説明

自動分析装置、および自動分析装置の稼動方法

【課題】本発明は試料の稀釈動作および再検のシステム、稀釈液による分析前処理機能、反応容器への分注を効率的に行なうことができる自動分析装置、および自動分析装置の稼動方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、試料と試薬の混合液より測光データを得る反応機構と、前記反応機構に付設され、供給する稀釈試料の稀釈や反応機構への供給前に処理する前処理が行なわれる稀釈機構を備える自動分析装置において、前記稀釈機構は、稀釈を行なう稀釈容器を置く稀釈作業部と、前記稀釈試料が入った前記稀釈容器を保管する稀釈容器保管部と、前記稀釈作業部と前記稀釈容器保管部との間で前記稀釈容器を搬送する搬送機構が備わることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料および試薬が分注される複数の反応容器を回転移動させながら各反応容器の測光データを取得する自動分析装置に関し、特に試料の前処理や稀釈機能を備えた生化学の自動分析装置、および自動分析装置の稼動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液や尿の生体試料について複数の項目を分析する自動分析装置において、反応容器での測光データ取得前に稀釈処理を行わせる自動分析装置は幾つか提案されている。
【0003】
その中でも稀釈テーブルを用いた稀釈機構では、例えば分析項目によって稀釈容器の種類を選択して搬送機構により稀釈テーブル上へ配置し、試料および水または稀釈液を分注して稀釈を行わせ、稀釈液を反応容器へ分注して分析する自動分析装置などがある。
【0004】
【特許文献1】特開平5−80059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の稀釈機構では稀釈された試料は反応容器への分注後も、同一の稀釈テーブル上に保持される。これにより、稀釈テーブルがある決まった周期で動作するために初回の分析を行った後にある決まった期間のみでしか保管できず、任意の保管期間を設定できないこと、試料と稀釈液とを混合した後すぐに分注動作へ入ってしまい、試料の稀釈攪拌後に試料と稀釈液との反応時間を任意に設けるといった設定ができない。
【0006】
また、試料の稀釈動作および再検のシステム、稀釈液による分析前処理機能、反応容器への分注を効率的に行なうことができなかった。
【0007】
さらに、稀釈作業部と稀釈試料保管部とが同一周上に配置されているため、稀釈テーブルが大型化し、スペース効率を悪化させている、などの課題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑み、試料の稀釈動作および再検のシステム、稀釈液による分析前処理機能、反応容器への分注を効率的に行なうことができる自動分析装置、および自動分析装置の稼動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、試料と試薬の混合液より測光データを得る反応機構と、前記反応機構に付設され、供給する稀釈試料の稀釈や反応機構への供給前に処理する前処理が行なわれる稀釈機構を備える自動分析装置において、前記稀釈機構は、稀釈を行なう稀釈容器を置く稀釈作業部と、前記稀釈試料が入った前記稀釈容器を保管する稀釈容器保管部と、前記稀釈作業部と前記稀釈容器保管部との間で前記稀釈容器を搬送する搬送機構が備わることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、試料と試薬の混合液より測光データを得る反応容器が設けられる反応機構と、前記反応機構に付設する稀釈機構と、前記稀釈機構に備えられ、前記反応容器に供給する稀釈試料の稀釈や前記反応容器への供給前に処理する前処理が行なわれる稀釈容器を有する自動分析装置の稼動方法において、前記稀釈機構は、稀釈を行なう稀釈容器を置く稀釈作業部と、前記稀釈試料が入った前記稀釈容器を保管する稀釈容器保管部と、前記稀釈作業部と前記稀釈容器保管部との間を行き来して前記稀釈容器を搬送する搬送機構を備え、前記稀釈容器から分注した稀釈試料を使った反応容器での分析が完了するまでの間に、稀釈容器を前記搬送機構で稀釈作業部から稀釈容器保管部に移して待機し、前記反応容器での分析完了後に再検査が必要と判断された場合には、前記稀釈容器保管部に前記稀釈容器を置いたままで稀釈容器より前記反応容器に再検査用の分注を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試料の稀釈動作および再検のシステム、稀釈液による分析前処理機能反応容器への分注の効率化が得られる。
