説明

自動車の車両部品配設構造

【課題】車両部品をダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がって取付けることにより、車両部品の取付け作業性の向上と、比較的狭いスペースに対する車両部品のレイアウト性確保との両立を図ることができる自動車の車両部品配設構造の提供を目的とする。
【解決手段】自動車の車両部品配設構造であって、ダッシュパネル1とヒンジピラー7とに跨がって取付けられたコーナガセット25と、ダッシュパネル1とコーナガセット25の頂部25c近傍とに跨がってこれら両者1,25cの車室内側に取付けられた車両部品30と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダッシュパネルもしくはヒンジピラー(ダッシュサイドパネル)の車室内側に制御ユニット等の車両部品が取付けられるような自動車の車両部品配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述例の自動車の車両部品配設構造としては、特許文献1に開示された構造がある。
【0003】
すなわち、ECU(Electronic Control Unit)などの車両部品をダッシュパネルの車室内側に配設する場合、ダッシュパネルの中央部には空調ユニットが配設され、またダッシュパネルの運転席側には少なくともブレーキペダルやアクセルペダル等のペダルが配設されるので、上記車両部品を助手席側においてダッシュパネルの車室内側に配設したものである。
【0004】
しかし、この特許文献1に開示された構造は、車両部品をダッシュパネルの側端面部に上下方向に指向させて取付けたものであるから、該車両部品それ自体の取付け作業性が悪いうえ、この車両部品をECU(つまり制御ユニット)に設定した場合には、該ECUのハーネス接続部にはカプラを介してハーネスが接続されるが、このカプラの接続作業性も悪くなる問題点があった。
【0005】
一方で、特許文献2に開示されているように、前部車体剛性の向上を図る目的で、ダッシュパネルとダッシュサイドパネル(ヒンジピラーと同意)とに跨がってコーナガセットを設け、このコーナガセットにより上記両者(ダッシュパネルとダッシュサイドパネル)間のコーナ部を補強した自動車の前部車体構造も知られている。
【0006】
このようなコーナガセットを備えた自動車において、上記車両部品を配設する場合、そのサービス性(交換性)を考慮して、車両部品の取付け作業性の向上と、比較的狭いスペースに対する車両部品のレイアウト性確保との両立を図ることが要請される。
【特許文献1】特開2002−58151号公報
【特許文献2】特開2004−299633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、ダッシュパネルもしくはヒンジピラーの車室内側に車両部品が取付けられる構造において、ダッシュパネルとヒンジピラーとに跨がるコーナガセットを設け、車両部品をダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がって取付けることにより、車両部品の取付け作業性の向上と、比較的狭いスペースに対する車両部品のレイアウト性確保との両立を図ることができる自動車の車両部品配設構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による自動車の車両部品配設構造は、ダッシュパネルとヒンジピラーとに跨がって取付けられたコーナガセットと、ダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がってこれら両者(ダッシュパネルとコーナガセットとの両者)の車室内側に取付けられた車両部品と、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、車両部品を、ダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がって取付けたので、この車両部品はコーナガセットを避けて取付ける必要がなく、車両部品の一端をダッシュパネルに、また他端をコーナガセットの頂部近傍に取付けることができ、車両部品をコンパクトに取付けることができて、その取付け、取外しも容易となる。
要するに、車両部品の取付け作業性の向上と、比較的狭いスペースに対する車両部品のレイアウト性確保との両立を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記車両部品に設けられダッシュパネルとコーナガセットとに橋渡される取付けブラケットと、を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、取付けブラケットをダッシュパネルとコーナガセットとの間に橋渡すので、この取付けブラケットの剛性を利用して、コーナガセットを補強することができるうえ、コーナガセットと取付けブラケットとが車室内側から見て略T字状に組合わされるので、前部車体剛性の向上を図ることもできる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、コーナガセットの頂部に形成され、上記取付けブラケットと略平行な面を備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、コーナガセットの頂部には上述の略平行な面を形成したので、取付けブラケットの形状を複雑化させることなく、該取付けブラケットをコーナガセットに対して容易に取付けることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記車両部品が制御ユニットであり、制御ユニットの一側面部に形成されたハーネス接続部を備え、制御ユニットはハーネス接続部が後方下方に傾斜するように取付けられたことを特徴とする。
