説明

自動車のペダル装置及びこれに用いられる摩擦抵抗力付与装置

【課題】小型にして所要の摩擦抵抗力をペダルアームに付与可能な自動車のペダル装置を提供すること、このペダル装置に好適な摩擦抵抗力付与装置を提供すること。
【解決手段】ペダルアーム2の回動量に応じた摩擦抵抗力をペダルアーム2に付与する摩擦抵抗力付与装置を、ペダルアーム2の両側に配置された第1及び第2のフリクションプレート31,32と、第1フリクションプレート31の外面側に配置されたカムレバー33と、カムレバー33の一端部に形成された可動カム34と、可動カム34と対向する面に該可動カム34と係合し合う固定カム35が片面に形成されたカム部材36と、該カム部材36を回動不能に保持する保持部材37と、第2フリクションプレート32の外面側に配置されたスペーサ38と、これらの各部材31,32,33,36,37,38を一体化する基軸をもって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に備えられるアクセルペダル装置、ブレーキペダル装置及びクラッチペダル装置等のペダル装置と、ペダル装置の操作に所要の摩擦抵抗力を付与する摩擦抵抗力付与装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スロットル、ブレーキ、ステアリング、シフトチェンジ、パーキングブレーキ等の部分で、自動車のバイワイヤ(By Wire)方式化が進んでいる。バイワイヤ方式とは、操作側装置(例えば、アクセルペダル装置)と被操作側装置(例えば、スロットル)とを信号線で接続し、被操作側装置に備えられた電動アクチュエータを駆動して、操作側装置の動作に応じた所要の動作を被操作側装置に行わせる方式である。バイワイヤ方式によると、メカニカルな機構を介して操作側装置と被操作側装置とを接続するメカニカル方式に比べて、車体内のスペース効率の向上、車体の軽量化及び低コスト化、電子制御による被操作側装置のきめ細かな制御等を図ることができる。
【0003】
ところで、ペダル装置には、運転者が踏み込み操作するペダルパッドを常時初期位置方向に付勢するための戻しばねが備えられるが、メカニカル方式のペダル装置においては、ペダルパッドの踏み込み時に、戻しばねの弾性係数とペダルパッドの踏み込み量に応じた弾性力及び機構部に働く摩擦力等の機械力の総和が操作反力として運転者の足に作用し、ペダルパッドの踏み込み解除時には、ほぼ戻しばねの弾性係数とペダルパッドの踏み込み量とに応じた弾性力のみが運転者の足に作用する。即ち、ペダルパッドの踏み込み時と踏み込み解除時とでは、ペダルパッドの踏み込み量と踏み力との関係に比較的大きなヒステリシスが生じる。これに対して、バイワイヤ方式のペダル装置においては、ペダルパッドの操作に機械力がほとんど作用しないので、単に戻しばねを備えただけの構成にすると、ペダルパッドの踏み込み時と踏み込み解除時とにおけるペダルパッドの踏み込み量と踏み力との関係が直線的になる。このような事情から、バイワイヤ方式のペダル装置には、メカニカル方式のペダル装置を搭載した自動車の運転に慣れた運転者にも操作上の違和感を与えないため、メカニカル方式のペダル装置と同等の操作反力を付与することが求められる。
【0004】
図23乃至図25に、従来知られているバイワイヤ方式のペダル装置の一例を示す。図23は従来例に係るペダル装置の一部断面した正面図、図24は従来例に係るペダル装置の一部断面した側面図、図25は従来例に係るペダル装置のペダルアーム回動角とペダル踏み力との関係を示すグラフ図である(特許文献1参照。)。
【0005】
図23及び図24に示すように、本例のペダル装置100は、支持フレーム101と、支持フレーム101に回動自在に支持された回転自在軸102と、回転自在軸102に一端が固定されたペダルアーム103と、ペダルアーム103を初期回動位置側に回動付勢する戻しばね104と、ペダルアーム103の回動に漸次増大する抵抗力を付与するダンパ装置105と、ペダルアーム103を初期回動位置で停止させる図示しないストッパとを具備している。
【0006】
支持フレーム101は、底板部111と、底板部111の左右両端部から同一方向に起立され、相平行に配置された2枚の平行な側壁部112,113とから構成されており、図24に示すように、底板部111がリベット又はボルト114等を用いて車体115に固定される。回転自在軸102は、2枚の側壁部112,113によって回転自在に支持される。ペダルアーム103は、側壁部113を貫通して、その外面側に突出した回転自在軸102の一端に固着される。また、戻しばねである捩りコイルばね104は、巻回部104aが回転自在軸102の外周に装着され、両端部104b,104cがペダルアーム103と側壁部112とにそれぞれ係合される。したがって、ペダルアーム103は、捩りコイルばね104の弾性力によって、常時、図示しないストッパにより停止される初期位置側に付勢される。
【0007】
ダンパ装置105は、有底筒状に形成されたダンパ本体121とその内部構造物とから構成されており、ダンパ本体121が側壁部112の外面にボルト122等を用いて固定されている。ダンパ本体121内には、その内部構造物として、ダンパ本体121の開口端側に固定された穴あき円盤状の蓋体123と、蓋体123に回転可能に保持され、回転自在軸102と一体に回転する回転体124と、ダンパ本体121内において回転自在軸102の軸心と平行な方向にのみ移動可能に収納された不動体125と、不動体125を回転体124側に付勢する圧縮コイルばね126とが、この順に収納されている。
【0008】
回転体124の不動体125と接する側の面、及び、不動体125の回転体124と接する側の面には、同一傾斜角度の傾斜面126a,127aを有する突起126,127が形成されており、各傾斜面126a,127aは、圧縮コイルばね126の弾性力によって常時密接している。なお、各傾斜面126a,127aの傾斜角度θは、これら各傾斜面126a,127aの接触面の摩擦角φ1と、回転体124と蓋体123の接触面の摩擦角φ2との和よりも大きく形成される。
【0009】
運転者が図示しないペダルパッドを踏み込むと、回転自在軸102の軸心を中心としてペダルアーム103が踏み込み方向に回動し、これに伴って回転自在軸102及び回転体124が、ペダルアーム103の回動方向に、ペダルアーム103の回動角度だけ回転する。回転体124が回転すると、突起126によって突起127が押圧されるため、不動体125が突起126の傾斜面126aに沿ってダンパ本体121の底面側に移動し、圧縮コイルばね126を圧縮方向に変形する。したがって、ペダルパッドの踏み込み時には、捩りコイルばね104の弾性係数とペダルパッドの踏み込み量(ペダルアーム103の回動角度)に応じた弾性力と、回転体124と不動体125との間に作用する摩擦力と、回転体124と蓋体123との間に作用する摩擦力と、不動体125とダンパ本体121の間に作用する摩擦力の総和が操作反力として運転者の足に作用する。
【0010】
これに対して、ペダルパッドの踏み込みを解除すると、上述したようにθ>φ1+φ2に設定されているので、圧縮コイルばね126の弾性力によって不動体125が押圧されることにより、回転体124が突起127の傾斜面127aに沿って戻り方向に確実に回転駆動される。したがって、ペダルパッドの踏み込み解除時には、ほぼ戻しばね104の弾性力のみが操作反力として運転者の足に作用する。その結果、ダンパ装置105を構成する各部の摩擦係数を適宜設定することにより、ペダルパッドの操作感触に所要のヒステリシスを付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4419230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、蓋体123と回転体124との間、及び回転体124と不動体125との間に押圧力を付与するための圧縮コイルばね126を、不動体125の側方部分に配置することが必須の構成要件とするので、ダンパ装置105の長さ寸法が大きくなりやすい。
