自動車ドアサッシュ構造
【課題】 ドア閉時に破裂音が発生することのない自動車のドアサッシュ構造を提供する。
【解決手段】 自動車の乗降ドアのサッシュ2に取付けられ、ボディパネルに弾接するドアウエザーストリップと、ボディパネルのドア開口縁に沿って取付けられ、ドアサッシュ2に弾接するオープニングシールを備え、ドアサッシュ2のコーナー部に、オープニングシールが弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造における構造において、コーナーピース3に、オープニングシールが弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、ドア閉時に溝部4から空気を逃がす。
【解決手段】 自動車の乗降ドアのサッシュ2に取付けられ、ボディパネルに弾接するドアウエザーストリップと、ボディパネルのドア開口縁に沿って取付けられ、ドアサッシュ2に弾接するオープニングシールを備え、ドアサッシュ2のコーナー部に、オープニングシールが弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造における構造において、コーナーピース3に、オープニングシールが弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、ドア閉時に溝部4から空気を逃がす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の乗降ドアのサッシュのコーナー部に、シール性の向上を目的とするコーナーピースを設けたドアサッシュ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図5を参照して説明する。従来、自動車には、ドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、前記ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備えたいわゆる二重シール構造が多く採用されている。
【0003】
こうした二重シール構造では、ドアサッシュ2のコーナー部にオープニングシール30との弾接面積を大きくしてより優れたシール性を確保するためにコーナーピース41が取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−331526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、こうした従来の二重シール構造においては、ドア閉時に破裂音が発生するといった問題がある。これは、図3乃至図5に示す空隙部Gに、空気が閉じこめられ、ドアが完全に閉じる瞬間に急速に流出する圧縮空気によってドアウエザーストリップ10やオープニングシール30が振動することにより発生するものである。この現象は、オープニングシール30との弾接面積を大きくするためのコーナーピース41を設けた従来のドアサッシュ構造40によって、さらに顕著に現れている。
【0005】
本発明はこうした問題を解決するために創案されたもので、ドア閉時に破裂音が発生することのないドアサッシュ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図1、図3、図5〜図7を参照して説明する。請求項1に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、自動車のドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、前記ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、前記ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備え、前記ドアサッシュ2のコーナー部に、前記オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造における構造であり、前記コーナーピース3に、前記オープニングシール30が弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、ドア閉時に前記溝部4から空気(圧縮空気)が逃げることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、自動車のドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、前記ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、前記ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備え、前記ドアサッシュ2のコーナー部に、前記オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造における構造であり、前記コーナーピース3に、前記オープニングシール30が弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、また、前記溝部4を屈曲状に形成し、ドア閉時に前記溝部4から空気(圧縮空気)が逃げることを特徴とするものである。屈曲状とは、直線状以外の状態を意味し、例えば、くの字状、S字状、あるいはジグザグ状を含む。
【0008】
