説明

芳香族化合物とアンモニアまたは金属アミドとの反応からのアリールアミンの合成法

芳香族一級アミンを合成するための触媒的方法、この方法を行うための試薬組成物、およびこの方法に有用な遷移金属錯体が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本出願は芳香族一級アミン化合物の合成に有用な触媒法、ならびにそのような方法で有用な新規錯体および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
芳香族アミン部分は、多くの様々な有用な有機化合物における構造的成分である。そのような化合物はそれらの本来の状態で、または例えば染料、除草剤、殺虫剤および薬品の調製における中間体として有用である。特に芳香族一級アミンは興味深く、そして誘導化を介して、例えばアルキル化(二級もしくは三級アミンを形成するために)、アシル化(アミドを形成するために)、またはスルホニル化(スルホンアミドを形成するために)を介して広い様々な誘導体へ転換され得る。
【0003】
芳香族一級アミンを合成する新規方法が必要である。そのような化合物を調製する多くの古典的方法は、苛酷な反応条件を必要とする問題に遇い、したがって他の官能基との適合性または選択性を欠くか、あるいは範囲が限定される。
【0004】
芳香族一級アミンの合成に関して周知の手法は、求電子ニトロ化剤での芳香族環のニトロ化、続いて生じた芳香族ニトロ化合物の還元が関与する。この手順の有用性は、ニトロ化剤(典型的には硝酸)の選択性の欠如または不適切な選択性により限定され恐れがある。選択性には化合物中の他のC−H結合および基質中の他の反応性官能基の存在下で、1つのC−H結合の選択性を攻撃する試薬を要する。例えば活性化基(電子を芳香族環に供与する基)を含む基質では、ニトロ基が活性化基に対してオルトおよび/またはパラに導入されるニトロ化生成物の混合物を得ることができる。さらに活性化された基質(電子が豊富な芳香族基)は、過剰にニトロ化されてジ−もしくはトリ−ニトロ誘導体を与えるかもしれない。ニトロ化剤は有力な酸化剤であり、したがってすべての基質と適合するわけではない。さらに一級アミンへの転換を行うために、ニトロ基の選択的還元が達成されなければならない。
【0005】
芳香族アミンを合成する他の方法には、既存の官能基の置換が関与する。例えば電子欠損芳香族化合物の求核置換反応は、特定の基質に効率的である。例えば非特許文献1;および非特許文献2を参照にされたい。そのような反応の有用性は、一般にSArメカニズムを介する置換へと活性化される基質に限られており、ここで電子吸引基は脱離基を持つ芳香族環の位置への求核付加から生じる中間体を安定化する。脱離基に対して1,2−または1,4−位に配置された適切な電子吸引基は、求核剤が芳香族環に付加された中間体への遷移状態を安定化することにより、SArメカニズムによる求核置換に基質を活性化する。適切な基質では、置換は求核剤としてアミンまたはアンモニアを使用して達成することができる。
【0006】
適切な活性化(すなわち電子吸引)基を欠く求核置換基質では、脱離基の置換はしばしば強力な塩基性のアニオン性金属アミドで行うことができる。しかしSAr付加−脱離(elimination)メカニズムを介して起こるよりも、そのような置換は塩基誘起型のH−Xの脱離(ここでXは脱離基である)を介して進行する脱離−付加メカニズムを介して起こり、「アリーン(aryne)」中間体を形成し、続いてアミドをアリーンのC≡C結合に付加することができる。アリーンへのアミドの付加は、アリーンのC≡C
結合のいずれの炭素原子でも起こり得るので、アミノ基は脱離基が位置する炭素か、または隣接する位置のいずれにも導入することができる(後者は「シネ(cine)置換」と呼ぶ)。このようにたとえ基質が金属アミドによる置換のための強力な塩基性条件と適合性であっても、置換反応は生成物の混合物を生じる可能性がある。
【0007】
求核性芳香族置換反応に関する大変有用な変形は、アミノ化合物で置換された芳香族化合物の触媒的交差カップリング反応における有機金属触媒の使用であった。そのような反応は典型的には、有機金属触媒の存在下で有機アミンと反応するハライドまたはスルホネート脱離基を有する芳香族基質が関与する。有機金属触媒は典型的には、ホスフィンリガンド(通常、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルのようなキレート化ホスフィンリガンドであるか、またはビフェニル−2−イルジ−t−ブチルホスフィンのような立体的に障害があるモノホスフィン)を含んでなるパラジウム触媒である。反応は典型的にはナトリウムt−ブトキシドのような塩基の存在下で行われる。そのような反応は、芳香族基質の脱離基のアミノ化合物での求核置換に対して均等な結果を達成する。例えば非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14、特許文献1、特許文献2および特許文献3を参照にされたい。触媒型のアミノ化反応は、芳香族化合物のパラジウム(0)錯体への酸化的付加、リガンド交換(ここで芳香族化合物の脱離基は、アミンに交換されてパラジウム−窒素錯体を形成する)、続いて芳香族アミン化合物の還元的脱離を含む触媒サイクルが関与すると考えられている。
【0008】
アミノ化合物で置換される芳香族化合物の触媒型交差カップリング反応により表される進歩にもかかわらず、この方法の重要な制限は、本発明より以前に、芳香族化合物をアンモニアまたは金属アミド(NHアニオンを含有する)と直接的に交差カップリングさせて芳香族一級アミンを形成する方法が報告されていない点である。そのような方法が利用できれば、特にアンモニアは大変容易に入手でき、しかも安く量がある化学品であるという観点から、大変都合のよい芳香族一級アミンを調製する方法となるだろう。
【0009】
アンモニアを使用する代わりに、交差カップリング法を使用する以前の芳香族一級アミンの合成は、一級アミンを与えるために脱保護を必要とするアンモニアの代理を採用した。そのような取り組みは、このように一級アミンを間接的にのみ与える。アンモニアの代理を使用したそのような取り組みを記載する参考文献の例は:非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21、非特許文献22である。非特許文献23は、所望する芳香族一級アミンを調製するために、生じたアリルアミンの脱アリル化を引き続き必要とする方法において、交差カップリング法でアンモニア等価物としてアリルアミンの使用を記載する。非特許文献24は、交差カップリング反応においてアンモニアの代理としてベンゾフェノンイミンの使用を記載し、ここで交差カップリングは最初にN−置換ベンゾフェノンイミンを生じ、これは酸触媒型の加水分解を受けて所望の芳香族一級アミンを与えるように進行する。別の取り組みでは、リチウムヘキサメチルジシラジドが交差カップリング反応に使用され、芳香族N,N−ビス(トリメチルシリル)アミンを得、これが加水分解で芳香族一級アミンを生じる。非特許文献25:非特許文献26。
【0010】
芳香族一級アミンを合成する従来の方法の欠点、およびアミンを形成するための遷移金属−触媒型の交差カップリング反応の便利さおよび効率の観点から、アンモニアの代理を使用せずに一級アミンを直接調製するために、アンモニアまたは金属アミドの交差カップリングを交差カップリング反応に使用できる方法を利用できるようにすることは大変望ましい。
【0011】
そのような反応は、広い種々の化合物の合成に有用となる。そのような方法により調製できる化合物は、例えば薬品、農業用製品(例えば除草剤、有害生物防除剤)、酸化防止剤のような有機材料、または触媒に使用するためのリガンド、ならびにそのような生成物を合成するための中間体として有用な化合物を含む。
【参考文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,576,460号明細書
【特許文献2】米国特許第5,977,361号明細書
【特許文献3】米国特許第6,235,938号明細書
【非特許文献1】Hattori,et al.,Synthesis,1994,199
【非特許文献2】Bunnett,Acc.Chem.Res.,1978,11,413
【非特許文献3】J.Louie and J.F.Hartwig,Tetrahedron Lett.,1995,36,3609
【非特許文献4】A.S.Guram,et al.,Angew.Chem,Int.Ed.Engl.,1995,34,1348
【非特許文献5】J.F.Hartwig,Synlett,1997,329
【非特許文献6】J.F.Hartwig,Pure Appl.Chem.,1999,71,1417−1423
【非特許文献7】S.L.MacNeil et al.,Synlett,1998,419
【非特許文献8】J.F.Hartwig,Angew,Chem.Int.Ed.Engl.,1998,37,2046−2067
【非特許文献9】J.F.Hartwig,Acc.Chem.Res.,1998,31,852
【非特許文献10】J.P.Wolfe,et al.,Acc.Chem.Res.,1998,31,805−818
【非特許文献11】B.H.Yang and S.L.Buchwald,J.Organomet.Chem.,1999,576(1−2),125−146
【非特許文献12】S.L.Buchwald,Top.Curr.Chem.,2002,219,131−209
【非特許文献13】J.F.Hartwig,“アリールハライドのパラジウム触媒化アミノ化および関連反応(Palladium−catalyzed amination of aryl halides and related reactions)”in“Handbook of Organopalladium Chemistry for Organic Synthesis”で、E.−i.Negishi,et al.による、Wiley−Interscience(2002),pp.1051−1096
【非特許文献14】L.Jiang and S.L.Buchwald,“パラジウム触媒化芳香族の炭素−窒素結合の形成(Palladium−Catalyzed Aromatic Carbon−Nitrogen Bond Formation)”、“(金属触媒型の交差カップリング反応)Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions”で、A.de Meijere,et al.による、Wiley−VCH(2004),pp.699−760
【非特許文献15】S.Jaime−Figueroa,et al.,Tetrahedron Lett.1998,39,1313
【非特許文献16】G.Mann,et al.,J.Am.Chem.Soc.,1998,120,827
【非特許文献17】J.P.Wolfe,et al.,Tetrahedron Lett.,1997,38,6367
【非特許文献18】J.P.Wolfe,et al.,J.Org.Chem.,2000,65,1158
【非特許文献19】G.A.Grasa,et al.,J.Org.Chem.,2001,66,7729
【非特許文献20】S.Lee,et al.,Org.Lett.,2001,3,2729
【非特許文献21】X.Huang,et al.,Org.Lett.,2001,3,3417
【非特許文献22】J.Barluenga,et al.,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,2004,43,343
【非特許文献23】Jaime−Figueroa,et al.Tetrahedron Lett.,1998,39,1313−1316
【非特許文献24】Wolfe,et al.Tetrahedron Lett.,1997,38,6368
【非特許文献25】S.Lee,et al.,Org.Lett.,2001,3,2729
【非特許文献26】X.Huang,et al.,Org.Lett.,2001,3,3417
【発明の開示】
【0013】
発明の要約
本発明の1つの観点では、芳香族一級アミンの調製法が提供され、該芳香族一級アミンは芳香族環に結合したアミノ基を含んでなり、該方法は:
(a)芳香族環に結合した脱離基を含んでなるアリール化剤;および
(b)
(i)アンモニア:および
(ii)金属アミド
からなる群から選択されるアンモニエーティング剤(ammoniating agent)
を:
(a)第VIII族金属原子またはイオン;および
(b)リガンド、ここでリガンドは式I:
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【0016】
【化2】

