説明

臭素化アニオン性スチレン性ポリマー及びそれらの製造

臭素化剤、アルミニウムハライド触媒及び約2000〜30,000のGPC Mnを有するアニオン性スチレン性ポリマーの溶液を、約10℃もしくはそれ未満に保持される反応領域中に同時に供給する。成分は少なくとも2つの分離された供給流中にある。(a)供給されているポリマー中の芳香族モノマー単位の量に基づいて約0.8モルパーセントもしくはそれ未満における供給されているアルミニウムハライドの量及び(b)約60〜71重量%の臭素を含有する最終的な洗浄され且つ乾燥されたポリマー生成物を与える、反応領域中の臭素化剤及び非臭素化ポリマーの量を保持するように、供給材料を割り当てる。触媒を不活性化し、ブロミドイオン及び触媒残留物を反応混合物から洗い出し、臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを回収し、乾燥する。乾燥されたポリマーは約600ppm(重量/重量)もしくはそれ未満の揮発性ブロモベンゼン含有率ならびに他の有益な性質を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロモベンゼンの含有率が低下した臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの製造方法及びそのような方法により製造され得る新規な臭素化アニオン性スチレン性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
共同所有される(commonly−owned)特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13及び特許文献14は、以前から既知の臭素化スチレン性ポリマーの最も良い既知の性質を有する臭素化スチレン性ポリマー、例えば臭素化ポリスチレンの製造のための最高の既知の先行のプロセス技術(process technology)であると思われるものを記載している。これに関し、請求項を含む本明細書のどこで用いられても、「臭素化スチレン性ポリマー」及び「臭素化ポリスチレン」という用語は、既存のスチレン性ポリマー、例えばポリスチレン又はスチレンと少なくとも1種の他のビニル芳香族モノマーのコポリマーの臭素化により製造される臭素化ポリマーを指し、1種もしくはそれより多い臭素化スチレン性モノマーのオリゴマー化又は重合により製造されるオリゴマー又はポリマーから区別され、後者のオリゴマー又はポリマーの性質は、典型的には複数の点で臭素化ポリスチレンと有意に異なる。
【0003】
アニオン性スチレン性ポリマーの臭素化による臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの製造において、ブロモベンゼン不純物は望ましい量より多量に形成される傾向がある。これらの不純物の中には、ベンゼン環が2〜6個の臭素原子により置換され得る種がある。環置換基として2、3又は4個の臭素原子を含有する種は、成形において遭遇する高められた温度におけるそれらのより高い揮発性のために、環上に5又は6個の臭素原子を含有する種よりもっと望ましくない。ハライド原子が臭素又は塩素又は両方であるアルミニウムハライド触媒を用いるアニオン性ポリスチレンの臭素化の場合、環置換基として2、3又は4個の臭素原子を含有する種は、NMRにより決定される場合にそれぞれ1,4−ジブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン及び1,2,4,5−テトラブロモベンゼンである。これらの揮発性種は強い臭気を有し、皮膚及び肺刺激物であると思われる。また、方法におけるこれらの種の生成はポリマー鎖からの芳香環の開裂から生ずる。これは今度はポリマー鎖における不規則性及び/又はポリマー鎖への臭素原子の付加を導入する。そのような付加は、臭素化スチレン性ポリマーの熱安定性の低下を生ずる。かくして生成物の仕上げ又は精製の間の精製段階に頼るのではなくて、臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの実際の製造の間にブロモベンゼン不純物、特により揮発性のジブロモ、トリブロモ及び/又はテトラブロモ種の生成を減少させるための方法を見出すことができたら、非常に有利であろう。
【特許文献1】米国特許第5,677,390号明細書
【特許文献2】米国特許第5,686,538号明細書
【特許文献3】米国特許第5,767,203号明細書
【特許文献4】米国特許第5,852,131号明細書
【特許文献5】米国特許第5,852,132号明細書
【特許文献6】米国特許第5,916,978号明細書
【特許文献7】米国特許第6,113,381号明細書
【特許文献8】米国特許第6,207,765号明細書
【特許文献9】米国特許第6,232,393号明細書
【特許文献10】米国特許第6,232,408号明細書
【特許文献11】米国特許第6,235,831号明細書
【特許文献12】米国特許第6,235,844号明細書
【特許文献13】米国特許第6,326,439号明細書
【特許文献14】米国特許第6,521,714号明細書
【発明の開示】
【0004】
本発明は、特別な生成物の仕上げ又は特別な精製法の必要なく、仕上げられた臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物中に存在する比較的揮発性のブロモベンゼンの量を有意に減少させることができるプロセス技術を提供する。仕上げられた生成物中のそのようなブロモベンゼンの量の減少は、そのような減少を達成するための特別な仕上げ又は特別な精製法の使用に頼らない。代わりに通常の仕上げ及び乾燥法を用いることができ、それでもなお生成物は少量、すなわち600ppm(重量/重量)より高くない、そして好ましい場合には300ppm(重量/重量)又はそれ未満の揮発性の望ましくないブロモベンゼンを含有するであろう。
【0005】
さらに特定的に、本発明に従い、揮発性ブロモベンゼン含有率が低下した臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの製造方法を提供し、その方法は:
A)(i)臭素化剤(好ましくは臭素)、(ii)ハライド原子が臭素又は塩素あるいは両方であるアルミニウムハライド触媒及び(iii)溶媒中の溶液又はスラリの形態における約2000〜約30,000の範囲内(好ましくは約2000〜約10,000の範囲内、そしてより好ましくは約3000〜約7000の範囲内)のGPC数平均分子量を有するアニオン性スチレン性ポリマー(好ましくはアニオン性ポリスチレン)から成る成分を反応領域中に同時に供給して反応混合物を形成し、ここで該成分は(1)少なくとも3つの分離された供給材料として個別に供給されるか、あるいは(2)少なくとも2つの分離された供給材料として供給され、その1つの供給材料は(i)、(ii)及び(iii)の2つ以下を含有し、その他の供給材料は(i)、(ii)、(iii)の第3番目を個別にか又は(i)、(ii)及び(iii)の1つ以下の他と組み合わせて含有し、それにより液相を含有する反応混合物が形成され、該反応混合物を約10℃かもしくはそれより低温に保持し、それによりアニオン性スチレン性ポリマーの臭素化を起こさせ、成分は、供給されているアルミニウムハライドの量が供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量に関して約0.8モルパーセントもしくはそれより少量にあるように、且つ下記のC)において言及される乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが約60〜約71重量%の範囲内(そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内)の臭素含有率を有するように割り当てられ;
B)1)実質的に反応混合物全体又は
2)反応混合物の、反応領域から出た部分
中で触媒を不活性化し、且つそこからブロミドイオン及び触媒残留物を洗い出し、
そして
C)反応混合物から臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を回収し、そのような生成物を乾燥し、それにより乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは約60〜約71重量%の範囲内(そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内)の臭素含有率及び約600ppm(重量/重量)より高くない、そして好ましくは約300ppm(重量/重量)又はそれ未満である揮発性ブロモベンゼン含有率を有する
ことを含んでなる。
好ましくはB)において、水性クエンチング媒体中で反応混合物をクエンチングすることにより、触媒を不活性化する。
【0006】
上記のA)の同時供給が、例えば反応器中の反応混合物にかもしくはその中に供給するインジェクター、プローブ又はノズルのような供給装置中で(i)、(ii)及び(iii)を一緒にする場合、そのような供給装置内のそのような一緒にされた内容物は反応領域の一部を構成する。この型の場合に、そのような同時供給が連続的同時供給である場合、一緒にされた内容物が、装置内で一緒にされてから約5秒以下、そして好ましくは約2秒以下以内の後にそのような供給装置から出て反応器中の反応混合物の本体に入るようにさせることを保証することにより、より良い温度制御が達成される。そしてこの型の場合に、そのような同時供給の少なくとも1つが急速パルス同時供給(rapidly pulsed concurrent feed)である場合、一緒にされた内容物が、装置内で一緒にされてから約5秒以下、そして好ましくは約2秒以下以内の後にそのような供給装置から出て反応器中の反応混合物の本体に入るようにさせることを保証することにより、より良い温度制御及びより高い反応混合物の均一性が達成される。
【0007】
従って上記のA)を行なう場合、成分(i)、(ii)及び(iii)は少なくとも2つの分離された供給流中にあり、それらの1つ、好ましくは(iii)は、(i)、(ii)及び(iii)の少なくとも2つの分離された供給材料が:
1)攪拌されるタンク反応器又は管状もしくはループ−型反応器のような反応器中の反応混合物の本体に直接入る、及び/又は
2)そのような反応器中の反応混合物の本体中の反応混合物に直接入るより5秒以下(そして好ましくは2秒以下)前に一緒にされる
まで、(i)及び(ii)の少なくとも1つから、好ましくは(i)及び(ii)の両方から分離されたままに保たれることがわかるであろう。
【0008】
好ましい運転様式において、上記の方法は閉鎖反応系中で行なわれ、それにより臭化水素共生成物は、触媒が好ましくは水性クエンチング系中で不活性化されるまで、反応混合物中に保たれる。HBr共生成物は用いられるハロゲン化溶媒中で可溶性であるので、かくしてHBr共生成物は溶液中にありながら閉鎖反応領域を介して保持され、実際に追加の希釈剤として働き、それによりポリマー溶液の粘度を低下させる。臭素化の間、閉鎖臭素化系は自生的圧力下に留まり、それは典型的には最高で約60psiである。この好ましい運転様式はいくつかの現実的な利点を与える。第1に、臭素化反応器からの流出ガス流からHBr共生成物を回収するためのスクラビング系に対する典型的な必要性が除去される。そのようなスクラビング系を準備し且つ使用する代わりに、HBr共生成物の臭素値(bromine value)をすべて、1つの操作で、触媒の不活性化のために用いられる水性クエンチング系の内容物から回収することができる。さらに、スクラビング系のための資本経費及びスクラビング系の保守に含まれる経費が除去される。さらに、HBrが保持されている反応混合物の粘度は、HBrが除去された類似の反応系に比べて低下する。そのような粘度の低下は、より少ない溶媒で運転する機会を与えるか、又は同じレベルの溶媒を用いて、適度により高い分子量のアニオン性スチレン性ポリマーを使用することを可能にする。
【0009】
本発明の実施に従って、約60〜約71重量%の範囲内(好ましくは約67〜約69重量%の範囲内)の臭素含有率、約600ppm(重量/重量)より高くない、そして好ましくは300ppmもしくはそれ未満であるブロモベンゼン含有率ならびに追加の望ましい性質又は特性、特に約15又はそれ未満の熱ΔE色値(thermal ΔE color value)及び/又は320℃ Thermal Stability Testにおける約125ppm又はそれ未満のHBrの熱安定性を有する新規な臭素化アニオン性スチレン性ポリマー組成物も提供する。
【0010】
本発明の上記の及び他の特徴及び態様は、続く記述及び添付の請求項からさらにもっと明らかになるであろう。
【0011】
図面の簡単な記述
図1は、本発明の実施において反応物、溶媒及び触媒を反応領域中に供給するための注入系の略立面図である。
【0012】
図2は、本発明に従って連続法を行なうための系の略工程系統図である。
【0013】
図3は、本発明の好ましい態様に従って連続法を行なうための略工程系統図である。
【0014】
発明のさらに詳細な記述
請求項を含む本明細書のどこで用いられる場合も、「ブロモベンゼン」という用語は、単数においても複数においても、臭素化反応自身において1種もしくはそれより多い共生成物又は不純物として生成する1種もしくはそれより多い臭素化芳香族炭化水素を指す。ベンゼン環は、1個もしくはそれより多い臭素原子の他に1個もしくはそれより多い置換基を含有することができる。例えば全体的に又は部分的にメチルスチレンから生成するアニオン性スチレン性ポリマーを、方法において臭素化に供する場合、生成する「ブロモベンゼン」共生成物の少なくともいくらかは、おそらく環上にメチル及び/又はブロモメチル置換基を有するブロモベンゼンであろう。かくして不純物生成又は不純物含有率と関連して請求項を含む本明細書のどこで用いられても、単数形又は複数形の「ブロモベンゼン」は文字通りに理解されるべきではない−そうではなくて、これらの用語は、方法における使用のために選ばれるアニオン性スチレン性ポリマーの臭素化の間に生成する臭素化芳香族不純物を示すために用いられる。「揮発性ブロモベンゼン」という用語は、単数形においても複数形においても、ブロモベンゼンのベンゼン環に直接結合する1〜4個の範囲内の臭素原子を有するブロモベンゼン種を示し、それは、臭素化アニオン性ポリスチレンの製造の時に生成するブロモベンゼンの場合、1種もしくはそれより多いジブロモ、トリブロモ及び/又はテトラブロモ種、典型的には1,4−ジブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン及び/又は1,2,4,5−テトラブロモベンゼンから成る。
【0015】
類似して、請求項を含む本明細書のどこで用いられる場合も、「アニオン性スチレン性ポリマー」及び「アニオン性ポリスチレン」という用語は、アニオン性重合開始剤、例えばリチウムアルキルの使用により製造されるそれぞれスチレン性ポリマー又はポリスチレンを示すために当該技術分野における通常の熟練者が普通に用いる用語である。かくして当該技術分野における通常の熟練者に周知の通り、これらの用語はポリマー自身がアニオン性であることを意味しない。
【0016】
閉鎖反応系が用いられる本発明の態様において、「閉鎖反応系」という用語は、臭素化反応領域中に又はそこから及び触媒不活性化領域中に又はそこから必要な成分(パージングキャリヤーガスなどを含む)を運ぶ配管又は導管を除いて、その回りから閉鎖されている反応系を示す。要するに系は、ガス状HBr共生成物が系から逃げずに、適した形態における回収のために臭素化反応領域から触媒不活性化領域中に移動するよう強制されるよ
うに設計される。
【0017】
