説明

自動二輪車のステアリング緩衝機構

【課題】磁性流体に対して均一に磁界を作用させることが可能な自動二輪車のステアリング緩衝機構を提供する。
【解決手段】このステアリングダンパ(ステアリング緩衝機構)は、ハンドル4の回動に伴って回動するとともに、ヘッドパイプ2の中空部2aに回動可能に支持されるステアリングシャフト5と、ヘッドパイプ2とステアリングシャフト5との間にステアリングシャフト5の周囲を取り囲むように形成され、磁界の作用により粘性が大きくなる磁性流体が充填されたオイル室14と、オイル室14の周囲を取り囲むように配置され、オイル室14内の磁性流体に磁界を印加するコイル部17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動二輪車のステアリング緩衝機構に関し、特に、磁性流体が充填された液室を備える自動二輪車のステアリング緩衝機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁性流体が充填された液室を備える自動二輪車のステアリング緩衝機構が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、平面的に視て、扇型形状の箱型に形成され、磁界の作用によりせん断抵抗(見かけの粘性)が変化するMR流体(Magneto−Rheological Fluid、磁性流体)が充填されたボディを備えたMR流体式ロータリダンパが開示されている。このMR流体式ロータリダンパは、扇型形状のボディの両側面に取り付けられ、ボディ内を帯状に磁界を発生させるコイルをさらに備えている。また、MR流体式ロータリステアダンパは、扇型形状のボディの中心部近傍に回動可能に取り付けられた回動軸と、回動軸を中心としてボディ内を一方側面から他方側面に回動するベーンとをさらに備えている。そして、ボディ内をベーンが回動する際には、磁界が作用されていない状態のMR流体によるニュートン流体特性により流動抵抗が発生し、ベーンの回動に対する抵抗力が発生する。また、コイルによりボディ内に磁界が発生した場合には、ボディ内のMR流体のせん断抵抗が大きくなる。これにより、ベーンが回動する際に、磁界が発生していない場合よりも強い流動抵抗が発生し、ベーンの回動に対してより大きな抵抗力が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−172096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたMR流体式ロータリステアダンパでは、コイルは、扇型形状のボディの互いに離間した両側面に取り付けられている。このため、コイルの近傍の部分と、2つのコイル間の中央部分とでは、印加される磁界の大きさに差が生じるため、MR流体に対して均一に磁界を作用させることが困難であるという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、磁性流体に対して均一に磁界を作用させることが可能な自動二輪車のステアリング緩衝機構を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
この発明の一の局面による自動二輪車のステアリング緩衝機構は、ハンドルと、内部に中空部を有する筒状のヘッドパイプと、ハンドルの回動に伴って回動するとともに、ヘッドパイプの中空部に回動可能に支持されるステアリングシャフトと、ヘッドパイプとステアリングシャフトとの間にステアリングシャフトの周囲を取り囲むように形成され、磁界の作用により粘性が大きくなる磁性流体が充填された第1液室と、第1液室の周囲を取り囲むように配置され、第1液室内の磁性流体に磁界を印加する磁界印加部とを備える。
【0007】
この一の局面による自動二輪車のステアリング緩衝機構では、上記のように、ステアリングシャフトの周囲を取り囲むように、磁界の作用により粘性が大きくなる磁性流体が充填された第1液室を設ける。それとともに、第1液室の周囲を取り囲むように配置され、第1液室内の磁性流体に磁界を印加する磁界印加部を設ける。これらにより、第1液室内の磁性流体に対して、第1液室の周囲を取り囲む磁界印加部により周状に磁界が印加される。その結果、第1液室内の磁性流体に対して均一に磁界を作用させることができる。
【0008】
また、磁界の作用により粘性が大きくなる磁性流体に磁界を印加することにより、ステアリングシャフトが回動する前の状態でもステアリングシャフトの回動に対して抵抗力を発生させることができるので、ステアリングシャフトの微小な振れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態による自動二輪車の前部を示した側面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による自動二輪車のステアリングダンパの構成を説明するための図である。
【図3】図2に示した100−100線に沿った断面図である。
【図4】図2に示した第1実施形態のステアリングダンパの磁性が作用された状態の磁性流体の特性を説明するためのグラフである。
【図5】図1に示した第1実施形態による自動二輪車の制御部の制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態による自動二輪車のステアリングダンパの構成を説明するための図である。
【図7】図6に示した200−200線に沿った断面図である。
