説明

自律携帯式検体監視装置又は薬剤送給装置

【課題】検体監視、ドラッグ(薬剤)送給装置を提供する。
【解決手段】グルコースのような種々の血液成分を監視するために、キャリヤ16上に配置した複数個のマイクロニードル14と、電子部分18とを少なくとも部分的に包囲するハウジング12を有し、各マイクロニードル14は対応するマイクロチャネル20と流体連通しており、アクチュエータ22を介して、個々に突出、後退が可能であって、対象物から流体資料を引き出し検体試験を行う。また対象物に薬剤を送給するために、マイクロチャネル20に薬剤を充填させ、マイクロニードル14を突出させて対象物に薬剤を送給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2002年2月8日に出願された暫定特許出願第60/355195 号の利益を請求
する。
【0002】
本発明は検体監視装置、及び/又はドラグ(薬剤)送給装置の分野に関するものであり
、特に自律的な作動を行う検体監視装置、又は薬剤送給装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
家庭用の検体監視は糖尿病メリティスを有する患者によって、グルコースを監視するた
めに、最も広く使用されている。糖尿病メリティスの最も深刻な症状はタイプ1、即ち、
インシュリン依存糖尿病メリティス(IDDM)、即ち膵臓がインシュリンを分泌できな
い状態である。タイプ1の糖尿病患者の場合には、適切な量のインシュリンを注射して補
う目的で、グルコースレベルを頻繁に監視しなければならない。広く使用されている家庭
用グルコース監視による効果は、グルコースの監視を頻繁に行って、インシュリンを良好
に維持すれば、糖尿病メリティスに関連するクオリティ・オブ・ライフの喪失、即ち生活
の質の喪失、及びそれに伴う治療費を著しく低減することができることを臨床試験が示し
ている。グルコースの頻繁で、正確な自己テストが必要である。しかし、公衆の中で、ラ
ンセットを使用し、ランセット、条片、及び手で保持した監視装置を操作することから生
ずる不快感(苦痛)のため、グルコースの自己テストの回数は著しく減少している。
【0004】
米国特許出願第2002/0006355号は血液中の化学物質の濃度を決定するのに、使用する試
験条片を開示している。この試験条片は共通の試験区域に、流体連通している複数個のマ
イクロニードルを有している。マイクロニードルは皮膚を刺して、血液を取り出すように
なっている。試験区域には、血液中の化学物質の反応を示すようにした試薬を設けている

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、使用に当たり、使用者はマイクロニードルパッチを皮膚に押し付けて、血糖値
の測定を開始する必要がある。各マイクロニードルが皮膚を穿刺する。一定量の血液が毛
細管作用によって、各マイクロニードルの捕集点から、試験区域まで動かされる。血液中
のグルコースは、試験室内に組み込まれた試薬と反応し、血糖値濃度を示す信号を発生す
る。次に、この信号は血糖値分析装置(例えば手で保持する装置)内の適切なセンサによ
って、使用者により測定され、使用者の血液の中のグルコースの濃度を決定する。反応に
よって生じた信号を血糖値分析装置が一旦測定すると、試験条片(及びマイクロニードル
パッチ)は廃棄される。検体監視装置、及び/又は薬剤送給装置の分野における改良が要
望されている。
【0006】
更に、薬剤送給の分野においても、バイオ産業は重要な治療学を生み出しているが、薬
剤の送給に関して独特の懸案がある。現在のところ、蛋白質、及びペプチドの治療は殆ど
専ら注射によって、行われている。送給の有効な手段である非経口のルートは患者にとっ
て複雑で、不便であると見られることが多い。インシュリンを送給するこれ以外の一層良
い方法はない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は検体監視及びドラグ(薬剤)送給装置に関するものである。本発明は
グルコースのような種々の血液成分を監視するのに適する。この装置はキャリヤ上に配置
された複数個のマイクロニードル、及び電子部分を少なくとも一部、包囲するハウジング
を有する。各マイクロニードルは対応するマイクロチャネルと流体連通する。各マイクロ
ニードルは個々に、アクセス可能である。即ち、各マイクロニードルはアクチュエータを
介して、個々に突出し、後退することができる。電子部分にはプロセッサと、関連する回
路(電子工学に対応する記憶装置等)と、モータ等と、センサと、動力源(例えば電池)
と、随意のインタフェースとを有する。
【0008】
一般に、プロセッサは装置の作動を制御し、アクチュエータ、モータ、センサ、及びイ
ンタフェースにデータ通信している。本発明は使用者の介入を必要とせず、自律的な作動
を行う。本発明は使用者の介入が無くとも、随意にキャリブレーションを行うことができ
る。また、本発明は一日中、又は夜間、半連続的に監視を行うことができる。本発明は4
週間、又はそれ以上の期間まで作動を行うことができる。本発明は比較的寸法が小さく、
従って、目立たない装置を提供する。また、本発明は遠方制御の最新の電子工学部品を有
する装置を提供する。また、本発明は患者の介入を最少にし、不快感を最少にするよう、
有効性が高い薬剤を含む種々の薬剤のために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は対象物から流体試料を引き出す作用をする検体監視装置に関する。この装置は
第1の複数個のマイクロニードルと、複数個の監視マイクロチャネルとを有する。第1の
複数個のマイクロニードルのおのおのは対応する監視マイクロチャネルに少なくとも間欠
的に流体連通している。また、各監視マイクロチャネルは試薬に関連している。装置は対
象物から流体試料を引き出すため、各マイクロニードルを突出させるように、作動し得る
少なくとも1個のアクチュエータを有する。また、装置は流体試料の検体試験を開始する
ように作動する制御器を有する。
【0010】
本発明の好適な態様では、アクチュエータは第1の複数個のマイクロニードルの少なく
とも1個を全方向に、即ち必要に応じ、いかなる方向にでも突出させるように作動可能で
ある。本発明の他の好適な態様において、第1の複数個のマイクロニードルのおのおのは
約25〜200ミクロンの範囲の内径を有する。本発明の他の好適な態様においては、第
1の複数個のマイクロニードルのおのおのは金属、プラスチック、ガラス、及び結晶体の
少なくとも一つから造られる。本発明の他の好適な態様では、第1の複数個のマイクロニ
ードルのおのおのは最大で約2.5 mmまで皮膚の表面内に貫入するように作動可能である。
【0011】
流体試料が実質的に血液であるのが好適である。本発明の他の好適な態様では、第1の
複数個のマイクロニードルのおのおのは導管を通じて、監視マイクロチャネルに、少なく
とも間欠的に連通している。本発明の好適な態様では、各監視マイクロチャネルは流体試
料を貯蔵するように作動可能であり、監視マイクロチャネル内の流体試料の蓄積は毛管力
に、完全に依存している。
【0012】
本発明の他の好適な態様においては、監視マイクロチャネルのおのおのは毛管力を増大
し、凝固を最少にするため、少なくとも1個の不溶性の材料を少なくとも部分的に、コー
ティングした少なくとも1個の内面を有する。本発明の他の好適な態様においては、複数
個の監視マイクロチャネルは群として製作する。本発明の他の好適な態様では、監視マイ
クロチャネルはほぼ5cmの最大直径内に形成された約50〜150個のマイクロチャネ
ルを有する一群に製作される。本発明の他の好適な態様では、約50〜500ナノリット
ルの範囲内の流体の容積になるよう、第1の複数個のマイクロニードルのおのおのの寸法
を定める。
【0013】
この装置には流体試料が少なくとも1個の監視マイクロチャネルに完全に充填した時を
決定するように作動する検出器を設けることができ、関連するマイクロニードルに流体試
料が堆積するのを終了させる。本発明の他の好適な態様では、(a)グルコース、(b)
コレステロール、(c)エタノール,(d)ジコキシン、(e)HDLコレステロール、
(f)リチウム、(g)ナトリウム、(h)フェニトイン、(i)セロフィリン、(j)
サイクロスポリン、(k)癌化学療法薬、(l)DNA、(m)RNA、(n)増量フェ
ニトインナトリウム、(o)ワルファリンナトリウム、及び(p)血液から生じた蛋白質
から成る群から選択された検体を検査するように作用し得る少なくとも1個の試薬に少な
くとも1個の監視マイクロチャネルが流体連通する。
【0014】
随意に、少なくとも2個の監視マイクロチャネルを単一のマイクロニードルに関連させ
、単一のマイクロニードルを使用し、多数の検査を行うことができるようにする。本発明
の他の好適な態様においては、第2の複数個のマイクロニードルと、キャリブレーション
流体を充填した複数個のキャリブレーションマイクロチャネルとを具え、キャリブレーシ
ョンの目的で、少なくとも1個の検査を開始する。
【0015】
随意に、この装置は第3の複数個のマイクロニードルと、複数個の薬剤送給マイクロチ
ャネルとを有することができ、各薬剤送給マイクロチャネルは少なくとも一部薬剤を充填
する。本発明の他の好適な態様においては、少なくとも1個の監視マイクロチャネルをポ
リマによってシールする。
【0016】
本発明の他の好適な態様においては、タイムスケジュールに基づく検体試験を開始する
ように、制御器が作用することができる。本発明の他の好適な態様においては、制御器は
検体試験タイムスケジュールを調整するように作動し得る。
【0017】
本発明の他の好適な態様においては、制御器は可搬式コンピュータ装置に結合するよう
に作動可能である。本発明の他の好適な態様においては、制御器、及び可搬式コンピュー
タ装置は検体試験の時間を選択し、又は変更するように作動することができる。
【0018】
本発明の他の好適な態様において、複数個のマイクロニードル、及び複数個の監視マイ
クロチャネルは使い捨てである。本発明の他の好適な態様では、制御器、及びアクチュエ
ータは再使用可能である。本発明の他の好適な態様では、複数個のマイクロニードル、複
数個の監視マイクロチャネル、アクチュエータ、及び制御器を可搬式にする。
【0019】
この装置はマイクロニードルを突出する前に、少なくとも1個の注射位置を加熱するよ
うに作動し得る加熱源を有する。本発明の他の好適な態様においては、加熱源が光学加熱
源である。
【0020】
この装置はハウジングを表面に取り付けるように作用する接着剤を少なくとも一部、コ
ーティングしたハウジングを有することができ、このハウジングは複数個のマイクロニー
ドル、及び監視マイクロチャネルを少なくとも一部、包囲する。本発明の他の好適な態様
では、装置は複数個のマイクロニードルと、監視マイクロチャネルとを少なくとも一部、
包囲するほぼディスク状ハウジングを有する。
【0021】
また、本発明は対象物に、薬剤を送給するように作用する薬剤送給装置に関する。この
装置は第1の複数個のマイクロニードルと、複数個の薬剤送給マイクロチャネルとを有す
る。第1の複数個のマイクロニードルのおのおのは対応する薬剤送給マイクロチャネルに
少なくとも間欠的に、流体連通する。各薬剤送給マイクロチャネルは少なくとも一部、薬
剤が充填される。この装置は対象物に薬剤を送給するよう、各マイクロニードルを突出さ
せるように作動する少なくとも1個のアクチュエータを有する。また、この装置は薬剤の
送給を開始するように作動し得る制御器を有する。
【0022】
本発明の好適な態様では、アクチュエータは第1の複数個のマイクロニードルのうちの
少なくとも1個を全方向に、即ち必要に応じ、いかなる方向にでも突出させるように作動
することができる。本発明の他の好適な態様では、第1の複数個のマイクロニードルのそ
れぞれは約25〜200ミクロンの範囲内の内径を有する。本発明の他の好適な態様では
