説明

自動車用ボディーアンダーカバー

【課題】車外へ漏れたエンジン音や路面側が音源となるロードノイズ等に対して吸音特性を発揮するために路面側外表面に不織布を用いた場合でも飛び石等の異物の飛散に対する耐久性を有する自動車用ボディーアンダーカバーを提供する。
【解決手段】少なくとも、繊維補強材と第1の熱可塑性合成樹脂13が混合された基材層11と、基材層11の路面側となる面には、熱可塑性合成繊維よりなる不織布層15とが、積層された状態で両層の表面部が熱融着結合され圧縮成形により所定形状に成形されて繊維成形体として形成される構成とされており、基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13は、成形時の加熱工程で溶融する融点であり、不織布層15は、成形時の加熱工程で溶融する融点の第2の熱可塑性合成繊維16と、成形時の加熱工程で溶融しない融点の第3の熱可塑性合成繊維17が混合された不織布層15である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ボディーアンダーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の下部には、下方を流通する気流の空気抵抗を抑制するために自動車の下面側を覆うボディーアンダーカバーが装着されている(特許文献1参照)。このボディーアンダーカバーは、車体下面を流通する空気流の流れを良くすることにより空気抵抗値を抑制して燃費向上を図るためのものである。更には、走行安定、操縦安定を図れると共に走行中における飛び石等の異物の飛散から車体構成品を守る役目も果たしている。
【0003】
かかる空力特性の向上による燃費向上、走行安定、操縦安定のため自動車の下面側を覆う自動車用ボディーアンダーカバーとして、オレフィンを主体とした樹脂材料が用いられてきた。特許文献2には、自動車用ボディーアンダーカバーの一例としてポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を使用するエンジンアンダーカバーの技術が開示されている。
【0004】
ところで、オレフィンを主体とした樹脂材料による自動車用ボディーアンダーカバーは、重量的に重いという問題があった。そのため、軽量化を図るために、ガラス繊維を補強材とした繊維系の板材を基材とする自動車用ボディーアンダーカバーが開示されている。この自動車用ボディーアンダーカバーは繊維間の微細な穴の構成により吸音性能の向上が図れる。ところが、飛び石に対する耐久性、氷雪の着き難さ、平滑性など本来自動車用ボディーアンダーカバーとして要求される機能を損なわないために路面側の外表面に樹脂の補強層を構成する例があった。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−129676号公報
【特許文献2】特開平5−24559号公報
【特許文献3】特開2009−298340公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、樹脂の補強層は、通気を遮断してしまうことから路面側が音源となるロードノイズに対して効率よく吸音性能を発揮できない結果を招く。一方、路面側からの吸音性能を発揮させるために路面側外表面に通気性のある合成繊維による不織布を構成することが考えられる。ところが、この不織布の毛羽立ちによって飛び石に対する耐久性の無さが問題となって自動車用ボディーアンダーカバー本来の機能が損なわれるおそれがあった。
【0007】
而して、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車外へ漏れたエンジン音や路面側が音源となるロードノイズ等に対して吸音特性を発揮するために路面側外表面に不織布を用いた場合でも飛び石等の異物の飛散に対する耐久性を有する自動車用ボディーアンダーカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の自動車用ボディーアンダーカバーは次の手段をとる。先ず、第1の発明は、自動車の車体下面に配置される自動車用ボディーアンダーカバーであって、少なくとも、繊維補強材と第1の熱可塑性合成樹脂が混合された基材層と、該基材層の路面側となる面には、熱可塑性合成繊維よりなる不織布層とが、積層された状態で前記両層の表面部が熱融着結合され圧縮成形により所定形状に成形されて繊維成形体として形成される構成とされており、前記基材層の第1の熱可塑性合成樹脂は、成形時の加熱工程で溶融する融点であり、前記不織布層は、成形時の加熱工程で溶融する融点の第2の熱可塑性合成繊維と、成形時の加熱工程で溶融しない融点の第3の熱可塑性合成繊維とが混合された不織布層であることを特徴とする。
【0009】
