自動小児除細動器
成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置(10)。この装置は、救助者にプロンプトを与え患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された表示部(23)および音声スピーカ(24)のうちの1つ以上を含むユーザインターフェース(21)と、ユーザインターフェース(21)にプロンプトを提供し患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサ(20)と、小児患者を治療中であることをユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素(253)とからなる。小児患者が検出された場合、成人患者用ではなく小児患者用に適合されたECG解析アルゴリズムまたはプロンプトを使用するように、プロセッサがECG解析アルゴリズムまたはユーザインタフェースに対し提供されるプロンプトを修正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動体外式除細動器(AED)を用いた、小児集団における心停止の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
自動体外式除細動器(AED)は、世界中での有病率が年間約60万人とされる心停止の被害者の細動を除くため、非医療関係者によって用いられている。これまで、このようなAEDは成人集団に対してだけ利用可能であり、小児の停止被害者は、救急救命士、医師または看護師などの専門の救助者が到着するまでの何分間か待つことを余儀なくされていた。現在では、小児への使用にも適合するように特別に設計されたAEDが利用可能である。小児の場合には除細動エネルギーが低いため、この事実を斟酌し、小児の停止被害者がする場合に除細動エネルギーを切り替える手段を提供するための様々な方法が開発されている。特許文献1に記載の1つの方法は、小児に対して使用するように特別に設計された電極が装置に装着されたことをAEDが検出した場合、小児停止被害者が存在すると判定するものである。この場合、エネルギー送達に関連するエネルギーレベルおよび音声プロンプトが、小児に最も適したものに調節される。特許文献2には、AED操作者からのユーザ入力に基づき被害者が小児であることを判定する方法が記載されている。エネルギーレベルは患者の測定値など間接的な手段に基づいて設定され、例えば、被害者の解剖学的特徴の長さがAED内部において特定のエネルギーレベルと関連付けられてもよい。
【0003】
心停止を患った患者に対する蘇生処置は、一般には、患者の気道を空けて開き、患者に対して人工呼吸を行い、被害者の心臓、脳および他の重要臓器に血流を与えるために胸部圧迫を行うことを含む。患者が除細動ショック可能(shockable)な心臓リズムを有する場合、蘇生には除細動治療も含まれる。一次救命処置(BLS;basic life support)という用語には、初期評価、気道確保、呼気吹き込み(人工呼吸)、および胸部圧迫のすべてが含まれる。この3つすべて(気道呼吸および胸部圧迫を含む循環)が組み合わせられる場合には、心肺蘇生法(CPR)という用語が用いられる。小児においては心停止は稀であり、小児ではむしろ窒息、溺水、中毒およびぜんそくによる呼吸停止に襲われることの方が多いという事実に基づき、小児停止の場合、CPRは、とりわけ注意して行われる。
【0004】
心臓リズムの異常には様々な種類があり、除細動治療による処置が可能なもの(「ショック可能なリズム」)と、可能でないもの(「ショック不可能なリズム」)とがある。例えば、有意な心拍出量を発生する殆どのECGリズムは、ショック不可能なリズムとされている(例えば、正常洞律動、ある種の徐脈、および洞頻脈)。また、有意な心拍出量をもたらさないながらも、通常、そうした状況下での除細動治療が有効でないことからショック不可能なリズムとされている、幾つかの異常ECGリズムもある。これらのショック不可能なリズムとしては、例えば、不全収縮、電気機械的解離、および他の無脈性電気活動が挙げられる。こうした生存不能な、ショック不可能なリズムを伴って患者が生存することは不可能であるが、ショックを与えてもリズムを変える助けとはならない。介護者が除細動を行うべき、ショック可能なリズムの主たる例としては、心室細動、心室頻拍、および心室粗動が挙げられる。
【0005】
米国心臓協会(AHA)によって推奨される現行のプロトコールは次のとおりである。ショック可能なECGリズムを有する患者に除細動器を用いて1回以上のショックを与えた後にも、患者はショック可能またはショック不可能な、灌流または非灌流リズムにおいて、まだ意識を失ったままであり得る。非灌流リズムがある場合、介護者は患者の心臓、
脳および他の重要臓器に連続して血流および酸素を与えるために、一定期間に渡ってCPRの実施を行う。ショック可能なリズムが存在し続けるか、CPR中に発生する場合、この心肺蘇生法に続いて、さらなる除細動試行が行われる。患者が意識を失ったままであり、有効な循環がない場合、介護者は除細動器の使用(電気リズムを解析し、場合によってはショックを与えるため)と、心配蘇生法(CPR)の実施とを交互に行う。一般に、CPRは5回または15回の胸部圧迫と、それに続く一時休止とからなる繰り返しのパターンを含み、この一時休止の間に2度の人工呼吸が行われる。
【0006】
AEDを用いて除細動を実施することが可能である。米国心臓協会、欧州蘇生協議会、および他の同様の機関が、AEDの使用を含む心停止の被害者の処置に対するプロトコールを提供している。これらのプロトコールでは、被害者の状態にアクセスし、蘇生中に行うべき適切な処置を決定する際に従うべき一連のステップが規定されている。AEDの使用が必要となり得る介護者は、これらのプロトコールに従うように訓練される。
【0007】
殆どの自動体外式除細動器は実際には半自動体外式除細動器(SAED)であり、介護者が開始ボタンまたは解析ボタンを押す必要があり、その後、除細動器が患者のECGリズムを解析し、電気リズムがショック可能である場合、患者に対してショックを与えるように介護者に通知する。そして介護者は、ショックを与えるための制御ボタンの押下に関与する。ショック付与に続き、SAEDは患者のECGリズムを自動または手動により再度解析し、追加のショックを通知するか、または患者の循環の兆候(除細動処置が成功したこと、またはリズムがショック不可能であることを示す)を確認し、除細動試行によって循環が回復されていない場合、CPRを開始するように介護者に指示する。一方、完全に自動化された体外式除細動器は、除細動ショックを与える前にユーザの介入を待たない。以下で用いる自動体外式除細動器(AED)には、半自動体外式除細動器(SAED)が含まれる。
【0008】
自動体外式除細動器は、被害者から得られるECG信号を解析して、心室細動(VF)またはショック可能な心室頻拍(VT)などの心不整脈が存在するときを判定する信号処理ソフトウェアを備える。通常、これらのアルゴリズムは、救命イベント中の特定時点にECG解析を行うように設計されている。最初のECG解析は、通常、患者への除細動電極の取り付けに続く数秒以内に開始される。続くECG解析は、最初の解析の結果に基づいて開始される場合、開始されない場合がある。典型的には、最初の解析でショック可能なリズムが検出される場合、救助者は除細動ショックを与えるように通知される。ショック付与に続いて2回目の解析が自動的に開始され、除細動処置が成功したか否か(即ち、ショック可能なECGリズムが正常または他のショック不可能なリズムに変わったか)が判定される。この2回目の解析でショック可能な不整脈が引き続き存在することが検出される場合、AEDは2回目の除細動処置を行うようにユーザに通知する。その後、2回目のショックが有効であったか否かを判定するために3回目のECG解析が開始され得る。ショック可能なリズムがまだ存在する場合、救助者は3回目の除細動処置を施すように通知される。
【0009】
典型的なアルゴリズムでは、ショック可能なリズム(心室細動(VF)および心室頻拍(VT))およびショック不可能なリズム(正常洞律動(NSR)、異常リズム(ABN)、ショック不可能なVT、および不全収縮)としてリズムを区別する測定された特徴について、ECGが処理される。これらの特徴の幾つかとして、R−R間隔平均、R−R間隔分散、平均および最大信号強度、ベースライン等電時間の測定値、QRS幅、ECG第1差分布ならびに周波数ドメイン解析(注釈1)からのパラメータが挙げられる。注釈のついたECGデータベースの解析により、ショック可能なリズムおよびショック不可能なリズムにおける所与の特徴に対する値の分布が確立される。適切な決定論理手法を用いてこの知識を組み合わせ、ショックまたは非ショックの判定を行うことが可能である。
【0010】
AEDは成人用に設計されており、ECG不整脈論理は成人集団に対して開発されたものであるが、心停止を起こした小児にまでAEDの使用を拡張することの必要性は明らかである。最近の文献では小児から収集されたECGデータベースに対する成人ベースでのAED不整脈アルゴリズムの精度が報告されており、それらのアルゴリズムが安全かつ有効であると結論づけられている。しかしながら、成人のECGリズムと小児のECGリズムとの間には著しい違いがある。例えば、小児のECGでは成人のものと比べ、正常心拍数は速く、QRS幅は狭く、またPR間隔およびQT間隔は短い。小児患者においてショック可能な心室頻拍の速さは、成人患者(>150拍/分)よりもはるかに高い(>200拍/分)。
【0011】
米国心臓協会および欧州蘇生協議会によって推奨される治療プロトコールでは、3回目の除細動器ショックに続き、または上述のいずれかの解析によってショック不可能なリズムが検出されたとき、救助者が患者の脈をとるか、患者の循環の兆候を評価することが求められる。脈または循環の兆候が認められない場合、救助者は被害者に対して1分間以上、CPRを行うように訓練されている。この心肺蘇生法の期間(人工呼吸と胸部圧迫を含む)に続いて、AEDは上述のような適切な除細動処置に点在する一連の3回までの追加のECG解析を再度開始する。3回のECG解析/除細動ショックのシーケンスとそれに続く1〜3分間のCPRは、AEDの電源が入っており、患者がAED装置に接続されている限り、繰り返し継続される。典型的には、AEDは、解析の開始するときを、解析結果がどうであったかを、およびCPRの付与を開始および停止するときを救助者に知らせるための音声プロンプトを提供する。
【0012】
AEDは成人患者および小児患者に対して使用することが可能である。しかしながら、特にCPRの適用に関しては、米国心臓協会は小児被害者の救命において、成人の救命プロトコールとは異なるプロトコールを推奨している。小児の停止被害者に対しては気道確保と人工呼吸の重要性が高いことから、AHAは救急医療サービス(EMS)システムを呼び活動させる前にも、通常の小児の呼吸器の一次処置を行うために、まず第1に小児の気道の閉塞を調べ、気道を空け、口移し人工呼吸を行うことを推奨している。AHAは、成人被害者の場合には15回の胸部圧迫に対して2回の換気の割合を、また小児被害者の場合には5回の胸部圧迫に対して1回の換気の割合を推奨している。成人被害者および小児被害者のいずれにおいても、推奨される圧迫の速さは1分間あたり100回である。この換気に対する圧迫の比の違いの論拠は、1)小児(8歳未満)停止における最も一般的な原因は呼吸性のものであること、2)小児(8歳未満)集団における呼吸の速さは、成人における呼吸の速さよりも速いことである。これに加えて、小児被害者(8歳未満)に対する胸部圧迫の推奨深さは約2.5〜3.8cm(1〜1.5インチ)であるが、成人および小児(8歳を超える)に対する胸部圧迫の推奨深さは約3.8〜5.1cm(1.5〜2インチ)である。
【特許文献1】米国特許第6,101,413号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0195567号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
既存のAEDは、成人の救命プロトコールおよびECG解析とは異なる小児(8歳未満)被害者に対する適切な救命プロトコールおよびECG解析を与えることが不可能である。また、小児の蘇生の訓練を受けているが、AHAの推奨ガイドラインを知らない一般の救助者は、これらの既存のAEDを用いるときに小児の犠牲者に有効な蘇生を提供することは不可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合、プロセッサは、成人患者用ではなく小児患者用に構成されたECG解析アルゴリズムを使用するように、ECG解析アルゴリズムを修正する。
【0015】
第2の態様では、本発明は成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合、プロセッサは、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたプロンプトを使用するように、ユーザインターフェースに対し提供されるプロンプトを修正する。
【0016】
第3の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合、プロセッサは、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたCPRプロンプトを使用するように、ユーザインターフェースに対し提供されるCPRプロンプトを管理するCRPプロトコールを修正する。
【0017】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。本発明は、患者に取り付けた除細動電極を用いて、患者に除細動ショックを与えるための自動体外式除細動器を含んでよい。ユーザインターフェースを介して提供されるプロンプトはCPR胸部圧迫に関するプロンプトを含んでよく、小児患者が検出された場合、CPR胸部圧迫プロンプトは成人用セットのプロンプトから小児用セットのプロンプトに変えられてよい。小児用セットのプロンプトは、CPR胸部圧迫の深さと速さを提示するものであってよい。本発明はCPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定するための1つ以上のセンサを含んでよい。検出要素は小児除細動電極および成人除細動電極のいずれが用いられているかを検出するための回路を含んでよい。検出要素は患者の体重から力または圧力を検知するために肩部支持要素上に配置した力センサまたは圧力センサを含んでよい。除細動ショックのエネルギーは部分的には肩部支持要素上の力センサまたは圧力センサから得られる患者の体重に関する情報に基づき決定されてよい。肩部支持要素は装置の着脱可能なカバーからなってよい。検出要素は患者上に配置された除細動電極間の間隔から患者が小児患者および成人患者のうちのいずれであるかを判定するための1つ以上のセンサを含んでよい。
【0018】
第4の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカ
を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の体重に関する情報を検出するための力センサまたは圧力センサと、からなる。プロセッサは患者の体重に関する情報に基づき、患者に与えられる除細動エネルギーを修正する。
【0019】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。プロセッサは患者の体重に関する情報に基づきECG解析アルゴリズムを修正してよい。力センサまたは圧力センサは患者の肩の下に配置された肩部支持要素中に組み込まれてよい。肩部支持要素は除細動器のカバーであってよい。カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜していてよい。カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成されてよい。肩部支持要素内のセンサからの情報は、肩部支持要素から除細動器に延びるワイヤおよび肩部支持要素と除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって除細動器へ伝達されてよい。
【0020】
第5の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の肩の下に配置して気道を開放状態に保つのを補助するための肩部支持要素と、患者の肩が肩部支持要素上に適切に配置されたか否かを判定するための肩部支持要素内のセンサと、からなる。
【0021】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。肩部支持要素は体外式除細動装置のためのカバーであってよい。
