説明

腹部大動脈瘤の治療用補綴用ステントグラフト

【課題】最小限に侵襲的な外科的技術によって適切な位置に固定でき、その場で大きさを合わせられる、補綴用ステントグラフトを提供する。
【解決手段】補綴用ステントグラフトは、二つの流路に分岐する血管グラフトを備えた幹部分を含む。流路は、第一のテーパー角度を有し、各流路の断面積が、幹部分の分岐点から流路出口の間で、その長さに沿って減少する。ステントグラフトの脚部分入口は、流路出口の展開直径と少なくともほぼ同じかより大きな展開直径を有する。脚部分が、流路のテーパー角度より小さいかほぼ等しい、好ましくはほぼ等しいテーパー角度を有する。脚部分入口の展開直径は、分岐点近傍の流路の展開直径とほぼ同一かより大きなサイズで、流路出口の展開直径は、脚部分入口からの距離が分岐点から出口までの距離と等しい位置で脚部分の展開直径とほぼ同一かより小さなサイズであるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
〔発明分野〕
本発明は医療器具の分野に関するものである。より具体的には、血管疾患、特に腹部大動脈瘤、の治療のための人工器官に関するものである。
【0002】
〔関連技術の説明〕
血管疾患は、先進国における、早期の死亡の主要な要因であり、しばしば血管動脈瘤として現われる。血管動脈瘤は、血管壁構造が薄くなること、あるいは弱くなること、または血管壁が層間分離することによる血管壁の局所的な拡張である。治療が施されないと、動脈瘤は破裂して、コントロール不能の出血を起こし得る。大動脈は、身体の他の全ての領域に血液を供給し、特に高い圧力に曝され、従って特に高いストレスに曝されるので、大動脈中の動脈瘤は、特に危険でかつ起こり易い。大動脈瘤の破裂は、米国における主要死因の15番目にあり、年輩者の5%が苦しめられている。
【0003】
大動脈瘤は、その位置によって記述される。大動脈瘤は、通常大動脈弓と左右の腎動脈の接合点との間の胸部大動脈瘤、または左右の腎動脈の接合点と腸骨動脈の分枝部との間の腹部大動脈瘤である。
【0004】
血圧制御薬では動脈瘤の成長抑制がうまく行かない場合には、大動脈瘤の外科的治療が知られている。この外科手術では、動脈瘤を除去し、血管の拡張した部分に血液を流して、動脈瘤の圧力を緩和するために、しばしば、血管ステントグラフトが挿入される。腹部大動脈瘤(AAA)の治療のための生存可能なステントグラフトの設計は、一つには、血液を、支障なく、別々の腸骨動脈中に流せるように、グラフトが、腹部大動脈の形状に合わせて枝分かれしていなければならないという理由で、特に難しい。
【0005】
更に、最小限に侵襲的な外科的技術による経皮挿入を容易にするために、折り畳み可能なステントグラフトを設計することが有利であろう。この目的のために、AAAの治療のためのいくつかのステントグラフトは、部品に分けて配備される。ステントグラフトの一部分は、一般に、腹部大動脈の脈幹に挿入され、腸骨動脈中へと分岐するために、概ね逆Y形を形成している。ステントグラフトの第二の部分は腸骨動脈中に配備され、第一の部分とインターフェースする。
【0006】
しかしながら、ステントグラフトは、配備の後、そして、連続使用のため長年にわたって、適切な位置にとどまっていなければならない。従って、最小限に侵襲的な外科的技術によって適切な位置に固定できる、多数部分よりなるステントグラフトを設計することが有利であろう。更に、ステントグラフトが一旦配備された後は、位置的安定性を損なうことなく、ステントグラフトの大きさを本来の位置で合わせられることが有利であろう。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明により、第一の一つ以上のステント部分、好ましくは形状記憶材料、より好ましくはニチノール、により支持された分岐血管グラフトを有する幹を備えた補綴用ステントグラフトが提供される。入口は二つの流路に分岐し、二つの出口と流体連通する。これらの流路は第一のテーパー角度を有し、そこでは流路の断面積が、分岐点と流路の出口との間で、その長さに沿って減少するようになっている。
【0008】
ステントグラフトの脚部分には、第二の一つ以上のステント部分、これも好ましくは形状記憶材料、より好ましくはニチノール、により支持された管状血管グラフトが含まれる。脚部分の第二の入口は、流路の出口の展開直径(deployed diameter)と少なくとも同じ大きさかそれより大きい展開直径を有し、第三の流路は出口と流体連通している。脚部分は、それ自身のテーパー角度を持ち、これにより、脚部分の流路の断面積が、脚部分の入口と脚部分の長さに沿ったある位置との間で、その長さに沿って減少するようになる。
【0009】