【0012】
また、稀釈機構の外周回転テーブルと前記内周回転テーブルを同心的に設けることで、少スペース化を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の一実施例について、図を引用して説明する。
【0014】
まず、図1に示す本発明の自動分析装置の概要について触れる。
【0015】
自動分析装置は、分析対象となる試料を入れた試料容器3がセットされる試料分注位置、試料分注位置より試料を吸引し、試料の稀釈を行うための稀釈容器を複数保持するための稀釈機構1内の外周回動テーブル15、内周回動テーブル16、検出器10を有する。
【0016】
外周回転テーブル15は、稀釈機構1の稀釈作業部を形成する。内周回動テーブル16は、稀釈機構1の稀釈容器保管部を形成する。
【0017】
内周回動テーブル16は外周回動テーブル15に内側に置かれる。外周回転テーブル15の回転軸心と内周回転テーブル16の回転軸心が同心的である。外周回転テーブル15と内周回転テーブルが駆動手段で別々に回転駆動される。
【0018】
内周回動テーブル16が外周回動テーブル15に内側に置かれ、外周回転テーブル15の回転軸心と内周回転テーブル16の回転軸心が同心的にしているので、稀釈機構1の外径を小さく抑える少スペース化が実現できる。
【0019】
また、外周回転テーブル15と内周回転テーブルを別々に回転駆動されるので、試料の稀釈動作および再検のシステム、稀釈液による分析前処理を別々に実行でき、作業の効率化が実現できる。
【0020】
また、自動分析装置は、外周回転テーブル15、外周回転テーブル15へと吐出を行う試料分注機構2、外周回転テーブル15上において稀釈容器25へと稀釈用の水または稀釈液容器18内の稀釈液を吐出する稀釈ノズル11、稀釈容器25へと吐出された試料と水または稀釈液とを攪拌する攪拌機構12を有する。
【0021】
更に、自動分析装置は、攪拌が行われた試料を吸引し、反応テーブル5へと吐出する稀釈試料分注機構4、第1試薬テーブル8および第2試薬テーブル9より試薬を反応容器14への分注を行う第1試薬分注機構6、第2試薬分注機構7、反応テーブル5へと分注が終了した稀釈容器25を外周回転テーブル15と同軸上に配置された内周回転テーブル16の稀釈容器保持部へと搬送を行う搬送機構17、分析が終了した稀釈容器25の洗浄を行う稀釈容器洗浄機構13を有する。
【0022】
また自動分析装置は、上記内外周回転テーブル、各種機構の動作を制御するコンピュータ等からなる制御装置(図示せず)を備え、自動分析装置の稼動運転が行なわれる。
【0023】
自動分析装置は、分析項目によっては、反応容器に分注を行う前に前処理作業として専用の稀釈液にて稀釈し、試料と稀釈液とを一定時間反応させた後に反応容器にて試薬と反応させて測光データを取得する項目がある。
【0024】
従来の自動分析装置においては、前記前処理作業を手動操作法により自動分析装置の投入前に行う必要があったため、作業効率向上の妨げとなっていた。また、稀釈テーブルがある決まった周期で動作するために初回の分析を行った後にある決まった期間のみでしか保管できず、任意の保管期間を設定できないこと、試料と稀釈液とを混合した後すぐに分注動作へ入ってしまい、試料の稀釈攪拌後に試料と稀釈液との反応時間を任意に設けるといった設定ができない。
【0025】
更に、稀釈された試料は反応容器への分注後も、同一の稀釈テーブル上に保持されるので、試料の稀釈動作および再検のシステム、稀釈液による分析前処理機能、反応容器への分注を効率的に行なうことができなかった。
【0026】
本発明の実施例によって、従来は手動操作法にて行っていた稀釈作業を、内外周回転テーブル上にて試料へ稀釈液の分注、混合を自動で行い、一定時間保持した後に反応容器へと分注を行うことにより分析の作業効率向上を可能としている。