上記構成によれば、制御ユニットのハーネス接続部が後方下方に傾斜するので、制御ユニットをダッシュパネルとコーナガセットとの間に跨がって取付けた後、ハーネス接続部にカプラを介してハーネスを接続する場合、または、ハーネス接続部からカプラを介してハーネスを取外す場合、その着脱性の向上を図ることができる。また、制御ユニットが斜め方向に取付けられる関係上、その取付けに要する上下方向の寸法が小さくてよく、該制御ユニットをコンパクトにレイアウトすることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、制御ユニットを取付けるためダッシュパネルから立設されたスタッドボルトと、スタッドボルトに制御ユニットを取付けるナットと、コーナガセット内方に溶接されたナットと、制御ユニットをコーナガセットに取付けるボルトとを備え、コーナガセットと取付けブラケットとの間には仮り預け構造が形成されたことを特徴とする。
上記構成によれば、ダッシュパネルから車室内方へ突出するコーナガセットにはスタッドボルトを設けることなく、該コーナガセット内方にナットを溶接して、このナットに対してボルトを締結することで、制御ユニットを取付け、ダッシュパネルにはスタッドボルトを立設して、このスタッドボルトに対してナットを締結することで、制御ユニットを取付けるので、コーナガセット部の取付部材の突出量を抑制することができる。
【0013】
また、コーナガセットと取付けブラケットとの間に形成された仮り預け構造と、上述のスタッドボルトとで、制御ユニットを仮り預けすることができるので、制御ユニットを組付ける場合、作業者が制御ユニットを手で押えて保持しなくてもよく、該制御ユニットの取付け作業性の向上を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記仮り預け構造は、取付けブラケットに一体的に形成された位置決めピンと、コーナガセットに設けられ該位置決めピンを挿入する位置決め孔とを備えたことを特徴とする。
上記構成によれば、上記スタッドボルトにて制御ユニットの一方を保持することができ、またコーナガセットの位置決め孔に挿入される取付けブラケットの位置決めピンにより、制御ユニットの他方を位置決めすることができるので、制御ユニットの組付けに際して、仮り預けと位置決めとの両立を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、ダッシュパネルもしくはヒンジピラーの車室内側に車両部品が取付けられる構造において、ダッシュパネルとヒンジピラーとに跨がるコーナガセットを設け、車両部品をダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がって取付けたので、車両部品の取付け作業性の向上と、比較的狭いスペースに対する車両部品のレイアウト性確保との両立を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
車両部品の取付け作業性の向上と、狭いスペースに対する車両部品のレイアウト性確保との両立を図るという目的を、ダッシュパネルとヒンジピラーとに跨がって取付けられたコーナガセットと、ダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がってこれら両者の車室内側に取付けられた車両部品と、を備えるという構成にて実現した。
【実施例】
【0017】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車の車両部品配設構造を示すが、まず、図1を参照して自動車の前部車体構造について説明する。図1は車室内側から前方を見た状態で示す斜視図であって、図1において、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュロアパネル1を設け、このダッシュロアパネル1の下部車室側には、車室の床面を構成するフロアパネル2を一体または一体的に連設形成し、該フロアパネル2の車幅方向中央には車室内方へ突出するトンネル部3を設けている。
【0018】
また、上述のトンネル部3の上部には車体剛性部材としてのトンネルメンバ4を接合固定し、このトンネルメンバ4とトンネル部3との間には車両の前後方向に延びる閉断面5,5を形成している。このトンネルメンバ4は、フロア剛性および車体剛性の向上を図るための強度部材である。
