説明

自己免疫疾患を治療するためにBヘルパーT細胞を減少させる方法

本発明は、薬学的に許容される担体及び少なくとも1つのIL−12阻害剤、例えば遮断抗IL−12抗体又はその断片を含む有効量の治療組成物を、自己免疫障害を有する対象に投与することによって自己免疫疾患を治療するための組成物及び方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、免疫応答をモジュレートする分野、より具体的には、BヘルパーT細胞の活性を減少させることによって自己免疫疾患を診断、予防及び治療するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を限定することなく、この背景技術は自己免疫応答に対する治療に関連して記載する。
【0003】
多くの化学及び生物学的免疫治療法が自己免疫障害を治療するために開発されている。典型的に、免疫治療法は、自己免疫障害が始まった後に、例えばステロイド又は抗免疫細胞抗体などの化学剤を用いて免疫応答全体を弱めることによってその自己免疫障害を治療しようと試みられている。例えば、そのような方法の一つは、B細胞抗原、例えばCD22、CD20、CD19及びCD74又はHLA−DR抗原に結合する抗体を投与することによって自己免疫障害を治療する試みである。しかしながら、この抗体は、それらの正常な機能に関係なく全てのB細胞を標的とし、標的の自己免疫応答だけでなく免疫応答全体を弱めてしまう。
【0004】
そのような特許の一つは、B細胞を標的とする抗体を用いる自己免疫障害の免疫療法に関する、Goldenberg, et al.に発行された米国特許第7,074,403号明細書である。この特許は、自己免疫障害を治療する効果的手段を提供するための、B細胞抗原に結合する抗体の使用を教示している。コンジュゲートされ得るか、又は裸(naked)であり得る抗体及び断片が、単独又は多様な治療で使用される。抗体は二重特異性抗体であってもよく、融合タンパク質として、又はハイブリッド、多特異性抗体として組換えによって産生されてもよい。
【0005】
Ways, et al.に発行された米国特許第6,103,713号明細書は、T細胞及びB細胞の活性化及び/又は増殖を阻害することによる自己免疫疾患の治療的処置、並びにアイソザイム選択的PKC阻害剤:(S)−3,4−[N,N’−1,1’−((2’’−エトキシ)−3’‘‘(O)−4’‘‘−(N,N−ジメチルアミノ)−ブタン)−ビス−(3,3’−インドリル)]−1(H)−ピロール−2,5−ジオン及びその薬学的に許容される塩を用いる自己免疫疾患及び/又は疾患の兆候の治療を教示している。
【0006】
別の例は、自己免疫障害又は炎症性障害を予防及び治療するためにCD2アンタゴニストを投与/投薬する方法に関する、Dingivanによって出願された米国特許出願公開第20070025990号明細書である。その出願は、1又は2以上のCD2アンタゴニストを用いて対象における自己免疫障害又は炎症性障害を予防又は治療するための組成物、及び1又は2以上のCD2結合分子を対象に投与することによってその対象における自己免疫障害又は炎症性障害を予防又は治療するための方法を教示している。この発明は、CD2結合分子の投薬及び末梢血リンパ球の枯渇を誘導する薬剤の投与に関連する有害作用又は望ましくない副作用を回避又は減少させながら改善された効果を生じる投与方法を提供している。
【0007】
さらに別の出願は、可溶性CTLA4分子及びDMARD又はNSAIDを用いて自己免疫疾患を治療する方法に関する、Cohen, et al.によって出願された米国特許出願公開第20040022787号明細書である。手短に述べると、内因性B7分子がそれらのリガンドに結合することを遮断する可溶性CTLA4分子を単独で、又は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD,Disease Modifying Anti-Rheumatic Drug)を含む他の薬剤と組み合わせて、対象に投与することにより、リウマチ性疾患などの免疫系疾患を治療するための組成物及び方法が教示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,074,403号明細書
【特許文献2】米国特許第6,103,713号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20070025990号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20040022787号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、免疫応答を調節するため、より具体的には、BヘルパーT細胞活性を調節するための組成物及び方法を含む。IL−12は、免疫グロブリン分泌細胞へのB細胞の増殖、成熟及び活性化の主要な調節因子であることが見出されている。IL−12が、T細胞サブセットの発達及び活性化並びにそれらによるIL−21の分泌を制御することによって、このT細胞の主要な集団であるBヘルパーT細胞を調節することが本明細書で実証される。生理学的に、若年性皮膚筋炎(JDM,juvenile dermatomyositis)、全身性関節炎(SYS,systemic arthritis)、及び全身性エリテマトーデス(SLE,systemic lupus erythematosus)などの自己免疫性抗体を含む自己免疫障害において、それらの自己免疫疾患患者の血液中でBヘルパーT細胞の存在が増加することが本明細書で発見され、実証された。さらに、IL−12は、自己免疫疾患を有する患者由来のT細胞によるIL−21の分泌における主要な分子であることが実証された。
【0010】
本発明は、自己免疫疾患を治療するためにBヘルパーT細胞の数又は活性を減少させるための組成物及び方法を含む。そのような方法の一つは、BヘルパーT細胞の発達及びそれらによるIL−21の分泌を阻害するためにIL−12活性を遮断することを含む。別の方法は、CXCR5を含む、モノクローナル抗体を用いてBヘルパーT細胞の数を減少させる。さらに別の方法は、ICOSを遮断することによってBヘルパーT細胞からのIL−21の分泌を減少させることを含む。
【0011】
一実施形態において、本発明は、BヘルパーT細胞を減少させ、それにより例えばB細胞による自己免疫性抗体分泌を減少させるのに十分な量でIL−12阻害剤を含む有効量の治療組成物を、自己免疫障害を有する対象に投与することによって自己免疫障害を治療するための組成物及び方法を含む。一態様において、IL−12阻害剤は、少なくとも1つの遮断抗IL−12抗体又はその断片を含む。別の態様において、その方法はさらに、薬学的に許容される担体を含む。一実施形態において、IL−12阻害剤は、1回当たり1〜1,000mgの用量で投与されるIL−12阻害抗体を含む。一態様において、IL−12阻害剤はIL−12阻害抗体を含み、対象にその抗体を反復用量で与える。さらに別の態様において、IL−12阻害剤は、ヒト以下の霊長類の抗体、マウスモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体からなる群から選択される抗IL−12抗体を含む。別の態様において、IL−12阻害剤は、IL−12のRNAi、siRNA又は他の核酸阻害剤を含む。
【0012】
本発明により治療され得る自己免疫疾患の非限定的な例としては、例えば、自己免疫性抗体が自己免疫応答を誘発する自己免疫疾患、例えば、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形紅斑、IgA腎症、結節性多発動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎(thromboangitis ubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎及び線維性肺胞炎が挙げられる。本発明のさらに別の態様において、IL−12阻害剤は、T細胞、B細胞、形質細胞又はマクロファージ又は炎症性サイトカインに対する二次治療薬と共に提供され得る。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態は、抗原に対する抗原特異的B細胞応答を高める方法であって、ナイーブCD4+T細胞を単離するステップと、BヘルパーT細胞を発達及び活性化させるのに十分な有効量のIL−12を用いて、抗原負荷した樹状細胞の存在下でナイーブCD4+T細胞を成熟させるステップとを含み、IL−12で処理したBヘルパーT細胞がナノモル量(nanomolar amounts)のIL−21を分泌する、方法である。一態様において、ナイーブCD4+T細胞は、負の選択によって末梢血単核細胞から単離される。別の態様において、ナイーブCD4+T細胞は、CD8に対する抗体並びにCD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD19、CD45RO、CD56及びHLA−DRに対する1又は2以上の抗体を用いる負の選択によって末梢血単核細胞から得られる。