【0027】
図2に、本発明の稀釈機構1の構成例を示す。
【0028】
稀釈機構1は、試料と試薬の混合液より測光データを得る反応機構に付設されるように備えられる。
【0029】
稀釈容器25を保持する稀釈機構1は、試料の分注および水または稀釈液の分注、稀釈容器内の攪拌、反応容器への分注、分析終了後の稀釈容器洗浄動作が行われる外周回転テーブル15と、反応容器14への分注終了後、分析が終了し再検を必要とするまで待機する、或いは稀釈液分注および攪拌終了後、試料と稀釈液とを一定時間の反応を行わせる間、稀釈容器を保持することを目的とした内周回転テーブル16を同軸心上に配置している。
【0030】
また、稀釈機構1は、それぞれの内外周回転テーブルが独立して動作することができる構造で構成されたテーブル機構と、内外周回転テーブルを独立して回転駆動する駆動手段、稀釈容器25を外周回転テーブル15と内周回転テーブル16との間で搬送可能とする搬送機構17を有する。
【0031】
稀釈機構1に備えた試料分注機構2によって試料分注ポジションに配置された試料容器3から試料が吸引される。吸引された試料は、稀釈機構1の外周回転テーブル15上に配置された稀釈容器25へと吐出される。試料が分注された稀釈容器25は、次に水または稀釈液の吐出位置まで外周回転テーブル15に載って回転移動する。
【0032】
稀釈ノズル11は稀釈容器位置、ノズルの洗浄槽位置24、稀釈液容器18の吸引位置の間を回転移動可能とし、上下に駆動されて吸引、吐出動作を行う。水を吐出する場合は洗浄位置から稀釈容器位置へと移動し、下降して水を吐出する。
【0033】
稀釈液が必要な場合は、洗浄位置から稀釈液吸引位置へと移動、稀釈ノズル11が下降して稀釈液を吸引、次に稀釈容器位置へと移動、下降して稀釈液の吐出を行う。水または稀釈液の吐出が完了した稀釈容器25は、次に攪拌位置へと回転移動し、攪拌が行われる。攪拌機構12は洗浄槽位置および稀釈容器攪拌位置への移動を可能とし、上下に駆動されて攪拌を行う。
【0034】
攪拌が完了した稀釈容器25は、次に反応容器14への分注位置へと回転移動する。ここで稀釈試料分注機構4によって稀釈試料が反応容器14へと分注が行われる。稀釈試料分注機構4は回転移動によりノズル洗浄位置、反応容器吐出位置、稀釈機構の外周回転テーブルの吸引位置および後述する内周回転テーブルの吸引位置へと移動可能であり、上下に駆動されて稀釈試料の吸引および吐出を行う。
【0035】
また、この時、試料と稀釈液との反応時間が必要であり、この時点では反応容器14への分注が行えない稀釈試料の場合は、稀釈試料分注機構4による反応容器14への分注は行わない。反応時間が経過してから稀釈試料は反応容器14に分注される。
【0036】
次に稀釈容器25は稀釈容器の搬送機構部17の位置まで回転移動され、搬送機構17により外周回転テーブル15から内周回転テーブル16の所定の位置へと搬送される。この時、内周回転テーブル16は、稀釈容器25を保持していない所定の位置が搬送機構部17の位置となるように、回転移動を行う。搬送機構部17は図示上ではリニア駆動の搬送を示しているが、回転駆動による搬送機構であっても構わない。
【0037】
内周回転テーブル16は複数の稀釈容器保持部を有し、任意の時間で稀釈容器25を保持する。図示上での内周回転テーブル16は稀釈容器保持部を2重(2列)としているが、1重(1列)または3重(3列)以上の稀釈容器保持構成としても構わない。
【0038】
従来の稀釈機構の場合、稀釈容器保持位置が外周回転テーブルに設けた1重の円周上のみである。ここで、再検待機の稀釈容器も保管していたが、本発明の実施例のように外周回転テーブル(稀釈作業部)と内周回転テーブル(稀釈容器保管部)とに機能を分けて保持する構成とすることでスペース効率が向上し、省スペース化を行うことが可能となる。
【0039】
前述の稀釈試料分注機構部4は回転、上下駆動により、内周回転テーブル16内の稀釈容器位置への移動も可能とし、試料と稀釈液との反応時間が経過した稀釈試料に対し、反応容器14への分注動作を可能とする。
【0040】
