自己免疫疾患用の試薬および治療
【課題】 自己免疫疾患の治療のための試薬および方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、固有の生理学的特性を有する抗CD22モノクローナル抗体を使用した治療方法に関する。特に、本発明は、有効量の天然のヒトCD22(hCD22)の第1の2つのIg様ドメインまたは第1の2つのIg様ドメイン内のエピトープに特異的に結合する遮断抗CD22モノクローナル抗体の投与によるB細胞性腫瘍および自己免疫疾患の治療方法に関する。
【解決手段】 本発明は、固有の生理学的特性を有する抗CD22モノクローナル抗体を使用した治療方法に関する。特に、本発明は、有効量の天然のヒトCD22(hCD22)の第1の2つのIg様ドメインまたは第1の2つのIg様ドメイン内のエピトープに特異的に結合する遮断抗CD22モノクローナル抗体の投与によるB細胞性腫瘍および自己免疫疾患の治療方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年2月21日提出の米国特許仮出願第60/359,419号および2002年10月21日提出の米国特許仮出願第60/420,472号(その両出願全体が参照することにより本明細書中に組み込まれる)の優先権を主張する。本発明は、国立衛生研究所の助成金番号CA81776の援助を利用した。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、固有の生理学的特性を有する抗CD22モノクローナル抗体の治療上の使用に関する。より詳細には、本発明は、固有のプロアポトーシス性を有する遮断抗CD22抗体を使用したリンパ腫および白血病などのB細胞性腫瘍ならびに自己免疫疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
CD22は、ほぼ全てのBリンパ球およびほとんどのB細胞リンパ腫で見出される膜糖リンタンパク質である。CDの架橋によりCD22チロシンリン酸化が誘発され、ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)経路を活性化するエフェクタータンパク質の複合体が構築される。CD22架橋により、初代B細胞で強力な同時刺激シグナルおよび新生物B細胞でプロアポトーシスシグナルが得られる。構造的に、CD22は、1つのアミノ末端VセットIgドメインおよび6つのC−2セットIgドメインを有する7つの細胞外Igドメインを有する免疫グロブリン(Ig)遺伝子スーパーファミリーの「シアロアドヘシン」サブクラスのメンバーである。Wilsonet al.,J.Exp.Med.173:137−146(1991);Engelet al.,J.Exp.Med.181:1581−1586(1995);およびTorreset al.,J.Immunol.149:2641−2649(1992)。CD22は生理学的に適切な部位へのシグナル伝達エフェクター分子の漸増によってBリンパ球抗原受容体(BCR)シグナル伝達を負および正に制御する重要なリンパ球特異性シグナル伝達分子であることが示されている。Tedderet al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997);Satoet al.,Immunology10:287−297(1998)。
【0004】
抗CD22抗体は、例えば、米国特許第5,484,892号、同第6,183,744号、同第6,187,287号、同第6,254,868号、およびTuscanoet al.,Blood94(4):1382−92(1999)に記載されている。非ホジキンリンパ腫の治療におけるモノクローナル抗体(抗CD22抗体が含まれる)の使用は、例えば、Renneret al.,Leukemina11(Suppl.2):S55−9(1997)に概説されている。ヒト化抗CD22抗体であるLymphoCide(商標)(empatuzumab,Immunomedics,Inc.)は、非ホジキンリンパ腫の不活性および急速進行性(aggressive)形態の治療についての第三相試験中である。この抗体のイットリウム−90標識バージョンは、現在、同一の適応症についての第一相試験中である。
【0005】
癌治療における現在の利点にもかかわらず、非ホジキンリンパ腫のB細胞サブタイプおよび慢性リンパ性白血病などのB細胞性腫瘍は、癌関連死の最も大きな一因となる。したがって、B細胞性腫瘍治療のためのさらに改良された治療計画が非常に必要である。自己免疫疾患は、概して、重大な病的状態および障害を引き起こす。1965年から1995年までに収集した罹患率データに基づいて、今後5年間に約1,186,015人が新たに自己免疫疾患を発症すると見積もられている。Jacobsenet al.,(Clin.Immunol.Immunopathol.84:223(1997))は、130の公開された研究を評価し、1996年では、合衆国の850万人(全人口の3.2%)がこれらの研究で試験された24種の自己免疫疾患の少なくとも1つを有すると見積もった。公衆衛生に対する自己免疫疾患の主要な影響を考慮して、これらの障害の苦しみに取り組むための有効且つ安全な治療が必要である。したがって、自己免疫疾患の治療のための試薬および方法の改良が当分野で必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,484,892号
【特許文献2】米国特許第6,183,744号
【特許文献3】米国特許第6,187,287号
【特許文献4】米国特許第6,254,868号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Wilson et al.,J.Exp.Med.173:137−146(1991)
【非特許文献2】Engel et al.,J.Exp.Med.181:1581−1586(1995)
【非特許文献3】Torres et al.,J.Immunol.149:2641−2649(1992)
【非特許文献4】Tedder et al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997)
【非特許文献5】Sato et al.,Immunology 10:287−297(1998)
【非特許文献6】Tuscano et al.,Blood 94(4):1382−92(1999)
【非特許文献7】Renner et al.,Leukemina 11(Suppl.2):S55−9(1997)
【非特許文献8】Jacobsen et al.,(Clin.Immunol.Immunopathol.84:223(1997))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一定の遮断抗CD22モノクローナル抗体の固有の特性を利用したヒト患者におけるB細胞性腫瘍および自己免疫疾患の改良された臨床治療アプローチに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、本発明は、(1)有効量の配列番号1の天然のヒトCD22(hCD22)の第1の2つのIg様ドメインへまたは第1の2つのIg様ドメインに結合したエピトープに特異的に結合する遮断抗CD22モノクローナル抗体を患者に投与するステップと、(2)治療に対する悪性疾患の応答をモニタリングするステップとを含む、B細胞性腫瘍と診断されたヒト患者の治療方法に関する。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、有効量の遮断抗CD22モノクローナル抗体を被験体に投与するステップと、任意選択的に(2)治療に対する自己免疫疾患の応答をモニタリングするステップとを含む、自己免疫疾患と診断された被験体(例えば、ヒト患者)の治療方法に関する。
【0011】
さらなる態様として、本発明は、有効量の遮断抗CD22モノクローナル抗体の被験体(例えば、ヒト被験体)への投与および任意選択的に(2)治療に対する応答のモニタリングによる、B細胞活性の減少、B細胞もしくはB細胞サブセット数の減少、B細胞もしくは特定のB細胞サブセットのさらに本質的な排除、B細胞の代謝回転の増大、および/またはB細胞による抗体産生の減少方法を提供する。「減少」は、少なくとも約25%、35%、50%、もしくは75%またはそれ以上の減少を意味する。「本質的な排除」は、少なくとも約90%、95%、98%、またはそれ以上の減少を意味する。「代謝回転の増大」は、少なくとも約25%、35%、50%、75%、100%、150%またはそれ以上の代謝回転率の上昇を意味する。
【0012】
特定の実施形態では、使用した抗体は、HB22−7(HB11347)、HB22−23(HB11349)、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196、好ましくはHB22−7、HB22−23、またはHB22−33、より好ましくはHB22−7またはHB22−33からなる群から選択される抗体と同一のエピトープと本質的に結合する。
【0013】
さらなる実施形態では、抗体は、そのリガンドとのCD22結合を少なくとも70%まで、好ましくは少なくとも80%まで遮断する。
【0014】
別の実施形態では、抗体は、配列番号9(HB22−5 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号13(HB22−13 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸、または配列番号19(HB22−196 VH配列)の1〜100のアミノ酸の配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む重鎖を含む。
【0015】
さらに別の実施形態では、抗体は、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、または配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸の配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む重鎖を含む。
【0016】
なおさらなる実施形態では、抗体は、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、および配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸の配列からなる群から選択されるVH配列を含む。
【0017】
異なる実施形態では、抗体は、配列番号21(HB22−5 Vκ配列)、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)、配列番号25(HB22−13Vκ配列)、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)、配列番号29(HB22−33 Vκ配列)、または配列番号31(HB22−196Vκ配列)のアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVκ配列を含む軽鎖を含む。
【0018】
特定の実施形態では、抗体は、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)、または配列番号29(HB22−33Vκ配列)のアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVκ配列を含む軽鎖を含む。
【0019】
さらなる実施形態では、抗体は、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)、および配列番号29(HB22−33Vκ配列)のアミノ酸配列からなる群から選択されるVκ配列を含む。
【0020】
好ましい実施形態では、抗体は、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)のアミノ酸配列、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)のアミノ酸配列、配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸、および配列番号29(HB22−33 Vκ配列)のアミノ酸配列からなる群から選択されるVH配列およびVκ配列を含む。
【0021】
異なる態様では、本発明は、上記で考察した任意の抗体の重鎖または軽鎖可変領域またはその任意の一部をコードする核酸に関する。
【0022】
さらなる態様のように、本発明は、上記で考察した重鎖または軽鎖可変領域またはその一部を含むポリペプチドを提供する。
【0023】
ターゲティングされる病態は、任意の型の自己免疫疾患またはB細胞性腫瘍(局在化B細胞性腫瘍が含まれるが、これに限定されない)またはB細胞または抗体が関与する任意の他の病態であり得る。B細胞性腫瘍の典型的な例は、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、および前リンパ性白血病のB細胞サブタイプである。
【0024】
本発明の治療方法を、悪性B細胞または自己免疫疾患の任意のさらなる治療を行うことなく実施することができる。B細胞性腫瘍に関して、本発明の治療方法は、典型的には、治療なし、この抗体と放射線療法との組み合わせ、または放射線療法のみと比較した場合、治癒率の改善および/または生存率の増大および/または優れた腫瘍体積の減少を提供する。
【0025】
抗体は、完全な抗体または抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント、ダイアボディ(diabody)、線状抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多特異性抗体が含まれる)であり得る。したがって、抗体は、さらなる抗原特異性を有し得る(例えば、二重特異性抗体であり得る)。二重特異性抗体は、例えば、CD22の別のエピトープにさらに結合することができる。さらに、二重特異性抗体は、他の抗原(CD19、CD20、CD52、CD3、CD28、またはHLA−DR10(Lym−1)など)またはFc受容体(例えば、CD16、CD64、およびCD89)に対する結合特異性を有し得る。
【0026】
抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、またはヒト抗体であり得る。
【0027】
反復静脈内注射による静脈内(i.v.)投与などの任意の従来の経路によって抗体を投与することができる。
【0028】
治療に対する応答を、当業者に周知の方法(例えば、当業者に公知の磁気共鳴映像法(MRI)または自己免疫疾患の臨床指標の改善もしくは安定性の測定による固形腫瘍の縮小のモニタリングが含まれる)によってモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】Ig様ドメイン(ドメイン1〜7)の境界を示したヒトCD22(hCD22)のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】111In−2IT−BAD−抗CD22(HB−22−7)を注射したRajiおよびRamos腫瘍保有ヌードマウスの全身オートラジオグラフィを示す図である。マウスを屠殺し、注射から48時間後にオートラジオグラフィを行った。上の画像はRaji腫瘍保有マウスであり、下の画像はRamos腫瘍保有マウスである。
【図3】081500試験における125uCi90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1(RIT)のみ、抗CD22(HB22−7)のみ、またはRITおよびHB−22−7(CMRIT)の3つの異なる配列で処理したか未処理のRaji異種移植マウスの腫瘍体積の一時的評価を示す図である。1週間に3回腫瘍体積を評価した。各処置群のマウス数を表に示す(表2)。
【図4】全ての独立した異種移植片試験で認められた腫瘍体積分析のまとめを示す図である。図2に記載のように試験を行った。各試験のマウス数を表に示す(表2)。
【図5】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスの応答率および治癒率を示す図である。腫瘍応答を以下のように分類した:C、治癒(腫瘍が消滅し、84日間の研究終了時点で再生しない);CR、完全な後退(少なくとも7日間腫瘍が消滅するが、その後再生する);PR、部分的後退(少なくとも7日間腫瘍体積が50%またはそれ以上減少し、その後再生する)。データは、全ての独立した試験の結果を示す。
【図6】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスの全生存を評価した。腫瘍が2000mgを超えた時点または84日間の試験終了時点でマウスを安楽死させた。データは、全ての独立した試験の結果を示す。
【図7】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスにおける1週間に2回の白血球(WBC)数(図7b)、赤血球(RBC)数(図7c)、および血小板数(図7a)の測定によって血液毒性を評価した。RITのみと比較した場合、CMRIT群における血液毒性に相違はなかった。さらに、HB22−7のみで処置したマウスでは血液毒性は認められなかった。
【図8】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスにおいて1週間に2回に体重の測定によって非血液毒性を評価した。5つ全ての異種移植試験の任意の処置群において体重の有意差は認められなかった。
【図9】RITでの処置開始後から5日間毎日全身(WB)および血液の放射能の測定によってRITクリアランスを評価した。90YのT1/2に基づいた衰退の調整後に結果を報告した。任意のCMRIT処置群においてRITクリアランスの有意差は認められなかった。
【図10】リガンド結合を遮断する抗CD22抗体(Ab)のVHアミノ酸配列分析を示す図である。各Abのアミノ酸ナンバリングおよびコード配列起源の表示は、Kabatet al.の慣例(Sequencesof Proteinsof ImmunologicalInterest、U.S.Government Printing Office、Bethesda、MD、1991)に従い、アミノ酸1〜94位、CDR1および2、FR1、2、および3はVH遺伝子にコードされる。5’PCRプライマーと重複する配列は示さない。点は、類似のアミノ酸配列のアラインメントを最大にするために配列中に挿入したギャップを示す。明確にするために配列中のVHセグメントと、Dセグメントと、Jセグメントとの間にギャップを導入した。示した配列の順序は、HB22−5配列との関係に基づいた。
【図11】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図12】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図13】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図14】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図15】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図16】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図17】リガンド結合を遮断する抗CD22Abの軽鎖Vκアミノ酸配列分析を示す図である。各Abのアミノ酸ナンバリングおよびコード配列起源の表示は、Kabatet al.(前出)の慣例に従う。推定シグナル配列切断部位の後ろのアミノ酸を1とする。点は、類似のアミノ酸配列のアラインメントを最大にするために配列中に挿入したギャップを示す。明確にするために配列中のVκセグメントと、Jセグメントと、κ定常領域(二重下線)配列との間にギャップを導入した。
【図18】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図19】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図20】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図21】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図22】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図23】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
他で定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書中に記載の本発明の説明で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図しない。
【0031】
本明細書中に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、および他の引例は、参照することによりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0032】
A.定義
他で定義しない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は、本発明に属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。
【0033】
当業者は、本発明の実施において使用することができる本明細書中に記載のものと類似または等価の多数の方法および材料を認識する。実際、本発明は、記載の方法および材料に決して限定されない。本発明の目的のために、以下の用語を以下のように定義する。
【0034】
用語「免疫グロブリン」(Ig)を、血清のグロブリンタンパク質の免疫付与部分および天然に存在得しないが同一の機能的特徴を有し得る他の糖タンパク質をいうために使用する。用語「免疫グロブリン」または「Ig」には、特に、「抗体」(Ab)が含まれる。抗体は特定の抗原に対して結合特異性を示し、免疫グロブリンには、抗体および抗原特異性を欠く他の抗体様分子が含まれる。天然の免疫グロブリンは、血漿細胞と呼ばれる分化B細胞によって分泌され、いかなる抗原特異性も有さない免疫グロブリンはリンパ系にて低レベルで産生され、骨髄腫によってそのレベルが増大する。本明細書中で使用される、用語「免疫グロブリン」、「Ig」、およびその文法上の変形形態を、抗体(上記定義)および抗原特異性を有さないIg分子を含めるために使用する。
【0035】
天然の免疫グロブリンは、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖と連結し、ジスルフィド結合数は異なる免疫グロブリンイソ型の重鎖によって変化する。各重鎖および軽鎖はまた、規則正しい間隔の鎖内ジスルフィド結合を有する。各重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VH)を有し、その後に多数の定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VL)を有し、他方の末端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと共に整列し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと共に整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖の可変ドメインの間に境界を形成すると考えられる。
【0036】
血清中で見出される主なIgイソ型(クラス)および括弧内に示す対応Ig重鎖を以下に列挙する。
【0037】
IgG(γ鎖):血清中の主なIgであり、抗原に応答して惹起される主な抗体であり、この抗体は胎盤を通過する。
【0038】
IgE(ε鎖):このIgは肥満細胞および好塩基球と強固に結合し、さらに抗原と結合した場合、ヒスタミンおよび直接的過敏性の他のメディエーターを放出させ、主にアレルギー反応(花粉症、喘息、および過敏症が含まれる)で中心的な役割を果たし、寄生虫に対して防御的役割を果たし得る。
【0039】
IgA(α鎖):このIgは、唾液、涙、粘液、および初乳などの外分泌物中に存在する。
【0040】
IgM(μ鎖):抗原に応答して最初に誘導されるIgであり、典型的にはその後に産生される他の抗体イソ型より親和性が低く、典型的には5量体である。
【0041】
IgD(δ鎖):このIgは臍帯血中に比較的高濃度で見出され、抗原の初期細胞受容体であり、主なリンパ球細胞表面分子である。
【0042】
用語「抗体」を、本明細書中で最も広い意味で使用し、特にモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメント(所望の生物活性を示す限り)を対象とする。
【0043】
「抗体フラグメント」は、全長抗体の一部(一般に、抗原結合ドメインまたは可変(V)ドメイン)を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント、ダイアボディ(diabody)、線状抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多特異性抗体が含まれる。
【0044】
本明細書中で使用される、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一の抗体集団から得られた抗体をいう(すなわち、少量で存在し得る可能な天然に存在する変異体以外の集団を含む各抗体が同一である)。モノクローナル抗体は、特異性が高く、1つの抗原部位に指向する。さらに、従来の(ポリクローナル)抗体調製物(典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体が含まれる)と対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の1つの決定基に指向する。
【0045】
本明細書中のモノクローナル抗体には、特に、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)およびこのような抗体のフラグメント(所望の生物活性を示す限り)が含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrisonet al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:6851−6855(1984);Oi et al.,Biotechnologies 4(4):214−221(1986);Liu etal.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−43(1987))。
【0046】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」または「CDR移植」形態は、レシピエントの超可変領域の残基が所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域の残基に置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基もまた対応する非ヒト残基に置換する(いわゆる、「復帰変異(backmutation)」)。さらに、ヒト化抗体を、抗体の性質(親和性など)をさらに改良するためのレシピエント抗体またはドナー抗体で見出されない残基を含むように修飾することができる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てまたは実質的に全ての超可変領域が非ヒト免疫グロブリンの超可変領域に対応し、且つ全てまたは実質的に全てのFRがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体は、任意選択的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも定常領域の一部も含む。さらなる詳細については、Joneset al.,Nature321:522−525(1986);およびReichmann et al.,Nature 332:323−329(1988)を参照のこと。
【0047】
「一本鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、これらのドメインは1つのポリペプチド鎖中に存在する。一般に、FVポリペプチドは、抗原結合のためにsFvを所望の構造に形成することができるVHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthunin ThePharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,RosenburgおよびMoore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照のこと。
【0048】
用語「ダイアボディ(diabody)」は、同一のポリペプチド鎖(VH−VL)中に軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む2つの抗原結合部位を有する小抗体フラグメントをいう。同一鎖上で2つのドメイン間の対合には短すぎるリンカーの使用によって、ドメインは別の鎖の相補性ドメインとの対合を強いられ、2つの抗原結合部位が作製される。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;WO93/11161;およびHollingeret al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448(1993)にさらに完全に記載されている。
【0049】
表現「線状抗体」は、本出願全体で使用される場合、Zapata et al.Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)中に記載の抗体をいう。簡単に述べれば、これらの抗体は、抗原結合領域対を形成する縦列Fdセグメント対(VH−CH1−VH−CH1)を含む。線状抗体は、二重特異性または単一特異性であり得る。
【0050】
IgG、IgE、IgA、IgM、およびIgDイソ型の抗体は、これらがその重鎖の定常領域が異なる場合でさえも、同一の可変領域(すなわち、同一の抗原結合溝)を有し得る。免疫グロブリン(例えば、抗体)の定常領域は、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、種々のエフェクター機能(抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与など)を示す。
