説明

自動車工業用ハニカムサンドイッチ構造物

両側をスキン層(1a,1b)で被覆されたハニカム状のコア(2)から成る、自動車用途のためのサンドイッチ構造物において、前記スキン層のそれぞれが、ランダムに配置された溶融紡糸されたポリエステルの複合フィラメント(4)のウェブから成っている。該ウェブは、不織布マット(9)を形成するように重ね合わされ(6,7)かつニードル貫通(8)されており、コアに結合された、結合されたフィラメントを有するコンパクトなスキン層を形成するために、サンドイッチ構造物の成形の間に圧縮されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車工業用サンドイッチ構造物及びこのサンドイッチ構造物を製造する方法に関する。サンドイッチパネルは、一般的に、サンドイッチパネルを形成するためにハニカム等のコア材の両側に接合されたスキン又はフェイス層から形成されている。
【0002】
自動車工業において、サンドイッチパネルは、高強度及び軽量性が要求される広範囲な用途に使用されている。例えば、紙又は熱可塑性のハニカムコアと、ガラス繊維又は天然繊維マットで強化されたスキンとを備えるサンドイッチパネルは、サンルーフパネル、ハードトップ、荷物棚、スペアタイヤカバー、及びラゲッジフロアアセンブリにおいて使用されている。
【0003】
サンドイッチ構造物は、曲げにより荷重を受けるパネルのコアが、大きな面内応力を受けずかつ部材の表面を構成しないという事実を利用している。全般的なサンドイッチ構造物におけるコア材料は、通常、比較的厚く、スキンと比較して大幅に低い密度を有する。コア層に対する主な機械的要求は、スキンの相対移動(面内及び面外)を防止することである。サンドイッチコアの十分な面外圧縮特性は、中立軸線からのスキンの距離を維持し、スキンが座屈することを防止しかつ局所的な面外荷重によるスキンの変形を制限するように、スキンを支持することが要求される。さらに、コアの十分な面外せん断特性は、曲げモーメント及び横方向荷重によるスキンの相対的な面内移動を制限するために必要とされる。さらに、コア層は、付加的な機能、例えば、断熱及び防音、又は衝撃時のエネルギ吸収という機能を提供することができる。
【0004】
サンドイッチ構造物におけるスキン層は、面内引張/圧縮応力及び面内せん断応力を受ける。スキン層は、通常、比較的薄く、高い剛性及び強度を有する。重量当たりの高い機械的面内特性に加え、スキン材料は、通常、その他の要求、例えば低コスト、高い表面品質、及び良好な衝撃性能をも満たさなければならない。
【0005】
構造化されたコア材料は、3つの異なるグループに分類することができる。つまり、
・あらゆる方向に開孔した支持体であるパンクチュアル支持体、例えばテキスタイルコア
・一方の側に開孔した一方向支持体、例えば波形コアタイプ
・厚さ方向にのみ開孔した二方向支持体、例えばハニカムコアである。
【0006】
構造的コア材料、特にハニカムコアは、価格が高いため自動車用途ではそれほど多く用いられてこなかった。一部のヘッドライナは、波形コアを用いて形成されている。しかしながら、ハニカムはこれらの分野において一般的なコアであり、高い重量対強度比及び疲れ破損に対する耐久性は当該分野において重要な特徴になりつつある。ハニカムコアを形成するために、金属及び複合材料を含む広範囲の製品が使用されてくる。
【0007】
現在では安価な熱可塑性材料を用いる新たな方法が確立され、コア材料の価格を低下させている。開発された方法のうちの1つは、押出し成形された管のブロックを介する管状ハニカムの製造である(国際公開第99/41061号)。管が押出し成形された後、管は続いて積層され、互いに溶接される。公知の押出し成形されるプラスチック材料は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)がある。
【0008】
別の面外押出し成形コアは、Induplast/Nidacore社によって製造される六角形ハニカムである(国際公開第87/00119号)。ハニカムの小さなブロックが押出し成形された後、これらのブロックが溶接されて、より大きなブロックを形成し、好適なサイズのハニカムに切断される。
【0009】
