説明

良好な初期強度をもつポリウレタン組成物

本発明は、a)室温で液状であり且つイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーP1と、b)室温で固体であり、アルジミノ基を有し、40℃〜80℃の範囲に融点を有する式(Ia)又は(Ib)の少なくとも1種のポリウレタンポリマーAとを含む一成分形湿気硬化性組成物に関する。この組成物は温めて適用でき、好適な適用特性と共に、調節可能な硬化時間と良好な初期強度とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温めて適用でき、溶融成分を含み、良好な初期強度をもつ弾性接着剤として適する、一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン組成物は、様々な接着結合及び封止(シール)を含めた用途に用いられている。それらは接着結合に弾性が求められる接着結合又は封止に特に適している。特定の接着用途については、接着結合が、接着剤が適用された直後に所定の機械的負荷に曝されることができることが必要であり、その理由は例えば、結合された構成物を動かさなければならず、あるいは固定補助具が除去されなければならないからである。そのような早期の負荷を可能にするためには、接着結合が良好な、いわゆる初期強度を有しなければならず、すなわち、接着剤が化学的に未だ硬化していない時間のある時点である種の方法で接着結合が負荷可能でなければならない。その上、強度の増大プロファイルは、広い範囲で変動可能である必要があり、それによって接着剤のオープンタイムと初期強度を接着結合操作からの要求に適合させることができる。
【0003】
一成分形ポリウレタン組成物は取り扱うのが容易である。それらは水分、典型的には大気湿度との反応によって硬化し、硬化は必然的に外側から内側へと起こる。硬化速度は内側に向かって遅くなり、なぜなら、硬化に必要な水が、ますます厚くなるポリマー層(「スキン」)を通って拡散しなければならないからである。その比較的遅い硬化のせいで、接着剤として標準的な一成分形ポリウレタン組成物を用いて良好な初期強度を達成することは不可能である。
【0004】
良好な初期強度をもつ接着剤組成物は、例えば、加温溶融接着剤(ウォームメルト(warmmelt))として知られるものであり、これは室温でペースト状から固体に近い稠度を有し、適用のためには典型的には40℃〜80℃の範囲の温度に加熱される。そのような接着剤の初期強度は、最初は化学反応を通しては得られず、それに変わって冷却時の粘度の急な増大によって得られ、これは接着剤の一成分(溶融成分として知られる)の物理的な固化の結果として起こる。この溶融成分は、室温で固体の物質であり、これは接着剤を適用温度に加熱した場合に溶融し、例えば、接着剤が再び冷却された場合に、結晶化によって所定の時間内に再び固化する。
【0005】
一成分形ポリウレタン組成物の形態のウォームメルト接着剤は、例えば、米国特許第5,367,036号明細書によって知られている。そこに記載されている組成物は、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーだけでなく、イソシアネート基が単量体アルコールと反応させられている非反応性ポリウレタンポリマーの形態の溶融成分をも含んでいる。この溶融成分は粘度の上昇を引き起こし、良好な初期強度をもたらす。しかし、溶融成分として非反応性ポリウレタンポリマーを用いることは、その組成物が水分によって化学的に硬化された場合に、そのポリマーがポリウレタンマトリクス中に組み込まれないという欠点を有している。したがって、この溶融成分は、硬化した組成物から移動し、表面に望ましくない影響を生じさせうるか、あるいは、硬化した組成物の部分には、より劣った耐化学薬品性、より低い機械強度、及び/又は、より劣った接着特性をもたらしうる。
【0006】
国際公開第95/00572A1号パンフレットは、温めて適用でき、かつ、液状の反応性プレポリマーと、そのプレポリマーと少なくとも部分的に非相溶性であり且つイソシアネート末端基を有するプレポリマーを好ましくは構成する溶融成分とを含む接着剤を記載している。米国特許第5,166,302号明細書及び同第5,173,538号明細書は、それぞれ温めて及び熱して適用することができ、且つ液状ポリウレタンポリマーとともに、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーの形態の反応性溶融成分を含む接着剤組成物を記載している。これらの特許明細書に記載されているイソシアネート基を有するこの溶融成分は、この接着剤が湿気によって化学的に硬化した場合に、ポリウレタンマトリクス中に組み込まれる。しかし、接着剤内部では、冷却時、それらは非常に急速に硬化し、それゆえ、短いオープンタイムをもたらし、及び/又は硬化した接着剤中に応力を生じさせ、これが接着結合の強度に悪影響を及ぼしうるという傾向を有する。記載された反応性の溶融成分のさらなる欠点には、それらの限定された貯蔵安定性とそれらの可能性ある時期尚早の架橋が含まれ、それにより、それらの粘度及びそれらの固化挙動に悪影響を及ぼす。さらに、特に増大したイソシアネート基量の結果として、記載された接着剤の硬化は、気泡形成の増大した場合を伴うおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,367,036号明細書
【特許文献2】国際公開第95/00572A1号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,166,302号明細書
【特許文献4】米国特許第5,173,538号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、温めて適用することができ、好適な適用特性及び調節可能なオープンタイムと組み合わされた良好な初期強度を示し、湿気によって気泡なしに硬化し、硬化が起こった後は良好な弾性及び良好な機械強度を有する一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、請求項1記載の組成物がこの目的を達成することを発見した。これらの組成物は、イソシアネート基を有する室温で液体のポリウレタンポリマー少なくとも1種に加えて、アルジミン基を有する室温で固体のポリウレタンポリマーの形態の少なくとも1種の溶融成分を含有し、後者は、イソシアネート基を有する対応するポリウレタンポリマーを、1つ以上のアルジミン基と活性水素とを含む特定の化合物と反応させることによって調製でき、且つこれは組成物が湿気によって硬化した場合にはポリウレタンマトリクス中に組み込まれる。本発明の1つの好ましい態様において、組成物中の溶融成分は、アルジミン基を有する固体ポリウレタンポリマーであって、これはイソシアネート基を全く含まない。この種の組成物は、貯蔵している間に、さらには特に高温で貯蔵している間に、その適用及び硬化特性において特にほとんど変化しない。
【0010】
さらなる側面では、本発明は請求項16に記載の硬化した組成物を提供し、さらにはウォームメルト接着剤としてのこの組成物の使用、及び接着結合の方法、及びそのような方法によって得られる物品を提供する。
【0011】
さらなる側面では、本発明は、イソシアネート基を有する溶融成分を、1つ以上のアルジミン基とさらに活性水素とを有する特定の化合物と予め部分的もしくは完全に反応させることによって、ウォームメルト接着剤として使用できる一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物のオープンタイム及び初期強度に影響を及ぼす方法を提供する。
【0012】
最後に、さらなる側面では、本発明は特定のポリウレタンポリマーを提供し、このポリウレタンポリマーは、アルジミン基を有し、溶融状態で貯蔵安定性があり、すなわち、その粘度及び固化特性に殆ど又はまったく変化を示さず、且つ一成分形ポリウレタン組成物のための溶融成分として又は増粘剤として又はチキソ性付与剤として非常に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[好ましい態様の説明]
第一の側面において本発明は、
a)室温で液状であり且つイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーP1、及び
b)室温で固体であり、アルジミン基を有し、下記式(Ia)又は(Ib)で表され、且つ40℃〜80℃の範囲に融点を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーA
を含む一成分形の湿気硬化性組成物を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
上記式中、
Qは、室温で固体であり且つ40℃〜80℃の範囲に融点を有するポリウレタンポリマーP2からm+n個のイソシアネート基を除いた後の基であり;
nは1又は2又は3であり、
mは0又は1又は2であり、
但し、m+nが2又は3であることを条件とし、
及びYは、互いに独立して、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは一緒になって、5〜8、好ましくは6の炭素原子を有する非置換又は置換された炭素環状環(carbocyclic ring)の一部である4〜20の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるかのいずれかであり;
は、少なくとも1つのヘテロ原子、さらに特に、エーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を任意選択で含んでいてもよい一価の炭化水素基であり;
は、5〜8、好ましくは6つの原子の環の大きさを有する置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基であるか、あるいは
【化2】

(式中、Rは水素原子であるか、あるいはアルコキシ基である)
であるか、
あるいは少なくとも6つの炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基であり;
は、2〜12の炭素原子を有し、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい2価の炭化水素基であるか、あるいはXがN−R2’である場合にはR2’と一緒になって、少なくとも1つのヘテロ原子、より特に、エーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択により含んでいてもよい、4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であるかのいずれかであり;
XはOであるか、又はSであるか、又はN−Rであるか、又はN−R2’であり、
ここでRは、1〜20の炭素原子を有し、任意選択により少なくとも1つのカルボキシルエステル基、ニトリル基、ニトロ基、リン酸エステル基、スルホニル基、又はスルホン酸エステル基を含んでいてもよい一価炭化水素基であるか、あるいは、
下記式(IIa)又は(IIb)の置換基であるかのいずれかである。
【0016】
【化3】

