船外機の動力連結装置
【課題】2基のエンジンをバランンスよく、且つ効率的に搭載可能な船外機の動力連結装置を提供する。
【解決手段】エンジンケース内部に2基のエンジンが並置されると共に、エンジンケース外部にエンジンによって駆動される推進機15を備える。推進機15を支持するスイベルブラケット39内部で2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて推進機へ出力される。
【解決手段】エンジンケース内部に2基のエンジンが並置されると共に、エンジンケース外部にエンジンによって駆動される推進機15を備える。推進機15を支持するスイベルブラケット39内部で2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて推進機へ出力される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機において動力源であるエンジンから最終出力端であるプロペラに至る動力伝達系の途中に配置構成される動力連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶もしくは舟艇の推進機関あるいは推進システムの主なものとして船外機、船内外機及び船内機等がある。このうち船外機はアウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジン、その捕機類、駆動系のギアやシャフト及びスクリュー等が一体化して構成されており、一般には船体船尾のトランサムボードに搭載される。典型的には小型の舟艇等に搭載され、ステアリング機能とチルティング機能を有している。
【0003】
また、船内外機は、小型船舶等の推進機関の設置方法として、インボードエンジン・アウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジンを船内船尾部に搭載すると共に減速ギア、前後進クラッチ及びプロペラ等を一体化してなるドライブユニットをトランサムボードの外部に配置したものである。
【0004】
高出力化等を図るべく2基以上の複数のエンジンを搭載する場合があり、この場合特に2基のエンジンそれぞれから推進機へと至る動力伝達系の連結構造において工夫がなされている。例えば特許文献1に記載の船外機では、上流側と下流側のエンジン2基を直列に繋いでいる。また、特許文献2のものでは、2基のエンジンがクラッチハウジングを介して直接結合されている。更に特許文献3のものでは、2基のエンジンがユニバーサルジョイントで連結されており、このためエンジン振動が連結部に直接加わることはない。また、遊星歯車を介して連結されているため、エンジン負荷が異なる状態でも滑らかに連結できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−24399号公報
【特許文献2】特開平4−317888号公報
【特許文献3】特開平6−336936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の船外機では2基の上流側エンジンと下流側エンジンの負荷が異なり、下流側エンジンは上流側エンジンからの入力に加えて、自身の出力に耐えるように設計する必要があるため、下流側のエンジンはその強度を上流側エンジンよりも強くしなければならない。また、下流側エンジンのクランクシャフトは入力端と出力端が必要になるため、構造的に上流側エンジンと共通にできない。このためエンジンを2基搭載しているものの、共通化や部品削減、設計あるいは試験工数削減等の利点を得るのが実質的に難しい。
【0007】
また、特許文献2に記載のものでは、2基のエンジンがクラッチハウジングを介して直接結合されているため、負荷やエンジンスピード毎に変化するエンジン振動が解放され難く、動力連結部に加わってしまう。従って、大きく重い連結部(トランスミッション)が必要になる。
【0008】
更に、特許文献3に記載のものでは、エンジン2基を直列に船軸に沿って縦方向に並べた船内機に特化した方式であり、結果として船体内に大きなエンジンスペースが必要になり、エンジンを船外に配置した船外機(又は船内機を含む)に適用できるものではなかった。いずれの方式でもエンジンを縦に並べてあるため、前方エンジンの位置は船体中央近くとなり、居住空間や積載空間が狭くなるという問題があった。
【0009】
本発明はかかる実情に鑑み、2基のエンジンをバランンスよく、且つ効率的に搭載可能な船外機の動力連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の船外機の動力連結装置は、エンジンケース内部に2基のエンジンが並置されると共に、該エンジンケース外部に前記エンジンによって駆動される推進機を備えた船外機において、前記推進機を支持するスイベルブラケット内部で前記2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて前記推進機へ出力されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベルブラケットのスイベル水平軸方向に円筒状のチルト懸架部を有し、その円筒外側にチルト軸受を配置すると共に、その円筒内側にスイベル水平軸方向の入力軸の入力軸受を配置し、チルト軸と該入力軸の中心を一致させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベル水平軸方向の入力軸とスイベル垂直軸方向の出力軸が、直交して噛合する傘歯車を介して相互に結合されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベル垂直軸方向の出力軸の軸受が深溝玉軸受けとしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベル水平軸方向の入力軸の端面が、前記スイベルブラケットのチルト懸架部の端面よりも内側になるように配置され、前記入力軸の内孔にスプラインを形成したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベルブラケットの上端にはカバーを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、並置された2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて推進機へと出力される。最終出力端であるプロペラから2基のエンジンが等距離にあるため、どちらか一方のエンジンに負荷もしくは負担が偏ることがなく、2基のエンジン全体としてバランスのとれた円滑作動が保証される。
【0017】
また、特にチルト軸と入力軸の中心を一致させることで、チルトの対象構造体がチルト懸架部以下の部分だけとなる。これによりチルト作動のための負荷が小さいことで円滑作動を実現され、大掛かりなチルト駆動装置が不要となるので、船外機を実質的に小型コンパクトに構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る船外機を搭載した船舶もしくは舟艇の例を示す斜視図である。
【図2】本発明の船外機の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の船外機の外観を示す後面図である。
【図4】本発明の船外機の外観を示す側面図である。
【図5】本発明の船外機の外観を示す前面図である。
【図6】本発明の船外機におけるエンジンケース内部の構成例を示す斜視図である。
【図7】本発明の船外機におけるエンジンケース内部の主要構成の分解斜視図である。
【図8】本発明の船外機のエンジンユニットの構成及び配置例を示す斜視図である。
【図9】本発明の船外機の吸排気系の構成及び配置例を示す斜視図である。
【図10】本発明の船外機の動力伝達機構の構成及び配置例を示す斜視図である。
【図11】本発明の船外機のフレームの構成及び配置例を示す斜視図である。
【図12】本発明の船外機のエンジンケースにおけるケースカバー開成状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の船外機におけるスイベルブラケットのガイド機構まわりを示す部分斜視図である。
【図14】本発明の船外機の動力連結装置まわりの構成例を示す縦断面図である。
【図15】本発明の船外機の動力連結装置の要部構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明における船外機の動力連結装置の好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る船外機10を搭載した船舶もしくは舟艇の例を示している。この例では船舶は典型的には中小型とし、船体1の後部にトランサムボード2(船尾板)有するものとする。船外機10は図示のようにトランサムボード2を利用して搭載される。なお、以下で参照する各図の要所において、前方(船首側)を矢印Frにより、後方(船尾側)を矢印Rrによりそれぞれ示す。また、必要に応じて船体の左右方向(船幅方向)をそれぞれ矢印L、矢印Rにより示す。
【0020】
ここで先ず本実施形態に係る船体1において、図1のように船体1の底部に船床3が敷設され、この船床3の後端にトランサムボード2が配置される。船床3の中央部付近において操縦席4が設けられ、操縦席4にはハンドル5を始めとする操縦に必要な装置及び機器類、計器類等が配設される。船外機10は動力、推進機、転舵装置及びチルト装置等が一体的に装備され、所謂オールインワンタイプとして構成され、船体1側に燃料タンク、バッテリ等の通常の備品があれば運転可能である。
【0021】
なお、船舶としてこの図示例のものに限定されず、その他トランサムボードの後側に船外機搭載用のブラケット等を具備した船体もあり、つまり船体の船尾に船尾板又はこれに相当する部位もしくは部材を有するタイプのものに対して、本発明の船外機10は有効に適用可能である。
【0022】
図2〜図5は船外機10の外観を示し、図2は船外機10の斜視図、図3は後面図、図4は側面図及び図5は前面図である。船外機10は樹脂製エンジンケース100を有し、このエンジンケース100内部に後述する動力源であるエンジンユニットを収容すると共に、エンジンケース100の後部下方にスクリュー(プロペラ)を配置し、エンジンユニットによってスクリューを回転駆動する。エンジンケース100は船外機10の外観を構成する外装部材としても機能し、全体として一体感のある外観を呈している。
【0023】
