説明

自動二輪車における内燃機関下部の保護構造

【課題】オイルパン部から後部の動力伝達ケース部を前後に亘って広く連続して覆いながら、最低地上高さを大きく取ることができる、自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【解決手段】内燃機関2とその動力伝達ケース部3とが一体化され、動力伝達ケース部の後部に駆動輪6を保持したパワーユニット5を備える自動二輪車1において、内燃機関のクランク軸51下方に位置しオイルパン部110を画成するクランクケース底部壁111と、クランク軸の後方を覆うクランクケース後部壁112と、クランクケース後部壁より後方に配置されたメインスタンド取付けボス部100L,100Rとを備え、メインスタンド48の前端の基部48aがメインスタンド支持軸101を介して、メインスタンド取付けボス部に支持されるとともに、オイルパン部を下方から覆う保護プレート104の後端が、メインスタンド支持軸に支持された、自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関とその動力伝達ケース部とが一体化され、動力伝達ケース部の後部に駆動輪を保持したパワーユニットを備える自動二輪車における、内燃機関の下部を保護する保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関とその動力伝達ケース部とが一体化され、動力伝達ケース部の後部に駆動輪を保持したパワーユニットを備える自動二輪車において、内燃機関の下部を保護するための構造が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、内燃機関の下部に画成されたオイルパンの下部中央部にメインスタンドを設け、前部カバーとメインスタンドとにより、オイルパンを保護しようとする構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−137268号公報(第1図〜第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される構造は、オイルパンの下部中央部にメインスタンドを軸支しており、パワーユニットの後方を保護する場合や、最低地上高さを確保しようとする場合等には、課題が残るものであった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決し、オイルパン部から後部の動力伝達ケース部を前後に亘って広く連続して覆いながら、メインスタンドが下方に張り出すことを防止して最低地上高さを大きく取ることができる、自動二輪車における内燃機関下部の保護構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、内燃機関とその動力伝達ケース部とが一体化され、同動力伝達ケース部の後部に駆動輪を保持したパワーユニットを備える自動二輪車において、前記内燃機関のクランク軸下方に位置しオイルパン部を画成するクランクケース底部壁と、クランク軸の後方を覆うクランクケース後部壁と、同クランクケース後部壁より後方に配置されたメインスタンド取付けボス部とを備え、メインスタンドの前端の基部がメインスタンド支持軸を介して、前記メインスタンド取付けボス部に支持されるとともに、前記オイルパン部を下方から覆う保護プレートの後端が、前記メインスタンド支持軸に支持されたことを特徴とする自動二輪車における内燃機関下部の保護構造である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記メインスタンド取付けボス部は左右に設けられ、そのうち前記動力伝達ケース部側のメインスタンド取付けボス部は、同動力伝達ケース部下面に一体に設けられたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記メインスタンド取付けボス部は左右に設けられ、前記メインスタンドは、左右の前記メインスタンド取付けボス部の内側で、前記保護プレートは、左右の前記メインスタンド取付けボス部の下端部を覆ってその外側で、前記メインスタンド支持軸に支持されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記クランクケース底部壁の前側には、前記パワーユニットを車体フレームに支持させるハンガー部が同クランクケース底部壁より前側に延びて形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記ハンガー部と前記車体フレームとを接続する懸架リンク部が、前記ハンガー部の前方において前記内燃機関下部を連続して覆ったことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記懸架リンク部と前記ハンガー部との結合部の連結軸には、連結部プレートが中央下方を覆うように配置されたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記保護プレートは、下面視で、前側を前記ハンガー部より幅狭くして、左右から前記クランクケース底壁部に締結されたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記保護プレートには、前記オイルパン部のドレインボルトの下方に位置するようにオイルメンテナンス用の開口が設けられたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造において、前記メインスタンドは、前記動力伝達ケース部の車体側方まで延びるステップバーを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