説明

自在継手およびその加工方法

【課題】結合アーム部の半径方向外側を半径方向内側に押圧して成形した時の、結合アーム部の外周面の形状が安定して成形される自在継手およびその加工方法を提供する。
【解決手段】結合アーム部52、52の外周面526、526が金型8で拘束されているため、塑性流動した金属材料は、小径貫通孔525側に流動して、小径貫通孔525が縮径し、結合アーム部52、52の外周面526、526は所定の形状に正確に成形される。次に、縮径した小径貫通孔525を機械加工して拡径し、結合アーム部52、52に所定直径の軸受孔521、521を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自在継手、特に、ステアリング装置のステアリングシャフトの回転を伝達する軸同士を連結する自在継手、および、その加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前輪を操舵するステアリング装置では、ステアリングホイールの操作で回転するステアリングシャフトの動きを、自在継手を介してステアリングギヤの入力軸に伝達している。
【0003】
ステアリングホイールの動きは、ステアリングコラム内に回転自在に設けたステアリングシャフトおよび中間シャフトを介してステアリングギアに伝達され、ステアリングギアによって車輪の方向を操舵する。通常、ステアリングシャフトとステアリングギアの入力軸とは、互いに同一直線上に設けることが出来ない。
【0004】
このため従来から、ステアリングシャフトとステアリングギアへの入力軸との間に中間シャフトを設け、この中間シャフトの端部とステアリングシャフト、および、中間シャフトの端部とステアリングギアの入力軸の端部とを、自在継手を介して結合することにより、同一直線上に存在しないステアリングシャフトと入力軸との間での動力伝達が行えるようにしている。
【0005】
近年、ステアリングシャフトに操舵補助力を付与するアシスト装置を、中間シャフトとステアリングホイールとの間に設けたコラムアシスト式の電動パワーステアリング装置が多くなってきた。
【0006】
このような、コラムアシスト式の電動パワーステアリングでは、中間シャフトに負荷される回転トルクが大きくなるため、自在継手の剛性、特に、十字軸を軸支するための軸受孔周辺の結合アーム部の剛性を大きくする必要がある。
【0007】
特許文献1及び特許文献2に示す自在継手は、結合アーム部の半径方向内側に、軸受孔の回りに環状の突起を形成して、軸受を軸支する軸方向の長さを長くし、十字軸を軸支するための軸受孔周辺の結合アーム部の剛性を大きくしている。
【0008】
しかし、特許文献1及び特許文献2に示す自在継手は、結合筒部の軸線に直交する方向の結合アーム部の断面形状が平坦形状である。結合アーム部の断面形状が平坦形状であれば、板材からの塑性加工は容易であるが、結合アーム部の剛性を向上させるためには、結合アーム部の幅寸法を大きくする必要がある。従って、十字軸で連結される他方の結合アーム部との干渉量が大きくなるため、自在継手の折り曲げ角度を大きくすることが難しい。
【0009】
結合アーム部の半径方向外側の凸面を半径方向内側に押圧して金属材料を塑性流動させ、結合アーム部の厚さを厚くすると、結合アーム部の剛性が向上するため好ましい。しかし、結合アーム部の外周面側にも金属材料が塑性流動してしまうため、結合アーム部の外周面側が膨張して、外周面の形状が安定しない。軸受孔及び結合筒部の内周面の機械加工は、結合アーム部の外周面をクランプして加工するため、クランプ精度が安定せず、機械加工精度に悪影響を与える。
【0010】
特許文献3に示す自在継手の加工方法は、パンチによる軸受孔の孔明けと、結合アーム部の面取りを同時に行うことで、軸受孔の孔明け精度を向上させている。しかし、特許文献3に示す自在継手の加工方法は、結合アーム部の半径方向外側を半径方向内側に押圧した時の、結合アーム部の外周面の形状を安定させるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2002−540357号公報
【特許文献2】実公昭59−8015号公報
【特許文献3】特開平8−270669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、結合アーム部の半径方向外側を半径方向内側に押圧して成形した時の、結合アーム部の外周面の形状が安定して成形される自在継手およびその加工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は以下の手段によって解決される。すなわち、第1番目の発明は、回転トルクを伝達可能に軸を結合するための結合筒部と、上記結合筒部とは反対側で、上記結合筒部と一体に設けられ、結合筒部の軸線に直交する方向の断面形状が半径方向外側に凸の円弧形状を有し、十字軸を軸支するための軸受孔を有する一対の結合アーム部とを備え、板材を塑性加工することにより成形される自在継手の加工方法であって、上記一対の結合アーム部に上記軸受孔よりも小径で軸受孔とほぼ同心の小径貫通孔を形成する小径貫通孔成形工程と、上記小径貫通孔が形成された一対の結合アーム部の外周面を金型で拘束し、上記一対の結合アーム部の半径方向外側の凸面を半径方向内側に押圧して金属材料を塑性流動させ、一対の結合アーム部を形成する結合アーム部成形工程と、上記一対の結合アーム部の小径貫通孔を拡径して所定直径の軸受孔を形成する軸受孔成形工程とを有することを特徴とする自在継手の加工方法である。