この第1の発明によれば、成形時の加熱工程で基材層の第1の熱可塑性合成樹脂と不織布層の第2の熱可塑性合成繊維とが溶融し、基材層の繊維補強材と不織布層の第3の熱可塑性合成繊維が熱融着結合した繊維成形体となる。これにより、軽量な自動車用ボディーアンダーカバーを得ることができる。路面側に配置される不織布層の第3の熱可塑性合成繊維は、成形時の加熱工程で溶融しない繊維体であることから第2の熱可塑性合成繊維が溶融しても残存する。溶融した第2の熱可塑性合成繊維は、第3の熱可塑性合成繊維内に含浸して固着することにより繊維間に微細な穴を有した状態の補強層となる。この繊維間の微細な穴の構成により吸音特性を発揮する。また、表面の毛羽立ちを防ぎ平滑な面を形成することから飛び石等の異物の飛散に対する耐久性を有する。以上より、車外へ漏れたエンジン音や、路面側が音源となるロードノイズ等に対して、吸音特性を発揮するために路面側外表面に不織布を用いた場合でも飛び石等の異物の飛散に対する耐久性を有する自動車用ボディーアンダーカバーを提供することができる。
【0010】
次に、第2の発明は、第1の発明の自動車用ボディーアンダーカバーにおいて、前記第1の熱可塑性合成樹脂と第2の熱可塑性合成繊維は、同質の熱可塑性合成繊維であることを特徴とする。
【0011】
この第2の発明によれば、第1の熱可塑性合成樹脂と第2の熱可塑性合成繊維を同質の材料とすることで、より効果的に基材層と不織布層の熱融着結合が図ることができる。また、基材層と不織布層が剥離し難くい構成にできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、車外へ漏れたエンジン音や路面側が音源となるロードノイズ等に対して吸音特性を発揮するために路面側外表面に不織布を用いた場合でも飛び石等の異物の飛散に対する耐久性を有する自動車用ボディーアンダーカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車用ボディーアンダーカバーの基材層及び不織布層の積層状態を模式的に示す断面図である。
【図2】図2(A)は、本発明の実施形態に係る自動車用ボディーアンダーカバーの製造工程のうち熱盤プレスでの加熱及び加圧する工程を示した断面図である。図2(B)は、同じく製造工程のうち冷間プレスにおける冷間プレス工程を示した断面図である。図2(C)は、同じく製造工程のうち冷間プレス成形時に部品外カット部によって、積層体の外周の余分な部品外をカットする工程を示した断面図である。図2(D)は、同じく製造工程のうち自動車用ボディーアンダーカバーの成形品34を示した断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る自動車用ボディーアンダーカバーを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る自動車用ボディーアンダーカバーを車両に取り付けた状態を模式的に示した断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る自動車用ボディーアンダーカバーの吸音性能を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について図1から図5を用いて説明する。図1、3に図示されるように、本実施形態の自動車用ボディーアンダーカバー36は、基材層11と不織布層15が積層された繊維成形体である。図4に図示されるように、自動車用ボディーアンダーカバー36は、基材層11が車体A側に配置され不織布層15が路面B側に配置される。基材層11は、繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13を有している。不織布層15は、第2の熱可塑性合成繊維16と第3の熱可塑性合成樹脂17を有している。
【0015】
<基材層11について>
基材層11は、繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13を有する繊維マットである。この基材層11は、クロスレイヤー、エアレイ等に代表される乾式法、または抄紙法に代表される湿式法のいずれの製法を選択しても形成できる。
乾式法(クロスレイヤー)を用いた場合の基材層11は、繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13の繊維体を所定繊維長にカットした上で開繊機でよく混ぜ合わせ(混綿)カード機で積層し所定目付けの繊維ウェブとする。その上で繊維ウェブをニードルパンチして繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13の繊維体の繊維同士を交絡させて繊維マットにする。
乾式法(エアレイ)を用いた場合の基材層11は、繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13の繊維体を所定繊維長にカットした上でエアレイと呼ばれる空気流でよく混ぜ合わせ(混綿)たものを積層し所定目付けの繊維ウェブとする。その上で、繊維ウェブをニードルパンチして繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13の繊維体の繊維同士を交絡させて繊維マットにする。なお、上記乾式法における第1の熱可塑性合成樹脂13は、熱可塑性合成繊維が選択される。