【0017】
式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル,−OR、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基(tethering group)を介してポリマーもしくは固相支持体への結合点である]
の化合物である、
を含んでなる錯体を含んでなる組成物中で反応させることを含んでなるが、ただしアンモニエーティング剤がアンモニアである場合、組成物はさらに塩基を含んでなる錯体を含んでなり;
これによりアリール化剤の脱離基がアミノ基により置換されて芳香族一級アミンを形成する。
【0018】
本発明の別の観点は、芳香族一級アミンの合成のための試薬として有用である組成物に関する。本発明のこの観点では組成物が提供され、組成物は:
(a)
(i)アンモニア:および
(ii)金属アミド
からなる群から選択されるアンモニエーティング剤、および
(b)
(i)第VIII族金属原子またはイオン;および
(ii)リガンド、ここでリガンドは式I:
【0019】
【化3】

【0020】
[式中、
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【0021】
【化4】

【0022】
式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル,−OR、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは
固相支持体への結合点である]
の化合物を含んでなる錯体を含んでなるが、ただしアンモニエーティング剤がアンモニアである場合、組成物はさらに塩基を含んでなる。
【0023】
本発明のさらなる観点として、式IV:
【0024】
【化5】

【0025】
[式中、
Mは第VIII族金属原子またはイオンを含んでなり;
Arは芳香族環を含んでなる部分を表し、ここで芳香族環の炭素原子はMの第VIII族金属原子またはイオンにシグマ結合し;
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【0026】
【化6】

【0027】
式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル、−OR
、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは固相支持体への結合点である]
の遷移金属錯体が提供される。
【0028】
発明の詳細な説明
本明細書で使用する単数形の「a」、「an」および「the」には、内容が他を明確に記載しない限り、複数の指示対象を含む。
【0029】
本発明者は、適切なアリール化剤とアンモニアまたは金属アミドとの反応から芳香族一級アミンを調製するための新規触媒法を見いだした。本発明者の方法では、反応は一般に主要な反応産物として一級芳香族アミンを形成する。この方法は単離されるか、またはその場で生成されるパラジウム錯体のような第VIII族金属錯体により触媒される。
【0030】
本発明の一観点として、第VIII族金属により触媒されるアリール化剤とアンモニアおよび塩基の組み合わせの反応から芳香族一級アミンを合成する方法が提供される。本発明の別の観点では、パラジウムの錯体により触媒されるアリール化剤とアンモニアおよび塩基の組み合わせの反応から芳香族一級アミンを合成する方法が提供される。本発明の別の観点として、ホスフィンまたはN−複素環式カルベンリガンドにより連結されたパラジウムの錯体により触媒される、アリール化剤とアンモニアおよび塩基の組み合わせの反応から芳香族一級アミンを合成する方法が提供される。その特定の態様では、以下に記載するように、または本明細書に記載するその任意の態様のように、パラジウムの錯体は式Iのホスフィンにより連結される。
【0031】
本発明のさらなる観点として、第VIII族金属により触媒されるアリール化剤とアルカリ金属アミドの反応から芳香族一級アミンを合成する方法が提供される。本発明の別の観点として、パラジウムの錯体により触媒されるアリール化剤とアルカリ金属アミドの反応から芳香族一級アミンを合成する方法が提供される。本発明の別の観点として、ホスフィンまたはN−複素環式カルベンリガンドにより連結されたパラジウムの錯体により触媒される、アリール化剤とアルカリ金属アミドの反応から芳香族一級アミンを合成する方法が提供される。その特定の態様では、以下に記載するように、または本明細書に記載するその任意の態様のように、パラジウムの錯体は式Iのホスフィンにより連結される。
【0032】
本発明の1つの観点では、芳香族一級アミンの調製法が提供され、該芳香族一級アミンは芳香族環に結合したアミノ基を含んでなり、該方法は:
(a)芳香族環に結合した脱離基を含んでなるアリール化剤;および
(b)
(i)アンモニア:および
(ii)金属アミド
からなる群から選択されるアンモニエーティング剤
を:
(a)第VIII族金属原子またはイオン;および
(b)リガンド、ここでリガンドは式I:
【0033】
【化7】