【0013】
また、特許文献1に記載の発明は、ペダルアーム103に連動して回転する回転自在軸102と同心にダンパ装置105を配置すると共に、蓋体123と回転体124との間に作用する摩擦力、回転体124と不動体125との間に作用する摩擦力、及び不動体125とダンパ本体121との間に作用する摩擦力により、ペダルアーム103に所要の摩擦抵抗力を付与する構成であるため、ペダルアーム103に所要の摩擦抵抗力を付与するためには、直径が大きなダンパ本体121、回転体124及び不動体125を用いるか、ばね定数が大きい圧縮コイルばね126を用いて、ペダルアーム103に作用する摩擦抵抗モーメントを大きくする必要があり、ダンパ装置105の径寸法についても、大きくなりやすい。これらのことから、特許文献1に記載のペダル装置は、自動車に適用した場合、大きな設定スペースを必要とするので、車体内のスペース効率を向上する観点から、更に改善の余地がある。
【0014】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小型にして所要の摩擦抵抗力をペダルアームに付与可能な自動車のペダル装置と、これに好適な摩擦抵抗力付与装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記課題を解決するため、自動車のペダル装置に関しては、ペダルパッドの踏み込み又は踏み込み解除に連動して回動するアーム部材と、保持軸を介して前記アーム部材を回動可能に保持するブラケットと、前記ペダルパッドの踏み込み時及び踏み込み解除時に、前記アーム部材の回動量に応じた弾性力を前記アーム部材に付与する力覚付与ばねと、前記ペダルパッドの踏み込み時に、前記アーム部材の回動量に応じた摩擦抵抗力を前記アーム部材に付与する摩擦抵抗力付与装置とを備え、前記摩擦抵抗力付与装置は、前記保持軸又はこれと平行に配列された他の軸に回動可能に取り付けられたカムレバーと、該カムレバーの回転中心側の端面に形成された可動カムと、該可動カムと係合し合う固定カムが片面に形成されたカム部材と、該カム部材を回動不能に保持する保持部材と、前記アーム部材の少なくとも片面と対向に配設され、前記ペダルパッドの踏み込み時に、前記カムレバーの回動に連動して前記アーム部材に摩擦抵抗力を付与するフリクションプレートとを有し、前記力覚付与ばねは、その両端が前記アーム部材と前記カムレバーとに係合されることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によると、ペダルパッドの踏み込み時及び踏み込み解除時、アーム部材には力覚付与ばねの弾性力が作用する。このアーム部材に作用する力覚付与ばねの弾性力は、ペダルパッドの踏み込み量(アーム部材の回動量)と力覚付与ばねの弾性係数に比例する。一方、ペダルパッドの踏み込み時には、この力覚付与ばねの弾性力に加えて、摩擦抵抗力付与装置によって付与される摩擦抵抗力が作用する。この摩擦抵抗力は、アーム部材に連動させてカムレバーを回動し、このカムレバーの回転運動を、可動カムと固定カムとによって、保持軸又はこれと平行に配列された他の軸に沿う方向のカムレバー又は固定カムの直進運動に変換し、カムレバー又は固定カムがフリクションプレートをアーム部材に押し付けることにより発生するので、ペダルパッドの踏み込み量(アーム部材の回動量)に比例する。よって、ペダルパッドの踏み込み時と踏み込み解除時とで、ペダルパッドの踏み込み量と踏み力との関係に比較的大きなヒステリシスを生じさせることができる。
【0017】
加えて、前記構成によると、摩擦抵抗力付与装置の構成部材として、保持軸又はこれと平行に配列された他の軸に回動可能に取り付けられたカムレバーを備え、該カムレバーと摩擦抵抗力付与装置によって摩擦抵抗力が付与されるアーム部材との間に力覚付与ばねを係合するので、力覚付与ばねを摩擦抵抗力付与装置とは独立の別体に構成できると共に、力覚付与ばねを、摩擦抵抗力付与装置を構成する他の部材の配列範囲内に配置することができる。よって、特許文献1に記載の従来技術のように、摩擦抵抗力付与装置を構成する他の部材の配列方向にばね部材(圧縮コイルばね)を配置する場合に比べて、摩擦抵抗力付与装置の長さ寸法を小さくでき、ペダル装置の小型化を図ることができる。
【0018】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記摩擦抵抗力付与装置を構成する前記可動カム、前記固定カム及び前記フリクションプレートを、前記保持軸と同心に配置したことを特徴とする。
【0019】
保持軸には、アーム部材が回動可能に保持されるので、この保持軸と同心に摩擦抵抗力付与装置を構成する可動カム、固定カム及びフリクションプレートを配置すると、これらの各部材を取り付けるための特別な軸を必要とせず、ペダル装置の構成を簡単なものにすることができる。
【0020】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記アーム部材は、その回動中心である前記保持軸の外周に、前記保持軸を中心とする円弧状の長孔を有しており、前記摩擦抵抗力付与装置は、前記可動カム、前記固定カム及び前記フリクションプレートを保持する基軸を有していて、前記基軸は、前記円弧状の長孔に貫通され、かつ前記保持軸と平行に配列されて、その両端が前記ブラケットに保持されており、前記アーム部材の表面の前記長孔の周辺部分と対向に前記フリクションプレートを配置したことを特徴とする。
【0021】
アーム部材の表面の長孔の周辺部分に摩擦抵抗力を付与すると、アーム部材の回転中心部分に摩擦抵抗力を付与する場合に比べて、アーム部材の回転中心から摩擦抵抗力の作用点までの距離を大きくすることができる。したがって、アーム部材の表面の長孔の周辺部分に摩擦抵抗力を付与する場合には、アーム部材の回転中心部分に摩擦抵抗力を付与する場合よりも小さな摩擦抵抗力をアーム部材に付与することで、アーム部材の回転中心部分に摩擦抵抗力を付与する場合と同様の摩擦抵抗モーメントをアーム部材に付与できるので、摩擦抵抗力付与装置の小型化ひいてはペダル装置の小型化を図ることができる。
【0022】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記可動カム及び前記固定カムは、前記保持軸又は前記基軸の貫通孔を中心とする円周上に配置された1乃至複数の突起と、各突起の一側面に形成された傾斜面とをもって構成されていて、前記傾斜面どうしを突き合わせることによって同軸に配置されており、前記可動カムを前記保持軸又は前記基軸の周りに回転させたとき、前記各傾斜面の間に滑りを生じて、前記可動カム及び前記固定カムのいずれか一方が、前記保持軸又は前記基軸に沿う方向に移動することを特徴とする。
【0023】
回転部材の回転運動を直進運動に変換する運動変換機構は、従来各種のものが知られているが、一側面に所要の傾斜面を有する突起からなる可動カムと固定カムとを用いると、運動変換機構をコンパクトかつ安価に形成できるので、摩擦抵抗力付与装置ひいてはペダル装置の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0024】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記アーム部材を介してその両側に第1フリクションプレート及び第2フリクションプレートを配置し、前記ペダルパッドの踏み込み時、前記アーム部材の表裏両面に摩擦抵抗力を付与することを特徴とする。
【0025】