【0051】
いくつかの主な抗体イソ型(クラス)は、さらなるサブクラスに分類される。IgGは、4つの公知のサブクラス:IgG1(γ1)、IgG2(γ2)、IgG3(γ3)、およびIgG4(γ4)を有し、IgAは、2つの公知のサブクラス:IgA1(α1)およびIgA2(α2)を有する。
【0052】
用語「エピトープ」を、タンパク質抗原に対する(モノクローナルまたはポリクローナル)抗体の結合部位をいうために使用する。
【0053】
天然配列のヒトCD22のアミノ酸配列内のドメイン1および/または2または特に本明細書中に開示の任意のモノクローナル抗体によって結合した本質的に同一のエピトープ(HB22−7、HB22−23、およびHB22−33など)に結合する抗体を、「エピトープマッピング」によって同定することができる。タンパク質上のエピトープの位置のマッピングおよび特徴づけについては当分野で公知の方法が多数存在する(例えば、Chapter11 ofHarlow andLane,Using Antibodies,a LaboratoryManual,Cold SpringHarbor LaboratoryPress,Cold SpringHarbor,New York,1999に記載の抗体−抗原複合体の結晶構造の解明、競合アッセイ、遺伝子フラグメント発現アッセイ、および合成ペプチドベースのアッセイが含まれる)。遺伝子フラグメント発現アッセイによれば、タンパク質をコードする読み取り枠を無作為または特定の遺伝子構造によって断片化し、試験されるべき抗体内のタンパク質の発現フラグメントの反応性を決定する。遺伝子フラグメントを、例えば、PCRによって産生し、転写し、放射性アミノ酸の存在下でinvitroでタンパク質に翻訳することができる。次いで、放射性標識タンパク質フラグメントへの抗体の結合を、免疫沈降およびゲル電気泳動によって決定する。ファージ粒子の表面上にディスプレイされたランダムペプチド配列の巨大ライブラリー(ファージライブラリー)の使用によって、一定のエピトープを同定することもできる。あるいは、所定の重複ペプチドフラグメントライブラリーを、簡単な結合アッセイにおいて試験抗体への結合について試験することができる。後者のアプローチは、約5〜15アミノ酸の線状エピトープの定義に適切である。
【0054】
抗体は、2つの抗体が同一または立体的に重複するエピトープを認識する場合、基準抗体と「本質的に同一のエピトープ」に結合する。2つのエピトープが同一または立体的に重複するエピトープに結合するかどうかを決定する最も広範に使用され且つ迅速な方法は、標識抗原または標識抗体のいずれかを使用して全ての異なる形式数で構成することができる競合アッセイ(例えば、競合ELISAアッセイ)である。通常、抗原を96ウェルプレートに固定し、非標識抗体が標識抗体の結合を遮断する能力を放射性標識または酵素標識を使用して測定する。
【0055】
本明細書中で使用される、用語「アミノ酸またはアミノ酸残基」は、変異型に関して以下にさらに記載の天然に存在するL型アミノ酸またはD型アミノ酸をいう。一般的に使用されているアミノ酸の一文字表記および酸文字表記を本明細書中で使用する(BruceAlberts etal.,Molecular Biology of the Cell,Garland Publishing,Inc.,New York(3ded.1994))。
【0056】
本明細書中で使用される、用語「ポリペプチド」は、ペプチドおよびタンパク質(融合タンパク質が含まれる)を含む。
【0057】
「配列同一性」は、配列を整列させ、必要に応じて配列同一率を最大にするためにギャップを導入し、配列同一性の一部としていかなる保存的置換を考慮せずに天然のポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一な候補配列中のアミノ酸残基の比率として定義する。配列同一率を、Altschulet al.,(1997),‘‘GappedBLAST andPSI−BLAST:a newgeneration ofprotein databasesearch programs’’,NucleicAcids Res.,25:3389−3402によって定義されたNCBIBLAST2.0ソフトウェアによって得ることができる。ミスマッチのペナルティを−1に設定する以外はパラメーターをデフォルト値に設定する。
【0058】
本明細書中で使用される、「治療」または「治療すること」は、有利か所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有利か所望の臨床結果には、症状の緩和、疾患範囲の縮小、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延もしくは減速、疾患状態の改善もしくは緩和、および検出可能または検出不可能な沈静(部分的または全体)が含まれるが、これらに限定されない。「治療」または「治療すること」はまた、治療を受けていない場合の推定生存度と比較した生存の延長を意味し得る。「治療」または「治療すること」は、障害の発症を予防するか病態を変化させるために行う介入であえる。したがって、「治療」または「治療すること」は、治療上の処置および予防または防止手段をいう。治療が必要な者には、既に障害を有する者および障害を防止すべき者が含まれる。自己免疫疾患に関して、治療により、被験体の自己免疫疾患の少なくとも1つの臨床症状がいくらか改善、改善、安定化、および/または遅延する。B細胞性腫瘍では、治療により、悪性細胞数が減少し、腫瘍サイズが減少し、悪性細胞の拡大(周辺器官(例えば、柔組織または骨)への浸潤が含まれる)が阻害され(減速または停止)、転移が阻害され(減速または停止)、腫瘍成長が阻害され、B細胞性腫瘍に関連する症状から救済され、死亡率が減少し、生活の質を改良することなどができる。本明細書中の抗体を使用した治療により、細胞成長抑制効果および/または細胞傷害効果を得ることができる。
【0059】
用語「B細胞性腫瘍」およびその文法上の変形形態を、典型的には、リンパ系組織(骨髄またはリンパ節など)で惹起するが、非リンパ系組織(甲状腺、胃腸管、唾液腺、および結膜など)でも惹起し得るB細胞の悪性疾患または新生物をいうために最も広い意味で使用する。本発明の治療方法は、特に、CD22陽性B細胞悪性腫瘍(非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、および前リンパ性白血病のB細胞サブタイプが含まれるが、これらに限定されない)に関する。
【0060】
用語「自己免疫疾患」は、正常な生体組織と反応する抗体集団に起因するかこれらによって悪化する病態をいう。これは、免疫系が身体自体の器官および組織を誤って攻撃する病態である。
【0061】
B.詳細な説明
1.抗体
HB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196と呼ばれる遮断抗CD22モノクローナル抗体が公知であり、米国特許第5,484,892号、Tuscanoet al.,Eur.J.Immunol.26:1246(1996),およびTuscanoet al.,Blood94(4),1382−1392(1999)で開示されている。HB22−7およびHB22−23は、AmericanType CultureCollection(ATCC),12302 Parklawn Drive,Rockville,Md.20852からそれぞれアクセッション番号HB22347およびHB11349で利用可能である。これらの抗体の調製物は、以下の実施例1にも記載されている。CD22のエピトープマッピングは、遮断モノクローナル抗体がヒトCD22の第1の2つのIg様ドメインまたは第1の2つのIg様ドメインに結合するエピトープに結合することが示されている(米国特許第5,484,892号およびTedderet al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997))。抗体の重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列もまた、本出願で開示されている。
【0062】
本発明は、B細胞型非ホジキンリンパ腫(NHL)の異種移植片モデルで得られた結果に基づいたB細胞性腫瘍の治療におけるHB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196の全特徴を有する遮断抗CD22抗体の予想外の優れた特性に一部基づく。本発明は、さらに、自己免疫疾患の治療におけるHB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196の全特徴を有する遮断抗CD22抗体の使用に基づく。
【0063】
抗CD22モノクローナル抗体を、当分野で公知の任意の標準的方法(例えば、ハイブリドーマ法(Koehlerand Milstein,Nature256:495−497(1975);およびGoding,MonoclonalAntibodies:Principles and Practice,pp.59−103(AcademicPress,1986))など)または組換え技術(例えば、米国特許第4,816,567号およびWoodet al.,Nature314:446−9(1985)に開示)によって作製することができる。
【0064】
現在、免疫化時に内因性免疫グロブリンを産生しないでヒト抗体レパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を産生することも可能である。例えば、キメラマウスおよび生殖系列変異マウス中の抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失により内因性抗体産生が完全に阻害されることが記載されている。このような生殖系列変異マウス中へのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの導入により、抗原攻撃誘発時にヒト抗体が産生される。例えば、Jakobovitset al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90,2551−255(1993);Jakobovits et al.,Nature 362,255−258(1993)を参照のこと。
【0065】
Mendez etal.(Nature Genetics15:146−156(1997))は、テクノロジーをさらに改良し、抗原で攻撃誘発した場合に高親和性の完全なヒト抗体を産生する「キセノマウスII」と命名されたトランスジェニックマウス系列を作製した。上記のように内因性JHセグメントが欠失したマウスへの巨大塩基(megabase)高親和性重鎖および軽鎖遺伝子座の生殖系列組み込みによってこれを行った。キセノマウスIIは、約66個のVH遺伝子、完全なDH領域およびJH領域ならびに3つの異なる定常領域(μ、δ、およびχ)を含む1,020kbのヒト重鎖遺伝子座を保有し、32個のVκ遺伝子、Jκセグメント、およびCκ遺伝子を含む800kbのヒトκ遺伝子座も保有する。これらのマウスで産生された抗体は、あらゆる点で(遺伝子再配列、アセンブリ、およびレパートリーが含まれる)ヒトで認められる抗体と酷似している。ヒト抗体は、マウス遺伝子座中の遺伝子の再整列を防止する内因性JHセグメント中の欠失による内因性生抗体よりも優先して発現される。
【0066】
あるいは、ファージディスプレイテクノロジー(McCafferty et al.,Nature 348,552−553(1990))を使用して、非免疫化ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからinvitroでヒト抗体および抗体フラグメントを産生することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子をインフレームで繊維状バクテリオファージの主要または副外殻タンパク質遺伝子(M13またはfdなど)のいずれかにクローン化し、ファージ粒子の表面上に機能的抗体フラグメントとしてディスプレイする。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的特性に基づいた選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子もまた選択される。したがって、ファージはB細胞のいくつかの特性を模倣する。種々の形式でファージディスプレイを行うことができる;概説については、例えば、Johnson,KevinS.and Chiswell,DavidJ.,Current Opinionin StructuralBiology 3,564−571(1993)を参照のこと。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイのために使用することができる。Clacksonet al.,Nature352,624−628(1991)は、免疫化マウスの脾臓由来のV遺伝子のタンデム組み合わせ小ライブラリーから種々の抗オキサゾロン抗体アレイを単離した。非免疫化ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築し、種々の抗原アレイ(自己抗原を含む)に対する抗体を、本質的に、Markset al.,J.Mol.Biol.222,581−597(1991)またはGriffithet al.,EMBOJ.12,725−734(1993)に記載の技術にしたがって単離することができる。天然の免疫応答では、抗体遺伝子が高い比率で蓄積される(体細胞超変異)。導入されたいくつかの変化により高親和性が扶養され、高親和性表面免疫グロブリンをディスプレイするB細胞が優先的に複製され、その後の抗原攻撃誘発時に分化する。この天然のプロセスを、「鎖シャフリング」(Markset al.,Bio/Technol.10,779−783[0077])として公知の技術の使用によって模倣することができる。この方法では、ファージディスプレイによって得られた「一次」ヒト抗体の親和性を、重鎖および軽鎖のV領域遺伝子の非免疫化ドナーから得られたVドメイン遺伝子の天然に存在する変異型のレパートリー(レパートリー)への連続的置換によって改良することができる。この技術により、nM範囲で親和性を有する抗体および抗体フラグメントを産生可能である。非常に巨大なファージ抗体レパートリーの作製ストラテジーは、Waterhouseet al.,Nucl.AcidsRes.21,2265−2266(1993)に記載されている。
【0067】
モノクローナル抗体の産生に関するさらなる情報については、Goding,JW.,Monoclonal Antibodies:Principles andPractice,3rd Edition,Academic Press,Inc.,London,SanDiego,1996;Liddell and Weeks:Antibody Technology:A Comprehensive Overview,Bios ScientificPublishers:Oxford,UK,1995;Breitlingand Dubel:RecombinantAntibodies,John Wiley & Sons, New York,1999;and PhageDisplay:A LaboratoryManual,Barbas et al.,editors,Cold Springs Harbor Laboratory,Cold SpringHarbor,2001も参照のこと。
【0068】
抗体フラグメント産生のための種々の技術が開発されている。伝統的には、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク分解消化に由来していた(例えば、Morimotoet al.,J.Biochem.Biophys.Methods24:107−117(1992)およびBrennan et al.,Science 229:81(1985)を参照のこと)。しかし、現在、これらのフラグメントを、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。例えば、Fab’−SHフラグメントを、E.coliから直接回収し、化学的に結合させてF(ab’)2フラグメントを形成することができる(Carteret al.,Bio/Technology10:163−167(1992))。別の実施形態によれば、F(ab’)2分子の構造を促進するためにロイシンジッパーGCN4を使用してF(ab’)2を形成する。別のアプローチでは、Fv、Fab、またはF(ab’)2フラグメントを、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。他の抗体フラグメント産生技術は、当業者に明らかである。
【0069】
2つの共有結合された抗体から構成されるヘテロコンジュゲート体抗体も本発明の範囲内である。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞にターゲティングするため(米国特許第4,676,980号)およびHIV感染の治療のため(PCT出願公開WO91/00360号およびWO92/200373号)に提案されている。ヘテロコンジュゲート体抗体を、周知の市販の架橋剤を使用した任意の従来の架橋方法を使用して作製することができる。
【0070】
げっ歯類、ヒト、またはヒト化されている本発明の抗体はまた、二重特異性抗体を形成するためのさらなる抗原特異性を有し得る。例えば、CD19、CD20、CD52、およびB細胞上で発現する他のCD抗原などのさらなるB細胞抗原、特にターゲティングされたB細胞性腫瘍に結合する抗原に対する第2の結合特異性を指示することができる。例えば、CD20は90%を超える非ホジキンリンパ腫で発現することが公知である。抗CD20抗体(Rituxan(登録商標)、IDECPharmaceuticals)は、非ホジキンリンパ腫の治療で臨床的に使用されている。CAMPATH−1H(抗CD52w)は、B細胞性腫瘍治療のために開発された別の抗体である。CD20またはCD52抗原に対する結合特異性を含む二重特異性抗体は、特に本発明の範囲内に含まれる。本発明の二重特異性抗体が結合することができる別のB細胞抗原は、HLA−DR10(Lym−1)(非ホジキンリンパ腫の公知のマーカー)である。腫瘍局在化の増強ならびに腫瘍特異性免疫応答の漸増および/または増大のために二重特異性抗体を作製することができる。他の抗原標的の例には、CD3、CD28、およびFc受容体(CD16、CD64、およびCD89)が含まれる。二重特異性抗体は、細胞傷害性を増強し、その結果沈静率および生存率が改善されると予想される。
【0071】
HB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、および/またはHB22−196と本質的に同一のエピトープに結合する抗体を、エピトープ対合によって同定することができる。2つの異なる抗体が同一のエピトープを認識するかどうかの最も簡単な決定方法は、競合結合アッセイである。この方法は、抗体が抗原への互いの他の結合を遮断できるかどうかを決定し、高次構造および線状のエピトープの両方について調査する。競合結合アッセイを、標識抗原または標識抗体のいずれかを使用して非常に多数の異なる形式で構成することができる。このアッセイの最も一般的なバージョンでは、抗原を96ウェルプレートに固定する。次いで、抗原への標識抗体の結合を遮断する非標識抗体の能力を、放射性標識または酵素標識を使用して測定する。さらなる詳細については、例えば、Wageneret al.,J.Immunol.,130:2308−2315(1983);Wageneret al.,J.Immunol.Methods,68:269−274(1984);Kurokiet al.,CancerRes.50:4872−4879(1990);Kuroki et al.,Immunol.Invest.21:523−538(1992);Kurokiet al.,Hybridoma11:391−407(1992)およびUsing Antibodies:A Laboratory Mannual,Ed Harlow and David Lane editors,Cold Springs Harbor Latoratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1999,pp.386−389を参照のこと。
【0072】
あるいは、またはさらに、抗体が結合する抗原の断片化に基づいた技術の使用または無作為もしくは特異的遺伝子構築の使用および抗体を使用して得られたフラグメントの反応性の決定によってエピトープマッピングを行うことができる。例えば、PCR技術およびその後の転写および放射性アミノ酸の存在下でのinvitroでのタンパク質の翻訳によって核酸レベルで断片化することもできる。さらなる詳細については、例えば、Harlowand Lane,supra,pp.390−392を参照のこと。
【0073】
さらなるエピトープマッピング方法によれば、1組の重複ペプチドを合成し(それぞれタンパク質抗原の小線状セグメントに対応)、固相上に整列させる。次いで、ペプチドパネルを、試験抗体で探索し、結合した抗体を酵素標識二次抗体を使用して検出する(Harlowand Lane,supra,pp.393−396)。
【0074】
当分野で周知のさらなるエピトープマッピング方法は、ランダム合成またはファージディスプレイペプチドライブラリーからの抗体選択である。f1型ssDNAファージの副外殻タンパク質遺伝子のアミノ末端へのペプチドコードオリゴヌクレオチドの複合体混合物のクローニングによって、ファージディスプレイライブラリーを構築する。このようなファージディスプレイライブラリーは、例えば、NewEngland Biolabsから市販されている。ストックとしてライブラリーを増幅し、次いで、それぞれ独立したクローンの多コピーを得るのに十分なアリコートを、目的の抗体と混合する。抗体結合ファージを「バイオパニング」と呼ばれる手順によって回収し、非結合ファージを除去する。結合したファージを溶離し、これを使用して細菌に感染させ、選択されたストックを増幅する。最終的に選択されたストックの各プラークを成長させ、例えば、ELISAによって特異的抗体反応性についてチェックし、インサート部位周囲のDNAを配列決定する。抗体が結合するペプチドをコードする配列の分析により、抗体の特異性が定義される。さらなる詳細については、例えば、Smithand Scott,MethodsEnzymol.217:228−257(1993)およびHarlow and Lane,supra,pp.397−398を参照のこと。
【0075】
非ヒト(げっ歯類)抗体を、ヒト臨床適用により適切になるようにさらに修飾することができる。ヒト定常ドメイン遺伝子セグメントにスプライシングされる所望の特異性のマウス可変領域遺伝子を有するキメラ抗体を産生する(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。
【0076】
ヒト治療において抗体を使用した場合の抗原性の問題を回避するために非ヒト(げっ歯類)抗体をヒト化することもできる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト供給源由来の抗体に移入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「インポート」残基といわれ、典型的には、「インポート」可変ドメインから得られる。ヒト抗体の対応する配列のげっ歯類CDRまたはCDR配列への置換による、Winterand co−workerの方法(Joneset al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmannet al.,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenet al.,Science,239:1534−1536(1988))に従って本質的にヒト化することができる。抗体のヒト化が比較的単純な性質であるにもかかわらず、ヒトフレームワーク(FR)へのげっ歯類CDRの簡単な移植では常に元のげっ歯類モノクローナル抗体の結合親和性および特異性が再構成されるわけではない。ヒト化抗体の特性を、適切なデザイン(例えば、ヒトフレームワークへのげっ歯類抗体由来の残基の置換(復帰突然変異)が含まれる)によって改良することができる。配列および構造分析または可変領域の三次元構造モデルの分析によってこのような復帰突然変異の位置を決定することができる。さらに、ファージディスプレイライブラリーを使用して、抗体配列内の選択された位置のアミノ酸を変化させることができる。ヒト化抗体の特性は、ヒトフレームワークの選択にも影響を受ける。初期の実験では、げっ歯類モノクローナル抗体に対する配列同一性と無関係に使用される十分に特徴付けられたヒトモノクローナル抗体のサブセットは限られていた(いわゆる固定化フレームワークアプローチ)。より最近では、いくつかのグループがげっ歯類可変領域に対するアミノ酸配列同一性が高い可変領域を使用している(相同性マッチングまたはベストフィット法)。別のアプローチによれば、コンセンサス配列または生殖系列配列を使用するか、軽鎖または重鎖の各可変領域内のフレームワーク配列のフラグメントを、いくつかの異なるヒトモノクローナル抗体から選択する。
【0077】
上記で考察した任意の技術または他の利用可能な技術によって調製された抗体のアミノ酸変異型を、抗CD22DNAへの適切なヌクレオチド変化の導入または例えばペプチド合成によって調製することができる。このアミノ酸の変化もまた、ヒト化抗体または変異抗CD22抗体の翻訳後プロセシングを変化させることができる(グリコシル化部位の数または位置の変化など)。
【0078】
抗体を、その定常領域中の保存された位置でグリコシル化する(Jefferisand Lund,Chem.Immunol.65:111−128(1997);Wrightand Morrison,TibTECH15:26−32 (1997))。免疫グロブリンのオリゴ糖部位の鎖は、タンパク質機能(Boydet al.,Mol.Immunol.32:1311−1318(1996);Wittwe and Howard,Biochem.29:4175−4180(1990))および高次構造に影響を与えることができる糖タンパク質の一部と提示された糖タンパク質の三次元表面との間の分子内相互作用(Jefferisand Lund,supra;Wyssand Wagner,CurrentOpin.Biotech.7:409−416 (1996))に影響を与え得る。オリゴ糖はまた、特異的認識構造に基づいた一定の分子への所与の糖タンパク質のターゲティングに役立ち得る。例えば、アガラクトシル化IgGでは、オリゴ糖部分がCH2内部空間から「反転し(flip)」、末端N−アセチルグルコサミン残基がマンノース結合タンパク質の結合に利用可能になることが報告されている(Malhotraet al.,NatureMed.1:237−243 (1995))。糖ペプチドによるCAMPATH−1H(ヒトリンパ球のCDw52抗原を認識する組換えヒト化マウスモノクローナルIgG1抗体)からのオリゴ糖の除去により、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で補体媒介溶解(CMCL)が完全に減少し(Boydet al.,Mol.Immunol.32:1311−1318(1996))、ノイラミニダーゼを使用したシアリン酸残基の選択的除去によりCMCLが同様に減少した。抗体のグリコシル化により、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に影響があることも報告されている。特に、β(1,4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))(二等分されたGlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼ)のテトラサイクリン調製発現を有するCHO細胞は、ADCC活性が改良されることが報告された(Umanaet al.,MatureBiotech.17:176−180(1999))。
【0079】
基礎をなすヌクレオチド配列中のグリコシル化部位の修飾によって、抗体のグリコシル化変異型を調製することができる。さらに、基礎をなすヌクレオチド配列を変化させることなく抗体のグリコシル化を変化させることもできる。グリコシル化は、抗体の発現に使用した宿主細胞に非常に依存する。潜在的治療法として組換え糖タンパク質(例えば、抗体)の発現のために使用した細胞型がほとんど天然の細胞ではないので、抗体のグリコシル化パターンの有意な変形形態を期待することができる(例えば、Hseet al.,J.Biol.Chem.272:9062−9070(1997)を参照のこと)。宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生時のグリコシル化に影響を与える要因には、成長様式、培地処方、培養物の密度、酸化、pH、および精製スキームなどが含まれる。オリゴ糖産生に関与する一定の酵素の移入または過剰発現を含む特定の宿主生物において達成されるグリコシル化パターンを変化させる種々の方法が提案されている(米国特許第5,047,335号;同第5,510,261号および同第5,278,299号)。例えば、エンドグリコシダーゼH(EndoH)を使用して、糖タンパク質からグリコシル化または一定型のグリコシル化を酵素的に除去することができる。さらに、組換え宿主細胞を遺伝子操作することができる(例えば、一定の型の多糖のプロセシングを欠損させる)。これらおよび類似の技術は、当分野で周知である。
【0080】
本発明の抗体を、抗体指向性(directed)酵素プロドラッグ療法(ADEPT)によって使用することもできる。ADEPTは、触媒酵素を癌細胞表面にターゲティングするために腫瘍抗原をターゲティングするモノクローナル抗体の特異性を利用するテクノロジーである。酵素は、抗癌薬のプロドラッグ形態(例えば、ペプチジル化学療法薬、WO81/01145を参照のこと)をその完全に活性な形態に活性化する位置に存在する。例えば、WO88/07378号および米国特許第4,975,278号を参照のこと。
【0081】
