説明

自己接着性プリプレグ

熱硬化性樹脂、硬化剤、及び熱可塑性ポリマ−のそれぞれ10%以上がプリプレグ樹脂に可溶である複数の熱可塑性ポリマ−を含んでなる繊維及びプリプレグ樹脂からなるプリプレグ組成物は、複合材料を製造するのに有用である。好適な具体例において、プリプレグ組成物は種々の高性能用途に有用であるハニカム構造体を製造するための自己接着性プリプレグとして使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料を製造するのに有用な組成物、好適な具体例ではサンドイッチ構造体、例えばハニカムサンドイッチ構造体を製造するための自己接着性プリプレグとして有用な材料に関する。
【背景技術】
【0002】
重量当たりで強度の高い構造体が望ましい用途に対して、複合材料は広く使用されている。これらの材料は一般にポリマ−マトリックス材料(典型的には熱硬化性ポリマ−、例えばエポキシポリマ−)中に埋め込まれた強化繊維(例えば炭素またはガラス繊維)を含む。複合材料は典型的には繊維にマトリックス前駆物質(例えばエポキシ及び硬化剤)を含浸させて「プリプレグ」を形成させることによって作られる。ついでこのプリプレグを所望の形に成形し、硬化させて、マトリックス前駆物質をポリマ−マトリックス材料に転化せしめる。
【0003】
複合材料は、所望の用途に依存して種々の寸法、形、及び形態を有する構造体に成形または組み込むことができる。例えばサンドイッチ構造体は典型的にはコアパネルの反対側に表面シートを接合することで作られる。典型的なコアパネルの材料は、硬い発泡物、紙、木材、ハニカムを含む。ハニカムは、典型的には種々の材料、例えばノ−メックス(Nomex)商品名の繊維(デュポン社から上市)、及び/又はアルミニウムを含むセル状構造体である。表面シートは、典型的には複合材料を含む種々の材料から作られる薄く軽量のパネルである。複合材料表面シートを有するハニカムサンドイッチ構造体は、その、一般的に好ましい重量当たりの強度及び耐疲労性がゆえに、航空宇宙産業で広く使用されている。ハニカムコアパネルのセル壁は典型的には表面シートに対してある角度で存在するから、セル壁の端と表面シートとの間の接触面積は比較的小さい。表面シートとハニカムとの間の結合強度はセル壁に沿って延びる「フィレ(fillet)」を接触領域を越えて形成させる接着剤を使用することによって高めることができる。
【0004】
ハニカムコアを表面シートに結合させるために使用される技術は、長年にわたって開発されてきた。例えば特許文献1は表面シートをハニカムコアに結合させるのに有用な接着剤組成物を開示している。これらの接着剤組成物は、エポキシド樹脂とポリスルホンポリマ−を一緒に加熱してポリスルホンを溶解させ、硬化剤を添加し、次いで得られる混合物をフィルムに成形することによって作られる。繊維及び金属粉末充填剤の接着剤への混入が言及されている。特許文献1はアルミニウム表面シートをセル状アルミニウムコアに結合させるための、接着剤フィルムの使用を開示している。ポリスルホンの接着剤への包含は表面シートとコアの結合の剥離強度を改善すると云われる。
【0005】
未溶解の熱可塑性強化剤(toughening agent)を含む多くの複合材料が後年になって開発された。この熱可塑性物は、特許文献2に記述されているように樹脂マトリックスに混入されうる熱可塑性物の量が得られる熱硬化性樹脂の加工特性、特に粘度及び粘性に対する熱可塑性物の影響によって制限されると信じられてきたから、溶解しない形のものであった。特許文献2の開示によれば、粘性及び流動性(または許容しうる粘度)の維持は、しばしば熱可塑性物が最適な機械的性質を達成するのに必要と考えられる増大した負荷値で使用できないことを意味した。即ち特許文献2は、ポリエ−テルスルホン(PES)熱可塑性物の樹脂への溶解が硬化された樹脂の機械的性質を最適化するのに必要と考えられている量よりかなり低いPES量において樹脂粘度を非常に増加させ且つ樹脂の粘性を減じることを開示している。未溶解熱可塑性物の複合材料への使用に関する更なる例は、特許文献3、特許文献4、特許文献5に示されている。この場合、熱可塑
性物は複合材料中ではっきりした層を形成する。同様に、特許文献6はポリアミド粒子を包含させることによる強化された複合材料を開示している。これについては、特許文献7及び特許文献8も参照のこと。従って複合材料を製造するために使用されるプリプレグに対して熱可塑性強化剤は溶解すべきでないというのが一般的な通念であった。
【0006】
別の接着剤を使用することなしにプリプレグをコアパネルに結合させる自己接着性プリプレグが近年開発された。ハニカム構造体に対して、特許文献9は、熱可塑性粒子をプリプレグ樹脂に付加した時いかなる実質的な程度までも溶解していない熱可塑性粒子をフィレ形成粒子として用いて、プリプレグ樹脂の粘度または他の性質に悪影響を及ぼさずにプリプレグ自己接着剤を作るということを開示している。硬化工程中、特許文献9は、フィレ形成粒子のゆっくりした溶解がフィレ形成を向上させる樹脂粘度のゆっくりした増加を提供することを開示している。即ちプリプレグ中の熱可塑性強化剤がいかなる実質的な程度までも溶解すべきでないという一般的通念は残ったままであった。
【特許文献1】米国特許第3,530,087号(1970年公布)
【特許文献2】米国特許第4,945,154号(1990年公布)
【特許文献3】米国特許第4,604,319号(1986年公布)
【特許文献4】米国特許第4,957,801号(1990年公布)
【特許文献5】米国特許第5,057,353号(1991年公布)
【特許文献6】米国特許第5,169,710号(1992年公布)
【特許文献7】米国特許第6,045,898号(2000年公布)
