説明

膜分離方法及び膜分離装置

【課題】 被処理水を膜分離処理する際に、被処理水に含まれる膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を低減することができる膜分離方法及び膜分離装置を提供する。
【解決手段】被処理水に、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加して被処理水を膜分離処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用水、市水、井水などの被処理水を膜分離処理する際に、被処理水に含まれる膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を抑制することができる膜分離方法及び膜分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用水、市水、井水などの被処理水を処理して例えば純水等にする方法として、精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、逆浸透膜(RO膜)等の膜に通水する膜分離処理する方法がある。工業用水、市水、井水などは、通常フミン酸・フルボ酸系有機物、藻類等が生産する糖などの生物代謝物や、界面活性剤等の合成化学物質など、膜を汚染する膜汚染物質を含むため、膜分離処理をすると、これらの膜汚染物質が膜表面に吸着して膜分離性能が劣化するという問題がある。
【0003】
そこで、膜分離処理の前に、被処理水に無機凝集剤及びアニオン性等の高分子凝集剤を添加して膜汚染物質を凝結等する凝集処理をし、沈殿や加圧浮上などにより固液分離した後、上澄み、すなわち、膜汚染物質を除去した被処理水を膜分離処理する方法が行われている。しかしながら、高分子凝集剤を添加すると、水中に残留した高分子凝集剤が後段の膜に吸着して膜を汚染し、膜の分離性能を劣化させるという新たな問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決する方法として、本出願人は、被処理水に無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加し、凝集反応後、固液分離する前に再び無機凝集剤を添加した後、固液分離する凝集分離方法を先に出願した(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、この特許文献1の方法では、被処理水に無機凝集剤と高分子凝集剤とを添加した後に、再び無機凝集剤を添加する工程が必要であるため、より簡便な方法が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−77062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した事情に鑑み、被処理水を膜分離処理する際に、被処理水に含まれる膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を低減することができる膜分離方法及び膜分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、膜分離処理前に、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水に添加することにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明の膜分離方法は、被処理水に、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加して吸着処理し、該吸着処理した被処理水を分離膜により膜分離処理することを特徴とする。
【0010】
ここで、前記吸着処理の際に、被処理水に無機凝集剤を添加することが好ましい。
【0011】
また、前記膜分離処理が、少なくとも精密濾過膜又は限外濾過膜による分離処理を有し、該膜分離処理により、前記吸着処理した後の前記粒子を被処理水から除去するようにしてもよい。
【0012】
さらに、前記膜分離処理が、少なくとも一段以上の逆浸透膜による分離処理を有してもよい。
【0013】
そして、前記吸着処理の後に、被処理水を脱イオン処理することにより純水を得るものであってもよい。
【0014】
また、任意の頻度で、前記分離膜をpH11〜14の洗浄液で洗浄するようにしてもよく、前記洗浄液での洗浄は、逆洗としてもよい。
【0015】
本発明の他の態様は、反応槽と、被処理水を反応槽に導入する被処理水導入手段と、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を前記反応槽又は反応槽の前段で導入して被処理水に前記粒子を添加するポリマー粒子導入手段と、前記反応槽で吸着処理した被処理水を排出する排出手段と、前記排出手段から排出された被処理水を分離膜により膜分離処理する膜分離処理手段とを具備することを特徴とする膜分離装置にある。
【0016】
また、前記膜分離処理手段は少なくとも一段以上の逆浸透膜を有すると共に、前記反応槽よりも下流側に被処理水を脱イオン処理する脱イオン処理手段をさらに具備する純水製造装置としてもよい。
【0017】
