説明

自動分析装置

【課題】ランプハウスの光源ランプ交換時、過熱されたランプハウス内の冷却時間を短縮出来るランプハウス冷却法を提供すること。
【解決手段】試薬庫14の保冷に用いられている冷却液に三方弁26を設置し、その三方弁26からランプハウス194を経由する冷却液バイパス配管22eを接続させて水を媒体とするランプハウス雰囲気の冷却を行うランプハウス冷却方法。光源ランプ194cを交換する場合、制御部31は装置制御部33に三方弁26の切替を指示して試薬庫14のみを循環していた冷却液の流路をランプハウスを経由するように制御し、ランプハウス194内を冷却する。また、ランプハウス194から試薬庫14に流通する配管上に冷却器を設置し、ランプハウス194内で熱された冷却液を設定温度まで冷却することによって設定温度よりも高温の冷却液が試薬庫14に流れ込んで試薬庫内部の温度が上昇するのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や体液等の検体の成分を分析する自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の試料を自動的に分析する装置として、試薬が分注された反応容器に試料を加え、反応容器内の試薬と試料の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。このような分析装置では、光源と受光系とを備える測光機構を設け、光源が試料を収容した反応容器に光を照射後、受光系が受光した反応容器内の液体の通過光量をもとに試料の分析を行っている。
【0003】
ところで、分析装置の光源には、ハロゲンランプ(以下、光源ランプとする)が多く利用されている。また、温度を一定に保つため、光源ランプはある程度の熱容量を持ったランプハウス内に設置され、ファンを用いて調節することでランプハウス内およびランプを一定の温度にしている。光源ランプを交換する際、光源ランプの電源を切った直後はランプハウス内および光源ランプ自体が非常に熱くなっており触れることができないため、電源を切った後に放冷してから光源ランプの交換を行っている。
【0004】
このため、光源ランプの電源を切った後もファンの電源は落とさずにランプハウス内の冷却を行って、光源ランプ交換の時間を短縮する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、恒温槽を設置してこの恒温液をランプハウスの温度調節に用いる方法も提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−139685号公報
【特許文献2】実公平1−8992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された分析装置を含め従来のファンで冷却を行うランプハウスでは、空気の熱伝導率が低いため短時間でランプハウスを冷却しようとすると、ファンのパワーを高める必要があり、電力コストが上昇する。さらに、ランプハウス自体が、ある程度大きな熱容量を持った素材に覆われているため、熱伝導率の低い空気を利用した冷却での時間短縮は困難である。また、特許文献2に開示されたランプハウスの温度調節は、新たに恒温槽を光源の周囲に設置しなければならず、光源装置が大型化してしまう。それに加えて、冷却方法はファンを用いての冷却のため冷却効率は低い。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ランプハウスの冷却を効率的に行うことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、内部の中空領域を冷却液が環流する保冷容器によって該保冷容器内部に収納される試薬を保冷する試薬庫と、検体および前記試薬を含む液体試料を収容した反応容器に光を照射する発光部の光源ランプを収納し光源ランプ雰囲気の温度変化を抑制するランプハウスとを備え、前記光源ランプが発した光を前記反応容器内に収容された液体試料に照射して該液体試料を分析する分析装置において、前記試薬庫内を保冷する前記冷却液を冷却する冷却器および該冷却器と前記試薬庫との間を接続して前記冷却液を流通させる配管を有した冷却手段と、前記試薬庫から前記冷却器側に前記冷却液を流通させる配管上に第1三方弁を設けて、バイパス配管を形成し、該バイパス配管が前記ランプハウスを経由する冷却液バイパス手段と、前記光源ランプを交換する場合、装置制御部が前記第1三方弁を切り替えて前記冷却液を前記バイパス配管側に流して前記ランプハウス内の前記光源ランプ雰囲気を急冷する冷却液切替制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記バイパス配管は、前記ランプハウス内の前記光源ランプを直接覆う反射鏡の外周に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、反応槽の内部空間を恒温化する恒温液を調節する温度調節器と、前記温度調節器と前記反応槽との間を接続して前記恒温液を流通させる恒温液配管を有し、該恒温液配管上であって前記反応槽から前記温度調節器側に前記恒温液を流通させる配管の一部が前記ランプハウスを経由し、前記反応槽と前記ランプハウスとの間および前記ランプハウスと前記温度調節器との間にそれぞれ第2上流側三方弁および第2