【0034】
[式中、
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【0035】
【化8】

【0036】
式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル,−OR、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは
固相支持体への結合点である]
の化合物である、
を含んでなる錯体を含んでなる組成物中で反応させることを含んでなるが、ただしアンモニエーティング剤がアンモニアである場合、組成物はさらに塩基を含んでなる錯体を含んでなり;
これによりアリール化剤の脱離基がアミノ基により置換されて芳香族一級アミンを形成する。
【0037】
本明細書で使用する用語「芳香族一級アミン」は、芳香族環への単結合により結合しているアミノ基(すなわち−NH)を含んでなる化合物を意味する。
【0038】
本明細書で使用する用語「芳香族化合物」とは、4n+2pi電子(ここでnは整数である)を有することを特徴とする芳香族の性質を有する1もしくは複数のポリ不飽和炭素環式または複素環式環を有する化合物を意味する。用語「芳香族環」は、そのような化合物内の個々のポリ不飽和炭素環式または複素環式環を記載する。通常、芳香族化合物は6員の炭素環式または複素環式環(ヘテロ原子として窒素を含有する複素環式環)および/または5員の複素環式環(ヘテロ原子として窒素、酸素および/または硫黄を含有する複素環式環)を含んでなる。芳香族化合物は、懸垂(pendant)(ビフェニルのように)または縮合(ナフチレンのように)であることができる1もしくは複数の芳香族環を含むことができる。芳香族化合物に存在することができる炭素環式芳香族環の例には、ベンゼン環がある。芳香族化合物に存在することができる複素環式環式系の例には、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3,4−トリアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾールおよび1,3,4−オキサジアゾール環がある。芳香族化合物に存在することができる多環式環系の例には、ナフタレン、インドール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キノキサリン、1,4−ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、ベンズイソキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、カルボリンおよびアクリジンがある。
【0039】
「脱離基」とは、水素に結合した場合、約5以下のpKを持つ酸(H−X)となるか、または好適な脱離基の場合、約2以下のpKを持つ酸となる、芳香族環に結合した一価の基(−X)を意味する。すなわち脱離基は芳香族置換で典型的には安定なアニオンを放出することができる化合物である。脱離基の例には、ハロゲン、例えばクロライド、ブロマイドおよびアイオダイド、ならびにスルホネート基、例えばトリフルオロメタンスルホンネート(−OTf)、アレーンスルホネート(フェニルスルホネート、p−トルエンスルホネート(−OTs)およびナフタレンスルホネートのような)、またはアルカンスルホネート(メシレートのような)がある。好適な脱離基はハロゲン、特に臭素である。
【0040】
本明細書で使用する用語「アリール化剤」とは、芳香族環に結合した脱離基を含んでなる試薬を意味する。本発明の方法では、アリール化剤は形成される芳香族一級アミンの芳香族環部分を提供する。
【0041】
本発明の方法では、形成される芳香族一級アミンのアミノ基は、アンモニアにより、または金属アミドにより提供される。
【0042】
アンモニアがアミノ基の供給源として使用される場合、塩基が反応組成物に含まれる。適切な塩基は塩基の共役酸が約9以上、好ましくは約12以上のpKaを有するものである。適切な塩基の例には、アルカリ金属アルコキシド、特に三級アルコキシド、例えばt
−ブトキシドを含む。好適なアルコキシドにはナトリウムt−ブトキシドおよびカリウムt−ブトキシドがある。ナトリウムt−ブトキシドが最も好ましい。他の適切な塩基にはアルカリ金属カーボネート、例えばナトリウム、カリウムまたはセシウムカーボネートがある。セシウムカーボネートが好ましい。他の適切な塩基にはアルカリ金属ホスフェート、例えば三塩基性リン酸カリウムがある。他の適切な塩基にはアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムを含む。他の適切な塩基には金属アミド、例えばアルカリ金属アミドがある。非置換アミド部分(NH)を含む金属アミドに加えて、ジアルキルアミドのような置換アミドは、そのようなアミドまたは反応条件が、置換アミド(二級または三級アミンを与えるために)によるアミノ化反応が芳香族一級アミンの形成と有意に競合しないように選択される限り(例えば立体的に障害がある(sterically hindered)アミドの使用により)、本発明の方法に塩基として有用に使用することができる。金属アミドが塩基として使用される場合、非置換アミド部分(NH)を含む金属アミド、例えばリチウムアミド(LiNH)のようなアルカリ金属アミドの使用が好ましい。当業者は所定の応用にどのように適切な塩基を選択するかを知っている。塩基を選択する因子には、アリール化剤に存在し得る他の官能基との適合性、および反応に選択される溶媒中での塩基の溶解性を含む。
【0043】
反応に使用するアンモニアは、任意の適切な形態で提供することができる。例えばガス状アンモニアを反応容器に導入し、これを場合によりアンモニアまたはアンモニアと1もしくは複数の他のガスとの混合物で加圧することができる。あるいはアンモニアを溶媒に前以て溶解し、そして溶液の状態で反応容器に導入することができる。他の選択として、アンモニアはアンモニウム塩と塩基との反応からその場で生成させてもよい。都合よく、アンモニウム塩からアンモニアの形成に使用する塩基は、アンモニアがアミノ基の供給源として使用される場合に反応組成物中に必要とされる塩基としても役立つことができる。
【0044】
アンモニエーティング剤としてアンモニアおよび塩基を使用する反応では、一般に少なくとも1当量のアンモニアおよび塩基の両方を使用して反応を完了させる(すべてのアリール化剤を芳香族一級アミンに転換するという意味で)。二級および/または三級アミンの形成より、一級アミンの形成を促進するために、過剰なアンモニアが好適である(ここで1モルより多くのアリール化剤が与えられたアンモニア分子と反応する)。一般にアリール化剤に対して均等な量、または相対的にわずかに過剰(約5倍まで)な塩基が使用される(しかしこれは反応が成功するために重要であるというよりも、廃棄物を回避し、そして純粋な生成物の単離を促進するために好適である)。
【0045】
反応においてアミノ基の供給源としてアンモニアを使用する代替として、金属アミドをアンモニエーティング剤として使用することができる。本明細書で使用する用語「金属アミド」は、金属カチオンおよびアミドアニオン(NH)を形式的に含有する金属化合物を意味する。当業者はこの定義には別個のアミドアニオンならびに部分的なカチオン性を有する金属原子に結合または配位した部分的なアニオン性を有するNH基を有する化合物を包含すると考えるだろう。例にはアルカリ金属アミド、例えばリチウムアミド、ナトリウムアミドおよびカリウムアミドがある。リチウムアミドが好適である。
【0046】
金属アミドがアルカリ金属アミドである場合、アルカリ金属剤の反応性を修飾するために通例使用され試薬は、任意の特定の基質に関する反応条件の至適化に役立つかもしれない。そのような試薬の例にはアルカリ金属イオンと結合する錯化剤、例えばクラウンエーテル、またはジアミンリガンド例えばテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)のような他の錯化剤を含む。
【0047】
アミドはリガンド交換反応、例えば金属アミド、例えばアルカリ金属アミドと塩、例えば別の金属のハライドとの反応によりその場で形成され得る。例えばアルカリ金属アミド
、例えばリチウムアミドと、ハロゲン化亜鉛、例えば塩化亜鉛との反応により形成される亜鉛種を、例えば実施例29に示すように有利に使用することができる。このように本発明のさらなる観点では、アリール化剤と金属アミドとの反応が金属ハライドを含んでなる組成物中で行われる方法が提供される。特に本発明のこの観点の副態様では、金属アミドがアルカリ金属アミド、好ましくはリチウムアミドであり、そして金属ハライドがハロゲン化亜鉛、好ましくは塩化亜鉛である。本発明のこの特定の観点の内容では、組成物が金属ハライドを含んでなるという場合、これは組成物が金属ハライドと反応混合物中の他の成分とを混合する工程により形成される生成物を含んでなることを意味し、したがって本発明のこの観点は生じる種の正確な性質により限定されることを意図しない。同様に、ハロゲン化亜鉛または塩化亜鉛を含んでなる組成物は、ハロゲン化(または塩化)亜鉛を反応混合物に混合する工程により形成される生成物が組成物中に存在することを意味することを意図する。いかなる理論にも限定されないが、存在する実際の種は亜鉛アミド種である。本発明のこの観点の好適な態様は、アルカリ金属アミド、好ましくはリチウムアミド、ハロゲン化亜鉛、好ましくは塩化亜鉛、およびアルカリ金属錯化剤、特にテトラメチルエチレンジアミンを含んでなるアンモニエーティング組成物である。
【0048】
本発明の方法は、有機金属触媒により触媒される。触媒は、第VIII族金属原子またはイオンおよび式Iのリガンドを含んでなる組成物を含んでなる。理論には限定されずに、触媒はリガンドが金属に配位している配位錯体であると考えられる。この触媒錯体は事前に形成されてもよく、または金属およびリガンドを組成物に別個に導入することによりその場で形成されてもよい。
【0049】
用語「第VIII族金属」とは、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金からなる群から選択される金属を意味する。好適な第VIII族金属は、パラジウム、白金およびニッケルである。パラジウムが最も好適である。第VIII族金属は、ゼロ価の状態からその金属に対して可能なより高い原子価の状態の任意の範囲の酸化状態で存在することができる。触媒サイクルには酸化状態の変化に関与すると考えられるので、金属の一より多くの酸化状態を含む錯体が反応過程で溶液に存在し得る。例えばパラジウム(0)およびパラジウム(II)錯体は、パラジウムが関与する触媒サイクルに含まれると考えられる。
【0050】
本発明の方法で有用であることが分かったリガンドは、式Iの化合物である。式Iのリガンドは、例えば米国特許第5,466,844号;同第5,565,594号;および同第5,563,308号明細書に記載され、その全開示を引用により本明細書に編入する。以下では式Iのリガンドを定義するために使用する用語が説明され、そして本発明の好適な態様で使用されるリガンドが開示される。
【0051】
用語「(C−C)アルキル」(式中、xおよびyは整数である)は、xとyとの間の炭素原子を含むアルキル基を指す。アルキル基とは正式には、化合物の残りにアルキル基の結合点で置換される1つのC−H結合を持つアルカンに対応する。アルキル基は直鎖もしくは分枝鎖でよい。5個以上の炭素原子を有するアルキル基は環式でよい。7個以上の炭素原子を有する環式アルキル基は、1より多くの環を含むことができ、そして多環式であることができる。直鎖アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルおよびn−オクチルを含む。分枝アルキル基の例にはi−プロピル、t−ブチルおよび2,2−ジメチルエチルを含む。環式アルキル基の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチルおよび4−メチルシクロヘキシルを含む。多環式アルキル基の例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ノルボルニルおよびアダマンチルを含む。
【0052】
用語「(C−C)アルキレン」(式中、xおよびyは整数である)は、xとyとの
間の炭素原子を含むアルキレン基を指す。アルキレン基とは正式には、化合物の残りにアルキレン基の結合点で置換される2つのC−H結合を持つアルカンに対応する。
【0053】
用語「(C−C)ヘテロアルキル」(式中、xおよびyは整数である)は、炭素を介して連結されたxとyとの間の炭素原子を有し、そして酸素、硫黄および窒素からなる群から選択される1もしくは複数の原子を含む側鎖を指す。(C−C)ヘテロアルキル基とは正式には、窒素がメチン基を置換し、酸素がメチレン基を置換し、かつ/または硫黄がメチレン基を置換したアルキル基に対応する。好適な(C−C)ヘテロアルキル基は、1個のヘテロ原子を有するものであるが、2以上のヘテロ原子が存在する場合、少なくとも2個の炭素原子の鎖は好ましくは各対のヘテロ原子を分けるので、任意の炭素原子が多くて1個のヘテロ原子への結合を有する。好ましくは各ヘテロアルキル基中の酸素および硫黄原子はそれぞれ、少なくとも2個の炭素原子(すなわちそれぞれエーテルまたはチオエーテル基)に結合し、そして窒素は3個の炭素原子(すなわち三級アミン基)に結合する。(C−C)ヘテロアルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖でよい。少なくとも全部で5個の炭素およびヘテロ原子を有する(C−C)ヘテロアルキル基も環式であり得る。酸素を含有するヘテロアルキル基の例は、メトキシメチル、エトキシメチルおよび2−テトラヒドロフラニルである。硫黄を含有するヘテロアルキル基の例は、メチルチオメチルである。窒素を含有するヘテロアルキル基の例は、ジメチルアミノメチルおよびジメチルアミノエチルである。
【0054】
用語「(C−C)ヘテロアルキレン」(式中、xおよびyは整数である)は、炭素を介して連結されたxとyとの間の炭素原子を有し、そして酸素、硫黄および窒素からなる群から選択される1個の原子を含む側鎖を指す。(C−C)ヘテロアルキレン基とは正式には、窒素がメチン基を置換し、酸素がメチレン基を置換し、かつ/または硫黄がメチレン基を置換したアルキレン基に対応する。(C−C)ヘテロアルキレン基がヘテロ原子に連結している場合、少なくとも2個の炭素原子の鎖は、ヘテロアルケン基中のヘテロ原子からヘテロ原子を分ける。好ましくは各ヘテロアルキル基中の酸素および硫黄原子は、少なくとも2個の炭素原子(すなわちそれぞれエーテルまたはチオエーテル基)に結合し、そして窒素は3個の炭素原子(すなわち三級アミン基)に結合する。ヘテロアルキレン基の例は、−CHCHOCHCH−、−CHCHN(Me)CHCH−および−CHCHSCHCH−である。
【0055】
用語「(C−C)弗化アルキル」(式中、xおよびyは整数である)は、少なくとも1個のC−H結合がC−F結合に置換される、xとyとの間の炭素原子を有するアルキル基を指す。好適な弗化アルキル基は少なくとも1個のCF基またはCF基または両方を含む。他の好適な弗化アルキル基は、すべてのC−H結合がフッ素に置換されたペルフルオロアルキル基である。ペルフルオロアルキル基の例には、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、ペンタフルオロエチルおよびペルフルオロプロピルがある。
【0056】
、R、RおよびRは、好ましくは(C−C12)アルキルまたは場合により置換されてもよいフェニルである。
【0057】
、R、RまたはRが非環式(C−C12)アルキルである場合、それらは好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。典型的な例はメチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルである。メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチルが好適である。
【0058】
、R、RまたはRが環式(C−C12)アルキルである場合、それらは好
ましくは5〜8個、最も好ましくは5もしくは6個の環の炭素原子を含有する。シクロアルキルの例はシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシルおよびシクロドデシルである。シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好適であり、そしてシクロヘキシルが特に好適である。
【0059】
、R、RまたはRが場合により置換されてもよい芳香族環である場合、それらは好ましくはフリルまたはフェニル、より好ましくはフェニル、そして好ましくは1もしくは2個の置換基を有し、あるいはさらに好ましくは非置換である。
【0060】
芳香族環αおよびβは、それぞれ好ましくはフェニル環であり、そして好ましくは非置換である。
【0061】
は好ましくは水素または(C−C)アルキル、好ましくは水素または(C−C)アルキルであり、そしてアルキルである場合、好ましくはメチルおよびエチルである。
【0062】
は好ましくは水素である。式IにおいてRは好ましくは5以下で、より好ましくは4以下で、より好ましくは3以下で、さらに好ましくは2以下で、さらに好ましくは1以下で水素以外で存在する。最も好ましくはRは式Iに存在するすべてで水素である。
【0063】
は好ましくは(C−C)アルキルであり、好ましくはメチルである。
【0064】
本発明の特定の態様では、各R、R、RおよびRは(C−C12)アルキル、好ましくは(C−C)アルキル、そしてより好ましくは二級もしくは三級(C−C)アルキルである。
【0065】
本発明の好適な態様では、各RおよびRは独立して場合により置換されてもよいフェニルまたは二級もしくは三級アルキル、より好ましくは場合により置換されてもよい、好ましくは非置換のフェニルまたは二級環式アルキルであり、そして特に好ましくは非置換フェニルまたはシクロヘキシルである。
【0066】
本発明のこれらのおよび他の好適な態様では、各RおよびRは独立して二級もしくは三級アルキル、より好ましくは三級アルキル、そして特に好ましくはt−ブチルである。
【0067】
本発明の他の好適な態様では、RおよびRは互いに同一であり、そしてRおよびRは互いに同一である。その好適な副態様では、RおよびRは互いに同一であり、そしてフェニルまたは(C−C)アルキル、好ましくはフェニルまたは二級もしくは三級(C−C)アルキル、より好ましくはフェニルまたは二級環式アルキルであり、そしてRおよびRは互いに同一であり、そして(C−C)アルキル、好ましくは二級もしくは三級(C−C)アルキルである。本発明のさらに好適な副態様では、RおよびRは互いに同一であり、そして二級(C−C)アルキル、好ましくは環式二級(C−C)アルキルであり、RおよびRは互いに同一であり、そして三級(C−C)アルキルである。好適な態様では、RおよびRは互いに同一であり、そしてフェニル、i−プロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、t−ブチル、または好ましくはシクロヘキシルからなる群から選択され;そしてRおよびRは互いに同一であり、そしてi−プロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびt−ブチルからなる群から選択され、好ましくはt−ブチルである。これらの態様および副態様、さらにその他の副態様の各々は、Rが水素または(C−C)アルキル、好ましくは水素または(C−C)アルキルであるものであり、そしてア
ルキルが好ましくはメチルおよびエチルである場合である。これらすべての態様および副態様、さらにその副態様の各々は、Rが水素であるものである。
【0068】
アルキル基を記載するために使用する用語「二級」および「三級」は、当業者にはよく知られており、そしてアルキル基の結合点での置換パターンを説明する。「二級」アルキル基では、アルキル基は水素への1個の結合および他の炭素原子への2個の結合を有する炭素を介して結合している。例にはi−プロピル、i−ブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。「三級」アルキル基では、アルキル基は他の炭素原子に結合する3個の結合を有する炭素原子を介して結合している。例にはt−ブチルおよび1−メチル−1−シクロヘキシルがある。
【0069】
式Iのリガンドは、ジアステレオマーまたはエナンチオマー形で存在することができる。特に式Iのリガンドは、ホスフィン置換基を持つシクロペンタジエニル環の2面が鏡像(enantiotopic)であるので、異なる面への鉄の結合が異なるエナンチオマーを生じるためにキラルである。実際、式Iのキラルリガンドは当該技術分野で知られており、そして不斉触媒で使用されてきた。しかし本発明の方法は、リガンドの立体化学が有用性に重要であるとは考えられない。当業者は、本発明の方法にはそれ自体がキラルではない反応中心での芳香族置換が関与するので、一般に式Iのリガンドのいずれかのエナンチオマー、またはラセミ体を含むその混合物が本発明の方法に効果的であると考えるだろう。例えばアリール化剤自体がキラルである場合の特定の応用には、式Iの化合物の1つの、もしくは他のエナンチオマーを使用することが有利となるかもしれない。
【0070】
式Iの化合物の立体化学は、カーン−インゴールド−プレローグ表示法に従い各キラル中心の立体化学を表示することにより命名されている。キラル中心は異なる4個の置換基を有する炭素原子である。キラル中心の存在から生じる異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれる1対の重ね合わせることができない異性体を含んでなる。純粋な化合物の1つのエナンチオマーは光学的に活性、すなわちそれらは平面偏光の面を回転することができる。Advanced Organic Chemistry,Jerry March,John 4th Edition(Wiley 1992),p.109。いったん4つの基の優先順位が決まれば、分子は最も低い順位の基が視界から遠ざかるように配置される。次に下の順位の他の基が時計回りに進行すれば分子は(R)と表示され、下の順位の他の基が反時計回りに進行すれば分子は(S)と表示される。以下のスキーム2に示す例では、カーン−インゴールド−プレローグ順位は、A > B > C > Dである。最下位の原子Dは視界の遠くに配置される。
【化9】

