説明

自動復帰機能を有した電源制御装置およびこれを用いた映像表示装置

【課題】複数のチャンネルを有する定電流電源について、正常動作中に異常な回路接続によって保護が働いた後、正常接続の状態に遷移したとき、チャンネル個別に自動で復帰させること。
【解決手段】複数のチャンネルを有する定電流電源装置であって、定電流電源装置は、各チャンネルの動作を検知する動作判定部124に基づき、動作制御部123を介して定電流制御部125にて各チャンネルの電流引き込み量が設定電流値に対して微笑になるように切り替え、さらにエラーアンプとの接続を遮断する。これにより異常接続状態で停止しているチャンネルは、その後正常な接続状態に遷移したときにチャンネルごと独立して自動に復帰させることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動復帰機能を有した電源制御装置およびこれを用いた映像表示装置に関し、特に不慮の異常接続により保護動作が働いた後、正常接続状態に戻ったとき、自動で正常動作に復帰する、自動復帰機能を有した電源制御装置およびこれを用いた映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置としての典型的なものとして、液晶ディスプレイなどが用いられる映像表示装置があげられる。このような映像表示装置においては、液晶ディスプレイに対するバックライトの光源としてLED(Light Emitting Diode)が多く用いられ、一般的に、このLEDの電源装置としては、定電流出力が可能な定電流電源が用いられる。
【0003】
そして定電流電源には、予期できない状態にも対応するように電源を保護するための電源装置(または回路)が組み込まれている。
【0004】
従来のLED用の定電流源として、LEDの調光制御にPWM制御を使用している際に、LEDが開放状態となっても他のLEDに影響が生じないようにLEDが開放状態の場合に保護回路の動作によって、そのLEDユニットを短絡させる保護回路と、LEDユニットのLEDが開放状態になったときに対応する保護回路をオンさせる動作電圧を発生する電圧発生回路と、保護回路がオンしているときにそのオン電流に基づき、PWM制御のオフ期間であっても保護回路のオン動作を持続させる電圧を発生する充電回路とを備えたLED点灯装置および照明装置システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、従来の電源制御装置として、スイッチング電源の出力電圧が短絡等で過電流状態となった場合、過電流検知部がソフトスタート回路の出力電圧を0Vまで下げ、PWM比較器は、一旦パルス信号を出力しなくなるものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
特許文献2に記載のものは、ソフトスタート手段の出力が所定の電圧となるまで比較手段の出力がスイッチング手段に入力されず、過電流保護のノンプロテクト期間中のスイッチング手段の動作を阻止することができるので、ソフトスタート手段の電圧復帰毎の出力ピーク電流値を低減することができ、出力に接続された素子に与える悪影響を軽減するとともに、出力ピーク電流によるIC等の他素子へのGND揺れ等の影響を低減することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−204866号公報
【特許文献2】特開2006−115596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、LEDユニットが複数直列接続されて用いられる場合において他のLEDユニットで点灯動作を維持できるものの、次のような場合は点灯動作が維持できない。
【0009】
すなわち、単体のLED素子または直列に接続された複数のLED素子(ただし、それ
ぞれの順方向を同一にしたもの)をLED列と称すると、このLED列が2列以上並列に接続され(LED群)、それぞれのアノードを共通にして電源に接続された状態においては、各LED列ごとの電圧を検知することができないため、各列ごとの電源制御を行うことができず、また、各LED素子個別に特許文献1に記載のものを適用した場合、装置の規模が大きくなりコストが高くなるという問題点があった。
【0010】
さらに、上記特許文献2に記載のスイッチング電源は、負荷として上述のようなLED群が接続されている場合、過電流保護が動作したときに、全列のスイッチ素子の動作を停止させてしまい、正常状態で動作している列のLEDまで電源供給を止めてしまうことになる。
【0011】
