説明

自動販売機

【課題】長尺のLED照明を分割することなく構成し、かつ、照明装置単体でも補強板等を必要とせず、また、照明効率の高い照明装置を備えた自動販売機を提供する。
【解決手段】複数のLED2と、第1の面3aおよび第2の面3bにそれぞれ所定の個数のLED2を実装するための配線パターンが形成された1枚の長尺状の基板3とを有して構成された照明装置1を販売機本体内に所定の角度で傾斜して配設した自動販売機とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置を備えた自動販売機に関し、特に、缶飲料等の展示用物品(商品見本)を照明する展示用物品をLED等の発光素子により照明する照明装置を備えた自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機等の照明装置として、従来の蛍光灯を用いたものと共に、近年ではLED等の発光素子を用いたものが利用されるようになってきている。LEDを用いた照明装置は、一般用途としての照明に利用され得るものであるが、LEDを必要個数だけ装着して種々の形状の照明装置を構成できるので、特に、長尺形状として使用する用途が考えられる。
【0003】
長尺形状の照明装置として、断面がコ字状で長尺な取付ベースと、この取付ベースの上部に嵌合される蓋部とを有してなり、この蓋部に多数のLEDを配設して構成される照明装置がある(例えば特許文献1)。
【0004】
この構成の照明装置によれば、LEDを多数配設して長尺な構成としているので、床面、壁面、あるいは、店舗等での商品等の照明に用いるのに適している。また、LEDの入力電圧が降下することなくこの照明装置を直列に多数接続して使用することができるように構成されている。
【特許文献1】特開2005−19299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の照明装置は、LEDを多数配設して長尺な照明装置を構成し、必要に応じてこの照明装置を直列に多数接続して使用するように構成されているものである。すなわち、照明装置を長尺にする場合の構成に工夫がされているものではない。
【0006】
このような照明装置を、例えば、自動販売機の販売用物品のサンプル等を照明する照明装置に使用する場合、横一列の販売用物品のサンプルを一括して照明可能とするには、奥行き等の制限から、2〜3ユニットの照明装置を直列に接続して構成する必要がある。また、照明の効率を向上させるためのレンズ等を備えていないので照明効率が高くない。
【0007】
従って、本発明の目的は、長尺のLED照明を分割することなく構成し、かつ、照明装置単体でも補強板等を必要とせず、照明効率の高い照明装置を備えた自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明は、上記目的を達成するために、展示用物品を展示するための内部空間を有し、前記展示用物品に対応する販売用物品を払い出すための物品払出機構を内蔵する販売機本体と、複数の発光素子と第1の面および第2の面にそれぞれ所定の個数の前記発光素子を実装するための配線パターンが形成された長尺状の1枚の基板とを有し、前記販売機本体内に所定の角度で傾斜して配設されて前記展示用物品を照明する照明装置と、を有することを特徴とする自動販売機を提供する。
[2]前記照明装置は、前記基板の前記第1の面に実装された前記発光素子から照射される光を外部へ照射するための上レンズ部を有して光透過性材料により一体的に形成され、前記基板の前記第1の面に装着される1または2以上の上部ケースと、前記基板の前記第2の面に実装された前記発光素子から照射される光を外部へ照射するための下レンズ部を有して光透過性材料により一体的に形成され、前記基板の前記第2の面に装着される1または2以上の下部ケースとを有する構成であることを特徴とする上記[1]に記載の自動販売機であってもよい。
[3]前記基板の前記第1の面に実装された前記発光素子は、前記基板の短手方向の中心から後方(前記販売機本体の背面パネル方向)よりに配置され、前記基板の前記第2の面に実装された前記発光素子は、前記基板の短手方向の中心から前方(前記販売機本体の前面パネル方向)よりに配置されていることを特徴とする上記[1]に記載の自動販売機であってもよい。
[4]また、前記発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする上記[1]から[3]のいずれかに記載の自動販売機であってもよい。
[5]また、前記発光ダイオードは、オープン故障時に両端を短絡状態とさせることで他の発光ダイオードを正常動作させるための保護回路を有して、直列に接続されて駆動されることにより発光することを特徴とする上記[4]に記載の自動販売機であってもよい。
[6]また、前記発光ダイオードは、コントローラにより調光回路を制御し、電源ユニットの出力電圧を低下させて駆動されることにより発光することを特徴とする上記[4]に記載の自動販売機であってもよい。
[7]また、前記照明装置は、前記販売機本体に所定の角度で装着する取り付け部材により前記販売機本体に装着されていることを特徴とする上記[1]に記載の自動販売機であってもよい。
[8]また、前記照明装置の前記上レンズ部から照射される照明光を受けて物品視認者側に出射する光透過性部材からなる押釦を備えた上記[1]に記載の自動販売機であってもよい。
[9]また、前記照明装置の前記上レンズ部から照射される照明光を受けて物品視認者側に出射する光透過性部材からなる表示部を備えた上記[1]に記載の自動販売機であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、長尺のLED照明を分割することなく構成し、かつ、照明装置単体でも補強板等を必要とせず、照明効率の高い照明装置を備えた自動販売機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施の形態(自動販売機用照明装置)]
図1は、本発明の実施の形態に係る自動販売機に使用される照明装置の分解斜視図である。
【0011】
照明装置1は、複数の発光素子としてのLED2と、第1の面3aおよび第2の面3bにそれぞれ所定の個数のLED2を実装するための配線パターンが形成された1枚の長尺状の基板3と、基板3の第1の面3aに実装されたLED2から照射される光を外部へ照射するための上レンズ部4aを有して光透過性材料により一体的に形成され、基板3の第1の面3aに装着される1または2以上の上部ケース4と、基板3の第2の面3bに実装されたLED2から照射される光を外部へ照射するための下レンズ部5aを有して光透過性材料により一体的に形成され、基板3の第2の面3bに装着される1または2以上の下部ケース5とを有して構成されている。
【0012】
(基板3)
図2(a)は、基板3を図1においてA方向から見た上平面図、図2(b)は、正面図、図2(c)は、基板3を図1においてB方向から見た下平面図である。
