自動包装装置の縦シール装置
【課題】簡易かつ安価な構成でありながらも縦シールの位置を効率的に変更可能な自動包装装置の縦シール装置を提供する。
【解決手段】縦シールユニット300は、第1位置および第2位置でヒートシールする第1縦シール機構400と、前記第3位置でヒートシールする第2縦シール機構500と、を備える。第1縦シール機構400は、両端が回転可能に支承された第1回転軸部410と、第1回転軸部410に固定的に設けられ前記第1位置をヒートシールする第1シールロールと、第1回転軸部410にスライド可能に設けられ第2位置をヒートシールする第2シールロール430と、を備える。第2縦シール機構500は、第1回転軸部410とは異なる高さに設けられており、両端が回転可能に支承された第2回転軸部510と、第2回転軸部510にスライド移動可能に設けられ第3位置をヒートシールする第3シールロールと、を備える。
【解決手段】縦シールユニット300は、第1位置および第2位置でヒートシールする第1縦シール機構400と、前記第3位置でヒートシールする第2縦シール機構500と、を備える。第1縦シール機構400は、両端が回転可能に支承された第1回転軸部410と、第1回転軸部410に固定的に設けられ前記第1位置をヒートシールする第1シールロールと、第1回転軸部410にスライド可能に設けられ第2位置をヒートシールする第2シールロール430と、を備える。第2縦シール機構500は、第1回転軸部410とは異なる高さに設けられており、両端が回転可能に支承された第2回転軸部510と、第2回転軸部510にスライド移動可能に設けられ第3位置をヒートシールする第3シールロールと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動包装装置の縦シール装置に関する。
具体的には、包装袋の縦シール位置を動作中に変更できる自動包装装置の縦シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺の帯状フィルムをヒートシールすることにより連続的に袋状に包装する自動包装装置が知られている(例えば特許文献1:特開2008-7179号公報)。
図10は、従来の自動包装装置2の全体構成図である。
図10において、ケース21内に、長尺で帯状の包装フィルムFをロール状に巻回したフィルム原反3が交換可能に配置されている。ケース21の上部に包装フィルムFを上方へ取り出す案内装置4が配置されており、その下方にフィルム折り返し装置5が配置されている。さらに、その下方には、充填装置6、縦シール装置1、ノッチ形成装置7、横シール装置8、冷却ロール装置9およびカッター装置10が順に配置されている。
【0003】
自動包装装置2は、フィルム原反3から案内装置4を介して包装フィルムFを連続的に移送し、フィルム折り返し装置5によって包装フィルムFの両端を合わせて折り重ねる。そして、折り重ねた重ね合わせ部、および、折り畳み部、さらに必要であれば、それらの中間を、縦シール装置1でヒートシールする。
次いで、横シール装置8により包装フィルムFを横方向にシールして充填装置6から被充填物を充填する。
さらに、包装フィルムFを移送して、横シール装置8によって封じる。
これにより、四方シールや区分けシールした包装袋が形成される。
冷却ロール装置9により冷却した後、カッター装置10によって個々に切断し、個別の包装袋を連続的に得る。
【0004】
ここで、各種寸法の包装体に対応するために縦シールの位置を変更することが必要になる。そこで、例えば、図11に示される縦シール装置の構造がある。
図11では、一対の回転軸1aおよび回転軸1bが回転可能に設けられ、回転軸1a、1bの内部に棒状のヒーター2a、2bがそれぞれ内装されている。そして、一対の回転軸1a、1bのそれぞれには、縦シールロール3a、3bが回転軸1a、1bに沿って移動可能に配置されている。
縦シールロール3a、3bは、止めねじ4aによって所望の位置に固定されるようになっている。
この構成において、止めねじ4aを緩めることにより、縦シールロール3a、3bの位置を変更し包装体の縦シール位置を変えることができる。
【0005】
ここで、縦シールロール3a、3bの位置を変更するには止めねじ4aを緩めて再度締め付ける操作が必要となる。
しかし、使用時には止めねじ4aを初めとして縦シール装置がヒーター2a、2bによって加熱されて高温となっている。
そのため、熱膨張等の影響により止めねじ4aの操作性が悪く、作業に非常に時間がかかるという問題がある。
また、高温になっている縦シール装置に手を差し入れて止めねじ4aを緩めたり、縦シールロール3a、3bを掴んでその位置をずらしたりすることは極めて危険である。そこで、作業効率や作業者の安全性を考慮して一旦冷めるまで時間をおくことになるが、これでは実際に運転しながら縦シールロール3a、3bの位置を変更することができず、縦シール幅を変更するためには多大の時間を要することになる。
また、縦シールロール3a、3bの位置を正確に調整するにあたっては、実際にフィルムFをヒートシールしながらそのシール位置を微調整することが望ましいが、このような作業は困難であり、その都度冷めるまで時間をあけるとなると作業効率が極めて悪い。
【0006】
また、ロール同士の加圧調整を行う場合、回転軸1a、1bごと変位させることになる。
シール幅が広い場合には加圧力を強めにし、シール幅が狭い場合には加圧力を弱めにするなど、シールの幅によって加圧力を個別に調整することが必要であるが、上記構成のように全ての縦シールロール(3a、3b)が一つの回転軸に組みつけられていると、ロール対ごとに最適な加圧調整を行うことはできない。
【0007】
ここで、特許文献1(特開2008-7179号公報)には、縦シールロールの位置を効率的に変更できる縦シール装置が開示されている。
この構成を図12に示す。
図12は特許文献1に開示された縦シール装置の平面図であり、図12において、縦シール装置1は、基端縦シールロール11、中間縦シールロール12、先端縦シールロール13、を有する。
基端縦シールロール11は、折り畳んだ包装フィルムの折り合わせ部をシールする位置に配置されている。
【0008】
基端縦シールロール11について説明する。
図12において、固定板22はケース体21に固着された固定部材である。
固定板22には基板23が直角に取り付けられている。
そして、基板23には、互いに所定の間隔を有し、且つ、少なくとも一方が前後方向に移動可能とした状態で基端固着具111、111が前後方向に配置されている。
これら基端固着具111、111により一対の基端回転軸112、112が軸支されており、これらの基端回転軸112、112には包装フィルムFを挟んでシールするための一対の基端ロール部113、113が設けられている。
【0009】
次に、先端縦シールロール13は、包装フィルムFの折り畳み側の端縁部を縦シールするために使用されるものである。
基板23には、横方向に長さを有する支持部材131が設けられており、支持部材131には管状の先端スライド部材132がスライド可能に外嵌している。
先端スライド部材には板状の先端保持部材133が固定的に設けられており、この先端保持部材133に先端固着具134、134が前後方向に配置されている。これら先端固着具134、134により一対の先端回転軸135、135が軸支されている。先端回転軸135、135には包装フィルムFを挟んでシールするための一対の先端ロール部136、136が設けられている。
ここで、先端保持部材133には、基板23を貫通して螺挿された先端調節ねじ141が連結されている。
この先端調節ねじ141を回転させることにより、先端保持部材133を先端支持部材131に沿ってスライドさせ、先端ロール部136、136の横方向位置を調節することができる。
【0010】
次に、基端縦シール11と先端縦シールロール13との間に配置された中間縦シールロール12について説明する。
基板23の前後方向の端部において、一対の基板からなる支持部材121、122がそれぞれ設けられている。
支持部材121、122には、コ字形の保持部材125、125がそれぞれスライド溝により横方向にスライド可能に配置されている。
そして、保持部材125、125のそれぞれの先端において中間回転軸124、124が軸支され、中間回転軸124、124には中間ロール部123、123が設けられている。
【0011】
ここで、二つの中間保持部材125、125は、組み付けブラケット126により一体に連結されており、中間保持部材125、125は一体的に横方向にスライドして移動する。
また、中間回転軸124、124は中空に形成されており、基端縦シールロール11を構成する基端ロール部113、113の軸心から突出した駆動軸128、128が中間回転軸124、124に嵌挿されている。
【0012】
また、回転軸112、112、135、135は中空に形成され、ヒーターが各ロール部113、113、136、136、123、123の内側部分に位置するように挿入配置されている。
この構成において、モータ115、137の動力を歯車列で伝達し、回転軸114、114、135、135を回転させ、回転軸114、114、135、135とともにロール部113、113、123、123、136、136を回転させる。
なお、駆動軸128、128と中間ロール部123、123とはキーとキー溝との関係で係合されており、この係合によって動力が伝達されるようになっている。
【0013】
この構造では、ロール部136、136、123、123はスライド移動可能な保持部材133、125、125で支えられている。
すなわち、ロール部136、136、123、123の位置は保持部材133、125、125のスライド移動によって変更可能となっている。
【0014】
ここで、先端ロール部136、136および基端ロール部113、113は、モータ115、137で直接回転駆動される一方、中間ロール部123、123には中間駆動軸128、128を介して動力伝達されるようになっている。
このとき、中間駆動軸128、128と中間ロール部123、123とはキーとキー溝との関係で係合しており、中間駆動軸128、128と中間ロール部123、123とはネジ等で固着されていない。
すなわち、中間ロール部123、123は中間保持部材125、125によって支えられており、加熱される駆動軸128、128に対して螺子等で直接に組みつけられているわけではない。
したがって、駆動軸128、128を介してヒーターで中間ロール部123、123を加熱している最中であっても、中間保持部材125、125とともに中間ロール部123、123をスライド移動させることができる。
同様に、先端保持部材133とともに先端ロール部136、136をスライド移動させることができる。
このとき、先端保持部材133とともにヒーターを内装した先端回転軸135、135も一緒に移動するようになっているので、加熱中であっても先端ロール部136、136を移動させることに何の支障もない。
また、基端ロール部113、113、先端ロール部136、136は同軸上に配設されてはいるが同一の回転軸に組みつけられているわけではなく、基端ロール部113、113の対、先端ロール部136、136の対、はそれぞれ独立している。したがって、ロール対ごとの加圧調整もそれぞれ独立に可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008-7179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
確かに上記構成であれば、ヒーターでロール部123、123、136、136を加熱している最中であっても、保持部材125、125、133とともにロール部123、123、136、136をスライドさせてその位置を調整することが可能となる。
しかしながら、上記構成においては、保持部材125、125、133を支持部材121、122、131によって片持ち梁状に支えているという構造的欠点がある。
支持部材121、122、131は、基板23によって片側支持されているだけであるので、保持部材125、125、131を保持する荷重側端部から掛かるモーメントは相当の大きさになる。
【0017】
さらに、ロール部123、123、136、136同士を加圧接触させなければならないことを考えると、基板23、中間支持部材121、122、先端支持部材131は相当の剛性を確保しなければならなくなる。
上記構造に耐えうる剛性を確保するために基板23、中間支持部材121、122、先端支持部材131をかなり太い部材で構成するとなると、全体の重量が増してくるので、ケース体21など他の部材全ての強度を増さなければならない。