【図8】図6に示した第2実施形態の自動二輪車のステアリングダンパの磁性流体の磁性が作用されない状態での特性を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の第3実施形態による自動二輪車のステアリングダンパの構成を説明するための図である。
【図10】図9に示した300−300線に沿った断面図である。
【図11】図9に示した第3実施形態の自動二輪車のステアリングダンパの特性を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態では、本発明の自動二輪車のステアリング緩衝機構の一例として、ヘッドパイプ内に設けられたステアリングダンパについて説明する。図中、矢印FWDは、自動二輪車の走行方向の前方を示している。以下、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による自動二輪車1のステアリングダンパの構造について詳細に説明する。
【0012】
本発明の第1実施形態による自動二輪車1では、図1に示すように、ヘッドパイプ2の後方には、メインフレーム3が配置されている。また、ヘッドパイプ2の上部には、ハンドル4が回動可能に設けられている。また、ヘッドパイプ2は、内部に中空部2aを有する筒状形状を有しており、ヘッドパイプ2の中空部2aには、ハンドル4と共に回動するステアリングシャフト5が回動可能に挿入されている。また、ヘッドパイプ2の前方(矢印FWD方向)には、フロントフォーク6が配置されている。このフロントフォーク6の下端部には、前輪7が回転可能に取り付けられている。また、ヘッドパイプ2の下側には、ステアリングシャフト5とフロントフォーク6とを固定するアンダーブラケット8が配置されている。
【0013】
また、図1および図2に示すように、ヘッドパイプ2の上端部および下端部には、それぞれ、ステアリングシャフト5を円滑に回動させるためのベアリング9および10が配置されている。また、図2に示すように、ステアリングシャフト5には、鉄製の内筒部材11が圧入されることにより固定されている。この内筒部材11の下端部には、後述する外筒部材12を下方から支持することにより、外筒部材12が落下するのを防止するフランジ部11aが形成されている。なお、内筒部材11は、本発明の「内筒部」の一例であり、フランジ部11aは、本発明の「支持部」の一例である。フランジ部11aは、ステアリングシャフト5が回動するのに伴って回動しながら外筒部材12を下方から支持するように構成されている。
【0014】
また、ヘッドパイプ2の中空部2aの内周面2bには、外筒部材12が固定されている。なお、外筒部材12は、本発明の「外筒部」の一例である。この外筒部材12の外周面12aには、周状で、かつ、凹状に形成されたコイル収納部12bを有している。また、内筒部材11のフランジ部11aと外筒部材12との間には、ステアリングシャフト5と共に回動する内筒部材11のフランジ部11aを外筒部材12に対して円滑に回動させるためのスラストワッシャ13が配置されている。また、外筒部材12は、外周面12aにより後述するコイル部17を保持するとともに、内周面12cにより後述するオイル室14内の磁性流体を保持している。
【0015】
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、ヘッドパイプ2とステアリングシャフト5との間には、ステアリングシャフト5の周囲を取り囲むオイル室14が形成されている。なお、オイル室14は、本発明の「第1液室」の一例である。このオイル室14は、円筒状の外筒部材12の内周面12cと、円筒状の内筒部材11の外周面11bとの間に形成されている。また、オイル室14には、後述するコイル部17により発生される磁界の作用によりせん断抵抗(見かけの粘性)が変化するとともに、ステアリングシャフト5の回動に対して抵抗力を発生させる磁性粉体を含む作動油からなる磁性流体が充填されている。この磁性流体は、磁界が印加されていない場合には、ニュートン流体特性を有する一方で、磁界が印加されている場合には、ビンガム塑性流体特性を有する。ここで、ニュートン流体特性とは、流動速度が0の状態から上昇するのに伴って流動抵抗が大きくなる粘性流体の特性である。また、ビンガム塑性流体特性とは、流動速度が0の状態においても大きな流動抵抗が発生する特性である。
【0016】
また、オイル室14は、図2に示すように、ステアリングシャフト5の軸方向に延びるように形成されている。また、オイル室14の上部および下部には、それぞれ、オイル室14から磁性流体が流出するのを防止するために設けられるリング状のオイルシール15および16が配置されている。なお、オイルシール15および16は、本発明の「第1シール部材」の一例である。また、外筒部材12の上部には、オイルシール15を保持するための溝状に形成されたシール保持部12dが設けられている。また、外筒部材の下部には、オイルシール16を保持するための溝状に形成されたシール保持部12eが設けられている。なお、シール保持部12dおよび12eは、本発明の「保持部」の一例である。
【0017】
また、第1実施形態では、外筒部材12のコイル収納部12bと、ヘッドパイプ2の内周面2bとにより形成されるスペースには、コイル部17が配置されている。なお、コイル部17は、本発明の「磁界印加部」の一例である。このコイル部17は、図2および図3に示すように、円筒状のオイル室14の周囲を上下方向(X方向)の実質的に全域を外筒部材12を挟んで囲い込むように配置されている。また、コイル部17は、オイル室14の周囲を取り囲むように配置されているとともに、電流が印加されることにより、磁界を発生させるとともに、鉄製の内筒部材11により増幅された状態でオイル室14に磁界を作用させる機能を有する。このとき、オイル室14内に充填された磁性流体は、せん断抵抗が大きくなることにより、見かけの粘性が大きくなる。なお、第1実施形態では、磁性流体が充填されたオイル室14とコイル部17とによりステアリングダンパが構成されている。