エンジンケース100は図1をも参照して、船体1の船尾部(典型的にはトランサムボード2とする)と略同一の幅を有する筐体として構成される。この例ではエンジンケース100の基本的な形態は概略直方体とし、該直方体の長手方向が船幅方向としている。エンジンケース100はエンジンユニット及びその周辺部品もしくは部材を収容するケース本体101と、ケース本体101の上部開口101a(図12参照)を覆うケースカバー102とを有する。
【0024】
エンジンケース100内に収容されるエンジンユニット及びその周辺部品等について説明する。本発明の船外機10はそのパワーユニットとして内燃機関を主動力とし、これを作動させて推進機を駆動する。図6は船外機10におけるエンジンケース100内部の構成例を示し、図7はエンジンケース100内の主要構成の分解斜視図である。エンジンケース100内において、パワーユニットを構成するエンジンユニット11が、コンパクト且つ重量バランス良く配置収容される。この実施形態では2基のエンジンユニット11を有し、その筐体の長手方向が船幅方向としたエンジンケース100の左右に、一対のエンジンユニット11がセンタ振分けで配置される。各エンジンユニット11には、吸気系12及び排気系13が接続されると共に、それぞれの出力端(クランクシャフト)に動力伝達機構14が連結される。動力伝達機構14はエンジンユニット11の後側にて左右方向中央部で推進機15と結合し、これらの船外機構成部材が図7のようにフレーム16上に搭載支持される。
【0025】
更に具体的に説明すると、エンジンユニット11において、この例では水冷式直列4気筒4サイクルガソリンエンジンを使用する。なお、エンジン気筒数等は必要に応じて適宜変更可能であり、この例に限定されるものではない。図8を参照して、エンジンユニット11においてクランクケース17、シリンダブロック18、シリンダヘッド19及びシリンダヘッドカバー20が順次重なるように一体的に結合し、最下部にオイルパン21が付設される。各エンジンユニット11のクランクシャフトは船幅方向(左右方向)に沿って配置され、その軸端に結合するエンジン出力軸が左右両外側に位置するように配置され、即ち右側のエンジンユニット11のエンジン出力軸は右側に、左側のエンジンユニット11のエンジン出力軸は左側となるように配置される。
【0026】
次に吸気系12において、図6に示すようにエンジンユニット11相互間に単一のエアクリーナ22が配置される。一方、図8に示されるように右側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の前側に、及び左側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の後側にそれぞれインテークマニホールド23が結合し、これらのインテークマニホールド23とエアクリーナ22との間がそれぞれインテークパイプ24を介して接続される。エアクリーナ22の前面部からエンジンケース100前部の船体1側まで吸気管25が延出し(図9参照)、その先端の空気取込み口から空気を取り込むようになっている。空気取込み口は、船体1において波、しぶき及び雨等に曝されることがない部屋もしくはスペースに設置される。図8に示されるように各エンジンユニット11において、単一の吸気管25から複数(この例では4つ)のインテークマニホールド23に分岐する。
【0027】
排気系13において、図7等に示されるように右側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の後側に、及び左側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の前側にそれぞれエキゾーストマニホールド26が結合し、それらは単一のエキゾーストパイプ27に接続する。エキゾーストパイプ27には排気ホース28が接続され、排気ホース28にはマフラ29が接続される。このマフラ29には排気ホース30が接続され、この排気ホース30に取り付けられた排気出口31から排気ガスが排出されるようになっている。
【0028】
マフラ29は、エンジンケース100のケース本体101の下面外側に設置される。この場合、マフラ29及び排気ホース30等はケース本体101の下面から実質的に突出しないように配置されると共に、ケース本体101の後面左右両側の下部付近に配置された排気出口31から左右バランス良く水中に排気される。
【0029】
動力伝達機構14はエンジンユニット11の出力を推進機15へと伝達する。動力伝達機構14において、左右のエンジンユニット11のエンジン出力軸には図10に示されるように減速機32が連結される。減速機32のケーシング33内に回転自在に軸支されたギア群を有し、その出力軸にタイロッド34が連結される。左右のタイロッド34は相互に同心且つ水平で左右方向に配置され、左右中央部で中間減速機35と連結する。各タイロッド34は両端でそれぞれユニバーサルジョイント36,37を介して、減速機32及び中間減速機35と連結する。
【0030】
本実施形態において中間減速機35は、それぞれタイロッド34に連結する一対の入力側ベベルギアとこれらの入力側ベベルギアに噛合する出力側ベベルギアとを含む。出力側ベベルギアは、ドライブシャフトケース38内のドライブシャフトと連結し、中間減速機35、ドライブシャフトケース38及びスイベルブラケット39が、相互に一体的に結合する。ドライブシャフトは中間減速機35から下方へ延出する。これらのスイベルブラケット39等はベアリング40を介して、後述するようにケース本体101に回動可能に支持される。
【0031】
推進機15は図10等に示されるように、ドライブシャフトケース38の下方に配置される。推進機15は、プロペラ駆動用のギアを内蔵するギアケース41を含み、全体としてフィン状を呈する。ギアケース41の後端部にはプロペラ42が装架される。ドライブシャフトはドライブシャフトケース38内を通って更に下方へ延出し、ギアケース41内まで延設される。ギアケース41内には最終減速機が構成され、この最終減速機を介してプロペラ42を回転駆動することができる。
【0032】
更に、推進機15に対するチルト機構及びステアリング機構を備えている。これらについての詳細な説明はここでは省略するが、先ずチルト機構により、中間減速機35、ドライブシャフトケース38及び推進機15全体がチルト軸のまわりに上下方向に回動可能である。チルト軸Tはタイロッド34と同軸に設定され、図10の矢印Aで示すように推進機15はチルト軸Tのまわりにチルト動作することができる。なお、チルト機構において所謂、パワートリムチルト(PTT)等と称する駆動装置を備え、電動油圧式のチルト機構が構成されるものであってよい。
【0033】
また、ステアリング機構により、図10の矢印Bで示すように推進機15はステアリング軸Sのまわりにヨー方向(左右方向)に回動可能である(ヨーイング)。このステアリング機構において、例えば電動油圧式に油圧駆動されるステアリングシリンダを有し、油圧ポンプを油圧源としてステアリングロッドに沿って往復動させることで推進機15が左右方向に回動、即ちステアリング動作することができる。
【0034】
上述した船外機10の主要構成部材は図6のようにフレーム16上に搭載支持される。フレーム16は鋼管等の材料を用いて、図11に示されるようにエンジンケース100を構成する筐体の直方体に略沿った外形となるように形成される。フレーム16の所定部位にはエンジンユニット11を搭載支持するための複数のエンジンマウント43が配設され、これらのエンジンマウント43を介してエンジンユニット11がフレーム16上に取り付けられる。また、フレーム16の後部には、前述したスイベルブラケット39等を支持するためのベアリング40が装着されるメインブラケット44が取り付けられる。
【0035】
更に、フレーム16の前面部には複数のトランサムボルト45が前方に向けて取り付けられる。フレーム16にはエンジンユニット11を始めとする船外機構成部材が搭載されるが、それらを搭載したフレーム16はエンジンケース100内に収容される。トランサムボルト45はそのようなエンジンケース100のケース本体101の前面部を貫通してトランサムボード2に締結され、これによりエンジンケース100全体をトランサムボード2に締着固定することができる。なお、ケース本体101から突出するトランサムボルト45にはシールもしくはパッキン等が装着され、水密性が確保される。
【0036】
前述のようにエンジンケース100は、エンジンユニット11やその周辺部品を収容するケース本体101と、ケース本体101の上部開口101aを覆うケースカバー102とを有する。ケース本体101に対してケースカバー102が閉じることでエンジンケース100内は実質的に密閉空間となり、高い水密性が確保される。この場合、船外機10の構成部材はフレーム16によって支持され、フレーム16はエンジンユニット11を保持すると共に推進機15の推進力や操舵力を受け持ち、即ちエンジンケース100自体にはそれらの負荷荷重がかからない。また、エンジンケース100は図1に示されるように船外機10の外装部材としても機能し、船外機10に搭載されて全体として一体感の外観を呈する。
【0037】
図2〜図4等に示されるようにケース本体101の後面側において、その後面部から底面部へかけての領域において、船幅方向中央部にはケース本体101の内方へ凹むように形成された凹部103が設けられている。この凹部103まわりには、推進装置を構成する推進機15やそのチルト及びステアリング機構等が配設される。凹部103はケース本体101の後面側から前方へ向けて形成されるが、チルト機構及びステアリング機構あるいはそれらの周辺機器や部材等がチルトあるいはステアリング動作する際にケース本体101と干渉しないように必要且つ十分な間隙が設けられている。
【0038】
前述したように船体1側には燃料タンク、バッテリ等の備品が配備され、これらの備品と船外機10とが接続もしくは連結される。この場合、図5に示すようにケーシング101の前面部とトランサムボード2との間で穴を共あけするかたちで、複数の貫通孔104が形成されている。即ち、エンジンに燃焼用空気を供給するための吸気管25を挿通させるための貫通孔104A、燃料タンクからエンジンに燃料を供給するための燃料パイプを挿通させるための貫通孔104B、エンジンケース100内を換気するための換気空気用筒体を通すための貫通孔104C等が形成される。更に、エンジンケース100内の装置もしくは機器類又は部材と船体1側の操縦装置との間を、電気的(制御信号等を含む)あるいは機械的に接続するコード又はケーブル類を挿通させるための貫通孔104Dが形成される。なお、これらの貫通孔104には吸気管25等の実装時に水密保持手段(シール等)が施される。
【0039】