請求項3に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1または2に記載の発明において、前記コーナーピース3を樹脂製としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1乃至3に記載の発明において、前記溝部4の深さおよび幅を約1mmに設定したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、ドアウエザーストリップ10とオープニングシール30を備え、ドアサッシュ2のコーナー部に、オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造において、コーナーピース3に、オープニングシール30が弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、ドア閉時に溝部4から空気を逃がすようにしているので、ドア閉時における破裂音の発生を防止することができる。
【0011】
すなわち、破裂音は、前述したように、図3乃至図5に示す空隙部Gに空気が閉じこめられた後、急速に流出する圧縮空気によってドアウエザーストリップ10やオープニングシール30が振動して発生するものであるが、本発明ではその圧縮空気を、図8の矢印で示すように、溝部4から逃がすので、ドアウエザーストリップ10等は振動せず、よって破裂音を発しない。
【0012】
なお、空隙部Gの空気は、ドアを閉じることにより圧縮されたままの状態で、溝部4から抜けるので、ドアを閉じた際のクッションとして機能する。従って、ドア閉じ音を軽減し、良好なドア閉じ性を発揮する。
【0013】
請求項2に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1に記載の発明と同様に、ドア閉時における破裂音の発生を防止することができる。また、溝部4を屈曲状に形成しているので(すなわち、溝部4は直線状ではないので)、音の通過を抑制して優れた遮音性を確保することができる。また、同様の理由で、水の侵入を防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1および2に記載の発明と同様の効果を発揮する。また、コーナーピース3を樹脂製としたので、金属製と比較して、溝部4を容易に形成することができる。従って、生産性の向上を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1乃至3に記載の発明と同様の効果を発揮する。また、溝部4の深さおよび幅を約1mmに設定したので、ドア閉時における圧縮空気を良好に逃がすことができると共に、良好な遮音性を確保し、また、水の侵入も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る自動車ドアサッシュ構造1の実施形態を、図1、図3、図4、図6乃至図8に示す。このドアサッシュ構造1は、自動車のドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備える二重シール構造におけるものである。また、このドアサッシュ構造1は、ドアサッシュ2のコーナー部に、オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を備える。
【0017】
ドアウエザーストリップ10は、ドアサッシュ2に形成された断面略U字状のリテーナー5に組付く取付基部11と、ボディパネル20に弾接する中空シール部12およびアウターリップ13を備える。また、オープニングシール30は、ボディパネル20のドア開口縁に沿って形成されたフランジ21に組付く断面略U字状のベース部31と、直線部ではドアサッシュ2に弾接し、コーナー部ではコーナーピース3に弾接する中空弾接部32と、内装材Mに接触する内装トリム33、およびフランジ21に係止する係止リップ34を備える。
【0018】
そして、このコーナーピース3の室内側表面に、オープニングシール30が弾接する弾接面S(図7の斜線部分)を横断する溝部4を設け、ドア閉時にこの溝部4から空気(圧縮空気)を逃がすようにしている。本実施形態では、コーナーピース3を略三角形状とし、溝部4をドアサッシュ2に当接する略上方部3aから略下方部3bに至るまで、当該コーナーピース3を上下斜めに横切る形態で設けている。
【0019】
こうした溝部4を形成したことにより、ドア閉時において、圧縮空気を溝部4から逃がすことができるので、ドアウエザーストリップ10およびオープニングシール30は振動せず、よって破裂音の発生を防止することができる。
【0020】
なお、空隙部Gの空気は、ドアを閉じることにより圧縮されたままの状態で、溝部4からゆっくり抜ける。従って、ドアを閉じた際にはクッションとして機能し、いわゆるドア閉じ音の軽減を図り、良好なドア閉じ性を得ることができる。
【0021】
また、本実施形態では、溝部4を屈曲状(ジグザグ状)に形成している。これにより、壁面4aを形成することができるので、直線状に形成した場合と比較して、車内外からの音の通過を抑制して優れた遮音性を確保することができると共に、水の侵入を防止することができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、コーナーピース3を樹脂製としている。これによって、金属製の場合と比較して、溝部4を容易に形成することができ、生産性の向上を図ることができる。なお、コーナーピース3は樹脂製以外(例えば、金属)で形成することもできる。
【0023】
さらに、本実施形態における溝部4は、その深さおよび幅を約1mmに設定している。従って、ドア閉時における圧縮空気を良好に逃がすことができると共に、良好な遮音性を確保し、また、水の侵入も防止することができる。なお、溝部4の深さと幅は、1mm以上またはそれ以下とすることもできる。
【0024】