【0017】
上記式中、R、Y、Y、Y、及びYは既に説明した意味を有し;
2’はRと一緒になって、任意選択によって少なくとも1つのヘテロ原子、より特にはエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基である。
【0018】
各場合において本明細書中の式中の破線は、置換基とそれが結合している分子の残りの部分との間の結合を表す。
【0019】
上記一成分形湿気硬化性組成物は、温めて適用できる接着剤として、より特には工業接着のための接着剤として適している。
【0020】
「ポリ」で始まる物質名、例えば、ポリアルジミン、ポリイソシアネート、ポリオール、又はポリアミンは、本明細書において、形式上、それらの名前にある官能基を1分子当たり2つ以上有する物質をいう。
【0021】
本明細書中の「ポリマー」の用語は、化学的には均一であるが、重合度、モル質量、及び鎖長に関して異なり、重合反応(付加重合、重付加、又は重縮合)によって調製される高分子の集合体を一方では包含する。他方では、この用語は、重合反応による高分子のそのような集合体の誘導体、言い換えれば、反応、例えば、存在する高分子上での官能基の付加又は置換によって得られ、且つ化学的に均一であるか又は化学的に不均一であってよい化合物をも包含する。この用語はさらに、プレポリマーとよばれるもの、言い換えれば、その官能基が高分子の合成に関与する反応性オリゴマー状予備付加体も包含する。
【0022】
「ポリウレタンポリマー」の用語は、ジイソシアネート重付加法として知られる方法によって調製される全てのポリマーを包含する。これは、ウレタン基を実質的に又は全く含まないこれらのポリマーをも含む。ポリウレタンポリマーの例は、ポリエーテルポリウレタン類、ポリエステルポリウレタン類、ポリエーテルポリウレア類、ポリウレア類、ポリエステルポリウレア類、ポリイソシアヌレート類、及びポリカルボジイミド類である。
【0023】
物質の「融点」は、本明細書中、示差走査熱量計(DSC)を用いて2℃/分の加熱速度で測定した加熱曲線の極大値をいう。
【0024】
「室温」は、25℃の温度をいう。
【0025】
ウォームメルト接着剤の「初期強度」は、被着体の結合及び室温への接着剤の冷却後、湿気による接着剤の化学的硬化がまだ実質的に進んでいない時のある時点において、接着結合が有する強度である。
【0026】
接着剤の「オープンタイム」とは、接着剤を適用した時点から計算して、その間に被着体を遅くとも一緒に結合しなければならない時間間隔(タイムスパン)をいう。ウォームメルト接着剤の場合のオープンタイムは、適用された接着剤を接着結合のための所望の厚さまで被着体によって圧縮するために、製造工程において適用できる最大の圧縮力によって決まる。この圧縮力は、一般に、8N/cm以下であるべきである。
【0027】
上記一成分形湿気硬化性組成物は、イソシアネート基を有し室温で液状のポリウレタンポリマーP1の少なくとも1種を含む。
【0028】
好適なポリウレタンポリマーP1は、例えば、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって得られる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートを50℃〜100℃で、例えば、適切な場合には、好適な触媒を同時に使用して、通常の方法によって反応させることにより行うことができ、ポリイソシアネートはそのイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在するように計量される。有利には、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の比は、1.2〜5、より特に1.5〜3である。ポリオールの全てのヒドロキシル基が反応した後で、全体のポリウレタンポリマーP1を基準にして0.5質量%〜5質量%のフリーイソシアネート基量が残ることが好ましい。
【0029】
適切な場合には、ポリウレタンポリマーP1は、可塑剤を同時に用いて調製することができ、この場合、用いる可塑剤はイソシアネート反応性基をもたない。
【0030】
ポリウレタンポリマーP1の調製のために用いることができるポリオールの例は、下記の市販されている慣用ポリオール又はそれらの混合物である。
− ポリオキシアルキレンポリオール類。これはポリエーテルポリオール類又はオリゴエーテロール類ともよばれ、これらは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-又は2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であり、2つ以上の活性水素原子を有する開始剤分子、例えば、水、アンモニア、又は2つ以上のOH又はNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールの異性体類及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオールの異性体類、ヘキサンジオールの異性体類、ヘプタンジオールの異性体類、オクタンジオールの異性体類、ノナンジオールの異性体類、デカンジオールの異性体類、ウンデカンジオールの異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及びこれらの化合物の混合物を用いて重合したものであってもよい。例えば、ダブル金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)として公知のものの助けを借りて調製した、低不飽和度(ASTM D−2849−69に準拠して測定し、ポリオール1g当たりの不飽和度のミリ当量(meq/g)で表される)を有するポリオキシアルキレンポリオールと、例えばアニオン触媒、例えば、NaOH、KOH、CsOH、又はアルカリ金属アルコキシドを用いて調製した、より高い不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオールの両方を用いることができる。
【0031】
ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオール、より特にポリオキシプロピレンジオール又はポリオキシプロピレントリオールが特に好ましい。
【0032】
0.02meq/g未満の不飽和度をもち且つ1000〜30000g/モルの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオールが特に適しており、さらには、400〜8000g/モルの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールも特に適している。
【0033】
同様に、エチレンオキシド末端(「EOキャップ」、エチレンオキシド末端キャップ)ポリオキシプロピレンポリオールとして知られているものが特に適している。
これは、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオール、より特にポリオキシプロピレンジオール及びトリオールに、ポリプロポキシル化反応が終わった後で、エチレンオキシドを用いたさらなるアルコキシル化を行うことによって得られ、これは結果として一級ヒドロキシル基を有する。
【0034】
− スチレンアクリロニトリル又はアクリロニトリル−メチルメタクリレートがグラフトしたポリエーテルポリオール類。
【0035】
− ポリエステルポリオール類。これはオリゴエステロールともよばれ、例えば、2価から3価のアルコール、例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又はこれらのアルコール類の混合物と、有機ジカルボン酸又はそれらの無水物もしくはエステル類、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、又はこれらの酸の混合物とから調製される。並びに、ラクトン、例えばε-カプロラクトンから形成されるポリエステルポリオール類。
【0036】
− ポリカーボネートポリオール類。例えば、上述したアルコール類(上記ポリエステルポリオール類の合成に用いられるもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとを反応させることによって得られる種類のもの。
【0037】
− ポリアクリレートポリオール類及びポリメタクリレートポリオール類。
【0038】
− ポリ炭化水素ポリオール類。これはオリゴハイドロカーボノールともよばれ、例えば、ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、又はエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー類であって、例えば、Kraton Polymers社によって製造されている種類のもの、あるいは、ジエン、例えば、1,3-ブタジエンもしくはジエン混合物と、ビニルモノマー、例えば、スチレン、アクリロニトリル、又はイソブチレンとのポリヒドロキシ官能性コポリマー、あるいはポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール、例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの共重合によって調製され、さらに水素化されていてもよいもの。
【0039】
− ポリヒドロキシ官能性アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー。例えば、エポキシド又はアミノアルコールと、カルボキシル末端のアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー(Noveon社からHycar(登録商標)CTBNの名称で市販されている)とから調製可能な種類のもの。
【0040】
これらの記載したポリオールは、250〜30000g/モル、より特に1000〜30000g/モルの平均分子量を有することが好ましく、かつ1.6〜3の範囲の平均OH官能基を有することが好ましい。
【0041】
室温で固体のポリオールは、室温で液状のポリウレタンポリマーP1を調製するためのポリオール混合物の成分としてはかなり少ない量でのみ適している。
【0042】
これらの記載したポリオールに加えて、少量の低分子量の2官能又は多官能アルコール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-及び1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体類及びトリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール異性体類、ヘキサンジオール異性体類、ヘプタンジオール異性体類、オクタンジオール異性体類、ノナンジオール異性体類、デカンジオール異性体類、ウンデカンジオール異性体類、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ダイマー脂肪アルコール類、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール類、例えば、キシリトール、ソルビトール、又はマンニトール、糖類、例えばスクロース、その他のポリヒドロキシアルコール類、前述したジヒドロキシ及びポリヒドロキシアルコール類の低分子量のアルコキシル化生成物、並びにまた前述したアルコール類の混合物を、ポリウレタンポリマーP1の調製に用いることができる。
【0043】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーP1の調製のためのポリイソシアネートとして、市販の慣用の脂肪族、脂環式、又は芳香族のポリイソシアネート、より特にジイソシアネートを用いることができ、その例は以下のとおりである。
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、及びリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-及び1,4-ジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望する混合物、1-メチル-2,4-及び-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(HTDI又はHTDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI又はH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-及び1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-及びp-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-XDI)、m-及びp-テトラメチル-1,3-及び-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-及びp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナート-1-メチルエチル)ナフタレン、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(TDI)、4,4’-, 2,4’-及び2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの異性体の任意の所望の混合物(MDI)、1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、前述したイソシアネート類のオリゴマー及びポリマー、並びに前述したイソシアネート類の任意の所望の混合物。
MDI、TDI、HDI、及びIPDIが好ましい。
【0044】
通常、ポリウレタンポリマーP1は、組成物全体を基準にして10質量%〜80質量%の量で、好ましくは15質量%〜50質量%の量で存在する。
【0045】
上記一成分形湿気硬化性組成物は、室温で液状のポリウレタンポリマーP1に加えて、アルジミン基を有し、下記式(Ia)又は(Ib)で表され、且つ40℃〜80℃、より特に50℃〜70℃の範囲に融点を有する、室温で固体のポリウレタンポリマーAを含む。
【0046】
【化4】

【0047】
上記式中、Q、X、m、n、R、Y、Y、Y、及びYは上述した定義を有する。
m+nは2であることが好ましい。
及びYはそれぞれメチル基であることが好ましい。
は下記式(VII’)又は(VIII’)の基である。
【0048】
【化5】

【0049】
式中、Rは水素原子であるか、又はアルキル基もしくはアリールアルキル基であり、好ましくは水素原子であり;
は、1〜30、さらに特に12〜30の炭素原子を有する炭化水素基であり、これは任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよく;さらに、
は、水素原子であるか、
あるいは1〜30、より特に11〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、任意選択で環状部分をもっていてもよく、任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子をもっていてもよく、
あるいは、5〜30の炭素原子を有する1又は多不飽和の直鎖状又は分枝状炭化水素基であるか、
あるいは、任意選択によって置換基を有していてもよい芳香族又はヘテロ芳香族の5〜6員環であるか、のいずれかである。
【0050】
イソシアネート基を有する液状ポリウレタンポリマーP1を含む温めて適用する混合物が冷えた場合に急速な固化を起こす能力と、それによってその混合物の粘度に顕著な増大がもたらされることによって、ポリウレタンポリマーAはイソシアネート基を含む組成物中の溶融成分として非常に適しており、これは温めて、すなわち40℃〜100℃、より特に40℃〜80℃の範囲の温度で適用され、適用後の短時間で良好な初期強度を有する。
【0051】
ポリウレタンポリマーAは、式(III)の、40℃〜80℃の範囲、より特に50℃〜70℃の範囲に融点を有し、イソシアネート基を有する室温で固体のポリウレタンポリマーP2と、活性水素を有する下記式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDとの反応によって得られ、式中、Q、X、m、n、及びR、Y、Y、Y、及びY基は上述した定義を有する。
【0052】
【化6】

【0053】
この反応は、ポリウレタンポリマーP2が液体状態で存在する温度で有利に行われ、適切な場合には好適な触媒を同時に用いて行い、アルジミンDは、ポリウレタンポリマーP2のイソシアネート基に対して化学量論量で、わずかに化学量論的に過剰で、又はわずかに化学量論的に少ない量で計量される。
【0054】
第一の態様では、アルジミンDは、ポリウレタンポリマーP2のイソシアネート基に対して化学量論的に少ない量で、すなわち、イソシアネート基の1モル当量当たり1モル当量より少ない「HX」基となるように計量される。このようにして、上述した組成物は、イソシアネート基とアルジミン基とを有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーAを含み、したがって、これについては、式(Ia)又は式(Ib)中の指数mは1又は2、好ましくは1である。
【0055】
第二の態様では、アルジミンDは、ポリウレタンポリマーP2のイソシアネート基に対して化学量論量で又はわずかに化学量論的に過剰量で、すなわち、イソシアネート基の1モル当量当たりちょうど1モル当量又は1モル当量より少し多いモル当量の「HX」基となるように計量される。このようにして、アルジミン基を有する室温で固体のポリウレタンポリマーAが製造され、これはイソシアネート基を含まず、したがって、これについては、式(Ia)又は式(Ib)中の指数mはゼロであり、これを以下ではポリウレタンポリマーA1という。
【0056】
好ましいポリウレタンポリマーAは、ポリウレタンポリマーA1であり、なぜなら、イソシアネート基が存在しないため、それらは高温でさえ特に貯蔵安定であるからである。より特に、ポリウレタンポリマーA1は、液体状態で、言い換えれば、その融点より高い温度で、かなり長期間、典型的にはかなりの週又は月の間、その粘度にいかなる顕著な上昇もなしに、貯蔵することができる。これは、従来技術で公知の種類のものであるイソシアネート基含有溶融成分の挙動とは対照的である。イソシアネート基の高い反応性によって、そのような溶融成分の粘度は、貯蔵時、より特に高温で一般に急速に増大し、ゲル化さえしうる。ポリウレタンポリマーAの良好な貯蔵安定性は、かなり実用上重要であり、なぜなら、この品質の結果として、本発明の組成物は、貯蔵中に、高温においてさえ、その適用特性及び硬化特性がほとんど又は全く変化せず、さらに特に、オープンタイム及び初期強度について概して一定の値を示し、これは製造日又は貯蔵条件によってほとんど左右されない。
【0057】
同様に、式(Ia)又は(Ib)中のXが酸素であるか、あるいはN−Rであるか、あるいはN−R2’であるポリウレタンポリマーAが好ましい。
【0058】
特に好ましいポリウレタンポリマーAは、式(Ia)又は(Ib)中のXが、酸素又はN−Rであるものであり、ここでRは1〜4つの炭素原子を有する炭化水素基、より特に、メチル、エチル、プロピル、又はブチル、好ましくはメチルである。これらの溶融成分を含む組成物は、初期強度の急速な増大を示す。
【0059】
好ましいポリウレタンポリマーAは式(Ia)のものである。特に好ましいものは、式(Ia)において、Yが式(VII’)又は(VIII’)の基であり、式(VII’)中のRが12〜30の炭素原子を有する炭化水素基であり、式(VIII’)中のRが11〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基である式(Ia)のポリウレタンポリマーAである。これらの好ましいポリウレタンポリマーAは無臭である。
【0060】
特に好ましいポリウレタンポリマーAは、下記式(Ia’)又は(Ib’)のポリウレタンポリマーA2であり、室温で固体であり、アルジミン基を有し、かつ式(Ia)又は(Ib)で表されるポリウレタンポリマーAのうちから特に選択されたものを表す。
【0061】
【化7】

