説明

色変換パラメータ調整方法および色変換パラメータ調整システム

【課題】色変換装置の色変換パラメータを精度よく、かつ迅速に調整できる色変換パラメータ調整方法を提供すること。
【解決手段】色変換パラメータ調整方法は、表示装置のγ特性を測定するγ特性測定工程S10と、γ特性計測値に基づいて色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整工程S20と、所定の映像信号を色変換パラメータおよびγ特性計測値を用いて変換して計測値を算出し、表示装置の色空間をシミュレーションする色空間シミュレーション工程S30と、色空間シミュレーション工程で算出された計測値を評価する評価工程とを備える。評価工程で不具合があると判定された場合には、色変換パラメータ調整工程S20で色変換パラメータを調整し、不具合がないと判断されるまで色変換パラメータ調整工程S20、色空間シミュレーション工程S30、評価工程を繰り返して色変換パラメータを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶プロジェクタなどの表示装置に組み込まれた色変換装置の色変換パラメータを調整する方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の表示装置においては、表示装置の色空間と、理想的な色空間(例えばsRGB)とが異なるため、入力される画像信号を補正せずに表示すると、色の再現性が低下する。
このため、画像信号の色座標を、表示装置が持つ固有の色空間に最適化した色座標に変換する色変換装置を備えるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
これらの特許文献1,2に記載のプロジェクタや液晶パネル等の表示装置においては、複数のパラメータを持つLUT(Look Up Table)を用意しており、このLUTを用いて入力された画像信号の色座標を、表示装置に適した色座標に変換していた。
【0004】
ところで、前記LUTを用いた色座標変換の精度は、LUTのパラメータに影響される。従って、表示装置において、理想的な色座標の画像を表示するためには、前記LUTのパラメータを最適な値に調整する必要がある。
このため、特許文献1では、調整者が表示画像を目視で確認しながら、色変換に必要なパラメータを試行錯誤で調整していた。また、特許文献2では、表示画像を計測しながら理想色空間に最も近くなるように、色変換に必要なパラメータを調整していた。
【0005】
【特許文献1】特開2003−323610号公報
【特許文献2】特開2005−222327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のような目視確認によるパラメータ調整は、調整者の主観により行われるため、調整者間のバラツキや、再現性が低いという問題がある。
また、目視確認による調整は時間がかかるため、色空間全体を評価することはできず、部分的な評価になり、潜在的なエラーを見逃してしまう可能性がある。
【0007】
また、特許文献2のような測定によるパラメータ調整においても、画像測定に時間がかかるため、複数ポイントのみの測定・評価になってしまう。このため、色空間全体を評価することはできず、部分的な評価になり、潜在的なエラーを見逃してしまう可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、色変換装置の色変換パラメータを精度よく、かつ迅速に調整できる色変換パラメータ調整方法および色変換パラメータ調整システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の色変換パラメータ調整方法は、映像信号を表示装置固有の色空間に合わせて変換する色変換装置における色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整方法であって、前記表示装置のγ特性を測定するγ特性測定工程と、前記γ特性測定工程で測定されたγ特性計測値に基づいて色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整工程と、前記表示装置の色空間をシミュレーションするために用意された映像信号を、前記色変換パラメータおよび前記γ特性計測値を用いて変換して計測値を算出し、表示装置の色空間をシミュレーションする色空間シミュレーション工程と、前記色空間シミュレーション工程で算出された計測値を評価する評価工程とを備え、前記評価工程で不具合があると判定された場合には、前記色変換パラメータ調整工程で、不具合があると判定された箇所に対応する色変換パラメータを調整し、再度、色空間シミュレーション工程、評価工程を実行し、評価工程で不具合がないと判断されるまで上記色変換パラメータ調整工程、色空間シミュレーション工程、評価工程を繰り返して色変換パラメータを調整することを特徴する。
【0010】
ここで、映像信号には、映画等の動きのある映像を表示する信号の他、写真等の静止した画像を表示する信号も含まれる。
このような構成によれば、表示装置のγ特性は実際に計測する必要があるが、色変換パラメータ調整工程、色空間シミュレーション工程、評価工程は、シミュレーションによって仮想的に行うことができる。このため、実際に映像を表示させながら色変換パラメータを調整する場合に比べて、短時間で処理できる。従って、実際の映像を測定する場合には色空間の全域にわたって計測することは非常に時間がかかるために困難であるが、本発明ではシミュレーションを用いているので、色空間の全域をカバーするように映像信号を設定することで、表示装置の全色空間の計測値を求めることができる。このため、色変換パラメータを設定する際に、色空間全体を評価して設定でき、最適な色変換パラメータを迅速に求めることができる。