かかる構成によると、ペダルパッドの踏み込み時にアーム部材の表裏両面に摩擦抵抗力を付与するので、アーム部材の片面にのみ摩擦抵抗力を付与する場合に比べて、アーム部材に作用する摩擦抵抗力の増加若しくは摩擦抵抗力付与装置の小型化を図ることができ、更にはアーム部材に作用する摩擦抵抗力の安定化を図ることができる。
【0026】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記第1フリクションプレートと前記第2フリクションプレートとの間に、これらの各フリクションプレートを前記アーム部材の表面から離隔する方向に付勢する離隔ばねを備えたことを特徴とする。
【0027】
かかる構成によると、各フリクションプレートの間に離隔ばねを備えたので、ペダルパッドの踏み込み解除時に、各フリクションプレートをアーム部材の表面から離隔する方向に移動させることができる。よって、ペダルパッドの踏み込み解除時にフリクションプレートがアーム部材の表面に強い押圧力が残ったまま摺接され続ける等の不都合を防止でき、ペダルパッドの踏み込み量と踏み力との関係において、所要のヒステリシスを確保することができる。
【0028】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記アーム部材における前記フリクションプレートの押圧部分に、適度の摩擦係数を有する材料からなるフリクションブッシュを取り付けたことを特徴とする。
【0029】
かかる構成によると、アーム部材に直接フリクションプレートを押し付ける場合に比べて、アーム部材に作用する摩擦抵抗力を適度のものとすることができるので、アーム部材の操作感触を良好なものにすることができる。
【0030】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記アーム部材が、前記ペダルパッドと一体に形成されたペダルアームであることを特徴とする。
【0031】
かかる構成によると、自動車に備えられるペダルアームを摩擦抵抗力付与装置のアーム部材として兼用するので、摩擦抵抗力付与装置の構成の簡略化と小型化とを図ることができる。
【0032】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記アーム部材として、ペダルアームとは別体の補助アームを備え、これらペダルアーム及び補助アームをそれぞれ前記保持軸に回動自在に連結し、前記力覚付与ばねの弾性力により前記補助アームを前記ペダルアームに弾接させて、前記ペダルパッドの踏み込み時及び踏み込み解除時に前記ペダルアームと前記補助アームとが一体的に回動するように構成すると共に、前記ペダルアームには、前記補助アームとの弾接状態が解除された場合にも、前記ペダルアームを初期位置に復帰させるための戻しばねを備えたことを特徴とする。
【0033】
かかる構成によると、自動車に備えられるペダルアームとは別に、摩擦抵抗力付与装置を駆動するための補助アームを備え、力覚付与ばねの弾性力により補助アームに戻し方向の弾性力を付与すると共に、戻しばねの弾性力によりペダルアームに戻し方向の弾性力を付与し、補助アームとペダルアームとを個別に回動できるようにしたので、仮に何らかに理由によって摩擦抵抗力付与装置が踏み込み状態のままロックした場合にも、ペダルアームを戻しばねの弾性力によって確実に初期位置まで戻すことができ、自動車の安全を確保することができる。
【0034】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記アーム部材及び前記カムレバーの少なくともいずれか一方に、前記力覚付与ばねの係合部を複数個形成し、前記アーム部材及び前記カムレバーの少なくともいずれか一方に対する前記力覚付与ばねの係合位置を変更することによって、前記アーム部材及び前記カムレバーに作用する前記力覚付与ばねの弾性力を多段階に調整できるようにしたことを特徴とする。
【0035】
かかる構成によると、アーム部材及び/又はカムレバーに対する力覚付与ばねの係合位置を変更することによって、アーム部材とカムレバーとの間に作用する力覚付与ばねの初期張力を変更できるので、アーム部材の操作感触を多段階に調整することができ、摩擦抵抗力付与装置を備えたペダル装置の汎用性を高めることができる。
【0036】
また本発明は、前記自動車のペダル装置において、前記ブラケットを、車体への取付部と該取付部より平行に起立された2枚の保持部とから構成し、前記アーム部材及び前記摩擦抵抗力付与装置を、前記2枚の保持部の間に配置したことを特徴とする。
【0037】
かかる構成によると、2枚の保持部の外面側に突出する摩擦抵抗力付与装置の突出量を最小限にすることができるので、保持部の外面に摩擦抵抗力付与装置を取り付ける場合に比べて、ペダル装置の小型化を図ることができる。
【0038】
一方、摩擦抵抗力付与装置に関し、本発明は、ペダルパッドの踏み込み又は踏み込み解除に連動して回動するアーム部材に対し、ペダルパッドの踏み込み時に、その回動量に応じた摩擦抵抗力を付与する摩擦抵抗力付与装置において、前記アーム部材を回動可能に保持する保持軸又はこれと平行に配列された他の軸に回動可能に取り付けられたカムレバーと、該カムレバーの回転中心側の端面に形成された可動カムと、該可動カムと係合し合う固定カムが片面に形成されたカム部材と、該カム部材を回動不能に保持する保持部材と、前記アーム部材の少なくとも片面と対向に配設され、前記ペダルパッドの踏み込み時に、前記カムレバーの回動に連動して前記アーム部材に摩擦抵抗力を付与するフリクションプレートとを有し、前記力覚付与ばねの両端を、それぞれ前記アーム部材と前記カムレバーとに係合したことを特徴とする。
【0039】
かかる構成によると、アーム部材に付与される摩擦抵抗力は、アーム部材に連動させてカムレバーを回動し、このカムレバーの回転運動を可動カムと固定カムとによって、保持軸又はこれと平行に配列された他の軸に沿う方向のカムレバー又はカム部材の直進運動に変換し、カムレバー又はカム部材がフリクションプレートをアーム部材に押し付けることにより発生できるので、アーム部材に所要の摩擦抵抗力を付与するためのばね部材を必要とせず、この種のばね部材を必須の構成要素とする摩擦抵抗力付与装置に比べて、その軸方向寸法を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る自動車のペダル装置は、アーム部材の回動量に応じた摩擦抵抗力をアーム部材に付与する摩擦抵抗力付与装置を備え、この摩擦抵抗力付与装置には、アーム部材の回動操作に連動して回動するカムレバーを備えて、アーム部材とカムレバーとに力覚付与ばねの両端を係合したので、力覚付与ばねを摩擦抵抗力付与装置とは独立の別体に構成することができる。よって、力覚付与ばねを必須の構成要素とする摩擦抵抗力付与装置に比べて摩擦抵抗力付与装置を小型化でき、自動車におけるペダル装置の設定部のスペース効率を高めることができる。
【0041】
本発明に係る摩擦抵抗力付与装置は、アーム部材の回動操作に連動して回動するカムレバーを備え、アーム部材とカムレバーとに力覚付与ばねの両端を係合するので、力覚付与ばねを摩擦抵抗力付与装置とは独立の別体に構成することができ、力覚付与ばねを必須の構成要素とする摩擦抵抗力付与装置に比べて、その小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1に係るペダル装置の一部破断した斜視図である。
【図2】実施例1に係るペダル装置の正面方向から見た要部断面図である。
【図3】実施例1に係るペダル装置の上面方向から見た要部断面図である。
【図4】実施例1に係るペダル装置のペダル非操作時の側面図である。
【図5】実施例1に係るペダル装置のペダル操作時の側面図である。
【図6】実施例1に係る摩擦抵抗力付与装置の要部分解斜視図である。
【図7】実施例1に係る可動カムの説明図である。
【図8】実施例1に係る固定カムの説明図である。
【図9】実施例1に係る保持部材の内面図である。