【0062】
式(Ia’)及び(Ib’)中、
n’は2又は3であり、より特に2であり;
X’はOであるか、N−Rであるか、N−R2’であり、
は、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、より特にメチルであるか、あるいは-CHR-CHであり、Rは水素原子であるか又は-COORであり、Rは-COOR、又は-CONHR、又は-CONRであり、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキル基であり、
Q、R、R2’、Y、Y、Y、及びYは既に記載した定義を有する。
【0063】
ポリウレタンポリマーA2を含む組成物は、特に良好な貯蔵安定性を有する。
【0064】
特に好ましいポリウレタンA2は、X’がO又はN−Rであり、Rが1〜4の炭素原子を有するアルキル基、より特にメチルのものである。これらのポリウレタンポリマーA2を含む組成物は、特に良好な貯蔵安定性だけでなく、初期強度の迅速な発現をも示す。
【0065】
ポリウレタンポリマーAを調製するための一つの適したポリウレタンポリマーP2は、公知の方法、ポリウレタンポリマーP1について既に説明したものと実質的に同じ方法による、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって得られる。
【0066】
一つの好ましい態様では、ポリウレタンポリマーP2は少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとの反応によって調製され、このときイソシアネート基はヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在する。有利には、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の比は、1.3〜2.5、より特に1.5〜2.2である。
【0067】
ポリウレタンポリマーP2を調製するために特に適したポリオールは、一方ではポリエステルポリオールであり、これはオリゴエステロールともよばれ、例えば、2価アルコールないし3価アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、又は前記のアルコール類の混合物)と、有機ジカルボン酸又はそれらの無水物もしくはエステル類(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、又は前記の酸類の混合物)とから調製され、さらにラクトン(例えば、ε-カプロラクトン)から作られるポリエステルポリオール類である。
【0068】
室温で液状の、非晶質、部分結晶性、及び結晶性のポリエステルジオール及びトリオール、特にポリエステルジオールが好ましい。好適な室温で液状のポリエステルジオールは、室温からそれほど下ではない例えば0℃〜25℃の間の温度で固体であり、且つ、少なくとも1種の非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリエステルポリオールと常に組み合わせて用いられる。
【0069】
特に好ましいポリエステルジオールは、40℃〜80℃、より特に50℃〜70℃の範囲に融点をもつ、アジピン酸/ヘキサンジオールのポリエステル、アゼライン酸/ヘキサンジオールのポリエステル、及びドデカンジカルボン酸/ヘキサンジオールのポリエステルである。
【0070】
一方、ポリウレタンポリマーP2を調製するために特に適したポリオールは、例えば上述したアルコール類(上記ポリエステルポリオール類を合成するために用いられるもの)とジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート)、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)、又はホスゲンとの反応によって得られる種類のポリカーボネートポリオールである。室温で液状の、非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリカーボネートジオールが特に適している。好適な室温で液状のポリカーボネートジオールは、室温からそれほど下ではない例えば0℃〜25℃の間の温度で固体であり、且つ、少なくとも1種の非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリカーボネートポリオールと常に組み合わせて用いられる。
【0071】
ポリカーボネートジオールが好ましい。ヘキサンジオールに基づいたポリカーボネートジオールが特に好ましい。
【0072】
ポリウレタンポリマーP2を調製するために適したポリイソシアネートは、ポリウレタンポリマーP1を調製するためのものと同じである。
【0073】
ジイソシアネート、より特に、MDI、TDI、HDI、及びIPDIが好ましい。MDIが特に好ましい。
【0074】
ポリウレタンポリマーP2は室温で固体であり、且つ40℃〜80℃の範囲、より特に50℃〜70℃の範囲に融点をもつ。
【0075】
ポリウレタンポリマーP2は、好ましくは500g/モル以上の分子量を有する。より特に、ポリウレタンポリマーP2は、1000〜30000g/モル、好ましくは2000〜10000g/モルの分子量を有する。さらに、ポリウレタンポリマーP2は、1.8〜2.2の範囲の平均官能基数を有することが好ましい。
【0076】
ポリウレタンポリマーP2との反応に適した式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDは、式(V)のアミンと、式(VIa)又は(VIb)のアルデヒドとの間の、水の脱離を伴う縮合反応によって得られる。この場合のアルデヒドは、式(V)のアミンの一級脂肪族アミノ基に対して化学量論量で、又は化学量論的に過剰に用いられる。
【0077】
【化8】

【0078】
式(V)、(VIa)、及び(VIb)において、X、R、Y、Y、Y、及びYは、上述した定義を有する。
【0079】
本明細書中、「一級アミノ基」の用語は、有機基に結合したNH基をいい、一方「二級アミノ基」は、2つの有機基(これは一緒になって環の一部であることもできる)に結合したNH基をいう。
【0080】
「脂肪族アミノ基」は、脂肪族、脂環式、又は芳香脂肪族(アリール脂肪族)基に結合したアミノ基である。したがって、これは、例えば、アニリン又は2-アミノピリジンにおけるような、芳香族又はヘテロ芳香族基に直接結合した「芳香族アミノ基」とは異なる。
【0081】
式(V)のアミンとしての適性は、第一の態様では、1又は2つの一級脂肪族アミノ基及び1つの二級アミノ基を有する化合物が有しており、それは例えば以下のものである。
N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-アミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT);一級モノアミン類及びジアミン類のシアノエチル化又はシアノブチル化によるジアミン類及びトリアミン類、例は、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、及び脂肪ジアミン、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン、又は例えば、Akzo Nobel社からの商品名Duomeen(登録商標)で入手可能な種類のN-(C16-22アルキル)-1,3-プロパンジアミン;脂肪族一級ジアミン又はトリアミンと、アクリロニトリル、マレイン酸ジエステル又はフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、アクリルアミド類、及びメタクリルアミド類、及びイタコン酸ジエステルとを1:1のモル比で反応させた、マイケル型付加による生成物。
【0082】
式(V)のアミンとしての適性は、第二の態様においては、脂肪族ヒドロキシアミン類が有しており、それは例えば以下のものである。
2-アミノエタノール、2-メチルアミノエタノール、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びこれらのグリコール類の高次のオリゴマー及びポリマーなどのグリコールの、1つの一級アミノ基を有する誘導体、例は、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコール-モノアミン、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノ-メチルエトキシ)ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル));ポリアルコキシル化された3価又はより多価のアルコール類の、1つのヒドロキシル基と一級アミノ基とを有する誘導体;グリコール類の単純なシアノエチル化とそれに続く水素化による生成物、例は、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミンである。
【0083】
式(V)のアミンとしての適性は、第三の態様においては、脂肪族メルカプトアミン類が有しており、例えば、以下のものである。2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、12-アミノ-1-ドデカンチオール、及びアミノチオ糖類、例えば、2-アミノ-2-デオキシ-6-チオグルコース。
【0084】
式(V)の好ましいアミンは以下のものからなる群から選択されるものである。N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT、脂肪ジアミン類、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン;脂肪族一級ジアミンを、マレイン酸ジエステル及びフマル酸ジエステル、アクリル及びメタクリル酸エステル、アクリルアミド類及びメタクリルアミド類、好ましくはマレイン酸ジエステル、より特に、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、及びジブチルマレートと、及びアクリル酸エステル、より特に、アクリル酸メチルと、1:1のモル比で反応させたマイケル型付加による生成物;一級アミノ基が、ヒドロキシル又はメルカプト基から、少なくとも5つの原子の鎖によって、あるいは環によって、隔てられている脂肪族のヒドロキシ又はメルカプトアミン類、より特に、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びそれらのより高次の同族体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコール-モノアミン及びそれらのより高次のオリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン。
【0085】
式(V)の特に好ましいアミンは、Xが酸素であるか又はN−Rであるものであり、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキル基、より特にメチル、エチル、プロピル、又はブチル、好ましくはメチルである。それらを用いて調製される式(Ia)又は(Ib)のポリウレタンポリマーAは、初期強度の急速な発現を特徴とする本発明の組成物を与える特性を有する。
【0086】
式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDを調製するための適性は、式(VIa)又は(VIb)のアルデヒドが有している。これらのアルデヒドの特性は、それらの基Y、Y、Y及びYが水の不存在下でイソシアネート基と反応性であるいかなる基も有しないことであり、より特に、Y、Y、Y及びYは、いかなる水酸基、いかなる一級又は二級アミノ基、いかなる尿素基、又は活性水素を有するいかなるその他の基も有しない。
【0087】
式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDを調製するために、適性は、まず、下記式(VIa)のアルデヒドが有しており、ここでY、Y、及びYは既に記載した定義を有する。
【0088】
【化9】

【0089】
式(VIa)のアルデヒドは、三級脂肪族又は三級脂環式アルデヒド、例えば、ピバルアルデヒド(2,2-ジメチルプロパナール)、2,2-ジメチルブタナール、2,2-ジエチルブタナール、1-メチルシクロペンタンカルボキサルデヒド、1-メチルシクロヘキサンカルボキサルデヒド;及びさらに、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとアルコール類、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールとのエーテル類;2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸又は3-ホルミル-3-メチル酪酸とアルコール類、例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及び2-エチルヘキサノールとのエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールとカルボン酸、例えば、酪酸、イソ酪酸、及び2-エチルヘキサン酸とのエステル類;及びさらに、特に好ましいものとして以下に説明する、2,2-ジ置換3-ヒドロキシプロパナール類、2,2-ジ置換3-ヒドロキシ-ブタナール類、又は類似のより高次のアルデヒド類のエーテル及びエステル類、より特に2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールのエーテル及びエステル類、である。
【0090】
第一の態様における式(VIa)の特に適したアルデヒドは、式(VII’)のY基をもつ下記式(VII)のアルデヒドである。
【0091】
【化10】

【0092】
式(VII)中、
は、水素原子、又はアルキル、又はアリールアルキル基であり、
は、1〜30の炭素原子を有し、任意選択によりヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基であり、
及びYは、既に記載した定義を有する。
【0093】
式(VII)中、Y及びYはそれぞれ好ましくはメチル基であり、Rは好ましくは水素原子である。
【0094】
式(VII)のアルデヒドは、脂肪族、芳香脂肪族(アリール脂肪族)、又は脂環式の2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドと、式HO−Rのアルコール類、例えば、脂肪アルコールなどとのエーテル類を表す。好適な2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドは、同様に、一級又は二級の脂肪族アルデヒド、特にホルムアルデヒドと、二級脂肪族、二級芳香脂肪族、又は二級脂環式アルデヒド、例えば、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロアルデヒド、シクロペンタンカルボキサルデヒド、シクロヘキサンカルボキサルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロープアルデヒド)、又はジフェニルアセトアルデヒドとのアルドール反応、特に交差アルドール反応によって得られる。
【0095】
式(VII)のそのようなアルデヒドの例には、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ステアロキシプロパナールが含まれる。
【0096】
第二の態様において、式(VIa)の特に好適なアルデヒドは、式(VIII’)のY基をもつ下記式(VIII)のアルデヒドである。
【0097】
【化11】

【0098】
式(VIII)中、
は、水素原子又はアルキル又はアリールアルキル基であり、
は、水素原子であるか、あるいは、1〜30の炭素原子を有し、任意選択により環状部分をもっていてもよく、かつ任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子をもっていてもよい直鎖状又は分枝状のアルキル基であるか、あるいは5〜30の炭素原子を有する、1つ又は複数の不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素基であるか、あるいは任意選択で置換されていてもよい芳香族又はヘテロ芳香族の5又は6員環であり、
及びYは既に記載した定義を有する。
【0099】
式(VIII)において、Y及びYはそれぞれ好ましくはメチル基であり、Rは好ましくは水素原子である。
【0100】
式(VIII)の化合物は、上述した2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド、例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキサルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキサルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキサルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール、及び3-ヒドロキシ-2,2-ジフェニルプロパナールと、好適なカルボン酸とのエステルを表す。
【0101】
好適なカルボン酸の例は、第一に、脂肪族カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、2-エチルカプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、天然油脂(例えば、なたね油、ヒマワリ油、亜麻仁油、オリーブ油、ココナツ油、アブラヤシ核油、及びアブラヤシ油)の工業的鹸化による脂肪酸、及びまたそのような酸を含む脂肪酸の工業的混合物である。好適なカルボン酸は、二級の芳香族カルボン酸であり、例は、安息香酸、又はトルイル酸の位置異性体類、エチル-又はイソプロピル-又はtert-ブチル-又はメトキシ-又はニトロ-安息香酸の位置異性体類である。
【0102】
式(VIII)の好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ベンゾイルオキシプロパナール、及びまたその他の2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒドの類似のエステル類である。
【0103】
一つの特に好ましい態様では、Rは、フェニル、及びC11、C13、C15、及びC17アルキル基からなる群から選択される。
【0104】
特に好ましいものは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0105】
式(VIII)のアルデヒドの一つの好ましい調製法では、2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド、例えばホルムアルデヒド(又はパラホルムアルデヒド)とイソブチルアルデヒドとから場合によってはその場で調製できる、例えば2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールを、カルボン酸と反応させて対応するエステルを作る。このエステル化は、溶媒を用いることなく、例えば、Houben-Weyl, “Methoden der organischen Chemie”, vol. VIII,第516-528頁に記載された公知の方法によって行うことができる。
【0106】
一つの特に好ましい態様では、式(VIa)のアルデヒドは無臭である。無臭の物質は、その臭気が、殆どの人に臭うことがない、すなわち、鼻で知覚できないほど低い物質である。
【0107】
式(VIa)の無臭のアルデヒドは、第一に、特に、式(VII)のアルデヒドであり、式(VII)中、R基は、任意選択によりヘテロ原子を含んでいてもよい12〜30の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0108】
第二に、式(VIa)の無臭のアルデヒドは、特に、式(VIII)のアルデヒドであり、式(VIII)中、R基は、任意選択で少なくとも1つのヘテロ原子、より特に少なくとも1つのエーテル酸素を有していてもよい、11〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル鎖であるか、あるいは、11〜30の炭素原子を有する1つ又は複数の不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖である。
【0109】
式(VIII)の無臭のアルデヒドの例は、上述した2,2-ジ置換3-ヒドロキシアルデヒド類と、カルボン酸〔例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、天然油脂(例えば、なたね油、ヒマワリ油、亜麻仁油、オリーブ油、ココナツ油、アブラヤシ核油、及びアブラヤシ油)の工業的鹸化による脂肪酸、及びまたこれらの酸を含む脂肪酸の工業的混合物〕とのエステル化生成物である。式(VIII)の好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、及び2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナールである。特に好ましいものは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0110】
式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDを調製するために次に適しているものは、下記式(VIb)のアルデヒドである。
【0111】
【化12】

