説明

自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造

【課題】ランバーサポート装置と熱電素子方式の冷暖房通風シートとが同時に適用された車両において、ランバーサポート装置の作動時、シートバック形状の不連続によって発生する座り心地感の悪さを解消する。
【解決手段】本発明による自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造は、ランバーサポート装置がシートバック内部に装着された自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、ランバーサポート装置が作動する時、シートバックパッドの上下端部全体が前後方向に動くように、熱電素子をシートバックパッドの後方に固定されたシートバックの荷重支持構造物にマウンティングブラケットを介して装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造に係り、より詳細には、ランバーサポート装置と熱電素子方式の冷暖房通風シートが同時に適用されたシートにおいて、ランバーサポート装置の作動時、シートバック形状が不連続となって発生する座り心地感の悪さを解消し、ランバーサポートによってシートバックパッドが前後に動いても、熱電素子の空気吐出口とシートバックパッドとの間の機密が維持され、空気漏出による冷暖房効率の低下を防止した自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のシートは、車内の限定された空間に、許容される重量の範囲内で設けられ、安全かつ快適に乗客を支持する。その配置によってシートはフロントシートとリアシートに分けられ、フロントシートはさらに運転席と助手席に分けられる。
【0003】
フロントシートに着席する運転者は、運転習慣及び乗客の身体条件によって、シートを前側に引き寄せ、あるいは後側に動かして着席する。一方、リアシートに着席する乗客が長身の場合には、フロントシートを前側に動かしてリアシートに着席させる場合もある。
【0004】
このようなシートのうちフロントシートには、運転者の背中を支持するシートバックがある。シートバックは、内部にシートバックフレームが備えられ、上部にヘッドレストが差し込まれ、その下部に回動装置を用意して運転者にとってシートの一番楽な姿勢に調節できる。
【0005】
しかし、長時間の運転時、搭乗者の着座姿勢の変化には根本的に対応が難しく、そのため自動車のシートバック内部には、搭乗者の背中を囲む緩衝装置及び腰部(Lumber)を支えて腰の負担を軽減し、楽な着座姿勢を維持するランバーサポート装置が内蔵される。
【0006】
韓国登録特許第20−0172356号には、車室内の空気をシートクッション下端部に装着されたブロワーで吸入し、ダクトを介してシートの着座面へ送り、冷暖房された空気として吐出できるように、ペルテェ効果(peltier effect)を利用した熱電素子(10、TED:Thermo Electric Device)をシートバック内部に装着する構成が示されている。
【0007】
従来は、図5、図6に示すように、シートバック3にランバーサポート装置と熱電素子方式の冷暖房通風シートが同時に適用された場合、ランバーサポート装置を作動させると、ランバープレート21がシートバックパッド5の下端部を押し出すので、シートバックパッド5が前方に突出される。この時、熱電素子10がシートバックパッド5にマウンティングブラケット12′を介して直接装着されているので、熱電素子10も一緒に移動しようとする構造である。
【0008】
この場合、シートバックパッド5と熱電素子10との間には、格子形状にワイヤが設置されたフレーム形態の荷重支持構造物7があり、熱電素子10の移動を邪魔する。そのため、シートバックパッド5の下端面は前方に突出されるが、シートバックパッド5の上端面は熱電素子10が相対的に引っ張る形になり、図6に示すように、シートバック3の着座面が不連続的な輪郭(contour)を形成するようになり、座り心地感が低下してしまう問題点がある。
【特許文献1】韓国登録特許第20−0172356号
【特許文献2】特開2001−275784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ランバーサポート装置と熱電素子方式の冷暖房通風シートとが同時に適用された車両において、ランバーサポート装置の作動時、シートバック形状の不連続によって発生する座り心地感の悪さを解消することにある。すなわち、熱電素子をシートバックの荷重支持構造物に装着してシートバックパッドが自由に動くようにする一方、ランバーサポートによってシートバックパッドが前後に動く時は、熱電素子の空気吐出口とシートバックパッドとの間の機密が維持されるように、ベローズを連結し、空気漏出による冷暖房の効率低下を防止した自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明による自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造は、ランバーサポート装置がシートバック内部に装着された自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、前記ランバーサポート装置が作動する時、シートバックパッドの上下端部全体が前後方向に動けるように、熱電素子を前記シートバックパッドの後方に固定されたシートバックの荷重支持構造物にマウンティングブラケットを介して装着したことを特徴とする。
【0011】
好ましい実施形態として、前記ランバーサポート装置が作動する時、前記シートバックパッドが前方に突出すると、前記シートバックパッドと前記熱電素子の空気吐出口が離脱しないように、前記シートバックパッドと前記空気吐出口の間にベローズを連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明による自動車用の冷暖房通風シートの熱電素子装着構造によれば、ランバーサポート装置の作動時、シートバックの不連続な輪郭を解消してシートの座り心地感を向上させることができる。
【0013】
また、ランバーサポート装置によってシートバックパッドが前後に動いても、ベローズによって熱電素子の空気吐出口とシートバックパッドとの間の機密が維持されるので、空気漏出による冷暖房効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明に係る自動車用の冷暖房通風シートの熱電素子装着構造を示した図である。図2及び図3は、本発明に係る自動車用の冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、ランバーサポート装置の作動前と作動後の状態を示す作動図である。図4は、本発明に係る自動車用の冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、ランバーサポート装置の作動時、シートバックパッドの作動状態を示す図である。