したがって、大型化、重量化、高コストにつながる上記構成は現実的には採用することがかなり難しい。
そこで、簡易かつ安価な構成でありながらもロール部の位置を効率的に変更可能な自動包装装置の縦シール装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の自動包装装置の縦シール装置は、
上方から下方に移送される帯状フィルムに対し横方向に互いの位置が異なる第1位置、第2位置および第3位置で縦ヒートシールし、前記第2位置および前記第3位置の変更を可能とすることにより包装袋の縦シール位置を動作中に変更できる自動包装装置の縦シール装置であって、
前記縦シール装置は、
前記第1位置および第2位置をヒートシールする第1縦シール機構と、
前記第1縦シール機構とは異なる高さに設けられ、前記第3位置でヒートシールする第2縦シール機構と、を備え、
前記第1縦シール機構は、
両端が回転可能に支承された第1回転軸部と、
前記第1回転軸部に固定的に設けられ前記第1位置をヒートシールする第1シールロールと、
前記第1回転軸部にスライド可能に設けられ前記第2位置をヒートシールする第2シールロールと、を備え、
前記第2縦シール機構は、
前記第1回転軸部とは異なる位置に設けられ両端が回転可能に支承された第2回転軸部と、
前記第2回転軸部にスライド移動可能に設けられ、前記第3位置をヒートシールする第3シールロールと、を備える
ことを特徴とする。
【0019】
このような構成において、横方向に互いの位置が異なる第1位置、第2位置および第3位置の位置で帯状フィルムに対し縦ヒートシールを行うことができる。
すなわち、第1シールロールによって第1位置を縦ヒートシールし、第2シールロールによって第2位置を縦ヒートシールし、第3シールロールによって第3位置を縦ヒートシールすることができる。そして、第2シールロールと第3シールロールとはスライド移動可能であるので、幅が異なる包装袋の製造に対応することができる。
【0020】
ここで、本発明では、第2シールロールは第1回転軸部に設け、第3シールロールは第2回転軸部に設けている。そして、第1回転軸部および第2回転軸部はともに両端が回転可能に支持されているものである。
本発明では、第2シールロールと第3シールロールとをスライド移動可能にし、かつ、独立にシール圧力を調整できるようにするために、第2シールロールと第3シールロールとは別々の回転軸部に設けることとした。これにより、各回転軸部は両端支持にできるので各回転軸部を安定に支持することができる。また、回転軸部を両端で軸支するので、個々の軸支部に必要とされる剛性を抑制することができ、軸支の安定を保ちつつ、全体の重量およびコストを低減することができる。
【0021】
本発明では、第1回転軸部と第2回転軸部とを異なる高さとし、縦シール装置を二段構成としている。
従来技術に比べて一段増えることになるので、装置の高さが高くなり、その分のケース体の剛性は必要になる。
しかし、従来技術のようにヒートシールロールを片持ち梁状に支えるとなると、梁にはかなりのモーメントがかかり、回転軸を安定に支えることは難しい。
仮に、回転軸を片持ち梁で支えるとなると、部材の剛性を相当高くしなければならず、重量、コストの大幅増加が避けられない。
この点、本発明では、段数は増えるものの、第1回転軸部と第2回転軸部とは両端支持にできるので、各回転軸部を安定に支えることは容易である。
そして、一段分の高さ増分はケース体全体の背面やリブの強化で十分に対応できるので現実的であり、少なくとも複数のヒートシールロールを片持ち梁で支えることに比べれば重量増分やコスト増分は十分に抑制できる。
このように本発明の構成は、スライド移動可能な複数のヒートシールロールを安定的に支持でき、かつ、重量、コストの増分を十分に抑制できるという効果を奏する。
【0022】
本発明では、
前記第2回転軸部は、内軸部と、前記内軸部に対してスライド可能に外嵌するとともにフランジを有する外筒部と、を備え、前記第3シールロールは、前記外筒部に固定的に設けられており、
前記縦シール装置は、さらに、前記外筒部を軸線に沿って平行にスライドさせるスライド操作部を備え、
前記スライド操作部は、
前記フランジを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対の先端に回転可能に軸支された転動体と、
前記外筒部のスライド方向と平行にスライド可能に設けられたスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記外筒部とともに前記第3シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記外筒部および第3シールロールの回転を許容しながら前記外筒部および第3シールロールの横方向位置を固定する
ことが好ましい。
【0023】
このような構成において、外筒部をスライドさせることにより第3シールロールをスライド移動させることができる。
このとき、スライド体をスライドさせる。
すると、スライド体に取り付けられた挟持腕対が外筒部のフランジを進退させるので、外筒部とともに第3シールロールがスライド変位する。
自動包装装置が稼働しているときには内軸部、外筒部および第3シールロールはかなり高温になっているので直接に手や工具で外筒部や第3シールロールを掴んで動かすことは大変危険であるが、この点、本発明の構成によれば、スライド体をスライドさせればよいので安全であって操作性がよい。
また、高温状態の外筒部および第3シールロールをスライド移動可能とするためには、止めネジなどによる固定手段は採用できず、稼働中に第3シールロールの位置を固定するための手段が必要になる。この点、本発明の構成では、回転中の外筒部のフランジを挟持腕対で挟んでおくことにより外筒部および第3シールロールの位置決めをすることができる。
【0024】
また、外筒部のフランジを挟持腕対で挟むようにしているところ、外筒部のフランジは第3シールロールとは異なる位置に設けることが可能であり、スライド操作部を設ける位置を第3シールロールとは異なる位置、例えば、第2回転軸部の端部の方に設けることも可能である。したがって、設計の自由度を高くすることができる。
例えば、第2シールロールと第3シールロールとをスライド可能にしているところ、第2シールロールのスライド操作部と第3シールロールのスライド操作部を近接した位置に設けることはできないが、第2シールロールのスライド操作部は第2シールロールの直上に配設し、第3シールロールのスライド操作部は第2回転軸部の端部に配設するようにすれば、二つのスライド操作部を適切に配置することが可能になる。
【0025】
また、本発明では、挟持腕対の先端に転動体を有しているので、第2回転軸部の回転動作を阻害することなく外筒部のフランジを挟持することができる。
このように、回転動作中の外筒部のフランジを挟持腕対で挟持することにより稼働中の外筒部および第3シールロールの位置決めができ、さらに、回転動作中であっても回転を止めることなく外筒部ととともに第3シールロールをスライド移動させることができる。
【0026】
本発明では、
前記第2シールロールをスライド移動させる可動案内手段を備え、
前記可動案内手段は、
先端に転動体を回転可能に軸支しているとともに前記2シールロールを挟持してこの第2シールロールを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対が取り付けられるスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記第2シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記第2シールロールの回転を許容しながら前記第2シールロールの横方向位置を固定する
ことが好ましい。
【0027】
このような構成において、スライド体をスライドさせる。すると、スライド体に取り付けられた挟持腕対が第2シールロールをスライド移動させる。
そして、挟持腕対の先端に転動体を有しているので、挟持腕対は、第2シールロールの回転動作を阻害することなく第2シールロールを挟持することができる。
したがって、回転動作中の第2シールロールを挟持腕対で挟持することにより稼働中の第2シールロールの位置決めができ、さらに、回転動作中であっても回転を止めることなく第2シールロールをスライド移動させることができる。
【0028】
本発明では、
前記挟持腕対の挟持腕はU字形状であって、前記外筒部または前記第1回転軸部を避けつつ前記挟持腕対の先端に軸支された前記転動体が前記フランジまたは前記第2シールロールの直径相当位置に当接する
ことが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、外筒部または第2シールロールに偏った力を掛けることがない。
したがって、外筒部または第2シールロールを安定的に位置決めでき、また、スムースに外筒部または第2シールロールを移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】自動包装装置の全体正面図。
【図2】縦シールユニットの正面拡大図。
【図3】縦シールユニットの右側面図。
【図4】下段縦シール機構の上面図。
【図5】下段縦シール機構の分解斜視図。
【図6】スライド操作部の分解斜視図。
【図7】スライド操作部の正面図。
【図8】スライド操作部の右側面図。
【図9】スライド操作部の上面図。
【図10】従来の自動包装装置の全体構成図。
【図11】従来の縦シール装置の構造を示す図。
【図12】従来の縦シール装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の自動包装装置に係る第1実施形態について説明する。
図1は、自動包装装置200の全体正面図である。
本実施形態の自動包装装置200は、いわゆる縦型包装装置であり、帯状フィルムFを上から下へ送り移送しながら、順番に縦シール、横シール、内容物充填、カットを行っていくものである。
自動包装装置200は、ケース体201と、原反フィルム保持手段202と、フィルム案内手段204と、フィルム折返し手段206と、充填ノズル(充填手段)207と、縦シールユニット(縦シール装置)300と、ノッチ形成部208と、横シールユニット209と、カッター装置210と、を、備えている。
【0032】
原反フィルム保持手段202はケース体201の側方に配設されており、原反フィルム保持軸203によって原反フィルムロールFRを回動可能に保持する。原反フィルム保持軸203にはフィルム送り出し方向とは逆回転方向にテンションが掛けられ、フィルムFに一定のテンションを掛けながら送り出すようになっている。
【0033】
フィルム案内手段204は、原反フィルムロールFRから引き出されたフィルムFを案内ローラ205によって順次案内し、ケース体201の上方まで引き上げる。そして、フィルムFは、フィルム折り返し手段206によって両端合わせるように折り合わされる。折り合わされたフィルムFは縦シールユニット300および横シールユニット209によって表裏から加圧挟持された状態で下方に送り出される。
このとき同時に、フィルムFには、縦シールユニット300および横シールユニット209によって所定位置に縦ヒートシールおよび横ヒートシールが施される。
【0034】
充填ノズル207は、折り合わされたフィルムFの間に挿入されるように配設されている。フィルムFの縦と横がシールされてフィルムFが筒状になったときに、充填ノズル207から所定量の材料が送出される。
【0035】
次に、縦シールユニット300について説明する。
本実施形態において、フィルムFに縦シールを施す縦シール機構が高さを違えて二段構成になっている。
すなわち、縦シールユニット300は、上段縦シール機構(第1縦シール機構)400と、上段縦シール機構400の下方に配置された下段縦シール機構(第2縦シール機構)500と、を備える。
【0036】
図2は、縦シールユニット300の正面拡大図である。
また、図3は、縦シールユニット300の右側面図である。
まず、上段縦シール機構400について説明する。
図2に示されるように、上段縦シール機構400は、上段回転軸部(第1回転軸部)410と、基端シールロール(第1シールロール)420と、先端シールロール(第2シールロール)430と、可動案内手段440と、を備える。
【0037】
ここで、図3の側面図に示すように、上段縦シール機構400は、フィルムFを表裏から挟んでヒートシールするために手前側と奥側とで一対のシール機構となっているものである。
