自動車のドアパーティングシール
【課題】シールリップのシール線がヒンジセンタの前後に跨っている場合に、シール線の連続性を確保しつつ、どの部位においても一定の面圧でシールリップを相手側部材に圧接させ、シール性の向上と耐久性の向上を図る。
【解決手段】ヒンジセンタよりも前側の一般部4Aでは、車外側が凸となるように湾曲した第1シールリップ9aをドア閉時に車外側に向かって相手側シール面10に圧接させる。ヒンジセンタよりも後側の反転部では、第2シールリップをドア閉時にその根元部から先に車内側に引き込むことで、第2シールリップを車内側に向かって相手側シール面に圧接させる。一般部4Aのうち反転部に近い部分では、第1シールリップ9aの断面形状が一般部4A側から反転部側に向かって徐変している。
【解決手段】ヒンジセンタよりも前側の一般部4Aでは、車外側が凸となるように湾曲した第1シールリップ9aをドア閉時に車外側に向かって相手側シール面10に圧接させる。ヒンジセンタよりも後側の反転部では、第2シールリップをドア閉時にその根元部から先に車内側に引き込むことで、第2シールリップを車内側に向かって相手側シール面に圧接させる。一般部4Aのうち反転部に近い部分では、第1シールリップ9aの断面形状が一般部4A側から反転部側に向かって徐変している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアパーティングシールに関し、例えばフロントドアの前端とフロントフェンダとなすパーティング部での遮音性の向上と風切り音等の抑制を図るために、そのフロントドアの前端に上下方向に沿って配設されるドアパーティングシールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のドアパーティングシールとして例えば特許文献1,2に記載のものが知られている。これらの特許文献1,2に記載のものに代表されるような従来のドアパーティングシールは、通常はいわゆるドアウエストライン(ベルトライン)よりも下側であって、且つ例えばフロントドアの場合にはドアヒンジのヒンジセンタよりも前側に配設される。
【0003】
したがって、例えばフロントドアの場合には、ドア前端の内側面にドアパーティングシールを装着しておけば、ドア開時にはそのドア開動作に連動してドアパーティングシールがパーティング部よりも奥部側(車内側)に移動する一方、ドア閉時にはそのドア閉動作に連動してドアパーティングシールが車内側から車外側に向かって移動してきてパーティング部に圧接することになる。これにより、ドア開閉操作に支障をきたすことなく、ドア閉時には上記パーティング部を閉塞して、一層の遮音性の向上と風切り音等の抑制に寄与することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−59746号公報
【特許文献2】特開2006−327414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車体あるいは例えばフロントドアの造形によっては、ドアパーティングシールのシール線をドアヒンジのヒンジセンタ(ヒンジ回転中心)をはさんでそのヒンジセンタの前後に跨って延在させなければならないことがある。
【0006】
このような場合には、例えばドア閉時のドア進入軌跡がドアヒンジのヒンジセンタの前後で逆向きとなることから、それに併せてドアパーティングシールにおけるシールリップの向きもヒンジセンタの前後で反転させることが有効である。
【0007】
しかしながら、ヒンジセンタの前後でシールリップの向きを単に反転させただけでは、シール線の連続性を確保することが困難であり、なおも改善の余地を残している。すなわち、シールリップの向きを単に反転させただけでは不十分で、ヒンジセンタの前後のどの部位においてもほぼ一定の面圧で、つまりはヒンジセンタの前後に位置にかかわらず、部分的な強当たりが発生することなく、且つどの部位においても同じ程度の撓み反力でシールリップが相手側部材に均等に圧接しなければ所期の目的を達成することができず、しかもシールリップの耐久性の低下をもたらす結果となって好ましくない。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、ドアパーティングシールにおけるシールリップのシール線がヒンジセンタの前後に跨ってしまうような場合であっても、シール線の連続性を確保しつつ、且つどの部位においてもほぼ一定の面圧でシールリップが相手側部材に圧接するように配慮し、もってシール性の一層の向上とシールリップの耐久性の向上を図ったドアパーティングシールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、自動車のヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の端縁に装着されて、ドア閉時に上記端縁と対向することになる相手側部位に圧接して、当該端縁と相手側部位とのなすパーティング部をシールするドアパーティングシールの構造を前提とする。
【0010】
その上で、上記ドアパーティングシールのうちドア閉時にシールに直接関与するシールリップがヒンジセンタを跨いでそのヒンジセンタの前後に延在するように設定されている。
【0011】
また、上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも前側または後側の部分であって且つドア閉時にドアの端縁とともに車外側に向かって回動変位する一般部では、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップを、ドア閉時に車内側から車外側に向かって相手側部位に圧接させるようになっている。
【0012】
他方、上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも後側または前側の部分であって且つドア閉時に上記一般部と異なりドアの端縁とともに車内側に向かって回動変位する反転部では、車内側を根元部として車外側に向かって斜めに突出する片持ち式のシールリップを、ドア閉時にその根元部から先に車内側に引き込むことで、当該シールリップを車外側から車内側に向かって相手側部位に圧接させるようになっている。
【0013】
さらに、上記一般部のうち反転部に近い部分では、そのシールリップの断面形状が一般部側から反転部側に向かって滑らかに変化する徐変形状となっていることを特徴とする。
【0014】
より具体的には、請求項2に記載のように、上記一般部のシールリップが第1シールリップであり、上記反転部のシールリップが第2シールリップであって、上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が滑らかに変化する徐変シールリップ形状となっていることを特徴とする。
【0015】
望ましくは、請求項3に記載のように、上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が漸次増大する徐変シールリップ形状となっていることが望ましい。
【0016】
この場合において、請求項4に記載のように、上記ドアパーティングシールは、ドアの車内側に装着される板状の基部の先端に、第1シールリップおよび第2シールリップを一体に形成してあるものとする。
【0017】
望ましくは、請求項5に記載のように、上記第1シールリップでは、基部の先端に形成した中間ウェブからさらにリップを延長形成することで、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップ形状としてあるものとする。他方、上記第1シールリップの一部である徐変シールリップ形状部では、少なくとも中間ウェブおよびリップのそれぞれの長さと、基部に対する中間ウェブの角度、およびその中間ウェブに対するリップの角度が第2シールリップ側に向かって徐変していることにより、第2シールリップに近い部分では中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、当該シールリップ形状をもって第2シールリップに滑らかに連続させてあるものとする。
【0018】
より望ましくは、請求項6に記載のように、上記第2シールリップでは、中間ウェブが基部に重合することで当該中間ウェブは基部の一部として機能するようになっているとともに、その中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、ドア閉時に少なくともリップをパーティング部よりも車内側奥部にまで引き込むことでシールするようになっているものとする。