造によれば、メインスタンド支持軸を共通の支持軸として、保護プレートの後端とメインスタンドの前端の基部とを支持する構造とし、クランクケース後部壁より後方に配置されたメインスタンド取付けボス部にメインスタンド支持軸を支持させたので、保護プレートとメインスタンドが、オイルパン部から後部の動力伝達ケース部を前後に亘って広く連続して覆いながら、メインスタンドが下方に張り出すことを防止して、最低地上高さを大きく取ることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、メインスタンド取付けボス部を、より後方に配置して、後方まで広く覆うことができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、メインスタンド取付けボス部より前側において車幅方向に配置され、メインスタンド取付けボス部の下端部を覆ってその下方に位置する保護プレートにより、メインスタンド取付けボス部と、メインスタンドの基部を下方から広く保護することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、ハンガー部と、保護プレートと、メインスタンドとによる連続した、内燃機関下部の保護構造が形成される。
【0020】
請求項5の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、車体フレームとの接続構造により、さらに内燃機関下部が広く覆われる。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項5の発明の効果に加え、より広く段差無く内燃機関下部を覆う構造となり、車両の保護性が増す。
【0022】
請求項7の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、保護プレートの前側の締結部をハンガー部により保護して締結具の緩みを防止する。
【0023】
請求項8の発明によれば、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明の効果に加え、ドレインボルトを下方から保護し、ドレインボルトの着脱を容易にするとともに、ドレインされたオイルを通すことができ、保護プレートによるボルト保護と、メンテナンスの容易化が両立する。
【0024】
請求項9の発明によれば、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明の効果に加え、車体側方まで延びるメインスタンドのステップバーにより動力伝達ケース部の保護が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車の全体左側面図である。
【図2】本実施形態に係る自動二輪車のパワーユニットの左側面図であり、本実施形態の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造の要部を示し、メインスタンドおよび保護プレートと、パワーユニットのハンガー部と、ハンガー部を車体フレームに接続する懸架リンク部との関係の説明図である。
【図3】本実施形態のパワーユニットの要部左側面図であり、保護カバーの、取り付け状態の左側面を示す。
【図4】図3中IV−IV矢視で示す、本実施形態のパワーユニットの前半部の断面展開図である。
【図5】図2中V矢視による、本実施形態のパワーユニットの底部の一部を示し、メインスタンド、保護プレート等の取り付け状態の、底面上での配置説明図である。
【図6】本実施形態の保護プレートの上面図である。
【図7】図6中VII−VII矢視で示す、本実施形態の保護プレートの左側面図である。
【図8】図6中VIII−VIII矢視で示す、本実施形態の保護プレートの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る自動二輪車における内燃機関下部の保護構造を、図1から図8に基づき説明する。
【0027】
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲の記載における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係るパワーユニットを、車両すなわち自動二輪車に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。図中、矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
また、図中、黒小矢印はVベルト式無段変速機の冷却風の流れを、白抜き小矢印はシリンダ部冷却風の流れを、模式的に示す。
【0028】
図1は、本実施形態に係る自動二輪車として、スクータ型の自動二輪車1の全体左側面を示す。自動二輪車1は、内燃機関2と後輪6への動力伝達ケース部3とが一体化されて、車体フレーム4に対して揺動自在に取り付けられ、駆動輪である後輪6を動力伝達ケース部3の後部に軸支するパワーユニット5を、車体フレーム4の下方に備えている。
【0029】
本実施形態の自動二輪車1では、前輪7を前輪軸7aを介して軸支する左右一対のフロントフォーク41が、車体フレーム4の前端部に位置するヘッドパイプ40に、ステアリングステム42を介して操舵可能に枢支される。
また、フロントフォーク41に支持されたフロントフェンダ8が、前輪7の上方を覆い、ヘッドパイプ40の周囲は、フロントフェンダ8と別体に構成された車体カバーであるフロントカバー9で覆われている。
【0030】