別の態様において、抗原は、ウイルス、細菌、真菌、癌又は毒素から選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態は、B細胞による自己免疫性抗体の分泌によって引き起こされる自己免疫障害のための治療を必要とする疑いのある患者を同定するステップと、CD4+BヘルパーT細胞を阻害するのに十分な量の抗IL−12阻害剤で患者を治療するステップとを含む、自己免疫疾患をモジュレートする組成物及び方法を含む。一態様において、抗IL−12阻害剤は、抗IL−12p40 mAb又は抗IL−12p70 mAb、抗IL−12p70 mAb、抗IL−12受容体、可溶性の不活性IL−12及びそれらの組合せを含む。別の態様において、抗IL−12阻害剤は、IL−12受容体アンタゴニストを含む。さらに別の態様において、CD4+BヘルパーT細胞は負の選択によって選択される。一態様において、CD4+BヘルパーT細胞は、CD8に対する抗体並びにCD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD19、CD45RO、CD56及びHLA−DRに対する1又は2以上の抗体を用いる負の選択によって末梢血単核細胞から得られる。別の態様において、CD4+BヘルパーT細胞は、活性化樹状細胞の存在下で活性化される。一態様において、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、関節炎、全身性関節炎及び乾癬性関節炎から選択される。一態様において、IL−12阻害剤は、自己免疫性抗体の発達の前に自己免疫疾患に感受性である疑いのある対象に提供される。
【0015】
本発明の別の実施形態は、ナイーブCD4+T細胞を単離するステップと、IL−12の存在下で標的抗原を発現する活性化樹状細胞の存在下でナイーブCD4T細胞を成熟させるステップとを含む方法によって作製されるB細胞ヘルパーT細胞であり、成熟したCD4+BヘルパーT細胞は、抗原に応答してナノモル量のIL−21を放出する。
【0016】
本発明の別の態様は、IL−21分泌BヘルパーT細胞を、IL−12阻害剤を含む組成物に曝露することにより、免疫グロブリン分泌細胞へのB細胞の増殖、成熟及び活性化を調節する組成物及び方法を含む。一態様において、IL−12阻害剤は、CD4+BヘルパーT細胞によるIL−21及びIFN−γの両方の分泌を減少させる。別の実施形態において、本発明は、ナノモル量のIL−21の放出を誘発するのに十分な量のIL−12と共にナイーブCD4T細胞をインキュベートするステップを含む、BヘルパーT細胞を濃縮する方法を含む。
【0017】
本発明の特徴及び利点をより完全に理解するために、ここで、添付された図と共に本発明の詳細な説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】IL−12が、IL−21を分泌するようにナイーブCD4+T細胞を誘導することを示すグラフである。
【図2】IL−12で初回刺激したナイーブCD4T細胞が、免疫グロブリンを生成するようにB細胞を誘導することを示すグラフである。
【図3】IL−12で初回刺激したCD4T細胞がIL−21及びICOSを介してB細胞を補助することを示すグラフである。
【図4】活性化DCがIL−12を介してIL−21産生CD4T細胞を誘導することを示すグラフである。
【図5】遮断IL−12がB細胞を補助できるT細胞の発達を阻害することを示すグラフである。
【図6】IL−12がメモリーCD4T細胞によるIL−21分泌の分泌を制御することを示すグラフである。
【図7】CD4T細胞及びB細胞が、DM中の炎症部位に主に蓄積することを示す図である。
【図8】自己免疫疾患患者の血液中の増加した頻度の機能的BヘルパーT細胞を示す図である。
【図9】活動性JDM患者から得た末梢血単核細胞によるSEBに応答して増加したIL−21分泌を示すグラフである。
【図10】JDM患者由来のPBMCによるIL−21分泌がIL−12に依存することを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の様々な実施形態の構造及び使用を以下で詳細に論じるが、本発明が、広範な具体的文脈において具現化できる多くの適用可能は発明の概念を提供することを理解するべきである。本明細書において議論される具体的な実施形態は、本発明を行う且つ使用するための具体的方法を説明するのみであって、本発明の範囲を定めるものではない。
【0020】
本発明の理解を容易にするために、多くの用語を以下で定義する。本明細書中で定義される用語は、本発明に関する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「この(the)」などの用語は、単一の存在物のみを称することを意図するものでなく、説明のために具体例を使用する場合の一般的な種類を含む。本明細書中の専門用語は、本発明の具体的な実施形態を記述するために使用されるが、これらの用語の使用は、特許請求の範囲に概説されている場合を除き本発明の範囲を定めるものではない。
【0021】
特定の実施形態において、本発明は、対象がB細胞により調節される自己免疫障害を治療する必要があることを同定するステップである。この同定は、対象又は医療従事者の判断により行うことができ、主観的(例えば見解)であっても、又は客観的(例えば試験又は診断方法によって測定可能)であってもよい。
【0022】
本明細書において使用される場合、「治療する」、「治療」及び「治療している」という用語は、IL−12の存在下で抗原負荷した抗原提示細胞(例えば樹状細胞)によるT細胞の活性化に応答して多量のIL−21を分泌するBヘルパーT細胞によって媒介される自己免疫応答を標的とする本発明の1又は2以上の治療法を施すことから生じる、B細胞により調節される自己免疫障害の進行、重症度及び/又は持続期間の減少又は改善或いはB細胞により調節される自己免疫障害の1又は2以上の症状(好ましくは1又は2以上の認識できる症状)の改善を指す。
【0023】
本明細書において使用される場合、「予防する」、「予防」及び「予防している」という用語は、所与のB細胞により調節される自己免疫障害を獲得するか又は発達する危険性の減少、或いは所与のB細胞により調節される自己免疫障害の1又は2以上の症状の再発、発症又は発達の減少又は阻害を指す。一実施形態において、IL−12阻害剤は、予防手段として、本明細書に記載される障害のいずれかに対する遺伝的素因を有する疑いのある患者(例えばヒト)に投与される。
【0024】
本明細書において使用される場合、「有効量」という用語は、B細胞により調節される自己免疫障害の重症度、持続期間、進行又は発症を減少又は改善し、B細胞により調節される自己免疫障害の進行を予防し、B細胞により調節される自己免疫障害の退行を引き起こし、B細胞により調節される自己免疫障害に関連する症状の再発、発達、発症又は進行を予防し、或いは別の治療法の予防効果又は治療効果を高める又は向上させるのに十分であるIL−12阻害剤の量を指す。一実施形態において、本発明による治療により、B細胞により調節される自己免疫障害の少なくとも1つの症状又は兆候が、インビボ又はインビトロで測定して、少なくとも約10%、又はさらには20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%又は99%減少又は予防される。
【0025】
本発明は、Freireich et al., (1966) Cancer Chemother Rep 50: 219に記載される動物及びヒトに対する投与量(体の表面積1m当たりのミリグラムに基づく)の相互関係を認識する。体の表面積は、患者の身長及び体重からおおよそ測定され得る。例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardley,N.Y.,1970,537を参照されたい。本発明の化合物の有効量は、約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、より好ましくは0.01mg/kg〜約100mg/kg、より好ましくは0.1mg/kg〜約10mg/kgの範囲、又は範囲の下限が0.001mg/kg〜900mg/kgのいずれかの量であり、且つ範囲の上限が0.1mg/kg〜1000mg/kgのいずれかの量であるいずれかの範囲(例えば、0.005mg/kg〜200mg/kg、0.5mg/kg〜20mg/kg)であり得る。有効用量はまた、当業者によって認識されるように、治療される疾患、投与経路、賦形剤の使用、及び他の薬剤の使用などの他の治療的処置との同時使用の可能性に応じて変わる。
【0026】
