説明

自家発電装置

【課題】風車の構造がほゞそのまま発電機の構造になるために、風力のロスが少なくなり、効率的に発電できる自家発電装置を提供する。
【解決手段】逆U字形のフレームの上部に抗力型の風車と発電用の磁石とを、下部に電器ケースをそれぞれ内装し、風車の両側に磁石の両磁極をフレームに沿って縦長に配列し、風車は、一体に回転するロータ軸を中心に数対の羽根が縦長に配列され、各羽根には芯材にコイルの中途が巻かれてなる起電部を設けてあり、ケース内において、前記コイルの両端が接続され、各一対の起電部毎のコイルの両端が接続される電流集合装置をロータ軸に装備することにより、電流集合装置を介して電力が得られる風力発電機を構成し、他方、各羽根と、風車の天板とに太陽光パネルを貼り付けることにより太陽光発電装置を構成し、風力発電機と太陽光発電装置とで発電された電力が蓄電池に充電されるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、キャンプ等の野外において、また、住宅、事務所、商店、町工場等において風力と太陽光で電力が得られる自然力を利用した自家発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力による簡易な発電装置としては、従来、構造が簡単で取扱いも容易な抗力型風車が利用されてきた。その構造については、中心となるロータ軸の周囲に、長く形成されたパドル(又はブレード)と称される羽根を配列したもので、従来、別の電源としてこれに太陽光パネルを配設することで、風の有無や昼夜の区別なく常時電力が得られるよう提案がなされてきた(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
上記特許文献は本出願人等の発明に係るもので、風車がロータ軸の中心として羽根の配列がなされる抗力型風車であるが、各羽根には太陽光パネルが貼着されていた。こうして、風車が回転する動力で発電された電力と、太陽光パネルで発電された電力とを合わせて利用することで無電力状態が避けられるようにしたものであった。そして、風車による発電については、ロータ軸に発電機が接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−2728号公報
【特許文献2】特開2007−303459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように、ロータ軸の回転で発電機を駆動するために、その間においてエネルギーの損失があり、発電効率の上で問題があった。
【0006】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、風車の構造がほゞそのまま発電機の構造になるために、風力のロスが少なくなり、効率的に発電できる自家発電装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明は、逆U字形のフレームの上部に抗力型の風車と発電用の磁石とを、下部に電器ケースをそれぞれ内装し、風車の両側に磁石の両磁極をフレームに沿って縦長に配列し、風車は、一体に回転するロータ軸を中心に数対の羽根が縦長に配列され、各羽根には芯材にコイルの中途が巻かれてなる起電部を設けてあり、ケース内において、前記コイルの両端が接続され、各一対の起電部毎のコイルの両端が接続される電流集合装置をロータ軸に装備することにより、電流集合装置を介して電力が得られる風力発電機を構成し、他方、各羽根と、風車の天板とに太陽光パネルを貼り付けることにより太陽光発電装置を構成し、風力発電機と太陽光発電装置とで発電された電力が蓄電池に充電されるようにしてあることを特徴とする自家発電装置を提供する。
【0008】
自家発電装置を上記のように構成したから、風車により風力発電機が構成されるばかりでなく、風車に設けた太陽光パネルでも発電が得られ、それを一旦蓄電池に充電することにより、それから電力が取り出して利用される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明の自家発電装置によれば、これに注がれる自然の力が効率的に電力に変換され蓄えられるので、持ち運びが容易なフレーム構造であることとも相まって、自然に満ちたキャンプ等の野外で使用するのに最適であり、昼夜を問わず電気を発生させて有効に利用することができるという優れた効果がある。
【0010】
また、請求項2によれば、発電装置を備える重量等のために、風車の回転始めが鈍くても、発電機を兼ねた補助発電機により風車に回転する切っ掛けを与え即座に発電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施例による自家発電装置を示す斜視図である。
【図2】同自家発電装置の縦断面図である。
【図3】同自家発電装置を平面から見た断面図である。
【図4】同自家発電装置の羽根を上から見た拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の自家発電装置は、大きさは様々となるもので、前記したように、住宅、事務所、商店、町工場等において自前の電力を得るために使用できるが、持ち手となりやすい逆U字形のフレーム1に装備したものであり、また、電器ケース5がそれ自体で正立し得る台座型であるから、小型として製造すれば、自動車に積んで持ち運びして自由な箇所に設置して使用できるから、例えばキャンプ等で使用するのに適しており、テントの外に置いておくことにより、発生した電力を自由に利用できる。
【0013】
発電機は、交流と直流とに分けられる。太陽光パネル16から得られる電力は直流であるが、直流発電機を使用することが望ましい。また、売電も可能とする場合には、接続ユニットでまとめられた直流をパワーコンディショナーにより交流に変換する。いずれもケース5にいずれかの電気的設備を置くことにより直流、交流のいずれも可能である。電流集合装置10とは、各コイル8aに発生した電流を一電流にまとめるもので、その電流は、充電が可能な直流か売電可能な交流かのいずれかである。
【0014】
風車3の羽根14の形態は様々となるが、一端に起電部8を他端に取付部9を有すると両方がリブとなって安定した構造の羽根14となる。
【実施例1】
【0015】