下流側三方弁を設け、該第2上流側三方弁と該第2下流側三方弁との間を直接接続するバイパス配管を設けた配管系と、前記光源ランプが点灯中である場合、前記第2上流側三方弁および前記第2下流側三方弁を制御して前記ランプハウス側および前記バイパス配管側への流量分配調整を行って前記ランプハウスの温度調節を行う恒温液切替制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、前記恒温液配管は、前記反射鏡外周に配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる自動分析装置は、上記の発明において、内部の中空領域を冷却液が環流する保冷容器によって該保冷容器内部に収納される試薬を保冷する試薬庫と、検体および前記試薬を含む液体試料を収容した反応容器を保持して内部空間を体温近傍に恒温化する反応槽と、前記液体試料を収容した前記反応容器に光を照射する発光部の光源ランプを収納し光源ランプ雰囲気の温度変化を抑制するランプハウスとを備え、前記光源ランプが発した光を前記反応容器内に収容された液体試料に照射して該液体試料を分析する分析装置において、前記試薬庫内を保冷する前記冷却液を冷却する冷却器および該冷却器と前記試薬庫との間を接続して前記冷却液を流通させる冷却液配管を有し、前記試薬庫から前記冷却器側への前記冷却配管上に第1上流側三方弁と第1下流側三方弁とを設けた冷却手段と、前記反応槽の内部空間を恒温化する恒温液を調節する温度調節器および該温度調節器と前記反応槽との間を接続して前記恒温液を流通させる恒温液配管を有し、該恒温液配管が前記反応槽の下流側で前記ランプハウスを経由し、該ランプハウスの上流側および下流側にそれぞれ第2上流側三方弁および第2下流側三方弁を設けて前記ランプハウスを経由する共通バイパス配管を形成し、該第2上流側三方弁と前記反応槽との間に第3上流側三方弁を設けるとともに前記第2下流側三方弁と前記温度調節器との間に第3下流側三方弁を設け、該第3上流側三方弁と該第3下流側三方弁との間を直接接続した恒温液バイパス配管を設け、前記反応槽および前記ランプハウスの温度調節を行う温度調節手段と、前記第1上流側三方弁と前記第3上流側三方弁との間および前記第1下流側三方弁と前記第3下流側三方弁との間をそれぞれ接続する連結配管と、前記光源ランプが点灯中である場合、前記連結配管の流通を止め、前記第2上流側三方弁および前記第2下流側三方弁を制御して前記共通バイパス配管側および前記恒温液バイパス配管側への流量分配調整を行って前記ランプハウスの温度調節を行い、前記光源ランプが交換される場合、前記第2上流側三方弁および前記第2下流側三方弁を制御して前記恒温液の全てを前記恒温液バイパス配管側に流通させるとともに、前記第1上流側三方弁、前記第1下流側三方弁、前記第3上流側三方弁、前記第3下流側三方弁を制御して前記冷却液を前記連結配管および前記共通バイパス配管に流通させて前記ランプハウス内の光源ランプ雰囲気を急冷させる切替制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる自動分析装置は、試薬庫の保冷に用いている冷却液を用いてランプハウスを冷却するため、水冷によってランプハウス内を冷却することが可能となり、ファンを用いてランプハウス内を冷却する方法に比して効率的にランプハウス内を冷却することができ、結果的にランプ交換時に要する時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態である光源装置および自動分析装置について説明する。なお、各実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分または相当する部分には同一の符号を付している。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態にかかる分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、分析装置1は、検体および試薬を反応容器21にそれぞれ分注し、分注した反応容器21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。
【0016】
測定機構2は、大別して検体移送部11、検体分注機構12、反応槽13、試薬庫14、読取部16、試薬分注機構17、攪拌部18、測光部19および洗浄部20を備える。また、制御機構3は、制御部31、入力部35、分析部36、記憶部37および出力部38を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0017】
検体移送部11は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック11bを備える。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体分注機構12によって、反応槽13上に配列して搬送される反応容器21に分注される。
【0018】
