説明

自動倉庫

【課題】スタッカークレーンの昇降駆動に伴うエネルギー消費を低減できる自動倉庫の提供。
【解決手段】昇降駆動する第1昇降体20と第1昇降体20に連結され上記昇降駆動の負荷を低減させる所定重量の第2昇降体30とを有するスタッカークレーン5を備え、第1昇降体20に荷Mを搭載させ所定高さに設けられた荷載置部との間で荷Mの受け渡しを行う自動倉庫1であって、第1昇降体20を昇降させる前に、上記受け渡す荷Mの重量に応じて、第2昇降体30の重量を増減させるカウンターウェイト重量増減装置40を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカークレーンを備える自動倉庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫においては、収納棚は高さ方向ならびに水平方向に複数区画された収納空間を有し、スタッカークレーンはこれら収納空間と対向する位置に荷を移動させ、フォークやアーム等の移載装置を用いて収納棚との間で荷の受け渡しをする構成が一般的である。このスタッカークレーンにおいては、荷の巻上げ時の昇降駆動に伴うエネルギー消費を低減させるため、所定重量のカウンターウェイトを取り付けている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−18598号公報
【特許文献2】特開平4−260586号公報
【特許文献3】特開平11−322015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、組立時等においてカウンターウェイトの重量を調節するものの、駆動時においては、カウンターウェイトはある決まった重量であるため、荷の重さによってアンバランスが生じ、その分のエネルギーが必要となっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、スタッカークレーンの昇降駆動に伴うエネルギー消費を低減できる自動倉庫の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、昇降駆動する昇降体と上記昇降体に連結され上記昇降駆動の負荷を低減させる所定重量のカウンターウェイトとを有するスタッカークレーンを備え、上記昇降体に荷を搭載させて所定高さに設けられた荷載置部との間で上記荷の受け渡しを行う自動倉庫であって、上記昇降体を昇降駆動させる前に、上記受け渡す上記荷の重量に応じて、上記カウンターウェイトの重量を増減させるカウンターウェイト重量増減装置を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、昇降体が昇降する前に、受け渡しを行う荷の重量に応じて、カウンターウェイトの重量が増減されるため、荷ごとにその重量分のアンバランスを相殺した状態での昇降駆動が可能となる。
【0007】
また、本発明においては、上記カウンターウェイト重量増減装置は、上記荷の重量を計測する荷重量計測装置と、上記荷重量計測装置の計測結果に応じて錘を上記カウンターウェイトに着脱するウェイト着脱装置と、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、荷の重量を計測し、その重量に応じた錘をカウンターウェイトに着脱することで、カウンターウェイトの重量を増減させる。
【0008】
また、本発明においては、上記荷載置部は、所定高さ毎に上記荷を収容する荷収容棚を有しており、上記ウェイト着脱装置は、上記所定高さ毎に上記錘を収容する錘収容棚を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、昇降体が所定高さの荷収容棚に荷を降ろした後、その昇降体を昇降させることなく、カウンターウェイトに装着された錘を、所定高さの錘収容棚に降ろすことができる。また、本発明では、昇降体が所定高さの荷収容棚から荷を取り出した後、その昇降体を昇降させることなく、その重量に応じた錘を、所定高さの錘収容棚から取り出すことができる。
【0009】
また、本発明においては、上記荷載置部は、搬入された荷が載置される荷搬入部を有しており、上記錘収容棚は、上記荷収容棚を挟んで上記荷搬入部が設けられる側に設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、荷が搬入される荷搬入部側において、カウンターウェイトの錘の着脱を行うことができるため、カウンターウェイトの重量調節の効率化を図ることができる。
【0010】