【図10】実施例1に係る摩擦抵抗力付与装置のペダル非操作時の状態を示す要部断面図である。
【図11】実施例1に係る摩擦抵抗力付与装置のペダル操作時の状態を示す要部断面図である。
【図12】実施例2に係るペダル装置の正面方向から見た要部断面図である。
【図13】実施例2に係るペダル装置の上面方向から見た要部断面図である。
【図14】実施例2に係るペダル装置のペダル非操作時の側面図である。
【図15】実施例2に係るペダル装置のペダル操作時の側面図である。
【図16】実施例2に係るペダル装置の効果を示す側面図である。
【図17】実施例3に係るペダル装置の上面方向から見た要部断面図である。
【図18】実施例4に係るペダル装置の説明図である。
【図19】実施例5に係るペダル装置の説明図である。
【図20】実施例6に係るペダル装置の説明図である。
【図21】実施例7に係るペダル装置の説明図である。
【図22】実施例8に係るペダル装置の上面方向から見た要部断面図である。
【図23】従来例に係るペダル装置の要部断面図である。
【図24】従来例に係るペダル装置の一部破断した側面図である。
【図25】従来例に係るペダル装置のペダルパッドの踏み込み量と踏み力との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る自動車のペダル装置及びこれに用いる摩擦抵抗力付与装置の実施形態を、実施例ごとに説明する。
【実施例1】
【0044】
図1〜図11に、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、ペダルパッドが一体形成されたペダルアームを請求項1に記載のアーム部材として用い、これに摩擦抵抗力付与装置の摩擦抵抗力を直接付与することを特徴とする。即ち、本例のペダル装置は、下端部にペダルパッド1が一体形成されたペダルアーム2と、ペダルアーム2の上端部を回動可能に保持する保持軸3と、保持軸3の両端部を保持するブラケット4と、ペダルパッド1の踏み込み時及び踏み込み解除時に、ペダルアーム2の回動量に応じた弾性力をペダルアーム2に付与する力覚付与ばね5と、ペダルパッド1の踏み込み時に、ペダルアーム2の回動量に応じた摩擦抵抗力をペダルアーム2に付与する摩擦抵抗力付与装置6とから主に構成されている。力覚付与ばね5の弾性力は、摩擦抵抗力付与装置6によってペダルアーム2に付与される摩擦抵抗力よりも常に大きくなるように設定される。
【0045】
図6に示すように、ペダルアーム2の上端部には、軸受部材11を介して保持軸3が回転自在に取り付けられており、この保持軸3の両端部は、図1〜図5に示すように、ブラケット4に固定されている。したがって、ペダルアーム2は、ペダルパッドの踏み込み時及び踏み込み解除時、保持軸3を中心として回動される。また、ペダルアーム2の上端部の前方側には、扇形の張り出し部12が形成されており、この張り出し部12には、ペダルアーム2の回動中心を中心とする円周上に円弧状の長孔13が開設されると共に、長孔13の周辺部分には、適度な摩擦係数を備えた材料からなるフリクションブッシュ14が、複数のビス15で取り付けられている。勿論、ビス15の頭部は、フリクションブッシュ14の表面から外方に突出しないように、フリクションブッシュ14内に埋め込まれる。なお、ペダルアーム2の張り出し部12に対するフリクションブッシュ14の取付手段は、ビス止めに限定されるものではなく、例えば接着やスナップフィット等の他の手段を用いることもできる。さらに、ペダルアーム2の中間部分には、図1、図4及び図5に示すように、複数個のばね掛け突起設定孔16が所定の間隔を隔てて一列に開設されており、そのうちの1つには、力覚付与ばね5の一端を係合するためのばね掛け突起17が取り付けられている。本例においては、力覚付与ばね5として、コイルばねが用いられている。
【0046】
フリクションブッシュ14の樹脂形成材料としては、ポリアミド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、液晶ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂及びポリエーテルケトン樹脂から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。また、これらの樹脂材料には、グラファイト、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウムウィスカ並びに鉛、亜鉛、錫、銅及びそれらの合金から選択される1種又は2種以上を添加剤として含有することができる。
【0047】
ブラケット4は、図1〜図5に示すように、図示しない車体への取付部21と、該取付部21より同一方向に平行に起立された2枚の保持部22と、2枚の保持部22の上端部を連結するカバー部23とを有しており、取付部21には、ブラケット4を車体に取り付けるためのボルトが貫通されるボルト貫通孔24が開設されている。一方、2枚の保持部22の間には、保持軸3が橋架され、その両端部が2枚の保持部22に固定される。したがって、ペダルアーム2は、保持軸3を介してブラケット4に回動可能に保持される。なお、ブラケット4には、ペダルアーム2の初期位置を規制するための図示しないストッパが設けられると共に、ペダルアーム2とブラケット4との間には、ペダルアーム2を初期位置方向に付勢するための図示しない戻しばねが設けられている。したがって、ペダルパッド1の非操作時には、ペダルアーム2がストッパに当接されて初期位置にあり、ペダルパッド1の踏み込み時には、図示しない戻しばねの弾性力と力覚付与ばね5の弾性力に抗して回動される。
【0048】
摩擦抵抗力付与装置6は、図2、図3及び図5に示すように、ペダルアーム2を介してその両側に配置された第1及び第2のフリクションプレート31,32と、第1フリクションプレート31の外面側に配置されたカムレバー33と、カムレバー33の一端部に形成された可動カム34と、可動カム34と対向する面に該可動カム34と係合し合う固定カム35が片面に形成されたカム部材36と、該カム部材36を回動不能に保持する保持部材37と、第2フリクションプレート32の外面側に配置されたスペーサ38と、これらの各部材31,32,33,36,37,38をペダルアーム2と一体に組み立てる基軸39を有している。第1及び第2のフリクションプレート31,32、カムレバー33、カム部材36、保持部材37及びスペーサ38には、それぞれ基軸39を遊嵌可能な貫通孔31a,32a,33a,36a,37a,38aが開設されており、基軸39をこれらの各貫通孔とペダルアーム2に開設された円弧状の長孔13とに一連に貫通することにより、ペダルアーム2と摩擦抵抗力付与装置6とが一体に組み立てられる。
【0049】
第1及び第2のフリクションプレート31,32は、中心部に貫通孔31a,32aが開設された円形の皿状に形成されており、凸面をフリクションブッシュ14側に向けて配置される。これらの各フリクションプレート31,32は、樹脂材料又は金属材料をもって形成され、樹脂材料をもって形成する場合には、フリクションブッシュ14の形成材料と同種の樹脂材料を用いることができる。
【0050】
カムレバー33は、フリクションブッシュ14の形成材料と同種の材料をもって、一端に可動カム34を有する棒状に形成されており、可動カム34の反対側には、複数個のばね掛け孔41が所定の間隔を隔てて一列に開設されている。このカムレバー33と前出のペダルアーム2とは、複数個のばね掛け孔41の1つとペダルアーム2に設けられたばね掛け突起17とに両端が係合された力覚付与ばね5を介して連結される。
【0051】
