説明

自動車内装材用基材

【課題】 曲げ剛性、寸法安定性、加熱成形性などの自動車内装材としての実用特性を保持した軽量性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートからなる自動車内装材用基材を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂発泡シートの両面に、ガラス転移温度80〜120℃の熱可塑性樹脂エマルジョン40〜70重量%およびガラス転移温度0〜50℃の熱可塑性樹脂エマルジョン30〜60重量%の混合物からなる繊維結束剤により結束処理された無機繊維シート、および熱可塑性樹脂フィルムを積層することにより、自動車内装材としての実用特性を保持した軽量性に優れた自動車内装材用基材を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機繊維と熱可塑性樹脂フィルムからなる複合シートにより補強されたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートからなる自動車内装材用基材およびその製造方法に関する。さらに詳しくは曲げ剛性、寸法安定性、加熱成形性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートからなる自動車内装材用基材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車天井材として、熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材にウレタンフォームを積層したものや、スチレン−無水マレイン酸共重合体の発泡層の両面にスチレン−無水マレイン酸共重合体の非発泡層を積層した積層シートを所望の形状に成形したものが広く用いられている。それらの自動車天井材は、軽量で断熱性が高く、成形加工性が優れているという特徴がある。
【0003】
しかしながら、上記のような従来の自動車天井材は、高温に長時間さらされると、耐熱性が不十分であるため、フロント部が自重で垂れ下がる(ヒートサグ)、変形を生じるなどの問題を発生することがあった。例えば、自動車天井材の場合、フロント部分は直接太陽光が当たるため100℃前後まで温度が上がり、自動車天井材の変形量が大きくなるという問題が発生している。
【0004】
そこで、これらの問題を解決するために、無機質のガラス繊維とポリオレフィン系樹脂の複合材料をベースとした自動車天井材が使用されるようになってきた(特許文献1および2)。しかし、これらの複合材料では、耐熱性という品質は維持できるものの、軽量化が図れない上にまたコスト高になるという問題があった。
【0005】
軽量化を図る為、ポリプロピレン系発泡シートに無機繊維を含む表層を積層した自動車天井材も提案されている(特許文献3〜5)。しかし、これらの自動車天井材では、剛性や耐熱性の向上は認められるものの、80〜100℃の耐熱評価温度での剛性の確保、耐熱変形の制御は充分とはいえず、また、自動車天井材への寸法精度向上の要求に対して、成形後の収縮、高温時の寸法安定性においても充分な物性の確保は困難であった。
【0006】
この原因としては、無機繊維同士を結束するバインダー樹脂(以下、「繊維結束剤」と称す)の耐熱性が低いため、無機繊維の特性を充分に引き出せていないことによると考えられる。繊維結束剤の耐熱性は、無機繊維シートの剛性および高温化での寸法安定性に寄与すると共に、加熱成形性についても大きく寄与する。すなわち、繊維結束剤の耐熱性が高い場合には、剛性および寸法安定性の向上が認められるものの、加熱成形性に劣り、例えば、深絞り成形が必要とされる自動車天井材では、高延伸部分で無機繊維シートに割れが生じたり、歪を内在した状態で成形されるため、初期形状の確保が困難であったり、高温下での変形が生ずる等の弊害が発生する。これに対して、繊維結束剤の耐熱性が低い場合には、剛性、寸法安定性に劣った成形体しか得られない。このように、従来、繊維結束剤として使用されていた酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等では、耐熱性と加熱成形性の両立は困難であり、物性バランスのとれた繊維結束剤が望まれているのが現状である。
【特許文献1】特開平1−285432号公報
【特許文献2】特開平7−68689号公報
【特許文献3】特開平7−1628号公報
【特許文献4】特開平8−11254号公報
【特許文献5】特開2003−34192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、曲げ剛性、寸法安定性、加熱成形性などの自動車内装材としての実用特性を保持した軽量性に優れた自動車内装材用基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを補強する無機繊維シート、特に無機繊維を結束する繊維結束剤について鋭意検討を行った結果、ガラス転移温度の異なる熱可塑性樹脂エマルジョンを組み合わせた繊維結束材を用い無機繊維シートを熱処理することにより、以下のことを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡シートの両面に、繊維結束材により結束された無機繊維シートおよび熱可塑性樹脂フィルムを積層した自動車内装材用基材であって、繊維結束材が、ガラス転移温度80〜120℃の熱可塑性樹脂エマルジョン40〜70重量%およびガラス転移温度0〜50℃熱可塑性樹脂エマルジョン60〜30重量%の混合物であることを特長とする自動車内装材用基材(請求項1)、