例えば、LED群を液晶ディスプレイのバックライトの光源として用いる場合、LEDを駆動する電源装置は、LED群のカソードと定電流電源との接続端子(チャンネル)、を複数有しており、複数の列のうち1列のみLED列のアノードとカソード間が短絡してしまった場合、復帰する際にリセット動作するため、全列のLEDが一時的に消灯するので黒画をはさまなければならず、ユーザに違和感を与えてしまうことが考えられる。
【0012】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決することにあり、電源に対する負荷として複数のLED列を有するLED群が接続された場合に、予期していなかった不慮の過電流や過電圧によって特定の列の負荷に対して保護動作が働いた場合でも、並列接続された他の列の負荷に影響を与えることなく、並列接続された各列ごとに正常に動作を復帰させることが可能な電源制御装置および映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の電源制御装置は、単一のLED素子または複数のLED素子の順方向を同一にして直列接続されてなるLED列が複数列それぞれ並列に接続される電源制御装置であって、前記複数列の前記LED列のそれぞれのカソードが接続され、前記複数列の前記LED列のそれぞれに流れる電流値を検出し、検出した電流値があらかじめ設定した電流値となるよう制御する定電流制御部と、前記LED列のそれぞれの接続状態を判定する動作判定部と前記動作判定部の結果に基づいて前記LED列に流す電流値を変更するよう、前記定電流制御部を制御する動作制御部とを備え、前記動作判定部が前記複数列の前記LED列のいずれかが異常な接続状態であると判定した場合、前記定電流制御部は前記動作制御部の制御に基づいて前記異常な接続状態であるLED列に流す電流量を制限するという構成を有する。
【0014】
さらに、本発明の映像表示装置は、映像を表示する画面と、前記画面に向けて光を放射する単一のLED素子または複数のLED素子の順方向を同一にして直列接続されてなるLED列が複数列それぞれ並列に接続されてなるバックライトと、前記複数列の前記LED列のそれぞれのカソードが接続され、前記複数列の前記LED列のそれぞれに流れる電流をあらかじめ設定した電流値となるよう制御する定電流制御部と、前記LED列のそれぞれの接続状態を判定する動作判定部と動作判定部の結果に基づいて 電流値を切替えるよう、前記定電流制御部を制御する動作制御部とを備え、前記動作判定部が、複数のLEDのいずれかが異常な接続状態であると判定した場合、 前記定電流制御部は、前記動作制御部の制御に基づいて前記異常な接続状態であるLED列に流す電流量を制限するという構成を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電源の負荷として複数のLED列を有するLED群が接続されている場合に、予期していなかった不慮の過電流や過電圧によって特定の列の負荷に対して保護動作が働いた場合でも、他の列の負荷に影響を与えることなく、並列接続された各列ごと
ンネル毎に正常に動作を復帰させることができる電源制御装置を提供することができ、これを用いることで不必要に使用者への違和感を与えることの無い映像表示装置を提供することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における電源制御装置および映像装置とその周辺構成を含むシステムを示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における電源制御装置の全体構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における電源制御装置の保護動作を検知し、復帰させるまでの動作説明のためのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における自動復帰機能を有した電源制御装置、およびこれを用いた映像表示装置を含むシステムの全体ブロック図である。
【0018】
このシステムは、映像表示装置1と映像表示装置1に接続される映像源2とから構成される。自動復帰機能を有した電源制御装置は、詳細後述するLED制御LSI12がこれに該当し、本実施の形態においては、LED制御LSI12は映像表示装置1の内部に設けられている。
【0019】
まず、映像源2について説明する。映像源2は、映像表示装置1に接続されており、映像表示装置1に対して、映像信号Aを送信する。
【0020】
図1には、映像源2の例としてDVDプレイヤ2A及びチューナ2Bを示している。DVDプレイヤ2Aは、DVD(Digital Versatile Disc)から読み出され再生された映像Aを映像表示装置1に送信する。チューナ2Bは、例えば地上デジタル放送等を受信し、再生した番組を構成する映像Bを、映像表示装置1へ送信する。なお、DVDプレイヤ2A及びチューナ2Bは、映像以外に音声も同様に送信する。