ケースカバー102はエンジンケース100の上面部を構成するが、図2あるいは図3に示されるようにケース本体101の後部上端付近にてヒンジ105を介して回動可能に結合する。図12のようにケースカバー102をヒンジ105のまわりに回動させて開成することで、エンジンケース100内部が開放され、これにより露呈したエンジンケース100内部のエンジンユニット11等に自由にアクセス可能となる。ケースカバー102を開けて内部の点検等を容易に行うことができ、この種の作業の利便性を向上することができる。
【0040】
ケース本体101とケースカバー102の閉合部もしくは合せ面には、図12に示されるようにシール106が敷設され、ケースカバー102をケース本体101に対して閉めることでエンジンケース100の高い水密性が確保・保持される。この場合、シール106は、ケース本体101及びケースカバー102の合せ面に沿って全周に亘って敷設される。そして、ケースカバー102が閉まった際にはケース本体101の閉合部との間に挟着され、これによりエンジンケース100に対する高い水密性が得られる。また、ケースカバー102をケース本体101に対して閉じた際、ケースカバー102をその閉合状態に固定保持する図12に示されるようなロック機構107を有している。
【0041】
また、ケースカバー102をその開き状態に保持可能な保持機構を有し、図12のようにケース本体101に対してケースカバー102を開いた状態に保持することができる。保持機構の具体的構成において、図12のようにケース本体101の開口部101a付近に油圧ダンパ108が配置される。この油圧ダンパ108は、ケースカバー102とフレーム16との間に結合される。ここで図11を参照して、フレーム16の上部後方において左右一対の支持アーム16aを備え、各油圧ダンパ108の一端が、自在軸受109を介して支持アーム16aに連結支持される。油圧ダンパ108の他端は同様に、自在軸受を介してケースカバー102の裏側に連結される。
【0042】
上記の場合、上述した船外機10の構成部材の他に、エンジンユニット11の冷却配管系、チルト機構及びステアリング機構の駆動用の油圧配管系あるいは部材相互間等で電気信号もしくは電力等を授受するための電気信号線又はコード類等がエンジンケース100内の適所に引き回されると共に、船外機10の運転に必要な補機類が配設される。そして、これらの配管系等を介して、あるいは補機類が作動して、船外機10の適正な運転が遂行される。
【0043】
前述したようにエンジンユニット11はエンジンマウント43を介して、フレーム16に搭載支持される。ここで、フレーム16は具体的には図11に示されるように左右のサイドフレーム46、船幅方向で凹部103に略対応するインナフレーム47、前部のフロントフレーム48、後部のリヤフレーム49、上部のアッパフレーム50及び下部のロアフレーム51等を含み、パイプ材及び板材、更には厚肉部により構成される。これらの部材は溶接、ボルト結合等によって組み合わされ、相互に結合される。
【0044】
ケース本体101の後面側に形成された凹部103に対応して、ケース本体101内側のフレーム16も凹状に形成される。この場合、リヤフレーム49やロアフレーム51の凹部103対応する部位を下方に延長し、あるいは斜めに傾斜させることで、図11から分かるようにトラス構造を有する。図13等を参照してスイベルブラケット39の下部において、その左右両側には推進機15がチルト動作する際にケース本体101側に接触するようにしたパッド52が付設される。一方、フレーム16のトラス構造部位には、パッド52に対応するパッド53が付設される。これらのパッド52,53を設けることで、推進機15を左右両側からガイドするようにしている。
【0045】
前述したようにスイベルブラケット39はベアリング40を介して、フレーム16に回動可能に支持される。また、フレーム16の後部には図11に示したように、スイベルブラケット39を回動可能に支持するためのベアリング40が装着されるメインブラケット44が取付支持される。フレーム16の後部中央には、メインブラケット44を取り付けるための一対のドーナツ状フランジ部54が設けられている。図11においてはケース本体101は図示されていないが、メインブラケット44とフランジ部54の間に挟まれるようにケース本体101、より具体的には凹部103の側壁が介在する。
【0046】
メインブラケット44は平面視(図11等)でコ字状に形成され、コ字の左右両辺部にベアリング40を装着するベアリングハウジング55(軸受部)を有する。このようにメインブラケット44は左右のベアリングハウジング55を含めて、全体としてコ字状に一体成形されるので、高い剛性でスイベルブラケット39を支えることができる。従って、急旋回や旋回中のチルト(トリム)操作が滑らかに且つ短い時間で行えるようになる。
【0047】
ここで、図14はスイベルブラケット39を介して支持される、中間減速機35から推進機15へと至る動力伝達経路に沿った構成例を示している。スイベルブラケット39の左右両肩部には、チルト軸Tと同軸とした中空円筒状のチルト懸架部56が形成されている。このチルト懸架部56にはベアリング40が装着され、ベアリング40が更に上述のように両側からベアリングハウジング55内に嵌着される。このようにスイベルブラケット39はチルト懸架部56にて、ベアリング40を介してチルト軸Tのまわりに回動可能に支持され、これによりスイベルブラケット39全体が円滑にチルト動作することができる。
【0048】
また、各チルト懸架部56の内部にはチルト軸Tと同軸に、中間減速機35に対する一対の入力軸57がベアリング58を介して回転自在に支持される。入力軸57の一端側には、ユニバーサルジョイント37を介してタイロッド34が連結される。また、各入力軸57の他端側には、ピニオンギアであるベベルギア59が取り付けられる。一方、スイベルブラケット39と一体的に結合するドライブシャフトケース38内にはドライブシャフト60が回転可能に挿通支持されており、ドライブシャフト60の上端に取り付けられたベベルギア61がベアリング62を介して回転自在に支持される。ベベルギア61は、相互に対向配置されたベベルギア59双方に噛合する。このように中間減速機35において、タイロッド34から入力軸57へ入力された動力は、ベベルギア59及びベベルギア61を介してドライブシャフト60へ伝達され、これによりドライブシャフト60が回転駆動される。
【0049】
ドライブシャフト60は更に、推進機15内部を貫通してギアケース41まで延出し、その下端には、ピニオンギアであるベベルギア63が取り付けられる。ギアケース41内にはプロペラ42を取り付けたプロペラシャフト64が回転可能に支持されており、このプロペラシャフト64に取り付けられたベベルギア65がベベルギア63と噛合する。前述のようにギアケース41内のベベルギア63及びベベルギア65により最終減速機66が構成され、このように中間減速機35から最終減速機66へ至る動力伝達系を経てプロペラ42が回転させるようになっている。
【0050】
更に図15は、中間減速機35まわりの詳細な構成例を示している。スイベルブラケット39を支持するためのベアリング40に対して、チルト軸T方向のスラストベアリング67(スイベル水平軸スラストベアリング)が隣接配置される。これにより例えば船体1の旋回中等においてスイベルブラケット39に対して横力が働いている際にも、円滑且つ適正なチルト動作が保証される。
【0051】
ユニバーサルジョイント37と入力軸57とはスプライン68を介して結合する。ユニバーサルジョイント37の軸部37aの外周に形成されたスプライン(図示せず)と、入力軸57の内孔57aに形成されたスプライン68とが係合し、このスプライン係合により両者は回転方向には相互に固定で、軸方向には所定ストローク相対移動可能に接続される。入力軸57自体はスイベルブラケット39側に装着されるが、この入力軸57とスプライン係合を介して接続するユニバーサルジョイント37は、単独で分離可能である。例えば装置メンテナンス、あるいは組付け・組立て等のユニバーサルジョイント37を中間減速機35に簡単且つ的確に着脱することができる。
【0052】
入力軸57を支持する一対のベアリング58は、この例ではテーパローラベアリングを使用する。各入力軸57において2つベアリング58それぞれのインナレース58a同士間には、スペーサ69が介挿され、即ち2つのインナレース58aはインナレース58aを介して間接的に突き当て状態となっている。また、2つのうち外側のベアリング58のアウタレース58bはスラストストッパ70で支えられている。このスラストストッパ70の外周にはネジ部(雄ネジ)が形成されており、スイベルブラケット39に形成されているネジ部(雌ネジ)と螺合するようになっている。なお、内側ベアリング58のアウタレース58bはスイベルブラケット39にと直接接触する。このように中間減速機35に対する入力軸57、即ち動力伝達系における水平ドライブ軸は、スイベルブラケット39のチルト軸Tと同軸に回転自在に支持される。この場合、入力軸57の端面が、スイベルブラケット39のチルト懸架部56の端面よりも内側になるように配置される。
【0053】
入力軸57の先端部にはテーパ71が形成されると共に、ベベルギア59にはテーパ71と嵌合するテーパ72を有する内孔が形成されている。また、入力軸57の先端にはネジ部57bが形成されており、このネジ部57bにはナット73が螺着するようになっている。ベベルギア59はナット73を締め付けることで、入力軸57に対して強固に締着固定される。ベベルギア59と噛合するベベルギア61は、ベアリングハウジング74に装着されたベアリング62により支持される。本実施形態においてベベルギア59及びベベルギア61としてはスパイラルベベルギアを使用し、強度を確保しつつ高い静粛性も確保することができる。
【0054】
ドライブシャフト60の上端にはブッシュ75が嵌合し、このブッシュ75を介してベベルギア61が取り付けられる。この場合、ドライブシャフト60の外周に形成されたスプライン(図示せず)と、ブッシュ75の内孔に形成されたスプライン76とが係合し、つまりドライブシャフト60はその上端にてベベルギア61と伴に、ベアリング62により支持される。ここで、ドライブシャフトケース38内には図14を参照して、後述するようにドライブシャフト60と同軸なドライブシャフトハウジング77が回転自在に支持され、このドライブシャフトハウジング77内をドライブシャフト60が貫通する。ドライブシャフトハウジング77の下部にはロアケース78が結合する。なお、ロアケース78の下部にはギアケース41が設けられている。ドライブシャフト60の下端は、ベアリング79を介してロアケース78に回転自在に支持される。
【0055】