実施において、本発明の組成物及び方法は、単独で、又は医薬組成物の成分として、静脈内、経口、非経口、吸入噴霧により、局所、直腸内、経鼻、口腔、経膣又は注入リザーバーを介して投与できる抗IL−12阻害剤を含んでもよい。本発明のIL−12阻害剤及び方法の他の非限定的な送達例としては、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、幹内(intrastemal)、鞘内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技術が挙げられる。特定の実施形態において、BヘルパーT細胞は、単離され、インビトロにおいて処置され、次いで治療するために対象に戻されてもよい。
【0027】
例えば、本発明は、滅菌注射組成物、例えば滅菌注射水性又は油性懸濁剤として調製され、投与されてもよく、適切な分散剤又は湿潤剤(例えばTween80など)及び懸濁化剤を用いて当技術分野において公知の技術に従って製剤化できる。滅菌注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール溶液などの、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射液剤又は懸濁剤であってもよい。使用され得る許容される媒体及び溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー溶液及び生理食塩水がある。さらに、無菌の不揮発性油が、従来のように溶媒又は懸濁媒質(例えば合成モノグリセリド又はジグリセリド)として使用される。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油又はヒマシ油、特にそれらのポリオキシエチル化型において天然の薬学的に許容される油であるため、注射用製剤において有用である。これらの油剤又は懸濁剤はまた、長鎖アルコール希釈剤若しくは分散剤、又はカルボキシメチルセルロース(carboxymnethyl cellulose)若しくは同様の分散剤を含んでもよい。Tween若しくはSpan又は他の同様の乳化剤などの他の一般的に使用される界面活性剤或いは薬学的に許容される固体、液体又は他の剤形の製造において一般的に使用される生物学的利用能増強剤もまた、製剤化の目的のために使用されてもよい。
【0028】
本発明の別の例は、限定されないが、カプセル剤、錠剤、乳剤及び水性懸濁剤、分散剤及び液剤を含む、任意の経口的に許容される剤形であり得る経口投与用の組成物である。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体としてはラクトース及びコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤もまた、典型的に加えられる。カプセル剤の形態における経口投与のために、有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁剤又は乳剤が経口投与される場合、活性成分は、乳化剤又は懸濁化剤と混合された油性相に懸濁又は溶解されてもよい。所望の場合、特定の甘味剤、矯味矯臭剤、又は着色剤が加えられてもよい。鼻エアロゾル又は吸入組成物は、製剤の分野において周知の技術に従って調製でき、ベンジルアルコール若しくは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を高めるための吸収促進剤、フッ化炭素、及び/又は当技術分野において公知の他の可溶化剤若しくは分散剤を使用して、生理食塩水中の液剤として調製できる。本発明の化合物はまた、直腸投与のための坐剤の形態で投与できる。
【0029】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、一般に治療される対象に有害でない、IL−12阻害剤が組み込まれ得る薬剤(活性又は不活性)を指す。例えば、本発明の化合物と特異的で、より可溶性の複合体を形成する、シクロデキストリンなどの可溶化剤、又は1若しくは2以上の可溶化剤が、本発明の化合物を送達するための医薬賦形剤として使用されてもよい。他の担体の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、及び色素剤が挙げられる。
【0030】
本明細書において使用される場合、「動物」、「対象」、「哺乳動物」及び「患者」という用語は、限定されないが、ヒト又はウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ及びハムスターなどの動物を含む。
【0031】
B細胞により調節される自己免疫障害を治療又は予防することを必要とする患者においてそのB細胞により調節される自己免疫障害を治療又は予防するための方法はさらに、投与される患者に有効量のIL−12阻害剤を投与するステップを含み得る。IL−12阻害剤はまた、B細胞により調節される自己免疫障害又はその症状を予防又は治療するために従来のように使用されるものなどの他の治療剤と共に送達されてもよい。そのような併用療法処置において、IL−12阻害剤及び他の薬剤の両方が、従来の方法によって哺乳動物(例えばヒトの男性又は女性)に投与されてもよい。それらの薬剤は、単一の剤形又は別個の剤形で投与されてもよい。他の治療剤の有効量は当業者に周知である。本開示を考慮して、当業者は、他の治療剤の最適な有効量の範囲を決定できる。本発明の特定の実施形態において、本発明のIL−12阻害剤の有効量は、第2の治療剤がIL−12阻害剤の効果を増強するか、又は高める場合に減少されてもよい。
【0032】
併用療法のための薬剤の例としては、TNFアンタゴニスト(例えば限定されないが、TNF抗体又は断片、可溶性TNF受容体又は断片、それらの融合タンパク質、或いは低分子TNFアンタゴニスト)、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、オーロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩剤、麻酔剤、非ステロイド抗炎症薬(NSAID,non-steroid anti-inflammatory drug)、鎮痛剤、麻酔薬、鎮静剤、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えば、アミノグリコシド、抗真菌剤、駆虫薬、抗ウイルス剤、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン(flurorquinolone)、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、タンパク同化ステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止痢薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、下剤、抗凝血剤、エリスロポエチン(erythropieitin)(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF、Leukine)、免疫化薬、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤、放射性医薬品、抗欝薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経模倣薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息薬、ベータアゴニスト、吸入用ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくはアナログ、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン又はサイトカインアンタゴニストが挙げられ得る。適切な投薬量は、当技術分野において周知である。例えば、関連部分が本明細書に参照として組み込まれる、Wells et al., eds., Pharmacotherapy Handbook, 2nd Edition, Appleton and Lange, Stamford, Conn. (2000); PDR Pharmacopoeia, Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000, Deluxe Edition, Tarascon Publishing, Loma Linda, Calif.(2000)を参照されたい。
【0033】