本発明の方法で有用な酵素には、リン酸含有プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なアルカリホスファターゼ;硫黄含有プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なアリールスルファターゼ;無毒の5−フルオロシトシンの抗癌薬(5−フルオロウラシル)への変換に有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、およびカテプシン(カテプシンBおよびL)などのプロテアーゼ;D型アミノ酸置換基を含むプロドラッグの変換に有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの炭水化物切断酵素;β−ラクタムで誘導体化されたプロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なβ−ラクタマーゼ;およびアミン窒素でフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基で誘導体化されたプロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なペニシンアミダーゼ(ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなど)が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、酵素活性を有する抗体(当分野で「アブザイム」として公知である)を使用して本発明のプロドラッグを遊離の活性薬物に返還することができる(例えば、Massey,Nature328:457−458 (1987)を参照のこと)。アブザイムの腫瘍細胞集団への送達のために、抗体−アブザイムコンジュゲート体を本明細書中に記載のように調製することができる。
【0082】
本明細書中の抗体の免疫コンジュゲート体も特に本発明に含まれる。免疫コンジュゲート体は、化学療法薬、毒素、または放射性同位体などの細胞傷害薬にコンジュゲートした抗体を含む。
【0083】
詳細には、本明細書中の抗CD22抗体の有効性を、標的部位に放射線治療を特異的にターゲティングする(放射線治療)ための細胞傷害性放射性同位体へのコンジュゲートによってさらに増強することができる。適切な放射性同位体には、例えば、臨床治療で使用されるI131およびY90が含まれる。他の適切な放射性同位体には、In111、Cu67、I131、As211、Bi212、Bi213、およびRe186が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
免疫コンジュゲート体の作製に有用な化学療法薬には、例えば、アドリアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タキソイド(例えば、パクリタキセル(Taxol、Bristol−Myers−SquibbOncology,Priceton,NJ)およびドキセタキセル(Taxotere、Rhone−PoulencRorer,Antony,Rnace)など)、トキソテル(toxotere)、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、5−FU、6−チオグアニン、6−メルカプトプリン、アクチノマイシンD、VP−16、クロラムブシル、メルファラン、および他の関連ナイトロジェンマスタードが含まれる。
【0085】
本明細書中の免疫コンジュゲート体で使用される毒素には、例えば、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセンが含まれるが、これらに限定されない。特に、抗体−メイタンシノイドコンジュゲート体および抗体−カリケアミシンコンジュゲート体が含まれる。メイタンシノイドを含む免疫コンジュゲート体は、例えば、米国特許第5,208,020号;同第5,416,020号および欧州特許第0425235号に開示されている。Liuet al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:8618−8623(1996)も参照のこと。抗体−カリケアミシンコンジュゲート体は、例えば、米国特許第5,712,374号;同第5,714,586;5,739,116;5,767,285;5,770,701;5,770,710;5,773,001;および5,877,296号に開示されている。
【0086】
N−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピネート(SPDP)、イミノチオレン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(ジスクシニミジルスベレートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トリエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)などの種々の二機能性タンパク質結合剤を使用して、抗体と細胞傷害薬とのコンジュゲート体を作製する。例えば、Vitettaet al.,Science,238:1098(1987)に記載のように、リシン免疫毒素を調製することができる。14C標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドのコンジュゲートのためのキレート剤の例で合える。WO94/11026号を参照のこと。
【0087】
抗CD22抗体の共有結合修飾もまた、本発明の範囲内である。妥当な場合、これらを、化学合成または抗体の酵素または化学的切断によって作製することができる。選択された側鎖またはN末端残基もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導化剤との抗体のターゲティングされたアミノ酸残基との反応によって、抗体の共有結合修飾の他の型を分子に移入することができる。抗体の好ましい共有結合修飾型は、当分野で周知の様式における種々の非タンパク質ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン)の1つへの抗体の連結を含む。
【0088】
2.薬学的処方物および治療方法
B細胞型非ホジキンリンパ腫は、悪性(発癌性)B細胞リンパ球に起因するリンパ腫の巨大な群(29種の型を超える)を含むために使用し、リンパ腫の公知の型の巨大なサブセットを示す用語である。B細胞は、その生活環で細胞内シグナル伝達プロセスに依存して多数の変化を受けることが公知であり、見かけ上異なる型のB細胞性腫瘍はB細胞の生活環の異なる段階で発症し得る。幹細胞段階では、典型的には、急性リンパ性白血病(ALL)またはリンパ芽球性リンパ腫/白血病を発症し得る。前駆体B細胞は、前駆体B細胞リンパ芽球性リンパ腫/白血病を発症し得る。未熟なB細胞の典型的な悪性疾患には、非分裂小細胞リンパ腫(smallnon−cleaved celllymphoma)およびおそらくバーキット/非ホジキンリンパ腫が含まれる。抗原曝露前のB細胞は、典型的には、慢性リンパ球性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫を発症し、抗原曝露後では、典型的に濾胞性リンパ腫、大細胞型リンパ腫、および免疫芽細胞性リンパ腫が認められる。成長速度によって急速進行性(急速に成長する)および無痛性(遅く成長する)リンパ腫を区別することによってB細胞リンパ腫を特徴付ける分類システムもまた存在する。例えば、バーキット/非バーキットリンパ腫およびLCLリンパ腫は急速進行群に属し、不活性リンパ腫には、濾胞性中心細胞(centercell)リンパ腫(FCCL)、濾胞性大細胞リンパ腫、および濾胞性分裂小細胞リンパ腫が含まれる。
【0089】
非ホジキンリンパ腫は病期によっても特徴づけられる。第I期:たった1つのリンパ節領域またはリンパ節の外側のたった1つの領域もしくは器官で癌が見出される。第II期:(1)横隔膜(呼吸を補助する肺の下の薄い筋肉)の同一側面上の2つまたは複数のリンパ節領域中で癌が見出されるか、(2)リンパ節の外側のたった1つの領域もしくは器官およびその領域の周囲のリンパ節で癌が見出されるか、(3)横隔膜の同一側面上の他のリンパ節領域もまた癌を有し得る。第III期:横隔膜の両方の側面上のリンパ節領域で癌が見出される。リンパ節領域付近の領域もしくは器官および/または脾臓にも癌が広がり得る。第IV期:(1)リンパ系外の1つまたは複数の器官に癌が広がっている(癌細胞はこれらの器官付近のリンパ節で見出されても見出されなくてもよい)か、(2)リンパ系の外側のたった1つの器官に癌が広がっているが、この器官から離れたリンパ節が含まれる。
【0090】
非ホジキンリンパ腫が含まれるB細胞悪性腫瘍の現在の治療の選択は、悪性疾患の型および病期に依存する。典型的な治療計画には、放射線療法(外部ビーム療法ともいわれる)、化学療法、免疫療法、およびこれらのアプローチの組み合わせが含まれる。1つの有望なアプローチは、放射免疫治療(RIT)である。外部ビーム療法を使用して、身体の制限された領域を照射する。化学療法を使用して、全身治療を行うが、これはしばしば正常な細胞にも影響を与え、重篤且つ有毒な副作用をもたらす。標的化RITは、B細胞特異的抗体が有毒物質を腫瘍部位に送達するアプローチである。異なる標的(CD20、CD19、CD22、およびHLA−DR10(Lym−1)が含まれる)を使用したB細胞NHL患者におけるRITの治療可能性が示された。より最近では、集学的療法(CMT)は、固形腫瘍の治療戦略としての頻度が増大しており、これには、薬物による癌細胞の放射線増感および化学療法の直接的細胞傷害効果が含まれる。NHLの治療のための最も一般的な化学療法治療計画は、シクロホスファミド−ヒドロキシドキソルビシン−オンコビン(ビンクリスチン)−プレドニゾン(CHOP)併用療法である。急速進行性であるが初期NHLの無作為化研究により、CHOP+CHOPのみで治療しながら関連する領域の照射を使用して優れた結果を示した。その有望性にもかかわらず、外部ビーム照射を含む治療の欠点は、外部ビーム照射が体内の限られた領域にしか高放射線量を送達させることができず、ほとんどのNHLは広範囲に及ぶ点である。したがって、CMTは、局所的に進行した悪性疾患に臨床的に有用であることが証明されている。
【0091】
現在の別のアプローチは、全身照射(例えば、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1)のNHLへの特異的送達とさらなる化学療法薬の全身放射線増感効果とを組み合わせた集学的放射線免疫療法(CMRIT)である。CMRIT照射では連続的に送達されるので、低酸素の癌細胞を再酸素化するか治療単位時の細胞周期の放射線感受性G2/M期を通過して治癒する可能性がより高くすることができる。さらに、CMRITにより、Lym−1によるNHLの特異的ターゲティングによって最初に特異性が得られ、第2にタイミングが得られる。これにより、RITによってターゲティングされた部位のみで潜在的に増感し、有効性を最大にし、そして毒性を最小にする放射線増感剤が得られる。いくつかの以前の異種移植片研究により、放射線増感剤(Taxol)がRITから24〜48時間後に投与された場合に相乗効果が改良されることが証明されている。
【0092】
CMRITが現在最も進んだNHL治療の治療アプローチとして概説されているにもかかわらず、十分に許容されたRajiおよびRamosリンパ腫異種移植モデルで試験した場合に、本発明の抗体のみで、腫瘍体積の減少、治癒率、および全生存率に関してより優れた結果が得られることが証明された。
【0093】
自己免疫疾患は、自己抗体の産生および罹患組織中の免疫グロブリンの蓄積を含む、自己に対してその後に免疫応答を惹起する自己寛容の破壊によって発症する。自己抗体は、補体およびFc受容体媒介組織炎症および破壊を促進する免疫複合体を形成する。B細胞が自己抗体の供給源であるので、B細胞はこれらの免疫媒介疾患型の治療のための合理的標的を提供する。B細胞はまた、抗原を提示してエフェクターT細胞の発生を制御することができる。これらの疾患の病理学的機構は複雑であり、しばしば体液性免疫機構と細胞性免疫機構との組み合わせを含む。
【0094】
ほとんどの自己免疫疾患は、正常な身体組織と反応する抗体の産生に起因するかこの抗体によって悪化する。抗原の刺激および活性化後にB細胞によって抗体が産生される。したがって、CD22の遮断機能により、自己反応性抗体を含む抗体の産生を阻害することができる。80種を超える自己免疫疾患が同定されている。自己免疫疾患、その原因論、および治療は、AutoimmuneDiseases CoordinatingCommittee ofthe NationalInstitutes ofHealth 発行のAutoimmuneDiseases ResearchPlanで広範に議論されている。本発明によって治療することができる自己免疫疾患には、糸球体腎炎、グッドスパチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、および全身性紅斑性狼瘡を発症する免疫複合体病などが含まれるが、これらに限定されない。他の自己免疫疾患の例には、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱症、ANCA関連脈管炎(例えば、ワグナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、urveitis、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム関節炎、ギラン・バーレー症候群、橋本甲状腺炎、および心筋症が含まれるが、これらに限定されない。抗体産生に関連する他の疾患には、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、自己免疫性溶血性貧血、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、重症筋無力症、I型糖尿病、グレーブス病、およびアレルギー反応が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法を使用して、B細胞または抗体が関与する任意の他の障害または病態(例えば、移植片拒絶反応)を治療することができる。
【0095】
本明細書の抗CD22抗体を、典型的には、全ての薬剤師に周知の薬学的処方物の形態で投与する。例えば、Remington’sPharmaceutical Sciences,(15th Edition,MackPublishing Company,Easton,Pa.(1975)),particularlyChapter 87,byBlaug,Seymourを参照のこと。これらの処方物には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、無水吸収基剤、水中油滴型または油中水滴型乳濁液、乳濁液カーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーバワックスを含む半固体混合物が含まれる。典型的な投薬形態は、静脈内(i.v.)経路による投与に有用な滅菌等張水ベース溶液である。薬学的処方物中の本発明の抗体の濃度は、広範に変化することができ(すなわち、約0.1重量%未満(通常、2重量%または少なくとも2重量%)から20重量%〜50重量%またはそれ以上まで)、選択された特定の投与様式に従って主に液体の体積、粘度などによって選択される。
【0096】
本発明の組成物を、リポソームを介して投与することもできる。リポソームには、乳濁液、フォーム、ミセル、不溶性単分子層、液晶、リン脂質分散物、およびラメラ層などが含まれる。これらの調製物では、送達させるべき本発明の組成物を、単独または抗体などの所望の標的に結合する分子または他の治療組成物または免疫原性組成物と組み合わせてリポソームの一部として組み込む。本発明で用いるリポソームを、標準的な小胞形成脂質(一般に、中性および負電荷のリン脂質およびステロール(コレステロールなど)が含まれる)から形成する。脂質の選択は、一般に、検討材料(例えば、リポソームのサイズならびに血流中でのリポソームの酸不安定性および安定性)によって導かれる。例えば、Szokaet al.Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980),米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、および同第5,019,369号に記載のように、種々のリポソーム調製方法が利用可能である。
【0097】
本発明の抗体を、単独または他の治療の処方計画と組み合わせて投与することができる。例えば、B細胞性腫瘍の場合、このような治療計画または治療には、化学療法、放射免疫治療(RIT)、化学療法および外部ビーム照射(集学的療法(CMT))、集学的放射線免疫療法(CMRIT)、サイトカインのみ、またはその組み合わせなどが含まれる。したがって、本発明の抗CD22抗体を、CHOP(シクロホスファミド−ヒドロキシドキソルビシン−オンコビン(ビンクリスチン)−プレドニゾン)(非ホジキンリンパ腫治療のための最も一般的な化学療法の処方計画)と組み合わせることができる。さらに、本明細書中の抗CD22抗体を、他の抗体(抗CD19、抗CD20、およびLymphoCide(商標)(Immunomedics,Inc.)またはLymphoCideY−90などの他の抗CD22抗体が含まれる)と組み合わせて投与することができる。例えば、Steinet al.,Drugsof theFuture 18:997−1004(1993);Behr etal.,Clinical Cancer Research 5:3304s−33314s,1999 (suppl.);Juweidet al.,CancerRes.55:5899s−5907s,1995;Behr et al.,Tumor Targeting 3:32−40 (1998)ならびに米国特許第6,183,744号、同第6,187,287号、および同第6,254,868号を参照のこと。
【0098】
本発明の治療を、自己免疫障害のための他の療法と組み合わせて使用することもできる。特定の態様では、被験体を、本発明の抗体ならびに抗CD20抗体(例えば、Rituxan(登録商標)、IDECPharmaceuticals)および/または抗炎症薬(例えば、副腎皮質ステロイド)で治療する。
【0099】
特定の態様では、本発明にしたがって治療すべき患者はその悪性B細胞上で発現するCD22を有する。CD22抗原の存在を、免疫組織化学、FACS、標識(例えば、放射性標識)抗CD22抗体を使用した結合アッセイなどの標準的な技術によって確認することができる。
【0100】
本発明の抗体組成物を、従来の投与様式(静脈内、動脈内、腹腔内、経口、リンパ腺内、筋肉内、経皮、皮下、および鼻腔内投与が含まれるが、これらに限定されない)を使用して投与することができる。特定の実施形態では、投与経路は、ボーラスまたは長期間にわたる連続注入を介する(1週間に1回または2回の連続またはボーラス注入など)。他の特定の実施形態では、投与経路は皮下注射による。投薬量は、ターゲティングされるB細胞性腫瘍もしくは自己免疫疾患の性質、形態、および病期、患者の性、年齢、病態、以前の治療歴、他の使用している治療、および典型的には熟練した医師によって考慮される他の要因に依存する。例えば、非ホジキンリンパ腫患者または自己免疫疾患患者に、約50〜約1500mg/m2/週、詳細には約100〜約1000mg/m2/週、より詳細には約150〜約500mg/m2/週の本明細書中に記載の抗CD22抗体を投与することができる。
【0101】
B細胞性腫瘍または特定の自己免疫疾患の臨床指標を追跡するために、当分野で公知の標準的技術によって患者をモニタリングすることができる。例えば、B細胞性腫瘍の場合、腫瘍の後退(例えば、固形腫瘍の場合の腫瘍サイズ)(抗CD22抗体を使用した循環B細胞または生検組織の表現型)をモニタリングすることができる。
【0102】
本発明をヒト治療に関して考察しているが、本発明の抗体は獣医学でも適用されると理解される。例えば、ネコ悪性リンパ腫は飼い猫で頻繁に発症し、ヒト非ホジキンリンパ腫に類似の特徴を示す(Bertoneet al.,Am.J.Epidemiol.156:268−73(2002))。同様に、イヌは種々のリンパ腫を発症することが公知である。したがって、本明細書中の抗体を使用してネコおよびイヌの悪性リンパ腫を治療することができる。自己免疫疾患の動物モデルもまた当分野で公知である。投薬量および投与経路は、治療される動物種に依存し、その決定は十分に通常の技術を有する獣医の技術の範囲内である。
【0103】
以下の非限定的な実施例にしたがって、本発明のさらなる詳細を提供する。
【0104】
実施例で言及した市販の試薬を、他で言及しない限り、製造者の説明書に従って使用した。以下の実施形態に開示の産生に加えて、モノクローナル抗体HB22−7を産生するハイブリドーマ(ATCCアクセッション番号HB11349)を、AmericanType CultureCollection,Rockville,MDから入手することができる。
【実施例1】
【0105】
<抗CD22モノクローナル抗体の産生>
モノクローナル抗体(mAb)HB22−7(IgG2b)、HB22−23(IgG2a)、HB22−33(IgM)、HB22−5(IgG2a)、HB22−13(IgG2a)、HB22−22(IgA)、およびHB22−196を、Engelet al.,JImmunol 15:4710(1993)および米国特許第5,484,892号の方法にしたがって産生した。Tuscanoet al.,Blood94:1382−1392(1999)も参照のこと。しかし、他の方法を使用することができる。簡単に述べれば、免疫原として全長CD22cDNAで安定にトランスフェクトしたマウスpre−B細胞株300.19を使用したハイブリドーマ技術によってHB22mAbを産生した。より詳細には、NS−1骨髄腫細胞と全長CD22 cDNAで安定にトランスフェクトしたマウスpre−B細胞株300.19を使用して3回免疫化したBalb/cマウス由来の脾細胞との融合によってCD22と反応する33種のmAbを作製した。CD22cDNAでトランスフェクトしたマウスL細胞と反応するが非トランスフェクト細胞と反応しないmAbを産生するハイブリドーマを2回クローン化し、これを使用して上清または腹水を作製した。マウスモノクローナル抗体イソ型分類キット(Amersham,ArlingtonHeights,III)を使用して、mAbイソ型を決定した。Affi−GelProtein AMAPS IIキット(Bio−Rad,Richmond,Calif.)を使用して、IgGmAbを精製した。蒸留水に対する大規模な透析によって腹水の真性グロブリン画分を含むHB22−23mAb(IgM)を沈殿させ、SDS−PAGE分析によってmAbが本質的に純粋であることが示された。米国特許第5,484,892号の表IIに開示のように、mAbであるHB22−7、HB22−22、HB22−23、およびHB22−33は、Daudi細胞、Raji細胞、およびJurkat細胞のCD22トランスフェクトCOS細胞への結合を完全に遮断した(80〜100%)。mAbであるHB22−5、HB22−13、HB22−24、およびHB22−28は、接着を部分てきに遮断した(20〜80%)。
【0106】
リガンド結合を媒介するCD22上の領域を、「ワークショップ」CD22遮断mAbおよびCD22上の5つの異なるエピトープ(エピトープA、B、C、D、およびE)を同定するmAbのパネルを使用したmAb交差阻害研究によって特徴付けた(Schwartz−Albiezet al.,″Thecarbohydrate moie
ty ofthe CD22antigen canbe modulatedby inhibitorsof theglycosylation pathway.″)。ワークショップmAbの結合特異性を、図3に図示する。Leukocyte Typing IVのWhite Cell Differentiation Antigens,Knapp etal.,eds(Oxford University Press,Oxford,p.65(1989))。本明細書中の3つのモノクローナル抗体(HB22−7、HB22−22、およびHB22−23)はCD22上の非常に密接しているか同一のエピトープに結合することが見出された。これらおよび他の遮断抗体のエピトープマッピングの結果は、Tedderet al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997)に開示されている。治療に提案された他の抗CD22抗体と異なり、本発明の遮断抗体はhCD22アミノ酸配列の第1の2つのIg様ドメイン内のエピトープに結合する。
【実施例2】
【0107】
<RajiおよびRamosリンパ腫の異種移植試験>
本実施例は、本発明者らの独立したRajiおよびRamosリンパ腫異種移植試験由来の結果を記載する。ヌードマウス異種移植片は、前臨床評価の重要なツールである。リンパ腫細胞株RajiおよびRamosを使用したヒト非ホジキンリンパ腫(NHL)異種移植片を保有するヌードマウスは、NHLの治療効果の評価に有用であることが証明されている(Buchsbaumet al.,CancerRes.52(23):6476−6481 (1992) and Flavell et al.,Cancer Res.57:4824−4829 (1997))。
【0108】
<材料と方法>
<試薬>希釈HCl中の塩化物として無キャリア90Y(PacificNorthwest NationalLaboratory,Richland,WA)および111In(Nordion,Kanata,Ontario,Canada)を購入した。Lym−1(Techniclone,IncTustin,CA)は、ヒトバーキットリンパ腫細胞核で免疫化したマウスで作製したIgG2amAbである。Lym−1は、悪性B細胞上の細胞表面の31〜35kDの抗原を認識し、80%を超えるヒトB細胞NHLと反応する。Lym−1の純度を本明細書にしたがって評価し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって95%を超える純度の単量体IgGが必要であった。以前に記載のように90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1を調製した(O’Donnellet al.,Cancer.Biother.Radiopharm.13:251−361(1998))。HPLC、TLC、および酢酸セルロース電気泳動による評価により、凝集体含有率が5%未満の放射線化学的に98%純粋な90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1が調製されたことが明らかとなった。
【0109】
抗CD22mAbであるHB22−7を、プロテインAセファロースFastFlowカラム(Pharmacia)を使用して、(Tuscano et al.,Blood 94:1382−1392(1999))に以前に記載のように調製した。HPLCおよびフローサイトメトリーによってHB22−7の純度を決定し、95%超であることが見出された。フローサイトメトリーベースのアポトーシス誘導分析(Apo−Tag,Pharmacia)によって生理学的特性を決定し、以前に発表された結果(Tuscanoet al.,supra)と一致することが見出された。ActiCleanETOXカラム(Sterogene)を使用して内毒素を除去し、最終内毒素レベルが0.15内毒素単位(EU)/mgmAb未満であると測定された(Bio Whitaker)。Lym−1およびHB22−7 mAbは、マウス、ウイルス、マイコプラズマ、真菌、および細菌の汚染ならびに内毒素、発熱物質、およびDNA含有量ならびに動物における一般的な動物試験における安全性についてMAP(マウス抗体産生)ガイドラインを満たしていた。
【0110】
細胞株およびScatchard分析、RajiおよびRamos Burkittリンパ腫細胞株を、American TypeCulture Collection(ATCC,Gathersberg,MD)から購入した。以前に記載のように(Tuscanoet al.,前出)、両細胞株を、HB22−7mAbを使用したフローサイトメトリー法によるCD22発現のために染色した。0.5×106細胞/mlの細胞株を、10%ウシ胎児血清を補足したRPMI1640中に維持した。以前に記載のように(Scatchard,G.,Ann.ofNY AcadSci.51:660(1947))、RajiおよびRamos細胞を使用したSctchard分析を行った。簡単に述べれば、HB22−7を、クロラミンT法によって125Iで標識した(比活性1.1μCi/μg)。連続希釈した非標識HB−7を使用して競合結合アッセイを行った。
【0111】
マウスを用いた研究。7〜9週齢の雌胸腺欠損BALB/c nu/nuマウス(Harlan Sprague−Dawley)を、カリフォルニア大学デービス動物実験ガイドラインにしたがって、通常の食餌を自由に与え、且つ無病原体条件下で維持した。ケージあたり5匹のマウスを収容した。RajiまたはRamos細胞を対数成長期に採取し、2.5〜5.0×106細胞を各マウスの腹部の両側に皮下注射した。腫瘍が28〜328mm3になった移植から3週間後に研究を開始した。群は、非処置、125μCiのRITのみ、1.4mgのHB22−7のみ、またはRITとHB22−7との組み合わせからなり、HB22−7をRITの24時間前、同時、または24時間後に投与した。周囲照射を最小にするために、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1での処理から1週間は毎日床敷きを交換し、その後1週間に2回交換した。
【0112】
<腫瘍死滅効果>hemiellipsoidのための処方物によって記載のように腫瘍体積を計算した(DeNardoet al.,Clin.CancerRes.3:71−79(1997))。初期腫瘍体積を処置前日の体積と定義した。各測定日において各群について平均腫瘍体積を計算した;体積ゼロを腫瘍の完全な後退と見なした。腫瘍応答を、以下のように分類した:C、治癒(腫瘍が消滅し、84日間の研究終了時点で再生しない);CR、完全な後退(少なくとも7日間腫瘍が消滅するが、その後再生する);PR、部分的後退(少なくとも7日間腫瘍体積が50%またはそれ以上減少し、その後再生する)。
【0113】
<統計分析。治療群の間の応答の相違を、なし、PR、CR、およびCureとして順位付けた応答を使用したクラスカル・ウォリス順位和検定を使用して評価した。クラスカル・ウォリス検定を使用して、生存期間も評価した。腫瘍体積を、3つの測定点で比較した:1ヶ月(26〜29日目)、2ヶ月(54〜57日目)、および研究終了時(84日目)。腫瘍関連の原因で動物を屠殺する場合、最終体積を持続させ、その後の測定点の分析で使用した。分散分析を使用して、処置群間の相違を検定した。P値は、両側であり、正常なp値を示す。統計的有意差が見出された群のサブセット内でのみの検定により多数の比較を保護する。
【0114】
<結果>
<Scatchard分析>
Scatchard分析を使用して、HB22−7の結合親和性およびRamosおよびRaji細胞上のCD22受容体数を評価した。最大結合率(Bmax)、解離定数(Ka)、および1細胞あたりの結合抗体数について細胞をアッセイした。表1に示した結果は、2つの試験の平均である。
【0115】
【表1】
【0116】
Scatchard分析(表1)により、1細胞あたり結合するHB22−7抗体数(Bmax)が約2.5倍に増加し、Raji細胞のKaはRamos細胞のKaよりも2倍増加する。