また反応テーブル5上での分析が終了し、再検が必要となった試料に対しても、同様に内周回転テーブル16上より稀釈試料を反応容器14へと分注することで再検を可能とする。
【0041】
従来の稀釈機構の場合、再検が必要となった時には試料からの分注、稀釈、攪拌、稀釈容器の洗浄動作を停止し、強制的に稀釈機構を回転、必要とする稀釈容器位置を稀釈試料分注位置へと移動させる必要があった。
【0042】
本実施例の構造により、再検試料を外周回転テーブル15とは別の内周回転テーブル16に保持しているため、外周回転テーブル15はそのままに、内周回転テーブル16の移動により稀釈試料の分注を行うことを可能とする。
【0043】
反応テーブル5での一連の分析が終了し、再検が終了した、或いは再検が不要であり稀釈試料を保持する必要が無くなった内周回転テーブル16上の稀釈容器25は次に、内周回転テーブル16の回転移動により再び搬送機構部位置へと移動し、搬送機構17により内周回転テーブル16から外周回転テーブル15へと搬送される。
【0044】
外周回転テーブル15へ搬送された稀釈容器25は次に稀釈容器洗浄機構位置へと回転移動する。洗浄機構13は上下駆動され、稀釈容器内の稀釈試料の吸引、容器洗浄、乾燥を行う。外周回転テーブル15は元の試料から稀釈容器への分注作業、水または稀釈液の分注作業、稀釈容器内の攪拌作業、稀釈試料を反応容器への分注作業、搬送機構17による内周回転テーブル16への搬送作業、稀釈容器の洗浄作業とが行われる。
【0045】
このため外周回転テーブル15はそれぞれの配置が効率的かつ容易に実現できるよう周期的間隔で各々の作業が行われるように回転動作を行う。稀釈容器25の洗浄作業は3つの作業に分割されている。
【0046】
一つは稀釈容器に残っている稀釈試料の吸引廃棄を行う動作21、もう一つは洗浄水吐出と吸引による稀釈容器内を洗う動作22、そして残る一つは残水を残さず吸引、乾燥する動作23とが考えられる。
【0047】
以上3つの機能が1つの洗浄機構13に纏められることが装置構成として集約コンパクト化の点で有効であり、洗浄機構13を1つに纏めるためには、洗浄を行うための稀釈容器25を連続して配置する必要があり、内周回転テーブル16から外周回転テーブル15への搬送を行う時に、搬送機構17および外周回転テーブル15は洗浄する稀釈容器25が連続して配置されるように制御することにより可能となる。
【0048】
稀釈容器25は試料毎に洗浄が行われることで繰り返し使用することが可能となる。しかし、繰り返し使用することにより稀釈容器25の劣化が進み、試料のコンタミネーションを招く恐れが増加する。或いは繰り返し使用しない場合であっても、稀釈容器25の材質の劣化などにより同様の問題を発生する可能性がある。
【0049】
そこで本発明の実施例では自動分析装置の制御部にカウント手段を設け、使用している稀釈容器25の使用回数または使用期間をカウントし記憶しておくことにより、稀釈容器25の劣化具合を把握し、予め設定しておいた限界値としての使用回数または期間と比較し、継続使用可能か否か制御部において判別を行う。
【0050】
判別の結果、限界値を迎えた稀釈容器25は内周回転テーブル16から外周回転テーブル15に搬送されるタイミングにおいて、搬送機構17により外周回転テーブル15の外に配置された稀釈容器廃棄位置へと廃棄される。
【0051】
廃棄された稀釈容器の不足分を補うため、稀釈容器廃棄位置と同様に搬送機構の動作上に未使用の稀釈容器が供給される稀釈容器供給機構20を備え、搬送機構17により稀釈機構1への稀釈容器供給が行われる。
【0052】
従来は作業者が稀釈容器の使用期間を記録し、所定の期間使用した稀釈容器は作業者の手動により交換作業が行われていた。本実施例は、稀釈機構部に搬送機構を配置することにより自動で稀釈容器の交換作業が行われることを可能とした。
【0053】
搬送機構による稀釈容器の交換は、搬送機構で把持、搬送された稀釈容器が稀釈容器廃棄部19(稀釈容器廃棄位置)で廃棄され、代わりに搬送機構で稀釈容器を稀釈容器保管位置から搬送して補充することにより実現される。
【0054】
なお、上述した搬送機構は、稀釈作業部と稀釈容器保管部に亘って設けられるベルトコンベア、搬送ライン、および前記稀釈容器を垂直に上げ、下げ、水平に搬送移動するクレーン等を含む。