【0021】
次に、本実施の形態における映像表示装置1について説明する。映像表示装置1は、少なくとも、映像処理LSI11と、LED制御LSI12と、ディスプレイ13と、CPU14とを備えている。
【0022】
CPU12は、機能ブロックに分けると、映像処理制御部141と、バックライト制御部142とを含む。また、ディスプレイ13は、画面131と、バックライトとしてLED群132とを含む。
【0023】
前述したとおり、映像源2が映像表示装置1へ映像信号を送信すると、映像信号は、映像処理LSI11に入力され、入力された映像信号データに基づいてCPU14内の映像処理制御部141にて信号処理され、映像処理制御部141がディスプレイ13内画面131へ信号処理後の映像信号を送信する。
【0024】
ここで、画面131は、本実施の形態においても一般的に用いられる液晶パネルなど自発光しないディスプレイが用いられる。液晶パネルなどの自発光しないディスプレイは、画面131に向けて光を放射するためのバックライトとしてLED群132が用いられる。
【0025】
LED群132は、単体のLED素子または直列に接続された複数のLED素子(ただし、それぞれの順方向を同一にしたもの)をLED列と称したときに、このLED列が2
列以上並列に接続された構成である。
【0026】
そして、LED群132は、LED制御LSI12によって制御され、またLED制御LSI12は、CPU14内バックライト制御部142に制御され液晶パネルの輝度を調整する機能を有する。
【0027】
以上のように構成されたシステムにおいて、次に、図2を用いてこのシステムに適用されるLED制御回路について説明する。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係るLED制御LSI12の全体回路構成及び周辺の部品構成を示しているLED制御回路15を示すブロック図である。
【0029】
LED制御回路15は、LED制御LSI12と、入力コンデンサC1と、インダクタL1と、ダイオードD1と、出力コンデンサC2と、を備えている。LED制御LSI12は少なくとも、スイッチ部121と、エラーアンプ122と、動作制御部123と、動作判定部124と、定電流制御部125と、を有している。
【0030】
LED制御回路15は、バックライトとしてのLED群132を制御するためのものである。LED群132は、本実施の形態においては図2に示すように、3列構成のLED列のそれぞれのアノードとダイオードD1とが接続され、LED列のそれぞれのカソードは列ごとに独立してLED制御LSI12内の定電流制御部125に接続されている。
【0031】
ただし、LED列の数および一列あたりのLED素子の数は、この数に限定されるものではない。
【0032】
スイッチ部121は、ダイオードD1とインダクタL1に接続される。また、入力コンデンサC1と出力コンデンサC2は、バイパスコンデンサとしてLED制御回路15の電源ラインに接続される。
【0033】
エラーアンプ122とは、詳細後述するとおりLED列に流れる電流量とあらかじめ設定された電流量(電流値)とを常に比較しながら,その誤差を基にスイッチ部121のスイッチ動作(スイッチをオンさせたりオフさせたりする、所謂オンオフ動作)を制御させる機能を有する。
【0034】
ここで、「あらかじめ設定された電流量」とは、たとえばLED群をバックライトとして利用した際に、ディスプレイ13に表示した映像を視聴するのに適した輝度を保つためにLED列に流すべき電流量であって、映像表示装置1の製造時や、映像表示装置1の使用者によって、あらかじめ設定される量(値)を指す。
【0035】
定電流制御部125は、LED群132の各列のカソードから定電流制御部125へ流れる電流値を検出すると共に、この検出した電流値が、あらかじめ設定した電流値となるように動作させる機能と、LED群132のいずれかの列が、異常な接続状態であるとき、動作制御部123からの制御信号を受けLED群132の異常接続状態にある列のカソードから定電流制御部125へ流れる電流量を変更する機能を有する。ただし、「電流量を変更する」には「電流量を停止する」意図も含まれる。
【0036】
動作判定部124は、LED群132のいずれかの列が異常な接続状態であった場合、異常な状態であることを検知し、LED群132内のどのLED列が、異常な接続状態であるかを判定し、判定結果を動作制御部123へ通知する機能を有する。
【0037】
動作制御部123は、LED群132の異常な接続状態の列のカソードから定電流制御部125へ流れる電流を停止させるように制御し、LED群132の異常な接続状態であるLED列とエラーアンプ122との接続を遮断する機能を有する。