【0018】
具体的には、オイル室14内を浮遊する磁性粉体は、コイル部17により磁界が作用されると、作用された磁界に沿って凝集する性質を有する。そして、オイル室14内を凝集した磁性粉体の相互作用により、磁性流体の磁界の作用を受けた部分のせん断抵抗が大きくなるので、見かけ上の粘性を大きくすることが可能となる。この場合、ステアリングシャフト5の回動速度と、ステアリングシャフト5が回動する際に発生する回動抵抗との関係は、磁界が印加された磁性流体がビンガム塑性流体特性を有するので、図4に示すグラフのような関係となる。つまり、ステアリングシャフト5の回動速度が0の場合にも、オイル室14内の磁性流体には少なくとも所定値(降伏値)の流動抵抗が生じる。これにより、乗員によりハンドル4(図1参照)が操作される前の状態においても、ステアリングシャフト5の回動に対して抵抗力を発生させることが可能となる。また、オイル室14内の磁性流体は、印加される磁界が強いほど降伏値が大きくなるとともに、せん断抵抗(見かけの粘性)が大きくなる性質を有する。
【0019】
また、図2に示すように、コイル部17には、コイル部17に印加する電流を制御する印加電流制御部18が接続されている。なお、印加電流制御部18は、本発明の「電流印加部」の一例である。この印加電流制御部18には、アクセルポジションセンサ19と、車速センサ20と、ギアポジションセンサ21と、加速度センサ22と、ハンドル舵角センサ23と、エンジン回転数センサ24とがそれぞれ接続されている。これら、アクセルポジションセンサ19、車速センサ20、ギアポジションセンサ21、加速度センサ22、ハンドル舵角センサ23およびエンジン回転数センサ24は、それぞれ、自動二輪車1(図1参照)の所定の場所に配置されている。印加電流制御部18は、これらのセンサ19〜24の検出結果に基づいてコイル部17に印加する電流を制御するように構成されている。具体的には、印加電流制御部18は、図示しないメインスイッチがオンにされると、オイル室14内の磁性流体に弱い磁界が印加されるように、コイル部17に少ない電流を印加する制御を行うように構成されている。また、印加電流制御部18は、各種センサ19〜24の検出値が、それぞれ、所定値以上であった場合には、オイル室14内の磁性流体に強い磁界が印加されるように、コイル部17に多くの電流を印加する制御を行うように構成されている。この点については、後述する印加電流制御部18の制御動作において詳しく説明する。
【0020】
図5は、本発明の第1実施形態によるコイル部に電流を印加する印加電流制御部の動作を示したフローチャートである。次に、図1および図5を参照して、コイル部17に電流を印加する際の印加電流制御部18の制御動作について説明する。
【0021】
まず、図5に示すようにステップS1において、印加電流制御部18により、オイル室14内の磁性流体に弱い磁界が印加されるように、コイル部17に少ない電流が印加され、ステップS2に移行する。そして、ステップS2において、アクセルポジションセンサ19の検出値が所定値以上が否かが判断される。このステップS2では、乗員によるアクセル(図示せず)の回動状態を検出することにより、乗員の加速意図が検出される。これにより、車速が大きくなる前に、オイル室14内の磁性流体に対して強い磁界を印加するか否かを判断することが可能となる。なお、車速が大きくなれば、ハンドル4(図1参照)の微小な振れが走行中の自動二輪車1(図1参照)に及ぼす影響も大きくなるので、ステアリングシャフト5に対して大きな抵抗力が必要である。そして、ステップS2において、アクセルポジションセンサ19の検出値が所定値以上であると判断された場合には、ステップS10に移行して、オイル室14内の磁性流体に強い磁界が印加されるように、コイル部17に多くの電流が印加される制御が行われ、処理が終了される。また、ステップS2において、アクセルポジションセンサ19の検出値が所定値未満であると判断された場合には、ステップS3に移行する。
【0022】
そして、ステップS3において、アクセルポジションセンサ19の検出値の変化率が所定値以上か否かが判断される。このステップS3では、アクセルポジションセンサ19の検出値の変化率を算出することにより、乗員による加速意図が検出される。これにより、自動二輪車1(図1参照)の加速度が大きくなる前に、オイル室14内の磁性流体に対して強い磁界を印加するか否かを判断することが可能となる。ステップS3において、アクセルポジションセンサ19の検出値の変化率が所定値以上であると判断された場合には、ステップS10に移行して、オイル室14内の磁性流体に強い磁界が印加されるように、コイル部17に多くの電流が印加される制御が行われ、処理が終了される。また、ステップS3において、アクセルポジションセンサ19の検出値の変化率が所定値未満であると判断された場合には、ステップS4に移行する。
【0023】