第6の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の胸の上に配置するための除細動電極と、電極が患者の胸の上に配置された後、該電極間の距離を判定するように構成されている、除細動電極の一方または両方内に配置される1つ以上のセンサと、からなる。プロセッサは該1つ以上のセンサにより判定される距離から患者の大きさに関する情報を判定することが可能であり、プロセッサは患者の大きさに関する情報に基づきプロンプトもしくはECG解析アルゴリズムまたは患者に与えられるエネルギーを変更することが可能である。
【0022】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。プロセッサはセンサから得られた情報から患者の胴周囲長を推定してよい。プロセッサはセンサから得られた情報から患者の年齢を推定してよい。ECG解析アルゴリズムに対する修正は、心拍数基準、QRS幅基準、VF頻度内容基準およびECG強度基準のうちの1つ以上を含んでよい。プロンプトに対する修正はプロンプトの順序、プロンプトの数またはプロンプトのタイプを変えることを含んでよい。プロンプトはCPR圧迫およびCPR換気に対するプロンプトを含んでよく、圧迫−換気比は小児患者に対しては約5:1また成人患者に対しては約15:2であってよい。プロンプトはCPR圧迫深さに対するプロンプトを含んでよく、小児患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜3.8cm(約1.0〜1.5インチ)の範囲であってよく、成人患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜5.1
cm(約1.0〜2.0インチ)の範囲であってよい。プロンプトは装置が成人モードおよび小児モードのうちのいずれで動作しているかについて救助者に知らせるプロンプトを含んでよい。プロンプトは患者のリズム、年齢または体重のうちの1つ以上に基づいてCPR間隔T1をプロンプトすることを含んでよい。本発明は、ユーザを検出およびプロンプトしてCPR中に完全な胸部開放を行うための1つ以上のセンサおよびプロンプトを含んでよい。プロンプトは圧迫速さR1における小児特異性プロンプトを含んでよい。プロンプトは圧迫速さR1における成人特異性プロンプトを含んでよい。
【0023】
本発明は、患者タイプの自動検知または手動割り当てに基づき、成人に対するAED不整脈処理と小児に対するAED不整脈処理とを変更するシステムを特徴としてもよい。小児特異性論理に基づき小児患者に対するAED不整脈処理を変更することによって、より高感度かつ高特異性のショック決定が達成され、装置の安全性および有効性を著しく向上させる。
【0024】
本発明は、患者の年齢、胸部周囲長および体重に基づき、ユーザの介入の必要なく自動的に適切な救命プロトコールおよびECG解析を与えるための改良された方法を提供し得る。AEDは、患者の年齢、体重または胸部周囲長を検出する手段を利用し、特定の被害者年齢および体重に対して適切な救命プロトコールを与え、ECG解析アルゴリズムの性能を最適化するように自動的に切り替えることが可能である。訓練されていない救助者が本発明のAEDを作動させる場合、このプロトコールは、EMSシステムを活動させる前に小児(8歳未満)被害者に対し1分間のCPRを与えるよう、ユーザに指示するように設計されている。また、このプロトコールは、成人被害者に対し任意の治療またはCPRを行う前にEMSシステムを活動させるよう、ユーザに指示するように設計されている。また、AEDは、胸部圧迫検出器を埋め込んだ除細動電極の組とともに用いられるとき、胸部圧迫の深さを検出することが可能であるため、特定の被害者年齢および体重に基づいて適切な胸部圧迫−換気比および圧迫深さの管理を行うように救助者を案内することが可能である。さらに、本発明のAEDは、CPR間隔が入力されるとき、リズムのタイプに基づいて事前設定されたCPR期間の長さを選択することが可能である。例えば、不全収縮、PEAまたは正常リズムが検出されるとき、事前プログラムされたCPR期間は心室細動または頻拍が検出された後よりも長くすることが可能である。
【0025】
本発明は、患者の年齢、胸部周囲長および体重に基づきユーザの介入の必要なく自動的に適切な救命プロトコールおよびECG解析を与え、小児の停止被害者に処置を行うためのより包括的かつ有効なシステムを提供し得る。
【0026】
本発明は、成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合に、プロセッサは、成人患者に対してよりも小児患者に対して適したECG解析アルゴリズムまたはユーザインターフェースに与えられるプロンプトを使用するように、ECG解析アルゴリズムまたはプロンプトを修正する。
【0027】
この装置は、患者に取り付けた除細動電極を用いて、患者に除細動ショックを与えるための自動体外式除細動器を含んでよい。ユーザインターフェースを介して提供されるプロンプトはCPR胸部圧迫に関するプロンプトを含んでよく、小児患者が検出された場合、CPR胸部圧迫プロンプトは成人用セットのプロンプトから小児用セットのプロンプトに
変えられてよい。小児用セットのプロンプトは、CPR胸部圧迫の深さと速さを提示するものであってよい。CPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定するための1つ以上のセンサを含んでよい。検出要素は小児除細動電極および成人除細動電極のいずれが用いられているかを検出するための回路を含んでよい。検出要素は患者の体重から力または圧力を検知するために肩部支持要素上に配置した力センサまたは圧力センサを含んでよい。除細動ショックのエネルギーは部分的には肩部支持要素上の力センサまたは圧力センサから得られる患者の体重に関する情報に基づき決定されてよい。肩部支持要素は装置の着脱可能なカバーからなってよい。検出要素は患者上に配置された除細動電極間の間隔から患者が小児患者および成人患者のうちのいずれであるかを判定するための1つ以上のセンサを含んでよい。
【0028】
AEDは、CPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定する性能を備え、特定の除細動電極タイプが検出されるとき、自動的に切り替えを行い判定される患者の年齢に基づき適切な救命プロトコール、ECG解析およびCPR間隔の長さならびにガイダンスを提供し得る。判定される患者の年齢に基づき、適切な換気−圧迫比および圧迫間隔の長さが決定され、適切な胸部圧迫/換気比および速さならびに圧迫深さを与えるように、救命プロセス全体を通して音声および文字プロンプトを介して救助者に指針が与えられる。
【0029】
本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の体重に関する情報を検出するための力センサまたは圧力センサと、からなる。プロセッサは患者の体重に関する情報に基づき、患者に与えられる除細動エネルギーを修正する。
【0030】
プロセッサは患者の体重に関する情報に基づきECG解析アルゴリズムを修正してよい。力センサまたは圧力センサは患者の肩の下に配置された肩部支持要素中に組み込まれてよい。肩部支持要素は除細動器のカバーであってよい。カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜していてよい。カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成されてよい。肩部支持要素内のセンサからの情報は、肩部支持要素から除細動器に延びるワイヤおよび肩部支持要素と除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって除細動器へ伝達されてよい。
【0031】
幾つかの実施例では、より高い特異性にて被害者の年齢を判定するため、自動化された手段が提供され得る。被害者の体重は、一般に小児に対する除細動エネルギーを決定するための臨床手段として用いられる。患者の体重を測定するためにAED内に内蔵の力センサが提供される場合、AEDは測定された体重に基づき、除細動エネルギーおよびECG解析パラメータを調整する。
【0032】
力センサはAEDのカバー内に組み込まれてよい。カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜していてよい。カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成されてよい。介護者は心停止に苦しんでいるように見える人に遭遇した場合、心肺蘇生および緊急心臓血管ケアにおけるAHAガイドラインに指定されるような、推奨される蘇生手順に従う必要がある。頭または首に外傷のエビデンスが認められない場合、介
護者は患者の気道からすべてのデブリスを取り除く必要がある。これを行った後、介護者は患者を横向けになるように転がし、患者の肩の下にカバーを置き、患者の背中が下になるように転がす。カバーは患者を頭部後屈顎先挙上姿勢に支持するように配置される。これにより、介護者がCPRおよび除細動器の使用のうちの1つ以上を行うことが可能となる。姿勢(頭部後屈顎先挙上姿勢の患者と、気道を閉じた患者)については、心肺蘇生および緊急心臓血管ケアにおけるAHAガイドライン(2000年8月22日、p.1〜32、図7および8)にも記載されている。このカバーは、患者の肩がカバー上に適切に配置されているか否かを判定するための検出手段を備える。カバー内に配置された検出手段から装置筐体内のプロセッサへの通信は、例えば、ヒンジ要素を介して、またはフラットフレキシブルケーブルなどの相互接続要素を提供することによって、カバーを装置筐体と一体の要素とすることによって達成可能である。通信はBluetooth(登録商標)または誘導手法などの技術を介して無線で行われてもよい。患者の肩がカバーの上に置かれるとき、測定される力がAEDへ伝達される。
【0033】
本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の肩の下に配置して気道を開放状態に保つのを補助するための肩部支持要素と、患者の肩が肩部支持要素上に適切に配置されたか否かを判定するための肩部支持要素内のセンサと、からなる。
【0034】
本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の胸の上に配置するための除細動電極と、電極が患者の胸の上に配置された後、該電極間の距離を判定するように構成されている、除細動電極の一方または両方内に配置される1つ以上のセンサと、からなる。プロセッサは該1つ以上のセンサにより判定される距離から患者の大きさに関する情報を判定することが可能であり、プロセッサは患者の大きさに関する情報に基づきプロンプトもしくはECG解析アルゴリズムまたは患者に与えられるエネルギーを変更することが可能である。
【0035】
プロセッサはセンサから得られた情報から患者の胴周囲長を推定してよい。プロセッサはセンサから得られた情報から患者の年齢を推定してよい。
センサ要素は被害者の胸部上に配置される2つの除細動電極内に設けられてよい。電極は電極間の相対距離がAEDによって判定可能であるように構築されてよい。この相対距離に基づき、胴周りの長さがAEDによって算出され、患者の年齢の推定や適切なエネルギーレベル伝達の手段として用いられることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の記載において、「介護者」、「救助者」および「ユーザ」という用語は交換可能に用いられ、患者を介護する装置の操作者を指す。また、「被害者」という用語は「患者」と交換可能に用いられる。
【0037】
図1および2を参照すると、自動体外式除細動器10は着脱可能なカバー12と、装置筐体14とを備える。図2においては、この除細動器10をカバー12の取り外された状態で示す。電極アセンブリ16(または一対の分離電極)はケーブル18を介して装置筐
体14に接続されている。除細動器の非使用時には、電極アセンブリ16はカバー12の下に格納される。
【0038】
図3を参照すると、本発明はプロセッサ手段20と、ユーザインターフェース21と、検出手段25とを備える。ユーザインターフェース21には、グラフィカル表示部22もしくは文字表示部23などの要素またはスピーカ24などの音声出力部が含まれる。検出手段25は、プロトコール内の一連のステップのうちの1つ以上が成功裏に完了したか否かを判定するための手段である。好ましい実施形態においては、検出手段25には、特定のステップがユーザによって開始されたか否かを判定する性能と、その特定のステップがユーザによって成功裏に完了されたか否かを判定する性能との両方が含まれる。シミュレーションまたは実際の使用におけるユーザビリティ調査に基づいて、一般的なユーザ誤差が判定され、最も一般的な誤差が生じているか否かを判定するための特定の検出手段が提供される。
【0039】
装置筐体14は電源ボタン15と、状態表示器17とを備える。状態表示器17は、除細動器が使用できる状態にあるか否かを介護者に示す。
カバー12はカバーデカール30(図1および4)を含む。このカバーデカール30には、ロゴ31と、一連のグラフィック32,34,36とが含まれる。ロゴ31は、装置の製造者に関する情報を提供し、その装置が除細動器であることを示してよい(例えば、図1に示す「ZOLL AED」は、この装置がZOLLメディカル製の半自動体外式除細動器であることを示す)。グラフィック32,34,36は、緊急医療者の到着を待つ間の緊急心臓ケアにおいて、AHAのAED治療アルゴリズムに概説されるような心臓蘇生手順の最初の段階に介護者を導く(「心肺蘇生法および緊急心臓血管ケアに対するガイドライン2000−循環に対する追補(Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care.Supplement to Circulation)」、第102巻、第8号,2000年8月22日、p.1〜67を参照)。例えば、介護者および患者を示したグラフィック32は、例えば、患者を静かに揺さぶり、患者が大丈夫であるか否かを尋ねることによって、最初に介護者が患者の反応を確認すべきであることを示している。次に、電話および救急車を示したグラフィック34は、蘇生を行う前に介護者が緊急支援を呼ぶべきであることを示している。最後に、グラフィック36は、これらのステップが行われた後で、介護者が除細動器のカバー12を外し、蓋の下に格納されている電極アセンブリ16を取り出し、ボタン15を押下して電源を入れるべきことを示している。グラフィックは最初のステップを左上として時計回りに配置されている。これは、この順序が介護者にとって直感的に従いやすいためである。しかしながら、この場合では介護者がステップを実施する順序は問題ではないため、簡略化のためにステップの順序の表示は行っていない。
【0040】
図9aおよび図9bに示すように、カバー12は患者の首および肩の下に配置され、患者の気道を開放姿勢に保持するのを助けるように患者の肩および首を支持、即ち、患者を頭部後屈顎先挙上姿勢に保持するように構成されている。カバーは、蘇生中に堅牢な支持を与えるように、好ましくは、充分な壁厚を有する比較的硬いプラスチックから形成される。適切なプラスチックとしては、例えば、ABS、ポリプロピレン、およびABS/ポリプロピレンブレンドが挙げられる。
【0041】
心停止に対する治療を行う前に、介護者は患者の気道が空いており閉塞のないことを確かめ、肺への空気の通りを確保すべきである。患者の舌および喉頭蓋による気道の閉塞を防ぐために(例えば、図9aに示すように)、頭部が後屈し頸部が挙上姿勢に支持されるような姿勢に患者を保持することが望ましい。患者をこのような姿勢にすることは、心肺蘇生および緊急心臓血管ケアにおける米国心臓協会のガイドラインに「頭部後屈顎先挙上
姿勢」として記載されている。頭部後屈顎先挙上姿勢により、口および気管を通る肺への比較的まっすぐな開いた気道が提供される。しかしながら、緊急治療中、患者をこの姿勢に保持することは困難である。
【0042】
カバー12は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を後屈させるために、約10〜25度、例えば15〜20度の角度Aで傾斜する上面24を有する(図8)。上面24は、患者の位置決めを用意にするために滑らかに湾曲している。例えば約51〜76cm(約20〜30インチ)の曲率半径を有する湾曲面は、一般に、平坦な面よりも良好な位置決めを提供する。カバー12の高さHは、その最高点において、約7.5cm〜10cmである(図8)。大半の患者の肩の幅を収容するために、好ましくは、カバー12の幅Wは約15cm(6インチ)以上、例えば、約15〜25cm(約6〜10インチ)である(図8)。カバー12の幅が充分でないと、胸部圧迫中に患者の首および肩が動き、装置の有効性が低下する。図9aおよび図9bに示す姿勢(頭部後屈顎先挙上姿勢にある患者および気道が閉じた患者)は、心肺蘇生法および緊急心臓血管ケアにおけるAHAガイドライン、2000年8月22日、p.1〜32の図7および8に記載されている。
【0043】
