説明

航空推進用途に対する内蔵型飛行センサのための全ファイバ・アーキテクチャ

レーザと、上記レーザと光通信する一個以上の飛行センサと、上記飛行センサと光通信するデータ処理デバイスとを有する内蔵型飛行センサ・システム。上記飛行センサは、光学的検出器と組み合わされたファイバ・ブラッグ格子;分光学的格子および検出器;および;捕捉側光学機器と光学的に組み合わされた光学的検出器;などの、レーザ式の光学的構成要素とされ得る。上記飛行センサにより検知されたパラメータは、任意の飛行パラメータを決定するために使用され得る。代表的な飛行パラメータとしては、限定的なものとしてではなく、機体もしくは外側表面の温度、空気流の速度、燃焼領域の温度、エンジン取入口の温度、気体の濃度、または、衝撃波面の位置が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行用の内蔵的用途において用いられる全ファイバ・センサおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
更に洗練された推進システムを特徴とする最新の航空機が開発されつつある。特に、習用のガスタービン・エンジン、SCRAMJET、ロケットエンジンおよびパルスデトネーション・エンジン技術が、将来の世代の航空機に動力供給すべく設計かつ構築されつつある。先進のエンジン技術の開発と関連して、次世代の航空機を支援するための適切な構造および飛行用表面を開発すべく、機体および航空機の外板に関する技術が進歩してきた。
【0003】
多くの場合、技術的に進歩した最新のエンジン設計態様および先進の飛行用表面構造は、種々の構成要素が特定の設計パラメータ内で適切に機能することを確実とすべく、機内に取付けられるフィードバックおよび制御システムを必要とする。たとえば、特定の熱許容範囲を超えないことを確実とするために、極超音速航空機の外部の飛行用表面の温度が監視されねばならない。同様に、燃料が効率的に使用され、最大の推力が引き起こされ、且つ、破滅的なエンジン障害が回避されることを確実とすべく、最新のエンジンの燃焼領域が綿密に監視かつ制御されねばならない。習用のセンサおよびフィードバック技術は多くの場合、最新の航空機設計態様の飛行パラメータの監視に対して十分には適していない。独立的に配置されかつ独立的に操作される一連の検知用下位システムもまた、一貫しないデータに繋がり得る、と言うのも、種々の検知用下位システムは相互に通信されないことがあるからである。また、個別の検知システムは、過剰な重量と操作の複雑さとを加え得る。本発明の目的は、上記で論じられた問題のひとつ以上を克服するに在る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のひとつの見地は、レーザと、上記レーザと光通信する一個以上の飛行センサと、上記飛行センサと光通信するデータ処理デバイスとを有する内蔵型飛行センサ・システムである。上記飛行センサは、光学的検出器と組み合わされたファイバ・ブラッグ格子;分光学的格子および検出器;および;捕捉側光学機器と光学的に組み合わされた光学的検出器;などの、レーザ式の光学的構成要素とされ得る。上記飛行センサにより検知されたパラメータは、任意の飛行パラメータを決定するために使用され得る。代表的な飛行パラメータとしては、限定的なものとしてではなく、機体もしくは外側表面の温度、空気流の速度、燃焼領域の温度、エンジン取入口の温度、気体の濃度、または、衝撃波面の位置が挙げられる。
【0005】
上記内蔵型飛行センサ・システムは典型的に、上記レーザに対して光ファイバ・ネットワークにより結合された複数の飛行センサを含む。幾つかの実施例において、一個以上のレーザからの出力は、上記システムに対して複数の選択波長にて光を供給すべく構成され得る。斯かる実施例において上記システムは、複数のレーザ出力に対して光学的に連結されたマルチプレクサ、ルータ、サーキュレータ、スプリッタまたは他の光学的構成要素であって、一本以上の出力光ファイバに対して別個の波長から成る多重化レーザ光を提供かつ配給すべく構成された光学的構成要素を更に含み得る。
【0006】