ドライブシャフトハウジング77は概して筒状に形成され、その上端と下端付近にてそれぞれベアリング80,81を介してドライブシャフトケース38、即ちスラストブラケット39に回転可能に支持される。ドライブシャフトハウジング77は前述のようにロアケース78が一体的に結合し、図14に示すステアリング機構82の作動によりドライブシャフトハウジング77及びロアケース78がステアリング軸Sのまわりに回動してステアリング動作が行われる。更に、ドライブシャフトハウジング77の上端には図14及び図15に示されるように、スラスト受け83が配置される。また、スラスト受け83の上下にはベアリング84,85が装着されると共に、ドライブシャフトハウジング77の下部付近にはベアリング86が装着され、これらのスイベル垂直軸スラストベアリングによりスラスト方向荷重を受けるようにしている。
【0056】
スイベルブラケット39の上部に配置構成される減速機35内には上述のように、対向配置された一対のベベルギア59とこれらに噛合するベベルギア61が収容される。減速機35の上端にはカバー87が複数のボルト88により着脱可能に取り付けられている。カバー87と外すことで簡単に減速機35内のギア類の組立、歯当たり調整が行うことができる。
【0057】
本発明の船外機10の基本的作動において、エンジンケース100の内部に並置された2基のエンジンユニット11の出力は動力伝達機構14を経て、エンジンケース100の外部に配置された推進機15へと伝達される。より具体的にはエンジンユニット11が始動すると、その動力は先ず減速機32へ入力され、次にその出力端からユニバーサルジョイント36を介してタイロッド34へ伝達される。エンジン動力は更に、タイロッド34から中間減速機35へ伝達されるが、中間減速機35において入力軸57からベベルギア59及びベベルギア61を介してドライブシャフト60へ伝達され、これによりドライブシャフト60が回転駆動される。ドライブシャフト60の駆動力はギアケース41内の最終減速機66において、ベベルギア63及びベベルギア65を介してプロペラシャフト64、更にプロペラ42へと伝達され、これによりプロペラ42が回転する。
【0058】
次に、本発明の特徴的な構成及びその作用効果等について説明すると先ず、推進機15を支持するスイベルブラケット39内で2基のエンジンユニット11の動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて推進機15へ出力されるようにしている。
【0059】
具体的には2基のエンジンユニット11の動力は左右一対のタイロッド34から中間減速機35に入力され、中間減速機35において左右一対の入力軸57からベベルギア63及びベベルギア65を介してプロペラシャフト64へ伝達される。最終出力端であるプロペラ42から2基のエンジンユニット11が等距離にあり、即ち対等関係である。このため、どちらか一方のエンジンユニット11に負荷もしくは負担が偏ることがなく、2基のエンジン11全体としてバランスのとれた円滑作動が保証される。
【0060】
また、スイベルブラケット39の円筒状のチルト懸架部56において、その円筒外側にチルト軸受であるベアリング40を配置すると共に、その円筒内側にスイベル水平軸方向の入力軸57の入力軸受であるベアリング58を配置する。そして、チルト軸Tと入力軸57の中心を一致させている。
【0061】
このようにチルト軸Tと入力軸57を同軸にすることで、チルト角(トリム)を変化させても、入力軸57の軸心が固定のままなので、チルト角を大きく設定できる。ちなみに船内機や船内外機では入力軸(もしくはドライブ軸)とチルト軸が一致していないので、ユニバーサルジョイントで許容された範囲しかチルト角を設定できない。また、一般の船外機はエンジンと推進機の全体をチルト(トリム)させるので、チルト角自体は大きく設定できるものの、チルトさせる対象構造体が大きく且つ重く、それに対応して大きなチルト駆動装置が必要になり、その慣性モーメントが大きくなるため、大きな衝撃吸収装置が必要となる。本発明ではチルトの対象構造体が、チルト懸架部57により懸架される部分だけであるから、チルト作動のための負荷が小さいことで円滑作動を実現され、大掛かりなチルト駆動装置が不要となるので、船外機10を実質的に小型コンパクトに構成することが可能になる。
【0062】
また、スイベル水平軸方向の入力軸57とスイベル垂直軸方向の出力軸であるドライブシャフト60が、直交して噛合する傘歯車、即ちベベルギア59及びベベルギア61を介して相互に結合する。
【0063】
このように二つの入力軸57の動力を一つに統合する動力連結とするが、ピニオンギアである一対のベベルギア59が対向して噛み合っているため、それらの回転方向は互いに逆向きとなる。動力連結装置の作動上、ドライブシャフト60側からの反力がチルト軸まわりに発生するが、上記のようにそれぞれの回転方向が逆なので、互いにキャンセルして全体では該反力がチルト軸まわりに発生しない。仮にプロペラ42が外部と衝突したとしても、ドライブシャフト60上にはトルク反力が発生するが、チルト反力は実質的に発生しない。これにより装置に対する高い安全性を確保することができる。
また、それぞれのエンジンユニット11はプロペラ42から等距離にあるため、駆動時にもトルク反力時にも負荷が均等である。従って、同一エンジンを同一メンテナンスとすれば良いので廉価で長寿命である。
【0064】
また、スイベル垂直軸方向の出力軸であるドライブの軸受、即ちベアリング62が深溝玉軸受である。
深溝玉軸受にあっては与圧構造となっていないので、構造が簡単且つ廉価である。
また、ピニオンギアである一対のベベルギア59が対向する位置に配置されるので、それらに噛合するベベルギア61がトルクの増減に伴う反力によって傾くことがない。更に、与圧構造でなくとも、歯当たりが変化しない。
【0065】
また、スイベル水平軸方向の入力軸57の端面が、スイベルブラケット39のチルト懸架部56の端面よりも内側になるように配置し、入力軸57の内孔57aにスプライン68を形成している。
【0066】
入力軸57の端面がスイベルブラケット39のチルト懸架部56から突出することがなく、これにより組立てに際して、スイベルブラケット39を含む推進機構全体をエンジンケース100の外側からスライドして、後付できる。その後、ユニバーサルジョイント36を入力軸57の内孔57aのスプライン68に係合させることで、動力連結装置を組み立てることができ、組立性に極めて優れている。
【0067】
また、スイベルブラケット39の上端にはカバー87を設け、該カバー87がボルト88で締着固定される。
カバー87を外すことで、減速機35内部を開放することにより、その構成部材、即ちベベルギア61とドライブシャフト60、ベベルギア59と入力軸57の組立等が簡単且つ的確に行うことができる。
【0068】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上記実施形態において入力軸57やドライブシャフト60等の複数の回転軸を支持する複数のベアリングもしくは軸受を用いるが、その数量や形式等はそれらの回転軸に付与される荷重の大きさや種類等に応じて適宜選択し得る。
【符号の説明】
【0069】
1 船体、2 トランサムボード、3 船床、6 貫通孔、7 船底、10 船外機、11 エンジンユニット、12 吸気系、13 排気系、14 動力伝達機構、15 推進機、16 フレーム、17 クランクケース、18 シリンダブロック、19シリンダヘッド、20 シリンダヘッドカバー、21 オイルパン、22 エアクリーナ、23 インテークマニホールド、24 インテークパイプ、25 吸気管、26 エキゾーストマニホールド、27 エキゾーストパイプ、28 排気ホース、29 マフラ、30 排気ホース、31 排気出口、32 減速機、33 ケーシング、34 タイロッド、35 中間減速機、36,37 ユニバーサルジョイント、38 ドライブシャフトケース、39 スイベルブラケット、40 ベアリング、41 ギアケース、42 プロペラ、43 エンジンマウント、44 メインブラケット、45 トランサムボルト、46 サイドフレーム、47 インナフレーム、48 フロントフレーム、49 リヤフレーム、50 アッパフレーム、51 ロアフレーム、52,53 パッド、54 フランジ部、55 ベアリングハウジング、56 チルト懸架部、57 入力軸、58 ベアリング、59 ベベルギア、60 ドライブシャフト、61 ベベルギア、62 ベアリング、63 ベベルギア、64 プロペラシャフト、65 ベベルギア、66 最終減速機、67 スラストベアリング、68 スプライン、69 スペーサ、70 スラストストッパ、71 テーパ、73 ナット、74 ベアリングハウジング、75 ブッシュ、76 スプライン、77 ドライブシャフトハウジング、78 ロアケース、79 ベアリング、82 ステアリング機構、83 スラスト受け、87 カバー、100 エンジンケース、101 ケース本体、102 ケースカバー、103 凹部、104 貫通孔、105 ヒンジ、106 シール、107 ロック機構、108 油圧ダンパ、109 自在軸受。
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機において動力源であるエンジンから最終出力端であるプロペラに至る動力伝達系の途中に配置構成される動力連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶もしくは舟艇の推進機関あるいは推進システムの主なものとして船外機、船内外機及び船内機等がある。このうち船外機はアウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジン、その捕機類、駆動系のギアやシャフト及びスクリュー等が一体化して構成されており、一般には船体船尾のトランサムボードに搭載される。典型的には小型の舟艇等に搭載され、ステアリング機能とチルティング機能を有している。
【0003】
また、船内外機は、小型船舶等の推進機関の設置方法として、インボードエンジン・アウトボードドライブ等と呼ばれ、エンジンを船内船尾部に搭載すると共に減速ギア、前後進クラッチ及びプロペラ等を一体化してなるドライブユニットをトランサムボードの外部に配置したものである。
【0004】
高出力化等を図るべく2基以上の複数のエンジンを搭載する場合があり、この場合特に2基のエンジンそれぞれから推進機へと至る動力伝達系の連結構造において工夫がなされている。例えば特許文献1に記載の船外機では、上流側と下流側のエンジン2基を直列に繋いでいる。また、特許文献2のものでは、2基のエンジンがクラッチハウジングを介して直接結合されている。更に特許文献3のものでは、2基のエンジンがユニバーサルジョイントで連結されており、このためエンジン振動が連結部に直接加わることはない。また、遊星歯車を介して連結されているため、エンジン負荷が異なる状態でも滑らかに連結できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−24399号公報