国際公開第97/16304号は、例えばPP又はポリエチレンテレフタレート(PET)ハニカムから形成されたハニカムを製造する異なる形式を開示している。各ハニカムは、移動する機械との接触溶接によって別個に形成される。この方法によれば、不織布から熱可塑性ハニカムを製造することも可能である。別のタイプの製造方法は膨張技術に基づくものであり、この場合、溶接された帯材の積層体が膨張させられ、実際のハニカム構造を形成する(国際公開第01/51273号)。帯材を用いるハニカム構造体のための別の製造方法には、国際公開第01/00397号に開示される織り方法がある。
【0010】
ハニカム構造のための、国際公開第00/32382号に開示される別の製造方法は、熱可塑性フィルムの使用に基づく。フィルムはまず、回転成形ユニットにおいて形成され、ハニカム構造を形成するようさらに折り畳まれる。最後に、その折り畳み構造が互いに溶接されることで、それら構造が組み合わされ、最終製品が得られる。
【0011】
これらの管状ハニカムコア及びその他の面外押出し成形ハニカムの応用例は、様々な構造的用途、例えば自動車スペアタイヤカバーにおいて使用されており、この場合、PP管状コアはガラス繊維強化PPスキンに結合されている。機械的な特性はコア密度と管の直径とに大きく依存する。
【0012】
サンドイッチパネルの形成における重要な考慮事項は、表面シートがどのような形式でハニカムに接合されるかということである。一般的に、表面シートをコアに接合するためには接着剤が使用される。荷重が一方の表面層から他方の表面層へ伝達され、且つ一般的に使用される応力計算方法を受け入れるときに示される全ての仮定をその構造体が満たすことができるように、接着剤は表面層又はスキンをコアに堅く貼り付けなければならない。接着剤が破断すると、パネルの強度は大幅に低下する。接着剤は特に、ハニカムのエッジが表面シートに接触する面積が比較的小さいという理由により、コアとしてハニカムを使用するサンドイッチパネルにおいて、特に重要な意味を持つ。例えば、国際公開第97/32752号は、ポリエステルハニカムコアと、スキン層としてのニードル貫通されたポリエステルパッドとを備えたヘッドライナのためのトリム部分を開示しており、この場合、これらのパッドは、粉末又は繊維質ウェブ層の形式の接着剤層を使用してコアに積層させられている。
【0013】
ハニカムに複合表面シートを取り付ける1つの手順は、少なくとも1つの繊維強化層と、未硬化樹脂マトリックスとを有するプリプレグシートを形成することを含む。プリプレグは、樹脂に予め含浸されかつ最終的な硬化のために準備されたマット、ファブリック、不織布材料、トウ、又はロービングを表すための、複合材料工業において使用される技術用語である。フィルム状接着剤は通常、プリプレグコアアセンブリに提供され、次いで、プリプレグ樹脂と接着剤樹脂とを所要の温度で硬化させることによってハニカムに接合される。フィルム状接着剤が、別の層として、又はプリプレグシートの一体部分として適用されてもよい。
【0014】
ハニカムサンドイッチパネルは、パネルの剛性及び構造強度が主として考慮されるような多くの用途において使用される。さらに、ハニカムサンドイッチパネルは、軽量であることが最も重要である自動車工業においても広く使用されている。その結果、構造強度を犠牲にすることなくハニカムサンドイッチパネルの重量を減じるための協調努力がこれまでもなされてきており、かつ現在も継続して行われている。重量を減じるために研究されてきた1つの分野は、別個の接着剤層の削除である。これは、粘着性の複合材料から表面シートを形成することによって達せられてきた。このような粘着性プリプレグにおいて使用される樹脂は、依然としてハニカムに十分な接着を提供しながら適切な構造強度を提供するという2つの要求を満たさなければならない。
【0015】
ハニカムに表面シートを接合する択一的な方法は、ハニカムのエッジに接着剤を提供することを含む。接着剤は通常、ハニカムのエッジを接着剤に"浸漬"することによって提供される。この形式の接合において使用される接着剤は通常、"浸漬"樹脂又は接着剤と呼ばれる。この方法の利点は、接着剤が、表面シート全体に亘って塗布されるのではなく、ハニカムが表面シートと接触するところだけに配置されるということである。この方法は概して、アルミニウム及びその他の金属表面シート等の非粘着性表面シートをハニカムに接合するために使用される。
【0016】