手前側と奥側とでは基本的に同じ構成である。
なお、図3において、向かって左を手前側(前側)とし、向かって右側を奥側(後側)とする。
【0038】
上段回転軸部410は、図2に示されるように、横方向に架け渡され、その左右両端が支持基部601、601によって回転可能に軸支されている。
ここで、支持基部601、601は、フィルムFを間にして対向するように一対配設されている。
この一対の支持基部601、601によって上段回転軸部410はその両端を安定に支持されている。
なお、支持基部601、601は、ケース体201に対して具設されているものである。
【0039】
上段回転軸部410は、支持基部601、601に軸支された状態でそれぞれ前後方向にスライド変位可能であり、奥側と手前側とで互いの間隔を調整できるようになっている。
ここで、右端の支持基部601と左端の支持基部601とはそれぞれ独立に前後方向にスライド変位可能であり、右端の支持基部601と左端の支持基部601との前後位置を微調整することで、基端シールロール420と先端シールロール430とは別個にシール圧を調整することが可能である。
【0040】
上段回転軸部410の表面には、軸方向に沿った筋状の凸条キー411が設けられている。
【0041】
基端シールロール420は、上段回転軸部410の左寄りにおいて上段回転軸部410に固定的に設けられている。すなわち、基端シールロール420には上段回転軸部410と実質的に同径の中心孔が設けられており、この中心孔に上段回転軸部410が嵌入されている。
【0042】
先端シールロール430は、上段回転軸部410の右寄りにおいて上段回転軸部410にスライド可能に設けられている。
先端シールロール430の中心孔は、上段回転軸部410の径よりもわずかに広く、先端シールロール430が上段回転軸部410に沿ってスライド可能になっている。
また、先端シールロール430の中心孔には前記凸条キー411に係合するキー溝が設けられており、凸条キー411とキー溝との係合によって先端シールロール430と上段回転軸部410とは一体的に回転するようになっている。
【0043】
可動案内手段440は、先端シールロール430を上段回転軸部410に沿って移動させるとともに先端シールロール430を転支する。
可動案内手段440は、挟持腕対450と、スライダ460と、直線案内機構470と、駆動手段480と、を備える。
【0044】
挟持腕対450は、先端シールロール430の左右の側面を挟持するための二つの挟持腕451、451を有する。
図3の側面図に示されるように側方からみると、挟持腕451は、上段回転軸部410を避けながら先端シールロール430の直径部に当接するようにU字形状に形成されている。そして、挟持腕451のU字の先端には転動体452が軸支されており、回転する先端シールロール430を転支するようになっている。
挟持腕対450は、上方から垂下するように設けられている。
【0045】
スライダ460は、下板461と、上板462と、連結部463と、を備える(図3参照)。
下板461の下面に、挟持腕451の上端面が取り付けられている。
このとき挟持腕対450は手前側と奥側とで二対あり、すなわち、挟持腕451は全部で4つあるところ、一つの下板461に4つの挟持腕451がまとめて取り付けられている。
【0046】
上板462は、ケース体201に対して固定的に設けられたベース体602の上方に配置されている。
上板462とベース体602との間にはLMガイド(直線案内機構:Linear Motion Guide)470が設けられている。すなわち、ベース体602の上面にLMレール471が取り付け固定され、上板462の下面にLMブロック472が取り付けられ、上板462がベース体602に対してスライド可能になっている。ここで、LMガイド470の案内方向は上段回転軸部410の軸方向と平行である。
【0047】
上板462と下板461とは連結部463によって連結されている。ベース体602にはガイド溝603が穿設され、連結部463は前記ガイド溝603を貫通した状態で上板462と下板461とを繋いでおり、スライダ460は一体的に上段回転軸部410に平行にスライド移動可能である。
【0048】
駆動手段480は、ネジ軸481と、ネジ軸481を回転駆動させるモータ482と、前記スライダ460の上板462に固設されたナット483と、を備える。ネジ軸481が上段回転軸部410と平行に配設され、ナット483がネジ軸481に螺合している。
【0049】
なお、特に詳細に説明しないが、モータ491の出力軸がカップリング492を介して奥側の上段回転軸部410に連結されている。そして、奥側の上段回転軸部410と手前側の上段回転軸部410とはヘリカルギア412によって歯合しており、奥側の上段回転軸部410の回転に同期して手前側の上段回転軸部410が回転するようになっている。
また、上段回転軸部410にはヒーター413が挿設されている。
【0050】
次に、下段縦シール機構(第2縦シール機構)500について説明する。
下段縦シール機構500は、下段回転軸部(第2回転軸部)510と、中間シールロール(第3シールロール)540と、スライド操作部550と、を備える。
【0051】
ここで、下段縦シール機構500は、図3の側面図および図4の上面図に示すように、フィルムFを表裏から挟んでシールするために手前側と奥側とで一対のシール機構となっている。
手前側と奥側とでは基本的に同じ構成である。
【0052】
ここで、図4は、下段縦シール機構500の上面図である。
図5は、下段縦シール機構500の分解斜視図である。
【0053】
下段回転軸部510は、上段回転軸部410の下方において上段回転軸部410と同様に横方向に架け渡され、その左右両端が支持基部604によって回転可能に軸支されている。
下段回転軸部510は、内軸部520と、外筒部530と、を備える。
左側の支持基部604に支持された内軸部520は、途中で一段縮径し、右に延びる。
内軸部520の外表面には軸線に沿った凸条キー521が設けられている。
【0054】
外筒部530は、内軸部520に外嵌している。
ここで、外筒部530は、内軸部520の右側から嵌まり、支持基部604の中間地点よりも左側まで嵌装している。そして、外筒部530は、右側の支持基部604を通ってさらに右へ延びている。
外筒部530の右端には径方向に出っ張ったフランジ531が設けられている。
外筒部530の中心孔532には前記凸条キー521に係合する溝条533が凹設されており、また、外筒部530の外表面には軸線にそって凸条キー534が設けられている
外筒部530の中心孔は内軸部520の外径よりもわずかに広く、外筒部530は内軸部520に対してスライド移動可能になっている。
【0055】
中間シールロール540は、外筒部530の外径と実質的に同じ径の中心孔541を有し、外筒部530は前記中心孔541に嵌入されている。
これにより、中間シールロール540は外筒部530と一体化されている。
中間シールロール540の中心孔541には前記凸条キー534に係合するキー溝542が設けられており、凸条キー534とキー溝542との係合によって中間シールロール540と外筒部530とは滑りなく一体的に回転するようになっている。すなわち、内軸部520、外筒部530および中間シールロール540は、凸条キー534とキー溝542との係合によって滑りなく一体的に回転するようになっている。
【0056】
なお、中間シールロール540は、例えば、ペアパックの仕切り部を形成するシールロールであり、上下方向から見たときに基端シールロール420と先端シールロール430との間に位置するように配置される。
【0057】
スライド操作部550について説明する。
図6は、スライド操作部の分解斜視図である。
図7は、スライド操作部の正面図である。
図8は、スライド操作部の右側面図である。
図9は、スライド操作部の上面図である。
【0058】
スライド操作部550は、挟持腕対560と、スライド板570と、直線案内機構580と、駆動手段590と、を備える。
【0059】
挟持腕対560は、外筒部530のフランジ531を左右両面から挟んだ状態で支持するための二つの挟持腕561を有する。
挟持腕561は、外筒部530を避けながらフランジ531をその直径部に当接するようにU字形状に形成されている。そして、挟持腕561のU字の先端には転動体562が軸支されており、回転する外筒部530のフランジ531を転支するようになっている。
挟持腕対560は、上方から垂下するように設けられている。
【0060】
スライド板570は扁平板であり、スライド板570の下面に挟持腕561の上端面が取り付けられている。
このとき挟持腕対560は手前側と奥側とで二対あり、すなわち、挟持腕561は全部で4つあるところ、一つのスライド板570に4つの挟持腕561がまとめて取り付けられている。
【0061】
直線案内機構(LMガイド: Linear Motion Guide)580は、スライド板570の上面とベース板605の下面との間に設けられている。
ここで、ベース板605はケース体201の背面または側面に固定的に設けられているものである。そして、ベース体605の下面にLMレール581が取り付け固定され、スライド板570の上面にLMブロック582が取り付けられ、スライド板570がベース体605に対してスライド可能になっている。
ここで、LMガイド580の案内方向は外筒部530の軸方向と平行である。
【0062】
駆動手段590は、ネジ軸591と、スライド板570に一体形成されたナット592と、を備える。
ベース板605の右端において支承板606が垂設されており、ネジ軸591が回転可能に支承板606に支承されている。さらに、ネジ軸591はナット592に螺合し、ネジ軸591の右端には手動操作によってネジ軸591を回転させるためのハンドル593が設けられている。なお、ネジ軸591の軸方向は、外筒部530の軸方向と平行である。
また、ロックレバー594によってスライド板570とベース板605との相対位置を緊緩できるようになっている。
【0063】
なお、特に詳細に説明しないが、モータ511の出力軸がカップリング512を介して奥側の下段回転軸部510に連結されている。そして、奥側の下段回転軸部510と手前側の下段回転軸部510とはヘリカルギア513によって歯合しており、奥側の下段回転軸部510の回転に同期して手前側の下段回転軸部510が回転するようになっている。また、下段回転軸部510にはヒーター514が挿設されている。
【0064】
また、図4において、マイクロメータヘッド515のスピンドルを回転させると、ベベルギアを介して偏心軸516が回転する。
この偏心軸516の回転によって下段回転軸部510は、支持基部604に軸支された状態でそれぞれ前後方向にスライド変位可能であり、奥側と手前側とで互いの間隔を調整できるようになっている。
【0065】
縦シールユニット300の下方には、ノッチ形成部208、横シールユニット209、および、カッター装置210が順に配設されている。
これらノッチ形成部208、横シールユニット209、および、カッター装置210には既知の構成を採用することができる。
【0066】
このような構成において、原反フィルムロールFRからフィルムFを引き出し、フィルム案内手段204によって上方に移送する。
そして、フィルム折り返し手段206によって包装フィルムFの両端を合わせるように折り重ね、折った状態で下方に移送する。
下方に移送されるフィルムFは、縦シールユニット300によって縦ヒートシールされる。すなわち、上段縦シール機構400の基端シールロール420と先端シールロール430とによってフィルムの重ね合わせ部および折り畳み部を縦ヒートシールする。
【0067】
続いて、下段縦シール機構500の中間シールロール540によってペアパックの中仕切りをシールする。フィルムFはまた横シールユニット209によって横シールされ、この段階で筒状になる。
筒状の袋のなかに充填ノズル207から所定量の材料が送出され、充填される。その後、横シールユニット209によって袋の上端部分が横シールされ、袋体が形成される。
最後に横シール部分をカッター装置210でカットすることにより個別の袋が得られる。
【0068】
袋の縦シール位置を変更するにあたっては、次のようにする。
先端シールロール430の位置を変更する場合、モータ482を駆動させる。
すると、ネジ軸481の回転によってナット483とともにスライダ460がスライド移動する。
