説明

色調調整装置、色調調整方法およびプログラム

【課題】互いの照明光の色が異なる拠点においてそれぞれ撮影された画像を他拠点において出力する際に、照明光の違いによって生じ得る見え方の違いを自拠点の照明光に応じて調整すること。
【解決手段】キャリブレーション映像に基づき、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第1色情報を計算する行程と、他の色調調整装置における第2照明の下で撮影される前記キャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき、前記他の色調調整装置によって得られる、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第2色情報を受信する行程と、第1色情報と第2色情報に基づき、前記第2照明の下で撮影された映像の色を前記第1照明の下で映像出力部に出力される映像に適した色に色変換する色変換量を計算する行程と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばネットワークで接続される複数の出力装置によってそれぞれ出力される映像を出力装置が設置されている照明環境に応じて調整する色調調整装置、色調調整方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ネットワークを介して接続されるテレビ会議装置において、自拠点の様子をテレビ会議装置に設けられたカメラで撮影して、他拠点にあるテレビ会議装置に送信するとともに、他拠点で撮影された映像を受信して自拠点のテレビ会議装置に表示するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、映像の入出力においては、カメラやスキャナ等の撮像装置、モニタやプロジェクタ等の出力装置のそれぞれに応じた固有の入出力特性があり、映像内(映像空間)における被写体の色が実空間における被写体の色と異なることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
これは、色を表現する色空間の違い(RGBやCMYK)や、色表現可能な範囲(色域)が機器毎に異なることに起因するためである。この各機器の入出力特性は、ICC(インターナショナルカラーコンソーシアム:http://www.color.org/index.xalter)において規定された様式に従う。これにより、機器が接続されたコンピュータにおいて、この入出力特性に応じて映像の色変換を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−301399号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】画像電子学会編「カラー画像処理とデバイス」第21章pp.298−312
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、会議が行われる各拠点で、照明光の色が異なっている場合、機器の入出力特性に応じて実空間と映像空間における被写体の色のずれを補正したとしても、自拠点と他拠点の照明光による環境が異なる場合、各拠点で再生された映像に対してユーザが違和感を覚える場合がある。
例えば、自拠点において青みがかった光源の下で撮影された自拠点の映像を他拠点で出力し、他拠点において黄みがかった光源の下で撮影された他拠点の映像を自拠点で出力した場合、機器の入出力特性に応じた補正をしても、両拠点での照明光の色が異なっていることにより、それを見るユーザが違和感を覚えるおそれがある。
【0006】
つまり、自拠点において青みがかった光源の下で撮影された自拠点の映像を、他拠点において黄みがかった光源の下で出力した場合、自拠点で撮影された映像が全体的に黄みがかった映像として他拠点において出力される。
同様に、他拠点において黄みがかった光源の下で撮影された他拠点の映像を、自拠点において青みがかった光源の下で出力した場合、他拠点で撮影された映像が全体的に青みがかった映像として自拠点において出力される。
このように、互いの照明光の色が異なることによって、相手方で撮影された映像を自身側の環境で表示した場合、色によって表現される自身側の雰囲気と、相手側の映像の雰囲気とが異なることによって、相手側の映像を見る者が違和感を覚えるおそれがある。これにより、実際に会議をしているという臨場感を再現できないことになる。
【0007】
上述の課題を鑑み、本発明は、互いの照明光の色が異なる拠点においてそれぞれ撮影された画像を他拠点において出力する際に、照明光の違いによって生じ得る見え方の違いを自拠点の照明光に応じて調整することができる色調調整装置、色調調整方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を鑑み、本発明に係る色調調整装置は、ネットワークを介して接続される複数の色調調整装置を含む色調調整システムにおける前記色調調整装置であって、当該色調調整装置において第1照明の下で撮影される映像を入力する映像入力部と、他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される映像を受信する映像受信部と、前記映像受信部が受信した前記他の色調調整装置において撮影された映像を出力する映像出力部と、前記映像入力部が入力するキャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第1色情報を計算する色情報計算部と、前記他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される前記キャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき得られる前記キャリブレーション用被写体の色調を示す第2色情報を受信する色情報受信部と、前記第1色情報および前記第2色情報に基づき、前記第2照明の下で撮影された映像の色を前記第1照明の下で前記映像出力部に出力される映像に適した色に色変換する色変換量を計算する色変換量計算部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、上述の課題を鑑み、本発明に係る色調調整方法は、ネットワークを介して接続される複数の色調調整装置を含む色調調整システムにおける前記色調調整方法であって、当該色調調整装置において第1照明の下で撮影されるキャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像を入力する行程と、前記キャリブレーション映像に基づき、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第1色情報を計算する行程と、他の色調調整装置における第2照明の下で撮影される前記キャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき、前記他の色調調整装置によって得られる、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第2色情報を受信する行程と、前記第1色情報および前記第2色情報に基づき、前記第2照明の下で撮影された映像の色を前記第1照明の下で映像出力部に出力される映像に適した色に色変換する色変換量を計算する行程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
さらに、上述の課題を鑑み、本発明に係るプログラムは、ネットワークを介して接続される複数のコンピュータを含む色調調整システムにおけるコンピュータを、当該色調調整装置において第1照明の下で撮影される映像を入力する映像入力手段、他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される映像を受信する映像受信手段、前記映像受信手段が受信した前記他の色調調整装置において撮影された映像を出力する映像出力手段、前記映像入力手段が入力するキャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第1色情報を計算する色情報計算手段、前記他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される前記キャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき得られる前記キャリブレーション用被写体の色調を示す第2色情報を受信する色情報受信手段、前記第1色情報および前記第2色情報に基づき、前記第2照明の下で撮影された映像の色を前記第1照明の下で前記映像出力手段に出力される映像に適した色に色変換する色変換量を計算する色変換量計算手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、互いの照明光の色が異なる拠点においてそれぞれ撮影された画像を他拠点において出力する際に、照明光の違いによって生じ得る見え方の違いを自拠点の照明光に応じて調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる色調調整システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる色調調整システムの概要を説明するための図ある。
【図3】本発明にかかるキャリブレーション用被写体の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるキャリブレーション部の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる色変換量計算処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる色調調整処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施形態にかかる色変換量の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる色調調整システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる色調調整方法の一部を示す図である。
【図10】RGBで表現される画像の照明光の色の範囲を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態にかかる処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態にかかる色調調整システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3実施形態にかかる色調調整方法の一部を示す図である。
【図14】RGBで表現される画像の照明光の色の範囲を示す図である。
【図15】本発明の第3実施形態にかかる処理フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る色調調整システムにおける色調調整装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る色調調整システムは、ネットワークNWを介して接続される色調調整装置1と色調調整装置100とを含む。
この色調調整装置1は、例えば、図2に示す通り、拠点Aの会議室等に置かれており、光源Laの下にいるユーザαを撮影して、この光源La下で撮影された映像をネットワークNWを介して色調調整装置100に送信する。