【特許文献8】米国特許第6,429,157号(2002年公布)
【特許文献9】米国特許第6,440,257号(2002年公布)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに且つ一般的な通念と反対に、熱可塑性強化剤が室温においてプリプレグ樹脂に実質的にまたは完全に可溶である熱可塑性強化剤を含むプリプレグ組成物が発見された。好適なプリプレグ組成物は手動レイアップ(layup)及び自動テープ配置を含む広範な一連の製造技術によって複合材料を形成させるために使用できる。得られる複合材料は一次及び二次航空機構造体を含む種々の複合材料構造体へ組み込むことができる。好適な具体例において、本プリプレグ組成物はハニカムサンドイッチ構造体の製造に使用するための自己接着性プリプレグとして好適である。
【0008】
好適な具体例は、プリプレグ樹脂を含浸させた少なくとも1つの繊維層を含んでなるプリプレグ組成物を提供する。ここにこのプリプレグ樹脂は熱硬化性樹脂、硬化剤、熱可塑性粘度調整剤、及び熱可塑性強化剤を含んでなり、熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤の合計量が全プリプレグ樹脂重量に基づいて約25−約40重量%の範囲である、ここで熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれは約25℃で測定して熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれの全重量に基づいて10重量%以上がプリプレグ樹脂に可溶であり、またプリプレグ樹脂は毎分2℃の加熱速度下にニ−トのプリプレグ樹脂試料に対して測定して約25−約1500ポイズの範囲の最低粘度を有する、プリプレグ樹脂を含浸させた少なくとも1つの繊維層を含んでなるプリプレグ組成物を提供する。
【0009】
他の好適な具体例は、上述したプリプレグ組成物を硬化させることによって作られる複合材料を含んでなる複合物構造体を提供する。好ましくは複合物構造体はハニカムサンドイッチ構造体形である。
【0010】
他の好適な具体例は、熱硬化性樹脂、随時硬化剤、熱可塑性粘度調整剤、及び熱可塑性強化剤を含んでなるプリプレグ樹脂を調製し、ここで熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤の合計量がニ−トのプリプレグ樹脂試料の全重量に基づいて秤量して約25−約40
重量%の範囲であり、熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれが約25℃で測定して熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれの全重量に基づいて10重量%以上がプリプレグ樹脂に可溶であり、またプリプレグ樹脂は毎分2℃の加熱速度下にニ−トのプリプレグ樹脂試料に対して測定して約25−約1500ポイズの範囲の最低粘度を有し、そして複数の繊維をプリプレグ樹脂と接触させる、ことを含んでなるプリプレグ組成物の製造法を提供する。
【0011】
本発明は、更に制御された最低粘度を有する均質な樹脂を提供する。この樹脂はプリプレグの完全な含浸に及びスリットテ−プ(slit tape)用途並びに樹脂注入(infusion)技術を用いる使用に適当である。これら及び他の具体例を、以下により詳細に記述する。
【0012】
本発明の種々の観点は、以下の記述から及び添付する図面から容易に明らかになるであろう。但しこれらは例示であって本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
好適な具体例は、(プリプレグ樹脂を含浸させた少なくとも1つの繊維層を含んでなる)プリプレグ組成物、(繊維にプリプレグ樹脂を接触させることを含んでなる)プリプレグ組成物の製造法、プリプレグ組成物から成形される複合材料、及び複合材料を含んでなる複合材料構造体を提供する。好適なプリプレグ組成物は、手動レイアップ及び自動テープ配置(ATL)を含む種々の製造法によって(一次及び二次航空機構造体及びスポ−ツ用具を含む)広範な複合材料構造体を製造するのに適当である。ハニカムサンドイッチ構造体を製造する際に使用するのに適当な自己接着性プリプレグ組成物は特に適当である。
【0014】
好適なプリプレグ組成物は、プリプレグ樹脂を含浸させた少なくとも1つの繊維層を含んでなる。プリプレグ中に包含させるのに適当な繊維は、ガラス繊維、合成ポリマ−繊維(例えばデュポン社から上市されているケブラ−(Kevlar)芳香族ポリアミド繊維)、セラミック繊維、炭素繊維、石英繊維、ポリエチレン繊維、ホウ素繊維、及びこれらの組合わせ繊維を含む。繊維は種々の形態で、例えば単一トウ、一方向性テープ、または織り布であってよい。広範な種類の適当な繊維が上市されている。
【0015】
好適なプリプレグ樹脂は、熱硬化性樹脂、硬化剤、熱可塑性粘度調整剤、及び熱可塑性強化剤を含んでなる。熱硬化性樹脂は、多種類が上市されており及び/または同業者には公知であり、得られる硬化複合物材料に意図する機能に基づいて選択することができる。米国特許第6,440,257号の開示は、熱硬化性樹脂の例及びその使用法を記述し、全体が引用により本明細書に包含される。好適な熱硬化性樹脂の例は、エポキシ樹脂、シアネ−トエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂(例えばビスマレイミド)を含む。好適なエポキシ樹脂はビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ル−A−ジグリシジルエ−テル、パラアミノフェノ−ルのトリグリシジルエ−テル、エポキシフェノ−ルノボラック、エポキシクレゾ−ルノボラック、及びN、N、N’、N’−テトラグリシジル−4、4−メチレンビスベンゼンアミンを含む。好ましくは熱硬化性樹脂は、熱可塑性粘度調整剤の主鎖官能基に類似の及び/またはそれと親和性のある主鎖官能基を含む。