スライダ460がスライド移動すると、スライダ460とともに挟持腕対450が移動する。
挟持腕対450によって先端シールロール430が転支されているので、挟持腕対450の移動に伴って先端シールロール430が上段回転軸部410に沿ってスライドし、その位置が変更される。
【0069】
このとき、挟持腕対450の先端には転動体452が設けられているので、挟持腕対450で先端シールロール430を挟んだ状態でも先端シールロール430の回転動作を阻害することがない。
したがって、先端シールロール430が回転している最中でも先端シールロール430をスライドさせることができ、例えば実際に稼働させてシール位置を確認しながら先端シールロール430の位置を微調整することもできる。
そして、位置が決まったらモータ482を停止させてスライダ460を固定する。
このとき挟持腕対450で先端シールロールを挟持することにより先端シールロール430を動かないように位置決めすることができる。
この場合も挟持腕対450の先端に転動体452が設けられていることにより、先端シールロール430の回転動作を阻害することなく位置決め保持することができる。
【0070】
なお、先端シールロールは手前側と奥側とで二つあるところ、一つの下板461に4つの挟持腕451がまとめて取り付けられているので、スライダ460が移動すると、手前側の先端シールロール430と奥側の先端シールロール430とは同じように移動する。このようにして先端シールロール430の位置変更が実現される。
【0071】
また、中間シールロール540の位置を変更する場合、ハンドル593を手動で回転させる。すると、ネジ軸591の回転によってスライド板570がスライド移動する。
スライド板570がスライド移動すると、スライド板570とともに挟持腕対560が移動する。
挟持腕対560によって外筒部530のフランジ531が転支されているので、挟持腕対560の移動に伴って外筒部530がスライド移動する。そして、外筒部530に中間シールロール540が固定的に設けられているので、外筒部530とともに中間シールロールがスライドし、その位置が変更される。
【0072】
このとき、挟持腕対560の先端には転動体562が設けられているので、挟持腕対560で外筒部530のフランジ531を挟んだ状態でも外筒部560の回転動作を阻害することがない。
したがって、下段回転軸部510が回転している最中でも外筒部530とともに中間シールロール540をスライドさせることができる。
例えば実際に稼働させてシール位置を確認しながら中間シールロール540の位置を微調整することもできる。
そして、位置が決まったらロックレバー594でスライド板570を固定する。
このとき挟持腕対560で外筒部530のフランジ531を挟持することにより外筒部530および中間シールロール540を動かないように位置決めすることができる。
この場合も挟持腕対560の先端に転動体562が設けられていることにより、下段回転軸部510の回転動作を阻害することなく外筒部530および中間シールロール540の位置決めを行うことができる。
【0073】
なお、一つのスライド板570に4つの挟持腕561がまとめて取り付けられているので、スライド板570が移動すると、手前側の中間シールロール540と奥側の中間シールロール540とは同じように移動する。
このようにして中間シールロール540の位置変更が実現される。
【0074】
このような本実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)先端シールロール430と中間シールロール540とはスライド移動可能であるので、幅が異なる包装袋の製造に対応することができる。
ここで、先端シールロール430は上段回転軸部410に設けられ、中間シールロール540は下段回転軸部510に設けられており、異なる回転軸に配設するようにしている。
このように、先端シールロール430と中間シールロール540とをスライド移動可能にし、かつ、独立にシール圧力を調整できるようにするために、先端シールロール430と中間シールロール540とは別々の回転軸部410、510に設けることとした。
これにより、各回転軸部(上段回転軸部410、下段回転軸部510)は両端支持にできるので各回転軸部410、510を安定に支持することができる。
また、回転軸部410、510を両端で軸支するので、個々の軸支部(支持基部601、604等)に必要とされる剛性を抑制することができ、軸支の安定を保ちつつ、全体の重量およびコストを低減することができる。
【0075】
(2)本実施形態では、縦シールユニット300を二段構成としているので段数は増えるが、上段回転軸部410と下段回転軸部510とは両端支持にできるので、各回転軸部410、510を安定に支えることは容易である。そして、縦シールユニット300を二段にしたことによる高さ増分は、ケース体201の強化で十分に対応できるので現実的であり、少なくとも従来技術のごとく複数のヒートシールロールを片持ち梁で支えることに比べれば重量増分やコスト増分は十分に抑制できる。
このように本実施形態の構成は、スライド移動可能な複数のヒートシールロール430、540を安定的に支持でき、かつ、重量、コストの増分を十分に抑制できるという効果を奏する。
【0076】
(3)本実施形態では、先端シールロール430は挟持腕対450で直接に挟んでスライド移動させるようにする一方、中間シールロール540は外筒部530と一体に移動するようにしている。
これにより、先端シールロール430を移動させる駆動手段480の配設位置と中間シールロール540を移動させるスライド操作部550の配設位置とをずらすことができる。
例えば、単純に中間シールロール540についても先端シールロール430と同じように挟持腕対で直接に挟持し、その直上にスライド体および直線案内機構を設けるとすると、中間シールロール540と先端シールロール430とで可動域が重複しているので配置がかなり難しい。
この点、本実施形態では、設計の自由度を高くでき無理のない配置構造が可能になっている。
【0077】
(4)自動包装装置200が稼働しているときには回転軸部410、510およびシールロール430、540はかなり高温になっているので直接に手や工具で掴んで動かすことは大変危険である。
この点、本実施形態では、操作ハンドル593またはモータ482の回転によって先端シールロール430および中間シールロール540の位置を変更できるので、安全であって操作性がよい。
【0078】
(5)高温状態でも先端シールロールおよび中間シールロールをスライド移動可能とするためには、シールロールを止めネジなどによる固定手段で回転軸に固定する構造は採用できないが、本実施形態では凸条キー411、521、534とキー溝533、542との係合によって回転軸部410、510の回転をシールロール430、540に伝達できるので止めネジ等の固着手段は必要としない。
そして、先端に転動体542、562を有する挟持腕対450、560によって回転中の外筒部530のフランジ531および先端シールロール430を転支しているので、稼働中の先端シールロール430および中間シールロール540の位置を固定することができる。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施形態において、基端シールロールはなくてもよい。あるいは、先端シールロールはなくてもよい。この場合でも幅の異なる袋の製造に対応できる。
【符号の説明】
【0080】
200…自動包装装置、201…ケース体、202…原反フィルム保持手段、203…原反フィルム保持軸、204…フィルム案内手段、205…案内ローラ、206…フィルム折り返し手段、207…充填ノズル、208…ノッチ形成部、209…横シールユニット、210…カッター装置、300…縦シールユニット、400…上段縦シール機構、410…上段回転軸部、411…凸条キー、412…ヘリカルギア、413…ヒーター、420…基端シールロール、430…先端シールロール、440…可動案内手段、450…挟持腕対、451…挟持腕、452…転動体、460…スライダ、461…下板、462…上板、463…連結部、470…直線案内機構、470…LMガイド、471…LMレール、472…LMブロック、480…駆動手段、481…ネジ軸、482…モータ、483…ナット、491…モータ、492…カップリング、500…下段縦シール機構、510…下段回転軸部、511…モータ、512…カップリング、513…ヘリカルギア、514…ヒーター、515…マイクロメータヘッド、516…保持桿、520…内軸部、521…凸条キー、530…外筒部、531…フランジ、532…中心孔、533…キー溝条、534…凸条キー、540…中間シールロール、541…中心孔、542…キー溝、542…転動体、550…スライド操作部、560…挟持腕対、561…挟持腕、562…転動体、570…スライド板、580…直線案内機構、580…LMガイド、581…LMレール、582…LMブロック、590…駆動手段、591…ネジ軸、592…ナット、593…操作ハンドル、594…ロックレバー、601…支持基部、602…ベース体、603…ガイド溝、604…支持基部、605…ベース板、606…支承板、F…フィルム、FR…原反フィルムロール。
【技術分野】
【0001】
本発明は自動包装装置の縦シール装置に関する。
具体的には、包装袋の縦シール位置を動作中に変更できる自動包装装置の縦シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺の帯状フィルムをヒートシールすることにより連続的に袋状に包装する自動包装装置が知られている(例えば特許文献1:特開2008-7179号公報)。
図10は、従来の自動包装装置2の全体構成図である。
図10において、ケース21内に、長尺で帯状の包装フィルムFをロール状に巻回したフィルム原反3が交換可能に配置されている。ケース21の上部に包装フィルムFを上方へ取り出す案内装置4が配置されており、その下方にフィルム折り返し装置5が配置されている。さらに、その下方には、充填装置6、縦シール装置1、ノッチ形成装置7、横シール装置8、冷却ロール装置9およびカッター装置10が順に配置されている。
【0003】
自動包装装置2は、フィルム原反3から案内装置4を介して包装フィルムFを連続的に移送し、フィルム折り返し装置5によって包装フィルムFの両端を合わせて折り重ねる。そして、折り重ねた重ね合わせ部、および、折り畳み部、さらに必要であれば、それらの中間を、縦シール装置1でヒートシールする。
次いで、横シール装置8により包装フィルムFを横方向にシールして充填装置6から被充填物を充填する。
さらに、包装フィルムFを移送して、横シール装置8によって封じる。
これにより、四方シールや区分けシールした包装袋が形成される。
冷却ロール装置9により冷却した後、カッター装置10によって個々に切断し、個別の包装袋を連続的に得る。
【0004】
ここで、各種寸法の包装体に対応するために縦シールの位置を変更することが必要になる。そこで、例えば、図11に示される縦シール装置の構造がある。
図11では、一対の回転軸1aおよび回転軸1bが回転可能に設けられ、回転軸1a、1bの内部に棒状のヒーター2a、2bがそれぞれ内装されている。そして、一対の回転軸1a、1bのそれぞれには、縦シールロール3a、3bが回転軸1a、1bに沿って移動可能に配置されている。
縦シールロール3a、3bは、止めねじ4aによって所望の位置に固定されるようになっている。
この構成において、止めねじ4aを緩めることにより、縦シールロール3a、3bの位置を変更し包装体の縦シール位置を変えることができる。
【0005】
ここで、縦シールロール3a、3bの位置を変更するには止めねじ4aを緩めて再度締め付ける操作が必要となる。
しかし、使用時には止めねじ4aを初めとして縦シール装置がヒーター2a、2bによって加熱されて高温となっている。
そのため、熱膨張等の影響により止めねじ4aの操作性が悪く、作業に非常に時間がかかるという問題がある。
また、高温になっている縦シール装置に手を差し入れて止めねじ4aを緩めたり、縦シールロール3a、3bを掴んでその位置をずらしたりすることは極めて危険である。そこで、作業効率や作業者の安全性を考慮して一旦冷めるまで時間をおくことになるが、これでは実際に運転しながら縦シールロール3a、3bの位置を変更することができず、縦シール幅を変更するためには多大の時間を要することになる。
また、縦シールロール3a、3bの位置を正確に調整するにあたっては、実際にフィルムFをヒートシールしながらそのシール位置を微調整することが望ましいが、このような作業は困難であり、その都度冷めるまで時間をあけるとなると作業効率が極めて悪い。