また、本発明においては、上記荷載置部は、搬入された荷が載置される荷搬入部を有しており、上記荷重量計測装置は、上記荷搬入部に設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、荷搬入部から荷が昇降体に受け渡される前に、荷の重量を計測することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、昇降駆動する昇降体と上記昇降体に連結され上記昇降駆動の負荷を低減させる所定重量のカウンターウェイトとを有するスタッカークレーンを備え、上記昇降体に荷を搭載させ所定高さに設けられた荷載置部との間で上記荷の受け渡しを行う自動倉庫であって、上記昇降体を昇降させる前に、上記受け渡す上記荷の重量に応じて、上記カウンターウェイトの重量を増減させるカウンターウェイト重量増減装置を有するという構成を採用することによって、昇降体が昇降する前に、受け渡しを行う荷の重量に応じて、カウンターウェイトの重量が増減されるため、荷ごとにその重量分のアンバランスを相殺した状態での昇降駆動が可能となる。
したがって、本発明では、スタッカークレーンの昇降駆動に伴うエネルギー消費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における自動倉庫を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるスタッカークレーンの構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるスタッカークレーンのロープ配置図である。
【図4】本発明の実施形態における荷搬入部の構成を示す拡大図である。
【図5】本発明の別実施形態におけるスタッカークレーンの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の実施形態における自動倉庫1の構成を示す平面図である。
自動倉庫1は、搬入された荷Mが載置される荷搬入部2と、荷Mを収容する荷収容棚3と、搬出される荷Mが載置される荷搬出部4と、荷搬入部2,荷収容棚3,荷搬出部4からなる荷載置部との間で荷Mの受け渡しを行うスタッカークレーン5と、自動倉庫1の動作を制御する不図示のホストコンピュータ(以下、制御部と称する)と、制御部にアクセスする操作パネル6とを有している。また、自動倉庫1は、錘収容棚43を備えるカウンターウェイト重量増減装置40(後述)を有している。
【0014】
自動倉庫1の床には、直線的に軌道レール7が敷設されており、スタッカークレーン5は、不図示の走行用モーターの駆動によって軌道レール7に沿って走行する構成となっている。荷収容棚3は、軌道レール7の幅方向両側に対となって設けられており、荷Mを上下方向に多段、且つ、水平方向に複数収容可能な構成となっている。本実施形態の荷収容棚3は、高さが数十メートル(例えば30メートル)規模の大型のものである。また、軌道レール7の一端部には、軌道レール7を挟んで荷搬入部2と荷搬出部4とが互いに対向するように設けられる。スタッカークレーン5は、この軌道レール7の一端部(以下、ホームポジションと称する)で、搬入/搬出する荷Mの受け渡しを行う構成となっている。
【0015】
図2は、本発明の実施形態におけるスタッカークレーン5の構成を示す側面図である。
スタッカークレーン5は、軌道レール7に沿って走行自在の基台11上に立設された一対のマスト12を備える。一対のマスト12は、走行方向において所定の距離で離間して配置されており、互いに平行に高さ方向に延在する。マスト12は、荷収容棚3と同様の高さを有している。マスト12の頂部には、フレーム13が架設されており、フレーム13は、所定高さに設けられた上部軌道レール8にガイドされる構成となっている。
【0016】
スタッカークレーン5は、不図示のモーターにより駆動する昇降ドラム10によって昇降駆動する第1昇降体(昇降体)20及び第2昇降体(カウンターウェイト)30を備える。第1昇降体20は、荷Mを搭載して昇降駆動する構成となっており、一方の第2昇降体30は、錘Wを搭載して第1昇降体20と逆方向に昇降駆動しカウンターウェイトとして機能する構成となっている。
【0017】
第1昇降体20は、一対のマスト12の間において不図示のフリーローラー等によってガイドされ、該マスト12に沿って高さ方向に昇降駆動する構成となっている。本実施形態の第1昇降体20は、ケージ21と、ケージ21上に装着された移載装置22とを有する。移載装置22は、走行方向と直交する水平方向に伸縮自在なフォークやアーム等から構成され、荷搬入部2,荷収容棚3,荷搬出部4との間で荷Mの受け渡しを行う構成となっている。
【0018】
第2昇降体30は、ホームポジションに向かう側のマスト12に不図示のフリーローラー等によってガイドされ、該マスト12に沿って高さ方向に昇降駆動する構成となっている。本実施形態の第2昇降体30は、ケージ31と、ケージ31上に装着された移載装置32とを有する。移載装置32は、走行方向に伸縮自在なフォークやアーム等から構成され、錘収容棚43との間で錘Wの受け渡しを行う構成となっている。