【0016】
熱硬化性樹脂は、典型的には(しばしば熱で促進される)硬化剤を用いる化学反応で硬化される。熱硬化性樹脂は、好ましくは分散された繊維の存在下に硬化させた時ポリマ−マトリックスに転化されるマトリックス前駆物質として機能する。硬化剤の種類及び量の選択は、好ましくは同業者に公知の指針に従って、硬化剤によって硬化させることが意図された種類及び量の熱硬化性樹脂に基づく。硬化剤は硬化された樹脂の構造の一部(例えばアミン硬化剤のアミノ基は典型的にはエポキシ樹脂のエポキシ基と反応して化学結合を
形成する)になり、或いは硬化剤は触媒として機能しうる。種々の硬化剤の例は、硬化剤及びその使用法を記述する目的で引用により本明細書に包含される米国特許第6,440,275号に開示されている。アミンはエポキシ樹脂に対する好適な硬化剤である。好適なアミン硬化剤の例は4、4’−ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、及びこれらの混合物である。
【0017】
本発明の熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤は、一般的な通念と異なって、好ましくは実質的にまたは完全にプリプレグ樹脂に溶解する。好ましくは熱可塑性粘度調整剤は、約25℃で測定して、プリプレグ樹脂中熱可塑性粘度調整剤の全重量に基づいて10%以上、より好ましくは約20%以上、更により好ましくは約50%以上がプリプレグ樹脂に可溶である。最も好ましくは約25℃において実質的にすべての熱可塑性粘度調整剤がプリプレグ樹脂に可溶である。
【0018】
熱可塑性粘度調整剤は、種々の熱可塑性樹脂物から選択できる。熱可塑性粘度調整剤の種類及び量の選択は、好ましくはその溶解特性及びプリプレグ樹脂中に存在する熱硬化性樹脂の種類及び量に基づく。好適な熱可塑性粘度調整剤に例は、ポリヒドロキシエ−テル、ポリエ−テル、ポリエ−テルスルホン、ポリエ−テルエ−テルスルホン、ポリエ−テルスルホン/エ−テルエ−テルスルホンコポリマ−、ポリスルフィド、クレゾ−ルノボラック、フェノ−ルノボラック、エポキシクレゾ−ルノボラック、エポキシフェノ−ルノボラック、ポリビニルブチラ−ル(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルフォルマ−ル(PVF)、アクリロニトリル含有ゴム、及びポリイミドを含む。好ましくは熱可塑性粘度調整剤は熱硬化性樹脂の主鎖官能基に類似の及び/またはそれと親和性の主鎖官能基を含む。即ち例えばポリヒドロキシエ−テルはエポキシ型熱硬化性樹脂に対する好適な熱可塑性粘度調整剤である。商品名PKHB−100(フェノキシレジンズ(Phenoxy Resins)から上市)のポリヒドロキシエ−テルは特に好適な熱可塑性粘度調整剤である。
【0019】
熱可塑性粘度調整剤は、その熱可塑性樹脂をより少量で含む匹敵しうるプリプレグ樹脂と比べて、ニ−ト(無溶媒)のプリプレグ樹脂の粘度を増加させる量でプリプレグ樹脂中に存在する熱可塑性樹脂である。
【0020】
好ましくは熱可塑性粘度調整剤は、プリプレグ樹脂の最小粘度を、ニ−ト(無溶媒)のプリプレグ樹脂試料に対して2℃の加熱速度で、振動数(frequency)10ラジアン/秒及び歪み(strain)50%下にレオメーターで測定して、約25−約1500ポイズ、より好ましくは約25−約250ポイズ、更に好ましくは約40−約75ポイズの範囲になるような量でプリプレグ樹脂中に存在する。
【0021】
図1−4は、実施例1におけるように作った本発明のプリプレグ樹脂の好適な具体例の試料に対する、4つの速度:1℃/分、2℃/分、5℃/分、及び10℃/分におけるレオメーター測定結果を示す。これらの図面は、示した加熱速度それぞれに対するプリプレグ樹脂の加熱中の種々の温度における粘度(Eta)を示す。好適な加熱速度は2℃/分であり、かくしてこれを本発明のプリプレグ樹脂の好適な粘度特性を例示するために使用する。本発明の実施例1とは異なる処方物は、加熱工程中に達成される最低粘度に影響するであろう。
【0022】
熱可塑性粘度調整剤の量及びそれがニ−トのプリプレグ樹脂の粘度を増大させる程度は熱可塑性樹脂の種類及びその分子量に依存して変化する傾向がある。典型的には熱可塑性粘度調整剤のプリプレグ樹脂中の量は、プリプレグ樹脂の全重量に基づいて約0.5−約15重量%、より好ましくは約1−約10重量%の範囲であるが、時にはそれ以上またはそれ以下の量も使用できる。熱可塑性粘度調整剤の有効性はその分子量の関数のように見
え、同一の重量基準において、より高分子量の熱可塑性樹脂が一般により低分子量の熱可塑性樹脂よりも粘度を向上させる。好ましくは熱可塑性粘度調整剤の数平均分子量Mn(ダルトン単位)は、約9000−約16000、より好ましくは約9000−約11000の範囲である。熱可塑性粘度調整剤は、好ましくは20%シクロヘキサン溶液中25℃で測定して約180−約900センチポイズ、より好ましくは約175−約425センチポイズの範囲の溶液粘度を有する。
【0023】