自家発電装置は、キャンプ等の野外で使用する小型の形態にしたもので、金属パイプから構成されるフレーム1が使用され、フレーム1の上端部に発電用の風車3及び磁石4が、下端部に電器ケース5がそれぞれ抱え込むように内装される。風車3には抗力型風車が使用され、これが風力発電機2となるように、その左右両側に磁石4のN極とS極が配置され、両方が上下アーム13,13により垂直でフレーム1に支持される。
【0016】
フレーム1は、上端が持ち手となるようにほゞ逆U字形に屈曲して形成される。また、両方の下端が二股であり、左右において二股脚部11,11の端でケース5を挟み、その接触部が溶接又はボルト・ナット等により、ケース5がフレーム1に安定して固定される。また、風車3の箇所においては、上及び周囲がフレーム1だけであり、そのため、風通し・光通しが極めて良好である。
【0017】
風車3は、車輪に相当する円板形の天板15aと底板15bとがロータ軸7に固定して設けられ、天板15aと底板15bとの外周に添えることにより8枚の羽根14,14,・・・が取り付けられ、ロータ軸7を中心として羽根14,14,・・・が等位に配置された抗力型風車が構成されている。
【0018】
各羽根14には、太陽光パネル16,16,・・が一体化される。また、天板15aと底板15bに対する取付け方としては、外側に張り出る傾斜であって、傾斜した先端において起電部8が形成される。この起電部8は、磁極N,Sによる磁力内に入ると、起電力が発生するように、芯材にコイル8aが巻かれて構成される(図4)。こうして、磁石4の磁極N,Sと、それを横切る風車3の起電部8,8,・・の配列により風車型のまま風力発電機2が構成される。
【0019】
さらに、この風力発電機2について説明すると、ケース5内においては、ロータ軸7に電流集合装置10が配置され、一の電流集合装置10を共通にして、4個の発電回路が形成される。つまり、4個の各発電回路は、一対の羽根14,14の両方の起電部8,8がコイル8aで内側で接続されており、各コイル8a,8a,8a,8aの両端が整流子としての電流集合装置10に接続され、各回路の電流が直流に整合される。そして、電流集合装置10から蓄電池19へ電気が充電される。
【0020】
ケース5内には、ロータ軸7の回転により起動する電動機兼用の補助発電機17が設けられる。そこで、使用の初めにおいて、補助発電機17は、電動機として働き、風が弱くても風車3を回転するように補助的にそれを駆動させる。なお、補助発電機17を電動機として働かせる電力は蓄電池19から得られる。
【0021】
風車3の天板15aの上には、多数枚の太陽光パネル16,16,・・が張設されている。これが屋根瓦と同じで、降雨が排出されやすく中心から周囲に低く傾斜した配置となっている。太陽は真上からずれているのでこの傾斜があると太陽光を多量に効率よく受けやすい。なお、天板15aの上には太陽光パネル16,16,・・を傾斜受けするため図示しない構造受材が置かれている。
【0022】
底板15bは、天板15aと上下に対をなすもので、底板15bの上には、アルミの反射板25が張られている。これは、外からの太陽光線が天板15aの下側の太陽光パネル16に照射されるように、中央にほんの少し低く傾斜されている。
【0023】
ケース5は、上部壁27と下部壁29とを有する円筒状であって、一側に開閉扉31(図2)を有する。そして、上部壁27の上に磁石4の下部と軸受33を介して上記風車3が回転可能に支承されている。また、ケース5内においては、各太陽光パネル16,16,・・の接続ユニットが内装される他、ロータ軸7からの回転で起動される直流の補助発電機17が内装される。これには大歯車32よる増速機付きである。これによる発電も蓄電池19に充電される。
【0024】
補助発電機17は、電動機能を兼用しており、蓄電池19からの電力を利用して逆に風車3を回転させることができる。そこで、風が強くふかないために、なかなか風車3が回転しないときに、回転する切っ掛けを与えることができる。以後は途中で弱い風になっても慣性で回転し続けて風力発電機2を駆動させるので、電力が安定的に継続して得られる。なお、風車3が風力で回転すると、補助発電機17も電動機から発電機に自動的に切り替わる。
【0025】
蓄電池19に充電された電力は、電源コードで取り出し得るように、ケース5の側面に電源コードを接続する差込口としての電気取出口35が設けられている。
【符号の説明】
【0026】
1 フレーム
2 風力発電機
3 風車
4 磁石
7 ロータ軸
8 起電部
8a コイル
10a,10b 整流子
14 羽根
16 太陽光パネル
17 補助発電機
19 蓄電池
25 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆U字形のフレームの上部に抗力型の風車と発電用の磁石とを、下部に電器ケースをそれぞれ内装し、風車の両側に磁石の両磁極をフレームに沿って縦長に配列し、風車は、一体に回転するロータ軸を中心に数対の羽根が縦長に配列され、各羽根には芯材にコイルの中途が巻かれてなる起電部を設けてあり、ケース内において、前記コイルの両端が接続され、各一対の起電部毎のコイルの両端が接続される電流集合装置をロータ軸に装備することにより、電流集合装置を介して電力が得られる風力発電機を構成し、他方、各羽根と、風車の天板とに太陽光パネルを貼り付けることにより太陽光発電装置を構成し、風力発電機と太陽光発電装置とで発電された電力が蓄電池に充電されるようにしてあることを特徴とする自家発電装置。
【請求項2】
ケース内において、ロータ軸に駆動をかけることもできる電動機兼用の補助発電機を設け、蓄電池と補助発電機とを電気的に接続し、初期に風車が弱い風で回る切っ掛けを与え得るように構成してあることを特徴とする請求項1記載の自家発電装置。
【請求項3】
風車の天板の下面に太陽光パネルを貼着し、底板の上に太陽光をその太陽光パネルに照射する反射板を張設してあることを特徴とする請求項1又は2記載の自家発電装置。













【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−132381(P2012−132381A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285892(P2010−285892)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(399131769)
【Fターム(参考)】