説明

自動変速機の制御装置

【課題】電磁バルブのバルブの移動方向に対して車両に加速度が作用している場合であっても、電磁バルブを精度良く駆動して、自動変速機の制御性をより向上させる。
【解決手段】スプールの移動方向が車両の左右方向となるようリニアソレノイドが配置された自動変速機において、車輪速Vr,Vlに基づいて車両の左右加速度aを演算し(S310)、演算した左右加速度aに基づいて加速度補正値Paccを設定する(S320)。そして、変速する際には、設定した加速度補正値Paccを上乗せした油圧指令を設定し、設定した油圧指令に基づいて対応するリニアソレノイドバルブを駆動制御する。これにより、車両の走行状態(左右加速度)に拘わらず、クラッチやブレーキの油圧室に作用させる油圧に過不足が生じることがなく、自動変速機の制御性をより向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、電磁力によりバルブを駆動する電磁バルブが組み込まれた自動変速機を制御する自動変速機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動変速機の制御装置としては、プラネタリーギヤユニットと、リニアソレノイドバルブが組み込まれた油圧回路とを備える有段変速機を制御するもの提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、出力油圧の指令圧と実際の出力油圧との差を予め特性値として予め記憶しておき、出力油圧の指令圧が与えられたときに、特性値を読み出して指令圧を補正することにより、出力油圧を精度良く制御することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−125435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した装置では、出力油圧の精度を向上させることができるものの、車両が加減速を伴って走行している場合については考慮されていない。リニアソレノイドバルブのバルブ(スプール)の移動方向に対して車両が加減速を伴って走行している場合、リニアソレノイドバルブのバルブにはバルブの移動方向の加速度に応じた力が作用するため、油圧指令に従ってリニアソレノイドに電磁力を発生させても、実際にバルブに作用する力は油圧指令に対応するものとはならず、出力油圧の精度が悪化する場合が生じる。
【0005】
本発明の自動変速機の制御装置は、電磁バルブのバルブの移動方向に対して車両に加速度が作用している場合であっても、電磁バルブを精度良く駆動して、自動変速機の制御性をより向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動変速機の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の自動変速機の制御装置は、
車両に搭載され、電磁力によりバルブを駆動する電磁バルブが組み込まれた自動変速機を制御する自動変速機の制御装置であって、
前記バルブの移動方向に対して前記車両に作用している加速度を取得する加速度取得部と、
前記取得された加速度に基づいて前記電磁バルブを駆動するための駆動指令値を補正する指令値補正部と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の自動変速機の制御装置では、バルブの移動方向に対して車両に作用している加速度を取得し、取得した加速度に基づいて電磁バルブを駆動するための駆動指令値を補正する。これにより、バルブの移動方向に対して車両に加速度が作用している場合であっても、バルブの駆動を精度良く行なうことができる。この結果、自動変速機の制御性をより向上させることができる。ここで、「電磁バルブ」は、自動変速機が備える摩擦係合要素の油圧室に作用させる油圧を調圧するためのバルブであるものとすることもできる。
【0009】
こうした本発明の自動変速機の制御装置において、前記指令値補正部は、前記バルブの移動方向に対して前記車両に作用している加速度により該バルブに作用する力が電磁力の増減によって相殺される方向に前記駆動指令値を補正するものとすることもできる。こうすれば、補正後の駆動指令値に基づいて電磁バルブを駆動すると、バルブに作用する力は車両の加速度分が相殺されて補正前の駆動指令値に対応するものとなるから、車両に作用している加速度に拘わらず電磁バルブの駆動を精度良く行なうことができる。この態様の本発明の自動変速機の制御装置において、前記指令値補正部は、前記取得された加速度が電磁力の作用する方向と同方向の場合には該加速度の絶対値が大きいほど小さくなる傾向に前記駆動指令値を補正し、前記取得された加速度が電磁力の方向と逆方向の場合には該加速度の絶対値が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動指令値を補正するものとすることもできる。
【0010】