なお、本実施形態では、溝部4は1本としているが、その数は限定されず、例えば、図9に示すように、複数本形成することができる。また、図10に示すように、S字状とすることができる。また、溝部4はコーナーピース3を上下斜めに横切る形態で形成しているが、これに限定されるものではなく、コーナーピース3の弾接面Sを横断するものであれば良い。従って、例えば、図11に示すように、コーナーピース3の上端(斜辺端3a)まで達しない状態で構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明および従来例に係るドアサッシュ構造を備える自動車の左前ドアを車外から見た側面図である。
【図2】図1のドアを室内側から見た状態における従来例に係るドアサッシュ構造を示す要部拡大斜視図である
【図3】図1のX−X線断面図である。
【図4】従来例における図1のY−Y線断面図である。
【図5】図1のZ−Z線断面図である。
【図6】図1のドアを室内側から見た状態における本発明の実施形態に係るドアサッシュ構造を示す要部拡大斜視図である。
【図7】図6に示すドアサッシュ構造の拡大側面図である。
【図8】図7のP−P線断面図である。
【図9】本発明におけるコーナーピースの他の形態を示す側面図である。
【図10】本発明におけるコーナーピースのさらに他の形態を示す側面図である。
【図11】本発明におけるコーナーピースのさらに他の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ドアサッシュ構造
2 ドアサッシュ
3 コーナーピース
3a 略上方部
3b 略下方部
4 溝部
4a 壁面
5 リテーナー
10 ドアウエザーストリップ
11 取付基部
12 中空シール部
13 アウターリップ
20 ボディパネル
21 フランジ
30 オープニングシール
31 ベース部
32 中空弾接部
33 内装トリム
34 係止リップ
40 ドアサッシュ構造
41 コーナーピース
G 空隙部
M 内装材
S 弾接面
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の乗降ドアのサッシュのコーナー部に、シール性の向上を目的とするコーナーピースを設けたドアサッシュ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図5を参照して説明する。従来、自動車には、ドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、前記ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備えたいわゆる二重シール構造が多く採用されている。
【0003】
こうした二重シール構造では、ドアサッシュ2のコーナー部にオープニングシール30との弾接面積を大きくしてより優れたシール性を確保するためにコーナーピース41が取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−331526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、こうした従来の二重シール構造においては、ドア閉時に破裂音が発生するといった問題がある。これは、図3乃至図5に示す空隙部Gに、空気が閉じこめられ、ドアが完全に閉じる瞬間に急速に流出する圧縮空気によってドアウエザーストリップ10やオープニングシール30が振動することにより発生するものである。この現象は、オープニングシール30との弾接面積を大きくするためのコーナーピース41を設けた従来のドアサッシュ構造40によって、さらに顕著に現れている。
【0005】
本発明はこうした問題を解決するために創案されたもので、ドア閉時に破裂音が発生することのないドアサッシュ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図1、図3、図5〜図7を参照して説明する。請求項1に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、自動車のドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、前記ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、前記ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備え、前記ドアサッシュ2のコーナー部に、前記オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造における構造であり、前記コーナーピース3に、前記オープニングシール30が弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、ドア閉時に前記溝部4から空気(圧縮空気)が逃げることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、自動車のドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、前記ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、前記ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備え、前記ドアサッシュ2のコーナー部に、前記オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造における構造であり、前記コーナーピース3に、前記オープニングシール30が弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、また、前記溝部4を屈曲状に形成し、ドア閉時に前記溝部4から空気(圧縮空気)が逃げることを特徴とするものである。屈曲状とは、直線状以外の状態を意味し、例えば、くの字状、S字状、あるいはジグザグ状を含む。
【0008】