【0014】
第2番目の発明は、第1番目の発明の自在継手の加工方法において、上記結合アーム部成形工程は、上記一対の結合アーム部の半径方向内側の凹面に、上記軸受孔と同心で、軸受孔よりも大径の突出部を半径方向内側に突出させて形成することを特徴とする自在継手の加工方法である。
【0015】
第3番目の発明は、第1番目または第2番目のいずれかの発明の自在継手の加工方法で加工された自在継手である。
【0016】
第4番目の発明は、第3番目の発明の自在継手を有するステアリング装置である。
【0017】
第5番目の発明は、第1番目または第2番目のいずれかの発明の自在継手の加工方法において、上記結合筒部と軸の結合方法が、溶接、かしめ加工、軸の外周面を結合筒部の内周面で締め付けるボルト締付けのうちのいずれかであることを特徴とする自在継手の加工方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の自在継手およびその加工方法では、一対の結合アーム部に軸受孔よりも小径で軸受孔とほぼ同心の小径貫通孔を形成する小径貫通孔成形工程と、小径貫通孔が形成された一対の結合アーム部の外周面を金型で拘束し、一対の結合アーム部の半径方向外側の凸面を半径方向内側に押圧して金属材料を塑性流動させ、一対の結合アーム部を形成する結合アーム部成形工程と、一対の結合アーム部の小径貫通孔を拡径して所定直径の軸受孔を形成する軸受孔成形工程とを有している。
【0019】
塑性流動した金属材料は、小径貫通孔側に流動して、小径貫通孔が縮径し、結合アーム部の外周面は所定の形状に正確に成形される。従って、機械加工時に結合アーム部の外周面をクランプした時のクランプ精度が安定し、機械加工精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1の自在継手を備えたステアリング装置の全体側面図である。
【図2】本発明の実施例1の自在継手のヨークを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の自在継手のヨークに折り返し部と結合アーム部を形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のP矢視図である。
【図4】図3(a)のA−A断面図である。
【図5】本発明の実施例1の自在継手のヨークの一対の結合アーム部に、小径貫通孔を形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のQ矢視図である。
【図6】図5(a)のB−B断面図である。
【図7】本発明の実施例1の自在継手のヨークの一対の結合アーム部の外周面を金型で拘束した後、一対の結合アーム部の半径方向内側の凹面に、突出部を半径方向内側に突出させて形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のR矢視図である。
【図8】図7(a)のC−C断面図である。
【図9】本発明の実施例1の自在継手のヨークの一対の結合アーム部に軸受孔を形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のS矢視図である。
【図10】図9(a)のD−D断面図である。
【図11】本発明の実施例2の自在継手のヨークを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施例1から実施例2を説明する。
【実施例1】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の実施例1の自在継手を備えたステアリング装置の全体側面図である。図1に示すように、本発明の実施例の自在継手を備えたステアリング装置は、車体後方側(図1の右側)にステアリングホイール11を装着可能なステアリングシャフト12と、このステアリングシャフト12を挿通したステアリングコラム13と、このステアリングシャフト12に補助トルクを付与する為のアシスト装置(操舵補助部)20と、このステアリングシャフト12の車体前方側(図1の左側)に、図示しないラック/ピニオン機構を介して連結されたステアリングギヤ30とを備える。
【0023】