検体分注機構12は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム12aを備える。このアーム12aの先端部には、検体の吸引および吐出を行うプローブが取り付けられている。検体分注機構12は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構12は、上述した検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11aの中からプローブによって検体を吸引し、アーム12aを図中時計回りに旋回させ、反応容器21に検体を吐出して分注を行う。
【0019】
反応槽13は、反応容器21への検体や試薬の分注、反応容器21の攪拌、洗浄または測光を行うために反応容器21を所定の位置まで移送する。この反応槽13は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応槽13の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応槽13の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽とがそれぞれ設けられている。反応槽13内の温度は、サーミスタ13aから得られる温度情報によって温度管理を行う。
【0020】
試薬庫14は、反応容器21内に分注される試薬が収容された試薬容器15を複数収納できる。試薬庫14には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器15が着脱自在に収納される。試薬庫14は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫14の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器15を試薬分注機構17による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫14の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫14の下方には、保冷槽が設けられている。このため、試薬庫14内に試薬容器15が収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器15内に収容された試薬を一定の温度状態に保ち、試薬容器15内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。試薬庫14内の温度は、サーミスタ14aから得られる温度情報によって温度管理を行う。
【0021】
試薬容器15の側面部には、試薬容器15に収容された試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。
【0022】
試薬庫14の外周部には、この記録媒体を光学的に読み取る読取部16、冷却器14bが設けられている。読取部16は、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、読取部16は、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。冷却器14bは、試薬庫の保冷に用いる冷却液の冷却を行う。
【0023】
試薬分注機構17は、検体分注機構12と同様に、検体の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム17aを備える。アーム17aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注機構17は、試薬庫14上の所定位置に移動された試薬容器15内の試薬をプローブによって吸引し、アーム17aを図中時計回りに旋回させ、反応槽13上の所定位置に搬送された反応容器21に分注する。攪拌部18は、反応容器21に分注された検体と試薬との攪拌を行い、反応を促進させる。
【0024】
測光部19は、発光部191と、受光部192とを備え、所定の測光位置に搬送された反応容器21内の試料を透過した光を受光して強度測定を行う。この測光部19による測定結果は、制御部31に出力され、分析部36において分析される。
【0025】
発光部191は、ファン193とランプハウス194とで構成されている。ランプハウス194は、断熱材で覆われた外側ボックス194aと、内壁がアルミニウム等の反射鏡から成るある程度の熱容量を持つ内側ボックス194bとを備え、光源ランプ194cを保持している。また、ファン193の出力の強弱をファン制御部34が調節することでランプハウス194内の雰囲気を一定に保っている。
【0026】
洗浄部20は、図示しないノズルによって、測光部19による測定が終了した反応容器21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行う。この洗浄した反応容器21は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器21を廃棄してもよい。
【0027】
つぎに、制御機構3について説明する。制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。また、制御部31は、温度制御部32、装置制御部33、ファン制御部34を有する。温度制御部32は、反応槽13、試薬庫14、測光部19のランプハウス194内の温度情報の入出力制御を行う。装置制御部33は、ランプハウス194内を冷却する場合、三方弁26の弁の開閉制御を行う。ファン制御部34は、光源ランプ点灯中、ランプハウス194内を冷却し温度を一定に保つ場合にファン193の出力制御を行う。