また、本発明の自動変速機の制御装置において、前記電磁バルブは、前記バルブの移動方向が前記車両の前後方向に直交する左右方向となるよう配置され、前記加速度取得部は、前記車両に作用している左右方向の加速度を取得するものとすることもできる。この場合、前記加速度取得部は、前記車両が旋回している最中の内輪の回転速度と外輪の回転速度とに基づいて左右方向の加速度を演算するものとすることもできる。こうすれば、左右方向の加速度を取得するために別途センサを設ける必要がない。
【0011】
さらに、本発明の自動変速機の制御装置において、前記電磁バルブは、前記バルブの移動方向が前記車両の前後方向となるよう配置され、前記加速度取得部は、前記車両に作用している前後方向の加速度を取得するものとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】自動車10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】変速機構30の構成の概略を示す構成図である。
【図3】変速機構30の作動表である。
【図4】油圧回路40の構成の概略を示す構成図である。
【図5】リニアソレノイドバルブの配置の様子を説明する説明図である。
【図6】開放制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図7】係合制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図8】加速度補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】左右加速度Accと加速度補正量Paccとの関係の一例を示すマップである。
【図10】ダウンシフト変速時における実施例のタービン回転速度と油圧指令Pda*,Pdd*の時間変化の様子を示す説明図である。
【図11】ダウンシフト変速時における比較例のタービン回転速度と油圧指令Pda*,Pdd*の時間変化の様子を示す説明図である。
【図12】左右加速度Accと加速度補正量Paccとの関係の一例を示すマップである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0014】
図1は自動変速機20を備える自動車10の構成の概略を示す構成図であり、図2は変速機構30の構成の概略を示す構成図であり、図3は変速機構30の作動表である。
【0015】
実施例の自動車10は、図1に示すように、フロントエンジンリアドライブ(FR)型の自動車として構成されており、クランクシャフト15の軸方向が車両の前後方向となるよう縦置き配置されたエンジン12と、エンジン12を運転制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)14と、エンジン12のクランクシャフト15に接続されると共に左右の車輪19a,19bにデファレンシャルギヤ18を介して連結された駆動軸16に接続されてエンジン12からの動力を変速して駆動軸16に伝達する自動変速機20と、自動変速機20を制御する自動変速機用電子制御ユニット(以下、ATECUという)28と、車両全体を制御するメイン電子制御ユニット(以下、メインECUという)50とを備える。なお、本発明の自動変速機の制御装置は、ATECU28が該当する。
【0016】
エンジンECU18は、詳細に図示しないが、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。このエンジンECU18には、クランクシャフト15に取り付けられた図示しない回転速度センサなどのエンジン12を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されており、エンジンECU18からは、スロットル開度を調節するスロットルモータへの駆動信号や燃料噴射弁への制御信号,点火プラグへの点火信号,エンジン12をクランキングする図示しないスタータモータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。エンジンECU14は、メインECU50と通信しており、メインECU50からの制御信号によってエンジン12を制御したり、必要に応じてエンジン12の運転状態に関するデータをメインECU50に出力する。
【0017】
自動変速機20は、エンジン12からの動力を駆動軸16に伝達するトランスアクスル装置として構成されており、エンジン12のクランクシャフト15に接続された入力側のポンプインペラ22aと出力側のタービンランナ22bとからなるロックアップクラッチ付きのトルクコンバータ22と、トルクコンバータ22のタービンランナ22b側に接続された入力軸36と駆動軸16に接続された出力軸38とを有し入力軸36に入力された動力を変速して出力軸38に出力する有段の変速機構30(図2参照)と、複数のリニアソレノイドが組み込まれ変速機構30を駆動する油圧駆動のアクチュエータとしての油圧回路40と、を備える。
【0018】