好ましい一実施例においては、電源投入時、AEDが小児用除細動パッドの装着されていることを検出する場合、AEDは自動的に小児救命プロトコールを開始する。図6aには、小児プロトコールの一例の詳細を示す。装置は救助者に対し被害者の反応を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(即ち、「反応を確認」)、次の状態に移る前に反応を確認させるため、事前プログラムされた時間(例えば、4秒間)を与える。次に、装置は救助者に対し被害者の呼吸を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(例えば、「呼吸を確認」)、呼吸を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、7秒間)を与える。次に、AEDは救助者に対し被害者の脈を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(例えば「脈を確認」)、被害者の脈を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、10秒間)を与える。次に、AEDはCPR状態に入り、救助者に胸部圧迫を開始するように指示する音声/文字プロンプトを出力する(例えば、「脈のない場合、胸部圧迫を開始」)。このCPR状態中には、胸部圧迫を検出し計数する「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」機能によって、胸部圧迫信号が受信される。胸部圧迫の回数が5未満であるあいだは、検出された各圧迫の深さが評価される。検出される圧迫の深さが約2.5cm(1インチ)以下である場合、「押下をより強く」という音声/文字プロンプトの出力によって、救助者は被害者の胸部をさらに強く押すように指示され、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約2.5cm(1インチ)を超える場合、この深さは再度評価される。検出された圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)未満の場合、被害者の胸を反跳させるように手が完全に離れているかの確認が行われる。各圧迫後に救助者の手が被害者から離れている場合、AEDは圧迫速さが事前プログラムされた速さR1よりも大きくないかを確認する。圧迫速さがR1より大きい場合、AEDは効果的な圧迫を示す音声/文字プロンプト「圧迫は良好」を出力する。圧迫速さがR1未満の場合、AEDはより速く押すように救助者に指示する音声/文字プロンプトを出力して、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。
【0044】
救助者が各圧迫後に胸から手を離していない場合、AEDは音声/文字プロンプト「押下後、胸から手を離す」を出力することにより、各圧迫後に被害者の胸部から手を離すようユーザに指示し、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)より大きい場合、AEDはプロンプト「より弱い力で押下」を出力することにより、より弱い力で被害者の胸を押すよう救助者に指示し、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。胸部圧迫回数が5を超えると、装置は音声/文字プロンプト「圧迫を停止、人工呼吸を1回行う」を出力することにより、圧迫を止めて被害者に人工呼吸を1回行うよう救助者に指示し、
CPR状態の時間がタイマーT1を超えているか否かを確認する。CPR状態時間がT1未満の場合、胸部圧迫カウンタはリセットされ、AEDは「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。CPR状態時間がT1を超える場合、AEDは救急呼出電話番号(calling 911)によってEMSシステムを活動させるよう救助者に指示し、AEDは「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態に移行する。この状態で「小児ECG解析アルゴリズム」が実行される。1回目の解析でショック不可能なリズムが検出される場合、AEDは別のCPRサイクルのためのCPR状態に移行する。1回目の解析でショック可能なリズムが検出される場合、救助者は除細動ショックを与えるように通知される。ショック付与に続いて、2回目の解析が自動的に開始されて、除細動処置が成功したか否かが判定される(即ち、ショック可能なECGリズムが正常なリズムまたは他のショック不可能なリズムに変換されたか)。この2回目の解析でショック可能な不整脈が継続的に存在することが検出される場合、AEDはユーザに2回目の除細動処置を行うように通知する。
【0045】
2回目のショックが有効であったか否かを判定するため、3回目のECG解析が自動的に開始される。ショック可能なリズムが残存している場合、救助者は3回目の除細動処置を施すように通知される。3回目の除細動器ショックに続いて、または上述のいずれかの解析でショック不可能なリズムが検出される場合、AEDは別の胸部圧迫および換気サイクルのためのCPR状態に移行する。「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態においても、検出されたリズムのタイプ、即ち、正常、不全収縮、非伝導、心室頻拍または心室細動に基づき、事前プログラムされた値にT1が設定される。例えば、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分超の小児の不全収縮または非伝導性リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、不全収縮および非伝導性リズムは1分より長いCPR期間を要する。不整脈の例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分の小児の不整脈リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。正常なリズムの例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが1分超の小児のリズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。
【0046】
一方、電源投入時にAEDが成人用除細動パッドを検出する場合、AEDは自動的に成人救命プロトコールを開始する。図6bには、成人救命プロトコールの一例の詳細を示す。AEDは救助者に対し被害者の反応を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(即ち、「反応を確認」)、次の状態に移る前に反応を確認させるため、事前プログラムされた時間(即ち、4秒間)の経過を可能とする。次に、AEDは救急呼出電話番号によってEMSシステムを活動させるように救助者に指示し、次の状態に移る前に誰かが助けを呼ぶことを可能とするように事前プログラムされた時間(例えば、4秒間)の経過を可能とする。次に、AEDは救助者に対し呼吸を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(即ち、「呼吸を確認」)、呼吸を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、7秒間)を与える。次に装置は救助者に対し被害者の脈を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(例えば、「脈を確認」)、脈を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、10秒間)を与える。次に、AEDは「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態に移行する。この状態において「成人ECG解析アルゴリズム」が実行される。1回目の解析でショック不可能なリズムが検出される場合、AEDはCPR状態に移行する。1回目の解析でショック可能なリズムが検出される場合、救助者は除細動ショックを与えるように通知される。
【0047】
ショック付与に続いて、2回目の解析が自動的に開始されて、除細動処置が成功したか否かが判定される(即ち、ショック可能なECGリズムが正常なリズムまたは他のショック不可能なリズムに変換されたか)。この2回目の解析でショック可能な不整脈が継続的
に存在することが検出される場合、AEDはユーザに2回目の除細動処置を行うように通知する。2回目のショックが有効であったか否かを判定するため、3回目のECG解析が自動的に開始される。ショック可能なリズムが残存している場合、救助者は3回目の除細動処置を施すように通知される。3回目の除細動器ショックに続いて、または上述のいずれかの解析でショック不可能なリズムが検出されるとき、装置は別のCPRサイクルのためのCPR状態に移行する。「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態においても、検出されたリズムのタイプ、即ち、正常、不全収縮、非伝導、心室頻拍または心室細動に基づき、事前プログラムされた値にT1が設定される。例えば、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分超の成人の不全収縮または非伝導性リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、不全収縮および非伝導性リズムは1分超のCPR期間を要する。不整脈の例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分の成人の不整脈リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。正常なリズムの例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが1分超の成人のリズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。CPR状態に入ると、AEDは救助者に胸部圧迫を開始するように指示する音声/文字プロンプトを出力する(例えば、「脈のない場合、胸部圧迫を開始」)。このCPR状態中には、胸部圧迫を検出し計数する機能である「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」によって、胸部圧迫信号が受信される。胸部圧迫の回数が15未満であるあいだは、検出された各圧迫の深さが評価される。検出される圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)以下である場合、音声/文字プロンプト「押下をより強く」を出力することによって、救助者は被害者の胸部をさらに強く押すように指示され、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)を超える場合、この深さは再度評価される。検出された圧迫の深さが約5.1cm(2インチ)未満の場合、手が完全に離れているかの確認が行われる。各圧迫後に救助者の手が被害者の胸部から離れており、被害者の胸を完全に反跳させている場合、AEDは圧迫速さが事前プログラムされた速さR1よりも大きいか否かを確認する。圧迫速さがR1より大きい場合、AEDは効果的な圧迫を示す音声/文字プロンプト「圧迫は良好」を出力する。圧迫速さがR1未満である場合、AEDはより速く押すよう救助者に指示する音声/文字プロンプトを出力して、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。
【0048】
救助者が各圧迫後に胸から手を離していない場合、装置は音声/文字プロンプト「押下後、胸から手を離す」を出力することにより、より効果的なCPRを提供するために各圧迫後に被害者の胸部から手を離すようユーザに指示し、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約7.6cm(3インチ)より大きい場合、装置はプロンプト「より弱い力で押下」を出力することにより、より弱い力で被害者の胸を押すよう救助者に指示し、圧迫速さが事前プログラムされた速さR1よりも大きいか否かを確認する。圧迫速さがR1より大きい場合、AEDは効果的な圧迫を示す音声/文字プロンプトを出力する。一方、圧迫速さがR1未満の場合、AEDはより速く押すよう救助者に指示する音声/文字プロンプトを出力する。胸部圧迫の回数が15を超える場合、装置は音声/文字プロンプト「圧迫を停止、人工呼吸を2回行う」を出力することにより、圧迫を止めて被害者に人工呼吸を2回行うよう救助者に指示し、CPR状態の時間が選択されるタイマーT1を超えているか否かを確認する。
【0049】
CPR状態時間がT1未満の場合、胸部圧迫カウンタはリセットされ、装置は「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。CPR状態時間がT1を超える場合、AEDは「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態に移行する。
【0050】
図12にはAED不整脈処理フローチャートの一例を示す。成人に比べて小児のQRS
は狭く、心拍も速いので、QRS検出システムはECG信号に対してより高感度に調整され得る。このフローチャートには、不整脈分類論理およびショック決定論理の変更により、特異性および感度が改善され得ることも示す。
【0051】
信号調整ブロックにおいては、ベースラインオフセット、高周波ノイズおよび回線ノイズ周波ノイズを除去するために、ECG信号は帯域通過およびノッチフィルターにかけられる。ノイズ検出ブロックはベースライン、運動、高周波、筋肉、および飽和ノイズの検出を行い、それにしたがってECG信号状態データにフラグを立てる。
【0052】
QRS検出ブロックにおける処理では、QRSに基づいてマッチングしたフィルタを通したECGデータに適用することによって、QRS検出信号が生成される。実施される処理のタイプは、処理モード設定に応じて異なる(図13を参照)。
【0053】
信号ストリーム中でのQRSの位置が検出されると、QRS検出ブロックはQRS検出付近の信号を処理し、R−R間隔、QRS幅、QRS面積、およびQRS複合体とその基礎となるリズムの分類を補助する他の特徴を判定する。リズム測定ブロックはQRS測定値およびECG信号に対する解析を行い、リズム分類に必要な測定値に基づきリズムを生成する。リズム判定およびショック判定決定論理ブロックはQRS検出およびリズムデータを処理して、ECGリズムを分類し、非ショックかショックかの決定を行う。当該技術分野においてはヒューリスティック論理、形態素解析、エキスパートシステム解析および統計的クラスタリング手法を含む、多くのビートとリズムの分類技術が知られている。リズム判定およびショック判定決定論理ブロックからの出力はAEDにより、被害者にショックを与えるため(完全自動AED)またはショックを与えCPRなど他の介入を開始するようユーザに通知する(半自動AED)ために用いられる。
【0054】
図13には、QRS検出を強化するためのモード特異性処理の使用の一例を示す。PEDIモード選択ブロックにおいて、マッチングしたフィルタ特性が処理モード設定(成人または小児)に基づき選択され、そのクラスの患者に対する最適検出信号が生成される。閾値検出スキームは、検出信号内でのQRS複合体の場所を判定するために用いられる。各QRSに一致させたフィルタとともに用いるように最適化された閾値システムが用いられる。QRS検出選択ブロックは、QRS測定(QRS検出あり)を実行するか、または不全収縮確認(QRS検出なし)を実行するかを決定する。不全収縮確認では、検出タイムアウトを処理し、検出閾値を調整し、不全収縮状態が存在するか否かを標的システムに知らせる。
【0055】
図14には、リズム分類論理およびショック決定判定を強化するためのモード特異性処理の使用の一例を示す。PEDIモード選択ブロックは、いずれの患者モードリズム論理を処理するかを選択する。リズム分類論理は、ヒューリスティック(もし−ならば−さもなければ;if−then−else)規則、特徴クラスタ解析、ファジーシステム解析、ニューラルネットワーク、ベイズ確率論的システム解析など幾つかの方法で実施することが可能である。ショック可能なリズム選択ブロックはショック決定に基づき、適切な処理フローを選択する。非ショック決定ブロックは、ショック不可能なリズムの解析結果を表示するまたは音声で知らせるなど、適切な動作を行うよう除細動器システムに通知する。ショック可能であるという決定がなされると、除細動器の充電と、治療(自動除細動器)またはエネルギー伝達のためのユーザへのプロンプト(半自動除細動器)とが与えられる。
【0056】
図15および図16は、成人および小児のAED不整脈論理テーブルの簡単な例である。第1列のリズム分類は、第2〜6列に記載の規則のすべてが該当するときに満たされる。また、最後の列には各ショック決定を示す。これらの例では、ショック可能かショック