【0071】
キラリティは、キラル中心よりも「キラル面」の存在から置換フェロセンを生じる。しかし通常は、フェロセン(メタロセン)のような立体化学は、それ自体、概念的にはη−結合したシクロペンタジエニル環の各炭素にシグマ結合しているフェロセンの金属原子に関して表示されているので、シクロペンタジエニル環の各炭素はキラル中心と考えられる。次いで錯体のキラリティが表示され、シクロペンタジエニル環の最高位の炭素原子を
決定し(カーン−インゴールド−プレローグ表示を使用して)、キラル中心であるならば立体化学によりその立体化学を割り当てる。Stereochemistry of Organic Compounds by Ernest L.Eliel,et al.,(Wiley 1994),pp.1119−22;K. Schlogl,Top. Stereochem.,1967,1,39.
【0072】
本発明の方法に有用なホスフィンリガンドは市販されており、文献で知られ、かつ/または当業者に知られている方法により調製することができる。当業者は、本発明に使用するために適する化合物の合成に潜在的に採用することができる極めて広い種類の合成有機反応から、式Iの必要なリガンドの合成に文献に記載されている手順を容易に適合させることができる。当業者はホスフィンリガンドに対する適切な合成経路をどのように選択し、そして実施するかを知っている。適切な合成法はComprehensive Organic Synthesis,Ed.B.M.Trost and I.Fleming(Pergamon Press,1991)、Comprehensive Organic Functional Group Transformations,Ed.A.R.Katritzky,O.Meth−Cohn and C.W.Rees(Pergamon Press,1996)、Comprehensive Organic Functional Group Transformations II,Ed.A.R.Katritzky and R.J.K.Taylor(Editor)(Elsevier,2nd Edition,2004)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry,Ed.A.R.Katritzky and C.W.Rees(Pergamon Press,1984)、およびComprehensive Heterocyclic Chemistry II,Ed.A.R.Katritzky,C.W.Rees,and E.F.V.Scriven(Pergamon Press,1996);The Chemistry of Organophosphorus Compounds,Volume 1,Primary,Secondary and Tertiary Phosphines、Polyphosphines and Heterocyclic Organophosphorus(III)Compounds,Editor:Frank R.Hartley(Wiley,1990);Ferrocenes:Homogeneous Catalysis/Organic Synthesis/Materials Science,by A.Togni(Wiley−VCH Verlag GmbH,1995)のような出典の文献を含め、参考文献により同定することができる。
【0073】
式Iの特定のリガンドは、例えば米国特許第5,466,844号;同第5,563,308号;同第5,565,594号明細書;およびH.−U.Blaser,et al.,“Solvias Josiphos Ligands:From Discovery to Technical Applications”,Topics in
Catalysis,2002,19,3−16に記載されており、この全開示は引用により本明細書に編入する。米国特許第5,466,844号明細書に記載されているように、式Iの化合物の合成例は、式IIIの化合物(式中、L=OAcまたはNMe、そしてR、R、R、R、RおよびRは式Iに関して定義した通りである)を、不活性溶媒の存在下、室温または高温で式HPRのホスフィン(式中、RおよびRは式Iに関して定義した通りである)と反応させることによる。そのような反応は、Bull.Chem.Soc.Jpn.,53,1136−1151に記載されている。反応温度は約20℃〜約150℃の範囲、好ましくは約40℃〜約100℃の範囲であることができる。適切な溶媒は極性のプロトン性および非プロトン性溶媒であり、これらは単独で、または2以上の溶媒の混合物として使用することができる。典型的溶媒の例は、メタノールおよびエタノールのようなアルカノール、そしてギ酸および酢酸のようなカルボン酸である。式Iの化合物は、式IIIの化合物がラセミ体、立体異性体の混合物または立体異性体として使用されるのかどうかに依存して、ラセミ体、立体異性体の混合物
または立体異性体として得られる。ラセミ体および立体異性体の混合物は、既知の方法、例えばクロマトグラフィー法により立体異性体に分離することができる。
【0074】
【化10】