また、pH11〜14の洗浄液を前記膜分離処理手段に導入する洗浄液導入手段をさらに有する膜分離装置としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
被処理水に、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加することにより、該粒子に膜汚染物質を吸着させることができる。そして、この水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子に膜汚染物質を吸着させた被処理水を膜分離処理すると、従来の高分子凝集剤や無機凝集剤を用いた場合と比較して、被処理水を膜分離処理する際に、被処理水に含まれる膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を低減することができる。また、この水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子に膜汚染物質を吸着させた被処理水を膜分離処理する系において、分離膜をpH11〜14の洗浄液で洗浄することにより、分離膜に吸着した膜汚染物質を除去することができるので、さらに膜分離性能の劣化を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の膜分離方法は、被処理水に、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加した後、被処理水を膜分離処理するものである。
【0020】
被処理水としては、例えば、フミン酸・フルボ酸系有機物、藻類等が生産する糖などの生物代謝物、又は、界面活性剤等の合成化学物質など、後段の膜分離処理で用いる膜を汚染する物質(膜汚染物質)を含む水、具体的には、工業用水、市水、井水などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
被処理水に添加する粒子を構成する水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーは、例えば、一級アミン、二級アミン、三級アミンおよびそれらの酸塩、四級アンモニウム基などの官能基を有するカチオン性モノマーと、実質的に水に溶解しないようにするための架橋剤モノマーとの共重合体である。カチオン性モノマーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの酸塩もしくはその4級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの酸塩もしくはその4級アンモニウム塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。架橋剤モノマーとしては、メチレンビスアクリルアミドなどのジビニルモノマーが挙げられる。また、上記カチオン性モノマーと共重合可能なアニオン性またはノニオン性モノマーとの共重合体としてもよい。共重合させるアニオン性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそれらのアルカリ金属塩等が挙げられるが、その含有量は、共重合体がカチオン性ポリマーとしての性質を損なわない程度に少量である必要がある。ノニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、Nイソプロピルアクリルアミド、Nメチル(NNジメチル)アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、メチルもしくはエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。各モノマーは1種でも複数種でもよい。なお、ジビニルモノマー等の架橋剤モノマー量は、全モノマーに対して0.0001〜0.1モル%必要であり、この量によって、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子の膨潤度や水中での粒子径が調整できる。そして、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子としては、例えば、アコジェルC(三井サイテック株式会社製)が市販されている。また、WA20(三菱化学社製)等のアニオン交換樹脂を、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーとして用いてもよい。また、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子の平均粒子径は特に限定されないが、逆相エマルション液体やサスペンション状の分散液体中での平均粒子径、すなわち、水で膨潤していない状態の平均粒子径は100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜10μmである。これは、粒子が小さい程、被処理水中に含まれる膜汚染物質の吸着効果が高くなるが、小さすぎると固液分離が困難になるためである。
【0022】