【0019】
図3は、本発明の実施形態におけるスタッカークレーン5のロープ配置図である。
本実施形態の昇降ドラム10から繰り出されるロープ14Aは2本ある。ロープ14Aの一方は、シーブ15a,16aを経由してケージ21に固定されている。ロープ14Aの他方は、シーブ15b,17bを経由してケージ21に固定されている。
次に、第2昇降体30のケージ31を吊り下げるロープ14Bについて説明する。本実施形態のロープ14Bは2本ある。ロープ14Bの一方は、一端がケージ21に固定され、他端がシーブ16b、18bを経由してケージ31に固定されている。ロープ14Bの他方は、一端がケージ21に固定され、他端がシーブ17a、18aを経由してケージ31に固定されている。
【0020】
本実施形態のロープ配置によれば、ケージ21が上昇すると、それに連動してケージ31が下降する。また、ケージ21が下降すると、それに連動してケージ31が上昇する。
また、本実施形態のロープ配置によれば、第1昇降体20の重量(荷M無し)と第2昇降体30の重量(錘Wなし)とが同じ重量であれば、両者の重量がバランスして、昇降ドラム10への負荷(トルク)が低減される。
【0021】
ここで、上記バランス状態の第1昇降体20に、荷Mが載置されると、荷Mの重量分がアンバランスとなり、昇降駆動に伴うエネルギー消費が高くなるので、本実施形態では、荷Mの重量に応じて、第2昇降体30の重量を増減させるカウンターウェイト重量増減装置40を備える。図1に示すように、カウンターウェイト重量増減装置40は、荷Mの重量を計測する荷重量計測装置41と、荷重量計測装置41の計測結果に応じて錘Wを第2昇降体30に着脱するウェイト着脱装置42とを有する。
【0022】
図4は、本発明の実施形態における荷搬入部2の構成を示す拡大図である。
図4に示すように、本実施形態の荷重量計測装置41は、荷搬入部2に設けられている。この構成によれば、搬入された荷Mが先ず載置される荷搬入部2において、荷Mの重量を計測できるため、荷Mが第1昇降体20に搭載される前に、荷Mの重量を計測することができる。荷重量計測装置41は、例えばロードセルから構成され、その計測結果は、不図示の制御部に伝送される。
【0023】
ウェイト着脱装置42は、図1及び図2に示すように、第2昇降体30の移載装置32と、錘Wを収容する錘収容棚43とから構成される。
錘収容棚43は、図2に示すように、錘Wを所定高さ毎に収容可能な構成となっている。錘収容棚43の段数は、荷収容棚3の段数と対応し、その段数と同数で構成されている。例えば、荷収容棚3が五段構成であれば、それに対応して、錘収容棚43も五段構成となる(図2参照)。この構成によれば、例えば、第1昇降体20が荷収容棚3の一段目(最下段)に対向するとき、第2昇降体30は、錘収容棚43の五段目(最上段)に対向する。また、例えば、第1昇降体20が荷収容棚3の四段目に対向するとき、第2昇降体30は、錘収容棚43の二段目に対向する。
【0024】
この錘収容棚43は、図1に示すように、ホームポジション(荷収容棚3を挟んで荷搬入部2が設けられる側)に設けられている。錘収容棚43は、荷収容棚3を挟んで荷搬入部2が設けられる側と逆側に配置してもよいが、錘Wを着脱するためには、荷搬入部2と逆側に走行しなくてはならなくなる。一方、ホームポジションに錘収容棚43を設ければ、荷Mの搭載と錘Wの着脱を同じ位置で行えるので積み上げ/積み下ろしの効率化を図ることができる。
【0025】
図2に戻り、錘収容棚43の最上段には、錘Wが複数ストックされている。最下段に位置する第1昇降体20に荷Mが搭載される際には、第2昇降体30は、錘収容棚43の最上段に対向しているので、移載装置32は、不図示の制御部の制御の下に駆動し、荷Mに対応する重量の錘Wを錘収容棚43の最上段から取り出すことで、第1昇降体20(荷M有り)と第2昇降体30(錘W有り)との重量をバランスさせる構成となっている。
【0026】
なお、荷Mの重量に対応し一対一で錘Wを複数種(最大、荷収容棚3の荷収容可能数分)用意することは困難であるので、例えば、自動倉庫1が数種(3〜5種類程度)の重量の荷Mを収容するよう設計されたものであれば、錘Wをその数種類毎に複数用意すれば足りる。また、錘Wを所定重量毎(例えば10kg(キログラム)毎、100kg毎、1t(トン)毎)に複数用意し、その所定重量単位毎に錘Wを複数取り出して、重量をバランスさせる構成であってもよい。したがって、荷Mの重量と錘Wの重量とを完全にバランスさせずに、ある程度のアンバランスは許容して、第1昇降体20(荷M有り)と第2昇降体30(錘W有り)との重量を同程度とさせればよい。
