説明

自然な日光暴露なる条件下で誘発される膠原繊維の分解を防止する及び/又はこれに抗するための組成物

【課題】光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子の生成における、有効量の少なくとも一のインヒビターの、特にUVA/UVB比が10〜17である場合に、自然な日光暴露の条件下で誘発される膠原繊維の分解を防止する及び/又はこれに抗するための化粧品用又は皮膚用組成物及びその使用法を提供する。
【解決手段】インヒビターは、特に酪酸ナトリウムであり、特定の化粧品用組成物、及び頭皮及び/又は皮膚の美容処理方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子の生成における、有効量の少なくとも一のインヒビターの、UVA/UVB比が10〜17であることで特徴付けられる太陽照射により誘発される膠原繊維の分解を防止する及び/又はこれに抗するための化粧品用又は皮膚科学用組成物に調製のための使用に関する。
また本発明は、特定のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターの、膠原繊維の光誘発性分解を防止する及び/又はこれに抗するための化粧品用又は皮膚科学用組成物の調製のための使用に関する。
また前記インヒビターを含有する組成物は、亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光暴露の存在下で誘発される、真皮におけるMMP-1の生成を阻害することを意図している。
さらに本発明は、皮膚加齢の兆候を防止する及び/又は低減させる、及び/又は抜け毛を低減させるための、特定のインヒビターを含有する組成物及び美容方法に関する。
【0002】
本発明において、「自然な日光暴露」なる表現は、線量及びUVA/UVB比、特に天頂条件に関し、太陽照射における実質的変化をカバーする日光暴露を意味し、該変化は、場合によっては炎症性紅斑の誘因であってもなくても、「紅斑性」日光暴露、又は「亜紅斑性」日光暴露に相当する。
本発明において、「ケラチノサイト細胞溶解因子「生成」のインヒビター」なる表現は、特に(i)転写又は翻訳に至るシグナル伝達経路、(ii)翻訳後修飾プロセス、(iii)分泌及び/又は(iv)ケラチノサイト細胞溶解因子の細胞内及び/又は細胞外活性化を阻害可能な、任意の薬剤を意味する。
同様の定義が、コラゲナーゼ「生成」インヒビターにも適用される。
【0003】
ヒトの皮膚は、2つの区画、すなわち表層区画である表皮と深層区画である真皮とからなる。
天然のヒトの表皮は、主に三種の細胞、すなわち、大部分を形成するケラチノサイトと、メラノサイト及びランゲルハンス細胞から構成されている。これらの細胞型の各々は、それ自身の機能により、生物体において皮膚が果たす本質的な役割に寄与している。
【0004】
真皮は表皮に対する堅牢な支持部を付与している。また表皮の栄養成分でもある。真皮は、主として線維芽細胞と細胞外マトリックスとからなり、細胞外マトリックスは、主にコラーゲン、エラスチンと基底物質と称される物質から構成され、これらの成分は線維芽細胞によって合成される。さらに、白血球、肥満細胞及び組織マクロファージ(tissue macrophage)も見出される。またさらに、真皮には血管と神経線維もある。
【0005】
これらの膠原線維により、真皮に堅牢性が付与される。膠原線維は互いに密接された原繊維からなり、よって10以上の異なった種類の構造を形成している。真皮の堅牢性は、主に、全ての方向に互いに束ねられた膠原繊維の高レベルの絡み合いによる。また膠原線維は皮膚及び/又は粘膜の堅牢性、弾力性及び張りに寄与する。
膠原線維は絶えず再生されているが、この再生は年齢と共に減少し、真皮の薄層化に至る。
さらに、紫外線を含む種々の要因は、皮膚及び/又は粘膜、特に通常日光に暴露される体の領域:顔、耳、頭皮、首、前腕及び手の構造及び/又は堅牢性において考慮され得る全ての結果にて、コラーゲン分解の原因となる。
【0006】
UV-A及び/又はUV-Bの慢性的な暴露(照射の繰り返し)又は急性的な暴露(強い照射)に係る皮膚ダメージは良く研究されており;特に:
− 最も高いエネルギー波長を有するUV-B線(290-300nm;全UV線の5%)は、特にDNAに作用することにより表皮細胞(ケラチノサイト)に影響を及ぼし、
− より浸透しやすいUV-A線(320-400nm;全UV線の95%)は、真皮細胞、例えば線維芽細胞に達し、フリーラジカルの発生を介して間接的に作用し;
− さらに紫外線、特にA及び/又はB型の紫外線の長時間暴露により、コラゲナーゼ、特に1型マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-1)の発現刺激効果が発する、
ことが知られている。
これは、皮膚の光誘発性加齢の要素の一つである。さらに、MMP-1、MMP-2及びMMP-9の活性化により、加齢度合いが増大し、細胞成長の遅延を伴う皮膚の暦年齢が増加されることが知られている(国際公開第98/36742号)。
【0007】
膠原線維は非常に強いがある種の酵素に敏感である。
これらのタンパク質は、それ自体タンパク質分解酵素(エンドプロテアーゼ)ファミリーのメンバーであり、活性部位において3つのシステイン残基及びメチオニン残基と配位結合する亜鉛原子を有し、中性のpHで基底層及び細胞外マトリックスの高分子成分(コラーゲン、エラスチン等)を共同して分解する、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)として公知の酵素ファミリーの一部を形成する。
このようなメタロプロテアーゼファミリーは、基質特異性及び構造に関する類似点に基づく、いくつかの明確に定まったグループからなる(Woessner J.F.、Faseb Journal、vol.5、1991、2145を参照)。これらのグループとしては、原線維コラーゲンを分解をするコラゲナーゼ(MMP-1すなわち間質コラゲナーゼ、MMP-8すなわち好中球コラゲナーゼ、及びMMP-13すなわちコラゲナーゼ3)、IV型コラーゲン又は任意の形態の変性コラーゲンを分解するゼラチナーゼ[MMP-2すなわちゼラチナーゼA(72kDa)、MMP-9すなわちゼラチナーゼB(92kDa)]、広範囲の活性スペクトルが細胞外マトリックス、例えば糖タンパク質(フィブロネクチン、ラミニン)、プロテオグリカン等のタンパク質に対するストロメラインシ(MMP-3すなわちストロメライシン1、MMP-10すなわちストロメライシン2、及びMMP-11すなわちストロメライシン3)、マトリライシン(matrilysin)(MMP-7)、メタロエラスターゼ(MMP-12)、又は膜メタロプロテアーゼ(MMP-14、MMP-15、MMP-16及びMMP-17)を挙げることができる。
メタロプロテアーゼは、不活性な形態(プロ-酵素)で生成及び分泌される。これらの「酵素前駆体」である不活性な形態は、次いで、プロペプチド領域が除去されて細胞外環境において活性化される。このファミリーのメンバーは互いに活性化可能である。よって、MMP活性の調節は、遺伝子発現レベル(転写及び翻訳)、酵素前駆体形態の活性化レベル、又は活性形態の局部制御レベルで生じる。
【0008】
組織構造、特に皮膚及び/又は粘膜におけるコラーゲンの重要性、及びコラーゲンの分解に抗し、よってたるみ及び/又はシワのある皮膚の出現及び/又は真皮の薄層化という結果をもたらす時間生物学的又は光誘発性の加齢にかかわらず、加齢に抗することの重要性は高く評価される。
さらに、MMPは毛包周囲のマトリックスの劣化、ひいては抜け毛に関与していることが知られている。
これまで、皮膚の光誘発性加齢、特に真皮における膠原繊維の分解の原因となるメタロプロテアーゼの誘発のプロセスは、皮膚が、最小紅斑性線量(MED)により定義される日光紅斑(炎症性発疹、サンバーン)を誘発可能なUV線を被った場合に生じると考えられていた。この線量は、個々のフォトタイプ及びUVA/UVB比の関数として変化する。
【0009】
よって、以前の研究では、光加齢に間接的に関与している日光の有害な影響、特に紅斑から皮膚を保護可能な化合物を同定するために、ほぼMEDである線量で、UVA/UVB照射を含む日光暴露条件を再現することが探求されている。しかしながら、本出願人の知識によれば、今日までに、自然な日光暴露に近い条件を再現可能にする研究は実施されていない。特に従来技術の研究において:
− UV照射は「高」線量で適用される(例えば2MED、Lamanら.,2001, Photochem. Photobiol., 73, 657-663)か;
− 又はUV照射はUVA/UVB比がアンバランスであること、すなわち大部分が紅斑の原因となるUVB線であることで特徴付けられる(100% UVB、Fagotら., 2002, Arch Dermatol Res, 293:576-583)。
【0010】
よって、紅斑だけではなく、自然な日光暴露下、すなわち日光の有害な影響に係る、初期のほとんど知覚されない事象、例えば日光暴露の時間及び反復性が原因となり、皮膚組織が徐々に損なわれること、特に皮膚の光加齢の兆候(シワ、コジワ、たるみ、薄層化した皮膚等)に対して効果的な、新規の化合物を同定する必要がある。これらの本発明の初期事象は、特に細胞外マトリックス及びタンパク質、例えばコラーゲン及びエラスチンの分解、特にメタロプロテアーゼ、中でもMMP1の作用により誘発される膠原繊維の分解を含む。
Lahmanらは、擬似太陽照射SSR、及び最小紅斑線量の2倍に等しい線量といった条件下(2MED)、よって紅斑性日光暴露の擬似条件における、真皮(線維芽細胞)及び表皮(ケラチノサイト)におけるMMP-1の生成について記載している。
【0011】
本出願人は全く予期しないことに、亜紅斑性の自然な日光暴露に近い条件下、すなわち亜紅斑性線量での擬似太陽照射(SSR)であり、UVA/UVB比が10〜17であるといった条件下では、ケラチノサイトはMMP-1を生成することはできないが、ケラチノサイト細胞溶解因子に係るパラクリン機構により、真皮線維芽細胞におけるMMP-1の生成には寄与していることを示した。さらに、本出願人は、線維芽細胞でのMMP-1生成における刺激効果は、光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子の存在下、線維芽細胞へ直接照射するケース(ファクター8)よりも、18倍高いことを示している。
よって最初に、ケラチノサイト細胞溶解因子に係るパラクリン機構の履行、及び真皮でのMMP-1の生成における表皮及び真皮それぞれの役割が、自然な日光暴露に近い線量といった条件下、特に亜紅斑性の条件下で示される。
【0012】