【0075】
本発明の特定の態様では、式Iのリガンドが1−[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン、1−[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]−エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(
S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィンからなる群から選択される。
【0076】
本発明の特定の態様では、式Iのリガンドが[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン、[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィ
ン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;および[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィンからなる群から選択される。
【0077】
本発明の好適な態様では、式Iのリガンドが、1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホス
フィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンからなる群から選択される。
【0078】
式Iのホスフィンリガンドは、2個のホスフィン基を有し、したがって金属を錯化する可能性がある。リガンドのリン原子の両方、1つが本発明の全工程中に遷移金属に結合するかまたはいずれもしないのかどうか、あるいは錯化が不安定であるか、または一部もしくはすべての反応中に遷移金属に対して非結合の立体配置であるのかどうかは確実に知られているわけではない。一般にリガンドはリンを介して遷移金属に結合すると考えられるが;しかし本発明はそのような理論に限定されると解釈すべきではない。核磁気共鳴分光法(13C、H、31P)、赤外線およびラマン分光法、およびX線回折のような現代の分析技術は、最初の触媒構造および工程中に起こる構造の変化の測定を援助する。
【0079】
いかなる理論にも結び付けられることを望まないが、式Iのリガンドを含んでなる触媒は、触媒化アミノ化反応で通常使用される触媒により提示される問題を克服すると考えられる。触媒化アミノ化反応でのアンモニアの使用により提示されると考えられる困難の中で、第1はアンモニアにより置き換えられて触媒的に非反応性の錯体を形成する与格補助(dative ancillary)リガンドの可能性;第2は恐らく親のアミド基の錯体は、しばしば安定な架橋構造を選択するので、Ar−Pd−NH錯体から還元的脱離は観察されたことがないという事実;そして第3は、通例の触媒を使用する場合、アリールアミンはアミノ化剤としてアンモニアよりも反応性が高い可能性があるので、ジアリールアミンを形成する反応が芳香族一級アミンの形成と競合する。式Iのリガンドは、リガンドがアンモニアにより置き換わることに抵抗できる安定性および立体的障害の有利な組み合わせを提供し、そして架橋構造を防止し、さらに親のアミド錯体からの還元的脱離を導入し、そして生成物であるアリールアミンの反応よりもアンモニアとアリール化剤との反応を優先(favor)すると考えられる。
【0080】
触媒は、リガンドおよび第VIII族金属を含んでなる事前に形成された錯体として反応に導入することができる。あるいは触媒はアリール化反応混合物中、その場で調製され得る。後者の取り組みが採用されるならば、第VIII族触媒前駆体化合物および式Iのリガンドは、反応混合物に独立して加えられ、ここで錯体はその場で形成すると考えられる。前駆体として適する化合物は、金属に比較的弱く結合するリガンドを有する第VIII族金属化合物である。適切な前駆体化合物には例えば、ジ(ベンジリデン)アセトン(dba)錯体、単座ホスフィン錯体、および第VIII族カルボキシレートのような第VIII族金属のアルケンおよびジエン錯体を含む。アルケンおよびジエン錯体、特にジ(ベンジリデン)アセトン(dba)錯体が好適である。
【0081】
適切な触媒前駆体化合物の非限定的例には、[ビス−ジ(ベンジリデン)アセトン]パラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス−[ジ(ベンジリデン)アセトン]パラジウム(0)、トリス−[ジ(ベンジリデン)アセトン]ジパラジウム(0)、酢酸パラジウムおよび鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金の類似錯体を含む。任意の前記触媒前駆体は、結晶化の溶媒を含むことができる。炭素に担持された第VIII族金属、好ましくは炭素担持パラジウムも、前駆体化合物として適切に使用され得る。好ましくは触媒前駆体化合物はトリス−[ジ(ベンジリデン)アセトン]ジパラジウム(0)である。
【0082】
本発明の方法に使用される触媒の量は、N−アリール生成物の形成を促進する任意の量である。一般に量は、不飽和有機スルホネートに対して化学量論的量よりも少ない量で使用される触媒を意味する触媒的量である。典型的には触媒の量は、アリール化化合物のモル数に対する第VIII族金属のモル数に基づき、約0.01〜約20モルパーセントの
範囲である。好ましくは触媒の量は約0.1〜約10モルパーセント、そしてより好ましくは約3〜約8モルパーセントの範囲である。
【0083】
一般に1:1錯体が第VIII族金属原子またはイオンと式Iのリガンドとの間に形成されると考えられる。したがって一般に第VIII族金属の量に対して使用するリガンドの量は、1:1錯体を形成するに十分となるように算出される。しかしこの比は、より少量で使用されれば単に活性な錯体の形成が少なくなるだけである一方、より多量で使用される場合、過剰なリガンドが触媒工程を妨害するわけではないので重要であるとは思われない。典型的には第VIII族金属の供給源(すなわち触媒前駆体化合物)自体が触媒的に活性であるならば、過剰な第VIII族金属を有することは回避することが好ましいので、化学量論的に均等な量、または第VIII族金属に対して過剰で使用されるリガンドが好ましい。しかし遷移金属および触媒の最も効率的使用には、第VIII族金属に対する式Iのリガンドのモル比が、約1〜約2、好ましくは約1〜約1.5、より好ましくは約1〜約1.3の範囲になるべきであると考えられる。
【0084】
本発明の特定の態様では、触媒はポリマーまたは固相支持体(これはそれ自体、ポリマーであることができる)に結合させる(anchored)ことができる。固相に支持された触媒は、例えば式Iのリガンドをポリマーまたはポリマー支持体のような固相支持体に連結する(tethering)ことにより調製することができる。リガンドは直接または適切な連結基(tethering group)を介して結合され得る。結合点は式Iの化合物の任意の置換可能な位置でよい。上記置換基の定義は、そのような連結基の任意の存在を提供すると解釈すべきである。当業者は適切なポリマーまたは固相支持体、適切な結合点および適切な連結基をどのように選択するかを知っている。1つの重要な因子は、ポリマー、固相支持体および連結基と反応条件との適合性である。リガンドへの結合点の選択では、結合点は本発明の反応工程に関与する錯体の形成を妨害しないように選択する。
【0085】
本発明の方法に関与する反応の正確なメカニズムは定かではないが、発明者は本発明の方法に単核アリール−パラジウム−アミド錯体が関与する強力な証拠を得た。特にアンモニアとの反応において本発明の方法に関与すると考えられる触媒サイクルの概略的表示を以下のスキーム2に示し、ここでP−P部分として表されるリガンドは、式Iのリガンドであり、Mは第VIII族金属原子またはイオンであり、そしてAr−Xはアリール化剤であり、ここでArは芳香族部分を表し、そしてXは脱離基を表し、そしてBは塩基を表す。リチウムアミドとの反応には、3に類似する錯体において、窒素部分がNHである(これは脱プロトン化工程を必要とせずにXの自然な損失を受ける)ことを除き同様のサイクルが関与すると考えられる。本明細書に記載する実施例31では、発明者は還元的脱離反応を受けて芳香族一級アミンを形成する4のようなアミド錯体を証明した。したがって本発明の別の観点は、式4のもののような錯体に関し、これは芳香族一級アミンの合成法に中間体として有用である。
【0086】
【化11】

【0087】
故に本発明のさらなる観点として、式IV:
【0088】
【化12】

【0089】
[式中、
Mは第VIII族金属原子またはイオンを含んでなり;
Arは芳香族環を含んでなる部分を表し、ここで芳香族環の炭素原子はMの第VIII族金属原子またはイオンにシグマ結合し;ここで
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【0090】
【化13】

【0091】
式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル、−OR、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは固体相支持体への結合点である]
の遷移金属錯体が提供される。
【0092】
式IVの錯体において、Mは第VIII族金属またはイオンを含んでなる。第VIII族金属原子またはイオンは、式Iのリガンドの2つのリン原子、および−Arおよび−NH基に配位されている。Mが第VIII族金属原子またはイオンを「含んでなる」と言う場合、金属原子またはイオンは、関与する第VIII族金属の正確な性質、および式IVの錯体が含まれる媒質中の存在、またはそうではなく配位するリガンドの可能性に依存して場合によりさらなるリガンドに配位されてもよい。式IVの錯体の好適な態様では、第GVIII族金属はパラジウムである。
【0093】
第VIII族金属がパラジウムであるものを含む式IVの錯体の特定の、しかも好適な態様は、式IVの錯体が本発明の方法の特定かつ好適な態様で使用される式Iのリガンドの態様であるものである。また本発明の方法で好適な式Iのリガンドのそのような態様は、式IVの錯体でも好適である。
【0094】
本発明のこの観点の好適な態様では、錯体は式IVa:
【0095】
【化14】

【0096】
式中、R、R、R、R、RおよびRは式IVの上記定義の通りであり;
そしてパラジウムは場合により最高2個のさらなるリガンドに配位されてもよい、
の錯体である。
【0097】
式IVaの錯体の特定かつ好適な態様は、本発明の方法の特定または好適な態様で使用される式Iのリガンドの態様を含んでなるものである。
【0098】
式IVaの錯体の好適な態様には、RおよびRがそれぞれt−ブチルであり、Rが水素またはメチル、好ましくはメチルであり、そして各Rが水素であるものを含む。
【0099】
本発明の別の観点は、芳香族一級アミンを合成するための試薬として有用な組成物に関する。本発明のこの観点では、組成物が提供され、この組成物は
(a)
(i)アンモニア:および
(ii)金属アミド
からなる群から選択されるアンモニエーティング剤、および
(b)
(i)第VIII族金属原子またはイオン;および
(ii)リガンド、ここでリガンドは式I:
【0100】
【化15】