【0013】
基板3は、幅方向よりも長手方向の寸法が大きい長尺状に形成されており、本実施の形態に係る照明装置1では、幅31mm、長さ857mm、厚さ1.6mmに形成されている。基板3の第1の面3a及び第2の面3b上には、発光素子としてのLED2を実装して配線するための図示しない配線パターンが形成され、また、基板3は、LED2に電流を供給し発光制御するためのコネクタあるいはハーネスを有している。
【0014】
基板3の第1の面3aには、所定の個数のLED2、例えば、照明対象である展示用物品の数に対応した数のLED2が実装されている。展示用物品の数に対応したLED2の個数は、必要な明るさ、照明効果を考慮して設定されるが、本実施の形態に係る照明装置1では、展示用物品が12個(例えば、自動販売機における商品見本缶)とし、展示用物品1個当たりにLED2を1個として合計12個とした。尚、LED2の個数はこれに限られず、LED2の個数を任意に設定することができる。
【0015】
基板3の第2の面3b(第1の面3aの裏面)には、第1の面30aに装着されたLED2と逆方向を主に照明するための、LED2が装着され、特に、照明対象(後述する背面パネル122)への照明効果を考慮して、所定の個数のLED2が実装されている。LED2の個数は、必要な明るさ、照明効果等を考慮して設定されるが、本実施の形態に係る照明装置3では、36個とした。尚、LED2の個数はこれに限られず、照明効果等を考慮してLED2の個数を任意に設定することができる。
【0016】
尚、基板3は、電源ユニット60にコネクタ等を介して接続されている。
【0017】
LED2は、青色LEDを蛍光体により波長変換して白色を発光可能に構成されている。あるいは、それぞれ互いに異なる色光を発する3種類のLED素子(赤色LED素子,緑色LED素子及び青色LED素子)を有するLEDからなり、赤色光,緑色光あるいは青色光のいずれかの単色光を、これら2種の単色光を混合してなる組み合わせの色光を、また3種の単色光を混合してなる白色光をそれぞれ発光可能に構成されるLED素子を使用することもできる。また、本実施の形態に係る照明装置では、広視野角のチップタイプのLEDを使用している。
【0018】
尚、上記示した基板3の第1の面3aおよび第2の面3bに実装されるLED2は、第1の面3aと第2の面3bとで異なる仕様のLEDを用いることができ、また、第1の面3aに実装されるLED2においてもそれぞれ異なる仕様のLEDを用いることができ、第2の面3bに実装されるLED2においても同様である。
【0019】
(上部ケース4)
図3(a)は、上部ケース4を図1においてA方向から見た上平面図、図3(b)は、図3(a)におけるC−C断面図、図3(c)は、D部拡大図、図3(d)は、D−D拡大断面図である。
【0020】
上部ケース4は、基板3の第1の面3aに実装されたLED2から照射される光を外部(図1において主に上方向)へ照射するための上レンズ部4aを有して光透過性材料により一体的に形成されている。
【0021】
上部ケース4は、長尺状の基板3に対して長さの短い上部ケース4を2以上組み合せて装着することで基板3の第1の面3a全体を覆うようにしてもよく、また、長尺状の基板3に対して基板3と略同じ長さで形成されたものを基板3の第1の面3aに装着してもよい。本実施の形態では、基板3に対して略半分の長さの上部ケース4を2個組み合せて装着することで基板3の第1の面3a全体を覆うようにしている。
【0022】
上部ケース4は、基板3の第1の面3aに実装された片側半分の6個のLED2に対応して6箇所に上レンズ部4aを有し、基板3に装着可能な略箱形状として、透明なポリカーボネート(PC)により一体的に成形されている。尚、上部ケース4は、例えば、上レンズ部4aのみを別部材で形成して、基板3に装着可能な枠体を組み合せることにより一体的に上部ケース4として形成されるものであってもよい。また、上部ケース4は、少なくとも光を透過する程度に透明であればよく、また、着色された透明部材で形成されていてもよい。
【0023】
図3(c)、(d)に示すように、上レンズ部4aは、所定の半径で形成された内側アール部40a、所定の半径で形成された外側アール部40b、任意の曲面で形成された内側曲面部40c、および、任意の曲面で形成された外側曲面部40dでLED2からの光を屈折、表面反射、および内面反射(全反射)により外部へ拡散して照射するレンズが構成されている。尚、内側アール部40a、外側アール部40b、内側曲面部40c、および、外側曲面部40dは、上記示した形状以外の、直線、曲面の組合せにより形成することも可能である。また、階段状に形成された傾斜部40eと傾斜曲面部40fによりLED2からの光を傾斜曲面部40fで全反射させて前方へ効率よく照射する構成とされている。傾斜曲面部40fは、光を全反射させて効率よく外部へ照射するため放物線形状が好ましいが、他の曲線または直線の組合せにより形成することも可能である。上部ケース4は、透明な材料で構成されているので、上記説明したLED2からの光は上部ケース4の上方向のみならず横方向および後方向にも照射される。尚、上レンズ部4aは、略同じ肉厚となるよう設計されることで成形時のひけ防止等により高精度の成形が可能となる形状とされている。
【0024】
上レンズ部4aは、内側アール部40a、外側アール部40b、内側曲面部40c、外側曲面部40d、傾斜部40e、および傾斜曲面部40fにより構成されるので、図3(a)において上下左右方向に光の分布および照射方向を制御することができる。
【0025】
(下部ケース5)
図4(a)は、下部ケース5を図1においてB方向から見た下平面図、図4(b)は、図4(a)におけるF−F断面図、図4(c)は、図4(b)の拡大詳細図である。
【0026】
下部ケース5は、基板3の第2の面3bに実装されたLED2から照射される光を外部(図1において主に下方向)へ照射するための下レンズ部5aを有して光透過性材料により一体的に形成されてる。
【0027】
下部ケース5は、長尺状の基板3に対して長さの短い下部ケース5を2以上組み合せて装着することで基板3の第2の面3b全体を覆うようにしてもよく、また、長尺状の基板3に対して基板3と略同じ長さで形成されたものを基板3の第2の面3bに装着してもよい。本実施の形態では、図1に示したように、基板3に対して略半分の長さの下部ケース1個と1/4の長さの下部ケース2個を組み合せて装着することで基板3の第1の面3a全体を覆うようにしている。以下の下部ケースの説明は、基板3に対して略半分の長さの下部ケース5について行なう。
【0028】
下部ケース5は、長手方向に亘り形成された下レンズ部5aを有し、基板3に装着可能な略箱形状として、透明なポリカーボネート(PC)により一体的に成形されている。尚、下部ケース5は、例えば、下レンズ部5aのみを別部材で形成して、基板3に装着可能な枠体を組み合せることにより一体的に下部ケース5として形成されるものであってもよい。また、下部ケース5は、少なくとも光を透過する程度に透明であればよく、また、着色された透明部材で形成されていてもよい。