【0038】
次にLED制御回路15の動作について説明する。LED制御回路15は以下に詳細説明するとおり、定電流制御部125によってLED群132の各列にあらかじめ設定された電流を流すように制御する回路である。
【0039】
まず、正常状態における動作は以下のとおりである。LED制御LSI12は、スイッチ部121をオンさせて、バッテリーからインダクタL1とスイッチ部121に電流を流し、インダクタL1に電荷を蓄積させる。
【0040】
次にLED制御LSI12は、スイッチ部121をオフさせて、インダクタL1に蓄えられた電荷をダイオードD1で整流し、LED群132のアノードに電圧を印加することでLED群132を発光させる。
【0041】
定電流制御部125は、LED群132のカソードからの電流、つまりLED群132各列に流れる電流を、あらかじめ設定された電流値となるように、後述する定電流制御部内のFET35によって電流量を調整する。
【0042】
ここでLED制御LSI12は、LED群132の各列に流れる電流があらかじめ設定された電流値と異なれば、エラーアンプ122の動作によって、スイッチ部121のスイッチ動作を制御し、出力電圧を調整する。
【0043】
つまり、エラーアンプ122は、定電流制御部125に流れる電流があらかじめ設定された電流値に対して大きい場合、スイッチ部121のスイッチ動作を停止させ、出力電圧を小さくさせ、エラーアンプ122は、定電流制御部125に流れる電流があらかじめ設定された電流値に対して小さい場合、スイッチ部121は、スイッチ動作をして、出力電圧を大きくさせる。
【0044】
このようにエラーアンプ122は、LED群132に流れる電流量とあらかじめ設定された電流値とを対比し、電流量の大小に応じて、スイッチ部121を制御する。
【0045】
次に、異常状態における動作について、以下に説明する。動作中にLED群132とLED制御回路15とが異常な接続状態なってしまったとき、LED制御LSI12に過電流や過電圧がかかり、LED制御LSI12を破壊する可能性があるため、LED制御LSI12は、LED制御LSI12を保護するための機能をもつ。
【0046】
本実施の形態のLED制御LSI12における保護の動作を図2を用いて説明する。
前述した正常動作時の説明と同様に、3列のLED列132Aと、132Bと、132Cとを備えるLED群132がLED制御回路15と接続されている構成を例として説明する。
【0047】
LED群132の周辺にゴミなどが混入してLED接続がショートしたりオープンしてしまうことによって、LED制御LSI12に過電流が流れたり過電圧が生じた場合、LED制御LSI12が破壊される可能性があるため、LED制御LSI12は、過電流や過電圧からLED制御LSI12を保護する機能を有している。
【0048】
このような状況の1例として、正常点灯動作中にLED群132のLED列132Aのみが、異常な接続状態なってしまった場合について考える。
【0049】
LED列132Aの接続において異常な状態とは、以下の4つが考えられる。1つ目は、LED列132Aのアノードとカソードが短絡されたとき、2つ目は、LED列132A列が開放されたとき、3つ目は、LED列132Aのカソードが地絡されたとき、4つ目は、LED列132Aの直列に接続されているLED数個が短絡されたとき、が考えられる。
【0050】
以下には、LED列132Aのアノードとカソードが短絡された異常な接続の時のLED制御回路12の動作について説明する。
【0051】
LED列132Aのアノードとカソードとが短絡された場合、LED列132AからLED制御回路12の定電流制御部125のへ過電流が生じる。定電流制御部125の構成と動作については、詳細後述するが、LED列132Aのカソードから定電流制御部125へ流れる電流があらかじめ設定された電流値と大きく異なる場合、動作判定部124にて異常接続状態であることを検知し、LED列132Aの接続状態が異常であると判定される。
【0052】
動作判定部124にてLED列132A異常接続状態であることが判定されると、動作判定部124は、異常状態であることを動作制御部123に通知して、動作制御部123は、定電流制御部125にLED列132Aのカソードから定電流制御部125へ流れる電流を停止させるように制御し、異常が生じたLED列とエラーアンプ122との接続が遮断される。
【0053】
つまりLED群132Aは、定電流制御部125にLEDカソードからの電流を流さないように制御され、LSIに異常電流が流れないため、LED制御LSI12は、保護される。
【0054】