【0117】
<全身オートラジオグラフィ>
HB22−7特異的腫瘍ターゲティングを評価するために、111In−2IT−BAD−抗CD22(HB22−7)を注射した腫瘍保有ヌードマウスの全身オートラジオグラフィを行った。注射から48時間後、マウスを屠殺し、切片にし、以前に記載のように(DeNardoet al.,Cancer3:71−79(1997))オートラジオグラフィを行った(図2)。オートラジオグラフィによって、Raji腫瘍化マウスで強い腫瘍局在化が明らかとなり、Ramos腫瘍化マウスで中程度の局在が明らかとなった。このターゲティング研究は、Rajiと比較して1Ramos細胞に結合したHB22−7は少ないことが明らかとなったScatchard分析と一致する。しかし、Ramos腫瘍の急速な成長およびおそらく中心壊死もまた、Ramosの明らかに劣るターゲティングに寄与し得る。
【0118】
<RITおよびCMRITの有効性>
最初の試験(081500)は、125uCiの90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみまたはRITの24時間前、同時、または24時間後に投与したHB22−7(1.4mg)との組み合わせを使用した(図3)。この試験では、9匹のマウスを有し、5匹が非処置コントロールであるRITのみで処置した群以外は群あたり5匹のマウスを有する(マウス数を表2に示す)。
【0119】
【表2】
【0120】
90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した類似のRaji異種移植片研究から予想されるように、RITのみでは、21日までに最大平均腫瘍体積が減少し、その後腫瘍体積が増加した。90Y−2IT−BAD−Lym−1(RIT)およびHB22−7(CMRIT)で処置した異種移植片は、平均腫瘍体積の減少がより大きく且つより長く持続し、HB22−7を同時に投与した場合おいびRITの24時間後に最も減少した。驚いたことに、HB22−7の単独投与により、2〜3週間まで平均腫瘍体積は安定化し、その後徐々に持続して腫瘍体積が減少した。
【0121】
何回か反復して試験を行って、高度に再現可能な結果を得た(表2)。全試験由来のデータを集計し、グラフで比較した場合、結果は最初の試験と非常に一致することが明らかとなった(図4)。初期腫瘍体積減少は、HB22−7をRITと同時および24時間後に投与した場合に約21日目で再度最大となった。HB22−7のみで処置したマウスでは、処置から2週間後に腫瘍成長が安定化し始め、その後の全試験で腫瘍体積の漸減も繰り返された。分散分析を使用して、30日目に全処置群を試験した場合、有意差は非常に高かった(p<0.001)。60日目の全処置群における体積減少分析では有意差は証明できなかったが(p=0.39)、84日目で再度有意差が得られた(p=0.003)。グラフで認められた結果により、RIT/CMRIT群の体積減少の相違は非常に再現性があり、HB22−7のみおよび非処置コントロールと異なるが、評価した全ての測定点(30日目、60日目、および84日目)でのRIT処置群(CMRITを含む)のみでの体積減少の比較により有意差が明らかではないことが明らかとなった(p≧0.5)。RITから48時間後および72時間後にHB22−7を投与するさらなるCMRIT試験を行った。RITとHB22−7の投与間隔の拡大によって、HB22−7をRITと同時および24時間後に投与した試験と比較して腫瘍体積の減少は改善されなかった(データ示さず)。
【0122】
応答率および治癒率は、腫瘍体積に対する治療効果と一致した(図5)。90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみでの処置により、PRが48%、CRが13%、および治癒率が13%であった。CMRIT群では、HB22−7およびRITを同時に投与した場合に、PR45%、CR15%、および治癒率25%と全体的に応答率が最大になった。しかし、CMRIT群では、非処置(29%)、RITのみ(13%)、24時間前(10%)、および同時(25%)の処置群で認められた治癒率と都合よく比較すると、RITの24時間後にHB22−7を投与した場合治癒率が最も高かった(39%)。クラスカル・ウォリスの検定を使用して全処置群の応答の程度を試験した場合(CR、PRより上の順位付け)、統計的有意差が認められた(p=0.01)。非処置コントロールとの各比較は、RITのみ(p=0.06)およびRITの24時間前に投与したHB22−7(p=0.16)以外は全て統計的に有意であった(p<0.05)。活性治療群(RITのみ、CMRIT、およびHB22−7)のみの比較では有意差は認められなかったが(p=0.18)、同時および24時間後にHB22−7で処置したCMRIT群では最も良好な応答パターンが認められた。興味深いことに、HB22−7のみで処置した群の治癒率が最も高く(47%)、非処置コントロールと比較した場合に有意に改善された(p<0.05)。
【0123】
腫瘍体積の後退および治癒率は、類似の生存パターンになった。84日間の研究終了時に、非処置およびRITのみの群のそれぞれ38%および42%が生存した(図6)。CMRIT処置群では、RITと同時および24時間後にHB22−7を投与した場合、生存率はそれぞれ67%および50%に増加した。クラスカル・ウォリスを使用した生存率分析は、全群と比較して有意であった(p<0.05)。応答率分析と同様に、RIT群の生存率の比較のみで有意差が明らかとならなかったが(p=0.41)、HB22−7をRITと同時または24時間後に投与した場合、これらの群中で最良の生存率が一貫して認められた。
【0124】
HB22−7のみで処置した群において全生存率において最良の生存率(76%)で、非処置コントロールと比較した場合に有意差が認められた(p=0.02)。
【0125】
<毒性>
血球数およびマウス体重によって血液毒性および非血液毒性をそれぞれ評価した(図7a〜c)。RIT処置群におけるWBCおよび血小板の最下点はそれぞれ14〜20日目および10〜14日目であった。WBCおよび血小板を、それぞれ処置から約28日後および21日後に採取した。WBCおよび血小板の最下点は、150uCiの90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した前の研究での所見に一致した。RITの血液毒性は、HB22−7の同時投与によって変化しなかった。HB22−7のみで処置したマウスでは血液毒性は検出されなかった。全処置群における単核細胞数の分析により、HB22−7はRIT媒介単核細胞の最下点に対して効果がないことが明らかとなった(データ示さず)。マウス体重の変化によって評価した非血液毒性は、全ての処置群で等価であることが見出された(図8)。いかなる処置群においても毒性による死亡は認められなかった。
【0126】
<90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1の薬物動態学>
HB22−7を使用するか使用しないRaji腫瘍化マウスにおける90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1の血液および全身クリアランスは類似していた(図9)。血液の生物学的T1/2αは、RITのみについては1.4時間であり、24時間前、同時、および24時間後の群ではそれぞれ2.2時間、2.4時間、および2.0時間であった。血液の生物学的T1/2βは、RITのみの群については127時間であり、24時間前、同時、および24時間後の群ではそれぞれ133時間、87時間、および103時間であった。全身のT1/2は、RITのみについては246時間であり、24時間前、同時、および24時間後の群ではそれぞれ207時間、207時間、および196時間であった。RITへのHB22−7の添加により、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1の薬物動態学は変化しなかった。
【0127】
<考察>
低線量率の線量で誘導されたアポトーシスおよび/またはDNA損傷を増強するためにRITと組み合わせた場合に抗CD22mAb(HB22−7)によってさらなる効果または相乗効果が得られるかどうかを決定するためにRaji異種移植片研究をデザインした。Raji異種移植片ヌードマウスモデルは、90Y−2IT−BAD−Lym−1のみを使用したRITの毒性および有効性を評価するために使用した場合に有用であることが証明された(O’Donnellet al.,CancerBiotherapy andRadiopharmaceuticals 13:351−361 (1998))。この前臨床モデルにおける応答により、ヒト臨床試験における有意な有効性が得られた(O’Donnellet al.,AnticancerRes.20:3647−55 (2000);O’Donnell etal.,J.Nucl.Med.40:216 (1999) (Abstract))。
【0128】
本実施例に記載の研究では、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1(125uCi)への抗CD22mAbHB22−7の添加により、毒性にいかなる変化も与えずにRITの有効性が増強された。150および200μCiの90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した前のRaji異種移植片研究により、本研究に匹敵する応答および治癒率が得られた(O’Donnelet al.,(1998),supra)。2IT−BADリンカーを使用したこれらの前の研究に基づいて、125μCiの90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1を選択した。2IT−BADを使用した前の研究では200μCiの線量で最も高い有効性が証明されたが、125μCiの選択は、HB22−7はRITと相乗効果またはさらなる効果を得られ、より低い線量ではこれらの効果がより良好に評価されるという仮説に基づいた。本実施例の研究は、リンパ腫異種移植片モデルで以前に試験した新規のリンカー(DOTA−ペプチド)を使用した。非結合放射性医薬品の肝臓での分解を増強し、それによりさらに都合よく生体分散されるようにDOTA−ペプチドリンカーをデザインした。腫瘍特異的取り込みを本研究で詳細に評価していないが、125μCiの90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみを使用して認められた毒性プロフィールは、治療関連死亡率および予想可能な白血球および血小板の最下点において許容不可能である。
【0129】
プロアポトーシス効果およびシグナル伝達効果を証明するin vitro研究に基づいてHB22−7を選択した(Tuscano etal.,Blood 94:1382−1392(1999))。HB22−7の使用処置用量は経験的であるが、in vitroでのアポトーシスの誘導に有効であり、且つマウスモデルでこれが推定されることが示されている量に基づいていた。さらに、HB22−7の用量を処方する場合、ヒト臨床試験で使用されたRituximab(登録商標)の用量と等価な(ヒトとマウスにおける体表面積の相違について調整した場合)用量を考慮した。これがリンパ腫治療に有効であると証明された利用可能な唯一の裸のmAbであり、Rituximab(登録商標)の許可された至適用量は現在定義されていないという事実に基づいて、Rituximab(登録商標)の用量の概算を使用した。
【0130】
HB22−7のみおよびRITとHB22−7との組み合わせの有効性ならびに3つの異なる配列組み合わせの効果を評価するために研究をデザインした。90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみを使用して認められた腫瘍体積の減少は、90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した前の研究と応答のタイミング、規模、および持続時間に関して一致した(O’Donnelet al.,(1998),supra)。RITのみにより、治療から14日後に腫瘍体積が約50%減少した。最大体積減少の適切な時点(21日目〜30日目)で評価した場合、RITへのHB22−7の添加により、配列特異的様式で応答の規模が有意に増大した。HB22−7の添加はRITと同時またはその24時間後に投与した場合に最も有効なようである。体積減少の独特のパターンは、再生性が高かった。独立した再現試験により、腫瘍体積減少の類似のパターンおよび規模が証明された。腫瘍体積減少の改良により、優れた応答率および生存率が得られた。RITのみにより、13%のCRおよび13%の治癒率が得られ、HB22−7の添加により、RITと同時に投与した場合に治癒率は25%に増加し、RITから24時間後にHB22−7を投与した場合に39%に増加した。
【0131】
これは第2のモノクローナル抗体をRITと組み合わせた最初であり、毒性を増加させることなく有効性を増大させることができる十分に定義された生理学的特性を有するモノクローナル抗体または他の薬剤の利用可能性を証明する。
【0132】
驚いたことに、HB22−7のみで処置したマウスは他の処置群と比較して優れた腫瘍体積の減少ならびにより優れた治癒率および生存率が得られた。また、いくつかの独立した試験により初期腫瘍体積安定化の遅延および治療から約14日後に開始される腫瘍体積の減少と非常に一致する結果が得られた。これにより、任意の治療群で見出された最良の治癒率および全生存率が得られた。
【0133】
結論として、本発明の抗体は、単独で投与した場合、現在最も進んだNHLの治療アプローチとして概説されている他の治療計画(CMRITが含まれる)と比較して腫瘍体積の減少、治癒率、および全生存率に関してより優れた結果が得られることが証明された。
【実施例3】
【0134】
<抗CD22抗体の配列分析>
<VHおよび軽鎖遺伝子の利用>
細胞質RNAを、RNeasyMiniキット(Qiagen Chatsworth,CA)を使用して1〜10×105ハイブリドーマ細胞から抽出した。第1の鎖DNAを、オリゴ−dTプライマー(dT18)およびSuperscriptキット(GibcoBRL、Gaithersburg,MD)を使用して細胞質RNAから合成した。1μlのcDNA溶液を、VH遺伝子のPCR増幅のためのテンプレートとして使用した。10mMTris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNTP(Perkin Elmer,Foster City,CA)、50pmolの各プライマー、および5単位のTaqポリメラーゼ(ISCBioexpress,Kaysville,UT)から構成される体積100μlの反応混合物においてPCR反応を行った。30サイクル増幅させた(94℃で1分間、58℃で1分間、72℃で1分間、Thermocycler,PerkinElmer)。以前に記載のように(Kantor et al.,J.Immunol.158:1175−86(1996))無差別のセンス5’VHプライマー(MsVHE: 5’ GGG AAT TCG AGG TGC AGC TGC AGG AGT CTG G 3’;配列番号2)およびCμコード領域に相補的なアンチセンスプライマー(プライマーCμ−in: 5’ GAG GGG GAC ATT TGG GAA GGA CTG 3’;配列番号3)またはCγ領域(プライマーCγ1:5’GAG TTCCAG GTCACT GTCACT GGC3’;配列番号4)を使用してVH遺伝子を増幅した。
【0135】
センスVκプライマー(5’ ATG GGC (AT)TC AAG ATG GAG TCA CA(GT) (AT)(CT)(CT) C(AT)G G 3’;配列番号5)およびCλアンチセンスプライマー(5’ACT GGATGG TGGGAA GATG 3’;配列番号6)を使用して、軽鎖cDNAを増幅した。
【0136】
異なるセンスVκプライマー(5’ ATG AAG TTG CCT GTT AGG CTG TTG GTG CTG 3’;配列番号7)を使用して、HB22−33軽鎖配列を増幅した。
【0137】
増幅されたPCR産物を、QIAquickゲル精製キット(Qiagen)を使用してアガロースゲルから精製し、AmpliTaqDNAポリメラーゼおよび最初のPCR増幅と同一のプライマーを使用したPerkinElmer DyeTerminator配列決定システムを使用した増幅後にABI 377 PRISM DNAシークエンサーを使用して両方向で直接配列決定した。全てのVHおよび軽鎖領域をセンスおよびアンチセンスDNA配列に対して完全に配列決定した。
【0138】
抗CD22モノクローナル抗体であるHB22−5、HB22−7、HB22−13、HB22−23、HB22−33、およびHB22−196のVHおよびVκアミノ酸配列のアラインメントをそれぞれ図10および17に示す。図11〜16は、ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す。図18〜23は、ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年2月21日提出の米国特許仮出願第60/359,419号および2002年10月21日提出の米国特許仮出願第60/420,472号(その両出願全体が参照することにより本明細書中に組み込まれる)の優先権を主張する。本発明は、国立衛生研究所の助成金番号CA81776の援助を利用した。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、固有の生理学的特性を有する抗CD22モノクローナル抗体の治療上の使用に関する。より詳細には、本発明は、固有のプロアポトーシス性を有する遮断抗CD22抗体を使用したリンパ腫および白血病などのB細胞性腫瘍ならびに自己免疫疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
CD22は、ほぼ全てのBリンパ球およびほとんどのB細胞リンパ腫で見出される膜糖リンタンパク質である。CDの架橋によりCD22チロシンリン酸化が誘発され、ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)経路を活性化するエフェクタータンパク質の複合体が構築される。CD22架橋により、初代B細胞で強力な同時刺激シグナルおよび新生物B細胞でプロアポトーシスシグナルが得られる。構造的に、CD22は、1つのアミノ末端VセットIgドメインおよび6つのC−2セットIgドメインを有する7つの細胞外Igドメインを有する免疫グロブリン(Ig)遺伝子スーパーファミリーの「シアロアドヘシン」サブクラスのメンバーである。Wilsonet al.,J.Exp.Med.173:137−146(1991);Engelet al.,J.Exp.Med.181:1581−1586(1995);およびTorreset al.,J.Immunol.149:2641−2649(1992)。CD22は生理学的に適切な部位へのシグナル伝達エフェクター分子の漸増によってBリンパ球抗原受容体(BCR)シグナル伝達を負および正に制御する重要なリンパ球特異性シグナル伝達分子であることが示されている。Tedderet al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997);Satoet al.,Immunology10:287−297(1998)。
【0004】
抗CD22抗体は、例えば、米国特許第5,484,892号、同第6,183,744号、同第6,187,287号、同第6,254,868号、およびTuscanoet al.,Blood94(4):1382−92(1999)に記載されている。非ホジキンリンパ腫の治療におけるモノクローナル抗体(抗CD22抗体が含まれる)の使用は、例えば、Renneret al.,Leukemina11(Suppl.2):S55−9(1997)に概説されている。ヒト化抗CD22抗体であるLymphoCide(商標)(empatuzumab,Immunomedics,Inc.)は、非ホジキンリンパ腫の不活性および急速進行性(aggressive)形態の治療についての第三相試験中である。この抗体のイットリウム−90標識バージョンは、現在、同一の適応症についての第一相試験中である。
【0005】
癌治療における現在の利点にもかかわらず、非ホジキンリンパ腫のB細胞サブタイプおよび慢性リンパ性白血病などのB細胞性腫瘍は、癌関連死の最も大きな一因となる。したがって、B細胞性腫瘍治療のためのさらに改良された治療計画が非常に必要である。自己免疫疾患は、概して、重大な病的状態および障害を引き起こす。1965年から1995年までに収集した罹患率データに基づいて、今後5年間に約1,186,015人が新たに自己免疫疾患を発症すると見積もられている。Jacobsenet al.,(Clin.Immunol.Immunopathol.84:223(1997))は、130の公開された研究を評価し、1996年では、合衆国の850万人(全人口の3.2%)がこれらの研究で試験された24種の自己免疫疾患の少なくとも1つを有すると見積もった。公衆衛生に対する自己免疫疾患の主要な影響を考慮して、これらの障害の苦しみに取り組むための有効且つ安全な治療が必要である。したがって、自己免疫疾患の治療のための試薬および方法の改良が当分野で必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,484,892号
【特許文献2】米国特許第6,183,744号
【特許文献3】米国特許第6,187,287号
【特許文献4】米国特許第6,254,868号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Wilson et al.,J.Exp.Med.173:137−146(1991)
【非特許文献2】Engel et al.,J.Exp.Med.181:1581−1586(1995)
【非特許文献3】Torres et al.,J.Immunol.149:2641−2649(1992)
【非特許文献4】Tedder et al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997)
【非特許文献5】Sato et al.,Immunology 10:287−297(1998)
【非特許文献6】Tuscano et al.,Blood 94(4):1382−92(1999)
【非特許文献7】Renner et al.,Leukemina 11(Suppl.2):S55−9(1997)
【非特許文献8】Jacobsen et al.,(Clin.Immunol.Immunopathol.84:223(1997))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一定の遮断抗CD22モノクローナル抗体の固有の特性を利用したヒト患者におけるB細胞性腫瘍および自己免疫疾患の改良された臨床治療アプローチに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、本発明は、(1)有効量の配列番号1の天然のヒトCD22(hCD22)の第1の2つのIg様ドメインへまたは第1の2つのIg様ドメインに結合したエピトープに特異的に結合する遮断抗CD22モノクローナル抗体を患者に投与するステップと、(2)治療に対する悪性疾患の応答をモニタリングするステップとを含む、B細胞性腫瘍と診断されたヒト患者の治療方法に関する。
【0010】
さらなる態様では、本発明は、有効量の遮断抗CD22モノクローナル抗体を被験体に投与するステップと、任意選択的に(2)治療に対する自己免疫疾患の応答をモニタリングするステップとを含む、自己免疫疾患と診断された被験体(例えば、ヒト患者)の治療方法に関する。
【0011】
さらなる態様として、本発明は、有効量の遮断抗CD22モノクローナル抗体の被験体(例えば、ヒト被験体)への投与および任意選択的に(2)治療に対する応答のモニタリングによる、B細胞活性の減少、B細胞もしくはB細胞サブセット数の減少、B細胞もしくは特定のB細胞サブセットのさらに本質的な排除、B細胞の代謝回転の増大、および/またはB細胞による抗体産生の減少方法を提供する。「減少」は、少なくとも約25%、35%、50%、もしくは75%またはそれ以上の減少を意味する。「本質的な排除」は、少なくとも約90%、95%、98%、またはそれ以上の減少を意味する。「代謝回転の増大」は、少なくとも約25%、35%、50%、75%、100%、150%またはそれ以上の代謝回転率の上昇を意味する。
【0012】
特定の実施形態では、使用した抗体は、HB22−7(HB11347)、HB22−23(HB11349)、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196、好ましくはHB22−7、HB22−23、またはHB22−33、より好ましくはHB22−7またはHB22−33からなる群から選択される抗体と同一のエピトープと本質的に結合する。
【0013】
さらなる実施形態では、抗体は、そのリガンドとのCD22結合を少なくとも70%まで、好ましくは少なくとも80%まで遮断する。
【0014】
別の実施形態では、抗体は、配列番号9(HB22−5 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号13(HB22−13 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸、または配列番号19(HB22−196 VH配列)の1〜100のアミノ酸の配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む重鎖を含む。
【0015】
さらに別の実施形態では、抗体は、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、または配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸の配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVH配列を含む重鎖を含む。
【0016】
なおさらなる実施形態では、抗体は、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、および配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸の配列からなる群から選択されるVH配列を含む。
【0017】
異なる実施形態では、抗体は、配列番号21(HB22−5 Vκ配列)、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)、配列番号25(HB22−13Vκ配列)、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)、配列番号29(HB22−33 Vκ配列)、または配列番号31(HB22−196Vκ配列)のアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVκ配列を含む軽鎖を含む。
【0018】
特定の実施形態では、抗体は、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)、または配列番号29(HB22−33Vκ配列)のアミノ酸配列と少なくとも約95%の配列同一性を有するVκ配列を含む軽鎖を含む。
【0019】
さらなる実施形態では、抗体は、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)、および配列番号29(HB22−33Vκ配列)のアミノ酸配列からなる群から選択されるVκ配列を含む。
【0020】
好ましい実施形態では、抗体は、配列番号11(HB22−7 VH配列)の1〜97のアミノ酸、配列番号23(HB22−7 Vκ配列)のアミノ酸配列、配列番号15(HB22−23 VH配列)の1〜100のアミノ酸、配列番号27(HB22−23 Vκ配列)のアミノ酸配列、配列番号17(HB22−33 VH配列)の1〜98のアミノ酸、および配列番号29(HB22−33 Vκ配列)のアミノ酸配列からなる群から選択されるVH配列およびVκ配列を含む。
【0021】
異なる態様では、本発明は、上記で考察した任意の抗体の重鎖または軽鎖可変領域またはその任意の一部をコードする核酸に関する。
【0022】
さらなる態様のように、本発明は、上記で考察した重鎖または軽鎖可変領域またはその一部を含むポリペプチドを提供する。
【0023】
ターゲティングされる病態は、任意の型の自己免疫疾患またはB細胞性腫瘍(局在化B細胞性腫瘍が含まれるが、これに限定されない)またはB細胞または抗体が関与する任意の他の病態であり得る。B細胞性腫瘍の典型的な例は、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、および前リンパ性白血病のB細胞サブタイプである。
【0024】
本発明の治療方法を、悪性B細胞または自己免疫疾患の任意のさらなる治療を行うことなく実施することができる。B細胞性腫瘍に関して、本発明の治療方法は、典型的には、治療なし、この抗体と放射線療法との組み合わせ、または放射線療法のみと比較した場合、治癒率の改善および/または生存率の増大および/または優れた腫瘍体積の減少を提供する。
【0025】
抗体は、完全な抗体または抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント、ダイアボディ(diabody)、線状抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多特異性抗体が含まれる)であり得る。したがって、抗体は、さらなる抗原特異性を有し得る(例えば、二重特異性抗体であり得る)。二重特異性抗体は、例えば、CD22の別のエピトープにさらに結合することができる。さらに、二重特異性抗体は、他の抗原(CD19、CD20、CD52、CD3、CD28、またはHLA−DR10(Lym−1)など)またはFc受容体(例えば、CD16、CD64、およびCD89)に対する結合特異性を有し得る。
【0026】
抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、またはヒト抗体であり得る。
【0027】
反復静脈内注射による静脈内(i.v.)投与などの任意の従来の経路によって抗体を投与することができる。
【0028】