、第1の複数個のマイクロニードルのおのおのは金属、プラスチック、ガラス、及び結晶
体の少なくとも一つから製造される。本発明の他の好適な態様においては、第1の複数個
のマイクロニードルのおのおのは最大約2.5 mmまで、皮膚の表面に貫入するように作用す
る末端を有する。
【0023】
流体試料が実質的に血液であるのが好適である。本発明の他の好適な態様では、第1の
複数個のマイクロニードルのおのおのは導管を介して、薬剤送給マイクロチャネルと少な
くとも間欠的に流体連通している。本発明の他の好適な態様では、少なくとも1個の薬剤
送給の送給量は少なくとも一部、液圧力に依存している。本発明の好適な態様では、複数
個の薬剤送給マイクロチャネルを群として製造する。本発明の好適な態様では、薬剤送給
マイクロチャネルは約5cmの最大直径内に形成されたほぼ50〜150個のマイクロチ
ャネルを有する一群として製造される。本発明の好適な態様では、第1の複数個のマイク
ロチャネルのそれぞれは約50〜500ナノリットルの範囲内の流体容積になるように寸
法を定める。
【0024】
この装置は薬剤送給マイクロチャネルが空になった時を決定するように作動し得る検出
器を有する。また、この装置は第3の複数個のマイクロニードルと、複数個の監視マイク
ロチャネルとを有し、各監視マイクロチャネルは試薬に関連する、少なくとも1個の薬剤
送給マイクロチャネルをポリマでシールするのが好適である。
【0025】
本発明の他の好適な態様では、制御器はタイムスケジュールに基づいて、薬剤の送給を
開始するように作動することができる。本発明の他の好適な態様では、制御器は薬剤送給
タイムスケジュールを調整するように作用することができる。
【0026】
本発明の他の好適な態様では、制御器は可搬式コンピュータ装置に結合するように作動
可能である。本発明の他の好適な態様では可搬式コンピュータ装置はPDAである。本発
明の他の好適な態様では制御器と可搬式コンピュータ装置のうちの一方は検体試験のため
の時間を選択し、変更するように作動可能である。
【0027】
本発明の他の好適な態様では、複数個のマイクロニードル、及び複数個の薬剤送給マイ
クロチャネルは使い捨てである。本発明の他の好適な態様においては、制御器、及びアク
チュエータは再使用可能である。本発明の他の好適な態様では、複数個のマイクロニード
ル、複数個の薬剤送給マイクロチャネル、アクチュエータ、及び制御器は可搬式である。
【0028】
この装置はマイクロニードルを突出させる前に、少なくとも1個の注射位置を加熱する
ように作動する加熱源を有する。本発明の他の好適な態様では加熱源は光学加熱源である

【0029】
また、この装置はハウジングを表面に取り付けるように作動する接着剤を少なくとも部
分的にコーティングしたハウジングを有し、このハウジングは複数個のマイクロニードル
、及び薬剤送給マイクロチャネルを少なくとも部分的に包囲する。また、この装置は複数
個のマイクロニードル、及び薬剤送給マイクロチャネルを少なくとも一部、包囲するほぼ
ディスク状ハウジングを有することができる。
【0030】
また、本発明は対象物から流体試料を引き出すように作動し得る検体監視部分と、対象
物に薬剤を送給するように作動し得る薬剤送給部分とを有する組み合わせた装置に関する
。この装置は第1の複数個のマイクロニードルと、複数個の監視マイクロチャネルとを有
する。第1の複数個のマイクロニードルのおのおのは対応する監視マイクロチャネルに少
なくとも間欠的に流体連通する。各監視マイクロチャネルは試薬に関連する。また、この
装置は第2の複数個のマイクロニードルと、複数個の薬剤送給マイクロチャネルとを有す
る。第2の複数個のマイクロニードルは対応する薬剤送給マイクロチャネルに、少なくと
も間欠的に流体連通している。各薬剤送給マイクロチャネルは少なくとも一部、薬剤を充
填している。この装置は対象物から流体試料を引き出すか、又は対象物に薬剤を送給する
ため、各マイクロニードルを突出するように作動する少なくとも1個のアクチュエータを
有する。また、この装置は流体試料の検体試験、及び薬剤の送給を開始するように作動し
得る制御器を有する。
【0031】
また、この装置は第3の複数個のマイクロニードルと、キャリブレーション流体を充填
した複数個のキャリブレーションマイクロチャネルとを有することができ、キャリブレー
ションの目的のため、少なくとも1個の検査を開始する。
【0032】
また、本発明は自動検体監視方法に関する。この方法は第1の複数個のマイクロニード
ルと、複数個の監視マイクロチャネルとを設ける工程を有する。第1の複数個のマイクロ
チャネルのおのおのは監視マイクロチャネルに、少なくとも間欠的に流体連通する。各監
視マイクロチャネルは試薬に関連している。この方法は対象物から流体試料を得るよう連
続して、マイクロニードルを突出する工程と、次に流体試料の検体試験を開始する工程と
を有する。制御器を設けて、試料採取工程と、試験工程とを自動的に繰り返す。
【0033】
また、本発明は自動薬剤送給方法に関する。この方法は第1の複数個のマイクロニード
ルを設ける工程と、複数個の薬剤送給マイクロチャネルを設ける工程とを有する。第1の
複数個のマイクロニードルのおのおのは対応する薬剤送給マイクロチャネルに、少なくと
も間欠的に流体連通する。各薬剤送給マイクロチャネルには少なくとも一部、薬剤を充填
する。この方法は対象物に薬剤を送給するようマイクロニードルを突出させる工程を有す
る。制御装置を設け、薬剤送給工程を自動的に繰り返す。
【0034】
(発明の詳細な説明)
図1は本発明による検体監視装置、又はドラグ(薬剤)送給装置10の一部を絵画的な
線図で示している。この装置はハウジング(下部のみを示す)12を有し、キャリヤ16
上に配置された複数個のマイクロニードル14と、電子部分18とをこのハウジングが包
囲している。キャリヤ16は図1に示すように、円形輪郭を有するほぼ平坦な基材である
。キャリヤ16は本発明の範囲内において、種々の幾何学形状に形成し得ることは明らか
である。
【0035】
複数個のマイクロチャネル20をキャリヤ16に配置する。各マイクロニードル14は
少なくとも1個のマイクロチャネル20に流体連通している。図1は各マイクロニードル
14が単一のマイクロチャネル20に流体連通している実施例を示している。各マイクロ
ニードル14は個々にアドレス可能である。即ち、各マイクロニードル14はアクチュエ
ータを介して、個々に突出、後退が可能である。本発明には種々のアクチュエータが好適
に適用可能である。
【0036】
図1はアクチュエータ(一部が示されていない)を介して、各マイクロニードル14を
突出、後退させることができる実施例を示しており、このアクチュエータはキャリヤ16
のほぼ中心に設置されたボス26によって支持された基端24を有するアーム22を有す
る。また、アーム22は単一のマイクロニードル14のほぼ上方に配置された末端28を
有する。
【0037】
また、この装置は電子部分18を有し、この電子部分18はプロセッサ30、及び関連
する回路(例えば、電子工学に対応する記憶装置等)と、モータ32等と、センサ34と
、電源(例えば電池)36と、随意のインタフェース38とを有する。一般に、プロセッ
サ30はこの装置の作動を制御し、アクチュエータ、モータ32、センサ34、及びイン
タフェース38とデータ通信している。プロセッサ30、及び関連するソフトウェアの作
動を以下に一層詳細に説明する。
【0038】
図1の実施例では、キャリヤ16は移動可能であり、従って、各マイクロニードル14
は個々にアドレス可能である(即ち個々に突出、後退が可能である)。キャリヤ16をボ
ス26を介して、回転可能に取り付け、モータ32によって駆動する。モータ32と、キ
ャリヤ16との間の連結は以下に一層詳細に説明するように、歯車、ベルト等を介して、
行うことができる。ここに開示する本発明に関連して、使用するのに適する移動可能なキ
ャリヤと、駆動機構との間の相互の連結は当業者には明らかである。
【0039】
図2は図1に示したキャリヤ16の若干の構造の詳細を示す。このキャリヤ16は端縁
40にほぼ隣接して、配置された複数個のマイクロニードルを有する。マイクロニードル
14を突出位置に示す(アクチュエータは示さない)。ほぼ、各マイクロニードル14は
導管42を通じて、マイクロチャネル20に流体連通する内部孔を有する。図1、及び図
2はボス26(中心軸線上に配置)と、関連するマイクロニードルとの間に延在する半径
方向線に沿って、ほぼ配置されたマイクロチャネルを示している。これ等のマイクロチャ
ネルはほぼ入れ子になった形態(即ち、2列)に示されている。この形態は有利であり、
それはこの形態によって、マイクロチャネルがマイクロニードルよりも一層、幅広にする
ことができ、キャリヤ16の周端縁40において、マイクロニードルの密度を増大し得る
こと(即ち、マイクロニードルを一層、密接させること)ができるからである。本発明の
範囲を逸脱することなく、種々の幾何学的形態に、マイクロチャネル20を位置させるこ
とができることは明らかである。また、必要に応じ、導管42は種々の幾何学的形態で、
マイクロチャネル20に、リンクするように道順を定めることができることが明らかであ
る。
【0040】
図3は図1、及び図2によるキャリヤ16、マイクロニードル14、マイクロチャネル
20、及び導管42の付加的な構造の詳細を示す。マイクロチャネル20に、カバー88
を設けるのが好適である。検査の光学的な検出を容易にするため、カバーを少なくとも一
部、半透明、又は透明にするのが好適である。一般に、このカバーはマイクロチャネルの
内容物を汚損から防護する。以下に一層詳細に説明するように、カバーを剛強に、又は可
撓性にする。
【0041】
各マイクロニードル14には基端44と、末端46とを形成する。基端44はマイクロ
チャネル20に相互に作用し、末端46は(血液試料の捕集のため、又はドラッグ、即ち
薬剤の送給のため)組織、又は皮膚に貫入するように作用する。基端44には導管42に
結合できる開口48を形成する。
【0042】
作動に当たり、単一のマイクロニードル14を突出位置に動かして、皮膚に貫入させる
。流体連通するマイクロチャネル20に、マイクロニードル14を結合する導管42に、
開口48を一線にする。ほぼこの装置は監視装置、即ちモニタとして機能し、解析すべき
血液の試料を捕集するように作用する。また、この装置はドラッグ、即ち薬剤を送給する
ように作用する。各マイクロニードル14を監視用、又は薬剤送給用に指定することがで
きる。監視のためには、以下に一層詳細に説明するように、特定の検査技術のための(例
えば、反応層を有するような)「監視マイクロチャネル」形態に、マイクロニードル14
を関連させるのが好適である。薬剤送給のためには、以下に一層詳細に説明するように、
送給すべきドラッグ、即ち薬剤を少なくとも一部、充填した「薬剤送給マイクロチャネル
」に、マイクロニードル14を関連させるのが好適である。
【0043】
図4は装置の代案の実施例を示す。この実施例では、複数個のマイクロニードル114
と、キャリヤ(図示せず)とをハウジング(図示せず)に対して、ほぼ静止させる。ここ
に開示する本発明のこの実施例に組み合わせて、使用するためのマイクロチャネルの位置
、及び相互連結は当業者には明らかなので、マイクロチャネルを図示しない。
【0044】
各マイクロニードル114は中心軸線178に向け、延びる基端144と、下方に指向
する(例えば皮膚、又は組織に指向する)末端146とを有する。各マイクロニードル1
14の基端144をキャリヤに繋止し、即ち連結するのが好適である。一般に、各マイク
ロニードル114は湾曲部、又は屈曲部176を有し、これにより、基端と末端との間に
形成された傾斜部160を画成している。この実施例では、繋止された基端144と、傾
斜部とはマイクロニードル114を突出させるのに使用する傾斜部となっていると共に、
後退位置にあるマイクロニードルの弾発的押圧を生ぜしめている。マイクロニードルを押