【0055】
上記稀釈に関し、図3のフローチャートを引用して説明する。
【0056】
ステップ26で試料の分注が行なわれ、引き続いて稀釈27が行なわれる(ステップ27)。水の稀釈が行われて撹拌が実行される(ステップ28)。稀釈容器から稀釈試料の分注を終えたら(ステップ29)、稀釈容器は内周回転テーブル16に移送(ステップ30)されて次の再検査(ステップ31)に向け待機する。
【0057】
一方、ステップ27で稀釈液が稀釈され、撹拌が実行(ステップ35)された稀釈容器は稀釈試料の分注を得ずに内周回転テーブル16に移送され、稀釈試料の分注を待つ。これは、試料と稀釈液との反応に時間を費やす場合である。反応に要する時間が経過したら稀釈容器から稀釈試料の分注(ステップ37)が行なわれ、前述した再検査(ステップ31)に向け待機する。
【0058】
再検査(ステップ31)で再検査は不要となったときは、稀釈容器の廃棄可否が判断される(ステップ32)。廃棄可のときは、稀釈容器の廃棄が実行され(ステップ39)、代わりに稀釈容器保管位置(稀釈容器供給部)から稀釈容器が外周回転テーブルに補充され(ステップ40)、ステップ26のルーチンに戻る。
【0059】
前記再検査(ステップ31)で再検査が要と判断されたときは、稀釈容器から稀釈試料の分注(ステップ38)が実施されてから稀釈容器の廃棄可否が判断される(ステップ32)。ステップ32で廃棄否のときは、稀釈容器が外周回転テーブルに移送され(ステップ33)、稀釈容器の洗浄を実行(ステップ34)してステップ26のルーチンに戻る。
【0060】
上述したように、稀釈作業部の外周回転テーブルと、稀釈容器保管部の内周回転テーブルと、外周回転テーブルと前記内周回転テーブルが別々に駆動できる駆動手段を備えることにより、次のような良さが得ることができる。
【0061】
(1).稀釈容器から分注した稀釈試料を使った反応容器での分析が完了するまでの間に、稀釈容器を搬送機構で稀釈作業部から稀釈容器保管部に移して待機し、反応容器での分析完了後に再検査が必要と判断された場合には、稀釈容器保管部に稀釈容器を置いたままで稀釈容器より反応容器に再検査用の分注を行うことができる。
【0062】
(2).反応容器での分析完了後に再検査が必要と判断された場合には、内周回転テーブルを回転駆動して前記稀釈容器を分注位置へ移動させて分注を行なうことができる。
【0063】
(3).試料と稀釈液との反応に費やす時間がかかる前処理では、試料、稀釈液の分注および攪拌を済ませた稀釈容器を外周回転テーブルから内周回転テーブルに移して待機し、反応に費やす時間が経過したら稀釈容器を内周回転テーブルに置いたままで、稀釈容器より前記反応容器に分注することができる。
【0064】
このように外周回転テーブルと、稀釈容器保管部の内周回転テーブルが互いに拘束されることなく、別個に使用できるので、試料の稀釈動作および再検のシステム、稀釈液による分析前処理機能、反応容器への分注を効率的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施例に係わるもので、自動分析装置の概要を示す平面図。
【図2】本発明の一実施例に係わるもので、稀釈機構を拡大して示した平面図。
【図3】本発明の一実施例に係わるもので、主に稀釈のフローを示したフローチャート。
【符号の説明】
【0066】
1…稀釈機構、2…試料分注機構、3…試料容器、4…稀釈試料分注機構、5…反応テーブル、6…第1試薬分注機構、7…第2試薬分注機構、8…第1試薬テーブル、9…第2試薬テーブル、10…検出器、11…稀釈ノズル、12…攪拌機構、13…洗浄機構、14…反応容器、15…外周テーブル、16…内周テーブル、17…搬送機構、18…稀釈液容器、19…稀釈容器廃棄部、20…稀釈容器供給機構、21…稀釈容器洗浄部(試料吸引)、22…稀釈容器洗浄部(水吐出・吸引)、23…稀釈容器洗浄部(残水吸引・乾燥)、24…洗浄槽、25…稀釈容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬の混合液より測光データを得る反応機構と、前記反応機構に付設され、供給する稀釈試料の稀釈や反応機構への供給前に処理する前処理が行なわれる稀釈機構を備える自動分析装置において、