フロントカバー9は、ヘッドパイプ40を介して車体フレーム4側へ取り付けられ、その前部下方はフロントフェンダ8の上面に隣接して、上方を前方へ延出する棚状の延出部10をなしている。延出部10の先端側には、前面にヘッドライト11、側面にウインカ12が設けられている。
ヘッドパイプ40に回動自在に支持されているステアリングステム42は、フロントカバー9の上方へ延出し、ハンドルカバー13で覆われるとともに、先端部がハンドルカバー13から側方へ延出して操舵用のステアリングハンドル14となっている。ハンドルカバー13内には上方に計器類15等が設けられている。
【0031】
車体フレーム4は、ヘッドパイプ40から斜め下がり後方へメインフレーム43が接続し、その下部において左右一対のメインフレーム43A、43Aに分岐してほぼ水平後方に延出して、ヘッドパイプ40と乗員用シート16との間を低部として跨ぎ易さを向上させた鞍部44を形成する。
鞍部44上には、ステップフロア17がフロントカバー9の下部後方と接続して設けられている。
【0032】
メインフレーム43A、43Aは、ステップフロア17の後方で屈曲部45をなして、左右一対の後部メインフレーム43B、43Bとして後方へ斜め上がりに延出した後、略水平後方に延出する。
後部メインフレーム43B、43Bには、乗員用シート16と荷台18等が支持されている。
左右対をなすメインフレーム43A、43A、後部メインフレーム43B、43Bはそれぞれ、車幅方向のフレームによって左右連結される。
【0033】
なお、図1中の符号19は、パワーユニット5に取り付けられ、後輪6の上部を覆うインナフェンダである。符号20はリヤフェンダ、21はテールライト、22は後部ウインカ、23はリヤクッション、24はスタータキックアーム、48はメインスタンド、49はサイドスタンドである。
サイドスタンド49は、自動二輪車1の後部メインフレーム43Bに取り付けられて、車体後部側方に設けられ、非使用時は冷却風ダクト80の車両外方側に位置する。
【0034】
メインスタンド48は、図1、2に示されるような非使用時、すなわち収納時において、前端に位置しパワーユニット5に軸支される基部48aと、基部48aから略水平に後方に延在するスタンドバー48bと、スタンドバー48bから上方に延在するステップバー48cを備える。
非使用時には、図示しないばね装置で、図1、2に示されるように、スタンドバー48bが後方上部に跳ね上げられて停止している。
使用時には、ステップバー48cが踏み下げられ、スタンドバー48bを上下方向に位置させた状態となり、自動二輪車1が、後輪6を浮かせて自立保持される。
【0035】
パワーユニット5は、その前部の内燃機関2と、後部左側で後輪6の左側方に配置される動力伝達ケース部3とを一体化して構成され、内燃機関2は、単気筒の4ストロークサイクルの強制空冷式内燃機関であり、パワーユニットケース50においてクランク軸51を自動二輪車1の車幅方向に配向させている。
また、内燃機関2は、パワーユニットケース50に、シリンダ部52としてシリンダブロック53とシリンダヘッド54が順次積み重ねられて、略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢で、突出するように一体に締結されて設けられている(図4参照)。
【0036】
内燃機関2から後方にかけては、後輪6の左側方に位置して、動力伝達ケース部3に備えられる動力伝達機構としての、Vベルト式無段変速機30とその後部に設けられた歯車式の減速機構31とが備えられ、減速機構31に駆動輪としての後輪6が軸支される。
【0037】
図1、およびパワーユニット5等の要部を拡大して示す図2においては、パワーユニット5は、Vベルト式無段変速機30を収納する後述の変速室32の外側殻体となる変速機外側ケース56(図3参照)が、Vベルト式無段変速機30の冷却風を取り入れるための冷却風ダクト80を取り付け、それらの外側をサイドカバー95とダクトカバー96で覆われた状態で示されている(図4参照)。
【0038】
パワーユニット5は、パワーユニットケース50の前方下部に左右一対のハンガー部55、55を備えている。
一方、自動二輪車1のステップフロア17の後方において、メインフレーム43A、43Aの屈曲部45には、左右一対の支持ブラケット46、46が接合されている。
パワーユニット5は、その前方下部のハンガー部55、55において、それぞれ車両前後方向に延びる懸架リンク部47を介して、車体フレーム4の支持ブラケット46、46に上下揺動可能に支持される。
一方、パワーユニット5の動力伝達ケース部3の後部は、後輪6の後輪軸6aを軸支するとともに、リヤクッション23を介して後部メインフレーム43B、43Bに近接離反可能に支持される。
【0039】
後輪6の左側で、パワーユニット5の動力伝達ケース部3の上部には、エアクリーナケース26が支持されており、内燃機関2のシリンダヘッド54の上部から延出した吸気管27が後方に湾曲してスロットルボディ28を介してエアクリーナケース26に接続される。
また、シリンダヘッド54から下方に向けて図示しない排気管が取り付けられ、排気管は右側へ迂回して車体右側に配設された図示しないサイレンサに接続している。
【0040】
図3は、図1、図2に示されるパワーユニット5、エアクリーナケース26等の要部左側面図であるが、図1、2と異なり、サイドカバー95とダクトカバー96を外した状態で、シリンダ部52の冷却シュラウド65、変速機外側ケース56、冷却風ダクト80およびパワーユニットケース50の一部、ならびにエアクリーナケース26の左側面外観を示す。
図4は、図3中に示すIV-IV矢視による、パワーユニット5の前半部の断面展開図であり、冷却風ダクト80、サイドカバー95、ダクトカバー96は、略図示している。
【0041】