上記水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水に添加する形態に特に限定はなく、例えば、粒子そのままでもよく、また、水中に分散した状態や、逆相エマルション液体やサスペンション状の分散液体の形態で添加してもよい。何れにしても、被処理水に水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加することによって、被処理水が吸着処理される、すなわち、被処理水が水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子と接触して、被処理水中に含まれる膜汚染物質が粒子に吸着するようにすればよい。
【0023】
また、2種以上の水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水に添加してもよい。なお、上記粒子を構成するカチオン性ポリマーは水中で膨潤し実質的に水に溶解しないため、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子も、通常の高分子凝集剤とは異なり、水中で膨潤し実質的に水に溶解しない。「実質的に水に溶解しない」とは、水溶性の程度が水中でカチオン性ポリマーからなる粒子として存在できる程度であればよく、具体的には、例えば、30℃での水への溶解性が0.1g/L以下程度であればよい。また、この粒子の水中での膨潤度は、水で膨潤していない時の粒子径に対して水中での粒子径は10〜200倍程度である。
【0024】
ここで、逆相エマルション液体の形態としたカチオン性ポリマーからなる粒子について以下に詳細に説明するが、この形態に限定されるものではない。なお、特殊なものではなく、ごく一般的な逆相(W/O)エマルションポリマーである。
【0025】
逆相エマルション液体は、上記カチオン性ポリマー、水、炭化水素液体及び界面活性剤を含有する。そして、各成分の質量比(%)は、カチオン性ポリマー:水:炭化水素液体:界面活性剤=20〜40:20〜40:20〜40:2〜20で、カチオン性ポリマーと水との合計質量が、カチオン性ポリマーと水と炭化水素液体と界面活性剤との全体質量に対して40〜60質量%とすることが好ましい。
【0026】
炭化水素液体としては、イソヘキサンなどのイソパラフィン、n−ヘキサン、ケロシン、鉱物油などの脂肪族系の炭化水素液体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
また、界面活性剤としては、例えば、HLB(親水親油バランス)が7〜10で、炭素数10〜20の高級脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、もしくは、炭素数10〜22の高級脂肪酸のポリオキシエチレンエステルが挙げられる。前者の例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのポリオキシエチレン(EO付加モル数=3〜10)エーテルが挙げられる。後者の例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのポリオキシエチレン(EO付加モル数=3〜10)エステルが挙げられる。
【0028】
なお、逆相エマルション液体は、カチオン性ポリマーの原料であるカチオン性モノマーや架橋剤モノマーと、水、炭化水素液体、界面活性剤を混合してモノマーを重合(乳化重合又は懸濁重合)することにより得られるが、これに限定されるものではなく、例えば、各種モノマーを溶液重合した後、ホモジナイザーなどで粉砕し、その後、界面活性剤などの分散剤と共に炭化水素液体に添加することによっても得られる。
【0029】
水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水に添加する際には、粒子の表面積が大きいことが好ましい。したがって、上記逆相エマルション液体やサスペンション状の分散液体の形態である粒子を、撹拌下の水に添加して粒子を膨潤させた状態にした後、被処理水に添加することが好ましい。
【0030】
水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水に添加する量に特に制限は無いが、被処理水中に含まれる膜汚染物質に対して、1〜50質量%程度とすることが好ましい。また、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加した被処理水のpHは特に制限はないが、低pH、例えばpH5.0〜7.5程度とすることが好ましい。凝集性が特に良好になるためである。
【0031】
このように、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加して吸着処理した後に、被処理水を膜分離処理する。
【0032】
膜分離処理としては、精密濾過膜(MF膜)、限外濾過膜(UF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、又は、逆浸透膜(RO膜)等が挙げられる。これらの膜は単独で一段以上用いてもよく、また、例えば、MF膜又はUF膜で被処理水を膜分離処理した後、RO膜で膜分離処理する等、各種の膜を組み合わせる膜分離処理としてもよい。
【0033】
ここで、被処理水である工業用水、市水、井水などは、通常フミン酸・フルボ酸系有機物、藻類等が生産する糖などの生物代謝物や、界面活性剤等の合成化学物質などの膜汚染物質を含むため、膜分離処理をすると、膜汚染物質が膜表面に吸着して膜分離性能が劣化してしまうという問題がある。本発明においては、膜分離処理の前に、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加するため、該粒子に膜汚染物質が吸着して凝集した後に膜分離処理をすることになる。したがって、生物代謝物などの膜汚染物質の溶存有機物濃度が低い水を膜分離処理することができるので、膜汚染物質の膜への吸着を低減でき、膜の分離性能の劣化を抑制できる。