また、色調調整装置100は、拠点Aと異なる拠点Bの会議室等に置かれており、光源Lbの下にいるユーザβを撮影して、この光源Lb下で撮影された映像をネットワークNWを介して色調調整装置1に送信する。
この色調調整装置1は、色調調整装置100から受信した光源Lb下で撮影された映像を表示する。また、色調調整装置100は、色調調整装置1から受信した光源La下で撮影された映像を表示する。
なお、光源Laと光源Lbはそれぞれ異なる色の光を発する光源であって、光源Laからは青みがかった光が、光源Lbからは黄みがかった光が、それぞれ照射される。
【0015】
図1に戻って、色調調整装置1および色調調整装置100について詳細に説明する。なお、色調調整装置1と色調調整装置100は、その構成が同じであるため、色調調整装置1について説明することで、色調調整装置100の構成についての説明を省略する。なお、同じ構成部については、同一の符号を付す。
色調調整装置1は、映像入力部11、映像送信部12、映像受信部13、映像出力部14、映像蓄積部15、色情報送信部16、色情報受信部17、色変換実行部18およびキャリブレーション部19を含む。
【0016】
映像入力部11は、例えば人物を含む被写体の映像を入力する部であって、ビデオカメラ等の撮像装置である。この映像入力部11は、例えば、色変換量計算モードが設定されている場合、入力する映像を映像蓄積部15に出力し、映像蓄積部15のキャリブレーション映像記憶領域(図4において符号151で示す)に記憶させる。ここで、キャリブレーション映像記憶領域に記憶される映像を、以下、キャリブレーション映像という。
一方、色調調整モードが設定されている場合、入力する映像を映像送信部12に出力する。この色変換量計算モードとは、色変換実行部18によって色変換が行われる際に用いる色変換情報を計算する処理を行うモードである。また、色調調整モードとは、算出された色変換情報を用いて色変換が行われた映像を表示する処理を行うモードである。
なお、この色変換量計算モードと色調調整モードは、例えば、色調調整装置1に含まれる操作部(図示せず)を介してユーザによって指定されるものであってもよく、色調調整装置1が起動した後、一定時間の間だけ、色変換量計算モードとなり、その後、色調調整モードに切り替わる構成であってもよい。
【0017】
また、色変換量計算モードにおいては、ユーザによりキャリブレーション用の被写体Kが映像入力部11によって撮像される位置に配置され、映像入力部11は、キャリブレーション用の被写体Kを含む画像データを入力する。
このキャリブレーション用の被写体Kは、色調が均一な媒体であって、例えば、白の色票や無彩色の色票、もしくは白色の紙である。なお、キャリブレーション用の被写体Kを含む画像データについて、その一例を図3に示す。図3に示すように、キャリブレーション用の被写体Kが画像のフレーム内に入るようにユーザによって操作されることが好ましい。
【0018】
この映像入力部11がキャリブレーション用の被写体Kを含む映像を抽出する方法としては、例えば、画像データの中から最も輝度の高い画素値をもつ点を抽出し、その点を中心として、四近傍もしくは八近傍の隣接画素に対して色が近い画素を一つのまとまりとして類似の色をもつ領域を拡大させることによって行う方法ある。また、映像入力部11は、マウスやデジタイザ等の外部入力装置を用いてユーザからの指示を受け付け、ユーザによって指定された画像データをキャリブレーション用の被写体Kを含む映像して抽出するものであってもよい。
【0019】
また、映像入力部11は、このキャリブレーション用の被写体Kを含む画像データに基づきマスク画像を生成し、映像蓄積部15に記憶させる。このマスク画像とは、2値からなる画像データであり、キャリブレーション用の被写体Kとして抽出された画像領域の画素値を「1」、映像Pのうちキャリブレーション用の被写体K以外の画像領域を「0」とするものである。
【0020】
映像送信部12は、ネットワークを介して拠点Bの色調調整装置100と接続され、映像入力部11から入力された画像データを、拠点Bの色調調整装置100に送信する。 映像受信部13は、ネットワークを介して拠点Bの色調調整装置100と接続され、色調調整装置1から送信される映像を受信して、色変換実行部18に出力する。
映像出力部14は、例えば表示画面等を備える液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のモニタを備える表示装置であり、映像受信部13が受信した情報に基づき映像を出力する装置であればよく、プロジェクタやプリンタ等であってもよい。この映像出力部14は、映像受信部13を介して、拠点Bの色調調整装置100から受信した画像データに基づき、色変換実行部18によって変換された映像をモニタ(表示画面)に出力する。
【0021】
映像蓄積部15は、映像入力部11から入力される映像や、キャリブレーション部19における処理途中の結果やデータを一時的に格納するものであり、コンピュータにおけるメモリに相当する。
【0022】
色情報送信部16は、キャリブレーション部19で得られた色情報を、ネットワークを経由して遠隔で会議を行う拠点Bの色調調整装置100に送信する。
色情報受信部17は、拠点Bの色調調整装置100から送信される色情報を受信して、キャリブレーション部19に出力する。
【0023】
色変換実行部18は、キャリブレーション部19で得られた結果に基づき、送信元である拠点Bの色調調整装置100において得られた色調に対応する色変換を、ネットワークを経由して拠点Bの色調調整装置100から受信した映像に対して行い、映像出力部14に出力する。なお、詳細については後述するが、色変換実行部18は、キャリブレーション部19によって得られる色変換情報に基づき、色調調整装置100から受信した映像に対して色変換を行うか否かを判断し、色変換を行うと判断した場合、色調調整装置100から受信した画像データに対して色変換を行う。一方、色変換を行わないと判断した場合、色調調整装置100から受信した画像データに対して色変換を行うことなく、映像出力部14に出力する。