圧するばねとしての他の構成はこの分野の当業者には明らかである。
【0045】
アクチュエータはカム162と、溝孔166を形成した軌道164と、割出しピン17
0を有するスライダ168とを有する。また、アクチュエータは中心軸線178の周りに
カムを駆動し、即ち回転するためのモータ(図示せず)等を有する。以下に一層詳細に説
明するように、このようなモータと、カム162との間の連結は歯車、ベルト等によって
達成する。開示している本発明に組み合わせて、使用するのに適するカムと、駆動機構と
の間の相互の連結はこの分野の当業者によく知られている。
【0046】
スライダ168は(中心軸線に一層近い)後退位置と、(中心軸線から一層遠い)突出
位置との間に移動することができる。後退位置では、スライダは少なくとも1個のマイク
ロニードル114の傾斜部160の上方に配置され、好適にはマイクロニードルに接触し
ない。また、スライダは後退位置に押圧され、又は弾発的に負荷を受けているのが好適で
ある。押圧機構、又はばねは図示しない。しかし、この開示に基づく本発明に関連して、
使用されるスライダの押圧機構、又は、ばね負荷機構はこの分野での当業者の良く知ると
ころである。図4に示すスライダは後退位置と、突出位置との間に示されている。
【0047】
カム162が回転すると、カムはスライダ168を軌道164に沿って、外方に押圧す
る。スライダが後退位置から、突出位置に移動する際、単一のマイクロニードル114を
連結するように作動する下部172をスライダは有する。割出しピン170を溝孔166
に摺動するように掛合させ、これにより、(単一マイクロニードル114の傾斜部160
に沿う)直線路に沿う運動に限定する。スライダが傾斜部160に沿って移動する際、マ
イクロニードル114の末端146は下方に強制的に押圧される(例えば、試料の捕集の
ため、又は薬剤の送給のため、組織内に強制的に挿入される)。一旦、カムがその最大カ
ム突出高さ174に達すると、スライダ168は後退位置に復帰し、マイクロニードル1
14を弾発押圧力に応動させて、組織から後退させる。
【0048】
軌道164は基端165を有し、この基端は中心軸線に沿い回動して、掛合する。スラ
イダ168が後退位置に一旦、復帰して、マイクロニードル114を組織の外に、弾発的
に外すと、次に、軌道164は前進して(即ち、時計方向、又は反時計方向に回転し)、
次のマイクロニードル114を割り出し、即ち、次のマイクロニードルに対処する。次に
、このサイクルを繰り返すことができる。
【0049】
マイクロニードル114は構造が連続的でなくともよい。例えば流体捕捉処理位置を各
マイクロニードル114の湾曲部176に設置することもできる。この位置はマイクロニ
ードルの下方に位置している流体層と関連することができる位置である。このマイクロニ
ードルが完全に押し下げられた時、このマイクロニードルは連続する流体路を形成してい
る流体処理層に配列されるのが好適である。マイクロニードル114が押し下げられるま
で、この流体路がシールされたままであるのが好適である。
【0050】
図5は上述の流体捕捉処理位置を組み込んでいる装置の他の代案の実施例を示す。この
実施例では、キャリヤ216と、複数個のマイクロニードル214とをハウジング(図示
せず)に対し、ほぼ静止させる。各マイクロニードル214は下方に指向(即ち、皮膚、
又は組織に指向)する末端246と、流体捕捉位置280内に掛合する基端244とを有
する。流体捕捉位置280とキャリヤ216との間にばね部材261を連結し、ばね押圧
傾斜部260を画成する。
【0051】
アクチュエータは歯284を有するカム262と、少なくとも1個の溝孔266を形成
した軌道264と、割出しピン270を有するスライダ268とを有する。また、このア
クチュエータはハウジング(図示せず)に連結され、軌道264に対し、静止している環
状歯車282を有する。上に説明したように、軌道264は中心軸線278の周りに回動
することができる。また、アクチュエータは以下に一層詳細に説明するように、歯284
によって駆動される遊転歯車286を有する。遊転歯車286は軌道264に繋止された
枢着点を有し、少しづつ軌道を動かし、順次のマイクロニードル214を割り出し、即ち
順次のマイクロニードル214にアドレスし、即ち対処する。
【0052】
スライダ268は(中心軸線に一層近い)後退位置と、(中心軸線から一層遠い)突出
位置との間に移動することができる。後退位置では、スライダは少なくとも1個のマイク
ロニードル214の傾斜部260のほぼ上方に、配置されており、マイクロニードルに接
触しないのが好適である。また、スライダは後退位置に押圧され、即ち弾発的な負荷を受
けるのが好適である。押圧機構、又はばねは図示しない。しかし、ここに開示する本発明
に関して使用するスライダの押圧機構、又はばね負荷装置はこの分野の当業者には明らか
である。図5に示すスライダはほぼ後退位置に示されている。マイクロニードル214′
、及び214″は単に図示の目的で中間位置と、突出位置とにそれぞれ示されている。
【0053】
カム262が(時計方向に)回転すると、カム262はスライダ268を軌道に沿って
外方に押圧する。スライダが後退位置から、突出位置に移動する際、このスライダは単一
のマイクロニードル214に接触するように作動する下部を有する。割出しピン270は
溝孔266内に摺動掛合し、直線路に沿う(単一マイクロニードル214の傾斜部260
に沿う)運動をするように、スライダの運動を制限する。スライダは傾斜部260に沿っ
て移動するから、マイクロニードル214の末端246は強制的に下方に(試料を捕集す
るため、又は薬剤を送出するため組織内に)押圧される。
【0054】
一旦、カムがその最大カム突出高さに達すると、スライダ268は後退位置に復帰し、
マイクロニードル214を組織から、弾発的に外す。歯284は遊転歯車286に掛合し
、1歯分だけ、この遊転歯車を前進させる。次に、軌道264を前進させ(即ち、反時計
方向に回転させ)次のマイクロニードル214を割り出し、即ち次のマイクロニードル2
14にアドレスし、即ち対処する。遊転歯車286、及び環状歯車282の歯の数は、遊
転歯車286の各単一の歯の移動が軌道264の適正な角度的な移動となり、次のマイク
ロニードル214を正確に割り出し、即ち次のマイクロニードル214にアドレスし、即
ち対処する。次に、このサイクルを繰り返すことができる。
【0055】
図6〜図8は図5に示す実施例の付加的な詳細を示す絵画的な線図である。上の説明を
続ければ、マイクロニードル214が一旦、突出位置にあれば、マイクロニードル244
の基端と、流体捕捉サイト、即ち流体捕捉位置280とはマイクロチャネル220に整合
する。図3につき説明したように、導管234に連結し、最終的にはマイクロチャネル2
20に連結する開口を流体捕捉位置に形成する。
【0056】
監視する形態では、マイクロニードル214の下降はマイクロチャネル220内の血液
を捕集することになる。以下に一層詳細に説明するように、特定の検査技術(例えば反応
層を有する技術)にとって、マイクロチャネル220は好適な形態を有する。この反応は
マイクロチャネル220の上方に配置されたスライダ268に取り付けられたセンサ23
4によって、好適に監視される。
【0057】
マイクロチャネル220には少なくとも或る形状のカバーを設けるのが好適である。検
査の光学的な検出を容易にするため、カバーを少なくとも一部、半透明、又は透明にする
のが好適である。例えば、図3のカバー88を参照されたい。このカバーは一般に、マイ
クロチャネルの内容物を汚染から防止する。一般にこのカバーは剛強に、又は可撓性にす
ることができる。ドラッグ、即ち薬剤の送給のためには、薬剤が流体であるのが好適であ
り、圧縮可能なマイクロチャネル(例えば、可撓性カバーを有するマイクロチャネル)内
に貯蔵する。スライダ268が突出位置に向け移動すると、この移動は好適にも、マイク
ロニードル214を皮膚、又は組織内に押圧する。マイクロニードルが挿入されると、ス
ライダは少なくとも部分的にマイクロチャネル220を圧縮することができ、流体を強制
的に導管242から、最終的にはマイクロニードル214から送出し、皮膚、又は組織に
入れる。複数のマイクロニードル214の部分をそれぞれの仕事に割り当てることによっ
て、監視と薬剤の送給との両方を同一の装置内で実施し得ることは明らかである。
【0058】
薬剤の送給を容易にするため、他の機構を使用し得ることも明らかである。例えば、小
形の流体ポンプによって、マイクロチャネルに正圧を供給することができる。次に、マイ
クロチャネルに含まれた薬剤はマイクロニードルを通じて、送出される。随意に、容量検
出器を使用して、マイクロチャネルが空であることを検知することができ、流体ポンプを
オフにすべきであることを発信することができ、これにより空気が送給システム内に入る
可能性を制御する。
【0059】
図9は本発明による装置310の他の代案の実施例を示す。この装置はハウジング(一
部のみを示す)312を有し、このハウジングはキャリヤ316上に配置された複数個の
マイクロニードル314を少なくとも一部包囲する。キャリヤは環状の輪郭を有するほぼ
平坦な基材である。本発明の範囲を逸脱することなく、キャリヤ16を種々の異なる幾何
学形状に形成することができることは明らかである。
【0060】
複数個のマイクロチャネル320をキャリヤ316上に配置する。この実施例では、カ
バー388を基材316の内側端縁340に配置する。各マイクロニードル314を単一
のマイクロチャネル320に流体連通させるのが好適である。各マイクロニードル314
は個々に、アドレス可能である。
【0061】
図9は図1に若干類似する実施例を示し、アクチュエータ(その一部は図示されていな
い)を介して、各マイクロニードルを突出させ、後退させることができ、装置のほぼ中心
に設置されたボス326によって支持された基端を有するアーム322をこのアクチュエ
ータは有している。また、アーム322も単一のマイクロニードル314の上方に配置さ
れた末端328を有する。
【0062】
また、この装置は電子部分を有し、この電子部分はプロセッサ330、及び関連する回
路(例えば、電子工学等に対応する記憶装置等)と、モータ等(図示せず)と、センサ3
34と、電源、即ち電池(図示せず)と、随意のインタフェース(図示せず)とを有する

【0063】
図9に示す実施例では、複数個のマイクロニードル414とキャリヤ316とをハウジ
ング312に対し静止させている。駆動モータと、アーム322との間の連結は図示しな
い。この連結は上に述べたように、歯車、ベルト等によって達成する。ここに開示する本
発明に関連するマイクロチャネル320、マイクロニードル414、導管、駆動機構等は
この分野の当業者には明らかである。
【0064】
例示のシステムの各部の説明
3つの例示のシステムモジュールは使用者が使い易いこと、診断上の関係、安価な検体
監視、薬剤送給のシステムの要求に最適に整合するように特定されている。検体監視、及
び薬剤送給システムは使い捨てモジュール、再使用可能モジュール、及びPDAモジュー
ルに区分されている。例えば、図27を参照されたい。この形態は確実な利点を達成する
ため、これ等3つの形態の中で機能を最適に分散させている。しかし、本発明はこの形態
に限定されない。例えば、全ての電子工学部品、マイクロニードル、化学物質、機械的部
品、及び使用者インタフェースを含む一ユニットの使い捨て装置を代案として採用しても
よい。又は、最も適切には、本発明の設計により、1個、又はそれ以上のシステムモジュ
ール間に、構成部分をどのようにでも分散させることができる。例えば、全体のシステム
費用、使用者の安全性、及び/又は性能の関心に基づいて、1個、又はそれ以上のシステ
ムモジュールの中で、構成部分を区分することができる。
【0065】
使い捨てモジュール
このモジュールには一度使用して、生物学的安全性と、診断の正確性とを維持するため