図4に示されるように、パワーユニットケース50は、左右割りの左ユニットケース50Lと右ユニットケース50Rとを合体して構成されるもので、右ユニットケース50Rは、クランクケースの右半体、すなわち右クランクケース部をなす。
【0042】
左ユニットケース50Lは、前部の左クランクケース部50La、中央の変速機内側ケース部50Lb、後部の減速機ケース部50Lc(図1〜3参照)からなる。
前部の左クランクケース部50Laは右側が開放面をなし、右ユニットケース50Rと突き合わされて締結されて内燃機関2のクランクケースを構成する。
【0043】
左クランクケース部50Laと右ユニットケース50Rによって形成されるクランクケースの下部には、クランク軸51の下方に位置してオイルパン部110を画成するクランクケース底部壁111と、クランク軸51の後方を覆うクランクケース後部壁112が形成される(図2、図3参照)。
すなわち、前述のパワーユニット5を車体フレーム4に支持させるハンガー部55、55は、左クランクケース部50Laと右ユニットケース50Rとに亘って形成されるランクケース底部壁111から、その前側に延びて形成されている。
【0044】
中央の変速機内側ケース部50Lbは、左側が開放面をなし、開放面は、ともに変速室32の殻体をなす変速機外側ケース56により覆われ、変速室32の内部には、Vベルト式無段変速機30が収納される。
後方の減速機ケース部50Lcは右側が開放面をなし、開放面は、図示しない減速機カバーにより覆われ、内部に歯車式の減速機構31(図1〜3参照)が収納される。
すなわち、変速機内側ケース部50Lbと変速機外側ケース56、および減速機ケース部50Lcと減速機カバーが、内燃機関2に対する動力伝達ケース部3となる。
【0045】
Vベルト式無段変速機30が収納される変速機外側ケース56の前方には、前方に向けて突出する筒状部91が形成され、その前端が、略矩形のケース開口部92となっている。
ケース開口部92には、変速機外側ケース56内、すなわち変速室32内と連通する冷却風ダクト80が取り付けられ、Vベルト式無段変速機30に冷却風を導く冷却風通路90が、冷却風ダクト80内と変速室32とを連通して形成される。
【0046】
また、冷却風ダクト80の車両外方の側部を覆うダクトカバー96が、変速機外側ケース56に締結されて取り付けられ、変速機外側ケース56の外側には、図示しない防音材を介装してサイドカバー95が取り付けられており、サイドカバー95はダクトカバー96の締結部96aも覆っている。
なお、図1〜図2においては、パワーユニット5は、サイドカバー95とダクトカバー96を取り付けた左側面の外観が示されている。
【0047】
左クランクケース部50Laと右ユニットケース50Rとを殻体とするクランクケース内には、クランク軸51が車幅方向に配向されて、左右の主ベアリング57、57に回転自在に支持されており、クランク軸51から車両前方に向けてシリンダ部52が設けられ、シリンダブロック53のシリンダライナ58内を往復動するピストン59とクランク軸51のクランクピン51aとをコネクティングロッド60が連結している。
【0048】
クランク軸51の左右水平方向に延びた延出部のうち、右延出部には、ACジェネレータ61が設けられ、左延出部にはカムチェーン駆動スプロケット62とVベルト式無段変速機30の駆動プーリ33が設けられる。
【0049】
右ユニットケース50Rの右側面に設けられるACジェネレータ61は、右ユニットケース50Rの中央円筒部50Raより突出するクランク軸51の端部にACGボス61aを介して碗状のアウタロータ61bが固着され、その内周面に周方向に亘って磁石61cが配設される。磁石61cの内周側には、ステータコイル61dの巻回されたステータ61eが、中央円筒部50Raに固定されている。
【0050】
アウタロータ61bの右側面には、強制空冷ファン63が取り付けられ、その右側方をファンカバー64が覆う。ファンカバー64に連接されて、シリンダ部52、すなわちシリンダブロック53とシリンダヘッド54の周囲を覆う冷却シュラウド65が設けられる。
【0051】
ファンカバー64には、強制冷却ファン63に対向してシリンダ部冷却風入口64aが設けられている。強制冷却ファン63によってシリンダ部冷却風入口64aから吸引されたシリンダ部冷却風は、冷却シュラウド65の内部でシリンダ部52、すなわちシリンダブロック53およびシリンダヘッド54の周囲を巡り、シリンダ部52を冷却したのち、シリンダ部冷却風入口64aと反対側、すなわち冷却シュラウド65においてシリンダ部52の左下方側に設けられたシリンダ部冷却風排出口66(図3参照)から、温風となって、放出される。
【0052】
クランク軸51の左右水平方向に延びた延出部のうち、左延出部には、駆動プーリ33が設けられる。
クランク軸51の左端部の駆動プーリ33は、固定側プーリ半体33Aと可動側プーリ半体33Bとからなる。固定側プーリ半体33Aは、クランク軸51の左端部にスプライン嵌合しボス34を介して固着され、その右側に可動側プーリ半体33Bがクランク軸51にボスを介して軸支され、可動側プーリ半体33Bは軸方向に摺動して固定側プーリ半体33Aに接近・離反することができ、両プーリ半体34A、34B間にVベルト35が挟まれて巻き掛けられる。
【0053】
なお、駆動プーリ33の固定側プーリ半体33Aの外側面には、冷却ファン93が設けられており、駆動プーリ33の回転に伴って、冷却風を後述のように変速室32内に吸引するものとなる。
また、固定側プーリ半体33Aの外周には、始動モータ69の回転動力がスタータピニオンギア68を介して(図3参照)伝動されるスタータ被動ギア94が設けられている。
【0054】