治療に対する応答を、当業者に周知の方法(例えば、当業者に公知の磁気共鳴映像法(MRI)または自己免疫疾患の臨床指標の改善もしくは安定性の測定による固形腫瘍の縮小のモニタリングが含まれる)によってモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】Ig様ドメイン(ドメイン1〜7)の境界を示したヒトCD22(hCD22)のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】111In−2IT−BAD−抗CD22(HB−22−7)を注射したRajiおよびRamos腫瘍保有ヌードマウスの全身オートラジオグラフィを示す図である。マウスを屠殺し、注射から48時間後にオートラジオグラフィを行った。上の画像はRaji腫瘍保有マウスであり、下の画像はRamos腫瘍保有マウスである。
【図3】081500試験における125uCi90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1(RIT)のみ、抗CD22(HB22−7)のみ、またはRITおよびHB−22−7(CMRIT)の3つの異なる配列で処理したか未処理のRaji異種移植マウスの腫瘍体積の一時的評価を示す図である。1週間に3回腫瘍体積を評価した。各処置群のマウス数を表に示す(表2)。
【図4】全ての独立した異種移植片試験で認められた腫瘍体積分析のまとめを示す図である。図2に記載のように試験を行った。各試験のマウス数を表に示す(表2)。
【図5】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスの応答率および治癒率を示す図である。腫瘍応答を以下のように分類した:C、治癒(腫瘍が消滅し、84日間の研究終了時点で再生しない);CR、完全な後退(少なくとも7日間腫瘍が消滅するが、その後再生する);PR、部分的後退(少なくとも7日間腫瘍体積が50%またはそれ以上減少し、その後再生する)。データは、全ての独立した試験の結果を示す。
【図6】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスの全生存を評価した。腫瘍が2000mgを超えた時点または84日間の試験終了時点でマウスを安楽死させた。データは、全ての独立した試験の結果を示す。
【図7】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスにおける1週間に2回の白血球(WBC)数(図7b)、赤血球(RBC)数(図7c)、および血小板数(図7a)の測定によって血液毒性を評価した。RITのみと比較した場合、CMRIT群における血液毒性に相違はなかった。さらに、HB22−7のみで処置したマウスでは血液毒性は認められなかった。
【図8】図2に記載のように処置したRaji異種移植マウスにおいて1週間に2回に体重の測定によって非血液毒性を評価した。5つ全ての異種移植試験の任意の処置群において体重の有意差は認められなかった。
【図9】RITでの処置開始後から5日間毎日全身(WB)および血液の放射能の測定によってRITクリアランスを評価した。90YのT1/2に基づいた衰退の調整後に結果を報告した。任意のCMRIT処置群においてRITクリアランスの有意差は認められなかった。
【図10】リガンド結合を遮断する抗CD22抗体(Ab)のVHアミノ酸配列分析を示す図である。各Abのアミノ酸ナンバリングおよびコード配列起源の表示は、Kabatet al.の慣例(Sequencesof Proteinsof ImmunologicalInterest、U.S.Government Printing Office、Bethesda、MD、1991)に従い、アミノ酸1〜94位、CDR1および2、FR1、2、および3はVH遺伝子にコードされる。5’PCRプライマーと重複する配列は示さない。点は、類似のアミノ酸配列のアラインメントを最大にするために配列中に挿入したギャップを示す。明確にするために配列中のVHセグメントと、Dセグメントと、Jセグメントとの間にギャップを導入した。示した配列の順序は、HB22−5配列との関係に基づいた。
【図11】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図12】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図13】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図14】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図15】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図16】ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。D領域の配列に下線を引く。
【図17】リガンド結合を遮断する抗CD22Abの軽鎖Vκアミノ酸配列分析を示す図である。各Abのアミノ酸ナンバリングおよびコード配列起源の表示は、Kabatet al.(前出)の慣例に従う。推定シグナル配列切断部位の後ろのアミノ酸を1とする。点は、類似のアミノ酸配列のアラインメントを最大にするために配列中に挿入したギャップを示す。明確にするために配列中のVκセグメントと、Jセグメントと、κ定常領域(二重下線)配列との間にギャップを導入した。
【図18】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図19】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図20】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図21】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図22】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【図23】ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す図である。5’PCRプライマーと重複する配列を、二重下線で示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
他で定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書中に記載の本発明の説明で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図しない。
【0031】
本明細書中に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、および他の引例は、参照することによりその全体が本明細書中に組み込まれる。
【0032】
A.定義
他で定義しない限り、本明細書中で使用される技術用語および科学用語は、本発明に属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。
【0033】
当業者は、本発明の実施において使用することができる本明細書中に記載のものと類似または等価の多数の方法および材料を認識する。実際、本発明は、記載の方法および材料に決して限定されない。本発明の目的のために、以下の用語を以下のように定義する。
【0034】
用語「免疫グロブリン」(Ig)を、血清のグロブリンタンパク質の免疫付与部分および天然に存在得しないが同一の機能的特徴を有し得る他の糖タンパク質をいうために使用する。用語「免疫グロブリン」または「Ig」には、特に、「抗体」(Ab)が含まれる。抗体は特定の抗原に対して結合特異性を示し、免疫グロブリンには、抗体および抗原特異性を欠く他の抗体様分子が含まれる。天然の免疫グロブリンは、血漿細胞と呼ばれる分化B細胞によって分泌され、いかなる抗原特異性も有さない免疫グロブリンはリンパ系にて低レベルで産生され、骨髄腫によってそのレベルが増大する。本明細書中で使用される、用語「免疫グロブリン」、「Ig」、およびその文法上の変形形態を、抗体(上記定義)および抗原特異性を有さないIg分子を含めるために使用する。
【0035】
天然の免疫グロブリンは、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖と連結し、ジスルフィド結合数は異なる免疫グロブリンイソ型の重鎖によって変化する。各重鎖および軽鎖はまた、規則正しい間隔の鎖内ジスルフィド結合を有する。各重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VH)を有し、その後に多数の定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VL)を有し、他方の末端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと共に整列し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと共に整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖の可変ドメインの間に境界を形成すると考えられる。
【0036】
血清中で見出される主なIgイソ型(クラス)および括弧内に示す対応Ig重鎖を以下に列挙する。
【0037】
IgG(γ鎖):血清中の主なIgであり、抗原に応答して惹起される主な抗体であり、この抗体は胎盤を通過する。
【0038】
IgE(ε鎖):このIgは肥満細胞および好塩基球と強固に結合し、さらに抗原と結合した場合、ヒスタミンおよび直接的過敏性の他のメディエーターを放出させ、主にアレルギー反応(花粉症、喘息、および過敏症が含まれる)で中心的な役割を果たし、寄生虫に対して防御的役割を果たし得る。
【0039】
IgA(α鎖):このIgは、唾液、涙、粘液、および初乳などの外分泌物中に存在する。
【0040】
IgM(μ鎖):抗原に応答して最初に誘導されるIgであり、典型的にはその後に産生される他の抗体イソ型より親和性が低く、典型的には5量体である。
【0041】
IgD(δ鎖):このIgは臍帯血中に比較的高濃度で見出され、抗原の初期細胞受容体であり、主なリンパ球細胞表面分子である。
【0042】
用語「抗体」を、本明細書中で最も広い意味で使用し、特にモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメント(所望の生物活性を示す限り)を対象とする。
【0043】
「抗体フラグメント」は、全長抗体の一部(一般に、抗原結合ドメインまたは可変(V)ドメイン)を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント、ダイアボディ(diabody)、線状抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多特異性抗体が含まれる。
【0044】
本明細書中で使用される、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一の抗体集団から得られた抗体をいう(すなわち、少量で存在し得る可能な天然に存在する変異体以外の集団を含む各抗体が同一である)。モノクローナル抗体は、特異性が高く、1つの抗原部位に指向する。さらに、従来の(ポリクローナル)抗体調製物(典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体が含まれる)と対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の1つの決定基に指向する。
【0045】
本明細書中のモノクローナル抗体には、特に、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)およびこのような抗体のフラグメント(所望の生物活性を示す限り)が含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrisonet al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:6851−6855(1984);Oi et al.,Biotechnologies 4(4):214−221(1986);Liu etal.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−43(1987))。
【0046】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」または「CDR移植」形態は、レシピエントの超可変領域の残基が所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域の残基に置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基もまた対応する非ヒト残基に置換する(いわゆる、「復帰変異(backmutation)」)。さらに、ヒト化抗体を、抗体の性質(親和性など)をさらに改良するためのレシピエント抗体またはドナー抗体で見出されない残基を含むように修飾することができる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てまたは実質的に全ての超可変領域が非ヒト免疫グロブリンの超可変領域に対応し、且つ全てまたは実質的に全てのFRがヒト免疫グロブリン配列のFRである。ヒト化抗体は、任意選択的に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも定常領域の一部も含む。さらなる詳細については、Joneset al.,Nature321:522−525(1986);およびReichmann et al.,Nature 332:323−329(1988)を参照のこと。
【0047】
「一本鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、これらのドメインは1つのポリペプチド鎖中に存在する。一般に、FVポリペプチドは、抗原結合のためにsFvを所望の構造に形成することができるVHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthunin ThePharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,RosenburgおよびMoore eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照のこと。
【0048】
用語「ダイアボディ(diabody)」は、同一のポリペプチド鎖(VH−VL)中に軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した重鎖可変ドメイン(VH)を含む2つの抗原結合部位を有する小抗体フラグメントをいう。同一鎖上で2つのドメイン間の対合には短すぎるリンカーの使用によって、ドメインは別の鎖の相補性ドメインとの対合を強いられ、2つの抗原結合部位が作製される。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;WO93/11161;およびHollingeret al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444−6448(1993)にさらに完全に記載されている。
【0049】
表現「線状抗体」は、本出願全体で使用される場合、Zapata et al.Protein Eng.8(10):1057−1062(1995)中に記載の抗体をいう。簡単に述べれば、これらの抗体は、抗原結合領域対を形成する縦列Fdセグメント対(VH−CH1−VH−CH1)を含む。線状抗体は、二重特異性または単一特異性であり得る。
【0050】
IgG、IgE、IgA、IgM、およびIgDイソ型の抗体は、これらがその重鎖の定常領域が異なる場合でさえも、同一の可変領域(すなわち、同一の抗原結合溝)を有し得る。免疫グロブリン(例えば、抗体)の定常領域は、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、種々のエフェクター機能(抗体依存性細胞傷害性(ADCC)における抗体の関与など)を示す。
【0051】
いくつかの主な抗体イソ型(クラス)は、さらなるサブクラスに分類される。IgGは、4つの公知のサブクラス:IgG1(γ1)、IgG2(γ2)、IgG3(γ3)、およびIgG4(γ4)を有し、IgAは、2つの公知のサブクラス:IgA1(α1)およびIgA2(α2)を有する。
【0052】
用語「エピトープ」を、タンパク質抗原に対する(モノクローナルまたはポリクローナル)抗体の結合部位をいうために使用する。
【0053】
天然配列のヒトCD22のアミノ酸配列内のドメイン1および/または2または特に本明細書中に開示の任意のモノクローナル抗体によって結合した本質的に同一のエピトープ(HB22−7、HB22−23、およびHB22−33など)に結合する抗体を、「エピトープマッピング」によって同定することができる。タンパク質上のエピトープの位置のマッピングおよび特徴づけについては当分野で公知の方法が多数存在する(例えば、Chapter11 ofHarlow andLane,Using Antibodies,a LaboratoryManual,Cold SpringHarbor LaboratoryPress,Cold SpringHarbor,New York,1999に記載の抗体−抗原複合体の結晶構造の解明、競合アッセイ、遺伝子フラグメント発現アッセイ、および合成ペプチドベースのアッセイが含まれる)。遺伝子フラグメント発現アッセイによれば、タンパク質をコードする読み取り枠を無作為または特定の遺伝子構造によって断片化し、試験されるべき抗体内のタンパク質の発現フラグメントの反応性を決定する。遺伝子フラグメントを、例えば、PCRによって産生し、転写し、放射性アミノ酸の存在下でinvitroでタンパク質に翻訳することができる。次いで、放射性標識タンパク質フラグメントへの抗体の結合を、免疫沈降およびゲル電気泳動によって決定する。ファージ粒子の表面上にディスプレイされたランダムペプチド配列の巨大ライブラリー(ファージライブラリー)の使用によって、一定のエピトープを同定することもできる。あるいは、所定の重複ペプチドフラグメントライブラリーを、簡単な結合アッセイにおいて試験抗体への結合について試験することができる。後者のアプローチは、約5〜15アミノ酸の線状エピトープの定義に適切である。
【0054】
抗体は、2つの抗体が同一または立体的に重複するエピトープを認識する場合、基準抗体と「本質的に同一のエピトープ」に結合する。2つのエピトープが同一または立体的に重複するエピトープに結合するかどうかを決定する最も広範に使用され且つ迅速な方法は、標識抗原または標識抗体のいずれかを使用して全ての異なる形式数で構成することができる競合アッセイ(例えば、競合ELISAアッセイ)である。通常、抗原を96ウェルプレートに固定し、非標識抗体が標識抗体の結合を遮断する能力を放射性標識または酵素標識を使用して測定する。
【0055】
本明細書中で使用される、用語「アミノ酸またはアミノ酸残基」は、変異型に関して以下にさらに記載の天然に存在するL型アミノ酸またはD型アミノ酸をいう。一般的に使用されているアミノ酸の一文字表記および酸文字表記を本明細書中で使用する(BruceAlberts etal.,Molecular Biology of the Cell,Garland Publishing,Inc.,New York(3ded.1994))。
【0056】
本明細書中で使用される、用語「ポリペプチド」は、ペプチドおよびタンパク質(融合タンパク質が含まれる)を含む。
【0057】
「配列同一性」は、配列を整列させ、必要に応じて配列同一率を最大にするためにギャップを導入し、配列同一性の一部としていかなる保存的置換を考慮せずに天然のポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一な候補配列中のアミノ酸残基の比率として定義する。配列同一率を、Altschulet al.,(1997),‘‘GappedBLAST andPSI−BLAST:a newgeneration ofprotein databasesearch programs’’,NucleicAcids Res.,25:3389−3402によって定義されたNCBIBLAST2.0ソフトウェアによって得ることができる。ミスマッチのペナルティを−1に設定する以外はパラメーターをデフォルト値に設定する。
【0058】
本明細書中で使用される、「治療」または「治療すること」は、有利か所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のために、有利か所望の臨床結果には、症状の緩和、疾患範囲の縮小、疾患の安定化(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延もしくは減速、疾患状態の改善もしくは緩和、および検出可能または検出不可能な沈静(部分的または全体)が含まれるが、これらに限定されない。「治療」または「治療すること」はまた、治療を受けていない場合の推定生存度と比較した生存の延長を意味し得る。「治療」または「治療すること」は、障害の発症を予防するか病態を変化させるために行う介入であえる。したがって、「治療」または「治療すること」は、治療上の処置および予防または防止手段をいう。治療が必要な者には、既に障害を有する者および障害を防止すべき者が含まれる。自己免疫疾患に関して、治療により、被験体の自己免疫疾患の少なくとも1つの臨床症状がいくらか改善、改善、安定化、および/または遅延する。B細胞性腫瘍では、治療により、悪性細胞数が減少し、腫瘍サイズが減少し、悪性細胞の拡大(周辺器官(例えば、柔組織または骨)への浸潤が含まれる)が阻害され(減速または停止)、転移が阻害され(減速または停止)、腫瘍成長が阻害され、B細胞性腫瘍に関連する症状から救済され、死亡率が減少し、生活の質を改良することなどができる。本明細書中の抗体を使用した治療により、細胞成長抑制効果および/または細胞傷害効果を得ることができる。
【0059】
用語「B細胞性腫瘍」およびその文法上の変形形態を、典型的には、リンパ系組織(骨髄またはリンパ節など)で惹起するが、非リンパ系組織(甲状腺、胃腸管、唾液腺、および結膜など)でも惹起し得るB細胞の悪性疾患または新生物をいうために最も広い意味で使用する。本発明の治療方法は、特に、CD22陽性B細胞悪性腫瘍(非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病、および前リンパ性白血病のB細胞サブタイプが含まれるが、これらに限定されない)に関する。
【0060】
用語「自己免疫疾患」は、正常な生体組織と反応する抗体集団に起因するかこれらによって悪化する病態をいう。これは、免疫系が身体自体の器官および組織を誤って攻撃する病態である。
【0061】
B.詳細な説明
1.抗体
HB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196と呼ばれる遮断抗CD22モノクローナル抗体が公知であり、米国特許第5,484,892号、Tuscanoet al.,Eur.J.Immunol.26:1246(1996),およびTuscanoet al.,Blood94(4),1382−1392(1999)で開示されている。HB22−7およびHB22−23は、AmericanType CultureCollection(ATCC),12302 Parklawn Drive,Rockville,Md.20852からそれぞれアクセッション番号HB22347およびHB11349で利用可能である。これらの抗体の調製物は、以下の実施例1にも記載されている。CD22のエピトープマッピングは、遮断モノクローナル抗体がヒトCD22の第1の2つのIg様ドメインまたは第1の2つのIg様ドメインに結合するエピトープに結合することが示されている(米国特許第5,484,892号およびTedderet al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997))。抗体の重鎖可変領域配列および軽鎖可変領域配列もまた、本出願で開示されている。
【0062】
本発明は、B細胞型非ホジキンリンパ腫(NHL)の異種移植片モデルで得られた結果に基づいたB細胞性腫瘍の治療におけるHB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196の全特徴を有する遮断抗CD22抗体の予想外の優れた特性に一部基づく。本発明は、さらに、自己免疫疾患の治療におけるHB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、およびHB22−196の全特徴を有する遮断抗CD22抗体の使用に基づく。
【0063】
抗CD22モノクローナル抗体を、当分野で公知の任意の標準的方法(例えば、ハイブリドーマ法(Koehlerand Milstein,Nature256:495−497(1975);およびGoding,MonoclonalAntibodies:Principles and Practice,pp.59−103(AcademicPress,1986))など)または組換え技術(例えば、米国特許第4,816,567号およびWoodet al.,Nature314:446−9(1985)に開示)によって作製することができる。
【0064】
現在、免疫化時に内因性免疫グロブリンを産生しないでヒト抗体レパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を産生することも可能である。例えば、キメラマウスおよび生殖系列変異マウス中の抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失により内因性抗体産生が完全に阻害されることが記載されている。このような生殖系列変異マウス中へのヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの導入により、抗原攻撃誘発時にヒト抗体が産生される。例えば、Jakobovitset al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90,2551−255(1993);Jakobovits et al.,Nature 362,255−258(1993)を参照のこと。
【0065】
Mendez etal.(Nature Genetics15:146−156(1997))は、テクノロジーをさらに改良し、抗原で攻撃誘発した場合に高親和性の完全なヒト抗体を産生する「キセノマウスII」と命名されたトランスジェニックマウス系列を作製した。上記のように内因性JHセグメントが欠失したマウスへの巨大塩基(megabase)高親和性重鎖および軽鎖遺伝子座の生殖系列組み込みによってこれを行った。キセノマウスIIは、約66個のVH遺伝子、完全なDH領域およびJH領域ならびに3つの異なる定常領域(μ、δ、およびχ)を含む1,020kbのヒト重鎖遺伝子座を保有し、32個のVκ遺伝子、Jκセグメント、およびCκ遺伝子を含む800kbのヒトκ遺伝子座も保有する。これらのマウスで産生された抗体は、あらゆる点で(遺伝子再配列、アセンブリ、およびレパートリーが含まれる)ヒトで認められる抗体と酷似している。ヒト抗体は、マウス遺伝子座中の遺伝子の再整列を防止する内因性JHセグメント中の欠失による内因性生抗体よりも優先して発現される。
【0066】
あるいは、ファージディスプレイテクノロジー(McCafferty et al.,Nature 348,552−553(1990))を使用して、非免疫化ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからinvitroでヒト抗体および抗体フラグメントを産生することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子をインフレームで繊維状バクテリオファージの主要または副外殻タンパク質遺伝子(M13またはfdなど)のいずれかにクローン化し、ファージ粒子の表面上に機能的抗体フラグメントとしてディスプレイする。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的特性に基づいた選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子もまた選択される。したがって、ファージはB細胞のいくつかの特性を模倣する。種々の形式でファージディスプレイを行うことができる;概説については、例えば、Johnson,KevinS.and Chiswell,DavidJ.,Current Opinionin StructuralBiology 3,564−571(1993)を参照のこと。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイのために使用することができる。Clacksonet al.,Nature352,624−628(1991)は、免疫化マウスの脾臓由来のV遺伝子のタンデム組み合わせ小ライブラリーから種々の抗オキサゾロン抗体アレイを単離した。非免疫化ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築し、種々の抗原アレイ(自己抗原を含む)に対する抗体を、本質的に、Markset al.,J.Mol.Biol.222,581−597(1991)またはGriffithet al.,EMBOJ.12,725−734(1993)に記載の技術にしたがって単離することができる。天然の免疫応答では、抗体遺伝子が高い比率で蓄積される(体細胞超変異)。導入されたいくつかの変化により高親和性が扶養され、高親和性表面免疫グロブリンをディスプレイするB細胞が優先的に複製され、その後の抗原攻撃誘発時に分化する。この天然のプロセスを、「鎖シャフリング」(Markset al.,Bio/Technol.10,779−783[0077])として公知の技術の使用によって模倣することができる。この方法では、ファージディスプレイによって得られた「一次」ヒト抗体の親和性を、重鎖および軽鎖のV領域遺伝子の非免疫化ドナーから得られたVドメイン遺伝子の天然に存在する変異型のレパートリー(レパートリー)への連続的置換によって改良することができる。この技術により、nM範囲で親和性を有する抗体および抗体フラグメントを産生可能である。非常に巨大なファージ抗体レパートリーの作製ストラテジーは、Waterhouseet al.,Nucl.AcidsRes.21,2265−2266(1993)に記載されている。
【0067】
モノクローナル抗体の産生に関するさらなる情報については、Goding,JW.,Monoclonal Antibodies:Principles andPractice,3rd Edition,Academic Press,Inc.,London,SanDiego,1996;Liddell and Weeks:Antibody Technology:A Comprehensive Overview,Bios ScientificPublishers:Oxford,UK,1995;Breitlingand Dubel:RecombinantAntibodies,John Wiley & Sons, New York,1999;and PhageDisplay:A LaboratoryManual,Barbas et al.,editors,Cold Springs Harbor Laboratory,Cold SpringHarbor,2001も参照のこと。