臭素化プロセス技術
本発明の方法をバッチ又は半−バッチ法として、あるいは連続法として行なうことができる。方法の特徴の中に:
1)反応領域中に(i)臭素化剤(好ましくは臭素)、(ii)ハライド原子が臭素又は塩素あるいは両方であるアルミニウムハライド触媒及び(iii)溶媒中の溶液又はスラリの形態における(好ましくは溶液としての)約2000〜約30,000の範囲内(好ましくは約2000〜約10,000の範囲内、そしてより好ましくは約3000〜約7000の範囲内)のGPC Mを有するアニオン性スチレン性ポリマー(好ましくはアニオン性ポリスチレン)を同時供給すること;
2)少なくとも2つの分離された供給流中で(i)、(ii)及び(iii)の供給を行い、且つここで例えば供給材料が、供給プローブ、インジェクター又はノズルを去ってより大きな反応器中の反応混合物の本体に入る(好ましくは直接入る)より5秒以下、そして好ましくは2秒以下前に供給プローブ、インジェクター又はノズル内で一緒される場合を除いて、そのような供給流は(i)、(ii)及び(iii)の3つすべてからは形成されず、好ましくは分離された供給材料として(i)、(ii)及び(iii)を供給するか、あるいは(iii)から分離されて供給される1つの供給材料として(i)及び(ii)を組み合わせること;
3)反応領域を約10℃又はそれ未満、好ましくは約5℃又はそれ未満、より好ましくは約−2℃〜約3℃の範囲内に保持し、液相を含有する反応混合物を与えること;
4)アルミニウムハライドが反応混合物中に供給されている時のその量が、アニオン性スチレン性ポリマーが反応混合物中に供給されている時のアニオン性スチレン性ポリマー中のモノマー単位のモル量に基づいて約0.8モルパーセント又はそれ未満に保持されるように供給成分を割り当てること;
5)反応領域内に供給される臭素化剤及びアニオン性スチレン性ポリマーの量を保持して、生成する最終的な洗浄され且つ乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物が約60〜約71重量%の範囲内の臭素、そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内の臭素を含有するように供給成分を割り当てること;
6)洗浄され且つ乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーのブロモベンゼン含有率が約600ppm(重量/重量)より高くない、そして好ましくは約300ppm(重量/重量)又はそれ未満であるために十分に迅速に、典型的には水性クエンチング溶液を用いて(a)バッチ法運転における全反応混合物又は(b)連続法運転における反応領域からの取り出し後の反応混合物の一部をクエンチングすることにより触媒を不活性化すること;
7)好ましくは臭素化を閉鎖反応系中で行い、好ましくは水性クエンチング媒体を用いて反応混合物をクエンチングすることにより触媒を不活性化し、且つその中でHBr共生成物を回収するまで、共生成物HBrが反応混合物中に留まるようにすること
がある。
【0018】
供給材料(iii)、すなわちアニオン性スチレン性ポリマーの溶液又はスラリは、流動性であるか又はポンプ輸送可能である溶液又はスラリの形成に十分な溶媒を含有しなければならない。
【0019】
本発明の他の特徴は、臭素化中ずっとHBr共生成物が反応混合物と共に留まるように閉鎖臭素化反応系中で運転することにより、臭素化反応速度は低下することが予測され得るが、すべての実際の目的に関し、臭素化反応速度は大気圧において臭素化が行なわれる場合と同じくらい速いようであることが見出されたことである。
【0020】
反応混合物に供給されているアルミニウムハライド触媒のモル量及び反応混合物に同時
供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量を、供給材料中の(ii)及び(iii)の適切な量を用いることにより、ならびに(ii)及び(iii)を送達して反応領域内の反応混合物中に装入するそれぞれの供給速度を設定及び/又は制御することにより、特定のモル比限界にかもしくはそれより低く保持することができる。これに関し、供給されているアルミニウムハライド触媒のモル量及び同時供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量の比は、以下の式の使用により決定され:
【0021】
【数1】

【0022】
式中、アルミニウムハライド触媒(式中でAlXとして示される)及びポリマーの重量は、同じ質量単位、例えばグラム又はポンドにおける。
【0023】
好ましくは、A)における同時供給は、1つもしくはそれより多い(i)、(ii)及び(iii)の分離された個々の供給材料あるいは(1)(i)及び(ii)から形成される組み合わせ又は混合物及び(2)1つもしくはそれより多い(iii)の分離された供給材料の1つもしくはそれより多い分離された供給材料を含んでなる。望ましくは、これらの流れのためのプローブ、インジェクター又はノズルは、そこからのそれぞれの供給流が反応領域中の反応混合物の液相の本体中に直接出るように配置される。(i)、(ii)及び(iii)の1つ(それらの他の1つを含むかもしくは含まない)がそれらの他の2つから分離されている(i)、(ii)及び(iii)の供給材料あるいは分離され且つ個々に供給されるそれらの3つすべての供給材料のための分離された供給流のそれぞれがプローブ、インジェクター又はノズルから直接反応混合物の液相中に出現する部位が、他の単数もしくは複数の供給流の単数もしくは複数の出現部位に近接しているのも好ましい。より好ましい態様において、分離された供給流の少なくとも1つは(i)及び(ii)の組み合わせであり、そのような分離された供給流の少なくとも他は(iii)であり、そのような供給流は、同心的又は同軸的に整列した注入プローブ又はノズルにより、あるいは実質的に向かい合った整列(face−to−face opposed alignment)における注入プローブ、シンジェクター又はノズルにより反応混合物中又は反応混合物の液相の本体内に表面下で供給され、供給材料は近接したオリフィスから互いに向かって方向付けられる。「実質的に向かい合った整列」により、プローブ、インジェクター又はノズルから出る流れのそれぞれの軸が同じ平面内で180の変位で向かい合っている(すなわちそれらは共通の軸上で互いに直接向かい合っている)か、あるいは流れの軸が共通の平面内で鈍角の変位で互いに向かい合っている(すなわちそれらは共通の平面内で90より大きい角度で互いに向かい合っている)ことを意味する。
【0024】
上記の通り、好ましい態様において、それぞれの供給流が反応混合物中に直接入るか又は注入される液体反応混合物中の部位は互いに近接している。請求項を含む本明細書で用いられる場合、「近接した」という用語は、供給流が反応混合物に直接入る部位が、非臭素化又は部分的臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの架橋の故の許容され得ない量の不溶性ポリマーの形成が起こらないために十分に互いに近いことを示す。そのような架橋は、過剰の架橋ポリマー形成が起こるのを妨げるために十分に急速な、非常に低温における(例えば0℃又はそれより低温)反応混合物の攪拌がないと、供給流が互いから大きすぎる間隔で反応混合物に入る場合に起こり得る。
【0025】
理論に縛られるものではないが、同時供給が成される反応混合物において、3つの競争的反応、すなわち(a)望まれるアニオン性スチレン性ポリマーの臭素化及び(b)用い
られているクロロ−及び/又はブロモ炭化水素溶媒によるアニオン性スチレン性ポリマーの望ましくないアルキル化(それは非臭素化もしくは部分的臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの架橋にも導き得る)及び(c)ブロモベンゼン不純物を生じ、且つポリマー鎖上に熱不安定性の部位を作るポリマー芳香環の望ましくない脱アルキル化が起こり、すべてのそのような反応は用いられているアルミニウムハライド触媒により触媒されると示唆するのは不合理と思われない。本明細書に記載される割合で、且つ低い反応温度で反応物と触媒を共供給し、好ましくは供給材料が、用いられる近接したインジェクターもしくはプローブ供給部位の故に迅速に互いと緊密に接触するようになることにより、臭素化反応はいずれの競争的アルキル化又は脱アルキル化反応よりずっと急速に起こり、所望の高レベルの臭素化が起こってしまうと、得られる臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物は非臭素化又は部分的臭素化アニオン性スチレン性ポリマーよりアルキル化又は脱アルキル化に対して抵抗性である。
【0026】
好ましい近接した供給系を用いる場合、供給流の流入部位の間の(between or among)最大間隔は、反応混合物の攪拌速度、反応混合物の温度、それぞれの供給流の速度、それぞの供給流の濃度ならびに反応混合物中における触媒の溶解度及び/又は、もしあれば供給流中における触媒の溶解度のような種々の因子に依存するであろう。おおざっぱなやり方として、商業用−寸法の装置のための供給系の設計において、例外的に高い攪拌速度及び非常に低い反応温度が用いられなければ、商業用装置における供給流のそれぞれのインジェクターもしくはプローブからのそれらの出現部位の間の間隔を、約4インチより大きくなく保つのが望ましい。間隔が約4インチより小さければ小さい程良い。好ましくは、供給流の同軸供給又は実質的に向かい合った整列の供給が用いられる。同軸供給は、例えば表面下で反応混合物の液相中に延びる同心インジェクター又はプローブの使用から得られる。
【0027】
方法の連続運転において、平均反応時間又は平均滞留時間(すなわち反応物及び触媒が互いと接触している平均時間又は言い換えると、反応物及び触媒の最初の接触から触媒の不活性化までの時間)は、典型的には最高で約30分そして好ましくは約20分もしくはそれ未満であろう。より好ましい本発明の連続法は、約2〜約10分の範囲内、より好ましくは約2〜約5分の範囲内、そしてさらにもっと好ましくは最高で約2もしくは3分の範囲内の平均反応時間又は平均滞留時間を含む。そのような短い滞留時間は、本発明の方法で用いられるアルミニウムハライド触媒及び採用される独特の供給法の使用により可能にされる。バッチ型運転の場合、反応時間が運転の規模、反応器内で与えられる攪拌の程度及び反応系における熱伝達の速度のような因子により大きく影響を受け得るので、反応時間の量を決めるのはより困難である。かくして約600ppm(重量/重量)より多いブロモベンゼン不純物を含有する臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの生成を妨げるのに十分に短い反応時間の保持において、試験実験の使用に頼らなければならないかも知れない。これに関して助けとなるべきおおざっぱなやり方として、2000ガロン規模における運転の場合、最高で3時間の時間は許され得るが、4000ガロン規模の運転においては、最高で6時間の時間が許され得る。連続運転においていくらかのスケールアップ効果があるが、そのような運転における効果はバッチ運転の場合におけるより小さい程度のものである傾向がある。
【0028】
上記の通り、(i)臭素化剤、好ましくは臭素、(ii)ハライド原子が臭素又は塩素あるいは両方であるアルミニウムハライド触媒及び(iii)溶媒中のアニオン性スチレン性ポリマー溶液の同時供給は、(i)、(ii)及び(iii)が少なくとも2つの分離された供給流中にあり、ここで(i)、(ii)及び(iii)の3つすべてからそのような供給流は形成されないように成される。かくしてそのような供給を行なう4つの基本的な方法がある。これらは:
1)(i)、(ii)及び(iii)を3つの分離された供給材料として供給する;
2)(i)及び(ii)の組合せを(iii)から分離して供給される1つの供給材料として供給する;
3)(ii)及び(iii)の組合せを(i)から分離して供給される1つの供給材料として供給する;
ならびに
4)(i)及び(iii)の組合せを(ii)から分離して供給される1つの供給材料として供給する
である。1)、2)、3)及び4)の2つもしくはそれより多い供給の組み合わせは可能である。また前記の供給材料のいずれかもしくはすべてを、反応領域中の1つより多い位置において導入することができる。制限ではない例として、1)の場合に、複数の分離された(i)、(ii)及び/又は(iii)のいずれかの供給材料があることができる。類似して、2)において、複数の分離された(i)と(ii)の組み合わせの供給材料及び/又は複数の分離された(iii)の供給材料があることができ、以下同様である。2つもしくはそれより多い(i)、(ii)及び(iii)の供給材料が用いられる場合、供給材料のそれぞれのセットがあり、それぞれの供給材料のセットは互いから離れていても、それら自身の供給材料が互いに近接して反応混合物に入るように配置されるのが望ましい。例えば連続攪拌タンク反応器の第1の位置に(i)と(ii)の混合物の供給及び(iii)の分離された供給が存在し、同じ連続攪拌タンク反応器の第2の離れた位置に(i)と(ii)の混合物の供給及び(iii)の分離された供給が存在する場合、第1の位置における2つの供給は好ましくは互いに近接し、第2の位置における2つの供給は好ましくは互いに近接している。しかしながら、そのような供給の4つすべてが互いに近接している必要はない。
【0029】
上記の1)又は2)におけるような供給が好ましく、上記の2)におけるような供給がより好ましい。
【0030】
上記の3)におけるような供給の場合、触媒の分解を避けるために、塩素を含有しない有機溶媒、例えばジブロモメタン又は1,2−ジブロモエタンを用いるのが望ましい。ブロモクロロメタンのような塩素−含有溶媒を用いる場合、時間を経て起こる傾向がある触媒の分解を避けるために、反応器中に供給する直前に触媒とアニオン性スチレン性ポリマー溶液の混合物を形成するべきである。
【0031】
上記の4)におけるような供給の場合、臭素のような臭素化剤は保存の間にポリマー鎖を臭素化する傾向があるので、臭素化剤、特に臭素とアニオン性スチレン性ポリマー溶液の組み合わせを予備形成して実質的な時間保存するべきではない。かくして一般に、4)におけるような供給が用いられるべき場合、臭素化剤とポリマー溶液の混合物を形成し、得られる混合物を形成から数分後以内に反応領域中に供給するのが望ましく、混合物の形成から供給までの時間が短い程、好ましい。
【0032】
上記に従って(i)、(ii)及び(iii)が供給される方法に無関係に、(i)臭素化剤、好ましくは臭素、(ii)ハライド原子が臭素又は塩素あるいは両方であるアルミニウムハライド触媒及び(iii)溶媒中のアニオン性スチレン性ポリマー溶液の同時供給は、供給が同じ瞬間に開始されることを必要としない。例えば(iii)の連続供給が開始され、その1分後に(ii)の連続供給の開始が続き、その1分後に(i)の連続供給の開始が続く場合、臭素化時間は(i)の供給の開始で始まり、それは、前の2分において本発明に従う臭素化が起こらないからである。また、方法の全体的運転を壊さないか又は生成物組成に悪影響を有していない(i)、(ii)及び(iii)の連続供給の間の1つもしくはそれより多い供給のわずかな中断は許容され得る。当然そのような中断は、特に定常状態の運転が達成されたら、可能な限り避けられるべきである。
【0033】
