説明

芝生育成用表層およびその使用方法

本発明は、表層と芝生との組合せから構成されてなるターフに関するものであって、表層は、エラストマー粒子と結合エマルジョンと無機凝集物とフィラーと徐放性植物栄養素粒子とを含有した混合物とされるとともに、土の無い状態での芝生の成長に適したものとされ、さらに、表層と芝生との組合せが、複数の芝生表面応用の中から選択された応用において求められた特定の要求に適合し得るよう、選択的組成のものとして構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝生で覆われた支持表面に関するものであり、より詳細には、限定するものではないけれども特に例えば植物や草等といったいったような有機材料のための媒体として適用可能であるような、表層に関するものである。本発明は、様々な態様でもって、様々な既存のグラウンド構造に適合することができ、使用することができる。
【背景技術】
【0002】
芝生表面は、好まれる。実際、芝生表面は、多くの状況において、広範な人間活動や環境中において不可欠である。当然のことながら、多くのスポーツが芝生の上で行われる。多くのスポーツが様々に異なる広範な特性を有していることのために、各種スポーツにおいては、表面に対する要求が様々に相違する。すなわち、例えば、テニスの試合と競馬とでは、要求される芝生表面の特性は、大きく異なる。
【0003】
多くのスポーツ応用においては、非常に多くの摩耗や消耗を受けることとなる特定の表面領域が存在し、そのような領域をいかにして良好な状態に維持して全体的に満足なものとするかは、重要な問題点である。例えば、ゴルフコースのバンカーやティーショット領域やグリーンの周囲エッジを例示することができる。特に、いくつかのバンカーやティーショット領域の周囲においては、地面が極めて急激に傾斜しており、このため、侵食や損傷を受けやすいものとなる。スポーツという範疇の中で激しい摩耗を受ける多くの他の例は、例えば、フットボール場のゴール前あたりやサイドラインのあたりであり、また、クリケット競技場の周縁領域であり、また、テニスコートのサービスラインのあたりである。さらなる例は、芝生に連接したスイミングプールにも見受けられ、また、歩行者の通行量の多いところや、自動車悪の頻繁なところでさえある。
【0004】
様々なスポーツにおける要求どうしの間で相違する主要な特性は、競技表面の表層の弾性である。すなわち、テニス用芝生コートにおける要求は、事実上ゼロという弾性であり、一方、競走路やフットボール場における要求は、弾性に関しては、正反対である。競走路やフットボール場においては、馬および選手に対する物理的な損傷を防止し得るよう、大きな弾性が要求される。しかしながら、競走路とフットボール場とであってさえ、最適の弾性は、互いに相違する。
【0005】
土に基づいた芝生表面弾性をそのように最適に制御することは、非常に困難なことである。
【0006】
土に基づいた芝生表面に関する他の問題点は、激しい降雨の後における構造的損傷から復帰するのに、かなりの時間を要することである。スポーツ開催地としての利用度合いに関する要求が増大するにつれて、摩耗や降雨からの回復という課題が、開催地の経済的存続という点において、また、スポーツイベントの開催日として要求されたスケジュールの管理という点において、重要なものとなる。
【0007】
主要なスポーツ会場においては、テレビが、参加する観衆に加えて、ゲームを何百万人もの視聴者に見せることとなる。競技表面自体が、広告模様のディスプレイとして価値のある領域となる。共通の使用でそのような模様をディスプレイするための1つの方法は、芝生表面に対して、ペイントを施すことである。しかしながら、ペイント領域のメンテナンスが困難であるとともに、広告が望まれなくなった場合に、清浄化して復元することが困難である。
【0008】
都市生活において人口密度が増加するにつれて、例えば屋上やテラスや他の構築領域といったようなアウトドア領域は、好ましい表面としての芝生付きの庭として、ますます重要なものとなる。土に基づいた芝生は、頻繁に水浸しになるという問題点を抱えているため、そのような領域では維持するのが難しく、根腐れや外観の悪化を招いてしまう。
【0009】
本発明者による特許文献1に記載されたような芝生表面の育成に適した表層は、上記様々な問題点のうちのいくつかを解決し得るような製品の基礎を提供している。そのような表層に関するさらなる改良や、機械的性質の制御や、さらなる応用が、本明細書において開示される。
【特許文献1】国際特許出願PCT/AU00/01295
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、広義的な観点からは、表層と芝生との組合せから構成されてなるターフを提供するものであって、表層が、土の無い状態での芝生の成長に適したものとされ、表層と芝生との組合せが、複数の芝生表面応用の中から選択された応用において求められた特定の要求に適合し得るよう、選択的組成のものとして構成されている。
【0011】
好ましくは、表層は、混合物から形成され、混合物は、各成分が十分な比率でもって互いに混合された、エラストマー粒子と、適切な結合エマルジョンと、無機凝集物と、フィラーと、徐放性植物栄養素粒子と、を含有し、その結果、配置されて硬化された際には、混合物は、透水性を有しかつ弾性を有した表層を形成し、この表層は、複数の気泡を有し、これら気泡を通して、ターフの芝生の根構造が貫通し得るものとされている。
【0012】
好ましくは、エラストマー粒子は、リサイクルされた自動車のタイヤゴムからなる粒子を備えている。
【0013】
好ましくは、エラストマー粒子は、新品のゴムからなる粒子を備えている。
【0014】
好ましくは、エラストマー粒子は、リサイクルされたゴムからなる粒子と、新品のゴムからなる粒子と、を備えている。
【0015】
好ましくは、結合エマルジョンは、瀝青エマルジョンを備えている。
【0016】
好ましくは、瀝青エマルジョンは、変性されたポリマーである。
【0017】
好ましくは、無機凝集物は、粒状をなす一連の凝集物の中から選択された1つまたは複数のものとされ、一連の凝集物は、玄武岩と、砂と、クラッシャーダストと、を備えている。
【0018】
好ましくは、フィラーは、粒状をなす一連のフィラーの中から選択された1つまたは複数のものとされ、一連のフィラーは、セメントダストと、フライアッシュと、を備えている。
【0019】
好ましくは、成分は、さらに、綿状凝集プロセスおよび結合プロセスを遅くし得るような化学的遅延剤を備え、双方のプロセスは、粒子状の成分を瀝青エマルジョンによってコーティングするように作用するものである。
【0020】
好ましくは、表層の弾性は、表層内におけるエラストマー粒子の含有比率の関数とされ、エラストマー粒子の含有比率が大きくなるほど、表層の弾性がそれに応じて大きくなるものとされている。
【0021】
好ましくは、表層の弾性は、エラストマー粒子の平均メッシュサイズの関数とされている。
【0022】
好ましくは、表層の透水性は、エラストマー粒子の含有比率の関数とされ、かつ、エラストマー粒子の平均メッシュサイズの関数とされている。
【0023】
好ましくは、表層の弾性と透水性とは、表層の厚さの関数とされている。
【0024】
好ましくは、芝生表面応用は、様々なスポーツ活動の競技表面を備えている。
【0025】
好ましくは、競技表面は、テニスのプレーに適した芝生表面を備えている。
【0026】
好ましくは、競技表面は、フットボールという用語によって特徴づけられる一連のスポーツに適した芝生表面を備えている。
【0027】
好ましくは、競技表面は、ゴルフのゲームに適した芝生表面を備えている。
【0028】
好ましくは、競技表面は、競走馬の走行に適した芝生表面を備えている。
【0029】
好ましくは、ターフは、ゴルフコースのバンカー周辺の大きく摩耗した領域に対する適用に適したものとされている。
【0030】
好ましくは、ターフは、水路内の侵食の最小化に適したものとされている。
【0031】
好ましくは、ターフは、急峻な堤防の安定化に適したものとされている。
【0032】
好ましくは、芝生表面応用は、非多孔性表面の被覆を備えている。
【0033】
好ましくは、表層の弾性は、複数のスポーツ活動のうちの1つのスポーツ活動における特定の性能特性に適したものとされている。
【0034】
本発明は、他の広義的な観点においては、ターフを形成し得るよう、土の無い芝生成長に適した表層からなる層を形成するための方法を提供するものであり、この方法においては、
(a)適切な機械的混合装置内において、粒状エラストマーと、無機凝集物と、フィラーと、徐放性植物栄養素粒子と、からなる各成分を混合し、これにより、均一な混合物を形成し;
(b)機械的混合装置に対して、均一な混合物と化学的に相互作用し得るような適切な結合エマルジョンを投入し、これにより、一様なスラリーを形成する。
【0035】
好ましくは、粒状エラストマーは、新品のゴムからなる粒子を備えている。