【0034】
また、吸着処理の際に、被処理水に無機凝集剤を添加してもよい。膜汚染物質の凝集剤として、無機凝集剤を添加することにより、膜汚染物質が凝集して、膜汚染物質除去効果が増大する。なお、無機凝集剤の添加は、膜分離処理の前であればよく、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水に添加する前でも後でもよく、また、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子と同時に添加してもよい。無機凝集剤は特に限定はなく、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム塩、塩化第二鉄、硫酸第一鉄等の鉄塩などが挙げられる。また、無機凝集剤の添加量にも特に限定はなく、処理する被処理水の性状に応じて調整すればよいが、被処理水に対して概ねアルミニウム又は鉄換算で0.5〜10mg/Lである。また、被処理水の性状にもよるが、無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いた場合、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子及び無機凝集剤を添加した被処理水のpHを、pH5.0〜7.0程度とすると、凝集が最適となる。
【0035】
また、イオン交換処理等の脱イオン処理をさらに有していてもよい。これにより、純水や超純水を得ることができる。
【0036】
さらに、膜分離処理の前に、沈殿処理や加圧浮上処理により、吸着処理で生成した膜汚染物質を含むカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水から除去する固液分離を行ってもよい。沈殿処理や加圧浮上処理は、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子や無機凝集剤を被処理水に添加後、カセイソーダ、消石灰や硫酸などでpH調整を行い、最後に有機系高分子凝集剤にて懸濁物をフロック化する。また必要に応じて有機凝結剤を併用することもできる。有機凝結剤は特に限定はなく、例えば、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンエピクロルヒドリン重縮合物、ポリアルキレンポリアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドやジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの四級アンモニウム塩を構成モノマーとする重合体等、通常水処理で使用されるカチオン性有機系ポリマーが挙げられる。また、有機凝結剤の添加量にも特に限定はなく、被処理水の性状に応じて調整すればよいが、被処理水に対して概ね固形分で0.01〜10mg/Lである。そして、有機系高分子凝集剤も特に限定はなく、水処理で通常使用される高分子凝集剤を用いることができる。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドの共重合物、及び、それらのアルカリ金属塩等のアニオン系の有機系高分子凝集剤、ポリ(メタ)アクリルアミド等のノニオン系の有機系高分子凝集剤、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはその4級アンモニウム塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドもしくはその4級アンモニウム塩等のカチオン性モノマーからなるホモポリマー、及び、それらカチオン性モノマーと共重合可能なノニオン性モノマーとの共重合体等のカチオン系の有機系高分子凝集剤が挙げられる。また、有機系高分子凝集剤の添加量にも特に限定はなく、処理水の性状に応じて調整すればよいが、被処理水に対して概ね固形分で0.01〜10mg/Lである。
【0037】
なお、膜分離処理で、吸着処理後のカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水から除去してもよい。例えば、精密濾過膜又は限外濾過膜による分離処理で、吸着処理後のカチオン性ポリマーからなる粒子を被処理水から除去してもよい。
そして、脱炭酸処理や、活性炭処理等、被処理水の精製処理をさらに行ってもよい。
また、必要に応じて、凝結剤、殺菌剤、消臭剤、消泡剤、防食剤などを添加してもよい。さらに、必要に応じて、紫外線照射、オゾン処理、生物処理などを併用してもよい。
【0038】
以上述べたように、本発明の膜分離方法によれば、被処理水を膜分離処理する際に、被処理水に含まれる膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を抑制することができる。この膜分離方法を用いた膜分離装置の一例を図1の概略系統図に示す。
【0039】