ステアリングシャフト12は、雌ステアリングシャフト12Aと雄ステアリングシャフト12Bとを、回転トルクを伝達可能に、かつ軸方向に関して相対移動可能にスプライン嵌合している。従って、上記雌ステアリングシャフト12Aと雄ステアリングシャフト12Bとは、衝突時に、このスプライン嵌合部が相対移動して、全長を縮めることができる。
【0024】
また、上記ステアリングシャフト12を挿通した筒状のステアリングコラム13は、アウターコラム13Aとインナーコラム13Bとをテレスコピック移動可能に組み合わせている。そのため、ステアリングコラム13は、衝突時に軸方向の衝撃が加わった場合に、この衝撃によるエネルギを吸収しつつ全長が縮まる、所謂コラプシブル構造としている。
【0025】
そして、上記インナーコラム13Bの車体前方側端部を、ギヤハウジング21の車体後方側端部に圧入嵌合して固定している。また、上記雄ステアリングシャフト12Bの車体前方側端部を、このギヤハウジング21の内側に通し、アシスト装置20の図示しない入力軸の車体後方側端部に連結している。
【0026】
ステアリングコラム13は、その中間部を支持ブラケット14により、ダッシュボードの下面等、車体18の一部に支承している。また、この支持ブラケット14と車体18との間に、図示しない係止部を設けて、この支持ブラケット14に車体前方側に向かう方向の衝撃が加わった場合に、この支持ブラケット14が上記係止部から外れ、車体前方側に移動するようにしている。
【0027】
また、上記ギヤハウジング21の上端部も、上記車体18の一部に支承している。また、本実施例の場合には、チルト機構及びテレスコピック機構を設けることにより、上記ステアリングホイール11の車体前後方向位置、及び、高さ位置の調節を自在としている。このようなチルト機構及びテレスコピック機構は、従来から周知であり、本発明の特徴部分でもない為、詳しい説明は省略する。
【0028】
上記ギヤハウジング21の車体前方側端面から突出した出力軸23は、自在継手(上側自在継手)4を介して、中間シャフト15の後端部に連結している。また、この中間シャフト15の前端部に、別の自在継手(下側自在継手)5を介して、ステアリングギヤ30のピニオン軸(以下軸と呼ぶ)6を連結している。中間シャフト15は、雄中間シャフト(雄シャフト)15Aの車体前方側に、雌中間シャフト(雌シャフト)15Bの車体後方側が外嵌し、回転トルクを伝達可能に、かつ、軸方向に関して相対移動可能に嵌合している。
【0029】
図示しないピニオンが、軸6の下端(車体前方側端部)に形成されている。また、図示しないラックが、このピニオンに噛み合っており、ステアリングホイール11の回転が、タイロッド31を移動させて、図示しない車輪を操舵する。
【0030】
アシスト装置20のギヤハウジング21には、電動モータ26のケース261が固定され、この電動モータ26の図示しない回転軸にウォームが結合されている。出力軸23には図示しないウォームホイールが取り付けられ、このウォームホイールに電動モータ26の回転軸のウォームが噛合っている。
【0031】
また、出力軸23の中間部の周囲には、図示しないトルクセンサが設けられている。上記ステアリングホイール11からステアリングシャフト12に加えられるトルクの方向と大きさを、トルクセンサで検出し、この検出値に応じて、電動モータ26を駆動し、ウォームとウォームホイールから成る減速機構を介して、出力軸23に、所定の方向に所定の大きさで補助トルクを発生させる。補助トルクを発生させるアシスト装置は、電動式に限定されるものではなく、油圧式のアシスト装置でもよい。
【0032】
図2から図10は、本発明の実施例1の自在継手のヨークを示し、図1の自在継手5の一方のヨーク51と軸6との結合部に適用した例を示す。図2は本発明の実施例1の自在継手のヨークを示す斜視図である。図3から図10は、本発明の実施例1の自在継手のヨーク51の成形工程を示し、図3は本発明の実施例1の自在継手のヨークに折り返し部と結合アーム部を形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のP矢視図である。図4は図3(a)のA−A断面図である。
【0033】
図5は本発明の実施例1の自在継手のヨークの一対の結合アーム部に、小径貫通孔を形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のQ矢視図である。図6は図5(a)のB−B断面図である。図7は本発明の実施例1の自在継手のヨークの一対の結合アーム部の外周面を金型で拘束した後、一対の結合アーム部の半径方向内側の凹面に、突出部を半径方向内側に突出させて形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のR矢視図である。図8は図7(a)のC−C断面図である。図9は本発明の実施例1の自在継手のヨークの一対の結合アーム部に軸受孔を形成した状態を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のS矢視図である。図10は図9(a)のD−D断面図である。
