説明

自動車のフードへのインシュレータ取付け構造

【課題】クリップ等の別部品を用いることなく、又はその数量を減少させて自動車のフードにインシュレータを取り付けることにより製造コストを抑える。
【解決手段】フードのインナーパネル30とインシュレータ40相互の取付箇所となる部位は、インナーパネル30の開口の内周縁32とインシュレータ40の外周縁42とにおける対応位置にそれぞれ設定される。この両部材30,40の取付箇所とされた部位は、それぞれ重ね合わせ方向に切り起こされた形状として形成され、インシュレータ40の切り起し形状は外周縁43に沿って、インナーパネル30の切り起し形状は開口の内周縁33に沿って形成されている。両部材30,40の切り起し形状部位33,43が、それぞれ相手部材40,30の切り起し形状により形成される空間部に、面方向に相対的にスライド移動して嵌め合わされて、インシュレータ40がインナーパネル30に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフードの内側面にシート状のインシュレータを重ね合わせて取り付けるインシュレータの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来自動車のエンジンルームの上側を覆うフードの内側面には、吸音材としての機能を発揮するシート状のインシュレータが取り付けられており、これによりエンジンから発生する音を吸収している。このような自動車のフードへのインシュレータ取り付け構造としては、例えば下記特許文献1に開示された技術が知られている。
一般的なインシュレータの取り付け構造を図7に示した。この構造においては、フード90はアウターパネル91とインナーパネル92とが張り合わされて構成されている。このインナーパネル92には取付爪93が設けられており、またインナーパネル92とインシュレータ94のそれぞれには対応する位置に取付孔95,96が設けられている。インシュレータ94の縁をインナーパネル92の取付爪93に引っ掛けて重ね合わせるとともに、クリップ97をインナーパネル92とインシュレータ94の対応する取付孔95,96に連通させることにより、インシュレータ94がフード90のインナーパネル92に対して取り付けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−312418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の図7に示された取り付け構造では、インシュレータ94の取り付けに別部品のクリップ97を多数要することからコスト高であるという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、クリップ等の別部品を用いることなく、又はその数量を減少させて自動車のフードにインシュレータを取り付けることにより製造コストを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の発明に係る自動車のフードへのインシュレータ取付け構造は、自動車のフードの内側にシート状のインシュレータを重ね合わせて取付ける自動車のフードへのインシュレータ取付け構造であって、前記フードと前記インシュレータ相互の取付箇所となる部位は、両者共、重ね合わされる面方向に切り起された形状として形成されており、該両者の切り起し形状部位が該両者の切り起し形状により形成される空間部に面方向に相対的にスライド移動して嵌め合わされて取付けられ、少なくとも両者の一方の切り起し形状部位の先端部が他方の切り起し基端の裏面位置まで嵌り込んで取付けられる構成となっていることを特徴とする。
この構成によれば、フードとインシュレータ相互の取付箇所となる部位は、それぞれ重ね合わされる面方向に切り起こされた形状として形成されており、この両者の切り起し形状部位がそれぞれ他方の切り起し形状により形成される空間部に嵌め合わされることにより、インシュレータがフードに取り付けられている。したがって、クリップ等の別部品を用いずにフードにインシュレータを取り付けることができ、製造コストを抑えることができる。
【0006】
本発明の第2の発明に係る自動車のフードへのインシュレータ取付け構造は、第1の発明に係るインシュレータの取り付け構造であって、前記少なくとも両者の一方の切り起し形状部位の先端部が嵌り込む他方の切り起し基端の裏面位置には該裏面から突起が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、フードとインシュレータのうち一方の切り起こし形状部位の先端部は、他方の切り起こし基端の裏面位置まで嵌まり込む際にこの突起に乗り上げる。これにより、フードとインシュレータ両者における切り起こし形状の周辺部が互いにより密着する。これにより、フードに取り付けられたインシュレータのがたつきを軽減可能である。