本発明を用いて診断、予防又は治療され得る自己免疫疾患の非限定的な例としては、少なくとも部分的に又はさらには主に、自己抗原に対する免疫グロブリン応答を含み得る自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、関節リウマチ、若年発症糖尿病、ウェゲナー肉芽腫症、炎症性腸疾患、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性内分泌腺不全、シュミット症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、副腎炎、グレーブス病、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、悪性貧血、胃の萎縮症、慢性肝炎、ルポイド肝炎、アテローム性動脈硬化症、初老期認知症、脱髄疾患、多発性硬化症、亜急性皮膚エリテマトーデス、副甲状腺機能低下症、ドレスラー症候群、重症筋無力症、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、尋常性天疱瘡、天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円形脱毛症、類天疱瘡、強皮症、全身性進行性硬化症、クレスト症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、手指硬化症、及び毛細血管拡張症)、成人発症型糖尿病(II型糖尿病)、男性及び女性自己免疫不妊症、強直性脊椎炎(ankylosing spondolytis)、潰瘍性大腸炎、クローン病、混合性結合組織疾患、結節性多発動脈炎(polyarteritis nedosa)、全身性壊死性血管炎、若年発症関節リウマチ、糸球体腎炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、グッドパスチャー症候群、シャーガス病、サルコイドーシス、リウマチ熱、喘息、再発性流産、抗リン脂質症候群、農夫肺、多形紅斑、心臓切開術後症候群、クッシング症候群、自己免疫性慢性活動性肝炎、鳥飼育者肺、アレルギー性疾患、アレルギー性脳脊髄炎、中毒性表皮剥離症、脱毛症、アルポート症候群、肺胞炎、アレルギー性肺胞炎、線維化性肺胞炎、間質性肺疾患、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、輸血反応、ハンセン病、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ症、高安動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、側頭動脈炎、住血吸虫症、巨細胞性動脈炎、回虫症、アスペルギウス症、サムプター症候群(Sampter's syndrome)、湿疹、リンパ腫様肉芽腫症、ベーチェット病、カプラン症候群、川崎病、デング熱、脳脊髄炎、心内膜炎、心内膜心筋線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、乾癬、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎(eosinophilic faciitis)、シャルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎、フックス毛様体炎、IgA腎症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、糸球体腎炎、移植片対宿主病、移植拒絶、ヒト免疫不全ウイルス感染症、エコーウイルス感染、心筋症、アルツハイマー病、パルボウイルス感染、風疹ウイルス感染、予防接種後症候群、先天性風疹感染、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫、腎細胞癌、多発性骨髄腫、イートン−ランバート症候群、再発性多発性軟骨炎、悪性黒色腫、クリオグロブリン血症、ワルデンストロームマクログロブリン血症、エプスタイン−バーウイルス感染、流行性耳下腺炎、エヴァンズ症候群、及び自己免疫性腺機能不全などの自己免疫疾患が挙げられる。
【0034】
本発明者らは、IL−12がヒトにおける抗体応答を調節する主要な分子であることを発見した。機能的BヘルパーT細胞の頻度が、JDM、SYS及びSLEを含む、自己免疫疾患において増加することも見出した。BヘルパーT細胞を標的とすることは、自己免疫疾患における治療的アプローチとして今まで特許請求されていなかった。本発明を用いると、1)BヘルパーT細胞の発達を阻害するためにIL−12を遮断すること、2)BヘルパーT細胞によるIL−21の分泌を阻害するためにIL−12を遮断すること、及び3)例えばCXCR5又はICOSに対するモノクローナル抗体を用いることによって体におけるBヘルパーT細胞の数を減少させるためにそれらのBヘルパーT細胞を標的とすることがここで可能になる。
【0035】
例えば、皮膚筋炎、及び全身性エリテマトーデスを含む自己免疫疾患患者から得た末梢血単核細胞(PBMC,peripheral blood mononuclear cell)を、IL−12中和抗体(抗IL−12p70 mAb)の存在下又は非存在下で超抗原エンテロトキシンB(SEB,superantigen enterotoxin B)と共に培養し、IL−21分泌を培養の2日目に分析することが見出された。IL−12遮断抗体の添加は、SEB反応性CD4+T細胞からのIL−21分泌を著しく阻害した。したがって、IL−12を遮断することは、抗体応答の発達において主要な役割を果たす、CD4+T細胞からのIL−21の分泌を減少させる。
【0036】
ナイーブCD4T細胞の単離。PBMCを、成人健常ボランティアから得たアフェレーシス血液サンプルからフィコール勾配遠心分離により精製し、液体窒素中の10%のDMSO中で凍結を維持した。ナイーブCD4T細胞をまず、負の選択により濃縮した:PBMCを精製したCD8(HIT8a、eBiosciences社製)、CD11b(LM1/2、ATCC)、CD11c(B-ly6、BD Biosciences社製)、CD14(M5E2、ATCC)、CD15(W6D3、BD Biosciences社製)、CD16(3G8、Beckman Coulter社製)、CD19(J4.119、Beckman Coulter社製)、CD45RO(UCHL1、BD Biosciences社製)、CD56(C218、Beckman Coulter社製)及びHLA−DR(B8.12.2、Beckman Coulter社製)モノクローナル抗体(mAb)と、4℃で30分間インキュベートし、次いでDynabeads Pan Mouse IgG(Dynal社製)と、4℃で30分間インキュベートした。抗体結合細胞をマグネット(Dynal社製)で除去した。ナイーブCD4T細胞をさらに、CD8 PE(RPA-T8、eBiosciences社製)、CD56 PE(B159,BD Biosciences社製)、HLA−DR PE(G46-6、BD Biosciences社製)、CD45RA Tricolor(MEM-56、Caltag社製)及びCD4 Pacific Blue(S3.5、Caltag社製)mAbで染色した後、CD8 CD56 HLA−DR CD45RA CD4細胞としてFACSAria(BD Biosciences社製)で分取することによって精製した。細胞純度は99%を超えた。
【0037】
B細胞の単離。B細胞をまず、CD19 MicroBeads及びLSカラム(Miltenyi Biotec社製)を用いる陽性選択によりアフェレーシスPBMCから濃縮した。次いで、ナイーブ及びメモリーB細胞を、IgD FITC(IA6-2、BD社製)、CD27 PE(L128、BD Biosciences社製)、CD3 APC(SK7、BD Biosciences社製)、CD11c APC(S-HCL-3、BD Biosciences社製)及びCD14 APC(TuK4、Caltag社製)mAbで染色した後、IgD CD27 CD3 CD11c CD14細胞及びIgD CD27 CD3 CD11c CD14細胞としてそれぞれFACSAriaで分類した。細胞純度は98%を超えた。
【0038】
DC及びナイーブCD4T細胞の共培養。単核細胞を、Monocyte Isolation Kit II(Miltenyi Biotec社製)を用いる負の選択によってPBMCから単離した。DCを、6ウェルプレート(2×10細胞/3ml/ウェル)中で1%のL−グルタミン、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、50μMの2−メルカプトエタノール、1%のピルビン酸ナトリウム、1%の非必須アミノ酸(全てSigma社製)、25mMのHEPES p7.2及び10%の加熱不活性化したFBS(Hyclone社製)を含有するRPMI 1640完全培地(GIBCO社製)中の50ng/mlのIL−4(R&D社製)及び100ng/mlのGM−CSF(Leukine社製)を用いて単核細胞を培養することによって生成した。サイトカインを2日ごとに加えた。6日目に、樹状細胞を、放射線を照射したCD40LでトランスフェクトしたL細胞、PGN(5μg/ml、InvivoGen社製)、LPS(50ng/ml、Sigma-Aldrich社製)、フラジェリン(20ng/ml、InvivoGen社製)、CL097(イミダゾキノリン化合物、5μg/ml、InvivoGen社製)、加熱殺菌した大腸菌(Escherichia coli)(10/ml、Invitrogen社製)、加熱殺菌した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(10/ml、InvivoGen社製)、又は加熱殺菌したポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)(10/ml、InvivoGen社製)で刺激した。