本発明の別の見地は、飛行センサのシステムを配備する方法である。該方法は、上述の如く種々の光学的センサと通信する光ネットワークであって、少なくとも一個のデータ処理デバイスと更に通信する光ネットワークに対して結合されたレーザを配備する段階を含む。
【0007】
本発明の付加的な見地は、一定の光学的センサを包含する。本発明に係る光学的センサは、機体または航空機外板の温度を複数の箇所にて測定するシステムであって、光ファイバのネットワークを介して光通信する複数のファイバ・ブラッグ格子を特徴とするというシステムを包含する。
【0008】
本発明に係る別のセンサは、エンジン取入口の空気流速度を測定するシステムであって、種々の角度にてエンジン取入口を通るレーザ出力を送信および受信すべく構成された複数対の放出側および捕捉側光学機器を有するというシステムである。上記エンジン取入口空気流速度システムは、種々の光路に沿い計算された分光吸収曲線のドップラ・シフトを比較するプロセッサも含む。
【0009】
本発明に係る別のセンサは、航空機エンジン内の衝撃波面の箇所を決定するシステムであって、レーザと、航空機エンジンの内部キャビティを通る平行ビームを投射すべく構成された複数対の放出側および捕捉側光学機器とを含むというシステムである。
【0010】
本発明に係る別のセンサ群は、受信されたレーザ光が分光学的に分析されることで気体濃度および燃焼領域温度が決定される如く、エンジンの燃焼チャンバを通して投射される多重化レーザ源を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
光ファイバ結合アーキテクチャ
【0012】
本発明は、動力飛行に伴う種々のパラメータを測定するための複数のレーザ式センサの光ファイバ結合システムを包含する。また、上記各センサを相互に結合し、飛行用の内蔵的用途に適した完全集積パッケージとするアーキテクチャも開示される。上記システムおよびアーキテクチャの最終的な目標は、フィードバック制御を介してエンジンまたは他の飛行パラメータを最適化するために必要なデータを獲得することである。本明細書に記述される上記システム、アーキテクチャおよびセンサの技術は、習用のガスタービン推進システム、ならびに、発展しつつあるSCRAMJET、ロケットエンジン、および、パルスデトネーション・エンジンの各技術に対して適している。上記システムは、限定的なものとしてではなく、エンジンの取入口流速、エンジンの取入口の酸素濃度および温度を測定する各センサを含み得る。これに加え、超音速および極超音速の用途に対しては、燃焼領域における温度および水分濃度、ならびに、エンジン取入口における衝撃波の位置が決定され得る。上記システムはまた、種々の飛行制御表面の温度を光学的手段を用いて測定する機能を有するセンサも含み得る。以下において詳細には論じられないが、上記システムには、光ファイバ歪みセンサの如き新興技術などの他のセンサが含まれ得る。当業者であれば、開示されるシステムおよびアーキテクチャには他の形式の光学的センサが取入れられ得ることを理解し得よう、と言うのも、上記センサシステム・アーキテクチャの結合により与えられる融通性によれば、それらのセンサが利用可能となるからである。光ファイバの基幹および光学的検知技術の利点としては、モジュール式アップグレード性、電磁ノイズに対する耐性、および、非侵襲的である測定技術が挙げられる。本発明はまた、主として通信用途に対して開発された標準的な光ファイバ技術を用いて複数の箇所に対して測定光を同時に経路設定するために必要なアーキテクチャも包含する。
【0013】
一定の実施例において上記内蔵型飛行センサ・アーキテクチャは、本出願と同様に本出願人が所有する既存の特許および特許出願の主題である燃焼検知技術を利用し得る。特に、2004年3月31日に出願されて“燃焼の監視および制御のための方法と装置”と称された国際特許出願第PCT/US2004/010048号は、言及したことによりその全体が本明細書中に援用される。
【0014】