【0028】
入力部35は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部36は、測光部19から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。記憶部37は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部37は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。出力部38は、プリンタ、通信機構等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。
【0029】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器21に対して、検体分注機構12が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注機構17が試薬容器15中の試薬を分注した後、測光部19が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部36が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部20が測光部19による測定が終了した後に搬送される反応容器21を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0030】
つぎに、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態1について、図2を参照して詳細に説明する。図2は、試薬庫およびランプハウスを主とした温度制御に関するブロック図である。
【0031】
図2に示すように、通常分析時、ランプハウス194の内側ボックス194bの温度は、サーミスタ194hの温度情報を温度制御部32から受け取った制御部31によって制御されており、その制御と連動してファン制御部34がファン193の出力を調節し、風量を加減しながら内側ボックス194b内の温度を一定に保っている。
【0032】
また、試薬庫14は庫内の保冷に冷却液配管22内を図示しないポンプによって送られる冷却液を庫内に流通させて保冷している。冷却液配管22上には三方弁26a、26bが設けられており、その三方弁26a、26bから冷却液配管22cおよび冷却液バイパス配管22eがそれぞれ接続されている。冷却液の流通経路は、冷却液配管22aから試薬庫14内を通過し冷却液配管22bを通った後、三方弁26aによって冷却液配管22c側に送られる。その後、三方弁26bによって冷却液配管22dに送られて冷却器14bに入り、冷却液が設定温度まで冷却され冷却液配管22aを再度流通する。通常分析時においては、上述した流通経路によって冷却液が試薬庫14内の冷却を行う。
【0033】
ここで、制御部31がランプ交換の指示を受けた場合、制御部31は装置制御部33に三方弁26a、26bの切り替えを指示し、冷却液の流通経路を変更する。切り替え後の流通経路は、22aから試薬庫14内を通過し冷却液配管22bを通り、三方弁26aで冷却液バイパス配管22e側に流路を切り替えられてランプハウス194の内側ボックス194b外周を流通する経路となる。内側ボックス194bを通過した冷却液は三方弁26bによって冷却液配管22dに送られ、冷却器14bに入り設定の温度に冷却された後、冷却液配管22aを再度流通する。
【0034】
ここで、サーミスタ194hで測定された内側ボックス194b内の温度が光源ランプ194cの交換が可能な温度になった場合、温度制御部32は制御部31にランプ交換可能温度到達の旨を出力し、制御部31は出力部38にランプ交換可能の表示をするよう報知する。
【0035】
ランプハウス194は、図3−1に示す模式的な断面図で示すような構造をとる。すなわち、ランプハウス194は、断熱材で覆われ熱を発散しにくくしている外側ボックス194aと、外側ボックス194aの内側に光源ランプ194cを覆う面が反射鏡で形成され、光エネルギーが熱エネルギーに変化するのを抑えている内側ボックス194bとの二重構造からなり、光源ランプ雰囲気の熱を保っている。光源ランプ194cから出射された光はレンズ194dに集められ、外部へと放出される。また、サーミスタ194hが測定した温度情報をもとに温度制御部32が温度制御を行い、制御部31は、温度制御部32の情報をもとにファン制御部34に指示を出しファン193の出力の強弱を調節することで光源ランプ雰囲気を一定に制御し、出射される光量を一定に保っている。
【0036】
また、図3−2はランプハウス194の光出射の後方からみた斜視図である。外側ボックス194aの中に内側ボックス194bが収容され、光源ランプ194cのリード線194fが外部に接続される。
【0037】
ここで、冷却液バイパス配管22eは、図3−3に示すように、ランプハウス194の内側ボックス194bの外周に設置される。冷却液バイパス配管22eは、コイル状に内側ボックス194b外周を回るように設置される。なお、冷却の時間を短縮するためには、接地面積を大きくするほど、一層効率の良い冷却が可能となる。