自動車用途のための全てのサンドイッチ構造物は、様々な材料の複数の層の積層体として形成されるという点で共通している。例えば、米国特許第6676199号明細書において、軽量の車両フロアリングのためのサンドイッチ構造物が開示されており、このサンドイッチ構造物は少なくとも、厚紙ハニカムから形成されたコアと、レゾール(Resol)を用いて接合されたガラス繊維及びPET繊維のニードル貫通された不織布、又はビトゥマススチレンを備えた含浸されたガラスマットから形成されたスキンとを有している。このような材料の組合せは、リサイクルすることが困難であり、したがって廃棄費用が高くなる。材料は、変換前の貯蔵条件に対していくぶん敏感である。さらに、このような製品の製造方法は、高価でかつ時間がかかり、価格が最も重要な要因である用途でのこのような製品の使用を好ましくないものにしている。
【0017】
米国特許第6569509号明細書は、2つの表面層を備えたハニカムコア構造物を開示している。サンドイッチ構造物は、付加的な衝撃吸収特性を備えるライニングとして使用され、特に開示された構造物は、例えば自動車衝突時の圧縮力を受けて圧縮することができるべきである。それと同時に、ライニングは、音響減衰特性を有するべきである。開示された構造物は、2つの異なるスキン層を有しており、第1のスキン層は、良好な吸音を得るために、900Nsm3〜2000Nsm3の通気抵抗と、0.027Nm〜0.275Nmの曲げ強さと、0.3〜0.7kg/m2の単位面積比重量とを有する微孔質剛性化層である。コア構造の第2の部位は、ベース層として開示されており、多孔質PP不織布、PE不織布、又は化学繊維と天然繊維とから形成された複合不織布から形成することができる。実際の圧縮挙動は、コア自体から生じ、選択されたスキンによって高められることはない。しかしながら、前記米国明細書によれば、スキンは、フィッティングアセンブリ全体が自立型であることに寄与する。この剛性化層は、高度にコンパクト化され、最終的に装飾層、カーペット等の他の層と組み合わされるポリプロピレン不織布層の形をとってもよい。
【0018】
欧州特許第1255663号明細書は、ハニカムコア層と2つのスキン層とを備えた自立型荷物棚を開示している。この明細書においてスキン層は圧縮された熱可塑性繊維から形成されている。開示されたスキン層は、全体がPPから形成されているか又はPP鞘とPETコアとの複合繊維として形成された、少なくとも50%のポリプロピレンPP繊維と、ガラス繊維、ポリエステル繊維又はアラミド繊維等の付加的な強化繊維とから形成されている。強化層は300〜1200g/m2の面積重量を有する。最終的に、強化層とコアとの間の結合層を使用することができる。例えば20〜50g/m2の面積重量を備えるPPから形成されたSMMS層(スパンボンド−溶融紡糸−溶融紡糸−スパンボンド)である。
【0019】
最も一般的に使用される材料は少なくとも、自動車用途のために必要な強度を得るためにガラス繊維を含んでいる。ガラス繊維は、製造中の健康リスクにより、また、製品から突き出たガラス繊維が皮膚に接触することにより皮膚の問題を生ずる恐れがあるため、望ましくない。特に荷物棚又は積み荷フロア等の車内で使用される自動車部分では、これが問題となる。PPは低融点という性質を持っているため、該材料は、高熱に曝される使用、例えばエンジンルームにおける使用や、車内の窓際における使用においても不利である。太陽放射に長時間曝することも、内装部品を加熱する恐れがある。荷物棚又は積み荷フロア等の支持部品として使用されるパネルの場合、これがたるみにつながる可能性がある。
【0020】
したがって、本発明の課題は、前記従来技術よりも、よりリサイクルしやすく、より製造しやすく、さらにより長期間にわたって熱に対して安定している、最適な曲げ剛性を有する、より軽量の、ガラスを含まない構造物を得ることである。
【0021】
前記課題は請求項1のサンドイッチ構造物によって達成される。特に、コンパクトな層を形成しかつ同時にハニカムコアとの接合を形成するために、成形中に圧縮された100%ポリエステル複合フィラメントから形成された溶融紡糸不織布によって両側において被覆された、好適にはPETのハニカムコアを使用することによって達成される。
【0022】
ランダムに配置された溶融紡糸複合フィラメントのウェブは、約400〜1000gr・m-2の面積重量を有する不織布マットを形成するために、交差して重ね合わされかつニードリングされている。これらのマットは、最終的なスキンにおいて必要とされる面積重量に応じて、約4〜20mmの厚さを有する。形成の後、スキン層は、好適には1〜5mmの厚さ、より好適には1〜2.5mmの厚さを有する。
【0023】
溶融紡糸フィラメントは粗く、好適には16〜37μmの範囲の直径を有する。これは、1.38g/cm3の密度における約3〜15dtexに等しい。