この流路の第一のテーパー角度は脚部分のテーパー角度より大きいことが好ましく、脚部分のテーパー角度と同等であることがより好ましい。脚部分入口の展開直径は、幹部分の分岐点に隣接した流路の展開直径と少なくとも同じ大きさであるか、それより大きいことが好ましい。この流路出口の展開直径は、脚部分入口からの距離が、分岐点から出口までの距離と同じだけのところにある脚部分の展開直径より少なくとも小さいことが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、腹部大動脈瘤の治療のための、本来の位置でのステントグラフトのサイズ決めの方法が提供される。本方法の一部分として、ステントグラフトの分岐幹部分が、患者の腹部大動脈中に配備される。更に、ステントグラフトの脚部分は、脚部分の入口と共に、幹部分の分岐流路のうちの1つの中に配備され、脚部分の出口が腸骨動脈中に達する。脚部分の入口は、脚部分の入口を中で配備した分岐流路の出口と少なくとも同じ大きさかそれより大きい展開直径を持つ。
【0011】
本発明の上記の、およびその他の種々の特徴、利点および利益は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面を参照することにより明らかになるであろう。いくつかの図面中、同様の符号は同様の構造を表す。
【0012】
〔発明の詳細な説明〕
まず、図1および図2を参照すると、本発明に係るステントグラフトの二つの構成部品が示されている。このステントグラフトは、概して符号10で示されている。幹部分12は、一端にほぼ円形の入口14を有し、他端にほぼ円形の二つの出口16,18を有する。入口および出口は、患者の腹部大動脈および腸骨動脈に配置されたときに、幹部分12を通る、矢印28で示されている、血流の意図された方向に由来する。幹部分12は、入口14と出口16,18の間の点15で分岐して、それぞれ二つの流路20,22に分かれる。好ましくは、幹部分12は、その長さに沿って複数のステントセグメント24から構成され、セグメント24を囲む血管グラフト26により固定連結されており、幹部分12を通る流れを画定する。しかしながら、この例示的実施形態に示されたものとは長さが異なるセグメント24をより多く使用し、あるいはより少なく使用するものに加え、単一のステント構造体を使用することもできる。好ましい実施形態では、ステントセグメントが、軸方向長さで約1cmである。
【0013】
次に、円30で強調表示した分岐部分を参照して、例示的実施形態によれば、流路20,22は、それぞれ先細になっており、点15と出口16,18との間で、その長さに沿って直径が減少している。
【0014】
次に、図2を参照して、ステントグラフト10には、全体として符号40を付された脚部分が含まれる。脚部分40は、おおむね円形の入口42を有する。グラフト部分44は、入口42とおおむね円形の出口46との間の流路を画定する。入口と出口とは、患者の腹部大動脈および腸骨動脈に配置されたときに、脚部分40を通る、矢印48で示されている、血流の意図された方向に由来する。脚部分40は、その長さに沿って複数のステントセグメント50から構成され、セグメント50を囲む血管グラフト44により固定連結されており、脚部分40を通る流れを画定するものであることが好ましい。しかしながら、この例示的実施形態に示されたものとは長さが異なるセグメント50をより多く使用し、あるいはより少なく使用するものに加え、単一のステント構造体を使用することもできる。
【0015】
次に、円52で強調表示した入口部分を参照して、例示的実施形態によれば、脚部分40は先細になっており、少なくとも、入口42とその長さに沿った任意の点との間で、その長さに沿って直径が減少している。この例示的実施形態に示されているように、脚部分40は、また、その長さに沿った最小直径から、おおむね円形の出口46でのより大きい直径まで、直径が拡大する。しかしながら、これは単にオプションである。この拡張した展開直径は、脚部分40の出口46を配置する血管によって束縛され得る。あるいは、出口46まで一様な直径で続く場合を含めて、特定の適用のニーズに合わせて直径が適宜セットできる点で、その長さに沿った先細が終わるようにすることができる。あるいは、出口46で最小の直径そのものが生じ得る。
【0016】
更に、流れの乱れを減少させることにより、グラフト10を通る流体の流れを改善するために、テーパー角度32,54が与えられる。乱れの減少により、グラフト10中の液圧が低下し、それによって、グラフト10、特にそのステントセグメント24,50、に対するストレスが減少する。従って、グラフト10はより弾力性に富み、より長い耐用期間を享受するようになる。
【0017】
ステントグラフト10の構造を形成するステントセグメント24,50は、形状記憶材料を含むことが好ましく、ニチノールを含むことがより好ましい。展開直径になるように形状がセットされているので、ステントグラフトは、最小限に侵襲的な外科的技術によって経皮的に送達されるように、クリンプして、より小さな送達直径にすることができる。
【0018】
使用に際しては、ステントグラフト10の幹部分12は、まず、患者の腹部大動脈中に配備されよう。患者の体温の熱に曝され、および/または、送達装置の制約から開放されると、ステントグラフト10は、拡張してその展開サイズになり、大動脈の壁に対して固定されるであろう。その後、一つまたは二つの脚部分40が、流路20,22の一方または両方の中に配備されるであろう。脚部分40の入口42は、幹部分12の分岐点15にできるだけ近く配備されるのが好ましい。これにより、幹部分12と脚部分40との間における最大限の重なり合いが可能になり、脚部分を取り外すのに要する引き抜き力が大きくなる。従って、脚部分40は、取り外しに対して、抵抗力がより大きくなる。しかしながら、実際には、ステントグラフト10の長さの本来の位置(in situ)でのサイズ決めがしばしば必要であり、幹部分12と脚部分40との間の重なり部分の長さは、必要に応じて減少させることができる(図3〜図4参照)。