【0019】
さらに、上述のダッシュロアパネル1の上部にはダッシュアッパパネル6を接合固定する一方、上述のダッシュロアパネル1の車幅方向外側部を、その前部に対して後部が車幅方向外方で、かつ車両後方に傾斜するように形成して、ダッシュロアパネル外側部1aを構成している。
【0020】
そして、このダッシュロアパネル外側部1aには上下方向に延びるヒンジピラー7(ダッシュサイドパネルと同意)を接合固定している。
【0021】
このヒンジピラー7は図5に示すように、ヒンジピラーアウタ8とヒンジピラーインナ9とを接合して、上下方向に延びるピラー閉断面10を備えた車体剛性部材であって、ヒンジピラーアウタ8にはヒンジピラーレインフォースメント11を接合固定して、ピラー強度の向上を図っている。また、上述のヒンジピラーアウタ8の車外側にはキャブサイドアウタ12を接合固定している。
【0022】
ヒンジピラー7のヒンジピラーインナ9の上方前部には、ダッシュアッパパネル6の車幅方向外側部6aを接合固定する一方、このヒンジピラー7の上部には、前方から後方にかけて斜め上方に延びるフロントピラー13を接合している。
【0023】
このフロントピラー13は、フロントピラーインナ14と、フロントピラーアウタ(図示せず)とを接合して、これら両者間に閉断面を形成した車体剛性部材であって、左右一対のフロントピラーインナ14,14の上端部相互間には車幅方向に延びるフロントヘッダ15を張架している。
【0024】
このフロントヘッダ15はルーフパネル(図示せず)の張り剛性を確保するもので、このフロントヘッダ15と、左右一対のフロントピラー14,14と、ダッシュアッパパネル6との間には、フロントウインド開口16が形成されている。
【0025】
一方、フロアパネル2の下部車外側には車両の前後方向に延びる左右一対のフロアフレーム17,17を接合固定して、フロアパネル2とフロアフレーム17との間には前後方向に延びる閉断面18を形成している。
【0026】
このフロアフレーム17は、エンジンルームの左右両側部において車両の前後方向に延びるフロントサイドフレーム19と前後方向に連続するように設けられている。ここで、上述のフロントサイドフレーム19は図5に示すように、フロントサイドフレームインナ20とフロントサイドフレームアウタ21とを接合して、前後方向に延びる閉断面22を備えた車体剛性部材である。
【0027】
上述のヒンジピラーインナ9の下部には、図示しないサイドシルのサイドシルインナと対応すべく前後方向に延びる逆L字状部9aが一体形成されており、ヒンジピラー7と、フロントピラー13と、図示しないサイドシル、センタピラー、ルーフサイド部とで囲繞されたフロントドア開口部23を形成している。また、上述のフロアフレーム17とヒンジピラーインナ9の逆L字状部9aとの間には車幅方向に延びるトルクボックス24が設けられている。
【0028】
さらに、ダッシュロアパネル1の上下方向中間位置と対応して、このダッシュロアパネル1とヒンジピラーインナ9とに跨がるようにコーナガセット25が取付けられ、図5に示すように、該コーナガセット25とダッシュロアパネル1との間には閉断面26が形成されている。該コーナガセット25は前部車体剛性の向上を図る車体剛性部材である。また、同図に示すように、このコーナガセット25が取付けられた上下方向の位置と略同一高さ位置には、ダッシュロアパネル1の前部において車幅方向に延びるダッシュクロスメンバ27が取付けられており、このダッシュクロスメンバ27とダッシュロアパネル1との間には、車幅方向に延びるダッシュクロス閉断面28が形成されている。
【0029】
なお、図1において、29はダッシュロアパネル1およびダッシュアッパパネル6の車幅方向中央部において車室側に配設される空調ユニットである。
【0030】
次に、図2〜図7を参照して、自動車の車両部品配設構造について詳述する。
図2は図1の助手席側の要部を拡大して示す斜視図、図3は図2から車両部品としての制御ユニット30を取外した状態で示す斜視図、図4は図2のA−A線に沿う要部の断面図、図5は図2のB−B線矢視断面図で、この実施例では、予め制御ユニット30の裏面に取付けられる取付けブラケット31を介して、上記制御ユニット30を、ダッシュロアパネル外側部1aとコーナガセット25の頂部近傍とに跨がって、これら両者1a,25の車室内側に取付けるものである。
【0031】
ここで、上述のコーナガセット25は、図2、図3、図4に示すように上片25aと、下片25bと、これら各片25a,25bの間に一体形成された頂部25cと、該コーナガセット25の周囲に一体形成された複数の接合フランジ25d,25e,25f,25g,25hとを備え、頂部25cには取付けブラケット31と略平行な面、つまり平行面25Xが形成されている。
【0032】
また、取付けブラケット31は、その車室内側から見た斜視図を図6に示し、その裏面側(車両前方側)の斜視図を図7に示すように、ブラケット主面31aと、このブラケット主面31aの上部に一体に段下げ形成された上部取付け片31bと、ブラケット主面31aの下部に一体に段下げ形成された下部取付け片31cとを備え、この下部取付け片31cに対してブラケット主面31aを介して対向する位置には、該取付けブラケット31とは別体に形成されたサブブラケット32を溶接固定している。