【0034】
図2から図10には、本発明の実施例1の自在継手5を構成する一対のヨーク51、51のうちの一方のヨーク51と、軸6との結合部を示している。図2に示すように、自在継手のヨーク51の左側(図2の左側)には二股状の結合アーム部52、52が形成され、この結合アーム部52、52に形成された軸受孔521、521に、軸受を介して挿入された十字軸7を介して、他方の図示しないヨーク51と結合されている。
【0035】
ヨーク51の右側(図2の右側)には略円筒状の結合筒部53が形成され、この結合筒部53の内周面531に、図2の右側から、結合筒部53の軸方向に平行に、軸6を挿入する。そして、軸の外周面に形成された雄セレーションを、内周面531に形成された雌セレーション(図示せず)にセレーション係合させて、回転トルクを伝達可能に構成している。
【0036】
ヨーク51の結合筒部53には、結合筒部53から接線方向に延びる接線方向延長部544、544が形成されている。接線方向延長部544、544の延長端には、内側に折り返された折り返し部543、543が形成され、接線方向延長部544と折り返し部543によって、左右一対のフランジ部54、54が形成されている。フランジ部54、54の間には、内周面531に連通するスリット(切り割り)56が形成されている。スリット56は、結合筒部53の軸方向の全長にわたって形成されている。
【0037】
フランジ部54、54には、図示しないボルトを挿入するためのボルト孔541、541が同心状に形成されている。また、フランジ部54、54には、座面542、542が形成されている。図2の右側の座面542は、ボルトのボルト頭部の下面に当接する。図2の左側の座面(図示せず)は、ボルトのボルト軸部にねじ込まれるナット(図示せず)の下面に当接する。
【0038】
結合筒部53の内周面531に軸を挿入し、ボルト孔541、541に、図2の右側からボルトを挿入する。ナットをボルトのボルト軸部にねじ込むと、フランジ部54、54が弾性変形してスリット56の溝幅が狭まり、軸の外周面を結合筒部53の内周面531で強く締付けて固定することができる。
【0039】
図2から図4に示すように、プレス加工によって、二股状の結合アーム部52、52は、結合筒部53の軸線に直交する方向の断面形状が半径方向外側に凸の円弧形状を有し、結合アーム部52、52の半径方向外側には凸面522、522が形成され、結合アーム部52、52の半径方向内側には凹面523、523が形成されている。また、図2及び図3に示すように、プレス加工によって、結合筒部53を円筒形に成形する。また、フランジ部54、54を内側に折り返して折り返し部543、543を形成する。
【0040】
次に、図5、図6に示すように、図示しないパンチで、上記軸受孔521よりも小径の小径貫通孔525を軸受孔521とほぼ同心に形成する。次に、図7、図8に示すように、結合アーム部52、52の外周面526、526を金型8で拘束する。
【0041】
外周面526、526を金型8で拘束した状態で、図7、図8に示すように、図示しないパンチで、結合アーム部52、52の半径方向外側の凸面522、522を半径方向内側に押圧して金属材料を塑性流動させる。図示しないダイを半径方向内側の凹面523、523に当接させておけば、半径方向内側の凹面523、523に、突出部58が半径方向内側に突出して形成される。突出部58は軸受孔521、521と同心で、軸受孔521、521よりも大径に形成される。
【0042】
結合アーム部52、52の外周面526、526が金型8で拘束されているため、塑性流動した金属材料の余肉は、小径貫通孔525側に流動して、小径貫通孔525が縮径し、結合アーム部52、52の外周面526、526は所定の形状に正確に成形される。
【0043】
次に、図9、図10に示すように、縮径した小径貫通孔525を機械加工して拡径し、結合アーム部52、52に所定直径の軸受孔521、521を形成する。また、結合筒部53の内周面531を機械加工すれば、本発明の実施例1の自在継手のヨーク51の成形が完了する。軸受孔521、521及び結合筒部53の内周面531の機械加工は、結合アーム部52、52の外周面526、526をクランプして加工するが、結合アーム部52、52の外周面526、526が所定の形状に正確に成形されるため、クランプ精度が安定し、機械加工精度が向上する。
【0044】
また、図2に示すように、結合アーム部52、52の先端の突出部58の一部(図2の左端側)を縦に削り落として、軸受孔521、521の一部に開口部59、59を形成すれば、十字軸7を軸受孔521、521に組み付ける作業が容易になるため、好ましい。さらに、図2に示すように、結合アーム部52、52の凹面523、523の上端と下端に、斜めの面取り部524、524を各々形成すれば、自在継手の折り曲げ角度をさらに大きくすることが可能となる。