【0011】
また、実際に計測した表示装置のγ特性を基にシミュレーションしているため、表示装置の特性、例えば液晶パネルであれば旋光分散特性などの影響も考慮でき、実測値と同程度の精度の計測値を算出できる。従って、実測した場合と同程度の精度で色変換パラメータも評価でき、この点でも最適な色変換パラメータを迅速に求めることができる。
【0012】
本発明において、前記色変換パラメータは、1次元色変換パラメータおよび3次元色変換パラメータを備え、前記色変換パラメータ調整工程は、1次元色変換パラメータ調整工程と、計測値算出工程と、3次元色変換パラメータ調整工程とを備え、前記1次元色変換パラメータ調整工程は、現在設定されている1次元色変換パラメータを、前記γ特性計測値に基づいて調整して新たな1次元色変換パラメータを設定し、前記計測値算出工程は、前記1次元色変換パラメータ調整工程で設定された1次元色変換パラメータと、前記表示装置のγ特性計測値とから1次元色変換後の計測値を算出し、前記3次元色変換パラメータ調整工程は、前記計測値算出工程で算出された計測値に基づいて現在設定されている3次元色変換パラメータを調整して新たな3次元色変換パラメータを設定することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、色変換パラメータ調整工程として、1次元色変換パラメータ調整工程、3次元色変換パラメータ調整工程の2種類を設けているので、効率的でかつ精度の高い色変換パラメータの調整を行うことができる。
すなわち、色変換パラメータを精密に設定するには、補正階調つまりシミュレーション時に入力する映像信号の階調を細かくすればよいが、RGBの3色の信号があるため、色空間全域をシミュレーションする場合、データ量が増大する。例えば、RGBの各信号をそれぞれ255段階で調整する場合、色空間シミュレーションは、255の3乗分のデータ数を処理しなければならない。
また、前記映像信号の階調数を少なくすればデータ数も削減できるが、特に、人間の目で厳しく色差が感知されるグレー軸の色変化を適切に調整することが難しくなる。
【0014】
一方、本発明では、1次元色変換パラメータ調整工程および3次元色変換パラメータ調整工程を設けることで、データ処理数を抑制しつつ、グレー軸の色変化を適切に調整することができる。
すなわち、入力値がR=G=Bとなるグレー軸の階調変化は、1次元色変換パラメータ調整工程において入力信号の階調を細かく変化させることで、精密な調整を行うことができる。例えば、入力信号(映像信号)を255段階に変化させて入力し、グレー軸の精密な調整を行えるように色変換パラメータを調整する。
また、RGBをそれぞれ個別に変化させる場合には、3次元色変換パラメータ調整工程において、ある程度の階調で変化させて調整を行えばよい。例えば、RGBの各入力信号(映像信号)を9段階に変化させれば、データ数を9×9×9=729個に抑制できる。なお、人間の視感度特性は、グレー軸(無彩色)の変化を感知する感度に比べ、有彩色の変化を感知する感度のほうが低いため、データ数を抑制しても不自然な色変化が生じることを防止できる。
従って、本発明によれば、全体の信号数つまりシミュレーション処理数を抑制しつつ、人間の視感度特性に応じた適切な色変換パラメータの調整を行うことができ、最適な色変換パラメータを迅速に求めることができる。
【0015】
本発明において、前記色空間シミュレーション工程は、仮想3次元色変換工程と、仮想1次元色変換工程と、計測値算出工程とを備え、前記仮想3次元色変換工程は、前記3次元色変換パラメータ調整工程で設定された3次元色変換パラメータを用い、入力された映像信号に対して仮想的な3次元色変換処理を行い、前記仮想1次元色変換工程は、前記1次元色変換パラメータ調整工程で設定された1次元色変換パラメータを用い、前記仮想3次元色変換工程で変換された信号に対して仮想的な1次元色変換処理を行い、前記計測値算出工程は、前記仮想1次元色変換工程で変換された信号と、前記γ特性計測値とを用い、色変換後の計測値を算出することが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、仮想3次元色変換工程および仮想1次元色変換工程を設け、映像信号を2段階に分けて変換しているので、人間の視感度特性に応じた適切な色変換処理を行うことができ、色変換後の計測値を精度良く算出することができる。
【0017】
本発明において、前記色空間シミュレーション工程は、RGBの3つの信号を個別にかつ一定値毎に変化させた映像信号を順次入力して各映像信号に対する計測値を算出し、前記評価工程は、各映像信号に対する計測値と、その映像信号に対してRGBのいずれか1つの値が前記一定値だけ異なり、他の2つの値が同一である映像信号における計測値との差である色差を求め、この色差に基づいて色変換パラメータを評価することが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、色空間における各計測値の隣接する他の計測値との色差を求めているので、色空間における各色の変化状態を把握できる。例えば、色差が所定の閾値範囲よりも大きくなり、色の変化量が大きすぎて色飛びする箇所や、色差が所定の閾値範囲よりも小さくなり、色の変化量が小さすぎて色潰れとなる箇所を把握できる。従って、色変換パラメータを適切に調整することができ、その分、最適な色変換パラメータを迅速に求めることができる。
【0019】