可動カム34は、図7(a)に示すように、カムレバー33の外周と貫通孔33aとに囲まれたリング状の空間内に等間隔で形成された3個の突起42をもって構成される。各突起42は、図7(b)に示すように、貫通孔33aを中心とする円周方向の一側面42aが傾斜面になっており、頂部42bを介してその反対側の側面42cが垂直面になっている。可動カム34の底面33bに対する傾斜面42aの傾斜角度θは、摩擦抵抗力付与装置6を構成する各部の寸法を考慮した上で、ペダルアーム2の回動角度とペダルアーム2に付与される摩擦抵抗力との関係が、求められる関係となるような適宜の値に設定される。なお、突起42の数は、1個以上の任意の数とすることができるが、カムレバー33に作用する力を均等化し、カムレバー33の動作を円滑なものにするため、少なくとも複数個、好ましくは3個とすることが望ましい。
【0052】
カム部材36は、フリクションブッシュ14の形成材料と同種の材料をもって、中心部に基軸39の貫通孔36aを有する円盤状に形成されている。カム部材36の外周面には、図8(a)に示すように、6個の回り止め用の突起51が放射状に突設されている。この回り止め用の突起51の数も、1個以上の任意の数とすることができる。
【0053】
固定カム35は、図8(a)に示すように、カム部材36の外周に沿ったリング状の領域に等間隔で形成された3個の突起52をもって構成される。各突起52は、図8(b)に示すように、貫通孔36aを中心とする円周方向の一側面52aが傾斜面になっており、頂部52bを介してその反対側の側面52cが垂直面になっている。固定カム35の底面35bに対する傾斜面52aの傾斜角度θは、可動カム34に形成された傾斜面42aの傾斜角度θと同一とする。これにより、固定カム35をカムレバー33の外周と貫通孔33aとに囲まれたリング状の空間内に挿入したとき、可動カム34の傾斜面42aと固定カム35の傾斜面52aとが密着される。
【0054】
保持部材37は、図9に示すように、カム部材36を回転不能に保持する円形のカム部材保持部61と、その一部から径方向に張り出されたブラケット4への取付部62とからなる。カム部材保持部61には、基軸39の貫通孔37aと同心にリング状の周壁63が形成され、該周壁63には、カム部材36に形成された回り止め用の突起51を嵌入するための凹溝64が形成されている。取付部62の先端側には、取付孔65が開設されると共に、ボス66が突設されている。また、ブラケット4の一方の保持部22には、これら取付孔65及びボス66に対応する間隔で、2つの取付孔(図示省略)が開設されている。したがって、保持部材37は、取付孔65及びボス66をブラケット4の保持部22に開設された図示しない2つの取付孔に合致し、取付孔65内にビス等の固定具を挿入することにより、保持部22の内面の所定の位置に、所定の姿勢で取り付けることができる。カム部材36は、回り止め用の突起51を保持部材37に形成された凹溝64内に挿入することにより、保持部材37に回転不能に保持される。なお、保持部材は、ペダルアーム2に付与される摩擦抵抗力に関与しないので、必ずしもフリクションブッシュ14の形成材料と同種の材料をもって形成する必要はなく、所定の強度を有する任意の樹脂材料をもって形成することができる。
【0055】
スペーサ38は、フリクションブッシュ14の形成材料と同種の材料をもって、中心部に基軸39の貫通孔38aを有する円板状若しくは円柱状に形成される。
【0056】
基軸39は、小径部71aの一端に大径部71bが形成された二段軸71と、その両端部に螺着される2つのショルダーボルト72,73とからなる。また、ショルダーボルト72,73は、二段軸71へのねじ込み部72a,73aと、大径部71bと同径の軸部72b,73bと、軸部72b,73bの端部に形成された頭部72c,73cとからなる。したがって、二段軸71の両端部にショルダーボルト72,73を螺着したとき、両端に頭部72c,73cを有する二段軸構造の基軸39が構成される。この基軸39の両端部は、図2に示すように、ブラケット4に形成された2枚の保持部22に橋架される。
【0057】
小径部71aの長さは、その間に第1及び第2のフリクションプレート31,32、カムレバー33、カム部材36及びペダルアーム2を緩やかに設定可能な長さに形成される。したがって、小径部71aに上述の各部材2,31,32,33,36を取り付けたとき、図10に示すように、ペダルアーム2と第1及び第2のフリクションプレート31,32との間に、所要のクリアランスCが形成される。また、二段軸71の両端部にショルダーボルト72,73を螺着したときの各頭部72c,73cの内面間の距離は、ブラケット4に形成された2枚の保持部22の外面間の距離よりも若干大きく形成される。したがって、基軸39は、ブラケット4への取付後も、長さ方向に移動することができる。なお、保持部材37は、カム部材36に取り付けられる。
【0058】
以下、実施例1に係るペダル装置の組立方法について説明する。
【0059】
まず、ブラケット4に形成された2枚の保持部22の間に、ペダルパッド1を前方側に向けて、ペダルアーム2の上端部を配置する。次いで、ペダルアーム2の上端部に取り付けられた軸受部材11に、一方の保持部22の外方からブラケット4内に差し込まれた保持軸3を貫通し、該保持軸3を2枚の保持部22の間に橋架する。これにより、ブラケット4に対してペダルアーム2を回動自在に取り付けることができる。
【0060】
次いで、一方の保持部22の内面に、保持部材37を取り付ける。保持部22に対する保持部材37の取り付けは、保持部材37の取付部62に形成された取付孔65及びボス66をそれぞれ保持部22に開設された対応する2つの取付孔に合致し、これらの各取付孔内にビス等の固定具を挿入することにより行うことができる。次いで、保持部材37のカム部材保持部61内に、カム部材36を回転不能に収納する。
【0061】
次いで、ペダルアーム2と保持部材37との間に、ペダルアーム2側から第1フリクションプレート31とカムレバー33をこの順に配置すると共に、ペダルアーム2の他面側に、ペダルアーム2側から第2フリクションプレート32とスペーサ38をこの順に配置する。しかる後に、保持部材37が取り付けられていない他方の保持部22の外方からブラケット4内に二段軸71の小径部71aを差し込み、スペーサ38に開設された貫通孔38a、第2フリクションプレート32に開設された貫通孔32a、ペダルアーム2に開設された長孔13、第1フリクションプレート31に開設された貫通孔31a、カムレバー33に開設された貫通孔33a、カム部材36に開設された貫通孔36aに順次貫通する。
【0062】
次いで、ペダルアーム2とカムレバー33とに力覚付与ばね5の両端部をそれぞれ係合し、これらの各部材間に所要の張力が付与する。このときの張力の大きさは、ペダルアーム2の操作感触に大きな影響があるので、ペダルアーム2の操作に所要の操作感触が付与されるように、ペダルアーム2に対する力覚付与ばね5の係合位置、及びカムレバー33に対する力覚付与ばね5の係合位置が適宜調整される。最後に、一方の保持部22の外方から二段軸71の小径部71aの端面にショルダーボルト72を螺合すると共に、他方の保持部22の外方から二段軸71の大径部71bの端面にショルダーボルト73を螺合して、基軸39を2枚の保持部22に橋架する。これにより、ペダルアーム2に対する摩擦抵抗力付与装置6の設定を行うことができる。
【0063】
次に、実施例1に係るペダル装置の動作と効果とについて説明する。
【0064】
ペダルパッド1の非操作時には、図4に示すように、図示しない戻しばねの弾性力によってペダルアーム2が初期位置に安定に保持されている。このときには、ペダルアーム2に設けられたフリクションブッシュ14と第1及び第2のフリクションプレート31,32との間には押圧力がほとんど付与されておらず、ペダルアーム2の初期位置を規制するためのストッパがないときは、これらの各部材間にクリアランスCが形成される。
【0065】