熱可塑性強化剤も、好ましくは実質的にまたは完全にプリプレグ樹脂に溶解する。熱可塑性強化剤は、その熱可塑性樹脂をより少量で含む対比しうる複合材料と比べて、本プリプレグ組成物から製造した複合材料の強度を向上させる量でプリプレグ樹脂中に存在する熱可塑性樹脂である。この強度は、ボ−イング(Boeing)標準法BSS7260(衝撃後圧縮(compression after impact,CAI)法)により、または同業者にはG1Cとして公知のモード1破壊強度試験により決定できる。好ましくは熱可塑性強化剤は、約25℃で測定してプリプレグ樹脂中の熱可塑性強化剤の全重量に基づいて、10重量%以上、より好ましくは約20重量%以上、更により好ましくは約50重量%以上がプリプレグ樹脂に可溶である。最も好ましくは、実質的にすべての熱可塑性強化剤が約25℃においてプリプレグ樹脂に可溶である。熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤のプリプレグへの溶解度は、倍率300xの光学顕微鏡により、25℃の温度で決定できる。即ち、熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤の粒子は、それが倍率300xの光学顕微鏡により25℃の温度でプリプレグ樹脂中に見えれば不溶であると考えられる。
【0024】
熱可塑性強化剤の量及びその得られる複合材料の強度を向上させる程度は、熱可塑性樹脂の種類及びその分子量に依存して変化する傾向にある。典型的には熱可塑性強化剤のプリプレグ樹脂中の量は、プリプレグ樹脂の全重量に基づいて約20−約35重量%、より好ましくは約25−約30重量%の範囲であるが、それ以上またはそれ以下の量も時に使用できる。熱可塑性強化剤の有効性は、その分子量の関数であるように見え、同一の重量に基づけばより高分子量の熱可塑性樹脂は一般により低分子量の熱可塑性樹脂よりも強度を向上させる。好ましくは熱可塑性強化剤の数平均分子量Mnは約6000−約12000、より好ましくは約9000−約12000の範囲である。
【0025】
熱可塑性強化剤は種々の熱可塑性樹脂から選択しうる。熱可塑性強化剤の種類及び量の選択は、好ましくはプリプレグ樹脂中に存在する熱硬化性樹脂の種類及び量、熱可塑性樹脂の溶解特性、及び複合材料中に混入してない時の熱可塑性樹脂の強度(toughness)に基づく。米国特許第6,437,080号は、全体が、特に熱可塑性強化剤として有用な熱可塑性樹脂を記述する目的で引用により本明細書に包含される。ポリエ−テルスルホン、ポリエ−テエルエ−テルスルホン、及びこれらのコポリマ−は好適な熱可塑性強化剤の例である。米国特許第6,437,080号の実施例に記述されるポリエ−テルスルホン/エ−テエルエ−テルスルホン(PES/PEES)コポリマーは特に好適な熱可塑性強化剤である。
【0026】
熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤のプリプレグ樹脂中の合計量は、全プリプレグ樹脂重量に基づいて、好ましくは約25−約40重量%、より好ましくは約30−約35重量%の範囲である。但し、この量の両者に対する区分けは、特定のプリプレグ樹脂においては熱可塑性粘度調整剤が熱可塑性強化剤と異なるけれど、熱可塑性粘度調整剤は強化効果を示しうるし、熱可塑性強化剤は粘度を向上させうるから、互いに限定できるものではない。
【0027】
プリプレグ樹脂は同業者には公知の他の添加剤、例えば無機粒子、着色剤、安定剤、触媒、難燃剤などを1つまたはそれ以上を含むことができる。好適なプリプレグ樹脂は、プ
リプレグ樹脂に実質的な程度で溶解しない、例えば米国特許第6,440,257号に記述されているような熱可塑性フィレ形成粒子を実質的に含まない。
【0028】
プリプレグ樹脂は、熱硬化性樹脂、硬化剤、熱可塑性粘度調整剤、及び熱可塑性強化剤を、他の随意の添加剤と共に、いかなる順序でも混合することによって製造できる。好ましくは溶媒も上記成分と混合して、良好な混合と均一性を確実にする。溶媒の種類及び量の選択は、好ましくはプリプレグ樹脂中の成分の種類及び量に基づく。好ましくは成分のすべてを実質的に溶解させ、実質的に均一なプリプレグ樹脂組成物を作るのに十分な溶媒が使用される。溶媒を含むプリプレグ樹脂は、繊維に浸透させるのに使用できる。或いは溶媒を一部蒸発させ(またはプリプレグから実質的に完全に蒸発させてニ−トのプリプレグ樹脂を得る)、そして得られたプリプレグ樹脂を繊維に浸透させるのに使用してもよい。適当な溶媒の例は、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、及び好ましくはアセトン、メチルエチルケトン及び1、3−ジオキソランを含む。
【0029】
ニ−トのプリプレグ樹脂は、熱硬化性樹脂、硬化剤、熱可塑性粘度調整剤、及び熱可塑性強化剤を、他の随意の添加剤と共に、溶媒を存在させないでいかなる順序でも混合することによって製造できる。活性成分の1つまたはそれ以上が他の活性成分の1つまたはそれ以上に対する溶媒として作用しうるが、この関連ではそのような活性成分を言及するのに「溶媒」という術語は使用しない。溶媒の不在下における成分の混合は、好ましくは加熱しながら行なわれ、より好ましくは複数の段階で行なわれる。例えば好適な具体例においては、熱可塑性強化剤の第1部分及び他の成分の少なくとも1つの一部またはすべて(例えば熱硬化性樹脂の少くとも一部分、及び/または熱可塑性粘度調整剤の少なくとも一部分及び好ましくはすべて)を含んでなるプレミックスを、第1段階で、上述の成分を好ましくは加熱しながら、より好ましくは約40℃以上の温度まで加熱しながら混合させることによって製造する。好ましくは熱可塑性強化剤の第1部分及び熱可塑性粘度調整剤の実質的殆どまたは実質的にすべてがプレミックスに溶ける。好ましくはプレミックスは硬化剤を含まず、かくして早すぎる硬化なしに、より高温で且つより低粘度でより良い混合が達成できる。
【0030】