【0019】
なお、上記一般部と反転部の関係としては、例えば請求項7に記載のように、上記ドアパーティングシールの一般部がヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の縦縁部に装着されていて、その一般部の上端部が反転部となっているものとする。
【0020】
ここで、各請求項に記載の発明は、多くの場合にヒンジ式フロントドアの前端部に適用されることになるが、ドア全体構造が例えば観音開き式のものである場合には、ヒンジ式のリアドアの後端部にも同様に適用することができる。
【0021】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、ドアパーティングシールのうち機能上最も重要なシールリップがヒンジセンタを跨いでその前後に延在していて、それに併せてヒンジセンタの前側と後側とではドア閉時の進入軌跡が逆向きとなる故に、ヒンジセンタの前後でシールリップの向きが反転してはいても、ドアパーティングシールの一般部のうち反転部に近い部分では、そのシールリップの断面形状が一般部側から反転部側に向かって滑らかに変化する徐変形状となっていることにより、ヒンジセンタの前後でそのシール線の連続性を確保することができることはもちろんのこと、シールリップの撓み反力をどの位置でもほぼ均等なものとすることができるから、シール性の向上とともにシールリップの耐久性の向上に寄与することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1〜3に記載の発明によれば、ヒンジセンタの前後でシールリップによるシール線の連続性を確保することができるほか、シールリップの撓み反力(面圧)をどの位置でもほぼ均等なものとすることができて、シール性の向上とともにシールリップの耐久性が向上する。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、板状の基部の先端に、第1シールリップおよび第2シールリップを一体に形成してあるので、シールリップの撓み反力(面圧)をどの位置でもほぼ均等なものとする上で一段と有利となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、第1シールリップ側の片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップ形状から第2シールリップ側の断面略V字形状のシールリップ形状へと滑らかに連続させてあるので、請求項1〜4に記載の発明と同様の効果に加えて、ドア開閉の際のシールリップのまくれ現象を未然に防止して、シール性の向上に一段と寄与できる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、第2シールリップが車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、ドア閉時に少なくともリップをパーティング部よりも車内側奥部にまで引き込むことでシールするようになっているため、特に当該第2シールリップによるシール性の確保と同時に、パーティング部からのシールリップのはみ出しを防止する上で一段と有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るドアパーティングシールが適用される自動車の一例を示す前斜視図。
【図2】図1の自動車の左側フロントドアとドアパーティングシールとの関係を示す分解斜視図。
【図3】図2のドアパーティングシールを車外側から見た正面図。
【図4】図3のドアパーティングシールの背面図。
【図5】図3のSA−SA線に沿う拡大断面図。
【図6】図3のB部拡大図。
【図7】図6の各部位での断面図であって、(A)は同図のS5−S5線に沿う断面図、(B)は同図のS7−S7線に沿う断面図、(C)は同図のS8−S8線に沿う断面図。
【図8】図6の各部位での断面図であって、(A)は同図のS9−S9線に沿う断面図、(B)は同図のS10−S10線に沿う断面図、(C)は同図のS11−S11線に沿う断面図。
【図9】図6の各部位での断面図であって、(A)は同図のS12−S12線に沿う断面図、(B)は同図のS14−S14線に沿う断面図、(C)は同図のS15−S15線に沿う断面図。
【図10】図7の(A)の拡大図。
【図11】図7の(B)の拡大図。
【図12】図7の(C)の拡大図。
【図13】図8の(A)の拡大図。
【図14】図8の(B)の拡大図。
【図15】図8の(C)の拡大図。
【図16】図9の(A)の拡大図。
【図17】図9の(B)の拡大図。
【図18】図9の(C)の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜9は本発明に係るドアパーティングシール(以下、単にパーティングシールと言う。)のより具体的な第1の実施の形態を示す図であり、特に図1は本発明に係るパーティングシール4が適用される自動車の前斜視図を、図2は図1におけるヒンジ式のフロントドア1と上記パーティングシール4との関係を示す分解斜視図をそれぞれ示している。また、図3,4は上記パーティングシール4単独での正面図および背面図をそれぞれ示し、さらに、図5は図3のSA−SA線に沿う拡大断面図を示している。
【0028】
図1はヒンジ式のフロントドア1と同じくヒンジ式のリアドア2とを備える4ドアタイプの自動車を示し、例えばドア閉時においてフロントフェンダ3の後端縁と対峙することになるフロントドア1の縦縁部たる前端部には、図2にも示すように上下方向に沿ってパーティングシール4が配設される。より具体的には、図5にも示すように、フロントドア1の前端部における車内側の内側面であって、且つヘミング結合部5にてドアアウタパネル1aとヘミング結合されたドアインナパネル1bの段状部6の内側面に、全体としては比較的幅広のパーティングシール4がクリップ7等にて固定配置される。
【0029】
このパーティングシール4は、ドアインナパネル1bの内側に重合配置される幅広で且つ板状の基部8と、この基部8の幅方向前端部から車外側へ延出して先端部がフロントフェンダ3側へ屈曲形成された舌片状のシールリップ9とから構成されている。そして、図5に示したように、基部8およびドアインナパネル1bにそれぞれに形成された取付穴にクリップ7を圧入することにより、パーティングシール4はドアインナパネル1bに圧締固定される。その上で、フロントドア1の閉状態において、パーティングシール4のシールリップ9が相手側部位であるところのフロントフェンダ3側の端部シール面10に圧接することで、両者のなす隙間であるところのパーティング部Pが閉塞されるようにしてシールされることになる。
【0030】
本実施の形態におけるパーティングシール4は、硬質樹脂材料にて形成された板状の基部8の幅方向前端に軟質樹脂材料製のシールリップ9を一体に形成したもので、より具体的には、例えば基部8が比較的硬質のポリプロピレン(PP)で形成される場合には、シールリップ9は軟質のPPとEPDMとの複合材料をもって基部8よりも軟質のものとして形成される。この場合において、PPを材料として予め基部8を射出成形(金型成形)したならば、その基部8をインサートとして別の金型にセットした上で、軟質PPとEPDMとの複合材料を材料として用いてシールリップ9を成形することにより、当該シールリップ9が基部8と一体にいわゆるインサート成形法により成形される。
【0031】
なお、図5の11はフロントフェンダ3の内側に配設されるゴムあるいは樹脂材料製のバッフルプレートを示し、また12はドアヒンジを、HSはそのドアヒンジ12のヒンジセンタ(ヒンジ回転中心)をそれぞれに示している。また、ドア閉時におけるシールリップ9の端部シール面10に対する進入軌跡、すなわち相手側となるフロントフェンダ3側の端部シール面10に対するシールリップ9のアプローチ方向を符号Qで示している。さらに、上記バッフルプレート11は、後述するようにフロントフェンダ3の後端において端部シール面10の一部を形成している。
【0032】
図3,4および図5から明らかなように、本実施の形態におけるパーティングシール4は、車両側面視でのヒンジセンタHSを挟んで当該ヒンジセンタHSの前側および後側の双方に跨るように配置されていて、当然のことながらパーティングシール4のうち機能上最も重要なシールリップ9についてもヒンジセンタHSを挟んで当該ヒンジセンタHSの前側および後側の双方に跨っている。
【0033】