6時間の刺激後、TLR−リガンド又は加熱殺菌した細菌に曝露したDCを収集し、注意深く洗浄し:CD40LをトランスフェクトしたL細胞で刺激したDCを、CD11c APC(S-HCL-3、BD Biosciences社製)及びCD40L PE(TROP1、BD Biosciences社製)mAbでの染色後、FACSによってCD11cCD40LDCとして回収した。活性化DC(1.3×10細胞/ウェル)を、96ウェル丸底プレート中のRPMI完全培地中で同種異系のナイーブCD4T細胞(4×10細胞/ウェル)と共に7日間培養した。一部の実験において、10μg/mlの抗IL−12p40(C8.6、eBiosciences社製)又は抗IL−12p70(M122、Pierce社製)遮断mAbを培養物に加えた。IL−12分泌を評価するために、6時間の刺激で収集したDCを、平底96ウェルプレート(2×10細胞/ウェル)中でさらに24時間培養し、分泌したIL−12を、IL−12p70ELISAキット(eBiosciences社製)を用いて測定した。
【0039】
CD3/CD28によるナイーブCD4T細胞の刺激。ナイーブCD4T細胞(1×10細胞/ウェル)を、ヒト組換えサイトカイン:IL−1β(R&D社製)、IL−6(R&D社製)、IL−10(R&D社製)、IL−12(R&D社製)、IL−18(R&D社製)、IL−23(eBiosciences社製)、IL−27(R&D社製)、TNF(R&D社製)、(各々10ng/ml又は示した濃度にて)又はIFN−α(IFN−α2b、500IU/ml、Schering社製)の存在下で、平底96ウェルプレート中のRPMI完全培地中でプレートに結合したCD3 mAb(5μg/ml、OKT3、ATCC)及び可溶性CD28 mAb(1μg/ml、CD28.2、BD Biosciences社製)で刺激した。活性化CD4T細胞を7日目に分析した。一部の実験において、ナイーブCD4T細胞を、1μMのカルボキシフルオセイン二酢酸スクシンイミジルエステル(Molecular Probes社製)で標識して、T細胞の増殖を追跡した。
【0040】
細胞内サイトカイン染色。7日間刺激したナイーブCD4T細胞を、ホルボールミリステートアセテート(25ng/ml、Sigma-Aldrich社製)及びイオノマイシン(1μg/ml、Sigma-Aldrich社製)で6時間、最後の4時間はGolgiPlug(BD Biosciences社製)の存在下で再刺激した。次いで、細胞を固定し、Cytofix/Cytoperm Fixation/Permeabilizationキット(BD Biosciences社製)を用いて透過処理し、細胞質中で発現したサイトカインを、IL−21 PE又はAPC(3A3-N2、eBiosciences社製)、IL−17A PE(64DEC17、eBiosciences社製)、及びIFNγ APC(B27、BD Biosciences社製)mAbを用いて分析した。細胞を、1%のパラホルムアルデヒドで固定した後、FACS Calibur又はFACS CantoIIで採取した。活性化CD4T細胞(FSC細胞)中のサイトカイン発現を、Flowjoソフトウェア(TreeStar社製)を用いて分析した。
【0041】
活性化CD4T細胞からのIL−21分泌。活性化CD4T細胞を、残留CD11cDCを除去するために、CD11c APC(S-HCL-3、BD Biosciences社製)での染色後、FSC細胞(CD3/28刺激)、又はCD11cFSC細胞(DCで共培養)として7日目に分類した。分類したCD4T細胞を、96平底ウェルプレート(5×10細胞/ウェル)中の10%のFBSを補充したYssel培地(Gemini社製)中でプレートに結合したCD3 mAb(5μg/ml)及び可溶性CD28 mAb(1μg/ml)で再刺激した。24時間後、産生したIL−21レベルを、Luminexアッセイを用いて評価した。
【0042】
Luminex技術を使用するヒトIL−21ビーズベースアッセイの開発。TGCTGGCTA及びTGAによって結合されており、マウスシグナリングリンパ球活性化分子ファミリーメンバー1シグナルペプチド(gb|EDL39054.1|)残基1〜24、GL、gb|ABN54273.1|セルロソームアンカリングタンパク質残基1050〜1219、LEAD、及びgb|AAG29348.1|ヒトインターロイキン21残基30〜162をコードする配列を、哺乳動物発現ベクターpCDM8(Seed社製、1987)のHindIII-NotI間に挿入するためにPCRを使用した。このベクターは、コヒーシン−IL−21融合タンパク質の分泌を誘導した。天然のヒトIL−21の分泌を誘導するベクターを、CACCに先行するref|NM_021803.1|残基47〜535を、pIRES2-DsRed2(Clontech社製)のNheI-NotI間に挿入することによって操作した。分泌タンパク質を、1Lのトランスフェクション当たり1.3mlの293Fectin試薬で1mgの全プラスミドDNAに基づいて製造業者のプロトコルに従ってFreeStyle(商標)293Expression System(Invitrogen社製)を用いて生成した。トランスフェクトした細胞を3日間培養し、培養上清を収集し、0.5%のペニシリン/ストレプトマイシン(Biosource社製)を含む新鮮な293Freestyle(商標)培地(Invitrogen社製)を、2日間インキュベーションを継続しながら加えた。培養上清(1L)を、PBSで洗浄した20mlのQセファロースカラム(GE Healthcare社製)に導入し、次いでPBS+1MのNaCl pH7.4で溶出した。溶出した画分を、注文製の1mlの抗コヒーシンmAbカラムに通し、PBSで洗浄し、0.1Mのグリシン pH2.7で溶出し、次いでDPBSに対して透析した。タンパク質をSDS−PAGEゲルにより分析し、濃度は280nmにおける理論的吸光係数に基づいた。
【0043】
ヒトIL−21に対するマウスmAbを、迅速な反復免疫戦略により生成した。手短に述べると、6週齢のBALB/cマウスを、10μgのコヒーシンIL−21融合タンパク質及びRibi又はCpG(1017 ISS、Dynavax社製)アジュバントを用いて、30〜40日の期間7〜9回、フットパッド注射により免疫化した。高くなった血清力価の観測時に、低い血清耐性に適合されている、P3×63、Ag8.653(ATCC CRL-1580)及び/又はSP2/O−Ag14骨髄腫細胞株とのPEG誘導性体細胞融合のために、鼠径及び膝窩の流入領域リンパ節を収集する前に10μgの追加免疫を3〜4日与えた。1:25の希釈でハイブリドーマ上清を、対照コヒーシン融合タンパク質で0.5μg/mlにて、又は0.2μg/mlのコヒーシン−IL−21にてコーティングしたプレートを用いて直接ELISAによりスクリーニングした。上清をまた、モノクローナル抗体を係留するためにヤギ抗マウスIgGでコーティングしたプレートを用いて捕捉ELISAフォーマットにおいてスクリーニングし、0.0625μg/mlにてビオチン化したIL−21、続いてニュートラアビジン−HRPで検出した。最も強力な抗体を生じるハイブリドーマは、純粋な抗体の産生のためにクローニングされ、規模を合わされた単一細胞であった。mAbを、IL−21を検出できる対を確立するためにチェッカーボードELISAフォーマット(checkerboard ELISA format)において試験した。mAbを2μg/mlにてプレートに結合させ、次いで2ng/ml及び20pg/mlにてIL−21、次いで100ng/mlにてビオチン化mAbとインキュベートし、続いてニュートラアビジン−HRPで検出する。首尾よく対を形成したmAbをさらに、100ng/ml〜45pg/mlのIL−21滴定によってこのELISAにおいてスクリーニングし、100ng/mlのビオチン化mAbパートナーで検出した。ELISAにおいて最も感受性であったそれらの抗体を、ビーズにコンジュゲートし(タンパク質のカルボキシル化ミクロスフェアに対する2段階のカルボジイミドカップリングのためのLuminex Corporationプロトコル、2006年1月)、4000pg/ml〜1pg/mlの連続滴定の組換えヒトIL−21並びに天然のヒトIL−21を含むと予想されるイノマイシン及びPMAで刺激したCD4T細胞からの上清の希釈物とインキュベートした。検出mAbをビオチン化し、0.5μg/mlにて使用した。選択したmAb対は、IL−21発現ベクターをトランスフェクトした293F細胞から分泌されたIL−21を検出した。2つの市販供給源からの組換えIL−21より著しく強力であったコヒーシン−IL−21を標準物として使用した。
【0044】