次いでプレミックスを強化剤の少なくとも第2部分、及び随時強化剤の更なる部分及び/または他の成分のいずれか残りの部分(例えば熱硬化性樹脂、硬化剤、及び/または熱可塑性粘度調整剤のいずれか残りの部分)と混合する。熱可塑性強化剤の第2部分は、随時熱可塑性強化剤の粒子、例えば60−150ミクロンの範囲の数平均粒子寸法を有する粒子を含んでなってもよい。添加した熱可塑性強化剤粒子が溶解していない混合状態に対しては、第1及び第2部分における熱可塑性強化剤の相対量は、好ましくは約25℃で測定して、得られるプリプレグ樹脂中の熱可塑性強化剤の全重量に基づいて熱可塑性強化剤の10%以上、より好ましくは約25%以上、更により好ましくは約50%以上が、得られるプリプレグ樹脂に可溶であるような量である。
【0031】
プリプレグ組成物は、好ましくは繊維にプリプレグ樹脂を浸透させるまたは繊維をプリプレグ樹脂で「プリプレグ化」することにより、例えば個々の繊維がプリプレグ樹脂で無理なく被覆されるように複数の繊維をプリプレグ樹脂と接触させることにより作られる。繊維とプリプレグ樹脂との接触については、溶液法及びバルク法を含めて種々の方法が同業者の知るところである。例えば好適な具体例においては、単一方向テ−プまたは織り布の形の繊維を、プリプレグ樹脂を含む浴に通過させる。次いで例えばこのプリプレグ組成物を予め決めた間隙を持つ一対のロール間に通して、得られたプリプレグ組成物(繊維及びプリプレグ樹脂を含有)を機械的に処理していかなる過剰のプリプレグ樹脂も除去することができる。存在するならば溶媒を蒸発せしめ、或いはプリプレグ組成物を乾燥炉に通して蒸発を行なってもよい。最終のプリプレグ組成物は好ましくは実質的に溶媒を含まず、好ましくは全プリプレグ組成物の重量に基づいてプリプレグ樹脂を約35−約45重量%、より好ましくは約38−約42重量%含む。
【0032】
複合材料は、同業者には公知の方法によりプリプレグ組成物から製造することができる。例えば好適な具体例において、1対の2層炭素繊維プリプレグを積み重ねて1対のプリプレグ表面シートを形成させ、ついでこれを接着剤を使用しないでノ−メックス(Nomex)ハニカムコアの反対側に適用する(+45、0/90、コア、0/90、+45)。次いで得られた構造体を真空バッグに入れ、ボ−イングBMS8−256によるオ−トクレ−ブ中において約1−約5°F/分の範囲の加熱速度で350°F下に2時間硬化させてハニカムサンドイッチ構造体を得る。クライミングドラム(climbing drum)剥離試験(ASTM D1781)は、表面シ−トがハニカムコアによく結合していることを示し、また試料断面の顕微鏡検査は硬化中のプリプレグ樹脂の望ましい流動が達成されたことを示唆する適当なフィレ形成を示す。本明細書に記述されるプリプレグ組成物を用いて製造される好適なハニカムサンドイッチ構造体及び積層物は、積層物に関して行なった衝撃後圧縮(CAI)及びモード1破壊強度(G1C)試験で決定されるように優秀な強度も示す。
【0033】
[実施例1]
プリプレグ樹脂を次のように作った。エポキシ樹脂の混合物を含む熱硬化性樹脂は、ビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル(商品名PY306)12.4g及びパラアミノフェノ−ルのジグリシジルエ−テル(商品名MY0510)37.2gを約90℃に加熱しながら混合することによって調製した。熱可塑性強化剤の第1部分(数平均分子量約11000を有する40:60ポリエ−テルスルホン/ポリエ−テルエ−テルスルホンコポリマ−14.1g、米国特許第6,437,080号に記述されるように製造)をエポキシ樹脂の混合物にゆっくりと添加した。熱可塑性粘度調整剤(ポリヒドロキシエ−テル5.04g、商品名PKHB−100)もエポキシ樹脂の混合物に添加した。得られた混合物を、熱可塑性強化剤及び熱可塑性粘度調整剤の両方が溶解するまで約90℃に加熱した。次いで得られた混合物を約40−50℃まで冷却し、アセトン約40gを添加して濃厚溶液とした。次いで熱可塑性強化剤の第2部分(上述したポリエ−テルスルホン/ポリエ−テルエ−テルスルホンコポリマ−14.1g)を先の濃厚溶液に、熱可塑性強化剤が溶解するまで(約30分間)約40−50℃で撹拌しながら添加した。次いで硬化剤(4、4’−ジアミノジフェニルスルホン15.7g及びジシアンジアミド1.38gの混合物)を溶液に添加してプリプレグ樹脂を製造した。
【0034】
[実施例2]
プリプレグ樹脂を次のように作った。エポキシ樹脂の混合物を含む熱硬化性樹脂は、ビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル(商品名PY306)12.4g及びパラアミノフェノ−ルのトリグリシジルエ−テル(商品名MY0510)37.2gを約90℃に加熱しながら混合することによって調製した。全熱可塑性強化剤(実施例1に記述した40:60ポリエ−テルスルホン/ポリエ−テルエ−テルスルホンコポリマ−28.2g)をエポキシ樹脂の混合物にゆっくりと添加した。熱可塑性粘度調整剤 (ポリヒドロキシエ−テル5.04g、商品名PKHB−100)もエポキシ樹脂の混合物に添加した。得られた混合物を、熱可塑性強化剤及び熱可塑性粘度調整剤の両方が溶解するまで約90℃に加熱した。次いで得られた混合物を約40−50℃まで冷却し、アセトン約40gを添加して濃厚溶液とした。次いで硬化剤(4、4’−ジアミノジフェニルスルホン15.7g及びジシアンジアミド1.38gの混合物)を溶液に添加してプリプレグ樹脂を製造した。
【0035】
[実施例3]
プリプレグ組成物は次のように調製した。190−200g/mの重さを有する平織り炭素繊維布(T300 3Kの撚ってない炭素繊維を含む)を、実施例1に記述したよ