【0045】
本発明の実施例1の自在継手は、結合アーム部52、52は、結合筒部53の軸線に直交する方向の断面形状が半径方向外側に凸の円弧形状をしているため、結合アーム部52、52の幅寸法が小さくても剛性が向上するため、十字軸7で連結される他方の結合アーム部との干渉量が少なくて、自在継手の折り曲げ角度を大きくすることが可能となる。しかも、突出部58が半径方向内側に突出して形成されて、軸受を軸支する軸方向の長さを長くしているため、軸受の支持剛性が大きくなる。
【実施例2】
【0046】
図11は本発明の実施例2の自在継手のヨークを示す斜視図である。以下の説明では、上記実施例1と異なる構造部分と作用についてのみ説明し、重複する説明は省略する。また、上記実施例1と同一部品には同一番号を付して説明する。図11に示すように、本発明の実施例2では、結合筒部53には、結合筒部53を縮径するためのフランジ部は無く、軸6と結合筒部53は、溶接、または、かしめ加工によって結合している。
【0047】
上記実施例1では、フランジ部54、54には、ボルトを挿入するためのボルト孔541、541が形成されているが、一方のボルト孔541に雌ねじを形成し、ボルトのボルト軸部に形成した雄ねじをねじ込んでもよい。また、上記実施例では、自在継手5のヨークに適用した例を示したが、自在継手4のヨークに適用してもよく、また、自在継手5及び4の両方のヨークに適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト
12A 雌ステアリングシャフト
12B 雄ステアリングシャフト
13 ステアリングコラム
13A アウターコラム
13B インナーコラム
14 支持ブラケット
15 中間シャフト
15A 雄中間シャフト
15B 雌中間シャフト
18 車体
20 アシスト装置
21 ギヤハウジング
23 出力軸
26 電動モータ
261 ケース
30 ステアリングギヤ
31 タイロッド
4 自在継手(上側自在継手)
5 自在継手(下側自在継手)
51 ヨーク
52 結合アーム部
521 軸受孔
522 凸面
523 凹面
524 面取り部
525 小径貫通孔
526 外周面
53 結合筒部
531 内周面
54 フランジ部
541 ボルト孔
542 座面
543 折り返し部
544 接線方向延長部
56 スリット(切り割り)
58 突出部
59 開口部
6 軸(ピニオン軸)
7 十字軸
8 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転トルクを伝達可能に軸を結合するための結合筒部と、
上記結合筒部とは反対側で、上記結合筒部と一体に設けられ、結合筒部の軸線に直交する方向の断面形状が半径方向外側に凸の円弧形状を有し、十字軸を軸支するための軸受孔を有する一対の結合アーム部とを備え、
板材を塑性加工することにより成形される自在継手の加工方法であって、
上記一対の結合アーム部に上記軸受孔よりも小径で軸受孔とほぼ同心の小径貫通孔を形成する小径貫通孔成形工程と、
上記小径貫通孔が形成された一対の結合アーム部の外周面を金型で拘束し、上記一対の結合アーム部の半径方向外側の凸面を半径方向内側に押圧して金属材料を塑性流動させ、一対の結合アーム部を形成する結合アーム部成形工程と、
上記一対の結合アーム部の小径貫通孔を拡径して所定直径の軸受孔を形成する軸受孔成形工程とを有すること
を特徴とする自在継手の加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載された自在継手の加工方法において、
上記結合アーム部成形工程は、
上記一対の結合アーム部の半径方向内側の凹面に、上記軸受孔と同心で、軸受孔よりも大径の突出部を半径方向内側に突出させて形成すること
を特徴とする自在継手の加工方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載された自在継手の加工方法で加工された自在継手。
【請求項4】
請求項3に記載された自在継手を有するステアリング装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2のいずれかに記載された自在継手の加工方法において、
上記結合筒部と軸の結合方法が、溶接、かしめ加工、軸の外周面を結合筒部の内周面で締め付けるボルト締付けのうちのいずれかであること
を特徴とする自在継手の加工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−51001(P2012−51001A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195300(P2010−195300)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】