【0029】
図4(c)に示すように、下レンズ部5aは、所定の半径で形成された内側アール部50a、および、所定の半径で形成された外側アール部50bでLED2からの光を外部へ拡散して照射するレンズが構成され、階段状に形成された傾斜部50cと傾斜曲面部50dによりLED2からの光を傾斜曲面部50dで全反射させてLED2からの光を前方へ効率よく照射する構成とされている。内側アール部50aおよび外側アール部50bは、上記示した形状以外の、直線、曲面の組合せにより形成することも可能である。また、傾斜曲面部50dは、光を全反射させて効率よく外部へ照射するため放物線形状が好ましいが、他の曲線または直線の組合せにより形成することも可能である。下部ケース5は、透明な材料で構成されているので、上記説明したLED2からの光は下部ケース5の下方向のみならず横方向および上方向にも照射される。尚、下レンズ部5aは、略同じ肉厚となるよう設計されることで成形時のひけ防止等により高精度の成形が可能となる形状とされている。
【0030】
下レンズ部5aは、内側アール部50a、外側アール部50b、傾斜部50c、およぎ傾斜曲面部50dにより構成されるので、図4(a)において上下方向に光の分布および照射方向を制御することができ、左右方向には略一定の分布を有する光が照射できる。
【0031】
(照明装置の回路系全体の構成)
図5は、照明装置1(スイッチング定電流回路による点灯回路)の回路系全体を示す回路図である。
【0032】
図6は、照明装置1の回路系の一部(発光回路)を示す回路図である。
【0033】
図5において、照明装置1は、電源電圧の供給を受けて発光するLED2を有する発光回路30と、発光回路30に電源電圧を供給する交流電源61を有する電源回路62と、電流検出用抵抗素子66に通電する電流を検出してスイッチング用のFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)67をON・OFF制御するコントローラ68を有する制御回路69とから大略構成されている。電源回路62と制御回路69により図5に示す電源ユニット60が構成されている。以下の説明では、基板3の第1の面3a上ではLED2が12個、第2の面3b上ではLED2が36個それぞれ直列に接続された照明装置1が電源ユニット60に接続される場合について説明する。
【0034】
(発光回路30の構成)
発光回路30は、図5に示すように、ファースト リカバリー ダイオード70及びコイル71を含み、さらに2個のLED2に対してそれぞれ制御素子73及び抵抗素子群74をLED保護回路80として備えている。
【0035】
LED2は、基板3の第1の面3a上では12個、第2の面3b上では36個が直列に接続されている。ファースト リカバリー ダイオード70は、コイル71に蓄えられたエネルギーをFET7のOFF時に電流としてLED2に流す。コイル71は、ファースト リカバリー ダイオード70に流れる電流をFET7のON時にエネルギーとして蓄える。
【0036】
制御素子73は、図6に示すように、バイパス回路としてのPNPトランジスタおよびNPNトランジスタからなり、個々のLED2に並列に接続されている。そして、後述する検出回路の検出結果に基づいて導通する。すなわち、制御素子73は、抵抗素子群74の一部(抵抗素子74A,74B)によって分圧された電圧(抵抗素子74A,74Bの接続点における電圧)が所定の電圧以上である場合に動作する。
【0037】
抵抗素子群74は、LED2に対する印加電圧を分圧する第1の抵抗素子74A,第2の抵抗素子74B、制御素子73のNPNトランジスタの破壊を防止する抵抗素子74C、及び、制御素子73のPNPトランジスタをバイアスする抵抗素子74Dから構成されている。抵抗素子74Aは、一方側端子がLED2のアノード端子及び制御素子73のPNPトランジスタのエミッタ端子に、また他方側端子が抵抗素子74Bと抵抗素子74Cにそれぞれ接続されている。抵抗素子74Bは、一方側端子がLED2のカソード端子及び制御素子73のNPNトランジスタのエミッタ端子に、また他方側端子が抵抗素子74Aと抵抗素子74Cにそれぞれ接続されている。そして、抵抗素子74Bは、抵抗素子74Aと共に複数のLED2のうち何れか1つのLED素子がオープン故障したことを検出するように構成されている。抵抗素子74Cは、一方側端子が抵抗素子74A,74Bの各他方側端子に、また他方側端子が制御素子73のPNPトランジスタのコレクタ端子とNPNトランジスタのベース端子にそれぞれ接続されている。抵抗素子74Dは、一方側端子がLED2のアノード端子と制御素子73のPNPトランジスタのエミッタ端子に、また他方側端子が制御素子73のPNPトランジスタのベース端子とNPNトランジスタのコレクタ端子に、それぞれ接続されている。
【0038】
(電源回路62の構成)
電源回路62は、交流電源61,整流ダイオード77及び平滑コンデンサ78A,78Bを備えている。交流電源61には、AC100V又は200Vの商用交流電源が用いられる。例えば、AC200Vの場合、整流ダイオード77は、4個のダイオードでブリッジダイオードを構成し、交流電源61からの電流の波形を整流する。平滑コンデンサ78A,78Bは、整流ダイオード77で整流した電流の波形を平滑する。例えば、この電源回路62により、AC200Vの交流が約280Vの直流に変換される。AC100Vの場合、電源回路62を両波倍電圧整流回路にするとAC200Vの場合と同様に約280Vの直流に変換される。
【0039】
(制御回路69の構成)
制御回路69は、電流検出用抵抗素子66,FET67及びコントローラ68を備えている。電流検出用抵抗素子66は、電源回路62からLED2、コイル71を経由した電流がFET67のON状態において流れ、そのOFF状態においては流れない構成とされる。FET67は、コントローラ68の制御によってON・OFF状態とされる。コントローラ68は、前述したように電流検出用抵抗素子66に通電する電流を検出してFET67をON・OFF制御する。
【0040】
(照明装置1の動作)
図7は、LED2が実装された基板3、上部ケース4、および、下部ケース5が組み合わされて組み立てられた照明装置1を上平面(a)、正面(b)、および下平面(c)で示す3面図である。
【0041】
長尺状の基板3に対して略半分の長さの上部ケース4Aを第1の面3a側に2個並べて装着し、一方、第2の面3b側には、基板3に対して略半分の長さの下部ケース5Aを1個と1/4の長さの下部ケース5Bを2個組み合せて、下部ケース5B、下部ケース5A、下部ケース5Bの順で並べて装着している。これらの上部ケース4、下部ケース5はそれぞれコネクタ等により直列に接続された状態で電源ユニット60に接続されてもよく、また、各上部ケース4、下部ケース5がそれぞれ電源ユニット60に接続されてもよい。
【0042】
(照明装置1の点灯動作)