【0112】
式(VIb)中、Yは、5〜8、好ましくは6の原子の環サイズをもつ置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基であるか、あるいは、
【化13】

(式中、Rは水素原子又はアルコキシ基である)
であるか、あるいは、
少なくとも6つの炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基である。
【0113】
式(VIb)の好適なアルデヒドは、芳香族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、2-及び3-及び4-トルアルデヒド、4-エチル-及び4-プロピル-及び4-イソプロピル及び4-ブチル-ベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、ジ-及びトリアルコキシベンズアルデヒドの異性体類、2-、3-、及び4-ニトロベンズアルデヒド、2-及び3-及び4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルボアルデヒド、1-及び2-ナフチルアルデヒド、3-及び4-フェニルオキシベンズアルデヒド;キノリン-2-カルボアルデヒド、及びその3-、4-、5-、6-、7-、及び8-位置異性体類、及びまた、アントラセン-9-カルボアルデヒドである。
【0114】
式(VIb)の好適なアルデヒドは、加えて、グリオキサール、グリオキサル酸エステル、例えば、メチルグリオキサレートなど、及び桂皮アルデヒド及び置換桂皮アルデヒド類である。
【0115】
脂肪族アルジミン基をもつ式(Ia)のポリウレタンポリマーA、及び芳香族アルジミン基をもつ式(Ib)のポリウレタンポリマーAは、それらのアルジミン基が互変異性をしてエナミン基を生じることができないという特徴をもっており、なぜならそれらはアルジミン基の炭素原子に対しα位に置換基として水素をもたないからである。この特徴により、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーP1と一緒になって、それらは特に良好な貯蔵安定性を有する混合物、言い換えればそれらの粘度が高い反応性の芳香族イソシアネート基、例えば、TDI及びMDIのイソシアネート基の存在下でさえ非常に安定である混合物を形成する。
【0116】
湿気硬化性組成物中では、ポリウレタンポリマーAのアルジミン基は、ポリウレタンポリマーP1のイソシアネート基に対して化学量論量よりもずっと少ない割合で存在する。典型的には、アルジミン基とイソシアネート基との比は、0.01〜0.4、より特に0.03〜0.3である。
【0117】
通例では、ポリウレタンポリマーAは、全組成物を基準にして0.3質量%〜20質量%の量で、好ましくは0.5質量%〜15質量%の量で、より好ましくは1質量%〜10質量%の量で存在する。
【0118】
本湿気硬化性組成物は、有利には、少なくとも1種のフィラーFをさらに含む。フィラーFは、例えば、未硬化の組成物の稠度及び硬化した組成物の機械特性の両方に影響を及ぼす。好適なフィラーFは有機及び無機のフィラーであり、例は、場合によっては脂肪酸、より特にステアレートのコーティングを有する、天然の粉砕又は沈降炭酸カルシウム;焼成カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、バライト(BaSO、重晶石ともよばれる)、シリカ、熱分解法による特に高分散のシリカ、カーボンブラック、特に工業的に生産されたカーボンブラック(以下で「カーボンブラック」という)、PVCの粉末又は中空球体である。好ましいフィラーは、炭酸カルシウム、カオリン、フュームドシリカ、及びカーボンブラックである。
【0119】
異なるフィラーFの混合物を用いることが有利でありうる。
【0120】
フィラーFの好適な量は、全組成物を基準にして、例えば、10質量%〜70質量%、好ましくは20質量%〜60質量%の範囲である。
【0121】
本組成物は、有利には、イソシアネート基の反応及び/又はアルジミン基の加水分解を促進する少なくとも1種の触媒Kをさらに含む。
【0122】
イソシアネート基と水との反応を促進する触媒Kは、特に金属化合物、例は、スズ化合物、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、及びジブチルスズオキシド、スズ(II)カルボキシレート、スタノキサン類、例えば、ラウリルスタノキサン、ビスマス化合物、例えば、ビスマス(III)オクトエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、又はビスマス(III)オキシネート;及び、三級アミン類、例は、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル及びその他のモルホリンエーテル誘導体、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、である。
【0123】
アルジミン基の加水分解を促進する触媒Kは、特に、酸又は酸に加水分解されうる化合物であり、例は、有機カルボン酸(例えば、安息香酸、サリチル酸、又は2-ニトロ安息香酸)、有機カルボン酸無水物(例えば、無水フタル酸、又はヘキサヒドロフタル酸無水物)、有機カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸)、又はその他の有機もしくは無機酸、である。
【0124】
さらに、上記触媒Kの組み合わせ、特に、酸と金属化合物との混合物、又は金属化合物と三級アミンとの混合物、又は酸と三級アミンとの混合物、又は酸と金属化合物と三級アミンとの混合物もありうる。
【0125】
触媒Kの典型的な量は、全組成物を基準にして、通例では、0.005質量%〜1質量%であり、当業者には、どの触媒についていかなる量がふさわしいか明らかである。
【0126】
本湿気硬化性組成物においては、その他の中でも、以下の助剤及び添加剤を含むさらなる成分が存在してもよい。
− 可塑剤、例は、有機カルボン酸又はその無水物のエステル、例えば、フタレート、例えば、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、又はジイソデシルフタレート、アジペート、例えば、ジオクチルアジペート、アゼレート類、及びセバケート類;有機リン酸及びスルホン酸のエステル、及びポリブテン類である;
− 溶媒;
− ファイバー類、例えばポリエチレンのファイバー;
− 顔料、例えば、酸化チタン又は酸化鉄;
− ポリウレタン化学で慣用されるさらなる触媒;
− レオロジー調整剤、例えば、増粘剤又はチキソ性付与剤、例は、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、又はヒュームドシリカである;
− 反応性希釈剤又は架橋剤、例は、ジイソシアネート(例えば、MDI、PMDI、TDI、HDI、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-又は1,4-ジイソシアネート、IPDI、パーヒドロ-2,4’-及び-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3-及び1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート)のオリゴマー又はポリマー、より特に、記載したジイソシアネートのイソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、ビウレット、アロファネート、及びイミノオキサジアジンジオン、ジイソシアネートと短鎖ポリオールの付加体、アジピン酸ジヒドラジド、及びさらには、その他のジヒドラジド、ポリアルジミン、ポリケチミン、オキサゾリジン、又はポリオキサゾリジンの形態のブロックされた硬化剤である;
− 乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブス、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート類、例えば、p-トシルイソシアネート、オルトギ酸エステル、アルコキシシラン、例えば、テトラエトキシシラン、オルガノアルコキシシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、及びシラン基のα位に官能基を有するオルガノアルコキシシラン;
− 接着促進剤、特に、オルガノアルコキシシラン(以下「シラン(類)」という)、例えば、エポキシシラン類、ビニルシラン類、(メタ)アクリロシラン類、イソシアナトシラン類、カルバメートシラン類、S-(アルキルカルボニル)メルカプトシラン類、及びアルジミノシラン類、及び、これらのシラン類のオリゴマー形態;
− 熱、光、及びUV照射に対する安定剤;
− 難燃剤;
− 界面活性剤、例えば、湿潤剤、流動性調節剤、脱気剤、又は脱泡剤;
− 殺生物剤、例えば、殺藻剤、防カビ剤すなわちカビ成長阻害剤;
並びに、一成分形ポリウレタン組成物で慣用されるさらなる物質。
【0127】
本湿気硬化性組成物は、少なくとも1種の可塑剤を含むことが有利である。
【0128】
本組成物中に任意選択で存在してもよい上記成分の全てを、より特に、フィラーF、触媒K、及び可塑剤を、組成物の貯蔵安定性がそのような成分の存在によって悪影響を受けないように、言い換えれば、本組成物が、貯蔵の間にその特性に、特にその適用及び硬化特性にほとんど又は全く変化を受けないように選択することが有利である。このことは、記載した組成物の、より特にイソシアネート基の化学的硬化をもたらす反応が、貯蔵の間にいかなる有意な程度にも起こらないことを意味する。したがって、記載した成分が、貯蔵時に、いかなる水も、又は多くても僅かに微量の水しか含まず、あるいは放出しないことが特に重要である。特定の成分の化学的又は物理的乾燥を、それらが組成物に組み込まれる前に行うことは理にかなったことである。
【0129】
上述した組成物を調製するためには、ポリウレタンポリマーA(好ましくは液体状態のもの)を、ポリウレタンポリマーP1及び本組成物の任意のさらなる成分と混合する。
【0130】
記載した湿気硬化性組成物は、湿気の不存在下で調製され且つ貯蔵される。本組成物は貯蔵安定であり、すなわち、湿気のない条件下で、適切な容器又は装置、例えば、ドラム、パウチ、又はカートリッジ中に、例えば、数ヶ月から1年又はそれ以上の範囲の期間にわたって、使用に関連した程度で、その性能又は硬化後のその特性にいかなる変化も起こさないで保つことができる。通常、貯蔵安定性は、粘度又は押出力の測定によって評価される。
【0131】
この湿気硬化性組成物が湿気と接触された場合には、それはアルジミン基とイソシアネート基との反応によって硬化を始め、その最終的な強度を獲得する。ポリウレタンポリマーAのアルジミン基は、湿気と接触したときに加水分解を起こす性質をもっている。この反応において式の上で生じるフリーのアミノ基は、湿気硬化性組成物中に存在するイソシアネート基との反応を起こして尿素基を生じ、式(VIa)又は(VIb)のアルデヒドを放出する。アルジミン基に対して過剰に存在する組成物中のイソシアネート基は、湿気と直接反応して尿素基を形成し、よく起こるとおりに二酸化炭素を放出する。これらの反応の結果として、組成物が硬化する。この過程は架橋ともいわれる。硬化の過程で、その調製において用いたアルデヒドの放出とともに、ポリウレタンポリマーAは、硬化したポリウレタンマトリクス中に組み込まれる。イソシアネート基と加水分解性ポリウレタンポリマーAとの反応は、ここでは、フリーのアミノ基によって起こる必要はない。加水分解の過程で生じる中間体の反応もまた可能であることが理解されよう。例えば、ポリウレタンポリマーAの加水分解性アルジミン基が、ヘミアミナール基のかたちで、イソシアネート基と直接反応することが考えられる。
【0132】
硬化に必要な水は空気から来るか(大気湿度)、あるいは上述した組成物は、水を含む成分と、例えば平滑剤とともに塗り広げられることによって、あるいは噴霧されることによって接触させられるか、あるいは適用時に組成物が、例えば、スタティックミキサーによって混合された含水ペーストの形態で組成物に添加された水含有成分を含む。大気湿度によって硬化する場合には、組成物は外側から内側へと硬化する。硬化の速度は、この場合、様々な要因、例えば、水の拡散速度、温度、環境湿度、及び接着結合の形状によって決まる。一般的にいえば、硬化が進むとともに硬化速度は遅くなる。
【0133】
無臭のアルデヒド、例えば上述したもののみが、湿気硬化性組成物の硬化の間に放出される場合は、この組成物の硬化はいかなる不快な臭いものも生じることがなく、これは多くの用途に対し、特に室内の用途に対して、大きな利点又は必要条件でさえある。
【0134】
上述した組成物が温めて、言い換えればポリウレタンポリマーAの融点より高い温度で適用される場合は、硬化は2つの過程によって起こる。第一に、本組成物は、特に結晶化によってポリウレタンポリマーAが固化し、非常にシャープに組成物の粘度が上昇することによって、冷却時に固化する。この物理的硬化は、所定の時点でオープンタイムを終わらせ、本組成物の初期強度をもたらす。それと平行して、本組成物は、上述したように、最終的強度の発現を伴いながら、湿気によって化学的に硬化する。
【0135】
完全に硬化した状態では、上述した組成物は高い強度とともに弾性をも有する。このことは、一方では、それが典型的には300%より大きな高伸長性、典型的には0.5%〜5%伸びの範囲で5MPaより大きな高弾性率、及び典型的には6MPaより大きな高引張強度を有することを意味する。これらの特性に基づいて、本組成物は、多くの用途、特に弾性接着剤として適している。特に、本組成物は、良好な初期強度を必要とする用途に適している。
【0136】
上述した組成物は、好ましくは接着剤として、より特にウォームメルト(warmmelt)接着剤として用いられる。
【0137】
好適な用途は、例えば、建築又は土木における構成物の接着結合、及び工業製品もしくは消費者製品、より特には窓、家庭用品、もしくは輸送手段、例えば水用もしくは陸用の乗り物、好ましくは、自動車、バス、トラック、列車、もしくは船舶の製造もしくは修理における構成物の接着結合、あるいは工業生産もしくは修理における又は建築もしくは土木における接合部、継ぎ目、もしくは穴のシーリングである。
【0138】
接着剤としての用途において、本湿気硬化性組成物は、基材S1と基材S2を接着結合するために用いられる。
【0139】
この種の接着結合法は、以下の工程:
i’) 上述した組成物を基材S1に適用する工程;
ii’) 上記の適用した組成物をオープンタイム内に基材S2と接触させる工程:
iii’) 湿気によって上記組成物を化学的に架橋させる工程
を含み、上記基材S2は基材S1と同じか又は異なる材料からなる。
【0140】
特に好ましくは、説明した本組成物はウォームメルト接着剤として使用され、これは温めて適用される。
【0141】
ウォームメルト接着剤としての用途において、上述した組成物は、基材S1と基材S2を接着結合するために用いられる。
【0142】
この種の接着結合法は以下の工程:
i) 本組成物を、式(Ia)又は(Ib)のポリウレタンポリマーAの融点より高い温度に、より特に40℃〜100℃に加熱する工程;
ii) 上記の加熱した組成物を基材S1に適用する工程;
iii) 上記の適用した組成物をオープンタイム内に基材S2と接触させる工程
を含む。
【0143】
任意選択により、工程iii)に続いて、基材S2に対して基材S1を移動させる工程iv)を行ってもよい。
【0144】
工程iii)又は任意選択の工程iv)に続いて、本組成物を湿気で化学的に硬化させる工程v)を行う。当業者には、この硬化反応が、例えば、用いた組成物、基材、温度、環境湿度、及び接着結合の形状などの因子の関数として、接着結合手順の間にさえ始まりうることが理解される。この化学硬化の主要な部分は、通常、結合操作の後に起こる。
【0145】
基材S1は、基材S2と同じか又は異なっていてよい。
【0146】
好適な基材S1及びS2は、例えば、無機基材、例えば、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、及び天然石、例えば、花崗岩又は大理石;金属又は合金、例えば、アルミニウム、スチール、非鉄金属、亜鉛メッキ金属;有機基材、例えば、木材、プラスチック、例えば、PVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂;コーティングを施された基材、例えば、粉体塗装された金属又は合金;及び、塗料及び仕上げ面、特に、自動車のトップコートである。
【0147】
好ましくは、基材S1又はS2の1つは、ガラス又はガラスセラミック、より特に、窓板の形態のものである。特に好ましくは、基材S1又はS2の1つは、車両の窓板、より特に自動車の窓板である。
【0148】
必要な場合には、基材S1及び/又はS2は、上述した組成物を適用する前に前処理されてもよい。そのような前処理には、特に、物理的及び/又は化学的洗浄法が含まれ、例には、研磨、サンドブラスト、ブラシがけなど、又は洗浄剤もしくは溶媒での処理;あるいは接着促進剤、接着促進剤溶液、もしくはプライマーの適用;又は、火炎もしくはプラズマ処理、より特に、大気圧での空気プラズマ前処理が含まれる。
【0149】
上述した組成物による基材S1及びS2の接着結合は、接着結合された物品を作り出す。この種の物品は、構築構造物、より特に、建築又は土木における構築構造物であってよく、あるいは工業製品又は消費者製品、例えば、窓、家庭用品、又は輸送手段、例えば、水用もしくは陸用の乗り物、例えば、より特に、自動車、バス、トラック、列車、又は船舶、又はそれらの中もしくはそれらの上に取り付けるための部品であってよい。
【0150】
例えば車両製作などにおいて、弾性結合のための接着剤として上述した組成物を適用するためには、適用温度における本組成物は、構造粘性の特性をもつペースト状の稠度を有することが好ましい。この種のペースト状接着剤は、適切な装置(道具)を用いて基材に適用される。好適な適用方法は、例えば、手で又は圧縮空気を用いて操作される市販の通常のカートリッジからの、あるいは送液ポンプもしくは押出機を用いてドラム又はペール缶からの、任意選択で適用ロボットを使っての適用である。良好な初期強度を必要とする、例えば、乗り物製作における弾性結合のための接着剤として本組成物を適用するためには、本接着剤を、必要な適用温度、例えば40℃〜100℃に、適応前に、好適な方法を用いて、例えば、対応する温度において包装中のそれぞれの接着剤を充分貯蔵することによって、及び/又は加熱可能な容器の使用によって、及び/又は加熱可能な適用装置を通して接着剤を送ることによって、加熱をする。その場合、適用温度における接着剤は高すぎない粘度をもつペースト状の稠度を有することが好ましい一方で、室温での稠度は初期の強度の必要性に応じてかなり固いものから固体までである。
【0151】
適用した接着剤は、垂れにくく且つ短い糸引きを特徴とすることが好ましい。すなわち、接着剤は適用した後で適用した形態を保ち、言い換えれば、離れて流れてしまうことなく、適用装置を下に置いた後で、接着剤は、あったとしても非常に短い糸引きを形成するだけであり、それによって基材と適用装置は、可能な限り汚れない。
【0152】
上述した組成物が、例えば、乗り物の製作において、弾性結合のための接着剤として用いられる場合、この組成物は、実質的に円形又は三角形の断面を有するビードの形態で適用されることが好ましい。
【0153】
乗り物製作における弾性結合には、例えば、乗り物への部品、例えば、プラスチックカバー、トリムストリップ、フランジ、バンパー、ドライバーの運転台、又は取り付けのためのその他の部品の接着取り付け、あるいは乗り物への窓板の結合が含まれる。乗り物には、例えば、自動車、トラック、バス、鉄道車両、及び船舶が含まれる。
【0154】
上述した組成物は、乗り物への、より特に自動車への、窓板の接着のために用いられることが好ましい。
【0155】
上述した組成物は、高めた温度で、より特に40〜100℃で適用されることが好ましい。あるいは、ポリウレタンポリマーAの形態の溶融成分の性質及び量に応じて、室温又はそれより低い温度で適用することもできる。したがって、組成物の性質に応じて、その組成物の適用のために溶融成分が溶融することが絶対に必要というものではない。
【0156】
上述した組成物の一つの好ましい用途は、良好な初期強度を有する接着剤の用途である。この種の接着剤は、室温で、大いにペースト状から固体状の稠度を示す。適用するためには、それは例えば40℃〜100℃の温度に加熱され、ポリウレタンポリマーAの溶解に主に起因して、低粘度のペースト状物質を生じるように変化する。接着剤の適用に続いて、それは周囲温度、より特に室温まで冷え、ポリウレタンポリマーAの形態の溶融成分は徐々に固体になる。この固化過程のおかげで、本接着剤は、かなり増大した粘度と、結果として、湿気による化学的硬化がまだ実質的に進まない時点での良好な初期強度とを有する。
【0157】
この種の接着剤のオープンタイムは、接着剤の粘度が冷却時に増大する速度に左右される。接着剤の粘度が高ければ高いほど、好適な結合を生み出すように接着剤上に被着体を押しつけるために費やす力はより大きくなる。したがって、オープンタイムの終了の一つの尺度は、適用後の特定の時点での圧縮力である。最大の圧縮力が到達するレベルは、それぞれの製造操作を含めた因子に左右される。手で接着させる場合にはオープンタイムはロボットを使用して接着させる場合よりも短く、ロボットは、一般的にいえば、被着体の圧縮挿入のために実質的により大きな力を加える。
【0158】
初期強度のレベルは、冷却の過程で溶融成分が固化した後の接着剤の稠度(コンシステンシー)に左右される。初期強度のレベルに関する必要性は、具体的な製造操作に大きく左右される。典型的には、例えば、乗り物のボディーに結合される窓板は、機械的な固定なしに、接着剤の初期強度によって保持されなければならない。言い換えれば、接着剤のビード全体が、湿気によって顕著な程度に既に硬化した接着剤の化学的硬化なしに、初期強度に基づいて窓板の固有の重さに耐える必要がある。この時点において、被着体を互いに対して僅かに移動させ、接着結合のための望ましい位置にそれらをもっていくことが、典型的にはなお可能である。
【0159】
もちろん、短いオープンタイムをもつ接着剤は、より長いオープンタイムをもつ接着剤よりもより高い初期強度を示す。
【0160】
さらなる側面では、本発明は、溶融成分を用いて、ポリウレタン組成物のオープンタイムと初期強度に影響を与える方法を提供し、この溶融成分は、イソシアネート基を有し且つ下記式(III)で示されるポリウレタンポリマーP2から構成され、イソシアネート基を有する下記式(III)のポリウレタンポリマーP2は、下記式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDと部分的又は完全に反応させられる。
【0161】
【化14】