(2)ガラス転移温度が80〜120℃の熱可塑性樹脂エマルジョンが、芳香族ビニル系単量体および/または芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させて得られる熱可塑性樹脂エマルジョンであることを特徴とする(1)記載の自動車内装材用基材(請求項2)、
(3)ガラス転移温度が0〜50℃の熱可塑性樹脂エマルジョンが、スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョンであることを特徴とする(1)または(2)記載の自動車内装材用基材(請求項3)、および
(4)熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂の融点がポリプロピレン系樹脂発泡シートの構成樹脂の融点に対して少なくとも20℃低いことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の自動車内装材用基材
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの両面に、繊維結束材により結束された無機繊維シートおよび熱可塑性樹脂フィルムからなる複合シートを積層した自動車内装材用基材は、無機繊維シートの繊維結束剤に特徴をもたすことより、曲げ剛性、寸法安定性、加熱成形性などの自動車内装材としての実用特性を保持するとともに軽量に優れるという特徴を有し、環境適合性のある自動車内装材用基材である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の1実施形態である自動車内装材用基材を、図面に基づいて説明する。
【0012】
図1および図2は、本発明の1実施形態に係る自動車内装材用基材(以下、「1次発泡積層シート」と称すことがある)の構成を示すものであり、自動車内装材用基材は、ポリプロピレン系樹脂発泡シート10の両面に、繊維結束剤である熱可塑性樹脂エマルジョンにより処理された無機繊維シート(12、14)および熱可塑性樹脂フィルム(16、18)が積層されてなるものである。
【0013】
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂発泡シート10としては、例えば、線状のポリプロピレン系樹脂(以下、このポリプロピレン系樹脂のことを「原料ポリプロピレン系樹脂」ということもある)に電子線を照射して長鎖分岐を導入したもの(例えば、サンアロマー社製HMS−PP)を基材樹脂としたもの、または、原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体、ジビニルベンゼン等のラジカル重合性単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂を基材樹脂としたものが、好ましく用いられる。
【0014】
これらのうちでは、原料ポリプロピレン系樹脂、イソプレン単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練して得られる改質ポリプロピレン樹脂を基材樹脂としたものが、外観美麗で加熱成形性に優れた発泡シートを容易に得ることができることから、好ましい。
【0015】
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂発泡シート(1次発泡シート)10の基材樹脂として用いられるイソプレン単量体を用いた改質ポリプロピレン系樹脂は、例えば、特開平11−172016号公報、等に記載されている方法により得ることができる。さらに、ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル開始剤とを溶融混練して得られる改質ポリプロピレン系樹脂を用いたポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法は、例えば、特開平11−228726号公報、特開平11−349722号公報、特開2000−109591号公報等に記載されている製造方法により得ることができる。
【0016】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シート10の密度は、0.03〜0.09g/ ccが好ましく、0.045〜0.09g/ ccがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度が0.09g/ccより大きい場合には、実用特性を満足する剛性を確保するためには重量を増加させる必要が生じ、自動車内装材の軽量化が困難になる傾向があり、0.03g/ ccより小さい場合には、発泡シートの剛性が極端に低くなり、実用特性を満足する剛性の確保が困難になる傾向にある。