ここでは、パーティングシール4のうちドアウエスト部(ベルトライン)に近い上端部が車両後方側に湾曲していてウエッジ状端末部13を形成していることから、ウエッジ状端末部13であるか否かにかかわらず、パーティングシール4のうちシールリップ9がヒンジセンタHSよりも前側にある部位を一般部4Aと称し、シールリップ9がヒンジセンタHSよりも後側にある部位を反転部4Bと称するものとする。また、上記一般部4A側のシールリップ9を第1シールリップ9aと称し、反転部4B側のシールリップ9を第2シールリップ9bと称するものとする。
【0034】
かかる構造のもとでは、ドア閉時においては、パーティングシール4の一般部4Aでは、図5に示すように、第1シールリップ9aがドア1の端縁とともに車室内側から車室外側に向かって回動変位してフロントフェンダ3側の端部シール面10に圧接する一方、反転部4B側の挙動としてはそのアプローチ方向Qが上記一般部4Aとは逆または反転したものとなり、当該反転部4Bでは、後述する図17,18に示すように、ドア閉時に第2シールリップ9bがドア1の端縁とともに車室外側から車室内側に向かって回動変位してフロントフェンダ3側の端部シール面10に圧接するかたちとなる。
【0035】
このように、一般部4A側の第1シールリップ9aと反転部4B側の第2シールリップ9bとでは、各シールリップ9a,9bの突出方向とドア閉時の相手側の端部シール面10に対するアプローチ方向Qが互いに反転してはいても、第1シールリップ9a側から第2シールリップ9b側までそのシール線が途切れることなく連続したものとなるように考慮されている。
【0036】
図5は図3のSA−SA線に沿う拡大断面図であることは先に述べた。また図6は図3のB部拡大図を示していて、同図のS5−S5線〜S15−S15線に沿うそれぞれの断面図を図7〜9の(A)〜(C)に示している。図7〜9から明らかなように、先に図5に示したバッフルプレート11はウエッジ状端末部13にまで延在していて、平面視において端部シール面10と重合することにより実質的に端部シール面10の一部として機能するようになっている。
【0037】
図3,5から明らかなように、パーティングシール4のうちウエッジ状端末部13以外の部分では、その断面形状がほぼ一定してはいても、ウエッジ状端末部13では、図6〜9から明らかなように、その一般部4A側から反転部4B側にかけてパーティングシール4の断面形状、すなわち板状の基部8の断面形状のほか第1,第2シールリップ9a,9bの断面形状および断面積が滑らかに変化する徐変シールリップ形状となっていて、結果として先に述べたようにヒンジセンタHSの前後で第1,第2シールリップ9a,9bの突出方向および当該第1,第2シールリップ9a,9bのドア閉時のアプローチ方向Qが反転してはいても、第1,第2シールリップ9a,9bのシール線の連続性が確保されている。
【0038】
図10〜18は図7〜9の(A)〜(C)のそれぞれの断面形状を拡大したものを示しており、ここでは各断面での特徴的な形状変化について説明する。
【0039】
パーティングシール4の一般部4Aでは、図5に示すように、フラットな板状の基部8の先端部に斜壁状のフランジ部8aが曲折形成されていて、このフランジ部8aの先端から延長形成されるようにして片持ち式の第1シールリップ9aが一体に突出形成されている。この第1シールリップ9aは、後述する反転部4B側の第2シールリップ9bとの関係から、フランジ部8aの先端から中間ウェブ14を延長形成するとともに、さらにその中間ウェブ14から相対的に曲率の大きなリップ15を延長形成したものと理解することができ、第1シールリップ9a全体として車外側が凸形状となるように湾曲または屈曲した断面略円弧状のものであって、ドア閉時には第1シールリップ9aの車外側の円筒面が相手側となる端部シール面10に圧接することでシールされる。
【0040】
図5に示した一般部4Aの断面形状は、図3から明らかなように当該一般部4Aの上下方向でほぼ一定してはいても、先に述べたようにウエッジ状端末部13ではその一般部4A側から反転部4B側に向かって断面形状が徐変している。
【0041】
すなわち、図6のS5−S5線に沿う拡大断面図であるところの図10に示すように、ウエッジ状端末部13の一般部4Aのうちでも反転部4Bに近い部分では、図5と比較すると明らかなように、ドアインナパネル1bの段状部6におけるアングル状の内側面に沿うように基部8が断面内アングル状のものとして曲折形成されている一方、図5に示したフランジ部8aの長さが極端に短く形成されていて、その先端に図5とほぼ同形状の第1シールリップ9aが一体に延長形成されている。ただし、図10では第1シールリップ9aの先端の曲率半径が図5に比べて小さくなっている。
【0042】
このような基部8および第1シールリップ9aを含んでなる一般部4Aの形状は反転部4Bに近くなるにしたがって滑らかに変化、つまりは徐変していて、図6のS7−S7線に沿う断面であるところの図11では、図10に比べて基部8の断面形状が微妙に変化しているとともに、第1シールリップ9aにおけるリップ15の先端の肉厚も大きくなっている。
【0043】
さらに、図6のS8−S8線に沿う断面図であるところの図12では、特に第1シールリップ9aにおけるリップ15の形状と向きが図11に比べて変化している。すなわち、図12では、中間ウェブ14が車内側に向かって略くの字状に屈曲しているとともに、その中間ウェブ14の先端から断面略円弧状のリップ15が延長形成されていて、これらの中間ウェブ14とリップ15とにより片持ち式であって且つ車外側に向かって開口した断面略V字形状の第1シールリップ9aが形成されている。
【0044】
図6のS9−S9線に沿う断面図であるところの図13では、図12に比べて第1シールリップ9aの断面形状が大きくなっているとともに、その第1シールリップ9aにおける中間ウェブ14およびリップ15のそれぞれの長さや厚みと、基部8に対する中間ウェブ14の角度、およびその中間ウェブ14に対するリップ15の角度が変化している。結果として、図13では、第1シールリップ9aの断面形状として図12との相似形状を保ちながら、その断面形状が大きくなっている。
【0045】
これまでの図10〜13では、片持ち式の中間ウェブ14の先端にリップ15を延長形成したものであるから、リップ15の撓み反力に中間ウェブ14の弾性力が多かれ少なかれ影響することになる。
【0046】
図6のS10−S10線に沿う断面図であるところの図14では、図13と比較すると明らかなように、第1シールリップ9aの断面形状として図13との相似形状を保ちながら、その断面形状が断面積とともにさらに大きくなっている。特に図14では、図13と比較して基部8の先端形状が変化していて、図13のフランジ部8aがほとんど消失しているとともに、中間ウェブ14の大部分が基部8の先端に重合していて、実質的に中間ウェブ14の大部分が基部8によってバックアップされている。したがって、図14の断面形状では、リップ15の撓み反力に及ぼす中間ウェブ14の弾性力の影響が小さくなり、リップ15の撓み反力はそれ自体の弾性力に大きく依存することになる。
【0047】
図6のS11−S11線に沿う断面図であるところの図15および図6のS12−S12線に沿う断面図であるところの図16では、図14と比較すると明らかなように、第1シールリップ9aの断面形状として図14との相似形状を保ちながら、その断面形状が断面積とともに段階的にさらに大きくなっている。なお、これらの図15,16においては、基部8の断面形状も図10〜14等と比べて微妙に変化している。
【0048】
図6のS14−S14線に沿う断面図であるところの図17および図6のS15−S15線に沿う断面図であるところの図18は共に反転部4Bの断面形状を示しており、図16と比較すると明らかなように、第2シールリップ9bの断面形状として図16の第1シールリップ9aとの相似形状を保ちながら、その断面形状が断面積とともに段階的にさらに大きくなっている。なお、これらの図17,18においては、基部8の断面形状も図10〜16等と比べて微妙に変化している。
【0049】
すなわち、ウエッジ状端末部13の一般部4Aたる図6のS8−S8線に沿う拡大断面図であるところの図12において、第1シールリップ9aの断面形状が初めて車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状に変化している一方、図13〜17の各断面を経る過程において断面略V字形状の第1シールリップ9aの断面形状との相似形状を保ちながら第2シールリップ9bの断面形状が徐々に拡大していて、最終的に反転部4Bたる図18の断面形状で収束していることになる。
【0050】