本発明において、「亜紅斑性線量」なる表現は、丸型形状及びケラチノサイトとの連結の喪失により特徴付けられる、表皮におけるサンバーン細胞の形成を誘発可能な生物学的有効線量(BED)を意味し、該線量は炎症性紅斑を誘発しない。
特に、本発明のBED線量は、SSRにおいて10J/cm、すなわち2.34mW/cmのSSRにおいて、9.2J/cmのUVA及び0.8J/cmのUVBである。
【0013】
本発明において、「擬似太陽照射」(SSR)なる用語は、少なくともいくらかのA型及びB型のUV線を含む、全ての擬似UV太陽スペクトル(290-400nm)を意味する。
この擬似太陽照射は、少なくとも一のランプ及びフィルターを組合せたシステムの存在下で一般的に得られる。ショート(Schoot)UG5.2mm及びWG320/1.5mmフィルターを具備する1000ワットのキセノンランプ(オリエル社(Oriel corp.)CT)が、例えば擬似太陽UVスペクトル(290-400nm)を付与するために使用される。一般的に、スペクトルの送達出力は天頂における実際の条件に相当する(8%のUVB)。
【0014】
本発明において、「パラクリン機構」なる用語は、標的細胞によるMMP1の生成を防止するために、該細胞(線維芽細胞)に関して拡散可能であり、表皮細胞(ケラチノサイト)により生成される細胞溶解因子に関連した機構を意味する。
しかしてこれらの結果により、UVA/UVB比が10〜17であることで特徴付けられる、特に自然な太陽照射により誘発される、真皮での膠原繊維の分解のような、日光の有害な影響に関連した初期事象の防止及び/又は処置における新規な展望が開ける。このUVA/UVB比は、優先条件が、多量のUV-B(天頂にある太陽、夏の日光)を含むか、又は少量のUV-Bと多量のUV-A(非天頂条件)を含むかどうかに依存した、UVA及びUVBの照射量の変動をカバーしている。
【0015】
また本出願人は、有効量の酪酸ナトリウムを使用することで、インビトロにおいて、光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成が阻害されることによって、MMP1生成における刺激作用を低減可能であることを示している。
血管系の平滑筋増殖を阻害する薬剤(米国特許第5563173号)として、又は抗癌剤(Saunders Nら., Cancer research 59, 399-404, 1999年1月15日)としての酪酸ナトリウムの治療的用途は、従来技術において公知である。また欧州特許第0345081号には、チロシナーゼ形成を阻害するための薬剤として、酪酸カルシウム、他の酪酸塩を含有する、クロマトシス(chromatosis)を処置するための経口用錠剤又は軟膏が記載されている。
しかしながら、亜紅斑性又は紅斑性の日光暴露条件下で誘発されるコラーゲン分解を防止するための化粧品用又は皮膚科学用組成物の調製において、ヒストン脱アセチル化酵素インヒビター、及び特定の酪酸誘導体及び/又は塩を使用することについては少しも示唆されていない。
【0016】
よって本発明の第1の主題は、有効量の、少なくとも一の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子の生成のインヒビターの、UVA/UVB比が10〜17であることで特徴付けられる太陽照射により誘発される膠原繊維の分解を防止する及び/又はこれに抗するための化粧品用又は皮膚科学用組成物の調製における使用にある。
光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターは、組成物において、亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光暴露条件下で誘発される膠原繊維分解の初期段階を防止する及び/又はこれに抗するための薬剤として使用される。
【0017】
本発明において、「太陽照射」なる用語は、自然な太陽スペクトル、特に天頂スペクトルに等しく、10〜17,好ましくは11以上16以下のUVA/UVB比で、少なくともいくらかのUVAといくらかのUVBを含む任意の照射を意味する。
特に本発明の太陽照射は、UVB範囲において天頂にある太陽スペクトルの条件を再現する、92%のUVAと8%のUVBを含んでいてよい。好ましくは、本発明で定義される太陽照射におけるUVBの割合は、6%〜9%である。
よって、本発明の使用により、日中を通して皮膚を効果的に保護することが可能になり、亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光暴露により誘発される膠原繊維の分解の初期段階を防止する及び/又はこれに抗することがきでる。
本発明のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターは、真皮細胞よりもむしろ表皮の標的細胞(ケラチノサイト)として有している事実の故に、本使用は、従来のMMPインヒビターの生物学的利用能の問題を克服しているといった利点を有する、
本発明のMMPインヒビターは、「直接」インヒビターと称されている(真皮、MMP1の生成部位に直接作用)、今日までに公知のインヒビターとは対照的に、「間接」インヒビターと称されるであろう。
【0018】
亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光暴露の条件下、真皮における膠原繊維の光誘発性分解を阻害することで、特に次の用途を考えることができる:
− 皮膚の光加齢の兆候、特に皮膚の薄層化、及び/又は皮膚の張りの喪失、及び/又は皮膚の弾性の喪失の防止及び/又は低減及び/又は処理;及び
− 光誘発されたMMP1の存在により悪化する、初期段階の更年期障害に関連した状態の、間接的な防止及び/又は対抗;
− 光誘発されたMMP1の存在により悪化する、毛髪の成長の誘発及び/又は刺激、及び/又は抜け毛の低減化。
【0019】
「皮膚加齢の兆候」なる表現は、時間生物学的及び/又は光誘発性加齢、例えばシワ及びコジワ、しわくちゃな皮膚、たるんだ皮膚、薄層化した皮膚、皮膚の弾性及び/又は張りの欠如の原因である皮膚の外観の任意の変化、さらには紫外線の暴露に続く、皮膚、特にコラーゲンの任意の内的分解などの、皮膚の任意の内的変化を意味する。
「更年期障害に関連した皮膚状態」なる表現は、特に薄層化した皮膚、弾性の欠如、及びシワ及びコジワが強調されることを意味する。
このため、更年期における真皮に関する主な変化は、弾性組織が損なわれ、コラーゲン含有量及び真皮の厚みが減少することである。これにより、更年期の女性では皮膚及び/又は粘膜の厚みが減少するといった結果になる。よって、これらの女性は、「乾燥肌」になったり、皮膚に突張感を感じたり、目立った表面のシワやコジワが観察される。皮膚は粗い感触になる。最後に、皮膚の柔軟性の低下も見られるようになる。
【0020】
本発明で使用される光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターは、次の工程を含むプロセスに従い選択され得る:
a−単層として培養した正常なヒトのケラチノサイトを擬似太陽照射、又は上述したようなUVA/UVB比が10〜17であることを特徴とするUV線にさらし;
b−照射された又は照射されていないケラチノサイトを、テスト用生成物を含有する又は含有しない培養培地と接触させて配し;
c−b)で得られた条件培地を、単層として培養された正常なヒトの線維芽細胞と接触させて配し;
d−c)で得られた線維芽細胞培養上清における、間質コラゲナーゼMMP-1の生成を測定し、照射されていないケラチノサイトの条件培地と接触して配された正常なヒトの線維芽細胞の培養物からなる対照体と比較し;さらに
e−間質コラゲナーゼMMP-1の生成を測定して、対照体で得られたものよりも少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%少ない生成物を選択する。
「条件培地」なる用語は、細胞と接触して配され、ついで、そこから細胞が取り出される培養培地を意味する。よって、この培地は細胞により生成される細胞溶解因子を含有する。
【0021】
対照体と比較して、MMP-1生成において異なる阻害性を示すことが可能な他の方法を使用してもよく、記載された細胞モデル及び条件培地が使用される。挙げられる例には、真皮細胞(単層又はコラーゲンラティス(lattice)に挿入された線維芽細胞;又は線維芽細胞間葉幹細胞)、又は任意の表皮細胞モデル(欧州特許出願第502172号及び欧州特許出願第789074号に記載されている、ランゲルハンス細胞を含んでいてもよいエピスキン(EPISKIN)タイプの再構築された表皮)に適用される、RNA(PCR、ノーザンブロット法)又はタンパク質の生成度、又はそれらの酵素活性(ウエスタンブロット法、ELISA、ザイモグラム)を測定するための公知の方法が含まれる。
【0022】
本発明の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターは、好ましくは炎症性サイトカイン生成のインヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、及びヒストン脱アセチル化酵素インヒビター、及びそれらの混合物から選択される。
ヒストン脱アセチル化酵素インヒビターが、特に使用されるであろう。
「炎症性サイトカインインヒビター」なる表現は、特にインターロイキンIL1、IL6及び/又はTNFアルファ(腫瘍壊死因子)の生成を阻害可能な任意の薬剤を意味し;挙げることのできる例には、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)アクチベーター、例えばクロフィブラート又はWY14,643が含まれる。
【0023】
「シクロオキシゲナーゼインヒビター」なる用語は、インビボで、シクロオキシゲナーゼの転写、翻訳及び/又は酵素活性を制限するか、又は全体的に阻害可能な任意の物質を示すと理解される。シクロオキシゲナーゼにおける阻害活性は、例えばHPLCクロマトグラフィー分析法(Huang M.ら,. Cancer Res. 52, pp.813-819, 1991)、又はラジオイムノアッセイ(Lysz T.W.及びNeedleman P.J., Neurochim., 38, pp.1111-1117, 1982)を介して測定されてもよい。また、Salvameniら., Proc. Natl. Sci. USA, 90, pp.7240-7244, 1993に記載されたテストを挙げることもできる。
例えば、シクロオキシゲナーゼ-2インヒビター、例えばセレコキシブ(Celecoxib)を挙げることができる。他のシクロオキシゲナーゼインヒビターは、非ステロイド性の抗炎症剤、例えばアリールカルボキシル誘導体、ピラゾール誘導体、オキシカム(oxicam)誘導体及びニコチン酸誘導体から選択され得る。
