説明

自動車用ウエザーストリップ

【課題】 断面略U字状のリテーナーに取付け易く、かつ、取付け後には抜け出すことのない自動車のウエザーストリップを提供する。
【解決手段】 取付基部10の一方側凸部11が、断面略U字状のリテーナー20の一方側凹部21に差し込まれた後、取付基部10の他方側踵部12がリテーナー20の他方側溝部22に押し込まれて取付けられる自動車用のウエザーストリップであって、他方側踵部12に、長手方向に沿って断続的に複数の肉取部13を形成して、その肉取部13と残存部14とを交互に配置し、他方側踵部12を他方側溝部22に押し込み易くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面略U字状のリテーナーに取付けられる自動車のウエザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1および図2を参照して説明する。自動車のウエザーストリップには、ドアウエザーストリップやグラスランなどのように、取付基部が断面略U字状のリテーナーに取付けられるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
こうしたウエザーストリップ30の取付けは、図2に示すように、まず取付基部10の室内側凸部11をリテーナー20の室内側凹部21に差し込んだ後、取付基部10の車外側踵部12を上から押してリテーナー20の車外側溝部22に押し込んで行う。
【特許文献1】特開平07−290955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、こうした構造のウエザーストリップ30にあっては、リテーナー20に対する取付けが厄介であるといった問題がある。すなわち、取付基部10の車外側踵部12をリテーナー20の車外側溝部22に押し込む際に、すでに車外側溝部22に押し込まれている部分が、それに続けて押し込まれている部分の元に戻ろうとする復元力によって、車外側溝部22から抜け出てしまい易い。
【0005】
こうしたことから、これまでは、各自動車のリテーナー20の寸法に対応して車外側踵部12の一部をカットするなどして取付基部10の幅を短くして調整するなどの対策を講じてきた。しかし、取付基部10の幅を短くしてしまうと、取付けは容易になる反面、抜け易くなってしまうといった問題が発生する。この傾向は、特に、コーナー部Cを形成する型成形部において顕著である。
【0006】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、断面略U字状のリテーナーに取付け易く、かつ、取付け後には抜け出すことのない自動車のウエザーストリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
用語の定義・・・肉取部13とは、図3,図4に示すカット凹部18とか、図8に示す肉薄部19の如く、車外側踵部12の変位を容易にするように車外側踵部12の肉を除いた部分ことである。
【0008】
図1および図3乃至図8を参照して説明する。請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、取付基部10の一方側凸部11が、断面略U字状のリテーナー20の一方側凹部21に差し込まれた後、取付基部10の他方側踵部12が前記リテーナー20の他方側溝部22に押し込まれて取付けられる自動車用のウエザーストリップであって、他方側踵部12に、長手方向に沿って断続的に複数の肉取部13を形成して、その肉取部13と残存部14とを交互に配置し、他方側踵部12を他方側溝部22に押し込み易くしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、取付基部10の一方側凸部である室内側凸部11が、断面略U字状のリテーナー20の他方側凹部である室内側凹部21に差し込まれた後、取付基部10の他方側踵部である車外側踵部12がリテーナー20の他方側溝部である車外側溝部22に押し込まれて取付けられる自動車用のウエザーストリップであって、車外側踵部12に、長手方向に沿って断続的に複数の肉取部13を形成して、その肉取部13と残存部14とを交互に配置し、車外側踵部12を前記車外側溝部22に押し込み易くしたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、請求項1または2に記載の発明において、残存部14に、その端面が他方側溝部22の最深部を形成するリテーナー20の奥壁部20aに当接する延長部15を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、請求項1、2または3のいずれかに記載の発明において、肉取部13を、コーナー部Cを形成する型成形部のみ、または型成形部と押出成形部の両方に形成したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、肉取部13が、図3,図4に示す如く、カット凹部18であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、肉取部13が、図8に示す如く、肉薄部19であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、取付基部10の一方側凸部11が、断面略U字状のリテーナー20の一方側凹部21に差し込まれた後、取付基部10の他方側踵部12がリテーナー20の他方側溝部22に押し込まれて取付けられる自動車用のウエザーストリップにおいて、取付基部10の他方側踵部12を、長手方向に沿って断続的に複数の肉取部13を形成し、その肉取部13と残存部14とを交互に配置し、他方側踵部12を他方側溝部22に押し込み易くしたので、ウエザーストリップ1をリテーナー20に容易に取付けることができる。