図1は、本発明に係る光ファイバ結合式飛行センサのシステムおよびアーキテクチャの概略図である。システム10は、一個以上のセンサに対して光学的に連結された少なくとも一個のレーザ12を含む。全ての場合において上記各センサはレーザ式デバイスであり、該デバイスは構成要素として、レンズ、ミラーまたは回折格子、および、協働する検出器の如き光学素子を有する。代表的なセンサ構成要素としては、限定的なものとしてではなく、機体または航空機外板に対して作用的に組み合わされた一個以上のファイバ・ブラッグ格子14が挙げられる。図1には、波長可変ダイオードレーザ吸収分光法のために波長フィルタリングされる一連の検出器に対して光学的に連結された代表的な放出側光学機器(pitch optic)16および捕捉側光学機器(catch optic)18も示され、これらの要素は以下に詳細に記述される如く集合的に燃焼領域センサとして動作する。図1には、協働して集積された光ファイバセンサ・アーキテクチャとして機能する受動的外板放射センサ22および他の種々の光学的構成要素も示される。
【0015】
以下に詳細に記述される如く、システム10に伴う一定のセンサおよび測定の精巧さは、検知および解析を目的として複数の波長にてレーザ光が提供されるならば、増進され得る。たとえばレーザ12は、複数の下位システムであって、種々の選択波長にてレーザ光を出力し得ると共に図1にて要素12A〜Dとして示された複数の下位システムを含み得る。図1の概略図は4個の別体的な入力レーザおよび4個の別体的な入力波長を示しているが、当業者であれば、特定の検知目的を達成すべく任意数の入力波長が利用され得ることを理解し得よう。これに加え、異なる別個の波長を上記システムに対して提供するために、異なる周波数を有する個別の出力源を実現すべく構成された複数の別体的なレーザ、または、更に少ない個数のレーザが採用され得る。
【0016】
レーザ12A〜Dからの出力は、マルチプレクサ24により更に少ない個数の光ファイバ出力に対して結合され得る。多重化された入力光は次に、スプリッタ26の如き容易に入手可能な光学的構成要素を用いて、必要に応じて分割および経路設定され得る。多重化された光は上述の構成要素から、図1に示された光ファイバ28の如き一連の光ファイバを介して搬送される。
【0017】
図1の概略的表示において入力光ファイバ28は光サーキュレータ30に対して接続され、該光サーキュレータは、入力光を一個以上のファイバ・ブラッグ格子14に対して経路設定すると共に、格子14からの光を光学的デマルチプレクサ32および種々の検出器34A〜Dに対して経路設定すべく使用され得る。上記ファイバ・ブラッグ格子、サーキュレータ、デマルチプレクサおよび検出器は、全体として、以下に詳細に記述される複数箇所にて機体温度を測定するシステムである。
【0018】
図1はまた、航空推進エンジンの燃焼領域に対して作用的に組み合わされた放出側光学機器16に対してスプリッタ26から光を搬送する第2の入力光ファイバ36も示している。上記放出側光学機器は、多重化されたレーザ光を、燃焼領域を介して捕捉側光学機器18へと投射すべく配向される。上記捕捉側光学機器は出力光ファイバ38およびデマルチプレクサ40に対して光学的に連結される一方、該デマルチプレクサは多重分離された光を種々の検出器20に対して提供する。以下においても詳述される如く、燃焼領域から出力を受ける上記各検出器は、波長可変ダイオードレーザ吸収分光法を実施すべく、または、種々の燃焼領域パラメータを検知する他の装置を実現すべく使用され得る。
【0019】
図1に概略的に示された種々の光ファイバ結合検出器の各々の出力は最終的に、アナログ/デジタル変換器と、センサ入力から種々の形式のデータを抽出すべく構成された内蔵コンピュータの如きデータ処理デバイス44とに対して結合され得る。
【0020】