【0036】
好ましくは、粒状エラストマーは、リサイクルされた自動車のタイヤゴムからなる粒子を備えている。
【0037】
好ましくは、粒状エラストマーは、リサイクルされたゴムからなる粒子と、新品のゴムからなる粒子と、の混合物とされる。
【0038】
好ましくは、結合エマルジョンは、瀝青エマルジョンによって変性されたポリマーを備えたものとされる。
【0039】
好ましくは、無機凝集物は、粒状をなす一連の凝集物の中から選択された1つまたは複数のものとされ、一連の凝集物は、玄武岩と、砂と、クラッシャーダストと、を備えたものとされる。
【0040】
好ましくは、フィラーは、粒状をなす一連のフィラーの中から選択された1つまたは複数のものとされ、一連のフィラーは、セメントダストと、フライアッシュと、を備えたものとされる。
【0041】
好ましくは、成分は、さらに、綿状凝集プロセスおよび結合プロセスを遅くし得るような化学的遅延剤を備えたものとされ、双方のプロセスは、粒子状の成分を瀝青エマルジョンによってコーティングするように作用するものである。
【0042】
好ましくは、スラリーは、混合装置から、適用表面上へと、連続的なストリップをなす表層として、押し出され、これにより、硬化時には、一様な透水性と弾性とを有した層を形成する。
【0043】
好ましくは、スラリーは、混合装置から、硬化用表面上へと、連続的なストリップをなす表層として、押し出され、これにより、一様な透水性と弾性とを有した層を形成し、層の厚さは、適用表面のところまでの輸送のため、層を長手方向に巻き取ってロールを形成し得るようなものとされる。
【0044】
好ましくは、スラリーは、混合装置から、順次的に、複数の硬化用トレー上へと、押し出され、これにより、表層を支持したトレーを形成し、表層を支持したトレーは、適用表面のところまでの輸送に適したものとされる。
【0045】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、ターフを形成し得るよう、上述した方法において、表層上に芝生を成長させるための方法を提供するものであって、この方法においては、表層に対して、所定の芝生表面応用に適したように選択された種類の芝生の種子を種蒔きする。
【0046】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、ターフを形成し得るよう、上述した方法において、表層上に芝生を成長させるための方法を提供するものであって、この方法においては、表層を掘り起こし、その後、表層に対して所定の芝生表面応用に適したように選択された種類の芝生の種子を種蒔きする。
【0047】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、ターフを形成し得るよう、上述した方法において、表層上に芝生を成長させるための方法を提供するものであって、この方法においては、選択された芝生種からなる複数の小枝は、未硬化の表層の上面内へと挿入し、これにより、芝生の根が表層を貫通した状態でもって、芝生表面を形成する。
【0048】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、ターフを形成し得るよう、上述した方法において、表層上に芝生を成長させるための方法を提供するものであって、この方法においては、予成長させさらに洗浄によって実質的に土の無いものとされた芝生マットは、硬化済み表層上へと配置し、これにより、芝生マットの根が表層を貫通した状態でもって、芝生表面を形成する。
【0049】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、ターフを形成し得るよう、上述した方法において、表層上に芝生を成長させるための方法を提供するものであって、この方法においては、予成長させさらに洗浄によって実質的に土の無いものとされた芝生マットは、未硬化の表層上へと押圧し、これにより、芝生マットの根が表層を貫通した状態でもって、芝生表面を形成する。
【0050】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、上述した方法において、適用表面に対してターフを適用するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)スラリーを、混合装置から、直接的に適用表面上へと、ストリップとして、押し出し、これにより、硬化後には、一様な弾性と透水性とを有した表層を形成し、
(b)表層上における芝生の成長を促進させるに際し、
(i)選択された種類の芝生種子を表層上に種蒔きするという手法と、
(ii)選択された芝生種からなる複数の小枝は、部分的に硬化した状態の表層の上面内へと挿入するという手法と、
(iii)予成長させさらに洗浄によって実質的に土の無いものとされた芝生マットは、硬化済み表層上へと配置するという手法と、
のいずれかの手法によって行う。
【0051】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、上述した方法において、適用表面に対してターフを適用するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)スラリーを、混合装置から、硬化用表面上へと、ストリップとして、押し出し、これにより、表層を形成し、
(b)表層上において芝生の成長を促進させ、これにより、ターフストリップを形成し、
(c)ストリップを、適用表面のところまでの輸送に適したロールへと巻き取り、
(d)ストリップを適用表面上に敷設する。
【0052】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、上述した方法において、適用表面に対してターフを適用するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)スラリーを、硬化用トレー上へと押し出し、これにより、表層を支持したトレーを形成し、
(b)表層上において、選択された品種の芝生の成長を促進させ、これにより、ターフトレーを形成し、
(c)要求された時点で、トレーを、適用表面のところまで輸送し、
(d)アレイを形成するようにしてトレーを適用表面上に敷設する。
【0053】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、スポーツ競技場の表面を形成するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)所望仕様の平坦性を有しかつ所望仕様の排水能力および回収能力を有した表面下部分を準備し;
(b)激しい摩耗が予想されることのために、定期的な交換を行う領域を決定し;
(c)ターフを適用するために方法として、請求項41〜43に記載された方法の中からいずれか1つの方法を選択し;
(d)表面に対してターフを適用する。
【0054】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、スポーツのプレー用の表面上に広告模様を表示するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)選択された広告模様を備えた所定のターフセグメントを準備し;
(b)セグメントへの形状および大きさと等価であるように選択された部分は、表面から除去し;
(c)表面にセグメントを挿入する。
【0055】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、芝生表面上において表示用の広告模様を交換するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)選択された広告模様を備えた所定ターフセグメントを準備して保管しておき;
(b)広告模様を表示している既存のターフセグメントを除去し;
(c)表面に、選択されたターフセグメントを挿入する。
【0056】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、スポーツ競技表面上における激しい摩耗領域をメンテナンスするための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)弾性および透水性を有した表層と芝生とからなる選択されたターフ部分を使用して、激しい摩耗領域の表面仕上げを行うに際し、ターフ部分は、ターフをなすストリップと、トレー内に形成されたターフからなるセグメントと、を備えたものとし、
(b)要求された時点で、ターフの摩耗部分を除去し;
(c)摩耗領域に対してターフ部分を適用する。
【0057】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、上述したような方法において、ターフ領域の表面を再形成する方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)表層および芝生の十分な深さを機械的に除去し、これにより、表層の新鮮な層を露出させ;