そして、ステップS4において、車速(車速センサ20の検出値)が所定値以上か否かが判断される。そして、ステップS4において、車速が所定値以上であると判断された場合には、ステップS10に移行して、オイル室14内の磁性流体に強い磁界が印加されるように、コイル部17に多くの電流が印加される制御が行われる。これにより、車速が所定値以上の場合には、ハンドル4(図1参照)が回動する前に、オイル室14内の磁性流体に対して強い磁界を印加することが可能となる。そして、ステップS10における制御の後、処理が終了される。また、ステップS4において、車速が所定値未満であると判断された場合には、ステップS5に移行する。
【0024】
そして、ステップS5において、自動二輪車1(図1参照)の加速度(加速度センサ22の検出値)が所定値以上か否かが判断される。このステップS5では、自動二輪車1(図1参照)の加速度を検出することにより、自動二輪車1の加速状態が検出される。これにより、車速が大きくなる前に、オイル室14内の磁性流体に対して強い磁界を印加するか否かを判断することが可能となる。そして、ステップS5において、加速度が所定値以上であると判断された場合には、ステップS10に移行して、オイル室14内の磁性流体に強い磁界が印加されるように、コイル部17に多くの電流が印加される制御が行われ、処理が終了される。また、ステップS5において、加速度が所定値未満であると判断された場合には、ステップS6に移行する。
【0025】
そして、ステップS6において、ハンドル4(図1参照)の回動速度が所定値以上か否かが判断される。なお、ハンドル4の回動速度は、ハンドル舵角センサ23の検出結果から算出される。このステップS6では、乗員によるハンドル4の急操作、および、路面の状態によるハンドル4の大きな振れに対して、オイル室14内の磁性流体に強い磁界を作用させることにより強い抵抗力を発生させるか否かが判断される。そして、ステップS7において、ハンドル4の回動速度が所定値以上であると判断された場合には、ステップS10に移行して、オイル室14内の磁性流体に強い磁界が印加されるように、コイル部17に多くの電流が印加される制御が行われ、処理が終了される。また、ステップS6において、ハンドル4の回動速度が所定値未満であると判断された場合には、ステップS7に移行して、コイル部17に少ない電流が印加され続けるように制御が行われ、処理が終了される。
【0026】
なお、一連の処理動作が終了した後には、ステップS2に戻り、処理が繰り返される。
【0027】
第1実施形態では、上記のように、ステアリングシャフト5の周囲を取り囲むように、磁界の作用により粘性が大きくなる磁性流体が充填されたオイル室14を設ける。それとともに、オイル室14の周囲を取り囲むように配置され、オイル室14内の磁性流体に磁界を印加するコイル部17を設ける。これにより、オイル室14内の磁性流体に対して、オイル室14の周囲を取り囲むコイル部17により円周状に磁界が印加されるので、オイル室14内の磁性流体に対して均一に磁界を作用させることができる。
【0028】
また、第1実施形態では、上記のように、オイル室14内の磁界の作用により粘性が大きくなる磁性流体に磁界を印加することにより、ステアリングシャフト5が回動する前の状態でもステアリングシャフト5に対して抵抗力を発生させることができるので、ステアリングシャフト5の微小な振れを抑制することができる。
【0029】
また、第1実施形態では、上記のように、オイル室14を、ステアリングシャフト5の軸方向に沿って延びるように、ステアリングシャフト5の周囲を取り囲むように構成する。これにより、オイル室14によってステアリングシャフト5を取り囲む領域をステアリングシャフト5の回動軸方向に大きくすることができるので、オイル室14のステアリングシャフト5(内筒部材11)との対向面積を大きくすることができる。その結果、オイル室14によるステアリングシャフト5の回動に対する抵抗力を大きくすることができる。
【0030】
また、第1実施形態では、上記のように、オイル室14を、ステアリングシャフト5の外周面に固定される内筒部材11と、ヘッドパイプ2の中空部2aの内周面2bに固定される外筒部材12の間に形成する。これにより、ヘッドパイプ2とステアリングシャフト5との間に、容易に、オイル室14を形成することができる。
【0031】
また、第1実施形態では、上記のように、外筒部材12にコイル部17を収納するコイル収納部12bを設けることによって、容易に、コイル部17を収納するスペースを確保することができる。
【0032】
また、第1実施形態では、上記のように、外筒部材12の外周面12aに形成されたコイル収納部12bによりコイル部17を保持するとともに、外筒部材12の内周面12cによりオイル室14内の磁性流体を保持するように構成する。これにより、コイル部17を保持するための部品およびオイル室14内の磁性流体を保持するための部品を、それぞれ、外筒部材12と別個に設ける場合と比較して、ステアリングダンパが軸方向と直交する方向に大きくなるのを抑制することができる。
【0033】
また、第1実施形態では、上記のように、コイル部17に対して磁界を発生させるための電流を印加する印加電流制御部18を設けることによって、コイル部17に印加する電流を、容易に、調節することができる。
【0034】