可動側プーリ半体33Bの右側で円環状シール部材36に近接した固定位置にカムプレート37が設けられており、その外周端に設けたスライドピース37aが可動側プーリ半体33Bの外周端に軸方向に形成したカムプレート摺動ボス部33Baに摺動自在に係合している。
可動側プーリ半体33Bのカムプレート37側側面は、カムプレート37側に向けてテーパしており、同テーパ面内側にカムプレート37に挟まれてドライウエイトローラ37bが収納されている。
【0055】
したがってクランク軸51の回転速度が増加すると、可動側プーリ半体33Bとカムプレート37間にあって共に回転するドライウエイトローラ37bが、遠心力により遠心方向に移動し、可動側プーリ半体33Bはドライウエイトローラ37bに押圧されて左方に移動して固定側プーリ半体33Aに接近し、両プーリ半体34A、34B間に挟まれたVベルト35を遠心方向に移動させ巻き掛け径を大きくするように構成されている。
【0056】
駆動プーリ33の巻き掛け径の変化に伴い、従動軸38(図5参照)側の従動プーリ39(図5参照)の巻き掛け径が逆に変化し、伝達回転速度の無段変速が行われることとなるが、Vベルト式無段変速機30の構造自体は公知のものであるので詳しい説明を省略する。
また、Vベルト式無段変速機30の従動軸38は、歯車式の減速機構31の入力軸となり、減速機構31の出力軸は後輪6の後輪軸6aと一体に結合される。
【0057】
図4に示されるように、シリンダブロック53に重ねて締結されたシリンダヘッド54は、さらにその上に被せられるシリンダヘッドカバー70との合せ面54aの内周側において、ピストン59の頂面が対向する燃焼室71の天井壁部分が大きく突出して、左右対をなす軸受壁72L、72Rが、互いに対向して形成されている。
【0058】
軸受壁72L、72Rは、合わせ面54aよりも大きく突出しており、この左右の軸受壁72L、72RにSOHC型式のバルブシステムからなる動弁機構73が設けられる。
シリンダヘッド54は水平に近い状態にまで大きく前傾しているので、左右の軸受壁72L、72Rは、合せ面54aより前方に突出しており、カムシャフト76が回転自在に、左右水平方向に指向して架設され、シリンダヘッド54の左側壁と左側の軸受壁72Lとの間にカムチェーン室74が形成されている。カムシャフト76のカムチェーン室74に突出した左端部に被動スプロケット77が嵌着されている。
【0059】
一方、クランク軸51に嵌着されたカムチェーン駆動スプロケット62と被動スプロケット77との間にカムチェーン78が、左クランクケース部50La,シリンダブロック53,シリンダヘッド54に連通して設けられるカムチェーン室74を貫通して架渡されて、クランク軸51の回転が半分の回転速度でカムシャフト76に伝達され、動弁機構73が駆動される。
動弁機構73自体は公知のものなので、説明を省略する。
【0060】
なお、シリンダヘッド54において、カムチェーン室74と反対側(右側)から燃焼室71に向かって斜めに点火プラグ79が嵌挿され、点火プラグ79にはプラグキャップ79aが装着されて斜め前方に突設される。
【0061】
本実施形態においてVベルト式無段変速機30は、冷却風が変速室32内に強制的に流されることによりを冷却されており、冷却風を取り入れる構成が変速機外側ケース56の前部に設けられている。
図4に、変速機内側ケース部50Lbの前部と変速機外側ケース56、および冷却風ダクト80の周辺の断面が示されるように、Vベルト式無段変速機30を収容した変速室32は、左側が、変速機外側ケース56で覆われて形成される。
変速機外側ケース56の前方の周壁56aには、前方に向けて突出する筒状部91が形成され、その前端に、変速室32への冷却風導入口となる略矩形のケース開口部92が形成される。
【0062】
一方、図3に示されるように、冷却風ダクト80が、ケース開口部92にインロー嵌合され、内部にダクト内冷却風通路90Aが形成される。
ダクト出口開口としての嵌合接続部81は、後方に向けて突出し略矩形の開口を形成する。
【0063】
冷却風ダクト80は、変速機外側ケース56のケース開口部92に接続された状態で、ケース開口部92との嵌合接続部81から車両前方に向けて延出した後、その上流側は冷却シュラウド65の側面に沿って上方に屈曲して、さらに後方に屈曲してコの字状に折り返し、車両後方に向けたダクト入口開口である冷却風取り入れ口82を備えている。
【0064】
したがって、冷却風ダクト80がシリンダ部52の冷却シュラウド65の側面に沿って配置されたので、車体の側方、パワーユニット5の上方への張り出しが抑制され、冷却風取り入れ口82の後輪6に対する距離が大きくなり、後輪6の巻き上げによる塵埃等の冷却風取り入れ口82への侵入が低減する。
【0065】
一方、図4に示されるように、変速機外側ケース56の筒状部91は、変速室32内の駆動プーリ33の固定側プーリ半体33Aの外側面に設けられた冷却ファン93の側方に指向しており、変速室内冷却風通路90Bが形成される。
そうして、変速室32内の冷却ファン93の側方に冷却風を導く冷却風通路90(90A、90B)が、冷却風ダクト80内と、Vベルト式無段変速機30を収納する変速室32とを連通して形成される。
【0066】
クランク軸51が回転して冷却ファン93が回転すると、冷却風が強制的に吸引され、冷却風取り入れ口82からの冷却風がダクト内冷却風通路90A、ダクト出口開口としての嵌合接続部81、ケース開口部92を通るとともに筒状部91経由、変速機外側ケース56内に入る。
図4に示されるように、変速機外側ケース56内に入った冷却風は、変速室内冷却風通路90Bにおいてガイド板97の吸入開口97aから、冷却ファン93側方の回転中心周りに吸入され、冷却ファン93によって変速室32内に押し込まれる。
【0067】