(b)スラリーが硬化した際に所定厚さとなるようにして残りの表層上へとスラリーを押し出し、これにより、表層を十分に修復し;
(c)表層上において、新鮮な芝生の成長を促進する。
【0058】
本発明は、さらに他の広義的な観点においては、上述したような方法において、芝生表面に対して散水された水を再循環するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)相互連結された複数の水回収部材からなるアレイは、表面下部分に構築し、この場合、水回収部材は、少なくとも1つの収集箇所へと水を案内し得るものとし;
(b)少なくとも1つの収集箇所から水を収集するための貯蔵装置を準備し;
(c)ターフに対して水を散水し得るよう、十分な圧力でもって水をポンピングするためのポンプ手段を準備する;
【0059】
有利には、本発明は、さらに他の広義的な観点においては、芝生表面に関連して収益を導出するための方法を提供するものであって、この方法においては、
(a)適用表面に対して、ターフを適用し、その際のコストを、
(i)適用方法と;
(ii)表層および芝生の仕様と;
(iii)被覆対象面積と;
(iv)メンテナンス条件と;
に基づいたものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明の様々な実施形態について、添付図面を参照しつつ、説明する。
【0061】
まず最初に、図1は、様々な芝生を育成するのに好適な表層11を示す断面図であって、この表層11は、既存のグラウンド構造を有した表面12に対してこの表面12上にわたって適用されたターフ10を形成することができる。これにより、表面12がなす平面と実質的に平行な平面として、なおかつ、表層11の厚さ“T”の分だけ表面12よりも高位置に位置した平面として、芝生表面14を提供している。本明細書においては、『ターフ』という用語は、天然芝生からなる表面と、本発明に基づく方法によって形成された表層と、の組合せを意味している。
【0062】
表層11は、所定厚さを有するとともに、厚さ方向に貫通させて根構造を透過させ得るようなものとされている。これにより、表層11は、図1内において挿入図によって示されているようにして、芝生14の表面成長を支援する。さらに図1内における挿入図に示すように、表層11は、厚さ方向にわたって分散配置された複数のキャビティ(あるいは、気泡)16を備えている。キャビティ16は、根構造15が侵入し得るようなエアポケットや裂け目という形態のものとすることができる。表層11は、特定用途に適しているような、スポーツ用の特殊な種類の芝生も含めた様々な芝生のためのキャリアとして機能し得るように、構成することができる。
【0063】
さらに、表層11は、後述するように、様々なプロセスによって様々な態様でもって形成することができ、広範な用途や状況に好適であるような様々な所定の工学的特徴を提供することができる。
【0064】
広義には、本発明の第1実施形態による表層11は、粒状の形態とされたエラストマー材料と、乳化剤およびフィラーをベースとしたポリマーと、の混合物を備えている。成分の好ましい組成について、詳細に後述する。
【0065】
[表層の製造方法]
表層は、図2A〜図2Cに示すように、互いに異なる様々な態様で製造することができる。すべての態様においては、複数の成分が、一様な混合物をなすように機械的に混合され、これにより、初期スラリーが調製される。この初期スラリーは、硬化後に所望の厚さおよび所望の機械的性質を有した層を押し出し形成するのに好適なものとされる。
【0066】
図2Aに示すように、製造方法の好ましい第1実施形態においては、スラリー混合物を、連続的なストリップ20として押し出す。このプロセスは、その場での適用として現場において直接的に被覆対象をなす表面に対して行うことができる。あるいは、このプロセスは、現場とは異なる場所で行うことができ、その後の現場へと輸送して敷き詰めることができる。ストリップの幅および長さは、意図した用途に応じて決定される。最大幅は、使用している混合装置21によって決定される。例えば根を侵入させ得るような多孔性表面上へとターフを敷設する場合といったように、薄い表層だけが要望される場合には、ストリップは、ロール状として、輸送および配達することができる。そのようなロール状ストリップの厚さは、20〜50mmという範囲とすることができる。より厚い表層の場合には、ストリップは、フラットなものとして、輸送したり取り扱ったりするすることができる。典型的には、そのようなストリップ材料は、50〜100mmという厚さ範囲のものとすることができる。
【0067】
その場での流し込み敷設は、最大で約33°という傾斜まで、行うことができる。これより急激な傾斜については、安定化グリッドを、表層内に組み込むことができる。
【0068】
現場以外の場所で製造された押出ストリップは、付加的に、必要に応じて、輸送や取扱いを便利なものとし得るように、正方形タイルや長方形タイルへと、切り分けることができる。
【0069】
図2Bに示すように、プロセスの好ましい第2実施形態においては、表層11は、トレー構造22上へと押し出され、これにより、ターフモジュール23が形成される。トレー構造22は、図2Cに示すようなものとすることができ、少なくとも1つのリフトポイント24を備えている。このリフトポイント24は、機械的リフト手段を使用してのモジュールの搬送および敷設に際して好適なものである。モジュールの典型的な好ましい厚さは、80〜120mmという範囲とすることができる。
【0070】
上述したようなプロセスの第1および第2実施形態の双方においては、ストリップまたはタイルまたはモジュールに対して、芝生の好ましい適用方法に依存して、製造時に選択されたあるいは敷設時に選択された芝生を、適用することができる。ここで、芝生は、後述するように、硬化状態の表層に対して、あるいは、部分的に硬化した状態の表層に対して、適用される。
【0071】
表層の製造方法の好ましい第3実施形態においては、例えば連続的にアスファルト表面層を成膜するための装置といったような可動型道路舗装装置の中へと、様々な成分を導入して混合する。この態様において、表層は、適用表面上へと直接的に敷設される。この場合にも、後述する様々な方法を使用して、芝生を追加することができる。
【0072】
[表層組成の例]
[例1]
本発明の好ましい実施態様による表層は、以下のようにして製造することができる。すなわち、まず最初に、較正された連続的フロー手段を備えた“PAVESEAL”(登録商標)混合機(例えば、道路舗装に使用されるようなもの)内において、約32.8%w/wの、約7〜16の間という平均メッシュサイズ(許容される標準によって)を有するリサイクルしたまたは再構成したまたは新たなゴムと;約32.8%w/wの、例えば玄武岩や砂や粉塵といったような鉱物凝集物(最大で約10mmという直径までの粒径を有する)と;約4.0%w/wの、例えばセメントダストやフライアッシュといったようなフィラーと;約2.6%w/wの、例えばエマルジョンの『ブレイキング』を遅延する化学的遅延剤といったような添加剤と;約0.8%w/wの、例えば硫黄によって被覆されたまたは特定の温度・湿度・時間という条件下において崩壊するポリマーで被覆された肥料といったような、吸水性の徐放性植物栄養素の結晶と;の混合物を、低温乾燥状態で混合する。
【0073】
この例においては、使用される植物栄養源は、TERRACOTTEMという商標名によって公知のものである。この植物栄養源は、理想的な植物栄養源である。なぜなら、比較的カリウムが高濃度であるからであり、また、水および栄養素を維持して提供する育成表面の能力を増大する有機吸水性ポリマーを有しているからであり、また、芝生を形成するターフといったような植物の初期育成期の間で重要な役割を果たし、さらにその後数ヶ月にわたって活性である可溶性の遅延放出ミネラルおよび有機栄養素からなるスターター構成成分を有しているからであり、また、初期育成期において過度の根の形成を促進する微量の育成刺激剤を有しているからであり、さらに、結晶の均一な分布を許容するキャリア物質を有しているからである。
【0074】
約7〜10分間の低温乾燥状態での混合の後、均一な混合物が形成された。
【0075】
次いで、約27.0w/wの、水中におけるポリマー変性瀝青エマルジョンからなる一般ブレンドが、前記混合物の流動可能なまたは作用可能な粘稠度が形成されるまで、前記混合物に添加される。前記ポリマーは、エチルビニルアセタートまたはSBSであって良い。前記エマルジョンは、約17.5%w/wまでのラテックスのような残余のバインダーを含んでも良い。水もまた、前記エマルジョンの大きな構成成分である。典型的なエマルジョンは、SHELL(登録商標)、MOBIL(登録商標)、PIONEER(登録商標)、またはポリマー変性瀝青エマルジョンの販売に関与する他の会社によって生産されるものである。エマルジョンをMAGFLOW(登録商標)メーターに稼働させ、オペレーターによって規則的にモニターする。流動を較正して、エマルジョンが十分にゴム、凝集物、およびフィラーを被覆するようにする。添加剤および水の量のいくらかの調節が、必要とされる作用可能な粘稠度を達成し、かつエマルジョンの成熟前の『ブレイキング』を避けるために必要とされるであろう。