この状態からペダルパッド1を踏み込むと、図5に示すように、ペダルアーム2が保持軸3を中心として踏み込み方向に回動される。また、それに伴い、カムレバー33が力覚付与ばね5の弾性力によって引かれ、ペダルアーム2の回動方向に回動する。力覚付与ばね5の弾性力は、ペダルパッド1の踏み込み量が大きくなるほど大きくなる。カムレバー33が回動すると、可動カム34の傾斜面42aと固定カム35の傾斜面52aとの間に滑りを生じ、カムレバー33が保持部材37から離隔する方向に移動する。この移動によってフリクションブッシュ14と第1フリクションプレート31との間のクリアランスCが詰められ、遂にはフリクションブッシュ14に第1フリクションプレート31が当接する。また、フリクションブッシュ14と第1フリクションプレート31との間に一定の押圧力が発生すると、その押圧力によって基軸39が保持部材37側に引かれ、フリクションブッシュ14と第2フリクションプレート32との間のクリアランスCが詰められ、遂にはフリクションブッシュ14に第2フリクションプレート32が当接する。この状態からペダルパッド1をさらに踏み込むと、フリクションブッシュ14と第1フリクションプレート31との間、及びフリクションブッシュ14と第2フリクションプレート32との間に一定値以上の押圧力が作用し、ペダルアーム2の操作にペダルパッド1の踏み込み量に応じた摩擦抵抗力が付与される。したがって、運転者には、ペダルアーム2の戻しばねの弾性力、力覚付与ばね5の弾性力、及びフリクションブッシュ14と第1及び第2のフリクションプレート31,32の間に作用する摩擦力の総和が、操作感触として付与される。
【0066】
なお、ペダル装置の組立時において、フリクションブッシュ14と第1及び第2のフリクションプレート31,32との間にクリアランスCを設けず、これらの各部材間に予圧を付与することも可能である。クリアランスCの大きさ又は予圧の大きさは、運転者の操作感触を考慮して、適宜設定される。
【0067】
この状態からペダルパッド1の踏み込みを解除すると、力覚付与ばね5の弾性力は、フリクションブッシュ14と第1及び第2のフリクションプレート31,32との間に作用する摩擦抵抗力よりも常に大きくなるように設定されているため、力覚付与ばね5の弾性力によって、ペダルアーム2が保持軸3を中心として初期位置方向に回動される。また、力覚付与ばね5の弾性力が低下するので、カムレバー33も初期位置方向に回動する。カムレバー33が戻り方向に回動すると、可動カム34の傾斜面42aと固定カム35の傾斜面52aとの間に逆方向の滑りを生じ、カムレバー33が保持部材37に接近する方向に移動する。この移動によってフリクションブッシュ14と第1及び第2のフリクションプレート31,32との間に作用する押圧力が低下し、遂には図11に示すようにフリクションブッシュ14に第1及び第2のフリクションプレート31,32が当接した状態となる。踏み込み解除時においては、フリクションブッシュ14と第1及び第2のフリクションプレート31,32との間に作用する摩擦力が、ペダルアーム2の戻しばねの弾性力及び力覚付与ばね5の弾性力に対してマイナス方向に作用するので、運転者には、ペダルアーム2の戻しばねの弾性力及び力覚付与ばね5の弾性力からフリクションブッシュ14と第1及び第2のフリクションプレート31,32との間に作用する摩擦力を差し引いた力が操作感触として付与される。したがって、ペダルパッド1の踏み込み量と踏み力との関係に、従来技術に係るペダル装置と同様のヒステリシスを生じさせることができる(図25参照。)。
【0068】
本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置6は、ペダルアーム2の回転中心位置から離隔した位置に第1及び第2のフリクションプレート31,32を押圧するようにしたので、ペダルアーム2の回転中心位置に第1及び第2のフリクションプレート31,32を押圧する場合に比べて、第1及び第2のフリクションプレート31,32を小型化することができ、ペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置6の小型化を図ることができて、車体内のスペース効率を高めることができる。また、ペダルアーム2のフリクションプレート押圧部分に適度な摩擦係数を備えた材料からなるフリクションブッシュ14を取り付けたので、第1及び第2のフリクションプレート31,32を小型化しても、ペダルアーム2に大きな摩擦抵抗力を付与することができる。さらに、本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置6は、ペダルアーム2に連動して回動するカムレバー33によって直接可動カム34を回転駆動し、ペダルアーム2の操作に所要の摩擦抵抗力を付与するようにしたので、従来のペダル装置のように、ペダルアーム2の操作に所要の摩擦抵抗力を付与するためのばね部材を必要とせず、この点からもペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置6の小型化を図ることができる。加えて、本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置6は、自動車に備えられるペダルアーム2をカムレバー駆動用のアーム部材として用いるので、カムレバー駆動用のアーム部材を別途必要とせず、摩擦抵抗力付与装置6の構成の簡略化と小型化とを図ることができる。
【実施例2】
【0069】
図12〜図16に、実施例2に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例2に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、ペダルアーム2に摩擦抵抗力付与装置の摩擦抵抗力を直接付与するのではなく、ペダルアーム2とは別体の補助アームに摩擦抵抗力付与装置の摩擦抵抗力を付与することを特徴とする。
【0070】
図12〜図16において、符号81は補助アームを示している。補助アーム81は、実施例1におけるペダルアーム2と同一の構成を有している。即ち、補助アーム81の上端部は、保持軸3を介してブラケット4に回動自在に保持されている。また、補助アーム81の上端部の前方側には、扇形の張り出し部82が形成されており、この張り出し部82には、補助アーム81の回動中心を中心とする円周上に円弧状の長孔83が開設されていて、当該長孔83の周辺部分には、適度な摩擦係数を備えた材料からなるフリクションブッシュ84が取り付けられている。さらに、補助アーム81の下方部分には、複数個のばね掛け突起設定孔86が所定の間隔を隔てて一列に開設されており、そのうちの1つには、力覚付与ばね5の一端を係合するためのばね掛け突起87が取り付けられている。一方、ペダルアーム2には、扇形の張り出し部82、円弧状の長孔83及びフリクションブッシュ84が備えられておらず、通常の自動車に適用されるものがそのまま用いられる。
【0071】
長孔83には、摩擦抵抗付与装置6の基軸39が貫通されており、フリクションブッシュ84には摩擦抵抗付与装置を構成する第1及び第2のフリクションプレート31,32が対向に配置される。力覚付与ばね5は、その両端部が補助アーム81に備えられたばね掛け突起87とカムレバー33に開設されたばね掛け孔41に係合される。補助アーム81のばね掛け突起87は、力覚付与ばね5の弾性力により、ペダルアーム2の背面に当接される。その他については、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
実施例2に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置は、自動車に備えられるペダルアーム2とは別に、摩擦抵抗力付与装置を動作させるための補助アーム81を備え、力覚付与ばね5の弾性力によって補助アーム81を戻し方向に付勢すると共に、図示しない戻しばねの弾性力によりペダルアームを戻し方向に付勢するようにしたので、仮に何らかに理由によって補助アーム81を含む摩擦抵抗力付与装置6が踏み込み状態のままロックしてしまった場合にも、ペダルアーム2については戻しばねの弾性力によって確実に初期位置まで戻すことができるので、自動車の安全性を確保することができる。