分離されていても又は(1)1つの供給材料としての(i)、(ii)及び(iii)のいずれか2つの組み合わせ及び(2)分離された供給材料としての第3のもの−(1)の組み合わせ中に存在する(i)、(ii)及び(iii)の2つの中の1つと組み合わされていることができる−を用いても、(i)、(ii)及び(iii)の同時供給の本発明の方法の態様のそれぞれにおいて、実際の供給材料自身が反応領域中に供給されて反応混合物を形成する種々の方法がある。1つの方法は、連続供給流の形態で各供給材料を得ることである。第2の方法は、パルス供給流(pulsed feed stream)の形態で各供給材料を得ることであり、そこにおいてパルス間の時間間隔は、供給されているアルミニウムハライドの量を、供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量に関して約0.8モルパーセントもしくはそれ未満に保ち且つ約60〜約71重量パーセントの範囲内の臭素を含有する最終的な洗浄され且つ乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を生ずるように割り当てられた供給されている臭素化剤及びアニオン性スチレン性ポリマーの量を保つのに十分に短い。このそれぞれの供給材料を供給する第2の方法において、パルスは、それぞれの供給自身の間で、同時の(simultaneous concurrent)パルスであるようにか又は交互パルスであるように同調されていることができるか、あるいはそれぞれのパルスは互いに関して同調されていないことができ、それぞれの場合にパルスは規則的又は不規則であることができ、但しすべてにおいて、供給されているアルミニウムハライドの量は供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量に関して約0.8モルパーセントもしくはそれ未満に保たれ、且つ供給されている臭素化剤とアニオン性スチレン性ポリマーの量は、約60〜約71重量パーセントの範囲内の臭素を含有する最終的な洗浄され且つ乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を生ずるような割合に保たれる。第3の方法は、それぞれの供給材料の少なくとも1つを連続供給流として得、それぞれの供給材料の少なくとも1つの他をパルス間の適した時間間隔を有する規則的又は不規則的パルス流として得ることであり、この場合もそれぞれの供給材料を供給する第2の方法と関連して示したばかりの但し書きを免れない。
【0034】
必要なら、臭素化反応領域への供給流を脱ガスし、その中で連行され得る溶解した大気ガスを除去することができる。この方法で、用いられている臭素化反応系の圧力限界を超える可能性を最小にする。
【0035】
臭素化法の実施において、アニオン性スチレン性ポリマーとの溶液の形成において用いられる溶媒のような溶媒のある量を反応領域に最初に与えるのは、役に立ち得る。この方法で、より希薄且つかくして粘性の低い反応混合物を反応領域において保持することができる。望ましければ、反応領域へのそのような追加の溶媒の連続的又は周期的な分離された供給を用いることができる。反応領域における過剰の粘度は、それが反応成分間の連続的な緊密な接触を妨げる傾向があるので、望ましくない。
【0036】
約60〜約71重量%の範囲内そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内の臭素を含有する本発明の最終的な洗浄され且つ乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを生ずるように、成分(i)及び(iii)を割り当てることができる。種々の所望の臭素含有率を達成するためにアニオン性スチレン性ポリマーと臭素化剤を割り当てる方法は、当該技術分野における通常の熟練者に既知であり、本文書の最初に言及した共同所有される特許に記載されている。
【0037】
本発明の方法を行なうことができる種々の方法がある。バッチ又は半−バッチ運転様式と呼ばれ得る1つの方法は、成分のいずれかの部分が臭素化反応を経る最大時間が約600ppm(重量/重量)より多いブロモベンゼン不純物を含有する生成物の生成を生じないように、成分(i)、(ii)及び(iii)を攪拌ポット反応器のような反応器中に上記の通り迅速に導入することを含む。反応を停止するために、反応器中へのクエンチング組成物の導入により、又はクエンチング組成物を含有するクエンチング容器中に反応器の内容物をどさりと入れるかもしくは供給することにより、攪拌ポット反応器中の混合物を急速にクエンチングすることができる。この方法で、反応混合物のいずれの部分もさらなる臭素化を経ない。反応器に供給される成分の最後の部分が適した臭素化を経るための十分な時間を有するために、触媒を不活性化する前に供給を止めて少なくとも1〜2分の時間を許すのが望ましい。この少なくとも1〜2分の時間は、成分の最後の部分が臭素化を経るための残留時間として働く。このバッチもしくは半−バッチ運転様式は、反応器中への成分の迅速な導入ならびにまた反応温度が上記で規定した温度範囲内及び適した臭素化反応時間内に保たれるように、反応器内容物の十分に急速な攪拌及び有効な冷却を含まなければならない。
【0038】
別の運転様式は連続法の使用を含む。本発明の1つのそのような態様において、揮発性ブロモベンゼン含有率が低下した臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの製造方法を提供し、その方法は:
A)(i)臭素化剤(好ましくは臭素)、(ii)ハライド原子が臭素又は塩素あるいは両方であるアルミニウムハライド触媒及び(iii)溶媒中の溶液の形態における約2000〜約30,000の範囲内(好ましくは約2000〜約10,000の範囲内、そしてより好ましくは約3000〜約7000の範囲内)のGPC Mを有するアニオン性スチレン性ポリマーから成る成分の同時供給から連続的に形成される液相を有する反応混合物を、約10℃もしくはそれ未満の範囲内の1つもしくはそれより多い温度に保持された該反応領域を介して連続的に移動させ且つそこから出させ、そのような移動の少なくとも一部の間にアニオン性スチレン性ポリマーの臭素化が起こるようにし、供給されている成分は、供給されているアルミニウムハライドの量が供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量に関して約0.8モルパーセントもしくはそれより少量にあるように、且つ下記のC)において言及される乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが約60〜約71重量%の範囲内、そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内の臭素含有率を有するように割り当てられ;
B)反応領域から出た反応混合物中で触媒を不活性化し、且つそこからブロミドイオン及び触媒残留物を洗い出し(そして好ましくは反応混合物が反応領域から出た後すぐに反応混合物中で連続的に触媒を不活性化し、そして反応領域から出た反応混合物からブロミドイオン及び触媒残留物を洗い出し);
C)反応混合物から臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を回収し、そのような生成物を乾燥して、それにより乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは約60〜約71重量%の範囲内、そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内の臭素含有率及び約600ppm(重量/重量)より高くない、そして好ましくは約300ppm(重量/重量)又はそれ未満である揮発性ブロモベンゼン含有率を有する
ことを含んでなる。
好ましくは、そのような連続法における同時供給は、(i)、(ii)及び(iii)のそれぞれを分離させて且つ個々に反応混合物中に同時に供給するか、あるいは(a)成分(i)及び(ii)の予備形成混合物ならびに(b)成分(iii)を分離させて、反応混合物中に同時に供給することにより行なわれる。
【0039】
本発明の他の連続法の態様は、揮発性ブロモベンゼン含有率が低下した臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの製造方法であり、その方法は:
A)(i)臭素化剤(好ましくは臭素)、(ii)ハライド原子が臭素又は塩素あるいは両方であるアルミニウムハライド触媒及び(iii)溶媒中の溶液又はスラリ(好ましくは溶媒中の溶液)の形態における約2000〜約30,000の範囲内(好ましくは約2000〜約10,000の範囲内、そしてより好ましくは約3000〜約7000の範囲内)のGPC Mを有するアニオン性スチレン性ポリマーから成る成分の同時供給から連続的に形成される液相を有する反応混合物を、約10℃もしくはそれ未満の範囲内の1つもしくはそれより多い温度に保持された該反応領域を介して連続的に移動させ且つそこから出させ、そのような移動の少なくとも一部の間にアニオン性スチレン性ポリマーの臭素化が起こるようにし、該(i)、(ii)及び(iii)の供給材料は少なくとも2つの分離された供給流中にあり、そして(ii)は、(i)、(ii)及び(iii)の少なくとも2つの分離された供給流が反応混合物に直接入るか及び/又は供給装置から出現して反応器中の反応混合物のより大きな本体に入るより前の5秒以下そして好ましくは2秒以下に一緒にされる(例えば一緒にされた供給材料を反応混合物中に注入するプローブ、インジェクター又はノズルのような供給装置内で)まで(i)及び(iii)の少なくとも1つから分離されて保たれ、組み合わされている成分は、供給されているアルミニウムハライドの量が供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量に関して約0.8モルパーセントもしくはそれより少量にあるように、且つ下記のC)において言及される乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが約60〜約71重量%の範囲内、そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内の臭素含有率を有するように割り当てられ;
B)反応領域から出た反応混合物中で触媒を不活性化し、且つそこからブロミドイオン及び触媒残留物を洗い出し(そして好ましくは反応混合物が反応領域から出た後すぐに反応混合物中で連続的に触媒を不活性化し、そして反応領域から出た反応混合物からブロミドイオン及び触媒残留物を洗い出し);
そして
C)反応混合物から臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を回収し、そのような生成物を乾燥して、それにより乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは約60〜約71重量%の範囲内(そして好ましくは約67〜約69重量%の範囲内)の臭素含有率及び約600ppm(重量/重量)より高くない(好ましくは約300ppm(重量/重量)又はそれ未満)である揮発性ブロモベンゼン含有率を有する
ことを含んでなる。
【0040】
この連続法の実施において、好ましくはA)において連続的に形成される反応混合物は主に又は全体として液体混合物から成り、好ましくは、臭素化剤は臭素であり、且つ好ましくは、臭素は連続的に形成されている液体反応混合物の境界内に連続的に供給される。「境界」という用語は、液体反応混合物の本体内を意味し、液体反応混合物の外部上への供給から区別される。境界内への供給は、反応器中の液体反応混合物の本体内に延びるインジェクター、ノズル又は供給プローブの使用により行なうことができる。攪拌ポット型の反応容器におけるバッチ/半−バッチ運転の場合、各インジェクター、ノズル又は供給プローブからの出現供給材料が攪拌羽根の周囲に密接し、反応物が反応領域中で形成されている液体反応混合物の本体内で迅速に拡散し、温度勾配が最小になるように準備するのが望ましい。
【0041】
連続運転様式において、A)で成分(i)、(ii)及び(iii)から形成される反応混合物を種々の方法で形成することができる。例えばすべて上記の通り、少なくとも2つの分離された(i)、(ii)及び(iii)の連続供給の使用により臭素化反応混合物を形成することができ、そのような供給材料は(i)、(ii)及び(iii)の3つすべてからは形成されない。また、(i)、(ii)及び(iii)の1つもしくはそれより多くのための反応領域への複数の供給口(feed inlets)があることができる。いくつの供給口が用いられるか及び供給がいかにして行なわれるかにかかわらず、供給は実質的に同時でなければならない(供給を種々の時点に開始することができる場合の開始時を除く)。運転における実質的な不均衡を引き起こさないわずかな供給の中断は許容され得るが、可能なら定常状態の運転が達成され得るように、避けられるか又は少なくとも最小にされるべきである。すべてのそのような供給は連続供給であることが好ましいが、各パルス間に均一な短い時間間隔を有する1つもしくはそれより多いパルス供給を用いて運転することは可能であると思われる。A)における供給を行なう前記の方法のそ
れぞれにおいて、溶媒の分離された同時の連続的又は断続的供給を、必要ならA)における別の供給流として用いることができる。バッチ/半−バッチ運転様式の場合における通り、個々の臭素供給材料又は臭素を含有する供給混合物/溶液を反応領域内で形成されている液体反応混合物の境界内に直接供給し、臭素が、そのような液体反応混合物が形成されている時にその中で急速に分散されるのが望ましい。かくして反応領域に乱流領域を設けることができ、その中に個々の臭素供給材料又は臭素を含有する供給混合物/溶液を、撹乱反応混合物(turbulent reaction mixture)が反応領域中で形成される時にその本体中に注入する。
【0042】
本発明の連続法の実施において、移動する反応領域の内容物の体積が実質的に一定に留まるように、反応領域中への成分(i)、(ii)及び(iii)の供給の速度に関するA)において反応混合物が反応領域から出る速度を規定するか、保持するか、及び/又は制御するのが望ましい。かくして反応領域への連続的供給及び反応領域からの連続的な流れを得るのが通常好ましく、それは、これが反応領域における本質的に一定の体積を保持するのをより容易にする傾向があるからである。しかしながら、反応領域へのパルス供給又は反応領域から出る1つもしくはそれより多いパルス流を使用しながら、同時に反応領域中の反応混合物の体積を実質的に一定に保持することができる。
【0043】
本発明の方法をいずれの適した圧力において行なうこともできる。好ましくは、方法は最高で約60psiの圧力において、そしてより好ましくは閉鎖臭素化反応系において自生的圧力下で行なわれる。
【0044】
生成物の仕上げ及び乾燥
本発明の実施において、生成物の仕上げは、触媒の不活性化ならびにブロミドイオン及び触媒残留物の洗い出し(好ましくは水性クエンチング媒体を用いるか又はその中で反応混合物をクエンチングすることにより)を含む。触媒の不活性化の前に反応混合物中に残留臭素が残る場合、水性クエンチング媒体は、臭素をブロミドイオンに転換するために亜硫酸ナトリウムのような還元剤を含有しなければならず、ブロミドイオンを次いでクエンチング操作から生ずる水相中で洗い出し、臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を回収し、洗浄された臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を乾燥する。生成物の回収及び洗浄を1つの操作として行なうことができる。
【0045】