【0017】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートの発泡倍率(以下、「一次発泡倍率」と称する場合がある)は、10〜30倍が好ましく、10〜20倍がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡シートの一次発泡倍率が10倍より小さくなると、実用特性を満足する剛性を確保するためには重量を増加させる必要が生じ、自動車内装材の軽量化が困難になる傾向があり、30倍より大きくなると、発泡シートの剛性が極端に低くなり、実用特性を満足する剛性の確保が困難になる傾向にある。
【0018】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートの連続気泡率は、0〜98%の任意の範囲での使用が可能であり、要求される品質に応じて調整を行う。例えば、自動車内装材に吸音性能が必要とされる場合は55〜98%、吸音性能が必要とされず、高剛性が必要とされる場合は0〜30%が好ましい。
【0019】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚さ(以下、「一次厚み」と称する場合がある)は、内装材として配置される部位によって異なるが、例えば自動車天井材の場合は、3〜7mmが好ましく、4〜6mmがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚さが3mmより小さくなると、自動車車体への取り付け時のハンドリング性が悪くなったり、曲げ剛性も低下する場合が多い。逆に、7mmより大きくなると、成形時の形状発現性が悪くなったり、小スペース性が劣ることになる傾向にある。
【0020】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シート10の目付は、100〜350g/ m2が好ましく、150〜250g/m2がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡シートの目付が100g/m2より小さい場合には、前記発泡倍率および厚みを得ようするとコア層の曲げ剛性も低下する傾向があり、350g/m2より大きい場合には、軽量性に劣る傾向にある。
【0021】
本発明において、無機繊維シートをポリプロピレン系樹脂発泡シートの補強材として用いることにより、特に成形後の成形体の寸法安定性、耐熱性、剛性を向上させることができる。
【0022】
本発明における無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、アルミナ繊維等が挙げられ、これらの無機繊維は同種または異種のものと混合、もしくは多層に積層して用いても良い。
【0023】
無機繊維シートとしては、無機繊維を所定の長さに切断して無機繊維のチョップドストランドを得た後、多数の無機繊維のチョップドストランドを搬送コンベア上に均一に分散するように堆積させ、次いで、上方より熱可塑性樹脂エマルジョンからなるバインダー樹脂(繊維結束剤)を散布してから加熱、冷却することによって固着する無機繊維マット、および、無機繊維を解繊した状態でバインダー樹脂(繊維結束剤)である熱可塑性樹脂エマルジョンを含む水中に分散させ、これを掬い取り乾燥させる方法、いわゆる抄造法により得られる無機繊維ペーパーの、いずれも使用可能である。
【0024】
前記無機繊維シートを形成する無機繊維の繊維径は、5〜20μmが好ましく、8〜15μmがより好ましい。繊維径が5μmよりも細いと、得られる積層発泡シートの機械的強度が不足する場合があり、また、20μmよりも太いと、ポリプロピレン系樹脂発泡シートと積層一体化するのが困難となる場合がある。
【0025】
前記無機繊維シートを形成する無機繊維の繊維長は、30〜100mmが好ましく、30〜50mmがより好ましい。繊維長が30mmよりも短いと、補強効果が低下する傾向があり、100mmよりも長いと、発泡シートと積層一体化するのが困難となる場合がある。
【0026】
無機繊維シート単位面性当りの質量(目付)は、20〜150g/m2が好ましく、30〜100g/m2がより好ましい。目付が20g/m2よりも軽くなると補強効果が低下する傾向があり、150g/m2よりも重くなると、製造単価が高くなると共に、得られる発泡積層シートのトータル目付が増加し、軽量性が損なわれる傾向がある。ここで、目付が20〜50g/m2程度の場合はガラス繊維ペーパーを用い、100g/m2近辺及びそれ以上の場合はガラスマットを用いるのが現実的である。
【0027】
本発明において、無機繊維に対する繊維結束剤として使用される熱可塑性樹脂エマルジョンは、ガラス転移温度80〜120℃の熱可塑性樹脂からなるエマルジョン(I)とガラス転移温度が0〜50℃の熱可塑性樹脂からなるエマルジョン(II)との混合物よりなるものが好ましい。
【0028】