【0024】
キャリブレーション部19は、本実施形態に係る色調調整システムにおける映像会議に先立ち、自拠点(拠点A)の映像入力環境情報を抽出するとともに、他拠点(拠点B)の映像入力環境情報を収集することによって、ユーザαとβのそれぞれにとって違和感の少ない色で表わされた映像を表示するための色変換量計算処理を行う。
なお、キャリブレーション部19は、色変換量計算モードが設定されている場合にこの色変換量計算処理を行う。この色変換量計算処理については、図5を参照して、後述する。また、キャリブレーション部19は、色調調整モードが設定されている場合に、この色調調整処理を行う。この色調調整処理については、図6を参照して、後述する。
【0025】
このキャリブレーション部19について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、キャリブレーション部19の構成の一例を示すブロック図である。
図4に示す通り、キャリブレーション部19は、領域抽出部191、色情報計算部192、色情報比較部193、色変換量計算部194を含む。
【0026】
領域抽出部191は、映像蓄積部15のキャリブレーション映像記憶領域151に記憶されているキャリブレーション映像を読み出し、このキャリブレーション映像に含まれるキャリブレーション用の被写体Kに対応する画像領域(以下、マスク領域という)を抽出し、このマスク領域とそれ以外の画像領域を区別したマスク画像を得て、映像蓄積部15のマスク画像記憶領域152に記憶させる。
この領域抽出部191がマスク画像を抽出する方法としては、例えば、キャリブレーション映像記憶領域151から読み出したキャリブレーション映像(ここでは、1枚の画像データ)の中から最も輝度の高い画素値をもつ点を抽出し、その点を中心として、四近傍もしくは八近傍の隣接画素に対して色が近い画素を一つのまとまりとして類似の色をもつ領域を拡大させてマスク領域を抽出する。そしれ、例えば、領域抽出部191は、このマスク領域の画素値を「1」と、その他の画像領域の画素値を「0」とする2値からなるマスク画像を得る。
また、領域抽出部191は、マウスやデジタイザ等の外部入力装置と接続されてユーザからの指示を示す指示信号を入力して、ユーザによって指定された画像データをキャリブレーション用の被写体Kを含む画像データ(キャリブレーション映像)として認識し、この画像データに基づきマスク画像を抽出するものであってもよい。
【0027】
色情報計算部192は、領域抽出部191によって得られたマスク画像に含まれるマスク領域(例えば、画素値「1」で表わされる領域)に該当する入力映像の色情報を計算し、この色情報を色情報送信部16に出力するとともに、この色情報を映像蓄積部15の色情報記憶領域153に記憶する。
ここでは、色情報計算部192は、色情報として色成分毎の画素値の平均を色情報として求める場合について説明するが、最大値や中央値を色情報としても構わない。
また、色情報の計算やキャリブレーション映像からのマスク画像の抽出においては、RGB空間の場合を例にして以下説明するが、YC、YIQのような色空間を用いても構わない。
【0028】
色情報比較部193は、映像蓄積部15の色情報記憶領域153に記憶されている自拠点(拠点A)における被写体の色情報(以下、自拠点色情報という)と、ネットワークNWを経由して他拠点(拠点B)の色調調整装置100から受信した他拠点の色情報(以下、他拠点色情報という)を比較し、比較結果が予め決められている条件に該当するか否かを判断し、比較結果に応じた情報(以下、比較結果情報という)を色変換量計算部194に出力する。なお、この他拠点色情報も、自拠点色情報と同様、色調調整装置100の映像入力部11によって得られたキャリブレーション映像に基づき計算された色情報である。
【0029】
この色情報比較部193は、比較結果が予め決められている条件に該当する場合、各拠点での色情報を色変換量計算部194に出力する。つまり、比較結果が予め決められている条件に該当する場合、色情報比較部193は、色調調整装置1に割り振られている識別子(ここではID00A)を、色調調整装置1によって得られた自拠点色情報に対応付けた情報と、色調調整装置100に割り振られている識別子(ここではID00B)を、色調調整装置100によって得られた他拠点色情報に対応付けた情報と、比較結果情報として得る。
一方、比較結果が予め決められている条件に該当しない場合、色情報比較部193は、フラグ情報を色変換量計算部194に送信する。つまり、比較結果が予め決められている条件に該当しない場合、色情報比較部193は、色調調整装置100に割り振られている識別子(ここではID00B)に、比較結果が予め決められている条件に該当しないことを示すフラグ情報(例えば、信号レベル「0」)を対応付けた情報と、比較結果情報として得る。
【0030】
色変換量計算部194は、色情報比較部193から入力される比較結果情報に基づき、他拠点からの映像に対して色変換を行う際に必要な色変換情報を求め、映像蓄積部15の色変換情報記憶領域154に記憶させる。
【0031】
次に、図5、6を参照して、本実施形態に係る色調調整システムにおける色調調整方法の処理フローの一例について説明する。図5は、本実施形態に係る色調調整システムにおける色変換量計算処理の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0032】
図5は、拠点A−B間における映像会議に先立って、拠点Aおよび拠点Bでの映像入力環境の特性を事前に確認し、補正するための色変換情報を得るための処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