湿式法を用いた場合の基材層11は、繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13を水中に分散し網状のネット等ですき上げてフリースを形成し、加熱機で乾燥して繊維マットとする。なお、湿式法における第1の熱可塑性合成樹脂13は、熱可塑性合成樹脂の粉末体を用いる。
【0016】
繊維補強材12は、チヨツプドストランド等の無機繊維であるガラス繊維や、有機繊維であるジュート(黄麻)、ケナフ(洋麻)、ラミー、ヘンプ(麻)、サイザル麻、竹等の天然繊維等が適宜選択される。
乾式法(クロスレイヤー、エアレイ)を用いる場合の繊維補強材12の繊維長は、20〜100mmの範囲で構成される。繊維補強材12が20mm未満である場合、繊維補強材12による有効な曲げ剛性を得られない。また、繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13の絡み合いが少なくなってしまう。繊維補強材12を100mmより長くした場合、混綿が難しくなり単位面積に対して繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13が均等に混ぜ合わせることが困難となって均一な曲げ強度、耐衝撃性を得ることができない。また、二-ドルパンチの交絡が困難となる。繊維補強材12の太さは、5〜50μmの範囲である。
湿式法(抄紙法)を用いる場合の繊維補強材12の繊維長は、5〜20mmの範囲で構成される。乾式法に比べて短いのは、水中で均一に分散させるためである。
【0017】
乾式法(クロスレイヤー、エアレイ)を用いる場合の第1の熱可塑性合成樹脂13は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等が選択される。ポリエチレン繊維の軟化点は100〜115℃であり、融点は125〜135℃である。ポリプロピレン繊維の軟化点は140〜160℃であり、融点は165〜173℃である。第1の熱可塑性合成樹脂13は、後述する成形時の加熱工程において溶融するため、ニードルパンチにおいて繊維補強材12と均一に混合された繊維マットに作成できれる範囲であれば、繊維長、繊維径は限定されない。
湿式法(抄紙法)を用いる場合の第1の熱可塑性合成樹脂13は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の粉末が選択される。ポリエチレン、ポリプロピレンの軟化点、融点は上記と同様である。
【0018】
基材層11の総目付量は、500〜2000g/m2の範囲とする。基材層11の総目付量の下限値は、500g/m2、好ましくは、700g/m2以上、より好ましくは1000g/m2以上である。基材層11の総目付量がこの下限値より低いと、曲げ剛性、耐衝撃性が低下する。基材層11の総目付量の上限値は、2000g/m2以下、好ましくは1500g/m2以下、より好ましくは1400g/m2以下である。基材層11の総目付量がこの上限値より高いと基材層11の嵩が増加しニードルパンチするときに良好に繊維同士を交絡させることができないことがある。また、重量が大きくなることから軽量化を図ることができない。このような、目付量の範囲内において、車種それぞれの自動車用ボディーアンダーカバー36としての要求値に応じて最終的に求められる基材層11の目付量を適宜設定される。
ここで、基材層11の総目付量500〜2000g/m2に対して、繊維補強材12の目付量は、30〜60重量%である。30重量%未満の目付量であると曲げ剛性、耐衝撃性が低下する。60重量%より多い目付量であると第1の熱可塑性合成樹脂13が少なくなって後述する不織布層15との接着強度の低下を招く。
【0019】
<不織布層15について>
不織布層15は、第2の熱可塑性合成繊維16と第3の熱可塑性合成樹脂17を有する繊維マットである。第2の熱可塑性合成繊維16は、自動車用ボディーアンダーカバー36の加工時の加熱温度によって溶融する材質が選択される。第3の熱可塑性合成繊維17は、加工時の加熱温度で溶融しない材質が選択される。第2の熱可塑性合成繊維16は、加工時の加熱温度によって溶融して第3の熱可塑性合成繊維17に含浸し固着して微細な穴が開いた状態の補強層となる。加工時の加熱温度は、基材層11の第1の熱可塑性合成繊維13の溶融温度によって決定される。第3の熱可塑性合成繊維17は、基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13の溶融温度よりも高い融点(好ましくは軟化点)とされる。第2の熱可塑性合成繊維16は、基材層11と不織布層15がより効果的に熱融着結合することに鑑み基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13と同じ材質のものが選択されるのが好ましい。
【0020】
第2の熱可塑性合成繊維16は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等が選択される。ポリエチレン繊維の軟化点は100〜115℃であり、融点は125〜135℃である。ポリプロピレン繊維の軟化点は140〜160℃であり、融点は165〜173℃である。第2の熱可塑性合成繊維16は、第1の熱可塑性合成樹脂13と同質の材料とすることが好ましい。基材層11と不織布層15の熱融着結合をより効果的に図り、基材層11と不織布層15が剥離し難くするためである。