、廃棄しなければならない構成部分を含んでいる。このモジュールには、完全性、滅菌性
、及びいかなる再使用可能な構成部分へのインタフェースをも維持するための構造素子、
又は機械的素子をも含んでいるのが好適である。従って、このシステムモジュールにはマ
イクロニードル、マイクロ流体組立体、隔膜、試薬の化学、及び関連ハウジング材料を含
むのが好適である。また、このモジュールは身体に密着し、その密着を維持するための保
持機構を含むことができ、これにより検体の監視システム、及び薬剤送給システムの機械
的な保持を行う。
【0066】
再使用可能モジュール
このモジュールは制御、運動の自動化、グルコース反応の測定、使用者への警告、PD
Aモジュールへのデータの転送を行う構成部分を含んでいるのが好適である。また、この
モジュールは身体への密接を達成し、その維持のための保持機構を含んでいて、検体監視
システム、及び薬剤送給システムのための機械的保持を行う。また、このモジュールは関
連する回路(例えば電子工学に対応する記憶装置)を有するマイクロプロセッサ、何かの
反応(例えばグルコース反応)の生成物を判断するためのセンサ(例えば電子工学センサ
)、モータ等の駆動機構、センサ、電源(例えば電池)36、及び可搬式計算装置、又は
PDAに通信するように作用するインタフェースを有しているのが好適である。このイン
タフェースはRF、磁気的、誘導的、光学的等なものにすることができる。RF結合を使
用するよりも、磁気結合、又は誘導結合を使用するのが有利であり、それは後者の方がF
CC制約、又は制限を避ける可能性があるためである。また、再使用可能モジュールには
使用者の行動に干渉を必要とすることを使用者に知らせるための音響による、又は振動に
よる警報手段を有することもできる。
【0067】
PDAモジュール
このモジュールにはこの装置を制御し、及び/又はこの装置に相互に作用し合うための
パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、手で持つことができるコンピュータのよ
うな可搬式コンピュータ装置を介する別個の使用者インタフェースを有するのが好適であ
る。代表的な可搬式コンピュータ装置としては、プロセッサ、メモリ、関連する回路、デ
ィスプレイ(例えば、単色ディスプレイ、又はカラー液晶ディスプレイ)、及びキーパッ
ドのような入力装置、タッチスクリーン(例えばディスプレイと一体のもの)等、及び作
動システムがある。以前に入手可能であったグルコースモニタはペーパ試験条片を取り扱
うため、グルコース測定値の数値を見るため、及びそのキャリブレーションのようにメー
タの他のパラメータを設定するため特に設計されたものである。これ等の顧客向けに設計
されたユニットは機能が制約されており、使用者のインタフェースが不十分であった。
【0068】
今日、改良された作動システムソフトウェアと、改良された使用者インタフェースとを
有する可搬式コンピュータ装置は容易に入手することができる。これ等の装置は一層豊富
で一層拡大された機能を有する。例えば、代表的なPDAは比較的大きな観察面(このこ
とは高齢の糖尿病患者には重要である)を有し、更に、無線の通信機構と、複雑な作動シ
ステムと、種々の事務的、及び個人的ソフトウェア(カレンダ、日程計画等)を有する。
従って、PDAは糖尿病に関するソフトウェアを発展させる堅牢な基盤を提供している。
最近、FDAが心電図の動きを監視するための第1のPDAを承認した。本発明は改善さ
れたユーザインタフェースを有する自律的な作動のための独自のソフトウェア(プログラ
ム)を提供するためPDAの使用を含むのが好適である。
【0069】
この目的のため、PDAモジュールは一層最適にグルコースを制御するため、糖尿病の
ユーザが薬剤又は食事を一層最適に調整するのを助けるように、上方に基づく決定を容易
にするソフトウェアをユーザに供給するのが好適である。PDAの形態はユーザインタフ
ェースを提供し、試験をプログラミングし、又は制御する能力をユーザに与えるのが好適
である。ユーザは個々のグルコース測定値を見ることができ、日毎、週毎、又は習慣とす
る期間毎のグラフによる表示のグルコース値の傾向を見ることができる。このシステムに
よって記録された測定値のいずれか、及び全部を表示するのにPDAを使用することがで
きる。適正なソフトウェアを使用して、ユーザは薬剤編成(インシュリン、又はその他)
の変更のための提案を得ることができる。また、ユーザは食事の変更のための提案を得る
ことができる。図25を参照されたい。また、PDAの日常のメニューのための食料品店
リストを記憶することができる。適正な食事の摂取量を確かにするため、必要ならば、ユ
ーザは食料品店リストを見ることができる。
【0070】
検体テストを行う時、ユーザは時間をプログラミングできるのが好適である。また、ユ
ーザは警戒のため、上限と下限とを設定することができるのが好適である。図面に示すよ
うに、時計を示すグラフはテストのための時間を選択し、又は変更するのに、容易に使用
することができる。図24を参照されたい。
【0071】
ユーザがユーザの確認をもって、変更を行う時はいつでも、情報をシステムに無線でダ
ウンロードする。日中は、検体の読取り値に関して、チェックするようにシステムによっ
て、警告されない限り、ユーザはPDAを使用する必要がない。直ちに測定を行うことを
希望する場合には、ユーザはPDAからテストを開始することができる。一旦、ユーザが
この指令を選択すれば、ユーザはそれを検証し、それを再使用可能モジュールに転送し、
PDAに戻して、確認を行う。
【0072】
一日当たりの試験の増大数は使用期間の短縮によって、対応することができる。例えば
、新たに診断を受けた糖尿病患者の使用者が、運動、緊張、及び食事による種々の毎日の
編成について、最大ピーク値と、低い値とを確かめるため、最初の6日間に、一日当たり
24回の試験という編成を有する。次に、使用者の状況により、介護人は試験の数を適切
なレベルに減少させる。PDAモジュール、及び関連するソフトウェアの付加的な態様は
以下に説明する。
【0073】
例示のマイクロニードルの構造
本発明は注射、又は血液の採取に、今日、最も多く使用される針よりも一層小さい針で
あって、ここでマイクロニードルと称するニードルを突出させるように作動する機構を包
含する。マイクロニードルを使用すれば、最少の不快感、又は最少の苦痛で血液を抽出す
ることができる。蚊に例えられるこのマイクロニードルによる血液の抽出は有効であるこ
とが注目されている。ミクロンの太さの中空部材を通じて、血液を引き出している間、基
本的に苦痛無く、血液を抽出するという人間ではできないことを行うように、この昆虫、
即ちマイクロニードルは管理されている。
【0074】
蚊は吻を使用して、血液の抽出を行う。吻は堅く束にされた2対のスタイレットによっ
て包囲された2個の管から成る。この束になった実体は小束と呼ばれ、束の直径は約40
〜60ミクロンである。この小束はスタイレットによって被害者の皮膚の表面を破る。表
面の下に一旦入ると、小束は鋭い角度に曲がり、血液を探索し始める。各挿入毎に、蚊は
小静脈、又は小動脈を叩くように試みる。この試み毎に、蚊は小束を僅かに引き出し、最
初の孔内にこの小束を残し、小束を異なる方向に曲げる。一旦、血液を発見すると、蚊は
約90秒間に血液を吸い出し、血液の数マイクログラム、例えば5マイクロリットルを吸
い出す。本発明は蚊の機能に類似する技術であって、開示された検体監視システム、及び
薬剤送給システムの技術を包含する。
【0075】
マイクロニードルの直径は蚊の吻の寸法にほぼ近い、例えば最適には40〜120ミク
ロンである。最少隙間の流体と共に、大部分血液である試料を生ずる深さまで、皮膚、又
は組織内に、マイクロニードルを駆動するのが好適である。血液が自由に流れるのに十分
であり、しかも好適には毛管作用で、血液が流れる約25〜100ミクロンの内径をマイ
クロニードルが有するのが好ましい。この形式のニードルはKumetrix, Inc.によって実物
宣伝されたことがある(例えば、幅約25ミクロンの内部マイクロ流体チャネルを有する
MEMSをベースとするシリコンマイクロニードルがあるが、非常に強力な毛管力があり
、困難なく、赤血球を流す)。
【0076】
本発明はシリコンMEMSマイクロニードルとは異なる(例えば低コストで十分な強度
を達成するように)標準の皮下注射用チューブを使用して作用することができる。注射用
チューブは直径75ミクロン以下の寸法で、現在入手することができる。代わりに、中空
の毛管を絞り加工するのと類似の方法で、マイクロニードルをガラスから造り、絞り加工
で細い直径にすることができる。本発明に関連して使用して適するマイクロニードルは種
々の方法で造ることができることは明らかである。また、本発明について使用するのに適
するマイクロニードルは必ずしもこれに限定されないが、金属、プラスチック、ガラス、
結晶体(例えば石英)を含む種々の材料で造ることができる。
【0077】
マイクロニードルは真っ直ぐでも、湾曲していてもよく、皮膚に直線状に、曲線状に、
又は斜めに入り込むことができる。表皮の下のチューブの長さを最小にすることは有利で
あり、必要であるが、これを達成するのに、直線運動により表皮に直角に進入することは
最も簡単であると考えられる方法である。図11を参照されたい。不利と考えられるのは
、最小長さであることが、血液を十分な容積内に流すように血管に十分に、刺すことに失
敗することである。皮膚に斜めに進入すると、突き刺す血管の数は増大するが、抹消神経
に一層悪結果を及ぼすと考えられる。また、マイクロニードルを湾曲させれば、一層組織
にアクセスする傾向になり、深く貫入することなく、一層多くの血管に交差することによ
って血液の捕集を増大することができる。皮膚に直角に進入する方法は抹消神経が多い位
置で、血液を容易に取得するのに最適である。斜めに、又は湾曲したマイクロニードルを
使用する方法は神経繊維が密でない場合に最適である。
【0078】
直角に進入する真っ直ぐなマイクロニードルの代わりとして、湾曲したマイクロニード
ルを皮膚に直角に進入させて使用することができる。図12を参照されたい。代案として
、真っ直ぐなマイクロニードルを皮膚に対し角度をなして、進入するように使用すること
ができる。図13を参照されたい。更に、代案として、湾曲したマイクロニードルを回転
させて、即ち、マイクロニードルの湾曲線に沿うように進入するように、使用することが
できる。図14を参照されたい。また、代案として、真っ直ぐなマイクロニードルを非直
線、即ち湾曲線に沿って動かして使用することもできる。図15を参照されたい。図15
に示す代案の方法はマイクロニードルの形状にマッチしない運動を利用している。この結
果、マイクロニードルは最少の破断で、組織の1個の層に貫入するが、他の深さでは一層
多くの破断を生ずる。この作用は十分な試料を採取し得るように、血管を十分に破断しな
がら、しかも苦痛を最小にするのに使用することができる。図15は円形の運動を行って
いる真っ直ぐなマイクロニードルを工程1〜工程4に示しており、この運動の中心は皮膚
の表面の上方にある。複雑な形状を含む他の運動形状も考えられる。
【0079】
マイクロニードルを機械的に突出、後退させるのが好適である。マイクロニードルの突
出、後退は単一の装置、又は組み合わせた装置で行うことができる。例えば、直流電動機
を使用して、突出手段を駆動し、ばねによって復帰力を生ぜしめることができる。代案と
して、直流モータのような動力源をマイクロニードルの皮膚内への駆動、及び皮膚から抜
き出す駆動の両方に使用することができる。この両方に直流モータを使用する方法はマイ
クロニードルの位置に関して、最適の制御を行うのに好適な方法である。
【0080】
明確な、即ち関節的なマイクロニードルの運動の付加的利点は蚊の探索的な運動に似て
いることである。マイクロニードルを1つの区域で、最大深さまで駆動することができ、
次に、皮膚から除去することなく、マイクロニードルを往復動させ、新たな方向に動かす