【0068】
抗体フラグメント産生のための種々の技術が開発されている。伝統的には、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク分解消化に由来していた(例えば、Morimotoet al.,J.Biochem.Biophys.Methods24:107−117(1992)およびBrennan et al.,Science 229:81(1985)を参照のこと)。しかし、現在、これらのフラグメントを、組換え宿主細胞によって直接産生することができる。例えば、Fab’−SHフラグメントを、E.coliから直接回収し、化学的に結合させてF(ab’)2フラグメントを形成することができる(Carteret al.,Bio/Technology10:163−167(1992))。別の実施形態によれば、F(ab’)2分子の構造を促進するためにロイシンジッパーGCN4を使用してF(ab’)2を形成する。別のアプローチでは、Fv、Fab、またはF(ab’)2フラグメントを、組換え宿主細胞培養物から直接単離することができる。他の抗体フラグメント産生技術は、当業者に明らかである。
【0069】
2つの共有結合された抗体から構成されるヘテロコンジュゲート体抗体も本発明の範囲内である。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞にターゲティングするため(米国特許第4,676,980号)およびHIV感染の治療のため(PCT出願公開WO91/00360号およびWO92/200373号)に提案されている。ヘテロコンジュゲート体抗体を、周知の市販の架橋剤を使用した任意の従来の架橋方法を使用して作製することができる。
【0070】
げっ歯類、ヒト、またはヒト化されている本発明の抗体はまた、二重特異性抗体を形成するためのさらなる抗原特異性を有し得る。例えば、CD19、CD20、CD52、およびB細胞上で発現する他のCD抗原などのさらなるB細胞抗原、特にターゲティングされたB細胞性腫瘍に結合する抗原に対する第2の結合特異性を指示することができる。例えば、CD20は90%を超える非ホジキンリンパ腫で発現することが公知である。抗CD20抗体(Rituxan(登録商標)、IDECPharmaceuticals)は、非ホジキンリンパ腫の治療で臨床的に使用されている。CAMPATH−1H(抗CD52w)は、B細胞性腫瘍治療のために開発された別の抗体である。CD20またはCD52抗原に対する結合特異性を含む二重特異性抗体は、特に本発明の範囲内に含まれる。本発明の二重特異性抗体が結合することができる別のB細胞抗原は、HLA−DR10(Lym−1)(非ホジキンリンパ腫の公知のマーカー)である。腫瘍局在化の増強ならびに腫瘍特異性免疫応答の漸増および/または増大のために二重特異性抗体を作製することができる。他の抗原標的の例には、CD3、CD28、およびFc受容体(CD16、CD64、およびCD89)が含まれる。二重特異性抗体は、細胞傷害性を増強し、その結果沈静率および生存率が改善されると予想される。
【0071】
HB22−7、HB22−23、HB22−33、HB22−5、HB22−13、および/またはHB22−196と本質的に同一のエピトープに結合する抗体を、エピトープ対合によって同定することができる。2つの異なる抗体が同一のエピトープを認識するかどうかの最も簡単な決定方法は、競合結合アッセイである。この方法は、抗体が抗原への互いの他の結合を遮断できるかどうかを決定し、高次構造および線状のエピトープの両方について調査する。競合結合アッセイを、標識抗原または標識抗体のいずれかを使用して非常に多数の異なる形式で構成することができる。このアッセイの最も一般的なバージョンでは、抗原を96ウェルプレートに固定する。次いで、抗原への標識抗体の結合を遮断する非標識抗体の能力を、放射性標識または酵素標識を使用して測定する。さらなる詳細については、例えば、Wageneret al.,J.Immunol.,130:2308−2315(1983);Wageneret al.,J.Immunol.Methods,68:269−274(1984);Kurokiet al.,CancerRes.50:4872−4879(1990);Kuroki et al.,Immunol.Invest.21:523−538(1992);Kurokiet al.,Hybridoma11:391−407(1992)およびUsing Antibodies:A Laboratory Mannual,Ed Harlow and David Lane editors,Cold Springs Harbor Latoratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1999,pp.386−389を参照のこと。
【0072】
あるいは、またはさらに、抗体が結合する抗原の断片化に基づいた技術の使用または無作為もしくは特異的遺伝子構築の使用および抗体を使用して得られたフラグメントの反応性の決定によってエピトープマッピングを行うことができる。例えば、PCR技術およびその後の転写および放射性アミノ酸の存在下でのinvitroでのタンパク質の翻訳によって核酸レベルで断片化することもできる。さらなる詳細については、例えば、Harlowand Lane,supra,pp.390−392を参照のこと。
【0073】
さらなるエピトープマッピング方法によれば、1組の重複ペプチドを合成し(それぞれタンパク質抗原の小線状セグメントに対応)、固相上に整列させる。次いで、ペプチドパネルを、試験抗体で探索し、結合した抗体を酵素標識二次抗体を使用して検出する(Harlowand Lane,supra,pp.393−396)。
【0074】
当分野で周知のさらなるエピトープマッピング方法は、ランダム合成またはファージディスプレイペプチドライブラリーからの抗体選択である。f1型ssDNAファージの副外殻タンパク質遺伝子のアミノ末端へのペプチドコードオリゴヌクレオチドの複合体混合物のクローニングによって、ファージディスプレイライブラリーを構築する。このようなファージディスプレイライブラリーは、例えば、NewEngland Biolabsから市販されている。ストックとしてライブラリーを増幅し、次いで、それぞれ独立したクローンの多コピーを得るのに十分なアリコートを、目的の抗体と混合する。抗体結合ファージを「バイオパニング」と呼ばれる手順によって回収し、非結合ファージを除去する。結合したファージを溶離し、これを使用して細菌に感染させ、選択されたストックを増幅する。最終的に選択されたストックの各プラークを成長させ、例えば、ELISAによって特異的抗体反応性についてチェックし、インサート部位周囲のDNAを配列決定する。抗体が結合するペプチドをコードする配列の分析により、抗体の特異性が定義される。さらなる詳細については、例えば、Smithand Scott,MethodsEnzymol.217:228−257(1993)およびHarlow and Lane,supra,pp.397−398を参照のこと。
【0075】
非ヒト(げっ歯類)抗体を、ヒト臨床適用により適切になるようにさらに修飾することができる。ヒト定常ドメイン遺伝子セグメントにスプライシングされる所望の特異性のマウス可変領域遺伝子を有するキメラ抗体を産生する(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。
【0076】
ヒト治療において抗体を使用した場合の抗原性の問題を回避するために非ヒト(げっ歯類)抗体をヒト化することもできる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト供給源由来の抗体に移入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「インポート」残基といわれ、典型的には、「インポート」可変ドメインから得られる。ヒト抗体の対応する配列のげっ歯類CDRまたはCDR配列への置換による、Winterand co−workerの方法(Joneset al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmannet al.,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenet al.,Science,239:1534−1536(1988))に従って本質的にヒト化することができる。抗体のヒト化が比較的単純な性質であるにもかかわらず、ヒトフレームワーク(FR)へのげっ歯類CDRの簡単な移植では常に元のげっ歯類モノクローナル抗体の結合親和性および特異性が再構成されるわけではない。ヒト化抗体の特性を、適切なデザイン(例えば、ヒトフレームワークへのげっ歯類抗体由来の残基の置換(復帰突然変異)が含まれる)によって改良することができる。配列および構造分析または可変領域の三次元構造モデルの分析によってこのような復帰突然変異の位置を決定することができる。さらに、ファージディスプレイライブラリーを使用して、抗体配列内の選択された位置のアミノ酸を変化させることができる。ヒト化抗体の特性は、ヒトフレームワークの選択にも影響を受ける。初期の実験では、げっ歯類モノクローナル抗体に対する配列同一性と無関係に使用される十分に特徴付けられたヒトモノクローナル抗体のサブセットは限られていた(いわゆる固定化フレームワークアプローチ)。より最近では、いくつかのグループがげっ歯類可変領域に対するアミノ酸配列同一性が高い可変領域を使用している(相同性マッチングまたはベストフィット法)。別のアプローチによれば、コンセンサス配列または生殖系列配列を使用するか、軽鎖または重鎖の各可変領域内のフレームワーク配列のフラグメントを、いくつかの異なるヒトモノクローナル抗体から選択する。
【0077】
上記で考察した任意の技術または他の利用可能な技術によって調製された抗体のアミノ酸変異型を、抗CD22DNAへの適切なヌクレオチド変化の導入または例えばペプチド合成によって調製することができる。このアミノ酸の変化もまた、ヒト化抗体または変異抗CD22抗体の翻訳後プロセシングを変化させることができる(グリコシル化部位の数または位置の変化など)。
【0078】
抗体を、その定常領域中の保存された位置でグリコシル化する(Jefferisand Lund,Chem.Immunol.65:111−128(1997);Wrightand Morrison,TibTECH15:26−32 (1997))。免疫グロブリンのオリゴ糖部位の鎖は、タンパク質機能(Boydet al.,Mol.Immunol.32:1311−1318(1996);Wittwe and Howard,Biochem.29:4175−4180(1990))および高次構造に影響を与えることができる糖タンパク質の一部と提示された糖タンパク質の三次元表面との間の分子内相互作用(Jefferisand Lund,supra;Wyssand Wagner,CurrentOpin.Biotech.7:409−416 (1996))に影響を与え得る。オリゴ糖はまた、特異的認識構造に基づいた一定の分子への所与の糖タンパク質のターゲティングに役立ち得る。例えば、アガラクトシル化IgGでは、オリゴ糖部分がCH2内部空間から「反転し(flip)」、末端N−アセチルグルコサミン残基がマンノース結合タンパク質の結合に利用可能になることが報告されている(Malhotraet al.,NatureMed.1:237−243 (1995))。糖ペプチドによるCAMPATH−1H(ヒトリンパ球のCDw52抗原を認識する組換えヒト化マウスモノクローナルIgG1抗体)からのオリゴ糖の除去により、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で補体媒介溶解(CMCL)が完全に減少し(Boydet al.,Mol.Immunol.32:1311−1318(1996))、ノイラミニダーゼを使用したシアリン酸残基の選択的除去によりCMCLが同様に減少した。抗体のグリコシル化により、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に影響があることも報告されている。特に、β(1,4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))(二等分されたGlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼ)のテトラサイクリン調製発現を有するCHO細胞は、ADCC活性が改良されることが報告された(Umanaet al.,MatureBiotech.17:176−180(1999))。
【0079】
基礎をなすヌクレオチド配列中のグリコシル化部位の修飾によって、抗体のグリコシル化変異型を調製することができる。さらに、基礎をなすヌクレオチド配列を変化させることなく抗体のグリコシル化を変化させることもできる。グリコシル化は、抗体の発現に使用した宿主細胞に非常に依存する。潜在的治療法として組換え糖タンパク質(例えば、抗体)の発現のために使用した細胞型がほとんど天然の細胞ではないので、抗体のグリコシル化パターンの有意な変形形態を期待することができる(例えば、Hseet al.,J.Biol.Chem.272:9062−9070(1997)を参照のこと)。宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生時のグリコシル化に影響を与える要因には、成長様式、培地処方、培養物の密度、酸化、pH、および精製スキームなどが含まれる。オリゴ糖産生に関与する一定の酵素の移入または過剰発現を含む特定の宿主生物において達成されるグリコシル化パターンを変化させる種々の方法が提案されている(米国特許第5,047,335号;同第5,510,261号および同第5,278,299号)。例えば、エンドグリコシダーゼH(EndoH)を使用して、糖タンパク質からグリコシル化または一定型のグリコシル化を酵素的に除去することができる。さらに、組換え宿主細胞を遺伝子操作することができる(例えば、一定の型の多糖のプロセシングを欠損させる)。これらおよび類似の技術は、当分野で周知である。
【0080】
本発明の抗体を、抗体指向性(directed)酵素プロドラッグ療法(ADEPT)によって使用することもできる。ADEPTは、触媒酵素を癌細胞表面にターゲティングするために腫瘍抗原をターゲティングするモノクローナル抗体の特異性を利用するテクノロジーである。酵素は、抗癌薬のプロドラッグ形態(例えば、ペプチジル化学療法薬、WO81/01145を参照のこと)をその完全に活性な形態に活性化する位置に存在する。例えば、WO88/07378号および米国特許第4,975,278号を参照のこと。
【0081】
本発明の方法で有用な酵素には、リン酸含有プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なアルカリホスファターゼ;硫黄含有プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なアリールスルファターゼ;無毒の5−フルオロシトシンの抗癌薬(5−フルオロウラシル)への変換に有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、スブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、およびカテプシン(カテプシンBおよびL)などのプロテアーゼ;D型アミノ酸置換基を含むプロドラッグの変換に有用なD−アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なβ−ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの炭水化物切断酵素;β−ラクタムで誘導体化されたプロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なβ−ラクタマーゼ;およびアミン窒素でフェノキシアセチル基またはフェニルアセチル基で誘導体化されたプロドラッグの遊離の薬物への変換に有用なペニシンアミダーゼ(ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなど)が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、酵素活性を有する抗体(当分野で「アブザイム」として公知である)を使用して本発明のプロドラッグを遊離の活性薬物に返還することができる(例えば、Massey,Nature328:457−458 (1987)を参照のこと)。アブザイムの腫瘍細胞集団への送達のために、抗体−アブザイムコンジュゲート体を本明細書中に記載のように調製することができる。
【0082】
本明細書中の抗体の免疫コンジュゲート体も特に本発明に含まれる。免疫コンジュゲート体は、化学療法薬、毒素、または放射性同位体などの細胞傷害薬にコンジュゲートした抗体を含む。
【0083】
詳細には、本明細書中の抗CD22抗体の有効性を、標的部位に放射線治療を特異的にターゲティングする(放射線治療)ための細胞傷害性放射性同位体へのコンジュゲートによってさらに増強することができる。適切な放射性同位体には、例えば、臨床治療で使用されるI131およびY90が含まれる。他の適切な放射性同位体には、In111、Cu67、I131、As211、Bi212、Bi213、およびRe186が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
免疫コンジュゲート体の作製に有用な化学療法薬には、例えば、アドリアマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タキソイド(例えば、パクリタキセル(Taxol、Bristol−Myers−SquibbOncology,Priceton,NJ)およびドキセタキセル(Taxotere、Rhone−PoulencRorer,Antony,Rnace)など)、トキソテル(toxotere)、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド、マイトマイシンC、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(米国特許第4,675,187号を参照のこと)、5−FU、6−チオグアニン、6−メルカプトプリン、アクチノマイシンD、VP−16、クロラムブシル、メルファラン、および他の関連ナイトロジェンマスタードが含まれる。
【0085】
本明細書中の免疫コンジュゲート体で使用される毒素には、例えば、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセンが含まれるが、これらに限定されない。特に、抗体−メイタンシノイドコンジュゲート体および抗体−カリケアミシンコンジュゲート体が含まれる。メイタンシノイドを含む免疫コンジュゲート体は、例えば、米国特許第5,208,020号;同第5,416,020号および欧州特許第0425235号に開示されている。Liuet al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:8618−8623(1996)も参照のこと。抗体−カリケアミシンコンジュゲート体は、例えば、米国特許第5,712,374号;同第5,714,586;5,739,116;5,767,285;5,770,701;5,770,710;5,773,001;および5,877,296号に開示されている。
【0086】
N−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピネート(SPDP)、イミノチオレン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(ジメチルアジピミデートHClなど)、活性エステル(ジスクシニミジルスベレートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス−ジアゾニウム誘導体(ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トリエン2,6−ジイソシアネートなど)、およびビス活性フッ素化合物(1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなど)などの種々の二機能性タンパク質結合剤を使用して、抗体と細胞傷害薬とのコンジュゲート体を作製する。例えば、Vitettaet al.,Science,238:1098(1987)に記載のように、リシン免疫毒素を調製することができる。14C標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性ヌクレオチドのコンジュゲートのためのキレート剤の例で合える。WO94/11026号を参照のこと。
【0087】
抗CD22抗体の共有結合修飾もまた、本発明の範囲内である。妥当な場合、これらを、化学合成または抗体の酵素または化学的切断によって作製することができる。選択された側鎖またはN末端残基もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導化剤との抗体のターゲティングされたアミノ酸残基との反応によって、抗体の共有結合修飾の他の型を分子に移入することができる。抗体の好ましい共有結合修飾型は、当分野で周知の様式における種々の非タンパク質ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレン)の1つへの抗体の連結を含む。
【0088】
2.薬学的処方物および治療方法
B細胞型非ホジキンリンパ腫は、悪性(発癌性)B細胞リンパ球に起因するリンパ腫の巨大な群(29種の型を超える)を含むために使用し、リンパ腫の公知の型の巨大なサブセットを示す用語である。B細胞は、その生活環で細胞内シグナル伝達プロセスに依存して多数の変化を受けることが公知であり、見かけ上異なる型のB細胞性腫瘍はB細胞の生活環の異なる段階で発症し得る。幹細胞段階では、典型的には、急性リンパ性白血病(ALL)またはリンパ芽球性リンパ腫/白血病を発症し得る。前駆体B細胞は、前駆体B細胞リンパ芽球性リンパ腫/白血病を発症し得る。未熟なB細胞の典型的な悪性疾患には、非分裂小細胞リンパ腫(smallnon−cleaved celllymphoma)およびおそらくバーキット/非ホジキンリンパ腫が含まれる。抗原曝露前のB細胞は、典型的には、慢性リンパ球性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫を発症し、抗原曝露後では、典型的に濾胞性リンパ腫、大細胞型リンパ腫、および免疫芽細胞性リンパ腫が認められる。成長速度によって急速進行性(急速に成長する)および無痛性(遅く成長する)リンパ腫を区別することによってB細胞リンパ腫を特徴付ける分類システムもまた存在する。例えば、バーキット/非バーキットリンパ腫およびLCLリンパ腫は急速進行群に属し、不活性リンパ腫には、濾胞性中心細胞(centercell)リンパ腫(FCCL)、濾胞性大細胞リンパ腫、および濾胞性分裂小細胞リンパ腫が含まれる。
【0089】
非ホジキンリンパ腫は病期によっても特徴づけられる。第I期:たった1つのリンパ節領域またはリンパ節の外側のたった1つの領域もしくは器官で癌が見出される。第II期:(1)横隔膜(呼吸を補助する肺の下の薄い筋肉)の同一側面上の2つまたは複数のリンパ節領域中で癌が見出されるか、(2)リンパ節の外側のたった1つの領域もしくは器官およびその領域の周囲のリンパ節で癌が見出されるか、(3)横隔膜の同一側面上の他のリンパ節領域もまた癌を有し得る。第III期:横隔膜の両方の側面上のリンパ節領域で癌が見出される。リンパ節領域付近の領域もしくは器官および/または脾臓にも癌が広がり得る。第IV期:(1)リンパ系外の1つまたは複数の器官に癌が広がっている(癌細胞はこれらの器官付近のリンパ節で見出されても見出されなくてもよい)か、(2)リンパ系の外側のたった1つの器官に癌が広がっているが、この器官から離れたリンパ節が含まれる。
【0090】
非ホジキンリンパ腫が含まれるB細胞悪性腫瘍の現在の治療の選択は、悪性疾患の型および病期に依存する。典型的な治療計画には、放射線療法(外部ビーム療法ともいわれる)、化学療法、免疫療法、およびこれらのアプローチの組み合わせが含まれる。1つの有望なアプローチは、放射免疫治療(RIT)である。外部ビーム療法を使用して、身体の制限された領域を照射する。化学療法を使用して、全身治療を行うが、これはしばしば正常な細胞にも影響を与え、重篤且つ有毒な副作用をもたらす。標的化RITは、B細胞特異的抗体が有毒物質を腫瘍部位に送達するアプローチである。異なる標的(CD20、CD19、CD22、およびHLA−DR10(Lym−1)が含まれる)を使用したB細胞NHL患者におけるRITの治療可能性が示された。より最近では、集学的療法(CMT)は、固形腫瘍の治療戦略としての頻度が増大しており、これには、薬物による癌細胞の放射線増感および化学療法の直接的細胞傷害効果が含まれる。NHLの治療のための最も一般的な化学療法治療計画は、シクロホスファミド−ヒドロキシドキソルビシン−オンコビン(ビンクリスチン)−プレドニゾン(CHOP)併用療法である。急速進行性であるが初期NHLの無作為化研究により、CHOP+CHOPのみで治療しながら関連する領域の照射を使用して優れた結果を示した。その有望性にもかかわらず、外部ビーム照射を含む治療の欠点は、外部ビーム照射が体内の限られた領域にしか高放射線量を送達させることができず、ほとんどのNHLは広範囲に及ぶ点である。したがって、CMTは、局所的に進行した悪性疾患に臨床的に有用であることが証明されている。
【0091】
現在の別のアプローチは、全身照射(例えば、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1)のNHLへの特異的送達とさらなる化学療法薬の全身放射線増感効果とを組み合わせた集学的放射線免疫療法(CMRIT)である。CMRIT照射では連続的に送達されるので、低酸素の癌細胞を再酸素化するか治療単位時の細胞周期の放射線感受性G2/M期を通過して治癒する可能性がより高くすることができる。さらに、CMRITにより、Lym−1によるNHLの特異的ターゲティングによって最初に特異性が得られ、第2にタイミングが得られる。これにより、RITによってターゲティングされた部位のみで潜在的に増感し、有効性を最大にし、そして毒性を最小にする放射線増感剤が得られる。いくつかの以前の異種移植片研究により、放射線増感剤(Taxol)がRITから24〜48時間後に投与された場合に相乗効果が改良されることが証明されている。
【0092】
CMRITが現在最も進んだNHL治療の治療アプローチとして概説されているにもかかわらず、十分に許容されたRajiおよびRamosリンパ腫異種移植モデルで試験した場合に、本発明の抗体のみで、腫瘍体積の減少、治癒率、および全生存率に関してより優れた結果が得られることが証明された。
【0093】
自己免疫疾患は、自己抗体の産生および罹患組織中の免疫グロブリンの蓄積を含む、自己に対してその後に免疫応答を惹起する自己寛容の破壊によって発症する。自己抗体は、補体およびFc受容体媒介組織炎症および破壊を促進する免疫複合体を形成する。B細胞が自己抗体の供給源であるので、B細胞はこれらの免疫媒介疾患型の治療のための合理的標的を提供する。B細胞はまた、抗原を提示してエフェクターT細胞の発生を制御することができる。これらの疾患の病理学的機構は複雑であり、しばしば体液性免疫機構と細胞性免疫機構との組み合わせを含む。
【0094】
ほとんどの自己免疫疾患は、正常な身体組織と反応する抗体の産生に起因するかこの抗体によって悪化する。抗原の刺激および活性化後にB細胞によって抗体が産生される。したがって、CD22の遮断機能により、自己反応性抗体を含む抗体の産生を阻害することができる。80種を超える自己免疫疾患が同定されている。自己免疫疾患、その原因論、および治療は、AutoimmuneDiseases CoordinatingCommittee ofthe NationalInstitutes ofHealth 発行のAutoimmuneDiseases ResearchPlanで広範に議論されている。本発明によって治療することができる自己免疫疾患には、糸球体腎炎、グッドスパチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、および全身性紅斑性狼瘡を発症する免疫複合体病などが含まれるが、これらに限定されない。他の自己免疫疾患の例には、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱症、ANCA関連脈管炎(例えば、ワグナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、urveitis、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム関節炎、ギラン・バーレー症候群、橋本甲状腺炎、および心筋症が含まれるが、これらに限定されない。抗体産生に関連する他の疾患には、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、自己免疫性溶血性貧血、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、重症筋無力症、I型糖尿病、グレーブス病、およびアレルギー反応が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法を使用して、B細胞または抗体が関与する任意の他の障害または病態(例えば、移植片拒絶反応)を治療することができる。
【0095】
本明細書の抗CD22抗体を、典型的には、全ての薬剤師に周知の薬学的処方物の形態で投与する。例えば、Remington’sPharmaceutical Sciences,(15th Edition,MackPublishing Company,Easton,Pa.(1975)),particularlyChapter 87,byBlaug,Seymourを参照のこと。これらの処方物には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、無水吸収基剤、水中油滴型または油中水滴型乳濁液、乳濁液カーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーバワックスを含む半固体混合物が含まれる。典型的な投薬形態は、静脈内(i.v.)経路による投与に有用な滅菌等張水ベース溶液である。薬学的処方物中の本発明の抗体の濃度は、広範に変化することができ(すなわち、約0.1重量%未満(通常、2重量%または少なくとも2重量%)から20重量%〜50重量%またはそれ以上まで)、選択された特定の投与様式に従って主に液体の体積、粘度などによって選択される。