【実施例3】
【0073】
図17に、実施例3に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例3に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、第1フリクションプレート31と第2フリクションプレート32の間に、これらの各フリクションプレート31,32を、補助アーム81から離隔する方向に付勢する離隔ばね85を備えたことを特徴とする。その他については、実施例2に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置6は、2枚のフリクションプレート31,32の間に離隔ばね84を備えたので、ペダルパッド1の踏み込み解除時に、各フリクションプレート31,32をペダルアーム2の表面から離隔する方向に移動させることができる。よって、ペダルパッド1の踏み込み解除時に、ペダルアーム2の回動角度に関係なくフリクションプレート31,32がペダルアーム2の表面に摺接され続ける等の不都合を防止でき、ペダルパッド1の踏み込み量と踏み力との関係において、所要のヒステリシスを確保することができる。
【実施例4】
【0074】
図18に、実施例4に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例4に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、第1フリクションプレート31に対向させて固定カム35を有するカム部材36を配置し、該カム部材36と保持部材37との間に可動カム34を有するカムレバー33を配置したことを特徴とする。その他については、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、ペダルパッド1の踏み込み時に、カムレバー33の回動に伴ってカム部材36が第1フリクションプレート31に接近する方向に移動し、カム部材36の押圧力によって第1フリクションプレート31がフリクションブッシュ14に押し付けられる。また、フリクションブッシュ14と第1フリクションプレート31との間に一定の押圧力が発生すると、その押圧力によって基軸39が保持部材37側に引かれるので、第2フリクションプレート32もフリクションブッシュ14に押し付けられる。したがって、実施例4に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置も、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置と同等の作用効果を奏する。
【実施例5】
【0075】
図19に、実施例5に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例5に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、力覚付与ばね5として、捩りばねを用いたことを特徴とする。その他については、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置と同等の作用効果を有する。
【実施例6】
【0076】
図20に、実施例6に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例6に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、扇形の張り出し部12を、ペダルパッド1の配設位置側から見てペダルアーム2の奥側に形成したことを特徴とする。その他については、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置と同等の作用効果を有する。
【実施例7】
【0077】
図21に、実施例7に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例7に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、第1及び第2のフリクションプレート31,32、可動カム34、カム部材36及びスペーサ38の外周をケーシング91にて覆い、保持部材37をケーシング91の蓋部材として用いたことを特徴とする。ペダルアーム2及びカムレバー33は、ケーシング91に開設された開口部から外部に突出される。その他については、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置と同等の作用効果を有する。
【実施例8】
【0078】
図22に、実施例8に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置を示す。実施例8に係るペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、基軸39を省略し、摩擦抵抗力付与装置6の各構成部材をペダルアーム2の回動中心軸である保持軸3に取り付けたことを特徴とする。
【0079】
本例に係るペダルアーム2の回動中心部には、円筒形のボス92が一体に形成されており、該ボス92に開設されたセンタ孔93内には、ブッシュ94を介して保持軸3が貫通されている。保持軸3は、小径部95aの一端に大径部95bが形成された二段軸95と、その両端部に螺着される2つのショルダーボルト96,97とからなる。また、ショルダーボルト96,97は、二段軸95へのねじ込み部96a,97aと、大径部95bと同径の軸部96b,97bと、軸部96b,97bの端部に形成された頭部96c,97cとからなる。したがって、二段軸95の両端部にショルダーボルト96,97を螺着したとき、両端に頭部96c,97cを有する二段軸構造の保持軸3が構成される。この保持軸3の両端部は、図22に示すように、ブラケット4に形成された2枚の保持部22に橋架される。ペダルアーム2の表裏両面のボス92の外周部分には、フリクションブッシュ14が取り付けられる。
【0080】
摩擦抵抗力付与装置6は、第1及び第2のフリクションプレート31,32と、第1フリクションプレート31の外面側に配置されたカムレバー33と、カムレバー33の一端部に形成された可動カム34と、可動カム34と対向する面に該可動カム34と係合し合う固定カム35が片面に形成されたカム部材36と、該カム部材36を回動不能に保持する保持部材37と、第2フリクションプレート32の外面側に配置されたスペーサ38とから構成されている。第1及び第2のフリクションプレート31,32、可動カム34、固定カム35及びカム部材36は、ボス92の外周部に装着される。
【0081】
本例のペダル装置及び摩擦抵抗力付与装置は、上述のように構成されているので、アームパッド1を踏み込んだとき、ペダルアーム2の回動量に応じた摩擦抵抗力が、ペダルアーム2の回動中心部に付与される。その他については、実施例1に係るペダル装置及び摩擦抵抗付与装置と同じであるので、対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
その他、前記各実施例においては、第1及び第2のフリクションプレート31,32を備え、ペダルアーム2又は補助アーム81の表裏両面に摩擦抵抗力を付与する構成としたが、いずれか一方のフリクションプレートのみを用い、ペダルアーム2又は補助アーム81の片面のみに摩擦抵抗力を付与する構成とすることもできる。
【0083】
なお、前記各実施例に記載の技術は、単独で実施可能であるばかりでなく、相互に組み合わせて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、自動車のアクセルペダル装置、ブレーキペダル装置及びクラッチペダル装置等に利用できる。