図1には、種々の形式の包括的な一群のレーザ式センサが示される。たとえば、図1において飛行用表面に対して取付けられて示されるファイバ・ブラッグ格子14(FBG)は、温度の関数として波長が変化するという反射に関する信号を提供することにより温度を測定する。図1には、燃焼領域における水分濃度および気体温度などの幾つかのパラメータを測定すべく使用され得る波長可変ダイオードレーザ吸収分光(TDLAS)システムも示される。記述されるセンサシステム・アーキテクチャは同一のレーザもしくは一群のレーザ出力を使用することで、燃焼領域におけるFBG反射スペクトルを解析し、水分濃度および温度を測定し、かつ、他のデータを収集する。故に本発明の光ファイバ・アーキテクチャは、各センサまたは所定形式のセンサが夫々の専用レーザ源に依存するというシステムと比較して、多数の利点を提供する。特に、高価な構成要素であると共に相当の電力量を消費するというレーザは、相対的に無関係である幾つかのパラメータを同時に測定すべく該レーザの光を使用することにより、相当に活用される。これに加え、燃焼領域における例えば吸水率などのひとつの測定値が使用されて明瞭な波長目盛較正が提供されることで、上記FBGのフィルタ機能の如き別の測定値が波長に関して非常に正確に追尾され得る。
【0021】
代表的な光学的センサ構成
【0022】
FBG光学的温度センサ14は、航空機の外板上の重要箇所上に作用的に配設され、または、機体と別様に組み合わされ得る。各ファイバ・ブラッグ格子14は、約80〜100℃幅のみの温度範囲を検知し得る。極超音速用途に対しては更に広範囲の外板温度に直面することから、各FBGを連続的に組み合わせて広範な温度範囲を検知する方法が採用されねばならない。本発明のひとつの見地においては、各箇所に複数のFBGが位置され、各FBGは、同一の波長範囲で但し約100℃幅の異なる温度範囲において反射すべく作成される。いずれのFBG14が反射しているかを特定することにより温度を決定するために、少なくとも2つの異なる方法が使用され得る。第1に、各FBG14はその反射率に関係付けられた僅かに異なるスペクトル幅を呈すべく作成可能であり、たとえば、どの格子が反射しているのかを特定すべく反射率ピークの幅が変更され得る。種々の温度範囲に対してFBGを準備するというこの方法は有用である、と言うのも、上記格子はガラスファイバに刻まれた屈折率変化により構成されるからである。ガラスは本来的に温度破損スレッショルド値が高いので、極超音速航空機が直面する高温を測定する上で理想的である。図2に示された如く、機体上の異なる箇所に配置された種々のFBGは、光サーキュレータ25によりレーザ源12および検出器34に対して順次に接続され得る。図3のグラフに示された如く、FBGの透過フィルタ機能は、温度によりピーク波長が変化する。特に、温度が高まるにつれて通過帯域は長波長側に移動する、と言うのも、温度が高まると物理的な格子間隔が大きくなるからである。波長対温度のグラフの勾配は、格子が刻まれたガラスの熱膨張率により決定される。温度による変化は非常に直線的であることから、FBGは極超音速機体に対する理想的な温度センサとされる。
【0023】
どの格子が反射しているのかを決定することにより温度を決定する代替方法としては、各格子間で巻回されもしくは別様に経路設定された(約100メートルという)相当量の過剰ファイバを配備する段階を含む。レーザ12はパルス駆動され得ると共に、パルスの送出と戻りとの間における時間遅延の合計(時間領域反射測定)が使用されることで、反射することにより温度範囲を表しつつある格子の位置を算出し得る。
【0024】
エンジン取入口における空気流の速度は、エンジンの動態を理解する重要な量であると共に、特に超音速および極超音速の飛行に対して正確に測定することは非常に困難である。本発明のひとつの見地は、O2分子のドップラ・シフトに依存してこの測定を行う。たとえば、空気流速度を測定すべく、760〜770nm範囲におけるO2遷移に関して周波数変調された波長可変ダイオードレーザ吸収分光法(FM−TDLAS)が利用され得る。図4の概略図に示された如く、たとえば760nmビームなどのファイバ結合ビーム46は、主として流れの上流に向けられた一方の光学的分岐部48と、主として流れの下流に向けられた他方の光学的分岐部50とを備えるスプリッタにおいて分割され得る。空気流内における実際のビーム載置は、取入口の寸法により物理的に制限されることもある。ドップラ効果により、上流の光学的分岐部48の分光吸収は赤に向けてシフトされると共に、下流の光学的分岐部50のピークは青に向けてシフトされる。図5Aおよび図5Bに示されたデータは連続スキャン吸収モードにて取り込まれたデータを示している。数百ミリ秒に対するデータを平均化し得るという状況にては、スキャンされた吸収が非常に有用である。但し、更に迅速な更新速度に対しては、更に高い信号/ノイズ性能が必要とされる。これは、上記レーザを波長変調または周波数変調することで実現され得る。たとえば、ロックイン検出技術と組み合わされた約1MHzにおける波長変調は、信号対ノイズ比を高め得る。他の変調割合は等しく適切であり得る。レーザが波長変調もしくは周波数変調されたとき、ロックイン検出技術は一次導関数吸収曲線を生成し、そのゼロ交差はフォークト(Voigt)吸収曲線の厳密な中心に対応する。その際、上流のビームおよび下流のビームに対するゼロ交差における差が、ドップラ・シフトに対応する。