図1に示すように、膜分離装置1は、反応槽10と、被処理水(原水)を導入するポンプ等の被処理水導入手段11と、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子等の薬品が保持される薬品槽12から反応槽10に薬品を導入するポンプ等からなる薬品導入手段13(ポリマー粒子導入手段)と、反応槽10で吸着処理した被処理水を排出する排出手段14とを有する。そして、反応槽10の下流側には、膜分離処理手段15、脱炭酸処理手段16、及び、活性炭処理手段17、逆浸透膜分離処理手段18が順に設けられている。
【0040】
このような膜分離装置1では、まず、工業用水、市水、井水などの被処理水(原水)が、反応槽10に導入される。そして、薬品槽12に保持された水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子等の薬品が、薬品導入手段13により反応槽10に導入され被処理水に添加される。そして、薬品が添加された被処理水は、攪拌機19で攪拌されて、吸着処理される。次いで、吸着処理された被処理水は、排出手段14で反応槽10から排出され、MF膜を有する膜分離処理手段15に送られて膜分離処理されて吸着処理後のカチオン性ポリマーからなる粒子が被処理水から除去される。本発明においては、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を用いて膜汚染物質を吸着させた後に膜分離処理手段15で膜分離処理するため、膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を抑制することができる。
【0041】
次いで、膜分離処理された被処理水は、後段の脱炭酸処理手段16、及び、活性炭が充填された活性炭処理手段17に送られて、脱炭酸処理及び活性炭処理される。その後、RO膜を有する逆浸透膜分離処理手段18に送られ、RO膜による膜分離処理がなされる。この逆浸透膜分離処理手段18に通水する被処理水は、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を用いて膜汚染物質を吸着させたものであり、さらに、MF膜を有する膜分離処理手段15で膜分離処理した後の被処理水なので、非常に清澄なものであり、生物代謝物等の膜汚染物質の影響が大きいRO膜の劣化を顕著に抑制することができる。なお、イオン交換等の脱イオン処理を逆浸透膜分離処理手段18での膜分離処理の前又は後で行うと、純水又は超純水を得ることができ、膜分離装置1は純水製造装置や超純水製造装置となる。
【0042】
図1に示す膜分離装置においては、薬品を反応槽10に導入する態様のものを示したが、薬品は反応槽10に導入する前の被処理水に添加するようにしてもよい。また、膜分離処理手段15としてMF膜を示したが、UF膜、RO膜、又は、NF膜等でもよい。さらに、上述した図1の膜分離装置1では、膜分離処理手段15で吸着処理後のカチオン性ポリマーからなる粒子を除去するようにしたが、反応槽10で前記粒子を沈殿処理又は加圧浮上処理して被処理水から除去するようにしてもよい。
【0043】
また、任意の頻度で、pH11〜14程度、好ましくはpH12〜13の洗浄液で分離膜を洗浄することが好ましい。本発明においては、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子に膜汚染物質を吸着させた被処理水を膜分離処理するため、被処理水に含まれる膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を低減することができる。しかしながら、膜分離を継続すると、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子に起因すると考えられる固形物が膜表面に付着しだす。さらに、pH11〜14程度の洗浄液で分離膜を洗浄することにより、分離膜に吸着した前記固形物を溶解除去することができるので、膜分離性能の劣化を確実に抑制することができる。なお、通常分離膜の逆流洗浄(逆洗)等において使用されるpH3〜8程度の洗浄液では、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を用いる本発明においては、前記固形物の除去が不十分となるが、上記のように、pH11〜14程度の高pHの洗浄液を用いることにより、効果的に前記固形物を除去することができる。なお、高pHの洗浄液で洗浄する場合は、分離膜はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜などの耐アルカリ性に優れた膜であることが好ましい。
【0044】
pH11〜14の洗浄液としては、例えば、水酸化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウムなどを、膜分離処理した被処理水に混合したものが挙げられ、例えば、水酸化ナトリウムであれば1〜2重量%、次亜塩素酸ナトリムであれば10〜12重量%程度となるように被処理水に混合したものを洗浄液とすることが好ましい。また、洗浄方法としては、通常の分離膜の洗浄に用いられる方法が適用されるが、具体的には、逆洗、フラッシング及び浸漬洗浄などが挙げられる。
【0045】