照明装置1においては、AC200Vの交流電源61が、抵抗値を12kΩとする抵抗素子74A、抵抗値を1kΩとする抵抗素子74B,74C、および抵抗値を100kΩとする抵抗素子74Dがそれぞれ用いられる。また、制御素子73のNPNトランジスタのベース電圧が0.65V以上でNPNトランジスタ、PNPトランジスタがON状態となるものとする。
【0043】
先ず、例えばAC200Vの交流電源61からの交流が整流ダイオード77で全波整流され、さらに平滑コンデンサ78で平滑化され、約280Vの直流に変換される。次に、コントローラ68によってFET67がON状態となると、電流がLED2→コイル71→FET67→電流検出用抵抗素子66を流れ、LED2が点灯する。そして、電流検出用抵抗素子66に発生する電圧によって所定量の電流が流れていることが検出されると、FET67がOFF状態となる。この場合、FET67のON時にコイル71にエネルギーとして蓄えられた電流がコイル71→ファースト リカバリー ダイオード70→LED2に流れ、LED2の点灯状態が維持される。但し、LED2への電流は少しずつ減少するため、一定時間後にはコントローラ68によってFET67がON状態となる。このため、電流がLED2→コイル71→FET67→電流検出用抵抗素子66を流れ、LED2が点灯する。このようにして、LED2にはほぼ一定の電流が流れる。
【0044】
ここで、LED2が正常に動作している場合には、例えばLED2のVF値を3Vとすると、抵抗素子74A,74Bで分圧された電圧が約0.38Vとなり、制御素子73のPNPトランジスタのエミッタ端子とNPNトランジスタのエミッタ端子との間はOFF状態のままである。
【0045】
上記に示したようなLED2の点灯動作により、基板3の第1の面3a側に実装されたLED2からそれぞれのLED2の上部に位置する上レンズ部4aを通して光が照射される。これにより、それぞれのLED2は、照明対象である展示用物品を効果的に照明することができる。
【0046】
尚、電源ユニット60の出力電圧を低下させてLED2を駆動する調光回路79をコントローラ68により制御することにより、照明装置1に調光機能を持たせることが可能になる。
【0047】
(LED2がオープン故障した場合の照明装置1の動作)
一方、例えば、いずれか1つのLED2がオープン故障を起こし、このLED2の両端に8.45V以上の電圧が印加された場合には抵抗素子74A,74Bで分圧された電圧が0.65Vを超え、制御素子73のPNPトランジスタのエミッタ端子とNPNトランジスタのエミッタ端子との間がON状態となる。すなわち、オープン故障したLED2の両端は、制御素子73で短絡状態となる。このため、オープン故障したLED素子2の他のLED(正常に動作可能なLED素子)2に対する電源回路62からの電流の供給は続行される。
【0048】
この状態から電流の供給を遮断すると、制御素子73のPNPトランジスタのエミッタ端子とNPNトランジスタのエミッタ端子との間はOFF状態となるが、再度電源投入時には上記と同様に動作して制御素子73のPNPトランジスタのエミッタ端子とNPNトランジスタのエミッタ端子との間がON状態になり、オープン故障したLED2の両端が短絡状態となる。
【0049】
尚、本実施の形態では、単一のLED素子2がオープン故障した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、複数個のLED2がオープン故障した場合にも本実施の形態と同様に動作し、オープン故障した複数個のLED2以外の他のLED2を正常に動作させることができる。
【0050】
上記に示したようなLED2の点灯動作により、オープン故障しLED2とLED保護回路を共通にするLED2は点灯しないが、基板3の第1の面3a側に実装された他のLED2からはそれぞれのLED2の上部に位置する上レンズ部4aを通して光が照射される。これにより、LED2を直列に接続する構成としても、LEDのオープン故障による影響を最小限に抑えることができる。
【0051】
(第1の実施の形態の効果)
(1)第1の実施の形態では、図1あるいは図7に示したように、長尺状の基板3に対して略半分の長さの上部ケース4Aを第1の面3a側に2個並べて装着し、一方、第2の面3b側には、基板3に対して略半分の長さの下部ケース5Aを中央部に装着し、その両側に1/4の長さの下部ケース5Bをそれぞれ装着している。このような配置で長尺状の基板3に対して上部ケース4および下部ケース5を装着すると、図7に示す上部ケース間の境界領域90と下部ケース間の境界領域91が基板3の長手方向において一致せず異なる位置関係となる。従って、照明装置1に曲げの力が加わっても、基板3、上部ケース4および下部ケース5の少なくとも2つの部材で力を受けるので、照明装置1の剛性が十分に確保され、強度的に十分な照明装置1が得られる。
【0052】
(2)長尺状の基板3に対して、基板3よりも短い上部ケース4および下部ケース5をそれぞれ組み合せて照明装置1を構成するので、上部ケース4および下部ケース5の成形用金型が小さくでき、製造コストが大幅に低減可能となる。また、上部ケース4および下部ケース5は、異なる長さで形成された複数種類のカバーであるが、各々、装着する場合の配列順序が異なるだけであり、第1の面3aと第2の面3bでは同一のカバーを使用できるので、部材費、材料費等の低減効果を有する。
【0053】
(3)上部ケース4においては、上レンズ部4aが上部ケースの本体と一体的に形成されているので、LED2から照射される光を外部に効率よく照射でき、他に反射板等の部材を必要としないので、部品点数の低減、組み立て工数の削減等が可能となり、コストダウンが可能となる。
【0054】
(4)下部ケース5においても、下レンズ部5aが下部ケースの本体と一体的に形成されているので、LED2から照射される光を外部に効率よく照射でき、他に反射板等の部材を必要としないので、部品点数の低減、組み立て工数の削減等が可能となり、コストダウンが可能となる。
【0055】
(5)LED保護回路80を備えることにより、LED2のオープン故障時の影響を最小限に抑えることができるので、LED2を直列に接続して駆動、発光させることが可能となり、省エネルギーに効果的なLEDの駆動、すなわち、省エネルギーに効果的な照明装置1の使用が可能となる。
【0056】
[第2の実施の形態]
図8(a)〜(d)は、第1の実施の形態に対して、照明装置1が、上部ケース4および下部ケース5の異なる組合せにより構成された照明装置1の例をそれぞれ上平面、正面、および下平面で示す3面図である。
【0057】
図8(a)は、展示用物品が10個に対応する照明装置1の例であって、基板3の全長に対して4/10の長さの上部ケース4Bおよび6/10の長さの上部ケース4Cを組み合せ、3/10の長さの下部ケース5Cおよび4/10の長さの下部ケース5Dを組み合せて構成されている。第1の面3a側に、上部ケース4B、上部ケース4Cの順に並べて装着し、第2の面3b側に、下部ケース5C、下部ケース5D、下部ケース5Cの順に並べて装着することにより、上部ケース間の境界領域90と下部ケース間の境界領域91が基板3の長手方向において一致せず異なる位置関係となるので、第1の実施の形態と同様に、剛性および強度が十分に確保された照明装置1が可能となる効果を有する。