変速室32内に押し込まれた冷却風は、駆動プーリ33、Vベルト35および従動軸38に取り付けられた従動プーリ39(図3、4中に中心軸線のみ示す)を冷却しつつ、変速室32内を後方に流れるとともに、後部の従動プーリ39の回転によって変速室32上方に捲き上げられ、変速機外側ケース56左側中央部(変速室32左側中央部)に設けられ、その下流端において変速機外側ケース56下部で外部に開口する冷却風排出孔98を通り、変速室32外へ、すなわちパワーユニット5外へ排出される。
【0068】
また、図3にも示されるように、変速機外側ケース56の後端側、すなわち従動プーリ39周囲にも、2箇所、冷却風排出口99が設けられ、すでに冷却により加熱された冷却風の排出を促進している。
なお、冷却風排出口99は、変速機外側ケース56の外側を覆って取り付けられるサイドカバー95で、間隔を空けて覆われるので、外部から変速室30内への異物の侵入が防止されている。
【0069】
なお、図3に示されるように、冷却風ダクト80の背面83には、スロットルケーブル・クランパ88が設けられている。
図4に示されるように、冷却風ダクト80は、冷却シュラウド65に対して所定距離離間して配置されており、冷却風ダクト80と冷却シュラウド65との間のスペース89に、スロットルケーブル・クランパ88が位置して、それにスロットルケーブル29が保持される。
【0070】
図2に示されるように、スロットルケーブル29はその前端側が車体前方において車体フレーム4に固定され、その後端側は車体フレーム4に対して揺動するパワーユニット5上のスロットルボディ28(図1参照)に固定される。したがって、スロットル操作の抵抗を軽減するためには、スロットルケーブル29の適切な撓みを許す保持が必要となる。
そこで、冷却風ダクト80の背面83にスロットルケーブル・クランパ88を取り付ければ、図示のように、スロットルケーブル29を、冷却シュラウド65側方のスペース89(図4参照)とその前方の車体フレーム4との間でパワーユニット5の揺動に対する撓みを確保して、適切にレイアウトすることができる。
【0071】
図3に示されるように、パワーユニット5のクランクケースの底部には、クランク軸51下方に位置しオイルパン部110を画成するクランクケース底部壁111が形成される。
その後方に続きクランク軸51の後方を覆うクランクケース後部壁112の後方には、左ユニットケース50Lの変速機内側ケース部50Lb、すなわち動力伝達ケース部3下面と、右ユニットケース50Rとに、それぞれ一体にメインスタンド取付け左ボス部(本発明の「動力伝達ケース部側の」「メインスタンド取付けボス部」)100Lと、メインスタンド取付け右ボス部(本発明の「メインスタンド取付けボス部」)100Rが設けられている(図5参照)。
【0072】
図5に示されるように、メインスタンド取付け左ボス部100L、メインスタンド取付け右ボス部100Rには、車幅方法水平に指向して、メインスタンド支持軸101が挿通されて支持されている。
そして、メインスタンド48の基部48aが、メインスタンド取付け左ボス部100Lと、メインスタンド取付け右ボス部100Rとの内側に、メインスタンド支持軸101を介して揺動自在に支持されている。
メインスタンド支持軸101は、その一端に抜け止めフランジ101aを備え、他端には抜け止めピン孔101bを備えて、抜け止めピン102を装着することによって、メインスタンド取付け左ボス部100Lと、メインスタンド取付け右ボス部100Rとの間に、メインスタンド48の取付け部である基部48aを挿通して、外れないようになっている。
【0073】
したがって、メインスタンド48が、従来のようにオイルパン部110の中央下方に支持されるのではなく、オイルパン部110の後方、すなわちクランクケース後部壁112の後方に配置されたメインスタンド取付け左ボス部100Lと、メインスタンド取付け右ボス部100Rとに支持され、走行時等の収容時の状態でそのメインスタンド48の前端の基部48aから略水平に後方に延びるスタンドバー48bは、パワーユニット5の後方を広く覆い、保護することができると同時に、オイルパン部11より後方の支持位置によって、メインスタンド48が下方に張り出すことが防止されて、最低地上高さを大きく取ることができるものとなる。
【0074】
本実施形態の自動二輪車1のように、車両後部に荷台18を備えたものにおいては、荷を搭載した場合、車両後部が重くなり、メインスタンド48が従来のようにオイルパン部110の中央近辺に支持されると、メインスタンド48使用時に前輪7側が浮いてしまう恐れがあったが、メインスタンド48の支持位置を後方に置くことで、そのような問題の回避が容易になる。
また、パワーユニット5においてスタータキックアーム24を備え場合、スタータキックアーム24が比較的後方に位置するので、スタータキックアーム24作動時の安定のため、メインスタンド48はその近傍後方に立設されることが好ましいが、本実施形態のメインスタンド48は、その点においても好ましい配置が可能となる。
【0075】
特に、メインスタンド取付け左ボス部100Lは、左ユニットケース50Lの変速機内側ケース部50Lb、すなわち動力伝達ケース部3に一体に設けられるので、メインスタンド取付け左ボス部100Lを、より後方に配置することができ、パワーユニット5を後方まで広く覆うことができる。
【0076】
また、本実施形態のパワーユニット5においては、メインスタンド支持軸101が比較的後方に設置されているので、パワーユニット5の底部前方、すなわち左クランクケース部50Laと右ユニットケース50Rによって形成されるクランクケースの下部の、オイルパン部110を画成するクランクケース底壁部111を、下方から保護するため、スキッドプレートとも呼ばれる保護プレート104が設けられている。