【0006】
また、ロール同士の加圧調整を行う場合、回転軸1a、1bごと変位させることになる。
シール幅が広い場合には加圧力を強めにし、シール幅が狭い場合には加圧力を弱めにするなど、シールの幅によって加圧力を個別に調整することが必要であるが、上記構成のように全ての縦シールロール(3a、3b)が一つの回転軸に組みつけられていると、ロール対ごとに最適な加圧調整を行うことはできない。
【0007】
ここで、特許文献1(特開2008-7179号公報)には、縦シールロールの位置を効率的に変更できる縦シール装置が開示されている。
この構成を図12に示す。
図12は特許文献1に開示された縦シール装置の平面図であり、図12において、縦シール装置1は、基端縦シールロール11、中間縦シールロール12、先端縦シールロール13、を有する。
基端縦シールロール11は、折り畳んだ包装フィルムの折り合わせ部をシールする位置に配置されている。
【0008】
基端縦シールロール11について説明する。
図12において、固定板22はケース体21に固着された固定部材である。
固定板22には基板23が直角に取り付けられている。
そして、基板23には、互いに所定の間隔を有し、且つ、少なくとも一方が前後方向に移動可能とした状態で基端固着具111、111が前後方向に配置されている。
これら基端固着具111、111により一対の基端回転軸112、112が軸支されており、これらの基端回転軸112、112には包装フィルムFを挟んでシールするための一対の基端ロール部113、113が設けられている。
【0009】
次に、先端縦シールロール13は、包装フィルムFの折り畳み側の端縁部を縦シールするために使用されるものである。
基板23には、横方向に長さを有する支持部材131が設けられており、支持部材131には管状の先端スライド部材132がスライド可能に外嵌している。
先端スライド部材には板状の先端保持部材133が固定的に設けられており、この先端保持部材133に先端固着具134、134が前後方向に配置されている。これら先端固着具134、134により一対の先端回転軸135、135が軸支されている。先端回転軸135、135には包装フィルムFを挟んでシールするための一対の先端ロール部136、136が設けられている。
ここで、先端保持部材133には、基板23を貫通して螺挿された先端調節ねじ141が連結されている。
この先端調節ねじ141を回転させることにより、先端保持部材133を先端支持部材131に沿ってスライドさせ、先端ロール部136、136の横方向位置を調節することができる。
【0010】
次に、基端縦シール11と先端縦シールロール13との間に配置された中間縦シールロール12について説明する。
基板23の前後方向の端部において、一対の基板からなる支持部材121、122がそれぞれ設けられている。
支持部材121、122には、コ字形の保持部材125、125がそれぞれスライド溝により横方向にスライド可能に配置されている。
そして、保持部材125、125のそれぞれの先端において中間回転軸124、124が軸支され、中間回転軸124、124には中間ロール部123、123が設けられている。
【0011】
ここで、二つの中間保持部材125、125は、組み付けブラケット126により一体に連結されており、中間保持部材125、125は一体的に横方向にスライドして移動する。
また、中間回転軸124、124は中空に形成されており、基端縦シールロール11を構成する基端ロール部113、113の軸心から突出した駆動軸128、128が中間回転軸124、124に嵌挿されている。
【0012】
また、回転軸112、112、135、135は中空に形成され、ヒーターが各ロール部113、113、136、136、123、123の内側部分に位置するように挿入配置されている。
この構成において、モータ115、137の動力を歯車列で伝達し、回転軸114、114、135、135を回転させ、回転軸114、114、135、135とともにロール部113、113、123、123、136、136を回転させる。
なお、駆動軸128、128と中間ロール部123、123とはキーとキー溝との関係で係合されており、この係合によって動力が伝達されるようになっている。
【0013】
この構造では、ロール部136、136、123、123はスライド移動可能な保持部材133、125、125で支えられている。
すなわち、ロール部136、136、123、123の位置は保持部材133、125、125のスライド移動によって変更可能となっている。
【0014】
ここで、先端ロール部136、136および基端ロール部113、113は、モータ115、137で直接回転駆動される一方、中間ロール部123、123には中間駆動軸128、128を介して動力伝達されるようになっている。
このとき、中間駆動軸128、128と中間ロール部123、123とはキーとキー溝との関係で係合しており、中間駆動軸128、128と中間ロール部123、123とはネジ等で固着されていない。
すなわち、中間ロール部123、123は中間保持部材125、125によって支えられており、加熱される駆動軸128、128に対して螺子等で直接に組みつけられているわけではない。
したがって、駆動軸128、128を介してヒーターで中間ロール部123、123を加熱している最中であっても、中間保持部材125、125とともに中間ロール部123、123をスライド移動させることができる。
同様に、先端保持部材133とともに先端ロール部136、136をスライド移動させることができる。
このとき、先端保持部材133とともにヒーターを内装した先端回転軸135、135も一緒に移動するようになっているので、加熱中であっても先端ロール部136、136を移動させることに何の支障もない。
また、基端ロール部113、113、先端ロール部136、136は同軸上に配設されてはいるが同一の回転軸に組みつけられているわけではなく、基端ロール部113、113の対、先端ロール部136、136の対、はそれぞれ独立している。したがって、ロール対ごとの加圧調整もそれぞれ独立に可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008-7179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
確かに上記構成であれば、ヒーターでロール部123、123、136、136を加熱している最中であっても、保持部材125、125、133とともにロール部123、123、136、136をスライドさせてその位置を調整することが可能となる。
しかしながら、上記構成においては、保持部材125、125、133を支持部材121、122、131によって片持ち梁状に支えているという構造的欠点がある。
支持部材121、122、131は、基板23によって片側支持されているだけであるので、保持部材125、125、131を保持する荷重側端部から掛かるモーメントは相当の大きさになる。
【0017】
さらに、ロール部123、123、136、136同士を加圧接触させなければならないことを考えると、基板23、中間支持部材121、122、先端支持部材131は相当の剛性を確保しなければならなくなる。
上記構造に耐えうる剛性を確保するために基板23、中間支持部材121、122、先端支持部材131をかなり太い部材で構成するとなると、全体の重量が増してくるので、ケース体21など他の部材全ての強度を増さなければならない。
したがって、大型化、重量化、高コストにつながる上記構成は現実的には採用することがかなり難しい。
そこで、簡易かつ安価な構成でありながらもロール部の位置を効率的に変更可能な自動包装装置の縦シール装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の自動包装装置の縦シール装置は、
上方から下方に移送される帯状フィルムに対し横方向に互いの位置が異なる第1位置、第2位置および第3位置で縦ヒートシールし、前記第2位置および前記第3位置の変更を可能とすることにより包装袋の縦シール位置を動作中に変更できる自動包装装置の縦シール装置であって、
前記縦シール装置は、
前記第1位置および第2位置をヒートシールする第1縦シール機構と、
前記第1縦シール機構とは異なる高さに設けられ、前記第3位置でヒートシールする第2縦シール機構と、を備え、
前記第1縦シール機構は、
両端が回転可能に支承された第1回転軸部と、
前記第1回転軸部に固定的に設けられ前記第1位置をヒートシールする第1シールロールと、
前記第1回転軸部にスライド可能に設けられ前記第2位置をヒートシールする第2シールロールと、を備え、
前記第2縦シール機構は、
前記第1回転軸部とは異なる位置に設けられ両端が回転可能に支承された第2回転軸部と、
前記第2回転軸部にスライド移動可能に設けられ、前記第3位置をヒートシールする第3シールロールと、を備える
ことを特徴とする。
【0019】
このような構成において、横方向に互いの位置が異なる第1位置、第2位置および第3位置の位置で帯状フィルムに対し縦ヒートシールを行うことができる。
すなわち、第1シールロールによって第1位置を縦ヒートシールし、第2シールロールによって第2位置を縦ヒートシールし、第3シールロールによって第3位置を縦ヒートシールすることができる。そして、第2シールロールと第3シールロールとはスライド移動可能であるので、幅が異なる包装袋の製造に対応することができる。
【0020】
ここで、本発明では、第2シールロールは第1回転軸部に設け、第3シールロールは第2回転軸部に設けている。そして、第1回転軸部および第2回転軸部はともに両端が回転可能に支持されているものである。
本発明では、第2シールロールと第3シールロールとをスライド移動可能にし、かつ、独立にシール圧力を調整できるようにするために、第2シールロールと第3シールロールとは別々の回転軸部に設けることとした。これにより、各回転軸部は両端支持にできるので各回転軸部を安定に支持することができる。また、回転軸部を両端で軸支するので、個々の軸支部に必要とされる剛性を抑制することができ、軸支の安定を保ちつつ、全体の重量およびコストを低減することができる。
【0021】
本発明では、第1回転軸部と第2回転軸部とを異なる高さとし、縦シール装置を二段構成としている。
従来技術に比べて一段増えることになるので、装置の高さが高くなり、その分のケース体の剛性は必要になる。
しかし、従来技術のようにヒートシールロールを片持ち梁状に支えるとなると、梁にはかなりのモーメントがかかり、回転軸を安定に支えることは難しい。
仮に、回転軸を片持ち梁で支えるとなると、部材の剛性を相当高くしなければならず、重量、コストの大幅増加が避けられない。
この点、本発明では、段数は増えるものの、第1回転軸部と第2回転軸部とは両端支持にできるので、各回転軸部を安定に支えることは容易である。
そして、一段分の高さ増分はケース体全体の背面やリブの強化で十分に対応できるので現実的であり、少なくとも複数のヒートシールロールを片持ち梁で支えることに比べれば重量増分やコスト増分は十分に抑制できる。
このように本発明の構成は、スライド移動可能な複数のヒートシールロールを安定的に支持でき、かつ、重量、コストの増分を十分に抑制できるという効果を奏する。
【0022】
本発明では、
前記第2回転軸部は、内軸部と、前記内軸部に対してスライド可能に外嵌するとともにフランジを有する外筒部と、を備え、前記第3シールロールは、前記外筒部に固定的に設けられており、
前記縦シール装置は、さらに、前記外筒部を軸線に沿って平行にスライドさせるスライド操作部を備え、
前記スライド操作部は、
前記フランジを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対の先端に回転可能に軸支された転動体と、
前記外筒部のスライド方向と平行にスライド可能に設けられたスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記外筒部とともに前記第3シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記外筒部および第3シールロールの回転を許容しながら前記外筒部および第3シールロールの横方向位置を固定する
ことが好ましい。
【0023】
このような構成において、外筒部をスライドさせることにより第3シールロールをスライド移動させることができる。
このとき、スライド体をスライドさせる。