【0024】
交差して重ね合わされたフィラメントウェブの層をニードリングすることによって、得られた不織布マットは、例えば成形機への移送のために取り扱うことができる。驚くべきことに、フィラメントウェブのニードリングは、最終製品の機械的特性を著しく高める。フィラメントを交絡させることにより、フィラメントは、スキンの内部のせん断力の増大につながるより強い網状構造を形成し、スキンの強度を高める。さらに、スキンをより多くニードリングすることによって、ニードルは材料に穴を残し、これらの穴は、成形工程の間に残留するように十分に大きく、材料を多孔質にし、その結果、製品全体の音響特性を高める。特に、吸音性が高められる。
【0025】
ニードルリングとともに連続するフィラメントを使用することはスキンの強度を高め、この結果サンドイッチ構造物の全体的性能を広範囲に高めることが分かった。1000gr/m2及び850gr/m2のスキンを備えるサンドイッチ構造物は、使用されるニードルのストローク及び/又は量を増大することによって、より軽量のスキンのニードリングの増大により、同等の剛性結果を示した。
【0026】
フィラメントは、不定長さを備える連続糸(continuous fibre)として定義される。フィラメントは、定義されたように、無端フィラメント又は連続フィラメントとしても知られる。特に、ステープルファイバを形成する切断された溶融紡糸フィラメントは除外される。
【0027】
複合フィラメントは、1つのポリマのコア(芯)と、他のポリマの包囲する鞘とを有するフィラメントを形成するために組み合わされた2つのポリマから形成されていてもよい。特に、複合フィラメントは、芯鞘構造、並列構造、海島構造、又はパイ分割型構造で配列されていてよい。複合フィラメントの製造は従来公知であり、例えば、Fibre Table according to P.-A. Koch (2008, Shaker Verlag, ISBN978-38322-7037-7)を参照されたい。好適には、複合フィラメントは、芯鞘構造に形成されており、この場合、鞘は、第1のポリマから形成されており、第2のポリマから形成された芯を実質的に包囲している。鞘ポリマが芯ポリマを完全に包囲している必要はない。第1のポリマは第2のポリマの融点よりも低い融点を有しており、複合フィラメントを加熱した時に、第1のポリマと第2のポリマとが異なる反応を生ずるようになっている。例えば、複合フィラメントは、第1のポリマ(鞘ポリマ)の軟化点又は融点よりも高くかつ第2のポリマ(芯ポリマ)の融点よりも低い温度に加熱されると、第1のポリマは軟化又は溶融するのに対し、第2のポリマは軟化又は溶融しない。第1のポリマのこの軟化は、第1のポリマを粘着性にし、近接するフィラメントに接合させる。これに対して、芯ポリマは不変であり、最終製品におけるフィラメントの網状構造を形成する。
【0028】
好適には、使用される複合フィラメントは、100%ポリエステルベースである。複合フィラメントのための特定のポリマ組合せは、コポリエステルポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート(coPET/PET)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート(6PETg/PET)である。使用される複合フィラメントが芯鞘構造である場合には、1番目に記載されたポリマが鞘であり、2番目に記載されたポリマが芯ポリマである。
【0029】
コアは、好適にはPETコア材料から形成されている。より高い温度により長い期間曝されたときの材料の形状及びばね定数を保つ機械的特性であって、老朽化したときの材料の機械的特性は、自動車工業において使用される部品にとって重要な要因である。例えば、荷物棚又はロードフロアのための材料のたるみは、部材の機能障害を生じる恐れがあり、自動車製造業者への苦情につながる恐れがある。サンドイッチ構造物の機械的特性が、PET及びPBTの混合物から形成されたハニカムコアを用いることによって、より最適化することもできることは分かっていなかった。得られたサンドイッチ構造物は、より剛性でかつより軽量であり、高温に耐えることができた。特に、サンドイッチ構造物は、加熱撓み温度のための試験において、より良好に機能した。この加熱撓み温度は、ISO75又はASTM D648に提供されているように、高温において与えられた荷重を受けたときに部材が撓みに抵抗するような撓み温度として定義される。
【0030】