前記稀釈機構は、稀釈を行なう稀釈容器を置く稀釈作業部と、前記稀釈試料が入った前記稀釈容器を保管する稀釈容器保管部と、前記稀釈作業部と前記稀釈容器保管部との間で前記稀釈容器を搬送する搬送機構が備わることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記稀釈作業部を形成する外周回転テーブルと、前記外周回転テーブルの内側に配置され、前記稀釈容器保管部を形成する内周回転テーブルを有し、
前記外周回転テーブルの回転軸心と前記内周回転テーブルの回転軸心が同心的であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記稀釈作業部を形成する外周回転テーブルと、前記外周回転テーブルの内側に配置され、前記稀釈容器保管部を形成する内周回転テーブルを有し、
前記外周回転テーブルと前記内周回転テーブルが別々に駆動できる駆動手段を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載された自動分析装置において、
前記搬送機構は、稀釈作業部と稀釈容器保管部に亘って設けられるベルトコンベア、搬送ライン、および前記稀釈容器を垂直に上げ、下げ、水平に搬送移動するクレーン等を含むことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
試料と試薬の混合液より測光データを得る反応容器が設けられる反応機構と、前記反応機構に付設する稀釈機構と、前記稀釈機構に備えられ、前記反応容器に供給する稀釈試料の稀釈や前記反応容器への供給前に処理する前処理が行なわれる稀釈容器を有する自動分析装置の稼動方法において、
前記稀釈機構は、稀釈を行なう稀釈容器を置く稀釈作業部と、前記稀釈試料が入った前記稀釈容器を保管する稀釈容器保管部と、前記稀釈作業部と前記稀釈容器保管部との間を行き来して前記稀釈容器を搬送する搬送機構を備え、
前記稀釈容器から分注した稀釈試料を使った反応容器での分析が完了するまでの間に、稀釈容器を前記搬送機構で稀釈作業部から稀釈容器保管部に移して待機し、
前記反応容器での分析完了後に再検査が必要と判断された場合には、前記稀釈容器保管部に前記稀釈容器を置いたままで稀釈容器より前記反応容器に再検査用の分注を行うことを特徴とする自動分析装置の稼動方法。
【請求項6】
請求項5記載の自動分析装置の稼動方法において、
前記稀釈作業部を形成する外周回転テーブルと、前記外周回転テーブルの内側に配置され、前記稀釈容器保管部を形成する内周回転テーブルを有し、
前記反応容器での分析完了後に再検査が必要と判断された場合には、前記内周回転テーブルを回転駆動して前記稀釈容器を分注位置へ移動させることを特徴とする自動分析装置の稼動方法。
【請求項7】
請求項6記載の自動分析装置の稼動方法において、
試料と稀釈液との反応に費やす時間がかかる前記前処理では、前記試料、前記稀釈液の分注および攪拌を済ませた前記稀釈容器を前記外周回転テーブルから前記内周回転テーブルに移して待機し、
反応に費やす時間が経過したら前記稀釈容器を前記内周回転テーブルに置いたままで、前記稀釈容器より前記反応容器に分注することを特徴とする自動分析装置の稼動方法。
【請求項8】
請求項5〜7の何れかに記載された自動分析装置の稼動方法において、
前記稀釈容器の使用期間或いは使用回数をカウントするカウント手段と、前記稀釈容器を廃棄する稀釈容器廃棄位置と、前記稀釈容器を保管する稀釈容器保管位置を有し、
前記カウント手段のカウント値が所定値を超えたら前記搬送機構で前記稀釈容器を前記稀釈容器廃棄位置に搬送して廃棄し、代わりに前記搬送機構で前記稀釈容器を前記稀釈容器保管位置から搬送して補充することを特徴とする自動分析装置の稼動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−31204(P2009−31204A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197517(P2007−197517)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】