【0027】
続いて、上記構成の自動倉庫1における入庫動作及び出庫動作について説明する。
なお、本実施形態の荷収容棚3における荷Mの収容位置の指示は、操作パネル6を操作して行う。この指示は、例えば、スタッカークレーン5の走行方向における荷収容棚3の位置を「番地」と称して識別し、昇降方向における荷収容棚3の位置を「段」と称して識別し、さらに軌道レール7を挟んで設けられた荷収容棚3それぞれを「列」と称して識別し、例えば、「1列、3番地、5段」と指定することで、収納位置を一意に特定することで行う。
【0028】
入庫動作においては、先ず、フォークリフト等の搬送装置により、荷収容棚3に収容するべき荷Mが搬送されてくる。そして、荷Mは、図4に示すように、荷搬入部2に載置される。荷搬入部2に設けられた荷重量計測装置41は、載置された荷Mの重量を計測する。そして、その計測結果が、制御部に伝送されて記憶される。また、操作パネル6により、荷収容棚3における荷Mの収容位置の指示が行われ、その指示が制御部に伝送されて記憶される。
【0029】
次に、制御部は、移載装置22を駆動させ、荷搬入部2から荷Mを第1昇降体20に搭載させる。そして、制御部は、移載装置32を駆動させ、荷Mの重量計測結果に基づいて、荷Mの重量と同程度の錘Wを錘収容棚43から第2昇降体30に搭載させる(図2参照)。
荷Mを受けるとき、第1昇降体20は、最下段(一段)に位置しているので、第2昇降体30は、錘Wがストックされている錘収容棚43の最上段(五段)と対向している。したがって、昇降駆動を行う前の状態で、錘Wが第2昇降体30に搭載される。
【0030】
次に、制御部は、荷収容棚3における荷Mの収容位置の指示に基づいて、スタッカークレーン5を走行させる。そして、スタッカークレーン5は、荷収容棚3に対向する所定位置に移動した後、昇降ドラム10を駆動させ、収容するべき所定高さの段まで荷Mを上昇させる。このとき、荷Mの重量に応じた重量の錘Wが、第2昇降体30に搭載されているので、第1昇降体20と重量がバランスした状態での昇降駆動が可能となる。このため、両者の重量がバランスして、昇降ドラム10への負荷(トルク)が低減され、昇降駆動に伴うエネルギー消費が低減される。
【0031】
当該昇降駆動により第1昇降体20が、荷収容棚3の目的の段(ここでは五段)まで上昇すると、それに連動して第2昇降体30が錘収容棚43の五段に対応する位置から錘収容棚43の一段に対応する位置まで下降する。制御部は、移載装置22を駆動させ、第1昇降体20から支持された荷収容棚3に荷Mを移載させる。
荷Mを移載し終えたら、制御部は、昇降駆動をさせることなく、スタッカークレーン5をホームポジションまで移動させる。そうすると、第2昇降体30は、ホームポジションにおいて、錘収容棚43の一段目に対向することとなる(図2参照)。
【0032】
次に、制御部は、移載装置32を駆動させ、錘Wを錘収容棚43の一段に降ろす。これにより、荷Mを荷収容棚3に降ろすことによる重量のアンバランスが相殺される。錘Wを降ろし終えたら、制御部は、昇降ドラム10を駆動させ、第1昇降体20を、次の荷Mを受けることが可能な最下段に位置させ、第2昇降体30を、錘Wをストックしている錘収容棚43の最上段に位置させる。当該昇降駆動においても、両者の重量がバランスしているので、昇降ドラム10への負荷(トルク)が低減され、昇降駆動に伴うエネルギー消費が低減される。
以上により、自動倉庫1の入庫動作が終了する。
【0033】
一方、先ほど収容した荷Mの出庫動作においては、先ず、操作パネル6により、荷収容棚3における荷Mの収容位置の指示が行われる。制御部は、荷収容棚3における荷Mの収容位置の指示に基づいて、スタッカークレーン5を走行させる。そして、スタッカークレーン5は、荷収容棚3に対向する所定位置に移動した後、昇降ドラム10を駆動させ、収容するべき所定高さの段まで第1昇降体20を上昇させる。このとき、第2昇降体30には、錘Wが搭載されていないので、第1昇降体20と重量がバランスした状態での昇降駆動が可能となる。
【0034】
当該昇降駆動により第1昇降体20が、荷収容棚3の目的の段(ここでは五段)まで上昇すると、それに連動して第2昇降体30が錘収容棚43の五段に対応する位置から錘収容棚43の一段に対応する位置まで下降する。そして、制御部は、移載装置22を駆動させ、荷収容棚3から第1昇降体20に荷Mを移載させる。
荷Mを移載し終えたら、制御部は、昇降駆動をさせることなく、スタッカークレーン5をホームポジションまで移動させる。そうすると、第2昇降体30は、ホームポジションにおいて、錘収容棚43の一段目に対向することとなる。錘収容棚43の一段目には、入庫時において、荷Mに対応する重量の錘Wが降ろされている。
【0035】