不可能かの判定は、特定の成人または小児のリズム分類論理から得られる。様々な制限、規則または他の集団特異性論理システムは、それぞれ成人および小児のECG信号データベースにより調整(または、トレーニング)される。
【0057】
図7を参照すると、カバー12は、患者の肩がカバー12上に適切に配置されているか否かを判定するための検出手段を備える。カバーが患者の背中の下に配置されているか否かを判定するために、2つの光電センサ156,157を用いる。このセンサ156,157はカバー12の鋭い端に沿って配置されており、一方は内側を、他方は外側を向いている。ケーブル155はセンサ156,157へ電力を供給するとともに、センサ出力を検出する。カバー12の上下が逆である場合、内側のセンサ156は外側のセンサ157よりも高い光レベルを測定し、鋭い端が患者の頭の頂部を向くようにカバーが配置されている場合、外側のセンサ157は内側のセンサ156よりも高い測定値を示し、所定レベルを超える。カバーが適切に配置されている場合には、内側のセンサ156と外側のセンサ157の両方の出力が所定レベル未満となる。別の実施形態では、カバーデカールの下に配置された圧力センサ158によって検出手段が提供される。圧力センサ158は、被害者の胸部重量を測定するために用いられる。測定される重量に基づいて、参照テーブルを作成し、被害者のおよその年齢および与えるべき最適な除細動エネルギーを判定することが可能である。
【0058】
例えば、人が倒れ、その人が心停止を起こしていることを介護者が疑う場合、介護者は最初に除細動器をとり、電源102を入れる。装置が内部自己診断を完了させると使用準備が整い、そのことが指示器17によって示される。次に、除細動器が介護者に、例えば、「冷静に、注意して聞くこと」など、案内音声メッセージをプロンプトする。
【0059】
その直後、除細動器は、介護者が患者の反応を確認すべきであることを示す音声メッセージを、介護者へプロンプトする。同時に、グラフィック42近傍のLED56が点灯し、介護者がこのグラフィックを見るようにする。グラフィック42は、患者が意識消失であるか否かを判定するため、介護者が「大丈夫(OK)ですか?」と叫び、患者を揺さぶることを、介護者に指示する。
【0060】
適切な時間の経過後(例えば、2秒間)、介護者がまだ除細動器の電源を切っていない場合(患者の反応があった場合などに起こる)、除細動器は、介護者が助けを呼ぶように指示する音声プロンプトを与える。同時に、グラフィック42近傍のLEDが消灯してグラフィック43近傍のLEDが点灯し、介護者の注意をグラフィック43へ向けさせる。グラフィック43は、介護者がまだ救急隊員を呼んでいないような場合、呼ぶことを思い起こさせる。
【0061】
介護者が先のステップを実行するのに適切な時間(約2秒)を与えた後、除細動器は、介護者が患者の気道を開き、患者が呼吸をしているか否かを確認すべきことを示す音声プロンプトを与える。グラフィック43近傍のLEDが消灯してグラフィック44近傍のLEDが点灯し、患者の気道を開くための適切な手順を示すグラフィック44の方へ、介護者の注意を向けさせる。これによって、患者の顎を持ち上げて患者の頭を後屈するよう介護者が案内される。図9a,9bを参照して以下に説明するように、必要に応じて、介護者は患者の首および肩の下に気道支持装置を配置してよい。介護者は患者が呼吸をしている否かを判定するため、確認を行う。
【0062】
適切な時間(例えば、15秒)後、除細動器は介護者が循環の兆候を確認すべきことを示す音声プロンプトを与え、グラフィック44近傍のLEDは消灯し、グラフィック45近傍のLEDは点灯する。グラフィック45は、AHAが素人の救助者に対し推奨するように、患者の脈その他の循環の兆候を確認すべきことを介護者に示す。
【0063】
適切な時間(例えば、5〜7秒間)後、除細動器は介護者が電極アセンブリ16を患者に取り付けるべきことを示す音声プロンプトを与え、グラフィック45近傍のLEDは消灯し、グラフィック46近傍のLEDは点灯する。グラフィック46は、電極アセンブリ16を患者の胸の上にどのように配置するかを介護者に示す。
【0064】
この時点で、グラフィック47近傍のLEDが点灯し、除細動器は、患者の心臓リズムが除細動器によって解析中であるので介護者は離れているべきことを指示する音声プロンプトを与える。このLEDの点灯中、除細動器は電極アセンブリからECGデータを取得し、このデータを解析して患者の心臓リズムがショック可能であるか否かを判定する。この解析は、AEDによって従来的に実行される。
【0065】
患者の心臓リズムはショック不可能であると除細動器が判定する場合、除細動器は「ショックは推奨されない」などの音声プロンプトを与える。次に、グラフィック48および49の隣のLEDが点灯し、除細動器は、介護者が再度患者の気道を開き、呼吸および脈を確認して、介護者が脈を検出しない場合、CPRを与えることを開始すべきことを指示する音声プロンプトを与える。グラフィック48および49は、CPRを与えるときに実行するのに適切なステップを介護者に思い起こさせるものである。
【0066】
あるいは、患者の心臓リズムがショック可能であると除細動器が判定する場合、除細動器は「ショックが推奨される。患者から離れ、処置ボタンを押下」などの音声プロンプトを与える。このとき、心臓54および手52のうちの1つ以上が点灯し、介護者に処置ボタンの場所を示す。この時点で、介護者は離れて(存在する場合、他者に離れるよう警告する)、心臓54を押下し、処置ボタンを押下して、患者に除細動ショック(または、除細動器電子機器による判定に従い、一連のショック)を与える。
【0067】
図11を参照すると、幾つかの実施例には、心尖電極255および胸骨電極254の相対側方位置を検出するための手段が備えられる。一実施例では、心尖電極255内に配置された磁石253によって作動されたとき、磁気ホール効果センサ251によって発生される信号が電極の相対側方位置を示すように、磁気ホール効果センサ251が配置される。既知の人体測定学を用いて、患者の年齢や除細動エネルギーレベルに加え、胸部周囲の長さを推定することが可能である。電極の相対側方位置は、デジタルカリパスにおいて一般的に用いられる線形エンコーダを用いて正確な周囲測定値を与えることによって、決定可能である。エンコーダは光学的なエンコーダであってもよく、磁気的なエンコーダであってもよい。
【0068】
AEDのカバー12は、その下面に例えば、図10に示すデカール200など、デカールを含んでよい。デカール200は、蘇生中に患者の気道を開放状態に保つための受動気道支持装置としてのカバーの用途を示す。グラフィック202は、患者を転がして患者の肩の下にカバー12を置くように介護者にプロンプトする。グラフィック204は、気道を確実に開けるための患者の下でのカバー12の適切な位置を示す。
【0069】
図5に示したデカールには、このようなグラフィックは含まれていないが、デカール40には患者が呼吸しているか否かを見て確認することをユーザにプロンプトするグラフィックが含まれてもよい。このようなグラフィックには、例えば、介護者が耳を患者の口に近づけている絵などが含まれてもよい。このグラフィックには、患者の口からの空気の流れを示す線が含まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】カバーを付けた状態のAEDの斜視図。
【図2】カバーを外した状態の図1のAEDの斜視図。
【図3】AEDのブロック図。
【図4】図1のAEDのカバー上で用いられるグラフィカルインタフェースデカールの平面図。
【図5】図2に示すような、図1のAEDの装置筐体上で用いられるグラフィカルインタフェースデカールの平面図。
【図6a】小児AED蘇生プロトコールに対するフローチャート。
【図6b】成人AED蘇生プロトコールに対するフローチャート。
【図7】カバーおよび筐体の分解斜視図。
【図8】角度「A」を示すカバーの側面図。
【図9a】患者の肩の下にカバーを置くことによる患者の気道への効果を示す図。
【図9b】患者の肩の下にカバーを置くことによる患者の気道への効果を示す図。
【図10】患者の肩の下にカバーを置くための、カバー上のグラフィカル指示を示す図。
【図11】集積電極パッドを示す図。
【図12】AEDにおける不整脈処理のフローチャート。
【図13】QRS検出を強化するためのモード特異性処理のフローチャート。
【図14】リズム分類論理およびショック判定を強化するためのモード特異性処理のフローチャート。
【図15】成人に対するAED不整脈論理テーブルの一例を示す図。
【図16】小児に対するAED不整脈論理テーブルの一例を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は自動体外式除細動器(AED)を用いた、小児集団における心停止の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
自動体外式除細動器(AED)は、世界中での有病率が年間約60万人とされる心停止の被害者の細動を除くため、非医療関係者によって用いられている。これまで、このようなAEDは成人集団に対してだけ利用可能であり、小児の停止被害者は、救急救命士、医師または看護師などの専門の救助者が到着するまでの何分間か待つことを余儀なくされていた。現在では、小児への使用にも適合するように特別に設計されたAEDが利用可能である。小児の場合には除細動エネルギーが低いため、この事実を斟酌し、小児の停止被害者がする場合に除細動エネルギーを切り替える手段を提供するための様々な方法が開発されている。特許文献1に記載の1つの方法は、小児に対して使用するように特別に設計された電極が装置に装着されたことをAEDが検出した場合、小児停止被害者が存在すると判定するものである。この場合、エネルギー送達に関連するエネルギーレベルおよび音声プロンプトが、小児に最も適したものに調節される。特許文献2には、AED操作者からのユーザ入力に基づき被害者が小児であることを判定する方法が記載されている。エネルギーレベルは患者の測定値など間接的な手段に基づいて設定され、例えば、被害者の解剖学的特徴の長さがAED内部において特定のエネルギーレベルと関連付けられてもよい。
【0003】
心停止を患った患者に対する蘇生処置は、一般には、患者の気道を空けて開き、患者に対して人工呼吸を行い、被害者の心臓、脳および他の重要臓器に血流を与えるために胸部圧迫を行うことを含む。患者が除細動ショック可能(shockable)な心臓リズムを有する場合、蘇生には除細動治療も含まれる。一次救命処置(BLS;basic life support)という用語には、初期評価、気道確保、呼気吹き込み(人工呼吸)、および胸部圧迫のすべてが含まれる。この3つすべて(気道呼吸および胸部圧迫を含む循環)が組み合わせられる場合には、心肺蘇生法(CPR)という用語が用いられる。小児においては心停止は稀であり、小児ではむしろ窒息、溺水、中毒およびぜんそくによる呼吸停止に襲われることの方が多いという事実に基づき、小児停止の場合、CPRは、とりわけ注意して行われる。
【0004】
心臓リズムの異常には様々な種類があり、除細動治療による処置が可能なもの(「ショック可能なリズム」)と、可能でないもの(「ショック不可能なリズム」)とがある。例えば、有意な心拍出量を発生する殆どのECGリズムは、ショック不可能なリズムとされている(例えば、正常洞律動、ある種の徐脈、および洞頻脈)。また、有意な心拍出量をもたらさないながらも、通常、そうした状況下での除細動治療が有効でないことからショック不可能なリズムとされている、幾つかの異常ECGリズムもある。これらのショック不可能なリズムとしては、例えば、不全収縮、電気機械的解離、および他の無脈性電気活動が挙げられる。こうした生存不能な、ショック不可能なリズムを伴って患者が生存することは不可能であるが、ショックを与えてもリズムを変える助けとはならない。介護者が除細動を行うべき、ショック可能なリズムの主たる例としては、心室細動、心室頻拍、および心室粗動が挙げられる。
【0005】
米国心臓協会(AHA)によって推奨される現行のプロトコールは次のとおりである。ショック可能なECGリズムを有する患者に除細動器を用いて1回以上のショックを与えた後にも、患者はショック可能またはショック不可能な、灌流または非灌流リズムにおいて、まだ意識を失ったままであり得る。非灌流リズムがある場合、介護者は患者の心臓、
脳および他の重要臓器に連続して血流および酸素を与えるために、一定期間に渡ってCPRの実施を行う。ショック可能なリズムが存在し続けるか、CPR中に発生する場合、この心肺蘇生法に続いて、さらなる除細動試行が行われる。患者が意識を失ったままであり、有効な循環がない場合、介護者は除細動器の使用(電気リズムを解析し、場合によってはショックを与えるため)と、心配蘇生法(CPR)の実施とを交互に行う。一般に、CPRは5回または15回の胸部圧迫と、それに続く一時休止とからなる繰り返しのパターンを含み、この一時休止の間に2度の人工呼吸が行われる。
【0006】
AEDを用いて除細動を実施することが可能である。米国心臓協会、欧州蘇生協議会、および他の同様の機関が、AEDの使用を含む心停止の被害者の処置に対するプロトコールを提供している。これらのプロトコールでは、被害者の状態にアクセスし、蘇生中に行うべき適切な処置を決定する際に従うべき一連のステップが規定されている。AEDの使用が必要となり得る介護者は、これらのプロトコールに従うように訓練される。
【0007】
殆どの自動体外式除細動器は実際には半自動体外式除細動器(SAED)であり、介護者が開始ボタンまたは解析ボタンを押す必要があり、その後、除細動器が患者のECGリズムを解析し、電気リズムがショック可能である場合、患者に対してショックを与えるように介護者に通知する。そして介護者は、ショックを与えるための制御ボタンの押下に関与する。ショック付与に続き、SAEDは患者のECGリズムを自動または手動により再度解析し、追加のショックを通知するか、または患者の循環の兆候(除細動処置が成功したこと、またはリズムがショック不可能であることを示す)を確認し、除細動試行によって循環が回復されていない場合、CPRを開始するように介護者に指示する。一方、完全に自動化された体外式除細動器は、除細動ショックを与える前にユーザの介入を待たない。以下で用いる自動体外式除細動器(AED)には、半自動体外式除細動器(SAED)が含まれる。
【0008】
自動体外式除細動器は、被害者から得られるECG信号を解析して、心室細動(VF)またはショック可能な心室頻拍(VT)などの心不整脈が存在するときを判定する信号処理ソフトウェアを備える。通常、これらのアルゴリズムは、救命イベント中の特定時点にECG解析を行うように設計されている。最初のECG解析は、通常、患者への除細動電極の取り付けに続く数秒以内に開始される。続くECG解析は、最初の解析の結果に基づいて開始される場合、開始されない場合がある。典型的には、最初の解析でショック可能なリズムが検出される場合、救助者は除細動ショックを与えるように通知される。ショック付与に続いて2回目の解析が自動的に開始され、除細動処置が成功したか否か(即ち、ショック可能なECGリズムが正常または他のショック不可能なリズムに変わったか)が判定される。この2回目の解析でショック可能な不整脈が引き続き存在することが検出される場合、AEDは2回目の除細動処置を行うようにユーザに通知する。その後、2回目のショックが有効であったか否かを判定するために3回目のECG解析が開始され得る。ショック可能なリズムがまだ存在する場合、救助者は3回目の除細動処置を施すように通知される。
【0009】
典型的なアルゴリズムでは、ショック可能なリズム(心室細動(VF)および心室頻拍(VT))およびショック不可能なリズム(正常洞律動(NSR)、異常リズム(ABN)、ショック不可能なVT、および不全収縮)としてリズムを区別する測定された特徴について、ECGが処理される。これらの特徴の幾つかとして、R−R間隔平均、R−R間隔分散、平均および最大信号強度、ベースライン等電時間の測定値、QRS幅、ECG第1差分布ならびに周波数ドメイン解析(注釈1)からのパラメータが挙げられる。注釈のついたECGデータベースの解析により、ショック可能なリズムおよびショック不可能なリズムにおける所与の特徴に対する値の分布が確立される。適切な決定論理手法を用いてこの知識を組み合わせ、ショックまたは非ショックの判定を行うことが可能である。
【0010】
AEDは成人用に設計されており、ECG不整脈論理は成人集団に対して開発されたものであるが、心停止を起こした小児にまでAEDの使用を拡張することの必要性は明らかである。最近の文献では小児から収集されたECGデータベースに対する成人ベースでのAED不整脈アルゴリズムの精度が報告されており、それらのアルゴリズムが安全かつ有効であると結論づけられている。しかしながら、成人のECGリズムと小児のECGリズムとの間には著しい違いがある。例えば、小児のECGでは成人のものと比べ、正常心拍数は速く、QRS幅は狭く、またPR間隔およびQT間隔は短い。小児患者においてショック可能な心室頻拍の速さは、成人患者(>150拍/分)よりもはるかに高い(>200拍/分)。
【0011】