例えば、厚紙ハニカムとPP−GF材料スキンとから形成された積み荷フロアのばね定数は、室温での1.8(N/mm2)から、70℃での約0.76(N/mm2)への変化を示した。これは57%の減少である。PET/PBTハニカムコアと、coPET/PET複合不織布スキンとを備える、本発明によるサンドイッチ構造物は、室温において、約1.4(N/mm2)のより低いばね定数を示したが、70℃では1.2(N/mm2)までしか低下しなかった。従って、経年変化の間にも、機械的特性のより優れた全体的性能を示している。
【0031】
PETコア材料と、coPET/PET複合不織布との組合せから形成されたサンドイッチ構造物は、単一材料製品である。切り落とし材料、又は製品ライフサイクルの最後における製品全体のリサイクルは、容易になる。製品は、再びPETペレットに加工することができ、製品において又はその他のPET含有製品において再利用することができる。特に、コアを製造するために使用されるPETは、ある割合のリサイクルされたPETを含むことができる。ポリエステルコアを備えた100%ポリエステルスキンの使用は、スキンとコアとの間の結合層が必要とされないという付加的な利点を有する。
【0032】
発明のこれらの特徴及びその他の特徴は、添付された図面に関する非制限的な例として提供された、好適な態様の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】方法の概略図である。
【図2】本発明によるサンドイッチ構造物の概略的な断面図である。
【0034】
溶融紡糸複合フィラメント若しくは複合糸4は、紡糸載置技術(符号3、ボックスとして示されている)を用いて製造され、フィラメントが押し出され、引き流され、ウェブを形成するために移動する金網上に載置される。複合フィラメントの製造は従来公知であり、例えばFibre Table according to P. -A. Koch (2008, Shaker Verlag. ISBN 978-38322-7037-7)が参照される。フィラメントが収集ユニット5に接触する時には、フィラメントは冷却されておりかつ非粘着性であり、フィラメントはランダムに配置されてウェブを形成する。例えば、図示された収集ユニット5は同時に、重ね合わせ装置(cross lapper)の分配ユニットでもある。しかしながら、その他の構成も可能である。収集ベルトの下側には通常サクションボックスが配置されており、このサクションボックスは、フィラメントのランダムな分配を補助する。また、収集ベルトと重ね合わせ装置との間に加熱工程を配置することができ、この加熱工程は、短距離にわたっての搬送及び取扱いを可能にするように十分にフィラメントウェブをまとめる。緩いフィラメントウェブは重ね合わされ(符号6,7)、より厚く、より重い層を形成する。交差した重ね合わせ(cross lapping)のおかげで、最終的な不織布マットの幅を調節することもできる。次いで、重ね合わされたフィラメントウェブは、不織布マット9を形成するためにニードリングされる(符号8)。ニードリングは、緩いフィラメントウェブの面積重量と、サンドイッチ製品の最終的なスキン層において必要とされる強度とに依存する。材料は、ブランクとして知られる断片に切断することができるか、又はサンドイッチ構造物を製造する第2の段階においてロール製品として使用することができる。
【0035】
サンドイッチ構造物のために、スキンとハニカムコアとが望ましい順序で層状にされ、2つのプレートの間で、複合フィラメントの鞘部分を軟化及び溶融させるような温度に加熱される。次いで、層の積層物は冷間成形機へ移送され、圧力を加えながら製品が形成される。十分な冷却の後、製品は成形機から取り出される。例えば高温プレート、冷間成形プロセス又は熱間成形プロセスの代わりに、高温空気又は赤外線を使用して、従来公知の択一的な加熱及び/又は成形プロセスが可能である。これは、例えば最終製品に依存する。
【0036】
図2は、本発明によるサンドイッチ構造物の主な層を示す概略図である。層1a及び1bは、ランダムに配置された溶融紡糸されたポリエステル複合フィラメントから形成されたスキン層であり、これらのスキン層は、不織布マットを形成するように重ね合わされかつニードル貫通されており、コンパクトなスキン層を形成しかつコアと結合するためにサンドイッチ構造物の成形中に圧縮されている。コア層2はハニカム層であり、既に従来技術において説明したようなハニカム構造のうちの1つであってもよい。好適には、ハニカム構造は、ハニカムが両方向に開放しているように向きづけられており、スキン層はハニカムの縁部に結合されている。PETハニカムが好適である。PETスキン層とともに、単一材料製品が提供される。このような製品は容易にリサイクルされる。本発明によるサンドイッチ製品を含む全てのタイプのPET製品に再利用するために、材料を再び溶融させ、PET樹脂に形成することができる。