本発明において、前記色空間シミュレーション工程は、RGBの3つの信号を同一としかつ一定値毎に変化させた映像信号を順次入力して各映像信号に対する計測値を算出し、前記評価工程は、各映像信号に対する計測値と、その映像信号に対してRGBの値が前記一定値だけ異なる映像信号における計測値との差である色差を求め、この色差に基づいて色変換パラメータを評価することが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、R=G=Bとなるグレー軸の階調変化を細かく算出でき、人間の目に厳しく色差が感知されるグレー軸部分においても最適な色変換パラメータを求めることができる。
【0021】
本発明において、前記評価工程は、各映像信号において算出した前記色差の最大値、最小値、平均値のいずれかの統計値を求め、その統計値に基づいて色変換パラメータを評価することが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、色差の最大値で評価した場合には、色の変化量が大きすぎて色飛びする箇所を把握でき、色差の最小値で評価した場合には、色の変化量が小さすぎて色潰れとなる箇所を把握できる。さらに、色差の平均値で評価した場合には、隣接する各色との変化の傾向を把握できる。従って、これらの統計値に基づいて色変換パラメータを評価することで、適切な色変換パラメータを調整することができる。
なお、色差の最大値、最小値、平均値を個別に評価しても良いし、総合的に評価しても良い。色差の最大値、最小値、平均値のすべてが所定の条件に該当するように調整すれば、色変換パラメータをより適切に調整することができる。
【0023】
本発明の色変換パラメータ調整システムは、映像信号を表示装置固有の色空間に合わせて変換する色変換装置における色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整システムであって、前記表示装置のγ特性を測定するγ特性測定部と、前記γ特性測定部で測定されたγ特性計測値に基づいて色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整部と、前記表示装置の色空間をシミュレーションするために用意された映像信号を、前記色変換パラメータおよび前記γ特性計測値を用いて変換して計測値を算出し、表示装置の色空間をシミュレーションする色空間シミュレーション部と、前記色空間シミュレーション部で算出された計測値を評価する評価部とを備え、前記評価部で不具合があると判定された場合には、前記色変換パラメータ調整部で、不具合があると判定された箇所に対応する色変換パラメータを調整し、再度、色空間シミュレーション部、評価部による処理を実行し、評価部で不具合がないと判断されるまで上記色変換パラメータ調整部、色空間シミュレーション部、評価部による処理を繰り返して色変換パラメータを調整することを特徴する。
【0024】
この発明によれば、前述の色変換パラメータ調整方法と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔液晶プロジェクタの光学系の構成〕
図1は、本実施形態の表示装置としての液晶プロジェクタ100の光学系の構成を示すブロック図である。
液晶プロジェクタ100は、三板式液晶プロジェクタであり、ランプ101と、ランプ101の光の赤成分を透過し緑・青成分を反射するダイクロイック・ミラー102と、このダイクロイック・ミラー102で反射された光の青成分を透過し緑成分を反射するダイクロイック・ミラー103と、3枚の全反射ミラー104A,104B,104Cと、3枚のライトバルブ(液晶パネル)105,106,107とダイクロイック・プリズム108と、投射レンズ109とを備えて構成されている。
【0026】
このような構成の液晶プロジェクタ100において、ランプ101から照射された光は、ダイクロイック・ミラー102により、赤成分の光と緑・青成分の光とに分光される。赤成分の光は、全反射ミラー104Aに反射され、ライトバルブ(R)105を透過し、ダイクロイック・プリズム108に到達する。ダイクロイック・ミラー102で反射された緑・青成分の光は、ダイクロイック・ミラー103により、緑成分の光と青成分の光とに分光される。緑成分の光は、ダイクロイック・ミラー103で反射され、ライトバルブ(
G)106を透過し、ダイクロイック・プリズム108に到達する。青成分の光は、ダイ
クロイック・ミラー103を透過し、全反射ミラー104B,104Cにより反射され、ライトバルブ(B)107を透過し、ダイクロイック・プリズム108に到達する。
赤・緑・青成分の各光は、それぞれライトバルブ105,106,107を透過する際に変調され、ダイクロイック・プリズム108で合成され、投射レンズ109を介して拡大投影される。
【0027】
〔ライトバルブ制御回路の構成〕
図2は、液晶プロジェクタ100のライトバルブ105〜107を制御するライトバルブ制御回路120のブロック図である。
ライトバルブ制御回路120は、入力されるRGB信号やコンポジット信号、コンポーネント信号などのアナログ映像信号を、デジタル映像信号に変換するアナログデジタル変換回路(A/D)121と、A/D121で変換されたデジタル映像信号の色変換処理を行う3次元デジタル色変換部122、1次元デジタル色変換部123と、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換回路(D/A)124とを備えて構成されている。
【0028】