洗浄の頻度は特に限定されず被処理水や分離膜の性状によって適宜設定すればよいが、例えば、好ましくは5分〜3時間、特に好ましくは10〜60分間膜分離処理したら膜分離処理を中断し、その後好ましくは10〜120秒、特に好ましくは20〜60秒間pH11〜14の洗浄液で逆洗などの洗浄をするようにしてもよい。なお、pH11〜14の洗浄液で分離膜を洗浄した後は、必要に応じて、膜分離処理した処理水や酸などを用いて、分離膜を洗浄又はリンスすることで、運転再開時の処理水pHが高くなりすぎないようにすることが好ましい。
【0046】
この分離膜をpH11〜14の洗浄液で洗浄する工程を有する膜分離方法を用いた膜分離装置の一例を図2の概略系統図に示す。なお、図1と同じものには同じ符号を付し、重複する説明は一部省略する。
【0047】
図2に示すように、膜分離装置50は、反応槽10と、被処理水(原水)を導入するポンプ等の被処理水導入手段11と、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子等の薬品が保持される薬品槽12から反応槽10に薬品を導入するポンプ等からなる薬品導入手段13(ポリマー粒子導入手段)と、反応槽10で吸着処理した被処理水を排出する排出手段14とを有する。そして、反応槽10の下流側には、膜分離処理手段15及び膜分離処理手段15で膜分離処理された被処理水を貯留する処理水槽20が順に設けられている。また、処理水槽20に貯留された被処理水にアルカリ液21を混合した洗浄液を膜分離処理手段15に導入する洗浄液導入手段22、及び、処理水槽20に貯留された被処理水にアルカリ液21を混合した洗浄液のpHを測定するpH測定手段23を有する。
【0048】
このような膜分離装置50では、まず、工業用水、市水、井水などの被処理水(原水)が、反応槽10に導入される。そして、薬品槽12に保持された水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子や、無機凝集剤等の薬品が、薬品導入手段13により反応槽10に導入され被処理水に添加される。そして、薬品が添加された被処理水は、攪拌機19で攪拌されて、吸着処理される。次いで、吸着処理された被処理水は、排出手段14で反応槽10から排出され、PVDF製のMF膜を有する膜分離処理手段15に送られて膜分離処理されて吸着処理後のカチオン性ポリマーからなる粒子が被処理水から除去される。本発明においては、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を用いて膜汚染物質を吸着させた後に膜分離処理手段15で膜分離処理するため、膜汚染物質の膜表面への吸着を低減し膜分離性能の劣化を抑制することができる。次いで、膜分離処理された被処理水は、処理水槽20に貯留される。
【0049】
ここで、膜分離処理手段15のMF膜などの分離膜は、膜分離処理によって次第に水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子に起因する固形物やその他濁質などの汚染物質の付着により、膜分離性能が劣化する。そこで、任意の頻度で、例えば、14分間程度膜分離処理したら、反応槽10と膜分離処理手段15との間に設けられたバルブ30と、膜分離処理手段15と処理水槽20との間に設けられ膜分離処理の際には開けられているバルブ31を閉じて膜分離処理を中断する。そして、処理水槽20と膜分離処理手段15とを繋ぐもう一つのバルブ32を開け、処理水槽20に貯留された被処理水にアルカリ液21を混合したpH11〜14の洗浄液をポンプ等の洗浄液導入手段22で膜分離処理手段15に導入して、例えば1分程度分離膜を通過させることにより、分離膜を洗浄液で逆洗する。なお、洗浄液は、膜分離処理手段15からバルブ33を介して膜分離装置50外へ排水として排出される。
【0050】
そして、pH11〜14の洗浄液による分離膜の洗浄が終了した後は、再び、バルブ30及び31を開けバルブ32及び33を閉じて、膜分離処理を再開する。このように、分離膜を洗浄することにより、分離膜に吸着した膜汚染物質を除去することができるので、膜分離性能の劣化を確実に抑制することができる。
【0051】
図2に示す膜分離装置においては、洗浄液で逆洗するようにしたが、これに限定されず、例えば、洗浄液を分離膜の膜面に高流速で流すことにより膜面の付着物を除去するフラッシングでもよい。また、膜分離処理手段15としてMF膜を示したが、UF膜、RO膜、又は、NF膜等でもよく、さらに、これらの膜を組み合わせて使用してもよい。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
被処理水としフミン質や生物代謝物を含有する工業用水をそれぞれ1000mL入れた各凝集ジャーに、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子(アコジェルC、三井サイテック社製)をアコジェルCとしてそれぞれ0.5、1、2、4、10mg/Lとなるように添加し攪拌した。
【0054】
次いで、この粒子を添加した被処理水を、目皿外径40mm、目皿上高さ100mmのブフナーロートと、直径47mmの微細孔0.45μmのメンブレンフィルター(ミリポア社)を用いて、目皿上の空間が常に水で満たされた状態で濾過し、濾過量が500mlとなるまでの時間T1(秒)と、濾過量が1,000mlとなるまでの時間T2(秒)を測定し、下記[数1]から各濃度におけるMFF値を求めた。なお、MFF値が小さいほど、測定された被処理水が清澄であることを示す。また、濾過されて得られた被処理水のうち、MFF値が最小値を示したものについて、波長260nmでの吸光度(E260:有機物濃度指標)も測定した。MFFの最小値及びMFFの最小値におけるE260の値を表1に示す。なお、被処理水として用いた工業用水は、E260=0.298、カオリン標準液を用いた透過光測定方法による濁度=22であった。
