説明

自動嵌合方法及びそれを用いた回動量調整方法、回動量調整装置

【課題】車両のホイールアライメント調整などを行うに際し、ソケット等により構成される嵌合部の、カムボルト等により構成される被嵌合部に対する位置ずれを広い範囲で吸収(許容)することができるとともに、シンプルな構成により装置の軽量化・省スペース化・低コスト化を図る。
【解決手段】嵌合部を有するツール10(嵌合部材)を、自動的に動作するロボット3(移動手段)により、前記嵌合部が弾性変位可能となるように支持し、ツール10をロボット3によって移動させることにより、前記嵌合部をカムボルト2(被嵌合部材)の被嵌合部に嵌合させる自動嵌合方法であって、ロボット3による動作は、前記嵌合部を、前記被嵌合部に付勢当接させた状態で、前記嵌合部の前記被嵌合部に対する嵌合方向に垂直な面である移動面上にて、前記弾性変位を含め略円状あるいは略楕円状の探り軌跡を描くように移動させる探り動作を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のホイールアライメント調整の際に用いて好適な自動嵌合方法及びそれを用いた回動量調整方法、回動量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などのサスペンションにおける連結構造に対して行われるホイールアライメント調整(キャンバ、トーイン、キャスタ等の角度調整)に際し、ホイールアライメント調整装置を用いた自動的な調整作業が行われている。ホイールアライメントの調整は、例えば、車両側にブラケット等を介して支持される回動調整部材としてのカムボルトが回動調整されることにより、サスペンションアームの支持部が移動されて行われる。
すなわち、ホイールアライメント調整装置においては、カムボルトに嵌合可能なソケットが備えられ、このソケットが、ロボット等の移動装置により移動されるとともにカムボルトに嵌合され、ナットランナやモータ等の駆動装置により回動されることにより、カムボルトが自動的に回動調整される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示されているホイールアライメント調整装置は、カムボルト及びこれを固定するためのロックナットをそれぞれ回動させるための対向配置される一対のソケットや、これらソケットを回転させるナットランナ等を備え、これらがロボット上にフレームやプレート等の支持部材を介して設けられ移動可能に構成されている。
ホイールアライメント調整の際には、前記ロボット等の駆動により、ソケットが、車両側のカムボルト及びロックナットに対応する位置に配置され、さらに装置の移動などにより各ソケットがカムボルト及びロックナットにそれぞれ嵌合される。そして、カムボルト等に嵌合したソケットがナットランナの駆動によって回動され、カムボルトの回動調整やロックナットの締付け等が行われる。
【特許文献1】実開平1−104867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のホイールアライメント調整装置においては、カムボルトに嵌合するソケットを回動させるための機構が、モータやナットランナ等を駆動源とし、これと複数のギヤ等とを組み合わせた構成であるため、部品点数が多く構造が複雑であり、装置のサイズが大きく、また装置が高価なものとなっていた。
また、ソケットをカムボルトに嵌合させるに際し、その位置合わせのため、水平方向において垂直な二方向に移動可能なフローティング構造やシリンダ装置などの昇降装置が用いられ、ソケット等を支持するテーブル等が水平方向や昇降方向に移動されるとともに、カムボルトに対するソケットの位置ずれが吸収(許容)されていた。このような点からも、部品点数の増加や装置の大型化、高価格化を招いていた。また、装置が大掛かりであるため、カムボルトに対するソケットの位置ずれの吸収範囲(許容範囲)を広げることが困難であった。
【0005】
このような点から、特許文献1に示されている装置は、ソケット等を支持する支持部材の水平方向の移動について、フローティング構造やシリンダ装置が用いられ、ソケットをカムボルトに嵌合させるに際して位置合わせのため、装置全体の移動が行われる構成であり、装置が大掛かりなものとなる。また、ソケットをカムボルトに嵌合させる際には、事前に設定された位置(カムボルトがあると想定される位置)にソケットを移動させるだけの構成であると考えられるため、ソケットのカムボルトに対する位置ずれを吸収するため、フローティング構造などのサイズをある程度大きく保っておかなければならない。
つまり、従来のホイールアライメント装置においては、ソケットを回動させるための機構やソケットを移動・嵌合させるための機構が複雑であるため、装置が大掛かりで高価なものであり、また、ソケットのカムボルトに対する位置ずれの吸収範囲が狭かった。
【0006】
また、装置が大型であることに起因し、例えばホイールアライメント調整を行う車両の種類が異なる場合など、車種違いによる装置のポジションの切替えや、カムボルトに嵌合するソケットの二面幅の切替えが困難あるいは不可能であった。このため、装置の汎用性が乏しく、異なる種類の車両に対してそれぞれ専用の装置が必要な場合も生じていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、車両のホイールアライメント調整などを行うに際し、ソケット等により構成される嵌合部の、カムボルト等により構成される被嵌合部に対する位置ずれを広い範囲で吸収(許容)することができるとともに、シンプルな構成で装置の軽量化・省スペース化・低コスト化を図ることができる自動嵌合方法及びそれを用いた回動量調整方法、回動量調整装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、車両のホイールアライメント調整などを行うに際し、車両の種類などに対して高い汎用性を有する回動量調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、嵌合部を有する嵌合部材を、自動的に動作する移動手段により、前記嵌合部が弾性変位可能となるように支持し、前記嵌合部材を前記移動手段によって移動させることにより、前記嵌合部を被嵌合部材の被嵌合部に嵌合させる自動嵌合方法であって、前記移動手段による動作は、前記嵌合部を、前記被嵌合部に付勢当接させた状態で、前記嵌合部の前記被嵌合部に対する嵌合方向に垂直な面である移動面上にて、前記弾性変位を含め略円状あるいは略楕円状の探り軌跡を描くように移動させる探り動作を含むものである。
【0010】
請求項2においては、請求項1に記載の自動嵌合方法を用いた回動量調整方法であって、前記被嵌合部材は、回動することにより相対的な部材間の変位が調整される回動調整部材であり、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合した後、前記移動手段の動作により、前記回動調整部材を所定量回動させるものである。
【0011】
請求項3においては、前記回動調整部材は、偏心した位置に回動軸を有するとともに該回動軸に対応する位置に前記被嵌合部を有し、その回動により前記被嵌合部の位置を所定の経路に沿って移動させるものであり、前記移動手段による動作は、前記探り動作の前記移動面における角度を、前記嵌合部と前記被嵌合部との嵌合形状に対応する所定角度変化させるとともに、前記探り軌跡の中心位置を、前記所定の経路に対応する軸軌跡上を前記回動軸の偏心度合いに対応する所定距離移動させる位相合わせ動作を含み、前記探り動作と、前記位相合わせ動作とを、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合するまで繰り返し連続的に行わせるものである。