最後のLuminexアッセイは、少なくとも4000pg/mlの範囲にわたって1pg/mlのhIL−21に感受性であった。IL−21対を、Upstate Beadlyte Human 26 plex multiplex標準物で試験した。この分析物のいずれも交差反応はなかった。IL−21対はまた、Upstate human 22 plexで多重化され得る。Luminexビーズコンジュゲーション及び一般的アッセイ条件はGiavedoni, et al.により詳述される(Giavedoni, 2005)。SeroMAPビーズ(region 26)を、500μlの50mMのMES pH5.0中の5μgのmAbにて最適な1×10ビーズの結合で使用した。検出mAbのビオチン化を、25×NHS-LCビオチン(Pierce社製)で行い、このアッセイにおいて0.5μg/mlにて使用した。2μg/mlにてProzyme社製のPhycolink Strepavidin R-Phycoerythrin PJ31Sをレポーターとして使用した。
【0045】
T細胞及びB細胞の共培養。活性化CD4T細胞を上記のように分類し、エンドトキシンが低下したSEB(0.25ng/ml;Toxin technology, Inc社製)の存在下で、96ウェル丸底プレート中のYssel培地/10%のFBS中で自己メモリーB細胞(各々4×10細胞/ウェル)と共培養した。一部の実験において、抗IL−2mAb(PAB956、BIIR社製)、抗IL−4mAb(MP4-25D2、BD社製)、抗IL−10mAb(PAB548、BIIR社製)、抗IFN−γmAb(B27、BD Biosciences社製)、ICOS−L−mIgFc(Ancell社製)、IgG1Fc又はIL−21R/Fc(両方ともR&D systems社製)を培養物に加えた。培地中で産生したIg(IgM、IgG及びIgA)を、6又は14日目にELISAにより分析した。
【0046】
Ig ELISA。Igの測定のために、培養上清を、5μg/mlのヤギ抗ヒトIgM、IgG、IgA Ab(全てSouthernBiotech, Inc.社製)でコーティングした96ウェルマイクロプレート(Nunc社製)中で、室温にて2時間インキュベートした。洗浄後、プレートを、(それぞれ、1/2000、1/2500又は1/2500の最終希釈にて)アルカリホスファターゼにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgM、IgG又はIgA Ab(全てSouthernBiotech, Inc.社製)と共に、室温にて1時間インキュベートした。次いで、プレートを、広範囲に洗浄した後、p−ニトロフェニルホスフェート(Sigma社製)とインキュベートした。反応を3NのNaOHで停止し、吸光度をSpectraMaxプレートリーダー(Molecular Devices社製)により読み取った。
【0047】
SEBとのPBMC培養。精製した新鮮なPBMC(2.5×10細胞/ウェル)を、抗IL−12p40又はIL−12p70 mAbの存在下又は非存在下で、96ウェルプレート中で48時間、SEB(0.1μg/ml)と培養し、分泌したサイトカインをLuminexにより測定した。
【0048】
CD4T細胞表現型の分析。CXCR5T細胞亜集団を分析するために、自己免疫疾患患者及び年齢が一致した健常者から得た新鮮な全血サンプルを、抗CXCR5−Alexa 488、CCR6−PE、CD45RA−ECD、CXCR3−PC5、CCR4−PC7、ICOS−APC、CD3−AF700、CD8−APC H7、CD45RA Pacific Blue、及びCD45 Pacific Orange mAbで染色した。細胞を、FACSAriaを用いて採取し、FlowJoソフトウェア(TreeStar社製)で分析した。
【0049】
BヘルパーT細胞の発達のための主要因子としてのIL−12。IL−21は、T細胞サイトカイン及びNKT細胞サイトカインであり、それらは免疫系の多くの細胞で作用する。特に、IL−21は、抗体分泌形質細胞に対してB細胞の成長及び分化を促進する。図1は、IL−12の存在下で初回刺激したナイーブCD4+T細胞が、多量のIL−21を産生することを示す。手短に述べると、ナイーブCD4+T細胞を、サイトカイン(500IU/mlにおけるIFN−αを除いて10ng/ml)の存在下で、プレートに結合した抗CD3/CD28 mAbで7日間刺激した。IL−1β、IL−6、IL−10、IL−18、IL−27、TNF−α、及びIFN−αは、IL−21を分泌できるCD4+ T細胞を誘導しなかった。しかしながら、IL−12は、IL−21を産生できるCD4+T細胞の発達を促進した。CD3/CD28による再活性化の際に、IL−12で初回刺激したCD4+T細胞は、ナノグラム量のIL−21(200μl当たり5×10細胞の培養物中に3.3±0.4ng/ml、平均±sem、n=5)を分泌できたが、IL−23で初回刺激したものはピコグラム量(40±4pg/ml、平均±sem、n=5)のみを分泌した。したがって、IL−12は、IL−21を産生するようにナイーブCD4+T細胞を強く誘導する。
【0050】
図2は、IL−12の存在下で初回刺激したナイーブCD4+T細胞が、免疫グロブリンを産生するように自己B細胞を誘導できることを示す。手短に述べると、IL−12又は他のサイトカインの存在下で抗CD3/CD28 mAbにより活性化したナイーブCD4+T細胞を7日目に分類し、抗IgM mAb及びCpG(TLR−9リガンド)で予め活性化した自己血液IgD+CD27−ナイーブB細胞と共培養した。ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB, staphylococcal enterotoxin B)、超抗原をT−B相互作用を誘導するために加え、分泌したIgを14日目に測定した。サイトカインで初回刺激していないCD4+T細胞は、Igを分泌するようにナイーブB細胞を誘導できなかった(A、なし)。対照的に、IL−12で初回刺激したCD4+T細胞は、IgM、IgG及びIgAを含む、Igを分泌するようにナイーブB細胞を誘導した。IL−23で初回刺激したCD4+T細胞と共培養したナイーブB細胞は、著しく低い量のIgを産生した。
【0051】
同様に、IL−12で初回刺激したナイーブCD4+T細胞は、IL−23で初回刺激したCD4+T細胞より著しく高い量でIgD−CD27+メモリーB細胞からのIg産生を誘導した(B)。したがって、IL−12は、B細胞を補助できる細胞になるようにCD4+T細胞を誘導する。
【0052】
図3は、IL−12の存在下で初回刺激したCD4+T細胞が、IL−21に依存的に免疫グロブリンを産生するようにB細胞を誘導することを示す。手短に述べると、IL−21の機能を阻害する、可溶性IL−21受容体/Fcキメラタンパク質を、IL−12で初回刺激したB細胞及びCD4+T細胞の共培養物に加えた。遮断IL−21は、B細胞がIgを分泌するのを著しく阻害した。したがって、IL−12で初回刺激したCD4+T細胞から分泌したIL−21は、B細胞による抗体産生の誘導において基本的な役割を果たす。
【0053】
図4は、活性化DCが、IL−12を介してIL−21産生CD4+T細胞を誘導することを示す。手短に述べると、DCを、大腸菌(グラム陰性)、黄色ブドウ球菌(グラム陽性)、及びポルフィロモナス・ジンジバリス(グラム陽性)を含む加熱殺菌した細菌と6時間インキュベートし、次いで同種異系ナイーブCD4T細胞と培養した。7日目に分類した活性化CD4T細胞を、抗CD3/CD28 mAbで24時間再刺激して、IL−21分泌を測定した。細菌により活性化したDCで初回刺激したCD4T細胞は、刺激されていないDCで初回刺激したものより多いIL−21を分泌した。IL−12及びIL−23の両方を阻害する、抗IL−12p40遮断mAbの添加は、DC−T細胞共培養の間、細菌により活性化したDCによるIL−21産生CD4T細胞の発達を著しく阻害した。特に、IL−12のみを阻害する、抗IL−12p70遮断mAbの添加は、CD4T細胞によるIL−21分泌を著しく阻害するのに十分であった(85±5%の阻害、平均±s.e.m.n=5)。したがって、細菌を感知したDCによるIL−21産生CD4T細胞の誘導はIL−12により媒介された。
【0054】
図5は、遮断IL−12が、B細胞を補助できるT細胞の発達を阻害することを示す。手短に述べると、細菌により活性化したDCと培養することにより活性化したCD4+T細胞を7日目に分類し、自己メモリーB細胞と共培養した。細菌により活性化したDCで初回刺激したCD4+T細胞は、Igを産生するようにB細胞を誘導した。B細胞によるIg分泌の誘導は、抗IL−12p40 mAbをDC−T細胞共培養の間に加えた場合に著しく損なわれた。しかしながら、抗IL−12p70 mAbでIL−12を遮断することは、BヘルパーCD4+T細胞の発達を阻害するのに十分であった。したがって、活性化DCにより分泌したIL−12は、ナイーブCD4+T細胞のBヘルパーT細胞への分化に不可欠である。
【0055】
