説明

自動車両内の空気調節装置の構成品、特に蒸発器を消毒するための装置

空気調節装置内に配置されていて電子制御ユニットを用いてコントロール可能であるイオナイザを用い、自動車両内の空気調節装置の構成品、特に蒸発器を消毒するための装置において、設定されたイオン量を生産するためにイオナイザがスイッチオン可能であるように前記の制御ユニットが構成されていて、そのイオン量が、消毒すべき構成品上にある凝縮水量に依存して設定されること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前提部に記載した、自動車両(モータビークル)内の空気調節装置(エアコンディショナ)の構成品、特に蒸発器(エバポレータ)を消毒するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、例えば、特許文献1で記載された呼吸空気洗浄システムとの関連で知られている。しかしこの周知のシステムは、優先的に、自動車両の走行稼動時における乗客室内の呼吸空気の洗浄に従事している。
【0003】
この際、イオン量の正確な配分が問題である。イオン量が小さすぎると装置の効果が不十分であり、イオン量が大きすぎるとこのことは乗客にとって負担となり得る。
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第19651403号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、一方では確実な消毒を保証し、他方では乗客の健康を害さないことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、特許請求項1に記載した特徴により解決される。有利な他の構成は従属請求項の対象である。
【0007】
空気調節装置内に配置されていて電子制御ユニットを用いてコントロール可能であるイオナイザ(電離器)を用い、自動車両内の空気調節装置の構成品、特に蒸発器を消毒するための本発明に従う装置において、設定されたイオン量(イオン量の規定値)を生産するためにイオナイザがスイッチオン可能であるように前記の制御ユニットが構成されていて、この際、そのイオン量は、消毒すべき構成品上にある凝縮水量(結露水量)に依存して設定される。イオン量の規定値としては、好ましくは、絶対イオン質量だけでなく、時間単位ごとのイオン質量も設定され得る。その理由は、乗客保護のためには最大許容絶対イオン質量が場合により超過されてはならないためである。その際、消毒の効果は、時間間隔であって(制限された)イオン質量が生産される時間間隔に依存する。つまり、設定されたイオン量との概念のもとでは、絶対イオン質量か、又は所定の時間の間に生産されなくてはならない所定のイオン質量として理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
イオナイザは空気調節装置内で出来るだけ蒸発器の近傍に配置されていて、例えばイオナイザ内又はいずれにせよ設けられているエアコン制御機器内に組み込まれ得る電子制御ユニットを用いてコントロール可能である。
【0009】
高価な湿度センサを節約するために、凝縮水量が、好ましくは制御ユニット内でこの制御ユニットに対して使用可能な情報を用いて査定される。この制御ユニットは、必要な情報を、例えば対応するセンサ又は別の電子制御機器に対するデータバス接続を用い、インプット値として取得する。これらのインプット値は、制御ユニット内の対応する評価ユニット内で処理される。この処理の結果がイオナイザの対応的なコントロールである。そのために制御ユニットは、例えば、イオナイザ内に含まれている電気アクチュエータをコントロールするためのアウトプットステージを有する。制御ユニットがイオナイザ内に組み込まれてなく、イオナイザ自体が固有の電子装置を有する場合、それらの情報はイオナイザの電子装置にも伝達され得て、この電子装置がそれ自体で、イオンの生産のためのスイッチオン条件があるかどうかを決定する。
【0010】
凝縮水を査定するために使用可能な情報は、例えばコンプレッサの状態(オン/オフ)、外部温度、及び/又は室内温度である。その理由は、凝縮水の表出が温度により決定的に影響されるためである。
【0011】
好ましくは、制御ユニットは、空気調節装置の新鮮空気稼動時における凝縮水量を外部温度に依存して査定し、また空気調節装置の内気循環稼動時における凝縮水量を内部温度(乗客室内の温度)に依存して査定する。
【0012】