【0162】
上記の置換基Q、Y、Y、Y、Y、R、及びX、並びに指数m及びnは、上述した一成分湿気硬化性組成物中の、アルジミン基を含む式(Ia)又は(Ib)の固体ポリウレタンポリマーAのものである。
【0163】
イソシアネート基を含む式(III)の室温で固体のポリウレタンポリマーP2は、40℃〜80℃の範囲に、より特に50℃〜70℃の範囲に融点をもつ。
【0164】
イソシアネート基を有しする式(III)のポリウレタンポリマーP2の形態の溶融成分と、式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDとの反応は、その溶融成分が液体で存在する温度において、場合により好適な触媒を併用して行われ、アルジミンDは、溶融成分のイソシアネート基に対して、化学量論量で、僅かに化学量論的過剰量で、又は少ない化学量論量で、好ましくは化学量論量で又は僅かに化学量論的過剰量で計量される。
【0165】
そのような反応で得られ且つアルジミン基を有する溶融成分は、ウォームメルト接着剤組成物の成分として、イソシアネート基を有する未反応の溶融成分と比較した場合に、硬化特性に変化をもたらす。特に、引き延ばされたオープンタイムが得られる。ポリウレタンポリマーP2とアルジミンDとの反応によって得られたポリウレタンポリマーA、及びより特にポリウレタンポリマーA1又はA2は、ウォームメルト接着剤組成物の硬化特性を特に有利なように変え、そこでは溶融成分の固化(これは結晶化の結果として特に起こる)が僅か乃至明らかな遅延を伴って起こる。結果として、ウォームメルト接着剤組成物が得られ、これは従来技術と同程度の溶融挙動をもつが、より長いオープンタイムを有する。引き延ばされたオープンタイムは、ポリウレタンポリマーP2の反応に用いたアルジミンDの性質と量によって広い範囲で変動でき、このことが、特に工業生産操作における接着剤としてのそのような組成物の使用に非常に有利である。
【0166】
このオープンタイムは、特に、アルジミンDの選択と、反応の化学量論によって制御できる。式(IVa)又は(IVb)中のXがO又はN−Rであり、Rが1〜4の炭素原子を有するアルキル基、より特にメチルであるアルジミンDを用いた場合は、ウォームメルト接着剤は比較的短いオープンタイムと高い初期強度とを有する。式(IVa)又は(IVb)中のXがN−Rであり、Rが4つより多い炭素原子を有し、任意選択により少なくとも1つのカルボン酸エステル、ニトリル、ニトロ、リン酸エステル、スルホニルもしくはスルホン酸エステル基を含んでいてもよい一価の炭化水素基であるか、又は式(IIa)もしくは(IIb)の置換基であるか、あるいは式(IVa)もしくは(IVb)中のXがN−R2’であり、R2’が式(Ia)又は(Ib)において既に記載した定義を有するアルジミンDを用いる場合には、ウォームメルト接着剤はより長いオープンタイムを有する。
【0167】
したがって、この方法は、オープンタイム及び初期強度が、広い範囲内で、多くの接着結合操作にとって有利であるものに調節されることができるウォームメルト接着剤組成物の入手を可能にする。
【0168】
さらなる側面では、最後に、本発明は、アルジミン基を含み、40℃〜80℃の範囲に融点を有する下記式(Ia’)又は(Ib’)の室温で固体のポリウレタンポリマーA2を提供する。
【0169】
【化15】