変速機構30は、図2に示すように、ダブルピニオン式の遊星歯車機構30aとシングルピニオン式の二つの遊星歯車機構30b,30cと三つのクラッチC1,C2,C3と四つのブレーキB1,B2,B3,B4と三つのワンウェイクラッチF1,F2,F3とを備える。ダブルピニオン式の遊星歯車機構30aは、外歯歯車としてのサンギヤ31aと、このサンギヤ31aと同心円上に配置された内歯歯車としてのリングギヤ32aと、サンギヤ31aに噛合する複数の第1ピニオンギヤ33aと、この第1ピニオンギヤ33aに噛合すると共にリングギヤ32aに噛合する複数の第2ピニオンギヤ34aと、複数の第1ピニオンギヤ33aおよび複数の第2ピニオンギヤ34aとを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア35aとを備え、サンギヤ31aはクラッチC3を介して入力軸36に接続されると共にワンウェイクラッチF2を介して接続されたブレーキB3のオンオフによりその回転を自由にまたは一方向に規制できるようになっており、リングギヤ32aはブレーキB2のオンオフによりその回転を自由にまたは固定できるようになっており、キャリア35aはワンウェイクラッチF1によりその回転を一方向に規制されると共にブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは固定できるようになっている。シングルピニオン式の遊星歯車機構30bは、外歯歯車のサンギヤ31bと、このサンギヤ31bと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32bと、サンギヤ31bに噛合すると共にリングギヤ32bに噛合する複数のピニオンギヤ33bと、複数のピニオンギヤ33bを自転かつ公転自在に保持するキャリア35bとを備え、サンギヤ31bはクラッチC1を介して入力軸36に接続されており、リングギヤ32bはダブルピニオン式の遊星歯車機構30aのリングギヤ32aに接続されると共にブレーキB2のオンオフによりその回転を自由にまたは固定できるようになっており、キャリア35bはクラッチC2を介して入力軸36に接続されると共にワンウェイクラッチF3によりその回転を一方向に規制できるようになっている。また、シングルピニオン式の遊星歯車機構30cは、外歯歯車のサンギヤ31cと、このサンギヤ31cと同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32cと、サンギヤ31cに噛合すると共にリングギヤ32cに噛合する複数のピニオンギヤ33cと、複数のピニオンギヤ33cを自転かつ公転自在に保持するキャリア35cとを備え、サンギヤ31cはシングルピニオン式の遊星歯車機構30bのサンギヤ31bに接続されており、リングギヤ32cはシングルピニオン式の遊星歯車機構30bのキャリア35bに接続されると共にブレーキB4のオンオフによりその回転を自由にまたは固定できるようになっており、キャリア35cは出力軸38に接続されている。
【0019】
変速機構30は、図3の作動表に示すように、クラッチC1〜C3のオンオフ(係合と開放)とブレーキB1〜B4のオンオフにより前進1速〜5速と後進とニュートラルとを切り替えることができるようになっている。前進1速の状態、即ち入力軸36の回転を最も大きな減速比で減速して出力軸38に伝達する状態は、クラッチC1をオンとすると共にクラッチC2,C3とブレーキB1〜B4とをオフとすることにより形成することができる。この前進1速の状態では、エンジンブレーキ時には、ブレーキB4をオンとすることにより、ワンウェイクラッチF3に代えてリングギヤ32cの回転が固定される。前進2速の状態は、クラッチC1とブレーキB3とをオンとすると共にクラッチC2,C3とブレーキB1,B2,B4とをオフとすることにより形成することができる。この前進2速の状態では、エンジンブレーキ時には、ブレーキB2をオンとすることにより、ワンウェイクラッチF1およびワンウェイクラッチF2に代えてリングギヤ32aおよびリングギヤ32bの回転が固定される。前進3速の状態は、クラッチC1,C3とブレーキB3とをオンとすると共にクラッチC2とブレーキB1,B2,B4とをオフとすることにより形成することができる。前進4速の状態は、クラッチC1〜C3とブレーキB3とをオンとすると共にブレーキB1,B2,B4をオフとすることにより形成することができる。前進5速の状態、即ち入力軸36の回転を最も小さな減速比で減速(増速)して出力軸38に伝達する状態は、クラッチC2,C3とブレーキB1,B3とをオンとすると共にクラッチC1とブレーキB2,B4とをオフとすることにより形成することができる。また、変速機構30では、ニュートラルの状態、即ち入力軸36と出力軸38との切り離しは、すべてのクラッチC1〜C3とブレーキB1〜B4とをオフとすることにより行なうことができる。また、後進の状態は、クラッチC3とブレーキB4とをオンとすると共にクラッチC1,C2とブレーキB1〜B3をオフとすることにより形成することができる。
【0020】