またメクロフェナム酸、メフェナム酸、カルプロフェン(carprofen)、ジクロフェナク、ジフルニサル、フェンブフェン、フェノプロフェン、イブプロフェン、ヨードメタシン、ケトプロフェン、ナブメトン、ナプロキセン、スリンダク、テノキシカム、トルメチン又はアセチルサリチル酸を挙げることができる。
コルチコイド類、例えばデキサメタゾン又はヒドロコルチゾン、フェナマート類(fenamates)、例えばモルニフルマート(morniflumate)、カルコン誘導体、例えば3,4-ジヒドロキシカルコン、又はホスホリパーゼAインヒビターを使用してもよい。
【0024】
「ヒストン脱アセチル化酵素インヒビター」なる用語は、特にα-リポ酸、トリコスタチン(trichostatin)A、及びC2〜C6の短鎖脂肪酸、例えばプロピオン酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、酪酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、及びそれらの混合物を意味する。
本発明の特定の一方式においては、α-リポ酸を除く任意のヒストン脱アセチル化酵素インヒビターが使用される。
「誘導体」としては、特にエステル、さらには糖及び水酸化物基を有するものを挙げることができる。挙げることのできる例には、モノアセトングルコース-3-プロピオナート及びモノアセトングルコース-3-ブチラートが含まれる。
【0025】
本発明において、「塩」は、特に有機塩又は無機塩を意味する。有機塩としては、塩基性アミノ酸との反応により得られるアンモニウム塩を挙げることができる。
無機塩としては、特にアルカリ金属(ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属(Mg2+、Ca2+)及び遷移金属(Fe、Mn、Co、Cu等)との反応により得られる塩を挙げることができる。例えばプロピオン酸ナトリウム又は酪酸ナトリウム、好ましくは酪酸ナトリウムを使用してもよい。
【0026】
本発明で使用され得る酪酸誘導体としては、次の一般式(I):
【化1】

[上式中、Zは-OH、-OR'、-NH2、-NHR'及び-NR'R''基から選択される基であってよく:R'及びR''はヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ又はアリール基で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1-C8アルキル又はアリール基であってよい]
の化合物、及び/又はそれらの塩を挙げることができる。
【0027】
本発明で使用され得る式(I)の酪酸又はその誘導体の有機塩として、塩基性官能基を担持する本発明の化合物とのカルボン酸塩、例えばクエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩及びシュウ酸塩、又はトリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヘキサデシルアミン、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの塩を挙げることができる。
本発明で使用され得る式(I)の酪酸又はその誘導体の無機塩として、塩基性官能基を担持する本発明の化合物との無機酸塩、例えば水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩、塩化物、硫酸塩、リン酸塩又はリン酸水素塩;又はナトリウム又はカリウム塩、亜鉛(Zn2+)、カルシウム(Ca2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ストロンチウム(Sr2+)、マグネシウム(Mg2+)及びマンガン(Mn2+)の塩を挙げることができる。
酪酸ナトリウムが好ましく使用される。
【0028】
本発明の主題である、インヒビターの標的としてUV照射に応じて誘発されるケラチノサイト細胞溶解因子としては、特にSesto A.ら., Proc. Natl. Sci. USA2002年3月5日;99(5):2965-70、及びLi D.ら., FASEB J. 2001年11月;15(13):2533-5に記載されているものを挙げることができる。
【0029】
本発明の他の主題は、ヒストン脱アセチル化酵素インヒビター及びシクロオキシゲナーゼインヒビター、及びそれらの混合物から選択される、有効量の少なくとも一の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターの、膠原繊維の光誘発性分解を防止する及び/又はこれに抗するための化粧品用又は皮膚科学用組成物の調製のための使用にある。組成物及び/又はインヒビターは、メタロプロテアーゼ(MMP)生成のインヒビターとして、特に真皮におけるコラゲナーゼMMP-1インヒビターとして有用である。「MMPの生成を阻害」なる用語は、MMPの生成を低減させる、さらには阻害さえすることを意味している。
【0030】
好ましくは、上述したようなα-リポ酸、トリコスタチンA、C2〜C6の短鎖脂肪酸、例えばプロピオン酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、及び酪酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、及びそれらの混合物から選択されるヒストン脱アセチル化酵素インヒビターが、ケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターとして使用される。
好ましい一方式において、酪酸ナトリウム又はモノアセトン-3-グルコースブチラートが使用される。
【0031】
本発明の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターは、組成物の全重量に対して10−12%〜5%、好ましくは組成物の全重量に対して10−10%〜2%の量で一般的に使用される。この量は、亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光条件下において誘発される膠原繊維の分解を低減させる、さらには阻害さえするのに有効な量に相当する。この有効量は、擬似太陽照射、又はUVA/UVB比が10〜17であることを特徴とするUV照射にかけた線維芽細胞とケラチノサイトを含有する培養体において、MMP-1生成の低減度合いを測定することにより、インビトロで決定され得る。
【0032】
本発明の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターは、他のMMPインヒビター、及び以下に記載するような標準的な化粧品用アジュバントと組合せてもよい。
よって、本発明のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターを使用することは、パラクリン機構を介し、真皮において間質コラゲナーゼMMP-1の生成を低減させる又は阻害さえさせる組成物を調製するのに適している。
本発明の特定の一方式において、上述した光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターは、MMP-1生成のための少なくとも一の直接インヒビターと組合せられる。
【0033】
これらの組成物は、皮膚加齢の兆候、及び亜紅斑性又は紅斑性の日光暴露条件にかけられた個々の膠原繊維の分解を防止する及び/又は低減させるのに有用である。
「生成の「直接」インヒビター」なる表現は、「間接」インヒビターとして定義されている本発明の主題のインヒビターとは対照的に、MMP1の生成及び/又は活性化において、真皮レベルに直接作用するインヒビターを意味する。
挙げることのできる例には、天然又は合成由来の、MMP生成のインヒビターが含まれる。
【0034】
「天然由来」なる用語は、動物及び/又は植物界の成分から種々の抽出方法を介して得られた、純粋な形態又は種々の濃度の溶液である、メタロプロテアーゼインヒビターを意味する。
「合成由来」なる用語は、化学合成により得られた、純粋な形態又は種々の濃度の溶液である、メタロプロテアーゼインヒビターを意味する。
【0035】
挙げることのできる天然由来のMMPインヒビターの例には以下のものが含まれる:
− MMP-1、MMP-2、MMP-3及びMMP-9インヒビターから選択されるメタロプロテアーゼインヒビター;
− メタロプロテアーゼの組織インヒビター(TIMP)、例えば従来技術においてTIMP-1、TIMP-2、TIMP-3及びTIMP-4の名称で知られているペプチド(Woessner J.F., Faseb Journoal, 1991);
− メタロプロテアーゼ阻害活性が知られている、ウルソル酸又はカロチノイド類又はビタミンC又はゲニステイン等のイソフラボン類を含む天然抽出物であってもよい(米国特許第6130254号);
− リコペン又はイソフラボン、及びそれらの誘導体。メタロプロテアーゼにおけるリコペン活性は欧州特許出願公開第1090628号に記載されており;それを含有する植物抽出物としては、大豆抽出物(例えばイチマル・ファルコス(Ichimaru Pharcos)からフラボステロン(Flavosterone)SB(登録商標)の名称で販売されているもの)、ムラサキツメクサ、亜麻、カッコン(kakkon)又はセージを挙げることができる;
− メタロプロテアーゼMMP-1転写インヒビター、例えばレチノール又はその誘導体、及びレチノイン酸及びその誘導体;
− サポゲニン類、例えばジオスゲニン、ヘコゲニン、シミラゲニン(smilagenin)、サルサポゲニン(sarsapogenin)、チゴゲニン(tigogenin)、ヤモゲニン(yamogenin)及びユッカゲニン;
− ゲニステイン及びケルセチン(米国特許第5637703号、米国特許第5665367号);
− テトラサイクリン類;
− コレティカ社(Coletica)からコラリフト(Collalift)(登録商標)の商品名で販売されている麦芽抽出物;
− ブルーベリー、ローズマリー又はセージの抽出物。
【0036】
挙げることのできる合成由来のMMPインヒビターの例には以下のものが含まれる:
− アダパレン(adapalene)又は類似ペプチド、及び/又はブリティシュ・バイオテック社(British Biotech)から販売されているマリマスタット(Marimastat)((BB2516)=[2S-[N4(R*), 2R*, 3S]]-N4[2,2-ジメチル-1-[(メチルアミノ)カルボニル]プロピル]-N1,2-ジヒドロキシ-3-(2-メチルプロピル)ブタンジアミド)、バチマスタット(Batimastat)誘導体((BB94)=[4-(N-ヒドロキシアミノ)-2R-イソブチル-3S-(チオフェン-2-イルチオメチル)-スクシニル]-L-フェニルアラニン-N-メチルアミド);