図5に示す通り、映像入力部11が、入力された映像からキャリブレーション用の被写体Kを含む画像データ(キャリブレーション映像)を得た場合、映像蓄積部15のキャリブレーション映像記憶領域151に格納する。次いで、キャリブレーション部19の領域抽出部191は、この映像蓄積部15のキャリブレーション映像記憶領域151から、キャリブレーション用の被写体Kを含む画像データ(キャリブレーション映像)を読み出す(ステップST1)。そして、領域抽出部191は、この画像データ(キャリブレーション映像)に対して画像処理を行い、キャリブレーション用の被写体Kに対応する画像領域(マスク領域)をキャリブレーション映像から抽出する(ステップST2)。つまり、キャリブレーションの対象であるキャリブレーション対象領域(マスク領域)を抽出する。
そして、領域抽出部191は、抽出したキャリブレーション対象領域(マスク領域)を含むマスク画像を映像蓄積部15のマスク画像記憶領域152に格納する。このマスク画像は、例えば、キャリブレーション対象領域(マスク領域)の画素値を「1」、それ以外の画像領域を「0」とする画像である。
【0034】
次いで、色情報計算部192は、映像蓄積部15のマスク画像記憶領域152からマスク画像を読み出し、このマスク画像に基づき、マスク画像のうち画素値が「1」であるキャリブレーション対象領域(マスク領域)の色情報を計算する(ステップST3)。
そして、色情報計算部192は、計算によって得られた色情報(色成分毎の画素値の平均値)を、拠点Aの色調調整装置1を示す端末識別子「ID00A」とともに、色情報送信部16からネットワークで接続された拠点Bの色調調整装置100の色情報受信部17に送信する(ステップST4)。
【0035】
一方、拠点Bにおいて、当該色調調整装置100は、上述同様、拠点Bの会議室の環境下において撮影されたキャリブレーション用の被写体Kに対応する画像領域の色情報(他拠点色情報)を計算する。そして、色調調整装置100は、自身の色情報送信部16から計算された他拠点色情報を、拠点Bの色調調整装置100を示す端末識別子「ID00B」とともに、拠点Aの色調調整装置1に送信する。これにより、色調調整装置1の色情報受信部17は、拠点Bの色調調整装置100によって得られた他拠点色情報を受信する(ステップST5)。
【0036】
次いで、色情報受信部17は、受信した他拠点色情報を色情報比較部193に出力する。そして、色情報比較部193は、色情報計算部192によって計算された拠点Aの自拠点色情報と、色情報受信部17から出力された拠点Bの他拠点色情報とを比較する(ステップST6)。ここで、色情報比較部193は、拠点Aの自拠点色情報と拠点Bの他拠点色情報との比較結果が、下の式(1)に示すような条件に基づき、この条件を満たすか否かを判断する。つまり、色情報比較部193は、色変換の必要性有無を判定し、条件を満たす場合、色変換の必要性があると判断する。
【0037】
【数1】

【0038】
なお、式(1)において、R,G,B、は、拠点Aの自拠点色情報を示し、Ri,Gi,Biは、拠点Bの他拠点色情報を示す。
ただし、i=1,2,・・・,nとし、nは、色調調整装置1とネットワークNWを介して通信する対象の拠点の数である。
また、式(1)におけるthr(R閾値),thg(G閾値),thb(B閾値)は、RGB成分それぞれの閾値である。
なお、式(1)は、拠点Aの自拠点色情報と拠点Bの他拠点色情報の差分の絶対値をRGB成分毎に求め、これらの差分の絶対値が、それぞれR閾値、G閾値、B閾値未満であるか否かを判断する判定条件である。
【0039】
しかし、本発明はこれに限られず、RGB色空間上の2点における3次元ユークリッド距離によって判定しても構わないし、CIELABのような均等色空間にマッピングし、その空間内での色差で判定しても構わない。
【0040】
次いで、色情報比較部193は、式(1)に従って、拠点Aの自拠点色情報と拠点Bの他拠点色情報の差分の絶対値をRGB成分毎に求め、これらの差分の絶対値がそれぞれR閾値、G閾値、B閾値未満であるか否かを判断する。
この判断の結果、式(1)に示す条件を満たさない場合、色情報比較部193は、拠点Aと拠点Bでの映像取得環境における色情報の差が大きいため拠点Bからの映像に対して色変換が必要であると判断する。そして、色情報比較部193は、自拠点色情報に端末識別子「ID00A」を対応付けた情報、および他拠点色情報に端末識別子「ID00B」を対応付けた情報を、色変換量計算部194に出力する。
一方、式(1)に示す条件を満たす場合は、色変換が不要と判断し、他拠点を示す端末識別子「ID00B」とフラグ情報(ここでは“0”とするが、固定の数値であれば、何でも構わない)を色変換量計算部194に出力する。
【0041】
また、上述の判定は、通信する対象の他拠点の全てに対して行われ、他拠点毎に条件を満たすか否かの判定結果に応じて、色変換量計算部194に出力される情報が異なる。最後に、他拠点から受信した映像に対して色変換を行う際の色変換情報を計算する(ステップST7)。
【0042】
色情報比較部193から出力される自拠点色情報をR,G,B、他拠点色情報をRi,Gi,Bi(i=1,2,・・・,n)とすると、RGB成分毎の色変換情報は、以下のように求められる。
【0043】
【数2】

【0044】
色情報比較部193からフラグ情報が送信された場合の色変換情報は、R,G,B成分とともに「1」に設定する。
このようにして得られた色変換情報は映像蓄積部15の色変換情報記憶領域に格納される。
なお、格納される色変換情報は、上述のように、色変換を行うための係数であってもよく、また、図7に示すLUT(Look Up Table)のような形式で、RGBの画素値毎に変換前と後の対応関係を表にしたものでもよい。