第2の熱可塑性合成繊維16の繊維長は、20〜100mmの範囲である。第2の熱過可塑性合成繊維が20mm未満である場合、第3の熱過可塑性合成繊維との絡み合いが少なくなってしまう。一方、100mmより長くした場合、第3の熱過可塑性合成繊維との混綿が難しくなり単位面積に対して両繊維が均等に混ぜ合わせることが困難であり、均一な曲げ強度、耐衝撃性を得ることができない。
第2の熱可塑性合成繊維16は、後述する成形時の加熱工程において溶融するためニードルパンチにおいて第3の熱可塑性合成繊維17と均一に混合された繊維マットに形成できる範囲であれば繊維径は限定されない。
【0021】
第3の熱可塑性合成繊維17は、およそ200℃以上の融点(好ましくは軟化点)を有する熱可塑性合成繊維の材質である。ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維等が選択される。ポリエチレンテレフタレート繊維の軟化点は238〜240℃であり、融点は255〜260℃である。ポリエステル繊維の軟化点は238〜240℃であり融点は255〜260℃である。
第3の熱可塑性合成繊維17の繊維長は、20〜100mmの範囲である。第3の熱過可塑性合成繊維17が20mm未満である場合、第2の熱過可塑性合成繊維16との絡み合いが少なくなってしまう。一方、100mmより長くした場合、第2の熱過可塑性合成繊維16との混綿が難しくなり単位面積に対して両繊維が均等に混ぜ合わせることが困難である。
第3の熱可塑性合成繊維17の太さは、2〜15dtexの範囲である。
太さが2dtex未満であると、第3の熱過可塑性合成繊維の編み目が小さくなって吸音率の低下を招く。
太さが15dtexより太いと、第3の熱過可塑性合成繊維17の編み目が大きくなって通気度が大きくなって表面の平滑性が劣るため、飛び石等による耐久性が低下するおそれがある。より好ましくは、3〜11dtexの範囲が好ましい。
【0022】
不織布層15の総目付量は、50〜400g/m2の範囲とする。不織布層15の総目付量の下限値は、50g/m2、好ましくは、80g/m2以上、より好ましくは100g/m2以上である。不織布層15の総目付量がこの下限値より低いと、不織布層15が薄く透けてしまい表面の一部が破れて氷雪の付着が発生しやすくなる。また、曲げ剛性、耐衝撃性の低下を招いて飛び石等による耐久性が低下する。不織布層15の総目付量の上限値は、400g/m2以下、好ましくは230g/m2以下、より好ましくは200g/m2以下である。不織布層15の総目付量がこの上限値より高いと重量が大きくなることから軽量化を図ることができない。不織布層15の総目付量は上記範囲内において車種それぞれの自動車用ボディーアンダーカバー36としての要求値に応じて最終的に求められる目付量を適宜設定する。不織布層15は、基材層11と同様の製造方法の乾式法(クロスレイヤー、エアレイ)によって製造する。
ここで、不織布層15の総目付量50〜400g/m2に対して、第3の熱可塑性合成繊維17の目付量は、30〜50重量%である。第3の熱可塑性合成繊維17の目付量が30重量%未満である場合、溶融する第2の熱可塑性合成繊維16が多くなってしまい第3の熱可塑性合成繊維17の繊維間の目が詰まってしまい吸音性能が低下する。第3の熱可塑性合成繊維17の目付量が50重量%より多いと第3の熱可塑性合成樹脂17の毛羽立ちが著しく飛び石等による耐久性が低下する。
【0023】
<自動車用ボディーアンダーカバー36の製造工程>
次に、本発明の自動車用ボディーアンダーカバー36の製造方法を図1〜4を参照して説明する。本発明の自動車用ボディーアンダーカバー36は、以下の構成を含むことにより製造される。
(1)少なくとも、繊維補強材12と第1の熱可塑性合成樹脂13が混合された基材層11と、基材層11の路面B側となる面には、第2の熱可塑性合成繊維16と第3の熱可塑性繊維17よりなる不織布層15を積層した積層体10を有すること。
(2)基材層11と、不織布層15の積層状態で両層の表面部が熱融着結合され圧縮成形により所定形状に成形されて繊維成形体として形成される構成とされること。
(3)基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13は、成形時の加熱工程で溶融する融点であること。
(4)不織布層15は、成形時の加熱工程で溶融する融点の第2の熱可塑性合成繊維16と、成形時の加熱工程で溶融しない融点の第3の熱可塑性合成繊維17が混合された不織布層15である。
【0024】
自動車用ボディーアンダーカバー36の製造の一例を示す。自動車用ボディーアンダーカバー36の製造は、基材層11と不織布層15が積層された状態で熱盤プレス18による第一工程と、冷間プレス24による冷却、圧縮及び成形を行う第二工程により所定の形状の繊維成形体とする。
【0025】