− テトラサイクリン誘導体、例えばミノサイクリン、ロリテラサイクリン(roliteracycline)、クロルテトラサイクリン、メタサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン及び対応する塩;
− オリゴペプチド類及びリポペプチド類、及びリポアミノ酸。
【0037】
よって、上述した使用は、亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光暴露の存在下で誘発される膠原繊維の分解を阻害するための化合物の調製に適している。
本発明の光誘発性細胞溶解因子のインヒビターの使用は、光誘発性のコラーゲン分解に関連した皮膚の兆候を防止するための薬剤として有利であり、この薬剤は、亜紅斑性の日光条件下で効果的である。特にこの使用は、皮膚の薄層化、及び/又は皮膚の張りの喪失、及び/又は皮膚の弾性の喪失を防止することを意図している。
【0038】
特にこれらの組成物は、本発明のインヒビターが亜紅斑性の日光暴露条件下で有効であるために、敏感肌及び/又は敏感な頭皮の個体において使用され得る。
敏感肌又は反応性肌を有すると言われている人々には、実際、非常に低レベルの皮膚神経過敏症を有し、刺激性物質又は日光を含む環境要因に対して、他の人々よりも強く反応する人がおり;彼らは、熱さ(heating)、刺すような痛み(stinging)、ちくちくする痛み(tingling)、又は非イオン性アレルギー性の痒み(itching )といった皮膚における不快感に対する苦痛を訴えている。
【0039】
本発明の他の主題は、生理学的に許容可能な媒体に、第1の選択肢に従えば、シクロオキシゲナーゼインヒビター及びヒストン脱アセチル化酵素インヒビター、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一のインヒビターを有効量含有せしめてなる組成物にある。
本組成物は化粧品用組成物又は皮膚科学用組成物であってよい。好ましくは化粧品用組成物である。
本発明において、「生理学的に許容可能な媒体」なる用語は、皮膚及び/又は外皮(睫、爪、毛髪)及び/又は粘膜と融和性のある媒体、特に刺激効果を有する任意の溶媒を含有しない媒体を意味する。
【0040】
特に、組成物は、トリコスタチンA、C2〜C6の短鎖脂肪酸、例えばプロピオン酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、及び酪酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一のヒストン脱アセチル化酵素インヒビターを有効量含有する。
誘導体としては、エステル、特に糖及び水酸化物基を有するもの、例えばモノアセトングルコース-3-プロピオナート及びモノアセトン-グルコース-3-ブチラートを挙げることができる。
塩としては、有機塩、例えば塩基性アミノ酸との反応により得られるアンモニウム塩、及び例えばアルカリ金属(ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属(Mg2+、Ca2+)及び遷移金属(Fe、Mn、Co、Cu等)との反応により得られる無機塩を挙げることができる。
【0041】
組成物は、有効量の酪酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、特に酪酸ナトリウムを含有することが好ましい。
特に、水性-アルコール性又は油性の溶液、水中油型又は油中水型のエマルション又は多相エマルション、水性又は無水のゲル、マイクロカプセル又は微小粒子、又はイオン性又は非イオン性の小胞分散液の形態である。
【0042】
本発明の組成物に使用され得る酪酸誘導体としては、次の一般式(I):
【化2】

[上式中、Zは-OH、-OR'、-NH2、-NHR'及び-NR'R''基から選択される基であってよく:R'及びR''はヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ又はアリール基で置換されていてもよい、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC1-C8アルキル又はアリール基であってよい]
の化合物、及び/又はそれらの塩を挙げることができる。
【0043】
本発明の組成物に使用され得る式(I)の酪酸又はその誘導体の有機塩として、塩基性官能基を担持する本発明の化合物とのカルボン酸塩、例えばクエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩及びシュウ酸塩、又はトリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ヘキサデシルアミン、N,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの塩を挙げることができる。
本発明の組成物に使用され得る式(I)の酪酸又はその誘導体の無機塩として、塩基性官能基を担持する本発明の化合物との無機酸塩、例えば水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩、塩化物、硫酸塩、リン酸塩又はリン酸水素塩;又はナトリウム又はカリウム塩、亜鉛(Zn2+)、カルシウム(Ca2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+、Fe3+)、ストロンチウム(Sr2+)、マグネシウム(Mg2+)及びマンガン(Mn2+)の塩を挙げることができる。
本発明において好ましくは、酪酸カルシウムを除く、酪酸の任意の無機塩を含有する。特に酪酸ナトリウムを含有する。
【0044】
本発明は、生理学的に許容可能な媒体に、第2の選択肢に従えば、真皮において活性のある、少なくとも一のMMP-1生成の直接インヒビターと組合せて、上述した少なくとも一の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターを有効量含有せしめてなる化粧品用又は皮膚科学用組成物に関する。
【0045】
この第2の選択肢において:
− 本発明の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターは、好ましくは炎症性サイトカイン生成のインヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、及びヒストン脱アセチル化酵素インヒビター、例えばα-リポ酸、トリコスタチンA、プロピオン酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、特にプロピオン酸ナトリウム、及び酪酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、特に酪酸ナトリウムから選択され;
− 真皮において活性のあるMMP-1生成の直接インヒビターが、TIMP-1;リコペン又はイソフラボン、及びそれらの誘導体;レチノール又はその誘導体、レチノイン酸及びその誘導体;セージ、ブルーベリー又はローズマリーの抽出物;アダパレン又は類似ペプチド、及び/又はバチマスタット誘導体((BB94)=[4-(N-ヒドロキシアミノ)-2R-イソブチル-3S-(チオフェン-2-イルチオメチル)スクシニル]-L-フェニルアラニン-N-メチルアミド)、マリマスタット((BB2516)=[2S-[N4(R*), 2R*, 3S]]-N4[2,2-ジメチル-1-[(メチルアミノ)カルボニル]プロピル]-N1,2-ジヒドロキシ-3-(2-メチルプロピル)ブタンジアミド);サポゲニン類、例えばジオスゲニン、ヘコゲニン、シミラゲニン、サルサポゲニン、チゴゲニン、ヤモゲニン及びユッカゲニン;ゲニステイン及びケルセチン;テトラサイクリン及びその誘導体、例えばミノサイクリン、ロリテラサイクリン、クロルテトラサイクリン、メタサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン及び対応する塩;オリゴペプチド類及びリポペプチド類、及びリポアミノ酸から選択されてよい。
【0046】
これらの選択肢のいずれかにおいて、光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成の前記インヒビターは、組成物の全重量に対して10−12%〜5%、好ましくは組成物の全重量に対して10−10%〜2%の量で、一般的に組成物に存在する。この量は、亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光条件下において誘発される膠原繊維の分解を低減させる、さらには阻害さえするのに有効な量に相当する。上述したようにインビトロで決定され得る。
【0047】
また本発明は、真皮の高分子の合成を刺激する、又はそれらの分解を防止する薬剤、特にコラーゲンの合成を刺激し、又はその分解を防止する薬剤、毛髪の成長を促進し及び/又は抜け毛を制限する薬剤、酸化防止剤、及びUV遮蔽剤、及びそれらの混合物から選択される薬剤を、有利にはさらに含有してよい。
「真皮の高分子を刺激し、又はそれらの分解を防止するための薬剤」としては:
− コラーゲン合成に作用するもの、例えばCentella asiaticaの抽出物;アジアチコシド類(asiaticosides)及び誘導体;アスコルビン酸すなわちビタミンC及びその誘導体;合成ペプチド類、例えばイアミン(iamin)、バイオペプチドCL又はセデルマ社(Sederma)から販売されているパルミトイルオリゴペプチド;植物から抽出されたペプチド、例えばフィトカイン(Phytokine)(登録商標)の商品名でコレティカ社から販売されている大豆加水分解物;植物ホルモン、例えばオーキシン類及びリグナン類;
− 又はエラスチン合成に作用するもの、例えばサイトビチン(Cytovitin)(登録商標)の商品名でLSN社から販売されているSaccharomyces cerivisiaeの抽出物;及びケルパデライ(Kelpadelie)(登録商標)の商品名でセクマ社(SECMA)から販売されている藻類Macrocystis pyriferaの抽出物;
− 又はグリコサミノグリカンの合成に作用するもの、例えばバイオミン・ヨーグルス(Biomin yogourth)(登録商標)の商品名でブルックス社(Brooks)から販売されている、Lactobacillus vulgarisによるミルクの発酵生成物;HSP3(登録商標)の商品名でアルバン・ミュラー社(Alban Muller)から販売されている褐藻類のPadina pavonicaの抽出物;及び特にサイトビチン(登録商標)の商品名でLSN社から、又はフィラマリフト(Firmalift)(登録商標)の商品名でシラブ社(Silab)から入手可能なSaccharomyces cerevisiaeの抽出物;