これにより、ウエッジ状端末部13において、一般部4A側の第1シールリップ9aのうち反転部4Bに近い部分が当該第1シールリップ9a側から反転部4B側の第2シールリップ9b側に向かってその断面形状が滑らかに増大する徐変シールリップ形状となっていることになる。
【0051】
なお、図6のS11−S11線およびS12−S12線に沿う断面図であるところの図15,16において、シールリップ9(第1シールリップ9aまたは第2シールリップ9b)によるシール部位とヒンジセンタHSとが最も接近していることになる。
【0052】
このように構成されたパーティングシール4の構造によれば、一般部4Aにおいては、図5のほか図10〜16に示すように、ドア閉時に第1シールリップ9aが車内側から車外側に向かって進入軌跡Qのもとに変位して、そのリップ15が相手側となる端部シール面10に圧接してシール機能を発揮することになる。この場合において、図5のほか図10,11では、断面円弧状のリップ15の円筒外周面がその根元部側から相手側の端部シール面10に圧接することになる一方、第1シールリップ9aが徐変シールリップ形状となっている図12〜16では、そのシールリップ9aが断面略V字形状のものとなってはいても、断面円弧状のリップ15の先端側から相手側の端部シール面10に圧接することになる。
【0053】
他方、反転部4Bにおいては、図17,18に示すように、ドア閉時に第2シールリップ9bが車外側から車内側に向かって進入軌跡Qのもとに変位して、そのリップ15が相手側となる端部シール面10に圧接してシール機能を発揮することになる。すなわち、反転部4Bでは、断面略V字形状のシールリップ9bがその根元部側から車内側に引き込まれるように変位して相手側の端部シール面10に圧接することになる。
【0054】
この場合において、先にも述べたように、図10〜14では、第1シールリップ9aの先端のリップ15を支えている中間ウェブ14がいわゆる片持ちばりとして機能することになるので、リップ15が相手側の端部シール面10に圧接した際の圧接力または撓み反力は、多かれ少なかれ中間ウェブ14の弾性力に依存することになる。これに対して、図15〜18では、中間ウェブ14の大部分が実質的に基部8によってバックアップされていて、中間ウェブ14が片持ちばりとして機能し得ないので、リップ15が相手側の端部シール面10に圧接した際の圧接力または撓み反力は、中間ウェブ14の弾性力に依存せず、リップ15それ自体の弾性力のみに依存することになる。
【0055】
このようなことから、一般部4Aと反転部4Bとでは、第1,第2シールリップ9a,9bの突出方向および当該第1,第2シールリップ9a,9bのドア閉時の進入軌跡Qの向き(アプローチ方向)が反転してはいても、第1,第2シールリップ9a,9bのシール線の連続性を確保することができる。その上、パーティングシール4のうち一般部4Aであるか反転部4Bであるかにかかわらず、どの部位においてもリップ15が相手側の端部シール面10に圧接した際の圧接力または撓み反力をほぼ一定したものとすることができるから、シール性の向上とともに、いわゆる局部的な強当たりの発生を未然に防止して、リップ15の耐久性の向上をも図ることができる。
【0056】
また、一般部4Aであるか反転部4Bであるかにかかわらず、機能上最も重要なリップ15の形状を相手側の端部シール面10に向かって凸形状となる断面略円弧状のものとして形成してあるので、パーティング部Pからのはみ出しを未然に防止できるとともに、端部シール面10に対するリップ圧接時のめくれ現象の発生も未然に防止でき、これによってもまたシール性の向上に寄与することができる。
【0057】
ここで、上記実施の形態では、ヒンジ式フロントドアの前端とフロントフェンダとのなすパーティング部に適用されるドアパーティングシールについて説明したが、ドア全体構造が例えば観音開き式のものである場合には、ヒンジ式のリアドアとリアフェンダとのなすパーティング部にも同様に適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1…フロントドア
3…フロントフェンダ
4…ドアパーティングシール
4A…一般部
4B…反転部
8…基部
9…シールリップ
9a…第1シールリップ
9b…第2シールリップ
10…端部シール面(相手側部位)
11…バッフルプレート
12…ドアヒンジ
13…ウエッジ状端末部
14…中間ウェブ
15…リップ
HS…ヒンジセンタ
P…パーティング部
Q…進入軌跡(アプローチ方向)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアパーティングシールに関し、例えばフロントドアの前端とフロントフェンダとなすパーティング部での遮音性の向上と風切り音等の抑制を図るために、そのフロントドアの前端に上下方向に沿って配設されるドアパーティングシールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のドアパーティングシールとして例えば特許文献1,2に記載のものが知られている。これらの特許文献1,2に記載のものに代表されるような従来のドアパーティングシールは、通常はいわゆるドアウエストライン(ベルトライン)よりも下側であって、且つ例えばフロントドアの場合にはドアヒンジのヒンジセンタよりも前側に配設される。
【0003】
したがって、例えばフロントドアの場合には、ドア前端の内側面にドアパーティングシールを装着しておけば、ドア開時にはそのドア開動作に連動してドアパーティングシールがパーティング部よりも奥部側(車内側)に移動する一方、ドア閉時にはそのドア閉動作に連動してドアパーティングシールが車内側から車外側に向かって移動してきてパーティング部に圧接することになる。これにより、ドア開閉操作に支障をきたすことなく、ドア閉時には上記パーティング部を閉塞して、一層の遮音性の向上と風切り音等の抑制に寄与することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−59746号公報
【特許文献2】特開2006−327414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車体あるいは例えばフロントドアの造形によっては、ドアパーティングシールのシール線をドアヒンジのヒンジセンタ(ヒンジ回転中心)をはさんでそのヒンジセンタの前後に跨って延在させなければならないことがある。
【0006】
このような場合には、例えばドア閉時のドア進入軌跡がドアヒンジのヒンジセンタの前後で逆向きとなることから、それに併せてドアパーティングシールにおけるシールリップの向きもヒンジセンタの前後で反転させることが有効である。
【0007】
しかしながら、ヒンジセンタの前後でシールリップの向きを単に反転させただけでは、シール線の連続性を確保することが困難であり、なおも改善の余地を残している。すなわち、シールリップの向きを単に反転させただけでは不十分で、ヒンジセンタの前後のどの部位においてもほぼ一定の面圧で、つまりはヒンジセンタの前後に位置にかかわらず、部分的な強当たりが発生することなく、且つどの部位においても同じ程度の撓み反力でシールリップが相手側部材に均等に圧接しなければ所期の目的を達成することができず、しかもシールリップの耐久性の低下をもたらす結果となって好ましくない。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、ドアパーティングシールにおけるシールリップのシール線がヒンジセンタの前後に跨ってしまうような場合であっても、シール線の連続性を確保しつつ、且つどの部位においてもほぼ一定の面圧でシールリップが相手側部材に圧接するように配慮し、もってシール性の一層の向上とシールリップの耐久性の向上を図ったドアパーティングシールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、自動車のヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の端縁に装着されて、ドア閉時に上記端縁と対向することになる相手側部位に圧接して、当該端縁と相手側部位とのなすパーティング部をシールするドアパーティングシールの構造を前提とする。
【0010】
その上で、上記ドアパーティングシールのうちドア閉時にシールに直接関与するシールリップがヒンジセンタを跨いでそのヒンジセンタの前後に延在するように設定されている。
【0011】