また、第1実施形態では、上記のように、内筒部材11の下部に設けられ、外筒部材12を下方から支持するフランジ部11aを設ける。これにより、ステアリングシャフト5と共に回動する内筒部材11のフランジ部11aにより、容易に、外筒部材12が落下するのを防止することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、上記のように、オイル室14の上部分および下部分をシールするためオイルシール15および16を配置することによって、容易に、オイル室14から磁性流体が流出するのを防止することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、外筒部材12に、オイルシール15を保持するためのシール保持部12dと、オイルシール16を保持するためのシール保持部12eとを設ける。これにより、外筒部材12により、容易に、オイルシール15および16を保持することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、上記のように、コイル部17を、オイル室14のステアリングシャフト5の軸方向の略全域の周囲を取り囲むように配置する。これにより、オイル室14によってステアリングシャフト5を取り囲む領域をステアリングシャフト5の回動軸方向により大きくすることができる。したがって、コイル部14とステアリングシャフト5(内筒部材11)との対向面積をより大きくすることができる。その結果、オイル室14によるステアリングシャフト5の回動に対する抵抗力をより大きくすることができる。
【0038】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態によるステアリングダンパの構成を説明するための断面図である。また、図7および図8は、図6に示したステアリングダンパの構成および性能を説明するための図である。次に、図6〜図8を参照して第2実施形態によるステアリングダンパの構成について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、内筒部材111にオイル室114内を回動するベーン111cが設けられる例について説明する。
【0039】
この第2実施形態では、図6に示すように、ステアリングシャフト5には、内筒部材111が圧入されることにより固定されている。この内筒部材111の下端部には、後述する外筒部材112を下方から支持することにより、外筒部材112が落下するのを防止するフランジ部111aが形成されている。なお、内筒部材111は、本発明の「内筒部」の一例であり、フランジ部111aは、本発明の「支持部」の一例である。
【0040】
また、ヘッドパイプ2の中空部2aの内周面2bには、外筒部材112が固定されている。なお、外筒部材112は、本発明の「外筒部」の一例である。この外筒部材112の外周面112aには、周状で、かつ、凹状に形成されたコイル収納部112bを有している。また、外筒部材112の上部には、オイルシール15を保持するための溝状に形成されたシール保持部112dが設けられている。また、外筒部材の下部には、オイルシール16を保持するための溝状に形成されたシール保持部112eが設けられている。また、外筒部材112は、外周面112aによりコイル部17を保持するとともに、内周面112cにより後述するオイル室114内の磁性流体を保持している。なお、シール保持部112dおよび112eは、本発明の「保持部」の一例である。
【0041】
また、ヘッドパイプ2とステアリングシャフト5との間には、図7に示すように、ステアリングシャフト5の周囲を取り囲むオイル室114が形成されている。なお、オイル室114は、本発明の「第1液室」の一例である。具体的には、オイル室114は、円筒状の外筒部材112の内周面112cと、円筒状の内筒部材111の外周面111bとの間に形成されている。また、オイル室114には、後述するコイル部117により発生される磁界の作用によりせん断抵抗(見かけの粘性)が変化するとともに、ステアリングシャフト5の回動に対して抵抗力を発生させる磁性粉体を含む作動油からなる磁性流体が充填されている。
【0042】
また、外筒部材112のコイル収納部112bと、ヘッドパイプ2の内周面2bとにより形成されるスペースには、コイル部117が配置されている。なお、コイル部117は、本発明の「磁界印加部」の一例である。また、コイル部117は、オイル室114の周囲を取り囲むように配置されているとともに、電流が供給されることにより、磁界を発生させるとともに、鉄製の内筒部材111により増幅された状態でオイル室114に磁界を作用させる機能を有する。このとき、オイル室114内に充填された磁性流体のコイル部117が位置する部分に対応する部分は、せん断抵抗が大きくなることにより、見かけの粘性が大きくなる。また、コイル部117には、コイル部117に印加する電流を制御する印加電流制御部18が接続されている。
【0043】
ここで、第2実施形態では、図6および図7に示すように、内筒部材111には、ステアリングシャフト5の軸方向に略直交する方向に向かって突出する板状の2つのベーン111cが一体的に設けられている。なお、ベーン111cは、本発明の「第1ベーン部材」の一例である。このベーン111cは、ステアリングシャフト5が回動するのに伴ってオイル室114内を回動するように構成されている。このとき、ベーン111cとオイル室114内の磁性流体との間には、流動抵抗が発生する。また、ベーン111cは、長手方向がステアリングシャフト5の軸方向になるように、ステアリングシャフト5の軸方向に沿って延びるように形成されている。また、ベーン111cは、オイル室114の下部に位置するように設けられているとともに、コイル部117の下方に設けられている。なお、第2実施形態では、磁性流体が充填されたオイル室114とコイル部117とベーン111cとによりステアリングダンパが構成されている。
【0044】