【0019】
脚部分40の入口42の展開直径は、幹部分12の分岐点15に隣接する最大寸法における流路20,22の展開直径と少なくとも同じ大きさかより大きい。更に、流路20,22のテーパー角度32は、脚部分40の先細部分のテーパー角度54と少なくともほぼ同じ大きさかより大きい。テーパー角度32とテーパー角度54とは、ほぼ等しいことが好ましい。従って、脚部分40と流路20,22との重なりが最大であると仮定して、出口16,18の展開直径は、入口42からの距離が、分岐点15から出口16,18までの距離と同じだけのところにおける脚部分40の対応する展開直径と少なくとも同じサイズかそれより小さい。
【0020】
従って、脚部分40が流路20,22中に挿入されると、脚部分40の展開直径は、流路20,22による脚部分40の抑制がなければ流路20,22の内部展開直径を上回ろうとするであろう。流路から脚部分を取り外すのに要する引き抜き力は、脚部分40の展開直径が流路20,22の展開直径を上回る量に応じて増大し、脚部分40と流路20,22との間の重なり合いの長さによっても増大する。更に、脚部分40を取り外すのに要する引き抜き力は、テーパー角度32と共に増大する。
【0021】
次に図3,図4を参照して、流路20上に重ね合わされた脚部分40を持つステントグラフト10が示されている。流路20と脚部分40とは両方とも完全に展開した直径となっており、これら二つの間の軸方向の重なり合いの長さの、好ましい最大量(図3)と、好ましい最小量(図4)とが示されている。脚部分40および流路20の寸法的制約内で、より多くのまたはより少ない重なり部分を用い得ることが認識されよう。図3では、脚部分40および流路20の長さに沿った任意の所定の点における脚部分40と流路20の間の直径の差は、円60で強調表示されたテーパー角度32,54と関連して、重なり合いの量を多くすることで減少することが理解されよう。次に、図4を比較して、脚部分40と流路20との間の軸方向の重なりあいは、円70によって強調表示されている。重なり合いの長さは、図3に比して減少しているが、脚部分40と流路20の間の展開直径の差は、一つにはテーパー角度32,54により増大している。重なり合いの長さが減少していることによる図4の構成の引き抜き力の減少は、展開直径における差の増大による引き抜き力の増大により補償される。従って、外科医は、脚部分40の引き抜き力を損なうことなく、本来の位置で、ステントグラフト10の全長のサイズ合わせをすることができる。
【0022】
これまで、いくつかの例示的実施形態または好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきた。これらの実施形態は、単に例示的なものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本開示に鑑み、添付の特許請求の範囲のみを参照して定義される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、いくつかの改変や変更は、当業者には明らかであろう。
【0023】
〔実施の態様〕
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1) 補綴用ステントグラフトにおいて、
第一の入口、ならびに第一の出口と流体連通する第一の流路、および第二の出口と流体連通する第二の流路、を有する分岐血管グラフトを有する幹部分であって、
前記分岐血管グラフトは、第一の一つ以上のステント部分で支持され、
前記第一の流路および前記第二の流路のそれぞれが、第一のテーパー角度を有し、それによって、それぞれの前記流路は、前記幹部分の分岐点から前記流路の出口までの間で、前記流路の長さに沿って断面積が減少している、
幹部分と、
前記第一の流路の前記第一の出口または前記第二の流路の前記第二の出口の展開直径と少なくとも同じか、またはより大きな展開直径を持つ第二の入口、および第三の出口と流体連通する第三の流路、を有する管状血管グラフトを有する、脚部分であって、
前記血管グラフトが、第二の一つ以上のステント部分によって支持され、
前記脚部分が、第二のテーパー角度を有し、それによって、前記第三の流路は、前記第二の入口と前記脚部分の長さに沿ったある位置との間で、前記第三の流路の長さに沿って断面積が減少している、
脚部分と、
を具備する、補綴用ステントグラフト。
(2) 実施態様1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一の一つ以上のステント部分または前記第二の一つ以上のステント部分が、形状記憶材料を含む、補綴用ステントグラフト。