図7では、RGBの各画素値が0〜255の全ての値に対して、色変換を行う際の係数をそれぞれ0.9、1.05、1.2とした場合の色変換後の画素値を表形式にしたものである。色変換後の値が255を越える場合には255に固定する。
【0045】
次に、上述のキャリブレーション結果を利用して、複数の拠点間で遠隔会議を行う際の色変換を行い表示させる色調調整処理について図6を参照して説明する。図6は、この色調調整処理の一例を示すフローチャートである。
例えば、色調調整装置1は、色調調整装置100との通信接続の確立後(ステップST11)、自拠点の映像入力部11によって得られた遠隔会議の映像を入力し(ステップST12)、その映像を端末識別子「ID00A」とともに映像送信部12からネットワークNW経由で他拠点Bの色調調整装置100に送信する(ステップST13)。
一方、他拠点の色調調整装置100においても、他拠点Bの映像入力部11によって得られた遠隔会議の映像を入力し、その映像を端末識別子「ID00B」とともに映像送信部12からネットワークNW経由で自拠点Aの色調調整装置1に送信する。
これにより、自拠点Aの色調調整装置1の映像受信部13では、他拠点Bの映像を他拠点の端末識別子「ID00B」とともに受信する(ステップST14)。
【0046】
そして、自拠点の色調調整装置1の色変換実行部18は、映像蓄積部15の色変換情報記憶領域154を参照して、受信した端末識別子の示す他拠点に対応する色変換情報を取得し、色変換を行う(ステップST15)。
具体的に説明すると、映像蓄積部15の色変換情報記憶領域154にて、色変換情報として、色変換の係数が格納されている場合、他拠点の映像の画素値(変換前)を[R,G,B]、変換後の画素値を[R‘、G’、B’]、色変換係数を
【0047】
【数3】

とする。
そして、次式に示す変換を映像の各画素について行う。
【0048】
【数4】

【0049】
一方、色変換情報が、LUTの形式で色変換情報記憶領域154に格納されている場合は、色変換実行部18は、図7に示したような表にしたがって、映像の各画素値に対応した変換後の画素値におきかえることによって色変換を行う。そして、色変換実行部18は、色変換後の映像を映像出力部14から出力する(ステップST16)。ここで、会議が終了したか否かを判断する(ステップST17)。例えば通信が切断された場合、あるいは、色変換処理の終了が指示された場合、会議が終了したことを判断し、通信の接続を切断する(ステップST18)。一方、会議が終了していない場合、上述の一連の流れを会議終了まで繰り返し行う。
【0050】
なお、上記第1の実施の形態においては、他拠点から受信した映像に対して色変換を行う構成を説明したが、自拠点から複数の他拠点に映像を送付する段階で相手側の環境に応じた色変換を施した映像を送信する構成であっても構わない。この場合、色変換実行部18は、映像受信部13と映像出力部14の間ではなく、映像入力部11と映像送信部12の間に位置し、色変換量計算部194で得られる色変換の係数は、上述の説明で得られた係数の逆数となる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図8のブロック図および図11のフローチャートおよび図9、10に示す図を参照しながら説明する。本構成は、第1の実施の形態の構成に加えて、色変換調整部320を有することを特徴とする。
この色変換調整部320は、色調調整装置3と色調調整装置300との通信が確立し、キャリブレーション部319での結果に基づき色変換実行部318によって色情報の変換を行った映像の送受信が行われている段階で、遠隔会議の各拠点におけるユーザが色調整を行う機能を有することを特徴とする。
【0052】
以下、図9−11を参照しながら色変換調整部320内での詳細な動作について説明する。
色変換調整部320では、映像蓄積部315の色情報記憶領域に格納されている自拠点色情報および他拠点色情報を取得し(ステップST21)、色調整に必要なユーザ入力のためのインタフェースを画面に表示する(ステップST22)。図9に、インタフェースの一例として、遠隔会議の映像の下部にスライドバーによる色調整を行う仕組みを搭載した場合を示す。
ここで、色変換調整部320は、操作部(図示せず)から入力されるユーザからの操作指示を待ち(ステップST23)、ユーザはスライドバー上に符号「△」で示すアイコンQ1を左右に操作することによって、映像の色を調整することができる(ステップST24)。スライドバー上の「△」で示すアイコンQ1は現在の色環境を表し、中央付近にある二重線で示したマーカは、標準的な観察環境への変換を表す。
【0053】
スライドバーで示す色調整の仕組みを以下に説明する。
例えば、オフィス内で利用されている人工照明光は、自然光下での物体の見えに近くなるように設計されている。一方、自然光は黒体放射の分光分布で近似できることも知られている。したがって、人工照明光および自然光の色は黒体放射に対応した色で近似できると言える。
図10に示す曲線は、1500K〜30000Kまでの色温度をもつ黒体放射の色をR/G、B/Gを軸とする座標面上にプロットしたものであり、RGBで表現される画像の照明光の色はこの曲線上の範囲を動く。
よって図9に示すスライドバーを使った色調整は、図10のR/G,B/G座標面上の曲線上を動くことに相当する。
【0054】
なお、図10において「●(黒丸)」を自環境でのキャリブレーションで得られた色情報とすると、図9の「△」で示すアイコンQ1に対応する。また、図10のXは座標(1,1)で示す点であり、RGBに関して色みの偏りがない色、即ち、標準的な観察環境であることを表し、図9の二重線のマーカに対応する。
【0055】
ユーザが図9に示すスライドバー上の「△」で示すアイコンQ1を右もしくは左に移動させた場合の色変換量を求める。