図2(A)に図示されるように、第一工程は、熱盤プレス18において基材層11と不織布層15の積層体10を加熱及び加圧し、基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13を溶融させて繊維補強材12と絡み合って熱融着させると共に、不織布層15の第2の熱可塑性合成繊維16を溶融させて基材層11と不織布層15の両表面部を熱融着させて結合する。
【0026】
基材層11と不織布層15が積層されて積層体10の状態で、所定温度まで加熱された熱盤プレス18の上盤20と下盤22間に投入され加熱及び加圧されて圧縮成形される。基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13は、溶融し繊維補強材12に絡み合って熱融着する。不織布層15の第2の熱可塑性合成繊維16は、溶融し第3の熱可塑性合成繊維17に絡み合って熱融着する。基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13と不織布層15の第2の熱可塑性合成繊維16のそれぞれの表面が熱融着する。
【0027】
熱盤プレス18の加熱温度の下限値は、第1の熱可塑性合成樹脂13の融点より高い180℃以上に設定する。熱盤プレス18の加熱温度の上限値は、第3の熱可塑性合成繊維17の軟化点より低い230℃以下に設定される。好ましくは、190〜210℃に設定される。
【0028】
図2(B)に図示されるように、第二工程は、冷間プレス24において熱融着結合した基材層11と不織布層15の積層体10を冷却、圧縮及び成形して所定の形状の繊維成形体とする。熱融着結合した基材層11と不織布層15の積層体10は、加熱された状態のまま冷間プレス24に運ばれる。冷間プレス24の金型には冷却水が循環しており、積層体10は冷却と同時に加圧されて圧縮成形することにより基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13と不織布層15の第2の熱可塑性合成繊維16が塑性変形した状態で成形される。
第二工程の最終板厚は、1.0〜10.0mmの範囲で加工される。自動車用ボディーアンダーカバー36の最終板厚は一律に同一の板厚でも良いし、部分的に板厚に変化を有するものでも良い。
例えば、自動車用ボディーアンダーカバー36の配置部位によっては飛び石等が当たりやすい部位も考えられる。かかる場合、型の形状によって部分的に板厚を1.0〜2.5mmとする高密度に厚みを潰して成形して耐衝撃性の向上を図るものでもよい。一方吸音率の向上を図るために、板厚を5.0〜10.0mmとする低密度に成形するものでもよい。
【0029】
熱融着した積層体10は、熱盤プレス18から取り出されて冷間プレス24に搬送される。冷間プレス24の上型26、下型28には冷却水が循環しており積層体10をより効果的に冷却するようになっている。熱盤プレス18から搬送された積層体10は、冷間プレス24の上型26、下型28間にセットされ圧着、及び加圧され最終板厚までつぶされ冷却される。
【0030】
図2(C)に図示されるように、この冷間プレス24における成形時に、部品外カット部30,32によって、積層体10の外周の余分な製品外をカットする。また、孔加工も同時に金型内で行われる。なお、ここでは、積層体10の外周の余分な製品外の除去や、孔加工を成形と同時に行ったものについて示した。しかしこれに限定されず、後工程において、トリムプレスを用いて製品外をカットするものでも良いし、ウォーターナイフにより製品外をカットするものでも良い。また、後工程において、孔加工を行うものであってもよい。
【0031】
図2(D)に図示されるように、最終的に自動車用ボディーアンダーカバー36の成形品34となる。製品の要求によって金型内で行えなかった孔加工、部品取付けを行い自動車用ボディーアンダーカバー36の完成品となる。図3に図示されるように、自動車用ボディーアンダーカバー36はその一例である。
また、上記の製造方法では、第一工程は、熱盤プレス18において基材層11と不織布層15の積層体10を加熱及び加圧し、基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13を溶融させて繊維補強材12と絡み合って熱融着させると共に、不織布層15の第2の熱可塑性合成繊維16を溶融させて基材層11と不織布層15の両表面部を熱融着させて結合する。第二工程では、冷間プレス24において熱融着結合した基材層11と不織布層15の積層体10を冷却、圧縮及び成形して所定の形状の繊維成形体とする。このように上記製造方法においては、第一工程と第二工程を連続して行う例について示した。
しかしながら、これに限定されず第一工程と第二工程を断続して行うものであっても良い。すなわち、第一工程の行った後、別途の冷却プレス又は冷却ロールにおいて冷却及び圧縮を行い平板状の板部材とする。そして、第二工程を行う際は、改めて板部材を遠赤外線ヒータ等の非接触加熱機にて第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂が溶融する温度まで再加熱を行う。そして冷間プレス24にて冷却、圧縮及び成形して自動車用ボディーアンダーカバーの所定形状の繊維成形体とする製造方法であっても良い。