【0033】
図6において、33は制御ユニット30の裏面(つまり車体取付け時の前面)に予め溶接固定されたプレートであって、このプレート33に一体的に設けられたカシメピン34,34(図7参照)を、取付けブラケット31のブラケット主面31aの開口31d,31eに貫通させた後、該カシメピン34をかしめて、図6に示すカシメ部34A,34Aを形成し、上記制御ユニット30を、プレート33を介して取付けブラケット31にアセンブリしたものである。上述のプレート33を用いることで制御ユニット30に対する埃などの侵入防止を図ることができると共に、制御ユニット30のシール性向上を図ることができる。
【0034】
上述のコーナガセット25側の平行面25Xは上部取付け片31bおよびサブブラケット32の段差状の取付け面と略平行になるものである。
【0035】
上述の取り付けブラケット31は図3に示すように、ダッシュロアパネル外側部1aとコーナガセット25の頂部25cとに橋渡されるもので、その取付け構造は図4に示す通りである。
【0036】
すなわち、取付けブラケット31の下部取付け片31cと対応して、ダッシュロアパネル外側部1aにはスタッドボルト35を車室内方に向けて立設し、このスタッドボルト35の基部に金属製カラー部材36を装着した後に、ナット37を上記スタッドボルト35に締付けることにより、下部取付け片31cをダッシュロアパネル外側部1aに取付けるように構成している。
【0037】
また、取付けブラケット31の上部取付け片31bと対応して、コーナガセット25の頂部25cの裏面には予めナット38を溶接固定し、金属製カラー部材39を装着したボルト40を上記ナット38に締付けて、上部取付け片31bをコーナガセット25の頂部25cに取付けるように構成している。
【0038】
さらに、図5に示すように、サブブラケット32にはコーナガセット25の頂部25c側に向けて位置決めピン41を一体的に突出形成し、コーナガセット25の頂部25cには該位置決めピン41を挿入する位置決め孔42を形成し、これら両者41,42により、コーナガセット25と取付けブラケット31との間に仮り預け構造43を構成している。
【0039】
このように、取付けブラケット31の上部取付け片31bを、ボルト40、ナット38を用いてコーナガセット25の頂部25cに取付けると共に、下部取付け片31cを、スタッドボルト35、ナット37を用いてダッシュロアパネル外側部1aに取付けることで、該取付けブラケット31はコーナガセット25とダッシュロアパネル1との間に橋渡されるものである。
【0040】
図3、図6、図7では構造を明確に図示する目的で、制御ユニット30を取外した状態で示したが、実際には、該制御ユニット30はプレート33(図6参照)を介して取付けブラケット31にアセンブリされており、制御ユニット30を一体的に備えた取付けブラケット31が上記両者25,1間(詳しくはコーナガセット25の頂部と、ダッシュロアパネル外側部1aとの間)に取付けられるものである。
【0041】
この制御ユニット30は、図2に示すように、その一側面部にカプラを介してハーネスを接続するハーネス接続部30Hを備えており、取付けブラケット31の取付け完了時には、該ハーネス接続部30Hが図2に示すように、後方下方に傾斜して取付けられるものである。
【0042】
制御ユニット30が一体的に組付けられた取付けブラケット31を車体に取付ける際には、まず、サブブラケット32の位置決めピン41を、コーナガセット25の頂部25cにおける位置決め孔42に挿入すると共に、取付けブラケット31の下部取付け片31cにおけるボルト挿通孔にスタッドボルト35を貫通させる。
【0043】
上述の位置決めピン41とスタッドボルト35との両者により、制御ユニット30の落下防止が図れると共に、スタッドボルト35を中心として取付けブラケット31および制御ユニット30が不所望に回転しようとする回転防止が図れ、制御ユニット30の仮り預け、および、位置決めを同時に行なうことができる。
【0044】
その後、ボルト40をナット38に締付けて、取付けブラケット31の上部取付け片31bを、コーナガセット25の頂部25cに締結すると共に、ナット37をスタッドボルト35に締付けて、取付けブラケット31の下部取付け片31cを、ダッシュロアパネル外側部1aに締結すると、制御ユニット30の取付けが完了し、この取付け完了時に制御ユニット30それ自体はその下部が車外側に指向するように約45度傾斜した配設状態となり、そのハーネス接続部30Hは後方下方に傾斜した状態となるものである。
【0045】
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0046】
このように、図1〜図7で示した実施例の自動車の車両部品配設構造は、ダッシュロアパネル1とヒンジピラー7とに跨がって取付けられたコーナガセット25と、ダッシュロアパネル1とコーナガセット25の頂部25c近傍とに跨がってこれら両者(ダッシュロアパネル1とコーナガセット25との両者)の車室内側に取付けられた車両部品(制御ユニット30参照)と、を備えたものである。