また、第2実施形態では、オイル室114に磁界が印加されていない場合には、オイル室114内の磁性流体は、ニュートン流体特性を有するので、ステアリングシャフト5の回動速度と、ステアリングシャフト5が回動する際に発生する回動抵抗との関係は、図8に示すような関係となる。このとき、ステアリングシャフト5に発生する回動抵抗は、ベーン111cがオイル室114内の磁性流体内を回動する際に発生する流動抵抗により付与される。
【0045】
なお、第2実施形態のその他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0046】
第2実施形態では、上記のように、ステアリングシャフト5と共に回動するように構成され、ステアリングシャフト5の軸方向に延びるとともに、長手方向がステアリングシャフト5の軸方向であるベーン111cを設ける。これにより、ベーン111cがオイル室114内を回動する際に発生する流動抵抗を容易に大きくすることができる。その結果、ステアリングシャフト5が回動に対する抵抗力をより大きくすることができる。また、ベーン111cを、オイル室114内を回動するように構成する。これにより、コイル部117に電流が供給されなくなることにより、オイル室114に磁界が作用されなくなった場合にも、ベーン111cがオイル室114内を回動する際に流動抵抗が発生するので、ステアリングシャフト5の回動に対する抵抗力を確保することができる。
【0047】
また、第2実施形態では、上記のように、ベーン111cを、コイル部117の下方で、かつ、オイル室114の下部を回動するように配置することによって、オイル室114内の磁性流体に含まれる磁性粉体が沈殿した場合にも、ベーン111cがオイル室114内を回動する際に、容易に、攪拌することができる。
【0048】
なお、第2実施形態のその他の効果については、第1実施形態と同様である。
【0049】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態によるステアリングダンパを示した断面図である。図10および図11は、図9に示したステアリングダンパの構成および性能を説明するための図である。次に、図9〜図11を参照して第3実施形態によるステアリングダンパの構成について説明する。この第3実施形態では、上記第2実施形態と異なり、ベーン211cが作動油の充填されたオイル室250内を回動する例について説明する。
【0050】
この第3実施形態では、図9および図10に示すように、ステアリングシャフト5には、内筒部材211が圧入されることにより固定されている。この内筒部材211の下端部には、後述する外筒部材112を下方から支持することにより、外筒部材112が落下するのを防止するフランジ部211aが形成されている。なお、内筒部材211は、本発明の「内筒部」の一例であり、フランジ部211aは、本発明の「支持部」の一例である。
【0051】
また、ヘッドパイプ2とステアリングシャフト5との間には、ステアリングシャフト5の周囲を取り囲むオイル室214(図9参照)およびオイル室250が互いに区画された状態で形成されている。なお、オイル室214は、本発明の「第1液室」の一例であり、オイル室250は、本発明の「第2液室」の一例である。具体的には、オイル室214(図9参照)およびオイル室250は、円筒状の外筒部材112の内周面112cと、円筒状の内筒部材211の外周面211bとの間に形成されている。また、オイル室214には、磁性粉体を含むオイルである磁性流体が充填されている一方で、オイル室250には、ニュートン流体特性を有する作動油が充填されている。
【0052】
また、オイル室214の上端部には、図9に示すように、オイル室214から磁性流体が流出するのを防止するオイルシール15が取り付けられている。また、オイル室250の下端部には、オイル室250から作動油が漏れ出すのを防止するオイルシール16が取り付けられている。また、オイル室214とオイル室250との間には、オイル室214とオイル室250とを区画し、シールするためのリング状のオイルシール230が配置されている。このオイルシール230は、オイル室214内の磁性流体とオイル室250内の作動油とが混合するのを防止する機能を有する。なお、オイルシール230は、本発明の「第2シール部材」の一例である。
【0053】
また、外筒部材112のコイル収納部112bには、図10に示すように、オイル室214の周囲を取り囲むコイル部217が配置されている。なお、コイル部217は、本発明の「磁界印加部」の一例である。コイル部217は、オイル室214をステアリングシャフト5の軸方向の略全域に渡って周囲を取り囲むように配置されている。
【0054】
ここで、第3実施形態では、内筒部材211には、ステアリングシャフト5の軸方向に略直交する方向に向かって突出する板状の2つのベーン211cが一体的に設けられている。なお、ベーン211cは、本発明の「第2ベーン部材」の一例である。このベーン211cは、ステアリングシャフト5が回動するのに伴ってオイル室250内の作動油内を回動するように構成されている。このとき、ベーン211cとオイル室250内の作動油との間には、流動抵抗が発生する。また、ベーン211cは、長手方向がステアリングシャフト5の軸方向になるように、ステアリングシャフト5の軸方向に沿って延びるように形成されている。また、ベーン211cは、コイル部217の下方に設けられている。なお、第3実施形態では、磁性流体が充填されたオイル室214とコイル部217とオイル室250とベーン211cとによりステアリングダンパが構成されている。
【0055】