【特許文献2】特開平4−317888号公報
【特許文献3】特開平6−336936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の船外機では2基の上流側エンジンと下流側エンジンの負荷が異なり、下流側エンジンは上流側エンジンからの入力に加えて、自身の出力に耐えるように設計する必要があるため、下流側のエンジンはその強度を上流側エンジンよりも強くしなければならない。また、下流側エンジンのクランクシャフトは入力端と出力端が必要になるため、構造的に上流側エンジンと共通にできない。このためエンジンを2基搭載しているものの、共通化や部品削減、設計あるいは試験工数削減等の利点を得るのが実質的に難しい。
【0007】
また、特許文献2に記載のものでは、2基のエンジンがクラッチハウジングを介して直接結合されているため、負荷やエンジンスピード毎に変化するエンジン振動が解放され難く、動力連結部に加わってしまう。従って、大きく重い連結部(トランスミッション)が必要になる。
【0008】
更に、特許文献3に記載のものでは、エンジン2基を直列に船軸に沿って縦方向に並べた船内機に特化した方式であり、結果として船体内に大きなエンジンスペースが必要になり、エンジンを船外に配置した船外機(又は船内機を含む)に適用できるものではなかった。いずれの方式でもエンジンを縦に並べてあるため、前方エンジンの位置は船体中央近くとなり、居住空間や積載空間が狭くなるという問題があった。
【0009】
本発明はかかる実情に鑑み、2基のエンジンをバランンスよく、且つ効率的に搭載可能な船外機の動力連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の船外機の動力連結装置は、エンジンケース内部に2基のエンジンが並置されると共に、該エンジンケース外部に前記エンジンによって駆動される推進機を備えた船外機において、前記推進機を支持するスイベルブラケット内部で前記2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて前記推進機へ出力されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベルブラケットのスイベル水平軸方向に円筒状のチルト懸架部を有し、その円筒外側にチルト軸受を配置すると共に、その円筒内側にスイベル水平軸方向の入力軸の入力軸受を配置し、チルト軸と該入力軸の中心を一致させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベル水平軸方向の入力軸とスイベル垂直軸方向の出力軸が、直交して噛合する傘歯車を介して相互に結合されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベル垂直軸方向の出力軸の軸受が深溝玉軸受けとしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベル水平軸方向の入力軸の端面が、前記スイベルブラケットのチルト懸架部の端面よりも内側になるように配置され、前記入力軸の内孔にスプラインを形成したことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の船外機の動力連結装置において、前記スイベルブラケットの上端にはカバーを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、並置された2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて推進機へと出力される。最終出力端であるプロペラから2基のエンジンが等距離にあるため、どちらか一方のエンジンに負荷もしくは負担が偏ることがなく、2基のエンジン全体としてバランスのとれた円滑作動が保証される。
【0017】
また、特にチルト軸と入力軸の中心を一致させることで、チルトの対象構造体がチルト懸架部以下の部分だけとなる。これによりチルト作動のための負荷が小さいことで円滑作動を実現され、大掛かりなチルト駆動装置が不要となるので、船外機を実質的に小型コンパクトに構成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る船外機を搭載した船舶もしくは舟艇の例を示す斜視図である。
【図2】本発明の船外機の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の船外機の外観を示す後面図である。
【図4】本発明の船外機の外観を示す側面図である。
【図5】本発明の船外機の外観を示す前面図である。
【図6】本発明の船外機におけるエンジンケース内部の構成例を示す斜視図である。
【図7】本発明の船外機におけるエンジンケース内部の主要構成の分解斜視図である。
【図8】本発明の船外機のエンジンユニットの構成及び配置例を示す斜視図である。
【図9】本発明の船外機の吸排気系の構成及び配置例を示す斜視図である。
【図10】本発明の船外機の動力伝達機構の構成及び配置例を示す斜視図である。
【図11】本発明の船外機のフレームの構成及び配置例を示す斜視図である。
【図12】本発明の船外機のエンジンケースにおけるケースカバー開成状態を示す斜視図である。
【図13】本発明の船外機におけるスイベルブラケットのガイド機構まわりを示す部分斜視図である。
【図14】本発明の船外機の動力連結装置まわりの構成例を示す縦断面図である。
【図15】本発明の船外機の動力連結装置の要部構成例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明における船外機の動力連結装置の好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る船外機10を搭載した船舶もしくは舟艇の例を示している。この例では船舶は典型的には中小型とし、船体1の後部にトランサムボード2(船尾板)有するものとする。船外機10は図示のようにトランサムボード2を利用して搭載される。なお、以下で参照する各図の要所において、前方(船首側)を矢印Frにより、後方(船尾側)を矢印Rrによりそれぞれ示す。また、必要に応じて船体の左右方向(船幅方向)をそれぞれ矢印L、矢印Rにより示す。
【0020】
ここで先ず本実施形態に係る船体1において、図1のように船体1の底部に船床3が敷設され、この船床3の後端にトランサムボード2が配置される。船床3の中央部付近において操縦席4が設けられ、操縦席4にはハンドル5を始めとする操縦に必要な装置及び機器類、計器類等が配設される。船外機10は動力、推進機、転舵装置及びチルト装置等が一体的に装備され、所謂オールインワンタイプとして構成され、船体1側に燃料タンク、バッテリ等の通常の備品があれば運転可能である。
【0021】
なお、船舶としてこの図示例のものに限定されず、その他トランサムボードの後側に船外機搭載用のブラケット等を具備した船体もあり、つまり船体の船尾に船尾板又はこれに相当する部位もしくは部材を有するタイプのものに対して、本発明の船外機10は有効に適用可能である。
【0022】
図2〜図5は船外機10の外観を示し、図2は船外機10の斜視図、図3は後面図、図4は側面図及び図5は前面図である。船外機10は樹脂製エンジンケース100を有し、このエンジンケース100内部に後述する動力源であるエンジンユニットを収容すると共に、エンジンケース100の後部下方にスクリュー(プロペラ)を配置し、エンジンユニットによってスクリューを回転駆動する。エンジンケース100は船外機10の外観を構成する外装部材としても機能し、全体として一体感のある外観を呈している。
【0023】
エンジンケース100は図1をも参照して、船体1の船尾部(典型的にはトランサムボード2とする)と略同一の幅を有する筐体として構成される。この例ではエンジンケース100の基本的な形態は概略直方体とし、該直方体の長手方向が船幅方向としている。エンジンケース100はエンジンユニット及びその周辺部品もしくは部材を収容するケース本体101と、ケース本体101の上部開口101a(図12参照)を覆うケースカバー102とを有する。
【0024】
エンジンケース100内に収容されるエンジンユニット及びその周辺部品等について説明する。本発明の船外機10はそのパワーユニットとして内燃機関を主動力とし、これを作動させて推進機を駆動する。図6は船外機10におけるエンジンケース100内部の構成例を示し、図7はエンジンケース100内の主要構成の分解斜視図である。エンジンケース100内において、パワーユニットを構成するエンジンユニット11が、コンパクト且つ重量バランス良く配置収容される。この実施形態では2基のエンジンユニット11を有し、その筐体の長手方向が船幅方向としたエンジンケース100の左右に、一対のエンジンユニット11がセンタ振分けで配置される。各エンジンユニット11には、吸気系12及び排気系13が接続されると共に、それぞれの出力端(クランクシャフト)に動力伝達機構14が連結される。動力伝達機構14はエンジンユニット11の後側にて左右方向中央部で推進機15と結合し、これらの船外機構成部材が図7のようにフレーム16上に搭載支持される。
【0025】
更に具体的に説明すると、エンジンユニット11において、この例では水冷式直列4気筒4サイクルガソリンエンジンを使用する。なお、エンジン気筒数等は必要に応じて適宜変更可能であり、この例に限定されるものではない。図8を参照して、エンジンユニット11においてクランクケース17、シリンダブロック18、シリンダヘッド19及びシリンダヘッドカバー20が順次重なるように一体的に結合し、最下部にオイルパン21が付設される。各エンジンユニット11のクランクシャフトは船幅方向(左右方向)に沿って配置され、その軸端に結合するエンジン出力軸が左右両外側に位置するように配置され、即ち右側のエンジンユニット11のエンジン出力軸は右側に、左側のエンジンユニット11のエンジン出力軸は左側となるように配置される。
【0026】