3次元デジタル色変換部122、1次元デジタル色変換部123は、それぞれ3次元色変換テーブル(3次元色変換パラメータ)および1次元色変換テーブル(1次元色変換パラメータ)が記憶された3次元色変換テーブル記憶部122A、1次元色変換テーブル記憶部123Aを備える。
従って、3次元デジタル色変換部122、1次元デジタル色変換部123は、各色変換テーブル記憶部122A,123Aに記憶された色変換テーブル(色変換パラメータ)に基づいて、A/D121から出力される画像信号の色変換処理を行う。
【0029】
そして、色変換処理されたデジタル信号はD/A124でアナログ信号に変換され、映像信号に応じた駆動電圧となって各ライトバルブ105〜107に印加される。これによって、ライトバルブ105,106,107は、透過する光を画素ごとに変調するように構成されている。
【0030】
〔デジタル色変換部〕
次に、本実施形態における各デジタル色変換部122,123について説明する。
1次元デジタル色変換部123は、高分解能な補正階調を有し、ライトバルブ105,106,107のγ特性を人間の視感度特性に近似した曲線(例えばγ2.2)に整えると共にRGB均等色空間(グレー軸:無彩色)の色を精密に調整することに用いる。
また、3次元デジタル色変換部122は、1次元デジタル色変換部123でライトバルブのγ特性が整えられていることを前提に、有彩色を調整する為に用いる。通常は、RGBの3色のパラメータを調整するため3次元のデジタル色変換部とされている。ただし、こちらは通常、データ量を削減する為に補正階調を限定して用いる。これら2つのデジタル色変換部122,123により、RGBの映像信号をプロジェクタ固有の色空間に最適化している。
【0031】
[色変換パラメータの調整装置]
次に、本発明の特徴である色変換パラメータ調整システム200について説明する。
なお、色変換パラメータ調整システム200は、前述した液晶プロジェクタ100のライトバルブ制御回路120の3次元色変換テーブル記憶部122A、1次元色変換テーブル記憶部123Aに記憶される各色変換パラメータの最適値を、シミュレーション技術を用いて求めるものである。
なお、色変換パラメータ調整システム200は、パーソナルコンピュータで構成することもできるし、液晶プロジェクタ100に組む込むこともできる。
【0032】
色変換パラメータ調整システム200は、図3に示すように、制御部201と記憶部202とを備える。
制御部201は、γ特性測定部205と、色変換パラメータ調整部210と、色空間シミュレーション部220と、評価部230とを備える。
【0033】
色変換パラメータ調整部210は、3次元色変換パラメータ調整部211と、1次元色変換パラメータ調整部212を備える。
色空間シミュレーション部220は、仮想3次元デジタル色変換部221、仮想1次元デジタル色変換部222、計測値算出部223を備える。
【0034】
γ特性測定部205は、液晶プロジェクタ100のγ特性を測定するものである。この際、γ特性測定部205は、液晶プロジェクタ100において、3次元デジタル色変換部122、1次元デジタル色変換部123の機能はオフにした状態、つまり液晶プロジェクタ100の各ライトバルブ105,106,107の素の状態のγ特性を測定する。
例えば、色変換パラメータ調整システム200に、液晶プロジェクタ100と、液晶プロジェクタ100の表示画像を測定する色彩照度計とを接続し、γ特性測定部205で液晶プロジェクタ100の各ライトバルブ105,106,107を制御し、その際の画像を色彩照度計で測定することで、各ライトバルブ105,106,107のγ特性を測定する。
【0035】
3次元色変換パラメータ調整部211、1次元色変換パラメータ調整部212は、計測値算出部223の出力結果等に基づいて各色変換パラメータを調整して新たな色変換パラメータを設定するものである。
仮想3次元デジタル色変換部221、仮想1次元デジタル色変換部222は、液晶プロジェクタ100における3次元デジタル色変換部122、1次元デジタル色変換部123の処理をシミュレートするものである。
計測値算出部223は、液晶プロジェクタ100において各デジタル色変換部122,123で変換された映像信号でライトバルブ105,106,107を制御した際に液晶プロジェクタ100で表示される映像を色彩照度計などで測定した場合の計測値をシミュレートするものである。
【0036】
記憶部202は、ライトバルブγ特性計測値記憶部250、3次元色変換テーブル260、1次元色変換テーブル270、計測値記憶部280を備える。
ライトバルブγ特性計測値記憶部250は、液晶プロジェクタ100のライトバルブ105,106,107のγ特性を予め計測した計測値を記憶するものである。
【0037】
3次元色変換テーブル260は、本発明で求められる3次元色変換パラメータを記憶するものである。具体的には、3次元色変換テーブル260は、初期設定の3次元色変換パラメータが記憶される初期パラメータ記憶部261と、本システムで調整された3次元色変換パラメータが記憶される調整パラメータ記憶部262とを備える。
1次元色変換テーブル270は、本発明で求められる1次元色変換パラメータを記憶するものである。具体的には、1次元色変換テーブル270は、初期設定の1次元色変換パラメータが記憶される初期パラメータ記憶部271と、本システムで調整された1次元色変換パラメータが記憶される調整パラメータ記憶部272とを備える。
計測値記憶部280は、前記計測値算出部223で算出された計測値を記憶する。
【0038】