また、第3実施形態では、オイル室214内に磁界が印加されていない場合(オイル室214内に非磁性流体が充填されている場合)には、ステアリングシャフト5の回動速度と、ステアリングシャフト5が回動する際に発生する回動抵抗との関係は、ニュートン流体の特性を示す図11の破線Aのような関係となる。また、ベーン211cが設けられていない場合で、かつ、オイル室214内に磁界が印加されている場合には、ステアリングシャフト5の回動速度と、ステアリングシャフト5が回動する際に発生する回動抵抗との関係は、ビンガム塑性流体の特性を示す図11の破線Bのような関係となる。すなわち、ベーン211cを作動油が充填されたオイル室250内を回動するように構成するとともに、オイル室214内に磁性流体を充填することにより、ステアリングシャフト5の回動速度と、ステアリングシャフト5が回動する際に発生する回動抵抗との関係は、破線Aと破線Bとを合わせた実線Cに表される関係となる。これにより、ステアリングシャフト5の回動速度が0の場合(回動前の状態)から、磁界が印加されたオイル室214内の磁性流体のビンガム塑性流体特性により、ステアリングシャフト5の回動抵抗を大きくすることが可能となる。これに加えて、ニュートン流体特性を有する作動油が充填されたオイル室250内を回動するベーン211cの回動抵抗により、ステアリングシャフト5の回動速度が大きくなるのにしたがって、ステアリングシャフト5の回動に対する抵抗力を大きくすることが可能となる。
【0056】
なお、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0057】
第3実施形態では、上記のように、ヘッドパイプ2とステアリングシャフト5との間に、オイル室214に対して区画して形成され、ニュートン流体特性を有する作動油が充填されたオイル室250を設け、ベーン211cを、オイル室250内を回動するように構成する。これにより、磁界が印加されたオイル室214内の磁性流体によるステアリングシャフト5の回動抵抗に加えて、ベーン211cがオイル室250内を回動する際の回動抵抗によっても、ステアリングシャフト5の回動に対する抵抗力を大きくすることができる。その結果、ステアリングシャフト5の回動速度に関わらず、ステアリングシャフト5の回動に対する抵抗力を十分に大きくすることができる。
【0058】
また、第3実施形態では、上記のように、オイル室214とオイル室250とを区画し、シールするためのオイルシール230を設ける。これにより、オイル室250内の作動油が流出するのを、容易に、抑制することができる。
【0059】
なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態および第2実施形態と同様である。
【0060】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0061】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、内筒部材と外筒部材との間に形成されたスペースにオイルを充填することによりオイル室を形成する例を示したが、本発明は、これに限らず、磁性材料で形成された筒状の部材をオイル室としてヘッドパイプとステアリングシャフトとの間に配置してもよい。
【0062】
また、上記第1〜第3実施形態では、ステアリングシャフトに対して内筒部材を圧入することにより固定する例を示したが、本発明はこれに限らず、内筒部材およびステアリングシャフトにネジ部を設けるとともに互いに螺合する方法、ボルトを使用して内筒部材とステアリングシャフトとを互いに締結する方法、および、内筒部材およびステアリングシャフトにキー溝を形成する方法等、圧入以外の方法を用いて内筒部材をステアリングシャフトに対して固定してもよい。
【0063】
また、上記第2および第3実施形態では、内筒部材に一体的に形成されたベーンを配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、ベーンと内筒部材とを互いに別個に設けてもよい。
【0064】
また、上記第2および第3実施形態では、2つのベーンを配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、1つまたは3つ以上のベーンを配置してもよい。
【0065】
また、上記第2および第3実施形態では、板状に形成されたベーンを配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、流体が通過可能な内径を有するオリフィスをベーンに設けてもよい。
【0066】
また、上記第3実施形態では、ベーンをコイル部の下方に配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、ベーンをコイル部の上方に配置してもよい。
【0067】
また、上記第3実施形態では、磁性流体を充填したオイル室と作動油を充填したオイル室とをオイルシールで仕切る例を示したが、本発明はこれに限らず、磁性流体を充填したオイル室を内部に有する筒状の部材と、作動油を充填したオイル室を内部に有する筒状の部材とをそれぞれ別個に配置することによりオイル室同士を仕切るるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 自動二輪車
2 ヘッドパイプ
2a 中空部
2b 内周面
4 ハンドル
5 ステアリングシャフト
11、111、211 内筒部材(内筒部)
11a、111a、211a フランジ部(支持部)
12、112 外筒部材(外筒部)
12a、112a 外周面
12b、112b コイル収納部
12c、112c 内周面