【0012】
請求項4においては、回動することにより相対的な部材間の変位が調整される回動調整部材を所定量回動させる回動量調整装置であって、前記回動調整部材に嵌合する嵌合部を有する工具装置と、前記工具装置を前記嵌合部が弾性変位可能となるように支持するとともに自動的に移動させる移動手段と、前記移動手段の動作を制御する制御手段と、前記嵌合部が前記回動調整部材の被嵌合部に嵌合したことを検出する嵌合検出手段と、を備え、前記移動手段による動作は、前記嵌合部を、前記被嵌合部に付勢当接させた状態で、前記嵌合部の前記被嵌合部に対する嵌合方向に垂直な面である移動面上にて、前記弾性変位を含め略円状あるいは略楕円状の探り軌跡を描くように移動させる探り動作を含み、前記制御手段は、前記嵌合検出手段により前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合したことを検出した場合、該嵌合した状態で、前記嵌合部を回動させることにより前記回動調整部材を所定量回動させるように、前記移動手段を制御するものである。
【0013】
請求項5においては、前記回動調整部材は、偏心した位置に回動軸有するとともに該回動軸に対応する位置に前記被嵌合部を有し、その回動により前記被嵌合部の位置を所定の経路に沿って移動させるものであり、前記移動手段による動作は、前記探り動作の前記移動面における角度を、前記嵌合部と前記被嵌合部との嵌合形状に対応する所定角度変化させるとともに、前記探り軌跡の中心位置を、前記所定の経路に対応する軸軌跡上を前記回動軸の偏心度合いに対応する所定距離移動させる位相合わせ動作を含み、前記制御手段は、前記探り動作と、前記位相合わせ動作とを、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合するまで繰り返し連続的に行わせるように、前記移動手段を制御するものである。
【0014】
請求項6においては、前記工具装置は、前記回動調整部材を位置決め固定するための位置決め部材を回動させて固定する回動固定部材と、前記回動固定部材を回動させる回動駆動手段と、を備え、前記制御手段は、前記回動駆動手段を制御することにより、前記回動固定部材を回動させることで、前記位置決め部材を回動させ、前記所定量回動した後の前記回動調整部材を位置決め固定させるものである。
【0015】
請求項7においては、前記工具装置は、前記嵌合部及び前記回動固定部材を含む部分が、取り替え可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、嵌合部の被嵌合部に対する位置ずれを広い範囲で吸収(許容)することができるとともに、シンプルな構成で装置の軽量化・省スペース化・低コスト化を図ることができる。また、装置をシンプルな構成で小型にすることができることから、装置の汎用性を向上させることができる。
【0018】
請求項2においては、別途に回動調整部材の回動量を調整するための装置を用いることなく、シンプルな構成の装置により、回動調整部材の回動量の調整を行うことができる。
【0019】
請求項3においては、回動することで回動軸を移動させ被嵌合部の位置を変化させる回動調整部材に対応させて、嵌合部の被嵌合部に対する位置ずれを吸収することができる範囲を広げることができる。
【0020】
請求項4においては、嵌合部の被嵌合部に対する位置ずれを広い範囲で吸収(許容)することができるとともに、シンプルな構成で装置の軽量化・省スペース化・低コスト化を図ることができる。また、別途に回動調整部材の回動量を調整するための装置を用いることなく、シンプルな構成の装置により、回動調整部材の回動量の調整を行うことができる。
また、装置をシンプルな構成で小型にすることができることから、装置の汎用性を向上させることができる。
【0021】
請求項5においては、回動することで回動軸を移動させ被嵌合部の位置を変化させる回動調整部材に対応させて、嵌合部の被嵌合部に対する位置ずれ吸収することができる範囲を広げることができる。
【0022】
請求項6においては、回動調整部材の回動量の調整を行うに際し、その回動量を調整する作業を行う側と同じ側からの作業により、回動調整部材の位置決め固定を行うことができるので、装置の簡略化が図れる。
【0023】
請求項7においては、被嵌合部に対する嵌合部などの切替え等が容易となり、装置の汎用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、発明の実施の形態を説明する。
以下に説明する実施の形態においては、本発明に係る自動嵌合方法及びそれを用いた回動量調整方法を用いる場合として、車両のサスペンションにおける連結構造に対して行われるホイールアライメント調整を例に説明する。
まず、本発明に係る自動嵌合方法及びそれを用いた回動量調整方法を使用するに際して用いられる装置として、回動量調整装置としてのホイールアライメント調整装置1の構成について、図1及び図2を用いて説明する。
【0025】
本実施形態に係るホイールアライメント調整装置1は、回動することにより相対的な部材間の変位が調整される回動調整部材としてのカムボルト2を所定量回動させるものであり、カムボルト2に嵌合する嵌合部31を有する工具装置(以下「ツール10」とする。)と、ツール10を嵌合部31が弾性変位可能となるように支持するとともに自動的に移動させる移動手段であるロボット3と、このロボット3の動作を制御する制御手段としてのコントローラ4と、嵌合部31がカムボルト2の被嵌合部21に嵌合したことを検出する嵌合検出手段としての嵌合センサ17とを備える。
【0026】
ロボット3は、基台5上に設けられる駆動部6を有し、この駆動部6から延出される回動軸7に旋回可能に支持され伸縮可能に構成されるロボットアーム8を有する。
ロボットアーム8は、その伸縮する方向(本実施形態では上下方向)に略垂直であって互いに略平行な回動軸を有する第一アーム11と第二アーム12と第三アーム13とを備え、これらの回動により伸縮可能に構成される。すなわち、第一アーム11は、その一端側が前記回動軸7を介して駆動部6に回動可能に支持され、第一アーム11の他端側には、第二アーム12の一端側が回動軸14を介して回動可能に支持され、第二アーム12の他端側には、第三アーム13の一端側が回動軸15を介して回動可能に支持される。なお、図2では、各回動軸7・14・15を軸線で示している。
そして、ロボット3は、各回動軸7・14・15が駆動されることにより、各回動軸7・14・15を中心とする各アーム11・12・13の回動範囲内で、ロボットアーム8の任意の位置に対する伸縮・旋回動作が行われる構成となっている。
【0027】
ロボット3のロボットアーム8の先端部(第三アーム13の先端部)に、ツール10が支持される。
すなわち、ロボットアーム8の動作により、ツール10が移動され、その嵌合部31がカムボルト2の被嵌合部21に嵌合される。したがって、ロボットアーム8は、伸縮・旋回動作に加え、その支持するツール10をカムボルト2に対して近接離間させる方向(図2における左右方向、以下「嵌合方向」という。)にも図示せぬ移動機構により移動可能に構成される。
【0028】
ツール10を支持するロボットアーム8の動作(伸縮・旋回・嵌合方向への移動など)は、信号線18を介してロボット3と接続されるコントローラ4により制御される。
コントローラ4は、ロボットの教示作業や動作プログラムを入力するためのティーチングボックスが接続されるロボットコントローラを介する等してロボット3に接続される。これにより、コントローラ4とロボット3との間で制御信号の出入力が行われ、コントローラ4により、ロボット3におけるロボットアーム8の動作などが制御される。つまり、コントローラ4の制御により、ロボット3が自動的に動作(移動)する。