【0055】
【数1】

【0056】
(実施例2)
アコジェルCの代わりに、アニオン交換樹脂(三菱化学社製WA20、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子)を用い、アニオン交換樹脂をそれぞれ0.5、1、2、4、10、20mg/Lとなるように添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0057】
(実施例3)
アコジェルCと共に、無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を添加した以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、PAC(10重量% as Al23)ポリ塩化アルミニウムは、アコジェルCの濃度が低いほうから順に、0.5、1.5、2.5mg/L(as Al)となるように添加した。
【0058】
(比較例1)
アコジェルCの代わりに、ポリ塩化アルミニウムを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0059】
(比較例2)
アコジェルCの代わりに、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないノニオン性ポリマーからなる粒子(アコジェルN、三井サイテック社製)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0060】
この結果、実施例1〜3及び比較例1〜2とも、添加濃度の増加に伴いE260及びMFFが低下し、そして、それぞれある濃度を超えるとほぼ一定値となった。具体的には、無機凝集剤のみを用いた比較例1ではMFF値の最小値は1.31であるのに対し、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を用いた実施例1及び実施例2では、順に、1.22、1.26であり、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子の添加によって、無機凝集剤を添加した場合よりも、被処理水を顕著に清澄にすることができた。したがって、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加した後に被処理水を膜分離処理に用いると、被処理水がより清澄なので膜の汚染が抑制され膜分離性能の劣化を防止できることが分かった。そして、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子及び無機凝集剤を添加した実施例3では、MFF値は1.06であり、特に効果が顕著であった。また、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないノニオン性ポリマーからなる粒子を用いた比較例2では、MFF値は高く、清澄な被処理水は得られなかった。
【0061】
【表1】

【0062】
(実施例4)
被処理水として、実施例1と同じ工業用水を図1に示す装置を用いて、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子(アコジェルC、三井サイテック社製)及びポリ塩化アルミニウム(PAC)を、順に、4mg/L、30mg/Lとなるように添加し攪拌して凝集物を生成した後に、この粒子及び無機凝集剤を添加した被処理水を、0.45μmのMF膜(酢酸セルロール製)で固液分離して凝集物を除去し、その後被処理水を、逆浸透膜(RO膜)に通水する膜分離処理を行った。この時のRO膜間差圧上昇速度を測定した。結果を表2に示す。なお、アコジェルCの濃度(=4mg/L)は実施例1で、ポリ塩化アルミニウム(PAC)の濃度(=30mg/L)は比較例1で、MFF値が最小値を示した時の濃度とした。
【0063】
(比較例3)
アコジェルCを用いずにポリ塩化アルミニウムの濃度を70mg/Lとした以外は実施例4と同様の操作を行った。
【0064】
この結果、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を用いずに無機凝集剤のみを用いた比較例3と比べて、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を用いた実施例4では、RO膜間差圧上昇速度を大幅に低減でき、RO膜による膜分離処理の前に被処理水に水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加することにより、RO膜の分離性能の劣化が抑制できることが分かった。
【0065】
【表2】

【0066】
(実施例5)