。貫入しているマイクロニードル上の遠方点で、新たな方向を生ぜしめるためには、マイ
クロニードルの末端がまだ皮膚内にある間に、皮膚の外のマイクロニードルに、応力を加
えなければならない。図22を参照されたい。
【0081】
本発明によるマイクロニードルを駆動するために、種々の技術を使用することができる
ことは明らかである。上に述べた技術は別として、マイクロミニチュア直流モータ、及び
関連する歯車列を使用して、マイクロニードルの突出、後退を行わせることができる。図
10を参照されたい。この実施例では、モータ(図示せず)の回転出力は歯車列492を
介して、マイクロニードル414の上方に設置されためねじ歯車494に伝動される。こ
の歯車の回転によって、「親ねじ」490をその軸線方向に動かす。従って、モータはマ
イクロニードル414を突出、後退するように駆動する。この設計は皮膚の形式、マイク
ロニードルの太さ、及び物理的パラメータによる値である必要な貫入力を発生することが
でき、その値は通常0.01〜0.07ニュートンである。
【0082】
この親ねじ駆動機構は意図されたマイクロニードルの移動と同一の直線運動をねじに行
わせる捕捉ナットによって駆動されるのが好適である。親ねじはマイクロニードル組立体
に掛合し、マイクロニードルを組織内に押圧し、マイクロニードルを引き出し、継手49
6から外す。この駆動機構を回動させて、次のマイクロニードル組立体に掛合させるのが
好適である。図10に示すように、歯車により、又はベルトとにより、又はその他の運動
伝達機構により、このナットを駆動することができる。必ずしもこれに限定されないが、
掛合機構の開口、又はマイクロニードル側の開口、又は基端開口を露出させているマイク
ロニードルの屈曲部を含む種々の技術により、マイクロニードルの後端にアクセスするこ
とができる。ここに開示した発明に組み合わせて使用するのに適する親ねじ機構を設ける
ことはこの分野の当業者には明らかである。
【0083】
他の運動発生源、又は運動伝達装置も代わりに使用することができる。例えば、マイク
ロニードルを所定の割合で、下方に突出させる輪郭を有するカム装置をモータが駆動する
ことができる。カムの輪郭、又はばねを使用して、マイクロニードルを後退させることが
できる。また、形状記憶合金(SMA)を使用して、マイクロニードルを下方に突出させ
、戻すことができる。SMAを加熱し、冷却することによって、力と移動との適切な量を
生ぜしめることができる。ソレノイド形の装置を使用して、マイクロニードルを直接駆動
するか、又はマイクロニードルを割り出すことができる。このような装置はモータと同様
に使用することができる。
【0084】
関節運動を行うことにより、マイクロニードルを正しい深さまで、少しづつ皮膚内に突
出させる。本発明は手首の面積寸法に等しいか、又は一層大きい比較的平坦な表面が使用
できる皮膚面上に使用するのに適する。しかし、本発明は指のようなもつと湾曲した表面
から血液を採取する形態にすることもできる。本発明は上腕、手首、腹部、背中、大腿、
又は下肢のような特定の場所から血液を採取する形態にするのが好適である。本発明は目
立たなくするため、着衣の下に配置し、又は着用することができる。
【0085】
異なる身体位置のための例示の装置の形態は以下に一層詳細に説明する。選択された位
置に応じて、皮膚表面の厚さ、及び毛細血管床までの深さは変化する。例えば、表皮はそ
の厚さが眼瞼で0.02 mm 、足の裏で1.4 mmまで変化する。同様に、真皮も0.6 mmから2.5
mmまで変化する。本発明は血管群の中に位置するが、深い真皮血管群に貫入するのに十分
な深さまで進入しないマイクロニードルの末端を有する形態であるのが好適である。従っ
て、本発明は皮膚の表面内に約1.0 〜2.0 mm貫入する範囲内で作動するのが好適である。
【0086】
例示のセンサ構造
種々のセンサ構造を本発明では使用することができる。例えば比色分析、及び蛍光発光
のような技術によって、光学的検出を行うことができる。図16はマイクロニードル51
4に流体連通しているマイクロチャネル520、及び反応層521を有する基本形態を示
している。反応層を隔膜にすることができ、この隔膜には化学的に活性な成分をコーティ
ングし、比色分析の測定のため、希望する検体(例えば、グルコース)の存在の場合に、
この活性成分によって色を変化させる。マイクロニードル514を通じて、流体試料を捕
集し、マイクロチャネル520内に保管する。適切な試薬をマイクロチャネル520内に
収容するのが好適であり、これにより、流体試料を捕集すると、反応を開始する。マイク
ロチャネル520の上方にセンサを配置し、このセンサは適切な周波数の光で反応層を照
射するように作用するエミッタ535を有する。また、このセンサは矢印539によって
示すように、反応層から反射する光を検出するように作用する検出器537を有する。こ
の検出器537は単一、又は複数の画像素子(ピクセル)を有する光ダイオードを使用し
て作動する。このような装置の例はCMOS、又はCCDイメージャがある。エミッタ、
及び検出器はプロセッサ(図示せず)によって、制御されるのが良い。検出器の出力はこ
のプロセッサによって読み取られるのが好適であり、反応の結果を決定するため、更に処
理される。図17a、及び図17bは感度を高めるため増強された捕集形態を示す。この
センサ形態には1個、又はそれ以上の個数のエミッタ535から、検出器537まで光を
反射するための球状ミラー541を有する。
【0087】
図18a、及び図18bは代案のセンサの形態を示す。図18aはマイクロニードル5
14に流体連通しているマイクロチャネル520、及び反応層521を示す。また、図1
8aには上に述べたようなカバー588を示す。反応層521は隔膜、又は多孔性媒体に
することができ、比色分析測定のため、希望する検体(例えばグルコース)の存在のもと
で色を変化させる化学的に活性な成分で、反応層521にコーティングを行う。マイクロ
ニードル514を通じて、流体試料を捕集し、それをマイクロチャネル520内に保管す
る。適切な試薬をマイクロチャネル520内に収容し、流体試料を捕集すると、反応を開
始する。センサをマイクロチャネル520の上方に配置し、適切な周波数の光で反応層を
照射するように作用するエミッタ535をこのセンサは有する。また、このセンサは反応
層521から反射する光を検出するように作動する検出器537を有する。エミッタ53
5と、反応層521との間、及び検出器537と、反応層521との間にレンズ543を
配置する。反応層521を一層良く照射するためと、検出器537で光を捕集するため、
レンズ535は光を焦点合わせ、即ち、集束させる。図18bは図18aに類似するが、
検出器の性能を向上させるため、カバー上に配置された結合プリズム589を有する。
【0088】
図19a、及び図19bは更なる代案のセンサの形態を示す。図19aはマイクロニー
ドル514に流体連通するマイクロチャネル520、及び反応層523を示す。また、図
19aは上に述べたようなカバー588を示している。反応層523はマイクロチャネル
520に加えた支持マトリックスに混合した検査試薬を有するほぼ薄い層として示されて
いる。マイクロニードル514を通じて、流体試料を捕集し、マイクロチャネル520に
保管する。適切な試薬をマイクロチャネル520内に収容するのが好適であり、これによ
り、流体試料を捕集すれば反応を開始する。マイクロチャネル520の上方にセンサを配
置し、適切な周波数の光で反応層を照射するように作動するエミッタ535をこのセンサ
は有する。また、このセンサは反応層523から反射する光を検出するように作用する検
出器537を有する。エミッタ535と、反応層523との間、及び検出器537と、反
応層523との間にレンズ543を配置する。反応層523の照射を向上し、検出器53
7で、光を捕集するため、レンズ535は光を集束させる。図19bは図19aに類似す
るが、検出器の性能を向上させるため、カバー上に配置された結合プリズムを有する。マ
イクロチャネルカバー588は本発明の範囲を逸脱することなく、レンズ、フィルタ、反
射構造、屈折構造等のような種々の光学性質について改善することができることは明らか
である。
【0089】
血液捕集の強化
本発明は血液の捕集を強化するための種々の技術を有する。図20a、及び図20bは
捕集位置に近い組織を加熱するための加熱源(例えば赤外線放出LED)の使用を示す。
捕集位置で組織の毛細血管組織を加熱することによって、血液の供給を向上させ、マイク
ロニードルを使用する血液の捕集を増大する。図20aは皮膚、又は組織に挿入された例
示のマイクロニードル514を示す。加熱源598をマイクロニードルの一側に設置して
、組織に指向させ、これにより、マイクロニードルを挿入した組織を加熱する。図20b
は代案の実施例を示し、加熱源599はほぼ環状であり、マイクロニードル514の周り
に同軸に設置されている。
【0090】
血液の自動検出
血液の捕集を簡単化し、十分な試料を得ることを確実にするため、本発明は血液検出セ
ンサの使用を包含する。この血液検出センサは貫入と抽出とについての制御を提供する。
このセンサのフィードバックループはマイクロニードルを皮膚の中に少しづつ駆動するこ
とによって作動し、血液がマイクロニードルを充たすための適切な時間を待って、次にセ
ンサはマイクロニードルを後退させる。図21を参照されたい。妥当な時間内に血液が検
出されないと、モータはマイクロニードルを一層深い深さまで、更に駆動する。血液が得
られると、マイクロニードルを後退させる。
【0091】
試験装置の血液の通路に沿う種々の位置(例えば、マイクロニードル、マイクロ流体チ
ャネル、マイクロ流体ウェル、又は反応位置)に、血液センサを設置することができ、又
はテスト手段自身をセンサにするのが好適である。グルコースレベルを確かめるための読
取りを行う前に、比色分析用の光学センサが血液の状態を検出することができる。これに
より、このセンサ装置に二重の機能を生ぜしめ、付加的費用を加えることなく、フィード
バックループを提供している。代案として、液体が存在している時を決定するため、マイ
クロ流体チャネル、又はマイクロ流体ウェルに、容量センサ、伝導センサ、又は抵抗セン
サを使用することができる。
【0092】
血液を取得する深さ、及び速さは位置、使用者、及び時間の特有のものであるので、こ
れ等の可変値をシステムに記憶しておく必要はない。多数のマイクロニードルを収容する
カートリッジでこの装置を使用することが考えられ、しかも各血液の取得は反復する探索
、及び検出方法論であるから、このシステムが最少の血液取得時間を達成するのに、それ
自身最適であれば、使用者にとって助けになる。
【0093】
検体試験、及び薬剤の送給
1987年以来、米国糖尿病協会(ADA)は自己管理血糖値(SMBG)メータの統
計上の査定のための判定基準を提供している。1987年には、血糖値の測定値は基準値
の15%以内であるべきこと、及び将来のSMBGメータの変動値が10%以下であるべ
きことをADAが推薦した。1993年までに、この当時の新しい技術では1987年の
目標を達成できないことが明らかになった。しかし、1996年には、ADAは将来のS
MBGメータに対し5%以下の変動値を推薦した。
【0094】
この規準に比較し、視覚による検出、比色分析による検出、及び電流による検出を意味
するメータであって、選択され、入手可能なSMBGメータの相対精度の最新の評価は現
在の製品は基準値から約−5〜+20%だけ変化していることを示した。SMBGメータ
の統計上の誤差の重要性は臨床での評価に依存しており、即ち誤差が不適切な臨床管理に
なるか否かにかかっている。
【0095】
血液の比較的大きなマイクロリットルを使用するSMBGメータは大きな統計上の誤差
を示すことが認められる。本発明は試料に対する僅かな(例えばナノリットル)の容積の
使用を考えている。このことは移動式の監視に必要な装置の小形化を達成するのを助ける
。上に述べたように、新しい設計、及び精密な製作提案の要請は本発明の主題であり、即