【0007】
本発明の第3の発明に係る自動車のフードへのインシュレータ取付け構造は、第1又は第2のいずれかの発明に係るインシュレータの取り付け構造であって、前記インシュレータの取付箇所は、シート状の外周縁に設定されて、その切り起し形状は外周縁に沿って形成されており、前記フードはアウターパネルとインナーパネルとが張り合わされて構成されており、該インナーパネルは前記インシュレータの形状に対応した開口を有した形状として形成されており、その取付箇所は該開口の内周縁における前記インシュレータの取付箇所に対応した位置に設定されて、その切り起し形状は開口の内周縁に沿って形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、インシュレータの取付箇所はシート状の外周縁に設定され、インナーパネルの取付箇所は開口の内周縁における前記インシュレータの取付箇所に対応した位置に設定されている。このためインシュレータをインナーパネルに重ね合わせる際、インシュレータとインナーパネルとの両者の取付箇所の位置対応が認識しやすい。また、インシュレータの取付箇所における切り起し形状はシート状の外周縁に沿って形成されており、インナーパネルの取付箇所における切り起し形状は開口の内周縁に沿って形成されている。このため、インシュレータとインナーパネルを相対的にスライド移動させる方向が、インシュレータの外周縁及びインナーパネルの開口の内周縁に沿った方向となり、スライド移動させる方向が視覚的に認識しやすい。したがって、フードへのインシュレータの取り付けが容易となる。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明によれば、取り付け構造の製造コストを抑えることができる。
第2の発明によれば、フードに取り付けられたインシュレータのがたつきを軽減可能である。
第3の発明によれば、フードへのインシュレータの取り付けが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るフードからインシュレータを取り外した状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係るフードにインシュレータを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】フードとインシュレータを取り外した状態における、対応する取付箇所を拡大して示す斜視図である。
【図4】フードとインシュレータを相対的にスライド移動させる前における取付箇所を切断して示す(A)断面図及び対応する(B)平面図である。
【図5】フードとインシュレータを相対的にスライド移動させる途中における取付箇所を切断して示す(A)断面図及び対応する(B)平面図である。
【図6】フードとインシュレータを相対的にスライド移動させた後における取付箇所を切断して示す(A)断面図及び対応する(B)平面図である。
【図7】従来のフードへのインシュレータの取り付け構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、自動車のフード10の内側にインシュレータ40が重ね合わせて取り付けられている。図1は、本実施形態に係るフード10とインシュレータ40が取り外し状態で示されている。図2は、本実施形態に係るフード10とインシュレータ40が取り付け状態で示されている。なお、本実施形態に係るフード10は車両前後方向に短く車両幅方向に細長い形態を有する、いわゆるミニバンタイプの自動車のフードである。
【0011】
まず、フード10について説明する。
フード10は、図1に示されているように、アウターパネル20とインナーパネル30とが張り合わされて構成されている。アウターパネル20及びインナーパネル30は、共に板状部材である。前記のインシュレータ40は、その裏面をこのインナーパネル30の表面に対して重ね合わせて取り付けられ、両部材30,40には、これらを相互に取り付けるための箇所(取付箇所)がそれぞれ設定されている。以下、「両部材」とはこのインナーパネル30及びインシュレータ40の両者をいい、「相手部材」とはこれらのいずれか一方に対する他方をいうものとする。
【0012】
インナーパネル30は、相手部材であるインシュレータ40の形状に対応した開口を有した形状とされている。インナーパネル30の開口は、図1に示されているように、車両幅方向左右の2箇所に設けられた架橋部31,31によって、車両幅方向に3つの部分に分断されている。
インナーパネル30は、開口の内周縁32における4箇所の部位が前記の取付箇所として設定されている。この4箇所の取付箇所のうち、2箇所は車両前後方向前側の内周縁32に、他の2箇所は後側の内周縁32に設定されている。また4箇所の取付箇所は、車両幅方向について左右対称位置に設定されている。