− 又はフィブロネクチン合成に作用するもの、例えばGP4G(登録商標)の商品名でセポーガ社(Seporga)から販売されている動物性プランクトンSalinaの抽出物;
特にドリエライン(Drieline)(登録商標)の商品名でアルバン・ミュラー社から入手可能な酵母抽出物;及びマトリキシル(Matrixil)(登録商標)の商品名でセデルマ社から販売されているパルミトイルペンタペプチド;
− 又はセリンプロテアーゼの阻害に作用するもの、例えば白血球エラスターゼ、又はカテプシンG、パレラスチル(Parelastyl)(登録商標)の商品名でLSN社から販売されているマメ科植物(Pisum sativum)の種のペプチド抽出物;ヘパリノイド(heparinoids);及びシュードジペプチド類、例えば{2-[アセチル(3-トリフルオロメチルフェニル)アミノ]-3-メチルブチリルアミノ}酢酸;
を挙げることができる。
【0048】
「毛髪の成長を促進させ及び/又は抜毛を制限する薬剤」として、アミネキシル、6-o-[(9Z,12Z)オクタデカ-9,12-ジエノイル]ヘキサピラノース、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、エストラジオール、マレイン酸クロルフェニラミン、クロロフィリン誘導体、コレステロール、システイン、メチオニン、メントール、ペパーミント油、パントテン酸カルシウム、パンテノール、レゾルシノール、プロテインキナーゼCアクチベーター、グリコシダーゼインヒビター、グリコサミノグリカナーゼインヒビター、ピログルタミン酸エステル、六糖又はアシル六糖酸、アリール置換されたエチレン、N-アシルアミノ酸、フラボノイド類、アスコマイシン(ascomycin)誘導体及び類似体、ヒスタミンアンタゴニスト、サポニン類、プロテオグリカナーゼインヒビター、エストロゲンアゴニスト及びアンタゴニスト、シュードテリン類(pseudoterines)、サイトカイン類、成長因子プロモーター、IL-1又はIL-6インヒビター、IL-10プロモーター、TNFインヒビター、ヒドロキシ酸、ベンゾフェノン類、ヒダントイン、及びレチノイン酸;ビタミン類、例えばビタミンD、ビタミンB12類似体及びパントテノール;セラミド類、特に2-アミノアルカン-1,3-ジオール型のもの及びその誘導体、特に2-N-(2-ヒドロキシヘキサデカノイル)アミノオクタデカン-1,3-ジオール及び2-オレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール;トリテルペン類、例えばウルソル酸、及び米国特許第5529769号、米国特許第5468888号及び米国特許第5631282号に記載されている化合物;止痒剤、例えばテナルジン、トリメプラジン又はシプロヘプタジン;駆虫剤、特にメトロニダゾール、クロタミトン又はピレスロイド類;抗真菌剤、特にオクトピロックス及びイミダゾール属に属する化合物、例えばエコナゾール、ケトコナゾール又はミコナゾール又はその塩、特にニコチン酸トコフェリル、ニコチン酸ベンジル及びニコチン酸C-Cアルキル、例えばニコチン酸メチル又はヘキシルを含むニコチン酸エステル;カルシウムアンタゴニスト、例えばシンナリジン、ジルチアゼム、ニモジピン、ベラパミル、アルベリン(alverine)及びニフェジピン;ホルモン類、例えばエストリオール又はその類似体、チロキシン及びその塩、又はプロゲステロン;抗アンドロゲン剤、例えばオキセンドロン、スピロノラクトン、ジエチルスチルベストロール及びフルタミド;それらの混合物を挙げることができる。
【0049】
さらに、「酸化防止剤又はフリーラジカル捕捉剤」としては、例えばビタミンEとその誘導体、例えば酢酸トコフェリル;バイオフラボノイド類;コエンザイムQ10又はユビキノン;ある種の酵素、例えばカタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、ラクトペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ及びキノンレダクターゼ;グルタチオン;ベンジリデンショウノウ;ベンジルシクラノン類(benzylcyclanones);置換ナフタレノン類;ピドラート類(pidolates);フィタントリオール;ガンマ-オリザノール;リグナン類;及びメラトニンを挙げることができる。
本発明の組成物におけるこれらの付加的な薬剤の濃度は、組成物の全重量に対して0.0001重量%〜20重量%、好ましくは0.001重量%〜5重量%の範囲であってよい。
【0050】
「UV遮蔽剤」なる用語は、水溶性又は脂溶性、もしくは通常使用されている化粧品用溶媒に不溶性である、UVA活性及び/又はUVB活性のある無機光保護剤(吸収剤)、又は有機光保護剤を意味する。
有機光保護剤は、特にアントラニラート類;ケイ皮酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体;サリチル酸誘導体;ショウノウ誘導体;トリアジン誘導体、例えば米国特許第4367390号、欧州特許出願第863145号、欧州特許出願第517104号、欧州特許出願第570838号、欧州特許出願第796851号、欧州特許出願第775698号、欧州特許出願第878469号、欧州特許出願第933376号、欧州特許出願第507691号、欧州特許出願第507692号、欧州特許出願第790243号、欧州特許出願第944624号に記載されているもの;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリラート誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロマート誘導体;ベンゾイミダゾール誘導体;イミダゾリン類;欧州特許第669323号及び米国特許第2463264号に記載されているビス-ベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、例えば米国特許第5237071号、米国特許第5166355号、英国特許出願第2303549号、独国特許出願第19726184号及び欧州特許出願第893119号に記載されているもの;遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン類、例えば特に国際公開第93/04665号に記載されているもの;α-アルキルスチレンから誘導された二量体、例えば独国特許出願第19855649号に記載されているもの;4,4-ジアリールブタジエン類、例えば欧州特許出願第0967200号、独国特許出願第19746654号、独国特許出願第19755649号、欧州特許出願公開第1008586号、欧州特許出願第1133980号及び欧州特許出願第133981号に記載されているもの、及びそれらの混合物から選択される。
【0051】
特に好ましい有機光保護剤は次の化合物:サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、4-メチルベンジリデンショウノウ、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、アニソトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、及びそれらの混合物から選択される。
【0052】
また無機光保護剤は、金属酸化物で被覆又は非被覆の顔料又はナノ顔料(一次粒子の平均径:一般的に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nm)、例えば、それ自体、全てUV光保護剤としてよく知られている酸化チタン(アモルファス、又はルチル及び/又はアナターゼ型の結晶)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムのナノ顔料から選択される。また、標準的なコーティング剤は、アルミナ及び/又はステアリン酸アルミニウムである。このような、被覆又は非被覆の金属酸化物のナノ顔料は、特に、欧州特許出願第518772号及び欧州特許出願第518773号に記載されている。
【0053】
光保護剤は、一般的に組成物の全重量に対して0.1重量%〜20重量%の範囲、好ましくは組成物の全重量に対して0.2重量%〜15重量%の範囲の割合で、本発明の組成物に存在している。
【0054】
理想的には、本発明のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターと他の薬剤は、日光に暴露される領域(頭皮、体、顔、唇)のための美容的手入れ用調製物、特に皮膚加齢に抗し、抜け毛に抗するための任意の化粧品用調製物において組合せられており、その目的は支持組織、及び皮膚及び毛細血管のマトリックス成分の構造の時間生物学的破壊を遅延化することにある。
本発明の好ましい組成物は、美容的に使用される組成物である。
【0055】
この組成物は、使用方式に適した、特に皮膚及び/又は頭皮への局所的適用に適した任意の公知のガレノス形態であってよい。
本発明の特定の一方式において、本発明の組成物は、特に「経口用化粧品」として、経口投与されることを意図しており;特にウエハーカプセル、ゲルカプセル、糖衣錠剤、顆粒、チューイングペースト、ゲル、飲用シロップ、錠剤の形態、又は当業者に公知の任意の他の形態であってよい。特に、本発明の活性剤(類)は、食物補助剤又は強化食品、例えばダイエットバー、又は圧密又は非圧密パウダーの任意の形態に導入されてよい。パウダーは水、ソーダ、乳製品、又は大豆誘導体に希釈してもよいし、ダイエットバーに導入してもよい。
【0056】
活性剤は、このような経口用組成物又は食物補助剤に一般的な成分及び賦形剤、すなわち特に、脂肪性及び/又は水性成分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、テクスチャー剤、香料、及び/又はコーティング剤、酸化防止剤、防腐剤、及び染料で、食物分野で一般的なものと共に調製されてよい。
経口用組成物、特に食物補助剤のための調製剤及び割形剤はこの分野で公知であり、ここで詳細には記載しない。
【0057】
本発明の他の特定の方式において、本発明の組成物は皮膚への局所適用を意図しており:水性、アルコール性又は水性-アルコール性溶液又は懸濁液、又は油性懸濁液、分散液、水相に脂肪相を分散させて得られるエマルション(O/W)又はその逆(W/O)のエマルション、又は多相エマルション、水性、水性-アルコール性又は油性のゲル、マイクロカプセル又は微小粒子、又はイオン性及び/又は非イオン性の小胞体分散液の形態であってよい。