【0032】
<吸音率について>
本発明における自動車用ボディーアンダーカバー36は全体として、上記構成を有することにより次のような吸音率で構成されている。この吸音率は、JIS A 1409の基準に従い、残響室法吸音率によって測定される数値である。具体的には、車両取り付け状態を模すために、5.0mmの平板において、背後空気層20mmの条件で測定した。
400〜6300Hzの周波数帯では少なくともとも30%の吸音率を有している。
630〜6300Hzの周波数帯では少なくともとも40%の吸音率を有している。
1000〜5000Hzの周波数帯では少なくともとも60%の吸音率を有している。
1250〜4000Hzの周波数帯では少なくともとも70%の吸音率を有している。
1600〜3150Hzの周波数帯では少なくともとも75%の吸音率を有している。
2000〜3150Hzの周波数帯では少なくともとも80%の吸音率を有している。
【0033】
<耐久性について(耐チッピング性)>
本発明における自動車用ボディーアンダーカバー36の飛び石や路面干渉による不織布層15のけずれについて以下のような特性を有している。
飛び石や路面干渉による不織布層15のけずれは、5.0mmの平板において、JIS L 1096.8.19の基準に従いテーバ型磨耗試験機により、H−18磨耗輪を用いて、9.81N、500回の条件で磨耗による重量減を測定した。このような条件において磨耗減少量は、0.12g以内の減少量である特性を有している。
【0034】
このように本発明の自動車用ボディーアンダーカバー36は、成形時の加熱工程で基材層11の第1の熱可塑性合成樹脂13と不織布層15の第2の熱可塑性合成繊維16とが溶融し、基材層11の繊維補強材12と不織布層15の第3の熱可塑性合成繊維17が熱融着結合した繊維成形体となる。これにより、軽量な自動車用ボディーアンダーカバー36を得ることができる。路面B側に配置される不織布層15の第3の熱可塑性合成繊維17は、成形時の加熱工程で溶融しない繊維体であることから第2の熱可塑性合成繊維16が溶融しても残存する。溶融した第2の熱可塑性合成繊維16は、第3の熱可塑性合成繊維17内に含浸して固着することにより繊維間に微細な穴を有した状態の補強層となる。この繊維間の微細な穴の構成により、多孔質な基材層の吸音特性を発揮する。また、表面の毛羽立ちを防ぎ平滑な面を形成することから飛び石等の異物の飛散に対する耐久性を有する。以上より、車外へ漏れたエンジン音や、路面B側が音源となるロードノイズ等に対して、吸音特性を発揮するために路面B側外表面に不織布を用いた場合でも氷雪が着き難く飛び石等の異物の飛散に対する耐久性を有する自動車用ボディーアンダーカバー36を提供することができる。
【0035】
第1の熱可塑性合成樹脂13と第2の熱可塑性合成繊維16を同質の材料とすることで、より効果的に基材層11と不織布層15の熱融着結合を図ることができる。また、基材層11と不織布層15が剥離し難くすることができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明する。
【0037】
[実施例1]
(1)基材層11
(a)繊維補強材12として、ガラス繊維(平均繊維長75mm(3inch)、平均径10μm、目付量:600g/m2)を選択した。
(b)第1の熱可塑性合成樹脂13として、ポリプロピレン繊維(平均繊維長64mm(2.5inch)、平均径6.6dtex、目付量:600g/m2)を選択した。
(c)総目付量は、1200g/m2とした。
(d)上記ガラス繊維(繊維補強材12)とポリプロピレン繊維(第1の熱可塑性合成樹脂13)を混綿機にてウェブ形成しニードルパンチして得た。なお、実施例1における基材層は、日本グラスファイバー工業株式会社製のものを選択した。
(2)不織布層15
(a)第2の熱可塑性合成繊維16として、ポリプロピレン繊維(平均繊維長64mm(2.5inch)、平均径6.6dtex、目付量:100g/m2)を選択した。
(b)第3の熱可塑性合成繊維17として、ポリエチレンテレフタレート繊維(平均繊維長64mm(2.5inch)、平均径3.3dtex、目付量:50g/m2)を選択した。
(c)ポリプロピレン繊維(第2の熱可塑性合成繊維16)とポリエチレンテレフタレート繊維(第3の熱可塑性合成繊維17)の配合量は、第2の熱可塑性合成繊維16が67重量%(目付量100g/m2)、第3の熱可塑性合成繊維17が33重量%(目付量50g/m2)とした。すなわち、総目付量は、150g/m2とした。
(d)ポリプロピレン繊維(第2の熱可塑性合成繊維16)とポリエチレンテレフタレート繊維(第3の熱可塑性合成繊維17)を混綿機にてウェブ形成しニードルパンチして得た。なお、実施例1における不織布層は、株式会社ユニックス製のものを選択した。