【0058】
図8(b)は、展示用物品が10個に対応する照明装置1の別の例であって、基板3の全長に対して1/2の長さの上部ケース4Dと、3/10長さの下部ケース5Cおよび4/10の長さの下部ケース5Dを組み合せて構成されている。第1の面3a側に、上部ケース4Dを2つ並べ、第2の面3b側に、下部ケース5C、下部ケース5D、下部ケース5Cの順に並べて装着することにより、上部ケース間の境界領域90と下部ケース間の境界領域91が基板3の長手方向において一致せず異なる位置関係となるので、第1の実施の形態と同様に、剛性および強度が十分に確保された照明装置1が可能となる効果を有する。
【0059】
図8(c)は、展示用物品が8個に対応する照明装置1の例であって、基板3の全長に対して1/2の長さの上部ケース4Eと、1/4の長さの下部ケース5Eおよび1/2の長さの下部ケース5Fを組み合せて構成した照明装置1である。第1の面3a側に、上部ケース4Eを2つ並べ、第2の面3b側に、下部ケース5E、下部ケース5F、下部ケース5Eの順に並べて装着することにより、上部ケース間の境界領域90と下部ケース間の境界領域91が基板3の長手方向において一致せず異なる位置関係となるので、第1の実施の形態と同様に、剛性および強度が十分に確保された照明装置1が可能となる効果を有する。
【0060】
尚、第1の実施の形態および第2の実施の形態で示した上部ケース4および下部ケース5のそれぞれの組合せは、上部ケース間の境界領域90と下部ケース間の境界領域91が基板3の長手方向において一致せず異なる位置関係となればよく、種々の組合せにより構成が可能である。
【0061】
図8(d)は、展示用物品が6個に対応する照明装置1の例であって、基板3の全長と略同じ長さの上部ケース4Fと、基板3の全長と略同じ長さの下部ケース5Gを装着した照明装置1である。展示用物品が6個に対応する照明装置1では、基板3の全長と略同じ長さの上部ケース4Fおよび下部ケース5Gを樹脂成形により製造しても、小型の金型で成形可能であり、例えば、複数の長さの上部ケースあるいは下部ケースをそれぞれ組み合せて構成するよりも部品点数の低減、組み立て工数の削減等が可能となり、コストダウンが可能となる。
【0062】
[第3の実施の形態(照明装置1を備えた自動販売機)]
図9は、本発明の実施の形態に係る照明装置を備えた自動販売機の全体を示す正面図である。
【0063】
図10は、本発明の実施の形態に係る展示用物品の照明装置を備えた自動販売機の全体を示すブロック図である。
【0064】
図11A,Bは、本発明の実施の形態に係る展示用物品の照明装置を説明するために示す図であり、(a)は、展示スペースの一部分を前面側から見た正面図、(b)は、同じく展示スペースを右側面から見た断面図、(c)は(b)図における押釦108部分を拡大して示す詳細断面図である。尚、(a)図と(b)図はスケール同一ではない。
(自動販売機の全体構成)
【0065】
図9において、自動販売機100は、缶飲料の販売用物品を販売するための販売機本体102と、販売用物品に対応する照明対象としての複数の展示用物品Bを照明する照明装置1(第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る照明装置1)とから大略構成されている。
【0066】
複数の展示用物品Bは、図9に示すように、10個の展示用物品Bが一列に並置された複数(3群)の展示用物品群b1,b2,b3に区分して3段に配置され、後述する背面パネル122の物品視認者側にステージ125を介して所定の位置に保持されている。
【0067】
展示用物品Bは、図11A(a)及び図11A(b)に示すように、販売用物品を示す情報が表面に印刷表示されたプラスチック製の光透過性部材からなる半円筒または円筒によって形成されている。尚、展示用物品Bとしては、半円筒または円筒の表面に印刷表示する代わりに、その印刷表示内容と同一の情報が表示されたシールを貼付したものでもよい。販売用物品(容器)が光透過性部材によって形成されている場合には、展示用物品Bとして販売用物品を展示してもよい。また、販売用物品には、缶飲料の他に煙草やカップ麺等が用いられる。
(販売機本体102の構成)
【0068】
販売機本体102は、図10に示すように、外装体としての筐体104と、この筐体104内(貯蔵部)に貯蔵する販売用物品を代金と引き換えに外部に払い出すための物品払出ユニット(物品払出機構)105と、この物品払出ユニット105及び照明装置1を駆動制御する制御ユニット106とを備えている。
(筐体104の構成)
【0069】
筐体104は、図9に示すように、前方に開口する箱体104A及び箱体104Aの前方開口部を開閉する扉体104Bを有し、全体が略矩形箱によって形成されている。
【0070】
箱体104A内には、照明装置1、物品払出ユニット105、及び、制御ユニット106等を収容するための収容空間(図示せず)が形成されている。扉体104Bは、箱体104Aに回動自在に枢支されている。
【0071】
扉体104Bの前面上部には、前面上部カバーとしての光透過性部材からなる前面パネル107(電照板)が配設されている。前面パネル107の前面部には、外部に露出する光透過性部材からなる物品選択用の押釦108が複数の展示用物品Bに対応して複数個配設されている(本実施の形態では1段につき10個)。前面パネル107と背面パネル122との間には、展示用物品Bを展示するための展示スペース(内部空間)109が形成されている。
【0072】
扉体104Bの前面下部には、購買者が販売用物品の代金としての紙幣・硬貨をそれぞれ挿入・投入するための紙幣挿入口112・硬貨投入口113と、釣銭を返却するための釣銭返却口114と、購買者が販売用物品を取り出すためのフラッパ付きの物品取出口115(フラッパは図示せず)とが配設されている。また、扉体104Bの前面下部には、紙幣挿入口112・硬貨投入口113に挿入・投入された紙幣・硬貨を購買者の操作によって返却するための返却レバー116と、釣銭切れや挿入紙幣・投入硬貨に関する情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示器117と、扉体104Bの開動作をロック状態とするためのドアロック118とが取り付けられている。なお、符号200は、販売物品等の情報を宣伝するための広告スペースである。
【0073】
(物品払出ユニット105の構成)
物品払出ユニット105は、図10に示すように、販売用物品を貯蔵する物品貯蔵部(図示せず)を有し、箱体104Aの収容空間に複数個収容され、かつ制御ユニット106に接続されている。そして、紙幣挿入口112・硬貨投入口113に対する紙幣・硬貨の挿入・投入による代金と引き換えに販売用物品を払い出すように構成されている。