次に、色変換パラメータ調整システム200を用いた色変換パラメータ調整方法について図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、色変換パラメータ調整システム200は、γ特性測定部205により、シミュレーションに必要なデータとしてライトバルブ105,106,107のγ特性を計測するγ特性計測工程S10を実行する。具体的には、γ特性測定部205は、ライトバルブ105,106,107毎に駆動電圧を変化させ、各々のγ特性を詳細に測定する。そして、γ特性測定部205は、測定した各ライトバルブ105,106,107のγ特性を、ライトバルブγ特性計測値記憶部250に記憶する。
【0039】
ここで、デジタル色変換部122,123における色変換をすべてOFFにした状態、つまり素の状態で得られるライトバルブ105,106,107のγ特性計測値を数式1に示す。
【0040】
【数1】

【0041】
次に、色変換パラメータ調整システム200は、3次元色変換パラメータ調整部211、1次元色変換パラメータ調整部212により、色変換パラメータ(1次元、3次元)を調整する色変換パラメータ調整工程S20を実行する。
次に、色変換パラメータ調整システム200は、仮想3次元デジタル色変換部221、仮想1次元デジタル色変換部222、計測値算出部223により、プロジェクタの色空間をシミュレーションするプロジェクタ色空間シミュレーション工程S30を実行する。
【0042】
色空間シミュレーション工程S30により、プロジェクタ100の全色空間をCIE XYZ表色系で把握できるため、色変換パラメータ調整システム200は、評価部230によりRGB量子化隣接要素間の色偏差について各種統計処理を行い、その色空間の評価を行う(S40)。
例えば、評価部230は、全隣接要素間の色差の最大値、最小値、平均値などを算出する。さらには、評価部230は、シミュレーションで求めた色空間と理想色空間(例えばsRGB)との色差についても全色空間において統計処理することができる。
【0043】
そして、評価部230は、その統計値を参照して良否判定を行なう(S50)。S50において問題が無ければ終了し、何か問題があればS20へ戻り、色変換パラメータの再調整を実施する。このような統計量を用いることで、例えば、色差の最大値が極端に大きい場合は、パラメータ調整により色飛びなどの不具合が発生している可能性があるということが判るため、事前に不具合を検出することができる。
従って、各種統計処理工程S40および判定工程S50により、本発明の評価工程が構成されている。
【0044】
次に、色変換パラメータ調整工程S20と、プロジェクタ色空間シミュレーション工程S30について、図5〜7を参照して説明する。
図5は、色変換パラメータ調整システム200の処理を説明するための処理説明図であり、図6は色変換パラメータ調整工程S20の処理を説明するフローチャートであり、図7はプロジェクタ色空間シミュレーション工程S30の処理を説明するフローチャートである。
【0045】
色変換パラメータ調整工程S20は、1次元色変換パラメータ調整工程S21、1次元色変換後の計測値算出工程S22、3次元色変換パラメータ調整工程S23を備える。
1次元色変換パラメータ調整工程S21では、1次元色変換パラメータ調整部212は、1次元色変換パラメータ291を調整して新たな1次元色変換パラメータ291を設定する。すなわち、1次元色変換パラメータ調整部212は、前記ライトバルブγ特性計測工程S10で取得してライトバルブγ特性計測値記憶部250に記憶したγ特性計測値292と、初期パラメータ記憶部271に記憶された1次元色変換パラメータ291に基づき、新たな1次元色変換パラメータ291を算出し、調整パラメータ記憶部272に1次元色変換テーブル270として記憶する。
この1次元色変換テーブル270(1次元色変換パラメータ291)を数式2に示す。
【0046】
【数2】

【0047】
計測値算出工程S22では、計測値算出部223は、1次元色変換パラメータ調整工程S21で得られた1次元色変換パラメータ291と、ライトバルブγ特性計測値記憶部250に記憶されたライトバルブ105,106,107のγ特性計測値から、次の数式3によって1次元色変換後の計測値を算出する(S22)。
【0048】
【数3】

【0049】
3次元色変換パラメータ調整工程S23では、3次元色変換パラメータ調整部211は、計測値算出工程S22で得られた計測値と、初期パラメータ記憶部261に記憶された3次元色変換パラメータ293に基づき、新たな3次元色変換パラメータ293を算出し、調整パラメータ記憶部262に3次元色変換テーブル260として記憶する。
この3次元色変換テーブル260(3次元色変換パラメータ293)を数式4に示す。
【0050】
【数4】

【0051】
以上により、色変換パラメータ調整工程S20が終了すると、色変換パラメータ調整システム200は、調整した色変換パラメータを用いてプロジェクタ色空間シミュレーション工程S30を行う。
【0052】
すなわち、図7に示すように、色変換パラメータ調整システム200の仮想3次元デジタル色変換部221は、映像信号のRGB入力値300と、3次元色変換テーブル260の調整パラメータ記憶部262に記憶された3次元色変換パラメータ293を用い、仮想3次元色変換工程S31を実施する。具体的には、3次元色変換パラメータ293である数式4に従い映像信号RGBをR3D3D3Dに変換する。
【0053】
次に、仮想1次元デジタル色変換部222は、1次元色変換テーブル270の調整パラメータ記憶部272に記憶された1次元色変換パラメータ291である数式2に従いR3D3D3D→R1D1D1Dとする仮想1次元色変換工程S32を実施する。
そして、計測値算出部223は、仮想1次元色変換工程S32で変換された信号に対するライトバルブγ特性を数式5にて算出することで、プロジェクタ100のデジタル色変換後の計測値301を算出し、プロジェクタ色空間をシミュレーションする(S33)。