【0025】
システム・レーザ12から提供されて光学的に他のセンサおよび検出器に結合された760nmレーザ光は、取入口の酸素濃度および温度を測定するためにも使用され得る。これらの形式の測定は、上述のスキャン吸収技術を用いて酸素スペクトルにおける数個のピークをスキャンすることで達成され得る。その場合に温度およびO2濃度の定量化は、公知のTDLAS技術を用いて進められる。概略的にTDLASは、目標環境を通してレーザ光を透過させ、取入口における酸素または燃焼領域における水分の如き目標気体に起因する特定波長におけるレーザ光の吸収を引き続き検出することで実施される。検出された光のスペクトルを解析すると、レーザ経路に沿う目標気体の量または温度が特定され得る。温度または成分気体を効率的に検知するためには、複数の周波数のレーザ光によるTDLASの性能が必要とされる。選択された周波数は、監視されつつある単一の目標気体の吸収線と合致せねばならない。たとえば、以下に記述される質量計算と、比較的に低温の取入口における温度の決定とのために、酸素を監視することが有用である。水分は、燃焼領域における温度の測定に対して更に望ましい信号を提供する。上述された如く、レーザの波長変調もしくは周波数変調は、更に高い信号対ノイズ比を達成すべく利用され得る。たとえば、ロックイン検出技術と組み合わされた約1MHzにおける波長変調は、信号対ノイズ比を高め得る。他の変調割合は等しく適切であり得る。
【0026】
本明細書に記述されるファイバ結合アーキテクチャは、衝撃波面位置を決定するためにも使用され得る。図6は、SCRAMJETエンジンのアイソレータ区画における流れに対して直交して伝搬する一連のビーム52を概略的に示している。上記アイソレータは、取入口衝撃に対する付着点を提供する。もし衝撃が上記アイソレータから取入口内へと順方向に進行するなら、エンジンは停止される。各ビーム52は、各ビームに伴うビーム振れ(beam steering)の量を測定することで衝撃波面の位置を監視すべく使用され得る。図7および図8は、衝撃の位置を検知すべく使用される効果をグラフで示している。衝撃波面および所定のレーザ光線が一致するとき、レーザ光線は劇的に振られる(図8)。これは、衝撃波面の前方において透過されるビームに関する比較的に最小限のビーム振れ(図7)と比較され得る。図7に示された低レベルのビーム振れおよび振動は受け入れるが図8に示された大きなビーム振れ効果は受け入れないという受信光学機器を設定することにより、該受信光学機器の結合効率における“ノイズ”を観測することで衝撃の位置が監視され得る。空間的分解能は所望の空間的分解能に従い数本のビームを離間することにより提供され、時間的分解能は数MS/秒にて信号をデジタル化することにより提供され得る。上記捕捉側光学機器を操作して低レベルの振れおよび振動に対する耐性を提供するひとつの有効な方法は、正規分布ビームの中央のみが受信光学機器によりサンプリングされるように、上記捕捉側光学機器をオーバーフィルすることである。斯かる調節の後において、ビーム位置の小さな変化は結合信号をそれほど変化させない。しかし、大きな振れの場合には、図8に示された如く信号が相当に変調される。
【0027】
当業者であれば、燃焼領域に対する受動放射の監視、および、摩擦加熱された表面からの黒体放射の観測により外板温度を監視するなどの他のファイバ結合式診断が実現可能であることを理解し得よう。
【0028】