【0170】
式(Ia’)及び(Ib’)において、
n’は2又は3、より特に2であり;
Qは、室温で固体であり且つ40〜80℃の範囲に融点を有するポリウレタンポリマーP2から、n’個のイソシアネート基を除いた後の基であり;
及びYは、互いに独立して、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは一緒になって、5〜8、好ましくは6の炭素原子を有する非置換又は置換カルボシクリル環の一部である4〜20の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるいずれかであり;
は、任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を含んでいてもよい一価の炭化水素基であり;
は、5〜8、好ましくは6原子の環サイズを有する置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基であるか、又は、
【化16】

(Rは水素原子であるか又はアルコキシ基である)であるか、又は、
少なくとも6つの炭素原子を有する、置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基であり;
は、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい2〜12の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるか、あるいはX’がN−R2’である場合は、RはR2’とともに、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であり;
X’はOであるか、N−Rであるか、N−R2’であり;
は、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルであるか、あるいは、-CHR-CHであり、Rは水素原子であるか又は-COORであり、Rは-COOR又は-CONHR又は-CONRであり、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキル基であり;
2’は、Rと一緒になって、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基である。
【0171】
ポリウレタンポリマーP2は、少なくとも1種の室温で液状の、非晶質、部分的に結晶性、もしくは結晶性のポリエステルジオール又はポリカーボネートジオールと、ポリイソシアネートとから調製されることが好ましく、この室温で液状のポリエステルジオール又はポリカーボネートジオールは0℃〜25℃のある温度で固体であり、且つ少なくとも1種の非晶質、部分的に結晶性、もしくは結晶性のポリエステルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオールと常に組み合わせて用いられる。
【0172】
式(Ia’)又は(Ib’)のポリウレタンポリマーA2は、50℃〜70℃の範囲に融点を有することが好ましい。
【0173】
式(Ia’)又は(Ib’)のポリウレタンポリマーA2は、特に、式(III’)の室温で固体のポリウレタンポリマーP2と、下記式(IVa’)又は(IVb’)のアルジミンDとから調製される。
【0174】
【化17】

【0175】
同様に、アルジミンDは、下記式(V’)のアミンと、式(VIa)又は(VIb)のアルデヒドとから調製される。
【0176】
【化18】

【0177】
置換基Q、Y、Y、Y、Y、R、及びX’並びに指数n’は、式(Ia’)及び式(Ib’)に記載したものと同じ定義を有する。
【0178】
式(Ia’)又は(Ib’)のポリウレタンポリマーA2を調製するための式(V’)のアミンとしては、より特に好ましいものは、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、並びにまた、脂肪族一級ジアミンと、マレイン及びフマル酸ジエステル類、アクリル及びメタクリル酸エステル類、アクリルアミド類及びメタクリルアミド類との、好ましくはマレイン酸ジエステル、より特にはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル及びマレイン酸ジブチルとの、そしてアクリル酸エステル、より特にアクリル酸メチルとの、1:1のモル比で反応されたマイケル型付加の生成物;一級アミノ基がヒドロキシル基から少なくとも5つの原子によって又は環によって隔てられている脂肪族ヒドロキシルアミン類、より特に5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びより高次の同族体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコール-モノアミン及びその高次のオリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)-エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン、からなる群から選択される。
【0179】
式(Ia’)又は(Ib’)のポリウレタンポリマーA2の特徴は、高温、より特にはその融点より高い温度で貯蔵安定性があり、したがって、その粘度、溶融特性及び固化特性に顕著な変化を生じることなく、かなり長期にわたって液体状態で貯蔵できることである。それはより特に、接着剤、シーラント、床用剤(floorings)又はコーティング剤における溶融成分として、特に一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物に適している。さらに、それは、式(Ia’)又は(Ib’)のアルジミン基を有するポリウレタンポリマーA2の融点より低い温度で、より特に40℃未満、好ましくは0〜35℃の温度で適用される接着剤、シーラント、床用剤又はコーティング剤のための増粘剤又はチキソ性付与剤として適しており、特に一成分形湿気硬化性ポリウレタン組成物用として適している。
【0180】
溶融成分又は増粘剤又はチキソ性付与剤の液体状態で貯蔵される能力はかなり実用上重要であり、なぜなら、液体状態では、計量するのが容易であり且つ組成物を調製するために最初に溶融させるという、バッチ生産法の場合にコストがかかり且つ不便な操作が必要ないからである。それに加えて、より特に良好な初期強度をもつウォームメルト接着剤として用いられる組成物、特にポリウレタン組成物において用いるための溶融成分又は増粘剤又はチキソ性付与剤の良好な貯蔵安定性は重要であり、なぜなら、そのことは、その組成物が、その適用特性及び硬化特性に高温でさえ貯蔵時に殆ど又はいかなる変化も引き起こさず、特にオープンタイム及び初期強度について非常に一定した値をもたらし、これは製造日及び貯蔵条件に殆ど左右されないことを意味するからである。
【実施例】
【0181】
[実施例]
〔試験法の説明〕
〔アルジミノ基及びフリーのアミノ基の合計量(アミン含量)〕
調製した化合物中のアルジミノ基及びフリーのアミノ基の合計量(「アミン含量」)は、滴定(氷酢酸中の0.1N HClO、クリスタルバイオレットに対して)によって測定し、常にmmol NH/gで表す(一級アミノ基だけでない場合であっても)。
【0182】
〔粘度〕
粘度は、温度調節したコーンプレート粘度形、Physica UM(コーン直径20mm、コーン角度1°、コーンチップ/プレート距離0.05mm、剪断速度10〜1000s−1)で測定した。
【0183】
〔融点及び結晶化点〕
融点及び結晶化点はDSCを用いて測定し、各試料は最初に0℃から100℃まで、2℃/分の加熱速度で加熱し、次に100℃から0℃まで、2℃/分の冷却速度で冷却した。各場合に、読み取られた融点は、加熱曲線の吸熱極大であり、結晶化点は冷却曲線の発熱極大である。結晶化点を測定するためには、より速い冷却時の固化挙動を試験するために5℃又は10℃/分のより速い冷却速度で追加して測定を行った。
【0184】
〔オープンタイム〕
オープンタイムは以下のように測定した。
接着剤を60℃にて所定数のポリプロピレン板に塗布し、塗布は各場合に約1cmの幅をもつ三角形ビードの形態で行った。一定時間間隔で、各板を第二のポリプロピレン板で覆い、これを直ちに5mmの接着厚さまで圧縮し、ビード塗布と板の圧縮組み込みとの間に経過した時間をラベルにて貼った。圧縮するために必要だった力を記録した。オープンタイムは、この圧縮力が8N/cmのレベルを超えた時点とした。(工業生産操作、例えば、自動車への窓板の接着においては、約8N/cmのレベルは通常使用されるロボットにとって許容可能な圧縮力の限度を意味する。)
【0185】
〔初期強度〕
初期強度は以下のように測定した。
接着剤のビードを、三角形の断面で、100mmの長さ、10mmの幅、及び12mmの高さで、60℃にて、水平方向に、垂直面に塗布した。30秒の待ち時間の後、100×40×12mmの寸法のガラス板を、接着剤の層が5mmの厚さになるまで接着剤のビード上に押しつけ、そのガラス板はその表面が垂直になり且つその接着剤が上側の長辺に沿って配置するようにした。そのガラス板をその位置で30秒間保持し、次に保持を解除した。解除後2分に、そのガラス板がその自重で下方に動いた距離を測定した。そのガラス板の自重によって結合へ加えられた荷重は3g/cmだった。ガラス板の0.5mm以下の下方への移動は「非常に良好」と表し、0.5mmより大きく3mmまでの移動は「良好」と表した。
【0186】
〔引張強度、破断伸び、及び弾性率〕
引張強度、破断伸び、及び弾性率は、DIN53504(引張速度:200mm/分)に準拠して、2mm厚さのフィルムで測定し、このフィルムは標準条件下(23±1℃、50±5%相対湿度)で14日間硬化させた。
【0187】
〔接着性〕
接着剤の接着力は小さなガラス板で試験を行い、ガラス板は使用前にSika(登録商標)Activator(Sika Schweiz AGから入手できる)で前処理し、10分間空気にさらしておいた。各接着剤は、60℃の温度で、ビードの形状に、上のように処理したガラス表面に適用し、23℃及び50%相対湿度で2週間貯蔵後に試験した。試験の目的のために、接着剤のビードの一端に、ガラスの表面のちょうど上まで切れ目を入れる。切れ目を入れたビード端を手でつかみ、次に、そのビードの他端の方向へ引っ張る動作によってガラス表面から注意深く且つゆっくりと引っ張った。もし、この除去手順の間に、接着が非常に強く、引っ張ったときにビードの端がちぎれるおそれがある場合は、カッターを使用して、ビードを引っ張る方向に垂直な切れ目をガラスそのものの表面のところまで入れ、このようにして一定区域のビードを引きはがす。必要な場合は、連続した引っ張りの間、2〜3mmの間隔で、この種の切れ目を入れることを繰り返す。このようにして、ビード全体をガラス表面から引っ張り及び/又は切り離した。接着性は、ビードを除去した後のガラス表面に残った硬化接着剤に基づいて(凝集破壊)、特に接着面積のうちの凝集成分を見積もることで評価した。凝集成分が接着面積の95%より大きい場合は、その接着は「非常に良好」として表した。
【0188】
〔耐垂れ性〕
耐垂れ性(sag resistance)を測定するために、三角形のノズルを備えたカートリッジガンを使用して、接着剤を、底辺径8mm及び高さ(底辺から三角形の頂点までの距離)20mmをもつ水平に伸びた三角形のビードとして、垂直なボール紙片に適用した。5分後に、その頂点(ピーク)が下がった量、すなわち、その頂点がその三角形のビードの中央の初期の位置から離れた量の測定を行った。評価:1=頂点が変わらない;2=頂点が、底辺の中央と端との間にある;3=頂点が底辺の端の位置にある;4=頂点が底辺の端よりも下にある;5=頂点が存在しない。
【0189】
〔糸引き性〕
糸引き性は、カートリッジガンを使用して、壁に固定したボール紙片に少しの接着剤を塗布し、その塗布した接着剤から素早く離すことによって、塗布の最後にそのカートリッジガンを引き離し、この操作において引き離した部位に残った接着剤の糸の長さを測定することによって評価した。評価については以下の基準を適用した:糸引きが短い=1cm以下の糸引き長さ;糸引きが中くらい=2cmまでの糸引き長さ;糸引きが長い=2cmより長い糸引き長さ。
【0190】
a)アルジミンDの調製
〔アルジミンD1〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、28.06g(0.099モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、10.00g(0.095モル)の2-(2-アミノエトキシ)エタノール(ジグリコールアミン(登録商標)剤;Huntsman社)を、滴下ロートから3分間にわたって添加し、反応混合物の温度が40℃まで上昇した。その後、揮発成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。これによって、36.3gの無色で透明で無臭の液体が得られ、これは室温で低粘度であり且つ2.58mmolNH/gのアミン含量をもっていた。
【0191】
〔アルジミンD2〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、30.13g(0.106モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、15.00g(0.096モル)のN-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミンを、滴下ロートから5分間にわたって添加し、反応混合物の温度が36℃まで上昇した。その後、揮発成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。これによって、43.2gの無色で透明で無臭の液体が得られ、これは室温で低粘度であり且つ4.39mmolNH/gのアミン含量をもっていた。
【0192】
〔アルジミンD3〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、40.64g(0.143モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、11.68g(0.133モル)のN-メチル-1,3-プロパンジアミンを、滴下ロートから5分間にわたって添加し、反応混合物の温度が38℃まで上昇した。その後、揮発成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。これによって、49.8gの無色で透明で無臭の液体が得られ、これは室温で低粘度であり且つ5.20mmolNH/gのアミン含量をもっていた。
【0193】
〔アルジミンD4〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、34.15g(0.120モル)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを仕込んだ。激しく撹拌しながら、12.02g(0.056モル)のビスヘキサメチレントリアミン(BHMT−HP;Invista社)を、滴下ロートから5分間にわたって添加し、反応混合物の温度が35℃まで上昇した。その後、揮発成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。これによって、43.6gの無色で透明で無臭の液体が得られ、これは室温で低粘度であり且つ3.68mmolNH/gのアミン含量をもっていた。
【0194】
〔アルジミンD5〕
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、27.02g(0.254モル)の2-(2-アミノエトキシ)エタノール(ジグリコールアミン(登録商標)剤;Huntman社)を仕込んだ。激しく撹拌しながら、27.72g(0.262モル)のベンズアルデヒドを、滴下ロートから5分間にわたって添加し、反応混合物の温度が35℃まで上昇した。その後、揮発成分を減圧下(10mbar、80℃)で除去した。これによって、50.0gの黄色で透明な液体が得られ、これは室温で低粘度であり且つ5.13mmolNH/gのアミン含量をもっていた。
【0195】
b)ポリウレタンポリマーP2の調製
〔ポリマーP2.1〕
1000gのポリオールDynacoll(登録商標)7360(ポリエステルジオール、OH価は30mgKOH/g、水分量0.05質量%、融点55℃、Degussa社)と、139.8gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、バイエル社)とを公知の方法で80℃で反応させて、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は滴定によって測定して1.9質量%のフリーイソシアネート基量をもっていた。
【0196】
〔ポリマーP2.2〕
1000gのポリオールDynacoll(登録商標)7381(ポリエステルジオール、OH価は30mgKOH/g、水分量0.05質量%、融点65℃、Degussa社)と、139.8gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、バイエル社)とを公知の方法で80℃で反応させて、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は滴定によって測定して1.9質量%のフリーイソシアネート基量をもっていた。
【0197】
c)ポリウレタンポリマーA(溶融成分又は増粘剤)の調製
〔ポリウレタンポリマーA1.1〕
60℃で、300gのポリマーP2.1を、52.6gのアルジミンD1と均一に混合した。反応生成物を湿気の不存在下に貯蔵した。その特性を表1に示す。
【0198】
〔ポリウレタンポリマーA1.2〕
60℃で、300gのポリマーP2.1を、61.8gのアルジミンD2と均一に混合した。反応生成物を湿気の不存在下に貯蔵した。その特性を表1に示す。
【0199】
〔ポリウレタンポリマーA1.3〕
60℃で、300gのポリマーP2.2を、52.6gのアルジミンD1と均一に混合した。反応生成物を湿気の不存在下に貯蔵した。その特性を表2に示す。
【0200】
〔ポリウレタンポリマーA1.4〕
60℃で、300gのポリマーP2.2を、52.2gのアルジミンD3と均一に混合した。反応生成物を湿気の不存在下に貯蔵した。その特性を表2に示す。
【0201】
〔ポリウレタンポリマーA1.5〕
60℃で、300gのポリマーP2.2を、110.6gのアルジミンD4と均一に混合した。反応生成物を湿気の不存在下に貯蔵した。その特性を表2に示す。
【0202】
〔ポリウレタンポリマーA1.6〕
60℃で、300gのポリマーP2.2を、26.5gのアルジミンD5と均一に混合した。反応生成物を湿気の不存在下に貯蔵した。その特性を表2に示す。
【0203】
d)溶融成分の特性
〔例1〜8〕
ポリウレタンポリマーA1.1、A1.2、A1.3、A1.4、A1.5、及びA1.6の特性及び、ポリマーP2.1及びP2.2の特性を、溶融成分としてのそれらの適性について評価した。それらを表1及び2に示す。
【0204】
【表1】