米国心臓協会および欧州蘇生協議会によって推奨される治療プロトコールでは、3回目の除細動器ショックに続き、または上述のいずれかの解析によってショック不可能なリズムが検出されたとき、救助者が患者の脈をとるか、患者の循環の兆候を評価することが求められる。脈または循環の兆候が認められない場合、救助者は被害者に対して1分間以上、CPRを行うように訓練されている。この心肺蘇生法の期間(人工呼吸と胸部圧迫を含む)に続いて、AEDは上述のような適切な除細動処置に点在する一連の3回までの追加のECG解析を再度開始する。3回のECG解析/除細動ショックのシーケンスとそれに続く1〜3分間のCPRは、AEDの電源が入っており、患者がAED装置に接続されている限り、繰り返し継続される。典型的には、AEDは、解析の開始するときを、解析結果がどうであったかを、およびCPRの付与を開始および停止するときを救助者に知らせるための音声プロンプトを提供する。
【0012】
AEDは成人患者および小児患者に対して使用することが可能である。しかしながら、特にCPRの適用に関しては、米国心臓協会は小児被害者の救命において、成人の救命プロトコールとは異なるプロトコールを推奨している。小児の停止被害者に対しては気道確保と人工呼吸の重要性が高いことから、AHAは救急医療サービス(EMS)システムを呼び活動させる前にも、通常の小児の呼吸器の一次処置を行うために、まず第1に小児の気道の閉塞を調べ、気道を空け、口移し人工呼吸を行うことを推奨している。AHAは、成人被害者の場合には15回の胸部圧迫に対して2回の換気の割合を、また小児被害者の場合には5回の胸部圧迫に対して1回の換気の割合を推奨している。成人被害者および小児被害者のいずれにおいても、推奨される圧迫の速さは1分間あたり100回である。この換気に対する圧迫の比の違いの論拠は、1)小児(8歳未満)停止における最も一般的な原因は呼吸性のものであること、2)小児(8歳未満)集団における呼吸の速さは、成人における呼吸の速さよりも速いことである。これに加えて、小児被害者(8歳未満)に対する胸部圧迫の推奨深さは約2.5〜3.8cm(1〜1.5インチ)であるが、成人および小児(8歳を超える)に対する胸部圧迫の推奨深さは約3.8〜5.1cm(1.5〜2インチ)である。
【特許文献1】米国特許第6,101,413号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0195567号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
既存のAEDは、成人の救命プロトコールおよびECG解析とは異なる小児(8歳未満)被害者に対する適切な救命プロトコールおよびECG解析を与えることが不可能である。また、小児の蘇生の訓練を受けているが、AHAの推奨ガイドラインを知らない一般の救助者は、これらの既存のAEDを用いるときに小児の犠牲者に有効な蘇生を提供することは不可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合、プロセッサは、成人患者用ではなく小児患者用に構成されたECG解析アルゴリズムを使用するように、ECG解析アルゴリズムを修正する。
【0015】
第2の態様では、本発明は成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合、プロセッサは、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたプロンプトを使用するように、ユーザインターフェースに対し提供されるプロンプトを修正する。
【0016】
第3の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合、プロセッサは、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたCPRプロンプトを使用するように、ユーザインターフェースに対し提供されるCPRプロンプトを管理するCRPプロトコールを修正する。
【0017】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。本発明は、患者に取り付けた除細動電極を用いて、患者に除細動ショックを与えるための自動体外式除細動器を含んでよい。ユーザインターフェースを介して提供されるプロンプトはCPR胸部圧迫に関するプロンプトを含んでよく、小児患者が検出された場合、CPR胸部圧迫プロンプトは成人用セットのプロンプトから小児用セットのプロンプトに変えられてよい。小児用セットのプロンプトは、CPR胸部圧迫の深さと速さを提示するものであってよい。本発明はCPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定するための1つ以上のセンサを含んでよい。検出要素は小児除細動電極および成人除細動電極のいずれが用いられているかを検出するための回路を含んでよい。検出要素は患者の体重から力または圧力を検知するために肩部支持要素上に配置した力センサまたは圧力センサを含んでよい。除細動ショックのエネルギーは部分的には肩部支持要素上の力センサまたは圧力センサから得られる患者の体重に関する情報に基づき決定されてよい。肩部支持要素は装置の着脱可能なカバーからなってよい。検出要素は患者上に配置された除細動電極間の間隔から患者が小児患者および成人患者のうちのいずれであるかを判定するための1つ以上のセンサを含んでよい。
【0018】
第4の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカ
を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の体重に関する情報を検出するための力センサまたは圧力センサと、からなる。プロセッサは患者の体重に関する情報に基づき、患者に与えられる除細動エネルギーを修正する。
【0019】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。プロセッサは患者の体重に関する情報に基づきECG解析アルゴリズムを修正してよい。力センサまたは圧力センサは患者の肩の下に配置された肩部支持要素中に組み込まれてよい。肩部支持要素は除細動器のカバーであってよい。カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜していてよい。カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成されてよい。肩部支持要素内のセンサからの情報は、肩部支持要素から除細動器に延びるワイヤおよび肩部支持要素と除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって除細動器へ伝達されてよい。
【0020】
第5の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の肩の下に配置して気道を開放状態に保つのを補助するための肩部支持要素と、患者の肩が肩部支持要素上に適切に配置されたか否かを判定するための肩部支持要素内のセンサと、からなる。
【0021】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。肩部支持要素は体外式除細動装置のためのカバーであってよい。
第6の態様では、本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とする。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の胸の上に配置するための除細動電極と、電極が患者の胸の上に配置された後、該電極間の距離を判定するように構成されている、除細動電極の一方または両方内に配置される1つ以上のセンサと、からなる。プロセッサは該1つ以上のセンサにより判定される距離から患者の大きさに関する情報を判定することが可能であり、プロセッサは患者の大きさに関する情報に基づきプロンプトもしくはECG解析アルゴリズムまたは患者に与えられるエネルギーを変更することが可能である。
【0022】
好ましい実施形態では、次の特徴のうちの1つ以上が組み込まれてよい。プロセッサはセンサから得られた情報から患者の胴周囲長を推定してよい。プロセッサはセンサから得られた情報から患者の年齢を推定してよい。ECG解析アルゴリズムに対する修正は、心拍数基準、QRS幅基準、VF頻度内容基準およびECG強度基準のうちの1つ以上を含んでよい。プロンプトに対する修正はプロンプトの順序、プロンプトの数またはプロンプトのタイプを変えることを含んでよい。プロンプトはCPR圧迫およびCPR換気に対するプロンプトを含んでよく、圧迫−換気比は小児患者に対しては約5:1また成人患者に対しては約15:2であってよい。プロンプトはCPR圧迫深さに対するプロンプトを含んでよく、小児患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜3.8cm(約1.0〜1.5インチ)の範囲であってよく、成人患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜5.1
cm(約1.0〜2.0インチ)の範囲であってよい。プロンプトは装置が成人モードおよび小児モードのうちのいずれで動作しているかについて救助者に知らせるプロンプトを含んでよい。プロンプトは患者のリズム、年齢または体重のうちの1つ以上に基づいてCPR間隔T1をプロンプトすることを含んでよい。本発明は、ユーザを検出およびプロンプトしてCPR中に完全な胸部開放を行うための1つ以上のセンサおよびプロンプトを含んでよい。プロンプトは圧迫速さR1における小児特異性プロンプトを含んでよい。プロンプトは圧迫速さR1における成人特異性プロンプトを含んでよい。
【0023】
本発明は、患者タイプの自動検知または手動割り当てに基づき、成人に対するAED不整脈処理と小児に対するAED不整脈処理とを変更するシステムを特徴としてもよい。小児特異性論理に基づき小児患者に対するAED不整脈処理を変更することによって、より高感度かつ高特異性のショック決定が達成され、装置の安全性および有効性を著しく向上させる。
【0024】
本発明は、患者の年齢、胸部周囲長および体重に基づき、ユーザの介入の必要なく自動的に適切な救命プロトコールおよびECG解析を与えるための改良された方法を提供し得る。AEDは、患者の年齢、体重または胸部周囲長を検出する手段を利用し、特定の被害者年齢および体重に対して適切な救命プロトコールを与え、ECG解析アルゴリズムの性能を最適化するように自動的に切り替えることが可能である。訓練されていない救助者が本発明のAEDを作動させる場合、このプロトコールは、EMSシステムを活動させる前に小児(8歳未満)被害者に対し1分間のCPRを与えるよう、ユーザに指示するように設計されている。また、このプロトコールは、成人被害者に対し任意の治療またはCPRを行う前にEMSシステムを活動させるよう、ユーザに指示するように設計されている。また、AEDは、胸部圧迫検出器を埋め込んだ除細動電極の組とともに用いられるとき、胸部圧迫の深さを検出することが可能であるため、特定の被害者年齢および体重に基づいて適切な胸部圧迫−換気比および圧迫深さの管理を行うように救助者を案内することが可能である。さらに、本発明のAEDは、CPR間隔が入力されるとき、リズムのタイプに基づいて事前設定されたCPR期間の長さを選択することが可能である。例えば、不全収縮、PEAまたは正常リズムが検出されるとき、事前プログラムされたCPR期間は心室細動または頻拍が検出された後よりも長くすることが可能である。
【0025】
本発明は、患者の年齢、胸部周囲長および体重に基づきユーザの介入の必要なく自動的に適切な救命プロトコールおよびECG解析を与え、小児の停止被害者に処置を行うためのより包括的かつ有効なシステムを提供し得る。
【0026】
本発明は、成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、からなる。小児患者が検出された場合に、プロセッサは、成人患者に対してよりも小児患者に対して適したECG解析アルゴリズムまたはユーザインターフェースに与えられるプロンプトを使用するように、ECG解析アルゴリズムまたはプロンプトを修正する。
【0027】
この装置は、患者に取り付けた除細動電極を用いて、患者に除細動ショックを与えるための自動体外式除細動器を含んでよい。ユーザインターフェースを介して提供されるプロンプトはCPR胸部圧迫に関するプロンプトを含んでよく、小児患者が検出された場合、CPR胸部圧迫プロンプトは成人用セットのプロンプトから小児用セットのプロンプトに
変えられてよい。小児用セットのプロンプトは、CPR胸部圧迫の深さと速さを提示するものであってよい。CPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定するための1つ以上のセンサを含んでよい。検出要素は小児除細動電極および成人除細動電極のいずれが用いられているかを検出するための回路を含んでよい。検出要素は患者の体重から力または圧力を検知するために肩部支持要素上に配置した力センサまたは圧力センサを含んでよい。除細動ショックのエネルギーは部分的には肩部支持要素上の力センサまたは圧力センサから得られる患者の体重に関する情報に基づき決定されてよい。肩部支持要素は装置の着脱可能なカバーからなってよい。検出要素は患者上に配置された除細動電極間の間隔から患者が小児患者および成人患者のうちのいずれであるかを判定するための1つ以上のセンサを含んでよい。
【0028】
AEDは、CPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定する性能を備え、特定の除細動電極タイプが検出されるとき、自動的に切り替えを行い判定される患者の年齢に基づき適切な救命プロトコール、ECG解析およびCPR間隔の長さならびにガイダンスを提供し得る。判定される患者の年齢に基づき、適切な換気−圧迫比および圧迫間隔の長さが決定され、適切な胸部圧迫/換気比および速さならびに圧迫深さを与えるように、救命プロセス全体を通して音声および文字プロンプトを介して救助者に指針が与えられる。
【0029】
本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の体重に関する情報を検出するための力センサまたは圧力センサと、からなる。プロセッサは患者の体重に関する情報に基づき、患者に与えられる除細動エネルギーを修正する。
【0030】
プロセッサは患者の体重に関する情報に基づきECG解析アルゴリズムを修正してよい。力センサまたは圧力センサは患者の肩の下に配置された肩部支持要素中に組み込まれてよい。肩部支持要素は除細動器のカバーであってよい。カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜していてよい。カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成されてよい。肩部支持要素内のセンサからの情報は、肩部支持要素から除細動器に延びるワイヤおよび肩部支持要素と除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって除細動器へ伝達されてよい。
【0031】
幾つかの実施例では、より高い特異性にて被害者の年齢を判定するため、自動化された手段が提供され得る。被害者の体重は、一般に小児に対する除細動エネルギーを決定するための臨床手段として用いられる。患者の体重を測定するためにAED内に内蔵の力センサが提供される場合、AEDは測定された体重に基づき、除細動エネルギーおよびECG解析パラメータを調整する。
【0032】
力センサはAEDのカバー内に組み込まれてよい。カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜していてよい。カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成されてよい。介護者は心停止に苦しんでいるように見える人に遭遇した場合、心肺蘇生および緊急心臓血管ケアにおけるAHAガイドラインに指定されるような、推奨される蘇生手順に従う必要がある。頭または首に外傷のエビデンスが認められない場合、介
護者は患者の気道からすべてのデブリスを取り除く必要がある。これを行った後、介護者は患者を横向けになるように転がし、患者の肩の下にカバーを置き、患者の背中が下になるように転がす。カバーは患者を頭部後屈顎先挙上姿勢に支持するように配置される。これにより、介護者がCPRおよび除細動器の使用のうちの1つ以上を行うことが可能となる。姿勢(頭部後屈顎先挙上姿勢の患者と、気道を閉じた患者)については、心肺蘇生および緊急心臓血管ケアにおけるAHAガイドライン(2000年8月22日、p.1〜32、図7および8)にも記載されている。このカバーは、患者の肩がカバー上に適切に配置されているか否かを判定するための検出手段を備える。カバー内に配置された検出手段から装置筐体内のプロセッサへの通信は、例えば、ヒンジ要素を介して、またはフラットフレキシブルケーブルなどの相互接続要素を提供することによって、カバーを装置筐体と一体の要素とすることによって達成可能である。通信はBluetooth(登録商標)または誘導手法などの技術を介して無線で行われてもよい。患者の肩がカバーの上に置かれるとき、測定される力がAEDへ伝達される。