バッチ運転のB)における触媒の不活性化は、典型的にはクエンチング組成物を用いて全反応混合物をクエンチングすることにより行なわれる。連続法のB)における触媒の不活性化は、典型的にはクエンチング組成物を用いて反応領域から出る反応混合物を、そのような反応混合物が反応領域から出る時又はその後にクエンチングすることにより行なわれる。いずれの場合もクエンチング組成物は、典型的には液体状態における水を含む。連続運転において、クエンチング段階を断続的又は連続的に行なうことができる。断続的クエンチングは、短持間の間、反応混合物が反応領域から出る時にそれを集め、次いでその量をすぐにクエンチング組成物中で又はそれを用いてクエンチングすることを含む。連続的クエンチングは、反応混合物が反応領域から連続的に出る時にそれをクエンチング組成物中で又はそれを用いてクエンチングされるように強制することを含む。
【0046】
水性クエンチング組成物の組成は有意に異なり得る。しかし典型的には、クエンチング組成物は少なくとも液体状態における水を含むであろう。1種もしくはそれより多い適した塩の水溶液をクエンチング組成物として用いることもできる。クエンチング組成物の形成において用いられ得る塩の制限ではない例には、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム及び水素化ホウ素ナトリウムが含まれる。クエンチング組成物のための温度も変わり得るが、典型的には0〜30℃の範囲内であろう。水中の1種もしくはそれより多い適した塩から成るクエンチング組成物の濃度も、変動を免れない。実際の実施において、臭素化
反応領域から取り出された後の反応混合物中にいくらかの残留臭素が存在する状況では、臭素をブロミドイオンに還元するために、水中の亜硫酸ナトリウムの1%〜10%溶液の使用がクエンチング組成物として用いるのに簡便であることが見出され、ブロミドイオンは次いで水相中で運び去られる。しかしながら、他の濃度を用いることができる。好ましくは、クエンチング液は水のみから成る。
【0047】
クエンチングの後の生成物の回収及び仕上げは、クエンチングされた反応塊を落ち着かせ、溶質として臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を含有する有機相及び水相を含有する2−相反応塊を得ることにより行なうことができる。水相をデカンテーションし、残る有機相からその溶媒成分をストリッピング除去する。有機相を煮沸水中にポンプ輸送することにより、このストリッピングを行なうのが最も簡便である。溶媒を蒸発分離する時、臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物は沈殿を形成する。いずれの液体−固体分離法、例えば濾過、遠心分離によっても沈殿を回収することができる。回収される沈殿して洗浄された生成物を、次いで典型的には約110℃〜約150℃の範囲内の温度で乾燥する。
【0048】
所望なら、HBrを含有するクエンチング操作からの水相を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム又は水酸化カルシウムのような金属塩基で処理し、対応する金属ブロミド塩を与えることができる。好ましくは、クエンチング操作からの水相を、連続もしくはバッチ運転において蒸気ストリッピングして(steamed stripped)微量の溶媒を除去し、それにより使用又は販売に適した臭化水素酸水溶液を与えることができる。
【0049】
上記の方法で適切に実施されると、本発明の方法により製造される臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは約600ppm(重量/重量)より多くない、そして好ましくは約300ppm(重量/重量)もしくはそれ未満のブロモベンゼン不純物を含有するであろう。
【0050】
反応領域への供給材料として用いられる成分
バッチ/半−バッチ運転様式及び連続運転様式の両方において、種々の材料を成分(i)、(ii)及び(iii)として用いることができる。例えばすべてのそのような運転様式において、臭素化剤として臭素元素を用いるのが好ましい。臭素は高質のものでなければならない。必要であるか又は望ましい場合、臭素の精製法は、本文書の最初に言及した共同所有される特許の多くに記載されている。しかしながら、本発明の実施において他の臭素化剤を用いることができる。用いられ得る既知の臭素化剤の中に、塩化臭素、N−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモヒダントイン及びピリジニウムトリブロミドがある。
【0051】
臭素化されて本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを生成するアニオン性スチレン性ポリマーは、スチレンのホモポリマー又はスチレンと他のビニル芳香族モノマーのコポリマーである。アニオン性スチレン性ポリマーを形成することができる適したビニル芳香族モノマーの中に、式:
【0052】
【数2】

【0053】
を有するものがあり、式中、Rは水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Arは6〜10個の炭素原子の芳香族基(アルキル−環置換された芳香族基を含む
)である。アニオン性ポリスチレン自身は好ましいスチレン性ポリマーである。しかしながら、少なくとも50重量パーセントそしてより望ましくは少なくとも80重量パーセントのスチレン及び/又はアルファ−メチルスチレンから作られ、残りは環置換されたスチレンモノマーに由来するもののような他のアニオン性スチレン性ポリマーを用いることができる。かくして本発明の実施において用いられる「アニオン性スチレン性ポリマー」は、1種もしくはそれより多いスチレン性モノマーのアニオン開始重合により生成し、ここでポリマー中の芳香族基の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、そしてより好ましくは本質的に100%が少なくとも1個のオルト位上に水素原子を有し、そのような芳香族基の環系がフェニル基とアルキル−置換されたフェニル基の組み合わせから成る場合、すべてのそのようなフェニル基の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、そしてより好ましくは本質的に100%が各オルト位上に水素原子を有する。本発明のスチレン性ポリマーの製造に用いられ得る適したモノマーの制限ではない例は、スチレン、アルファ−メチルスチレン、オルト−メチルスチレン、メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パラ−エチルスチレン、イソプロペニルトルエン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ビニルビフェニル、ビニルアントラセン、ジメチルスレチン及びtert−ブチルスチレンである。分子内に非縮合ベンゼン環を有するもの(すなわち縮合環構造がないもの)が好ましい。
【0054】
かくして本発明において用いられるスチレン性ポリマーは、典型的にはアニオン重合法により製造されるポリマーである。優れたアニオン性ポリスチレンの製造方法は、共同所有される米国特許第6,657,028号明細書に記載されている。
【0055】
2種もしくはそれより多いアニオン性スチレン性ポリマーのブレンド又は混合物を、本発明の臭素化法を用いて臭素化することもできる。そのようなブレンド又は混合物は、アニオン開始重合により製造される2種もしくはそれより多い異なるアニオン性スチレン性ポリマーから成ることができる。主にアニオン開始重合により製造される少なくとも1種のスチレン性ポリマー及び少量のフリーラジカル開始重合により製造される少なくとも1種のスチレン性ポリマーを含むブレンド又は混合物も、本発明の方法により臭素化されるべきポリマー基質として用いることができるが、そのようなブレンド又は混合物の使用は好ましくない。
【0056】
多様な適した有機溶媒のいずれも、スチレン性ポリマーのための溶媒として用いることができる。かくして例えばジクロロメタン、ジブロモメタン、ブロモクロロメタン、ブロモトリクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジブロモエタン、1,1−ジブロモエタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2−ジブロモプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、1−ブロモペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1−ブロモ−2−メチルブタン、1−ブロモヘキサン、1−ブロモヘプタン、ブロモシクロヘキサン及びそれらの液体異性体、同族体又は類似物のような物質を用いることができる。2種もしくはそれより多いそのような化合物の液体混合物を用いることができる。好ましい溶媒は、ジクロロメタン、ジブロモメタン及び1,2−ジクロロエタンである。ブロモクロロメタンは特に好ましい溶媒である。
【0057】
約2000〜約10,000ppmの範囲内の重量平均分子量を有するアニオン性スチレン性ポリマーの場合、好ましくは、用いられるアニオン性スチレン性ポリマー溶液は溶媒のキログラム当たり250〜700グラムの範囲内のスチレン性ポリマーを含有するであろう。もっと高い分子量のアニオン性スチレン性ポリマーの場合、溶液は、そのようなポリマー溶液の増加する粘度を補償するためにもっと希薄でなければならない。
【0058】
アニオン性スチレン性ポリマーは、反応混合物の形成における使用の前に溶媒中に予備溶解される。バッチ又は半−バッチ運転における反応領域は、供給の最初の段階に優れた熱伝達及び十分な混合を与えるために、反応混合物の成分の供給の開始の前に適した量の有機溶媒を含有していなければならない。連続運転様式において、必要なら追加の溶媒の分離された流れを反応領域中に供給することができる。
【0059】
反応混合物の形成において用いられる触媒は、ハライド原子が臭素又は塩素原子である少なくとも1種のアルミニウムハライド触媒である。反応混合物の形成において非常に有用である1つのそのような触媒は、臭素ならびにジブロモメタン及びブロモクロロメタンのようなハロ炭化水素溶媒中におけるその優れた安定性の故に、三臭化アルミニウムである。反応混合物の形成において用いられ得る臭素原子及び塩素原子の両方を含有するアルミニウムハライドにはアルミニウムブロミドジクロリド(AlBrCl,Reg.No.60284−44−8)、アルミニウムジブロミドクロリド(AlBrCl,Reg.No.60284−43−7)、アルミニウムブロミドクロリド(AlBrCl,Reg.No.380907−74−4)及びジ−μ−ブロモテトラクロロジアルミニウム(AlBrCl,Reg.No.162719−12−2)のような物質が含まれる。反応混合物に供給される触媒として三塩化アルミニウムを用いることもできる。本発明の態様のすべてにおいて、反応混合物に供給される好ましい触媒は、三臭化アルミニウムである。
【0060】
バッチもしくは連続臭素化に適した触媒溶液は、温かい(40〜50℃)液体臭素中で固体AlCl(臭素中に可溶性でない物質)及びガス状HBrを合わせることにより、容易に調製され得る。急速なハロゲン交換は、可溶性ブロモアルミニウムハライド触媒及びHClを生ずる。この型の触媒の使用(HClが一緒に存在するか又はしない)は特に好ましい。この型の触媒の使用の利点は、活性臭素化種(ブロモニウムイオン、Brであると思われる)が予備生成し、かくしてアニオン性スチレン性ポリマーの臭素化が非常に迅速に且つ高い選択性で開始されることである。
【0061】
ブロモベンゼンに関する生成物のサンプリング及び分析法
臭素化アニオン性スチレン性ポリマーのブロモベンゼン含有率の決定のための他の方法を用いることができるが、臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが本発明の揮発性ブロモベンゼン含有率の規定を満たすかどうかの決定における使用のために以下の生成物のサンプリング及び分析法の使用が薦められる方法である。その方法を、例えば製造されるすべての量の生成物について用いることは、必要条件ではない。その方法は、ブロモベンゼンの決定に対する必要又は要求が起こった場合のみに使用するためのものである。
【0062】
生成物のサンプリング及び分析法は以下の通りである。
プロトンNMRスペクトルによりペンタブロモベンゼン及びヘキサブロモベンゼンを測定することはできないが、幸運なことに、より揮発性且つ望ましくない臭いジブロモ、トリブロモ及びテトラブロモ種をこの方法の使用により分析することができる。プロトンNMRスペクトルは、二硫化炭素/ジクロロメタン−d中の約10重量%の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの溶液に関してBruker DPX 400 MHZ測定器を用いて取得される(32走査及び5秒パルス遅延(delay))。分析の前に、トリフルオロ酢酸(1滴)をNMR管中の各溶液中に溶解する。CDClピーク(三重項)を5.3ppmに設定し、スペクトルをベースライン修正して臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの芳香族プロトンからの寄与を除去した後、以下のシグナルを積分する:
1,2,4,5−テトラブロモベンゼンに関する8.1ppm近辺の一重項
1,2,4−トリブロモベンゼンに関する7.8ppm近辺の二重項
1,4−ジブロモベンゼンに関する7.5ppm近辺の一重項
臭素化アニオン性スチレン性ポリマー脂肪族領域(0.4〜3.5ppm)及び芳香族領
域(5.6〜8.2ppm)の積分も得る。これらの積分及び問題の成分の分子量を用い、各成分の量を算出する。1,2,4,5−テトラブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン及び1,4−ジブロモベンゼンの量の合計は、本発明で用いられる臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの揮発性ブロモベンゼン含有率を規定する。
【0063】
触媒の割り当て
最適の結果を達成するために、用いられるアニオン性スチレン性ポリマーに関する約0.8モルパーセントもしくはそれ未満の範囲内の本発明の触媒の割合は、例えば触媒の組成、達成されるべき最適の結果及び用いられているアニオン性スチレン性ポリマーの組成及びモノマーの式量に依存していくらか変わるであろう。触媒としてAlClを加え、104ダルトンのモノマー式量を有するアニオン性ポリスチレンを用い、今日までの結果に基づくと、臭素化されているアニオン性ポリスチレンに基づいて約0.6〜約0.8モル%の範囲内のAlClの割合が薦められる。これに関し、下記の表1中のより完全なデータから抽出される表A中のデータに注目されたく、その抽出データは、AlBr対アニオン性ポリスチレン(APS)のモル比の効果に焦点を当てている。他の状況において比較的簡単な実験室の臭素化実験を用い、本発明を実施する時の結果を最適化することができる。
【0064】
【表1】

【0065】
特に、表Aにおいて示される、本発明に従ってより低い触媒負荷において達成される臭素化APS生成物に関する合計ジブロモ−、トリブロモ−及びテトラブロモ−ベンゼン含有率における大きな低下(1280ppmから約250ppm及びそれ未満に)に注目されたい。下記の表1において報告される研究はさらに、AlBrを用い、実施例2のAPSの連続的臭素化のための触媒レベルが、約1℃の温度において8分のCSTR(連続攪拌タンク反応器)平均滞留時間を用いて高い臭素化(約68重量%)を達成するのに十分であることを示す。下記の表1に示されるより完全なデータにより、AlBrのレベルを実施例3のレベルまで低下させた場合、臭素化は約61重量%に制限されたが、生成物の熱安定性は高いままでありながらブロモベンゼン生成はほとんど除去された(19ppm)ことも示される。かくしてこれらの結果は、連続的臭素化及び適切な低下した触媒レベルの使用の組み合わせが、経費を下げ且つブロモベンゼン不純物生成を有意に減少させることによって質を向上させる両方の機会を与えることを示している。