請求項3に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1または2に記載の発明において、前記コーナーピース3を樹脂製としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1乃至3に記載の発明において、前記溝部4の深さおよび幅を約1mmに設定したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、ドアウエザーストリップ10とオープニングシール30を備え、ドアサッシュ2のコーナー部に、オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を設けた二重シール構造において、コーナーピース3に、オープニングシール30が弾接する弾接面Sを横断する溝部4を設け、ドア閉時に溝部4から空気を逃がすようにしているので、ドア閉時における破裂音の発生を防止することができる。
【0011】
すなわち、破裂音は、前述したように、図3乃至図5に示す空隙部Gに空気が閉じこめられた後、急速に流出する圧縮空気によってドアウエザーストリップ10やオープニングシール30が振動して発生するものであるが、本発明ではその圧縮空気を、図8の矢印で示すように、溝部4から逃がすので、ドアウエザーストリップ10等は振動せず、よって破裂音を発しない。
【0012】
なお、空隙部Gの空気は、ドアを閉じることにより圧縮されたままの状態で、溝部4から抜けるので、ドアを閉じた際のクッションとして機能する。従って、ドア閉じ音を軽減し、良好なドア閉じ性を発揮する。
【0013】
請求項2に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1に記載の発明と同様に、ドア閉時における破裂音の発生を防止することができる。また、溝部4を屈曲状に形成しているので(すなわち、溝部4は直線状ではないので)、音の通過を抑制して優れた遮音性を確保することができる。また、同様の理由で、水の侵入を防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1および2に記載の発明と同様の効果を発揮する。また、コーナーピース3を樹脂製としたので、金属製と比較して、溝部4を容易に形成することができる。従って、生産性の向上を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の自動車ドアサッシュ構造1は、請求項1乃至3に記載の発明と同様の効果を発揮する。また、溝部4の深さおよび幅を約1mmに設定したので、ドア閉時における圧縮空気を良好に逃がすことができると共に、良好な遮音性を確保し、また、水の侵入も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る自動車ドアサッシュ構造1の実施形態を、図1、図3、図4、図6乃至図8に示す。このドアサッシュ構造1は、自動車のドアサッシュ2に取付けられ、ボディパネル20に弾接するドアウエザーストリップ10と、ボディパネル20のドア開口縁に沿って取付けられ、ドアサッシュ2に弾接するオープニングシール30を備える二重シール構造におけるものである。また、このドアサッシュ構造1は、ドアサッシュ2のコーナー部に、オープニングシール30が弾接するコーナーピース3を備える。
【0017】
ドアウエザーストリップ10は、ドアサッシュ2に形成された断面略U字状のリテーナー5に組付く取付基部11と、ボディパネル20に弾接する中空シール部12およびアウターリップ13を備える。また、オープニングシール30は、ボディパネル20のドア開口縁に沿って形成されたフランジ21に組付く断面略U字状のベース部31と、直線部ではドアサッシュ2に弾接し、コーナー部ではコーナーピース3に弾接する中空弾接部32と、内装材Mに接触する内装トリム33、およびフランジ21に係止する係止リップ34を備える。
【0018】
そして、このコーナーピース3の室内側表面に、オープニングシール30が弾接する弾接面S(図7の斜線部分)を横断する溝部4を設け、ドア閉時にこの溝部4から空気(圧縮空気)を逃がすようにしている。本実施形態では、コーナーピース3を略三角形状とし、溝部4をドアサッシュ2に当接する略上方部3aから略下方部3bに至るまで、当該コーナーピース3を上下斜めに横切る形態で設けている。
【0019】
こうした溝部4を形成したことにより、ドア閉時において、圧縮空気を溝部4から逃がすことができるので、ドアウエザーストリップ10およびオープニングシール30は振動せず、よって破裂音の発生を防止することができる。
【0020】
なお、空隙部Gの空気は、ドアを閉じることにより圧縮されたままの状態で、溝部4からゆっくり抜ける。従って、ドアを閉じた際にはクッションとして機能し、いわゆるドア閉じ音の軽減を図り、良好なドア閉じ性を得ることができる。
【0021】
また、本実施形態では、溝部4を屈曲状(ジグザグ状)に形成している。これにより、壁面4aを形成することができるので、直線状に形成した場合と比較して、車内外からの音の通過を抑制して優れた遮音性を確保することができると共に、水の侵入を防止することができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、コーナーピース3を樹脂製としている。これによって、金属製の場合と比較して、溝部4を容易に形成することができ、生産性の向上を図ることができる。なお、コーナーピース3は樹脂製以外(例えば、金属)で形成することもできる。
【0023】
さらに、本実施形態における溝部4は、その深さおよび幅を約1mmに設定している。従って、ドア閉時における圧縮空気を良好に逃がすことができると共に、良好な遮音性を確保し、また、水の侵入も防止することができる。なお、溝部4の深さと幅は、1mm以上またはそれ以下とすることもできる。
【0024】