【0076】
各種の混合法が使用されて良いが、規則的な攪拌が必要ではないことに注意することが重要である。最小の機械的攪拌は、エマルジョンでゴム、凝集物、およびフィラーを迅速に被覆するために必要とされる。過度の機械的攪拌は、エマルジョンを成熟前に『ブレイク』し、ゴムおよび凝集物からエマルジョンのコーティングを剥がすであろう。もしエマルジョンが成熟前に『ブレイク』したならば、生成した製品は共に十分に結合しない。このため、小さいコンクリートミキサー等は、そのリフトブレードがあまりに迅速に回転しすぎ、高剪断力を生ずるため、使用に適していない。理想的には、本発明で有用な混合機は、
(1)10rpm未満でそのブレードまたはオーガーを操作し、
(2)できるだけ小さいブレードまたはオーガーを有し、
(3)直径によりも高さが有意に大きい混合ホールディングドラムを有し、
(4)混合物の運搬、剪断、およびまき散らかしを避けるためできるだけ水平位置に近く操作されるべきである。エマルジョンの成熟前の『ブレイキング』と並んで、過度の機械的攪拌は、混合物を泡立たせてエネルギーの浪費を導き得る。
【0077】
混合機は、約25℃の環境温度で操作されるが、混合工程は、もし適切な調節が他の混合条件および/または構成成分濃度に対してなされるのであれば、より高温および低温で実施されても良い。
【0078】
混合物の作用可能な粘稠度が形成された場合、まだ溶融した混合物を注ぐのに適した使用の高さおよび位置に存在する、混合機の近傍のスクリードボックスを通じてオーガーによって与えられる、約1.5kg/秒の流速で混合物が混合機から排出される。
【0079】
押出物は、用途に応じて任意の所望の厚さを有することができる。厚さは、押出速度の関数であり、また、混合機の移動速度の関数である。
【0080】
押出速度は、混合物の作用可能な粘稠度のレベルに影響する環境温度および他の環境に依存して調節されて良い。
【0081】
混合物が、溶融した『スラリー』の形態で混合機から導出された場合、それはポリマー変性瀝青エマルジョンによる特徴的な褐色を有し、混合物が使用位置において表層として成膜された後に『ブレイク』する場合、水が、表層を通して浸透して環境に蒸発することによって、放出される。エマルジョンの『ブレイキング』は、瀝青ベースのエマルジョンの『綿状沈澱および合着』として産業上公知のプロセスに関して当該技術分野で参照して一般的に使用されており、このプロセスは、その温度、機械的攪拌、およびいずれかの化学的遅延剤の存在によって制御されている。『ブレイキング』プロセスは、混合物の不活性な特定の構成成分、特にこの例で使用されるゴム、凝集物、およびフィラーを、ポリマー変性瀝青エマルジョンで不可逆的に被覆し、それによって生成した表層を共に結合する化学反応に関与する。『ブレイキング』プロセスは、混合物の硬化を導き、褐色から黒色への色の変化、および粘度の段階的な損失を引き起こす。
【0082】
硬化は、環境温度に依存して約30〜40分で完了し、次いで、表層は、付加的に、液圧振動および回転マシーンの使用で、所望の厚さおよび滑らかさのマットに伸ばされ、そのマシーンは過剰な水を放出し、生成したマット表層をさらに共に結合することを補助するが、所望の特性の損失を導くような表層の劣化は引き起こさない。
【0083】
表層が、特定の弾性を有することが必要である場合には、混合物中のゴムの濃度を、調節することができる。より高いゴムの濃度は、より柔らかい表面を形成する。
【0084】
この例においては結晶形態で存在する植物栄養源は、表層内に安定にかつアクセス可能にトラップされている。水透過性または浸出性および水はけに必須の気泡の存在と結びついて、トラップされた栄養源からのミネラルおよび有機栄養素の遅延放出は、表層内を通しての根系統の発達、および随伴する植物の育成を刺激する。
【0085】
[例2]
オーバークッションが例1の表層に対して約50mm〜100mmという深さで存在するように、任意の方向において約20mm〜約80mmという幅を有するゴムシュービングの緩いオーバークッションを積層することによって、多くのスポーツに適したより水はけが良く、よりショック吸収性の例1の表層での育成よりわずかに遅延して育成するターフを製造することができる。例1の表層で使用した大量の植物栄養素の結晶を、オーバークッションとランダムに混合し、またはその上にまき散らす。ゴムシェービングと植物栄養素の結晶とからなるオーバークッションの厚さは、約200mm以下である。次いで特別なスポーツ用のターフ用の芝生の育成が、後述のようにして、誘起される。芝生は、オーバークッションと、このオーバークッションのための基材として機能する例1の表層と、の双方を通しての根系統の進展によって、表層内に根を張り、表面は、通常の気候条件では約30日後、気候および他の条件が最適であれば約14日後に使用可能である。
【0086】
両者とも黒色を有する基材およびオーバークッションは、日光を容易に吸収してそれを熱に変換する。熱エネルギーのいくらかは環境に放射されるが、その多くは基材およびオーバークッションに伝導され、表層の温暖化を引き起こし、これにより、表層を通しての根の貫入と分枝の形成とを促進し、結果的に、当然のことながら、ターフのより迅速な育成をもたらすとともに、ターフが損傷している場合には、ターフの迅速な修復をもたらす。
【0087】
表層の温暖化効果に由来するターフ用芝生の育成および修復に関して、例1の表層の場合と同様の利点が得られる。
【0088】
確立された場合、本発明による表層上において育成されたターフは、土をベースとしたターフの場合と同様にして維持されるが、水および栄養素を、育成の促進に関してより有効に使用し得るという利点を有している。
【0089】
例2において製造された表層の典型的な組成は、150m という面積に関しかつ100mmという深さに関しまた同じだけのターフ被覆面積に関し、以下の通りである。
・ゴム 4トン
・凝集物 29.34トン
・フィラー 313kg
・エマルジョン 約2500リットル(約2.54トン)
・植物栄養素の結晶 15kg
・オーバークッション 1トン
・ポリマー残余物* 8%w/w
*ポリマー残余物は、ポリマー変性瀝青エマルジョン中のポリマーの割合を参照する。
【0090】
表層の形成プロセスにおける重要な成分は、瀝青エマルジョンである。このエマルジョンは、水中に、微細分散ビチューメンを含有している。瀝青エマルジョンは、農作業や安定化作業において広く使用されており、植物の育成を促進し得るよう、土または堤防の上に直接的にスプレーされる。そのため、それらエマルジョンは、新鮮なエマルジョンがスラリー内の微粒物質と反応しその結果それら微粒物質を破壊しこれによりスラリーマトリクスに対してビチューメンを効果的にロックする場合には、環境的に適応性を有していると考えることができる。破壊プロセスにおいては、微粒子と化学反応を行い、これにより、微粒子を不可逆にコーティングする。したがって、ビチューメンが移動する可能性が無く、環境内に侵入することがない。本発明による表層構成内における粒子状物質は、不活性な無機粒子と、セメントフィラーと、粒状ゴムと、である。これら粒子状物質は、スラリーマトリクス内へと効果的にロックされ、環境的な問題点を一切引き起こすことがない。したがって、表層は、配置されて硬化された後には、環境に対する悪影響を一切有していないような耐久性のある舗装製品を形成する。
【0091】
[芝生の形成方法]
特定の用途に応じて選択された芝生は、多くの方法で、表層内における成長を誘起することができる。
【0092】
第1の好ましい方法においては、硬化済み表層に対して、芝生種子を単に蒔き、給水を行う。芝生は、根構造が徐々に表層内へと侵入していき、成長することができる。
【0093】
第2の好ましい方法においては、硬化済み表層を掘り起こし、その後、種蒔きを行う。給水を行うことにより、第1方法の場合と同様に、根構造が徐々に表層内へと侵入していき、芝生が成長することができる。
【0094】
第3の好ましい方法においては、予め成長させた芝生マットを、水洗して、実質的に土の無いものとし、硬化済みの表層上に配置する。これにより、根構造が表層内に侵入することができる。
【0095】
第4の好ましい方法においては、予め成長させた芝生からなる実質的に土の無い複数の小枝を、部分的に硬化させた表層上に差し込むことができる。
【0096】
第5の好ましい方法においては、予め成長させた芝生マットを、未だ湿潤状態の部分的に硬化させた表層上へと配置し、表層内へと押し込む。これにより、表層と結合させることができ、根の侵入を可能とすることができる。