【0074】
(制御ユニット106の構成)
制御ユニット106は、図10に示すように、挿入紙幣及び投入硬貨を処理して貨幣処理信号及び釣銭処理信号を発生する貨幣・釣銭処理装置(図示せず)を有し、物品払出ユニット105と同様に箱体104Aの収容空間に収容されている。
【0075】
ベース119は、展示スペース109内の最後方に配置され、背面パネル122が所定の位置に取り付けられる基板として機能するように構成されている。
【0076】
背面パネル122は、複数の展示用物品群b1,b2,b3のそれぞれに対応した色、柄、形状を有して、ベース119に取り付けられていてもよく、また、展示用物品群b1,b2,b3の全部又はその一部に対応した色、柄、形状としてベース119に取り付けられていてもよい。
【0077】
ステージ125は、板金からなり、背面パネル122に取り付けられ、展示用物品Bが所定の個数だけ並べて展示されると共に、展示用物品Bに関する情報(価格、温冷等)を表示する表示部126を有する。
【0078】
(照明装置1の構成)
照明装置1は、図8(a)または図8(b)に示した展示用物品が10個に対応するものを使用する。図8(a)に示した照明装置1は、基板3の全長に対して4/10の長さの上部ケース4Bおよび6/10の長さの上部ケース4Cを組み合せ、3/10の長さの下部ケース5Cおよび4/10の長さの下部ケース5Dを組み合せて構成されている。また、図8(b)に示した照明装置1は、基板3の全長に対して1/2の長さの上部ケース4Dと、3/10長さの下部ケース5Cおよび4/10の長さの下部ケース5Dを組み合せて構成されている。
【0079】
いずれも、展示用物品が10個に対応する仕様の照明装置1であって、上部ケース4には10個の上レンズ部4aが形成されて10個の展示用物品をそれぞれ照明でき、また、それぞれの展示用物品に対応した物品選択用の押釦108、価格、温冷等を表示する表示部126を照明する。
【0080】
(照明装置1の自動販売機100への取付け方法)
上記に示した照明装置1は、図11A(b)に示すように、取り付け部材としての取付けフック300によりネジ等により背面パネル122に取り付けられる。取付けフック300は少なくとも2個使用して、照明装置1を複数箇所で支持して自動販売機100へ固定する。
【0081】
取付けフック300は、自動販売機100のベース119にネジ等により固定するための穴部等を有するフック本体300aと、フック本体300aの一端から突出して設けられ、照明装置1の係止凹部4bに係止して照明装置1をロック固定するためのロック爪300bと、フック本体300aの他端から突出して設けられ、照明装置1の係合穴4cと係合する突起部を備えた係合突起部300cとを有する構成とされている。
【0082】
取付けフック300は、図11A(b)に示すように、照明装置1を所定の角度だけ傾斜させて自動販売機100に取り付けられるように、ロック爪300bと係合突起部300cとの位置関係が規定されている。これにより、照明装置1を取付けフック300を使用して固定するだけで、所定の角度で簡単に自動販売機100への組み立てが可能となっている。
【0083】
ここで、照明装置1の取り付け角度は、上部ケース4の上レンズ部4aから主に前方上方向(展示用物品B、押釦108、表示部126の方向)にLED光が照射され、下部ケース5の下レンズ部5aから主に下方後方(背面パネル122方向)にLED光が照射されるように設定され、20°〜40°とされている。本実施の形態では、前面パネル107(電照板)、物品選択用の押釦108、価格、温冷等を表示する表示部126、および、背面パネル122等を効果的に照明するために、取付け角度を30°に設定し、自動販売機100へ傾斜させて取り付けられている。
【0084】
図12は、照明装置1を自動販売機100へ取り付ける手順を工程ごとに示したものである。
【0085】
図12(a)は、照明装置1の上部ケース4に形成されている係合穴4cに取付けフック300の係合突起部300cを係合させて、照明装置1の取り付け位置を決める。次に、図12(b)に示すように、照明装置1を回転させながら、取付けフック300のロック爪300bに当たるまで回転移動させる。ロック爪300bに係止凹部4bが当たった状態から押し込むことによりロック爪300bが係止凹部4bに係止固定されて照明装置1が取付けフック300に所定の角度で固定される。
【0086】
上記に示すように、所定の角度に設定された取付けフック300を用いて照明装置1を自動販売機100へワンタッチで取り付け、組み立て可能となる。
【0087】
(照明装置1の動作)
各LED2に電源ユニット60から電圧が印加されると、各LEDから照明光(例えば白色光)が放射される。
【0088】
基板3の第1の面3a上に実装されたLED2からのLED光は、上レンズ部4aにより前方上方向にLED光が照射されると共に、内側アール部40a、内側曲面部40c、および、傾斜曲面部40fで全反射した光が透明な上部ケース4から上記示した方向以外にも照射される。照明装置1は、傾斜して取り付けられているので、出射されたLED光は、展示用物品Bに下方向から入射し、半円筒または円筒形の展示用物品B(販売用物品を示す情報が表面に印刷表示された光透過性部材)を透過して展示用物品Bの前面部を効果的に照明すると共に、上記説明した全反射等により種々の方向に出射されるLED光は、透光性の上部ケース4または下部ケース5を透過して、ステージ125に取り付けられた表示部126を背面側から照射する。また、前面パネル107に取り付けられた物品選択用の押釦108を透過して物品視認者側に照射され、押釦108の輪郭照明が行なわれる。
【0089】
ここで、図11B(c)に示したように、押釦108は、前面パネル107に取り付けられて釦部の基部となるベース181、ベース181に取り付けられてスイッチ端子等の配線パターン等を有する基板182、シリコンゴムで形成されたベース181に装着されるカバー183、カバー183にネームプレート184を挟んで装着され商品購入者が指先等で押すためのレンズ185、レンズ185の内部に装着され背面から入射する光を自動販売機100の前面へ効果的に反射させるためのリフレクトケース186、レンズ185の周辺に所定の隙間を介しベース181と嵌合して押釦108を構成するケース187から構成されている。尚、カバー183は、基板182のスイッチ端子に接触してスイッチオンさせる切片を備え、釦が押されたときの復元力を発生させ、また、水密構造とするための半透明のシリコンゴムで形成されている。
【0090】
ベース181、基板182、レンズ185は光透過性であり、ネームプレート184、ケース187は不透過性であるので、ベース181に入射したLED光190は、レンズ185の周辺部185a、及び、レンズ185とケース187との隙間188を主に透過して自動販売機100の前面へ照射される。ベース181が、例えば緑色の光透過性材料で形成されている場合は、レンズ185の周辺部185aと隙間188が緑色に輝き、いわゆる輪郭照明が行われる。
