

【0038】
本発明のさらなる好ましい特徴と利点は好ましい具体化の実例として与えられた以下の詳細な実施例から明らかである。
実施例1−濃縮物の調製法
10gの8−ヒドロキシキノリン(一次キレート化合物)と0.5gのエチレンジアミン四酢酸(二次キレート化合物)をプロピレングリコール、グリセリンおよびソルビトールから選択した水溶性の非水性希釈剤200gを用いてポリオキシエチレン・ソルビタン・脂肪酸エステルのT20、T40、T60およびT80(ポリソルベート)およびC9〜C11のアルコールエトキシレート(Symperonic91/6)から選択した50gの湿潤剤に70℃で溶解した。いったん溶液としたら、500gの溶液とするためにグリコールまたはグリセリンまたはソルビトールの希釈剤をさらに加え、それから冷却して2.10%の一次キレート化合物および二次キレート化合物の混合物を含む500gの濃縮物を得る。
【0039】
実施例2−経口投与組成物の調製
実施例1から2.1%のキレート濃縮物の1部をとり、159部のイオン交換水に希釈し、それからこの組成物のpHをエチレンジアミン四酢酸ナトリウムを加えてpH9.2/9.4に調整する。この調整品の力価は5mlの各1回の投与量に656μgを含むキレート化合物131.25ppmである。
【0040】
この組成物の適切な投与割合は平均成人体重70kgに基づいて、kg体重当たり約18.75μgに相当する、1日当たり1312μgのキレート化合物を消費する1日10mlである。
【0041】
実施例3−注射可能な組成物の調製
実施例1から2.1%のキレート濃縮物の1部をとり、319部のイオン交換水に希釈し、それからこの組成物のpHをエチレンジアミン四酢酸ナトリウムを加えてpH9.2/9.4に調整する。この調整品の力価は5mlの各注射量に312.5μgを含むキレート剤62.5ppmである。
【0042】
それぞれ5mlの1日当たり2回の注射に基づくと、これは平均成人体重70kgに基づいて、kg体重当たり約8.93μgに相当し、1日625μgのキレート化合物の投与割合を提供する。
【0043】
この同じ溶液を体外電子装置によってコントロールされた投薬頻度とタイミングでヒトの体外あるいは体内に設置した注入ポンプによって便利に投与することができる。このアプローチにおいて投薬は自動的で、投与速度と頻度は外部からコントロールすることができる。
【0044】
実施例4−体外腫瘍に対するペーストの調製
実施例1から2.1%のキレート濃縮物の1部をとり、9部のイオン交換水に希釈する。通常はAmaze XTの適切な増粘剤を粘張なペーストを製造するために2%の割合で加え、組成物のpHをエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(TSEDTA)で9.2/9.4に調整する。
【0045】
ペーストの層はそれぞれの塗布に際して少なくとも2〜3mmの厚さであるべきであるが、このペーストの塗布は腫瘍と患者に依存する。腫瘍上のペーストを湿らせておく必要があるので、もし必要ならペーストを乾燥から防ぐために適切な包帯あるいは被覆材(使い捨てダイヤパー素材の形が便利)でポリエチレンラップを用いてその周りの部位を被う。
【0046】
実施例5−ウマのサルコイド腫瘍の治療
これらは典型的には下肢と胴体の間のひだに存在し、この場合ペーストは1日に2回塗布した時湿ったままの傾向にある。治療は典型的には10日間である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防に対する薬剤の製造における金属イオンキレート剤であって、上記金属イオンキレート剤は上記腫瘍形成性細菌が生存のために依存する少なくとも1個の金属イオンに対して金属イオンキレート能を与えることを特徴とする使用。
【請求項2】
カポジ肉腫およびサルコイド腫瘍から選択された腫瘍の治療あるいは予防に対する薬剤の製造における金属イオンキレート剤の使用。
【請求項3】
前記金属イオンキレート剤がカルシウムイオンに対しキレート能を有するカルシウムイオンキレート剤と共に用いられる請求項1または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記金属イオンキレート剤は少なくとも1個のヘテロ原子部分が水素原子アクセプターとして働き、前記化合物はまた少なくとも1個の水素原子ドナー部分からなる少なくとも1個の不飽和結合を有する複素環6員環からなる異極性化合物であり、前記異極性化合物はそれ自身あるいはもう1個の置換基あるいは複数の置換基と共に立体障害を形成し、および/あるいはその分子を著しく塩基性あるいは酸性にしあるいは1個の異極性化合物分子の水素原子ドナーおよびアクセプター部分と前記異極性化合物のもう一個の分子の水素原子ドナーおよびアクセプター部分との相互作用を阻止するように分子の立体構造を変えるような置換基を持たない請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記金属イオンキレート剤が共にキレート機能を与えるように環構造に少なくとも1個の窒素原子および環構造に配置された少なくとも1個の水酸基置換基を有するヘテロアリール化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記金属イオンキレート剤は随意に置換された2,3−ジヒドロキシピリジン;4,6−ジヒドロキシピリミジン;2−プテリジノール;2,4−キノリンジオール;2,3−ジヒドロキシキノキサリン;2,4−プテリジンジオール;6−プリノール;3−フェナンスリジノール;2−フェナンスロリノール;2−フェナジニロールおよび8−ヒドロキシキノリンから選択される請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記金属イオンキレート剤が8−ヒドロキシキノリンである請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記組成物に湿潤剤を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
湿潤剤がポリオキシエチレン・ソルビタン・脂肪酸エステルのT20、T40、T60およびT80(ポリソルベート)およびC9〜C11のアルコールエトキシレート(Symperonic91/8およびSymperonic91/6)から選択される請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記組成物の中に非水性水溶性溶剤の形で中間溶剤を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記中間溶剤がポリオールである請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記中間溶剤がモノエチレングリコール、プロピレングリコールグリセリンおよびソルビトールから選択される請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記組成物に増粘剤を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記増粘剤がヒドロキシプロピルセルロース増粘剤である請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記増粘剤がデヒドロキサンタンゴム増粘剤である請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記組成物中8−ヒドロキシキノリン1重量部、湿潤剤4±5%重量部、グリコールおよび水の少なくとも20重量部からなる請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記組成物が液体、噴霧剤、クリーム、ゲルあるいはペーストの形である請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
前記金属イオンキレート剤がキレート剤の0.0031%w/wから0.20%w/wの濃度で組成物中に存在する請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記金属イオンキレート剤がキレート剤の0.02%w/wから0.1%w/wの濃度で組成物中に存在する請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記組成物のpHが7.5から10の範囲にあるようにpH調整剤を含む請求項1〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
前記組成物のpHが9.2から9.4の範囲にあるようにpH調整剤を含む請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記カルシウムイオンキレート剤がEDTAからなる請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
そのような治療を必要とするヒトあるいは動物に金属イオンキレート剤の有効量の投与からなる細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防の方法であって、前記金属イオンキレート剤は前記腫瘍形成性細菌が生存のために依存する少なくとも1個の金属イオンに対して金属イオンキレート能を与えることを特徴とする方法。
【請求項24】
そのような治療を必要とするヒトあるいは動物に少なくとも1個の金属イオンキレート剤の有効量の投与からなる細菌を介した癌腫瘍の治療あるいは予防の方法であって、前記の少なくと1個の金属イオンキレート剤は前記腫瘍形成性細菌が生存のために依存するカルシウムイオンおよび少なくとも1個の金属イオンに対して金属イオンキレート能を与えることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−506677(P2008−506677A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520892(P2007−520892)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002759
【国際公開番号】WO2006/008470
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(504142570)エーキュー・プラス・ピーエルシー (3)
【Fターム(参考)】