【0054】
【数5】

【0055】
以上により、プロジェクタ色空間シミュレーション工程S30が終了すると、色変換パラメータ調整システム200は、評価部230を用いて統計処理を行い(S40)、さらに、その統計値を参照して良否判定を行なう(S50)。
【0056】
次に、評価部230による統計処理工程S40の具体例について説明する。以下に説明する統計処理は一例であり、統計処理としては色空間を評価可能なものであれば他の方法を採用してもよい。
表1に映像信号として8bitの入力信号を想定した場合のプロジェクタ色空間シミュレーション工程S30により得られる計測値及び隣接間の色差ΔE*を示す。この例では、入力8bitに対してR,G,Bの出力値を、それぞれ32階調間隔で設定している。すなわち、RGBを9×9×9の格子状に入力している。
【0057】
【表1】

【0058】
表1のnR,nG,nBは入力のインデックスを示しており、R,G,Bはそのときの映像信号入力値を示している。X,Y,Zは、シミュレーションにより得られた測定値を示しており、そこからCIE LAB空間へ変換したものをL*,a*,b*列に示している。
また、ΔE*は隣接間の色差を示しており、数式6により求める。
【0059】
【数6】

【0060】
なお、数式6において最大値を求めている各色差は、図8に示すように、入力インデックス(nR,nG,nB)の計測値と、隣接する6箇所のインデックス(nR-1,nG,nB)、(nR+1,nG,nB)、(nR,nG-1,nB)、(nR,nG+1,nB)、(nR,nG,nB-1)、(nR,nG,nB+1)の計測値との色差を示している。
そして、全インデックスについて隣接インデックス間との色差ΔE*を求め、数式7により、最大色差ΔE*MAXを算出する。このとき、最大色差となったインデックス(nR,nG,nB)も同時に取得する。
【0061】
【数7】

【0062】
このような手法により、隣接インデックス間の最大色差とその場所を特定することができる。これにより、色変換パラメータの影響による色飛び、つまり色の変化割合が他の部分に比べて大きくなることを事前に防ぐことが可能となる。例えば、最大色差ΔE*MAXが想定した値より大きければ、最大色差となる周辺部の局率を緩める方向にパラメータを調整することができる。
また、このとき、最大色差ΔE*MAXは目安として数式8で示す閾値ΔE*TH以下となることが望ましい。なお、数式8は、入力映像信号(RGB)を8bitとし、R,G,Bはそれぞれ32階調の計測間隔とした場合の式である。
【0063】
ここで、最大色差ΔE*MAXはプロジェクタ色空間全体の最大色差を示しており、数式9で求めることができる。数式9における、ΔE*R-BK、ΔE*G-BK、ΔE*B-BK、ΔE*C-BK、ΔE*M-BK、ΔE*Y-BK、ΔE*W-BKは、それぞれ、BLACKに対するRED、GREEN、BLUE、CYAN、MAGENTA、YELLOW、WHITEの色差を示している。
また、数式8のkは色識別係数であり、1階調の変化で許容できる色差を決定する。通常、色差ΔE*は、1以下で識別不可、2は識別限界とされる為、この場合、kは1〜3程度が望ましい。更に、R=G=Bとなる入力値に対しては、黒から白へ掛けての階調変化となり、人間の目に特に厳しく色差が感知されることから、数式10のように特別に閾値を設けることも可能である。なお、数式10では、入力映像信号(RGB)を8bitとし、R,G,Bはそれぞれ1階調の計測間隔とした場合の式である。
【0064】
【数8】

【0065】
【数9】

【0066】
【数10】

【0067】
上記例では、色差最大値を用いているが、統計的手法はこれに限るものではない。平均値や最小値を用いる方法も本手法に含まれる。特に、最小値を用いる手法では、パラメータを変化しても色が変わらない色潰れを検出することが可能となる。このときの閾値ΔE*THについて、数式8及び数式10のkを1〜0.1以下にして求めておくことで、閾値以下を色潰れとして検出することができる。
【0068】
そして、色変換パラメータ調整システム200は、S50において、問題がある場合には、再度、S20〜S40を繰り返す。この際、各3次元色変換パラメータ調整部211、1次元色変換パラメータ調整部212は、前回算出した3次元色変換パラメータ293、1次元色変換パラメータ291を利用して新たな色変換パラメータ293,291を算出する。
また、各3次元色変換パラメータ調整部211、1次元色変換パラメータ調整部212は、評価部230の良否判定において、問題があるとされた色座標部分の変換パラメータを調整するようにされている。従って、上記処理S20〜S50を繰り返すことで、問題となる色変換パラメータが徐々に解消され、最適な色変換パラメータをシミュレーションで算出して調整することができる。
【0069】
上述した本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)デジタル色変換部122,123を備える液晶プロジェクタ100において、液晶プロジェクタ100のγ特性を計測し、そのγ特性に基づいてシミュレーションしているため、液晶パネルの特性である旋光分散特性などの影響も考慮され、実測値と同等の精度で計測値を算出することができる。
従って、液晶プロジェクタ100の色空間を正確にシミュレーションでき、デジタル色変換部122,123のパラメータ調整時に再度表示色を計測する必要がなくなり、最適パラメータを短時間で導出できる。