本発明における熱可塑性樹脂エマルジョン(I)は、主に、繊維結束剤の耐熱性、剛性を高める働きを担うものである。熱可塑性樹脂エマルジョン(I)は、芳香族ビニル系単量体を重合させるか、芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単量体を共重合させて得ることができる。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられ、汎用性、コストの点からスチレンが好ましい。芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、β−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。これらのうちでは、コスト、得られる共重合体の耐熱性、エマルジョンの機械安定性改良の点から、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリルが好ましい。
【0029】
熱可塑性樹脂エマルジョン(I)のガラス転移温度は80〜120℃の範囲にあり、好ましくは、90〜110℃の範囲である。熱可塑性樹脂エマルジョン(A)のガラス転移温度が80℃未満では、耐熱評価温度での剛性が不足し、無機繊維シートによる発泡層の動きを止める効果が充分でない場合がある。また、120℃を超えると、成形時の延びが不足し、加熱成形時に発泡積層シートに割れ、切れ等が発生する可能性があり、また、繊維同士の接着強度が低下する場合がある。
【0030】
本発明において、熱可塑性樹脂エマルジョン(II)は、主に、繊維結束剤の繊維間の接着性を高める働きを担うものである。熱可塑性樹脂エマルジョン(II)は、1,3−ブタジエン、2−メチルー1,3−ブタジエンに代表される共役ジエン系単量体と、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体および不飽和カルボン酸単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体を共重合させて得ることができる。熱可塑性樹脂エマルジョン(II)の具体例として、例えば、スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョン、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョン、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョン、カルボキシ変性アクリロ二トリル−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョン、メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョン、カルボキシ変性メチルメタクリレート−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョン等が挙げられ、さらには塩化ビニル系樹脂エマルジョン、塩化ビニリデン系樹脂エマルジョン、酢酸ビニル系樹脂エマルジョン等があげられる。これらのうちでは、汎用性、コスト、熱可塑性樹脂エマルジョン(I)との相溶性、エマルジョンの機械安定性改良の点から、スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョン、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョンが好ましい。
【0031】
熱可塑性樹脂エマルジョン(II)のガラス転移温度は、0〜50℃の範囲内にあり、ガラス転移温度が0℃未満および50℃超では、結束によるガラス繊維間の接着強度が低下する傾向にある。
【0032】
本発明の無機繊維に対する繊維結束剤として使用される熱可塑性樹脂エマルジョンは、熱可塑性樹脂エマルジョン(I)と熱可塑性樹脂エマルジョン(II)の混合物よりなり、その混合比率は、固形分比率で(I)/(II)=40/60〜70/30が好ましく、50/50〜65/35がより好ましい。熱可塑性樹脂エマルジョン(A)が40重量部未満では、処理された無機繊維シートの耐熱性、剛性に劣る傾向があり、70重量部より多いと、無機繊維同士の接着強度が低下する傾向がある。
【0033】
本発明においては、前記混合比率の熱可塑性樹脂エマルジョン混合物は、乾燥後、熱可塑性樹脂エマルジョン(I)のガラス転移温度以上にて加熱処理することにより、無機繊維の結束に有効に働き、無機繊維同士が強固に接着される。それにより、高温下でも無機繊維間での強固な接着強度が得られるため、処理後の無機繊維シートの剛性、耐熱性が飛躍的に向上する特徴を有する。
【0034】
本発明における無機繊維シートに対する繊維結束剤である熱可塑性樹脂エマルジョンによる処理は、無機繊維マットの場合は、無機繊維シートへの繊維結束剤である熱可塑性樹脂エマルジョンを塗布または含浸させた後、直ちに乾燥後、さらに、加熱処理することにより行われ、無機繊維ペーパーの場合は、繊維結束剤である熱可塑性樹脂エマルジョンを溶解または分散させた水中に解繊した無機繊維を分散させ、これを掬い取り、直ちに乾燥後、さらに加熱処理することにより行われる。
【0035】
本発明における塗布または含浸方法としては、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、絞りロール法、吹き付けガン法、ディップロール法、泡噴霧法、浸漬法等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂エマルジョンは、発泡、増粘、あるいは水等によって希釈した後に用いてもよい。
【0036】