すると、スライド体に取り付けられた挟持腕対が外筒部のフランジを進退させるので、外筒部とともに第3シールロールがスライド変位する。
自動包装装置が稼働しているときには内軸部、外筒部および第3シールロールはかなり高温になっているので直接に手や工具で外筒部や第3シールロールを掴んで動かすことは大変危険であるが、この点、本発明の構成によれば、スライド体をスライドさせればよいので安全であって操作性がよい。
また、高温状態の外筒部および第3シールロールをスライド移動可能とするためには、止めネジなどによる固定手段は採用できず、稼働中に第3シールロールの位置を固定するための手段が必要になる。この点、本発明の構成では、回転中の外筒部のフランジを挟持腕対で挟んでおくことにより外筒部および第3シールロールの位置決めをすることができる。
【0024】
また、外筒部のフランジを挟持腕対で挟むようにしているところ、外筒部のフランジは第3シールロールとは異なる位置に設けることが可能であり、スライド操作部を設ける位置を第3シールロールとは異なる位置、例えば、第2回転軸部の端部の方に設けることも可能である。したがって、設計の自由度を高くすることができる。
例えば、第2シールロールと第3シールロールとをスライド可能にしているところ、第2シールロールのスライド操作部と第3シールロールのスライド操作部を近接した位置に設けることはできないが、第2シールロールのスライド操作部は第2シールロールの直上に配設し、第3シールロールのスライド操作部は第2回転軸部の端部に配設するようにすれば、二つのスライド操作部を適切に配置することが可能になる。
【0025】
また、本発明では、挟持腕対の先端に転動体を有しているので、第2回転軸部の回転動作を阻害することなく外筒部のフランジを挟持することができる。
このように、回転動作中の外筒部のフランジを挟持腕対で挟持することにより稼働中の外筒部および第3シールロールの位置決めができ、さらに、回転動作中であっても回転を止めることなく外筒部ととともに第3シールロールをスライド移動させることができる。
【0026】
本発明では、
前記第2シールロールをスライド移動させる可動案内手段を備え、
前記可動案内手段は、
先端に転動体を回転可能に軸支しているとともに前記2シールロールを挟持してこの第2シールロールを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対が取り付けられるスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記第2シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記第2シールロールの回転を許容しながら前記第2シールロールの横方向位置を固定する
ことが好ましい。
【0027】
このような構成において、スライド体をスライドさせる。すると、スライド体に取り付けられた挟持腕対が第2シールロールをスライド移動させる。
そして、挟持腕対の先端に転動体を有しているので、挟持腕対は、第2シールロールの回転動作を阻害することなく第2シールロールを挟持することができる。
したがって、回転動作中の第2シールロールを挟持腕対で挟持することにより稼働中の第2シールロールの位置決めができ、さらに、回転動作中であっても回転を止めることなく第2シールロールをスライド移動させることができる。
【0028】
本発明では、
前記挟持腕対の挟持腕はU字形状であって、前記外筒部または前記第1回転軸部を避けつつ前記挟持腕対の先端に軸支された前記転動体が前記フランジまたは前記第2シールロールの直径相当位置に当接する
ことが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、外筒部または第2シールロールに偏った力を掛けることがない。
したがって、外筒部または第2シールロールを安定的に位置決めでき、また、スムースに外筒部または第2シールロールを移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】自動包装装置の全体正面図。
【図2】縦シールユニットの正面拡大図。
【図3】縦シールユニットの右側面図。
【図4】下段縦シール機構の上面図。
【図5】下段縦シール機構の分解斜視図。
【図6】スライド操作部の分解斜視図。
【図7】スライド操作部の正面図。
【図8】スライド操作部の右側面図。
【図9】スライド操作部の上面図。
【図10】従来の自動包装装置の全体構成図。
【図11】従来の縦シール装置の構造を示す図。
【図12】従来の縦シール装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の自動包装装置に係る第1実施形態について説明する。
図1は、自動包装装置200の全体正面図である。
本実施形態の自動包装装置200は、いわゆる縦型包装装置であり、帯状フィルムFを上から下へ送り移送しながら、順番に縦シール、横シール、内容物充填、カットを行っていくものである。
自動包装装置200は、ケース体201と、原反フィルム保持手段202と、フィルム案内手段204と、フィルム折返し手段206と、充填ノズル(充填手段)207と、縦シールユニット(縦シール装置)300と、ノッチ形成部208と、横シールユニット209と、カッター装置210と、を、備えている。
【0032】
原反フィルム保持手段202はケース体201の側方に配設されており、原反フィルム保持軸203によって原反フィルムロールFRを回動可能に保持する。原反フィルム保持軸203にはフィルム送り出し方向とは逆回転方向にテンションが掛けられ、フィルムFに一定のテンションを掛けながら送り出すようになっている。
【0033】
フィルム案内手段204は、原反フィルムロールFRから引き出されたフィルムFを案内ローラ205によって順次案内し、ケース体201の上方まで引き上げる。そして、フィルムFは、フィルム折り返し手段206によって両端合わせるように折り合わされる。折り合わされたフィルムFは縦シールユニット300および横シールユニット209によって表裏から加圧挟持された状態で下方に送り出される。
このとき同時に、フィルムFには、縦シールユニット300および横シールユニット209によって所定位置に縦ヒートシールおよび横ヒートシールが施される。
【0034】
充填ノズル207は、折り合わされたフィルムFの間に挿入されるように配設されている。フィルムFの縦と横がシールされてフィルムFが筒状になったときに、充填ノズル207から所定量の材料が送出される。
【0035】
次に、縦シールユニット300について説明する。
本実施形態において、フィルムFに縦シールを施す縦シール機構が高さを違えて二段構成になっている。
すなわち、縦シールユニット300は、上段縦シール機構(第1縦シール機構)400と、上段縦シール機構400の下方に配置された下段縦シール機構(第2縦シール機構)500と、を備える。
【0036】
図2は、縦シールユニット300の正面拡大図である。
また、図3は、縦シールユニット300の右側面図である。
まず、上段縦シール機構400について説明する。
図2に示されるように、上段縦シール機構400は、上段回転軸部(第1回転軸部)410と、基端シールロール(第1シールロール)420と、先端シールロール(第2シールロール)430と、可動案内手段440と、を備える。
【0037】
ここで、図3の側面図に示すように、上段縦シール機構400は、フィルムFを表裏から挟んでヒートシールするために手前側と奥側とで一対のシール機構となっているものである。
手前側と奥側とでは基本的に同じ構成である。
なお、図3において、向かって左を手前側(前側)とし、向かって右側を奥側(後側)とする。
【0038】
上段回転軸部410は、図2に示されるように、横方向に架け渡され、その左右両端が支持基部601、601によって回転可能に軸支されている。
ここで、支持基部601、601は、フィルムFを間にして対向するように一対配設されている。
この一対の支持基部601、601によって上段回転軸部410はその両端を安定に支持されている。
なお、支持基部601、601は、ケース体201に対して具設されているものである。
【0039】
上段回転軸部410は、支持基部601、601に軸支された状態でそれぞれ前後方向にスライド変位可能であり、奥側と手前側とで互いの間隔を調整できるようになっている。
ここで、右端の支持基部601と左端の支持基部601とはそれぞれ独立に前後方向にスライド変位可能であり、右端の支持基部601と左端の支持基部601との前後位置を微調整することで、基端シールロール420と先端シールロール430とは別個にシール圧を調整することが可能である。
【0040】
上段回転軸部410の表面には、軸方向に沿った筋状の凸条キー411が設けられている。
【0041】
基端シールロール420は、上段回転軸部410の左寄りにおいて上段回転軸部410に固定的に設けられている。すなわち、基端シールロール420には上段回転軸部410と実質的に同径の中心孔が設けられており、この中心孔に上段回転軸部410が嵌入されている。
【0042】
先端シールロール430は、上段回転軸部410の右寄りにおいて上段回転軸部410にスライド可能に設けられている。
先端シールロール430の中心孔は、上段回転軸部410の径よりもわずかに広く、先端シールロール430が上段回転軸部410に沿ってスライド可能になっている。
また、先端シールロール430の中心孔には前記凸条キー411に係合するキー溝が設けられており、凸条キー411とキー溝との係合によって先端シールロール430と上段回転軸部410とは一体的に回転するようになっている。
【0043】
可動案内手段440は、先端シールロール430を上段回転軸部410に沿って移動させるとともに先端シールロール430を転支する。
可動案内手段440は、挟持腕対450と、スライダ460と、直線案内機構470と、駆動手段480と、を備える。
【0044】
挟持腕対450は、先端シールロール430の左右の側面を挟持するための二つの挟持腕451、451を有する。
図3の側面図に示されるように側方からみると、挟持腕451は、上段回転軸部410を避けながら先端シールロール430の直径部に当接するようにU字形状に形成されている。そして、挟持腕451のU字の先端には転動体452が軸支されており、回転する先端シールロール430を転支するようになっている。
挟持腕対450は、上方から垂下するように設けられている。
【0045】
スライダ460は、下板461と、上板462と、連結部463と、を備える(図3参照)。
下板461の下面に、挟持腕451の上端面が取り付けられている。
このとき挟持腕対450は手前側と奥側とで二対あり、すなわち、挟持腕451は全部で4つあるところ、一つの下板461に4つの挟持腕451がまとめて取り付けられている。
【0046】
上板462は、ケース体201に対して固定的に設けられたベース体602の上方に配置されている。
上板462とベース体602との間にはLMガイド(直線案内機構:Linear Motion Guide)470が設けられている。すなわち、ベース体602の上面にLMレール471が取り付け固定され、上板462の下面にLMブロック472が取り付けられ、上板462がベース体602に対してスライド可能になっている。ここで、LMガイド470の案内方向は上段回転軸部410の軸方向と平行である。
【0047】
上板462と下板461とは連結部463によって連結されている。ベース体602にはガイド溝603が穿設され、連結部463は前記ガイド溝603を貫通した状態で上板462と下板461とを繋いでおり、スライダ460は一体的に上段回転軸部410に平行にスライド移動可能である。
【0048】
駆動手段480は、ネジ軸481と、ネジ軸481を回転駆動させるモータ482と、前記スライダ460の上板462に固設されたナット483と、を備える。ネジ軸481が上段回転軸部410と平行に配設され、ナット483がネジ軸481に螺合している。
【0049】
なお、特に詳細に説明しないが、モータ491の出力軸がカップリング492を介して奥側の上段回転軸部410に連結されている。そして、奥側の上段回転軸部410と手前側の上段回転軸部410とはヘリカルギア412によって歯合しており、奥側の上段回転軸部410の回転に同期して手前側の上段回転軸部410が回転するようになっている。
また、上段回転軸部410にはヒーター413が挿設されている。
【0050】
次に、下段縦シール機構(第2縦シール機構)500について説明する。