IL−12はIL−21分泌を制御する。図6は、IL−12がメモリーCD4+T細胞によるIL−21分泌の分泌を制御することを示す。手短に述べると、単核細胞(PBMC)を成人健常者の血液サンプルから単離し、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)で刺激した。産生したIL−21レベルを培養の48時間に分析した。PBMCは、48時間SEBと培養した場合、多量のIL−21を産生した(A、740±250pg/ml、平均±s.e.m.n=7)。抗IL−12p70 mAbで48時間の活性化時間の間にIL−12を遮断することは、IL−21分泌の著しい低下を生じた(A及びB、110±30pg/ml、n=7、p<0.05)。抗IL−12p40 mAbでのIL−12及びIL−23の両方の遮断は、IL−12のみを遮断するのに匹敵するレベルでIL−21分泌を低下させた(120±40pg/ml、n=6)。IL−12を遮断することは、IL−2、IL−5、及びIL−17を含む他のサイトカインの分泌を変化させなかった(B)。したがって、IL−12を遮断することは、IL−21及びIFN−γの両方の分泌を特異的に阻害した。したがって、IL−12は、IL−21産生メモリーCD4+T細胞に直接的に作用し、IL−21の分泌を促進する。
【0056】
自己免疫疾患の血液中の機能的BヘルパーT細胞の増加した頻度
自己抗体関連自己免疫疾患の例:皮膚筋炎(DM,dermatomyositis)
DMは自己免疫炎症性筋疾患である。DMを有する患者は近位筋力低下及び特徴のある皮膚発疹を含む全身性炎症の特徴を示す。米国におけるJDMの発生率は、1年当たり100万人の子供当たり3.2人である。発症する平均年齢は7歳であるが、25%の患者は発症時、4歳より若い。米国において、少女対少年の比は2.3対1である。成人のDMは、40〜60歳の範囲で最も多く、米国において100,000人の中から約2人で観察される。CD4T細胞及びB細胞は主にDMの炎症部位に蓄積する(図7)。多くのDM患者は広範なレパートリーの自己抗体を示すので、B細胞は、DM発症において重要であると提案されている。実際に、リツキシマブ(抗CD20 mAb)を用いる2つの最近のパイロット試験は、B細胞の欠失がDM患者に有益であることを示した。
【0057】
図8は、若年性皮膚筋炎(JDM)患者を含む、自己免疫疾患患者が、健常者対照と比較して、偏ったCXCR5+T細胞サブセットを示すことを証明する。
【0058】
CXCR5、ケモカイン受容体を発現する血液CD4+T細胞は、抗体応答に特異的なCD4+T細胞サブセットを表す。CXCR5+CD4+T細胞は、抗CD3 mAb及びICOSで刺激した場合、多量のIL−21を分泌する。CXCR5+CD4+T細胞内で、3種の主要な亜集団を同定した:Th1(CXCR3+)、Th2(CXCR3−CCR6−)及びTh17(CCR6+)細胞。Th2及びTh17細胞は効率的なB細胞ヘルパーであるが、Th1細胞はB細胞を完全に補助できない(A)。
【0059】
全身性関節炎(SYS)及びJDM患者を表したPBMCの表現型分析は、年齢が一致した健常者対照より少ないCXCR5+Th1(CXCR3+)及び多いCXCR5+Th2(CXCR3−CCR6−)細胞を示す(Bに示す)。CXCR5+Th17(CXCR3−CCR6+)細胞の頻度は、健常者対照よりJDM及びSLE(全身性エリテマトーデス)において高かった。さらに、CXCR5+Th2及びTh17細胞集団の頻度は、他の自己免疫疾患のものよりJDMにおいて高かった。CXCR5+Th2細胞集団はSLEにおいて著しく高く、CXCR5+Th17細胞集団は乾癬性関節炎(PSOA,psoriatic arthritis)においてより高かった。注目すべきことに、最も高いCXCR5+Th17細胞を示した4人のJDM患者のうちの3人は、研究したコホートの中で最も病気が重く、最も難治性の患者であった(筋肉酵素の継続的上昇、CMASは40未満であり、持続性の皮膚発疹)。JDMにおけるCXCR5+Th1細胞の頻度は、他の2つの自己免疫疾患においてより著しく低かった。したがって、CXCR5+CD4+T細胞サブセットは、最も効率的なB細胞ヘルパーを表す、Th2及び/又はTh17細胞に対してSYS、SLE及びJDMにおいて偏った。この免疫異常調節は、病原性自己反応性B細胞の生成の原因となり得る。
【0060】
活動性JDM患者から得たメモリーCD4+T細胞による増加したIL−21分泌。図9は、活動性JDM患者から得た末梢血単核細胞が多量のIL−21を分泌することを実証する。手短に述べると、新鮮なPBMCを、乾癬性関節炎(PSOA)、JDM、SYS、及びSLE小児患者から得て、SEBで刺激した。産生したIL−21レベルを48時間に測定した。注目すべきことに、最も高いIL−21分泌を示した(円で示した)5人のJDM患者のうちの3人は、プレドニゾロンの投与を必要とされる活動性患者の中であった。したがって、活動性JDM患者の血球は、活性化時に多量のIL−21を分泌する。
【0061】
図10は、IL−12が、自己免疫疾患患者から得たPBMCによるIL−21分泌の誘導においても主要なサイトカインであることを示す。手短に述べると、JDM、SYS、及びSLE患者からのPBMCを、IL−12中和mAbの存在下又は非存在下で、SEBで刺激し、分泌したIL−21レベルを分析した。IL−21分泌は、全ての試験した自己免疫疾患由来のPBMCの培養物中のIL−12を遮断することにより著しく阻害し(JDM:n=20、p=0.0027;SYS:n=7、p=0.015;SLE:n=15、p=0.002、対応t検定)、これは、成人健常者から得たサンプルによる研究結果と一致する。したがって、IL−12は、JDM、SYS、及びSLEを含む、自己免疫疾患においてメモリーCD4+T細胞からのIL−21分泌の誘導に不可欠な役割を果たす。
【0062】
本明細書で論じられたいかなる実施形態も、本発明のいかなる方法、キット、試薬、又は組成物に関しても、実行することができ、逆も同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために用いることができる。
【0063】
本明細書に記載された特定の実施形態は、例証として示されており、本発明の限定として示されるのではないことは、理解されよう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に用いることができる。当業者は、本明細書に記載された特定の手順の多数の均等物を認識し、又は日常的な実験だけを用いて確かめることができよう。そのような均等物は、本発明の範囲内にあるとみなされ、特許請求の範囲によって網羅されている。
【0064】
本明細書で言及された全ての刊行物及び特許出願は、本発明に関する当業者の技術のレベルを示している。全ての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物又は特許出願が明確且つ個別に示されて参照により組み込まれているかのように、同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれている。
【0065】
特許請求の範囲及び/又は本明細書において用語「含むこと(comprising)」と共に用いられる場合の用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、「1の(one)」を意味することができるが、それはまた、「1又は2以上」、「少なくとも1の」、及び「1又は1より多い」という意味と一致する。特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、代替物のみを指す、又は代替物が相互排他的であることを明確に示されていない限り、「及び/又は」を意味するように用いられるが、本開示は、代替物のみを指す定義と「及び/又は」を支持する。本出願を通して、用語「約」は、値が、装置、その値を決定するために用いられることになっている方法についての誤差の固有の変動、又は研究対象間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。
【0066】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられる場合、用語「含むこと(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの含むこと(comprising)の任意の形)、「有すること(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」などの有すること(having)の任意の形)、「含むこと(including)」(及び「含む(includes)」及び「含む(include)」などの含むこと(including)の任意の形)、又は「含むこと(containing)」(及び「含む(contains)」及び「含む(contain)」などの含むこと(containing)の任意の形)は、包括的であり、又は限度を設定せず、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。