変速機構30におけるクラッチC1〜C3のオンオフとブレーキB1〜B4のオンオフは、油圧回路40により行なわれる。図4は、油圧回路40の構成の概略を示す構成図である。油圧回路40は、図4に示すように、エンジン12からの動力を用いてストレーナ42から作動油を吸引して圧送する機械式オイルポンプ44と、機械式オイルポンプ44から圧送された作動油の圧力(ライン圧PL)を調節するレギュレータバルブ46と、ライン圧PLから図示しないモジュレータバルブを介して生成されるモジュレータ圧PMODを調圧して信号圧として出力することによりレギュレータバルブ46を駆動するリニアソレノイドSLTと、ライン圧PLを入力する入力ポート48aとD(ドライブ)ポジション用出力ポート48bとR(リバース)ポジション用出力ポート48cなどが形成されシフトレバー52の操作に連動して各ポートの連通と遮断とを行なうマニュアルバルブ48と、マニュアルバルブ48のDポジション用ポート48bからの油圧を調圧して対応するクラッチC1〜C3,ブレーキB1の各油圧室に出力するリニアソレノイドSLC1,SLC2,SLC3,SLB1などにより構成されている。なお、図4では、クラッチC1〜C3,B1以外の他のブレーキB2〜B4の油圧系については図示していないが、これらの油圧系についても同様に周知のリニアソレノイドなどを用いて構成することができる。
【0021】
図5に、車両におけるリニアソレノイドSLC1〜SLC3,SLB1の配置の様子を示す。リニアソレノイドSLC1は、電磁コイル61aに電流を印加してプランジャ(可動子)61bをコア(固定子)61cに吸引することによりシャフト61dを押し出すソレノイド部61と、入力ポート62aと出力ポート62bとドレンポート62cとが形成されたスリーブ62と、スリーブ62内に摺動自在に挿入されシャフト61dに連動して移動するスプール63と、ソレノイド部61の駆動の方向とは逆方向にスプール64を付勢するスプリング64とを備える。このリニアソレノイドSLC1は、電磁コイル61aへの通電をオフしたときに、スプリング64の付勢力によりスプール63がソレノイド部61に近づく方向に移動して閉弁(入力ポート62aと出力ポート62bとの連通を遮断)し、電磁コイル61aへの通電をオンしたときに、スプリング64の付勢力に打ち勝つ力でシャフト61d(プランジャ61b)が駆動されてスプール63がソレノイド部61から離れる方向に移動して開弁(入力ポート62aと出力ポート62bとを連通)するノーマルクローズ型のリニアソレノイドバルブとして構成されている。このリニアソレノイドSLC1は、図5に示すように、スプール63の移動方向が車両の左右方向となるよう横向きに配置、実施例では、ソレノイド部61からの電磁力の方向が車両の右方向となるよう配置されている。なお、リニアソレノイドSLC1以外のリニアソレノイドSLC2〜SLC3,SLB1についてもリニアソレノイドSLC1と同様に構成されており、ソレノイド部からの電磁力の方向が車両の右方向となるよう横向きに配置されている。
【0022】
実施例の自動変速機の制御装置であるATECU28は、詳細には図示しないが、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。ATECU28には、入力軸36に取り付けられた回転速度センサ24からのタービン回転速度Ninや出力軸38に取り付けられた回転速度センサ26からの出力軸回転速度Noutなどが入力ポートを介して入力されており、ATECU28からは、自動変速機20を制御するためのリニアソレノイドSLC1〜SLC3,SLB1を含む各種ソレノイドへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ATECU28は、メインECU50と通信しており、メインECU50からの制御信号によって自動変速機20を制御したり、必要に応じて自動変速機20の状態に関するデータをメインECU50に出力する。
【0023】
メインECU50は、詳細には図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備える。メインECU50には、イグニッションスイッチ51からのイグニッション信号,シフトレバー52の操作位置を検出するシフトポジションセンサ53からのシフトポジションSP,アクセルペダル54の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ55からのアクセル開度,ブレーキペダル56の踏み込みを検出するブレーキスイッチ57からのブレーキスイッチ信号,車速センサ58からの車速V,車輪19a,19bにそれぞれ取り付けられた車輪速センサ59a,59bからの車輪回転数Nr,Nlなどが入力ポートを介して入力されている。また、メインECU50は、エンジンECU14やATECU28と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU14やATECU28と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0024】