【0101】
[式中、
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【0102】
【化16】

【0103】
式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル,−OR、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは固体相支持体への結合点である]
の化合物を含んでなるが、ただしアンモニエーティング剤がアンモニアである場合、組成物はさらに塩基を含んでなる錯体を含んでなる。
【0104】
本発明のこの観点の特定の、しかも好適な態様は、本明細書に記載する発明の方法の特定かつ好適な態様で使用されるものである。また本発明の好適な組成物は、第VIII族金属がパラジウムであるもの、そして本明細書に記載する本発明の方法で使用するための式Iのリガンドの好適な態様であるリガンドを含んでなるものを含む。
【0105】
本明細書に記載する方法は、触媒法に設計された通常の反応槽で行うことができる。連続的、半連続的およびバッチ反応槽を使用することができる。均一法のように触媒が実質的に反応混合物に溶解している場合、撹拌タンクおよび加圧オートクレーブを含むバッチ反応槽を採用できる。触媒が支持体に連結され、そして実質的に不均一相である場合、固定床および流動床反応槽を使用することができる。本発明の典型的な実践において、アリール化剤、アンモニエーティング剤および触媒が好ましくは溶媒を用いてバッチで混合され、そして生じた混合物は芳香族一級アミン生成物を調製するために効果的な温度および圧力で維持される。アンモニエーティング剤がアンモニアを含んでなる場合、反応はアンモニアガスを含んでなる大気下および/または加圧下で行うことが望ましい。高圧で反応を行うために適する反応容器が、そのような条件下で本発明の方法を行うために望ましい。
【0106】
本発明の方法には、溶媒が芳香族一級アミン生成物の形成を妨害するような方法の条件下で反応しない限り、任意の溶媒を使用することができる。非プロトン性およびプロトン性の両溶媒、およびそれらの組み合わせも許容され得る。適切な非プロトン性溶媒には限定するわけではないがトルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素、ジクロロベンゼンのような塩化芳香族炭化水素、および1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテルのようなエーテルがある。適切なプロトン性溶媒には限定するわけではないが水、およびエタノール、イソプロパノールおよびシクロヘキサノールのような脂肪族アルコール、ならびにグリコールおよび他のポリオールがある。好適な溶媒はトルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素溶媒、および1,2−ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフランのようなエーテル溶媒である。好適な溶媒は、1,2−ジメトキシエタンである。使用する溶媒の量は、任意の量、好ましくはすべての反応物を少なくとも部分的に可溶化するために十分な量であり得る。溶媒の適切な量は、典型的には1グラムの反応物あたり1〜約100グラムの溶媒の範囲である。溶媒の他の量も具体的な工程の条件および当業者により決定される場合、適切となり得る。
【0107】
一般に、試薬は一緒に混合してよく、または任意の順序で溶媒に加えてもよい。反応は好ましくは酸素の不存在下で行われるが、酸素の厳密な排除が常に必要ではない。空気を除去することが望ましいか、または必要である場合、溶媒および反応混合物は窒素、ヘリウムまたはアルゴンのような非反応性ガスを散布することができ、または反応を嫌気的条件下で行ってもよい。この工程条件は、所望する芳香族一級アミン生成物が生じる任意の操作可能な条件であることができる。有利には、この工程の反応条件は穏和である。例えば本発明の方法に好適な温度は、およそ約10℃の周囲温度から約150℃、好ましくは約80℃〜約110℃の範囲である。この方法は一般に出来る限り多くのアリール化剤を芳香族一級アミンに転換するために十分な時間行われる。典型的な反応時間は、約30分から約24時間の範囲であるが、必要ならばより長時間を使用してもよい。
【0108】
本発明の幾つかの態様では、芳香族一級アミンが反応混合物から単離される。芳香族一級アミン生成物は、例えば蒸留、結晶化、昇華およびゲルクロマトグラフィーを含め、当業者に既知の通常の方法により単離することができる。生成物の収量は具体的な触媒、試薬および使用する工程条件に依存して変動するだろう。「収率」は使用したアリール化剤
のモル数に基づき、回収された芳香族一級アミン生成物のモル百分率として定められる。典型的には芳香族一級アミン生成物の収率は、約25%より高い。本発明の好適な態様では、芳香族一級アミン生成物の収率は、約60%より高く、そしてさらに好ましくは約80%より高い。
【0109】
本発明の他の態様では、アミンは一級アミンの中間体を単離しない反応により、別の有用な生成物に転換することができる。
【実施例】
【0110】
以下の非限定的な実施例は、本発明を具体的に説明するために提供される。この方法は本発明の他の態様に応用可能である。提供する実施例は、本発明の方法を行うために典型的に効果的であると考えられるが、当業者は種々のアリール化剤、アンモニエーティング剤および触媒の反応性における変更により、本発明の所定の態様に関する手順を変更することが必要となり得ると認識するだろう。例えば、薄層クロマトグラフィーまたはHPLCを使用するような反応の監視は、最適な反応時間を決定するために使用することができる。生成物は、例えば生成される該副産物の量および化合物の物理的特性に従い、変動する通例の技術により精製することができる。研究室の規模では、適切な溶媒からの再結晶化、カラムクロマトグラフィー、標準および逆相HPLC、または蒸留はすべて有用となり得る技法である。当業者は過度な実験を行わずに、本発明の範囲内の所定の化合物を合成するための反応条件をどうのように変動させるかを認識している。例えばVogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry,by A.I.Vogel,et al.,Experimental Organic Chemistry:Standard and Microscale,by L.M.Harwood et al.(2nd Ed.,Blackwell Scientific Publications,1998)、およびAdvanced Practical Organic Chemistry,by J.Leonard,et al.(2nd Edition,CRC Press 1994)を参照にされたい。本明細書に記載する結果に関するさらなる検討は、発明者によりQ.Shen and J.F.Hartwig,J.Am.Chem.Soc.,2006,128,10028−29およびそれを支持する情報にて提供されている。
【0111】
一般法
他に明記しない限り、すべての操作は不活性な雰囲気下で行った。Hおよび13C NMRスペクトルはBruker DPX 400または500MHz分光計により記録し、そして31P{H}NMRスペクトルはGeneral Electric QE
300MHz分光計により、参照としてテトラメチルシランまたは残存するプロシエートされた(protiated)溶媒を使用して記録した。すべての31P{H}NMRの化学シフトは、85% HPO外部標準に対する百万分の部として報告される。標準の化学シフトのダウンフィールドが、正の値として報告される。元素分析は、Atlantic Microlabs Inc.,Norcross,GAまたはRobertson Microlab,Inc.,Madison,NJにより行われた。GCおよびGC/MS分析は、HP−1メチルシリコンカラムで行われた。1−ジシクロヘキシルホスフィノ−2−ジ−t−ブチルホスフィノエチルフェロセン(“CyPF−t−Bu”)およびPd(CHCN)ClがSolvias AGおよびStrem Chemicalsから得られ、そしてさらに精製することなく使用した。1,2−ジメトキシエタン(DME,純度99.9%,HPLC級)を購入し、そしてさらに精製せずに使用した。すべの他の化学品は市販の提供元から得たものを使用した。
【0112】
実施例1.(CyPF−t−Bu)PdClの合成
CyPF−t−Bu(55.4mg 0.100ミリモル)をPd(CHCN)
(26.0mg,0.100ミリモル)の溶液(5.0mLのCHCl中)に加えた。生じた混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物は珪藻土(“Celite商標”)を含む媒体をフリット化した漏斗を通して濾過した。生じた溶液を真空下で濃縮した。ヘキサンと層化することにより結晶物質を得、そして−10℃で冷却した(65.0mg,90%)。H NMR(CDCl)δ 4.85(s,1H),4.55(s,1H),4.53(s,1H),4.25(s,5H),3.60−3.75(m,1H),3.00−3.10(m,1H),2.50−2.60(m,1H),2.27−2.90(m,1H),2.13−2.25(m,2H),2.00−2.10(m,1H),1.97(dd,J=9.0,7.5Hz,3H),1.70−1.95(m,4H),1.20−1.30(m,8H),1.63(d,J=13.0Hz,9H),1.30−1.45(m,4H),1.23(d,J=14.5Hz,9H);31P{H]NMR(CHCl)δ 113.83(d,J=9.7Hz),31.78(d,J=9.7Hz);13C NMR(CDCl)δ 96.49(dd,J=13.3,5.5Hz),71.92(d,J=2.5Hz),69.90(d,J=9.1Hz),69.78,69.63(d,J=9.2Hz),69.34(t,J=5.7Hz),41.6(d,J=35.5Hz),41.57(d,J=8.2Hz),40.55(d,J=11.2Hz),37.56(d,J=35.5Hz),34.48(t,J=9.1Hz),31.97(d,J=1.9Hz),31.05(d,J=1.9Hz),29.99,29.19,28.06,27.55(d,J=6.8Hz),27.32(d,J=10.2Hz),26.98(d,J=12.6Hz),26.89(d,J=5.2Hz),26.78(d,J=3.8Hz),26.12(d,J=1.9Hz),25.55,18.02(d,J=6.7Hz).C3252ClFePPdに関する理論値:C,52.51;H,7.16.測定値:C,52.72;H,7.38.
【0113】
アンモニアを用いた芳香族塩化物、臭化物およびヨウ化物の触媒的アミノ化(実施例2−10)。
表1は種々のアリール化剤が、(CyPF−t−Bu)PdCl(1.0モル%)および塩基としてナトリウムt−ブトキシドの存在下、1,2−ジメトキシエタン中、アンモニアで処理された実験の結果を列挙する。各実験の条件は表1に示す。表1の登録1で使用した条件について、使用したこれらの典型的な手順を、実施例1に記載する。他の実験(実施例2〜10として記載した)について使用した条件は、実施例1について記載した条件に準じた。表1のスキームでは、Ar−Xはアリール化剤を表し、ここでArは芳香族基を表し、そしてXは脱離基を表す。
【0114】
【表1】