また、上述したその他、3つの異常な接続状態においてもLED制御LSI12は、LED群132Aからの電流が、あらかじめ設定された電流値と異なることと、LED群132のアノード電圧VOUTが異常な電圧値であることも検知して同様の動作によりLED制御LSI12が保護される。
【0055】
以上が、LED群132とLED制御回路15が不慮のLED接続によって、LED制御LSI12に過電流や過電圧が生じた場合、LED制御LSI12が保護される動作の説明である。
【0056】
次に図3を用いて、本発明の実施形態に係るLED群132とLED制御回路15が、異常な接続状態から正常接続状態に戻るときの復帰動作について説明する。
【0057】
LED制御LSI12は、図3に示すようにエラーアンプ122と、動作制御部123と、動作判定部124と、定電流制御部125と、を有している。
【0058】
さらに定電流制御部125は、抵抗R1と、比較器33と、電流ミラー回路31と、抵抗R2と、比較器34と、FET35と、抵抗R4と、ミラー回路32と、抵抗R3と、アンド回路36と、FET37と、を有している。
【0059】
LED列132AのカソードはFET35のドレインと接続されている。また、FET35のゲートと動作判定部124が接続されている。動作判定部124は、動作制御部123と接続されている。動作制御部123は、FET37とアンド回路36に接続されている。
【0060】
ただし、図3には示されていないが、FET37およびアンド回路36は、チャンネルごとに設けられていて、各LED列の接続状態に応じた動作が行われる構成となっている。
【0061】
以上のように構成されたLED制御LSI12に関して、以下、LED列132Aに設定された電流が流れる場合の動作説明をする。LED列132A、LED列132B、LED列132C、それぞれに流れる電流は、R1の抵抗値によってあらかじめ設定される。
【0062】
定電流制御部125は、抵抗R1に流れる電流を基準値として、LED群132のカソードから定電流制御部125に流れる電流を比較し、LED群132のカソードから定電流制御部125に流れる電流値と基準値とを同じ値にするように動作する。詳細動作説明を以下に述べる。
【0063】
上述した、あらかじめ設定される電流値は、抵抗R1の定数によって決定される。抵抗R1に印加される電圧が、比較器33によって所定の値であるVREF1となるように制御されるため、抵抗R1に流れる電流も一定値となる。
【0064】
そして、抵抗R1に流れる電流は、ミラー回路31によって増幅され、抵抗R2によって電流-電圧変換され、電圧Vaが、比較器34に参照される。
【0065】
LED列132Aのカソードは、FET35のドレインに接続されており、LED列132Aのカソードから抵抗4に電流が流れる。抵抗R4に印加される電圧は比較器34に参照され、あらかじめ設定された電圧値Vaと抵抗R4に印加される電圧値とが等しくなるようにFET35がオン・オフ動作することによって、抵抗R4に流れる電流量が制御される。
【0066】
すなわち、比較器34は、抵抗R4の電圧が基準電圧Vaより小さい場合は、FET35をオンさせ、LED列132Aのカソードから抵抗R4に電流が流れる。逆にR4の電圧が基準電圧Vaより大きい場合は、比較器34は、FET35をオフし、LED列132Aのカソードから抵抗R4に電流を流さない。
【0067】
このように、抵抗R1の定数によって、LED列132A、LED列132B、LED列132Cに流れる全ての電流量が決定される。
【0068】
LED列132Aが、正常な接続状態であるとき上記のようにあらかじめ設定された電流が抵抗R4に流れるが、LED列132Aが、異常な接続状態となった場合、例えば上記例のLED列132Aのアノードとカソードが短絡された場合は以下のように動作する。
【0069】
LED列132Aのアノードとカソードが短絡されたとき、R4に流れる電流は非常に大きくなり、FET35のゲート電圧も大きくなる。
【0070】
この場合、FET35のゲートと動作判定部124とが接続されているので、FETのゲート電圧は、動作判定部124に参照され、動作判定部124は、FET35のゲート電圧があらかじめ設定した電流より非常に大きい場合、LED列132AとLED制御LSI12との接続が異常であることを検知する。
【0071】
そして、動作判定部124は、LED列132AとLED制御LSI12との接続が異
常な接続状態であると判断し、動作制御部123に異常を通知する。動作制御部123は、FET37をオフし、異常な接続状態のLED列132Aとエラーアンプ122との接続を切断し、アンド回路36の出力をオフさせ、比較器34の動作を停止させる。
【0072】
これによって、FET35は、オフ状態になりLED列132Aから抵抗R4に電流は流れなくなるため、LED制御LSI12が保護される。
【0073】