下段縦シール機構500は、下段回転軸部(第2回転軸部)510と、中間シールロール(第3シールロール)540と、スライド操作部550と、を備える。
【0051】
ここで、下段縦シール機構500は、図3の側面図および図4の上面図に示すように、フィルムFを表裏から挟んでシールするために手前側と奥側とで一対のシール機構となっている。
手前側と奥側とでは基本的に同じ構成である。
【0052】
ここで、図4は、下段縦シール機構500の上面図である。
図5は、下段縦シール機構500の分解斜視図である。
【0053】
下段回転軸部510は、上段回転軸部410の下方において上段回転軸部410と同様に横方向に架け渡され、その左右両端が支持基部604によって回転可能に軸支されている。
下段回転軸部510は、内軸部520と、外筒部530と、を備える。
左側の支持基部604に支持された内軸部520は、途中で一段縮径し、右に延びる。
内軸部520の外表面には軸線に沿った凸条キー521が設けられている。
【0054】
外筒部530は、内軸部520に外嵌している。
ここで、外筒部530は、内軸部520の右側から嵌まり、支持基部604の中間地点よりも左側まで嵌装している。そして、外筒部530は、右側の支持基部604を通ってさらに右へ延びている。
外筒部530の右端には径方向に出っ張ったフランジ531が設けられている。
外筒部530の中心孔532には前記凸条キー521に係合する溝条533が凹設されており、また、外筒部530の外表面には軸線にそって凸条キー534が設けられている
外筒部530の中心孔は内軸部520の外径よりもわずかに広く、外筒部530は内軸部520に対してスライド移動可能になっている。
【0055】
中間シールロール540は、外筒部530の外径と実質的に同じ径の中心孔541を有し、外筒部530は前記中心孔541に嵌入されている。
これにより、中間シールロール540は外筒部530と一体化されている。
中間シールロール540の中心孔541には前記凸条キー534に係合するキー溝542が設けられており、凸条キー534とキー溝542との係合によって中間シールロール540と外筒部530とは滑りなく一体的に回転するようになっている。すなわち、内軸部520、外筒部530および中間シールロール540は、凸条キー534とキー溝542との係合によって滑りなく一体的に回転するようになっている。
【0056】
なお、中間シールロール540は、例えば、ペアパックの仕切り部を形成するシールロールであり、上下方向から見たときに基端シールロール420と先端シールロール430との間に位置するように配置される。
【0057】
スライド操作部550について説明する。
図6は、スライド操作部の分解斜視図である。
図7は、スライド操作部の正面図である。
図8は、スライド操作部の右側面図である。
図9は、スライド操作部の上面図である。
【0058】
スライド操作部550は、挟持腕対560と、スライド板570と、直線案内機構580と、駆動手段590と、を備える。
【0059】
挟持腕対560は、外筒部530のフランジ531を左右両面から挟んだ状態で支持するための二つの挟持腕561を有する。
挟持腕561は、外筒部530を避けながらフランジ531をその直径部に当接するようにU字形状に形成されている。そして、挟持腕561のU字の先端には転動体562が軸支されており、回転する外筒部530のフランジ531を転支するようになっている。
挟持腕対560は、上方から垂下するように設けられている。
【0060】
スライド板570は扁平板であり、スライド板570の下面に挟持腕561の上端面が取り付けられている。
このとき挟持腕対560は手前側と奥側とで二対あり、すなわち、挟持腕561は全部で4つあるところ、一つのスライド板570に4つの挟持腕561がまとめて取り付けられている。
【0061】
直線案内機構(LMガイド: Linear Motion Guide)580は、スライド板570の上面とベース板605の下面との間に設けられている。
ここで、ベース板605はケース体201の背面または側面に固定的に設けられているものである。そして、ベース体605の下面にLMレール581が取り付け固定され、スライド板570の上面にLMブロック582が取り付けられ、スライド板570がベース体605に対してスライド可能になっている。
ここで、LMガイド580の案内方向は外筒部530の軸方向と平行である。
【0062】
駆動手段590は、ネジ軸591と、スライド板570に一体形成されたナット592と、を備える。
ベース板605の右端において支承板606が垂設されており、ネジ軸591が回転可能に支承板606に支承されている。さらに、ネジ軸591はナット592に螺合し、ネジ軸591の右端には手動操作によってネジ軸591を回転させるためのハンドル593が設けられている。なお、ネジ軸591の軸方向は、外筒部530の軸方向と平行である。
また、ロックレバー594によってスライド板570とベース板605との相対位置を緊緩できるようになっている。
【0063】
なお、特に詳細に説明しないが、モータ511の出力軸がカップリング512を介して奥側の下段回転軸部510に連結されている。そして、奥側の下段回転軸部510と手前側の下段回転軸部510とはヘリカルギア513によって歯合しており、奥側の下段回転軸部510の回転に同期して手前側の下段回転軸部510が回転するようになっている。また、下段回転軸部510にはヒーター514が挿設されている。
【0064】
また、図4において、マイクロメータヘッド515のスピンドルを回転させると、ベベルギアを介して偏心軸516が回転する。
この偏心軸516の回転によって下段回転軸部510は、支持基部604に軸支された状態でそれぞれ前後方向にスライド変位可能であり、奥側と手前側とで互いの間隔を調整できるようになっている。
【0065】
縦シールユニット300の下方には、ノッチ形成部208、横シールユニット209、および、カッター装置210が順に配設されている。
これらノッチ形成部208、横シールユニット209、および、カッター装置210には既知の構成を採用することができる。
【0066】
このような構成において、原反フィルムロールFRからフィルムFを引き出し、フィルム案内手段204によって上方に移送する。
そして、フィルム折り返し手段206によって包装フィルムFの両端を合わせるように折り重ね、折った状態で下方に移送する。
下方に移送されるフィルムFは、縦シールユニット300によって縦ヒートシールされる。すなわち、上段縦シール機構400の基端シールロール420と先端シールロール430とによってフィルムの重ね合わせ部および折り畳み部を縦ヒートシールする。
【0067】
続いて、下段縦シール機構500の中間シールロール540によってペアパックの中仕切りをシールする。フィルムFはまた横シールユニット209によって横シールされ、この段階で筒状になる。
筒状の袋のなかに充填ノズル207から所定量の材料が送出され、充填される。その後、横シールユニット209によって袋の上端部分が横シールされ、袋体が形成される。
最後に横シール部分をカッター装置210でカットすることにより個別の袋が得られる。
【0068】
袋の縦シール位置を変更するにあたっては、次のようにする。
先端シールロール430の位置を変更する場合、モータ482を駆動させる。
すると、ネジ軸481の回転によってナット483とともにスライダ460がスライド移動する。
スライダ460がスライド移動すると、スライダ460とともに挟持腕対450が移動する。
挟持腕対450によって先端シールロール430が転支されているので、挟持腕対450の移動に伴って先端シールロール430が上段回転軸部410に沿ってスライドし、その位置が変更される。
【0069】
このとき、挟持腕対450の先端には転動体452が設けられているので、挟持腕対450で先端シールロール430を挟んだ状態でも先端シールロール430の回転動作を阻害することがない。
したがって、先端シールロール430が回転している最中でも先端シールロール430をスライドさせることができ、例えば実際に稼働させてシール位置を確認しながら先端シールロール430の位置を微調整することもできる。
そして、位置が決まったらモータ482を停止させてスライダ460を固定する。
このとき挟持腕対450で先端シールロールを挟持することにより先端シールロール430を動かないように位置決めすることができる。
この場合も挟持腕対450の先端に転動体452が設けられていることにより、先端シールロール430の回転動作を阻害することなく位置決め保持することができる。
【0070】
なお、先端シールロールは手前側と奥側とで二つあるところ、一つの下板461に4つの挟持腕451がまとめて取り付けられているので、スライダ460が移動すると、手前側の先端シールロール430と奥側の先端シールロール430とは同じように移動する。このようにして先端シールロール430の位置変更が実現される。
【0071】
また、中間シールロール540の位置を変更する場合、ハンドル593を手動で回転させる。すると、ネジ軸591の回転によってスライド板570がスライド移動する。
スライド板570がスライド移動すると、スライド板570とともに挟持腕対560が移動する。
挟持腕対560によって外筒部530のフランジ531が転支されているので、挟持腕対560の移動に伴って外筒部530がスライド移動する。そして、外筒部530に中間シールロール540が固定的に設けられているので、外筒部530とともに中間シールロールがスライドし、その位置が変更される。
【0072】
このとき、挟持腕対560の先端には転動体562が設けられているので、挟持腕対560で外筒部530のフランジ531を挟んだ状態でも外筒部560の回転動作を阻害することがない。
したがって、下段回転軸部510が回転している最中でも外筒部530とともに中間シールロール540をスライドさせることができる。
例えば実際に稼働させてシール位置を確認しながら中間シールロール540の位置を微調整することもできる。
そして、位置が決まったらロックレバー594でスライド板570を固定する。
このとき挟持腕対560で外筒部530のフランジ531を挟持することにより外筒部530および中間シールロール540を動かないように位置決めすることができる。
この場合も挟持腕対560の先端に転動体562が設けられていることにより、下段回転軸部510の回転動作を阻害することなく外筒部530および中間シールロール540の位置決めを行うことができる。
【0073】
なお、一つのスライド板570に4つの挟持腕561がまとめて取り付けられているので、スライド板570が移動すると、手前側の中間シールロール540と奥側の中間シールロール540とは同じように移動する。
このようにして中間シールロール540の位置変更が実現される。
【0074】
このような本実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)先端シールロール430と中間シールロール540とはスライド移動可能であるので、幅が異なる包装袋の製造に対応することができる。
ここで、先端シールロール430は上段回転軸部410に設けられ、中間シールロール540は下段回転軸部510に設けられており、異なる回転軸に配設するようにしている。
このように、先端シールロール430と中間シールロール540とをスライド移動可能にし、かつ、独立にシール圧力を調整できるようにするために、先端シールロール430と中間シールロール540とは別々の回転軸部410、510に設けることとした。
これにより、各回転軸部(上段回転軸部410、下段回転軸部510)は両端支持にできるので各回転軸部410、510を安定に支持することができる。
また、回転軸部410、510を両端で軸支するので、個々の軸支部(支持基部601、604等)に必要とされる剛性を抑制することができ、軸支の安定を保ちつつ、全体の重量およびコストを低減することができる。
【0075】
(2)本実施形態では、縦シールユニット300を二段構成としているので段数は増えるが、上段回転軸部410と下段回転軸部510とは両端支持にできるので、各回転軸部410、510を安定に支えることは容易である。そして、縦シールユニット300を二段にしたことによる高さ増分は、ケース体201の強化で十分に対応できるので現実的であり、少なくとも従来技術のごとく複数のヒートシールロールを片持ち梁で支えることに比べれば重量増分やコスト増分は十分に抑制できる。