ち一層良好な精度を達成することである。本発明は試料に対する僅かな(例えばナノリッ
トル)の容積の使用を考えている。一層良好な精度を達成することに加えて、このことは
移動式の監視に必要な装置の小形化を達成するのを助けている。上に述べたように、新し
い設計、及び精密な製作提案の要請は本発明の主題である。
【0096】
少量の流体の検査を支援するため、本発明は複数個の血液検体試験のため、マイクロ流
体チャネルに試薬隔膜を組み込んでいる。図3は例示の一連のマイクロチャネル20を示
しており、各マイクロチャネルは正確な寸法、即ちミクロンの寸法公差を有する。隔膜を
この一連のマイクロチャネルに結合することができ、これにより、赤血球の移動を防止し
、液体血液成分の移動は防止しない。この隔膜の非結合側に、均一に、又は空間的に限定
した位置に、即ちチャネル位置に、検査試薬をコーティングするのが好適である。血液が
個々のマイクロチャネルに入った時、マイクロチャネルの寸法が容積を決定する。このこ
とは検査の精度に重要であり、即ちマイクロチャネルに充填することは検査のための分析
用の容積を提供することである。充填の次には、血液成分は「反応層」(例えばポリマ)
を通じて移動し、ここに説明したように、濡れることによって、反応層内で検査の化学反
応を開始する。
【0097】
反応層のためのポリマは希望する検査に適すれば、いかなる市販のポリマでもよく、こ
れにより、濡れることによって、ポリマ層内、又はポリマ層の反対側で、検査の化学反応
を開始する。好適なポリマにはヒドロキシエチル・セルローズ、アルギン酸ナトリウム、
及びゼラチンがある。反応層はスチレンのようなポリマ上に、又は水透過性が高く、シー
ルする能力がある任意のポリマ上に、流し込むのが好適である。加熱による接着結合、接
着剤、又はその他の手段、又は薬剤を使用して、ポリマと反応層とを表面結合する精密な
寸法の装置を使用して、ポリマと反応層とを毛細血管ウェルにシールするのが好適である

【0098】
この装置の寸法が精密である必要性は図23から明らかである。この図は管の直径が増
大した時、1cm長さの称呼寸法88ミクロンの管の容積の誤差を示している(例えば、
称呼寸法91ミクロン直径の管の場合、5%の誤差が生ずる)。称呼寸法88ミクロン直
径の管において、3ミクロン以下の直径の変化は容積でほぼ5%の誤差になることを見る
ことができる。従って、誤差が5%より少なくなるように容積を制御するために、必要な
公差は3ミクロンより小さいオーダである。
【0099】
検査の化学反応はトリンダー反応のような広く使用されている技術に基づくことができ
る。トリンダー反応は2個の染色先駆物質間のカップリング反応に基づくものであり、即

ベータ−D−グルコース+O2 +H2O =D−グルコン酸+H2O2 (1)
2H2O+4−アミノアンチピリン+1.7−ジヒドロキシナフタリン=赤色色素 (2)
この反応は第1反応に関して、酸化酵素が存在しており、第2反応に関して、ペルオキシ
ダーゼが存在している状態で発生する。トリンダー反応はグルコース検査のために広く使
用されている。トリンダー反応の重要な特徴は使用の長い歴史があること、上昇した温度
で染色先駆物質の安定性、酵素の入手容易性と、酵素の熱に対する安定性である。1.7 −
ジヒドロキシナフタリンはアルコールのみに溶性であり、水溶性の芳香性が好適である。
この芳香性物質はDeluca等に与えられた米国特許第4350762 号に特定している水溶性試薬
の一つが好適であり、例えば、2.4-ジクロロフェニルスルホン酸塩のナトリウム塩である

【0100】
本発明の特殊な形態はこれに限定されないが、以下に説明する例を含む多数の方法にお
ける先行技術と相違している。本発明は精密な寸法、即ちミクロン寸法の公差を有する微
細な加工、又は微細な成型のマイクロチャネルを組み込んでいる。流体(例えば、血液、
薬剤等)の蓄積、又は送給は直接、即ちマイクロニードルから行われる。マイクロチャネ
ル内の流体の蓄積は全く毛管力に依存する。マイクロチャネルの表面には種々のポリマの
ような不溶性材料を薄くコーティングをし、毛管力を増大し、血液の凝固を最少にする。
マイクロチャネルは38.1mm(1.5 インチ)直径上に、例えば150個という多数の群とし
て、製造することができる。マイクロチャネルは最小流体体積(例えば流体の100〜5
00ナノリットル、又はそれ以下)になるように、寸法を定めることができる。
【0101】
流体がこの装置を完全に充填した時を検出するための機構をマイクロチャネルに設ける
ことができ、以下に説明するように、関連するマイクロニードルの使用を終了することが
できる(即ちマイクロニードルを後退させることができる)。マイクロチャネル、及び検
査の化学反応をグルコース以外の検体のための検査に加えることができる。単一の血液試
料を使用する多数検査のため、多数のチャネルを設けるように、本発明を変更することが
できる。最初に、いわゆる「キャリブレーションマイクロチャネル」にキャリブレーショ
ン流体を充填し、以下に一層、詳細に説明するように、キャリブレーションの目的で、検
査を開始してもよい。本発明のこの態様は以下に一層詳細に説明するように、ここに開示
する構造によってのみ、実現することができる。マイクロチャネルに薬剤を充填し、少量
の投与(高い有効性)に使用する薬剤を送給するのに、このマイクロチャネルを使用する
。移動可能の装置を使用して、自動化された状態で、薬剤を送給し、又は血液検体を監視
する能力はここに開示する構造のみによって実現することができる。
【0102】
最終的に、本発明は1個のユニット(好適には使い捨てユニット)内に監視システム、
及び薬剤送給システムの両方の組合せを包含する。例えば、軍人は無意識に毒素に曝され
ることがあるかも知れない。この装置は周期的に血液を抽出し、所定の毒素に対する検査
を行うことができる。毒素が検出されれば、この装置は解毒剤を送給する。
【0103】
自己キャリブレーション
酵素試験の精度を向上させるため、正しい結果を一層正確に決定するために使用すべき
補正因子であるキャリブレーションファクタとして、試験条片の各バッチを現在のSMB
Gメータに設けることは助けになることがわかった。2つのキャリブレーションが必要で
あり、その第1は機器の構成部分を補正することであり、第2は化学的成分の特定の特別
な感度を補正することである。このことを自動的に達成するため、種々の技術が開発され
ている。
【0104】
本発明は使用者の操作を必要としないように、自動自己キャリブレーション機能を組み
込んでいる。1個又はそれ以上の個数のキャリブレーションマイクロニードル(即ち、キ
ャリブレーションマイクロチャネルに関連するマイクロニードル)をマイクロ流体構造に
組み入れるのが好適である。キャリブレーションマイクロニードルを作動させた時、この
マイクロニードルは下方に押圧されるが、使い捨てユニットから突出しない。完全に突出
した位置では、ユニットはキャリブレーション流体をマイクロ流体チャネルに釈放する。
例えば、突出位置では、キャリブレーション流体は導管を通じて移動し、マイクロチャネ
ルを充填する。検査システムはキャリブレーション溶液内のグルコースの測定を行い、こ
の測定値を既知の値と比較する。修正係数はキャリブレーションプロセスから得られる。
修正係数は電子的に記憶するのが好適であり、これを次の検体試験中に利用する。
【0105】
試薬、又は機器の性質の変化に対する補正に、複数個のキャリブレーションマイクロニ
ードルを使用することができる。従って、新しい使い捨てユニットの導入に当たり、最初
の対策はメータをキャリブレートすることである。次の対策はタイミングに合わせたもの
で、常温における試薬の性質の変化を補正するため、システムソフトウェアによって使用
される。
【0106】
グルコース以外の試験
本発明は必ずしもこれに限定されないが、酵素、抗体、アルコールレベル、その他の血
液成分を含む種々の成分を試験するのに利用することができる。本発明はまたHbAlc (糖
化ヘモグロビン)血液試験を組み込むように設計することができ、この試験は1年に2回
、又はそれ以上行うべき糖尿病の試験であり、この試験は血糖値レベルを調整するのに長
期間にわたり有効な手段を提供する。実際上、体温で、又は体温付近で使用し得る化学反
応を有する血液試験はこのシステムに組み込むことができる。また、本発明は血液内の異
物体を遺伝学的に確認するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験を提供し得ると考えられ
る。二重核酸の熱融解を利用する試験に、比較的小さな加熱素子を使用することができる
。包囲する構造の加熱を最小にするため、絶縁を使用することもできる。
【0107】
代わりの検査技術
本明細書を展望すれば、選択された例により、種々の比色分析法、電気化学的検査法、
及び蛍光発光検査法を利用し得ることを示している。これ等の方法の中で、Zanzucchi に
与えられた米国特許第6118126 号は蛍光発光検査技術を開示しており、本発明の装置のた
めの代わりの検査方法として使用することもできる。この技術は織目加工された表面から
の蛍光発光を増大させる。本発明に関連して、増大した蛍光発光は小さな試料の検査の感
度を向上させる。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の他の検査技術を使用し得るこ
とは明らかである。
【0108】
血液の採取を最適にするための神経回路網の使用
このシステムを使用者に親しみ易くするため、神経回路網のような人口知能構想を使用
する単一学習アルゴリズムをこのシステムのコンピュータによって使用することができる
。このアルゴリズムは多数の血液採取の歴史的なデータから、個々に特殊なパラメータを
推論することができる。これ等の付加的な可変値は身体上の位置、最終の食事からの時間
、最終の運動からの時間、日時である(毛細血管は日中、特に肉体的な活動の時間の間、
一層血液に富んでいる)。これ等のデータを使用して、血液を採取できる可能性を推察し
、従って、最適のマイクロニードル深さ、及びそのままにしておく時間を推察する。
【0109】
肉体的な活動は身体内のグルコースの新陳代謝に、密接に関係しているから、また本発
明は移動式装置内に加速度計を包含する。最後の肉体的活動からの時間、及び蓄積された
運動は重要なデータを提供し、前兆となる能力を助ける。「リコメンダ」のようなソフト
ウェアも本発明に包含される。図26を参照されたい。例えばタイプ2の場合、又はイン
シュリンに非依存性の場合のように薬、又は食事計画によって、グルコースをどのように
制御するかの一層良い提言をこのソフトウェアは提供する。
【0110】
本発明はPDAのような外部のコンピュータにリンクするように作動するのが好適であ
る。PDAは活動に関する付加的情報として、人のスケジュールを記憶装置内に記憶する
ことができる。この付加的な情報をソフトウェアと共に使用して、使用者のグルコースの
変動を予測し、糖尿病についての提言を行う。
【0111】
薬剤の変更
不承諾の主要な理由の一つはグルコースの測定と、補償作用との間に緊密なフィードバ
ックループがないことである。本発明はグルコースレベルの読み取りだけでなく、多少と
もインシュリン、又は口経薬品、又は栄養補助食品に関する提言を行うことができる。
【0112】
しばしば重要なのはインシュリンの使用である。タイプ1の糖尿病の全ての患者はそれ
を使う必要がある。タイプ2の糖尿病患者、又は妊娠中の糖尿病患者の多くの者も、良好
な制御の許にインシュリンを使用する。インシュリン注射を行っているタイプ1の糖尿病
患者の場合には、迅速に、即ち短時間、作用するインシュリン(lispro) と、中間、又は
長時間作用するインシュリン(Lente 又はUltralente)とを適当に混合して注射すること
が必要である。ADAは一日に4回の注射を勧めている。インシュリンポンプで行う場合