うなプリプレグ樹脂中に約1−約5m/分の速度で通過させ、次いで約80−120℃に保った炉中を通してアセトン溶媒を蒸発させた。浸積及びフロ−工程またはニップ間隙通過により、所望の量のプリプレグ樹脂を布に含浸させた。得られたプリプレグ組成物は、全プリプレグ組成物の重量基準で約38%〜42%のプリプレグ樹脂を含有する。
【0036】
このプリプレグ組成物から、これをプレスで圧縮することによりプリプレグ樹脂試料を得た。このプリプレグ樹脂試料を25℃において光学顕微鏡(300x)で検査した。熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤の粒子は観察されず、実質的にすべての熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤がプリプレグ樹脂に溶解していることを示した。
【0037】
[実施例4]
プリプレグ樹脂を次のように作った。プレミックスは、熱硬化性樹脂(ビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル20g、商品名PY306)を熱可塑性強化剤の第1部分(実施例1に記述したポリエ−テルスルホン/ポリエ−テルエ−テルスルホンコポリマ−7.1g)及び熱可塑性粘度調整剤(ポリヒドロキシエ−テル5.04g、商品名PKHB−100)と混合することによって調製した。得られた混合物を撹拌しながら約90−130℃に加熱して熱可塑性強化剤の第1部分及び熱可塑性粘度調整剤の両方を溶解させた。次いで得られたプレミックスを約40−50℃まで冷却し、熱硬化性樹脂の更なる部分(ビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル5.4g及びパラアミノフェノ−ルのジグリシジルエ−テル25.0g)に添加し、そして熱可塑性強化剤の第2部分(上述したポリエ−テルスルホン/ポリエ−テルエ−テルスルホンコポリマ−21.1g)を撹拌しながら添加した。次いで硬化剤(4、4’−ジアミノジフェニルスルホン15.7g及びジシアンジアミド1.38gの混合物)を撹拌しながら添加してプリプレグ樹脂を製造した。
【0038】
[実施例5]
プリプレグ樹脂を次のように作った。プレミックスは、熱硬化性樹脂(ビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル10.8g、商品名PY306及びパラアミノフェノ−ルのトリグリシジルエ−テル36.4g,商品名MY0510)及び熱可塑性強化剤(実施例1に記述したポリエ−テルスルホン/ポリエ−テルエ−テルスルホンコポリマ−28.2g)及び熱可塑性粘度調整剤(ポリヒドロキシエ−テル5.04g、商品名PKHB−100)を混合することによって調製した。得られた混合物を撹拌しながら約90−130℃に加熱して、熱可塑性強化剤及び熱可塑性粘度調整剤の両方を溶解させた。次いで得られたプレミックスを約40−50℃まで冷却し、1、3−ジオキソラン約5gを撹拌しながら混合物に添加した。次いで硬化剤(4、4’−ジアミノジフェニルスルホン15.7g)を撹拌しながら混合物に添加した。更に触媒剤(ビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル、商品名PY306、1.50g及びジシアンジアミド1.50g)を撹拌しながら添加してプリプレグ樹脂を製造した。
【0039】
[実施例6]
下記の実施例8に記述した機械的試験で試験するための構造体を製造するのに使用される標準法に従って、実施例3に記述したように調製したプリプレグ組成物からハニカムサンドイッチ構造体及び試験ク−ポン(coupons)を製造した。
[対照実施例7]
【0040】
プリプレグ樹脂が二次航空機構造体に使用することが現在認められているカルボキシル末端ブタジエンニトリル(CTBN)ゴム変性エポキシ樹脂である以外実施例3と同様の方法に従い、対照のプリプレグ組成物を製造した。ハニカムサンドイッチ対照構造体は、ASTM D1781(クライミングドラム剥離)試験のためにそのような構造体を対照
プリプレグ組成物から製造するのに使用される方法に従って製造した。2組の対照構造体を製造した:1つはハニカムコアを表面シートに接着させるために使用されるフィルム接着剤(マトリックスとは異なるCTBNゴム変性エポキシ)を用いて、他はフィルム接着剤を用いずに製造した。フィルム接着剤を用いたハニカムサンドイッチ対照構造体は現在二次航空機構造体に使用するのに適格とされているものである。
【0041】
表1は両方の組の構造体に対して得られたクライミングドラム剥離試験データを示す。試験データは、フィルム接着剤がハニカムサンドイッチ構造体の機械的性質を有意に改善すること、また現在適格とされている材料からフィルム接着剤を除くと機械的性質の不利な低下が起こることを示す。
【0042】
【表1】

【0043】
[実施例8]
実施例4−5に記述したように製造したハニカムサンドイッチ構造体及び試験ク−ポンを、同業者がしばしば使用する以下の機械的試験に供し、この構造体が特別な用途に対して所望の機械的性質を示すという確信を得た。
【0044】
クライミングドラム剥離(ASTM D1781):この試験は表面パネルのハニカムコア面への接着強度を測定するために典型的に使用される。この試験は、サンドイッチ構造体の比較的柔軟な表面仕上げ面とそのコアの間の接着結合の剥離抵抗を測定する。この試験は、商業的航空機への二次構造体としての用途を考えるために構造体を評価するのに基本的に使用される。
【0045】
ロングビ−ムフレックス(long beam flex)(ASTM C393−94):この試験は、典型的には適用したモーメントが、上側表面に圧縮不能及び下側表面に引張り不能を引き起こすサンドイッチ表面仕上げ面の曲面を作り出すような、平らな曲面化に供する平らなサンドイッチ構造体の機械的性質を測定するのに使用される。この試験は商業的航空機への二次構造体としての用途を考えるために構造体を評価するのに基本的に使用される。