(3) 実施態様2に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記形状記憶材料が、ニチノールを含む、補綴用ステントグラフト。
(4) 実施態様1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一のテーパー角度が、前記第二のテーパー角度より大きいか、または等しい、補綴用ステントグラフト。
(5) 実施態様1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一のテーパー角度が、前記第二のテーパー角度とほぼ等しい、補綴用ステントグラフト。
(6) 実施態様1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記脚部分の前記第二の入口の前記展開直径が、前記幹部分の前記分岐点に隣接する前記第一の流路または前記第二の流路の展開直径と少なくとも同じか、またはより大きい、補綴用ステントグラフト。
(7) 実施態様1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一の出口または前記第二の出口の前記展開直径が、前記第二の入口からの距離が前記第一の出口または前記第二の出口と前記分岐点との間の距離と同じになる位置の前記脚部分の展開直径と少なくとも同じか、またはより小さい、補綴用ステントグラフト。
(8) 実施態様1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記幹部分の前記分岐血管グラフトが、前記第一の一つ以上のステント部分を囲み、前記ステント部分に固定されている、補綴用ステントグラフト。
(9) 実施態様1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記脚部分の前記管状血管グラフトが、前記第二の一つ以上のステント部分を囲み、前記第二のステント部分に固定されている、補綴用ステントグラフト。
(10) 腹部大動脈瘤の治療のために本来の位置でステントグラフトのサイズを決定する方法において、
(a)ステントグラフトの幹部分を患者の腹部大動脈中に配備することであって、
前記幹部分は、第一の入口、ならびに、第一の出口と流体連通する第一の流路、および第二の出口と流体連通する第二の流路、を有する分岐血管グラフト、を有し、
前記血管グラフトは、第一の一つ以上のステント部分により支持され、
前記第一の流路および前記第二の流路のそれぞれは、第一のテーパー角度を有し、これにより、それぞれの前記流路は、前記幹部分の分岐点から前記流路の出口までの間で、前記流路の長さに沿って断面積が減少している、
ステントグラフトの幹部分を腹部大動脈中に配備することと、
(b)前記第一の流路または前記第二の流路のそれぞれの前記第一の出口または前記第二の出口の展開直径と少なくとも同じか、またはより大きな展開直径を備えた第二の入口、および第三の出口と流体連通する第三の流路、を有する管状血管グラフトを有する脚部分を与えることであって、
前記血管グラフトが、第二の一つ以上のステント部分によって支持され、
前記脚部分が、第二のテーパー角度を有し、それにより、前記第三の流路は、前記脚部分の入口と前記脚部分の長さに沿ったある位置との間で、前記第三の流路の長さに沿って断面積が減少している、
脚部分を与えることと、
(c)前記第二の入口が、前記第一の流路または前記第二の流路のうちの一つの内部にあり、かつ、前記第三の出口が、腸骨動脈内まで延びるように、前記脚部分を配備することと、
を含む、方法。
(11) 実施態様10に記載の方法において、
前記第二の入口を前記幹部分の前記分岐点に隣接して配置すること、
を更に含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の例示的実施形態に係るステントグラフトの分岐幹部分を示す図である。
【図2】本発明の例示的実施形態に係るステントグラフトの脚部分を示す図である。
【図3】上記例示的実施形態の分岐幹部分と脚部分とが、それぞれの最大展開直径で、かつ、両部分の間での好ましい最大限の軸方向の重なりで、互いに重ね合わさっている様子を示す図である。
【図4】上記例示的実施形態の分岐幹部分と脚部分とが、それぞれの最大展開直径で、かつ、両部分の間での好ましい最小限の軸方向の重なりで、互いに重ね合わさっている様子を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補綴用ステントグラフトにおいて、
第一の入口、ならびに、第一の出口と流体連通する第一の流路、および第二の出口と流体連通する第二の流路、を有する分岐血管グラフトを有する幹部分であって、
前記分岐血管グラフトは、第一の一つ以上のステント部分で支持され、
前記第一の流路および前記第二の流路のそれぞれが、第一のテーパー角度を有し、それによって、それぞれの前記流路は、前記幹部分の分岐点から前記流路の出口までの間で、前記流路の長さに沿って断面積が減少している、
幹部分と、
前記第一の流路の前記第一の出口または前記第二の流路の前記第二の出口の展開直径と少なくとも同じか、またはより大きな展開直径を持つ第二の入口、および第三の出口と流体連通する第三の流路、を有する管状血管グラフトを有する、脚部分であって、