また、上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも前側または後側の部分であって且つドア閉時にドアの端縁とともに車外側に向かって回動変位する一般部では、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップを、ドア閉時に車内側から車外側に向かって相手側部位に圧接させるようになっている。
【0012】
他方、上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも後側または前側の部分であって且つドア閉時に上記一般部と異なりドアの端縁とともに車内側に向かって回動変位する反転部では、車内側を根元部として車外側に向かって斜めに突出する片持ち式のシールリップを、ドア閉時にその根元部から先に車内側に引き込むことで、当該シールリップを車外側から車内側に向かって相手側部位に圧接させるようになっている。
【0013】
さらに、上記一般部のうち反転部に近い部分では、そのシールリップの断面形状が一般部側から反転部側に向かって滑らかに変化する徐変形状となっていることを特徴とする。
【0014】
より具体的には、請求項2に記載のように、上記一般部のシールリップが第1シールリップであり、上記反転部のシールリップが第2シールリップであって、上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が滑らかに変化する徐変シールリップ形状となっていることを特徴とする。
【0015】
望ましくは、請求項3に記載のように、上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が漸次増大する徐変シールリップ形状となっていることが望ましい。
【0016】
この場合において、請求項4に記載のように、上記ドアパーティングシールは、ドアの車内側に装着される板状の基部の先端に、第1シールリップおよび第2シールリップを一体に形成してあるものとする。
【0017】
望ましくは、請求項5に記載のように、上記第1シールリップでは、基部の先端に形成した中間ウェブからさらにリップを延長形成することで、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップ形状としてあるものとする。他方、上記第1シールリップの一部である徐変シールリップ形状部では、少なくとも中間ウェブおよびリップのそれぞれの長さと、基部に対する中間ウェブの角度、およびその中間ウェブに対するリップの角度が第2シールリップ側に向かって徐変していることにより、第2シールリップに近い部分では中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、当該シールリップ形状をもって第2シールリップに滑らかに連続させてあるものとする。
【0018】
より望ましくは、請求項6に記載のように、上記第2シールリップでは、中間ウェブが基部に重合することで当該中間ウェブは基部の一部として機能するようになっているとともに、その中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、ドア閉時に少なくともリップをパーティング部よりも車内側奥部にまで引き込むことでシールするようになっているものとする。
【0019】
なお、上記一般部と反転部の関係としては、例えば請求項7に記載のように、上記ドアパーティングシールの一般部がヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の縦縁部に装着されていて、その一般部の上端部が反転部となっているものとする。
【0020】
ここで、各請求項に記載の発明は、多くの場合にヒンジ式フロントドアの前端部に適用されることになるが、ドア全体構造が例えば観音開き式のものである場合には、ヒンジ式のリアドアの後端部にも同様に適用することができる。
【0021】
したがって、少なくとも請求項1に記載の発明では、ドアパーティングシールのうち機能上最も重要なシールリップがヒンジセンタを跨いでその前後に延在していて、それに併せてヒンジセンタの前側と後側とではドア閉時の進入軌跡が逆向きとなる故に、ヒンジセンタの前後でシールリップの向きが反転してはいても、ドアパーティングシールの一般部のうち反転部に近い部分では、そのシールリップの断面形状が一般部側から反転部側に向かって滑らかに変化する徐変形状となっていることにより、ヒンジセンタの前後でそのシール線の連続性を確保することができることはもちろんのこと、シールリップの撓み反力をどの位置でもほぼ均等なものとすることができるから、シール性の向上とともにシールリップの耐久性の向上に寄与することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1〜3に記載の発明によれば、ヒンジセンタの前後でシールリップによるシール線の連続性を確保することができるほか、シールリップの撓み反力(面圧)をどの位置でもほぼ均等なものとすることができて、シール性の向上とともにシールリップの耐久性が向上する。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、板状の基部の先端に、第1シールリップおよび第2シールリップを一体に形成してあるので、シールリップの撓み反力(面圧)をどの位置でもほぼ均等なものとする上で一段と有利となる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、第1シールリップ側の片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップ形状から第2シールリップ側の断面略V字形状のシールリップ形状へと滑らかに連続させてあるので、請求項1〜4に記載の発明と同様の効果に加えて、ドア開閉の際のシールリップのまくれ現象を未然に防止して、シール性の向上に一段と寄与できる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、第2シールリップが車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、ドア閉時に少なくともリップをパーティング部よりも車内側奥部にまで引き込むことでシールするようになっているため、特に当該第2シールリップによるシール性の確保と同時に、パーティング部からのシールリップのはみ出しを防止する上で一段と有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るドアパーティングシールが適用される自動車の一例を示す前斜視図。
【図2】図1の自動車の左側フロントドアとドアパーティングシールとの関係を示す分解斜視図。
【図3】図2のドアパーティングシールを車外側から見た正面図。
【図4】図3のドアパーティングシールの背面図。
【図5】図3のSA−SA線に沿う拡大断面図。
【図6】図3のB部拡大図。
【図7】図6の各部位での断面図であって、(A)は同図のS5−S5線に沿う断面図、(B)は同図のS7−S7線に沿う断面図、(C)は同図のS8−S8線に沿う断面図。
【図8】図6の各部位での断面図であって、(A)は同図のS9−S9線に沿う断面図、(B)は同図のS10−S10線に沿う断面図、(C)は同図のS11−S11線に沿う断面図。
【図9】図6の各部位での断面図であって、(A)は同図のS12−S12線に沿う断面図、(B)は同図のS14−S14線に沿う断面図、(C)は同図のS15−S15線に沿う断面図。
【図10】図7の(A)の拡大図。
【図11】図7の(B)の拡大図。
【図12】図7の(C)の拡大図。
【図13】図8の(A)の拡大図。
【図14】図8の(B)の拡大図。
【図15】図8の(C)の拡大図。
【図16】図9の(A)の拡大図。
【図17】図9の(B)の拡大図。
【図18】図9の(C)の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜9は本発明に係るドアパーティングシール(以下、単にパーティングシールと言う。)のより具体的な第1の実施の形態を示す図であり、特に図1は本発明に係るパーティングシール4が適用される自動車の前斜視図を、図2は図1におけるヒンジ式のフロントドア1と上記パーティングシール4との関係を示す分解斜視図をそれぞれ示している。また、図3,4は上記パーティングシール4単独での正面図および背面図をそれぞれ示し、さらに、図5は図3のSA−SA線に沿う拡大断面図を示している。
【0028】