また、コントローラ4は、ツール10に備えられる嵌合センサ17と接続され、嵌合センサ17からの検出信号が入力される構成となっている。なお、嵌合センサ17については後述する。
【0029】
ツール10は、前記のとおりロボット3に対して、嵌合部31が弾性変位可能となるように支持される。具体的には、ツール10のアーム部10aが、ロボットアーム8の第三アーム13に対して弾性部材などにより構成されるフローティング部16を介して支持されることにより弾性変位可能に構成される。
すなわち、図3に示すように、ツール10は、コントローラ4の制御によるロボットアーム8の伸縮・旋回動作によって移動されるとともに、フローティング部16の弾性的な支持により、ロボットアーム8の動作による慣性によって、該ロボットアーム8に対して所定の領域内を弾性変位する振動的な動作を行う。
【0030】
以上のような構成により、ロボットアーム8に支持されるツール10が、ロボット3の動作によって移動されることにより、ツール10の嵌合部31が移動され、カムボルト2に嵌合される。そして、カムボルト2が回動されその回動量が調整されることにより、車両のホイールアライメントの調整が行われる。
【0031】
ここで、回動することにより相対的な部材間の変位が調整されるカムボルト2について、図4を用いて説明する。図4において、(a)はカム機構を示す正面図、(b)は同じく平面一部断面図、(c)は同じく側面一部断面図である。
カムボルト2は、ホイールアライメントを調整するためのカム機構20を構成するものであり、前記被嵌合部21及び回動軸2aを構成するボルト部22と、このボルト部22にセレーションを介した圧入や溶接などにより一体的に設けられる円板状のカムプレート23とを有する。つまり、カムボルト2は、被嵌合部21を介して回動されることにより、ボルト部22とカムプレート23とが一体となって回動するように構成される。ボルト部22により構成される回動軸2aは、嵌合方向に平行であるとともに円板状のカムプレート23に対して偏心した位置に設けられる。
【0032】
カム機構20は、車両のフレーム等に取り付けられる一対のブラケット24(図2参照)間に支持される、例えばロワーアーム等のサスペンションアーム25を変位させる部材として構成される。
すなわち、カムボルト2のボルト部22は、一対のブラケット24を貫通することによりブラケット24間にてサスペンションアーム25の端部を回動自在に支持し、このボルト部22のブラケット24に対する変位(移動)により、サスペンションアーム25がブラケット24に対して変位する。したがって、カムボルト2の回動量(回動軸2aの変位量)が、サスペンションアーム25のブラケット24に対する変位量を決定する。
【0033】
カムボルト2は、ブラケット24に対して、一対の規制案内壁27を形成する壁プレート26を介して設けられる。規制案内壁27は、ブラケット24からカムプレート23側に突出する一対の対向する突条を形成し、その間にカムプレート23を挟んだ状態となる。また、カムボルト2は、そのボルト部22を、ブラケット24及び壁プレート26に形成される長孔28に挿通させる。
つまり、カムボルト2は、ブラケット24に対し、ボルト部22を長孔28を介して挿通させるとともに、カムプレート23が規制案内壁27間に配置した状態で設けられる。これにより、カムボルト2は、規制案内壁27間において、カムプレート23が挟まれる方向への移動が規制されるとともに回動による移動が案内され、回動することで、カムプレート23に対して偏心した位置にある回動軸2aを長孔28に沿って移動させる。
また、カムボルト2に対しては、その回動を固定するための位置決め部材としてのロックナット29が同軸配置されて設けられる。つまり、カムボルト2が回動されてホイールアライメントが調整された後、ロックナット29が回動されてカムボルト2が位置決め固定される。なお、図4(a)においてはロックナット29の図示を省略している。
【0034】
このような構成により、ホイールアライメントの調整が行われる際には、ロックナット29が緩められた状態で、カムボルト2が回動される。これにより、ボルト部22(回動軸2a)が長孔28に沿って移動し、これにともないボルト部22により挿通支持されるサスペンションアーム25がブラケット24に対して移動する。このサスペンションアーム25のブラケット24に対する変位が、車両におけるキャスタ等のホイールアライメントの変化となる。
つまり、カムボルト2の回動量が調整されることにより、ホイールアライメントが調整される。したがって、本実施形態においては、サスペンションアーム25のブラケット24に対する変位が、カムボルト2が回動することにより調整される相対的な部材間の変位となる。
【0035】
次に、ツール10の具体的な構成について、図5〜図7を用いて説明する。
ツール10は、ロボットアーム8に支持されるためのアーム部10aと、カムボルト2に嵌合する嵌合部31を有するソケット部30とを備える。
アーム部10aは、略長板状に構成され、その一端部が前記フローティング部16を介してロボットアーム8の第三アーム13に連結支持され、このアーム部10aの他端部にソケット部30が設けられる。
【0036】
ソケット部30は、両端に開口部を有する略筒状のハウジング32内に、嵌合部31を有するソケット33を備える。つまり、本実施形態において、ツール10が有する嵌合部31はソケット33により構成され、この嵌合部31がカムボルト2の被嵌合部21に嵌合する。
ソケット33は、両端に開口部を有する筒状の部材であり、その一端側の開口部に嵌合部31が形成される。嵌合部31は、カムボルト2の被嵌合部21に対応する(嵌合可能な)形状・大きさを有し、その開口側縁端部に、入口側(外側)にかけて広がるテーパ部31aを有する。
【0037】
ソケット33は、ハウジング32の一端側の開口部を形成する筒状の挿嵌部32aに内挿され、その開口部から出没するように挿嵌部32aに対して摺動可能に構成されるとともに、ハウジング32に対して相対回転不能に構成される。以下、ツール10において、ソケット33がハウジング32から突出する方向(図6における右方向)を「前」、埋没する方向(同左方向)を「後」とする。
【0038】
ソケット33は、具体的には、ハウジング32との間にソケット33の軸方向(嵌合方向)に列をなす複数のボール34を介在させることにより内挿支持される。ボール34群は、ソケット33の外周面において周方向に所定の間隔を隔てて複数(例えば90°間隔で4本)形成される軸方向の外周溝33bと、挿嵌部32aの内周面において周方向に前記外周溝33bと対応する間隔を隔てて形成される内周溝32bとが、ソケット33が挿嵌部32aに内挿された状態で対向することにより形成される空間内に配列される。
すなわち、ソケット33は、ハウジング32に対し、回転方向については外周溝33b、内周溝32b及びボール34群を介して係合することで相対回転不能に構成され、軸方向については外周溝33b及び内周溝32b内を移動するボール34群を介して摺動可能に構成される。したがって、ハウジング32側の内周溝32bは、少なくともソケット33の摺動範囲に対応するボール34群の移動を許容する長さを有するように形成される。
【0039】
また、ソケット33は、ハウジング32の一端側の開口部から突出する方向に付勢されている。すなわち、ハウジング32内におけるソケット33の後側には、付勢部材としてのスプリング35が、その伸縮方向をソケット33の出没方向(嵌合方向)として設けられている。スプリング35は、その一端側(後側)がハウジング32内の所定の部分にて支持されるとともに、他端側(前側)がソケット33の後側に当接し、ソケット33をハウジング32の開口部から突出する方向に付勢している。