【0033】
本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の肩の下に配置して気道を開放状態に保つのを補助するための肩部支持要素と、患者の肩が肩部支持要素上に適切に配置されたか否かを判定するための肩部支持要素内のセンサと、からなる。
【0034】
本発明は、成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置を特徴とし得る。この装置は、救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、患者の胸の上に配置するための除細動電極と、電極が患者の胸の上に配置された後、該電極間の距離を判定するように構成されている、除細動電極の一方または両方内に配置される1つ以上のセンサと、からなる。プロセッサは該1つ以上のセンサにより判定される距離から患者の大きさに関する情報を判定することが可能であり、プロセッサは患者の大きさに関する情報に基づきプロンプトもしくはECG解析アルゴリズムまたは患者に与えられるエネルギーを変更することが可能である。
【0035】
プロセッサはセンサから得られた情報から患者の胴周囲長を推定してよい。プロセッサはセンサから得られた情報から患者の年齢を推定してよい。
センサ要素は被害者の胸部上に配置される2つの除細動電極内に設けられてよい。電極は電極間の相対距離がAEDによって判定可能であるように構築されてよい。この相対距離に基づき、胴周りの長さがAEDによって算出され、患者の年齢の推定や適切なエネルギーレベル伝達の手段として用いられることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の記載において、「介護者」、「救助者」および「ユーザ」という用語は交換可能に用いられ、患者を介護する装置の操作者を指す。また、「被害者」という用語は「患者」と交換可能に用いられる。
【0037】
図1および2を参照すると、自動体外式除細動器10は着脱可能なカバー12と、装置筐体14とを備える。図2においては、この除細動器10をカバー12の取り外された状態で示す。電極アセンブリ16(または一対の分離電極)はケーブル18を介して装置筐
体14に接続されている。除細動器の非使用時には、電極アセンブリ16はカバー12の下に格納される。
【0038】
図3を参照すると、本発明はプロセッサ手段20と、ユーザインターフェース21と、検出手段25とを備える。ユーザインターフェース21には、グラフィカル表示部22もしくは文字表示部23などの要素またはスピーカ24などの音声出力部が含まれる。検出手段25は、プロトコール内の一連のステップのうちの1つ以上が成功裏に完了したか否かを判定するための手段である。好ましい実施形態においては、検出手段25には、特定のステップがユーザによって開始されたか否かを判定する性能と、その特定のステップがユーザによって成功裏に完了されたか否かを判定する性能との両方が含まれる。シミュレーションまたは実際の使用におけるユーザビリティ調査に基づいて、一般的なユーザ誤差が判定され、最も一般的な誤差が生じているか否かを判定するための特定の検出手段が提供される。
【0039】
装置筐体14は電源ボタン15と、状態表示器17とを備える。状態表示器17は、除細動器が使用できる状態にあるか否かを介護者に示す。
カバー12はカバーデカール30(図1および4)を含む。このカバーデカール30には、ロゴ31と、一連のグラフィック32,34,36とが含まれる。ロゴ31は、装置の製造者に関する情報を提供し、その装置が除細動器であることを示してよい(例えば、図1に示す「ZOLL AED」は、この装置がZOLLメディカル製の半自動体外式除細動器であることを示す)。グラフィック32,34,36は、緊急医療者の到着を待つ間の緊急心臓ケアにおいて、AHAのAED治療アルゴリズムに概説されるような心臓蘇生手順の最初の段階に介護者を導く(「心肺蘇生法および緊急心臓血管ケアに対するガイドライン2000−循環に対する追補(Guidelines 2000 for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care.Supplement to Circulation)」、第102巻、第8号,2000年8月22日、p.1〜67を参照)。例えば、介護者および患者を示したグラフィック32は、例えば、患者を静かに揺さぶり、患者が大丈夫であるか否かを尋ねることによって、最初に介護者が患者の反応を確認すべきであることを示している。次に、電話および救急車を示したグラフィック34は、蘇生を行う前に介護者が緊急支援を呼ぶべきであることを示している。最後に、グラフィック36は、これらのステップが行われた後で、介護者が除細動器のカバー12を外し、蓋の下に格納されている電極アセンブリ16を取り出し、ボタン15を押下して電源を入れるべきことを示している。グラフィックは最初のステップを左上として時計回りに配置されている。これは、この順序が介護者にとって直感的に従いやすいためである。しかしながら、この場合では介護者がステップを実施する順序は問題ではないため、簡略化のためにステップの順序の表示は行っていない。
【0040】
図9aおよび図9bに示すように、カバー12は患者の首および肩の下に配置され、患者の気道を開放姿勢に保持するのを助けるように患者の肩および首を支持、即ち、患者を頭部後屈顎先挙上姿勢に保持するように構成されている。カバーは、蘇生中に堅牢な支持を与えるように、好ましくは、充分な壁厚を有する比較的硬いプラスチックから形成される。適切なプラスチックとしては、例えば、ABS、ポリプロピレン、およびABS/ポリプロピレンブレンドが挙げられる。
【0041】
心停止に対する治療を行う前に、介護者は患者の気道が空いており閉塞のないことを確かめ、肺への空気の通りを確保すべきである。患者の舌および喉頭蓋による気道の閉塞を防ぐために(例えば、図9aに示すように)、頭部が後屈し頸部が挙上姿勢に支持されるような姿勢に患者を保持することが望ましい。患者をこのような姿勢にすることは、心肺蘇生および緊急心臓血管ケアにおける米国心臓協会のガイドラインに「頭部後屈顎先挙上
姿勢」として記載されている。頭部後屈顎先挙上姿勢により、口および気管を通る肺への比較的まっすぐな開いた気道が提供される。しかしながら、緊急治療中、患者をこの姿勢に保持することは困難である。
【0042】
カバー12は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を後屈させるために、約10〜25度、例えば15〜20度の角度Aで傾斜する上面24を有する(図8)。上面24は、患者の位置決めを用意にするために滑らかに湾曲している。例えば約51〜76cm(約20〜30インチ)の曲率半径を有する湾曲面は、一般に、平坦な面よりも良好な位置決めを提供する。カバー12の高さHは、その最高点において、約7.5cm〜10cmである(図8)。大半の患者の肩の幅を収容するために、好ましくは、カバー12の幅Wは約15cm(6インチ)以上、例えば、約15〜25cm(約6〜10インチ)である(図8)。カバー12の幅が充分でないと、胸部圧迫中に患者の首および肩が動き、装置の有効性が低下する。図9aおよび図9bに示す姿勢(頭部後屈顎先挙上姿勢にある患者および気道が閉じた患者)は、心肺蘇生法および緊急心臓血管ケアにおけるAHAガイドライン、2000年8月22日、p.1〜32の図7および8に記載されている。
【0043】
好ましい一実施例においては、電源投入時、AEDが小児用除細動パッドの装着されていることを検出する場合、AEDは自動的に小児救命プロトコールを開始する。図6aには、小児プロトコールの一例の詳細を示す。装置は救助者に対し被害者の反応を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(即ち、「反応を確認」)、次の状態に移る前に反応を確認させるため、事前プログラムされた時間(例えば、4秒間)を与える。次に、装置は救助者に対し被害者の呼吸を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(例えば、「呼吸を確認」)、呼吸を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、7秒間)を与える。次に、AEDは救助者に対し被害者の脈を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(例えば「脈を確認」)、被害者の脈を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、10秒間)を与える。次に、AEDはCPR状態に入り、救助者に胸部圧迫を開始するように指示する音声/文字プロンプトを出力する(例えば、「脈のない場合、胸部圧迫を開始」)。このCPR状態中には、胸部圧迫を検出し計数する「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」機能によって、胸部圧迫信号が受信される。胸部圧迫の回数が5未満であるあいだは、検出された各圧迫の深さが評価される。検出される圧迫の深さが約2.5cm(1インチ)以下である場合、「押下をより強く」という音声/文字プロンプトの出力によって、救助者は被害者の胸部をさらに強く押すように指示され、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約2.5cm(1インチ)を超える場合、この深さは再度評価される。検出された圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)未満の場合、被害者の胸を反跳させるように手が完全に離れているかの確認が行われる。各圧迫後に救助者の手が被害者から離れている場合、AEDは圧迫速さが事前プログラムされた速さR1よりも大きくないかを確認する。圧迫速さがR1より大きい場合、AEDは効果的な圧迫を示す音声/文字プロンプト「圧迫は良好」を出力する。圧迫速さがR1未満の場合、AEDはより速く押すように救助者に指示する音声/文字プロンプトを出力して、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。
【0044】
救助者が各圧迫後に胸から手を離していない場合、AEDは音声/文字プロンプト「押下後、胸から手を離す」を出力することにより、各圧迫後に被害者の胸部から手を離すようユーザに指示し、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)より大きい場合、AEDはプロンプト「より弱い力で押下」を出力することにより、より弱い力で被害者の胸を押すよう救助者に指示し、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。胸部圧迫回数が5を超えると、装置は音声/文字プロンプト「圧迫を停止、人工呼吸を1回行う」を出力することにより、圧迫を止めて被害者に人工呼吸を1回行うよう救助者に指示し、
CPR状態の時間がタイマーT1を超えているか否かを確認する。CPR状態時間がT1未満の場合、胸部圧迫カウンタはリセットされ、AEDは「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。CPR状態時間がT1を超える場合、AEDは救急呼出電話番号(calling 911)によってEMSシステムを活動させるよう救助者に指示し、AEDは「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態に移行する。この状態で「小児ECG解析アルゴリズム」が実行される。1回目の解析でショック不可能なリズムが検出される場合、AEDは別のCPRサイクルのためのCPR状態に移行する。1回目の解析でショック可能なリズムが検出される場合、救助者は除細動ショックを与えるように通知される。ショック付与に続いて、2回目の解析が自動的に開始されて、除細動処置が成功したか否かが判定される(即ち、ショック可能なECGリズムが正常なリズムまたは他のショック不可能なリズムに変換されたか)。この2回目の解析でショック可能な不整脈が継続的に存在することが検出される場合、AEDはユーザに2回目の除細動処置を行うように通知する。
【0045】
2回目のショックが有効であったか否かを判定するため、3回目のECG解析が自動的に開始される。ショック可能なリズムが残存している場合、救助者は3回目の除細動処置を施すように通知される。3回目の除細動器ショックに続いて、または上述のいずれかの解析でショック不可能なリズムが検出される場合、AEDは別の胸部圧迫および換気サイクルのためのCPR状態に移行する。「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態においても、検出されたリズムのタイプ、即ち、正常、不全収縮、非伝導、心室頻拍または心室細動に基づき、事前プログラムされた値にT1が設定される。例えば、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分超の小児の不全収縮または非伝導性リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、不全収縮および非伝導性リズムは1分より長いCPR期間を要する。不整脈の例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分の小児の不整脈リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。正常なリズムの例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが1分超の小児のリズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。
【0046】
一方、電源投入時にAEDが成人用除細動パッドを検出する場合、AEDは自動的に成人救命プロトコールを開始する。図6bには、成人救命プロトコールの一例の詳細を示す。AEDは救助者に対し被害者の反応を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(即ち、「反応を確認」)、次の状態に移る前に反応を確認させるため、事前プログラムされた時間(即ち、4秒間)の経過を可能とする。次に、AEDは救急呼出電話番号によってEMSシステムを活動させるように救助者に指示し、次の状態に移る前に誰かが助けを呼ぶことを可能とするように事前プログラムされた時間(例えば、4秒間)の経過を可能とする。次に、AEDは救助者に対し呼吸を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(即ち、「呼吸を確認」)、呼吸を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、7秒間)を与える。次に装置は救助者に対し被害者の脈を確認するように指示する音声/文字プロンプトを出力し(例えば、「脈を確認」)、脈を確認させるための事前プログラムされた時間(例えば、10秒間)を与える。次に、AEDは「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態に移行する。この状態において「成人ECG解析アルゴリズム」が実行される。1回目の解析でショック不可能なリズムが検出される場合、AEDはCPR状態に移行する。1回目の解析でショック可能なリズムが検出される場合、救助者は除細動ショックを与えるように通知される。
【0047】
ショック付与に続いて、2回目の解析が自動的に開始されて、除細動処置が成功したか否かが判定される(即ち、ショック可能なECGリズムが正常なリズムまたは他のショック不可能なリズムに変換されたか)。この2回目の解析でショック可能な不整脈が継続的