特に、局所適用するための組成物は、水性、水性-アルコール性又は油性の溶液の形態、ローションもしくは漿液型の分散液;水相に脂肪相を分散させて得られる(O/W)又は逆(W/O)のミルク型の液体又は半液体状のコンシステンシーのエマルション又は多相エマルション;無変化の形態で使用されるか、又は生理学的に許容可能な媒体に導入されるフリー又はコンパクトパウダー、又は水性又は無水クリーム又はゲル型の希薄なコンシステンシーのエマルション又は懸濁液、又はマイクロカプセルもしくは微小粒子、もしくはイオン性及び/又は非イオン性の小胞分散液の形態であってよい。
よって、クリーム、パウダー、含浸パッド、溶液、エマルション、小胞体分散液、ローション、ゲル、スプレー、懸濁液、シャンプー、エアゾール又はムースの形態であってよい。さらに、石鹸又はクレンジングバーを構成する固形状調製物からなるものであってよい。
これらの組成物は、通常の方法に従い調製される。
好ましくは、日光暴露、また亜紅斑性暴露によってさえ誘発される、膠原繊維の分解に対する保護効果を有する日中用組成物又は抗日光組成物である。
【0058】
本発明の組成物は頭皮への局所適用を意図していてもよく;ヘアケアローション、ゲル、シャンプー、又は毛髪用コンディショナー、液状又は固体状のクレンジング用石鹸、ヘアスタイルを整えるための製品(ラッカー、毛髪のセット用製品又はスタイリングゲル)、薬用マスク、又は毛髪のパーマネントウエーブ、リラクシング、染色又は脱色用の組成物の形態であってよい。
【0059】
本発明の組成物の生理学的に許容可能な媒体の種々の成分の量は、考慮される分野で一般的に使用されているものである。さらに、これらの組成物は通常の方法に従い調製される。
組成物がエマルションである場合、脂肪相の割合は、組成物の全重量に対して2重量%〜80重量%、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲であってよい。
【0060】
脂肪相は、一般的に公知の油であり、室温(25℃)、大気圧(760mm/Hg)で液状である脂肪又は油性の化合物を含んでよい。これらの油は、互いに混和性であるか又は非混和性であり、肉眼で均質な液状脂肪相又は2相もしくは3相系であってよい。油に加えて、脂肪相は、ロウ、ガム、親油性ポリマー、「ペースト状」又は粘性のある生成物で、固形状部分と液状部分を含有するものを含み得る。
【0061】
水相は、水、及び水と全ての割合で混和性のある任意の成分、例えばC〜C低級アルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール、ポリオール、例えばプロピレングリコール、グリセロール又はソルビトール、又はアセトン又はエーテルを含む。
エマルションの形態の組成物を得るために使用される乳化剤及び共乳化剤は、化粧品及び製薬の分野で一般的に使用されているものである。それらの種類はエマルションの感触に依存する。実際、乳化剤、及び任意の共乳化剤は、0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、さらに好ましくは1重量%〜8重量%の範囲の割合で組成物中に存在する。エマルションは脂質小球体、特にリポソームを含有し得る。
本発明において使用され得る乳化剤として挙げることのできる例には、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、例えばステアリン酸PEG-100、及びグリセロールの脂肪酸エステル、例えばステアリン酸グリセリルが含まれる。
【0062】
本発明で使用され得る油としては、鉱物由来の油(流動ワセリン又は水素化イソパラフィン)、植物由来の油(シアバターの液状留分、ヒマワリ油、アプリコット油、脂肪アルコール又は脂肪酸)、動物由来の油(ペルヒドロスクワレン)、合成油(脂肪酸エステル、又はプルセリン油)、シリコーン油(直鎖状又は環状のポリジメチルシロキサン、又はフェニルトリメチコーン)及びフルオロ油(ペルフルオロポリエーテル)を挙げることができる。挙げることのできるロウには、シリコーンワックス、ミツロウ、カルナウバロウ、又はパラフィンワックス及びポリエチレンワックスが含まれる。
【0063】
また、知られている方法で、本発明で使用される組成物は、考慮される分野で通常のアジュバント、例えば防腐剤、酸化防止剤、溶媒、水相又は油相の増粘剤又はゲル化剤、香料、フィラー、顔料、臭気吸収剤、染料、電解質、中和剤、及び化粧品用及び製薬用活性剤、及びそれらの混合物をさらに含有してよい。
これら種々のアジュバントの量は、考慮される分野において従来より使用されている量、例えば組成物の全重量に対して0.01%〜50%、好ましくは0.1%〜20%、例えば0.1%〜10%である。これらのアジュバントは、その性質に応じて、脂肪相、水相、脂質小胞体及び/又はナノ粒子中に取り込まれる。
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物の有利な特性、すなわち真皮におけるコラゲナーゼ発現の阻害が、考慮される添加により悪影響を受けないか、又は実質的に受けないように留意して、任意の付加的な添加剤及び/又はその量を選択するであろう。
【0064】
また本発明は、上述した化粧品用組成物を皮膚に局所適用するか、又は経口投与することを含む、光誘発性の皮膚加齢及び/又は更年期障害に関連した病状の兆候を防止する、及び/又は低減する、及び/又は処置するための美容方法に関する。
特に本方法は、光誘発性加齢に起因する皮膚の外観の任意の変化、例えばシワ及びコジワ、しわくちゃな皮膚、たるんだ皮膚、薄層化した皮膚、皮膚の弾性及び/又は張りの欠如を防止する、及び/又は処理することに関する。
【0065】
また本発明の主題は、上述した化粧品用組成物を頭皮に局所適用するか、又は経口投与し、該組成物を頭皮に接触させて放置し、場合によっては頭皮をすすぐことからなることを特徴とする、毛髪の成長を誘発及び/又は刺激し、及び/又は抜け毛を低減させるための美容方法にある。
通常、日光に暴露される体の一部、例えば顔、耳、首、前腕、手及び頭皮に、毎日、朝(自然な太陽照射に暴露される前)、適用することが好ましい。
これらの適用は、個々に応じて一又は数ヶ月繰り返してよい。
本発明を、非限定的な以下の実施例により、詳細に記載する。
【実施例】
【0066】
実施例1:自然な擬似日光暴露(SSR)の条件下、線維芽細胞によるMMP-1生成における、ケラチノサイト細胞溶解因子の役割の例示
− 材料及び方法
細胞培養
ヒトのケラチノサイトを正常なヒトの皮膚から単離し(乳腺手術)、ミトマイシン処理された3T3マウス線維芽細胞の栄養層において培養する。
ヒトの真皮の線維芽細胞を、増幅した乳房の皮膚の移植片から単離し、グルタミン(2mM)が補足された10%のFCS、ピルビン酸ナトリウム(1mM)及び非必須アミノ酸を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)において培養する。
全ての細胞培養を、5%のCO下、37℃で維持する。
【0067】
再構築された皮膚は、Asselineauら.(1985), Exp. Cell. Res. 159, 536-539に記載されたように調製された、分化した皮膚及び生存している真皮の一等価物からなる。
また、再構築されたヒトの表皮のモデル、エピスキンTM(エピスキンSNC、仏国)も使用した。ヒトの乳房のケラチノサイトを、細胞を含有しないコラーゲン基質に植菌し、完全に表皮が分化するまで成長させた。
「エキソビボ」でのヒトの皮膚は乳腺手術により得られる。ヒトの皮膚の6つのバイオプシーを調製し、再構築された皮膚と同様の条件下、グリル上(エキソビボ)の空気−液体の界面での培養を、24時間維持した。
【0068】
擬似太陽照射(SSR)
擬似太陽照射(SSR)を、ショートUG5/2mm及びWG320/1.5mmフィルターを具備する1000ワットのキセノンランプ(オリエル社CT)を使用して得る。このフィルター付きキセノン源により、擬似太陽UVスペクトル(290-400nm)が提供される。送達したスペクトル出力は、天頂にある実際の太陽条件に相当する、9%のUV-Bである。290nm以下の波長を除去するために、コダセル(Kodacel)フィルターを具備するフィリップス(Philips)TL20W/12チューブを、UV-B源として使用する。スペクトルの波長をマカム(Macam)SR3010分光放射計を用いて克明にチェックする。
照射直前、亜融合細胞(sub-confluent cells)(80-90%の融合度)の培養培地をPBSリン酸バッファーと置き換え、媒体による光毒性生成物の発生を回避する。これらの条件下、使用したUV線量では、細胞生存性に損失はなかった。
照射後、PBSバッファーを、MMP-1の検出又は生成に干渉することが知られている成長因子、又は血清を含有しない線維芽細胞の培地、又はケラチノサイトの培地と置き換える。
【0069】
MMP-1生成の生化学的分析
− ELISA(検出)
MMP-1含有量を、供給者の指示に従い、ELISA(バイオトラック・キット(Biotrak kit)RPN2610、アメルシャム・バイオテック社(Amersham biotech)、仏国)により測定する。
【0070】
− ウエスタンブロット(定量分析)
またMMP-1の生成度を、ハイボンド(Hybond)N膜(アメルシャム・バイオテック社)に移した、10%のポリアクリルアミドゲルにおける還元条件下で、標準的なウエスタンブロット法によりさらに評価する。
膜を、抗-ヒトMMP-1マウスモノクローナル抗体と共に、室温で1時間インキュベートし、ついで洗浄する。
次に、膜を、ペルオキシダーゼ結合性抗-マウス抗体と共に、室温で45分インキュベートし、洗浄し、化学発光系ECL(アメルシャム・バイオテック社)の存在下で染色する。
【0071】
− ザイモグラム(酵素活性)
ノベックス(Novex)ザイモグラムゲルを使用し、それらのタンパク質分解活性の検出を介して、メタロプロテアーゼを研究した。
加熱や還元をすることなく、SDS-PAGEにより含有されるカゼインブルーを分析し、コラゲナーゼを検出する。ゲル電気泳動後、ザイモグラムのための再生バッファーにおいて、ゲルを2回洗浄する(バイオラッド)。クーマシーブルー(ピアス社(Pierce)、仏国)でタンパク質をラベリングした後、暗色背景における光の帯で、カゼイン分解性タンパク質(caseinolytic proteins)を同定する。
【0072】
− 結果
エキソビボでの皮膚における生物学的に有効な線量の決定