さらに、シミュレーションにより、液晶プロジェクタ100の全色空間を把握できるため、統計処理により漏れなく評価することができる。
【0070】
(2)また、前記実施形態では、3次元色変換パラメータ調整部211、1次元色変換パラメータ調整部212を設け、3次元色変換パラメータ293、1次元色変換パラメータ291を調整しているので、全体の信号数つまりシミュレーション処理数を抑制しつつ、人間の視感度特性に応じた適切な色変換パラメータの調整を行うことができ、最適な色変換パラメータを迅速に求めることができる。
【0071】
(3)さらに、評価部230は、RGB量子化隣接要素間の色差の最大値を用いて評価しているので、色飛びの発生を未然に防止できる。
【0072】
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、前記実施形態は、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0073】
例えば、前記実施形態では、CIE XYZ表色系を評価に用いていたが、CIE LAB表色系や、CIE LUV表色系などの均等色空間を用いてもよい。すなわち、本発明は、CIE XYZ表色系から変換される全ての色空間を用いて評価を行うことができる。
【0074】
前記実施形態では、1次元色変換パラメータと、3次元色変換パラメータを同時に評価したが、高分解能な調整が要求される1次元色変換パラメータのみを評価してもよい。一方、3次元色変換パラメータのみを評価することも可能である。
【0075】
本シミュレーション方法は、プロジェクタ等の表示装置の画質調整システムに組み込むこともできる。この場合、リアルタイムで評価し、表示装置に実際に組み込まれるパラメータへのフィードバックも可能である。
また、本シミュレーション方法は、パーソナルコンピュータ上で動作も可能であるし、プロジェクタ等の表示装置に組み込んでもよい。
【0076】
また、前記実施形態では、調整対象の表示装置としてTFT素子等を用いた液晶ライトバルブを有する三板式液晶プロジェクタを説明したが、本発明のパラメータ調整方法の対象となる表示装置としては、加法混色が成り立つ表示デバイスのすべてに適用できる。例えば、DLP(digital light processing)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの他の方式のプロジェクタであってもよいし、液晶フラットパネルディスプレイ(液晶FPD)やプラズマディスプレイ(PDP)、リアプロジェクションテレビ等でもよい。要するに、本発明は、赤、緑、青などの単色光を照射可能であり、これらの単色光を加法混色することで様々な色を表示可能な表示装置において、画像信号を表示装置固有の色空間に応じて調整する色変換部を備える場合に、その色変換部のパラメータを調整する場合に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示装置である液晶プロジェクタの光学系の構成を示すブロック図。
【図2】前記液晶プロジェクタのライトバルブ制御回路を示すブロック図。
【図3】本発明の色変換パラメータ調整システムの構成を示すブロック図。
【図4】本発明の色変換パラメータ調整方法を示すフローチャート。
【図5】本発明の色変換パラメータ調整方法を示す処理説明図。
【図6】図4の色変換パラメータ調整工程を示すフローチャート。
【図7】図4のプロジェクタ色空間シミュレーション工程を示すフローチャート。
【図8】プロジェクタ色空間シミュレーション工程における入力インデックスの計測値と隣接インデックスの計測値の色差を示す概念図。
【符号の説明】
【0078】
100…液晶プロジェクタ(表示装置)、122…3次元デジタル色変換部、122A…3次元色変換テーブル記憶部、123…1次元デジタル色変換部、123A…1次元色変換テーブル記憶部、200…色変換パラメータ調整システム、201…制御部、202…記憶部、205…γ特性測定部、210…色変換パラメータ調整部、211…3次元色変換パラメータ調整部、212…1次元色変換パラメータ調整部、220…色空間シミュレーション部、221…仮想3次元デジタル色変換部、222…仮想1次元デジタル色変換部、223…計測値算出部、230…評価部、250…ライトバルブγ特性計測値記憶部、260…3次元色変換テーブル、261…初期パラメータ記憶部、262…調整パラメータ記憶部、270…1次元色変換テーブル、271…初期パラメータ記憶部、272…調整パラメータ記憶部、280…計測値記憶部、291…1次元色変換パラメータ、292…γ特性計測値、293…3次元色変換パラメータ、300…RGB入力値、S10…ライトバルブγ特性計測工程、S20…色変換パラメータ調整工程、S21…1次元色変換パラメータ調整工程、S22…計測値算出工程、S23…3次元色変換パラメータ調整工程、S30…プロジェクタ色空間シミュレーション工程、S31…仮想3次元色変換工程、S32…仮想1次元色変換工程、S40…統計処理工程、S50…判定工程。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を表示装置固有の色空間に合わせて変換する色変換装置における色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整方法であって、
前記表示装置のγ特性を測定するγ特性測定工程と、
前記γ特性測定工程で測定されたγ特性計測値に基づいて色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整工程と、