本発明においては、さらに、無機繊維シートへの含浸を確実するために、熱可塑性エマルジョン混合物を無機繊維シートに塗布または含浸した後、絞りロールによって圧搾してもよい。
【0037】
熱可塑性樹脂エマルジョン混合物の無機繊維シートへの含浸量は、固形分換算で、無機繊維シート100重量部に対して10〜40重量部が好ましく、15〜30重量部がより好ましい。熱可塑性樹脂エマルジョンの含浸量(塗布量)が10重量部未満では、無機繊維同士を結束するのに充分ではなく、処理後の無機繊維シートの剛性、耐熱性の改善効果が充分でない場合がある。含浸量(塗布量)が40重量部を超えると、コスト的に不利となると共に、軽量性が損なわれる傾向がある。
【0038】
熱可塑性樹脂エマルジョン混合物の無機繊維シートへの含浸工程は、無機繊維シートの作製時に含浸してもよく、また、後加工によって含浸してもよい。
【0039】
本発明における乾燥方法としては、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、電子線乾燥機等を用いた一般的な乾燥方法が挙げられる。
【0040】
乾燥条件としては、乾燥条件は熱可塑性樹脂エマルジョン混合物の混合比率、エマルジョンの組成により適正領域が異なり一義的に決定できるものではない。そのため、使用する熱可塑性樹脂エマルジョン混合物によって決定するのが好ましい。
【0041】
ただし、乾燥温度に関しては、熱可塑性樹脂エマルジョン混合物の最低成膜温度以上で乾燥することが重要である。最低成膜温度よりも低い温度で乾燥すると、無機繊維が結束されないため、得られた無機繊維シートの剛性、耐熱性が劣る傾向がある。
【0042】
なお、乾燥工程において、乾燥と加熱処理を同時に行う目的で、乾燥温度は、熱可塑性樹脂(I)のガラス転移温度以上に設定することが好ましい。しかしながら、乾燥温度が高すぎると、特にゴム成分を含有する熱可塑性樹脂エマルジョン(II)が熱劣化、黄変することがあるため、注意が必要である。
【0043】
以上のようにして得られた、繊維結束剤としてガラス転移温度の異なる熱可塑性樹脂エマルジョン混合物により処理された無機繊維シートは、芯材であるポリプロピレン系樹脂発泡シートに比較して、室温および80〜100℃の耐熱評価温度下において、圧倒的に高い剛性を有するものであり、しかも、無機繊維が持つ高い寸法安定性、低線膨張率により、発泡シートの動きを止めることが可能なため、繊維結束剤で処理された無機繊維シートを用いて補強された発泡積層シートは、80〜100℃の使用環境下での高い剛性と高い寸法安定性を得ることができる。
【0044】
本発明においては、繊維結束剤である熱可塑性樹脂エマルジョン混合物により処理された無機繊維シート(12,14)は、熱可塑性樹脂フィルム(16,18)により複合化される。
【0045】
本発明における熱可塑性樹脂フィルム(16、18)は、無機繊維シート(12、14)の片面または両面に配置積層されて用いられる。
【0046】
本発明において、熱可塑性樹脂フィルム(16,18)を積層することにより、ポリプロピレン系樹脂発泡シート(10)と無機繊維シート(12,14)とを接着することができ、かつ、無機繊維シート(12,14)を被覆して成形体の外観を改良することができる。
【0047】
本発明においては、熱可塑性樹脂フィルムが無機繊維シートの片面のみに積層された場合にも、ポリプロピレン系樹脂発泡シート(10)および無機繊維シート(12,14)との積層時の加熱・加圧工程において、フィルム(16,18)を構成する熱可塑性樹脂が溶融されて、無機繊維シート内を通過し、無機繊維シートの反対側に滲み出すことにより、接着および成形体の外観の改良が可能となる。そのため、熱可塑性樹脂フィルムが無機繊維シートの片面のみに積層される場合、熱可塑性樹脂フィルムは、無機繊維シートとポリプロピレン系樹脂発泡シートとの間に積層されても構わないし、無機繊維シートの外側に積層されても構わない。
【0048】
本発明における熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ナイロン、ポリエステル等の樹脂フィルムが挙げられる。これらのなかでも、ポリプロピレン系樹脂発泡シートとの熱融着性がよく、成形性の面から、融点がポリプロピレン系樹脂発泡シートを構成するポリプロピレン系樹脂の融点よりも低い、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムが特に好ましい。
【0049】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂の融点は、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを構成するポリプロピレン系樹脂の融点よりも、少なくとも20℃低いことが好ましく、少なくとも30℃低いことがより好ましい。20℃より高い場合、成形時フィルム層に歪を発生させない温度まで加熱した際に、発泡層にダメージを与え、破泡し、得られた自動車内装材は、表面性が劣ったものとなる傾向がある。
【0050】