【0038】
次に、図4に示したフローチャートを参照して、ランプ交換処理手順について説明する。まず、制御部31は、ランプ交換指示があったか否かを判断する(ステップS102)。制御部31にランプ交換指示があった場合(ステップS102:Yes)、制御部31はランプの電源を切り(ステップS104)、装置制御部33に三方弁26の切り替えを指示する(ステップS106)。三方弁26を切り替え、冷却液がランプハウス194側を通過するようになり、ランプハウス194内が冷却されて設定温度以下になった場合(ステップS108:Yes)、制御部31は出力部38に交換可能の旨を表示するよう報知する(ステップS110)。
【0039】
ステップS108において、設定温度より高温であった場合(ステップS108:No)、温度の確認を繰り返して設定温度以下になるまでステップS108を繰り返す。
【0040】
光源ランプ194cの交換が終了し、制御部31に終了指示が出た場合(ステップS112:Yes)、制御部31は装置制御部33に三方弁26の切り替え指示を出す(ステップS114)。三方弁26切り替え処理後、制御部31は、出力部38にランプ電源オン可能の旨を報知し、表示させる(ステップS116)。この上述した一連の流れで光源ランプ194cの交換を実施する。
【0041】
ここで、従来の分析装置においては、光源ランプ194cを交換する場合、光源ランプ194cおよびファン193の電源を切断し放冷することによってランプハウス194内を冷却する方法、若しくはファン193の電源は切断せずにファン193の送風によってランプハウス194内を冷却する方法を用いている。この場合、ランプハウス194周辺を冷却する媒体は空気であり、空気の熱伝導率は低いため、ランプハウス194周辺を冷却するには効率が良くない。また、ファン193の出力を上げても熱伝導の媒体が空気であると大きな冷却効果が期待できないうえ、電力コストも上昇してしまう。さらに、ランプハウス194に恒温槽を設置してランプ点灯中の恒温化を行う方法も提案されているが、ランプ交換までは実施されていない。
【0042】
これに対して、実施の形態1にかかる分析装置1においては、ランプハウス194内の内側ボックス194bに直接配管を配置し、空気に比して熱伝導率の高い水によって冷却し、しかも常に循環させているため、冷却効率が高く、短時間でランプ交換を行うことができる。
【0043】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、光源ランプ194cが点灯している場合、ファン193を用いてランプハウス内の冷却を行っていたが、本実施の形態2では、ランプハウス194内の冷却を、反応槽13を保温している恒温液が行うようにしている。
【0044】
図5は、この発明の実施の形態2である自動分析装置のランプハウスを中心とした温度制御系を示す模式的なブロック図である。図5に示すように、反応槽13には恒温液配管23が延長して設置されており、通常の分析時、温度調節器13bで設定温度に調節された恒温液は恒温液配管23aを通り反応槽を循環した後、恒温液配管23bを通過して内側ボックス194bを経由し、その後恒温液配管23cを通過して温度調節器13bへ戻る。恒温液は図示しないポンプによって図中の矢印方向に流れており、内側ボックス194bによって熱を吸収した恒温液は温度調節器13bに送られ、設定温度に調節された恒温液が反応槽内を再び循環する。また、試薬庫14は実施の形態1と同様にランプ交換処理時以外はランプハウス194内を循環せずに冷却液は冷却液配管22cを通り試薬庫14の保冷を行う。
【0045】
ここで、恒温液配管23には反応槽13とランプハウス194との間に三方弁26c、ランプハウス194と温度調節器13bとの間に三方弁26dが設置され、三方弁26cと三方弁26dとが恒温液バイパス配管23dで接続されている。温度制御部32は、内側ボックス194b内の温度情報をサーミスタ194hから取得し、制御部31に出力する。制御部31は、この温度情報が内側ボックス194b内の設定温度よりも低い場合、装置制御部33に三方弁26c、26dの切替処理を指示する。切替処理後、恒温液は恒温液バイパス配管23dを流れてランプハウス194を経由しない循環となり、内側ボックス194b内は冷却されなくなる。この切替処理を繰り返し行うことによって内側ボックス194b内の温度を調節する。また、図6に示すように、ランプハウス194の内側ボックス194bの外周に配置することで効率的に冷却することが出来る。
【0046】
ランプ交換の指示があった場合、実施の形態1と同様、図4のフローチャートの処理が行われ、ステップS106、S114において装置制御部33は三方弁26a、26bと同時に反応槽13側の三方弁26c、26dの切替を行う。ここで、ステップS106で内側ボックス194b内の温度調節のために恒温液が恒温液配管23bを循環していない場合、三方弁26c、26dの切替は行わない。また、反応槽13の恒温液の流路をランプハウス194経由にし、恒温液および冷却液の両方を用いてランプハウス194の冷却を行っても良い。
【0047】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。上述した実施の形態2では、冷却液配管22、恒温液配管23が独立して設けられていたが、この実施の形態3では冷却液配管22と恒温液配管23とがひとつの水路として繋がった構成としている。