次に吸気系12において、図6に示すようにエンジンユニット11相互間に単一のエアクリーナ22が配置される。一方、図8に示されるように右側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の前側に、及び左側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の後側にそれぞれインテークマニホールド23が結合し、これらのインテークマニホールド23とエアクリーナ22との間がそれぞれインテークパイプ24を介して接続される。エアクリーナ22の前面部からエンジンケース100前部の船体1側まで吸気管25が延出し(図9参照)、その先端の空気取込み口から空気を取り込むようになっている。空気取込み口は、船体1において波、しぶき及び雨等に曝されることがない部屋もしくはスペースに設置される。図8に示されるように各エンジンユニット11において、単一の吸気管25から複数(この例では4つ)のインテークマニホールド23に分岐する。
【0027】
排気系13において、図7等に示されるように右側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の後側に、及び左側のエンジンユニット11のシリンダヘッド19の前側にそれぞれエキゾーストマニホールド26が結合し、それらは単一のエキゾーストパイプ27に接続する。エキゾーストパイプ27には排気ホース28が接続され、排気ホース28にはマフラ29が接続される。このマフラ29には排気ホース30が接続され、この排気ホース30に取り付けられた排気出口31から排気ガスが排出されるようになっている。
【0028】
マフラ29は、エンジンケース100のケース本体101の下面外側に設置される。この場合、マフラ29及び排気ホース30等はケース本体101の下面から実質的に突出しないように配置されると共に、ケース本体101の後面左右両側の下部付近に配置された排気出口31から左右バランス良く水中に排気される。
【0029】
動力伝達機構14はエンジンユニット11の出力を推進機15へと伝達する。動力伝達機構14において、左右のエンジンユニット11のエンジン出力軸には図10に示されるように減速機32が連結される。減速機32のケーシング33内に回転自在に軸支されたギア群を有し、その出力軸にタイロッド34が連結される。左右のタイロッド34は相互に同心且つ水平で左右方向に配置され、左右中央部で中間減速機35と連結する。各タイロッド34は両端でそれぞれユニバーサルジョイント36,37を介して、減速機32及び中間減速機35と連結する。
【0030】
本実施形態において中間減速機35は、それぞれタイロッド34に連結する一対の入力側ベベルギアとこれらの入力側ベベルギアに噛合する出力側ベベルギアとを含む。出力側ベベルギアは、ドライブシャフトケース38内のドライブシャフトと連結し、中間減速機35、ドライブシャフトケース38及びスイベルブラケット39が、相互に一体的に結合する。ドライブシャフトは中間減速機35から下方へ延出する。これらのスイベルブラケット39等はベアリング40を介して、後述するようにケース本体101に回動可能に支持される。
【0031】
推進機15は図10等に示されるように、ドライブシャフトケース38の下方に配置される。推進機15は、プロペラ駆動用のギアを内蔵するギアケース41を含み、全体としてフィン状を呈する。ギアケース41の後端部にはプロペラ42が装架される。ドライブシャフトはドライブシャフトケース38内を通って更に下方へ延出し、ギアケース41内まで延設される。ギアケース41内には最終減速機が構成され、この最終減速機を介してプロペラ42を回転駆動することができる。
【0032】
更に、推進機15に対するチルト機構及びステアリング機構を備えている。これらについての詳細な説明はここでは省略するが、先ずチルト機構により、中間減速機35、ドライブシャフトケース38及び推進機15全体がチルト軸のまわりに上下方向に回動可能である。チルト軸Tはタイロッド34と同軸に設定され、図10の矢印Aで示すように推進機15はチルト軸Tのまわりにチルト動作することができる。なお、チルト機構において所謂、パワートリムチルト(PTT)等と称する駆動装置を備え、電動油圧式のチルト機構が構成されるものであってよい。
【0033】
また、ステアリング機構により、図10の矢印Bで示すように推進機15はステアリング軸Sのまわりにヨー方向(左右方向)に回動可能である(ヨーイング)。このステアリング機構において、例えば電動油圧式に油圧駆動されるステアリングシリンダを有し、油圧ポンプを油圧源としてステアリングロッドに沿って往復動させることで推進機15が左右方向に回動、即ちステアリング動作することができる。
【0034】
上述した船外機10の主要構成部材は図6のようにフレーム16上に搭載支持される。フレーム16は鋼管等の材料を用いて、図11に示されるようにエンジンケース100を構成する筐体の直方体に略沿った外形となるように形成される。フレーム16の所定部位にはエンジンユニット11を搭載支持するための複数のエンジンマウント43が配設され、これらのエンジンマウント43を介してエンジンユニット11がフレーム16上に取り付けられる。また、フレーム16の後部には、前述したスイベルブラケット39等を支持するためのベアリング40が装着されるメインブラケット44が取り付けられる。
【0035】
更に、フレーム16の前面部には複数のトランサムボルト45が前方に向けて取り付けられる。フレーム16にはエンジンユニット11を始めとする船外機構成部材が搭載されるが、それらを搭載したフレーム16はエンジンケース100内に収容される。トランサムボルト45はそのようなエンジンケース100のケース本体101の前面部を貫通してトランサムボード2に締結され、これによりエンジンケース100全体をトランサムボード2に締着固定することができる。なお、ケース本体101から突出するトランサムボルト45にはシールもしくはパッキン等が装着され、水密性が確保される。
【0036】
前述のようにエンジンケース100は、エンジンユニット11やその周辺部品を収容するケース本体101と、ケース本体101の上部開口101aを覆うケースカバー102とを有する。ケース本体101に対してケースカバー102が閉じることでエンジンケース100内は実質的に密閉空間となり、高い水密性が確保される。この場合、船外機10の構成部材はフレーム16によって支持され、フレーム16はエンジンユニット11を保持すると共に推進機15の推進力や操舵力を受け持ち、即ちエンジンケース100自体にはそれらの負荷荷重がかからない。また、エンジンケース100は図1に示されるように船外機10の外装部材としても機能し、船外機10に搭載されて全体として一体感の外観を呈する。
【0037】
図2〜図4等に示されるようにケース本体101の後面側において、その後面部から底面部へかけての領域において、船幅方向中央部にはケース本体101の内方へ凹むように形成された凹部103が設けられている。この凹部103まわりには、推進装置を構成する推進機15やそのチルト及びステアリング機構等が配設される。凹部103はケース本体101の後面側から前方へ向けて形成されるが、チルト機構及びステアリング機構あるいはそれらの周辺機器や部材等がチルトあるいはステアリング動作する際にケース本体101と干渉しないように必要且つ十分な間隙が設けられている。
【0038】
前述したように船体1側には燃料タンク、バッテリ等の備品が配備され、これらの備品と船外機10とが接続もしくは連結される。この場合、図5に示すようにケーシング101の前面部とトランサムボード2との間で穴を共あけするかたちで、複数の貫通孔104が形成されている。即ち、エンジンに燃焼用空気を供給するための吸気管25を挿通させるための貫通孔104A、燃料タンクからエンジンに燃料を供給するための燃料パイプを挿通させるための貫通孔104B、エンジンケース100内を換気するための換気空気用筒体を通すための貫通孔104C等が形成される。更に、エンジンケース100内の装置もしくは機器類又は部材と船体1側の操縦装置との間を、電気的(制御信号等を含む)あるいは機械的に接続するコード又はケーブル類を挿通させるための貫通孔104Dが形成される。なお、これらの貫通孔104には吸気管25等の実装時に水密保持手段(シール等)が施される。
【0039】
ケースカバー102はエンジンケース100の上面部を構成するが、図2あるいは図3に示されるようにケース本体101の後部上端付近にてヒンジ105を介して回動可能に結合する。図12のようにケースカバー102をヒンジ105のまわりに回動させて開成することで、エンジンケース100内部が開放され、これにより露呈したエンジンケース100内部のエンジンユニット11等に自由にアクセス可能となる。ケースカバー102を開けて内部の点検等を容易に行うことができ、この種の作業の利便性を向上することができる。
【0040】
ケース本体101とケースカバー102の閉合部もしくは合せ面には、図12に示されるようにシール106が敷設され、ケースカバー102をケース本体101に対して閉めることでエンジンケース100の高い水密性が確保・保持される。この場合、シール106は、ケース本体101及びケースカバー102の合せ面に沿って全周に亘って敷設される。そして、ケースカバー102が閉まった際にはケース本体101の閉合部との間に挟着され、これによりエンジンケース100に対する高い水密性が得られる。また、ケースカバー102をケース本体101に対して閉じた際、ケースカバー102をその閉合状態に固定保持する図12に示されるようなロック機構107を有している。
【0041】
また、ケースカバー102をその開き状態に保持可能な保持機構を有し、図12のようにケース本体101に対してケースカバー102を開いた状態に保持することができる。保持機構の具体的構成において、図12のようにケース本体101の開口部101a付近に油圧ダンパ108が配置される。この油圧ダンパ108は、ケースカバー102とフレーム16との間に結合される。ここで図11を参照して、フレーム16の上部後方において左右一対の支持アーム16aを備え、各油圧ダンパ108の一端が、自在軸受109を介して支持アーム16aに連結支持される。油圧ダンパ108の他端は同様に、自在軸受を介してケースカバー102の裏側に連結される。
【0042】
上記の場合、上述した船外機10の構成部材の他に、エンジンユニット11の冷却配管系、チルト機構及びステアリング機構の駆動用の油圧配管系あるいは部材相互間等で電気信号もしくは電力等を授受するための電気信号線又はコード類等がエンジンケース100内の適所に引き回されると共に、船外機10の運転に必要な補機類が配設される。そして、これらの配管系等を介して、あるいは補機類が作動して、船外機10の適正な運転が遂行される。
【0043】
前述したようにエンジンユニット11はエンジンマウント43を介して、フレーム16に搭載支持される。ここで、フレーム16は具体的には図11に示されるように左右のサイドフレーム46、船幅方向で凹部103に略対応するインナフレーム47、前部のフロントフレーム48、後部のリヤフレーム49、上部のアッパフレーム50及び下部のロアフレーム51等を含み、パイプ材及び板材、更には厚肉部により構成される。これらの部材は溶接、ボルト結合等によって組み合わされ、相互に結合される。