【0096】
本発明の組成物を、リポソームを介して投与することもできる。リポソームには、乳濁液、フォーム、ミセル、不溶性単分子層、液晶、リン脂質分散物、およびラメラ層などが含まれる。これらの調製物では、送達させるべき本発明の組成物を、単独または抗体などの所望の標的に結合する分子または他の治療組成物または免疫原性組成物と組み合わせてリポソームの一部として組み込む。本発明で用いるリポソームを、標準的な小胞形成脂質(一般に、中性および負電荷のリン脂質およびステロール(コレステロールなど)が含まれる)から形成する。脂質の選択は、一般に、検討材料(例えば、リポソームのサイズならびに血流中でのリポソームの酸不安定性および安定性)によって導かれる。例えば、Szokaet al.Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980),米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号、および同第5,019,369号に記載のように、種々のリポソーム調製方法が利用可能である。
【0097】
本発明の抗体を、単独または他の治療の処方計画と組み合わせて投与することができる。例えば、B細胞性腫瘍の場合、このような治療計画または治療には、化学療法、放射免疫治療(RIT)、化学療法および外部ビーム照射(集学的療法(CMT))、集学的放射線免疫療法(CMRIT)、サイトカインのみ、またはその組み合わせなどが含まれる。したがって、本発明の抗CD22抗体を、CHOP(シクロホスファミド−ヒドロキシドキソルビシン−オンコビン(ビンクリスチン)−プレドニゾン)(非ホジキンリンパ腫治療のための最も一般的な化学療法の処方計画)と組み合わせることができる。さらに、本明細書中の抗CD22抗体を、他の抗体(抗CD19、抗CD20、およびLymphoCide(商標)(Immunomedics,Inc.)またはLymphoCideY−90などの他の抗CD22抗体が含まれる)と組み合わせて投与することができる。例えば、Steinet al.,Drugsof theFuture 18:997−1004(1993);Behr etal.,Clinical Cancer Research 5:3304s−33314s,1999 (suppl.);Juweidet al.,CancerRes.55:5899s−5907s,1995;Behr et al.,Tumor Targeting 3:32−40 (1998)ならびに米国特許第6,183,744号、同第6,187,287号、および同第6,254,868号を参照のこと。
【0098】
本発明の治療を、自己免疫障害のための他の療法と組み合わせて使用することもできる。特定の態様では、被験体を、本発明の抗体ならびに抗CD20抗体(例えば、Rituxan(登録商標)、IDECPharmaceuticals)および/または抗炎症薬(例えば、副腎皮質ステロイド)で治療する。
【0099】
特定の態様では、本発明にしたがって治療すべき患者はその悪性B細胞上で発現するCD22を有する。CD22抗原の存在を、免疫組織化学、FACS、標識(例えば、放射性標識)抗CD22抗体を使用した結合アッセイなどの標準的な技術によって確認することができる。
【0100】
本発明の抗体組成物を、従来の投与様式(静脈内、動脈内、腹腔内、経口、リンパ腺内、筋肉内、経皮、皮下、および鼻腔内投与が含まれるが、これらに限定されない)を使用して投与することができる。特定の実施形態では、投与経路は、ボーラスまたは長期間にわたる連続注入を介する(1週間に1回または2回の連続またはボーラス注入など)。他の特定の実施形態では、投与経路は皮下注射による。投薬量は、ターゲティングされるB細胞性腫瘍もしくは自己免疫疾患の性質、形態、および病期、患者の性、年齢、病態、以前の治療歴、他の使用している治療、および典型的には熟練した医師によって考慮される他の要因に依存する。例えば、非ホジキンリンパ腫患者または自己免疫疾患患者に、約50〜約1500mg/m2/週、詳細には約100〜約1000mg/m2/週、より詳細には約150〜約500mg/m2/週の本明細書中に記載の抗CD22抗体を投与することができる。
【0101】
B細胞性腫瘍または特定の自己免疫疾患の臨床指標を追跡するために、当分野で公知の標準的技術によって患者をモニタリングすることができる。例えば、B細胞性腫瘍の場合、腫瘍の後退(例えば、固形腫瘍の場合の腫瘍サイズ)(抗CD22抗体を使用した循環B細胞または生検組織の表現型)をモニタリングすることができる。
【0102】
本発明をヒト治療に関して考察しているが、本発明の抗体は獣医学でも適用されると理解される。例えば、ネコ悪性リンパ腫は飼い猫で頻繁に発症し、ヒト非ホジキンリンパ腫に類似の特徴を示す(Bertoneet al.,Am.J.Epidemiol.156:268−73(2002))。同様に、イヌは種々のリンパ腫を発症することが公知である。したがって、本明細書中の抗体を使用してネコおよびイヌの悪性リンパ腫を治療することができる。自己免疫疾患の動物モデルもまた当分野で公知である。投薬量および投与経路は、治療される動物種に依存し、その決定は十分に通常の技術を有する獣医の技術の範囲内である。
【0103】
以下の非限定的な実施例にしたがって、本発明のさらなる詳細を提供する。
【0104】
実施例で言及した市販の試薬を、他で言及しない限り、製造者の説明書に従って使用した。以下の実施形態に開示の産生に加えて、モノクローナル抗体HB22−7を産生するハイブリドーマ(ATCCアクセッション番号HB11349)を、AmericanType CultureCollection,Rockville,MDから入手することができる。
【実施例1】
【0105】
<抗CD22モノクローナル抗体の産生>
モノクローナル抗体(mAb)HB22−7(IgG2b)、HB22−23(IgG2a)、HB22−33(IgM)、HB22−5(IgG2a)、HB22−13(IgG2a)、HB22−22(IgA)、およびHB22−196を、Engelet al.,JImmunol 15:4710(1993)および米国特許第5,484,892号の方法にしたがって産生した。Tuscanoet al.,Blood94:1382−1392(1999)も参照のこと。しかし、他の方法を使用することができる。簡単に述べれば、免疫原として全長CD22cDNAで安定にトランスフェクトしたマウスpre−B細胞株300.19を使用したハイブリドーマ技術によってHB22mAbを産生した。より詳細には、NS−1骨髄腫細胞と全長CD22 cDNAで安定にトランスフェクトしたマウスpre−B細胞株300.19を使用して3回免疫化したBalb/cマウス由来の脾細胞との融合によってCD22と反応する33種のmAbを作製した。CD22cDNAでトランスフェクトしたマウスL細胞と反応するが非トランスフェクト細胞と反応しないmAbを産生するハイブリドーマを2回クローン化し、これを使用して上清または腹水を作製した。マウスモノクローナル抗体イソ型分類キット(Amersham,ArlingtonHeights,III)を使用して、mAbイソ型を決定した。Affi−GelProtein AMAPS IIキット(Bio−Rad,Richmond,Calif.)を使用して、IgGmAbを精製した。蒸留水に対する大規模な透析によって腹水の真性グロブリン画分を含むHB22−23mAb(IgM)を沈殿させ、SDS−PAGE分析によってmAbが本質的に純粋であることが示された。米国特許第5,484,892号の表IIに開示のように、mAbであるHB22−7、HB22−22、HB22−23、およびHB22−33は、Daudi細胞、Raji細胞、およびJurkat細胞のCD22トランスフェクトCOS細胞への結合を完全に遮断した(80〜100%)。mAbであるHB22−5、HB22−13、HB22−24、およびHB22−28は、接着を部分てきに遮断した(20〜80%)。
【0106】
リガンド結合を媒介するCD22上の領域を、「ワークショップ」CD22遮断mAbおよびCD22上の5つの異なるエピトープ(エピトープA、B、C、D、およびE)を同定するmAbのパネルを使用したmAb交差阻害研究によって特徴付けた(Schwartz−Albiezet al.,″Thecarbohydrate moie
ty ofthe CD22antigen canbe modulatedby inhibitorsof theglycosylation pathway.″)。ワークショップmAbの結合特異性を、図3に図示する。Leukocyte Typing IVのWhite Cell Differentiation Antigens,Knapp etal.,eds(Oxford University Press,Oxford,p.65(1989))。本明細書中の3つのモノクローナル抗体(HB22−7、HB22−22、およびHB22−23)はCD22上の非常に密接しているか同一のエピトープに結合することが見出された。これらおよび他の遮断抗体のエピトープマッピングの結果は、Tedderet al.,Annu.Rev.Immunol.15:481−504(1997)に開示されている。治療に提案された他の抗CD22抗体と異なり、本発明の遮断抗体はhCD22アミノ酸配列の第1の2つのIg様ドメイン内のエピトープに結合する。
【実施例2】
【0107】
<RajiおよびRamosリンパ腫の異種移植試験>
本実施例は、本発明者らの独立したRajiおよびRamosリンパ腫異種移植試験由来の結果を記載する。ヌードマウス異種移植片は、前臨床評価の重要なツールである。リンパ腫細胞株RajiおよびRamosを使用したヒト非ホジキンリンパ腫(NHL)異種移植片を保有するヌードマウスは、NHLの治療効果の評価に有用であることが証明されている(Buchsbaumet al.,CancerRes.52(23):6476−6481 (1992) and Flavell et al.,Cancer Res.57:4824−4829 (1997))。
【0108】
<材料と方法>
<試薬>希釈HCl中の塩化物として無キャリア90Y(PacificNorthwest NationalLaboratory,Richland,WA)および111In(Nordion,Kanata,Ontario,Canada)を購入した。Lym−1(Techniclone,IncTustin,CA)は、ヒトバーキットリンパ腫細胞核で免疫化したマウスで作製したIgG2amAbである。Lym−1は、悪性B細胞上の細胞表面の31〜35kDの抗原を認識し、80%を超えるヒトB細胞NHLと反応する。Lym−1の純度を本明細書にしたがって評価し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって95%を超える純度の単量体IgGが必要であった。以前に記載のように90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1を調製した(O’Donnellet al.,Cancer.Biother.Radiopharm.13:251−361(1998))。HPLC、TLC、および酢酸セルロース電気泳動による評価により、凝集体含有率が5%未満の放射線化学的に98%純粋な90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1が調製されたことが明らかとなった。
【0109】
抗CD22mAbであるHB22−7を、プロテインAセファロースFastFlowカラム(Pharmacia)を使用して、(Tuscano et al.,Blood 94:1382−1392(1999))に以前に記載のように調製した。HPLCおよびフローサイトメトリーによってHB22−7の純度を決定し、95%超であることが見出された。フローサイトメトリーベースのアポトーシス誘導分析(Apo−Tag,Pharmacia)によって生理学的特性を決定し、以前に発表された結果(Tuscanoet al.,supra)と一致することが見出された。ActiCleanETOXカラム(Sterogene)を使用して内毒素を除去し、最終内毒素レベルが0.15内毒素単位(EU)/mgmAb未満であると測定された(Bio Whitaker)。Lym−1およびHB22−7 mAbは、マウス、ウイルス、マイコプラズマ、真菌、および細菌の汚染ならびに内毒素、発熱物質、およびDNA含有量ならびに動物における一般的な動物試験における安全性についてMAP(マウス抗体産生)ガイドラインを満たしていた。
【0110】
細胞株およびScatchard分析、RajiおよびRamos Burkittリンパ腫細胞株を、American TypeCulture Collection(ATCC,Gathersberg,MD)から購入した。以前に記載のように(Tuscanoet al.,前出)、両細胞株を、HB22−7mAbを使用したフローサイトメトリー法によるCD22発現のために染色した。0.5×106細胞/mlの細胞株を、10%ウシ胎児血清を補足したRPMI1640中に維持した。以前に記載のように(Scatchard,G.,Ann.ofNY AcadSci.51:660(1947))、RajiおよびRamos細胞を使用したSctchard分析を行った。簡単に述べれば、HB22−7を、クロラミンT法によって125Iで標識した(比活性1.1μCi/μg)。連続希釈した非標識HB−7を使用して競合結合アッセイを行った。
【0111】
マウスを用いた研究。7〜9週齢の雌胸腺欠損BALB/c nu/nuマウス(Harlan Sprague−Dawley)を、カリフォルニア大学デービス動物実験ガイドラインにしたがって、通常の食餌を自由に与え、且つ無病原体条件下で維持した。ケージあたり5匹のマウスを収容した。RajiまたはRamos細胞を対数成長期に採取し、2.5〜5.0×106細胞を各マウスの腹部の両側に皮下注射した。腫瘍が28〜328mm3になった移植から3週間後に研究を開始した。群は、非処置、125μCiのRITのみ、1.4mgのHB22−7のみ、またはRITとHB22−7との組み合わせからなり、HB22−7をRITの24時間前、同時、または24時間後に投与した。周囲照射を最小にするために、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1での処理から1週間は毎日床敷きを交換し、その後1週間に2回交換した。
【0112】
<腫瘍死滅効果>hemiellipsoidのための処方物によって記載のように腫瘍体積を計算した(DeNardoet al.,Clin.CancerRes.3:71−79(1997))。初期腫瘍体積を処置前日の体積と定義した。各測定日において各群について平均腫瘍体積を計算した;体積ゼロを腫瘍の完全な後退と見なした。腫瘍応答を、以下のように分類した:C、治癒(腫瘍が消滅し、84日間の研究終了時点で再生しない);CR、完全な後退(少なくとも7日間腫瘍が消滅するが、その後再生する);PR、部分的後退(少なくとも7日間腫瘍体積が50%またはそれ以上減少し、その後再生する)。
【0113】
<統計分析。治療群の間の応答の相違を、なし、PR、CR、およびCureとして順位付けた応答を使用したクラスカル・ウォリス順位和検定を使用して評価した。クラスカル・ウォリス検定を使用して、生存期間も評価した。腫瘍体積を、3つの測定点で比較した:1ヶ月(26〜29日目)、2ヶ月(54〜57日目)、および研究終了時(84日目)。腫瘍関連の原因で動物を屠殺する場合、最終体積を持続させ、その後の測定点の分析で使用した。分散分析を使用して、処置群間の相違を検定した。P値は、両側であり、正常なp値を示す。統計的有意差が見出された群のサブセット内でのみの検定により多数の比較を保護する。
【0114】
<結果>
<Scatchard分析>
Scatchard分析を使用して、HB22−7の結合親和性およびRamosおよびRaji細胞上のCD22受容体数を評価した。最大結合率(Bmax)、解離定数(Ka)、および1細胞あたりの結合抗体数について細胞をアッセイした。表1に示した結果は、2つの試験の平均である。
【0115】
【表1】
【0116】
Scatchard分析(表1)により、1細胞あたり結合するHB22−7抗体数(Bmax)が約2.5倍に増加し、Raji細胞のKaはRamos細胞のKaよりも2倍増加する。
【0117】
<全身オートラジオグラフィ>
HB22−7特異的腫瘍ターゲティングを評価するために、111In−2IT−BAD−抗CD22(HB22−7)を注射した腫瘍保有ヌードマウスの全身オートラジオグラフィを行った。注射から48時間後、マウスを屠殺し、切片にし、以前に記載のように(DeNardoet al.,Cancer3:71−79(1997))オートラジオグラフィを行った(図2)。オートラジオグラフィによって、Raji腫瘍化マウスで強い腫瘍局在化が明らかとなり、Ramos腫瘍化マウスで中程度の局在が明らかとなった。このターゲティング研究は、Rajiと比較して1Ramos細胞に結合したHB22−7は少ないことが明らかとなったScatchard分析と一致する。しかし、Ramos腫瘍の急速な成長およびおそらく中心壊死もまた、Ramosの明らかに劣るターゲティングに寄与し得る。
【0118】
<RITおよびCMRITの有効性>
最初の試験(081500)は、125uCiの90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみまたはRITの24時間前、同時、または24時間後に投与したHB22−7(1.4mg)との組み合わせを使用した(図3)。この試験では、9匹のマウスを有し、5匹が非処置コントロールであるRITのみで処置した群以外は群あたり5匹のマウスを有する(マウス数を表2に示す)。
【0119】
【表2】
【0120】
90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した類似のRaji異種移植片研究から予想されるように、RITのみでは、21日までに最大平均腫瘍体積が減少し、その後腫瘍体積が増加した。90Y−2IT−BAD−Lym−1(RIT)およびHB22−7(CMRIT)で処置した異種移植片は、平均腫瘍体積の減少がより大きく且つより長く持続し、HB22−7を同時に投与した場合おいびRITの24時間後に最も減少した。驚いたことに、HB22−7の単独投与により、2〜3週間まで平均腫瘍体積は安定化し、その後徐々に持続して腫瘍体積が減少した。
【0121】
何回か反復して試験を行って、高度に再現可能な結果を得た(表2)。全試験由来のデータを集計し、グラフで比較した場合、結果は最初の試験と非常に一致することが明らかとなった(図4)。初期腫瘍体積減少は、HB22−7をRITと同時および24時間後に投与した場合に約21日目で再度最大となった。HB22−7のみで処置したマウスでは、処置から2週間後に腫瘍成長が安定化し始め、その後の全試験で腫瘍体積の漸減も繰り返された。分散分析を使用して、30日目に全処置群を試験した場合、有意差は非常に高かった(p<0.001)。60日目の全処置群における体積減少分析では有意差は証明できなかったが(p=0.39)、84日目で再度有意差が得られた(p=0.003)。グラフで認められた結果により、RIT/CMRIT群の体積減少の相違は非常に再現性があり、HB22−7のみおよび非処置コントロールと異なるが、評価した全ての測定点(30日目、60日目、および84日目)でのRIT処置群(CMRITを含む)のみでの体積減少の比較により有意差が明らかではないことが明らかとなった(p≧0.5)。RITから48時間後および72時間後にHB22−7を投与するさらなるCMRIT試験を行った。RITとHB22−7の投与間隔の拡大によって、HB22−7をRITと同時および24時間後に投与した試験と比較して腫瘍体積の減少は改善されなかった(データ示さず)。
【0122】
応答率および治癒率は、腫瘍体積に対する治療効果と一致した(図5)。90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみでの処置により、PRが48%、CRが13%、および治癒率が13%であった。CMRIT群では、HB22−7およびRITを同時に投与した場合に、PR45%、CR15%、および治癒率25%と全体的に応答率が最大になった。しかし、CMRIT群では、非処置(29%)、RITのみ(13%)、24時間前(10%)、および同時(25%)の処置群で認められた治癒率と都合よく比較すると、RITの24時間後にHB22−7を投与した場合治癒率が最も高かった(39%)。クラスカル・ウォリスの検定を使用して全処置群の応答の程度を試験した場合(CR、PRより上の順位付け)、統計的有意差が認められた(p=0.01)。非処置コントロールとの各比較は、RITのみ(p=0.06)およびRITの24時間前に投与したHB22−7(p=0.16)以外は全て統計的に有意であった(p<0.05)。活性治療群(RITのみ、CMRIT、およびHB22−7)のみの比較では有意差は認められなかったが(p=0.18)、同時および24時間後にHB22−7で処置したCMRIT群では最も良好な応答パターンが認められた。興味深いことに、HB22−7のみで処置した群の治癒率が最も高く(47%)、非処置コントロールと比較した場合に有意に改善された(p<0.05)。
【0123】
腫瘍体積の後退および治癒率は、類似の生存パターンになった。84日間の研究終了時に、非処置およびRITのみの群のそれぞれ38%および42%が生存した(図6)。CMRIT処置群では、RITと同時および24時間後にHB22−7を投与した場合、生存率はそれぞれ67%および50%に増加した。クラスカル・ウォリスを使用した生存率分析は、全群と比較して有意であった(p<0.05)。応答率分析と同様に、RIT群の生存率の比較のみで有意差が明らかとならなかったが(p=0.41)、HB22−7をRITと同時または24時間後に投与した場合、これらの群中で最良の生存率が一貫して認められた。
【0124】
HB22−7のみで処置した群において全生存率において最良の生存率(76%)で、非処置コントロールと比較した場合に有意差が認められた(p=0.02)。
【0125】
<毒性>
血球数およびマウス体重によって血液毒性および非血液毒性をそれぞれ評価した(図7a〜c)。RIT処置群におけるWBCおよび血小板の最下点はそれぞれ14〜20日目および10〜14日目であった。WBCおよび血小板を、それぞれ処置から約28日後および21日後に採取した。WBCおよび血小板の最下点は、150uCiの90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した前の研究での所見に一致した。RITの血液毒性は、HB22−7の同時投与によって変化しなかった。HB22−7のみで処置したマウスでは血液毒性は検出されなかった。全処置群における単核細胞数の分析により、HB22−7はRIT媒介単核細胞の最下点に対して効果がないことが明らかとなった(データ示さず)。マウス体重の変化によって評価した非血液毒性は、全ての処置群で等価であることが見出された(図8)。いかなる処置群においても毒性による死亡は認められなかった。
【0126】
<90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1の薬物動態学>
HB22−7を使用するか使用しないRaji腫瘍化マウスにおける90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1の血液および全身クリアランスは類似していた(図9)。血液の生物学的T1/2αは、RITのみについては1.4時間であり、24時間前、同時、および24時間後の群ではそれぞれ2.2時間、2.4時間、および2.0時間であった。血液の生物学的T1/2βは、RITのみの群については127時間であり、24時間前、同時、および24時間後の群ではそれぞれ133時間、87時間、および103時間であった。全身のT1/2は、RITのみについては246時間であり、24時間前、同時、および24時間後の群ではそれぞれ207時間、207時間、および196時間であった。RITへのHB22−7の添加により、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1の薬物動態学は変化しなかった。
【0127】
<考察>
低線量率の線量で誘導されたアポトーシスおよび/またはDNA損傷を増強するためにRITと組み合わせた場合に抗CD22mAb(HB22−7)によってさらなる効果または相乗効果が得られるかどうかを決定するためにRaji異種移植片研究をデザインした。Raji異種移植片ヌードマウスモデルは、90Y−2IT−BAD−Lym−1のみを使用したRITの毒性および有効性を評価するために使用した場合に有用であることが証明された(O’Donnellet al.,CancerBiotherapy andRadiopharmaceuticals 13:351−361 (1998))。この前臨床モデルにおける応答により、ヒト臨床試験における有意な有効性が得られた(O’Donnellet al.,AnticancerRes.20:3647−55 (2000);O’Donnell etal.,J.Nucl.Med.40:216 (1999) (Abstract))。
【0128】
本実施例に記載の研究では、90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1(125uCi)への抗CD22mAbHB22−7の添加により、毒性にいかなる変化も与えずにRITの有効性が増強された。150および200μCiの90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した前のRaji異種移植片研究により、本研究に匹敵する応答および治癒率が得られた(O’Donnelet al.,(1998),supra)。2IT−BADリンカーを使用したこれらの前の研究に基づいて、125μCiの90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1を選択した。2IT−BADを使用した前の研究では200μCiの線量で最も高い有効性が証明されたが、125μCiの選択は、HB22−7はRITと相乗効果またはさらなる効果を得られ、より低い線量ではこれらの効果がより良好に評価されるという仮説に基づいた。本実施例の研究は、リンパ腫異種移植片モデルで以前に試験した新規のリンカー(DOTA−ペプチド)を使用した。非結合放射性医薬品の肝臓での分解を増強し、それによりさらに都合よく生体分散されるようにDOTA−ペプチドリンカーをデザインした。腫瘍特異的取り込みを本研究で詳細に評価していないが、125μCiの90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみを使用して認められた毒性プロフィールは、治療関連死亡率および予想可能な白血球および血小板の最下点において許容不可能である。
【0129】
プロアポトーシス効果およびシグナル伝達効果を証明するin vitro研究に基づいてHB22−7を選択した(Tuscano etal.,Blood 94:1382−1392(1999))。HB22−7の使用処置用量は経験的であるが、in vitroでのアポトーシスの誘導に有効であり、且つマウスモデルでこれが推定されることが示されている量に基づいていた。さらに、HB22−7の用量を処方する場合、ヒト臨床試験で使用されたRituximab(登録商標)の用量と等価な(ヒトとマウスにおける体表面積の相違について調整した場合)用量を考慮した。これがリンパ腫治療に有効であると証明された利用可能な唯一の裸のmAbであり、Rituximab(登録商標)の許可された至適用量は現在定義されていないという事実に基づいて、Rituximab(登録商標)の用量の概算を使用した。
【0130】
HB22−7のみおよびRITとHB22−7との組み合わせの有効性ならびに3つの異なる配列組み合わせの効果を評価するために研究をデザインした。90Y−DOTA−ペプチド−Lym−1のみを使用して認められた腫瘍体積の減少は、90Y−2IT−BAD−Lym−1を使用した前の研究と応答のタイミング、規模、および持続時間に関して一致した(O’Donnelet al.,(1998),supra)。RITのみにより、治療から14日後に腫瘍体積が約50%減少した。最大体積減少の適切な時点(21日目〜30日目)で評価した場合、RITへのHB22−7の添加により、配列特異的様式で応答の規模が有意に増大した。HB22−7の添加はRITと同時またはその24時間後に投与した場合に最も有効なようである。体積減少の独特のパターンは、再生性が高かった。独立した再現試験により、腫瘍体積減少の類似のパターンおよび規模が証明された。腫瘍体積減少の改良により、優れた応答率および生存率が得られた。RITのみにより、13%のCRおよび13%の治癒率が得られ、HB22−7の添加により、RITと同時に投与した場合に治癒率は25%に増加し、RITから24時間後にHB22−7を投与した場合に39%に増加した。
【0131】
これは第2のモノクローナル抗体をRITと組み合わせた最初であり、毒性を増加させることなく有効性を増大させることができる十分に定義された生理学的特性を有するモノクローナル抗体または他の薬剤の利用可能性を証明する。
【0132】
驚いたことに、HB22−7のみで処置したマウスは他の処置群と比較して優れた腫瘍体積の減少ならびにより優れた治癒率および生存率が得られた。また、いくつかの独立した試験により初期腫瘍体積安定化の遅延および治療から約14日後に開始される腫瘍体積の減少と非常に一致する結果が得られた。これにより、任意の治療群で見出された最良の治癒率および全生存率が得られた。
【0133】
結論として、本発明の抗体は、単独で投与した場合、現在最も進んだNHLの治療アプローチとして概説されている他の治療計画(CMRITが含まれる)と比較して腫瘍体積の減少、治癒率、および全生存率に関してより優れた結果が得られることが証明された。
【実施例3】
【0134】
<抗CD22抗体の配列分析>
<VHおよび軽鎖遺伝子の利用>
細胞質RNAを、RNeasyMiniキット(Qiagen Chatsworth,CA)を使用して1〜10×105ハイブリドーマ細胞から抽出した。第1の鎖DNAを、オリゴ−dTプライマー(dT18)およびSuperscriptキット(GibcoBRL、Gaithersburg,MD)を使用して細胞質RNAから合成した。1μlのcDNA溶液を、VH遺伝子のPCR増幅のためのテンプレートとして使用した。10mMTris−HCl(pH8.3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、200μM dNTP(Perkin Elmer,Foster City,CA)、50pmolの各プライマー、および5単位のTaqポリメラーゼ(ISCBioexpress,Kaysville,UT)から構成される体積100μlの反応混合物においてPCR反応を行った。30サイクル増幅させた(94℃で1分間、58℃で1分間、72℃で1分間、Thermocycler,PerkinElmer)。以前に記載のように(Kantor et al.,J.Immunol.158:1175−86(1996))無差別のセンス5’VHプライマー(MsVHE: 5’ GGG AAT TCG AGG TGC AGC TGC AGG AGT CTG G 3’;配列番号2)およびCμコード領域に相補的なアンチセンスプライマー(プライマーCμ−in: 5’ GAG GGG GAC ATT TGG GAA GGA CTG 3’;配列番号3)またはCγ領域(プライマーCγ1:5’GAG TTCCAG GTCACT GTCACT GGC3’;配列番号4)を使用してVH遺伝子を増幅した。