【0066】
ブロモベンゼン生成における減少は、アルミニウムハライド触媒レベルを低下させる場合にAPSのバッチ臭素化に関しても見出された。実施例4は、参照実施例Bの約半分のレベルのAlClを使用し、生成物は約半分の量のブロモベンゼン不純物を有した(表2を参照されたい)。触媒(AlBr)を臭素供給流中に溶解して反応に供給した実施例5の生成物の場合に、もっと大きなブロモベンゼンの減少が観察された。このバッチ反応への触媒の計量導入は、同等の連続反応(実施例1)と同じレベルのブロモベンゼン生成を生ずる。
【0067】
本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー
本発明のプロセス技術の使用により、新規な臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを製造することができる。低下したブロモベンゼン含有率(約600ppmより高くなく、そして好ましくは約300ppm又はそれ未満)に加え、本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは他の望ましい特性及び性質を有する。例えば、約60〜約71重量%の範囲内の臭素含有率及び低いブロモベンゼン含有率の他に、本発明の新規な臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは非常に望ましい熱的性質及び色特性を有する。これらのポリマーは高いメルトフローインデックスも有することができる。本発明の好ましい新規な臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは、オルト−置換臭素原子を有する芳香環のパーセンテージも低下している。より好ましい本発明の新規な臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは、(A)300ppmもしくはそれ未満のHBr(さらに好ましくは200ppmのHBrもしくはそれ未満そしてさらにもっと好ましくは125ppmのHBrもしくはそれ未満)の320℃ Thermal Stability Testにおける熱安定性あるいは(B)15又はそれ未満(さらに好ましくは12又はそれ未満)のHunter試験による熱ΔE色値も有する。さらにもっと好ましい本発明の新規な臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは、これらの(A)及び(B)の性質の両方も有する。
【0068】
望ましくは、本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーのGPC重量平均分子量は、約10,000〜約30,000の範囲内、そしてより好ましくは約10,000〜約20,000の範囲内である。
【0069】
本発明の特に好ましい臭素化アニオン性スチレン性ポリマーそして特別に本発明の臭素化アニオン性ポリスチレンは、約60〜約71重量%の範囲内の臭素含有率、約600ppmより高くない、そしてより好ましくは約300ppmもしくはそれ未満のブロモベンゼン含有率及びさらに以下の性質:
1)15又はそれ未満の熱ΔE色値;
2)320℃ Thermal Stability Testにおける125ppm又はそれ未満のHBrの熱安定性
の少なくとも1つならびに場合により:
3)約10,000〜約15,000の範囲内のGPC数平均分子量及び約1.25又はそれ未満の多分散性;
4)5又はそれ未満、そしてさらに好ましくは3もしくはそれ未満の初期ΔE色値(initial ΔE color value)
の少なくとも1つあるいは両方を有する。1)、2)、3)及び4)の追加の性質のいずれか3つ又は4つすべてを有する本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーそして特別に本発明の臭素化アニオン性ポリスチレンは、より好ましい。
【0070】
本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーのすべての中で、より好ましいのは臭素化アニオン性ポリスチレンポリマーである。
【0071】
図面への言及
ここで、本発明の方法を実施するための典型的な好ましい系を略図で示す図面の図に言及する。これらの図は、描かれる系のみに本発明を制限することを意図していない。
【0072】
縮尺通りではない図1は、予備形成される混合供給材料としての臭素化剤とアルミニウムハライド触媒の混合物及び他の供給材料としての溶媒中のアニオン性スチレン性ポリマーの溶液を供給するために適応させられた典型的な供給系を略図的に描いている。描かれている形態において、供給系10は基本的にフルオロポリマーから作られる環状混合及び注入装置であり、それは支持のためのガラスで裏打ちされた浸漬管(dip tube)12内に入れられている。浸漬管12は、典型的には外部及び内部がガラスでコーティングされた炭素鋼から作られ、かくして供給材料から形成される臭素化反応混合物中への下方浸漬に適している。導管14及び16が浸漬管10の内部内に配置され、その長さのほとんどに沿って延びている。導管14は、その下端部分でより小さい直径の導管22に圧縮される。導管16は、その下部25においてプラグ18内で内側に曲がり、導管18の末端部分は、導管22からの流れが向けられている混合室20中に開口する。プラグ18は、浸漬管12の内径と比べたその外径の寸法のせいで、又はプラグ18の外部を回って配置される多数の環状シール環(sealing ring)(示されていない)の使用により、浸漬管12の内壁内にきつく固定される。いずれの場合も、かくして臭素化反応混合物は浸漬管12の内部空間26内に上方に通過することが妨げられる。混合室20は、導管22及び25の供給のための流入開口部及び軸方向に配置された排出導管28中への出口開口部を除いて、密封された閉鎖容器(sealed enclosure)である。排出導管28は、それが混合室20の最下部中にねじ込み取り付けされるように、典型的にはその外部の上方においてねじ山が切られている(threaded)。
【0073】
運転において、臭素化剤とアルミニウムハライド触媒の予備形成混合物は導管14及び22を介して流れ、アニオン性スチレン性ポリマーの溶液は導管16及び25を介して流れる。混合室20において、臭素化剤及び触媒は下への軸方向で移動しており、アニオン性スチレン性ポリマー溶液は内への半径方向に移動している。かくして供給材料は混合室20中で垂直に交差し且つ衝突し、次いで1秒もしくはそれ未満内に得られる混合物は排出導管28及び出口オリフィス30を介して臭素化反応混合物中に押出される。
【0074】
典型的には、導管14及び16は3/4−インチ外径のフルオロポリマーチュービング、例えば5/8−インチの内径を有するTeflon ポリマーチュービングで作られる。導管22及び25、プラグ18も、典型的にはフルオロポリマーで作られる。導管22は、典型的には0.466インチの内径を有する。導管25は、典型的には0.3125インチの内径を有する。典型的には、排出導管28は0.375−インチの内径を有する。図1に描かれる形態において、プラグ18及びその中の排出口28は、浸漬管12の最下の縁より約1/4インチ下まで延びている。略図的に描かれる図1の供給系の寸法は、例えば運転の規模に依存して変わり得る。
【0075】
3500のGPC数平均分子量を有するアニオン性ポリスチレンの10%溶液に関する1714キログラム/時の供給速度及び0.44重量%のAlBrを含有する臭素の712kg/時の供給速度の場合の典型的なプラント規模運転において、混合室20における混合物形成の滞留時間は約10−4秒である。
【0076】
図2の工程系統図は、本発明に従う連続法を実施するために用いられ得る系の1つの型を略図的に描いている。基本的に系は、ループ型反応器40、HBr共生成物を含む反応混合物を、反応器40を介して循環させるためのポンプ42、循環する反応混合物の一部を反応器40から受け取り、そのような内容物をクエンチング容器(示されていない)に輸送するための引き取りライン44、インジェクター43及びインジェクター45から成る二重注入系、間接的熱交換器46及び静電ミキサー48から成る。描かれている形態において、熱交換器46は、ポンプ42の作用により発生する熱ならびに発熱臭素化反応からの熱を除去するために、インジェクター43及び45から上流且つポンプ42から下流に配置されている。必要なら、反応器40に関して他のいずれかの適した場所に熱交換器46を置くこともできる。ループの周りの1つより多い位置において熱を除去するために、1つより多いそのような熱交換器を反応器40と一緒に用いることもできる。熱交換器46には冷却水及び/又はエチレングリコールのような適した熱を吸収する液体の流れが備えられる。
【0077】
描かれている通り、インジェクター43と45は軸方向で向かい合って並んでいる。図2の線図中には示されていないが、インジェクター43と45のオリフィスは互いから離れており、これらのそれぞれのインジェクターの内容物は互いに向かって直接且つ反応器40を介して流れる反応混合物中に実質的に直角において押出される。そのような配置は、インジェクターから注入される内容物及び反応器を介して流れる反応混合物の間の非常に迅速な接触を保証する。これは、今度は臭素化反応の非常に迅速な開始を保証する。
【0078】
引取りライン44は、描かれている通り、循環する反応混合物の一部を反応器40から連続的に取り出す。引き取りライン44の内容物は、典型的にはクエンチング液を含有する容器(示されていない)に輸送され、且つその中に排出され、クエンチング液はすぐに触媒を不活性化する。
【0079】
インジェクター43は適した溶媒中のアニオン性スチレン性ポリマーの溶液を受け取り且つ排出するが、インジェクター45は臭素のような臭素化剤と三臭化アルミニウムのような触媒の混合物を受け取り且つ排出する。望ましいなら、3つの注入される流れの間の接触が迅速に起こり、かくしてスチレン性ポリマーの臭素化の迅速な開始を生ずるように、3個のインジェクター(示されていない)、アニオン性スチレン性ポリマーの溶液の注入のための1つ、臭素化剤(溶媒又は希釈剤を含むかもしくは含まない)の注入のための他のもの及び触媒(溶媒又は希釈剤を含むかもしくは含まない)の注入のための第3のものを反応器40の回りに配置することができる。そのような3−インジェクター系において、3個のインジェクターは互いに関していずれの配置にあることもでき、但しインジェクターから注入される内容物は迅速に、好ましくは大体数秒以内に互いと接触する。1つのそのような3インジェクター配置は、3個のインジェクターのそれぞれの軸を同じ平面内に、且つ約120の間隔で放射状に離して反応器40の回りにインジェクターを配置することを含む。
【0080】
図2の系は、典型的には45psig近辺の圧力で運転される。フルオロポリマーから二次加工される比較的大きな直径の管状圧抜きドラム(pressure relief
drum)47は、反応混合物の流れがドラム47の上端中に入り且つその下端から出て通過するように、反応器40のループ中に直立位置で、例えば静電ミキサー48及びポンプ42の位置から下流に(示されている通り)配置される。ドラム47は、その末端における流入及び流出口(反応混合物の流入及び流出のため)ならびにその上端近くの横口を除いて密閉されており、横口は、ドラム内における圧力低下の故に反応混合物から逃げる、反応混合物中に連行されている臭化水素ガス(HBr)が横口を介してパージライン49中に出るのを可能にし、パージライン49は、ライン49を介してドラム47から出るガス流からHBrを吸収するための液体を含有するスクラバー(示されていない)に通じる。
【0081】
図3中に略図的に描かれる本発明の好ましい特徴は、予期に反して、図2に略図的に示されるようにHBrをループ−型反応系からパージすることが必要ではないことの発見である。図3に描かれる系は、ドラム47及びパージライン49がないことを除いて、図2の系と同じである。約20〜約60、そして好ましくは約45psigの大きさの高められた圧力において図3の系を運転する場合、生成するHBr共生成物のすべては液体反応混合物中に保持され得る。これは、分離されたHBrスクラバーに対する必要性を系全体から取り除くのみでなく、さらにHBr中の臭素値のすべてを反応混合物のクエンチング水溶液から回収することができ、かくしてそのような臭素値の回収を簡単にし且つその経費を下げるという利点を有する。さらに、保持されるHBrは反応混合物の粘度を低下させることが観察された。そのような低下した粘度は、臭素化法をより少ない溶媒で運転することを可能にするか、又は同じレベルの溶媒で適度により高い分子量のアニオン性スチレン性ポリマーを用いることを可能にする。
【0082】
臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの使用
本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを種々のポリマー材料、例えば熱可塑性及び熱硬化性ポリマー材料ならびに樹脂のための難燃剤として用いることができる。本発明に従って難燃化され得るポリマーの重量平均分子量は、低分子量ポリマーから非常に高い分子量のポリマーまで、広く変わり得る。本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを用いて難燃化され得る種々の熱可塑性又は熱硬化性ポリマーの製造方法は、当該技術分野における通常の熟練者に既知である。そのような事に慣れていないかも知れない他の者は、そのような主題について存在する広範囲の文献を参照するべきである。
【0083】
好ましくは、本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは、種々の熱可塑性ポリマーのための添加難燃剤(additive flame retardants)として用いられる。かくして本発明の態様の中に、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー及び難燃剤量の(flame retardant quantity of)少なくとも1種の本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを含んでなる難燃性組成物がある。
【0084】