には、空腹時のグルコースレベルを維持するための基本的な送給を達成すること、及び食
事前の注射が必要であることを予測することが必要である。本発明はいずれかの編成にも
結び付くことができ、決定し評価のプロセスを一層容易にする。
【0113】
食事、及び栄養の変更
自動化された糖尿病管理ソフトウェアは以前から開発されており、血糖値レベルを制御
する糖尿病患者を助けているが、形式の複雑なこと、及び一層多くの読み取りが不適切な
ため、大部分が失敗している。糖尿病管理ソフトウェアは糖尿病薬の調剤、又は食事の編
成を変更し、高血糖症、又は低血糖症の発生を最少にする。これ等のシステムは各個人の
血糖値が若干のレベルの干渉によってどのように変化するかを正確に予測するためには、
長い歴史的な、またリアルタイムのデータが必要である。不幸にして、これ等のシステム
は失敗しており、それは使用者の状態、及び生理学上の応答があまりにも予測できず、リ
アルタイムの血糖値の測定値に基づく短期間の予測のみが結果を変更するのを助けるのに
使用できるだけである。
【0114】
図25は食事の提言を示す例示のPDAディスプレイを示す。図26は通常、どのよう
に、データがリコメンダシステムに入るかを絵画的に示している。生物学システムの数学
的モデル化は多数の新陳代謝機構のため、困難になっているので、研究者等は神経回路網
、不明瞭なロジック、及びエキスパートシステムを含む人工的な知能(AI)の使用を研
究してきた。
【0115】
システム内への警報装置の組み込み
本発明は分離した場所に装着するから、グルコース値を決定するために装着したまま、
物理的に、又は視覚的にアクセスしなければならない使用者にとって不便であるかもしれ
ない。従って、使用者のグルコース値が決定値を越えつつあるか、一層低い所定レベルよ
り下になっているかを決定するため、使用者が常にPDAに問いただす必要があってはな
らない。再使用可能ユニットに、直接通信するように変更し、Palm、又はHandspringによ
って生産されたような無線のパーソナルディジタルアシスタントを使用することは一層便
利で、人間工学的に、そして社会的に受け入れられる。
【0116】
従って、本発明について、装着できる構成部分、又は再使用可能ユニットは使用者のグ
ルコース読み取り値が所定範囲から若干外れていることを使用者に知らせる警報装置を含
んでいると考えることができる。警報装置は携帯電話で、普通に見られるように音響モー
ド、又は振動モードにすることができる。本発明はデータを監視し、警報を発するソフト
ウェアを有する。
【0117】
融通性のある所定の試験時間が可能なタイミングシステム
融通性のある試験スケジュールのため、システムソフトウェアに、タイミングシステム
を組み込むのが好適である。上に述べたように、使用者がそのグルコース値を試験しなけ
ればならない時、及び使用者が変わったため上限、下限を設定するため、使用者は時間を
プログラミングすることができる。使用者が変更を行い、使用者からの確認があった場合
、この情報がシステムに無線でダウンロードされるのが好適である。日中は、使用者はグ
ルコース値の読み取りをチェックするようにシステムによって警告されない限り、PDA
を使用する必要はない。使用者が直ちに測定を行うことを希望すれば、使用者はPDAか
ら試験を開始することができる。使用者が一旦、この指令を選択し、それを確認し、それ
を再使用可能ユニットに転送すれば、PDAに対して確認が行われる。
【0118】
装置を身体に設置する代わりの形式
本発明は身体上の種々の位置に、装置を設置する能力を有する。図28は本発明装置を
設置するための身体上の例示の位置を絵画的に示す線図である。
【0119】
図29a〜図29cは手首上の位置に適する例示の実施例を示す絵画的線図である。こ
の形態は電池を含む随意のストラップを有しており、このストラップによって、腕時計と
同じように、手首に使い捨てモジュール、又は再使用可能モジュールを結合する。
【0120】
図30a〜図30bは腰の位置に適する例示の実施例を示す絵画的な線図である。この
形態は腰に使い捨てモジュール、又は再使用可能モジュールを保持するよう作用するスト
ラップに関連する取付けハウジングを有する。図31a〜図31bは腕の位置に適する例
示の実施例を示す絵画的線図である。この形態は血圧測定用カフに類似して、腕に取り付
けるループファスナと、随意にフックをつけた腕バンドとを有する。
【0121】
図32a〜図32bは足を含む種々の位置に接着剤で取り付けるのに適する例示の実施
例を示す絵画的な線図である。この形態は使い捨てモジュール、又は再使用可能モジュー
ルをカバーする接着剤裏打ちディスクを有し、皮膚にモジュールを保持する。図33a〜
図33cは本発明装置を足に取り付けるストラップに適する例示の実施例を示す絵画的線
図である。この形態は使い捨てモジュール、又は再使用可能モジュールを足に保持するよ
うに作用するストラップに関連する取付けハウジングを有する。
【0122】
下着を介して、本発明装置を腰に取り付けるクリップ、及び/又は接着剤に適する例示
の実施例を示す絵画的線図である。この形態は使い捨てモジュール、又は再使用可能モジ
ュールを保持するように作用し、衣服のピンに類似するばね継手を形成した取付けハウジ
ングを有する。使い捨てモジュール、又は再使用可能モジュールは少なくとも一部、接着
剤で覆われている。ばね継手を下着の端縁上に設置し、接着剤を(例えば腰に沿って)皮
膚に押し付ける。本発明の範囲を逸脱することなく、種々の他の形態も可能であることは
明らかである。
【0123】
好適な実施例を強調して本発明を説明したが、本発明の好適な装置、及び方法には種々
の変更を加えることができ、本発明は特に開示した実施例に限定されず、実施することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明検体監視、薬剤送給装置の一部の絵画的図面である。
【図2】図1のキャリヤ、マイクロニードル、マイクロチャネル、及び導管の付加的構造の詳細を示す絵画的図面である。
【図3】図1、及び図2のキャリヤ、マイクロニードル、マイクロチャネル、及び導管の付加的構造の詳細を示す絵画的図面である。
【図4】本発明の検体監視、薬剤送給装置の代案の実施例を示す。
【図5】本発明流体捕捉処理位置を組み込んだ図4に示す装置に類似する検体監視、又は薬剤送給装置の他の代案の実施例を示す。
【図6】本発明による図5に示す実施例の付加的詳細を示す絵画的図面である。
【図7】本発明による図5、及び図6に示す実施例の付加的詳細を示す絵画的図面である。
【図8】本発明による図5〜図7に示す実施例の付加的詳細を示す絵画的図面である。
【図9】本発明による検体監視、薬剤送給装置の他の代案の実施例を示す。
【図10】本発明によるマイクロニードルの移動のための親ねじ駆動機構を示す絵画的図面である。
【図11】本発明により直角に進入する真直ぐなマイクロニードルを示す絵画的図面である。
【図12】本発明により直角に進入する湾曲したマイクロニードルの3個の順次の位置を示す絵画的図面である。
【図13】本発明により角度をなして進入する真直ぐなマイクロニードルの3個の順次の位置を示す絵画的図面である。
【図14】本発明により角度をなして進入する湾曲したマイクロニードルの3個の順次の位置を示す絵画的図面である。
【図15】本発明により非直線運動をする真直ぐなマイクロニードルの4個の順次の位置を示す絵画的図面である。
【図16】本発明による感度を向上させる基本形態を示す絵画的図面である。
【図17】a,bは本発明により感度を向上させるため球状ミラーを使用して、光の捕集を増大する例示の形態を示す絵画的図面である。
【図18】a,bは本発明により感度を向上させるためレンズ、及び/又はプリズムを使用して、光の捕集を増大する他の例示の形態を示す絵画的図面である。
【図19】a,bは本発明により感度を向上させるためレンズ、及び/又はプリズムを使用して、光の捕集を増大する他の例示の形態を示す絵画的図面である。
【図20a】本発明により穿刺位置に近い毛細血管(血液)の局部的な加熱によって、血液の採取を増大することを示す絵画的線図である。
【図20b】本発明により穿刺位置に近い毛細血管(血液)の局部的な加熱によって、血液の採取を増大する代案の構造を示す絵画的線図である。
【図21】本発明により、マイクロニードルの貫入深さを制御する制御ロジックへの血液センサからのフィードバックループを示すブロック線図である。
【図22】本発明により多数の方向に末端部を突出させるよう、マイクロニードルの基端に加える力を示す絵画的線図である。
【図23】管の直径を増大した場合、1cm長さの称呼径88ミクロンの管の容積に生ずる誤差を示すグラフである。
【図24】本発明により試験時間を示すPDAディスプレイを示す絵画的線図である。
【図25】本発明により食事の提案を示すPDAディスプレイを示す絵画的線図である。
【図26】本発明により、どのようにしてデータをリコメンダシステムに入力するかを示す絵画的線図である。
【図27】本発明による例示のPDA、使い捨てモジュール、及び再使用可能モジュールを使用する絵画的線図である。
【図28】本発明装置の設置のため、身体上の例示位置を示す絵画的線図である。
【図29】a,b,cは手首の位置に適する例示の実施例を示す絵画的線図である。
【図30】a,bは腰の位置に適する例示の実施例を示す絵画的線図である。
【図31】a,bは腕の位置に適する例示の実施例を示す絵画的線図である。
【図32】a,bは足を含む種々の位置に取り付ける接着剤に適する例示の実施例を示す絵画的線図である。
【図33】a,b,cは本発明による装置を足に取り付けるストラップに適する例示の実施例を示す絵画的線図である。
【図34】a,b,cは本発明による装置を下着を介して、腰に取り付けるクリップ、及び/又は接着剤に適する例示の実施例を示す絵画的線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物から流体試料を引き出すように作動し得る検体監視装置において、
第1の複数個のマイクロニードルと、
複数個の監視マイクロチャネルであって、前記第1の複数個のマイクロニードルのおの
おのが対応する監視マイクロチャネルに少なくとも間欠的に流体連通しており、各前記監
視マイクロチャネルが試薬に関連している複数個の監視マイクロチャネルと、
前記対象物から前記流体試料を引き出すため、各マイクロニードルを突出させるように
作動し得る少なくとも1個のアクチュエータと、
前記流体試料の検体試験を開始するように作動し得る制御器とを具えることを特徴とす
る検体監視装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは前記第1の複数個のマイクロニードルの少なくとも1個を全方向
に突出させるように作動可能である請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが約25〜200ミクロンの範囲の内
径を有している請求項1の装置。
【請求項4】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが、金属、プラスチック、ガラス、及
び結晶体のうちの少なくとも一つから製造されている請求項1の装置。
【請求項5】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが、最大約2.5 mmまで、皮膚の表面内
に貫入するよう作動し得る末端を有する請求項1の装置。
【請求項6】
前記流体試料が実質的に血液である請求項1の装置。
【請求項7】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが導管を通じて、監視マイクロチャネ
ルに少なくとも間欠的に流体連通している請求項1の装置。
【請求項8】
各監視マイクロチャネルは前記流体試料を貯蔵するように作動可能であり、前記監視マ
イクロチャネル内の前記流体試料の蓄積は毛管力に全く依存している請求項1の装置。
【請求項9】