本発明における熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、特に限定されないが、無機繊維シートの両面に配置積層する場合は、通常30〜200μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの厚みが30μmよりも薄いと、シートの表面性が悪化する傾向があり、200μmよりも厚くなると、発泡積層シートの強度は向上するものの、軽量化が損なわれる傾向がある。
【0051】
本発明において、熱可塑性樹脂フィルムが無機繊維シートの片面のみに積層された場合には、ポリプロピレン系樹脂発泡シートと積層する際に、熱可塑性樹脂フィルムを溶融させて無機繊維シートを通過させる必要があり、該通過樹脂分を考慮して、熱可塑性樹脂フィルムの厚みを厚く調整することが好ましい。この際、熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂の230℃、2.16kg/cm2におけるメルフローレートは、大きくなるほど無機繊維シートを通過し易くなり、5〜20g/10分が好ましく、7〜15g/10分がより好ましい。
【0052】
本発明において、ポリプロピレン系樹脂発泡シート、熱可塑性樹脂フィルムおよび、結束剤処理された無機繊維シートの積層方法としては、以下のような方法があげられる。例えば、ポリプロピレン系樹脂発泡シート、熱可塑性樹脂フィルム単体および、結束剤処理された無機繊維シートを積層したものを、熱可塑性樹脂フィルムの融点以上の温度にて加熱した後、プレス、ロール等によって圧縮、冷却することにより、自動車内装材用基材を得ることができる。また、予め、無機繊維シートと熱可塑性樹脂フィルムとを積層したものを熱可塑性樹脂フィルムの融点以上の温度にて加熱し、プレス、ロール等によって圧縮、冷却して複合体を得た後に、ポリプロピレン系樹脂発泡シートと積層して、以降を同様の工程により自動車内装材用基材を得ることができる。さらに、押出ラミネート法により、無機繊維シート上に熱可塑性樹脂をフィルム状に押出し、フィルムの融点以上の温度で無機繊維シートと熱可塑性樹脂フィルムをロールで加圧、冷却しながら複合体とすることにより、自動車内装材用基材を得ることができる。
【0053】
本発明のポリプロピレン系発泡積層シート(1次発泡積層シート)である自動車内装材用基材から、賦形された自動車内装材を成型する方法としては、例えば、上下にヒーターを有する加熱炉の中央に、1次発泡積層シートをクランプして導き、成形に適した温度になるように加熱して2次発泡させた後、温度調節した金型にてプレス冷却し、賦形する方法が挙げられる。
【0054】
本発明における成形方法の例としては、具体的には、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などの方法が挙げられる。
【0055】
本発明における1次発泡積層シートの成形温度領域は、無機繊維シートに対する繊維結束剤である熱可塑性樹脂エマルジョン(I)のガラス転移温度、および無機繊維シートと複合化される熱可塑性樹脂フィルムの融点より高く、かつ、ポリプロピレン系樹脂発泡層の構成樹脂の融点よりも低い温度に設定することより、深絞り成形においても2次発泡積層シートに破れ等が発生せず、発泡層の破泡等による外観不良等がない良好な自動車内装材を得ることができる。具体的には、成形温度領域としては、135〜155℃が好ましく、140〜150℃がより好ましい。
【0056】
ここで、1次積層発泡シートを加熱により2次発泡させる際には、2次発泡シートの厚みが、加熱前後で1次発泡シートの厚みに対して、1.2〜4倍になるよう2次発泡させることが好ましく、さらには1.5〜3倍に2次発泡させるのが好ましい。
【0057】
以上、本発明に係る内装材用基材の実施態様を種々説明したが、本発明は上述の態様に限定されるものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施し得るものである。
【実施例】
【0058】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
【0059】
なお、本発明で使用する数値については、以下の測定方法により測定される。
(加熱収縮率)
得られた成形体から、220mm角の評価用試験片を3枚切り出した後、23℃および50%RHの雰囲気中に24時間放置し、サンプルの片面に、長さ方向(MD方向)および巾方向(TD方向)に100mm間隔で200mmの標線をそれぞれ3本引き、標線間の初期寸法を測定しておく。
その後、85℃に設定された恒温槽中に24時間放置し、23℃および50%RHの雰囲気中で放冷してから、再度、標線間寸法を測定する。
それぞれの標線間寸法について下記式を用いて加熱寸法変化率を計算し、長さ方向および巾方向の相加平均の値を算出した。
【0060】
【数1】

(線膨張係数)
以下に記載する実施例、比較例によって得られた成形体から300mm×40mmの試験片を長さ方向(MD方向)、巾方向(TD方向)それぞれ3枚切り出した後、85℃の恒温槽中24時間放置し、23℃および50%RHの雰囲気中で放冷し、23℃および50%RH雰囲気中にて、試験片に280mmの標線をつけ寸法を測定する。次に、この試験片を80℃恒温槽中に6時間放置後、80℃恒温槽中にて標線間寸法を測定する。次に、この試験片を自然放冷した後、0℃恒温槽中に6時間放置後、0℃恒温槽中にて標線間寸法を測定する。それぞれの試験片の標線間寸法について下記式を用いて線膨張係数を計算し、長さ方向(および巾方向の相加平均の値を算出した。