本発明のさらなる態様に従って本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが一緒に配合され得る特定の熱可塑性樹脂には、特にガラス繊維のような強化充填剤を用いて充填又は強化された場合のポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、これらの2種もしくはそれより多くのブレンド又は混合物ならびに類似の共重合熱可塑性ポリエステルが含まれる。好ましい熱可塑性ポリエステルはポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートである。ポリアミド熱可塑性樹脂、例えばポリアミド 6、ポリアミド 6,6、ポリアミド 12なども、やはり好ましくはガラス充填された場合、同様の方法で有効に難燃化され得る。本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの添加により有効に難燃化され得る他の熱可塑性ポリマーにはスチレン性ポリマー、耐衝撃性ポリスチレン、結晶ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、MABS、SAN、芳香族ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル及びポリマーブレンド、例えば芳香族ポリカーボネート−ABSブレンド、ポリフェニレンエーテル−ポリスチレンブレンド及び類似の物質が含まれるが、これらに限られない。少なくとも1種の本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの使用により有効に難燃化され得る熱可塑性ポリマーの1つの群は、(1)熱可塑性スチレン性ポリマー、(2)熱可塑性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー、(3)熱可塑性ポリエステル又は(4)熱可塑性ポリアミドである。難燃性相乗剤(flame retardant synergists)、酸化防止剤、UV安定剤、顔料、耐衝撃性改良剤、充填剤、酸掃去剤、発泡剤などのような通常の添加剤は適宜、調製物と共に含まれることができる。本発明の好ましいポリマーブレンドは、難燃性相乗剤又はガラス繊維充填剤もしくは強化剤を含有し、そして最も好ましくは相乗剤及び強化繊維及び/又は充填剤の両方を含有する。
【0085】
本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー難燃剤は難燃剤量で用いられ、それは典型的には約5〜約25重量%の範囲内であり、重量%は熱可塑性ポリマー調製物又はブレンドの合計重量に基づく。ガラス繊維のような強化充填剤の量は、用いられる場合、典型的には完成組成物の合計重量に基づいて最高で約50重量%の範囲内であろう。三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム、酸化鉄、ホウ酸亜鉛又は類似の相乗剤のような難燃性相乗剤の量は、用いられる場合、一般に完成組成物の合計重量に基づいて最高で約12重量%の範囲内であろう。手近な特定の状況下で必要又は望ましいと思われる時は常に、前記の割合の範囲からの逸脱が許され得、そのような逸脱は本発明の範囲及び意図の範囲内である。
【0086】
基質熱可塑性ポリマーを除く成分が適した相対的な割合にあるが、より少ない基質ポリ
マーの量において配合されるマスターバッチ組成物も本発明の範囲内である。かくして本発明は、例えば1:99〜70:30の範囲内の重量比(基質ポリマー:臭素化ポリスチレン)で本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー(好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレン)が一緒に配合された少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、例えばポリアルキレンテレフタレート又はナイロンポリマー又は耐衝撃性ポリスチレンを含んでなる組成物を含む。そのようなマスターバッチブレンドは、充填剤又は強化繊維及び/又は少なくとも1種の難燃性相乗剤、例えば酸化鉄、ホウ酸亜鉛又は好ましくは酸化アンチモン相乗剤、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムもしくはアンチモン酸カリウムも、含有する必要はないが含有することができる。用いられ得る強化剤又は充填剤の典型的な例には、低−アルカリE−ガラス、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラス球もしくはマイクロバルーン、ホイスカー、タルク、ウォラストナイト、カオリン、チョーク、焼成カオリン及び類似の物質が含まれる。望ましければ、サイズ剤をそのような強化剤又は充填剤と一緒に用いることができる。複数の適したガラス−充填ポリアルキレンテレフタレート又はナイロン成形組成物が一般市場で入手可能であり、これらを本発明の組成物の調製において用いることができる。
【0087】
本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー及び相乗剤から成る添加剤ブレンド、例えば75重量部の臭素化アニオン性ポリスチレン及び25重量部の相乗剤、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム、酸化鉄、ホウ酸亜鉛又は類似の相乗剤のブレンドも本発明により提供される。典型的には、そのようなブレンドは約70〜約98重量部の範囲内の臭素化アニオン性ポリスチレン及び約30〜約2重量部の範囲内の相乗剤を含有し、2つの成分の合計は100重量部であろう。適した量の他の適した添加剤成分も、そのような添加剤ブレンド中に含まれることができる。
【0088】
そのような本発明の追加の組成物を構成するブレンド又は調製物を調製するために、種々の既知の方法を用いることができる。例えばポリアルキレンテレフタレートポリマー又はナイロンポリマー及び臭素化アニオン性スチレン性ポリマー、例えば臭素化アニオン性ポリスチレン及び完成ブレンド中に導入されるべき他のいずれかの成分(components)又は成分(ingredients)を粉末形態で一緒に配合し、その後に押出し、圧縮又は射出成形により成形することができる。同様に、Banburyミキサー、Brabenderミキサー、ロールミル、混練機又は他の類似の混合装置中で成分を一緒に混合し、次いで押出し及び続く顆粒もしくはペレットへの微粉砕によるか又は他の既知の方法によるように、所望の形態又は形状に成形することができる。
【0089】
本発明の好ましい熱可塑性組成物は、少なくともUL 94 V2試験に合格する1.6及び3.2ミリメートルの厚さ(1/16及び1/8−インチの厚さ)の成形試験片(molded specimens)を成形する可能性を有する。
【0090】
分析法
本発明のポリマーの特性の検定において用いるために、既知の分析法を使用するか又は応用することができる。しかしながら、一貫性のために、以下の方法を用いるべきである。
【0091】
合計臭素含有率。臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは、テトラヒドロフラン(THF)のような溶媒中で優れた、又は少なくとも満足すべき溶解性を有するので、臭素化アニオン性スチレン性ポリマーに関する合計臭素含有率の決定は、通常のX−線蛍光法の使用により簡単に行なわれる。分析される試料は希薄な試料、例えば60mLのTHF中の0.1±0.05gの臭素化ポリスチレンである。XRF分光計は、Phillips PW1480 Spectrometerであることができる。キャリブレーション標準として、THF中のブロモベンゼンの標準化された溶液を用いる。本明細書に記載され、且つ実施例において報告される全臭素値は、すべてXRF分析法に基づく。
【0092】
Hunter溶液色値試験。本発明の臭素化ポリマーの色の属性(color attributes)を決定するために、クロロベンゼンのような入手の容易な溶媒中に臭素化アニオン性スチレン性ポリマーを溶解できることをこの場合も利用する。用いられる分析法は非常に直截的である。5g±0.1gの臭素化ポリスチレンを50mLの遠心管中に量りこむ。管に45g±0.1gのクロロベンゼンも加える。管を閉め、手首作用の振盪器(wrist action shaker)上で1時間振盪させる。1時間の振盪時間の後、非溶解固体に関して溶液を調べる。曇りが存在したら、4000rpmで10分間溶液を遠心する。溶液がまだ透明でなかったら、さらに10分間遠心する。溶液が曇ったままであったら、正確な測定ができないのでそれを捨てなければならない。しかしながら、ほとんどの場合はこうなのだが、透明な溶液が得られたら、それをHunterLab ColorQuest Sphere Spectrocolorimeterにおける試験に供する。20−mmの透過長を有する透過セルを用いる。色彩計を「デルタE−lab」に設定し、ΔEとして色を報告し、且つ「L」、「a」及び「b」に関する色値を与える。生成物の色を、Hunter L、a及びbスケールを用い、式:
【0093】
【数3】

【0094】
に従って、クロロベンゼンに対するクロロベンゼン中の10重量%濃度の生成物に関する合計の色差、ΔEとして決定する。
【0095】
320 C 熱色試験。試料の熱色の決定のために、320 C Thermal Stability Test装置を用いる。試料の2.50±0.01g分を4つの新しい清浄な20x150mmの試験管のそれぞれの中に入れる。ネオプレン栓及びVitonフルオロエラストマーチュービングを用いて各試験管を窒素パージラインに連結し、試験管からの流出ガスを苛性アルカリ水溶液スクラバー中に排気する。0.5 SCFHにおいて一定に窒素パージしながら、試験管を溶融塩浴(51.3% KNO/48.7% NaNO)中で320 Cにおいて15分間加熱し、続いて周囲温度に5分間置く。次いで各試験管からの残留物を合わせ、溶液色測定のために十分な試料を与える。残留物の5g±0.1g分を、クロロベンゼンの45g±0.1g分と一緒に50mLの遠心管中に量りこむ。管を閉め、手首作用の振盪器上で1時間振盪させる。1時間の振盪時間の後、非溶解固体に関して溶液を調べる。曇りが存在したら、4000rpmで10分間溶液を遠心する。溶液がまだ透明でなかったら、さらに10分間遠心する。溶液が曇ったままであったら、正確な測定ができないのでそれを捨てなければならない。しかしながら、ほとんどの場合はこうなのだが、透明な溶液が得られたら、それをHunterLab ColorQuest Sphere Spectrocolorimeterにおける試験に供する。20−mmの透過長を有する透過セルを用いる。色彩計を「デルタE−lab」に設定し、ΔEとして色を報告し、且つ「L」、「a」及び「b」に関する色値を与える。生成物の色を、Hunter L、a及びbスケールを用い、式:
【0096】
【数4】

【0097】
に従って、クロロベンゼンに対するクロロベンゼン中の10重量%濃度の生成物に関する合計の色差、ΔEとして決定する。
【0098】
DSC値。TA Instrument DSC Model 2920を用いてDSC値を得る。窒素下に、10℃/分において25℃から400℃まで試料を加熱する。
【0099】
熱重量分析。本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの熱的挙動を調べるために、熱重量分析(TGA)も用いる。TA Instrument Thermogravimetric Analyzerの使用によりTGA値を得る。各試料をPt皿上で、10℃/分において25℃から約600℃まで50〜60mL/分の窒素流を用いて加熱する。
【0100】
320℃熱安定性試験。試料の熱安定性を決定し、腐蝕の可能性を評価するために、320℃熱安定性試験を用いる。試験法は、用いられる温度が300℃ではなくて320℃であることを除いて、本質的に米国特許第5,637,650号明細書に記載されている通りである。より高い温度を用いる理由は、本発明のポリマーが300℃で測定可能な量のHBrを発生しないことである。かくしてこの試験の実施において、各試料を二重に試験する。2.00±0.01gの試料を新しい清浄な20x150mmの試験管中に入れる。ネオプレン栓及びVitonフルオロエラストマーチュービングを用いて試験管を窒素パージラインに連結して、試験管からの流出ガスを、それぞれ200mLの0.1N NaOH及び5滴のフェノールフタレインを含有する3個の250−mLの横手フィルターフラスコ(sidearm filter flasks)中の表面下ガス分散フリットに連続的に通過させる。0.5 SCFHにおいて一定に窒素パージしながら、試験管を溶融塩浴(51.3% KNO/48.7% NaNO)中で320℃において15分間加熱し、続いて周囲温度に5分間置く。次いで試料を含有する試験管を清浄な乾燥した試験管と取替え、空の試験管を320℃の塩浴中に入れて装置をさらに10分間窒素でパージする。試験管、チュービング及びガス分散管をすべて脱イオン水で濯ぎ、濯ぎ液を3つの収集フラスコ中の溶液と定量的に合わせる。合わせた溶液を1:1 HNOで酸性化し、自動電位差計型滴定器(Metrohm 670、716、736又は同等のもの)を用いて0.01N AgNOで滴定する。結果を、以下の通りにppmHBr、ppmHCl及びppmHBr当量として計算し:
ppmHBr=(EP 1)(N)(80912)/(試料の重量)
ppmHCl=(EP 2−EP 1)(N)(36461)/(試料の重量)
ppmHBr当量=(EP 2)(N)(80912)/(試料の重量)
ここでEP(x)=終点xに達するのに用いられるAgNOのmLであり;そしてN=AgNOの規定度である。次の分析の前に、窒素を用いてチュービングを十分に乾燥する。それぞれの日に、最初の試料の前に3つの空の清浄な試験管をブランクとして試験し、系中に残留ハロゲン化水素がないことを保証する。
【0101】
NMR分析
臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの揮発性ブロモベンゼン含有率の決定のために、二硫化炭素/ジクロロメタン−d中の約10重量%の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの溶液に関し、Bruker DPX 400 MHZ測定器を用いてプロトンNMRスペクトルを取得する(32走査及び5秒パルス遅延)。分析の前に、NMR管中の各溶液中にトリフルオロ酢酸(1滴)を溶解する。CDClピーク(三重項)を5.3ppmに設定し、スペクトルをベースライン修正して臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの芳香族プロトンからの寄与を除去した後、以下のシグナルを積分する:
1,2,4,5−テトラブロモベンゼンに関する8.1ppm近辺の一重項
1,2,4−トリブロモベンゼンに関する7.8ppm近辺の二重項
1,4−ジブロモベンゼンに関する7.5ppm近辺の一重項
臭素化アニオン性スチレン性ポリマー脂肪族領域(0.4〜3.5ppm)及び芳香族領域(5.6〜8.2ppm)の積分も得る。これらの積分及び問題の成分の分子量を用い
、各成分の量を算出する。1,2,4,5−テトラブロモベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン及び1,4−ジブロモベンゼンの量の合計は、本発明で用いられる臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの揮発性ブロモベンゼン含有率を規定する。
【0102】
ポリマー上の芳香環のオルト臭素化の程度を決定するために、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d中の約20重量%の臭素化ポリスチレンの溶液に関し、Bruker
DPX 400 MHZ測定器を用い、120℃のプローブ温度においてプロトンNMRスペクトルを取得する。通常の処理及びベースライン修正の後、3.8〜2.2ppm及び2.2〜0.9ppmで広いピークの面積を積分する。これらの2つの面積の合計は、末端基及び残留溶媒に関する修正の後、ポリマー繰り返し単位当たりの3つの鎖プロトンを示す。3.8〜2.2ppmの面積は、関連する芳香環が少なくとも1個のオルト−臭素原子を有する鎖メチンプロトンを示す。オルト環臭素化を有するポリマー単位のパーセンテージを、これらの積分から決定する。