【符号の説明】
【0085】
1 ペダルパッド
2 ペダルアーム
3 保持軸
4 ブラケット
5 力覚付与ばね
6 摩擦抵抗力付与装置
11 軸受部材
12 張り出し部
13 長孔
14 フリクションブッシュ
21 車体への取付部
22 保持部
23 カバー部
24 ボルト貫通孔
31,32 フリクションプレート
33 カムレバー
34 可動カム
35 固定カム
36 カム部材
37 保持部材
38 スペーサ
39 基軸
41 ばね掛け孔
42 突起
42a 傾斜面
51 回り止め用の突起
52 突起
52a 傾斜面
61 カム部材保持部
62 ブラケットへの取付部
63 周壁
64 凹溝
65 取付孔
66 ボス
71 二段軸
71a 小径部
71b 大径部
72,73 ショルダーボルト
81 補助アーム
82 張り出し部
83 長孔
84 フリクションブッシュ
85 離隔ばね
86 ばね掛け突起設定孔
87 ばね掛け突起
91 ケーシング
92 ボス
93 センタ孔
94 ブッシュ
95 二段軸
96,97 ショルダーボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルパッドの踏み込み又は踏み込み解除に連動して回動するアーム部材と、保持軸を介して前記アーム部材を回動可能に保持するブラケットと、前記ペダルパッドの踏み込み時及び踏み込み解除時に、前記アーム部材の回動量に応じた弾性力を前記アーム部材に付与する力覚付与ばねと、前記ペダルパッドの踏み込み時に、前記アーム部材の回動量に応じた摩擦抵抗力を前記アーム部材に付与する摩擦抵抗力付与装置とを備え、
前記摩擦抵抗力付与装置は、前記保持軸又はこれと平行に配列された他の軸に回動可能に取り付けられたカムレバーと、該カムレバーの回転中心側の端面に形成された可動カムと、該可動カムと係合し合う固定カムが片面に形成されたカム部材と、該カム部材を回動不能に保持する保持部材と、前記アーム部材の少なくとも片面と対向に配設され、前記ペダルパッドの踏み込み時に、前記カムレバーの回動に連動して前記アーム部材に摩擦抵抗力を付与するフリクションプレートを有し、前記力覚付与ばねは、その両端が前記アーム部材と前記カムレバーとに係合されることを特徴とする自動車のペダル装置。
【請求項2】
前記摩擦抵抗力付与装置を構成する前記可動カム、前記固定カム及び前記フリクションプレートを、前記保持軸と同心に配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のペダル装置。
【請求項3】
前記アーム部材は、その回動中心である前記保持軸の外周に、前記保持軸を中心とする円弧状の長孔を有しており、前記摩擦抵抗力付与装置は、前記可動カム、前記固定カム及び前記フリクションプレートを保持する基軸を有していて、前記基軸は、前記円弧状の長孔に貫通され、かつ前記保持軸と平行に配列されて、その両端が前記ブラケットに保持されており、前記アーム部材の表面の前記長孔の周辺部分と対向に前記フリクションプレートを配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のペダル装置。
【請求項4】
前記可動カム及び前記固定カムは、前記保持軸又は前記基軸の貫通孔を中心とする円周上に配置された1乃至複数の突起と、各突起の一側面に形成された傾斜面とをもって構成されていて、前記傾斜面どうしを突き合わせることによって同軸に配置されており、前記可動カムを前記保持軸又は前記基軸の周りに回転させたとき、前記各傾斜面の間に滑りを生じて、前記可動カム及び前記固定カムのいずれか一方が、前記保持軸又は前記基軸に沿う方向に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車のペダル装置。
【請求項5】
前記アーム部材を介してその両側に第1フリクションプレート及び第2フリクションプレートを配置し、前記ペダルパッドの踏み込み時、前記アーム部材の表裏両面に摩擦抵抗力を付与することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車のペダル装置。
【請求項6】
前記第1フリクションプレートと前記第2フリクションプレートとの間に、これらの各フリクションプレートを前記アーム部材の表面から離隔する方向に付勢する離隔ばねを備えたことを特徴とする請求項5に記載の自動車のペダル装置。
【請求項7】
前記アーム部材における前記フリクションプレートの押圧部分に、適度の摩擦係数を有する材料からなるフリクションブッシュを取り付けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車のペダル装置。
【請求項8】
前記アーム部材が、前記ペダルパッドと一体に形成されたペダルアームであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動車のペダル装置。
【請求項9】
前記アーム部材として、ペダルアームとは別体の補助アームを備え、これらペダルアーム及び補助アームをそれぞれ前記保持軸に回動自在に連結し、前記力覚付与ばねの弾性力により前記補助アームを前記ペダルアームに弾接させて、前記ペダルパッドの踏み込み時及び踏み込み解除時に前記ペダルアームと前記補助アームとが一体的に回動するように構成すると共に、前記ペダルアームには、前記補助アームとの弾接状態が解除された場合にも、前記ペダルアームを初期位置に復帰させるための戻しばねを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動車のペダル装置。
【請求項10】
前記アーム部材及び前記カムレバーの少なくともいずれか一方に、前記力覚付与ばねの係合部を複数個形成し、前記アーム部材及び前記カムレバーの少なくともいずれか一方に対する前記力覚付与ばねの係合位置を変更することによって、前記アーム部材及び前記カムレバーに作用する前記力覚付与ばねの弾性力を多段階に調整できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の自動車のペダル装置。
【請求項11】
前記ブラケットを、車体への取付部と該取付部より平行に起立された2枚の保持部とから構成し、前記アーム部材及び前記摩擦抵抗力付与装置を、前記2枚の保持部の間に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の自動車のペダル装置。
【請求項12】
ペダルパッドの踏み込み又は踏み込み解除に連動して回動するアーム部材に対し、ペダルパッドの踏み込み時に、その回動量に応じた摩擦抵抗力を付与する摩擦抵抗力付与装置において、
前記アーム部材を回動可能に保持する保持軸又はこれと平行に配列された他の軸に回動可能に取り付けられたカムレバーと、該カムレバーの回転中心側の端面に形成された可動カムと、該可動カムと係合し合う固定カムが片面に形成されたカム部材と、該カム部材を回動不能に保持する保持部材と、前記アーム部材の少なくとも片面と対向に配設され、前記ペダルパッドの踏み込み時に、前記カムレバーの回動に連動して前記アーム部材に摩擦抵抗力を付与するフリクションプレートとを有し、前記力覚付与ばねの両端を、それぞれ前記アーム部材と前記カムレバーとに係合したことを特徴とする摩擦抵抗力付与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−3675(P2013−3675A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131505(P2011−131505)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】