【0040】
また、ツール10は、カムボルト2を位置決め固定するための位置決め部材であるロックナット29を回動させて固定する回動固定部材としてのロックレンチ36と、このロックレンチ36を回動させる回動駆動手段としてのナットランナ40とを備える。
ロックレンチ36は、両端に開口部を有する円筒状の部材であり、ソケット33に対してハウジング32の内側から内挿された状態で設けられる。ロックレンチ36は、その内周面36aが、ロックナット29に対応する(嵌合可能な)形状・大きさに形成される。
【0041】
ロックレンチ36は、ソケット33に対して相対回転可能かつ軸方向に摺動可能に設けられ、その摺動方向についてはスプリング37により前側へと付勢されている。すなわち、ロックレンチ36の後側には、付勢部材としてのスプリング37が、その伸縮方向をロックレンチ36の摺動方向(嵌合方向)として設けられている。スプリング37は、その一端側(後側)がハウジング32内の所定の部分にて支持されるとともに、他端側(前側)がロックレンチ36に当接し、ロックレンチ36を付勢している。なお、ロックレンチ36の付勢方向への移動は、ソケット33の内周面に形成されるに縮径部33cより規制されている。
また、ロックレンチ36を付勢するスプリング37は、ソケット33を付勢するスプリング35よりも小径であり、スプリング35に内挿された状態で設けられる。
【0042】
ロックレンチ36は、前記のとおりナットランナ40により回動される。具体的には、ロックレンチ36は、ナットランナ40により直接的に回動される回動伝達部材38を介して回動される。
回動伝達部材38は、全体として略軸状の部材であり、ハウジング32の他端側(ソケット33が内挿される側と反対側)の開口部に内挿され、ハウジング32に対して相対回転可能に支持された状態で設けられる。
【0043】
回動伝達部材38は、ロックレンチ36と同軸配置され、その前端部にロックレンチ36に挿嵌される挿嵌突部38aを有し、この挿嵌突部38aがロックレンチ36内に挿嵌された状態で、ロックレンチ36に対して相対回転不能かつ軸方向に摺動可能に構成される。つまり、回動伝達部材38は、ロックレンチ36のスプリング37により付勢された摺動を許容するとともに、ロックレンチ36と一体的に回転する。したがって、回動伝達部材38は、スプリング37に内挿された状態で設けられる。
また、回動伝達部材38は、その後端部にハウジング32の外側であって後側に開口する嵌合凹部38bを有し、この嵌合凹部38bにナットランナ40の駆動軸40aが嵌合される。つまり、回動伝達部材38は、駆動軸40aに対して相対回転不能に嵌合されて駆動軸40aの回動にともない回動し、その回動によりロックレンチ36も一体的に回動する。このように、ナットランナ40により回動伝達部材38を介してロックレンチ36が回動される。
【0044】
ナットランナ40は、その長手方向をアーム部10aの延設方向と略平行とする状態でアーム部10aの後側に配置され、駆動軸40aを回動伝達部材38に嵌合させた状態で、アーム部10aに対してステー10bを介して支持される。
また、ナットランナ40の駆動軸40aに対して回動伝達部材38を介して連結されるソケット部30は、弾性部材などにより構成される位置ずれ吸収機構部としてのフローティング部39を介して支持される(図8参照)。
また、ナットランナ40は、コントローラ4に接続され、その駆動(駆動軸40aの回動量など)がコントローラ4により制御される。
【0045】
また、ハウジング32内の所定の位置には、前記嵌合センサ17が設けられる。嵌合センサ17は、ハウジング32内においてソケット33の摺動やスプリング35の伸縮などを妨げない位置に設けられ、嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合を検出する。具体的には、後述するようにソケット33の摺動方向の位置に基づいて前記嵌合を検出する。
【0046】
一方、図7に示すように、前述した、ツール10をロボットアーム8の第三アーム13に対して弾性変位可能に支持するフローティング部16は、例えば複数のゴムマウント41〜43により構成される。なお、図7(a)はツール10の支持構成を示す側面図、(b)は同じく背面図である。また、図7においてはナットランナ40の図示を省略している。
【0047】
本実施形態においては、ツール10は、そのアーム部10aが、第三アーム13の先端部に固設される基部プレート44により形成される支持面44aに支持されることにより、ロボットアーム8に支持される。支持面44aとアーム部10aとの間には、支持面44aと略平行に配置される横支持プレート45を介して二箇所にゴムマウント41・42が介装される。すなわち、支持面44a上に適宜間隔を隔ててゴムマウント41・42が配設されるとともに、これらゴムマウント41・42上に横支持プレート45が設けられ、この横支持プレート45上にツール10のアーム部10aの一端側が固設支持される。つまり、支持面44aとの間にゴムマウント41・42を挟んだ状態の横支持プレート45上にアーム部10aが支持され、これにより、ツール10が第三アーム13の延長方向に弾性的に支持される。
【0048】
また、支持面44a上には、ツール10の嵌合方向においてアーム部10aに対向する位置に縦支持プレート46が立設される。そして、縦支持プレート46とアーム部10aとの間にゴムマウント43が介装される。つまり、縦支持プレート46とアーム部10aとの間にゴムマウント43が挟まれた状態となり、これにより、ツール10が嵌合方向について弾性的に支持される。縦支持プレート46は、支持面44aと間に架設されるリブ47により補強されている。なお、各ゴムマウント41〜43は、各部にて部材間に介装された状態で、ボルト等の締結具41a〜43aにより所定の配設位置にて固定される。
このように、ツール10は、複数のゴムマウント41〜43により構成されるフローティング機構により、ロボットアーム8に対して弾性変位可能に支持され、ロボットアーム8の伸縮・旋回動作による慣性によって振動的な動作を行う。
【0049】
以上のように、アーム部10aとソケット部30とを備えロボットアーム8に支持されるツール10が、ロボットアーム8の伸縮・旋回する方向の面がカムボルト2の被嵌合部21に対向する面となるように配置されるロボット3に対し、嵌合部31がカムボルト2側に向いた状態でソケット33の出没方向が嵌合方向となるように支持される。
【0050】
本実施形態に係る自動嵌合方法について説明する。
以下に説明する自動嵌合方法は、前述したように、ホイールアライメント調整を行うに際し、嵌合部31を有する嵌合部材としてのツール10を、自動的に動作するロボット3により、嵌合部31が弾性変位可能となるように支持し、ツール10をロボット3によって移動させることにより、嵌合部31をカムボルト2の被嵌合部21に嵌合させるものである。
そして、ロボット3による動作は、嵌合部31を、被嵌合部21に付勢当接させた状態で、嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合方向に垂直な面(以下、「移動面」という。)上にて、前記弾性変位を含め略円状あるいは略楕円状の探り軌跡を描くように移動させる探り動作を含む。
【0051】
すなわち、その動作がコントローラ4により制御されるロボット3により、嵌合部31を移動させて該嵌合部31を被嵌合部21に嵌合させる際、その嵌合するまでの過程において、ロボット3に前記のような探り動作を行わせる。