なお、図1、図2において、矢印で示すように図示左右方向が車両幅方向となっており、図示左方が車両右側、図示右方が車両左側である。また、同図において、図示上下方向が車両前後方向となっており、図示上方が前側、図示下方が後側である。
【0013】
図3は両部材30,40を相互に取り外した状態における、両部材30,40の対応する取付箇所の拡大図である。また図4から図6までは、両部材30,40を相互に取り付ける各段階において、取付箇所となる部位を内周縁32(及び後述の外周縁42)と平行に両部材30,40を切断して示す断面図である。
インナーパネル30における取付箇所となる部位は、図3に示されているように、表面方向に切り起された形状として形成されている。
切り起し形状部位33は、切欠き部33aと先端部33bと立ち上げ部33cと基端部33dとを有している。切り欠き部33aは取付箇所における内周縁32から部材内方に向かって切り欠かれている。この切欠き部33aの片側において、先端部33bを周辺部34に対して段違いに表面方向に持ち上げるように、立ち上げ部33cが基端部33dを軸として傾斜状態に起こされている。
切り起し形状は、開口の内周縁32に沿って形成されている。すなわち、切り起し形状部位33は、その切り欠き部33a、先端部33b、立ち上げ部33c、基端部33dの全体にわたって、開口の内周縁32に形成されている。車両前後方向の同じ側の内周縁32に設定された取付箇所は、内周縁32に対して互いに同じ向きの切り起こし形状とされている。一方、車両前後方向の異なる側の内周縁32に設定された取付箇所は、車両前後方向に関して互いに対称な切り起こし形状とされている。
また、前述のように切り起こし形状部位33の先端部33bと周辺部34とは段違いとなっている。したがって、図4に良く示されているように、切り起こし形状部位33とその周辺部34の延長との間には、空間部33sが形成されている。この空間部33sの重なり方向に関する隙間(段違いの間隔)は、相手部材であるインシュレータ40の切り起こし形状部位43の厚さ以上の間隔とされている。
切り起こし形状部位33の基端部33dと接する周辺部34の裏面位置には、裏面から突起35が形成されている。突起35は、図4から図6までに示されているように、基端部33dから滑らかに連続して形成されている。
インナーパネル30の長手方向の一端(図1において右端)には、両部材30,40の面内方向の取り付け位置を決めるための位置決め孔36が設けられている。
【0014】
次に、インシュレータ40について説明する。
インシュレータ40は、吸音材としての機能を発揮するグラスウールを材料とし、長手のシート状に形成されている。インシュレータ40は、シート状の外周縁42における4箇所の部位が前記の取付箇所として設定されている。このインシュレータ40の4箇所の取付箇所は、図1及び図2に示されているように、前記のインナーパネル30の4箇所の取付箇所にそれぞれ対応している。この4箇所の取付箇所のうち、2箇所は車両前後方向前側の外周縁42に、他の2箇所は後側の外周縁42に設定されている。また4箇所の取付箇所は、車両幅方向について左右対称位置に設定されている。
また、両部材30,40の対応する取付箇所は、図3に良く示されているように、取り付け向きに置かれた場合において相互にほぼ点対称な切り起こし形状とされている。
【0015】
インシュレータ40における取付箇所となる部位は、裏面方向に切り起された形状として形成されている。
切り起し形状部位43は、切欠き部43aと先端部43bと立ち上げ部43cと基端部43dとを有している。切り欠き部43aは取付箇所における外周縁42から部材内方に向かって切り欠かれている。この切欠き部43aの片側において、先端部43bを周辺部34に対して段違いに裏面方向に窪ませるように、立ち上げ部43cが基端部43dを軸として傾斜状態に起こされている。
切り起こし形状部位43は、接着剤を染み込ませることによりインシュレータ40の他の部分よりも固く形成されている。
切り起し形状は、外周縁42に沿って形成されている。すなわち、切り起し形状部位43は、その切り欠き部43a、先端部43b、立ち上げ部43c、基端部43dの全体にわたって、シート状の外周縁42に形成されている。
また、前述のように切り起こし形状部位43の先端部43bと周辺部44とは段違いとなっている。したがって、図4に良く示されているように、切り起こし形状部位43とその周辺部44の延長との間には、空間部43sが形成されている。この空間部43sの重なり方向の隙間(段違いの間隔)は、相手部材であるインナーパネル30の切り起こし形状部位33の厚さ以上の間隔とされている。