【0097】
トレーモジュール内の芝生に対して好適であるようなさらなる第5の好ましい方法においては、トレーに対して、トレーの底部の上方においてある程度の好ましい高さのところに、支持グリッドを取り付ける。洗浄済みの芝生マットを、グリッド上においてトレー内に配置する。これにより、芝生の根は、トレーの底部に向けて下方に伸び、グリッドの下方においては、トレー内へとスラリー混合物が吸引される。これにより、根が統合され、実際、根を、結合系の一部として使用する。このことは、表層に、強度と耐久性とをもたらす。
【0098】
[栄養素適用の例]
[例1]
様々な種類の吸水性かつ徐放性の植物栄養素水晶(当該技術分野においては、また、徐放性の肥料としても公知である)を、本発明による表層を使用しつつ、ターフ育成試験において使用した。TERRACOTTEM(登録商標)という商標名の徐放性肥料を、80g/m〜135g/mという速度で使用した時に、12ヶ月という期間にわたって、成功した成長特性を得た。同様の特性が、その後の4年間にわたって持続するであろうことが予想される。
【0099】
成功した成長特性とは、次のように定義される。
(a)健全な植物および根の成長の促進、
(b)制御された条件下における芝生サイズの増大化、
(c)成長速度の増大化。
これら特性に関し、標準的な土に基づいた等価な表層と、直接的に比較した。
【0100】
[例2]
本発明による表層において使用するためのものとして、いくつかの代表的な商標名のターフ用肥料を試してみた。成功した成長特性は、硫黄によってコーティングされたあるいはポリマーによってコーティングされた徐放性肥料を組込んだ表層の場合に、得られた。試した代表的な商標名のターフ用肥料は、Osmocote(登録商標)、Scotts Turf Supreme(登録商標)、および、Best Turf Gold(登録商標)である。最も成功した成長特性は、硫黄によってコーティングされているとともにN:P:K:S比率が22:5:8:9であるようなBest Turf Gold(登録商標)を使用した場合に得られた。
【0101】
[例3]
いくつかの有機的液体肥料と非有機的液体肥料とを、本発明による人工表面上で育成するターフに関して、試験した。最も成功したものは、例えばNatrakelp(登録商標)といったような液体海藻と一緒に使用したときである。観察により、成功した成長特性を最適化するためには、そのような液体肥料を、植物の成長時期に、4週ごとに5ml/m という速度でもって適用すべきであり、これとともに、毎月ごとに、10:10:29の比率のN:P:Kの組成物を10ml/m という速度で適用すべきであると、結論した。
【0102】
[芝生付き表層の特性]
本発明によるターフは、所定範囲の用途に好適な機械的特性と農耕的特性とを示すよう構成することができる。
【0103】
機械的性質は、弾性、衝撃耐性、透水性、保水性、張力の均一性、および、表面の均一性、とすることができる。
【0104】
機械的性質は、製造プロセス内のパラメータの関数である。このようなパラメータには、エラストマーの粒径、表層の厚さ、および、押出速度、があり、場合によっては、硬化前における押出材料の圧縮ローリング度合い、がある。
【0105】
本発明の格別の特徴点は、機械的特性を、許容誤差範囲内において制御し得ることである。これにより、表層を、意図した用途において要求された特定の表面特性を満たすものとすることができる。
【0106】
農耕的特性は、選択された芝生の種類の関数であり、また、その時点で行われているメンテナンスの関数である。メンテナンスには、刈り取り度合いや、給水度合いや、必要とされることの多い付加的な栄養素の適用度合い、がある。各スポーツごとに、特定の芝生が好ましい。例えば、特定の運動状況に合わせることが好ましい。例えば、ボールの転がり具合や、ボールの弾み具合や、フットボールスパイクのスタッドから受けるあるいは他のスポーツ器具から受ける機械的損傷に対する耐性、に合わせることが好ましい。
【0107】
フットボール競技場に好適であるように構成されたターフ構造に関し、様々な表層と様々な芝生との組合せが、図3〜図5に示されている。図6は、競技場の2つの場所において、本発明による75〜80mmというターフと天然芝生との間の比較試験の結果を要約したものである。
【0108】
表層の性質は、感染を防止し得るようなものであるとともに、カブト虫が穴を掘ることを防止し得るものである(土には、菌類やバクテリアが存在している)。
【0109】
[適用の例]
本発明によるターフの適用は、従来の場合と同様に、非多孔性適用と、多孔性適用と、に分類することができる。
【0110】
非多孔性適用には、建物の屋根やテラスや他の硬質表面領域に対してのターフの適用がある。そのような領域に対しては、ターフを、ストリップ状でもってあるいはモジュール的に、適用することができる。すなわち、正方形のものとしてあるいは長方形のものとしてトレー構造上へと押し出されたものとして、適用することができる。
【0111】
本発明による表層が優れた透水性を有していることにより、それら表面上への表層の適用は、排水に関する困難さを、一切示すことがない。すなわち、水は、支持表面内へと容易に浸透し、その後、それら表面上における本来的な排水パターンに従って、元から存在している排水箇所に向けて、水平方向に流れる。
【0112】
ターフの構造的一体性により、ターフは、水平方向に対して実質的にいかなる角度であっても、配置することができる。したがって、例えば急傾斜の屋根表面に対しても、また、装飾パネルとしてさえも、ターフを適用することができる。
【0113】
多孔性表面に対してのターフの適用には、大部分のスポーツに関する適用が含まれる。ターフの様々な態様の中からの任意の態様の選択は、被覆対象面積や要求された機械的特性や要求された農耕的特性に依存することとなる。また、そのような選択は、激しく摩耗した領域の補修に関する特定の要求によっても影響を受けることとなる。したがって、例えば、フットボール場といったような大きな面積に対してのターフの適用に際しては、すべての3つの態様の組合せを使用することができる。ゴール前領域は、交換可能なタイルまたはトレーモジュールによって、表面を形成することができる。また、サイドラインは、巻取されたストリップから形成することができる。この場合にも、広告模様領域を、特別に準備されたモジュールによって配置することができる。このようなモジュールは、広告スポンサーに応じて、迅速に交換することができる。
【0114】
モジュールは、芝生付きのものとすることができ、適切な条件下で貯蔵して維持することができる。これにより、激しく摩耗した領域の交換材料として利用することができ、また、適宜交換されるような広告模様として利用することができる。
【0115】
大きなスポーツアリーナにおける従来的な芝生表面に関しては、プレー可能な状態に維持し得るようおよび芝生条件を維持し得るよう、表面下での排水が重要である。本発明によるターフの主な利点は、表層の優れた透水性である。これにより、表面下排水システムを適切に組み込むことによって、表面の飽和および水溜まりが、実質的に防止される。典型的には、これらの適用におけるターフは、図11に概略的に示すように、排水部材をなす埋込グリッドを設けた砂上にあるいは他の多孔性凝集基材上に、配置される。表層を通しての効率的な透水性のために、詳細に後述するように、水を効率的に回収し得るとともに、その後の再利用のために貯蔵することができる。
【0116】
排水性能は、本発明によって提示された排水構造上にわたっての、競技場表面のプロファイルの厚さを典型的にはかなり低減することによって、さらに補助される。砂や土からなる典型的な競技場プロファイルは、300mm以上といったような厚さを有しており、水の飽和や浸水を非常に起こしやすいものであった。これに対し、厚さが約100mmという本発明によるターフの場合には、図3〜図5の試験結果からわかるように、例えばフットボール競技場やクリケット競技場といったような競技場に関し、要求された機械的性質を達成することができる。
【0117】
例えばフットボールやホッケーや野球や他の走って物理的接触を行うような競技場の表面は、傷から選手を保護し得るよう、かなりの弾性を要求する。本発明による表層は、典型的には90〜120mmという範囲の厚さでもって、優れた弾性特性を提供する。
【0118】
本発明による表層の他の主要な利点は、乾燥/湿気条件と湿潤/飽和条件との間にわたって、弾性という機械的性質が、あまり変化しないことである。例えば図7からわかるように、フットボールボールの弾性反発は、要求される基準内である。
【0119】
同様の表層厚さは、競馬コースの競争トラックにおいても、適切である。この適用においては、さらに、弾性特性と、優れた排水特性と、激しく摩耗に対する耐性とが、特に重要である。
【0120】