ゴミなどの混入物が排除され、正常な接続状態に戻った場合、常に接続状態を監視している動作判定部124は、詳細後述するが、LED列132Aから定電流制御部125に流れる電流が動作復帰用のあらかじめ設定された電流量となっている場合を正常な接続状態と判断し、LED列132Aの異常接続により切断されていたエラーアンプ122とを接続させ、正常な動作に戻す。
【0074】
異常な接続状態にあるLED列とエラーアンプ122との接続が切断されることは、詳細後述するが、あらかじめ設定された電流値となるように動作するスイッチ部121と異常な接続状態にあるLED列との連動性を無くすことができるため、以下の理由で都合が良い。
【0075】
すなわち、異常な接続状態にあるLED列とエラーアンプ122との接続が切断されていない場合に、電流がLED列132Aから定電流制御部125に流されると、LED列は異常な接続状態であるため、LED列に流される電流は、あらかじめ設定された電流値とならないが、スイッチ部122は、エラーアンプ122からあらかじめ設定された電流値となるように制御されるため、正常な接続状態であるLED列132BやLED列132Cの電流値が不安定になり、ディスプレイ13に表示される映像の輝度が変化して、ユーザにちらつきとして見えることになる。
【0076】
従ってLED列とエラーアンプ122との接続は、異常接続と判断された列のみ切断して、他のLED列に影響を与えないようにすることが望ましい。
【0077】
以下、LED列132AとLED制御LSI12とが、異常な接続状態での状態から正常な接続状態へ状態に遷移したときの動作について述べる。
動作制御部123は、LED列132Aの接続が、いずれ正常に戻った場合に備え、LED列132Aを正常に復帰するための準備を以下のように行う。
【0078】
動作制御部123は比較器34の基準電圧をVaから動作復帰用の基準電圧Vbに、例えばスイッチなどで切り替える。
【0079】
基準電圧Vbは、停止しているFET35のドレインからソースに流れる電流があらかじめ設定された電流に対して微小な電流となるように設定される。
もし、基準電圧Vbが十分小さくなければ、LED列132Aが、接続状態を検知しているときに異常点灯する可能性がある。
【0080】
基準電圧Vbは、抵抗R1の電流をミラー回路32と抵抗R3によって生成される。基準電圧Vbは、ミラー回路32の増幅率を小さくさせるか、もしくは、R3の抵抗値をR2よりも小さくさせることによって、基準電圧Vaよりも基準電圧Vbが小さくなるように設定される。
【0081】
動作制御部123は、比較器34の基準電圧を小さく切り替えた後、アンド回路36の出力をオンし、FET35のスイッチ動作をオンさせる。抵抗R4に流れる電流は基準電圧をVbに切り替えたため、非常に少ない電流が流れる。
【0082】
LED列132Aが正常な接続状態に戻った場合、FETのゲート電圧がVbとなった状態のまま安定するため、動作判定部124は、LED列132AとLED制御LSI12とが正常な接続状態に戻ったと判定する。
【0083】
動作判定部124は、動作制御部123にLED列132AとLED制御LSI12とが正常な接続状態に戻ったことを通知し、動作制御部123は、アンド回路36の出力をオフし、比較器34の動作が停止される。
【0084】
そして動作制御部123は、比較器34が参照する基準電圧を基準電圧Vbから基準電圧Vaにスイッチなどで切り替える。比較器34の基準電圧を切り替えたあと、動作制御部123は、アンド回路36の出力をオンし、比較器34を動作させる。さらに動作制御部123は、FET37をオンさせ、LED132Aとエラーアンプ122とが接続されるため、LED列132Aがあらかじめ設定された電流となるように動作復帰させる。
【0085】
以上説明したとおり、保護動作中にカソードからの電流を微小になるように切り替え可能な構成とし、基準電圧Vbを基準電圧Vaに対して小さくすることで、他の列に及ぼす影響は殆どない条件で動作判定を行うことができる。
【0086】
さらに、異常接続されているLED列とエラーアンプ122との接続を切り離すため、スイッチ部21のスイッチ動作は異常状態にあるLED列による影響を受けずに正常な接続状態であるLED列132BとLED列132Cは、正常に動作し続ける。また、このため、LEDを映像表示装置1のバックライト用光源として適用することでLEDの接続異常時にもディスプレイのちらつきを防止することができる。
【0087】
以上のように本実施の形態によれば、保護動作中に抵抗R4に流れる電流が小さくされるため、比較器34の基準電圧を切り替えるミラー回路32と抵抗R3とを備えることにより、抵抗R4に流れる電流量を微小にして、接続の状態が正常に戻ったかどうかを確実にに検出することができる。