図1はヒンジ式のフロントドア1と同じくヒンジ式のリアドア2とを備える4ドアタイプの自動車を示し、例えばドア閉時においてフロントフェンダ3の後端縁と対峙することになるフロントドア1の縦縁部たる前端部には、図2にも示すように上下方向に沿ってパーティングシール4が配設される。より具体的には、図5にも示すように、フロントドア1の前端部における車内側の内側面であって、且つヘミング結合部5にてドアアウタパネル1aとヘミング結合されたドアインナパネル1bの段状部6の内側面に、全体としては比較的幅広のパーティングシール4がクリップ7等にて固定配置される。
【0029】
このパーティングシール4は、ドアインナパネル1bの内側に重合配置される幅広で且つ板状の基部8と、この基部8の幅方向前端部から車外側へ延出して先端部がフロントフェンダ3側へ屈曲形成された舌片状のシールリップ9とから構成されている。そして、図5に示したように、基部8およびドアインナパネル1bにそれぞれに形成された取付穴にクリップ7を圧入することにより、パーティングシール4はドアインナパネル1bに圧締固定される。その上で、フロントドア1の閉状態において、パーティングシール4のシールリップ9が相手側部位であるところのフロントフェンダ3側の端部シール面10に圧接することで、両者のなす隙間であるところのパーティング部Pが閉塞されるようにしてシールされることになる。
【0030】
本実施の形態におけるパーティングシール4は、硬質樹脂材料にて形成された板状の基部8の幅方向前端に軟質樹脂材料製のシールリップ9を一体に形成したもので、より具体的には、例えば基部8が比較的硬質のポリプロピレン(PP)で形成される場合には、シールリップ9は軟質のPPとEPDMとの複合材料をもって基部8よりも軟質のものとして形成される。この場合において、PPを材料として予め基部8を射出成形(金型成形)したならば、その基部8をインサートとして別の金型にセットした上で、軟質PPとEPDMとの複合材料を材料として用いてシールリップ9を成形することにより、当該シールリップ9が基部8と一体にいわゆるインサート成形法により成形される。
【0031】
なお、図5の11はフロントフェンダ3の内側に配設されるゴムあるいは樹脂材料製のバッフルプレートを示し、また12はドアヒンジを、HSはそのドアヒンジ12のヒンジセンタ(ヒンジ回転中心)をそれぞれに示している。また、ドア閉時におけるシールリップ9の端部シール面10に対する進入軌跡、すなわち相手側となるフロントフェンダ3側の端部シール面10に対するシールリップ9のアプローチ方向を符号Qで示している。さらに、上記バッフルプレート11は、後述するようにフロントフェンダ3の後端において端部シール面10の一部を形成している。
【0032】
図3,4および図5から明らかなように、本実施の形態におけるパーティングシール4は、車両側面視でのヒンジセンタHSを挟んで当該ヒンジセンタHSの前側および後側の双方に跨るように配置されていて、当然のことながらパーティングシール4のうち機能上最も重要なシールリップ9についてもヒンジセンタHSを挟んで当該ヒンジセンタHSの前側および後側の双方に跨っている。
【0033】
ここでは、パーティングシール4のうちドアウエスト部(ベルトライン)に近い上端部が車両後方側に湾曲していてウエッジ状端末部13を形成していることから、ウエッジ状端末部13であるか否かにかかわらず、パーティングシール4のうちシールリップ9がヒンジセンタHSよりも前側にある部位を一般部4Aと称し、シールリップ9がヒンジセンタHSよりも後側にある部位を反転部4Bと称するものとする。また、上記一般部4A側のシールリップ9を第1シールリップ9aと称し、反転部4B側のシールリップ9を第2シールリップ9bと称するものとする。
【0034】
かかる構造のもとでは、ドア閉時においては、パーティングシール4の一般部4Aでは、図5に示すように、第1シールリップ9aがドア1の端縁とともに車室内側から車室外側に向かって回動変位してフロントフェンダ3側の端部シール面10に圧接する一方、反転部4B側の挙動としてはそのアプローチ方向Qが上記一般部4Aとは逆または反転したものとなり、当該反転部4Bでは、後述する図17,18に示すように、ドア閉時に第2シールリップ9bがドア1の端縁とともに車室外側から車室内側に向かって回動変位してフロントフェンダ3側の端部シール面10に圧接するかたちとなる。
【0035】
このように、一般部4A側の第1シールリップ9aと反転部4B側の第2シールリップ9bとでは、各シールリップ9a,9bの突出方向とドア閉時の相手側の端部シール面10に対するアプローチ方向Qが互いに反転してはいても、第1シールリップ9a側から第2シールリップ9b側までそのシール線が途切れることなく連続したものとなるように考慮されている。
【0036】
図5は図3のSA−SA線に沿う拡大断面図であることは先に述べた。また図6は図3のB部拡大図を示していて、同図のS5−S5線〜S15−S15線に沿うそれぞれの断面図を図7〜9の(A)〜(C)に示している。図7〜9から明らかなように、先に図5に示したバッフルプレート11はウエッジ状端末部13にまで延在していて、平面視において端部シール面10と重合することにより実質的に端部シール面10の一部として機能するようになっている。
【0037】
図3,5から明らかなように、パーティングシール4のうちウエッジ状端末部13以外の部分では、その断面形状がほぼ一定してはいても、ウエッジ状端末部13では、図6〜9から明らかなように、その一般部4A側から反転部4B側にかけてパーティングシール4の断面形状、すなわち板状の基部8の断面形状のほか第1,第2シールリップ9a,9bの断面形状および断面積が滑らかに変化する徐変シールリップ形状となっていて、結果として先に述べたようにヒンジセンタHSの前後で第1,第2シールリップ9a,9bの突出方向および当該第1,第2シールリップ9a,9bのドア閉時のアプローチ方向Qが反転してはいても、第1,第2シールリップ9a,9bのシール線の連続性が確保されている。
【0038】
図10〜18は図7〜9の(A)〜(C)のそれぞれの断面形状を拡大したものを示しており、ここでは各断面での特徴的な形状変化について説明する。
【0039】
パーティングシール4の一般部4Aでは、図5に示すように、フラットな板状の基部8の先端部に斜壁状のフランジ部8aが曲折形成されていて、このフランジ部8aの先端から延長形成されるようにして片持ち式の第1シールリップ9aが一体に突出形成されている。この第1シールリップ9aは、後述する反転部4B側の第2シールリップ9bとの関係から、フランジ部8aの先端から中間ウェブ14を延長形成するとともに、さらにその中間ウェブ14から相対的に曲率の大きなリップ15を延長形成したものと理解することができ、第1シールリップ9a全体として車外側が凸形状となるように湾曲または屈曲した断面略円弧状のものであって、ドア閉時には第1シールリップ9aの車外側の円筒面が相手側となる端部シール面10に圧接することでシールされる。
【0040】
図5に示した一般部4Aの断面形状は、図3から明らかなように当該一般部4Aの上下方向でほぼ一定してはいても、先に述べたようにウエッジ状端末部13ではその一般部4A側から反転部4B側に向かって断面形状が徐変している。
【0041】
すなわち、図6のS5−S5線に沿う拡大断面図であるところの図10に示すように、ウエッジ状端末部13の一般部4Aのうちでも反転部4Bに近い部分では、図5と比較すると明らかなように、ドアインナパネル1bの段状部6におけるアングル状の内側面に沿うように基部8が断面内アングル状のものとして曲折形成されている一方、図5に示したフランジ部8aの長さが極端に短く形成されていて、その先端に図5とほぼ同形状の第1シールリップ9aが一体に延長形成されている。ただし、図10では第1シールリップ9aの先端の曲率半径が図5に比べて小さくなっている。
【0042】
このような基部8および第1シールリップ9aを含んでなる一般部4Aの形状は反転部4Bに近くなるにしたがって滑らかに変化、つまりは徐変していて、図6のS7−S7線に沿う断面であるところの図11では、図10に比べて基部8の断面形状が微妙に変化しているとともに、第1シールリップ9aにおけるリップ15の先端の肉厚も大きくなっている。
【0043】
さらに、図6のS8−S8線に沿う断面図であるところの図12では、特に第1シールリップ9aにおけるリップ15の形状と向きが図11に比べて変化している。すなわち、図12では、中間ウェブ14が車内側に向かって略くの字状に屈曲しているとともに、その中間ウェブ14の先端から断面略円弧状のリップ15が延長形成されていて、これらの中間ウェブ14とリップ15とにより片持ち式であって且つ車外側に向かって開口した断面略V字形状の第1シールリップ9aが形成されている。