【0048】
図7は、この発明の実施の形態3である自動分析装置のランプハウスを中心とした温度制御系を示す模式的なブロック図である。図7に示すように、図5中におけるランプハウス194を経由する恒温液配管23b上の三方弁26cとランプハウス194との間に三方弁26e、ランプハウス194と三方弁26dとの間に三方弁26fが設置され、三方弁26eと三方弁26fとの間にランプハウス194を経由する共通バイパス配管24が接続されている。また、試薬庫14側では冷却液バイパス配管22eが三方弁26eと接続され、三方弁26bと三方弁26fを接続する冷却液バイパス配管22fが設置されている。
【0049】
通常の分析において、冷却液は冷却液配管22cを流通して試薬庫14の保冷のみを行っている。また、恒温液は共通バイパス配管24を流通して内側ボックス194bの温度を一定に保っており、内側ボックス194b内の温度が設定温度よりも下がった場合は、制御部31の指示によって装置制御部33が三方弁26c、26dを切り替えて恒温液バイパス配管23dに恒温液を流し、ランプハウス194内に恒温液が流れないように制御する。実施の形態2と同様、装置制御部33が三方弁26c、26dの切替を適宜行うことで内側ボックス194b内の温度を一定に調節する。
【0050】
制御部31がランプ交換の指示を受けた場合、交換処理は図4のフローチャートと同様の処理を行う。弁切替処理(ステップS106)において、制御部31は装置制御部33に先ず三方弁26c、26dの切り替えを指示し、恒温液がランプハウス194内に流れないように制御する。このとき、温度制御によって恒温液が恒温液バイパス配管23dを流通している場合は、三方弁26c、26dの切り替えは行わない。その後、装置制御部33は三方弁26eおよび26f、三方弁26aおよび26bを切り替えて冷却液をランプハウス194内に流通させ、ランプハウス194内の冷却を行う。
【0051】
温度制御部32から内側ボックス194b内の温度が設定温度以下になったことを受けた制御部31は、出力部38に交換可能を表示する旨を報知する。その後、制御部31に交換終了指示が出ると、装置制御部33は弁切替処理(ステップS114)を行う。
【0052】
装置制御部33は先ず、三方弁26a、26bを切り替えて冷却液が冷却液配管22cを流通する経路に制御し、その後三方弁26e、26fおよび26c、26dを切り替えて恒温液が内側ボックス194b内を流通するように制御する。三方弁切替処理終了後、制御部31は、出力部38にランプ電源オン可能の旨を表示させる。
【0053】
ここで、内側ボックス194bと共通バイパス配管24の配置例は、図3−3と同様、コイル状に配置することで内側ボックス194bとの接地面積が大きくなるため効率的な冷却が可能となる。
【0054】
なお、実施の形態1〜3の自動分析装置は、試薬庫14が1つの場合について説明したが、本発明の自動分析装置は、試薬庫が複数設けられ、2以上の試薬を使用するものであってもよい。また、本発明の自動分析装置は、図1に示す構造を1ユニットとして2以上のユニットを有する構造であってもよい。また、内部に収容された収納物などの保冷のために冷却液を循環させた場合を例に説明したが、もちろん保冷する場合に限らず、内部に収納された収納物を所定温度に保持する場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1にかかる自動分析装置のランプハウスを中心とした温度制御系を模式的に示したブロック図である。
【図3−1】ランプハウスの断面を模式的に示した断面図である。
【図3−2】ランプハウスの光出射の後方からみた斜視図である。
【図3−3】ランプハウス、試薬庫および冷却液配管の設置関係を示す模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1にかかる自動分析装置のランプ交換処理手順を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2にかかる自動分析装置のランプハウスを中心とした温度制御系を模式的に示したブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態2にかかる自動分析装置のランプハウスを中心とした温度制御系を模式的に示したブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3にかかる自動分析装置のランプハウスを中心とした温度制御系を模式的に示したブロック図である。
【符号の説明】
【0056】
1 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
12 検体分注機構
12a,17a アーム
13 反応槽
14 試薬庫
15 試薬容器
16 読取部
17 試薬分注機構
18 攪拌部
19 測光部
191 発光部
192 受光部
193 ファン
194 ランプハウス
194a 外側ボックス
194b 内側ボックス
194c 光源ランプ
194d レンズ
194h サーミスタ
20 洗浄部
21 反応容器
22 冷却液配管
22e,22f 冷却液バイパス配管
23 恒温液配管
23d 恒温液バイパス配管
24 共通バイパス配管
26 三方弁
31 制御部