ロボット3による探り動作を行わせるに際しては、まず、ロボット3を動作させることにより、ツール10の嵌合部31を、カムボルト2の被嵌合部21に対して嵌合方向に近接させ、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合または当接するまで移動させる。
つまり、ロボット3におけるロボットアーム8の伸縮・旋回により、嵌合部31を被嵌合部21に対して嵌合方向に対応する近傍位置まで移動させ、さらにロボットアーム8の嵌合方向の移動により嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合を試行させる。
【0052】
図8を用いて説明すると、前述したようにツール10においてハウジング32に対し突出方向に付勢された状態で出没するように構成されるソケット33は、通常、ハウジング32から突出した状態となる(図8(a)参照)。
そして、ロボット3の移動により、嵌合部31を被嵌合部21に対して嵌合方向に近接させる。ここで、嵌合部31と被嵌合部21との位置ずれが、ツール10の弾性変位による吸収範囲(許容範囲)内であれば、ロボットアーム8による嵌合方向の移動により嵌合部31が被嵌合部21に嵌合する(図8(c)参照)。
一方、前記位置ずれが前記吸収範囲外であれば、嵌合部31が被嵌合部21に当接した状態となる。この際、ソケット33がハウジング32内に埋没した状態となるまでツール10を移動させる(同図(b)参照)。つまり、嵌合部31を構成するとともにスプリング35により突出方向に付勢されているソケット33を、ハウジング32内に埋没させた状態で被嵌合部21に付勢当接させた状態とする。なお、嵌合部31の被嵌合部21に対する位置ずれの程度によっては、嵌合部31がロックナット29に当接した状態となる場合もあり、その状態もここでいう付勢当接させた状態に含む。
【0053】
このように、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合または当接するまで移動させるに際し、その移動の途中で、あるいは嵌合部31を被嵌合部21に当接させた状態で、ロボットアーム8の動作により、嵌合部31を移動面方向に移動させる探り動作を行わせる。
すなわち、嵌合部31を嵌合方向に近接移動させることで嵌合しない場合、嵌合部31を被嵌合部21に付勢当接させた状態で移動面方向に嵌合部31を移動させることにより、嵌合部31が被嵌合部21に対して嵌合可能な位置に達すると、ソケット33がスプリング35の付勢力により突出し、嵌合部31が自動的に被嵌合部21に嵌合することとなる(図8(c)参照)。
【0054】
したがって、前述したように、ソケット33の摺動方向の位置に基づいて嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合を検出する嵌合センサ17は、ハウジング32内に埋没した状態となるソケット33のハウジング32からの突出を検出することにより、嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合を検出する。
嵌合センサ17の構成等は、前記のようなソケット33の出没を検出することができるものであれば特に限定されない。例えば、嵌合センサ17としてポテンショメータや光位置センサ等を用いることができる。
【0055】
ロボット3による探り動作について図9を用いて説明する。
ロボット3による探り動作は、前述したように、ロボット3により嵌合部31を嵌合方向に近接移動させて嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合を試行させる動作(以下、「試行動作」という。)の途中で、あるいは試行動作で嵌合部31が被嵌合部21に嵌合せずに被嵌合部21に当接した後、嵌合部31を、被嵌合部21に付勢当接させた状態で、移動面上にて、前記弾性変位を含め略円状あるいは略楕円状の探り軌跡52を描くように移動させるものである。
【0056】
図9に示すように、ロボットアーム8の動作によって被嵌合部21に当接させた状態の嵌合部31を、例えば中心位置50を中心とする略円状の探り軌跡52を描くように移動させる。
ここで、嵌合部31は、前述したようにツール10がロボットアーム8に対してフローティング部16を介して支持されることにより弾性変位可能となっている。これにより、所定の位置にある被嵌合部21に対する、嵌合部31の嵌合可能な位置が、広がりのある領域となる。つまり、この領域の範囲が、ツール10が弾性支持されることによる位置ずれ吸収範囲となる。以下、このような嵌合部31の弾性変位による嵌合可能な領域を「弾性変位領域」とする。
嵌合部31の弾性変位領域の形状や広さは、フローティング部16の構成やツール10の形状やその支持構成などにより異なる。本実施形態では、図9に示すように、嵌合部31の弾性変位領域51は楕円状の領域となる。
【0057】
したがって、ロボット3による探り動作を行わせることで、嵌合部31の、被嵌合部21に対する嵌合可能な領域は、弾性変位領域51を、前記中心位置50を中心として探り軌跡52上を移動させた領域となる。以下、このような探り動作により得られる嵌合部31の嵌合可能な領域を「探り変位領域」とする。
嵌合部31の探り変位領域の形状や広さは、弾性変位領域51の形状や広さ、あるいは探り軌跡52の形状や大きさ等により異なる。本実施形態では、図9に示すように、嵌合部31の探り変位領域53は、楕円状の弾性変位領域51を、円状の探り軌跡52に沿って移動させることで楕円状の領域となり、また、その広さは、弾性変位領域51を基準として、上下方向で約3倍、左右方向で約2倍となっている。
【0058】
このように、ロボット3の移動により嵌合部31を被嵌合部21に嵌合させるに際し、ロボット3による探り動作を行わせることで、車両のホイールアライメント調整などを行うに際し、嵌合部31の被嵌合部21に対する位置ずれを広い範囲で吸収(許容)することができるとともに、シンプルな構成で装置の軽量化・省スペース化・低コスト化を図ることができる。
【0059】
すなわち、ロボット3による探り動作を行わず、ロボット3におけるロボットアーム8の伸縮・旋回動作などによって嵌合部31を被嵌合部21に嵌合させる場合は、嵌合部31の被嵌合部21に対する位置ずれ吸収範囲は、その弾性変位領域51となるが、前述したようなロボット3による探り動作を行わせることで、位置ずれ吸収範囲を広げることができ、車両のホイールアライメント調整などを行うに際し、嵌合部31の被嵌合部21に対する自動的な嵌合を円滑に行うことができる。
また、ロボット3による探り動作によって広がる位置ずれ吸収範囲は、ゴムマウント等の弾性部材により構成できる簡易な構成のフローティング部16によりツール10を支持するとともに、ロボット3においてロボットアーム8を移動させるというシンプルな構成で得られるので、従来のように、嵌合部の位置合わせのため規模の大きなフローティング構造などを備える大掛かりで高価な装置が必要なく、装置の軽量化・省スペース化・低コスト化を図ることができる。
さらに、装置をシンプルな構成で小型にすることができることから、例えばホイールアライメント調整を行う車両の種類が異なる場合など、車種違いによる装置のポジションの切替え等が容易となり、装置の汎用性を向上させることができる。
【0060】
ところで、被嵌合部材としてのカムボルト2は、回動することにより相対的な部材間の変位が調整される回動調整部材である。そして、カムボルト2は、偏心した位置に回動軸2a有するとともにこの回動軸2aに対応する位置に被嵌合部21を有し、その回動により被嵌合部21の位置を所定の経路に沿って移動させる。