【0103】
GPC重量平均分子量
Waters モデル510 HPLCポンプ及び検出器としてWaters Refractive Index Detector,Model 410及びPrecision Detector Light Scattering Detector,Model PD2000を用いて、GPCによりM値を得る。カラムは、Waters,μStyragel,500、10,000及び100,000である。オートサンプラーは、Shimadzu,Model Sil 9Aである。光散乱データの精度を確証するために、ポリスチレン標準(M=185,000)が慣例的に用いられる。用いられる溶媒は、HPLC等級のテトラヒドロフランである。用いられる試験法は、10mLのTHF中に0.015〜0.020gの試料を溶解することを要する。この溶液のアリコートを濾過し、50μLをカラム上に注入する。PD 2000 Light Scattering DetectorのためにPrecision Detectorsにより与えられるソフトウェアを用いて分離を分析する。
【0104】
メルトフローインデックス試験。本発明の臭素化アニオン性スチレン性ポリマーのメルトフローインデックスの決定のために、ASTM Test Method D1238−00の方法及び試験装置を用いる。押出式可塑度計を2.16kgの適用圧力において且つ220℃の温度で運転する。試験において用いられる試料は、試験されているポリマーの正味の改質されない試料である。
【0105】
本明細書で用いられる場合、「APS」はアニオン性ポリスチレンを示し、「BrAPS」は臭素化アニオン性ポリスチレンを示す。「M」という用語は重量平均分子量を意味し、「M」という用語は数平均分子量を意味し、両者とも上記のGPC(光散乱検出器)により決定される。「CSTR」という用語は、連続攪拌タンク反応器を意味する。「BCM」はブロモクロロメタンを示す。
【0106】
以下の実施例は本発明の実施を例示し、本発明の一般的範囲を制限するつもりはない。
【実施例】
【0107】
参照実施例A
この連続的臭素化のために、2つの供給流をガラス反応器の底の中にポンプ輸送した。溶解されたAlBr触媒を含有する臭素流及びBCM中のAPS溶液を、2つの別のポンプを用いて反応器に量り込んだ。反応のために、80−mLの容量のガラスCSTRを用いた。反応器は、外側の断熱真空ジャケット及びグリコールクーラントを循環させるための内側のジャケットを有した。容器は、二軸(dual)Teflonタービン攪拌機(400rpmで運転される)の下部タービン羽根の直下に試薬溶液を送達するために、
底に2つの流入口を有した。上部タービン羽根の直上に位置するオーバーフロー口は、反応混合物が重力によりスプリッターに流れるのを許し、スプリッターは流れを主生成物クエンチングポット(櫂型攪拌機を有する5−Lの完全にジャケットで覆われた丸底フラスコ)又は二次的廃液クエンチングポット(磁気攪拌機を有する2−Lの三角フラスコ)に向けることができた。CSTRからの流出ガスは頭上でFriedrichのコンデンサーを介し、コンデンサーの上部における一定の窒素パージからの助けを用いて苛性アルカリ水溶液スクラバー中に通過した。臭素化の間、光臭素化を最少にするために、室及びフードの光は消され、反応器はアルミニウム箔で包まれた。
【0108】
Teflonポリマー(1/8”)及びVitonポリマー(0.10”,Cole−Parmer,SY−07605−46)の供給ラインを用いて臭素/AlBr及びAPS/BCM溶液をCSTRに送達するために、2つの同じポンプ(Ismatec蠕動ポンプ,Cole−Parmer SY−78017−00)を用いた。CSTRに乾燥BCM(173.7g)を装入し、反応器の内容物を−6℃に冷却することにより、運転を開始した。反応器への臭素溶液(618.2gのBr中の5.44gのAlBr)及びAPS溶液(1350.0gのBCM中の150.0gのAPS,10.0重量%のAPS)の供給を同時に開始し、全運転の間、両方を一定に保持した。平均臭素供給速度は1.90ml/分であり、平均APS供給速度は7.60ml/分であった。運転の最初の30分間、CSTRからのオーバーフロー流は廃液クエンチングポット(530gの5重量%NaSO水溶液を含有する)に向けられた。この時点の後、供給溶液が枯渇するまで(77分間)、定常状態の生成物を集めるために、オーバーフロー流は主クエンチングポット(865gの4重量%NaSO水溶液を含有する)に向けられた。定常状態の運転の間、CSTR温度は+2℃であった。CSTR中の反応塊に関する平均滞留時間は8分であった。主クエンチングポット中の有機相を2−Lの分液ロートに移した。3回の水性の洗浄(それぞれ800g)を用いて残留酸及び塩を除去した。
【0109】
中和された有機相を4−Lの激しく攪拌される熱(98℃)水中にポンプ輸送し、水中の白い微粉砕された固体のスラリを得た。スラリを吸引濾過し、フィルター上で水(3x2L)を用いて固体を濯いだ。窒素パージされたオーブン中で130℃において、湿潤ケークを317.5gの一定の重量まで乾燥した。分析結果を表1にまとめる。
【0110】
実施例1
この本発明の実施例は、AlBr触媒の量を5.44g(APSに基づいて1.42モル%)から2.76g(0.72モル%)に減少させることを除いて、参照実施例Aに記載した通りに行なわれた。定常状態の生成物に関する分析を表1にまとめる。
【0111】
実施例2
この本発明の実施例も、AlBr触媒の量を5.44g(APSに基づいて1.42モル%)から1.80g(0.47モル%)に減少させることを除いて、参照実施例Aに記載した通りに行なわれた。定常状態の生成物に関する分析を表1にまとめる。
【0112】
実施例3
この本発明の実施例は、AlBr触媒の量を5.44g(APSに基づいて1.42モル%)から1.36g(0.35モル%)に減少させることを除いて、参照実施例Aに記載した通りに行なわれた。CSTR中における臭素の不完全な反応は、過剰なBrの中和のために、主クエンチング容器中でより多くの亜硫酸ナトリウム溶液(8.0重量%の1300g)を用いることを必要としたが、生成物単離法の他の部分は変えなかった。定常状態の生成物に関する分析を表1にまとめる。
【0113】
【表2】

【0114】
実施例Aは、短い反応時間及び低い反応温度が用いられる方法の利点を示す。実施例1、2及び3は、連続法において、短い反応時間及び低い反応温度とともに低下したアルミニウムハライド触媒レベルを用いる本発明に従うさらなる利点を示す。特に表1からわかる通り、これらの特徴の組み合わせは、製造される臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物のブロモベンゼン含有率を実質的に低下させた。熱HBr及び熱色のような熱的性質もさらに向上した。
【0115】
参照実施例B
このバッチ臭素化において、循環するグリコール浴により−6℃に冷却された1−L,5つ口のジャケットで覆われたガラス反応フラスコ中において、塩化アルミニウム(Aldrich)の2.33g(17.5ミリモル,1.43モル%)分を500.2gの乾燥(<15ppmの水)BCM中に懸濁させた。埋込Teflon底バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機及びTeflonバナナ−羽根櫂、Friedrichのコンデンサー(グリコール冷却)及びサーモウェルを備えた。流入ガスがフラスコから苛性アルカリスクラバーに移動するのを助けるために、コンデンサーからの排気ライン上に乾燥窒素の一定の流れを保持した。乾燥BCM中のアニオン性ポリスチレンの40.5重量%溶液の315.0g(127.6gのAPS.1.225/ナノモル)分を、ドライボックス中の500−mLのメスシリンダーに装入した。次いでAPS溶液をシリンダーから反応フラスコ上に搭載されたジャケットで覆われたグリコール−冷却ガラス混合継手にポンプ輸送するように、メスシリンダーを組み立てた。臭素(529.0g,3.310モル,2.70当量)を250−mLのメスシリンダーに装入し、臭素をAPS溶液と同じ混合継手にポンプ輸送するように組み立てた。両方の流れをミキサーにより別に冷却してから、装置の底で合わせ、臭素化フラスコ中に滴下した。フードの光を消し、フラスコ及び混合継手をAl箔で覆うことにより、光−開始脂肪族臭素化から反応混合物を保護した。両方の供給を同時に開始し、両方とも61分内に完了した。APS溶液供給系のために99.1gの乾燥BCMの濯ぎを用いて、反応フラスコへのポリマーの完全な転移を保証し、臭素供給系を介して窒素をフラッシングして臭素の定量的な転移を与えた。添加及び続く15分の反応時間の間ずっと、反応温度を−2℃〜+1℃に保持した(反応器頭上の窒素パージを用いて)。40gの水の添加により触媒を不活性化した。次いで10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液の26.5g分を加え、残留臭素の除去を保証した。有機相を分離し、次いで800mL分の水、希苛性アルカリ及び水で洗浄した。洗浄された有機相から、激しく攪拌される熱(98℃)水の添加により生成物を回収した。熱水から溶媒を蒸留し、水中の臭素化ポリスチレン生成物のスラリを残した。吸引濾過の後、白色の固体を水(3x2L)で濯ぎ、一定の窒素パージ下にオーブン(130℃)中で、382.5g(収率98%)の一定の重量まで乾燥した。生成物分析は表2中にある。
【0116】
参照実施例C
参照実施例Bに類似の方法で行なわれたこのバッチ臭素化において、反応時間を約76分から35分に短縮し、触媒をAlClからAlBrに変えた。2.53g(9.49ミリモル,1.41モル%)分の臭化アルミニウム(Alfa Aesar)を、循環するグリコール浴により−3℃に冷却された1−L,5つ口のジャケットで覆われたガラス反応フラスコ中において、772.4gの乾燥(<15ppmの水)BCM中に懸濁させた。埋込Teflon底バルブを有する反応フラスコに頭上空気攪拌機及びTeflonバナナ−羽根櫂、Friedrichのコンデンサー(グリコール冷却)及びサーモウェルを備えた。流入ガスがフラスコから苛性アルカリスクラバーに移動するのを助けるために、コンデンサーからの排気ライン上に乾燥窒素の一定の流れを保持した。乾燥BCM中のアニオン性ポリスチレンの40.5重量%溶液の174.3g(70.6gのAPS.0.678/ナノモル)分を、ドライボックス中の250−mLのメスシリンダーに装入した。次いでAPS溶液をシリンダーから反応フラスコ上に搭載されたジャケットで覆われたグリコール−冷却ガラス混合継手にポンプ輸送するように、メスシリンダーを組み立てた。臭素(289.9g,1.814モル,2.68当量)を250−mLのメスシリンダーに装入し、臭素をAPS溶液と同じ混合継手にポンプ輸送するように組み立てた。両方の流れをミキサーにより別に冷却してから、装置の底で合わせ、臭素化フラスコ中に滴下した。フードの光を消し、フラスコ及び混合継手をAl箔で覆うことにより、光−開始脂肪族臭素化から反応混合物を保護した。両方の供給を同時に開始し、両方とも30分内に完了した。APS溶液供給系のために100.2gの乾燥BCMの濯ぎを用いて、反応フラスコへのポリマーの完全な転移を保証し、臭素供給系を介して窒素をフラッシングして臭素の定量的な転移を与えた。添加及び続く5分の反応時間の間ずっと、反応温度を−1℃〜+3℃に保持した(反応器頭上の窒素パージを用いて)。40gの水の添加により触媒を不活性化した。次いで10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液の12.8g分を加え、残留臭素の除去を保証した。有機相を分離し、次いで1100mL分の水、希苛性アルカリ及び水で洗浄した。洗浄された有機相から、激しく攪拌される熱(98℃)水の添加により生成物を回収した。熱水から溶媒を蒸留し、水中の臭素化ポリスチレン生成物のスラリを残した。吸引濾過の後、白色の固体を水(3x2L)で濯ぎ、一定の窒素パージ下にオーブン(130℃)中で、205.4g(収率95%)の一定の重量まで乾燥した。生成物分析は表2中にある。
【0117】
実施例4
このバッチ臭素化は参照実施例Bに関して記載した通りに、同じアニオン性ポリスチレンを用いるが、もっと低いAlClレベル(1.22g,9.15ミリモル,0.75モル%)を用いて行なわれた。臭素及びAPS供給の両方を同時に開始し、両方とも60分内に完了した。添加及び続く5分の反応時間の間ずっと、反応温度を−2℃〜0℃に保持した(反応器頭上の窒素パージを用いて)。40gの水の添加により触媒を不活性化した。次いで10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液の19.2g分を加え、残留臭素の除去を保証した。有機相を分離し、次いで水、希水酸化ナトリウム及び最後に水で洗浄し、酸を中和してNaBrを除去した。激しく攪拌される熱(98℃)水の添加により有機相から生成物を回収した。熱水から溶媒を蒸留し、水中の臭素化ポリスチレン生成物のスラリを残した。吸引濾過の後、白色の固体を水(3x2L)で濯ぎ、一定の窒素パージ下にオーブン(130℃)中で、378.9g(収率97%)の一定の重量まで乾燥した。生成物分析を表2中に示す。
【0118】
実施例5
この実施例では、ガラス混合継手を除去し、2つの供給ラインを一緒に固定して、反応フラスコ中の溶媒の表面下に2つの試薬流を送達する浸漬足(dipleg)を形成することにより、参照実施例Bに記載したバッチ臭素化を修正した。さらにAlClの代わりにAlBr触媒を用い、それを最初の溶媒の装入と一緒に反応フラスコに装入する代わりに、臭素供給流中に溶解した。1−L,5つ口の完全にジャケットで覆われた反応フラスコに499.9gの乾燥BCMを装入し、−5℃に冷却した。次いで反応物溶液を、臭素/AlBr溶液(526.6gのBr及び2.33gのAlBr)の場合には2.69mL/分及びAPS/BCM溶液(315.2gの40.5重量%溶液)の場合には3.81mL/分の平均速度を用いて冷溶媒中にポンプ輸送した。両方の流れを同時に開始した。臭素供給は64分内に完了し、APS供給は57分内に終了した。添加及び続く5分の反応時間の間ずっと、反応温度を−3℃〜+1℃に保持した(反応器頭上の窒素パージを用いて)。40gの水の添加により触媒を不活性化した。次いで10重量%亜硫酸ナトリウム水溶液の20.8g分を加え、残留臭素の除去を保証した。有機相を分離し、次いで水、希水酸化ナトリウム及び最後に水で洗浄し、酸を中和してNaBrを除去した。激しく攪拌される熱(98℃)水の添加により有機相から生成物を回収した。熱水から溶媒を蒸留し、水中の臭素化ポリスチレン生成物のスラリを残した。吸引濾過の後、白色の固体を水(3x2L)で濯ぎ、一定の窒素パージ下にオーブン(110℃)中で、381.4g(収率98%)の一定の重量まで乾燥した。生成物分析を表2中に示す。
【0119】
実施例6