【0037】
図2において、hは成形後のサンドイッチ製品の全高であり、tは成形後のスキンの厚さである。
【0038】
本発明によるサンドイッチ構造物を備えた自動車製品は、フロアリング、荷物棚、自動車の下側のためのアンダーボディ、エンジンカバー、又はエンジンルームカバーとして使用することができる。基本的に、どの場所でも、構造部品は例えばロードフロアとして必要とされる。サンドイッチ構造物はトラックにおけるキャビン壁部として使用することもできる。
【0039】
サンドイッチ材料に加えて、その他の非構造層、例えばカーペット、スクリム、フィルム等を、加熱の前又は冷却及び成形ステップの前に製品に付加することができる。これらの付加的な層は、原理的に、サンドイッチ構造物自体の構造的剛性及び曲げ特性に寄与する重要な層ではない。例えば、箔の形態のバリア層を、水を遮断するために使用することができる。例えば、自動車フロアリングとして使用される本発明によるサンドイッチ構造物を、少なくとも部分的に、タフテッドカーペット又は不織布カーペットから形成された付加的なカーペット層によって被覆することができる。本発明によるサンドイッチ製品が、高温の場所で使用される場合、パネルは、例えばエンジンルームにおける使用のために又はアンダーフロア等の自動車の下側のアンダーボディとしての使用のために、少なくとも部分的に遮熱材を有することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側をスキン層で被覆されたハニカム状のコアから成る、自動車用サンドイッチ構造物であって、前記スキン層のそれぞれが、ランダムに配置された溶融紡糸されたポリエステル複合フィラメントのウェブから成っており、該ウェブは、不織布マットを形成するように交差して重ね合わされかつニードリングされておりかつ、前記コアに結合された、結合されたフィラメントを有するコンパクトなスキン層を形成するために、サンドイッチ構造物の成形の間に圧縮されていることを特徴とする、自動車用サンドイッチ構造物。
【請求項2】
前記コアが、ポリエステルのハニカム状構造物である、請求項1記載のサンドイッチ構造物。
【請求項3】
溶融紡糸されたフィラメントが、16〜37μmの範囲の直径を有する、請求項1又は2記載のサンドイッチ構造物。
【請求項4】
前記スキン層が、400〜1200gr・m-2の面積重量を有する、請求項1又は2記載のサンドイッチ構造物。
【請求項5】
前記スキン層が、1〜3mm、好適には1〜2.5mmの厚さを有する、請求項1から4までのいずれか1項記載のサンドイッチ構造物。
【請求項6】
積み荷フロア、荷物棚、アンダーボディ、エンジンカバー、エンジンルームカバー、又はエンジンシールドとして使用される、請求項1から5までのいずれか1項記載のサンドイッチ構造物を備える自動車製品。
【請求項7】
タフテッドカーペット又は不織布カーペットから形成された付加的なカーペット層を備えた、請求項7記載の自動車製品。
【請求項8】
少なくとも部分的に遮熱材を備えた、請求項7記載の自動車製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−507278(P2013−507278A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533628(P2012−533628)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065393
【国際公開番号】WO2011/045364
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512099884)オートニアム マネジメント アクチエンゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】Autoneum Management AG
【住所又は居所原語表記】Schlosstalstrasse 43, CH−8406 Winterthur, Switzerland
【Fターム(参考)】