衝突的な接触がほとんど起こらない場合や重要ではない場合には、多孔性表面が芝生の根構造の少なくとも一部を侵入させ得る限りにおいては、極めて薄いターフを、多孔性表面上に配置することができる。20〜35mmという範囲の厚さのそのような薄い層は、十分にフレキシブルなものであり、例えばゴルフ場のティーショット領域やバンカー周辺といったような、波打った表面に対して設置することができ、また、急激に湾曲した表面に対して設置することができる。
【0121】
湾曲表面に対して適合し得るというこの特性により、例えば浸食渓谷や尖鋭な堤防といったような表面を補修したり安定化したりするに際して、ターフを適用することを可能とする。
【0122】
ターフのさらなる適用は、汚染された土壌の安定化である。この場合、表層をシール層として使用することができ、風が汚染物質を飛散させたり水が汚染物質を流出させたりすることを、防止する。
【0123】
[使用方法]
特別の表面に対してのまた特定の用途に対してのターフの適用方法の選択に際しては、他の方法と比較した場合の、その適用方法の経済的効果が評価される。道路表面舗装機械を使用しての現場での表層の製造は、大面積の場合にはコスト的に有利であるものの、適用面積が小さい場合には、その輸送コストや他の現場コストが相対的に大きなものとなるために、コスト的な有利さは小さくなる。
【0124】
比較的大面積の場合であってさえも、現場での敷設という方法の選択は、摩耗の激しい領域や広告模様領域に関してモジュール的な交換を行う必要がある場合には、複雑なものとなり得る。
【0125】
[例1]
図8および図9は、競技場30を示している。この競技場30の表面31の一部に対して、複数のモジュール23が適用されており、アレイ34を構成するようにして敷設されている。
【0126】
各モジュール23は、上記の様々な例において説明した複数のプロセスのいずれかに従って製造されたターフ部分10を備えている。
【0127】
この例においては、各モジュール23は、図2Cにおいて詳細に図示しているようなトレー構造23によって支持されたターフ部分10を備えている。
【0128】
格別に好ましい態様においては、トレー構造23は、トレー構造22の中心から上方へと延出されたようなあるいは4つのコーナー25のところに配置された少なくとも1つの持上ポイント24を備えている。
【0129】
持上ポイント24,25は、この例においては搬送車33上に設置されているような抽出ツール(図示せず)や持上装置32に対しての機械的係合部分を提供し得るように、構成されている。これにより、例えば代替モジュールあるいは交換モジュール23へと交換するといったような目的のために、アレイ34内から任意のモジュールを取り外したり、あるいは、アレイ内の所定位置へとモジュールを配置したり、することができる。
【0130】
[例2]
図10は、フットボール用の競技場40の他の例を示している。この競技場40内においては、摩耗度合いや使用状況の異なる複数の領域が存在している。すなわち、メイン競技領域42は、好ましくは、1つの連続的な恒久的な表面を形成している。しかしながら、ゴール前領域44,45に隣接している領域42,43を形成している領域は、交換可能なモジュール23を使用して構成されており、および、サイドライン46,47に沿ったストリップは、交換可能なストリップ48を使用して構成されている。
【0131】
また、競技場40内の戦略的位置における1つ以上の選択された領域49が、定期的な交換を要するような広告模様を表示するために必要とされている。
【0132】
本発明のこの応用においては、メイン領域41は、図2Aに示すように、道路舗装機械によって大面積の連続ストリップ50として、現場にて形成することができる。交換可能なものとして形成されるべき領域は、適切な型枠を使用することによってあるいはその後に除去することによって、このプロセスから除外される。
【0133】
その後、ゴール前領域42,43に対してモジュール23が配置され、サイドライン46,47の領域に対しては、ロール状ストリップ48が配置される。ここで、モジュール23およびストリップ48の双方は、現場とは異なる場所で製造されたものである。同様に、広告領域49も、現場とは異なる場所で製造されたモジュールから形成される。
【0134】
本発明によるターフの透水特性は、蒸発しきれずに表面上に残る水を、実質的に除去する。よって、表面下において効果的な排水および収集システムを使用すれば、表面に対して散水されかつ芝生成長のために吸い上げられなかった実質的にすべての水を、回収することができる。これにより、かなりの量の水を節約することができる。このことは、乾燥地域に構築されたスポーツ競技場において、特に重要な点である。
【0135】
図11においては、競技場60のターフ61には、表面下の部分62が設けられている。表面下部分62には、相互連結された複数の排水部材63が設けられている。排水部材63は、表層65を透過した水64を、収集タンク66内へと、案内する。要求によっては、水64は、ポンプ67によって収集タンク66からポンピングされ、散水システム68を使用して、ターフ61の表面上へと噴霧される。
【0136】
[市販方法]
本発明によるターフは、様々な態様でもって、使用者に対して利用可能なものとすることができる。すなわち、例えば、特定用途のために芝生付与対象をなす所定の表面領域は、上述し各種適用方法のうちの任意の1つにとって適切なものとして、評価することができる。ここで、芝生を付与すべき表面全体に対して、ストリップ状でもって表層を直接的に適用することができて、経済的である。所定の最小限界よりも大きな表面積に対しては、現場での連続的な製造を行うことができる。最小限界よりも大きい場合には、表層は、スライド的なコストスケールでもって、供給することができる。すなわち、単位表面積あたりのコストは、被覆対象面積の増大につれて、減少する。
【0137】
最小限界以下の場合には、現場とは異なる場所で製造されてストックとして貯蔵されていた表面の中から、供給されなければならない。
【0138】
例えば、大きく摩耗したいくつかの領域を有しているようなスポーツ競技場が対象表面である場合には、すなわち、ターフトレーやターフストリップの使用が必要とされる場合には、全体的コストは、必要とされるターフ適用の組合せに関する各種コストを合計したものとなる。この場合、広告模様の供給や交換のために必要な特定の要求を加えることができる。
【0139】
上記例の双方においては、追加コストは、表面下の排水設備に関連したものとすることができ、また、表面の維持および修復のために追加されるすべての構造的設備に関連したものとすることができる。
【0140】
比較的手軽な領域に関しては、比較的薄いかつロール状ストリップとされた表層が適切である。それは、特に、急峻な地形や不規則な地形の場合である。そのような応用においては、コストは、主に、製造コストと、輸送コストと、敷設コストとに、制限され得る。
【0141】
上記様々な実施形態に関する説明は、本発明を例示するものに過ぎない。よって、当業者であれば、本発明の範囲および精神を逸脱することなく、上記様々な実施形態に対して修正を加え得ることは、明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の好ましい実施形態による芝生付き表層を具備したターフを示す断面図であって、現存のグラウンド構造に対して適用されている。
【図2A】本発明による表層の好ましい製造方法を示す側面図である。
【図2B】表層の他の好ましい製造方法を示す側面図である。
【図2C】図1のターフの一セグメントを支持するのに適したトレーを示す斜視図である。
【図3】図1のターフの特別の構成に関する性能特性を示す試験結果である。
【図4】図1のターフの他の構成に関する性能特性を示す試験結果である。
【図5】図1のターフのさらに他の構成に関する性能特性を示す試験結果である。
【図6】図1のターフの一構成の性能特性と、従来技術による土に基づいたターフの性能特性と、を比較して示す試験結果である。
【図7】第1乾燥/湿気条件と第2湿潤/飽和条件とに関し、図1のターフの性能特性を示す試験結果である。
【図8】本発明の好ましい実施形態による複数のターフセグメントから形成された競技場を示す斜視図である。
【図9】本発明によるターフセグメント交換方法を示す側面図である。
【図10】本発明の様々な実施形態に基づくターフから形成された競技場を示す斜視図である。
【図11】本発明に基づくターフから形成された競技場に対して適用される水循環方法を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0143】
10 ターフ
11 表層
12 表面
14 芝生
15 根構造
16 気泡、キャビティ
20 ストリップ
22 トレー構造
23 ターフモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表層と芝生との組合せから構成されてなるターフであって、
前記表層が、土の無い状態での前記芝生の成長に適したものとされ、