【0115】
実施例2 4−t−ブチルアニリン(表1,登録1).
(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、NaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)および4−t−ブチル−1−ブロモベンゼン(0.213g,1.00ミリモル)を乾燥ボックス内のParr容器に計り取った。次いでDME(20.0mL)を加えた。Parr容器を閉じ、そして乾燥ボックスから取り出した。アンモニアはアンモニアタンクと連結することにより撹拌しながら加え、そして圧を80psiで30分間維持した。生じた反応混合物を90℃で24時間撹拌しておいた。反応中に圧が最高200psiになった。次いで反応混合物を室温に冷却した後、氷水(20.0mL)に注いだ。この混合物にHCl水溶液(10.0mL,1.
0M)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌し、そして次にNaHCOの飽和溶液で中和した(5.00−10.0mL)。CHClで抽出した後(3×20.0mL)、有機層を分離し、そしてMgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、そして粗生成物はヘキサン/酢酸エチル(70/30)で溶出することにより単離して、128.1mg(86%)の4−t−ブチルアニリンを淡黄色の液体として得た。H NMR(CDCl)δ 7.05(d,J=8.4Hz,2H),6.55(d,J=8.8Hz,2H),3.44(s,br,2H),1.20(s,9H);13C NMR(CDCl)δ 143.74,141.32,125.98,114.86,33.85,31.49.
【0116】
実施例3 o−トルイジン(表1,登録3).
20.0mLのDME中、2−クロロトルエン(0.126g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、73.6mg(69%)のo−トルイジンを無色の液体として得た(ヘキサン/酢酸エチル:70/30)。H NMR(CDCl)δ 7.08(d,J=6.4Hz,1H),7.07(t,J=6.4Hz,1H),6.74(t,J=6.0Hz,1H),6.70(d,J=6.0Hz,1H),3.62(s,br,2H),2.19(s,3H);13C NMR(CDCl)δ 144.41,130.36,126.87,122.26,118.57,114.88,17.25.
【0117】
実施例4 o−トルイジン(表1,登録4).
20.0mLのDME中、2−ブロモトルエン(0.171g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、89.1mg(86%)のo−トルイジンを無色の液体として得た。
【0118】
実施例5 o−トルイジン(表1,登録5).
20.0mLのDME中、2−ヨードトルエン(0.217g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、84.7mg(79%)のo−トルイジンを無色の液体として得た。
【0119】
実施例6. 2−アミノビフェニル(表1,登録6).
20.0mLのDME中、2−ブロモビフェニル(0.233g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、0.160g(94%)の2−アミノビフェニルを固体として得た(ヘキサン/酢酸エチル:70/30). H NMR(CDCl)δ 7.28−7.34(m,4H),7.19−7.25(m,1H),6.98−7.07(m,2H),6.71(t,J=7.2Hz,1H),6.62(d,J=8.0Hz,1H),3.60(s,br,2H);13C NMR(CDCl)δ 140.40,139.44,130.36,129.00,128.71,128.41,127.52,127.06,118.54,115.50.
【0120】
実施例7 2−i−プロピルアニリン(表1,登録7).
4.0mLのDME中、1−ブロモ−2−i−プロピルベンゼン(0.199g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、0.120g(89%)の2−i−プロピルアニリンを固体として得た(ヘキサン/酢酸エチル:70/30). H NMR(CDCl)δ 7.08(dd,J=6.0,1.2H
z,1H),6.96(td,J=6.0,1.2Hz,1H),6.73(td,J=6.0,0.8Hz,1H),6.60(dd,J=6.0,1.2Hz,1H),3.56(s,br,2H),2.83(sept,J=5.2Hz,1H),1.20(J=5.2Hz,6H);13C NMR(CDCl)δ 143.22,132.55,126.44,125.30,118.92,115.74,27.56,22.20.
【0121】
実施例8 4−アミノ−イソ−キノリン(表1,登録8).
20.0mLのDME中、4−ブロモ−イソ−キノリン(0.208g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、0.115g(80%)の4−アミノ−イソ−キノリンを固体として得た酢酸エチル/メタノール:50/50)。 H NMR(CDCl)δ 8.70(s,1H),8.00(s,1H),7.84(d,J=8.0Hz,1H),7.76(d,J=8.5Hz,1H),7.58(dd,J=8.0,7.0Hz,1H),7.51(dd,J=8.0,7.5Hz,1H),4.21(s,2H);13C NMR(CDCl)δ 142.99,136.86,128.86,128.54,127.99,127.65,126.93,125.95,119.97.
【0122】
実施例9 5−アミノ−イソ−キノリン(表1,登録9).
4.0mL DME中、5−ブロモ−イソ−キノリン(0.208g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、0.101g(70%)の5−アミノ−イソ−キノリンを固体として得た(酢酸エチル/メタノール:90/10)。 H NMR(CDCl)δ 9.15(s,1H),8.45(d,J=5.6Hz,1H),7.55(d,J=6.0Hz,1H),7.37(d,J=5.2Hz,2H),6.91(t,J=4.8Hz,1H),4.26(s,br,2H);13C NMR(CDCl)δ 152.85,141.88,141.30,129.33,127.72,125.88,117.80,114.06,112.96.
【0123】
実施例10 1−アミノナフタレン(表1,登録10).
4.0mLのDME中、1−ブロモナフタレン(0.207g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびNaOtBu(0.192g,2.00ミリモル)で、0.132g(92%)の1−アミノナフタレンを固体として得た(ヘキサン/酢酸エチル:70/30)。 H NMR(CDCl)δ 7.78−7.82(m,2H),7.40−7.7.47(m,2H),7.25−7.34(m,2H),6.76(dd,J=6.8,1.2Hz,1H),4.10(s,br,2H);13C NMR(CDCl)δ 140.02,134.32,128.49,126.29,125.79,124.80,123.58,120.74,118.90,109.62.
【0124】
リチウムアミド(LiNH)を用いたヘテロアリールおよびアリール塩化物、臭化物およびヨウ化物の触媒的アミノ化(実施例11−23)。
表2は種々のアリール化剤が、(CyPF−t−Bu)PdCl(1.0モル%)の存在下、DME中、LiNHで処理された実験の結果を列挙する。各実験の条件は表2に示す。リチウムアミドの反応に関するモノアリール化:ジアリール化の選択性は、アンモニアを用いたそれら反応よりもわずかに低かったが(表1参照)、許容されるものであった。表2の登録1で使用した条件について、使用したこれらの典型的な手順は、実施例11に記載する。他の実験(実施例12〜16および18〜23)について使用した手順は、実施例11の手順に準じた。1−ブロモ−2−i−プロピルベンゼンの反応について
、実施例17に記載するようにアミノ化反応は大規模でも行った[1.99g(10ミリモル)の出発材料]。表2のスキームでは、Ar−Xはアリール化剤を表し、ここでArは芳香族基を表し、そしてXは脱離基を表す。
【0125】
【表2】