この構成によれば、車両部品(制御ユニット30参照)を、ダッシュロアパネル1とコーナガセット25の頂部25c近傍とに跨がって取付けたので、この車両部品(制御ユニット30参照)はコーナガセット25を避けて取付ける必要がなく、車両部品(制御ユニット30参照)の一端(下端)をダッシュロアパネル1に、また他端(上端)をコーナガセット25の頂部25c近傍に取付けることができ、車両部品(制御ユニット30参照)をコンパクトに取付けることができて、その取付け、取外しも容易となる。
要するに、車両部品(制御ユニット30参照)の取付け作業性の向上と、比較的狭いスペースに対する車両部品(制御ユニット30参照)のレイアウト性確保との両立を図ることができる。
【0047】
また、上記車両部品(制御ユニット30参照)に設けられダッシュロアパネル1とコーナガセット25とに橋渡される取付けブラケット31と、を備えたものである。
この構成によれば、取付けブラケット31をダッシュロアパネル1とコーナガセット25との間に橋渡すので、この取付けブラケット31の剛性を利用して、コーナガセット25を補強することができるうえ、コーナガセット25と取付けブラケット31とが、図3に示すように、車室内側から見て略T字状に組合わされるので、前部車体剛性の向上を図ることもできる。
【0048】
さらに、コーナガセット25の頂部25cに形成され、上記取付けブラケット31と略平行な面(平行面25X参照)を備えたものである。
この構成によれば、コーナガセット25の頂部25cには上述の略平行な面(平行面25X参照)を形成したので、取付けブラケット31の形状を複雑化させることなく、該取付けブラケット31をコーナガセット25に対して容易に取付けることができる。
【0049】
しかも、上記車両部品が制御ユニット30であり、制御ユニット30の一側面部(下側面部)に形成されたハーネス接続部30Hを備え、制御ユニット30はハーネス接続部30Hが後方下方に傾斜するように取付けられたものである。
この構成によれば、制御ユニット30のハーネス接続部30Hが後方下方に傾斜するので、制御ユニット30をダッシュロアパネル1とコーナガセット25との間に跨がって取付けた後、ハーネス接続部30Hにカプラを介してハーネスを接続する場合、または、ハーネス接続部30Hからカプラを介してハーネスを取外す場合、その着脱性の向上を図ることができる。また、制御ユニット30が斜め方向に取付けられる関係上、その取付けに要する上下方向の寸法が小さくてよく、該制御ユニット30をコンパクトにレイアウトすることができる。
【0050】
加えて、制御ユニット30を取付けるためダッシュロアパネル1から立設されたスタッドボルト35と、スタッドボルト35に制御ユニット30を取付けるナット37と、コーナガセット25の内方に溶接されたナット38と、制御ユニット30をコーナガセット25に取付けるボルト40とを備え、コーナガセット25と取付けブラケット31との間には仮り預け構造43が形成されたものである。
この構成によれば、ダッシュロアパネル1から車室内側へ突出するコーナガセット25にはスタッドボルトを設けることなく、該コーナガセット25内方にナット38を溶接して、このナット38に対してボルト40を締結することで、制御ユニット30を取付け、ダッシュロアパネル1にはスタッドボルト35を立設して、このスタッドボルト35に対してナット37を締結することで、制御ユニット30を取付けるので、コーナガセット部の取付部材(ボルト40、ナット38参照)の突出量を抑制することができる。
【0051】
また、コーナガセット25と取付けブラケット31との間に形成された仮り預け構造43と、上述のスタッドボルト35とで、制御ユニット30を仮り預けすることができるので、制御ユニット30を組付ける場合、作業者が制御ユニット30を手で押えて保持しなくてもよく、該制御ユニット30の取付け作業性の向上を図ることができる。
【0052】
さらに、上記仮り預け構造43は、取付けブラケット31に一体的に形成された位置決めピン41と、コーナガセット25に設けられ該位置決めピン41を挿入する位置決め孔42とを備えたものである。
この構成によれば、上記スタッドボルト35にて制御ユニット30の一方(下方)を保持することができ、またコーナガセット25の位置決め孔42に挿入される取付けブラケット31の位置決めピン41により、制御ユニット30の他方(上方)を位置決めすることができるので、制御ユニット30の組付けに際して、仮り預けと、位置決めとの両立を図ることができる。
【0053】
図8はコーナガセット25と取付けブラケット31との間に形成される仮り預け構造43の他の実施例を示し、上述のサブブラケット32は取付けブラケット31に対してコーナガセット25の頂部25cに近接すべく段下げ形成されているので、このサブブラケット32に仮り預け、および位置決めを兼ねる位置決め孔44を形成し、コーナガセット25の頂部25cには車室内方へ突出する位置決めピン45を溶接固定して、これら両者44,45により仮り預け構造43を構成したものである。
【0054】