【0091】
また、照明装置1は、傾斜して取り付けられているので、基板3の第2の面3b上に実装されたLED2から、主に、後方下方向にLED光が照射される。これにより、LED光の大部分が背面パネル122を照射することになるので、物品視認者側から最も明るいと認識できる背面パネル122を限られたLED光で効果的に照明することができる。
【0092】
図13は、図11A(b)と同様に、展示スペースを右側面から見た断面図であって、傾斜して取り付けられた照明装置1の基板3の第1の面3a上に実装されたLED2から前方上方向に照射されるLED光の指向特性400、および、基板3の第2の面3b上に実装されたLED2から後方下方向に照射されるLED光のLED指向特性400を示す図である。それぞれのLED2から図に示す角度で照射されるLED光は、矢印先端を通る同心円状の目盛りで相対照度が示される。
【0093】
基板3の第1の面3aおよび第2の面3b上にそれぞれ実装されたLED2は、上記説明したように、図13に示すような指向特性を持っている。従来の蛍光灯は360°の全方向に光が照射されるのに対して、LED光は、図13に示したようなLED指向特性400を有するので、展示用物品Bの前面部分と背面パネル122に効率よくLED光が照射される。特に、照明装置1が傾斜して取付けられた場合は、より効率よく照明が可能となる。
【0094】
図14は、照明装置1を傾斜して配置し、図13に示すような照射指向特性により照明した場合の、自動販売機100を正面から見た状態を示す図である。照明装置1を傾斜配置して指向特性を有するLED光により照明することで、展示用物品Bの照明部分420(斜線部分)、背面パネル122の照明部分421(斜線部分)、および広告スペース200の照明部分422(斜線部分)が特に明るく照明される。
【0095】
上記のようなLED指向特性400を有するので、図13において、基板3の第1の面3a上に実装されるLED2は、基板3の短手方向の中心からなるべく後方(背面パネル122方向)よりに配置される方が、効率よく展示用物品Bの前面部分を照明できる。
【0096】
例えば、基板3の第1の面3a上に実装されるLED2は、基板3の短手方向の中心からなるべく後方より(背面パネル122方向)に配置される方が、効率よくLED光を展示用物品Bに照射できる。例えば、基板3の第1の面3a上に実装されるLED2は、展示用物品Bの中心から7mm後方に配置されている。
【0097】
また、基板3の第2の面3b上に実装されるLED2は、基板3の短手方向の中心からなるべく前方より(前面パネル107方向)に配置される方が、効率よく背面パネル122を照明できる。例えば、背面パネル122から、30〜50mmの位置に配置されるのが好ましく、本実施の形態では、背面パネル122から39mmに設定されている。
【0098】
上記の照明装置1の動作においては、展示用物品群b1,b2,b3のそれぞれに対応して、照明光の色、強度等を異なるようにすることもでき、また、時間と共に照明光の色、強度等が変化するように制御ユニット106でコントロールすることもできる。また、展示用物品Bを各々独立に制御することもできる。
【0099】
また、上記の説明では、照明装置1は、自動販売機への適用例を示したが、これに限られず、展示用物品やパネル等の照明対象を有するショーケース等に幅広く適用可能である。
【0100】
(第3の実施の形態の効果)
以上説明した第3の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0101】
(1)本実施の形態に係る自動販売機によれば、照明装置1を自動販売機の内部で所定の角度で傾斜して取り付けているので、展示用物品Bの前面部分と背面パネル122を効率よく照明可能となる。すなわち、従来の蛍光灯は360°の全方向に光が照射されるのに対して、LED光は指向特性を有するので、特に展示用物品Bの前面部分と背面パネル122に効率よくLED光が照射され、効果的な自動販売機の照明が可能となる。
(2)本実施の形態に係る照明装置によれば、展示用物品Bの展示個数、配列間隔等が異なる自動販売機にこの照明装置を適用する場合、上部ケース4または下部ケース5を上記展示用物品に対応させて組み合わせて装着することにより種々の横幅の自動販売機に対応できるので、新たに上部ケース4または下部ケース5等を設計し製作する必要がないので、設計開発期間の短縮、製造コストの低減等に大きく寄与することが可能となる。
(3)本実施の形態に係る照明装置によれば、展示用物品Bの一段分の展示個数に対応した一体的に構成された照明装置が可能となり、その照明装置を取り付けフックにより簡単な取付け方法により自動販売機への組込みが可能であるので、自動販売機への組み立て性に優れると共に、交換も容易であることからメンテナンス性にも優れるという効果を有する。
(4)本実施の形態に係る照明装置では、照明手段として、LEDを使用し、LEDの個数を展示用物品Bの数に対応したものにしているので、照明時に制御ユニット106により、照明光の色、強度等を変化させたり、点滅動作をさせたりできる。また、展示用物品群b1,b2,b3のそれぞれに対応して、上記のような照明コントロールができるので、物品視認者の視覚に訴えるイルミネーション効果を持たせることが可能となる。また、展示用物品を例えば3個ないし4個を1ユニットとして交互に制御することもでき、イルミネーション効果と省エネ効果が得られる。
(5)基板3の第1の面3a及び第2の面3b上に実装されたLED2から照射されるLED光により、展示用物品Bだけではなく、ステージ125に取り付けられた表示部126の照明、及び、前面パネル107に取り付けられた物品選択用の押釦108の輪郭照明が可能となるので、押釦108及び表示部126に専用の照明装置が不要になり、コストの低廉化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る照明装置の分解斜視図である。
【図2】図2(a)は、基板3を図1においてA方向から見た上平面図、図2(b)は、正面図、図2(c)は、基板3を図1においてB方向から見た下平面図である。
【図3】図3(a)は、上部ケース4を図1においてA方向から見た上平面図、図3(b)は、図3(a)におけるC−C断面図、図3(c)は、D部拡大図、図3(d)は、D−D拡大断面図である。
【図4】図4(a)は、下部ケース5を図1においてB方向から見た下平面図、図4(b)は、図4(a)におけるF−F断面図、図4(c)は、図4(b)の拡大詳細図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態に係る照明装置(スイッチング定電流回路による点灯回路)の回路系全体を示す回路図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態に係る照明装置の回路系の一部(発光回路)を示す回路図である。