【0046】
平面伸張(flatwise tension)(ASTN C297−94):この試験は、コアの平面引張り強度、即ち組み立てられたサンドイッチパネルのコアと表面仕上げ面との間の結合強度を特徴づけるために基本的に使用される。この試験はサンドイッチパネルにそのパネル面に垂直な引張り負荷をかけ、その負荷をサンドイッチ表面仕上げ面に結合する厚い負荷ブロックを通してサンドイッチに伝達させることを含む。この試験は商業的航空機への二次構造体としての用途を考えるために構造体を評価するのに基本的に使用される。
【0047】
衝撃後圧縮(CAI、ボ−イング標準法BSS7260):この試験は、構造体を特別なエネルギー値で衝撃を与えた後の構造体の圧縮強度を特徴づけるために典型的に使用さ
れる。衝撃後、比較的低い均一な緊張速度で構造体を圧縮負荷に供する。この試験は樹脂系の強度に関するデータを提供する。この試験は商業的航空機への一次構造体としての用途を考えるために構造体を評価するのに基本的に使用される。
【0048】
G1C:この試験は、硬化した積層物内の層間の不能(falure)モ−ドを開始させる亀裂スタ−タ−を用いるマトリックスの剪断性質を特徴づけるために典型的に使用される。モ−ド1の不能に対しては、積層が引きはがされる。この試験は樹脂系の強度に関するデータを提供する。また試験は商業的航空機への一次構造体としての用途を考えるために構造体を評価するのに基本的に使用される。
【0049】
表2は、実施例6に記述したように自己接着性プリプレグを用いて製造したハニカムサンドイッチ構造体及びク−ポンに対する試験データ、並びにCTBNゴム変性マトリックスを有し且つ実施例5に記述したフィルム接着剤を用いて製造した一連の対照構造体について得られたデータを示す。実施例7に記述したように、フィルム接着剤はフィルム接着剤なしに製造した構造体よりも優れた且つ二次航空機構造体で使用するのに十分である機械的性質を対照構造体に付与する。
【0050】
表2のデータは、本明細書に記述したように製造したハニカムサンドイッチ構造体及びクーポンが、顧客の仕様に適合し、またいくつかの場合、特に樹脂系の強度が重要である場合、対照製品の性能を凌駕することを示す。製造業者にとっての利点は、労賃及び材料費の低減、並びに重量(強度/重量値を増大)の軽減である。
【0051】
【表2】

【0052】
本明細書に言及したすべての参考文献及び特許は、全体が引用により本明細書に包含される。以上本発明を、ある好適な具体例に関して記述してきたけれど、本明細書の開示を鑑みれば、同業者にとって他の具体例も明白である。従って本発明の範囲は好適な具体例の記述によって限定はされない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明のプリプレグ樹脂の好適な具体例に対する1℃/分の温度上昇における温度の関数として粘度を例示するレオメーター測定曲線である。
【図2】図2は、本発明のプリプレグ樹脂の好適な具体例に対する2℃/分の温度上昇における温度の関数として粘度を例示するレオメーター測定曲線である。
【図3】図3は、本発明のプリプレグ樹脂の好適な具体例に対する5℃/分の温度上昇における温度の関数として粘度を例示するレオメーター測定曲線である。
【図4】図4は、本発明のプリプレグ樹脂の好適な具体例に対する10℃/分の温度上昇における温度の関数として粘度を例示するレオメーター測定曲線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリプレグが熱硬化性樹脂、硬化剤、熱可塑性粘度調整剤、及び熱可塑性強化剤を含んでなり、熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤の合計量が全プリプレグ樹脂量に基づいて約25−約40重量%の範囲であり、ここで
熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれが約25℃で測定して熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれの全重量に基づいて10重量%以上がプリプレグ樹脂に可溶であり、そして
プリプレグ樹脂が毎分2℃の加熱速度下にニ−トのプリプレグ樹脂試料に対して測定して約25−約1500ポイズの範囲の最低粘度を有する、
プリプレグ樹脂を含浸させた少なくとも1つの繊維層を含んでなるプリプレグ組成物。
【請求項2】
最小粘度が約25−約250ポイズの範囲にある、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項3】
熱可塑性粘度調整剤の実質的にすべてがプリプレグ樹脂に可溶である、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項4】
熱可塑性強化剤の約20重量%以上がプリプレグ樹脂に可溶である、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項5】
プリプレグ樹脂が実質的に均質な組成物である、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項6】
繊維層が炭素繊維を含んでなる、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項7】
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、シアネ−トエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群から選択される、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項8】