すなわち、パワーユニット5の底部は、メインスタンド48と保護プレート104で保護される。
【0077】
オイルパン部110を下方から覆う保護プレート104は、その後端がメインスタンド支持軸101に支持されている。
図6には、図5の図示とは反転して、保護プレート104の上面図が示される。図7、図8は、その左側面図、右側面図である。
図6から図8に示されるように、保護プレート104は周縁部が折り立てられており、周縁部において、その左側後端には左位置決め穴105Lが、右側後端には右位置決め穴105Rが設けられ、左側において2個の取付けボルト孔106Lが、右側において1個の取付けボルト孔106Rが設けられている。
【0078】
そして、図5に示されるように、保護プレート104は、左右のメインスタンド取付けボス部100L、100Rの下端部100La、100Raを覆いつつ、その前方が車幅方向略水平に配置され、メインスタンド取付け左ボス部100Lの外側で抜け止めフランジ101aとの間に挟まれて、左位置決め穴105Lにメインスタンド支持軸101を挿通させ、メインスタンド取付け右ボス部100R外側で抜け止めピン102との間に挟まれて右位置決め穴105Rをメインスタンド支持軸101を挿通させ、メインスタンド支持軸101に支持されると同時に、保護プレート104の位置決めがなされている。
【0079】
したがって、保護プレート104の後端とメインスタンド48の前端の基部48aが、メインスタンド支持軸101を共通の支持軸として支持されるので、オイルパン部110から後部の動力伝達ケース部3を、前後に亘って広く連続して覆って保護することができる。
【0080】
特に、保護プレート104は、左右のメインスタンド取付けボス部より前側において車幅方向略水平に配置され、左右のメインスタンド取付けボス部100L、100Rの下端部100La、100Raを覆ってその外側で、メインスタンド支持軸101に支持されているので、左右のメインスタンド取付けボス部100L、100Rの下端部100La、100Raを覆ってその下方に位置する保護プレート104により、左右のメインスタンド取付けボス部100L、100Rと、メインスタンド48側の取付け部である基部48aを、下方から広く保護することができる。
【0081】
また、本実施形態において、クランクケース底部壁111の前側には、パワーユニット5を車体フレーム4に支持させるハンガー部55、55がクランクケース底部壁111より前側に延びて形成されている。
そのため、ハンガー部55、55と、保護プレート104と、メインスタンド48とによる連続した、内燃機関2下部の保護構造を形成することができる(図1、2参照)。
【0082】
そしてさらに、ハンガー部55、55と車体フレーム4とを接続する懸架リンク部47が、ハンガー部55、55の前方において内燃機関2下部を連続して覆っている(図1、2参照)。
そのため、車体フレーム4との接続構造をなす懸架リンク部47により、さらに内燃機関2下部が広く覆われる。
【0083】
しかも、図5に示されるように、懸架リンク部47とハンガー部55、55との結合部の連結軸47aには、連結部プレート47bが中央下方を覆うように配置されている。
そのため、より広く段差無く内燃機関2下部を覆う構造となり、車両の保護性が増している。
【0084】
また、保護プレート104は、下面視で、前側をハンガー部55、55より幅狭くして、取付け孔106L、106Rにおいて取付けボルト107L、107Rによって、クランクケース底壁部111をなす左ユニットケース50Lと右ユニットケース50Rに、左右から締結されている。
そのため、保護プレート104の前側の締結部は、ハンガー部55、55により保護されて、取付けボルト107L、107R(本発明における「締結具」)の緩みが防止される。
【0085】
また、図5、図6に示されるように、保護プレート104には、取付けられた状態で、オイルパン部110のドレインボルト110aの下方に位置するようにオイルメンテナンス用の開口104aが設けられている。
そのため、ドレインボルト110aが下方から保護され、且つドレインボルト104aの着脱が容易になるとともに、ドレインされたオイルを通すことができ、保護プレート104によるボルト保護と、メンテナンスの容易化が両立する。
【0086】
また、図5に示されるように、メインスタンド48は、動力伝達ケース部3の車体側方まで延びるステップバー48cを備えているので、ステップバー48cにより動力伝達ケース部3の保護が図られる。
【0087】
なお、本実施形態においては、図5に示されるように(図2、図4も参照)、左ユニットケース50Lの底部に、後輪6用の後輪ブレーキチューブ6bを保持するブレーキチューブ・クランパ108が取り付けられ、2箇所のクランプ部108aで後輪ブレーキチューブ6bを保持している。
そして、ブレーキ・クランパ108には2箇所のクランプ部108aの間に、車体外方(左方)に延出するパッド部108bが備えられている。
【0088】
バッド部108bは、図5に示されるように(図3も参照)、変速機外側ケース56の下方に開口する冷却風排出孔98の開口部98aの下方に対峙するように配置されており、路面等下方からの異物が冷却風排出孔98内に侵入することが防止されている。
【0089】