【0015】
すなわち、取付基部10の一方側凸部11をリテーナー20の一方側凹部21に差し込んだ状態で、取付基部10の他方側踵部12をリテーナー20の他方側溝部22に押し込む際、他方側踵部12に複数のカ肉取部13を形成しているので、残存部14のみが他方側溝部22に接触しながら押し込まれる。この際、残存部14の両側に位置する肉取部13は他方側溝部22に接触しないので、残存部14は肉取部13から独立した状態となり、従って、肉取部13の影響(復元力)を受けることなく他方側溝部22に容易に押し込まれる。
【0016】
また、他方側溝部22に押し込まれた後の残存部14は、同様に、両側の肉取部13の影響を受けないので、当該他方側溝部22から抜け出すことなく組付き姿勢をそのまま維持することができる。
【0017】
請求項2に記載の自動車用ウエザーストリップ1も同様に、取付基部10の一方側凸部11である室内側凸部をリテーナー20の一方側凹部21に差し込んだ状態で、取付基部10の他方側踵部である車外側踵部12をリテーナー20の他方側溝部である車外側溝部22に押し込む際、車外側踵部12に複数の肉取部13を形成してあるので、残存部14のみが車外側溝部22に接触しながら押し込まれる。この際、残存部14の両側に位置する肉取部13は車外側溝部22に接触しないので、残存部14は肉取部13から独立した状態となり、従って、肉取部13の影響を受けることなく車外側溝部22に容易に押し込まれる。
【0018】
請求項3に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、請求項1および2に記載の発明と同様の効果を発揮する。また、残存部14に、その端面が他方側溝部22の最深部を形成するリテーナー20の奥壁部20aに当接する延長部15を設けたので、残存部14を他方側溝部22に強固に取付けることができる。この延長部15は、肉取部13を形成したことによって、残存部14を他方側溝部22へ容易に押し込むことができることになったために形成することができたものである。この延長部15により、ウエザーストリップ1をリテーナー20にさらに強く取付けることができ、抜け出しをより確実に防止することができる。
【0019】
請求項4に記載の自動車用ウエザーストリップ1は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明と同様の効果を発揮する。また、肉取部13を型成形部のみに形成することによって、特に、取付けが困難なコーナー部Cにおいて、ウエザーストリップ1をリテーナー20に容易に取付けることができ、また、その抜け出しも防止することができる。
【0020】
なお、肉取部13を型成形部と押出成形部の両方に形成することによって、コーナー部Cのみでなく、直線部においても、ウエザーストリップ1をリテーナー20に容易に取付けることができると共に、その抜け出しを確実に防止することができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明と同様な効果を発生すると共に、肉取部13は、他方側溝部22に押し込まれないので、残存部14はカット凹部18から独立した状態となり、カット凹部18の影響を受けることなく車外側溝部22に容易に押し込まれる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明と同様な効果を発生すると共に、残存部14は、両側の肉薄部19,19の影響をあまり受けることなく、他方側溝部22に押し込まれ、また流体に対する気密性がカット凹部18に比べて良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る自動車用ウエザーストリップ1の一実施形態を、図1および図3乃至図6に示す。これは、自動車のドアパネル2に組付けられるドアウエザーストリップであり、リテーナー20に取付けられる取付基部10と、ボディパネル3に弾接する中空シール部16と、中空シール部16より車外側に位置し、同じくボディパネル3に弾接するシールリップ部17を備える。
【0024】
このウエザーストリップ1は、取付基部10の一方側凸部(本実施形態では室内側凸部)11が、断面略U字状のリテーナー20の一方側凹部(室内側凹部)21に差し込まれた後、取付基部10の他方側踵部(車外側踵部)12がリテーナー20の他方側溝部(車外側溝部)22に押し込まれることによって取付けられるものである。また、このウエザーストリップ1は、車外側踵部12に長手方向に沿って断続的に複数のカット凹部18より成る肉取部13を形成し、そのカット凹部18と、車外側踵部12の残り部分である残存部14とを交互に配置したもので、14aは残存部14aの端面である。カット凹部18と残存部14の長さは、それぞれ7mm程度に設定している。
【0025】
なお、本実施形態においては、カット凹部18を、特に取付の困難なコーナー部Cを形成する型成形部のみに形成しており、直線部を形成する押出成形部には形成していないが、直線部にも形成することができる。
【0026】
本実施形態に係るウエザーストリップ1は、コーナー部Cにおいて、車外側踵部12を車外側溝部22に押し込む際、車外側踵部12に複数のカット凹部18を形成しているので、残存部14のみが車外側溝部22に押し込まれる。この際、残存部14の両側に位置するカット凹部18は車外側溝部22に押し込まれないので、残存部14はカット凹部18から独立した状態となって当該カット凹部18の影響(復元力)を受けず、よって、車外側溝部22に容易に押し込まれる。
【0027】