(3)基材層11と不織布層15を積層した積層体10を190〜210℃の温度まで加熱された熱盤プレス18に投入して加圧、加熱、圧縮する。積層体10は、およそ200℃程度の温度になって基材層11及び不織布層15のポリプロピレン繊維は溶融した状態となって厚みが10.0mm程度になる。熱盤プレス18で加熱された積層体10を冷間プレス24で加圧して最終板厚の1.5〜5.0mmまで圧着して成形し、同時に冷却する。実施例1では、板厚1.5〜5.0mm、目付量1350g/m2の自動車用ボディーアンダーカバー36を得た。
【0038】
[実施例2]
(1)基材層11
基材層11として、実施例1と同様の構成を選択した。
(2)不織布層15
(a)第2の熱可塑性合成繊維16として、実施例1と同様のポリプロピレン繊維を用いた。
(b)第3の熱可塑性合成繊維17として、ポリエチレンテレフタレート繊維(平均繊維長64mm(2.5inch)、平均径11dtex、目付量:150g/m2)を選択した。
(c)ポリプロピレン繊維(第2の熱可塑性合成繊維16)とポリエチレンテレフタレート繊維(第3の熱可塑性合成繊維17)の配合量は、第2の熱可塑性合成繊維16が50重量%(目付量150g/m2)、第3の熱可塑性合成繊維17が50重量%(目付量150g/m2)とした。総目付量は、300g/m2とした。
(d)不織布層15の製造は、実施例1と同様である。なお、実施例2における不織布層は、株式会社ユニックス製のものを選択した。
(3)製造方法は、実施例1と同様である。実施例2では、板厚1.5〜5.0mm、目付量1500g/m2の自動車用ボディーアンダーカバー36を得た。
【0039】
[比較例1]
(1)基材層
基材層は、実施例1と同様の構成を使用した。
(2)補強層
実施例1の基材層11の路面B側に不織布層15に代えて、ポリエチレンテレフタレート繊維(平均繊維長64mm(2.5inch)mm、平均径3.3dtex、目付量:150g/m2)を選択した。
基材層11とポリエチレンテレフタレート繊維層の間には、ポリエチレン30μm、ポリアミド樹脂40μm、ポリエチレン30μmが積層された接着フィルムを張り合わせた。なお、比較例1における接着フィルムは、倉敷紡績株式会社製のものを選択した。
(3)基材層11と、接着フィルムと、ポリエチレンテレフタレート繊維層を積層した積層体を190〜210℃の温度まで加熱された熱盤プレス18に投入して加圧、加熱、圧縮する。積層体は、およそ200℃程度の温度になって基材層のポリプロピレン繊維及び接着フィルムのポリエチレンが溶融した状態となって厚みが10.0mm程度になる。冷間プレス24で加圧して最終板厚の1.5〜5.0mmまで圧着して成形し、同時に冷却する。このようにして、比較例1では、板厚1.5〜5.0mm、目付量1350g/m2の積層体を得た。
【0040】
<吸音率について>
実施例1及び実施例2、比較例1の吸音率を図5に示す。吸音率は、JIS A 1409の基準に従い、残響室法吸音率によって測定される数値である。具体的には、車両取り付け状態を模すために、5.0mmの平板部分を用いて、背後空気層20mmの条件で測定した。
【0041】
[実施例1及び実施例2の吸音率]
400〜6300Hzの周波数帯では少なくともとも30%の吸音率を有している。
630〜6300Hzの周波数帯では少なくともとも40%の吸音率を有している。
1000〜5000Hzの周波数帯では少なくともとも60%の吸音率を有している。
1250〜4000Hzの周波数帯では少なくともとも70%の吸音率を有している。
1600〜3150Hzの周波数帯では少なくともとも75%の吸音率を有している。
2000〜3150Hzの周波数帯では少なくともとも80%の吸音率を有している。
【0042】
[比較例1の吸音率]
比較例1の吸音率は、250〜400Hzまで徐々に上昇する結果を得た。しかしながら、比較例1の吸音率は、400Hzの周波数帯のピークを境に400Hz以上の高周波帯では、徐々に減少する結果となった。
詳しくは、250Hzの周波数帯では、少なくともとも20%の吸音率を有している。
315Hzの周波数帯では、少なくともとも30%の吸音率を有している。
400Hzの周波数帯では、少なくともとも40%の吸音率を有している。なお、この400Hzの周波数帯の吸音率が最高値を示した。
500Hzの周波数帯では、少なくともとも30%の吸音率を有している。
630Hzの周波数帯では、少なくともとも20%の吸音率を有している。
800〜6300Hzの周波数帯では、20%未満の吸音率しか得られなかった。
【0043】
比較例1は、基材層11とポリエチレンテレフタレート繊維層の間に接着フィルム(ポリエチレン30μm、ポリアミド樹脂40μm、ポリエチレン30μm)が積層された構成である。この接着フィルムのうち、ポリエチレンフィルムは溶融する。しかしながら、ポリアミド樹脂フィルムは溶融しないで残存する。そのため、このポリアミド樹脂フィルムが通気を遮断してしまい吸音特性を低下させることとなる。