毛管力を増大し、凝固を最少にするように、少なくとも1個の不溶性材料を少なくとも
一部にコーティングした少なくとも1個の内面を前記監視マイクロチャネルのおのおのが
有する請求項1の装置。
【請求項10】
前記複数個の監視マイクロチャネルが一群のものとして製作されている請求項1の装置

【請求項11】
前記監視マイクロチャネルはほぼ5cmの最大直径内に形成されたほぼ50〜150個
のマイクロチャネルを有する一群のものとして製作されている請求項1の装置。
【請求項12】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのは50〜500ナノリットルの範囲内
の流体の容積のために、寸法が定められている請求項1の装置。
【請求項13】
前記流体試料が少なくとも1個の監視マイクロチャネルを完全に充填して、関連する前
記マイクロニードルによって前記流体試料の蓄積が終了し得る時を決定するように作動し
得る検出器を具える請求項1の装置。
【請求項14】
(a)グルコース、(b)コレステロール、(c)エタノール、(d)ジコキシン、(
e)HDLコレステロール、(f)リチウム、(g)ナトリウム、(h)フェニトイン、
(i)セロフィリン、(j)サイクロスポリン、(k)癌化学療法薬、(l)DNA、(
m)RNA、(n)増量フェニトインナトリウム、(o)ワルファリンナトリウム、及び
(p)血液から生じた蛋白質の群から選択された検体のための検査をするように作用し得
る少なくとも1個の試薬に、少なくとも1個の監視マイクロチャネルが流体連通している
請求項1の装置。
【請求項15】
単一のマイクロニードルを使用して、多数の検査を行えるよう、少なくとも2個の監視
マイクロチャネルを単一のマイクロニードルに関連させた請求項1の装置。
【請求項16】
第2の複数個のマイクロニードルと、キャリブレーション流体を充填した複数個のキャ
リブレーションマイクロチャネルとを具え、キャリブレーションの目的で、少なくとも1
個の検査を開始する請求項1の装置。
【請求項17】
第3の複数個のマイクロニードルと、複数個の薬剤送給マイクロチャネルとを具え、各
薬剤送給マイクロチャネルには少なくとも一部、薬剤を充填した請求項1の装置。
【請求項18】
少なくとも1個の監視マイクロチャネルをポリマでシールした請求項1の装置。
【請求項19】
前記制御器はタイムスケジュールに基づいて、検体試験を開始するように作動可能であ
る請求項1の装置。
【請求項20】
前記制御器は検体試験タイムスケジュールを調整するように作動可能である請求項19
の装置。
【請求項21】
前記制御器は可搬式コンピュータ装置を結合するように作動可能である請求項1の装置

【請求項22】
前記可搬式コンピュータ装置がPDAである請求項21の装置。
【請求項23】
前記制御器、及び前記可搬式コンピュータ装置の少なくとも一方が検体試験の時間を選
択し、又は変更するように作動可能である請求項21の装置。
【請求項24】
前記複数個のマイクロニードル、及び複数個の監視マイクロチャネルが使い捨てである
請求項1の装置。
【請求項25】
前記制御器、及び前記アクチュエータが再使用可能である請求項1の装置。
【請求項26】
前記複数個のマイクロニードル、複数個の監視マイクロチャネル、アクチュエータ、及
び制御器が可搬式である請求項1の装置。
【請求項27】
マイクロニードルを突出させる前に、少なくとも1個の注射位置を加熱するように作動
し得る加熱源を具える請求項1の装置。
【請求項28】
前記加熱源が光学加熱源である請求項27の装置。
【請求項29】
ハウジングを表面に取り付けるように作用し得る接着剤を少なくとも一部、コーティン
グしたハウジングを具え、前記複数個のマイクロニードル、及び前記監視マイクロチャネ
ルを前記ハウジングが少なくとも一部、包囲している請求項1の装置。
【請求項30】
前記複数個のマイクロニードル、及び前記監視マイクロチャネルを少なくとも一部包囲
するほぼディスク状のハウジングを具える請求項1の装置。
【請求項31】
対象物に薬剤を送給するように作動し得る薬剤送給装置において、
第1の複数個のマイクロニードルと、
複数個の薬剤送給マイクロチャネルであって、前記第1の複数個のマイクロニードルの
おのおのが対応する薬剤送給マイクロチャネルに少なくとも間欠的に流体連通しており、
各薬剤送給マイクロチャネルが少なくとも一部、薬剤を充填されている複数個の薬剤送給
マイクロチャネルと、
前記対象物に前記薬剤を送給するため、各マイクロニードルを突出させるように作動し
得る少なくとも1個のアクチュエータと、
前記薬剤の送給を開始するように作動し得る制御器とを具えることを特徴とする薬剤送
給装置。
【請求項32】
前記アクチュエータは前記第1の複数個のマイクロニードルの少なくとも1個を全方向
に突出させるように作動可能である請求項31の装置。
【請求項33】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが約25〜200ミクロンの範囲の内
径を有している請求項31の装置。
【請求項34】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが、金属、プラスチック、ガラス、及
び結晶体のうちの少なくとも一つから製造されている請求項31の装置。
【請求項35】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが、最大約2.5 mmまで、皮膚の表面内
に貫入するよう作動し得る末端を有する請求項31の装置。
【請求項36】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのが導管を通じて、薬剤送給マイクロチ
ャネルに少なくとも間欠的に流体連通している請求項31の装置。
【請求項37】
少なくとも1個の薬剤送給マイクロチャネルの送給は少なくとも一部、液圧力に依存し
ている請求項31の装置。
【請求項38】
前記複数個の薬剤送給マイクロチャネルが一群のものとして製作されている請求項31
の装置。
【請求項39】
前記薬剤送給マイクロチャネルはほぼ5cmの最大直径内に形成されたほぼ50〜15
0個のマイクロチャネルを有する一群のものとして製作されている請求項31の装置。
【請求項40】
前記第1の複数個のマイクロニードルのおのおのは50〜500ナノリットルの範囲内
の流体の容積のために寸法が定められたものである請求項31の装置。
【請求項41】
前記薬剤送給マイクロチャネルが空になった時を決定するように作動し得る検出器を具
える請求項31の装置。
【請求項42】
第3の複数個のマイクロニードルと、複数個の監視マイクロチャネルとを具え、各監視
マイクロチャネルが試薬に関連している請求項31の装置。
【請求項43】
少なくとも1個の薬剤送給マイクロチャネルをポリマでシールした請求項31の装置。
【請求項44】
前記制御器はタイムスケジュールに基づいて、薬剤の送給を開始するように作動可能で
ある請求項31の装置。
【請求項45】
前記制御器は薬剤送給タイムスケジュールを調整するように作動可能である請求項44
の装置。
【請求項46】
前記制御器は可搬式コンピュータ装置を結合するように作動可能である請求項31の装
置。
【請求項47】
前記可搬式コンピュータ装置がPDAである請求項46の装置。
【請求項48】
前記制御器、及び前記可搬式コンピュータ装置の少なくとも一方が検体試験の時間を選
択し、又は変更するように作動可能である請求項46の装置。
【請求項49】
前記複数個のマイクロニードル、及び複数個の薬剤送給マイクロチャネルが使い捨てで
ある請求項31の装置。
【請求項50】
前記制御器、及び前記アクチュエータが再使用可能である請求項31の装置。
【請求項51】
前記複数個のマイクロニードル、複数個の薬剤送給マイクロチャネル、アクチュエータ
、及び制御器が可搬式である請求項31の装置。
【請求項52】
マイクロニードルを突出させる前に、少なくとも1個の注射位置を加熱するように作動
し得る加熱源を具える請求項31の装置。
【請求項53】
前記加熱源が光学加熱源である請求項52の装置。
【請求項54】
ハウジングを表面に取り付けるように作用し得る接着剤を少なくとも一部、コーティン
グしたハウジングを具え、前記複数個のマイクロニードル、及び前記薬剤送給マイクロチ
ャネルを前記ハウジングが少なくとも一部、包囲している請求項31の装置。
【請求項55】
前記複数個のマイクロニードル、及び前記薬剤送給マイクロチャネルを少なくとも一部
包囲するほぼディスク状のハウジングを具える請求項31の装置。
【請求項56】
対象物から流体試料を引き出すように作動し得る検体監視部と、対象物に薬剤を送給す
るように作動し得る薬剤送給部とを有する装置において、前記装置は
第1の複数個のマイクロニードルと、
複数個の監視マイクロチャネルであって、前記第1の複数個のマイクロニードルのおの
おのが対応する監視マイクロチャネルに少なくとも間欠的に流体連通しており、各前記監
視マイクロチャネルが試薬に関連している複数個の監視マイクロチャネルと、
第2の複数個のマイクロニードルと、
複数個の薬剤送給マイクロチャネルであって、前記第2の複数個のマイクロニードルの
おのおのが対応する薬剤送給マイクロチャネルに少なくとも間欠的に流体連通しており、
各薬剤送給マイクロチャネルが少なくとも一部、薬剤を充填されている複数個の薬剤送給
マイクロチャネルと、
前記対象物から前記流体試料を引き出すこと、及び前記対象物に薬剤を送給することの
うちの一方を行うため、各マイクロニードルを突出させるように作動し得る少なくとも1
個のアクチュエータと、
前記流体試料の検体試験、及び薬剤の送給を開始するように作動し得る制御器とを具え
ることを特徴とする装置。
【請求項57】
第3の複数個のマイクロニードルと、キャリブレーション流体を充填した複数個のキャ
リブレーションマイクロチャネルとを具え、キャリブレーションの目的で少なくとも1個
の検査を開始する請求項56の装置。
【請求項58】
a)第1の複数個のマイクロニードルを設ける工程と、
b)複数個の監視マイクロチャネルを設け、第1の複数個のマイクロニードルのおのお
のが監視マイクロチャネルに少なくとも間欠的に流体連通し、各監視マイクロチャネルを
試薬に関連させる工程と、
c)対象物から流体試料を得るため、マイクロニードルを連続して突出させる工程と、
d)前記流体試料の検体試験を開始する工程と、
e)前記c)の工程と、d)の工程とを自動的に繰り返すように作動し得る制御器を設
ける工程とを具えることを特徴とする自動検体監視方法。
【請求項59】
a)第1の複数個のマイクロニードルを設ける工程と、
b)複数個の薬剤送給マイクロチャネルを設け、第1の複数個のマイクロニードルのお
のおのを対応する薬剤送給マイクロチャネルに少なくとも間欠的に流体連通させ、各薬剤
送給マイクロチャネルに少なくとも一部、薬剤を充填する工程と、
c)対象物に前記薬剤を送給するため、マイクロニードルを連続して突出させる工程と

d)前記工程c)を自動的に繰り返すように作動し得る制御器を設ける工程とを具える
ことを特徴とする自動薬剤送給方法。

【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−279704(P2010−279704A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−143116(P2010−143116)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【分割の表示】特願2003−565550(P2003−565550)の分割
【原出願日】平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願人】(504301214)インチュイティ メディカル インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】