【図7】図7は、LED2が実装された基板3、上部ケース4、および、下部ケース5が組み合わされて組み立てられた照明装置1を上平面(a)、正面(b)、および下平面(c)で示す3面図である。
【図8】図8(a)〜(d)は、第1の実施の形態に対して、照明装置1が、上部ケース4および下部ケース5の異なる組合せにより構成された照明装置1の例をそれぞれ上平面、正面、および下平面で示す3面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る展示用物品の照明装置を備えた自動販売機の全体を示す正面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る展示用物品の照明装置を備えた自動販売機の全体を示すブロック図である。
【図11A】図11Aは、本発明の実施の形態に係る展示用物品の照明装置を説明するために示す図であり、(a)は、展示スペースの一部分を前面側から見た正面図であり、(b)は、同じく展示スペースを右側面から見た断面図である。
【図11B】図11Bは、本発明の実施の形態に係る展示用物品の照明装置を説明するために示す図であり、(c)は(b)図における押釦108部分を拡大して示す詳細断面図である。
【図12】図12は、照明装置1を自動販売機100へ取り付ける手順を工程ごとに示したものである。
【図13】図13は、図11A(b)と同様に、展示スペースを右側面から見た断面図であって、傾斜して取り付けられた照明装置1の基板3の第1の面3a上に実装されたLED2から前方上方向に照射されるLED光の指向特性400、および、基板3の第2の面3b上に実装されたLED2から後方下方向に照射されるLED光のLED指向特性400を示す図である。
【図14】図14は、照明装置1を傾斜して配置し、図13に示すような照射指向特性により照明した場合の、自動販売機100を正面から見た状態を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 照明装置
2 LED
3 基板
4 上部ケース
4a 上レンズ部
40a 内側アール部
40b 外側アール部
40c 内側曲面部
40d 外側曲面部
40e 傾斜部
40f 傾斜曲面部
5 下部ケース
5a 下レンズ部
50a 内側アール部
50b 外側アール部
50c 傾斜部
50d 傾斜曲面部
60 電源ユニット
61 交流電源
62 電源回路
66 電流検出用抵抗素子
68 コントローラ
70 ダイオード
71 コイル
73 制御素子
74 抵抗素子群
74A 抵抗素子
74B,74C 抵抗素子
77 整流ダイオード
78 平滑コンデンサ
80 LED保護回路
90、91 境界領域
100 自動販売機
102 販売機本体
104 筐体
104B 扉体
104A 箱体
105 物品払出ユニット
106 制御ユニット
107 前面パネル
108 押釦
112 紙幣挿入口
113 硬貨投入口
114 釣銭返却口
115 物品取出口
116 返却レバー
117 表示器
118 ドアロック
122 背面パネル
125 ステージ
126 表示部
181 ベース
182 基板
183 カバー
184 ネームプレート
185 レンズ
185a 周辺部
186 リフレクトケース
187 ケース
188 隙間
190 LED光
200 広告スペース
300 取付けフック
400 指向特性
420、421、422 照明部分
B 展示用物品
b1,b2,b3 展示用物品群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示用物品を展示するための内部空間を有し、前記展示用物品に対応する販売用物品を払い出すための物品払出機構を内蔵する販売機本体と、
複数の発光素子と第1の面および第2の面にそれぞれ所定の個数の前記発光素子を実装するための配線パターンが形成された長尺状の1枚の基板とを有し、前記販売機本体内に所定の角度で傾斜して配設されて前記展示用物品を照明する照明装置と、
を有することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記照明装置は、前記基板の前記第1の面に実装された前記発光素子から照射される光を外部へ照射するための上レンズ部を有して光透過性材料により一体的に形成され、前記基板の前記第1の面に装着される1または2以上の上部ケースと、前記基板の前記第2の面に実装された前記発光素子から照射される光を外部へ照射するための下レンズ部を有して光透過性材料により一体的に形成され、前記基板の前記第2の面に装着される1または2以上の下部ケースとを有する構成であることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記基板の前記第1の面に実装された前記発光素子は、前記基板の短手方向の中心から後方(前記販売機本体の背面パネル方向)よりに配置され、前記基板の前記第2の面に実装された前記発光素子は、前記基板の短手方向の中心から前方(前記販売機本体の前面パネル方向)よりに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記発光素子は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の自動販売機。
【請求項5】
前記発光ダイオードは、オープン故障時に両端を短絡状態とさせることで他の発光ダイオードを正常動作させるための保護回路を有して、直列に接続されて駆動されることにより発光することを特徴とする請求項4に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記発光ダイオードは、コントローラにより調光回路を制御し、電源ユニットの出力電圧を低下させて駆動されることにより発光することを特徴とする請求項4に記載の自動販売機。
【請求項7】
前記照明装置は、前記販売機本体に所定の角度で装着する取り付け部材により前記販売機本体に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項8】
前記照明装置の前記上レンズ部から照射される照明光を受けて物品視認者側に出射する光透過性部材からなる押釦を備えた請求項1に記載の自動販売機。
【請求項9】
前記照明装置の前記上レンズ部から照射される照明光を受けて物品視認者側に出射する光透過性部材からなる表示部を備えた請求項1に記載の自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−43198(P2009−43198A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210490(P2007−210490)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000153236)株式会社光波 (98)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】