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明の態様が上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1…自動二輪車、2…内燃機関、3…動力伝達ケース部、4…車体フレーム、5…パワーユニット、6…後輪(駆動輪)、6b…後輪ブレーキチューブ、7…前輪、18…荷台、28…スロットルボディ、29…スロットルケーブル、30…Vベルト式無段変速機、31…減速機構、32…変速室、43…メインフレーム、43A…左右一対のメインフレーム、43B…左右一対の後部メインフレーム、46…支持ブラケット、47…懸架リンク部、47a…連結軸、47b…連結部プレート、48…メインスタンド、48a…基部、48b…スタンドバー、48c…ステップバー、50…パワーユニットケース、50L…左ユニットケース、50La…左クランクケース部、50Lb…変速機内側ケース部、50Lc…減速機ケース部、50R…右ユニットケース、51…クランク軸、52…シリンダ部、55…ハンガー部、56…変速機外側ケース80…冷却風ダクト、88…スロットルケーブル・クランパ、95…サイドカバー、96…ダクトカバー、98…冷却風排出孔、98a…開口部、100L…メインスタンド取り付け左ボス部、100La…下端部、100R…メインスタンド取り付け右ボス部、100Ra…下端部、101…メインスタンド支持軸、104…保護プレート、104a…開口、105L…左位置決め穴、105R…右位置決め穴、106L…取付けボルト孔、106R…取付けボルト孔、107L…取付けボルト、107R…取付けボルト、108…ブレーキチューブ・クランパ、108b…パッド部、110…オイルパン部、110a…ドレインボルト、111…クランクケース底部壁、112…クランクケース後部壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(2)とその動力伝達ケース部(3)とが一体化され、同動力伝達ケース部(3)の後部に駆動輪(6)を保持したパワーユニット(5)を備える自動二輪車(1)において、
前記内燃機関(2)のクランク軸(51)下方に位置しオイルパン部(110)を画成するクランクケース底部壁(111)と、クランク軸(51)の後方を覆うクランクケース後部壁(112)と、同クランクケース後部壁(112)より後方に配置されたメインスタンド取付けボス部(100L,100R)とを備え、
メインスタンド(48)の前端の基部(48a)がメインスタンド支持軸(101)を介して、前記メインスタンド取付けボス部(100L,100R)に支持されるとともに、前記オイルパン部(110)を下方から覆う保護プレート(104)の後端が、前記メインスタンド支持軸(101)に支持されたことを特徴とする自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項2】
前記メインスタンド取付けボス部(100L,100R)は左右に設けられ、そのうち前記動力伝達ケース部(3)側のメインスタンド取付けボス部(100L)は、同動力伝達ケース部(3)下面に一体に設けられたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項3】
前記メインスタンド取付けボス部(100L,100R)は左右に設けられ、前記メインスタンド(48)は、左右の前記メインスタンド取付けボス部(100L,100R)の内側で、前記保護プレート(104)は、左右の前記メインスタンド取付けボス部(100L,100R)の下端部(100La,100Ra)を覆ってその外側で、前記メインスタンド支持軸(101)に支持されたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項4】
前記クランクケース底部壁(111)の前側には、前記パワーユニット(5)を車体フレーム(4)に支持させるハンガー部(55,55)が同クランクケース底部壁(111)より前側に延びて形成されたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項5】
前記ハンガー部(55,55)と前記車体フレーム(4)とを接続する懸架リンク部(47)が、前記ハンガー部(55,55)の前方において前記内燃機関(2)下部を連続して覆ったことを特徴とする請求項4記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項6】
前記懸架リンク部(47)と前記ハンガー部(55,55)との結合部の連結軸(47a)には、連結部プレート(47b)が中央下方を覆うように配置されたことを特徴とする請求項5記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項7】
前記保護プレート(104)は、下面視で、前側を前記ハンガー部(55,55)より幅狭くして、左右から前記クランクケース底壁部(111)に締結されたことを特徴とする請求項4記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項8】
前記保護プレート(104)には、前記オイルパン部(110)のドレインボルト(110a)の下方に位置するようにオイルメンテナンス用の開口(104a)が設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。
【請求項9】
前記メインスタンド(48)は、前記動力伝達ケース部(3)の車体側方まで延びるステップバー(48c)を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか記載の自動二輪車における内燃機関下部の保護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−166582(P2012−166582A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26670(P2011−26670)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】