【0088】
さらに、回路の接続状態を検知するミラー回路を設定値に対して十分小さい電流に構成することにより、省電力状態での検出が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の電源制御回路は、LED素子の不慮な異常接続の状態となり、過電流や過電圧が生じ、LED制御LSIを保護する。そしてLED制御LSIを保護した状態から、LED素子との接続が、正常な接続状態に遷移したときに正常にLED制御LSIの動作を復帰させる機能として有用である。
【符号の説明】
【0090】
1 映像表示装置
11 映像処理LSI
12 LED制御LSI
121 スイッチ部
122 エラーアンプ
123 動作制御部
124 動作判定部
125 定電流制御部
13 ディスプレイ
131 画面
132 LED群
132A LED列
132B LED列
132C LED列
14 CPU
141 映像処理制御部
142 バックライト制御部
2 映像源
2A DVDプレイヤ
2B チューナ
31、32 電流ミラー回路
33、34 比較器
35、37 MOSFET
36 AND回路
C1 入力コンデンサ
L1 インダクタ
D1 ダイオード
C2 出力コンデンサ
R1,R2,R3,R4 抵抗



【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のLED素子または複数のLED素子の順方向を同一にして直列接続されてなるLED列が複数列それぞれ並列に接続される電源制御装置であって、
前記複数列の前記LED列のそれぞれのカソードが接続され、前記複数列の前記LED列のそれぞれに流れる電流値を検出し、検出した電流値があらかじめ設定した電流値となるよう制御する定電流制御部と、
前記LED列のそれぞれの接続状態を判定する動作判定部と、
前記動作判定部の結果に基づいて前記LED列に流す電流値を変更するよう、前記定電流制御部を制御する動作制御部とを備え、
前記動作判定部が前記複数列の前記LED列のいずれかが異常な接続状態であると判定した場合、前記定電流制御部は前記動作制御部の制御に基づいて前記異常な接続状態であるLED列に流す電流量を制限することを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
電源から前記複数列の前記LED列のカソードへ流れる電流に対してオンオフ動作を行うスイッチ部と、前記定電流制御部にて検出された前記LED列に流れる電流値と前記あらかじめ設定された電流値との差に基づいて前記スイッチ部のオンオフ動作を制御するエラーアンプとを備えたことを特徴とする請求項1記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記動作判定部が前記複数列の前記LED列のいずれかが異常な接続状態であると判定した場合、前記動作制御部が、前記定電流制御部と前記エラーアンプとを切断することを特徴とする請求項2記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記動作判定部が、前記複数列の前記LED列のいずれかが異常な接続状態であると判定した場合、前記定電流制御部は、前記動作制御部の制御に基づいて前記異常な接続状態であるLED列に電流を流す動作を一旦停止させ、その後前記あらかじめ設定した電流値よりも小さい電流値の電流を前記異常な接続状態であるLED列に流すことを特徴とする請求項1記載の電源制御装置。
【請求項5】
映像を表示する画面と、
前記画面に向けて光を放射する単一のLED素子または複数のLED素子の順方向を同一にして直列接続されてなるLED列が複数列それぞれ並列に接続されてなるバックライトと、前記複数列の前記LED列のそれぞれのカソードが接続され、前記複数列の前記LED列のそれぞれに流れる電流をあらかじめ設定した電流値となるよう制御する定電流制御部と、 前記LED列のそれぞれの接続状態を判定する動作判定部と動作判定部の結果に基づいて 電流値を切替えるよう、前記定電流制御部を制御する動作制御部とを備え、
前記動作判定部が、複数のLEDのいずれかが異常な接続状態であると判定した場合、前記定電流制御部は、前記動作制御部の制御に基づいて前記異常な接続状態であるLED列に流す電流量を制限することを特徴とする映像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−243825(P2011−243825A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115996(P2010−115996)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】