エポキシ樹脂がビスフェノ−ル−F−ジグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ル−A−ジグリシジルエ−テル、エポキシフェノ−ルノボラック、エポキシクレゾ−ルノボラック、パラアミノフェノ−ルのトリグリシジルエ−テル、及びN、N、N’、N’−テトラグリシジル−4、4−メチレンビスベンゼンアミンからなる群から選択される、請求項7のプリプレグ組成物。
【請求項9】
熱可塑性粘度調整剤がポリヒドロキシエ−テル、ポリエ−テルスルホン、ポリエ−テルエ−テルスルホン、ポリエ−テルスルホン/エ−テルエ−テルスルホンコポリマ−、ポリビニルブチラ−ル、及びポリビニルフォルマ−ルからなる群から選択される、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項10】
熱可塑性強化剤がポリエ−テルスルホン、ポリエ−テルエ−テルスルホン、及びこれらのコポリマ−からなる群から選択される、請求項1のプリプレグ組成物。
【請求項11】
熱硬化性樹脂、硬化剤、熱可塑性粘度調整剤、及び熱可塑性強化剤を含んでなるプリプレグ樹脂を調製し、但し熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤の合計量がニ−トのプリプレグ樹脂試料の全重量に基づいて秤量して約25−約40重量%の範囲であり、熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれが約25℃で測定して熱可塑性粘度調整剤及び熱可塑性強化剤それぞれの全重量に基づいて10重量%以上がプリプレグ樹脂に可溶であり、またプリプレグ樹脂は毎分2℃の加熱速度下にニ−トのプリプレグ樹脂試料に対して測定して約25−約1500ポイズの範囲の最低粘度を有し、そして
複数の繊維をプリプレグ樹脂と接触させる、
ことを含んでなるプリプレグ組成物の製造方法。
【請求項12】
プリプレグ樹脂が溶媒を含んでなる、請求項11の方法。
【請求項13】
溶媒がアセトン、1、3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、及びジメチルホルムアルデヒドからなる群から選択される、請求項12の方法。
【請求項14】
溶媒の蒸発を更に含んでなる、請求項12の方法。
【請求項15】
プリプレグが実質的に均質な組成物である、請求項11の方法。
【請求項16】
熱可塑性粘度調整剤の実質的にすべてがプリプレグ樹脂に可溶である、請求項11の方法。
【請求項17】
熱可塑性強化剤の約20重量%以上がプリプレグ樹脂に可溶である、請求項11の方法。
【請求項18】
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、シアネ−トエステル樹脂、ポリアミド及びポリイミドからなる群から選択される、請求項11の方法。
【請求項19】
熱可塑性粘度調整剤がポリヒドロキシエ−テル、ポリエ−テル、ポリエ−テルスルホン、ポリエ−テルエ−テルスルホン、ポリエ−テルスルホン/エ−テルエ−テルスルホンコポリマ−、ポリスルフィド、クレゾ−ルノボラック、フェノ−ルノボラック、エポキシクレゾ−ルノボラック、エポキシフェノ−ルノボラック、ポリビニルブチラ−ル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルフォルマ−ル、アクリロニトリル含有ゴム、及びポリイミドからなる群から選択される、請求項11の方法。
【請求項20】
熱可塑性強化剤がポリエ−テルスルホン、ポリエ−テルエ−テルスルホン、及びこれらのコポリマ−からなる群から選択される、請求項11の方法。
【請求項21】
プリプレグ樹脂の成形が、
熱可塑性強化剤の第1の部分、並びに熱硬化性樹脂の少なくとも一部分、硬化剤の少なくとも一部分、及び熱可塑性粘度調整剤の少なくとも一部分からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなるプレミックスを形成させ、但し該熱可塑性強化剤の第1の部分の実質的にすべてはプレミックスに可溶であり、そして
該プレミックスを該熱可塑性強化剤の少なくとも第2の部分と混合する、
ことを含んでなる、請求項11の方法。
【請求項22】
プレミックスを約40℃より高温で形成させることを含んでなる、請求項21の方法。
【請求項23】
該熱可塑性強化剤の第2の部分が60−150ミクロンの範囲の数平均粒子寸法を有する熱可塑性強化剤の粒子を含んでなる、請求項21の方法。
【請求項24】
請求項1のプリプレグ組成物を硬化させることによって作られた複合材料を含んでなる複合材料構造体。
【請求項25】
ハニカムサンドイッチ構造体の形の請求項24の複合材料構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−537331(P2007−537331A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513175(P2007−513175)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/014427
【国際公開番号】WO2005/113652
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502159011)サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン (8)
【Fターム(参考)】