また、車外側溝部22に押し込まれた後の残存部14は、同様に、両側のカット凹部18の影響を受けないので、当該車外側溝部22から抜け出すことなく組付き姿勢をそのまま維持することができる。
【0028】
なお、本発明に係る自動車用ウエザーストリップ1は、上記実施形態に係るドアウエザーストリップに限定されるものではなく、断面略U字状のリテーナー20に取付けられる全てのウエザーストリップを含むものである。従って、例えば、ドアパネル2に取付けられ、ドアガラスに摺接するグラスランを含む。
【0029】
また、上記実施形態では、取付基部10の室内側凸部11をリテーナー20の室内側凹部21に差し込んだ後、車外側踵部12を車外側溝部22に押し込む構成であるが、本発明はこれに限定されず、いずれか一方側の凸部11を同じ一方側の凹部21に差し込んだ後、他方側の踵部12を同じ他方側の溝部22に押し込む構成の全てのウエザーストリップ(シール材)を含むものである。
【0030】
本発明に係るウエザーストリップ1は、カット凹部13を形成したことによってリテーナー20への取付けが容易になることから、図7に示すように、残存部14に、その外側面が、車外側溝部22の最深部を形成するリテーナー20の奥壁部20aに当接する延長部15を設けることができる。延長部15を設けることによって、取付基部10をリテーナー20へより強固に取付けることができるので、ウエザーストリップ1の離脱をより未然に防止することができる。
【0031】
図8の別な実施例は、肉取部13として、図4のカット凹部18に代え、薄肉部19を形成したものであり、図4のものに比べ、残存部14の他方側溝部に対する押し込み性は若干低下するが、流体に対するシール性は優れている。なお、図8において、19aは薄肉部19頂壁で残存部14と面一になっており、19bは薄肉部19の側壁で残存部18と同じ高さであり、18aはカット凹部18と同位置の底面、14aは残存部14の端面である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ウエザーストリップが取付けられる自動車を示す側面図である。
【図2】従来例に係るウエザーストリップの取付け時の状態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るウエザーストリップの実施形態を示す要部斜視図である。
【図4】図3に示すウエザーストリップの一部拡大図である。
【図5】図3に示すウエザーストリップの取付け時の状態を示す断面図である。
【図6】図3に示すウエザーストリップの取付け後の状態を示す断面図である。
【図7】本発明に係るウエザーストリップの他の実施形態を示す要部斜視図である。
【図8】本発明に係るウエザーストリップの更に別の実施形態を示す一部拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ウエザーストリップ
2 ドアパネル
3 ボディパネル
10 取付基部
11 一方側(室内側)凸部
12 他方側(車外側)踵部
13 肉取部
14 残存部
14a 端面
15 延長部
16 中空シール部
17 シールリップ部
18 カット凹部
19 肉薄部
19a 頂面
19b 側面
20 リテーナー
20a 奥壁部
21 一方側(室内側)凹部
22 他方側(車外側)溝部
30 ウエザーストリップ
C コーナー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付基部(10)の一方側凸部(11)が,断面略U字状のリテーナー(20)の一方側凹部(21)に差し込まれた後,取付基部の他方側踵部(12)がリテーナーの他方側溝部(22)に押し込まれて取付けられる自動車用のウエザーストリップであって、他方側踵部に,長手方向に沿って断続的に複数の肉取部(13)を形成して,肉取部(13)と残存部(14)とを交互に配置し,他方側踵部を他方側溝部に押し込み易くしたことを特徴とする自動車ウエザーストリップ。
【請求項2】
取付基部(10)の一方側凸部である室内側凸部(11)が,断面略U字状のリテーナー(20)の他方側凹部である室内側凹部(21)に差し込まれた後,取付基部の他方側踵部である車外側踵部(12)がリテーナーの他方側溝部である車外側溝部(22)に押し込まれて取付けられる自動車用のウエザーストリップであって、車外側踵部に,長手方向に沿って断続的に複数の肉取部(13)を形成して,該肉取部(13)と残存部(14)とを交互に配置し,車外側踵部を車外側溝部に押し込み易くしたことを特徴とする自動車ウエザーストリップ。
【請求項3】
残存部(14)に、その外側面が他方側溝部(22)の最深部を形成するリテーナー(20)の奥壁部(20a)に当接する延長部(15)を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用ウエザーストリップ。
【請求項4】
肉取部(13)を、コーナー部(C)を形成する型成形部のみ、または型成形部と押出成形部の両方に形成したことを特徴とする請求項1、2または3に記載の自動車用ウエザーストリップ。
【請求項5】
肉取部(13)が、カット凹部(18)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のウエザーストリップ。
【請求項6】
肉取部(13)が、肉薄部(19)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のウエザーストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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