インビボでのヒトの皮膚において、日光に暴露されることで、表皮に、丸型形状及びケラチノサイトとの連結の喪失、基底層直上での局在化、及び密集していて縮小した核周囲の好酸性細胞質により同定される「サンバーン」細胞の形成が誘発される。
エキソビボでのヒトの皮膚において、擬似太陽照射に暴露して24時間後に取り出したサンプルの組織学的分析によれば、表皮の基底層直上層に、「サンバーン」細胞の出現が見られる。線量反応実験で、約10J/cmの生物学的有効線量(BED)が測定され:この線量は「サンバーン」細胞の形成を誘発する、最小SSR線量に相当する。
よって、UV照射後の培養培地におけるMMP-1の生成度を、生物学的有効線量(BED)の近似で、擬似太陽照射(SSR)の線量を使用することで評価した。ELISA及びウエスタンブロットの結果には、SSR暴露により、線量依存性の方式で、分泌されたMMP-1タンパク質レベルの増加が誘発されることが示されている。ザイモグラムの分析により、この効果は培養培地におけるMMP-1のタンパク質分解活性の増加に関連していることが明らかになった。
【0073】
SSRにかけられたインビトロにおける再構築された皮膚を使用するMMP-1の生成
エキソビボでの皮膚用として、「サンバーン」細胞の形成が、SSR線量が9J/cmにて、インビトロにおける再構築された皮膚で検出され、さらに線量依存性である。
SSR型の暴露に応じて、MMP-1タンパク質の含有量における線量依存性の増加度合いは、培養培地及び真皮等価物ではELISAにより検出され得るが、表皮では検出されない(図1)。
この結果はウエスタンブロットで確認され;さらにウエスタンブロット分析により、MMP-1タンパク質は、真皮等価物においては不活性形態であるプロMMP(チモーゲン)及びその活性形態で見いだされるが、培養培地においては、主としてその不活性形態で見いだされることが示されている。
ザイモグラムの分析により、SSR暴露後、真皮においてはタンパク質分解活性が増加し、培養培地ではその程度が少なく、表皮では増加しないことが確認される。
この結果、SSR暴露により誘発されるMMP-1の局在化は、真皮において好ましいことが示される。
【0074】
さらに:
− 単独のUV-A照射は、真皮の線維芽細胞にUV-Aが直接作用することにより、インビトロでの再構築されたヒトの皮膚において、MMP-1の生成を誘発可能であり(Bernerd Fら. 1998, Cell Death Differ, 5, 792-802);
− 生物学的有効線量で、インビトロで再構築された皮膚に使用され、その標的が、好ましくはより浸透性の乏しい表皮であるUV-B線は、照射されたサンプルの培養培地において検出されるMMP-1の生成を誘発可能である;
ことも知られている。
しかしながら、SSR又はUV-B源型の暴露直後、ピーリングにより表皮層を除去するとMMP-1の生成が取り消され、これは、この誘発において表皮が本質的に関与していることを示唆している(図2)。
次の実験を、この誘発における表皮の直接的及び/又は間接的な役割を測定するために実施した。
【0075】
SSRにかけられたインビトロで再構築された表皮を使用するMMP-1の生成
「サンバーン」細胞の形成を誘発可能な線量まで、エピスキンTMモデルのSSR型暴露をしても、表皮小葉においても、無細胞コラーゲンゲルにおいても、エピスキンTM培養培地においても、MMP-1生成の誘発には至らない(図3)。
上述した結果をまとめて考えたところ、これらの結果により、SSR型暴露後、真皮線維芽細胞は、MMP-1の生成において必須の役割を担っているが、表皮はMMP-1の直接的生成の原因ではないことが示唆され、SSR型暴露後のMMP-1の誘発に間接的に寄与していることが明らかになった。
【0076】
SSRにかけられたケラチノサイト及び線維芽細胞培養を別々に使用するMMP1の生成
先の研究では、線維芽細胞培養におけるMMP-1の生成を刺激するために別々に使用されるUV-A及びUV-Bの能力の深さを論議している。
これらの研究と一致して、SSR型の暴露24時間後、線量依存性を示すプラスチック上で成長した正常なヒトの真皮の線維芽細胞は、細胞培養上清におけるMMP-1の生成を線量依存的に増加させることが示されており、ELISAにより定量するか、又はウエスタンブロット及びザイモグラム分析により検出する(図4)。
また、SSR型照射が、プラスチック上で成長するケラチノサイトによるMMP-1の生成を調節可能か否か測定するために、細胞をSSR照射に暴露した。MMP-1細胞外含有量を、UV照射24時間後に定量した。線維芽細胞と対比して、ケラチノサイトにおけるSSR型暴露では、MMP-1生成における増加には至らなかった。しかしながら、正の対照体として使用されるTPA(トランスプラスミノーゲンアクチベータ、プロテインキナーゼCアクチベータ)でケラチノサイトを刺激すると、MMP-1生成の蓄積に至る(図5)。
これらの結果には、ケラチノサイトが、適切な処理に応じてMMP-1を生成可能であるが、SSR暴露に対しては生成しないことが示されている。
【0077】
パラクリン機構を介した真皮の線維芽細胞によるMMP-1の生成における表皮(ケラチノサイト)の作用
パラクリン機構の関与をテストするために、線維芽細胞によるMMP-1の生成度を、正のモジュレータ、例えばサイトカイン類により調節し、正常なヒトのケラチノサイトをSSR型照射に暴露し、培養培地を24時間後に収集した。
次に、ヒトの真皮の線維芽細胞をSSR暴露されたケラチノサイトから得られた条件培地で処理し;この条件培地はケラチノサイト細胞溶解因子、特に光誘発性細胞溶解因子を含有している。
ついで、MMP-1含有量を、線維芽細胞の培養培地において24時間後に評価する。
結果には、SSR暴露されたケラチノサイトの条件培地が、ELISAにより検出された線量依存性方式において、ヒトの線維芽細胞によるMMP-1生成を正に調節可能であることが示されている(図6)。
【0078】
実験条件下、条件培地により誘発された、真皮の繊維芽細胞によるMMP-1の生成度は、SSR型照射により誘発される直接的なMMP-1生成よりも際だって多い(8倍に対して18倍)。
これらのデータには、主としてUV-A波長の浸透により誘発される真皮における特定の直接的影響のため、太陽照射により誘発される真皮における細胞ダメージの進行は明らかであることが示されている。しかしながら、表皮区画への重大な関与は、ケラチノサイト細胞溶解因子の放出に関連していることであり、UV-B波長があまり浸透しないことが、かなり影響を与えていると考えられる。
【0079】
実施例2:光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターの選択
プラスチック上において、単層として培養された正常なヒトのケラチノサイトをUB-B照射(10mJ/cm)にかけた。実験は、実施例1に記載したようにして、SSRの存在下で実施してもよい。
290nm以下の波長を除去するために、コダセルフェルターを具備したフィリップスTL20W/12チューブをUV-B源として使用する。
照射直前、亜融合細胞(80-90%の融合度)の培養培地をPBSリン酸バッファーと置き換え、媒体による光毒性生成物の発生を回避する。これらの条件下、使用したUV線量では、細胞生存性に損失は観察されない。
照射後、酪酸ナトリウムNaBu(3mM)を含有するか又は含有しない、MMP-1の検出又は生成に干渉することが知られている成長因子、及び血清を含有しないMEM培養培地と細胞を接触させて配した。
【0080】
ケラチノサイト(酪酸ナトリウムの存在下又は不在下で、照射された又はされていない)の条件培地を照射24時間後に取り出し、正常なヒトの線維芽細胞と接触させて配した。
線維芽細胞培養上清において、24時間後に検出されたMMP-1の生成度を、供給者の指示に従い、アメルシャム社から販売されている「バイオトラックMMP-1ヒトELISAシステム」検出キットにより定量した。
450nmのフィルターを具備する、ラボシステム(LabSystems)マイクロプレートリーダを使用して、結果を読み取る。
MMP-1の量を、キットにより供給される基準品を用いて調製された較正範囲と比較して算出し、ng/mlで表す。
【0081】
結果は次の通りである:
【表1】

【0082】
対照条件(照射しない)において、MMP-1の生成は、培養条件下に存在する基底層のケラチノサイト細胞溶解因子に対応する。
酪酸ナトリウムが存在すると、3の因子により、MMP-1のこの「基底」生成が阻害される。
UV-B条件において、光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子が存在するため、MMP-1の過剰生成は対照条件(照射しない)に対して3の因子により得られる。
照射されたケラチノサイトの条件培地に添加された酪酸ナトリウムは、媒体に存在する光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子の生成を阻害することにより、MMP-1生成における刺激効果を防止することができる。
よって、これらの結果により、酪酸ナトリウムは、日光暴露に関連して、真皮において、コラーゲンの分解を防止及び/又は処理することを指向した美容用途用に選択される「間接」インヒビターであることが示される。
【0083】
実施例3:調製物
組成物1:顔の手入れ用クリーム
次の水中油型エマルションを従来の方法で調製する(重量%):
−酪酸ナトリウム 1%
−リコペン(リコレッド社(Lycored)から販売され
ている、トマト含油樹脂に10%のリコペンを
含有するリコマト(Lycomato)(登録商標)の形
態のもの) 0.001%
−ステアリン酸グリセリル 2%
−ポリソルベート(polysorbate)60(ICI社から
販売されているトゥイーン(Tween)60(登録商標)) 1%
−ステアリン酸 1.4%
−トリエタノールアミン 0.7%
−カーボマー(Carbomer) 0.4%
−シアバターの液状留分 12%
−ペルヒドロスクワレン 12%
−酸化防止剤 適量
−香料 適量
−防腐剤 適量
−水 全体を100%にする量
【0084】
組成物2:顔の手入れ用ゲル
酪酸ナトリウム 10−5
ヒドロキシプロピルセルロース(ハーキュレス社
(Hercules)から販売されているクリューセル
(Klucel)H(登録商標)) 1.00%
酸化防止剤 0.05%
イソプロパノール 40.00%
防腐剤 0.30%
水 全体を100%にする量
【0085】
組成物3:抜け毛防止用のローション
−モノアセトングルコース-3-ブチラート 1%
−リコペン(リコレッド社から販売されている、ト
マト含油樹脂に10%のリコペンを含有するリコ
マト(登録商標)の形態のもの) 0.0001%
−プロピレングリコール 30%
−エタノール 55%
−水 全体を100%にする量
【0086】
組成物4:植物性又は動物性のゼラチンゲルカプセル