【0067】
本明細書に用いられる場合、用語「又はそれらの組合せ」は、その用語の前にある列挙された項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABC、及び特定の状況において順序が重要である場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABもの少なくとも1つを含むことを意図される。この例に関して引き続き述べると、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1又は2以上の項目又は用語の反復を含む組合せが明確に含まれる。当業者は、状況から他に明らかなことがない限り、典型的には、任意の組合せにおいて項目又は用語の数への制限はないことを理解されよう。
【0068】
本明細書に開示及び主張された組成物及び/又は方法の全ては、本開示に照らせば、過度の実験なしに作製し、実行することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、本明細書に記載された組成物及び/又は方法、及び方法のステップにおいて、又はステップの順序において、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、改変を適用することができることは、当業者にとって明らかであり得る。当業者にとって明らかな全てのそのような類似した代替形態及び修正形態は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲、及び概念内にあると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BヘルパーT細胞活性を遮断するのに十分な量でIL−12阻害剤を含む有効量の治療組成物を、自己免疫障害を有する対象に投与するステップを含む、自己免疫障害を治療するための方法。
【請求項2】
IL−12阻害剤が少なくとも1つの遮断抗IL−12抗体又はその断片を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
IL−12阻害剤が、1回当たり1〜1,000mgの用量で投与されるIL−12阻害抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
IL−12阻害剤がIL−12阻害抗体を含み、対象に前記抗体を反復用量で与える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
IL−12阻害剤が、ヒト人間以下の霊長類の抗体、マウスモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体からなる群から選択される抗IL−12抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
IL−12阻害剤がIL−12のRNAi、siRNA又は他の核酸阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
自己免疫疾患が、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形紅斑、IgA腎症、結節性多発動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎及び線維性肺胞炎からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
T細胞、B細胞、形質細胞又はマクロファージ又は炎症性サイトカインに対する二次治療薬を別個に投与するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
抗原に対する抗原特異的B細胞応答を高める方法であって、
ナイーブCD4T細胞を単離するステップと、
BヘルパーT細胞を発達及び活性化させるのに十分な有効量のIL−12を用いて、抗原負荷した樹状細胞の存在下で前記ナイーブCD4T細胞を成熟させるステップと
を含み、前記IL−12で処理したBヘルパーT細胞がナノモル量のIL−21を分泌する、方法。
【請求項11】
ナイーブCD4T細胞が負の選択によって末梢血単核細胞から単離される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ナイーブCD4T細胞が、CD8に対する抗体並びにCD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD19、CD45RO、CD56及びHLA−DRに対する1又は2以上の抗体を用いる負の選択によって末梢血単核細胞から得られる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
抗原がウイルス、細菌、真菌、癌又は毒素から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
B細胞による自己免疫性抗体の分泌によって引き起こされる自己免疫障害のための治療を必要とする疑いのある患者を同定するステップと、
CD4BヘルパーT細胞を阻害するのに十分な量の抗IL−12阻害剤で前記患者を治療するステップと
を含む、自己免疫疾患をモジュレートする方法。
【請求項15】
抗IL−12阻害剤が、抗IL−12p40モノクローナル抗体、抗IL−12p70モノクローナル抗体、抗IL−12受容体、可溶性の不活性IL−12及びそれらの組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
抗IL−12阻害剤がIL−12受容体アンタゴニストを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
CD4BヘルパーT細胞が負の選択によって選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
CD4BヘルパーT細胞が、CD8に対する抗体並びにCD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD19、CD45RO、CD56及びHLA−DRに対する1又は2以上の抗体を用いる負の選択によって末梢血単核細胞から得られる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
CD4BヘルパーT細胞が活性化樹状細胞の存在下で活性化される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、関節炎、全身性関節炎及び乾癬性関節炎から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
IL−12阻害剤が、自己免疫性抗体が発達する前に自己免疫疾患に感受性である疑いのある対象に提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
ナイーブCD4T細胞を単離するステップと、
IL−12の存在下で標的抗原を発現する活性化樹状細胞の存在下で前記ナイーブCD4T細胞を成熟させるステップと、
を含む方法によって作製されるB細胞ヘルパーT細胞であって、前記成熟したCD4BヘルパーT細胞が抗原に応答してナノモル量のIL−21を放出する、B細胞ヘルパーT細胞。
【請求項23】
IL−21分泌BヘルパーT細胞を、IL−12阻害剤を含む組成物に曝露することにより、免疫グロブリン分泌細胞へのB細胞の増殖、成熟及び活性化を調節する方法。
【請求項24】
IL−12阻害剤が、CD4BヘルパーT細胞によるIL−21及びIFN−γの両方の分泌を減少させる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ナノモル量のIL−21の放出を誘発するのに十分な量のIL−12と共にナイーブCD4T細胞をインキュベートするステップを含む、BヘルパーT細胞を濃縮する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−504555(P2012−504555A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529375(P2011−529375)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/058891
【国際公開番号】WO2010/039742
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(509004712)ベイラー リサーチ インスティテュート (38)
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR RESEARCH INSTITUTE
【Fターム(参考)】