【0044】
ケース本体101の後面側に形成された凹部103に対応して、ケース本体101内側のフレーム16も凹状に形成される。この場合、リヤフレーム49やロアフレーム51の凹部103対応する部位を下方に延長し、あるいは斜めに傾斜させることで、図11から分かるようにトラス構造を有する。図13等を参照してスイベルブラケット39の下部において、その左右両側には推進機15がチルト動作する際にケース本体101側に接触するようにしたパッド52が付設される。一方、フレーム16のトラス構造部位には、パッド52に対応するパッド53が付設される。これらのパッド52,53を設けることで、推進機15を左右両側からガイドするようにしている。
【0045】
前述したようにスイベルブラケット39はベアリング40を介して、フレーム16に回動可能に支持される。また、フレーム16の後部には図11に示したように、スイベルブラケット39を回動可能に支持するためのベアリング40が装着されるメインブラケット44が取付支持される。フレーム16の後部中央には、メインブラケット44を取り付けるための一対のドーナツ状フランジ部54が設けられている。図11においてはケース本体101は図示されていないが、メインブラケット44とフランジ部54の間に挟まれるようにケース本体101、より具体的には凹部103の側壁が介在する。
【0046】
メインブラケット44は平面視(図11等)でコ字状に形成され、コ字の左右両辺部にベアリング40を装着するベアリングハウジング55(軸受部)を有する。このようにメインブラケット44は左右のベアリングハウジング55を含めて、全体としてコ字状に一体成形されるので、高い剛性でスイベルブラケット39を支えることができる。従って、急旋回や旋回中のチルト(トリム)操作が滑らかに且つ短い時間で行えるようになる。
【0047】
ここで、図14はスイベルブラケット39を介して支持される、中間減速機35から推進機15へと至る動力伝達経路に沿った構成例を示している。スイベルブラケット39の左右両肩部には、チルト軸Tと同軸とした中空円筒状のチルト懸架部56が形成されている。このチルト懸架部56にはベアリング40が装着され、ベアリング40が更に上述のように両側からベアリングハウジング55内に嵌着される。このようにスイベルブラケット39はチルト懸架部56にて、ベアリング40を介してチルト軸Tのまわりに回動可能に支持され、これによりスイベルブラケット39全体が円滑にチルト動作することができる。
【0048】
また、各チルト懸架部56の内部にはチルト軸Tと同軸に、中間減速機35に対する一対の入力軸57がベアリング58を介して回転自在に支持される。入力軸57の一端側には、ユニバーサルジョイント37を介してタイロッド34が連結される。また、各入力軸57の他端側には、ピニオンギアであるベベルギア59が取り付けられる。一方、スイベルブラケット39と一体的に結合するドライブシャフトケース38内にはドライブシャフト60が回転可能に挿通支持されており、ドライブシャフト60の上端に取り付けられたベベルギア61がベアリング62を介して回転自在に支持される。ベベルギア61は、相互に対向配置されたベベルギア59双方に噛合する。このように中間減速機35において、タイロッド34から入力軸57へ入力された動力は、ベベルギア59及びベベルギア61を介してドライブシャフト60へ伝達され、これによりドライブシャフト60が回転駆動される。
【0049】
ドライブシャフト60は更に、推進機15内部を貫通してギアケース41まで延出し、その下端には、ピニオンギアであるベベルギア63が取り付けられる。ギアケース41内にはプロペラ42を取り付けたプロペラシャフト64が回転可能に支持されており、このプロペラシャフト64に取り付けられたベベルギア65がベベルギア63と噛合する。前述のようにギアケース41内のベベルギア63及びベベルギア65により最終減速機66が構成され、このように中間減速機35から最終減速機66へ至る動力伝達系を経てプロペラ42が回転させるようになっている。
【0050】
更に図15は、中間減速機35まわりの詳細な構成例を示している。スイベルブラケット39を支持するためのベアリング40に対して、チルト軸T方向のスラストベアリング67(スイベル水平軸スラストベアリング)が隣接配置される。これにより例えば船体1の旋回中等においてスイベルブラケット39に対して横力が働いている際にも、円滑且つ適正なチルト動作が保証される。
【0051】
ユニバーサルジョイント37と入力軸57とはスプライン68を介して結合する。ユニバーサルジョイント37の軸部37aの外周に形成されたスプライン(図示せず)と、入力軸57の内孔57aに形成されたスプライン68とが係合し、このスプライン係合により両者は回転方向には相互に固定で、軸方向には所定ストローク相対移動可能に接続される。入力軸57自体はスイベルブラケット39側に装着されるが、この入力軸57とスプライン係合を介して接続するユニバーサルジョイント37は、単独で分離可能である。例えば装置メンテナンス、あるいは組付け・組立て等のユニバーサルジョイント37を中間減速機35に簡単且つ的確に着脱することができる。
【0052】
入力軸57を支持する一対のベアリング58は、この例ではテーパローラベアリングを使用する。各入力軸57において2つベアリング58それぞれのインナレース58a同士間には、スペーサ69が介挿され、即ち2つのインナレース58aはインナレース58aを介して間接的に突き当て状態となっている。また、2つのうち外側のベアリング58のアウタレース58bはスラストストッパ70で支えられている。このスラストストッパ70の外周にはネジ部(雄ネジ)が形成されており、スイベルブラケット39に形成されているネジ部(雌ネジ)と螺合するようになっている。なお、内側ベアリング58のアウタレース58bはスイベルブラケット39にと直接接触する。このように中間減速機35に対する入力軸57、即ち動力伝達系における水平ドライブ軸は、スイベルブラケット39のチルト軸Tと同軸に回転自在に支持される。この場合、入力軸57の端面が、スイベルブラケット39のチルト懸架部56の端面よりも内側になるように配置される。
【0053】
入力軸57の先端部にはテーパ71が形成されると共に、ベベルギア59にはテーパ71と嵌合するテーパ72を有する内孔が形成されている。また、入力軸57の先端にはネジ部57bが形成されており、このネジ部57bにはナット73が螺着するようになっている。ベベルギア59はナット73を締め付けることで、入力軸57に対して強固に締着固定される。ベベルギア59と噛合するベベルギア61は、ベアリングハウジング74に装着されたベアリング62により支持される。本実施形態においてベベルギア59及びベベルギア61としてはスパイラルベベルギアを使用し、強度を確保しつつ高い静粛性も確保することができる。
【0054】
ドライブシャフト60の上端にはブッシュ75が嵌合し、このブッシュ75を介してベベルギア61が取り付けられる。この場合、ドライブシャフト60の外周に形成されたスプライン(図示せず)と、ブッシュ75の内孔に形成されたスプライン76とが係合し、つまりドライブシャフト60はその上端にてベベルギア61と伴に、ベアリング62により支持される。ここで、ドライブシャフトケース38内には図14を参照して、後述するようにドライブシャフト60と同軸なドライブシャフトハウジング77が回転自在に支持され、このドライブシャフトハウジング77内をドライブシャフト60が貫通する。ドライブシャフトハウジング77の下部にはロアケース78が結合する。なお、ロアケース78の下部にはギアケース41が設けられている。ドライブシャフト60の下端は、ベアリング79を介してロアケース78に回転自在に支持される。
【0055】
ドライブシャフトハウジング77は概して筒状に形成され、その上端と下端付近にてそれぞれベアリング80,81を介してドライブシャフトケース38、即ちスラストブラケット39に回転可能に支持される。ドライブシャフトハウジング77は前述のようにロアケース78が一体的に結合し、図14に示すステアリング機構82の作動によりドライブシャフトハウジング77及びロアケース78がステアリング軸Sのまわりに回動してステアリング動作が行われる。更に、ドライブシャフトハウジング77の上端には図14及び図15に示されるように、スラスト受け83が配置される。また、スラスト受け83の上下にはベアリング84,85が装着されると共に、ドライブシャフトハウジング77の下部付近にはベアリング86が装着され、これらのスイベル垂直軸スラストベアリングによりスラスト方向荷重を受けるようにしている。
【0056】
スイベルブラケット39の上部に配置構成される減速機35内には上述のように、対向配置された一対のベベルギア59とこれらに噛合するベベルギア61が収容される。減速機35の上端にはカバー87が複数のボルト88により着脱可能に取り付けられている。カバー87と外すことで簡単に減速機35内のギア類の組立、歯当たり調整が行うことができる。
【0057】
本発明の船外機10の基本的作動において、エンジンケース100の内部に並置された2基のエンジンユニット11の出力は動力伝達機構14を経て、エンジンケース100の外部に配置された推進機15へと伝達される。より具体的にはエンジンユニット11が始動すると、その動力は先ず減速機32へ入力され、次にその出力端からユニバーサルジョイント36を介してタイロッド34へ伝達される。エンジン動力は更に、タイロッド34から中間減速機35へ伝達されるが、中間減速機35において入力軸57からベベルギア59及びベベルギア61を介してドライブシャフト60へ伝達され、これによりドライブシャフト60が回転駆動される。ドライブシャフト60の駆動力はギアケース41内の最終減速機66において、ベベルギア63及びベベルギア65を介してプロペラシャフト64、更にプロペラ42へと伝達され、これによりプロペラ42が回転する。
【0058】
次に、本発明の特徴的な構成及びその作用効果等について説明すると先ず、推進機15を支持するスイベルブラケット39内で2基のエンジンユニット11の動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて推進機15へ出力されるようにしている。
【0059】