に存在することが検出される場合、AEDはユーザに2回目の除細動処置を行うように通知する。2回目のショックが有効であったか否かを判定するため、3回目のECG解析が自動的に開始される。ショック可能なリズムが残存している場合、救助者は3回目の除細動処置を施すように通知される。3回目の除細動器ショックに続いて、または上述のいずれかの解析でショック不可能なリズムが検出されるとき、装置は別のCPRサイクルのためのCPR状態に移行する。「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態においても、検出されたリズムのタイプ、即ち、正常、不全収縮、非伝導、心室頻拍または心室細動に基づき、事前プログラムされた値にT1が設定される。例えば、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分超の成人の不全収縮または非伝導性リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、不全収縮および非伝導性リズムは1分超のCPR期間を要する。不整脈の例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが、1分の成人の不整脈リズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。正常なリズムの例では、「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」タスクが1分超の成人のリズムに適した事前プログラムされた値にT1を設定するような場合、必要なCPR時間は1分のみである。CPR状態に入ると、AEDは救助者に胸部圧迫を開始するように指示する音声/文字プロンプトを出力する(例えば、「脈のない場合、胸部圧迫を開始」)。このCPR状態中には、胸部圧迫を検出し計数する機能である「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」によって、胸部圧迫信号が受信される。胸部圧迫の回数が15未満であるあいだは、検出された各圧迫の深さが評価される。検出される圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)以下である場合、音声/文字プロンプト「押下をより強く」を出力することによって、救助者は被害者の胸部をさらに強く押すように指示され、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約3.8cm(1.5インチ)を超える場合、この深さは再度評価される。検出された圧迫の深さが約5.1cm(2インチ)未満の場合、手が完全に離れているかの確認が行われる。各圧迫後に救助者の手が被害者の胸部から離れており、被害者の胸を完全に反跳させている場合、AEDは圧迫速さが事前プログラムされた速さR1よりも大きいか否かを確認する。圧迫速さがR1より大きい場合、AEDは効果的な圧迫を示す音声/文字プロンプト「圧迫は良好」を出力する。圧迫速さがR1未満である場合、AEDはより速く押すよう救助者に指示する音声/文字プロンプトを出力して、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。
【0048】
救助者が各圧迫後に胸から手を離していない場合、装置は音声/文字プロンプト「押下後、胸から手を離す」を出力することにより、より効果的なCPRを提供するために各圧迫後に被害者の胸部から手を離すようユーザに指示し、「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。検出された胸部圧迫の深さが約7.6cm(3インチ)より大きい場合、装置はプロンプト「より弱い力で押下」を出力することにより、より弱い力で被害者の胸を押すよう救助者に指示し、圧迫速さが事前プログラムされた速さR1よりも大きいか否かを確認する。圧迫速さがR1より大きい場合、AEDは効果的な圧迫を示す音声/文字プロンプトを出力する。一方、圧迫速さがR1未満の場合、AEDはより速く押すよう救助者に指示する音声/文字プロンプトを出力する。胸部圧迫の回数が15を超える場合、装置は音声/文字プロンプト「圧迫を停止、人工呼吸を2回行う」を出力することにより、圧迫を止めて被害者に人工呼吸を2回行うよう救助者に指示し、CPR状態の時間が選択されるタイマーT1を超えているか否かを確認する。
【0049】
CPR状態時間がT1未満の場合、胸部圧迫カウンタはリセットされ、装置は「胸部圧迫の検出およびインクリメントカウンタ」状態に戻る。CPR状態時間がT1を超える場合、AEDは「3ショックシーケンスを実行、T1を設定」状態に移行する。
【0050】
図12にはAED不整脈処理フローチャートの一例を示す。成人に比べて小児のQRS
は狭く、心拍も速いので、QRS検出システムはECG信号に対してより高感度に調整され得る。このフローチャートには、不整脈分類論理およびショック決定論理の変更により、特異性および感度が改善され得ることも示す。
【0051】
信号調整ブロックにおいては、ベースラインオフセット、高周波ノイズおよび回線ノイズ周波ノイズを除去するために、ECG信号は帯域通過およびノッチフィルターにかけられる。ノイズ検出ブロックはベースライン、運動、高周波、筋肉、および飽和ノイズの検出を行い、それにしたがってECG信号状態データにフラグを立てる。
【0052】
QRS検出ブロックにおける処理では、QRSに基づいてマッチングしたフィルタを通したECGデータに適用することによって、QRS検出信号が生成される。実施される処理のタイプは、処理モード設定に応じて異なる(図13を参照)。
【0053】
信号ストリーム中でのQRSの位置が検出されると、QRS検出ブロックはQRS検出付近の信号を処理し、R−R間隔、QRS幅、QRS面積、およびQRS複合体とその基礎となるリズムの分類を補助する他の特徴を判定する。リズム測定ブロックはQRS測定値およびECG信号に対する解析を行い、リズム分類に必要な測定値に基づきリズムを生成する。リズム判定およびショック判定決定論理ブロックはQRS検出およびリズムデータを処理して、ECGリズムを分類し、非ショックかショックかの決定を行う。当該技術分野においてはヒューリスティック論理、形態素解析、エキスパートシステム解析および統計的クラスタリング手法を含む、多くのビートとリズムの分類技術が知られている。リズム判定およびショック判定決定論理ブロックからの出力はAEDにより、被害者にショックを与えるため(完全自動AED)またはショックを与えCPRなど他の介入を開始するようユーザに通知する(半自動AED)ために用いられる。
【0054】
図13には、QRS検出を強化するためのモード特異性処理の使用の一例を示す。PEDIモード選択ブロックにおいて、マッチングしたフィルタ特性が処理モード設定(成人または小児)に基づき選択され、そのクラスの患者に対する最適検出信号が生成される。閾値検出スキームは、検出信号内でのQRS複合体の場所を判定するために用いられる。各QRSに一致させたフィルタとともに用いるように最適化された閾値システムが用いられる。QRS検出選択ブロックは、QRS測定(QRS検出あり)を実行するか、または不全収縮確認(QRS検出なし)を実行するかを決定する。不全収縮確認では、検出タイムアウトを処理し、検出閾値を調整し、不全収縮状態が存在するか否かを標的システムに知らせる。
【0055】
図14には、リズム分類論理およびショック決定判定を強化するためのモード特異性処理の使用の一例を示す。PEDIモード選択ブロックは、いずれの患者モードリズム論理を処理するかを選択する。リズム分類論理は、ヒューリスティック(もし−ならば−さもなければ;if−then−else)規則、特徴クラスタ解析、ファジーシステム解析、ニューラルネットワーク、ベイズ確率論的システム解析など幾つかの方法で実施することが可能である。ショック可能なリズム選択ブロックはショック決定に基づき、適切な処理フローを選択する。非ショック決定ブロックは、ショック不可能なリズムの解析結果を表示するまたは音声で知らせるなど、適切な動作を行うよう除細動器システムに通知する。ショック可能であるという決定がなされると、除細動器の充電と、治療(自動除細動器)またはエネルギー伝達のためのユーザへのプロンプト(半自動除細動器)とが与えられる。
【0056】
図15および図16は、成人および小児のAED不整脈論理テーブルの簡単な例である。第1列のリズム分類は、第2〜6列に記載の規則のすべてが該当するときに満たされる。また、最後の列には各ショック決定を示す。これらの例では、ショック可能かショック
不可能かの判定は、特定の成人または小児のリズム分類論理から得られる。様々な制限、規則または他の集団特異性論理システムは、それぞれ成人および小児のECG信号データベースにより調整(または、トレーニング)される。
【0057】
図7を参照すると、カバー12は、患者の肩がカバー12上に適切に配置されているか否かを判定するための検出手段を備える。カバーが患者の背中の下に配置されているか否かを判定するために、2つの光電センサ156,157を用いる。このセンサ156,157はカバー12の鋭い端に沿って配置されており、一方は内側を、他方は外側を向いている。ケーブル155はセンサ156,157へ電力を供給するとともに、センサ出力を検出する。カバー12の上下が逆である場合、内側のセンサ156は外側のセンサ157よりも高い光レベルを測定し、鋭い端が患者の頭の頂部を向くようにカバーが配置されている場合、外側のセンサ157は内側のセンサ156よりも高い測定値を示し、所定レベルを超える。カバーが適切に配置されている場合には、内側のセンサ156と外側のセンサ157の両方の出力が所定レベル未満となる。別の実施形態では、カバーデカールの下に配置された圧力センサ158によって検出手段が提供される。圧力センサ158は、被害者の胸部重量を測定するために用いられる。測定される重量に基づいて、参照テーブルを作成し、被害者のおよその年齢および与えるべき最適な除細動エネルギーを判定することが可能である。
【0058】
例えば、人が倒れ、その人が心停止を起こしていることを介護者が疑う場合、介護者は最初に除細動器をとり、電源102を入れる。装置が内部自己診断を完了させると使用準備が整い、そのことが指示器17によって示される。次に、除細動器が介護者に、例えば、「冷静に、注意して聞くこと」など、案内音声メッセージをプロンプトする。
【0059】
その直後、除細動器は、介護者が患者の反応を確認すべきであることを示す音声メッセージを、介護者へプロンプトする。同時に、グラフィック42近傍のLED56が点灯し、介護者がこのグラフィックを見るようにする。グラフィック42は、患者が意識消失であるか否かを判定するため、介護者が「大丈夫(OK)ですか?」と叫び、患者を揺さぶることを、介護者に指示する。
【0060】
適切な時間の経過後(例えば、2秒間)、介護者がまだ除細動器の電源を切っていない場合(患者の反応があった場合などに起こる)、除細動器は、介護者が助けを呼ぶように指示する音声プロンプトを与える。同時に、グラフィック42近傍のLEDが消灯してグラフィック43近傍のLEDが点灯し、介護者の注意をグラフィック43へ向けさせる。グラフィック43は、介護者がまだ救急隊員を呼んでいないような場合、呼ぶことを思い起こさせる。
【0061】
介護者が先のステップを実行するのに適切な時間(約2秒)を与えた後、除細動器は、介護者が患者の気道を開き、患者が呼吸をしているか否かを確認すべきことを示す音声プロンプトを与える。グラフィック43近傍のLEDが消灯してグラフィック44近傍のLEDが点灯し、患者の気道を開くための適切な手順を示すグラフィック44の方へ、介護者の注意を向けさせる。これによって、患者の顎を持ち上げて患者の頭を後屈するよう介護者が案内される。図9a,9bを参照して以下に説明するように、必要に応じて、介護者は患者の首および肩の下に気道支持装置を配置してよい。介護者は患者が呼吸をしている否かを判定するため、確認を行う。
【0062】
適切な時間(例えば、15秒)後、除細動器は介護者が循環の兆候を確認すべきことを示す音声プロンプトを与え、グラフィック44近傍のLEDは消灯し、グラフィック45近傍のLEDは点灯する。グラフィック45は、AHAが素人の救助者に対し推奨するように、患者の脈その他の循環の兆候を確認すべきことを介護者に示す。
【0063】
適切な時間(例えば、5〜7秒間)後、除細動器は介護者が電極アセンブリ16を患者に取り付けるべきことを示す音声プロンプトを与え、グラフィック45近傍のLEDは消灯し、グラフィック46近傍のLEDは点灯する。グラフィック46は、電極アセンブリ16を患者の胸の上にどのように配置するかを介護者に示す。
【0064】
この時点で、グラフィック47近傍のLEDが点灯し、除細動器は、患者の心臓リズムが除細動器によって解析中であるので介護者は離れているべきことを指示する音声プロンプトを与える。このLEDの点灯中、除細動器は電極アセンブリからECGデータを取得し、このデータを解析して患者の心臓リズムがショック可能であるか否かを判定する。この解析は、AEDによって従来的に実行される。
【0065】
患者の心臓リズムはショック不可能であると除細動器が判定する場合、除細動器は「ショックは推奨されない」などの音声プロンプトを与える。次に、グラフィック48および49の隣のLEDが点灯し、除細動器は、介護者が再度患者の気道を開き、呼吸および脈を確認して、介護者が脈を検出しない場合、CPRを与えることを開始すべきことを指示する音声プロンプトを与える。グラフィック48および49は、CPRを与えるときに実行するのに適切なステップを介護者に思い起こさせるものである。
【0066】
あるいは、患者の心臓リズムがショック可能であると除細動器が判定する場合、除細動器は「ショックが推奨される。患者から離れ、処置ボタンを押下」などの音声プロンプトを与える。このとき、心臓54および手52のうちの1つ以上が点灯し、介護者に処置ボタンの場所を示す。この時点で、介護者は離れて(存在する場合、他者に離れるよう警告する)、心臓54を押下し、処置ボタンを押下して、患者に除細動ショック(または、除細動器電子機器による判定に従い、一連のショック)を与える。
【0067】
図11を参照すると、幾つかの実施例には、心尖電極255および胸骨電極254の相対側方位置を検出するための手段が備えられる。一実施例では、心尖電極255内に配置された磁石253によって作動されたとき、磁気ホール効果センサ251によって発生される信号が電極の相対側方位置を示すように、磁気ホール効果センサ251が配置される。既知の人体測定学を用いて、患者の年齢や除細動エネルギーレベルに加え、胸部周囲の長さを推定することが可能である。電極の相対側方位置は、デジタルカリパスにおいて一般的に用いられる線形エンコーダを用いて正確な周囲測定値を与えることによって、決定可能である。エンコーダは光学的なエンコーダであってもよく、磁気的なエンコーダであってもよい。
【0068】
AEDのカバー12は、その下面に例えば、図10に示すデカール200など、デカールを含んでよい。デカール200は、蘇生中に患者の気道を開放状態に保つための受動気道支持装置としてのカバーの用途を示す。グラフィック202は、患者を転がして患者の肩の下にカバー12を置くように介護者にプロンプトする。グラフィック204は、気道を確実に開けるための患者の下でのカバー12の適切な位置を示す。
【0069】
図5に示したデカールには、このようなグラフィックは含まれていないが、デカール40には患者が呼吸しているか否かを見て確認することをユーザにプロンプトするグラフィックが含まれてもよい。このようなグラフィックには、例えば、介護者が耳を患者の口に近づけている絵などが含まれてもよい。このグラフィックには、患者の口からの空気の流れを示す線が含まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】カバーを付けた状態のAEDの斜視図。
【図2】カバーを外した状態の図1のAEDの斜視図。
【図3】AEDのブロック図。
【図4】図1のAEDのカバー上で用いられるグラフィカルインタフェースデカールの平面図。
【図5】図2に示すような、図1のAEDの装置筐体上で用いられるグラフィカルインタフェースデカールの平面図。
【図6a】小児AED蘇生プロトコールに対するフローチャート。
【図6b】成人AED蘇生プロトコールに対するフローチャート。
【図7】カバーおよび筐体の分解斜視図。
【図8】角度「A」を示すカバーの側面図。
【図9a】患者の肩の下にカバーを置くことによる患者の気道への効果を示す図。
【図9b】患者の肩の下にカバーを置くことによる患者の気道への効果を示す図。
【図10】患者の肩の下にカバーを置くための、カバー上のグラフィカル指示を示す図。
【図11】集積電極パッドを示す図。
【図12】AEDにおける不整脈処理のフローチャート。
【図13】QRS検出を強化するためのモード特異性処理のフローチャート。
【図14】リズム分類論理およびショック判定を強化するためのモード特異性処理のフローチャート。
【図15】成人に対するAED不整脈論理テーブルの一例を示す図。
【図16】小児に対するAED不整脈論理テーブルの一例を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、
小児患者が検出された場合、成人患者用ではなく小児患者用に構成されたECG解析アルゴリズムを使用するように、プロセッサがECG解析アルゴリズムを修正することと、からなる装置。
【請求項2】
成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、
小児患者が検出された場合、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたプロンプトを使用するように、プロセッサがユーザインターフェースに対し提供されるプロンプトを修正することと、からなる装置。
【請求項3】
成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、