【0061】
【数2】

(曲げ弾性勾配の測定)
得られた成形体から、150mm×50mmの試験片を、長さ方向(MD方向)、巾方向(TD方向)にそれぞれ3枚切り出した後、23℃および50%RHの雰囲気中に24時間放置した。
23℃および50%RHの雰囲気中で、島津(株)製オートグラフD2000を用い、両端自由支持でスパン長100mmの中心部に、50mm/分の速度で荷重をかけていき、その荷重と歪の関係を示す曲線を得た。
得られた測定チャート曲線の加圧初期での直線部分における歪量と曲げ加重から、歪量1cm当りの曲げ荷重を算出し、曲げ弾性勾配とした。それぞれの試験片について測定を実施し、長さ方向、巾方向の相加平均の値を算出した。
【0062】
(厚み)
得られた発泡シートまたは積層発泡シートに対し、幅方向に20ヵ所の厚さを測定し、その測定値の平均値を算出した。
【0063】
(発泡倍率)
得られた1次原反の密度dfをJIS K7222に準じて測定し、別途、変性PPE系樹脂の密度dpをJIS K7112に準じて測定し、発泡倍率=dp/dfの式により算出した。
【0064】
(連続気泡率)
得られた1次原反に対し、マルチピクノメーター(ベックマン社製)を用いて、ASTM D−2859に準じて測定し、独立気泡率を求めた。連続気泡率=1−独立気泡率のその値を用いて1−独立気泡率を計算し、連続気泡率とした。
【0065】
実施例および比較例にて使用した繊維結束剤である熱可塑性樹脂エマルジョンの組成を、表1に示す。
【0066】
【表1】

(実施例1)
プロピレン単独重合体(三井化学(株)製、F113G、230℃でのメルフローインデックス(MI)0.5g/10分)100部および、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーオキシエステル系ラジカル重合開始剤、1分間半減期温度159℃)0.2部をリボンブレンダーで攪拌混合した配合物を、計量フィーダーで2軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX44XCT−38)に供給し、液添ポンプを用いて押出機途中からイソプレン単量体1.0部を供給し、前記2軸押出機中で溶融混練することにより、改質ポリプロピレン系樹脂のペレットを得た。
なお、前記2軸押出機は、同方向2軸タイプであり、スクリュー径が44mmφであり、最大スクリュー有効長(L/D)が38であった。この2軸押出機のシリンダー部の設定温度イソプレン単量体圧入以降は200℃とし、スクリュー回転速度を150rpmに設定した。
得られた改質ポリプロピレン系樹脂80部、ポリプロピレン樹脂20部(三井化学(株)製、F113G)および、気泡核剤としてタルク(三井化学(株)製、EVOLUE)0.1重量部をリボンブレンダーにて攪拌混合した配合物を、65−90mmφタンデム型押出機に供給し、230℃に設定した第1段押出機(65mmφ)中で溶融させた後、iso−ブタンを主成分とする発泡剤[iso−ブタン/n−ブタン=85/15(重量比)]を、前記改質ポリプロピレン系樹脂100部に対して6部圧入混合し、170℃に設定した第2弾押出機(90mmφ)中で冷却し、圧力10MPaでサーキュラーダイスにより大気圧下に押出し、引き取りロールを介して、巻取りロールにロール状に巻取り、幅1200mm、一次厚み3.7mm、一次発泡倍率18倍、独立気泡率26%、目付け195g/m2のポリプロピレン系樹脂発泡シートを得た。
【0067】
長さ40cm×幅40cm、目付100g/m2のガラスマット(日本電気硝子(株)製、ガラスチョップド・ストランドマット100−SH/G)に、スポンジロールを用いて、水で2倍希釈した熱可塑性樹脂エマルジョン混合物(A)を繊維結束剤として1m2あたり45g塗布した(固形分塗布目付11g/m2)後、150℃の恒温槽中で5分間乾燥させ、繊維結束処理されたガラスマットを得た。
【0068】
得られた繊維結束処理ガラスマットを、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シート(長さ40cm×幅40cm)と、目付100g/m2の線状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)製、MCS100;長さ40cm×幅40cm)との間に挟み込み、線状低密度ポリエチレンフィルム面側が160℃に加熱され、0.2MPaに加圧されたクリアランス3.5mmの熱ロールを通し、片面に繊維複合シートが積層されたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得た。また、同様な方法を用いて、両面に繊維複合シートが積層されたポリプロピレン系樹脂発泡積層シートを得た。得られた発泡積層シートの厚みは3.6mm、目付は620g/m2であった。
【0069】
以上のようにして、ポリプロピレン系樹脂発泡積層シートからなる自動車内装材用基材を得た。
【0070】
得られた自動車内装材用基材(長さ40cm×幅40cm)の四方をクランプして、オーブンに入れ、内装材用基材の表面加熱温度が約150℃となるように加熱し、金型クリアランス3.5mmにて成形プレスすることにより、厚み約3.5mmの平板状の成形体を得た。