すなわち、カムプレート23に対して偏心した位置にある回動軸2aを長孔28に挿通させるとともにカムプレート23が規制案内壁27間に配置した状態で設けられるカムボルト2は、その回動により回動軸2aを長孔28に沿って移動させる。つまりこの場合、長孔28に沿う回動軸2aの移動経路が前記所定の経路となる。そして、回動軸2aが移動することにより、カムボルト2の被嵌合部21も移動することとなる(図10参照)。
また、本実施形態においては略正六角形状である嵌合部31と被嵌合部21の嵌合形状は、回動軸2aの位置(被嵌合部21の位置)によってその嵌合方向視での形状位置(角度)が異なることとなる。
【0061】
このように、所定の経路に沿って移動する被嵌合部21に対しては、その移動範囲が前述したロボット3の探り動作によって得られる探り変位領域53よりも大きい場合、探り動作に加え嵌合部31をさらに移動させる必要がある。また、所定の経路に沿う移動により、その嵌合形状の形状位置が変化する被嵌合部21に対しては、嵌合部31側の形状位置もそれに対応させる必要がある。
そこで、ロボット3による動作は、前述した探り動作に加え、前記探り動作の前記移動面における角度を、嵌合部31と被嵌合部21との嵌合形状に対応する所定角度変化させるとともに、探り軌跡52の中心位置50を、被嵌合部21が移動する所定の経路に対応する軸軌跡上を回動軸2aの偏心度合いに対応する所定距離移動させる位相合わせ動作を含む。
【0062】
ロボット3による位相合わせ動作について図10及び図11を用いて説明する。
まず、図10に示すように、カムボルト2の回動による被嵌合部21の所定の経路における位置について、長孔28の一端部(図10における左端部)に位置する回動軸2aに対応する被嵌合部21の位置を「第一移動端位置」とし(図10(a)参照)、長孔28の中央部に位置する回動軸2aに対応する被嵌合部21の位置を「中央位置」とし(同図(b)参照)、長孔28の他端部(図10における右端部)に位置する回動軸2aに対応する被嵌合部21の位置を「第二移動端位置」とする(同図(c)参照)。
すなわち、被嵌合部21は、カムボルト2の回動により、長孔28に沿う所定の経路を、中央位置を介して第一移動端位置から第二移動端位置まで移動することとなる。また、この所定の経路における移動にともない、被嵌合部21はその嵌合形状の角度を変化させる。例えば、カムボルト2(被嵌合部21)は、その所定の経路の第一移動端位置から第二移動端位置までの移動範囲10mmに対し、中央位置を基準として±45°回転する。
【0063】
そして、ロボット3による位相合わせ動作は、カムボルト2の位相、即ちカムボルト2の回動にともなう被嵌合部21の所定の経路における位置及びその嵌合形状の角度変化に対応させて行う。
以下においては、ロボット3による位相合わせ動作により、嵌合部31を、被嵌合部21が第一移動端位置にある状態に対応する位置から第二移動端位置にある状態に対応する位置まで移動させる場合について説明する。また、ロボット3の探り動作によって得られる探り変位領域53を、探り軌跡52の中心位置50を中心とする楕円形状とし、カムボルト2の回動によって被嵌合部21が移動する所定の経路を水平方向の直線状として説明する。
【0064】
まず、図11(a)に示すように、ロボット3による探り動作を、楕円形状である探り変位領域53が、その短軸方向が移動面上にて直線状の所定の経路を示す直線Lに対して角度α0傾いた状態となるように行う。
つまり、これが第一移動端位置にある状態の被嵌合部21に対する位置における探り動作となり、被嵌合部21が中央位置にある状態に対応する位置での探り動作をツール10の延設方向が鉛直方向となる状態で行うこととする場合(図10(b)参照)、その延設方向を水平方向に対して角度α0傾けた状態でロボット3による探り動作を行う(図10(a)参照)。
【0065】
次に、図11(b)に示すように、ロボット3による探り動作の移動面における角度を、角度α1変化させるとともに、その(探り軌跡52の)中心位置50を、距離L1移動させる。このように、探り動作の移動面における角度を所定角度変化させるとともに、中心位置50を所定距離移動させることが、ロボット3による位相合わせ動作となる。
つまり、ここで変化させる探り動作の移動面における角度α1が、「嵌合部31と被嵌合部21との嵌合形状に対応する所定角度」に相当し、また、移動させる中心位置50の距離L1が、「回動軸2aの偏心度合いに対応する所定距離」となる。
【0066】
具体的には、「嵌合部31と被嵌合部21との嵌合形状に対応する所定角度」は、例えば、次のように設定される。
すなわち、被嵌合部21が正六角形状である場合、それに対応する嵌合部31の形状に、形状的な位相のずれを吸収するための角度範囲(遊び)が例えば5°程度設けられる。このような嵌合部31と被嵌合部21との位相のずれを吸収するための角度範囲を用い、また、被嵌合部21の嵌合形状の形状位置が一致するまで(嵌合形状が合致するまで)の回動量(正六角形状の場合は60°)など基づいて、前記所定角度を設定する。以下、この所定角度を「位相合わせ角度」という。
【0067】
また、「回動軸2aの偏心度合いに対応する所定距離」は、カムボルト2を位相合わせ角度変化させた場合に、その回動軸2a(被嵌合部21)が移動する距離に対応する直線L上の距離となる。つまり、偏心した位置に回動軸2aを有するカムボルト2を所定角度ずつ回動させた場合、その回動軸2aの移動量も一定ではなく、偏心度合いにより異なることとなる。
そこで、カムボルト2を位相合わせ角度変化させることにより回動軸2aが移動する距離に対応させて、中心位置50を移動させる。したがって、回動軸2aに対応する位置にある被嵌合部21が第一移動端位置にある状態から、カムボルト2を角度α1回動させることによる被嵌合部21の移動量が、前記距離L1に相当する。
【0068】
例えば、カムボルト2における回動角度と回動軸2a(被嵌合部21)の移動量は、図12に示すグラフような関係となる。
このグラフに示されるように、カムボルト2の回転角度変化量に対応する被嵌合部21の移動量は、中心位置の付近において小さくなる。なお、図12に示すグラフ中、点P1は被嵌合部21の第一移動端位置に、点P2は同じく中央位置に、点P3は同じく第二移動端位置にそれぞれ対応する。
このようにして、ロボット3による探り動作の移動面における角度を位相合わせ角度変化させるとともに、その中心位置50を、カムボルト2における回動軸2a(被嵌合部21)の偏心度合いに応じて移動させる位相合わせ動作を行う。
【0069】
そして、ロボット3により、探り動作と、位相合わせ動作とを、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合するまで繰り返し連続的に行わせる。
すなわち、被嵌合部21が第一移動端位置にある状態に対応する位置での探り動作(図11(a)参照)により、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合しない場合、位相合わせ動作を行わせ、この位相合わせ動作後の位置で探り動作を行わせる(同図(b)参照)。そして、このような探り動作と位相合わせ動作との繰り返しを、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合するまで、中心位置50が、被嵌合部21が第二移動端位置にある状態に対応する位置となる範囲で連続的に行わせる。
【0070】
つまり、図11(c)に示すように、被嵌合部21が第一移動端位置にある状態に対応する位置における探り動作から、その移動面における角度をα1・α2・・・α8と変化させるとともに、それに対応させて探り動作の中心位置50をL1・L2・・・L8と移動させ、被嵌合部21が第二移動端位置にある状態に対応する位置における探り動作となる範囲で、探り動作及び位相合わせ動作を繰り返させる。前記範囲は、カムボルト2の回動範囲に対応することとなる。