小児患者が検出された場合、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたCPRプロンプトを使用するように、プロセッサがユーザインターフェースに対し提供されるCPRプロンプトを管理するCRPプロトコールを修正することと、からなる装置。
【請求項4】
患者に取り付けた除細動電極を用いて、患者に除細動ショックを与えるための自動体外式除細動器を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
ユーザインターフェースを介して提供されるプロンプトはCPR胸部圧迫に関するプロンプトを含むことと、小児患者が検出された場合、CPR胸部圧迫プロンプトは成人用セットのプロンプトから小児用セットのプロンプトに変えられることとを含む請求項2または3に記載の装置。
【請求項6】
小児用セットのプロンプトはCPR胸部圧迫の深さと速さを提示することを含む請求項5に記載の装置。
【請求項7】
CPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定するための1つ以上のセンサを含む請求項5に記載の装置。
【請求項8】
検出要素は小児除細動電極および成人除細動電極のいずれが用いられているかを検出す
るための回路を含む請求項4に記載の装置。
【請求項9】
検出要素は患者の体重から力または圧力を検知するために肩部支持要素上に配置した力センサまたは圧力センサを含む請求項4に記載の装置。
【請求項10】
除細動ショックのエネルギーは部分的には肩部支持要素上の力センサまたは圧力センサから得られる患者の体重に関する情報に基づき決定される請求項9に記載の装置。
【請求項11】
肩部支持要素は装置の着脱可能なカバーからなる請求項9に記載の装置。
【請求項12】
検出要素は患者上に配置された除細動電極間の間隔から患者が小児患者および成人患者のうちのいずれであるかを判定するための1つ以上のセンサを含む請求項4に記載の装置。
【請求項13】
成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
患者の体重に関する情報を検出するための力センサまたは圧力センサと、
プロセッサは患者の体重に関する情報に基づき、患者に与えられる除細動エネルギーを修正することと、を含む体外式除細動装置。
【請求項14】
プロセッサは患者の体重に関する情報に基づきECG解析アルゴリズムを修正することを含む請求項13に記載の体外式除細動装置。
【請求項15】
力センサまたは圧力センサは患者の肩の下に配置された肩部支持要素中に組み込まれることを含む請求項13に記載の体外式除細動装置。
【請求項16】
肩部支持要素は除細動器のカバーである請求項13に記載の体外式除細動装置。
【請求項17】
カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜している請求項16に記載の体外式除細動装置。
【請求項18】
カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成される請求項16に記載の体外式除細動装置。
【請求項19】
肩部支持要素内のセンサからの情報は、該肩部支持要素から除細動器に延びるワイヤおよび該肩部支持要素と除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって除細動器へ伝達される請求項15または16に記載の体外式除細動装置。
【請求項20】
成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
患者の肩の下に配置して気道を開放状態に保つのを補助するための肩部支持要素と、
患者の肩が肩部支持要素上に適切に配置されたか否かを判定するための肩部支持要素内のセンサと、からなる体外式除細動装置。
【請求項21】
肩部支持要素は体外式除細動装置のカバーからなる請求項20に記載の体外式除細動装置。
【請求項22】
成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
患者の胸の上に配置するための除細動電極と、
除細動電極の一方または両方内に配置される1つ以上のセンサと、該1つ以上のセンサは電極が患者の胸の上に配置された後、該電極間の距離を判定するように構成されていることと、
プロセッサは該1つ以上のセンサにより判定される距離から患者の大きさに関する情報を判定可能であることと、
プロセッサは患者の大きさに関する情報に基づきプロンプトもしくはECG解析アルゴリズムまたは患者に与えられるエネルギーを変更可能であることと、からなる体外式除細動装置。
【請求項23】
プロセッサはセンサから得られた情報から患者の胴周囲長を推定する請求項22に記載の体外式除細動装置。
【請求項24】
プロセッサはセンサから得られた情報から患者の年齢を推定する請求項22に記載の体外式除細動装置。
【請求項25】
ECG解析アルゴリズムに対する修正は、心拍数基準、QRS幅基準、VF頻度内容基準およびECG強度基準のうちの1つ以上を含む請求項1に記載の装置。
【請求項26】
プロンプトに対する修正はプロンプトの順序、プロンプトの数またはプロンプトのタイプを変えることを含む請求項1に記載の装置。
【請求項27】
プロンプトはCPR圧迫およびCPR換気に対するプロンプトを含むことと、圧迫−換気比は小児患者に対しては約5:1また成人患者に対しては約15:2であることとを含む請求項5に記載の装置。
【請求項28】
プロンプトはCPR圧迫深さに対するプロンプトを含むことと、小児患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜3.8cm(約1.0〜1.5インチ)の範囲であることと、成人患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜5.1cm(約1.0〜2.0インチ)の範囲であることと、を含む請求項5に記載の装置。
【請求項29】
プロンプトは装置が成人モードおよび小児モードのうちのいずれで動作しているかについて救助者に知らせるプロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項30】
プロンプトは患者のリズム、年齢または体重のうちの1つ以上に基づいてCPR間隔T1をプロンプトすることを含む請求項5に記載の装置。
【請求項31】
ユーザを検出およびプロンプトしてCPR中に完全な胸部開放を行うための1つ以上のセンサおよびプロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項32】
プロンプトは圧迫速さR1における小児特異性プロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項33】
プロンプトは圧迫速さR1における成人特異性プロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項34】
肩部支持要素内のセンサからの情報は、該肩部支持要素から前記自動体外式除細動器に延びるワイヤおよび該肩部支持要素と前記自動体外式除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって前記自動体外式除細動器に伝達される請求項9に記載の装置。
【請求項1】
成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、
小児患者が検出された場合、成人患者用ではなく小児患者用に構成されたECG解析アルゴリズムを使用するように、プロセッサがECG解析アルゴリズムを修正することと、からなる装置。
【請求項2】
成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、
小児患者が検出された場合、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたプロンプトを使用するように、プロセッサがユーザインターフェースに対し提供されるプロンプトを修正することと、からなる装置。
【請求項3】
成人患者または小児患者に治療を施す際に救助者を補助するための装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部および音声スピーカのうちの1つ以上を含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
小児患者を治療中であることを、ユーザインターフェースを介する救助者の入力なしに判定するように構成された1つ以上の検出要素と、
小児患者が検出された場合、成人患者用ではなく小児患者用に適応されたCPRプロンプトを使用するように、プロセッサがユーザインターフェースに対し提供されるCPRプロンプトを管理するCRPプロトコールを修正することと、からなる装置。
【請求項4】
患者に取り付けた除細動電極を用いて、患者に除細動ショックを与えるための自動体外式除細動器を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
ユーザインターフェースを介して提供されるプロンプトはCPR胸部圧迫に関するプロンプトを含むことと、小児患者が検出された場合、CPR胸部圧迫プロンプトは成人用セットのプロンプトから小児用セットのプロンプトに変えられることとを含む請求項2または3に記載の装置。
【請求項6】
小児用セットのプロンプトはCPR胸部圧迫の深さと速さを提示することを含む請求項5に記載の装置。
【請求項7】
CPR関連胸部圧迫の速さおよび深さを測定するための1つ以上のセンサを含む請求項5に記載の装置。
【請求項8】
検出要素は小児除細動電極および成人除細動電極のいずれが用いられているかを検出す
るための回路を含む請求項4に記載の装置。
【請求項9】
検出要素は患者の体重から力または圧力を検知するために肩部支持要素上に配置した力センサまたは圧力センサを含む請求項4に記載の装置。
【請求項10】
除細動ショックのエネルギーは部分的には肩部支持要素上の力センサまたは圧力センサから得られる患者の体重に関する情報に基づき決定される請求項9に記載の装置。
【請求項11】
肩部支持要素は装置の着脱可能なカバーからなる請求項9に記載の装置。
【請求項12】
検出要素は患者上に配置された除細動電極間の間隔から患者が小児患者および成人患者のうちのいずれであるかを判定するための1つ以上のセンサを含む請求項4に記載の装置。
【請求項13】
成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
患者の体重に関する情報を検出するための力センサまたは圧力センサと、
プロセッサは患者の体重に関する情報に基づき、患者に与えられる除細動エネルギーを修正することと、を含む体外式除細動装置。
【請求項14】
プロセッサは患者の体重に関する情報に基づきECG解析アルゴリズムを修正することを含む請求項13に記載の体外式除細動装置。
【請求項15】
力センサまたは圧力センサは患者の肩の下に配置された肩部支持要素中に組み込まれることを含む請求項13に記載の体外式除細動装置。
【請求項16】
肩部支持要素は除細動器のカバーである請求項13に記載の体外式除細動装置。
【請求項17】
カバーの上面は、患者の肩を持ち上げて患者の頭部を一定の角度に後屈させることによって、患者の気道を適切に配置するために用いられるのに適する角度に傾斜している請求項16に記載の体外式除細動装置。
【請求項18】
カバーは、患者の気道を開放状態に保つのを助けるように、患者の首および肩の下に配置され患者の肩および首を支持するように構成される請求項16に記載の体外式除細動装置。
【請求項19】
肩部支持要素内のセンサからの情報は、該肩部支持要素から除細動器に延びるワイヤおよび該肩部支持要素と除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって除細動器へ伝達される請求項15または16に記載の体外式除細動装置。
【請求項20】
成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
患者の肩の下に配置して気道を開放状態に保つのを補助するための肩部支持要素と、
患者の肩が肩部支持要素上に適切に配置されたか否かを判定するための肩部支持要素内のセンサと、からなる体外式除細動装置。
【請求項21】
肩部支持要素は体外式除細動装置のカバーからなる請求項20に記載の体外式除細動装置。
【請求項22】
成人患者または小児患者に除細動治療を施す際に救助者を補助するための体外式除細動装置であって、
救助者にプロンプトを与え、患者に治療を施す際に救助者を補助するように構成された、表示部または音声スピーカを含むユーザインターフェースと、
ユーザインターフェースにプロンプトを提供し、患者から検出されるECG情報に対してECG解析アルゴリズムを実行するように構成されたプロセッサと、
患者の胸の上に配置するための除細動電極と、
除細動電極の一方または両方内に配置される1つ以上のセンサと、該1つ以上のセンサは電極が患者の胸の上に配置された後、該電極間の距離を判定するように構成されていることと、
プロセッサは該1つ以上のセンサにより判定される距離から患者の大きさに関する情報を判定可能であることと、
プロセッサは患者の大きさに関する情報に基づきプロンプトもしくはECG解析アルゴリズムまたは患者に与えられるエネルギーを変更可能であることと、からなる体外式除細動装置。
【請求項23】
プロセッサはセンサから得られた情報から患者の胴周囲長を推定する請求項22に記載の体外式除細動装置。
【請求項24】
プロセッサはセンサから得られた情報から患者の年齢を推定する請求項22に記載の体外式除細動装置。
【請求項25】
ECG解析アルゴリズムに対する修正は、心拍数基準、QRS幅基準、VF頻度内容基準およびECG強度基準のうちの1つ以上を含む請求項1に記載の装置。
【請求項26】
プロンプトに対する修正はプロンプトの順序、プロンプトの数またはプロンプトのタイプを変えることを含む請求項1に記載の装置。
【請求項27】
プロンプトはCPR圧迫およびCPR換気に対するプロンプトを含むことと、圧迫−換気比は小児患者に対しては約5:1また成人患者に対しては約15:2であることとを含む請求項5に記載の装置。
【請求項28】
プロンプトはCPR圧迫深さに対するプロンプトを含むことと、小児患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜3.8cm(約1.0〜1.5インチ)の範囲であることと、成人患者に対する望ましい圧迫深さは約2.5〜5.1cm(約1.0〜2.0インチ)の範囲であることと、を含む請求項5に記載の装置。
【請求項29】
プロンプトは装置が成人モードおよび小児モードのうちのいずれで動作しているかについて救助者に知らせるプロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項30】
プロンプトは患者のリズム、年齢または体重のうちの1つ以上に基づいてCPR間隔T1をプロンプトすることを含む請求項5に記載の装置。
【請求項31】
ユーザを検出およびプロンプトしてCPR中に完全な胸部開放を行うための1つ以上のセンサおよびプロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項32】
プロンプトは圧迫速さR1における小児特異性プロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項33】
プロンプトは圧迫速さR1における成人特異性プロンプトを含む請求項5に記載の装置。
【請求項34】
肩部支持要素内のセンサからの情報は、該肩部支持要素から前記自動体外式除細動器に延びるワイヤおよび該肩部支持要素と前記自動体外式除細動器との間の無線通信接続のうちの1つ以上によって前記自動体外式除細動器に伝達される請求項9に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−532242(P2007−532242A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508404(P2007−508404)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012012
【国際公開番号】WO2005/099818
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(504242032)ゾール メディカル コーポレイション (42)
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/012012
【国際公開番号】WO2005/099818
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(504242032)ゾール メディカル コーポレイション (42)
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
【Fターム(参考)】
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