「△」アイコンQ1が二重線マーカの方に移動した場合(図9での「▲」アイコンQ2の位置)は、「△」アイコンQ1と二重線マーカとの距離に対する移動の割合を、図10に破線で示す、原点とX、原点と「●(黒丸)」アイコンを結ぶ直線の角度に対する割合に対応させて、図10の矢印で示した線分上かもしくは曲線上の色をユーザの指定した色とする。「△」アイコンQ1を二重線マーカとは逆の方向に移動させた場合も同様に、同じ割合でXと逆の方向に移動させる。
【0056】
人間には色順応と呼ばれる視覚特性があり、有色の照明、もしくは有色で視野の多くが占められる環境下においては、その色に対する感度がにぶくなることが知られている。つまり、図2に示した拠点Aにおいて、青みがかった環境下にいる人間は、色順応することによって、その環境内の物体の色を、青みがかった色というより、むしろ、白色下の照明下で観察する際の色に近い色として知覚する傾向がある。
【0057】
本発明の第1の実施の形態では、各拠点に照明環境に合わせた色変換を行った映像を表示する構成であるが、上述の色順応の影響により、ユーザが自拠点の照明光の色を強く知覚しなくなるため、他拠点からの映像を色みに偏りがあると感じることが想定される。そこで、本発明の第2の実施の形態においては、色順応の影響を考慮し、ユーザが自拠点下で違和感のないような色表示が行えるように色調整の仕組みを提供する。
【0058】
図10の「●(黒丸)」の座標を(a,b)とし、図9のスライドバーでのユーザが指定した「▲」アイコンQ2の位置に対応させた、図10上の座標を(a´,b´)とすると、色変換の際の色変換係数をR成分はa´/a、G成分は1、B成分はb´/bのように求める。
色変換実行部318にて上記処理で得られた色変換係数を色変換情報として映像の色を変換し(変換式は式(2) と同様)、映像出力部314にて色調整した映像を表示する。
【0059】
上述の説明では、色変換調整部320における実現形態の一例としてスライドバーを利用する方法を説明したが、直接数値を入れる形態であるとか、複数の調整結果の画像から所望のものを選択する方法であっても構わない。
【0060】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施の形態について、図12のブロック図および図15のフローチャートおよび図13、14に示す図を参照しながら説明する。
また、本発明の別な実施の形態として、第2実施の形態から、映像会議の前に色情報を送受信する部分を取り除いた形態であり、図12にブロック図を示す。この構成では、各拠点で映像をみながら最適な表示になるように調整が行えることを特徴とする。
図12に示すブロック図において、ほとんどの構成は、第1実施形態および第2実施形態を説明する際に説明済みであるため、ここではフレーム情報取得部516での映像フレームの取得から色変換調整、色変換量計算、色変換実行、映像出力までの流れを中心に説明する。
フレーム情報取得部516では、映像出力部514に表示されている他拠点の映像に対して、ユーザが指定するフレーム(ある時刻の画像)を1ないし複数枚分から色情報を取得し、その結果を映像蓄積部に格納する。
ここで、色情報とは、映像フレームの平均画素値とする場合について説明するが最大値、中央値であっても構わない。また、映像フレームが複数の場合は、各フレームから得られた色情報の平均を求める。なお、ユーザの指定は、会議映像のポーズや画面キャプチャ機能等を用いて行う方法もあるが、映像のフレームが取得できる方法であればどのような方法でも構わない。
【0061】
次に、色変換調整部517にて、色調整に必要なユーザ入力のためのインタフェースを画面に表示する。図13にインタフェースの一例として、遠隔会議の映像の下部にスライドバーによる色調整を行う仕組みを搭載した場合を示す。ユーザは中央に表示された「△」アイコンQ3をスライドバー上で左右に移動させることによって映像に表示される色を調整する。
以下、図15に示すフローチャートについて、図13,14に示す図を参照しながら処理の流れを説明する。
【0062】
まず、ユーザがスライドバーを左右どちらかの方向に移動させると、フレーム情報取得部によって、該当フレームをキャプチャし、全体の平均の色を色情報として取得し、映像蓄積部515に格納する(ステップST31)。得られたフレームの色情報をR/G,B/Gを座標軸とする空間に射影する(図14での「●(黒丸)」)(ステップST32)。ここで、ユーザからの操作入力を待ち(ステップST33)、ユーザからの操作においてスライドバー上で右に移動した場合は、図14の右側の矢印の方向に、左に移動した場合は、左側の矢印の方向になるように色を変化させる。
すなわち、移動した量に応じて、図14の破線で示すように原点との結んだ線分間の角度を対応させて、曲線上を移動させる。
フレーム情報取得部516で得られた色情報をRave、Gave、Bave、即ち、図14の座標系では、a=Rave/Gave、b=Bave/Gave、とし、ユーザ入力に対応した色を(a´,b´)とすると、色変換係数は、第2実施例の場合と同様、R成分はa´/a、G成分は1、B成分はb´/bのように求める(図14)。色変換実行部519にて上記処理で得られた色変換係数を色変換情報として映像の色を変換し(変換式は式(2) と同様)、映像出力部514にて色調整した映像を表示する。
【0063】
上述の説明では、色変換調整部517における実現形態の一例としてスライドバーを利用する方法を説明したが、直接数値を入れる形態であるとか、複数の調整結果の画像から所望のものを選択する方法であっても構わない。
【0064】
上述の通り、本発明にかかる色調調整システムは、遠隔地間をネットワークで接続した映像会議において、拠点間で色に関するキャリブレーション用の情報を交換し、相手から送信された映像、もしくは相手に送信する映像に対して色変換を施すことにより、双方の照明光環境の違いによる映像の色表示に関する違和感を逓減させるという効果が期待される。また、上記に加え、各拠点に個別の調整機能を設けることにより、人間の順応状態に応じた映像の色に調整できるという効果もある。