mg/ゲル カプセル
−酪酸ナトリウム 10
−デンプン 198
−ステアリン酸マグネシウム 2.5
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、ELISA測定による、インビトロでの再構築された人の皮膚のMMP-1の生成における、24時間SSR暴露した影響を示す。
【図2】図2は、インビトロでの再構築された皮膚のMMP-1生成における表皮の役割を例証する。再構築されたヒトの皮膚をSSR又はUV-Bに暴露し、24時間後、MMP-1の生成をELISAにより評価する。また、再構築された皮膚の表皮は、UV暴露直後に除去した(黒棒)。
【図3】図3は、エピスキンTMである再構築された表皮での、MMP-1の生成におけるSSR暴露の影響を示す。MMP-1含有量を、24時間後、表皮(A)、無細胞のコラーゲンゲル(B)及び培養培地(C)において、ELISAにより評価する。
【図4】図4は、正常なヒトの真皮の線維芽細胞での、MMP-1の生成におけるSSR暴露の影響を示すヒストグラムである。
【図5】図5は、正常なヒトの表皮のケラチノサイトによる、MMP-1の生成を例証する。プラスチックに培養された細胞をSSRに暴露するか、又はTPA(20ng/ml)で処理する。MMP-1含有量を、処理24時間後、細胞培養物の上清において、ELISAにより評価する。
【図6】図6は、正常なヒトの真皮の線維芽細胞での、MMP-1の生成における、SSRに暴露されたケラチノサイトの条件培地の影響を示すヒストグラムである。条件培地を照射24時間後に収集し、正常なヒトの真皮の線維芽細胞に移す。MMP-1の生成を、移動24時間後、真皮の線維芽細胞の培養培地において、ELISAにより評価する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の、少なくとも一の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子の生成のインヒビターの、UVA/UVB比が10〜17であることで特徴付けられる太陽照射により誘発される膠原繊維の分解を防止する及び/又はこれに抗するための化粧品用又は皮膚科学用組成物の調製のための使用。
【請求項2】
光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子の生成のインヒビターが、次の:
a−単層として培養した正常なヒトのケラチノサイトを擬似太陽照射、又はUVA/UVB比が10〜17であることで特徴付けられるUV線にさらし;
b−照射された又は照射されていないケラチノサイトを、テスト用生成物を含有する又は含有しない培養培地と接触させて配し;
c−b)で得られた条件培地を、単層として培養された正常なヒトの線維芽細胞と接触させて配し;
d−c)で得られた線維芽細胞培養上清における、間質コラゲナーゼMMP-1の生成を測定し、照射されていないケラチノサイトの条件培地と接触して配された正常なヒトの線維芽細胞の培養物からなる対照体と比較し;さらに
e−間質コラゲナーゼMMP-1の生成を測定して、対照体で得られたものよりも少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%少ない生成物を選択する、
といった工程を含むプロセスに従い選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターが、炎症性サイトカイン生成のインヒビター、シクロオキシゲナーゼインヒビター、及びヒストン脱アセチル化酵素インヒビター、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
ヒストン脱アセチル化酵素インヒビター及びシクロオキシゲナーゼインヒビター、及びそれらの混合物から選択される、有効量の少なくとも一の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターの、膠原繊維の光誘発性分解を防止する及び/又はこれに抗するための化粧品用又は皮膚科学用組成物の調製のための使用。
【請求項5】
ヒストン脱アセチル化酵素インヒビターが、α-リポ酸、トリコスタチンA、プロピオン酸等のC2〜C6の短鎖脂肪酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、及び酪酸及び/又はその誘導体及び/又はその塩、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の使用。
【請求項6】
ヒストン脱アセチル化酵素インヒビターが酪酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
有効量の少なくとも一の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターを含有する組成物が、パラクリン機構を介し、真皮において間質コラゲナーゼMMP-1の生成を低減させる又は阻害さえさせることを意図していることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターが、MMP-1生成のための少なくとも一の直接インヒビターと組合せられることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
組成物が、亜紅斑性又は紅斑性の自然な日光暴露の存在下で誘発される膠原繊維の分解を防止する及び/又はこれに抗することを意図していることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビター又は組成物が、皮膚の薄層化、及び皮膚の張りの喪失及び/又は弾性の喪失を防止することを意図していることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
組成物が経口投与又は局所適用に適していることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
生理学的に許容可能な媒体に、酪酸、その誘導体、その塩及びそれらの混合物から選択される、少なくとも一のヒストン脱アセチル化酵素インヒビターを有効量含有せしめてなる、皮膚及び/又は頭皮に局所適用される化粧品用組成物において、該組成物が水性-アルコール性又は油性の溶液、水中油型又は油中水型のエマルション又は多相エマルション、水性又は無水のゲル、マイクロカプセル又は微小粒子、又はイオン性又は非イオン性の小胞分散液の形態である組成物。
【請求項13】
酪酸塩が酪酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
生理学的に許容可能な媒体に、少なくとも一のMMP-1生成の直接インヒビターと組合せて、請求項2ないし6のいずれか1項に記載の少なくとも一の光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子のインヒビターを有効量含有せしめてなる組成物。
【請求項15】
MMP-1生成の直接インヒビターが、TIMP-1;リコペン又はイソフラボン、及びそれらの誘導体;レチノール又はその誘導体、レチノイン酸及びその誘導体;セージ、ブルーベリー又はローズマリーの抽出物;アダパレン又は類似ペプチド、及び/又はバチマスタット誘導体((BB94)=[4-(N-ヒドロキシアミノ)-2R-イソブチル-3S-(チオフェン-2-イルチオメチル)スクシニル]-L-フェニルアラニン-N-メチルアミド)、マリマスタット((BB2516)=[2S-[N4(R*), 2R*, 3S]]-N4[2,2-ジメチル-1-[(メチルアミノ)カルボニル]プロピル]-N1,2-ジヒドロキシ-3-(2-メチルプロピル)ブタンジアミド);サポゲニン類、特にジオスゲニン、ヘコゲニン、シミラゲニン、サルサポゲニン、チゴゲニン、ヤモゲニン及びユッカゲニン;ゲニステイン及びケルセチン;テトラサイクリン及びその誘導体、特にミノサイクリン、ロリテラサイクリン、クロルテトラサイクリン、メタサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン及び対応する塩;オリゴペプチド類及びリポペプチド類、及びリポアミノ酸から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
光誘発性のケラチノサイト細胞溶解因子生成のインヒビターが、組成物の全重量に対して10−12%〜5%、好ましくは組成物の全重量に対して10−10%〜2%の量で存在していることを特徴とする、請求項12ないし15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
真皮の高分子の合成を刺激する、又はそれらの分解を防止する薬剤、特にコラーゲンの合成を刺激し、又はその分解を防止する薬剤、毛髪の成長を促進し及び/又は抜け毛を制限する薬剤、酸化防止剤、及びUV遮蔽剤、及びそれらの混合物から選択される薬剤を、有利にはさらに含有していることを特徴とする、請求項12ないし16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
経口投与に適した形態であることを特徴とする、請求項14ないし17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
皮膚及び/又は頭皮への局所適用に適した形態であることを特徴とする、請求項14ないし17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
請求項12ないし19のいずれか1項に記載の化粧品用組成物を皮膚に適用するか、又は投与することを特徴とする、光誘発性の皮膚加齢及び/又は更年期障害に関連した病状の兆候を防止する、及び/又は低減する、及び/又は処置するための美容方法。
【請求項21】
請求項12ないし19のいずれか1項に記載の化粧品用組成物を頭皮に適用するか、又は投与することを特徴とする、毛髪の成長を誘発及び/又は刺激し、及び/又は抜け毛を低減させるための美容方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−132685(P2009−132685A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−272521(P2008−272521)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【分割の表示】特願2004−242323(P2004−242323)の分割
【原出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】