したがって、前記範囲における探り動作及び位相合わせ動作の繰り返しにより移動する探り動作の(探り軌跡52の)中心位置50の移動範囲が、カムボルト2の被嵌合部21が移動する所定の経路に対応する軸軌跡54となる。
【0071】
このように、嵌合部31を被嵌合部21に嵌合させるに際し、ロボット3に探り動作と位相合わせ動作とを連続的に繰り返し行わせることにより、回動することで回動軸2aを移動させ被嵌合部21の位置を変化させるカムボルト2に対応させて、嵌合部31の被嵌合部21に対する位置ずれを吸収することができる範囲を広げることができる。つまり、カムボルト2の回動範囲に対応する被嵌合部21の移動範囲における初期位置に係わらず、嵌合部31を被嵌合部21に嵌合させることができる。
これにより車両のホイールアライメント調整などを行うに際し、シンプルな構成の装置によってソケットのカムボルトに対する円滑な嵌合が可能となる。
【0072】
実施例としては、図13に示すように、車両・設備側(カムボルト2側)における回動軸2aの移動範囲や設備精度などから、被嵌合部21の移動範囲が上下方向(H方向)及び左右方向(W方向)について略4mm四方の範囲D1であるのに対し、ロボット3による探り動作及び位相合わせ動作による嵌合部31の被嵌合部21に対する位置ずれ吸収範囲として、短軸が約7mm、長軸が約10mmの略楕円形状の範囲D2が得られた。
つまり、車両・設備側にて移動する被嵌合部21に対する位置ずれを、十分に許容することができる嵌合部31の移動範囲が得られた。
【0073】
以上のようにして、ロボット3の動作により嵌合部31を被嵌合部21に嵌合させた後、ロボット3の動作により、回動調整部材としてのカムボルト2を所定量回動させ、その回動量の調整を行う。
すなわち、前述したように、嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合は嵌合センサ17によって検出され、コントローラ4は、嵌合センサ17により嵌合部31が被嵌合部21に嵌合したことを検出した場合、その嵌合した状態で、嵌合部31を回動させることにより、カムボルト2を所定量回動させるように、ロボット3を制御する。
【0074】
ここで、ロボット3の動作によるカムボルト2の回動量は、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合した状態におけるカムボルト2の回動角度(回動軸2aの位置)に基づいて導かれる。つまり、図12に示すように、カムボルト2における回動角度と回動軸2aの移動量との関係から、コントローラ4において嵌合した状態の回動軸2aの位置を割り出し、それに基づいてカムボルト2の回動量を調整する。
具体的には、例えば、図12に示すようなカムボルト2における回動角度と回動軸2aの移動量との関係を、コントローラ4に予めマップとして記憶させておき、これに基づいて嵌合部31が被嵌合部21に嵌合した状態でのツール10の(ロボットアーム8の)状態(角度など)から、カムボルト2の回動角度(回動軸2aの位置)を割り出す。
【0075】
例えば、図12に示すように、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合した状態でのカムボルト2の中央位置に対する角度がθaである場合、その角度θaに対応するグラフ上の点Paから回動軸2aの位置(中央位置からの距離Da)を割り出すという具合である。
この回動軸2aの位置を基準として、周知の計測装置(接触子などを用いて部材間の移動量の計測を行う装置など)により計測されるホイールアライメントの計測値に基づき、所定の目標値を定め、カムボルト2を所定量回動させてサスペンションアーム25を移動させることにより、ホイールアライメントの調整を行う。
【0076】
このように、ロボット3の動作を用いてカムボルト2の回動量を調整することにより、別途にカムボルト2の回動量を調整するための装置を用いることなく、シンプルな構成の装置により、ホイールアライメント調整におけるカムボルト2の回動量の調整を行うことができる。
なお、このようなロボット3の動作による嵌合部の被嵌合部に対する嵌合、及びその被嵌合部を有する回動調整部材の回動量の調整は、例えば被嵌合部を構成する部材が通常のボルト等の締結部材である場合も適用することができる。この場合、回動することにより調整される相対的な部材間の変位は、ボルト等の締結部材により締結される部材間、あるいは締結部材とこれにより締結される部材との間の変位となる。
【0077】
以上のようにして、カムボルト2を所定量回動させ、ホイールアライメントの調整を行った後に、カムボルト2を位置決め固定する。このため、前述したように、ツール10は、カムボルト2を位置決め固定するためのロックレンチ36と、このロックレンチ36を回動させるためのナットランナ40とを備える。
そして、コントローラ4は、ナットランナ40を制御することにより、ロックレンチ36を回動させることで、ロックナット29を回動させ、所定量回動した後のカムボルト2を位置決め固定させる。
【0078】
すなわち、ツール10側のソケット33とロックレンチ36とが同軸配置されるとともに、カムボルト2側の被嵌合部21とロックナット29とが同軸配置される構成において、ロボット3の移動により、嵌合部31がカムボルト2の被嵌合部21に嵌合すると、これにともなってロックレンチ36もカムボルト2側のロックナット29に嵌合することとなる(図8(c)参照)。
そして、コントローラ4の制御によりナットランナ40の駆動軸40aが回動されることにより、回動伝達部材38を介してロックレンチ36が回動される。これにより、ロックナット29が回動され、カムボルト2が固定され位置決めされる。
【0079】
ここで、カムボルト2の被嵌合部21には、嵌合部31が嵌合した状態であるため、回動量が調整されたカムボルト2は、ロボットアーム8の姿勢が固定された状態である限りアーム部10a、ハウジング32及びソケット33を介して固定された状態となる。つまり、嵌合部31の被嵌合部21に対する嵌合が、ロックナット29の回動に対する反力受け(回り止め)となり、ナットランナ40によるロックレンチ36の回動にともなうロックナット29の回動によってカムボルト2は回動されることなく固定される。
なお、嵌合部31が被嵌合部21に嵌合した際のロックレンチ36の角度状態によっては、ロックレンチ36がロックナット29に嵌合せずに当接した状態となる。この場合、ロックレンチ36は、スプリング37により付勢されているため、ナットランナ40により所定量回動されたところで自動的にロックナット29に嵌合することとなる。
【0080】
このように、ツール10にナットランナ40及びロックレンチ36を備え、これらによってカムボルト2の位置決め固定を行う構成とすることにより、カムボルト2の回動量の調整を行うに際し、カムボルト2の回動量を調整する作業を行う側と同じ側からの作業によってカムボルト2の位置決め固定を行うことができるので、装置の簡略化が図れる。
【0081】
また、ツール10においては、嵌合部31及びロックレンチ36を含む部分が、取り替え可能に構成されている。
本実施形態においては、嵌合部31を構成するソケット33及びロックレンチ36を収容するハウジング32が、ツール10のアーム部10aに対して着脱可能に構成されることにより、嵌合部31及びロックレンチ36を含む部分が取り替え可能に構成されている。
【0082】