前記表層と前記芝生との前記組合せが、複数の芝生表面応用の中から選択された応用において求められた特定の要求に適合し得るよう、選択的組成のものとして構成されていることを特徴とするターフ。
【請求項2】
請求項1記載のターフにおいて、
前記表層が、混合物から形成され、
前記混合物が、各成分が十分な比率でもって互いに混合された、エラストマー粒子と、適切な結合エマルジョンと、無機凝集物と、フィラーと、徐放性植物栄養素粒子と、を含有し、その結果、配置されて硬化された際には、前記混合物は、透水性を有しかつ弾性を有した表層を形成し、この表層は、複数の気泡を有し、これら気泡を通して、前記ターフの前記芝生の根構造が貫通し得るものとされていることを特徴とするターフ。
【請求項3】
請求項2記載のターフにおいて、
前記エラストマー粒子が、リサイクルされた自動車のタイヤゴムからなる粒子を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項4】
請求項2記載のターフにおいて、
前記エラストマー粒子が、新品のゴムからなる粒子を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記エラストマー粒子が、リサイクルされたゴムからなる粒子と、新品のゴムからなる粒子と、を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記結合エマルジョンが、瀝青エマルジョンを備えていることを特徴とするターフ。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記瀝青エマルジョンが、変性されたポリマーであることを特徴とするターフ。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記無機凝集物が、粒状をなす一連の凝集物の中から選択された1つまたは複数のものとされ、
前記一連の凝集物が、玄武岩と、砂と、クラッシャーダストと、を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記フィラーが、粒状をなす一連のフィラーの中から選択された1つまたは複数のものとされ、
前記一連のフィラーが、セメントダストと、フライアッシュと、を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記成分が、さらに、綿状凝集プロセスおよび結合プロセスを遅くし得るような化学的遅延剤を備え、
前記双方のプロセスが、粒子状の前記成分を前記瀝青エマルジョンによってコーティングするように作用するものであることを特徴とするターフ。
【請求項11】
請求項2〜10のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記表層の弾性が、前記表層内における前記エラストマー粒子の含有比率の関数とされ、
前記エラストマー粒子の含有比率が大きくなるほど、前記表層の弾性がそれに応じて大きくなるものとされていることを特徴とするターフ。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記表層の弾性が、前記エラストマー粒子の平均メッシュサイズの関数とされていることを特徴とするターフ。
【請求項13】
請求項2〜12のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記表層の透水性が、前記エラストマー粒子の含有比率の関数とされ、かつ、前記エラストマー粒子の平均メッシュサイズの関数とされていることを特徴とするターフ。
【請求項14】
請求項2〜13のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記表層の弾性と透水性とが、前記表層の厚さの関数とされていることを特徴とするターフ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記芝生表面応用が、様々なスポーツ活動の競技表面を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項16】
請求項15記載のターフにおいて、
前記競技表面が、テニスのプレーに適した芝生表面を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項17】
請求項15記載のターフにおいて、
前記競技表面が、フットボールという用語によって特徴づけられる一連のスポーツに適した芝生表面を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項18】
請求項15記載のターフにおいて、
前記競技表面が、ゴルフのゲームに適した芝生表面を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項19】
請求項15記載のターフにおいて、
前記競技表面が、競走馬の走行に適した芝生表面を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記ターフが、ゴルフコースのバンカー周辺の大きく摩耗した領域に対する適用に適したものとされていることを特徴とするターフ。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記ターフが、水路内の侵食の最小化に適したものとされていることを特徴とするターフ。
【請求項22】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記ターフが、急峻な堤防の安定化に適したものとされていることを特徴とするターフ。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記芝生表面応用が、非多孔性表面の被覆を備えていることを特徴とするターフ。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のターフにおいて、
前記表層の前記弾性が、複数のスポーツ活動のうちの1つのスポーツ活動における特定の性能特性に適したものとされていることを特徴とするターフ。
【請求項25】
ターフを形成し得るよう、土の無い芝生成長に適した表層からなる層を形成するための方法であって、
(a)適切な機械的混合装置内において、粒状エラストマーと、無機凝集物と、フィラーと、徐放性植物栄養素粒子と、からなる各成分を混合し、これにより、均一な混合物を形成し;
(b)前記機械的混合装置に対して、前記均一な混合物と化学的に相互作用し得るような適切な結合エマルジョンを投入し、これにより、一様なスラリーを形成する;
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、
前記粒状エラストマーを、新品のゴムからなる粒子を備えたものとすることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項25記載の方法において、
前記粒状エラストマーを、リサイクルされた自動車のタイヤゴムからなる粒子を備えたものとすることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項25記載の方法において、
前記粒状エラストマーを、リサイクルされたゴムからなる粒子と、新品のゴムからなる粒子と、の混合物とすることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項25記載の方法において、
前記結合エマルジョンを、瀝青エマルジョンによって変性されたポリマーを備えたものとすることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項25記載の方法において、
前記無機凝集物を、粒状をなす一連の凝集物の中から選択された1つまたは複数のものとし、
前記一連の凝集物を、玄武岩と、砂と、クラッシャーダストと、を備えたものとすることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項25記載の方法において、
前記フィラーを、粒状をなす一連のフィラーの中から選択された1つまたは複数のものとし、
前記一連のフィラーを、セメントダストと、フライアッシュと、を備えたものとすることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項25記載の方法において、
前記成分を、さらに、綿状凝集プロセスおよび結合プロセスを遅くし得るような化学的遅延剤を備えたものとし、
前記双方のプロセスが、粒子状の前記成分を前記瀝青エマルジョンによってコーティングするように作用するものであることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項25記載の方法において、
前記スラリーを、前記混合装置から、適用表面上へと、連続的なストリップをなす表層として、押し出し、