次に、こうして構成された自動車20が搭載する自動変速機20の動作、特に、車両が旋回している最中の自動変速機20の動作について説明する。ここでは、自動変速機20の動作を、前進5速で走行している状態から前進4速にダウンシフトする場合、即ち、図3の作動表に示すように、クラッチC2,C3とブレーキB1,B3を係合している状態からブレーキB1を開放すると共にクラッチC1を係合する場合を例として説明する。勿論、前進5速から前進4速へのダウンシフトに限られず、他の変速段間のダウンシフト変速に適用することもできるし、アップシフト変速に適用することもできる。図6は、開放制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図7は、係合制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。開放制御ルーチンと係合制御ルーチンは、前述したダウンシフト変速が指示されたときに、並行して実行される。図6の開放制御ルーチンでは、定圧待機用のベース油圧Pddbasと油温補正値Pddtmpと加速度補正値Paccと油圧学習値Gpddとの和を、開放するブレーキB1の油圧室に作用させる油圧の指令値である油圧指令Pdd*に設定して対応するリニアソレノイドバルブSLB1を駆動制御する定圧待機制御を実行し(ステップS100)、定圧待機時間として予め定められた時間T1が経過するのを待って(ステップS110)、油圧指令Pdd*を徐々に減圧してリニアソレノイドバルブSLB1を駆動制御するスイープドレン制御を実行して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。一方、図7の係合制御ルーチンでは、予め定められた所定のクイックアプライ用油圧Pqaと油温補正値Pdatmpと加速度補正値Paccとの和を、係合するクラッチC1の油圧室に作用させる油圧の指令値である油圧指令Pda*に設定して対応するリニアソレノイドバルブSLC1を駆動制御するクイックアプライ制御を実行し(ステップS200)、クイックアプライ時間として予め定められた時間T2が経過するのを待って(ステップS210)、定圧待機用のベース油圧Pdabasと油温補正値Pdatmpと加速度補正値Paccと油圧学習値Gpdaとの和を油圧指令Pda*に設定してリニアソレノイドバルブSLC1を駆動制御する定圧待機制御を実行する(ステップS220)。そして、イナーシャ相が開始されると(ステップS230)、油圧指令Pda*を徐々に増圧してリニアソレノイドバルブSLC1を駆動制御するスイープアプライ制御を実行し(ステップS240)、クラッチC1の係合が完了したときに(ステップS250)、クラッチC1の油圧室に作用させる油圧を最大として(ステップS260)、本ルーチンを終了する。ここで、ベース油圧Pddbas,Pdabasは、車速センサ58からの車速Vが高いほど大きくなるように設定することができる。また、油温補正値Pddtmp,Pdatmpは、油圧回路40内の作動油の温度(油温)が適温から外れるほど高くなるように設定することができる。さらに、油圧学習値Gpda,Gpddは、変速の際の目標ギヤ比と実ギヤ比との偏差が所定範囲内に収まるように補正値を求め、これを次回の変速の際に用いる学習値とすることができる。加速度補正値Paccは、図8の加速度補正値設定ルーチンにより設定されたものを用いることができる。以下、加速度補正値設定ルーチンの詳細について説明する。
【0025】
加速度補正値設定ルーチンでは、車輪速センサ59a,59bにより検出された車輪回転数Nr,NlをメインECU50から通信により入力し(ステップS300)、入力した車輪回転数Nr,Nlに基づいて左右加速度aを演算する(ステップS310)。ここで、左右加速度aは、車両が旋回しているときの内輪(車輪19a,19bのうち車輪回転数が低い方の車輪)の回転数(rpm/sec)を「N1」とし、外輪(車輪19a,19bのうち車輪回転数が高い方の車輪)の回転数(rpm/sec)を「N2」とし、車輪19a,19bのタイヤ半径(m)を「r」とし、内輪の中心と外輪の中心との中心間距離(m)を「K」とすると、次式(1)により演算することができる。
【0026】
【数1】

【0027】
いま、車両が旋回している場合を考える。この場合、内輪の旋回半径(m)を「R1」とし、外輪の旋回半径(m)を「R2」とし、内輪の回転速度(m/sec)を「V1」とし、外輪の回転速度(m/sec)を「V2」とすると、内輪の旋回半径R1は、内輪の旋回半径R1と回転速度V1との比が外輪の旋回半径R2と回転速度V2との比と等しくなる関係を用いて、次式(2)により計算することができる。外輪の旋回半径R2は、外輪の旋回半径R2と内輪の旋回半径R1に中心間距離Kを加えたものとが等しくなる関係を用いて、次式(3)により計算することができる。また、車両重心の旋回半径を「R’」とし、車両重心の速度を「V’」とすると、車両重心の旋回半径R’は、内輪の旋回半径R1と外輪の旋回半径R2との和を値2で割った次式(4)により計算することができ、車両重心の速度V’は、内輪の回転速度V1と外輪の回転速度V2との和を値2で割った次式(5)により計算することができる。なお、内輪の回転速度V1は内輪の回転数N1にタイヤ半径rと2πとを乗じた次式(6)により得ることができ、外輪の回転速度V2は外輪の回転数N2にタイヤ半径rと2πとを乗じた次式(7)により得ることができる。また、車両重心の旋回半径R’は、式(6)と式(7)から内輪の回転数N1と外輪の回転数N2とを用いて次式(8)により計算することもできる。以上から、車両が受ける左右加速度(遠心力)aは、車両重心の速度V’の2乗を車両重心の旋回半径R’で割ったものに式(5)および式(8)を適用することにより、次式(9)(式(1))を得ることができる。