次に、制御部は、移載装置32を駆動させ、入庫時に記憶した荷Mの重量データに基づいて、対応する錘Wを錘収容棚43の一段から取り出す。これにより、荷Mを取り出すことによる重量のアンバランスが相殺される。錘Wを移載し終えたら、制御部は、昇降ドラム10を駆動させ、第1昇降体20を、荷搬出部4に荷Mを渡すことが可能な最下段に位置させ、第2昇降体30を、錘収容棚43の最上段に位置させる。当該昇降駆動においても、両者の重量がバランスしているので、昇降ドラム10への負荷(トルク)が低減され、昇降駆動に伴うエネルギー消費が低減される。そして、制御部は、移載装置22を駆動させ、荷Mを荷搬出部4に降ろし、移載装置32を駆動させ、錘Wを錘収容棚43の最上段(ストック段)に戻す。
以上により、自動倉庫1の出庫動作が終了する。
【0036】
したがって、上述の本実施形態によれば、昇降駆動する第1昇降体20と第1昇降体20に連結され上記昇降駆動の負荷を低減させる所定重量の第2昇降体30とを有するスタッカークレーン5を備え、第1昇降体20に荷Mを搭載させ所定高さに設けられた荷載置部との間で荷Mの受け渡しを行う自動倉庫1であって、第1昇降体20を昇降させる前に、上記受け渡す荷Mの重量に応じて、第2昇降体30の重量を増減させるカウンターウェイト重量増減装置40を有するという構成を採用することによって、第1昇降体20が昇降する前に、受け渡しを行う荷Mの重量に応じて、第2昇降体30の重量が増減されるため、荷Mごとにその重量分のアンバランスを相殺した状態での昇降駆動が可能となる。
したがって、本実施形態では、スタッカークレーン5の昇降駆動に伴うエネルギー消費を低減できる。また、本実施形態のように高さが数十メートル規模の大型の自動倉庫1であれば、昇降駆動時のエネルギー消費が支配的になるため、より効果が高くなる。
【0037】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態では、錘Wの錘収容棚43との間の移載は、第2昇降体30に設けられた移載装置32によって行うと説明したが、図5に示す別実施形態のように、錘収容棚43の各段にフォークやアーム等の移載装置50を設けて行う構成であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…自動倉庫、2…荷搬入部(荷載置部)、3…荷収容棚(荷載置部)、4…荷搬出部(荷載置部)、5…スタッカークレーン、20…第1昇降体(昇降体)、30…第2昇降体(カウンターウェイト)、40…カウンターウェイト重量増減装置、41…荷重量計測装置、42…ウェイト着脱装置、43…錘収容棚、M…荷、W…錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降駆動する昇降体と前記昇降体に連結され前記昇降駆動の負荷を低減させる所定重量のカウンターウェイトとを有するスタッカークレーンを備え、前記昇降体に荷を搭載させて所定高さに設けられた荷載置部との間で前記荷の受け渡しを行う自動倉庫であって、
前記昇降体を昇降駆動させる前に、前記受け渡す前記荷の重量に応じて、前記カウンターウェイトの重量を増減させるカウンターウェイト重量増減装置を有することを特徴とする自動倉庫。
【請求項2】
前記カウンターウェイト重量増減装置は、
前記荷の重量を計測する荷重量計測装置と、
前記荷重量計測装置の計測結果に応じて錘を前記カウンターウェイトに着脱するウェイト着脱装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
前記荷載置部は、所定高さ毎に前記荷を収容する荷収容棚を有しており、
前記ウェイト着脱装置は、前記所定高さ毎に前記錘を収容する錘収容棚を有することを特徴とする請求項2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記荷載置部は、搬入された荷が載置される荷搬入部を有しており、
前記錘収容棚は、前記荷収容棚を挟んで前記荷搬入部が設けられる側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記荷載置部は、搬入された荷が載置される荷搬入部を有しており、
前記荷重量計測装置は、前記荷搬入部に設けられていることを特徴とする請求項2〜4に記載の自動倉庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−219227(P2011−219227A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90487(P2010−90487)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】