本発明の目的は、本明細書に開示された実施例により完全に実現された。当業者であれば、本発明の本質的作用から逸脱せずに種々の実施例により本発明の種々の見地が達成され得ることを理解し得よう。特定実施例は例示的であり、添付の各請求項に示された発明の有効範囲を制限することを意味していない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明に係るファイバ結合式飛行センサ・アーキテクチャの概略図である。
【図2】図2は、本発明に係るFBG温度測定センサの概略図である。
【図3】図3は、FBG温度センサのデータを示すグラフである。
【図4】図4は、O2分光法を用いたドップラ式取入口速度測定センサの概略図である。
【図5A】図5Aおよび図5Bは、ドップラ・シフトを表すO2吸収曲線を示すグラフである。
【図5B】図5Aおよび図5Bは、ドップラ・シフトを表すO2吸収曲線を示すグラフである。
【図6】図6は、SCRAMJETアイソレータにおける衝撃波面センサの概略図である。
【図7】図7は、センサ・ビームおよび衝撃波面が一致しない場合における時間の関数としてのビーム振れの大きさを示すグラフである。
【図8】図8は、センサ・ビームおよび衝撃波面が一致する場合におけるビーム振れの大きさを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザと、
上記レーザと光通信する飛行センサと、
上記飛行センサと光通信するデータ処理デバイスと、
を備える内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項2】
前記飛行センサはレーザ式の光学的構成要素を備える、請求項1に記載の内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項3】
前記飛行センサは、
光学的検出器と組み合わされたファイバ・ブラッグ格子、
分光学的格子および検出器、および、
捕捉側光学機器と光学的に組み合わされた光学的検出器、
の内の少なくともひとつを備える、請求項2に記載の内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項4】
前記飛行センサにより検知されたパラメータは、機体もしくは外側表面の温度、空気流の速度、燃焼領域の温度、エンジン取入口の温度、気体の濃度、および、衝撃波面の位置の内の少なくともひとつを決定するために使用され得る、請求項1に記載の内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項5】
前記レーザに対して光ファイバ・ネットワークにより結合された複数の飛行センサを更に備える、請求項1に記載の内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項6】
複数の選択波長にてレーザ光を発すべく構成された1個より多いレーザ出力を更に備える、請求項1記載の内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項7】
前記複数のレーザ出力に対して光学的に連結されたマルチプレクサであって、別個の波長のレーザ光を出力光ファイバに対して結合すべく構成されたマルチプレクサを更に備える、請求項6に記載の内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項8】
前記出力光ファイバに対しては1個より多い飛行センサが光通信する、請求項7に記載の内蔵型飛行センサ・システム。
【請求項9】
選択波長を有するレーザ光を提供する段階と、
上記レーザ光を飛行センサに対して光学的に連結する段階と、
上記飛行センサをデータ処理デバイスに対して光学的に連結する段階と、
を備える、飛行センサのシステムを配備する方法。
【請求項10】
前記レーザ光に対して複数の飛行センサを光学的に連結する段階を更に備える、請求項9に記載の飛行センサのシステムを配備する方法。
【請求項11】
別個の波長を有する複数の発生源からレーザ光を提供する段階を更に備える、請求項9に記載の飛行センサのシステムを配備する方法。
【請求項12】
別個の波長を有する複数のレーザ光を多重化する段階と、前記飛行センサと光通信する光ファイバに対し、ひとつより多い波長を結合する段階と、を更に備える、請求項11に記載の飛行センサのシステムを配備する方法。