比較例1は、250〜500Hzの周波数帯では、実施例1及び実施例2より高い吸音率を有することが明らかになった。しかしながら、630〜6300Hzの周波数帯では、実施例1及び実施例2よりも低い吸音率であることが明らかになった。特に、1000Hzの周波数帯では、実施例1及び実施例2が少なくとも60%の吸音率であるのに対し、比較例1は、20%以下の吸音率であることが明らかになった。自動車用ボディーアンダーカバー36は、路面B側が音源となるロードノイズが主な吸音対象である。ここでロードノイズの周波数帯の音は、1000Hz前後である。したがって、実施例1及び2は、路面B側が音源となるロードノイズの吸音に対して適した構成であることが明らかになった。すなわち、自動車用ボディーアンダーカバー36は、材料全体が通気性を有している構成であり、かつ、通気を遮断するような層を構成していないことが好ましいことが考えられる。
【0044】
<耐久性について(耐チッピング性)>
自動車用ボディーアンダーカバー36の飛び石や路面干渉による不織布層15のけずれについては次のような結果を得た。飛び石や路面干渉によるけずれは、5.0mmの平板部分を用いて、JIS L 1096.8.19の基準に従いテーバ型磨耗試験機により、H−18磨耗輪を用いて、9.81N、500回の条件で磨耗による重量減を測定した。
実施例1は、磨耗減少量が0.08gであった。実施例2は、磨耗減少量が0.12gであった。この実施例1及び2の磨耗減少量においては、不織布層15のけずれのみであった。
これに対し、比較例1は、0.35gであり基材層までけずれてしまう結果となった。
【0045】
<着氷の剥離強度について>
なお、自動車用ボディーアンダーカバーは、車両の下面側を覆う構成であることから着氷が着き難いものであることが好ましい。また、着氷した場合には剥離しやすい構成であることが好ましい。そのため、この観点に鑑み着氷の剥離強度について以下の条件で実施例1及び実施例2、比較例1の比較を行った。
(1)テストピースは、縦40mm以上、横40mm以上の大きさとした。
(2)縦40mm、横40mm、高さ30mm、厚み1.6mmの角パイプ(JISG3466)を用意する。角パイプの一端の端面から、5mmの位置における側面の中央部分に孔部を設ける。
(3)マイナス15℃雰囲気中において、テストピースの不織布層15上に角パイプの両端のうち孔部を設けた端面と反対側の端面を当接させて載置する。その上で、角パイプ内に0〜3℃の氷水を0.5〜1.0gずつ霧吹きで5分おきに噴霧して不織布層を底面とした高さ15mmの氷柱を作る。
(4)角パイプの孔部に荷重計を取り付けて、角パイプ内の氷柱を剥離する際の剥離荷重を測定する。
実施例1の剥離強度は、43Nの結果を得た。実施例2の剥離強度は、107Nの結果を得た。これに対し、比較例1の剥離強度は、142Nの結果を得た。
これにより、実施例1、実施例2、比較例1の中で比較すると、比較例1が相対的に着氷がはがれ難いことが明らかになった。一方、実施例1及び実施例2は、比較例1に比して低い剥離強度であるため、着氷がはがれやすいことが明らかとなった。
【0046】
本発明の自動車用ボディーアンダーカバーは、本実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 積層体
11 基材層
12 繊維補強材
13 第1の熱可塑性合成樹脂
15 不織布層
16 第2の熱可塑性合成繊維
17 第3の熱可塑性合成繊維
18 熱盤プレス
20 上盤
22 下盤
24 冷間プレス
26 上型
28 下型
30 部品外カット部
32 部品外カット部
34 自動車用ボディーアンダーカバーの成形品
36 自動車用ボディーアンダーカバー
A 車体
B 路面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体下面に配置される自動車用ボディーアンダーカバーであって、
少なくとも、繊維補強材と第1の熱可塑性合成樹脂が混合された基材層と、該基材層の路面側となる面には、熱可塑性合成繊維よりなる不織布層とが、積層された状態で前記両層の表面部が熱融着結合され圧縮成形により所定形状に成形されて繊維成形体として形成される構成とされており、
前記基材層の第1の熱可塑性合成樹脂は、成形時の加熱工程で溶融する融点であり、
前記不織布層は、成形時の加熱工程で溶融する融点の第2の熱可塑性合成繊維と、成形時の加熱工程で溶融しない融点の第3の熱可塑性合成繊維が混合された不織布層であることを特徴とする自動車用ボディーアンダーカバー。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用ボディーアンダーカバーであって、
前記第1の熱可塑性合成繊維と第2の熱可塑性合成繊維は、同質の熱可塑性合成繊維であることを特徴とする自動車用ボディーアンダーカバー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−245925(P2012−245925A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120571(P2011−120571)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(509069892)豊和繊維工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】