12d、12e、112d、112e シール保持部(保持部)
14、114、214 オイル室(第1液室)
15、16 オイルシール(第1シール部材)
17、117、217 コイル部(磁界印加部)
111c ベーン(第1ベーン部材)
211c ベーン(第2ベーン部材)
230 オイルシール(第2シール部材)
250 オイル室(第2液室)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
内部に中空部を有する筒状のヘッドパイプと、
前記ハンドルの回動に伴って回動するとともに、前記ヘッドパイプの中空部に回動可能に支持されるステアリングシャフトと、
前記ヘッドパイプと前記ステアリングシャフトとの間に前記ステアリングシャフトの周囲を取り囲むように形成され、磁界の作用により粘性が大きくなる磁性流体が充填された第1液室と、
前記第1液室の周囲を取り囲むように配置され、前記第1液室内の磁性流体に磁界を印加する磁界印加部とを備える、自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項2】
前記磁性流体が充填された第1液室は、前記ステアリングシャフトの軸方向に沿って延びるとともに、前記ステアリングシャフトの周囲を取り囲むように構成されている、請求項1に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項3】
前記ステアリングシャフトの外周面に固定される内筒部と、
前記ヘッドパイプの中空部の内周面に固定される外筒部とをさらに備え、
前記第1液室は、前記内筒部と前記外筒部との間に形成されている、請求項1に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項4】
前記磁界印加部は、前記第1液室の周囲を取り囲むように配置されたコイルからなり、
前記外筒部は、前記コイルを収納するコイル収納部を含む、請求項3に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項5】
前記外筒部のコイル収納部は、前記外筒部の外周面に形成されており、
前記外筒部は、前記外筒部の内周面で前記第1液室内の磁性流体を保持するとともに、前記外筒部の外周面で前記コイルを保持するように構成されている、請求項4に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項6】
前記コイルに対して磁界を発生させるための電流を印加する電流印加部をさらに備える、請求項4に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項7】
前記内筒部は、前記内筒部の下部に設けられ、前記外筒部を下方から支持する支持部を含む、請求項3に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項8】
前記第1液室の上部分および下部分をシールするための第1シール部材をさらに備える、請求項1に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項9】
前記ヘッドパイプの中空部の内壁面に固定される外筒部をさらに備え、
前記外筒部は、前記第1シール部材を保持する保持部を含む、請求項8に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項10】
前記磁界印加部は、前記磁性流体が充填された第1液室の前記ステアリングシャフトの軸方向の略全域の周囲を取り囲むように配置されている、請求項1に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項11】
前記ステアリングシャフトと共に磁性流体が充填された第1液室内を回動するように構成され、前記ステアリングシャフトの軸方向に延びるとともに、前記ステアリングシャフトの軸方向が長手方向である第1ベーン部材をさらに備え、請求項1に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項12】
前記第1ベーン部材は、前記磁界印加部の下方で、かつ、前記磁性流体が充填された第1液室の下部に配置されている、請求項11に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項13】
前記ヘッドパイプと前記ステアリングシャフトとの間に形成されるとともに、前記第1液室に対して区画して形成され、ニュートン流体特性を有する非磁性流体が充填された第2液室と、
前記ステアリングシャフトと共に前記非磁性流体が充填された第2液室内を回動する第2ベーン部材をさらに備える、請求項1に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。
【請求項14】
前記第1液室と前記第2液室とを区画し、シールするための第2シール部材をさらに備える、請求項13に記載の自動二輪車のステアリング緩衝機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−167999(P2010−167999A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14376(P2009−14376)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(506353600)ヤマハモーターハイドロリックシステム株式会社 (16)
【Fターム(参考)】