この連続臭素化は実施例1に類似して、しかしバッチ反応(参照実施例B及びCならびに実施例4及び5)の場合に用いられたと同じ濃度のAPS供給溶液を用いて行なわれた。80−mLのガラスCSTRに乾燥BCM(163.0g)を装入し、反応器の内容物を−7℃に冷却することにより運転を開始した。反応器への臭素溶液(525.0gのBr中の2.29gのAlBr)及びAPS溶液(187.3gのBCM中の127.5gのAPS,40.5重量%のAPS)供給を同時に開始し、両方を全運転の間、一定に保持した。臭素供給速度は2.87ml/分であり、APS供給速度は3.62ml/分であった。運転の間、CSTR温度は0℃〜+10℃で変動した。最初の25分間、CSTRからのオーバーフロー流は廃液クエンチングポット(635gの4重量%NaSO水溶液を含有する)に向けられた。この時点の後、定常状態の生成物を集めるために、非常に粘性のオーバーフロー流は主クエンチングポット(520gの4重量%NaSO水溶液を含有する)に向けられた。CSTR中の反応塊に関する平均滞留時間は13分であった。主クエンチングポット中の粘性の有機相をBCM(288g)で希釈し、次いで下の有機相を2−Lの分液ロートに移した。3回の水性の洗浄(それぞれ900g)を用いて残留酸及び塩を除去した。中和された有機相を4−Lの激しく攪拌される熱(98℃)水中にポンプ輸送し、水中の白い微粉砕された固体のスラリを得た。スラリを吸引濾過し、フィルター上で水(3x2L)を用いて固体を濯いだ。窒素パージされたオーブン中で130℃において、湿潤ケーク(89g)を45.7gの一定の重量まで乾燥した。分析結果を表2にまとめる。
【0120】
【表3】

【0121】
実施例6の生成物における高いブロモベンゼン含有率は、連続運転様式において、有機溶媒中のAPSの供給流の濃度が高すぎ、かくして過剰に粘性の反応混合物を生じたことに帰せられる。この混合物は、仕上げの間の取り扱いが困難であることがわかった。かくして連続運転を実施する場合、反応領域に供給されている溶液中のAPSの濃度はもっと希薄に保たれねばならない。これに関し、表1の実施例1〜3で達成された結果を参照さ
れたい。
【0122】
請求項を含む本発明のどこで用いられても、「連続的」及び「連続的に」という用語は、言及される運転が通常は時間における中断なく進行することを示すが、但しその運転の定常状態の条件を壊さない持続時間のものであれば、中断は許され得る。中断が定常状態の運転を壊す持続時間のものである場合、生成物の収集を再開する前に、定常状態の運転条件が達成されねばならない。
【0123】
明細書又は本明細書の請求項中のいずれかで化学名又は式により言及される成分(components)は、単数で言及されても複数で言及されても、それらが化学名又は化学的型により言及される他の物質(例えば他の成分、溶媒など)と接触する前に存在する通りに同定される。生ずる混合物又は溶液中で、どのような予備的な化学的変化、変換及び/又は反応が、もしあったとして、起こるかは問題ではなく、それは、そのような変化、変換及び/又は反応は本開示に従って要求される条件下で特定の成分を一緒にする自然の結果であるからである。かくして成分(components)は、所望の運転の実施と関連して又は所望の組成物の形成において一緒にされるべき成分(ingredients)として同定される。また、前記の請求項が現在時制(「含む」、「である」など)で物質、成分(components)及び/又は成分(ingredients)に言及しても、言及は、物質、成分(components)及び/又は成分(ingredients)が本開示に従って1種もしくはそれより多い他の物質、成分(components)及び/又は成分(ingredients)と最初に接触するか、配合されるか又は混合される直前の時点にそれが存在した通りのそれに成される。本開示に従って且つ化学者の通常の熟練を以って実施されても、接触、配合又は混合操作の経過の間に化学反応又は変換を介して物質、成分(components)及び/又は成分(ingredients)がその最初の正体を失い得ることは、かくして実際的重要性のないことである。
【0124】
本明細書のいずれの部分において言及されるすべての特許又は公開文献も、引用することにより、完全に本明細書に示されるかのように全体として本開示の内容となる。
【0125】
本発明は、その実施において有意な変更を許す。従って前記の記述は、本発明を上記に示した特定の例に制限するつもりではなく、制限するとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の実施において反応物、溶媒及び触媒を反応領域中に供給するための注入系の略立面図。
【図2】本発明に従って連続法を行なうための系の略工程系統図。
【図3】本発明の好ましい態様に従って連続法を行なうための略工程系統図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性ブロモベンゼン含有率が低下した臭素化アニオン性スチレン性ポリマーの製造方法であって:
A)(i)臭素化剤、(ii)ハライド原子が臭素又は塩素あるいは両方であるアルミニウムハライド触媒及び(iii)溶媒中の溶液又はスラリの形態における約2000〜約30,000の範囲内のGPC数平均分子量を有するアニオン性スチレン性ポリマーから成る成分を反応領域中に同時に供給して反応混合物を形成し、ここで該成分は(1)少なくとも3つの分離された供給材料として個別に供給されるか、あるいは(2)少なくとも2つの分離された供給材料として供給され、その1つの供給材料は(i)、(ii)及び(iii)の2つ以下を含有し、その他の供給材料は(i)、(ii)、(iii)の第3番目を個別にか又は(i)、(ii)及び(iii)の1つ以下の他と組み合わせて含有し、それにより液相を含有する反応混合物が形成され、該反応混合物を約10℃かもしくはそれより低温に保持し、それによりアニオン性スチレン性ポリマーの臭素化を起こさせ、成分は、供給されているアルミニウムハライドの量が供給されているアニオン性スチレン性ポリマー中の芳香族モノマー単位のモル量に関して約0.8モルパーセントかもしくはそれより少量にあるように、且つ下記のC)において言及される乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが約60〜約71重量%の範囲内の臭素含有率を有するように割り当てられ;
B)1)実質的に反応混合物全体又は
2)反応混合物の、反応領域から出た部分
中で触媒を不活性化し、且つそこからブロミドイオン及び触媒残留物を洗い出し、
そして
C)反応混合物から臭素化アニオン性スチレン性ポリマー生成物を回収し、そのような生成物を乾燥し、それにより乾燥された臭素化アニオン性スチレン性ポリマーは約60〜約71重量%の範囲内の臭素含有率及び約600ppm(重量/重量)より高くない揮発性ブロモベンゼン含有率を有する
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
A)における該同時供給が連続供給である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
A)における該同時供給がパルス供給(pulsed feeds)である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
A)における少なくとも1つの該同時供給が連続供給であり、A)における少なくとも1つの該同時供給がパルス供給である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該成分(i)、(ii)及び(iii)が少なくとも3つの分離された供給材料として個別に供給される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該成分(i)、(ii)及び(iii)が少なくとも2つの分離された供給材料として供給され、その1つの供給材料は(i)、(ii)及び(iii)の2つ以下を含有し、その他の供給材料は(i)、(ii)、(iii)の第3番目を個別にか又は(i)、(ii)及び(iii)の1つ以下の他と組み合わせて含有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該少なくとも2つの分離された供給材料のそれぞれが単数もしくは複数の他の供給流に近接して反応領域中に入る請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該少なくとも2つの分離された供給材料のそれぞれが実質的に向かい合った整列(face−to−face opposed alignment)において反応領域中に入
る請求項6に記載の方法。
【請求項9】
該成分(i)、(ii)及び(iii)が少なくとも3つの分離された供給材料として個別に供給される請求項2に記載の方法。
【請求項10】
該成分(i)、(ii)及び(iii)が少なくとも2つの分離された供給材料として供給され、その1つの供給材料は(i)、(ii)及び(iii)の2つ以下を含有し、その他の供給材料は(i)、(ii)、(iii)の第3番目を個別にか又は(i)、(ii)及び(iii)の1つ以下の他と組み合わせて含有する請求項2に記載の方法。
【請求項11】
該臭素化剤が臭素であり、該GPC数平均分子量が約2000〜約10,000の範囲内である請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該GPC数平均分子量が約3000〜約7000の範囲内である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該少なくとも2つの分離された供給材料のそれぞれが単数もしくは複数の他の供給流に近接して反応領域中に入る請求項5に記載の方法。
【請求項14】
該少なくとも2つの分離された供給材料のそれぞれが実質的に向かい合った整列において反応領域中に入る請求項5に記載の方法。
【請求項15】
該成分(i)、(ii)及び(iii)を少なくとも2つの分離された供給材料、臭素及び該触媒から形成される第1の流れならびに溶媒中の溶液又はスラリの形態における約2000〜約30,000の範囲内のGPC数平均分子量を有するアニオン性スチレン性ポリマーである第2の流れとして供給し;且つここで該第1及び第2の流れは互いに近接して反応領域中に入る請求項1の記載の方法。
【請求項16】
該臭素化剤が臭素であり、且つ該GPC数平均分子量が約2000〜約10,000の範囲内である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該GPC数平均分子量が約3000〜約7000の範囲内である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該成分(i)、(ii)及び(iii)を少なくとも2つの分離された供給材料、臭素及び該触媒から形成される第1の流れならびに溶媒中の溶液又はスラリの形態における約2000〜約30,000の範囲内のGPC数平均分子量を有するアニオン性スチレン性ポリマーである第2の流れとして供給し;且つここで該第1及び第2の流れは実質的に向かい合った整列において反応領域中に入る請求項1の記載の方法。
【請求項19】
該臭素化剤が臭素であり、且つ該GPC数平均分子量が約2000〜約10,000の範囲内である請求項18に記載の方法。
【請求項20】
該GPC数平均分子量が約3000〜約7000の範囲内である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
水性クエンチング媒体を用いて反応混合物をクエンチングすることにより触媒を不活性化し、且つ水性クエンチング媒体中でHBr共生成物(coproduct)を回収する請求項1〜10又は15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
閉鎖反応系中で自生的圧力下においてA)を行い、触媒が不活性化されるまで臭化水素共生成物が該反応混合物中に保たれる請求項1〜10又は15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
該アニオン性スチレン性ポリマーがアニオン性ポリスチレンである請求項1〜10又は15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
連続法として行なわれる請求項1〜10又は15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
バッチ法として行なわれる請求項1〜10又は15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
該溶媒が(a)少なくとも1種の液体飽和脂肪族クロロ炭化水素、(b)少なくとも1種の液体飽和脂肪族ブロモ炭化水素又は(c)少なくとも1種の液体飽和脂肪族ブロモクロロ炭化水素あるいは(a)、(b)及び(c)のいずれか2つもしくは3つすべてから成る混合物を含む請求項1〜10又は15〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
約60〜約71重量%の範囲内の臭素含有率、約600ppmより高くない揮発性ブロモベンゼン含有率ならびに以下の性質:
1)約15又はそれ未満の熱ΔE色値(thermal ΔE color value);
2)320℃ Thermal Stability Testにおける約125ppm又はそれ未満のHBrの熱安定性
の少なくとも1つを有する臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項28】
1)及び2)の両方の性質を有する請求項27に記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項29】
さらに以下の追加の性質:
3)約10,000〜約15,000の範囲内のGPC数平均分子量及び約1.25又はそれ未満の多分散性;
4)約5又はそれ未満の初期ΔE色値(initial ΔE color value)
の少なくとも1つを有する請求項27又は28に記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項30】
3)及び4)の両方の追加の性質を有する請求項29に記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項31】
該揮発性ブロモベンゼン含有率が約300ppm又はそれ未満である請求項26〜30のいずれかに記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項32】
該臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが臭素化アニオン性ポリスチレンである請求項27又は28に記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項33】
該臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが臭素化アニオン性ポリスチレンである請求項29に記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項34】
該臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが臭素化アニオン性ポリスチレンである請求項30に記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。
【請求項35】
該臭素化アニオン性スチレン性ポリマーが臭素化アニオン性ポリスチレンである請求項31に記載の臭素化アニオン性スチレン性ポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−521587(P2009−521587A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547734(P2008−547734)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/062321
【国際公開番号】WO2007/076369
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】