このように本実施形態の構成は、スライド移動可能な複数のヒートシールロール430、540を安定的に支持でき、かつ、重量、コストの増分を十分に抑制できるという効果を奏する。
【0076】
(3)本実施形態では、先端シールロール430は挟持腕対450で直接に挟んでスライド移動させるようにする一方、中間シールロール540は外筒部530と一体に移動するようにしている。
これにより、先端シールロール430を移動させる駆動手段480の配設位置と中間シールロール540を移動させるスライド操作部550の配設位置とをずらすことができる。
例えば、単純に中間シールロール540についても先端シールロール430と同じように挟持腕対で直接に挟持し、その直上にスライド体および直線案内機構を設けるとすると、中間シールロール540と先端シールロール430とで可動域が重複しているので配置がかなり難しい。
この点、本実施形態では、設計の自由度を高くでき無理のない配置構造が可能になっている。
【0077】
(4)自動包装装置200が稼働しているときには回転軸部410、510およびシールロール430、540はかなり高温になっているので直接に手や工具で掴んで動かすことは大変危険である。
この点、本実施形態では、操作ハンドル593またはモータ482の回転によって先端シールロール430および中間シールロール540の位置を変更できるので、安全であって操作性がよい。
【0078】
(5)高温状態でも先端シールロールおよび中間シールロールをスライド移動可能とするためには、シールロールを止めネジなどによる固定手段で回転軸に固定する構造は採用できないが、本実施形態では凸条キー411、521、534とキー溝533、542との係合によって回転軸部410、510の回転をシールロール430、540に伝達できるので止めネジ等の固着手段は必要としない。
そして、先端に転動体542、562を有する挟持腕対450、560によって回転中の外筒部530のフランジ531および先端シールロール430を転支しているので、稼働中の先端シールロール430および中間シールロール540の位置を固定することができる。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施形態において、基端シールロールはなくてもよい。あるいは、先端シールロールはなくてもよい。この場合でも幅の異なる袋の製造に対応できる。
【符号の説明】
【0080】
200…自動包装装置、201…ケース体、202…原反フィルム保持手段、203…原反フィルム保持軸、204…フィルム案内手段、205…案内ローラ、206…フィルム折り返し手段、207…充填ノズル、208…ノッチ形成部、209…横シールユニット、210…カッター装置、300…縦シールユニット、400…上段縦シール機構、410…上段回転軸部、411…凸条キー、412…ヘリカルギア、413…ヒーター、420…基端シールロール、430…先端シールロール、440…可動案内手段、450…挟持腕対、451…挟持腕、452…転動体、460…スライダ、461…下板、462…上板、463…連結部、470…直線案内機構、470…LMガイド、471…LMレール、472…LMブロック、480…駆動手段、481…ネジ軸、482…モータ、483…ナット、491…モータ、492…カップリング、500…下段縦シール機構、510…下段回転軸部、511…モータ、512…カップリング、513…ヘリカルギア、514…ヒーター、515…マイクロメータヘッド、516…保持桿、520…内軸部、521…凸条キー、530…外筒部、531…フランジ、532…中心孔、533…キー溝条、534…凸条キー、540…中間シールロール、541…中心孔、542…キー溝、542…転動体、550…スライド操作部、560…挟持腕対、561…挟持腕、562…転動体、570…スライド板、580…直線案内機構、580…LMガイド、581…LMレール、582…LMブロック、590…駆動手段、591…ネジ軸、592…ナット、593…操作ハンドル、594…ロックレバー、601…支持基部、602…ベース体、603…ガイド溝、604…支持基部、605…ベース板、606…支承板、F…フィルム、FR…原反フィルムロール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から下方に移送される帯状フィルムに対し横方向に互いの位置が異なる第1位置、第2位置および第3位置で縦ヒートシールし、前記第2位置および前記第3位置の変更を可能とすることにより包装袋の縦シール位置を変更できる自動包装装置の縦シール装置であって、
前記縦シール装置は、
前記第1位置および第2位置をヒートシールする第1縦シール機構と、
前記第1縦シール機構とは異なる高さに設けられ、前記第3位置でヒートシールする第2縦シール機構と、を備え、
前記第1縦シール機構は、
両端が回転可能に支承された第1回転軸部と、
前記第1回転軸部に固定的に設けられ前記第1位置をヒートシールする第1シールロールと、
前記第1回転軸部にスライド可能に設けられ前記第2位置をヒートシールする第2シールロールと、を備え、
前記第2縦シール機構は、
前記第1回転軸部とは異なる位置に設けられ両端が回転可能に支承された第2回転軸部と、
前記第2回転軸部にスライド移動可能に設けられ、前記第3位置をヒートシールする第3シールロールと、を備える
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動包装装置の縦シール装置において、
前記第2回転軸部は、内軸部と、前記内軸部に対してスライド可能に外嵌するとともにフランジを有する外筒部と、を備え、前記第3シールロールは、前記外筒部に固定的に設けられており、
前記縦シール装置は、さらに、前記外筒部を軸線に沿って平行にスライドさせるスライド操作部を備え、
前記スライド操作部は、
前記フランジを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対の先端に回転可能に軸支された転動体と、
前記外筒部のスライド方向と平行にスライド可能に設けられたスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記外筒部とともに前記第3シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記外筒部および第3シールロールの回転を許容しながら前記外筒部および第3シールロールの横方向位置を固定する
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動包装装置の縦シール装置において、
前記第2シールロールをスライド移動させる可動案内手段を備え、
前記可動案内手段は、
先端に転動体を回転可能に軸支しているとともに前記2シールロールを挟持してこの第2シールロールを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対が取り付けられるスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記第2シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記第2シールロールの回転を許容しながら前記第2シールロールの横方向位置を固定する
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の自動包装装置の縦シール装置において、
前記挟持腕対の挟持腕はU字形状であって、前記外筒部または前記第1回転軸部を避けつつ前記挟持腕対の先端に軸支された前記転動体が前記フランジまたは前記第2シールロールの直径相当位置に当接する
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【請求項1】
上方から下方に移送される帯状フィルムに対し横方向に互いの位置が異なる第1位置、第2位置および第3位置で縦ヒートシールし、前記第2位置および前記第3位置の変更を可能とすることにより包装袋の縦シール位置を変更できる自動包装装置の縦シール装置であって、
前記縦シール装置は、
前記第1位置および第2位置をヒートシールする第1縦シール機構と、
前記第1縦シール機構とは異なる高さに設けられ、前記第3位置でヒートシールする第2縦シール機構と、を備え、
前記第1縦シール機構は、
両端が回転可能に支承された第1回転軸部と、
前記第1回転軸部に固定的に設けられ前記第1位置をヒートシールする第1シールロールと、
前記第1回転軸部にスライド可能に設けられ前記第2位置をヒートシールする第2シールロールと、を備え、
前記第2縦シール機構は、
前記第1回転軸部とは異なる位置に設けられ両端が回転可能に支承された第2回転軸部と、
前記第2回転軸部にスライド移動可能に設けられ、前記第3位置をヒートシールする第3シールロールと、を備える
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動包装装置の縦シール装置において、
前記第2回転軸部は、内軸部と、前記内軸部に対してスライド可能に外嵌するとともにフランジを有する外筒部と、を備え、前記第3シールロールは、前記外筒部に固定的に設けられており、
前記縦シール装置は、さらに、前記外筒部を軸線に沿って平行にスライドさせるスライド操作部を備え、
前記スライド操作部は、
前記フランジを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対の先端に回転可能に軸支された転動体と、
前記外筒部のスライド方向と平行にスライド可能に設けられたスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記外筒部とともに前記第3シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記フランジを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記外筒部および第3シールロールの回転を許容しながら前記外筒部および第3シールロールの横方向位置を固定する
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動包装装置の縦シール装置において、
前記第2シールロールをスライド移動させる可動案内手段を備え、
前記可動案内手段は、
先端に転動体を回転可能に軸支しているとともに前記2シールロールを挟持してこの第2シールロールを挟持する挟持腕対と、
前記挟持腕対が取り付けられるスライド体と、を備え、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体をスライドさせることにより前記第2シールロールをスライド移動させ、
前記挟持腕対が前記転動体を介して前記第2シールロールを転支した状態で前記スライド体を固定することにより、前記第2シールロールの回転を許容しながら前記第2シールロールの横方向位置を固定する
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の自動包装装置の縦シール装置において、
前記挟持腕対の挟持腕はU字形状であって、前記外筒部または前記第1回転軸部を避けつつ前記挟持腕対の先端に軸支された前記転動体が前記フランジまたは前記第2シールロールの直径相当位置に当接する
ことを特徴とする自動包装装置の縦シール装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−140319(P2011−140319A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1088(P2010−1088)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 社団法人 日本包装機械工業会が主催する2009年10月20日(火)〜23日(金)開催の2009日本国際包装機械展(ジャパンパック2009)において発表
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 社団法人 日本包装機械工業会が主催する2009年10月20日(火)〜23日(金)開催の2009日本国際包装機械展(ジャパンパック2009)において発表
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】
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