これにより、硬化時には、一様な透水性と弾性とを有した層を形成することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項25記載の方法において、
前記スラリーを、前記混合装置から、硬化用表面上へと、連続的なストリップをなす表層として、押し出し、これにより、一様な透水性と弾性とを有した層を形成し、
前記層の厚さを、適用表面のところまでの輸送のため、前記層を長手方向に巻き取ってロールを形成し得るようなものとすることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項25記載の方法において、
前記スラリーを、前記混合装置から、順次的に、複数の硬化用トレー上へと、押し出し、これにより、表層を支持したトレーを形成し、
表層を支持した前記トレーを、適用表面のところまでの輸送に適したものとすることを特徴とする方法。
【請求項36】
ターフを形成し得るよう、請求項25〜35のいずれか1項に記載された方法において、前記表層上に芝生を成長させるための方法であって、
前記表層に対して、所定の芝生表面応用に適したように選択された種類の芝生の種子を種蒔きすることを特徴とする方法。
【請求項37】
ターフを形成し得るよう、請求項25〜35のいずれか1項に記載された方法において、前記表層上に芝生を成長させるための方法であって、
前記表層を掘り起こし、その後、前記表層に対して所定の芝生表面応用に適したように選択された種類の芝生の種子を種蒔きすることを特徴とする方法。
【請求項38】
ターフを形成し得るよう、請求項25〜35のいずれか1項に記載された方法において、前記表層上に芝生を成長させるための方法であって、
選択された芝生種からなる複数の小枝を、未硬化の表層の上面内へと挿入し、これにより、前記芝生の根が前記表層を貫通した状態でもって、芝生表面を形成することを特徴とする方法。
【請求項39】
ターフを形成し得るよう、請求項25〜35のいずれか1項に記載された方法において、前記表層上に芝生を成長させるための方法であって、
予成長させさらに洗浄によって実質的に土の無いものとされた芝生マットを、硬化済み表層上へと配置し、これにより、前記芝生マットの根が前記表層を貫通した状態でもって、芝生表面を形成することを特徴とする方法。
【請求項40】
ターフを形成し得るよう、請求項25〜35のいずれか1項に記載された方法において、前記表層上に芝生を成長させるための方法であって、
予成長させさらに洗浄によって実質的に土の無いものとされた芝生マットを、未硬化の表層上へと押圧し、これにより、前記芝生マットの根が前記表層を貫通した状態でもって、芝生表面を形成することを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項33に記載された方法において、適用表面に対して前記ターフを適用するための方法であって、
(a)前記スラリーを、前記混合装置から、直接的に前記適用表面上へと、ストリップとして、押し出し、
これにより、硬化後には、一様な弾性と透水性とを有した表層を形成し、
(b)前記表層上における芝生の成長を促進させるに際し、
(i)選択された種類の芝生種子を前記表層上に種蒔きするという手法と、
(ii)選択された芝生種からなる複数の小枝を、部分的に硬化した状態の前記表層の上面内へと挿入するという手法と、
(iii)予成長させさらに洗浄によって実質的に土の無いものとされた芝生マットを、硬化済み表層上へと配置するという手法と、
のいずれかの手法によって行う、
ことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項34に記載された方法において、適用表面に対して前記ターフを適用するための方法であって、
(a)前記スラリーを、前記混合装置から、硬化用表面上へと、ストリップとして、押し出し、これにより、表層を形成し、
(b)前記表層上において芝生の成長を促進させ、これにより、ターフストリップを形成し、
(c)前記ストリップを、前記適用表面のところまでの輸送に適したロールへと巻き取り、
(d)前記ストリップを前記適用表面上に敷設する、
ことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項35に記載された方法において、適用表面に対して前記ターフを適用するための方法であって、
(a)前記スラリーを、前記硬化用トレー上へと押し出し、これにより、表層を支持したトレーを形成し、
(b)前記表層上において、選択された品種の芝生の成長を促進させ、これにより、ターフトレーを形成し、
(c)要求された時点で、前記トレーを、前記適用表面のところまで輸送し、
(d)アレイを形成するようにして前記トレーを前記適用表面上に敷設する、
ことを特徴とする方法。
【請求項44】
スポーツ競技場の表面を形成するための方法であって、
(a)所望仕様の平坦性を有しかつ所望仕様の排水能力および回収能力を有した表面下部分を準備し;
(b)激しい摩耗が予想されることのために、定期的な交換を行う領域を決定し;
(c)ターフを適用するために方法として、請求項41〜43に記載された方法の中からいずれか1つの方法を選択し;
(d)前記表面に対して前記ターフを適用する;
ことを特徴とする方法。
【請求項45】
スポーツのプレー用の表面上に広告模様を表示するための方法であって、
(a)選択された前記広告模様を備えた所定のターフセグメントを準備し;
(b)前記セグメントへの形状および大きさと等価であるように選択された部分を、前記表面から除去し;
(c)前記表面に前記セグメントを挿入する;
ことを特徴とする方法。
【請求項46】
芝生表面上において表示用の広告模様を交換するための方法であって、
(a)選択された前記広告模様を備えた所定ターフセグメントを準備して保管しておき;
(b)広告模様を表示している既存のターフセグメントを除去し;
(c)前記表面に、選択されたターフセグメントを挿入する;
ことを特徴とする方法。
【請求項47】
スポーツ競技表面上における激しい摩耗領域をメンテナンスするための方法であって、
(a)弾性および透水性を有した表層と芝生とからなる選択されたターフ部分を使用して、前記激しい摩耗領域の表面仕上げを行うに際し、前記ターフ部分を、前記ターフをなすストリップと、トレー内に形成された前記ターフからなるセグメントと、を備えたものとし、
(b)要求された時点で、前記ターフの摩耗部分を除去し;
(c)前記摩耗領域に対して前記ターフ部分を適用する;
ことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項42または43に記載された方法において、ターフ領域の表面を再形成する方法であって、
(a)前記表層および前記芝生の十分な深さを機械的に除去し、これにより、前記表層の新鮮な層を露出させ;
(b)スラリーが硬化した際に所定厚さとなるようにして残りの表層上へと前記スラリーを押し出し、これにより、前記表層を十分に修復し;
(c)前記表層上において、新鮮な芝生の成長を促進する;
ことを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項44に記載された方法において、芝生表面に対して散水された水を再循環するための方法であって、
(a)相互連結された複数の水回収部材からなるアレイを、表面下部分に構築し、この場合、前記水回収部材を、少なくとも1つの収集箇所へと水を案内し得るものとし;
(b)前記少なくとも1つの収集箇所から水を収集するための貯蔵装置を準備し;
(c)前記ターフに対して前記水を散水し得るよう、十分な圧力でもって前記水をポンピングするためのポンプ手段を準備する;
ことを特徴とする方法。
【請求項50】
芝生表面に関連して収益を導出するための方法であって、
(a)適用表面に対して、請求項36〜40のいずれか1項に記載の方法を使用してターフを適用し、その際のコストを、
(i)適用方法と;
(ii)前記表層および前記芝生の仕様と;
(iii)被覆対象面積と;
(iv)メンテナンス条件と;
に基づいたものとすることを特徴とする方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−524401(P2007−524401A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517894(P2006−517894)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000879
【国際公開番号】WO2005/002323
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(506004414)ストレイタム・グリーン・ピーティーワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】