【0205】
【表2】

【0206】
表1及び2から、ポリウレタンポリマーA1.1、A1.2、A1.3、及びA1.4の形態の本発明の溶融成分は、70℃の温度にて液体状態で貯蔵した場合に、ポリマーP2.1及びP2.2の形態の溶融成分よりも、粘度のわずかな増加しか示さないことが明らかである。粘度の特に低い増加は、例1、4、及び5の本発明のポリウレタンポリマーによって示されており、これらは式(IVa)もしくは(IVb)、又は(IVa’)もしくは(IVb’)のアルジミンDの反応生成物を表し、式中のX又はX’は酸素又はN−CHである。
【0207】
表1及び2からは、例1及び2の融点、並びに例4、5、6、及び7の融点は、例3(比較例)の融点及び例8(比較例)の融点とそれぞれ非常に近いことがさらに明らかである。したがって、ポリマーP2.1及びP2.2の溶融挙動は、アルジミンDとの反応の結果として実質的に変化していない。
【0208】
最後に、表1及び2から、本発明の溶融成分の結晶化は、アルジミンDと反応させられていない比較例の溶融成分のものと比較して、よりゆっくりと、あるいは遅延して始まることがわかる。
【0209】
表1及び2からは、最後に、例1及び2、並びに4、5、6、及び7の結晶化点が、例3(比較例)及び8(比較例)のものよりもずっと低いことが明らかである。このことは、DSC測定を速い冷却速度(5℃又は10℃/分)を用いて行った場合に、特に明らかになる。このことから、本発明の溶融成分の結晶化が、それらを40℃〜80℃の適用温度及び室温の環境温度で製造操作において接着剤の一部として用いた場合に、比較例の溶融成分と比較して、よりゆっくりと又は遅延して始まることが推論できる。
【0210】
e)ポリウレタンポリマーP1の調製
〔ポリマーP1.1〕
1295gのポリオールAcclaim(登録商標)4200 N(低モノオールポリオキシプロピレンジオール、OH価28.5mgKOH/g;バイエル社)、2585gのポリオールCaradol(登録商標)MD 34-02(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレントリオール、OH価35.0mgKOH/g;シェル社)、620gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、バイエル社)、及び500gのジイソデシルフタレート(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF社)を、公知の方法で80℃にて反応させて、NCO末端ポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は滴定によって測定して2.03質量%のフリーイソシアネート基量をもっていた。
【0211】
f)尿素増粘剤ペーストの調製
真空ミキサー中に、1000gのジイソデシルフタレート(Palatinol(登録商標)Z、BASF社)及び160gの4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、バイエル社)を導入し、わずかに温めた。次に、激しく撹拌しながら、90gのモノブチルアミンを滴下によりゆっくりと添加した。得られた白いペーストを減圧下且つ冷却下でさらなる時間撹拌し、次に冷却し、続いてさらなる使用に供した。
【0212】
g)接着剤基剤の調製
〔接着剤基剤1〕
真空ミキサー中で、3650gのポリマーP1.1、20gのp-トリルスルホニルイソシアネート(additive TI(登録商標)、バイエル社)、1330gのジイソデシルフタレート(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF社)、1000gの尿素増粘剤ペースト、2000gのカーボンブラック、1700gの焼成カオリン、及び1.3gのジブチルスズジラウレートを、湿気の不存在下で、塊のない均一なペーストへと加工し、これを湿気の不存在下で貯蔵した。
【0213】
〔接着剤基剤2〕
真空ミキサー中で、2000gのポリマーP1.1、20gのp-トリルスルホニルイソシアネート(additive TI(登録商標)、バイエル社)、1000gのジイソデシルフタレート(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF社)、900gのカーボンブラック、900gの焼成カオリン、8gの2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、及び0.4gのジブチルスズジラウレートを、湿気の不存在下で、塊のない均一なペーストへと加工し、これを湿気の不存在下で貯蔵した。
【0214】
h)接着剤の調製
〔例9〜15〕
表3に示した量の数値にしたがって、例9、10、12、13、及び14の本発明の接着剤に対してはポリウレタンポリマーAの形態の、あるいは比較例11及び15の接着剤に対してはポリウレタンポリマーP2の形態のそれぞれの溶融成分を、湿気の不存在下で、接着剤基剤1中に、液体状態で均一に組み込んだ。得られた接着剤は、カートリッジ中で、室温にて、湿気の不存在下で貯蔵した。
【0215】
例9及び15の特性を表4に示す。接着剤を、25℃の環境温度で、且つ60℃の接着温度で適用した。
【0216】
【表3】

【0217】
【表4】

【0218】
表4から、全ての接着剤が、良好な初期強度、良好な機械特性、及び良好な接着性を示すことが明らかである。例9、10、並びに12、13、及び14の本発明の接着剤のオープンタイムは、それぞれ、比較例11及び15のものよりも顕著に長い。
【0219】
〔例16〜18〕
表5の量の数値にしたがって、液体状態の各増粘剤を、湿気の不存在下で、接着剤基剤2に均一に組み込んだ。得られた接着剤は、カートリッジ中で室温において湿気の不存在下で貯蔵した。
【0220】
例16〜18の特性は、表5に示している。この接着剤は25℃の環境温度にて且つ25℃の接着温度で適用した。
【0221】
【表5】

【0222】
表5から、それぞれポリウレタンポリマーA2を増粘剤として含む例16及び17の2つの接着剤が、非常に良好な耐垂れ性及び短い糸引き性の形態の良好な適用特性を有することが明らかである。ポリウレタンポリマーAを含まない比較例18の接着剤は、これとは対照的に、かなり低い耐垂れ性及びより長い糸引き性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)室温で液状であり且つイソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーP1、及び
b)室温で固体であり、アルジミン基を有し、下記式(Ia)又は(Ib)で表され、且つ40℃〜80℃の範囲に融点を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーA
を含む一成分形湿気硬化性組成物。
【化1】

式中、
Qは、室温で固体であり且つ40℃〜80℃の範囲に融点を有するポリウレタンポリマーP2からm+n個のイソシアネート基を除いた後の基であり;
及びYは、互いに独立して、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは一緒になって、5〜8、好ましくは6の炭素原子を有する非置換又は置換された炭素環状環の一部である、4〜20の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるかのいずれかであり;
は、少なくとも1つのヘテロ原子、さらに特に、エーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を任意選択で含んでいてもよい一価の炭化水素基であり;
は、5〜8、好ましくは6つの原子の環の大きさを有する置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基であるか、あるいは
【化2】

(式中、Rは水素原子であるか、あるいはアルコキシ基である)
であるか、
あるいは少なくとも6つの炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基であり;
は、2〜12の炭素原子を有し、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい2価の炭化水素基であるか、あるいはXがN−R2’である場合にはR2’と一緒になって、少なくとも1つのヘテロ原子、より特に、エーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択により含んでいてもよい、4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であるかのいずれかであり;
XはOであるか、又はSであるか、又はN−Rであるか、又はN−R2’であり、
ここでRは、1〜20の炭素原子を有し、任意選択により少なくとも1つのカルボキシルエステル基、ニトリル基、ニトロ基、リン酸エステル基、スルホニル基、又はスルホン酸エステル基を含んでいてもよい一価炭化水素基であるか、あるいは、
下記式(IIa)又は(IIb)
【化3】