具体的には2基のエンジンユニット11の動力は左右一対のタイロッド34から中間減速機35に入力され、中間減速機35において左右一対の入力軸57からベベルギア63及びベベルギア65を介してプロペラシャフト64へ伝達される。最終出力端であるプロペラ42から2基のエンジンユニット11が等距離にあり、即ち対等関係である。このため、どちらか一方のエンジンユニット11に負荷もしくは負担が偏ることがなく、2基のエンジン11全体としてバランスのとれた円滑作動が保証される。
【0060】
また、スイベルブラケット39の円筒状のチルト懸架部56において、その円筒外側にチルト軸受であるベアリング40を配置すると共に、その円筒内側にスイベル水平軸方向の入力軸57の入力軸受であるベアリング58を配置する。そして、チルト軸Tと入力軸57の中心を一致させている。
【0061】
このようにチルト軸Tと入力軸57を同軸にすることで、チルト角(トリム)を変化させても、入力軸57の軸心が固定のままなので、チルト角を大きく設定できる。ちなみに船内機や船内外機では入力軸(もしくはドライブ軸)とチルト軸が一致していないので、ユニバーサルジョイントで許容された範囲しかチルト角を設定できない。また、一般の船外機はエンジンと推進機の全体をチルト(トリム)させるので、チルト角自体は大きく設定できるものの、チルトさせる対象構造体が大きく且つ重く、それに対応して大きなチルト駆動装置が必要になり、その慣性モーメントが大きくなるため、大きな衝撃吸収装置が必要となる。本発明ではチルトの対象構造体が、チルト懸架部57により懸架される部分だけであるから、チルト作動のための負荷が小さいことで円滑作動を実現され、大掛かりなチルト駆動装置が不要となるので、船外機10を実質的に小型コンパクトに構成することが可能になる。
【0062】
また、スイベル水平軸方向の入力軸57とスイベル垂直軸方向の出力軸であるドライブシャフト60が、直交して噛合する傘歯車、即ちベベルギア59及びベベルギア61を介して相互に結合する。
【0063】
このように二つの入力軸57の動力を一つに統合する動力連結とするが、ピニオンギアである一対のベベルギア59が対向して噛み合っているため、それらの回転方向は互いに逆向きとなる。動力連結装置の作動上、ドライブシャフト60側からの反力がチルト軸まわりに発生するが、上記のようにそれぞれの回転方向が逆なので、互いにキャンセルして全体では該反力がチルト軸まわりに発生しない。仮にプロペラ42が外部と衝突したとしても、ドライブシャフト60上にはトルク反力が発生するが、チルト反力は実質的に発生しない。これにより装置に対する高い安全性を確保することができる。
また、それぞれのエンジンユニット11はプロペラ42から等距離にあるため、駆動時にもトルク反力時にも負荷が均等である。従って、同一エンジンを同一メンテナンスとすれば良いので廉価で長寿命である。
【0064】
また、スイベル垂直軸方向の出力軸であるドライブの軸受、即ちベアリング62が深溝玉軸受である。
深溝玉軸受にあっては与圧構造となっていないので、構造が簡単且つ廉価である。
また、ピニオンギアである一対のベベルギア59が対向する位置に配置されるので、それらに噛合するベベルギア61がトルクの増減に伴う反力によって傾くことがない。更に、与圧構造でなくとも、歯当たりが変化しない。
【0065】
また、スイベル水平軸方向の入力軸57の端面が、スイベルブラケット39のチルト懸架部56の端面よりも内側になるように配置し、入力軸57の内孔57aにスプライン68を形成している。
【0066】
入力軸57の端面がスイベルブラケット39のチルト懸架部56から突出することがなく、これにより組立てに際して、スイベルブラケット39を含む推進機構全体をエンジンケース100の外側からスライドして、後付できる。その後、ユニバーサルジョイント36を入力軸57の内孔57aのスプライン68に係合させることで、動力連結装置を組み立てることができ、組立性に極めて優れている。
【0067】
また、スイベルブラケット39の上端にはカバー87を設け、該カバー87がボルト88で締着固定される。
カバー87を外すことで、減速機35内部を開放することにより、その構成部材、即ちベベルギア61とドライブシャフト60、ベベルギア59と入力軸57の組立等が簡単且つ的確に行うことができる。
【0068】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上記実施形態において入力軸57やドライブシャフト60等の複数の回転軸を支持する複数のベアリングもしくは軸受を用いるが、その数量や形式等はそれらの回転軸に付与される荷重の大きさや種類等に応じて適宜選択し得る。
【符号の説明】
【0069】
1 船体、2 トランサムボード、3 船床、6 貫通孔、7 船底、10 船外機、11 エンジンユニット、12 吸気系、13 排気系、14 動力伝達機構、15 推進機、16 フレーム、17 クランクケース、18 シリンダブロック、19シリンダヘッド、20 シリンダヘッドカバー、21 オイルパン、22 エアクリーナ、23 インテークマニホールド、24 インテークパイプ、25 吸気管、26 エキゾーストマニホールド、27 エキゾーストパイプ、28 排気ホース、29 マフラ、30 排気ホース、31 排気出口、32 減速機、33 ケーシング、34 タイロッド、35 中間減速機、36,37 ユニバーサルジョイント、38 ドライブシャフトケース、39 スイベルブラケット、40 ベアリング、41 ギアケース、42 プロペラ、43 エンジンマウント、44 メインブラケット、45 トランサムボルト、46 サイドフレーム、47 インナフレーム、48 フロントフレーム、49 リヤフレーム、50 アッパフレーム、51 ロアフレーム、52,53 パッド、54 フランジ部、55 ベアリングハウジング、56 チルト懸架部、57 入力軸、58 ベアリング、59 ベベルギア、60 ドライブシャフト、61 ベベルギア、62 ベアリング、63 ベベルギア、64 プロペラシャフト、65 ベベルギア、66 最終減速機、67 スラストベアリング、68 スプライン、69 スペーサ、70 スラストストッパ、71 テーパ、73 ナット、74 ベアリングハウジング、75 ブッシュ、76 スプライン、77 ドライブシャフトハウジング、78 ロアケース、79 ベアリング、82 ステアリング機構、83 スラスト受け、87 カバー、100 エンジンケース、101 ケース本体、102 ケースカバー、103 凹部、104 貫通孔、105 ヒンジ、106 シール、107 ロック機構、108 油圧ダンパ、109 自在軸受。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンケース内部に2基のエンジンが並置されると共に、該エンジンケース外部に前記エンジンによって駆動される推進機を備えた船外機において、
前記推進機を支持するスイベルブラケット内部で前記2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて前記推進機へ出力されることを特徴とする船外機の動力連結装置。
【請求項2】
前記スイベルブラケットのスイベル水平軸方向に円筒状のチルト懸架部を有し、その円筒外側にチルト軸受を配置すると共に、その円筒内側にスイベル水平軸方向の入力軸の入力軸受を配置し、チルト軸と該入力軸の中心を一致させることを特徴とする請求項1に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項3】
前記スイベル水平軸方向の入力軸とスイベル垂直軸方向の出力軸が、直交して噛合する傘歯車を介して相互に結合されることを特徴とする請求項2に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項4】
前記スイベル垂直軸方向の出力軸の軸受が深溝玉軸受けとしたことを特徴とする請求項3に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項5】
前記スイベル水平軸方向の入力軸の端面が、前記スイベルブラケットのチルト懸架部の端面よりも内側になるように配置され、前記入力軸の内孔にスプラインを形成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項6】
前記スイベルブラケットの上端にはカバーを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項1】
エンジンケース内部に2基のエンジンが並置されると共に、該エンジンケース外部に前記エンジンによって駆動される推進機を備えた船外機において、
前記推進機を支持するスイベルブラケット内部で前記2基のエンジンの動力がスイベル水平軸方向に入力されて統合されると共に、この統合された動力がスイベル垂直軸方向に変換されて前記推進機へ出力されることを特徴とする船外機の動力連結装置。
【請求項2】
前記スイベルブラケットのスイベル水平軸方向に円筒状のチルト懸架部を有し、その円筒外側にチルト軸受を配置すると共に、その円筒内側にスイベル水平軸方向の入力軸の入力軸受を配置し、チルト軸と該入力軸の中心を一致させることを特徴とする請求項1に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項3】
前記スイベル水平軸方向の入力軸とスイベル垂直軸方向の出力軸が、直交して噛合する傘歯車を介して相互に結合されることを特徴とする請求項2に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項4】
前記スイベル垂直軸方向の出力軸の軸受が深溝玉軸受けとしたことを特徴とする請求項3に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項5】
前記スイベル水平軸方向の入力軸の端面が、前記スイベルブラケットのチルト懸架部の端面よりも内側になるように配置され、前記入力軸の内孔にスプラインを形成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の船外機の動力連結装置。
【請求項6】
前記スイベルブラケットの上端にはカバーを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の船外機の動力連結装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−232720(P2012−232720A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104543(P2011−104543)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
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