このように構成しても、その他の構成、作用、効果については、図1〜図7で示した先の実施例とほぼ同様であるから、図8において図5と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0055】
図9は仮り預け構造43のさらに他の実施例を示し、コーナガセット25の頂部25cには図8で示した実施例と同様に、車室内方へ突出する位置決めピン45を溶接固定し、サブブラケット32には、スタッドボルト35を中心とする円弧状の係止溝46を開口形成し、これら両者45,46により仮り預け構造43を構成したものである。
【0056】
このように構成すると、制御ユニット30がアセンブリされた取付けブラケット31を車体に組付ける場合、まず、取付けブラケット31の下部取付け片31cのボルト挿通孔にスタッドボルト35を挿入し、この状態下において図9に仮想線αで示す取付けブラケット31およびサブブラケット32を、スタッドボルト35を中心として図示の時計方向へ回動操作すると、係止溝46内に位置決めピン45が相対的に挿入し、サブブラケット32および取付けブラケット31は位置決めピン45が係止溝46の内奥溝縁部に達した時(図9の実線参照)に、仮り預け、および位置決めされるものである。
【0057】
このように構成しても、その他の構成、作用、効果については図1〜図7で示した先の実施例とほぼ同様であるから、図9において図2と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0058】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のダッシュパネルは、実施例のダッシュロアパネル1に対応し、
以下同様に、
車両部品は、制御ユニット30に対応し、
コーナガセット頂部25cの取付けブラケット31と略平行な面は、平行面25Xに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記サブブラケット32を取付けブラケット31と一体形成する構造を採用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の自動車の車両部品配設構造を示す斜視図
【図2】図1の助手席側の要部を拡大して示す斜視図
【図3】制御ユニットを除去した状態で示す斜視図
【図4】図2のA−A線に沿う要部の矢視断面図
【図5】図2のB−B線矢視断面図
【図6】取付けブラケットを車室内側から見た状態で示す斜視図
【図7】取付けブラケットを裏面側から見た状態で示す斜視図
【図8】仮り預け構造の他の実施例を示す断面図
【図9】仮り預け構造のさらに他の実施例を示す斜視図
【符号の説明】
【0061】
1…ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
7…ヒンジピラー
25…コーナガセット
25c…頂部
25X…平行面
30…制御ユニット(車両部品)
30H…ハーネス接続部
31…取付けブラケット
35…スタッドボルト
37,38…ナット
40…ボルト
41…位置決めピン
42…位置決め孔
43…仮り預け構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車両部品配設構造であって、
ダッシュパネルとヒンジピラーとに跨がって取付けられたコーナガセットと、
ダッシュパネルとコーナガセットの頂部近傍とに跨がってこれら両者の車室内側に取付けられた車両部品と、を備えた
自動車の車両部品配設構造。
【請求項2】
上記車両部品に設けられダッシュパネルとコーナガセットとに橋渡される取付けブラケットと、を備えた
請求項1記載の自動車の車両部品配設構造。
【請求項3】
コーナガセットの頂部に形成され、上記取付けブラケットと略平行な面を備えた
請求項2記載の自動車の車両部品配設構造。
【請求項4】
上記車両部品が制御ユニットであり、
制御ユニットの一側面部に形成されたハーネス接続部を備え、
制御ユニットはハーネス接続部が後方下方に傾斜するように取付けられた
請求項1〜3の何れか1に記載の自動車の車両部品配設構造。
【請求項5】
制御ユニットを取付けるためダッシュパネルから立設されたスタッドボルトと、
スタッドボルトに制御ユニットを取付けるナットと、
コーナガセット内方に溶接されたナットと、
制御ユニットをコーナガセットに取付けるボルトとを備え、
コーナガセットと取付けブラケットとの間には仮り預け構造が形成された
請求項4記載の自動車の車両部品配設構造。
【請求項6】
上記仮り預け構造は、取付けブラケットに一体的に形成された位置決めピンと、
コーナガセットに設けられ該位置決めピンを挿入する位置決め孔とを備えた
請求項5記載の自動車の車両部品配設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−100599(P2008−100599A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284472(P2006−284472)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】