具体的には、図6に示すように、ハウジング32の後端部分には、後方にかけて縮径するテーパ部32cが形成されている。一方、アーム部10a側においては、前記テーパ部32cに沿う漏斗状の嵌合孔10cが設けられている。
これにより、回動伝達部材38のナットランナ40の駆動軸40aに対する着脱をともない、ソケット33やロックレンチ36等を収容するハウジング32が、アーム部10aに対して着脱可能に構成される。なお、ハウジング32のアーム部10aに対する固定は、アーム部10aの後側から挿嵌されるボルト等の締結具48により行われる。
【0083】
このように、ツール10の嵌合部31及びロックレンチ36を含む部分を取り替え可能な構成とすることにより、例えばホイールアライメント調整を行う車両の種類が異なる場合など、カムボルト2に嵌合するソケット33の二面幅の切替え等が容易となり、異なる種類の車両に対してそれぞれ専用の装置を用いる必要がなく、装置の汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係るホイールアライメント調整装置の全体構成を示す正面図。
【図2】同じく側面図。
【図3】ツールの動きを示す図。
【図4】カム機構を示す図。
【図5】ツールを示す側面図。
【図6】ツールの内部構造を示す側面断面図。
【図7】ツールの支持構成を示す図。
【図8】嵌合部の被嵌合部に対する嵌合の際のツールの動作を模式的に示す説明図。
【図9】ロボットによる探り動作による嵌合部の軌跡などを示す説明図。
【図10】カムボルトの回動による被嵌合部の位置変化を示す図。
【図11】ロボットによる位相合わせ動作による嵌合部の軌跡などを示す説明図。
【図12】カムボルトにおける回動角度と回動軸の移動量との関係を示す図。
【図13】嵌合部の被嵌合部に対する位置ずれ吸収量の実施例を示す図。
【符号の説明】
【0085】
1 ホイールアライメント調整装置
2 カムボルト(被嵌合部材、回動調整部材)
2a 回動軸
3 ロボット(移動手段)
4 コントローラ(制御手段)
8 ロボットアーム
10 ツール(嵌合部材、工具装置)
10a アーム部
16 フローティング部
17 嵌合センサ(嵌合検出手段)
21 被嵌合部
29 ロックナット(位置決め部材)
31 嵌合部
32 ハウジング
33 ソケット
36 ロックレンチ(回動固定部材)
40 ナットランナ(回動駆動手段)
50 中心位置
52 探り軌跡
54 軸軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合部を有する嵌合部材を、自動的に動作する移動手段により、前記嵌合部が弾性変位可能となるように支持し、前記嵌合部材を前記移動手段によって移動させることにより、前記嵌合部を被嵌合部材の被嵌合部に嵌合させる自動嵌合方法であって、
前記移動手段による動作は、
前記嵌合部を、前記被嵌合部に付勢当接させた状態で、前記嵌合部の前記被嵌合部に対する嵌合方向に垂直な面である移動面上にて、前記弾性変位を含め略円状あるいは略楕円状の探り軌跡を描くように移動させる探り動作を含むことを特徴とする自動嵌合方法。
【請求項2】
請求項1に記載の自動嵌合方法を用いた回動量調整方法であって、
前記被嵌合部材は、回動することにより相対的な部材間の変位が調整される回動調整部材であり、
前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合した後、前記移動手段の動作により、前記回動調整部材を所定量回動させることを特徴とする回動量調整方法。
【請求項3】
前記回動調整部材は、偏心した位置に回動軸を有するとともに該回動軸に対応する位置に前記被嵌合部を有し、その回動により前記被嵌合部の位置を所定の経路に沿って移動させるものであり、
前記移動手段による動作は、
前記探り動作の前記移動面における角度を、前記嵌合部と前記被嵌合部との嵌合形状に対応する所定角度変化させるとともに、前記探り軌跡の中心位置を、前記所定の経路に対応する軸軌跡上を前記回動軸の偏心度合いに対応する所定距離移動させる位相合わせ動作を含み、
前記探り動作と、前記位相合わせ動作とを、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合するまで繰り返し連続的に行わせることを特徴とする請求項2に記載の回動量調整方法。
【請求項4】
回動することにより相対的な部材間の変位が調整される回動調整部材を所定量回動させる回動量調整装置であって、
前記回動調整部材に嵌合する嵌合部を有する工具装置と、前記工具装置を前記嵌合部が弾性変位可能となるように支持するとともに自動的に移動させる移動手段と、前記移動手段の動作を制御する制御手段と、前記嵌合部が前記回動調整部材の被嵌合部に嵌合したことを検出する嵌合検出手段と、を備え、
前記移動手段による動作は、
前記嵌合部を、前記被嵌合部に付勢当接させた状態で、前記嵌合部の前記被嵌合部に対する嵌合方向に垂直な面である移動面上にて、前記弾性変位を含め略円状あるいは略楕円状の探り軌跡を描くように移動させる探り動作を含み、
前記制御手段は、
前記嵌合検出手段により前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合したことを検出した場合、該嵌合した状態で、前記嵌合部を回動させることにより前記回動調整部材を所定量回動させるように、前記移動手段を制御することを特徴とする回動量調整装置。
【請求項5】
前記回動調整部材は、偏心した位置に回動軸有するとともに該回動軸に対応する位置に前記被嵌合部を有し、その回動により前記被嵌合部の位置を所定の経路に沿って移動させるものであり、
前記移動手段による動作は、
前記探り動作の前記移動面における角度を、前記嵌合部と前記被嵌合部との嵌合形状に対応する所定角度変化させるとともに、前記探り軌跡の中心位置を、前記所定の経路に対応する軸軌跡上を前記回動軸の偏心度合いに対応する所定距離移動させる位相合わせ動作を含み、
前記制御手段は、
前記探り動作と、前記位相合わせ動作とを、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合するまで繰り返し連続的に行わせるように、前記移動手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の回動量調整装置。
【請求項6】
前記工具装置は、
前記回動調整部材を位置決め固定するための位置決め部材を回動させて固定する回動固定部材と、前記回動固定部材を回動させる回動駆動手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記回動駆動手段を制御することにより、前記回動固定部材を回動させることで、前記位置決め部材を回動させ、前記所定量回動した後の前記回動調整部材を位置決め固定させることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の回動量調整装置。
【請求項7】
前記工具装置は、
前記嵌合部及び前記回動固定部材を含む部分が、取り替え可能に構成されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかの項に記載の回動量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−326171(P2007−326171A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158888(P2006−158888)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000191353)新明工業株式会社 (75)
【Fターム(参考)】