【0065】
また、本発明では、映像通信会議を行う際に、各拠点での照明光環境の情報を通信対象とする拠点間で共有し、色変換に必要な色変換係数もしくは色変換表(LUT)を求める機構を設けることによって、会議の照明光環境下にあわせて表示装置に映像の色を表示することができ、違和感のない通信会議を実現できる。また、色順応という人間の視覚特性を考慮し拠点内で色調整ができる仕組みを有すると共に、照明光の色を黒体放射と仮定することによって色調整を1次元の移動で実現することができる。
【0066】
なお、上述した第1〜3実施形態において、色調調整装置1による機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、符号化処理、及び復号化処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0067】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 色調調整装置、11 映像入力部、12 映像送信部、13 映像受信部、14 映像出力部、15 映像蓄積部、16 色情報送信部、17 色情報受信部、18 色変換実行部、19 キャリブレーション部、151 キャリブレーション映像記憶領域、152 マスク画像記憶領域、153 色情報記憶領域、154 色変換情報記憶領域、191 領域抽出部、192 色情報計算部、193 色情報比較部、194 色変換量計算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続される複数の色調調整装置を含む色調調整システムにおける前記色調調整装置であって、
当該色調調整装置において第1照明の下で撮影される映像を入力する映像入力部と、
他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される映像を受信する映像受信部と、
前記映像受信部が受信した前記他の色調調整装置において撮影された映像を出力する映像出力部と、
前記映像入力部が入力するキャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第1色情報を計算する色情報計算部と、
前記他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される前記キャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき得られる前記キャリブレーション用被写体の色調を示す第2色情報を受信する色情報受信部と、
前記第1色情報および前記第2色情報に基づき、前記第2照明の下で撮影された映像の色を前記第1照明の下で前記映像出力部に出力される映像に適した色に色変換する色変換量を計算する色変換量計算部と、
を備えることを特徴とする色調調整装置。
【請求項2】
ネットワークを介して接続される複数の色調調整装置を含む色調調整システムにおける前記色調調整方法であって、
当該色調調整装置において第1照明の下で撮影されるキャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像を入力する行程と、
前記キャリブレーション映像に基づき、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第1色情報を計算する行程と、
他の色調調整装置における第2照明の下で撮影される前記キャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき、前記他の色調調整装置によって得られる、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第2色情報を受信する行程と、
前記第1色情報および前記第2色情報に基づき、前記第2照明の下で撮影された映像の色を前記第1照明の下で映像出力部に出力される映像に適した色に色変換する色変換量を計算する行程と、
を備えることを特徴とする色調調整方法。
【請求項3】
ネットワークを介して接続される複数のコンピュータを含む色調調整システムにおけるコンピュータを、
当該色調調整装置において第1照明の下で撮影される映像を入力する映像入力手段、
他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される映像を受信する映像受信手段、
前記映像受信手段が受信した前記他の色調調整装置において撮影された映像を出力する映像出力手段、
前記映像入力手段が入力するキャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき、当該キャリブレーション用被写体の色調を示す第1色情報を計算する色情報計算手段、
前記他の色調調整装置において第2照明の下で撮影される前記キャリブレーション用被写体を含むキャリブレーション映像に基づき得られる前記キャリブレーション用被写体の色調を示す第2色情報を受信する色情報受信手段、
前記第1色情報および前記第2色情報に基づき、前記第2照明の下で撮影された映像の色を前記第1照明の下で前記映像出力手段に出力される映像に適した色に色変換する色変換量を計算する色変換量計算手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−165091(P2011−165091A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29495(P2010−29495)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】