インシュレータ40の長手方向の一端(図1において右端)には、インシュレータ40とインナーパネル30の面内方向の取り付け位置を決めるための位置決め孔46が設けられている。
【0016】
次に、図4から図6までを参照しながら両部材30,40の取り付け方法を説明する。
まず、取付箇所を対応させて両部材30,40を重ね合わせる。具体的には、両部材30,40の切り起し形状部位33,43の先端部33b,43bを、それぞれの相手部材40,30の対応する取付箇所にある切り欠き部43a,33a位置に重ねる(図4参照)。
次に、両部材30,40の面内長手方向(同図矢印方向)に相対的にスライド移動させて、両部材30,40の切り起し形状部位33,43を、それぞれの相手部材40,30の切り起し形状により形成される空間部43s,33sに嵌め合わせる。
さらにスライド移動を続けると、インシュレータ40の切り起し形状部位43の先端部43bは、インナーパネル30の切り起こし形状部位33の立ち上げ部33cないし基端部33dの傾斜面に当接して、インナーパネル30の裏面方向へ逸らされる。引き続いて、インシュレータ40の先端部43bは、上記の基端部33dと連続的に形成された突起35に乗り上げる(図5参照)。このようにインシュレータ40の先端部43bが逸らされてインナーパネル30の裏面位置へ回り込むことにより、両部材30,40の面内方向への相対的なスライド移動に加えて、互いの重ね合わせ方向への相対的な重なり移動が伴う。これにより、両部材30,40の切り起し形状部位33,43の周辺部34,44が互いに密着し、両部材30,40の重ね合わせ方向に関する相対移動が規制される。
さらにスライド移動を続けると、両部材30,40の立ち上げ部33c,43cが互いに当接し、その切り起し形状部位33,43が相手部材40,30の切り起こし形状部位43,33に完全に嵌め込まれた状態(図6参照)となる。このとき、両部材30,40の切り起し形状部位33,43の先端部33b,43bが、それぞれの相手部材40,30の切り起し基端43d,33dの裏面位置まで嵌り込む。
この状態において、図2に示すように、クリップ50を両部材30,40の位置決め孔36,46に連通させ、両部材30,40を面内方向に関して相対移動不能に固定する。以上の手順により、両部材30,40が互いに取り付け状態となる。
【0017】
以上のように構成される自動車のフードへのインシュレータ取り付け構造は、以下のような作用効果を奏する。
この構成によれば、フード20のインナーパネル30とインシュレータ40との相互の取付箇所となる部位は、それぞれ重ね合わされる面方向に切り起こされた形状として形成されており、この両部材30,40の切り起し形状部位がそれぞれ相手部材40,30の切り起し形状により形成される空間部33s,43sに嵌め合わされることにより、インシュレータ40がインナーパネル30に取り付けられている。したがって、クリップ等の別部品の数量を減少させてフード20のインナーパネル30にインシュレータ40を取り付けることにより製造コストを抑えることができる。
さらにこの構成によれば、両部材30,40のうち一方の切り起こし形状部位33,43の先端部33b,43bが、他方の切り起こし形状部位43,33の基端部43d,33dの裏面位置まで嵌まり込む際にこの突起35に乗り上げる。これにより、両部材30,40における切り起こし形状の周辺部34,44が互いにより密着する。これにより、フード20のインナーパネル30に取り付けられたインシュレータ40のがたつきを軽減可能である。
さらにこの構成によれば、インシュレータ40の取付箇所はシート状の外周縁42に設定され、インナーパネル30の取付箇所は開口の内周縁32におけるインシュレータ40の取付箇所に対応した位置に設定されている。このためインシュレータ40をインナーパネル30に重ね合わせる際、両部材30,40の取付箇所の位置対応が認識しやすい。また、インシュレータ40の取付箇所における切り起し形状はシート状の外周縁43に沿って形成されており、インナーパネル30の取付箇所における切り起し形状は開口の内周縁33に沿って形成されている。このため、両部材30,40を相対的にスライド移動させる方向が、インシュレータ40の外周縁43及びインナーパネル30の開口の内周縁33に沿った方向となり、スライド移動させる方向が視覚的に認識しやすい。したがって、フード20のインナーパネル30へのインシュレータ40の取付が容易となる。
【0018】
なお、本発明に係る自動車のフードへのインシュレータ取り付け構造は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施できるものである。
本実施形態においては、インナーパネル30はインシュレータ40の形状に対応した開口を有した形状とされていたが、開口を有さない形状としても良い。