なお、本実施形態では、溝部4は1本としているが、その数は限定されず、例えば、図9に示すように、複数本形成することができる。また、図10に示すように、S字状とすることができる。また、溝部4はコーナーピース3を上下斜めに横切る形態で形成しているが、これに限定されるものではなく、コーナーピース3の弾接面Sを横断するものであれば良い。従って、例えば、図11に示すように、コーナーピース3の上端(斜辺端3a)まで達しない状態で構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明および従来例に係るドアサッシュ構造を備える自動車の左前ドアを車外から見た側面図である。
【図2】図1のドアを室内側から見た状態における従来例に係るドアサッシュ構造を示す要部拡大斜視図である
【図3】図1のX−X線断面図である。
【図4】従来例における図1のY−Y線断面図である。
【図5】図1のZ−Z線断面図である。
【図6】図1のドアを室内側から見た状態における本発明の実施形態に係るドアサッシュ構造を示す要部拡大斜視図である。
【図7】図6に示すドアサッシュ構造の拡大側面図である。
【図8】図7のP−P線断面図である。
【図9】本発明におけるコーナーピースの他の形態を示す側面図である。
【図10】本発明におけるコーナーピースのさらに他の形態を示す側面図である。
【図11】本発明におけるコーナーピースのさらに他の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ドアサッシュ構造
2 ドアサッシュ
3 コーナーピース
3a 略上方部
3b 略下方部
4 溝部
4a 壁面
5 リテーナー
10 ドアウエザーストリップ
11 取付基部
12 中空シール部
13 アウターリップ
20 ボディパネル
21 フランジ
30 オープニングシール
31 ベース部
32 中空弾接部
33 内装トリム
34 係止リップ
40 ドアサッシュ構造
41 コーナーピース
G 空隙部
M 内装材
S 弾接面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアサッシュ(2)に取付けられ,ボディパネル(20)に弾接するドアウエザーストリップ(10)と,前記ボディパネルのドア開口縁に沿って取付けられ,前記ドアサッシュに弾接するオープニングシール(30)を備え,前記ドアサッシュのコーナー部に,前記オープニングシールが弾接するコーナーピース(3)を設けた二重シール構造におけるドアサッシュ構造であって、前記コーナーピースに,前記オープニングシールが弾接する弾接面(S)を横断する溝部(4)を設け,ドア閉時に前記溝部から空気が逃げることを特徴とする自動車ドアサッシュ構造。
【請求項2】
自動車のドアサッシュ(2)に取付けられ,ボディパネル(20)に弾接するドアウエザーストリップ(10)と,前記ボディパネルのドア開口縁に沿って取付けられ,前記ドアサッシュに弾接するオープニングシール(30)を備え,前記ドアサッシュのコーナー部に,前記オープニングシールが弾接するコーナーピース(3)を設けた二重シール構造におけるドアサッシュ構造であって、前記コーナーピースに,前記オープニングシールが弾接する弾接面(S)を横断する溝部(4)を設け、前記溝部を屈曲状に形成し,ドア閉時に前記溝部から空気が逃げることを特徴とする自動車ドアサッシュ構造。
【請求項3】
コーナーピース(3)を樹脂製としたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車ドアサッシュ構造。
【請求項4】
溝部(4)の深さおよび幅を約1mmに設定したことを特徴とする請求項1、2または3に記載の自動車ドアサッシュ構造。
【請求項1】
自動車のドアサッシュ(2)に取付けられ,ボディパネル(20)に弾接するドアウエザーストリップ(10)と,前記ボディパネルのドア開口縁に沿って取付けられ,前記ドアサッシュに弾接するオープニングシール(30)を備え,前記ドアサッシュのコーナー部に,前記オープニングシールが弾接するコーナーピース(3)を設けた二重シール構造におけるドアサッシュ構造であって、前記コーナーピースに,前記オープニングシールが弾接する弾接面(S)を横断する溝部(4)を設け,ドア閉時に前記溝部から空気が逃げることを特徴とする自動車ドアサッシュ構造。
【請求項2】
自動車のドアサッシュ(2)に取付けられ,ボディパネル(20)に弾接するドアウエザーストリップ(10)と,前記ボディパネルのドア開口縁に沿って取付けられ,前記ドアサッシュに弾接するオープニングシール(30)を備え,前記ドアサッシュのコーナー部に,前記オープニングシールが弾接するコーナーピース(3)を設けた二重シール構造におけるドアサッシュ構造であって、前記コーナーピースに,前記オープニングシールが弾接する弾接面(S)を横断する溝部(4)を設け、前記溝部を屈曲状に形成し,ドア閉時に前記溝部から空気が逃げることを特徴とする自動車ドアサッシュ構造。
【請求項3】
コーナーピース(3)を樹脂製としたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車ドアサッシュ構造。
【請求項4】
溝部(4)の深さおよび幅を約1mmに設定したことを特徴とする請求項1、2または3に記載の自動車ドアサッシュ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−143470(P2010−143470A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324180(P2008−324180)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】
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