【0016】
図1に示すように、自動車用シートに内蔵して搭乗者の着座面で冷暖房空気を吐出させる熱電素子10は、特に、シートバックパッド5後方のインサート成形された部位に装着されていて、本発明の好ましい実施形態において、熱電素子10は、シートバックパッド5の後方に位置する格子状のワイヤが設置されたフレーム形態のシートバック荷重支持構造物7にマウンティングブラケット12を介して装着されている。
【0017】
このように、熱電素子10が、シートバックパッド5に装着されるのではなく、シートバックパッド5の直後に位置するシートバック荷重支持構造物7に装着される場合、搭乗者の腰を楽に支えるランバーサポート装置20が作動した場合でも、シートバックパッド5は、上下端部全体が自由に前後方向に動くので、自然な輪郭(contour)を形成することができる。
【0018】
これによって、シートバック3の不連続な輪郭が解消されるので、シート1の座り心地感を向上させる。
【0019】
しかしながら、ランバーサポート装置20が作動する時、シートバックパッド5が自由に前方に移動すると、シートバックパッド5から熱電素子10の空気吐出口11が離脱して、冷暖房空気が漏出される可能性がある。これを改善するためにシートバックパッド5面と空気吐出口11との間にベローズ30を設けた。
【0020】
図2及び図3に示したシートバックパッド5の移動の前と後の状態において、先ず、図2は、ランバーサポート装置20の作動前の状態として、シートバック荷重支持構造物7に装着された熱電素子10の空気吐出口11が、シートバックパッド5面と近接するように位置する。空気吐出口11及びシートバックパッド5面の間には、ベローズ30が折られた状態に連結されている。
【0021】
図3は、ランバーサポート装置20の作動後の状態として、シートバックパッド5が搭乗者の身体を囲むように前方に押し出される。そのため、熱電素子10の空気吐出口11がシートバックパッド5面と相対的に離れて位置する。空気吐出口11及びシートバックパッド5面との間に、ベローズ30が位置して、その周面が直線方向に弾力的に伸張され、空気吐出口11とシートバックパッド5面との間の空いている長さを補償する。
【0022】
すなわち、上記のように、ランバーサポート装置20と熱電素子方式の冷暖房通風シート1が同時に適用される場合、ランバーサポート装置20の作動時にランバープレート21がシートバックパッド5を前方に突出させると、シートバックパッド5とシートバック3内部のシートバック荷重支持構造物7に固定されている熱電素子10の間の間隔が空くが、その間に装着されるベローズ30が伸びるので、空気吐出口11がシートバックパッド5から離脱することを防止する。
【0023】
このように、熱電素子10の空気吐出口11とシートバックパッド5との間の機密が維持され、冷暖房空気の漏出による冷暖房効率の低下が防止される。
【0024】
以上、本発明は、上述の好ましい実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本概念に基づき様々に変更が可能であり、そのような形態も本発明の技術範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明による自動車用シートの熱電素子装着構造は、シートにランバーサポート装置と冷暖房通風機構が同時に適用される場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造を示した図である。(実施例1)
【図2】本発明による自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、ランバーサポート装置の作動前の状態を示した作動図である。(実施例1)
【図3】本発明による自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、ランバーサポート装置の作動後の状態を示した作動図である。(実施例1)
【図4】本発明による自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、ランバーサポート装置の作動時、シートバックパッドの作動状態を示した図である。(実施例1)
【図5】従来の自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造を示した分解斜視図である。
【図6】従来の自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、ランバーサポート装置の作動時、シートバックパッドの作動状態を示した図である。
【符号の説明】
【0027】
10 熱電素子
11 空気吐出口
12 マウンティングブラケット
20 ランバーサポート装置
21 ランバープレート
30 ベローズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランバーサポート装置がシートバック内部に装着された自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造において、
前記ランバーサポート装置が作動する時、シートバックパッドの上下端部全体が前後方向に動けるように、熱電素子を前記シートバックパッドの後方に固定されたシートバックの荷重支持構造物にマウンティングブラケットを介して装着したことを特徴とする自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造。
【請求項2】
前記ランバーサポート装置が作動する時、前記シートバックパッドが前方に突出すると、前記シートバックパッドと前記熱電素子の空気吐出口が離脱しないように、前記シートバックパッドと前記空気吐出口の間にベローズを連結したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用冷暖房通風シートの熱電素子装着構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−104834(P2008−104834A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319906(P2006−319906)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】