制御ユニット内ではイオン量が他の稼動パラメータに依存しても設定される。特に新鮮空気稼動時には、内気循環稼動時よりも、イオンで付勢される空気のより大きな希薄化が起こる。それにより、設定されるイオン量は、新鮮空気稼動時において内気循環稼動時よりも基本的に高い。乗客保護のために、空気調節装置内においてイオンで付勢される空気のどのくらいが乗客室内に移送されるかが考慮される。そのために例えば空気調節装置と乗客室との間のエアフラップの開放角度、及び/又はブロワ出力が評価される。
【0013】
基本的に、制御ユニットは、例えばバリューテーブル又はアルゴリズムを用い、イオン量の規定値の設定のために必要なインプット値を評価し、規定値に対応する調節値を、イオナイザへ、例えば平面電極における高電圧発生器へと出力する。高電圧で付勢される平面電極において、これを包囲する空気がイオン化される(例えば、O=>O)。
【0014】
好ましくは、制御ユニットとイオナイザは、イオナイザが少なくとも一時的に加熱可能であるように構成されている。基本的にこの措置は、制御ユニットによりコントロール或いは調整されるイオナイザの独自の改善としても行われ得る。イオンの出力或いは生産はイオナイザ上の凝縮水の量に依存する。それにより、設定されたイオン量を生産するコントロール前にイオナイザを少なくとも部分的に乾燥させるため又は(湿った)空気の露点上にイオナイザの温度を増加することにより凝縮水の形成を防止するために、イオナイザの少なくとも一時的な加熱が必要であり得る。この際、ほぼ30℃の加熱で十分であると分かっている。イオナイザを加熱するためにイオナイザには例えば簡単な抵抗加熱器が備えられ、この抵抗加熱器は制御ユニットによりコントロール可能である。イオナイザが例えば高電圧で付勢可能な平面電極であると、この平面電極は電気加熱抵抗を有する。加熱は、例えば車両始動後或いはエンジン始動後にほぼ5〜10分の間、作動され得る。制御ユニットは、必要不可欠なスイッチオン信号を、例えば「エンジン作動」信号を提供する制御機器に対するデータバスを介して取得する。
【0015】
本発明により、実質的に、車両乗客に負担をかけることなく効果的な消毒が達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調節装置内に配置されていて電子制御ユニットを用いてコントロール可能であるイオナイザを用い、自動車両内の空気調節装置の構成品、特に蒸発器を消毒するための装置において、
設定されたイオン量を生産するためにイオナイザがスイッチオン可能であるように前記の制御ユニットが構成されていて、そのイオン量が、消毒すべき構成品上にある凝縮水量に依存して設定されることを特徴とする装置
【請求項2】
凝縮水量が、制御ユニット内でこの制御ユニットに対して使用可能な情報を用いて査定されることを特徴とする、特許請求項1に記載の装置。
【請求項3】
凝縮水を査定するために使用可能な情報が、コンプレッサの状態(オン/オフ)、外部温度、及び/又は室内温度であることを特徴とする、特許請求項2に記載の装置。
【請求項4】
制御ユニットが、空気調節装置の新鮮空気稼動時では凝縮水量を外部温度に依存して査定することを特徴とする、特許請求項3に記載の装置。
【請求項5】
制御ユニットが、空気調節装置の内気循環稼動時では凝縮水量を内部温度に依存して査定することを特徴とする、特許請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
イオン量が他の稼動パラメータ(内気循環モード、新鮮空気モード、新鮮空気フラップの開放角度、ブロワ出力)に依存しても設定されることを特徴とする、特許請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
イオナイザが少なくとも一時的に加熱可能であるように制御ユニットとイオナイザが構成されていることを特徴とする、特許請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。

【公表番号】特表2008−500218(P2008−500218A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513766(P2007−513766)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005514
【国際公開番号】WO2005/115778
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(391009671)バイエリッシェ モートーレン ウエルケ アクチエンゲゼルシャフト (194)
【氏名又は名称原語表記】BAYERISCHE MOTOREN WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】