【0071】
得られた成形体について試験片を切り出し、加熱収縮率、線膨張係数および曲げ弾性勾配を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0072】
(実施例2)
ガラスマットに対する繊維結束剤として、熱可塑性樹脂エマルジョン混合物(B)を1m2あたり40g塗布した(固形分塗布目付10g/m2)以外は、実施例1と同様の操作により、厚み3.5mmおよび目付614g/m2の発泡積層シートを得た。さらに、実施例1と同様の操作により、成形体を得た。
得られた成形体から試験片を切り出し、加熱収縮率、線膨張係数、曲げ弾性勾配を測定した。得られた結果を、表2に示す。
【0073】
(実施例3)
ガラスマットに対する繊維結束剤として、熱可塑性樹脂エマルジョン混合物(C)を1m2あたり38g塗布した(固形分塗布目付10g/m2)以外は、実施例1と同様の操作により、厚み3.6mmおよび目付610g/m2の発泡積層シートを得た。さらに、実施例1と同様の操作により、成形体を得た。
得られた成形体から試験片を切り出し、加熱収縮率、線膨張係数、曲げ弾性勾配を測定した。得られた結果を、表2に示す。
【0074】
(比較例1)
ガラスマットに対する繊維結束剤として、熱可塑性樹脂エマルジョン混合物(D)を1m2あたり44g塗布した(固形分塗布目付11g/m2)以外は、実施例1と同様の操作により、厚み3.6mmおよび目付622g/m2の発泡積層シートを得た。さらに、実施例1と同様の操作により、成形体を得た。
得られた成形体から試験片を切り出し、加熱収縮率、線膨張係数、曲げ弾性勾配を測定した。得られた結果を、表2に示す。
【0075】
(比較例2)
ガラスマットに対する繊維結束剤として、熱可塑性樹脂エマルジョン混合物(B)を1m2あたり38g塗布した(固形分塗布目付10g/m2)以外は、実施例1と同様の操作により、厚み3.6mmおよび目付618g/m2の発泡積層シートを得た。さらに、実施例1と同様の操作により、成形体を得た。
得られた成形体から試験片を切り出し、加熱収縮率、線膨張係数、曲げ弾性勾配を測定した。得られた結果を、表2に示す。
【0076】
(比較例3)
ガラスマットに対して繊維結束剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様の操作により、厚み3.6mmおよび目付598g/m2の発泡積層シートを得た。さらに、実施例1と同様の操作により、成形体を得た。
得られた成形体から試験片を切り出し、加熱収縮率、線膨張係数、曲げ弾性勾配を測定した。得られた結果を、表2に示す。
【0077】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る自動車内装材用基材の1実施形態を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
【0079】
10 ポリプロピレン系樹脂発泡シート
12 熱可塑性樹脂エマルジョン処理無機繊維シート
14 熱可塑性樹脂エマルジョン処理無機繊維シート
16 熱可塑性樹脂フィルム
18 熱可塑性樹脂フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂発泡シートの両面に、繊維結束材により結束された無機繊維シートおよび熱可塑性樹脂フィルムを積層した自動車内装材用基材であって、繊維結束材が、ガラス転移温度80〜120℃の熱可塑性樹脂エマルジョン40〜70重量%およびガラス転移温度0〜50℃の熱可塑性樹脂エマルジョン60〜30重量%の混合物であることを特長とする自動車内装材用基材。
【請求項2】
ガラス転移温度80〜120℃の熱可塑性樹脂エマルジョンが、芳香族ビニル系単量体および/または芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させて得られる熱可塑性樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の自動車内装材用基材。
【請求項3】
ガラス転移温度0〜50℃の熱可塑性樹脂エマルジョンが、スチレン−ブタジエン系共重合体樹脂エマルジョンであることを特徴とする、請求項1または2記載の自動車内装材用基材。
【請求項4】
熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂の融点が、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを構成樹脂の融点に対して、少なくとも20℃低いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の自動車内装材用基材。

【図1】
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【公開番号】特開2006−315213(P2006−315213A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137879(P2005−137879)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】