また、本実施形態においては、インナーパネル30の開口の内周縁32における4箇所の部位が取付箇所として設定されていたが、開口の内周縁32から離れた部材内部において取付箇所が設定されていても良い。このように部材内部に取付箇所を設定した場合でも、例えばコ字状の切れ目を入れて切り起こし形状とすることができる。また、取付箇所の数は自由に設定可能である。インシュレータ40の外周縁42の取付箇所についても同様である。
また、本実施形態においては、インナーパネル30の取付箇所は、車両前後方向の前側及び後側の内周縁32に設定されていた。しかし取付箇所を車両幅方向の左右の内周縁32に設定しても良い。この場合、インナーパネルに30にインシュレータ40を取り付ける際の相対的なスライド移動の方向は、両部材30,40の短手方向(車両前後方向)となる。
また、本実施形態においては、インナーパネル30の切り起こし形状は、開口の内周縁32に沿って切り起こされていたが、これを内周縁からインナーパネル30の部材内方へ向かって切り起こされた構成としても良い。すなわち、切り起し形状部位33の先端部33bを開口の内周縁32に形成し、基端部33dをこの内周縁32から離れたインナーパネル30の部材内方にあるように切り起されている構成としても良い。インシュレータ40の切り起こし形状についても同様である。
また、本実施形態においては、両部材30,40の切り起し形状部位33,43がそれぞれの相手部材40,30に対して完全に嵌め込まれると、この切り起し形状部位33,43の先端部33b,43bが、それぞれの相手部材40,30の切り起し形状の基端部43d,33dの裏面位置まで嵌り込む構成とされていた。しかし、少なくとも両部材30,40のうち一方の切り起し形状部位33,43の先端部33b,43bのみが、その他方となる相手部材40,30の基端部43d,33dの裏面位置まで嵌り込む構成としても良い。
また、本実施形態においては、取付箇所である切り起し形状部位33,43の構成に加え、別部品のクリップ50を用いて両部材30,40の面内方向の位置決めを行っていたが、クリップ等の別部品を全く用いない構成としても良い。
【符号の説明】
【0019】
10 フード
20 アウターパネル
30 インナーパネル
31 架橋部
32 開口の内周縁
33 切り起こし形状部位
33a 切欠き部
33b 先端部
33c 立ち上げ部
33d 基端部
33s 空間部
34 周辺部
35 突起
36 位置決め孔
40 インシュレータ
42 外周縁
43 切り起こし形状部位
43a 切欠き部
43b 先端部
43c 立ち上げ部
43d 基端部
43s 空間部
44 周辺部
46 位置決め孔
50 クリップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のフードの内側にシート状のインシュレータを重ね合わせて取付ける自動車のフードへのインシュレータ取付け構造であって、前記フードと前記インシュレータ相互の取付箇所となる部位は、両者共、重ね合わされる面方向に切り起された形状として形成されており、該両者の切り起し形状部位が該両者の切り起し形状により形成される空間部に面方向に相対的にスライド移動して嵌め合わされて取付けられ、少なくとも両者の一方の切り起し形状部位の先端部が他方の切り起し基端の裏面位置まで嵌り込んで取付けられる構成となっていることを特徴とする自動車のフードへのインシュレータ取付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車のフードへのインシュレータ取付け構造であって、前記少なくとも両者の一方の切り起し形状部位の先端部が嵌り込む他方の切り起し基端の裏面位置には該裏面から突起が形成されていることを特徴とする自動車のフードへのインシュレータ取付け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動車のフードへのインシュレータ取付け構造であって、前記インシュレータの取付箇所は、シート状の外周縁に設定されて、その切り起し形状は外周縁に沿って形成されており、前記フードはアウターパネルとインナーパネルとが張り合わされて構成されており、該インナーパネルは前記インシュレータの形状に対応した開口を有した形状として形成されており、その取付箇所は該開口の内周縁における前記インシュレータの取付箇所に対応した位置に設定されて、その切り起し形状は開口の内周縁に沿って形成されていることを特徴とする自動車のフードへのインシュレータ取付け構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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