前記血管グラフトが、第二の一つ以上のステント部分によって支持され、
前記脚部分が、第二のテーパー角度を有し、それによって、前記第三の流路は、前記第二の入口と前記脚部分の長さに沿ったある位置との間で、前記第三の流路の長さに沿って断面積が減少している、
脚部分と、
を具備する、補綴用ステントグラフト。
【請求項2】
請求項1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一の一つ以上のステント部分または前記第二の一つ以上のステント部分が、形状記憶材料を含む、補綴用ステントグラフト。
【請求項3】
請求項2に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記形状記憶材料が、ニチノールを含む、補綴用ステントグラフト。
【請求項4】
請求項1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一のテーパー角度が、前記第二のテーパー角度より大きいか、または等しい、補綴用ステントグラフト。
【請求項5】
請求項1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一のテーパー角度が、前記第二のテーパー角度とほぼ等しい、補綴用ステントグラフト。
【請求項6】
請求項1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記脚部分の前記第二の入口の前記展開直径が、前記幹部分の前記分岐点に隣接する前記第一の流路または前記第二の流路の展開直径と少なくとも同じか、またはより大きい、補綴用ステントグラフト。
【請求項7】
請求項1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記第一の出口または前記第二の出口の前記展開直径が、前記第二の入口からの距離が前記第一の出口または前記第二の出口と前記分岐点との間の距離と同じになる位置の前記脚部分の展開直径と少なくとも同じか、またはより小さい、補綴用ステントグラフト。
【請求項8】
請求項1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記幹部分の前記分岐血管グラフトが、前記第一の一つ以上のステント部分を囲み、前記ステント部分に固定されている、補綴用ステントグラフト。
【請求項9】
請求項1に記載の補綴用ステントグラフトにおいて、
前記脚部分の前記管状血管グラフトが、前記第二の一つ以上のステント部分を囲み、前記第二のステント部分に固定されている、補綴用ステントグラフト。
【請求項10】
腹部大動脈瘤の治療のために本来の位置でステントグラフトのサイズを決定する方法において、
(a)ステントグラフトの幹部分を患者の腹部大動脈中に配備することであって、
前記幹部分は、第一の入口、ならびに、第一の出口と流体連通する第一の流路、および第二の出口と流体連通する第二の流路、を有する分岐血管グラフト、を有し、
前記血管グラフトは、第一の一つ以上のステント部分により支持され、
前記第一の流路および前記第二の流路のそれぞれは、第一のテーパー角度を有し、これにより、それぞれの前記流路は、前記幹部分の分岐点から前記流路の出口までの間で、前記流路の長さに沿って断面積が減少している、
ステントグラフトの幹部分を腹部大動脈中に配備することと、
(b)前記第一の流路または前記第二の流路のそれぞれの前記第一の出口または前記第二の出口の展開直径と少なくとも同じか、またはより大きな展開直径を備えた第二の入口、および第三の出口と流体連通する第三の流路、を有する管状血管グラフトを有する脚部分を与えることであって、
前記血管グラフトが、第二の一つ以上のステント部分によって支持され、
前記脚部分が、第二のテーパー角度を有し、それにより、前記第三の流路は、前記脚部分の入口と前記脚部分の長さに沿ったある位置との間で、前記第三の流路の長さに沿って断面積が減少している、
脚部分を与えることと、
(c)前記第二の入口が、前記第一の流路または前記第二の流路のうちの一つの内部にあり、かつ、前記第三の出口が、腸骨動脈内まで延びるように、前記脚部分を配備することと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記第二の入口を前記幹部分の前記分岐点に隣接して配置すること、
を更に含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−181701(P2007−181701A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−222(P2007−222)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(597041828)コーディス・コーポレイション (206)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【Fターム(参考)】