【0028】
【数2】

【0029】
こうして左右加速度aを演算すると、演算した左右加速度aに基づいて加速度補正値Paccを設定して(ステップS320)、本ルーチンを終了する。ここで、加速度補正値Paccは、実施例では、左右加速度aと加速度補正値Paccとの関係を予め求めてマップとしてATECU28の図示しないROMに記憶しておき、左右加速度aが与えられると、マップから対応する加速度補正値Paccを導出することにより設定するものとした。このマップの一例を図9に示す。前述したように、リニアソレノイドバルブSLC1(リニアソレノイドバルブSLB1も同様)は、スプール63の移動方向が車両の左右方向となるよう横向きに配置されているから、スプール63(プランジャも含む)にはその質量と左右加速度aとを乗じた強さの力が作用する。この力は、リニアソレノイドバルブSLC1がソレノイド部61からの電磁力の方向が車両の右方向となるよう配置されていることから、車両加速度が右方向に作用しているとき(左旋回時)には、電磁力をアシストする力となり、車両加速度が左方向に作用しているとき(右旋回時)には、電磁力を打ち消す力となる。したがって、加速度補正値Paccは、左右加速度aに起因してスプール63に作用する力を電磁力の増減によって相殺するために、図9に示すように、左右加速度aが値0よりも大きいとき(右方向の加速度)には大きいほど小さくし、左右加速度aが値0よりも小さいとき(左方向の加速度)には小さいほど大きくしているのである。
【0030】
図10は、ダウンシフト変速時における実施例のタービン回転速度と油圧指令Pda*,Pdd*の時間変化の様子を示す説明図であり、図11は、ダウンシフト変速時における比較例のタービン回転速度と油圧指令Pda*,Pdd*の時間変化の様子を示す説明図である。図10および図11では、車両の右旋回によりリニアソレノイドバルブSLC1,SLB1のスプールに左方向(電磁力を打ち消す方向)の加速度が作用している状態でダウンシフト変速する場合を示した。なお、図10および図11中の実線は油圧指令を示し、点線は実油圧を示す。実施例では、時刻t11にダウンシフト変速が指示されると、開放するブレーキB1については、時刻t11〜t12の定圧待機制御と時刻t12〜t16のスイープドレン制御とに対してプラスの値の加速度補正値Paccを反映させた油圧指令Pdd*を設定して対応するリニアソレノイドバルブSLB1を制御し、係合するクラッチC1については、時刻t13〜t14のクイックアプライ制御と時刻t14〜t15の定圧待機制御と時刻t15〜t17のスイープアプライ制御とに対してプラスの値の加速度補正値Paccを反映させた油圧指令Pda*を設定して対応するリニアソレノイドバルブSLC1を制御する。このように、実施例では、油圧指令Pdd*,Pda*に加速度補正値Paccが上乗せされ、この加速度補正値Paccによって増加した電磁力により左右加速度aに起因してスプールに作用する力が相殺される。一方、比較例では、開放するブレーキB1における時刻t21〜t22の定圧待機制御や時刻t22〜t25のスイープドレン制御、係合するクラッチC1における時刻t23〜t24のクイックアプライ制御や時刻t24〜t26の定圧待機制御,時刻t26〜t27のスイープアプライ制御のいずれも油圧指令Pda*,Pdd*に加速度補正値Pacc分を含まないため、左右加速度aに起因してスプールに作用する力により電磁力の一部が打ち消され、目標とする油圧に対して実際に出力される油圧が小さくなる。このため、ブレーキB1は開放され易く、クラッチC1は係合され難くなるから、ブレーキB1とクラッチC1のつかみ替えの際にタービン回転速度がアンダーシュートし、変速ショックが生じたり、変速に長時間を要したりする。
【0031】
以上説明した実施例の自動変速機の制御装置によれば、スプールの移動方向が車両の左右方向となるようリニアソレノイドが配置された自動変速機20において、車両の左右加速度aを演算し、演算した左右加速度aに基づいて加速度補正値Paccを設定し、設定した加速度補正値Paccを上乗せした油圧指令を設定し、設定した油圧指令に基づいて対応するリニアソレノイドバルブを駆動制御するから、車両の走行状態(左右加速度)に拘わらず、クラッチやブレーキの油圧室に作用させる油圧に過不足が生じることがなく、自動変速機20の制御性をより向上させることができる。
【0032】
実施例の自動変速機の制御装置では、リニアソレノイドバルブをソレノイド部からの電磁力の方向が車両の右方向となるよう横置きするものとしたが、電磁力の方向が車両の左方向となるよう横置きするものとしてもよい。この場合、加速度補正値Paccとしては、左右加速度aに対する加速度補正値Paccの符号を図9のマップから反転させた図12のマップを用いて設定することができる。
【0033】
実施例の自動変速機の制御装置では、車輪速センサ59a,59bにより検出された車輪回転数Nr,Nlに基づいて式(1)を用いて左右加速度aを演算するものとしたが、加速度センサを検出方向が車両の左右方向となるよう取り付けるものとし、この加速度センサにより左右加速度aを直接に検出するものとしてもよい。