【請求項13】
前記飛行センサは、
光学的検出器と組み合わされたファイバ・ブラッグ格子、
分光学的格子および検出器、および、
捕捉側光学機器と光学的に組み合わされた光学的検出器、
の内の少なくともひとつを備える、請求項9に記載の飛行センサのシステムを配備する方法。
【請求項14】
前記飛行センサにより検知されたパラメータは、機体もしくは外側表面の温度、空気流の速度、燃焼領域の温度、エンジン取入口の温度、気体の濃度、および、衝撃波面の位置の内の少なくともひとつを決定するために使用され得る、請求項9に記載の飛行センサのシステムを配備する方法。
【請求項15】
レーザと、
上記レーザに対し、光ファイバのネットワークを介して光通信する複数のファイバ・ブラッグ格子であって、複数の格子群を複数の箇所に作用的に位置させ乍ら、該ファイバ・ブラッグ格子の各々は機体もしくは航空機外板と作用的に組み合わされるという複数のファイバ・ブラッグ格子と、
上記光ファイバのネットワークを介して各ファイバ・ブラッグ格子と光通信するデータ処理デバイスと、
を備える、機体もしくは航空機外板の温度を複数箇所にて測定するシステム。
【請求項16】
ひとつのファイバ・ブラッグ格子は、反射率と関係付けられたスペクトル幅であって、別のファイバ・ブラッグ格子の反射率に関係付けられたスペクトル幅とは異なるスペクトル幅を有する、請求項15に記載の機体もしくは航空機外板の温度を複数箇所にて測定するシステム。
【請求項17】
第1および第2のファイバ・ブラッグ格子間における過剰長さの光ファイバを更に備える、請求項15に記載の機体もしくは航空機外板の温度を複数箇所にて測定するシステム。
【請求項18】
レーザと、
上記レーザと光通信すると共に、該レーザからの出力を少なくとも2つの光路へと分割すべく構成されたスプリッタと、
上流角度にてエンジン取入口を通るレーザ出力を送信および受信すべく構成された第1の対の放出側および捕捉側の光学機器と、
下流角度にて上記エンジン取入口を通るレーザ出力を送信および受信すべく構成された第2の対の放出側および捕捉側の光学機器と、
各光路と光通信する検出器と、
上記検出器と光通信するプロセッサと、
を備える、エンジン取入口の空気流速度を測定するシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、各光路に対して計算された分光吸収曲線のドップラ・シフトを比較する、請求項18に記載のエンジン取入口の空気流速度を測定するシステム。
【請求項20】
レーザと、
上記レーザと光通信すると共に、該レーザからの出力を複数の光路へと分割すべく構成されたスプリッタと、
複数対の放出側および捕捉側光学機器であって、少なくとも一対は、各光路と組み合わされると共に、航空機エンジンの内部キャビティを通るレーザ出力の離間平行ビームを送信および受信すべく構成されるという複数対の放出側および捕捉側光学機器と、
各光路と光通信する検出器と、
上記検出器と光通信するプロセッサと、
を備える、航空機エンジン内の衝撃波面の箇所を決定するシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記航空機エンジンの前記内部キャビティを通り送出された少なくともひとつのビームに伴うビーム振れを計算する、請求項20に記載の航空機エンジン内の衝撃波面の箇所を決定するシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2009−516855(P2009−516855A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542498(P2008−542498)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/060931
【国際公開番号】WO2008/054429
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(505365415)ゾロ テクノロジーズ,インコーポレイティド (13)
【Fターム(参考)】