【0135】
センスVκプライマー(5’ ATG GGC (AT)TC AAG ATG GAG TCA CA(GT) (AT)(CT)(CT) C(AT)G G 3’;配列番号5)およびCλアンチセンスプライマー(5’ACT GGATGG TGGGAA GATG 3’;配列番号6)を使用して、軽鎖cDNAを増幅した。
【0136】
異なるセンスVκプライマー(5’ ATG AAG TTG CCT GTT AGG CTG TTG GTG CTG 3’;配列番号7)を使用して、HB22−33軽鎖配列を増幅した。
【0137】
増幅されたPCR産物を、QIAquickゲル精製キット(Qiagen)を使用してアガロースゲルから精製し、AmpliTaqDNAポリメラーゼおよび最初のPCR増幅と同一のプライマーを使用したPerkinElmer DyeTerminator配列決定システムを使用した増幅後にABI 377 PRISM DNAシークエンサーを使用して両方向で直接配列決定した。全てのVHおよび軽鎖領域をセンスおよびアンチセンスDNA配列に対して完全に配列決定した。
【0138】
抗CD22モノクローナル抗体であるHB22−5、HB22−7、HB22−13、HB22−23、HB22−33、およびHB22−196のVHおよびVκアミノ酸配列のアラインメントをそれぞれ図10および17に示す。図11〜16は、ハイブリド−マHB22−5(配列番号8および9)、HB22−7(配列番号10および11)、HB22−13(配列番号12および13)、HB22−23(配列番号14および15)、HB22−33(配列番号16および17)、およびHB22−196(配列番号18および19)由来の抗CD22Abの重鎖VH−D−JH連結点配列のヌクレオチド配列およびコードされたアミノ酸配列を示す。図18〜23は、ハイブリド−マHB22−5(配列番号20および21)、HB22−7(配列番号22および23)、HB22−13(配列番号24および25)、HB22−23(配列番号26および27)、HB22−33(配列番号28および29)、およびHB22−196(配列番号30および31)由来の抗CD22Abのκ軽鎖V−J定常領域連結点配列のヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己免疫疾患の治療用医薬の製造のための、B細胞又はB細胞サブセットの数を減少させるヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体の使用であって、前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体は、天然のヒトCD22(配列番号1)の最初の2つのIg様ドメインに特異的に結合し、前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体は、
(i)VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、及び、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖、
ここで、VH CDR1は、アミノ酸配列DYGVN (HB22-7、配列番号34)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列IIWGDGRTDYNSALKS(HB22-7、配列番号40)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列APGNRA(HB22-7、配列番号46)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列KASQSVTNDVA(HB22-7、配列番号51)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列YASNRYT(HB22-7、配列番号57)を含み、
Vκ CDR3は、アミノ酸配列QQDYRSPWT(HB22-7、配列番号63)を含む、又は、
(ii)VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、及び、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖、
ここで、VH CDR1は、アミノ酸配列YYWMN(HB22−23、配列番号37)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列EIRLKSNNYATHYAESVKG(HB22−23、配列番号43)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列YDGSSR(HB22−23、配列番号49)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列KASQSVSNDVA(HB22−23、配列願号53)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列YASKRYT(HB22−23、配列番号59)を含み、
Vκ CFR2は、アミノ酸配列QQDHSYPWT(HB22−23、配列番号65)を含む、又は、
(iii)VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、及び、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖、
ここで、VH CDR1は、アミノ酸配列GYYWN(HB22−33、配列番号35)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列YIRYDGSNNYNPSLKN(HB22−33、配列番号41)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列GGITVA(HB22−33、配列番号47)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列RSSQSLVHSNGNTYLH(HB22−33、配列番号54)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列KVSNRFS(HB22−33、配列番号60)を含み、
Vκ CDR3は、アミノ酸配列SQSTHVPYT(HB22−33、配列番号66)を含む、又は、
(iv)配列番号11(HB22-7 VH配列)のアミノ酸1〜97の配列に少なくとも95%同一であるVH配列を含む重鎖、及び、配列番号23(HB22-7 Vκ配列)のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるVκ配列を含む軽鎖、又は、
(v)配列番号15(HB22-23 VH配列)のアミノ酸1〜100の配列に少なくとも95%同一であるVH配列を含む重鎖、及び、配列番号27(HB22-23 Vκ配列)のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるVκ配列を含む軽鎖、又は
(vi)配列番号17(HB22-33 VH配列)のアミノ酸1〜98の配列に少なくとも95%同一であるVH配列を含む重鎖、及び、配列番号29(HB22-33 Vκ配列)のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるVκ配列を含む軽鎖
を含み、
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体は、天然のヒトCD22(配列番号1)の前記最初の2つのIg様ドメインとの結合について、
(a)配列番号11(HB22-7 VH配列)のアミノ酸1〜97、配列番号15(HB22-23 VH配列)のアミノ酸1〜100、及び配列番号17(HB22-33 VH配列)のアミノ酸1〜98からなる群から選択されるVH配列を含む重鎖と、
(b)配列番号23(HB22-7 Vκ配列)、配列番号27(HB22-23 Vκ配列)、及び配列番号29(HB22-33 Vκ配列)からなる群から選択されるVκ配列を含む軽鎖と
を含む抗体に競合する、使用。
【請求項2】
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体が、天然のヒトCD22(配列番号1)の前記最初の2つのIg様ドメインとの結合について、
配列番号11(HB22-7 VH配列)のアミノ酸1〜97のVH配列を含む重鎖と、
配列番号23(HB22-7 Vκ配列)のアミノ酸配列のVκ配列を含む軽鎖と
を含む抗体に競合する請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体が、VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖と、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖とを含み、ここで、
VH CDR1は、アミノ酸配列DYGVN (HB22-7、配列番号34)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列IIWGDGRTDYNSALKS(HB22-7、配列番号40)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列APGNRA(HB22-7、配列番号46)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列KASQSVTNDVA(HB22-7、配列番号51)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列YASNRYT(HB22-7、配列番号57)を含み、
Vκ CDR3は、アミノ酸配列QQDYRSPWT(HB22-7、配列番号63)を含む、
請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体が、B細胞又はB細胞サブセットの数を少なくとも25%、35%又は50%減少させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
自己免疫疾患が、糸球体腎炎、グッドスパチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、および全身性紅斑性狼瘡を発症する免疫複合体病、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱症、ANCA関連脈管炎(例えば、ワグナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、ブドウ膜炎(urveitis)、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム関節炎、ギラン・バーレー症候群、橋本甲状腺炎、心筋症、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、自己免疫性溶血性貧血、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、重症筋無力症、I型糖尿病、グレーブス病、アレルギー反応、及び移植片拒絶反応からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記医薬が、抗炎症剤又は抗CD20抗体と、前記医薬とを対象に投与することを含む方法に使用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記抗炎症剤が副腎皮質ステロイドである請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記医薬が、静脈内投与用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
自己免疫疾患の治療用医薬の製造のための、B細胞又はB細胞サブセットの数を減少させる抗体フラグメントの使用であって、前記抗体フラグメントが、請求項1に定義されたヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体の(i)VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3、又は、(ii)VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3、又は(iii)VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む抗原結合性ドメイン部分又は可変ドメイン部分を含み、Fab,Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、線状抗体、単鎖抗体分子、及び抗体断片から形成される多重特異的抗体からなる群から選択される、使用。
【請求項10】
前記医薬が、対象に前記医薬を投与することを含む方法に使用される請求項1〜5、8及び9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記対象が、ヒトである請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか1項に定義された、B細胞又はB細胞サブセットの数を減少させるヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体を含む、自己免疫疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項13】
請求項9に定義された抗体フラグメントを含む、自己免疫疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項14】
自己免疫疾患が、糸球体腎炎、グッドスパチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、および全身性紅斑性狼瘡を発症する免疫複合体病、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱症、ANCA関連脈管炎(例えば、ワグナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、ブドウ膜炎(urveitis)、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム関節炎、ギラン・バーレー症候群、橋本甲状腺炎、心筋症、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、自己免疫性溶血性貧血、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、重症筋無力症、I型糖尿病、グレーブス病、アレルギー反応、及び移植片拒絶反応からなる群から選択される請求項12又は13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
抗炎症剤又は抗CD20抗体をさらに含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記抗炎症剤が副腎皮質ステロイドである請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
静脈内投与用である請求項12〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬が対象に前記医薬を投与する方法に使用される請求項12〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記対象が、ヒトである請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項1】
自己免疫疾患の治療用医薬の製造のための、B細胞又はB細胞サブセットの数を減少させるヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体の使用であって、前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体は、天然のヒトCD22(配列番号1)の最初の2つのIg様ドメインに特異的に結合し、前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体は、
(i)VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、及び、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖、
ここで、VH CDR1は、アミノ酸配列DYGVN (HB22-7、配列番号34)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列IIWGDGRTDYNSALKS(HB22-7、配列番号40)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列APGNRA(HB22-7、配列番号46)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列KASQSVTNDVA(HB22-7、配列番号51)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列YASNRYT(HB22-7、配列番号57)を含み、
Vκ CDR3は、アミノ酸配列QQDYRSPWT(HB22-7、配列番号63)を含む、又は、
(ii)VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、及び、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖、
ここで、VH CDR1は、アミノ酸配列YYWMN(HB22−23、配列番号37)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列EIRLKSNNYATHYAESVKG(HB22−23、配列番号43)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列YDGSSR(HB22−23、配列番号49)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列KASQSVSNDVA(HB22−23、配列願号53)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列YASKRYT(HB22−23、配列番号59)を含み、
Vκ CFR2は、アミノ酸配列QQDHSYPWT(HB22−23、配列番号65)を含む、又は、
(iii)VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、及び、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖、
ここで、VH CDR1は、アミノ酸配列GYYWN(HB22−33、配列番号35)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列YIRYDGSNNYNPSLKN(HB22−33、配列番号41)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列GGITVA(HB22−33、配列番号47)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列RSSQSLVHSNGNTYLH(HB22−33、配列番号54)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列KVSNRFS(HB22−33、配列番号60)を含み、
Vκ CDR3は、アミノ酸配列SQSTHVPYT(HB22−33、配列番号66)を含む、又は、
(iv)配列番号11(HB22-7 VH配列)のアミノ酸1〜97の配列に少なくとも95%同一であるVH配列を含む重鎖、及び、配列番号23(HB22-7 Vκ配列)のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるVκ配列を含む軽鎖、又は、
(v)配列番号15(HB22-23 VH配列)のアミノ酸1〜100の配列に少なくとも95%同一であるVH配列を含む重鎖、及び、配列番号27(HB22-23 Vκ配列)のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるVκ配列を含む軽鎖、又は
(vi)配列番号17(HB22-33 VH配列)のアミノ酸1〜98の配列に少なくとも95%同一であるVH配列を含む重鎖、及び、配列番号29(HB22-33 Vκ配列)のアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるVκ配列を含む軽鎖
を含み、
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体は、天然のヒトCD22(配列番号1)の前記最初の2つのIg様ドメインとの結合について、
(a)配列番号11(HB22-7 VH配列)のアミノ酸1〜97、配列番号15(HB22-23 VH配列)のアミノ酸1〜100、及び配列番号17(HB22-33 VH配列)のアミノ酸1〜98からなる群から選択されるVH配列を含む重鎖と、
(b)配列番号23(HB22-7 Vκ配列)、配列番号27(HB22-23 Vκ配列)、及び配列番号29(HB22-33 Vκ配列)からなる群から選択されるVκ配列を含む軽鎖と
を含む抗体に競合する、使用。
【請求項2】
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体が、天然のヒトCD22(配列番号1)の前記最初の2つのIg様ドメインとの結合について、
配列番号11(HB22-7 VH配列)のアミノ酸1〜97のVH配列を含む重鎖と、
配列番号23(HB22-7 Vκ配列)のアミノ酸配列のVκ配列を含む軽鎖と
を含む抗体に競合する請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体が、VH相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖と、Vκ相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖とを含み、ここで、
VH CDR1は、アミノ酸配列DYGVN (HB22-7、配列番号34)を含み、
VH CDR2は、アミノ酸配列IIWGDGRTDYNSALKS(HB22-7、配列番号40)を含み、
VH CDR3は、アミノ酸配列APGNRA(HB22-7、配列番号46)を含み、
Vκ CDR1は、アミノ酸配列KASQSVTNDVA(HB22-7、配列番号51)を含み、
Vκ CDR2は、アミノ酸配列YASNRYT(HB22-7、配列番号57)を含み、
Vκ CDR3は、アミノ酸配列QQDYRSPWT(HB22-7、配列番号63)を含む、
請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記ヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体が、B細胞又はB細胞サブセットの数を少なくとも25%、35%又は50%減少させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
自己免疫疾患が、糸球体腎炎、グッドスパチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、および全身性紅斑性狼瘡を発症する免疫複合体病、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱症、ANCA関連脈管炎(例えば、ワグナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、ブドウ膜炎(urveitis)、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム関節炎、ギラン・バーレー症候群、橋本甲状腺炎、心筋症、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、自己免疫性溶血性貧血、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、重症筋無力症、I型糖尿病、グレーブス病、アレルギー反応、及び移植片拒絶反応からなる群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記医薬が、抗炎症剤又は抗CD20抗体と、前記医薬とを対象に投与することを含む方法に使用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記抗炎症剤が副腎皮質ステロイドである請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記医薬が、静脈内投与用である請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
自己免疫疾患の治療用医薬の製造のための、B細胞又はB細胞サブセットの数を減少させる抗体フラグメントの使用であって、前記抗体フラグメントが、請求項1に定義されたヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体の(i)VH CDR1、VH CDR2及びVH CDR3、又は、(ii)VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3、又は(iii)VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む抗原結合性ドメイン部分又は可変ドメイン部分を含み、Fab,Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、線状抗体、単鎖抗体分子、及び抗体断片から形成される多重特異的抗体からなる群から選択される、使用。
【請求項10】
前記医薬が、対象に前記医薬を投与することを含む方法に使用される請求項1〜5、8及び9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記対象が、ヒトである請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1〜4のいずれか1項に定義された、B細胞又はB細胞サブセットの数を減少させるヒト化遮断抗CD22モノクローナル抗体を含む、自己免疫疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項13】
請求項9に定義された抗体フラグメントを含む、自己免疫疾患の治療のための医薬組成物。
【請求項14】
自己免疫疾患が、糸球体腎炎、グッドスパチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、結節性動脈周囲炎、および全身性紅斑性狼瘡を発症する免疫複合体病、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱症、ANCA関連脈管炎(例えば、ワグナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、ブドウ膜炎(urveitis)、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム関節炎、ギラン・バーレー症候群、橋本甲状腺炎、心筋症、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、血小板減少性紫斑病、顆粒球減少症、自己免疫性溶血性貧血、妊娠中の胎児A−B−O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、重症筋無力症、I型糖尿病、グレーブス病、アレルギー反応、及び移植片拒絶反応からなる群から選択される請求項12又は13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
抗炎症剤又は抗CD20抗体をさらに含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記抗炎症剤が副腎皮質ステロイドである請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
静脈内投与用である請求項12〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬が対象に前記医薬を投与する方法に使用される請求項12〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記対象が、ヒトである請求項18に記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−221224(P2009−221224A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152405(P2009−152405)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【分割の表示】特願2003−571424(P2003−571424)の分割
【原出願日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【出願人】(500093122)デューク・ユニヴァーシティ (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【分割の表示】特願2003−571424(P2003−571424)の分割
【原出願日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【出願人】(500093122)デューク・ユニヴァーシティ (7)
【Fターム(参考)】
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