被処理水として、実施例1と同じ工業用水を図2に示す装置を用いて、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子(アコジェルC、三井サイテック社製)及びポリ塩化アルミニウム(PAC)を、順に、2ppm、30ppmとなるように添加し攪拌して凝集物を生成した後に、この粒子及び無機凝集剤を添加した被処理水を、0.1μmのMF膜(PVDF製)に14分間通水し、固液分離して凝集物を除去した。その後、MF膜による膜分離処理をした被処理水に次亜塩素酸を添加してpH12となるようにした洗浄液を用いて、流速2m/day上記MF膜を1分間逆洗した。この膜分離処理及び逆洗の工程を連続して行い、この時のMF膜間差圧を測定した。
【0067】
この結果、通水開始時の膜間差圧は27kPaであったが、通水開始から480時間を経過しても、膜間差圧は50kPa未満であり、通水量の低下は生じず、膜分離処理性能は劣化していなかった。また、通水後480時間経過後のFI値は2.8であり、MF膜に損傷はないことが確認された。なお、FI(Fouling Index)値は、JIS K 3802に示されている値であり、主に逆浸透膜モジュールのファウリングに関して供給水中の微量な濁質を定量化する、すなわち、共給水の清澄度を表す指標で、FI=[1−T0/T15]×[100/15](T0:公称孔径0.45μmのメンブレンフィルターで試料水を206kPaの加圧下でろ過したときの、始めの500mLをろ過するのに要した時間(sec),T15:T0の後、同じ状態で15分間(標準値)継続してろ過した後、試料水を再び500mLろ過するのに要した時間)で表される。
【0068】
(実施例6)
逆洗の洗浄液として、MF膜による膜分離処理をした被処理水に次亜塩素酸を添加してpH12となるようにした洗浄液の代わりに、MF膜による膜分離処理をした被処理水に次亜塩素酸を添加してpH11となるようにした洗浄液を用いた以外は、実施例5と同様の操作を行った。
【0069】
この結果、通水開始時の膜間差圧は20kPaであり、通水開始から200時間経過頃までは膜間差圧は問題のない値であった。しかしながら、通水開始から200時間経過後は逆洗を行っても膜間差圧は上昇し始め、通水420時間経過後には膜間差圧200kPaとなった。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係る膜分離装置の概略系統図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る膜分離装置の概略系統図である。
【符号の説明】
【0071】
1、50 膜分離装置
10 反応槽
11 被処理水導入手段
12 薬品槽
13 薬品導入手段
14 排出手段
15 膜分離処理手段
16 脱炭酸処理手段
17 活性炭処理手段
18 逆浸透膜分離処理手段
19 攪拌機
20 処理水槽
21 アルカリ液
22 洗浄液導入手段
23 pH測定手段
30〜33 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を添加して吸着処理し、該吸着処理した被処理水を分離膜により膜分離処理することを特徴とする膜分離方法。
【請求項2】
前記吸着処理の際に、被処理水に無機凝集剤を添加することを特徴とする請求項1に記載の膜分離方法。
【請求項3】
前記膜分離処理が、少なくとも精密濾過膜又は限外濾過膜による分離処理を有し、該膜分離処理により、前記吸着処理した後の前記粒子を被処理水から除去することを特徴とする請求項1又は2に記載の膜分離方法。
【請求項4】
前記膜分離処理が、少なくとも一段以上の逆浸透膜による分離処理を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の膜分離方法。
【請求項5】
前記吸着処理の後に、被処理水を脱イオン処理することにより純水を得ることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の膜分離方法。
【請求項6】
任意の頻度で、前記分離膜をpH11〜14の洗浄液で洗浄することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の膜分離方法。
【請求項7】
前記洗浄液での洗浄が、逆洗であることを特徴とする請求項6に記載の膜分離方法。
【請求項8】
反応槽と、被処理水を反応槽に導入する被処理水導入手段と、水中で膨潤し実質的に水に溶解しないカチオン性ポリマーからなる粒子を前記反応槽又は反応槽の前段で導入して被処理水に前記粒子を添加するポリマー粒子導入手段と、前記反応槽で吸着処理した被処理水を排出する排出手段と、前記排出手段から排出された被処理水を分離膜により膜分離処理する膜分離処理手段とを具備することを特徴とする膜分離装置。
【請求項9】
前記膜分離処理手段は少なくとも一段以上の逆浸透膜を有すると共に、前記反応槽よりも下流側に被処理水を脱イオン処理する脱イオン処理手段をさらに具備する純水製造装置であることを特徴とする請求項8に記載の膜分離装置。
【請求項10】
pH11〜14の洗浄液を前記膜分離処理手段に導入する洗浄液導入手段をさらに有することを特徴とする請求項8又は9に記載の膜分離装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−56454(P2009−56454A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284111(P2007−284111)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】