【0034】
実施例の自動変速機の制御装置では、リニアソレノイドバルブSLC1〜SLC3,SLB1を、スプールの移動方向が車両の左右方向となるよう横置きするものとしたが、スプールの移動方向が車両の前後方向となるよう縦置きするものとしてもよい。この場合、リニアソレノイドバルブSLC1〜SLC3,SLB1を、ソレノイド部からの電磁力の方向が車両の前方となるよう配置するものとしてもよいし、電磁力の方向が車両の後方となるよう配置するものとしてもよい。加速度補正値Paccとしては、前者の場合には、図9のマップの左右加速度aを前後加速度(前方がプラスで後方がマイナス)に置き換えたマップを用いて設定することができ、後者の場合には、図12のマップの左右加速度aを前後加速度に置き換えたマップを用いて設定することができる。なお、車両の前後方向の加速度は、加速度センサを用いて直接に検出するものとしてもよいし、車速センサ58からの車速Vや車輪速センサ59a,59bからの車輪回転数Vr,Vlを微分することにより演算により導出するものとしてもよい。
【0035】
実施例やその変形例では、リニアソレノイドバルブSLC1〜SLC3,SLB1を、スプールの移動方向が車両の左右方向や前後方向となるよう配置するものとしたが、スプールの移動方向が車両の左右方向や前後方向に対して傾斜するよう配置するものとしてもよい。この場合、加速度補正値Paccとしては、車両の左右加速度および前後加速度を前述した手法のいずれかにより取得し、取得した左右加速度と前後加速度とリニアソレノイドバルブの傾斜角とに基づいて傾斜角の方向の加速度ベクトルを導出し、導出した加速度ベクトルに基づいて図9や図12と同様のマップを適用することにより設定することができる。
【0036】
実施例やその変形例では、リニアソレノイドバルブSLC1〜SLC3,SLB1を同じ方向に配置するものとしたが、それぞれ異なる方向に配置するものとしてもよい。この場合、加速度補正値Paccとしては、配置された方向の加速度をリニアソレノイドバルブ毎に取得し、取得した加速度に基づいて図9や図12のマップと同様のマップを適用することによりソレノイドバルブ毎に設定するものとすればよい。
【0037】
実施例やその変形例では、車両加速度(左右加速度,前後加速度,加速度ベクトル)と加速度補正値Paccとの関係を予め求めてマップ化しておき、車両加速度に基づいてマップから加速度補正値Paccを導出するものとしたが、車両加速度とスプール(プランジャも含む)の質量との積により車両加速度によってスプールに作用する力を演算し、演算した力に基づいてその力が電磁力の増減によって相殺されるように加速度補正値Paccを演算により設定するものとしてもよい。
【0038】
実施例の自動変速機の制御装置では、加速度補正値Paccを、自動変速機20がダウンシフト変速する場合のクラッチ(ブレーキ)に対する油圧指令の補正に用いるものとしたが、アップシフト変速する場合のクラッチ(ブレーキ)に対する油圧指令の補正に用いるものとしてもよい。また、上述した変速の場合以外であっても、クラッチ(ブレーキ)に油圧指令が設定される如何なる場面にも適用可能である。例えば、エンジン12が運転中で車速Vが値0,アクセルオフ,ブレーキオンなどの条件が成立したときに、発進用のクラッチC1のピストンストロークがストロークエンド圧付近で保持されるよう油圧指令を設定してリニアソレノイドバルブSLC1を制御するニュートラル制御や、自動停止機能(アイドリングストップ機能)付きのエンジンを備える車両において、エンジンの自動停止時に発進用のクラッチC1のピストンストロークがストロークエンド圧付近で保持されるよう油圧指令を設定してリニアソレノイドSLC1を制御する自動停止制御などに適用するものとしてもよい。
【0039】
実施例では、本発明をフロントエンジンリアドライブ(FR)型の車両に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、フロントエンジンフロントドライブ(FF)型の車両に適用したり、リアエンジンリアドライブ(RR)型の車両に適用するなど、如何なる駆動タイプの車両に適用するものとしてもよい。これらのいずれのタイプの車両であっても、リニアソレノイドバルブのスプールの移動方向に対して車両に作用する加速度を取得し、取得した加速度に基づいて加速度補正値Paccを設定すればよい。
【0040】
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、自動変速機20が「自動変速機」に相当し、リニアソレノイドバルブSLC1〜SLC3,SLB1などが「電磁バルブ」に相当し、図8の加速度補正値設定ルーチンを実行するATECU28が「加速度取得部」に相当し、図6の開放制御ルーチンや図7の係合制御ルーチンを実行するATECU28が「指令値補正部」に相当する。「自動変速機」としては、前進1速〜5速の5段変速の変速機構30を備えるものに限定されるものではなく、4段変速や6段変速,8段変速など、如何なる段数の変速機構を備えるものとしても構わない。「電磁バルブ」としては、ライン圧PLから最適なクラッチ圧を生成してクラッチやブレーキをダイレクトに制御するダイレクト制御用のリニアソレノイドバルブとして構成するものとしたが、リニアソレノイドをパイロット制御用のリニアソレノイドとして用いて別途コントロールバルブを駆動することによりこのコントロールバルブによりクラッチ圧を生成してクラッチやブレーキを制御するものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである
【0041】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、自動変速機の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 自動車、12 エンジン、、14 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、15 クランクシャフト、16 駆動軸、18 デファレンシャルギヤ、19a,19b 車輪、20 自動変速機、22 トルクコンバータ、22a ポンプインペラ、22b タービンランナ、24,26 回転速度センサ、28 変速機構用電子制御ユニット(ATECU)、30 変速機構、30a ダブルピニオン式の遊星歯車機構、30b,30c シングルピニオン式の遊星歯車機構、31a,31b,31c サンギヤ、32a,32b,32c リングギヤ、33a 第1ピニオンギヤ、33b,33c ピニオンギヤ、34a 第2ピニオンギヤ、35a,35b,35c キャリア,36 入力軸、38 出力軸、40 油圧回路、42 ストレーナ、44 機械式オイルポンプ、46 レギュレータバルブ、48 マニュアルバルブ、48a 入力ポート、48b Dポジション用出力ポート、48c Rポジション用出力ポート、50、メイン電子制御ユニット(メインECU)、51 イグニッションスイッチ、52 シフトレバー、53 シフトポジションセンサ、54 アクセルペダル、55 アクセルペダルポジションセンサ、56 ブレーキペダル、57 ブレーキスイッチ、58 車速センサ、59a,59b 車輪速センサ、61 ソレノイド部、61a 電磁コイル、61b プランジャ、61c コア、61d シャフト、62 スリーブ、62a 入力ポート、62b 出力ポート、62c ドレンポート、63 スプール、64 スプリング、C1〜C3 クラッチ、B1〜B4 ブレーキ、F1〜F3 ワンウェイクラッチ、SLC1〜SLC3,SLB1,SLT リニアソレノイドバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、電磁力によりバルブを駆動する電磁バルブが組み込まれた自動変速機を制御する自動変速機の制御装置であって、
前記バルブの移動方向に対して前記車両に作用している加速度を取得する加速度取得部と、
前記取得された加速度に基づいて前記電磁バルブを駆動するための駆動指令値を補正する指令値補正部と
を備えることを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動変速機の制御装置であって、
前記指令値補正部は、前記バルブの移動方向に対して前記車両に作用している加速度により該バルブに作用する力が電磁力の増減によって相殺される方向に前記駆動指令値を補正する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の自動変速機の制御装置であって、
前記指令値補正部は、前記取得された加速度が電磁力の作用する方向と同方向の場合には該加速度の絶対値が大きいほど小さくなる傾向に前記駆動指令値を補正し、前記取得された加速度が電磁力の方向と逆方向の場合には該加速度の絶対値が大きいほど大きくなる傾向に前記駆動指令値を補正する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項4】
請求項1なしい3いずれか1項に記載の自動変速機の制御装置であって、
前記電磁バルブは、前記バルブの移動方向が前記車両の前後方向に直交する左右方向となるよう配置され、
前記加速度取得部は、前記車両に作用している左右方向の加速度を取得する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の自動変速機の制御装置であって、
前記加速度取得部は、前記車両が旋回している最中の内輪の回転速度と外輪の回転速度とに基づいて左右方向の加速度を演算する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の自動変速機の制御装置であって、
前記電磁バルブは、前記バルブの移動方向が前記車両の前後方向となるよう配置され、
前記加速度取得部は、前記車両に作用している前後方向の加速度を取得する
ことを特徴とする自動変速機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−251614(P2012−251614A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125431(P2011−125431)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】