【0044】
図6のS9−S9線に沿う断面図であるところの図13では、図12に比べて第1シールリップ9aの断面形状が大きくなっているとともに、その第1シールリップ9aにおける中間ウェブ14およびリップ15のそれぞれの長さや厚みと、基部8に対する中間ウェブ14の角度、およびその中間ウェブ14に対するリップ15の角度が変化している。結果として、図13では、第1シールリップ9aの断面形状として図12との相似形状を保ちながら、その断面形状が大きくなっている。
【0045】
これまでの図10〜13では、片持ち式の中間ウェブ14の先端にリップ15を延長形成したものであるから、リップ15の撓み反力に中間ウェブ14の弾性力が多かれ少なかれ影響することになる。
【0046】
図6のS10−S10線に沿う断面図であるところの図14では、図13と比較すると明らかなように、第1シールリップ9aの断面形状として図13との相似形状を保ちながら、その断面形状が断面積とともにさらに大きくなっている。特に図14では、図13と比較して基部8の先端形状が変化していて、図13のフランジ部8aがほとんど消失しているとともに、中間ウェブ14の大部分が基部8の先端に重合していて、実質的に中間ウェブ14の大部分が基部8によってバックアップされている。したがって、図14の断面形状では、リップ15の撓み反力に及ぼす中間ウェブ14の弾性力の影響が小さくなり、リップ15の撓み反力はそれ自体の弾性力に大きく依存することになる。
【0047】
図6のS11−S11線に沿う断面図であるところの図15および図6のS12−S12線に沿う断面図であるところの図16では、図14と比較すると明らかなように、第1シールリップ9aの断面形状として図14との相似形状を保ちながら、その断面形状が断面積とともに段階的にさらに大きくなっている。なお、これらの図15,16においては、基部8の断面形状も図10〜14等と比べて微妙に変化している。
【0048】
図6のS14−S14線に沿う断面図であるところの図17および図6のS15−S15線に沿う断面図であるところの図18は共に反転部4Bの断面形状を示しており、図16と比較すると明らかなように、第2シールリップ9bの断面形状として図16の第1シールリップ9aとの相似形状を保ちながら、その断面形状が断面積とともに段階的にさらに大きくなっている。なお、これらの図17,18においては、基部8の断面形状も図10〜16等と比べて微妙に変化している。
【0049】
すなわち、ウエッジ状端末部13の一般部4Aたる図6のS8−S8線に沿う拡大断面図であるところの図12において、第1シールリップ9aの断面形状が初めて車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状に変化している一方、図13〜17の各断面を経る過程において断面略V字形状の第1シールリップ9aの断面形状との相似形状を保ちながら第2シールリップ9bの断面形状が徐々に拡大していて、最終的に反転部4Bたる図18の断面形状で収束していることになる。
【0050】
これにより、ウエッジ状端末部13において、一般部4A側の第1シールリップ9aのうち反転部4Bに近い部分が当該第1シールリップ9a側から反転部4B側の第2シールリップ9b側に向かってその断面形状が滑らかに増大する徐変シールリップ形状となっていることになる。
【0051】
なお、図6のS11−S11線およびS12−S12線に沿う断面図であるところの図15,16において、シールリップ9(第1シールリップ9aまたは第2シールリップ9b)によるシール部位とヒンジセンタHSとが最も接近していることになる。
【0052】
このように構成されたパーティングシール4の構造によれば、一般部4Aにおいては、図5のほか図10〜16に示すように、ドア閉時に第1シールリップ9aが車内側から車外側に向かって進入軌跡Qのもとに変位して、そのリップ15が相手側となる端部シール面10に圧接してシール機能を発揮することになる。この場合において、図5のほか図10,11では、断面円弧状のリップ15の円筒外周面がその根元部側から相手側の端部シール面10に圧接することになる一方、第1シールリップ9aが徐変シールリップ形状となっている図12〜16では、そのシールリップ9aが断面略V字形状のものとなってはいても、断面円弧状のリップ15の先端側から相手側の端部シール面10に圧接することになる。
【0053】
他方、反転部4Bにおいては、図17,18に示すように、ドア閉時に第2シールリップ9bが車外側から車内側に向かって進入軌跡Qのもとに変位して、そのリップ15が相手側となる端部シール面10に圧接してシール機能を発揮することになる。すなわち、反転部4Bでは、断面略V字形状のシールリップ9bがその根元部側から車内側に引き込まれるように変位して相手側の端部シール面10に圧接することになる。
【0054】
この場合において、先にも述べたように、図10〜14では、第1シールリップ9aの先端のリップ15を支えている中間ウェブ14がいわゆる片持ちばりとして機能することになるので、リップ15が相手側の端部シール面10に圧接した際の圧接力または撓み反力は、多かれ少なかれ中間ウェブ14の弾性力に依存することになる。これに対して、図15〜18では、中間ウェブ14の大部分が実質的に基部8によってバックアップされていて、中間ウェブ14が片持ちばりとして機能し得ないので、リップ15が相手側の端部シール面10に圧接した際の圧接力または撓み反力は、中間ウェブ14の弾性力に依存せず、リップ15それ自体の弾性力のみに依存することになる。
【0055】
このようなことから、一般部4Aと反転部4Bとでは、第1,第2シールリップ9a,9bの突出方向および当該第1,第2シールリップ9a,9bのドア閉時の進入軌跡Qの向き(アプローチ方向)が反転してはいても、第1,第2シールリップ9a,9bのシール線の連続性を確保することができる。その上、パーティングシール4のうち一般部4Aであるか反転部4Bであるかにかかわらず、どの部位においてもリップ15が相手側の端部シール面10に圧接した際の圧接力または撓み反力をほぼ一定したものとすることができるから、シール性の向上とともに、いわゆる局部的な強当たりの発生を未然に防止して、リップ15の耐久性の向上をも図ることができる。
【0056】
また、一般部4Aであるか反転部4Bであるかにかかわらず、機能上最も重要なリップ15の形状を相手側の端部シール面10に向かって凸形状となる断面略円弧状のものとして形成してあるので、パーティング部Pからのはみ出しを未然に防止できるとともに、端部シール面10に対するリップ圧接時のめくれ現象の発生も未然に防止でき、これによってもまたシール性の向上に寄与することができる。
【0057】
ここで、上記実施の形態では、ヒンジ式フロントドアの前端とフロントフェンダとのなすパーティング部に適用されるドアパーティングシールについて説明したが、ドア全体構造が例えば観音開き式のものである場合には、ヒンジ式のリアドアとリアフェンダとのなすパーティング部にも同様に適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
1…フロントドア
3…フロントフェンダ
4…ドアパーティングシール
4A…一般部
4B…反転部
8…基部
9…シールリップ
9a…第1シールリップ
9b…第2シールリップ
10…端部シール面(相手側部位)
11…バッフルプレート
12…ドアヒンジ
13…ウエッジ状端末部
14…中間ウェブ
15…リップ
HS…ヒンジセンタ
P…パーティング部
Q…進入軌跡(アプローチ方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の端縁に装着されて、ドア閉時に上記端縁と対向することになる相手側部位に圧接して、当該端縁と相手側部位とのなすパーティング部をシールするドアパーティングシールであって、
上記ドアパーティングシールのうちドア閉時にシールに直接関与するシールリップがヒンジセンタを跨いでそのヒンジセンタの前後に延在するように設定されていて、
上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも前側または後側の部分であって且つドア閉時にドアの端縁とともに車外側に向かって回動変位する一般部では、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップを、ドア閉時に車内側から車外側に向かって相手側部位に圧接させるようになっている一方、