32 温度制御部
33 装置制御部
34 ファン制御部
35 入力部
36 分析部
37 記憶部
38 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の中空領域を冷却液が環流する保冷容器によって該保冷容器内部に収納される試薬を保冷する試薬庫と、検体および前記試薬を含む液体試料を収容した反応容器に光を照射する発光部の光源ランプを収納し光源ランプ雰囲気の温度変化を抑制するランプハウスとを備え、前記光源ランプが発した光を前記反応容器内に収容された液体試料に照射して該液体試料を分析する分析装置において、
前記試薬庫内を保冷する前記冷却液を冷却する冷却器および該冷却器と前記試薬庫との間を接続して前記冷却液を流通させる配管を有した冷却手段と、
前記試薬庫から前記冷却器側に前記冷却液を流通させる配管上に第1三方弁を設けて、バイパス配管を形成し、該バイパス配管が前記ランプハウスを経由する冷却液バイパス手段と、
前記光源ランプを交換する場合、装置制御部が前記第1三方弁を切り替えて前記冷却液を前記バイパス配管側に流して前記ランプハウス内の前記光源ランプ雰囲気を急冷する冷却液切替制御手段と、
を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記バイパス配管は、前記ランプハウス内の前記光源ランプを直接覆う反射鏡の外周に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
反応槽の内部空間を恒温化する恒温液を調節する温度調節器と、
前記温度調節器と前記反応槽との間を接続して前記恒温液を流通させる恒温液配管を有し、該恒温液配管上であって前記反応槽から前記温度調節器側に前記恒温液を流通させる配管の一部が前記ランプハウスを経由し、前記反応槽と前記ランプハウスとの間および前記ランプハウスと前記温度調節器との間にそれぞれ第2上流側三方弁および第2下流側三方弁を設け、該第2上流側三方弁と該第2下流側三方弁との間を直接接続するバイパス配管を設けた配管系と、
前記光源ランプが点灯中である場合、前記第2上流側三方弁および前記第2下流側三方弁を制御して前記ランプハウス側および前記バイパス配管側への流量分配調整を行って前記ランプハウスの温度調節を行う恒温液切替制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記恒温液配管は、前記反射鏡外周に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項5】
内部の中空領域を冷却液が環流する保冷容器によって該保冷容器内部に収納される試薬を保冷する試薬庫と、検体および前記試薬を含む液体試料を収容した反応容器を保持して内部空間を体温近傍に恒温化する反応槽と、前記液体試料を収容した前記反応容器に光を照射する発光部の光源ランプを収納し光源ランプ雰囲気の温度変化を抑制するランプハウスとを備え、前記光源ランプが発した光を前記反応容器内に収容された液体試料に照射して該液体試料を分析する分析装置において、
前記試薬庫内を保冷する前記冷却液を冷却する冷却器および該冷却器と前記試薬庫との間を接続して前記冷却液を流通させる冷却液配管を有し、前記試薬庫から前記冷却器側への前記冷却配管上に第1上流側三方弁と第1下流側三方弁とを設けた冷却手段と、
前記反応槽の内部空間を恒温化する恒温液を調節する温度調節器および該温度調節器と前記反応槽との間を接続して前記恒温液を流通させる恒温液配管を有し、該恒温液配管が前記反応槽の下流側で前記ランプハウスを経由し、該ランプハウスの上流側および下流側にそれぞれ第2上流側三方弁および第2下流側三方弁を設けて前記ランプハウスを経由する共通バイパス配管を形成し、該第2上流側三方弁と前記反応槽との間に第3上流側三方弁を設けるとともに前記第2下流側三方弁と前記温度調節器との間に第3下流側三方弁を設け、該第3上流側三方弁と該第3下流側三方弁との間を直接接続した恒温液バイパス配管を設け、前記反応槽および前記ランプハウスの温度調節を行う温度調節手段と、
前記第1上流側三方弁と前記第3上流側三方弁との間および前記第1下流側三方弁と前記第3下流側三方弁との間をそれぞれ接続する連結配管と、
前記光源ランプが点灯中である場合、前記連結配管の流通を止め、前記第2上流側三方弁および前記第2下流側三方弁を制御して前記共通バイパス配管側および前記恒温液バイパス配管側への流量分配調整を行って前記ランプハウスの温度調節を行い、前記光源ランプが交換される場合、前記第2上流側三方弁および前記第2下流側三方弁を制御して前記恒温液の全てを前記恒温液バイパス配管側に流通させるとともに、前記第1上流側三方弁、前記第1下流側三方弁、前記第3上流側三方弁、前記第3下流側三方弁を制御して前記冷却液を前記連結配管および前記共通バイパス配管に流通させて前記ランプハウス内の光源ランプ雰囲気を急冷させる切替制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−264908(P2009−264908A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114412(P2008−114412)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】