前記表示装置の色空間をシミュレーションするために用意された映像信号を、前記色変換パラメータおよび前記γ特性計測値を用いて変換して計測値を算出し、表示装置の色空間をシミュレーションする色空間シミュレーション工程と、
前記色空間シミュレーション工程で算出された計測値を評価する評価工程とを備え、
前記評価工程で不具合があると判定された場合には、前記色変換パラメータ調整工程で、不具合があると判定された箇所に対応する色変換パラメータを調整し、再度、色空間シミュレーション工程、評価工程を実行し、
評価工程で不具合がないと判断されるまで上記色変換パラメータ調整工程、色空間シミュレーション工程、評価工程を繰り返して色変換パラメータを調整することを特徴する色変換パラメータ調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載の色変換パラメータ調整方法において、
前記色変換パラメータは、1次元色変換パラメータおよび3次元色変換パラメータを備え、
前記色変換パラメータ調整工程は、1次元色変換パラメータ調整工程と、計測値算出工程と、3次元色変換パラメータ調整工程とを備え、
前記1次元色変換パラメータ調整工程は、現在設定されている1次元色変換パラメータを、前記γ特性計測値に基づいて調整して新たな1次元色変換パラメータを設定し、
前記計測値算出工程は、前記1次元色変換パラメータ調整工程で設定された1次元色変換パラメータと、前記表示装置のγ特性計測値とから1次元色変換後の計測値を算出し、
前記3次元色変換パラメータ調整工程は、前記計測値算出工程で算出された計測値に基づいて現在設定されている3次元色変換パラメータを調整して新たな3次元色変換パラメータを設定することを特徴とする色変換パラメータ調整方法。
【請求項3】
請求項2に記載の色変換パラメータ調整方法において、
前記色空間シミュレーション工程は、仮想3次元色変換工程と、仮想1次元色変換工程と、計測値算出工程とを備え、
前記仮想3次元色変換工程は、前記3次元色変換パラメータ調整工程で設定された3次元色変換パラメータを用い、入力された映像信号に対して仮想的な3次元色変換処理を行い、
前記仮想1次元色変換工程は、前記1次元色変換パラメータ調整工程で設定された1次元色変換パラメータを用い、前記仮想3次元色変換工程で変換された信号に対して仮想的な1次元色変換処理を行い、
前記計測値算出工程は、前記仮想1次元色変換工程で変換された信号と、前記γ特性計測値とを用い、色変換後の計測値を算出することを特徴とする色変換パラメータ調整方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の色変換パラメータ調整方法において、
前記色空間シミュレーション工程は、RGBの3つの信号を個別にかつ一定値毎に変化させた映像信号を順次入力して各映像信号に対する計測値を算出し、
前記評価工程は、各映像信号に対する計測値と、その映像信号に対してRGBのいずれか1つの値が前記一定値だけ異なり、他の2つの値が同一である映像信号における計測値との差である色差を求め、この色差に基づいて色変換パラメータを評価することを特徴とする色変換パラメータ調整方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の色変換パラメータ調整方法において、
前記色空間シミュレーション工程は、RGBの3つの信号を同一としかつ一定値毎に変化させた映像信号を順次入力して各映像信号に対する計測値を算出し、
前記評価工程は、各映像信号に対する計測値と、その映像信号に対してRGBの値が前記一定値だけ異なる映像信号における計測値との差である色差を求め、この色差に基づいて色変換パラメータを評価することを特徴とする色変換パラメータ調整方法。
【請求項6】
請求項5または請求項6に記載の色変換パラメータ調整方法において、
前記評価工程は、各映像信号において算出した前記色差の最大値、最小値、平均値のいずれかの統計値を求め、その統計値に基づいて色変換パラメータを評価することを特徴とする色変換パラメータ調整方法。
【請求項7】
映像信号を表示装置固有の色空間に合わせて変換する色変換装置における色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整システムであって、
前記表示装置のγ特性を測定するγ特性測定部と、
前記γ特性測定部で測定されたγ特性計測値に基づいて色変換パラメータを調整する色変換パラメータ調整部と、
前記表示装置の色空間をシミュレーションするために用意された映像信号を、前記色変換パラメータおよび前記γ特性計測値を用いて変換して計測値を算出し、表示装置の色空間をシミュレーションする色空間シミュレーション部と、
前記色空間シミュレーション部で算出された計測値を評価する評価部とを備え、
前記評価部で不具合があると判定された場合には、前記色変換パラメータ調整部で、不具合があると判定された箇所に対応する色変換パラメータを調整し、再度、色空間シミュレーション部、評価部による処理を実行し、
評価部で不具合がないと判断されるまで上記色変換パラメータ調整部、色空間シミュレーション部、評価部による処理を繰り返して色変換パラメータを調整することを特徴する色変換パラメータ調整システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−89117(P2009−89117A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257187(P2007−257187)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】