の置換基であるかのいずれかであり、
2’はRと一緒になって、任意選択によって少なくとも1つのヘテロ原子、より特にはエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であり;
nは1又は2又は3であり、
mは0又は1又は2であり、
但し、m+nが2又は3であることを条件とする。
【請求項2】
前記ポリウレタンポリマーP1が、湿気硬化性組成物の質量を基準にして10質量%〜80質量%の量で、より特に15質量%〜50質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項3】
mが0であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項4】
m+nが2であることを特徴とする、請求項1又は2又は3に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項5】
Xが、Oであるか、又はN−Rであるか、又はN−R2’であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項6】
XがN−Rであり、Rは1〜4つの炭素原子を有する一価の炭化水素基、より特に、メチル、エチル、プロピル、又はブチル、好ましくはメチルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項7】
前記ポリウレタンポリマーAが、室温で固体であり且つイソシアネート基を有し且つ下記式(III)を有するポリウレタンポリマーP2と、下記式(IVa)又は(IVb):
【化4】

のアルジミンDとの反応によって調製されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性。
【請求項8】
前記ポリウレタンポリマーP2が、少なくとも1種のポリオール、より特に室温で液状の、非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリエステルジオールと、少なくとも1種のポリイソシアネートとから調製され、前記の室温で液状のポリエステルジオールが0℃〜25℃の間のある温度で固体であり、且つ、少なくとも1種の非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリエステルポリオールと常に組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項7に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項9】
前記ポリウレタンポリマーP2が、少なくとも1種の室温で液状の、非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリカーボネートジオールと、少なくとも1種のポリイソシアネートから調製され、前記の室温で液状のポリカーボネートジオールが、0℃〜25℃の間のある温度で固体であり、且つ、少なくとも1種の非晶質、部分結晶性、又は結晶性のポリカーボネートポリオールと常に組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項7に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項10】
前記ポリウレタンポリマーP1及び/又はポリウレタンポリマーP2が、少なくとも1種のジイソシアネート、より特にMDI、TDI、HDI、又はIPDI、好ましくはMDIを用いて調製されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項11】
前記アルジミンDが、下記式(V)のアミンと、下記式(VIa)又は(VIb)のアルデヒドとから調製されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【化5】

【請求項12】
式(V)のアミンが、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、脂肪ジアミン類、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソヤアルキル-1,3-プロパンジアミン、及びN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン;脂肪族一級ジアミンを、マレイン酸ジエステル及びフマル酸ジエステル、アクリル及びメタクリル酸エステル、アクリルアミド類及びメタクリルアミド類、好ましくはマレイン酸ジエステル、より特に、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、及びジブチルマレートと、及びアクリル酸エステル、より特に、アクリル酸メチルと、1:1のモル比で反応させたマイケル型付加反応による生成物;一級アミノ基が、ヒドロキシル又はメルカプト基から、少なくとも5つの原子によって、あるいは環によって隔てられている脂肪族ヒドロキシ-又はメルカプトアミン類、より特に、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びそれらのより高次の同族体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコール-モノアミン及びそれらのより高次のオリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項13】
前記ポリウレタンポリマーAが、式(Ia)を有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項14】
が下記式(VII’)又は(VIII’)の基であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【化6】

式中、Rは水素原子であるか、又はアルキル基もしくはアリールアルキル基であり、好ましくは水素原子であり;
は、1〜30、さらに特に12〜30の炭素原子を有する炭化水素基であり、これは任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよく;さらに、
は、水素原子であるか、
あるいは1〜30、より特に11〜30の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基であり、任意選択で環状部分をもっていてもよく、任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子をもっていてもよく、
あるいは、5〜30の炭素原子を有する1不飽和又は多不飽和の直鎖状又は分枝状炭化水素基であるか、
あるいは、任意選択によって置換基を有していてもよい芳香族又はヘテロ芳香族の5〜6員環である。
【請求項15】
0.3質量%〜15質量%の量で、好ましくは0.5質量%〜15質量%の量で、より好ましくは1質量%〜10質量%の量で式(Ia)又は(Ib)の室温で固体のポリウレタンポリマーAを含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項16】
水分、より特に大気湿度の形態の水分、又は組成物に添加された水含有成分の形態の水分で架橋することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物。
【請求項17】
以下の工程:
i) 請求項1〜15のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物を、式(Ia)又は(Ib)のポリウレタンポリマーAの融点より高い温度に、より特に40℃〜100℃に加熱する工程;
ii) 前記の加熱した湿気硬化性組成物を基材S1に適用する工程;
iii) 前記の適用した湿気硬化性組成物をオープンタイム内に基材S2と接触させる工程
を含み、前記基材S2が前記基材S1と同じか又は異なる物質からなる、基材S1を基材S2に接着結合させる方法。
【請求項18】
工程iii)に続いて、基材S2に対して基材S1を移動させる工程iv)を行うことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
工程iii)又は工程iv)に続いて、前記湿気硬化性組成物を化学的に硬化させる工程v)を行うことを特徴とする、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
以下の工程:
i’) 請求項1〜15のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物を基材S1に適用する工程;
ii’) 前記の適用した組成物をオープンタイム内に基材S2と接触させる工程:
iii’) 湿気によって前記組成物を化学的に架橋させる工程
を含み、前記基材S2が前記基材S1と同じか又は異なる材料からなる、基材S1を基材S2に接着結合させる方法。
【請求項21】
少なくとも前記基材S1又はS2が、無機基材、例えば、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、煉瓦、タイル、石膏、又は天然石、例えば、花崗岩又は大理石;金属又は合金、例えば、アルミニウム、スチール、非鉄金属、亜鉛メッキ金属;有機基材、例えば、木材、プラスチック、例えば、PVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂;コーティングを施された基材、例えば、粉体塗装された金属又は合金;又は、塗料及び仕上げ面、より特に、自動車のトップコートであることを特徴とする、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも基材の1つ、S1又はS2が、ガラス又はガラスセラミック、より特に、窓板の形態のガラス又はガラスセラミックであることを特徴とする、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項17〜22のいずれか一項に記載の接着結合方法によって接着結合された物品。
【請求項24】
前記物品が、構築構造物、より特に、建築又は土木における構築構造物、あるいは工業製品又は消費者製品、より特に、窓、家庭用品、又は輸送手段、より特に、水用もしくは陸用の乗り物、好ましくは、自動車、バス、トラック、列車、もしくは船舶、又は輸送手段の上もしくは中に取り付けるための部品であることを特徴とする、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
窓板を乗り物に、より特に自動車に接着するために、特に請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法を用いた、請求項1〜15のいずれか一項に記載の一成分形湿気硬化性組成物の使用。
【請求項26】
イソシアネート基を有し且つ下記式(III)で示されるポリウレタンポリマーP2から構成される溶融成分を用いて、ポリウレタン組成物のオープンタイム及び初期強度に影響を与える方法であって、
イソシアネート基を有する式(III)のポリウレタンポリマーP2が、下記式(IVa)又は(IVb)のアルジミンDと部分的又は完全に反応させられたことを特徴とする方法。
【化7】

式中、
Qは、室温で固体であり且つ40〜80℃の範囲に融点を有するポリウレタンポリマーP2から、m+nのイソシアネート基を除いた後の基であり;
及びYは、互いに独立して、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは一緒になって、5〜8、好ましくは6の炭素原子を有する非置換又は置換炭素環状環の一部である4〜20の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるかのいずれかであり;
は、任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を含んでいてもよい一価の炭化水素基であり;
は、5〜8、好ましくは6原子の環サイズを有する置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基であるか、又は、
【化8】

(Rは水素原子であるか又はアルコキシ基である)であるか、又は、
少なくとも6つの炭素原子を有する、置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基であり;
は、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい2〜12の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるか、あるいはXがN−R2’である場合は、RはR2’とともに、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であり;
XはOであるか、又はSであるか、又はN−Rであるか、又はN−R2’であり、
ここでRは、1〜20の炭素原子を有し、任意選択により少なくとも1つのカルボキシルエステル基、ニトリル基、ニトロ基、リン酸エステル基、スルホニル基、又はスルホン酸エステル基を含んでいてもよい一価炭化水素基であるか、あるいは、
下記式(IIa)又は(IIb)の置換基であるかのいずれかであり、
【化9】

2’はRと一緒になって、任意選択によって少なくとも1つのヘテロ原子、より特にはエーテル酸素又は三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であり;
nは1又は2又は3であり、mは0又は1又は2であり、但しm+nが2又は3であることを条件とする。
【請求項27】
アルジミン基を有し、下記式(Ia’)又は(Ib’)で表され、室温で固体であり、40℃〜80℃の範囲に融点を有する、ポリウレタンポリマーA2。
【化10】

式中、Qは、室温で固体であり且つ40〜80℃の範囲に融点を有するポリウレタンポリマーP2から、n’個のイソシアネート基を除いた後の基であり;
及びYは、互いに独立して、それぞれ1〜12の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは一緒になって、5〜8、好ましくは6の炭素原子を有する非置換又は置換基を有する炭素環状環の一部である4〜20の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるかのいずれかであり;
は、任意選択により少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル、カルボニル、又はエステル基の形態の酸素を含んでいてもよい一価の炭化水素基であり;
は、5〜8、好ましくは6原子の環サイズを有する置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基であるか、又は、
【化11】

(Rは水素原子であるか又はアルコキシ基である)であるか、又は、少なくとも6つの炭素原子を有する、置換又は非置換のアルケニル又はアリールアルケニル基であり;
は、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい2〜12の炭素原子を有する2価の炭化水素基であるか、あるいはX’がN−R2’である場合は、RはR2’とともに、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であり;
X’はOであるか、N−Rであるか、N−R2’であり;
は、1〜4の炭素原子を有するアルキル基、特にメチルであるか、あるいは、-CHR-CHRであり、Rは水素原子であるか又は-COORであり、Rは水素原子であるか又は-COOR又は-CONHR又は-CONRであり、Rは1〜4の炭素原子を有するアルキル基であり;
2’は、Rとともに、少なくとも1つのヘテロ原子、より特にエーテル酸素又は第三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を任意選択で含んでいてもよい4〜12の炭素原子を有する3価の炭化水素基であり;
n’は2又は3、好ましくは2である。
【請求項28】
ポリウレタンポリマーP2が、少なくとも1種の室温で液状の、非晶質、部分的に結晶性、もしくは結晶性のポリエステルジオール又はポリカーボネートジオールと、ポリジイソシアネートとから調製され、前記の室温で液状のポリエステルジオール又はポリカーボネートジオールが0℃〜25℃の間のある温度で固体であり、且つ少なくとも1種の非晶質、部分的に結晶性、もしくは結晶性のポリエステルポリオール及び/又はポリカーボネートポリオールと常に組み合わせて用いられることを特徴とする、請求項27に記載の、アルジミン基を有するポリウレタンポリマーA2。
【請求項29】
下記式(III’)の室温で固体のポリウレタンポリマーP2と下記式(IVa’)又は(IVb’)のアルジミンDとから調製され、前記アルジミンDが下記式(V’)のアミンと下記式(VIa)又は(VIb)のアルデヒドとから調製されることを特徴とする、請求項27又は28に記載の、アルジミン基を有するポリウレタンポリマー。
【化12】

【化13】

【請求項30】
式(V’)のアミンが、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、並びにまた、脂肪族一級ジアミンと、マレイン及びフマル酸ジエステル類、アクリル及びメタクリル酸エステル類、アクリルアミド類及びメタクリルアミド類との、好ましくはマレイン酸ジエステル、より特にはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル及びマレイン酸ジブチルとの、そしてアクリル酸エステル、より特にメタクリル酸メチルとの、1:1のモル比で反応されたマイケル型付加の生成物;一級アミノ基がヒドロキシル基から少なくとも5つの原子によって又は環によって隔てられている脂肪族ヒドロキシルアミン類、より特に5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、及びそれらのより高次の同族体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコール-モノアミン及びその高次のオリゴマー及びポリマー、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、及び3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の、アルジミン基を有するポリウレタンポリマー。
【請求項31】
接着剤、シーラント、被覆剤、又はコーティング剤としての、請求項27〜30のいずれか一項に記載のアルジミン基を有するポリウレタンポリマーの使用。
【請求項32】
アルジミン基を有するポリウレタンポリマーA2の融点より低い温度、より特に40℃未満、好ましくは0〜35℃の温度で適用される接着剤、シーラント、床用剤又はコーティング剤のための増粘剤としての又はチキソ性付与剤としての、請求項27〜30のいずれか一項に記載のアルジミン基を有するポリウレタンポリマーの使用。

【公表番号】特表2010−508380(P2010−508380A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533883(P2009−533883)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061712
【国際公開番号】WO2008/052999
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】