上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも後側または前側の部分であって且つドア閉時に上記一般部と異なりドアの端縁とともに車内側に向かって回動変位する反転部では、車内側を根元部として車外側に向かって斜めに突出する片持ち式のシールリップを、ドア閉時にその根元部から先に車内側に引き込むことで、当該シールリップを車外側から車内側に向かって相手側部位に圧接させるようになっていて、
上記一般部のうち反転部に近い部分では、そのシールリップの断面形状が一般部側から反転部側に向かって滑らかに変化する徐変形状となっていることを特徴とする自動車のドアパーティングシール。
【請求項2】
上記一般部のシールリップが第1シールリップであり、上記反転部のシールリップが第2シールリップであって、
上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が滑らかに変化する徐変シールリップ形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項3】
上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が漸次増大する徐変シールリップ形状となっていることを特徴とする請求項2に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項4】
上記ドアパーティングシールは、ドアの車内側に装着される板状の基部の先端に、第1シールリップおよび第2シールリップを一体に形成してあることを特徴とする請求項3に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項5】
上記第1シールリップでは、基部の先端に形成した中間ウェブからさらにリップを延長形成することで、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップ形状としてある一方、
上記第1シールリップの一部である徐変シールリップ形状部では、少なくとも中間ウェブおよびリップのそれぞれの長さと、基部に対する中間ウェブの角度、およびその中間ウェブに対するリップの角度が第2シールリップ側に向かって徐変していることにより、第2シールリップに近い部分では中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、
当該シールリップ形状をもって第2シールリップに滑らかに連続させてあることを特徴とする請求項4に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項6】
上記第2シールリップでは、中間ウェブが基部に重合することで当該中間ウェブは基部の一部として機能するようになっているとともに、その中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、ドア閉時に少なくともリップをパーティング部よりも車内側奥部にまで引き込むことでシールするようになっていることを特徴とする請求項5に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項7】
上記ドアパーティングシールの一般部がヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の縦縁部に装着されていて、その一般部の上端部が反転部となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項1】
自動車のヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の端縁に装着されて、ドア閉時に上記端縁と対向することになる相手側部位に圧接して、当該端縁と相手側部位とのなすパーティング部をシールするドアパーティングシールであって、
上記ドアパーティングシールのうちドア閉時にシールに直接関与するシールリップがヒンジセンタを跨いでそのヒンジセンタの前後に延在するように設定されていて、
上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも前側または後側の部分であって且つドア閉時にドアの端縁とともに車外側に向かって回動変位する一般部では、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップを、ドア閉時に車内側から車外側に向かって相手側部位に圧接させるようになっている一方、
上記ドアパーティングシールのうちヒンジセンタよりも後側または前側の部分であって且つドア閉時に上記一般部と異なりドアの端縁とともに車内側に向かって回動変位する反転部では、車内側を根元部として車外側に向かって斜めに突出する片持ち式のシールリップを、ドア閉時にその根元部から先に車内側に引き込むことで、当該シールリップを車外側から車内側に向かって相手側部位に圧接させるようになっていて、
上記一般部のうち反転部に近い部分では、そのシールリップの断面形状が一般部側から反転部側に向かって滑らかに変化する徐変形状となっていることを特徴とする自動車のドアパーティングシール。
【請求項2】
上記一般部のシールリップが第1シールリップであり、上記反転部のシールリップが第2シールリップであって、
上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が滑らかに変化する徐変シールリップ形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項3】
上記第1シールリップのうち反転部に近い部分が当該第1シールリップ側から第2シールリップ側に向かってその断面形状が漸次増大する徐変シールリップ形状となっていることを特徴とする請求項2に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項4】
上記ドアパーティングシールは、ドアの車内側に装着される板状の基部の先端に、第1シールリップおよび第2シールリップを一体に形成してあることを特徴とする請求項3に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項5】
上記第1シールリップでは、基部の先端に形成した中間ウェブからさらにリップを延長形成することで、車外側が凸となるように湾曲または屈曲した片持ち式で且つ断面略円弧状のシールリップ形状としてある一方、
上記第1シールリップの一部である徐変シールリップ形状部では、少なくとも中間ウェブおよびリップのそれぞれの長さと、基部に対する中間ウェブの角度、およびその中間ウェブに対するリップの角度が第2シールリップ側に向かって徐変していることにより、第2シールリップに近い部分では中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、
当該シールリップ形状をもって第2シールリップに滑らかに連続させてあることを特徴とする請求項4に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項6】
上記第2シールリップでは、中間ウェブが基部に重合することで当該中間ウェブは基部の一部として機能するようになっているとともに、その中間ウェブとリップとにより車外側に向かって開口した断面略V字形状のシールリップ形状となっていて、ドア閉時に少なくともリップをパーティング部よりも車内側奥部にまで引き込むことでシールするようになっていることを特徴とする請求項5に記載の自動車のドアパーティングシール。
【請求項7】
上記ドアパーティングシールの一般部がヒンジ式ドアのうちドアヒンジのヒンジセンタ近傍の縦縁部に装着されていて、その一般部の上端部が反転部となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動車のドアパーティングシール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−31823(P2011−31823A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182076(P2009−182076)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000158840)鬼怒川ゴム工業株式会社 (171)
【Fターム(参考)】
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