【0126】
【表3】

【0127】
実施例11 4−t−ブチルアニリン(表2,登録1).
(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、LiNH(0.230g,10.0ミリモル)および4−t−ブチル−1−ブロモベンゼン(0.213g,1.00ミリモル)を24mLバイアルに計り取った。次いでDME(20.0mL)を加えた。バイアルはPTFE隔壁を含むキャップで密閉し、そして反応混合物を80℃で24時間撹拌した。反応混合物室温に冷却した後、氷水(20.0mL)に注いだ。この混合物にHCl水溶液(10.0mL,1.0M)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌し、そして次にNaHCOの飽和溶液で中和した(5.00−10.0mL)。CHClで抽出した後(3×20.0mL)、有機層を分離し、そしてMgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、そして粗生成物はヘキサン/酢酸エチル(80/20)で溶出することにより単離して、107.0mg(72%)の4−t−ブチルアニリンを淡黄色の液体として得た。
【0128】
実施例12 o−トルイジン(表2,登録4).
20.0mLのDME中、2−クロロトルエン(0.126g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、74.9mg(70%)のo−トルイジンを無色の液体として得た。
【0129】
実施例13 o−トルイジン(表2,登録5).
20.0mLのDME中、2−ブロモトルエン(0.171g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、89.5mg(86%)のo−トルイジンを無色の液体として得た。
【0130】
実施例14 o−トルイジン(表2,登録6).
20.0mLのDME中、2−ヨードトルエン(0.217g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、86.8mg(81%)のo−トルイジンを無色の液体として得た。
【0131】
実施例15 2−アミノビフェニル(表2,登録7).
20.0mLのDME中、2−ブロモビフェニル(0.233g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、
およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、0.129g(76%)の2−アミノビフェニルを固体として得た。
【0132】
実施例16 2−i−プロピルアニリン(表2,登録8).
2.0mLのDME中、1−ブロモ−2−i−プロピルベンゼン(0.199g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、0.109g(81%)の2−i−プロピルアニリンを固体として得た。
【0133】
実施例17 i−プロピルアニリン。リチウムアミドを用いた1−ブロモ−2−i−プロピルベンゼンの大規模触媒的アミノ化の手順(表2,登録8).
(CyPF−t−Bu)PdCl(73.0mg,100ミリモル)、LiNH(2.30g,100ミリモル)および1−ブロモ−2−i−プロピルベンゼン(1.99g,100ミリモル)を、撹拌棒を備えた100mLの丸底フラスコに計り入れた。次いでDME(20.0mL)を加えた。フラスコはキャップで密閉し、そして電気工事用テープでしっかりとまいた。反応混合物を90℃で24時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、氷水(50.0mL)に注いだ。この混合物に水性HCl(100mL,1.0M)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌し、そして次にNaHCOの飽和溶液で中和した(50.mL)。CHClで抽出した後(3×50.0mL)、有機層を分離し、そしてMgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、そして粗生成物はカラムクロマトグラフィーにより単離し、ヘキサン/酢酸エチル(70/30)で溶出して、1.11g(82%)の2−i−プロピルアニリンを固体として得た。
【0134】
実施例18 4−アミノ−イソ−キノリン(表2,登録9).
20.0mLのDME中、4−ブロモ−イソ−キノリン(0.208g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、0.118g(82%)の4−アミノ−イソ−キノリンを固体として得た。
【0135】
実施例19 5−アミノ−イソ−キノリン(表2,登録10).
2.0mLのDME中、5−ブロモ−イソ−キノリン(0.208g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、0.114g(79%)の5−アミノ−イソ−キノリンを固体として得た。
【0136】
実施例20 1−アミノナフタレン(表2,登録11).
4.0mLのDME中、1−ブロモナフタレン(0.207g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、0.128g(89%)の1−アミノナフタレンを固体として得た。
【0137】
実施例21 2−アミノナフタレン(表2,登録12).
4.0mLのDME中、2−ブロモナフタレン(0.207g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、0.100g(69%)の1−アミノナフタレンを固体として得た(ヘキサン/酢酸エチル(70/30))。 H NMR(CDCl)δ 7.67(d,J=8.4Hz,1H),7.63(d,J=8.4Hz,1H),7.57(d,J=8.0Hz,1H),7.35(td,J=7.2,1.2Hz,1H),7.21(td,J=7.2,1.6Hz,1H),6.93(s,1H),6.90(dd,J=8.4,2.0Hz,1H),3.76(s,b
r,2H);13C NMR(CDCl)δ 144.05,134.83,129.12,127.86,127.65,126.27,125.73,122.38,118.17,108.48.
【0138】
実施例22 1−アミノ−4−クロロベンゼン(表2,登録13).
2.0mLのDME中、1−ブロモ−4−クロロベンゼン(0.207g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で、86.7mg(68%)の1−アミノ−4−クロロベンゼンを固体として得た(ヘキサン/酢酸エチル:70/30). H NMR(CDCl)δ 7.08(d,J=8.4Hz,2H),6.58(d,J=8.8Hz,2H),3.63(s,br,2H);13C NMR(CDCl)δ 144.90,129.05,123.05,116.17.
【0139】
実施例23 カルバゾール(表2,登録14).
2.0mLのDME中、2,2’−ジブロモビフェニル(0.207g,1.00ミリモル)、(CyPF−t−Bu)PdCl(7.30mg,1.00×10−2ミリモル)、およびLiNH(0.230g,10.0ミリモル)で0.107g(64%)のカルバゾールを固体として得た(ヘキサン/酢酸エチル:70/30)。H NMR(CDCl)δ 8.08(d,J=7.6Hz,2H),7.99(s,br,1H),7.39−7.44(m,4H),7.21−7.27(m,2H);13C NMR(CDCl)δ 139.43,125.81,123.31,120.31,119.41,110.54.
【0140】
実施例24 4−t−ブチルフェニルブロミドおよびアンモニアを使用したアミノ化反応条件の至適化
反応条件は、4−t−ブチルフェニルブロミドおよびアンモニアを使用したアンモニア化反応に至適化した。非障害アリール化剤はさらなる反応を受けて芳香族一級アミンの代わりにジアリールアミンを形成する見込みが高いと予想されるので、最も難しいと考えられる非障害アリール化剤の反応として、4−t−ブチルフェニルブロミドの反応を至適化に選択した。
(a)アンモニア用いた反応の化学量論
1,2−ジメトキシエタン中、(CyPF−t−Bu)PdCl(1.0mモル%)により触媒されるアンモニアでの4−t−ブチルフェニルブロミド(0.2M)のアミノ化は、ナトリウムt−ブトキシドの存在下、種々の濃度のアンモニアを使用して行い、そしてモノ−およびジ−アリール化生成物の転換および量を、粗反応生成物のH NMRにより決定した。実験の結果を表3にまとめる。この結果は、モノ−対ジ−アリール化に関する選択性が、より高濃度のアンモニアを使用することにより改善されることを示す。
【0141】
【表4】

【0142】
(b)溶媒の至適化
(CyPF−t−Bu)PdCl(1.0モル%)により触媒化されるアンモニア(66当量)での4−t−ブチルフェニルブロミド(0.2M)のアミノ化は、ナトリウムt−ブトキシドの存在下、種々の溶媒中で行い、そして転換およびモノ−およびジ−アリール化生成物の量を粗反応生成物のH NMRにより決定した。実験の結果は表4にまとめる。結果は反応を種々の溶媒中で行うことができるが、DME中での反応が最高の選択性を与えたことを示す。
【0143】
【表5】

【0144】
(c)反応濃度の至適化
(CyPF−t−Bu)PdCl(1.0モル%)により触媒化されるアンモニアでの4−t−ブチルフェニルブロミドのアミノ化は、DME中、ナトリウムt−ブトキシド(3当量)の存在下、種々の濃度で行った。反応は、アンモニアを飽和した反応混合物を含むParr容器中で、周囲温度にて30分間、80p.s.iのアンモニア下で撹拌することにより行った後、加熱した。次いで反応混合物を90℃に加熱した。モノ−およびジ−アリール化生成物への転換および量は、粗反応生成物のNMRにより決定した。実験結果を表5にまとめる。結果は反応の選択性が反応物の希釈を上げることにより至適化されたことを示す。しかしこれは優れた選択性でアミノ化反応を受ける障害物質には必要ではなかった(上記表1を参照にされたい)。
【0145】
【表6】

【0146】
実施例25.4−t−ブチルフェニルブロミドとアンモニアとのパラジウム触媒化アミノ化反応におけるリガンドの至適化
DME中、ナトリウムt−ブトキシドの存在下、アンモニアでの4−t−ブチルフェニルブロミドのアミノ化は、種々のパラジウム触媒(1.0モル%)−前形成パラジウムホスフィン錯体または[ビス−ジ(ベンジリデン)アセトン]パラジウム(0)およびリガンド(ホスフィンまたはカルベンリガンドのいずれか)を使用してその場で形成された錯体のいずれかを使用して行った。反応は、アンモニアを飽和した反応混合物を含むParr容器中で、周囲温度にて30分間、80p.s.iのアンモニア下で撹拌することにより行った後、加熱した。次いで反応混合物を80℃に加熱した。モノ−およびジ−アリール化生成物への転換および量は、粗反応生成物のNMRにより決定した。実験結果を表6にまとめる。式Iのリガンドでの反応のみが、芳香族一級アミンへの望ましい転換を達成し、前形成した(CyPF−t−Bu)PdClがより良い選択性を与えた。
【0147】
【表7】

【0148】
実施例26 アンモニアを用いた塩基−選択的アリールハライドの触媒化アミノ化反応に関する条件の至適化
一連の実験は、ナトリウム t−ブトキシドよりも穏和な塩基をアンモニアとアリールハライドとの触媒化アミノ化反応で使用できるかどうかを決定するために行った。このために、エチル4−ブロモベンゾエートのアミノ化を実験した。非障害エステル(エチル4−ブロモベンゾエートのような)の反応に、強塩基(ナトリウムt−ブトキシドまたはリチウムアミド)を使用した反応条件は適さないので、より穏やかな塩基が使用できるかどうかを決定するためにこの基質を実験した。
【0149】
エチル4−ブロモベンゾエートが、DME中、種々の塩基(2当量)の存在下で、酢酸パラジウム(II)(1.0モル%)およびリガンド(1.0モル%)を使用してその場で形成される(CyPF−t−Bu)PdClにより触媒化されるアンモニアでの触媒化アミノ化反応に供された一連の実験結果を表7にまとめる。表7のデータに示されるように、炭酸セシウムおよび三塩基性リン酸カリウムをエチル4−ブロモベンゾエートのアミノ化反応に成功裏に使用してエチル4−アミノベンゾエートを得ることができた。
【0150】
【表8】

【0151】
実施例27 4−t−ブチルフェニルブロミドおよびリチウムアミドを使用したアミノ化反応の条件の至適化
リチウムアミド反応に関する反応条件の至適化は、アンモニア反応のように、4−t−ブチルフェニルブロミドを使用して行った。(CyPF−t−Bu)PdCl(1.0モル%)により触媒されるリチウムアミドを用いた4−t−ブチルフェニルブロミドのアミノ化は、種々の量のリチウムアミドを使用して、種々の溶媒中、種々の温度および種々の時間で行った。モノ−およびジ−アリール化生成物への転換および比は、粗反応生成物のH NMRにより決定した。これらの実験結果は、表8にまとめる。より高い希釈で改善された選択性は、0.05M濃度の4−t−ブチルフェニルブロミドで行った反応で、最高の選択性を与えた。また選択性は、より過剰なリチウムアミドの使用によっても改善されたが、0.05Mでの10倍過剰が良好な結果を与えた。1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)および1,4−ジオキサンで進めた反応は、1,2−ジメトキシエタンが最高の結果の与えた。最後に、高温の悪い効果が選択性で観察され、110℃での選択性とは対照的に、反応を110℃で行った時、より低い選択性が観察された。
【0152】
【表9】

【0153】
実施例28 4−t−ブチルフェニルブロミドとリチウムアミドの触媒化アミノ化反応中のリガンドの至適化
DME中、ナトリウムt−ブトキシドの存在下、アンモニアによる4−t−ブチルフェニルブロミドのアミノ化は、種々のパラジウム触媒(1.0モル%)−前形成パラジウム−ホスフィン錯体、または[ビス−ジ(ベンジリデン)アセトン]パラジウム(0)およびホスフィンリガンドを使用してその場で形成された錯体のいずれかを使用して行った。次いで反応混合物を80℃で24時間加熱した。モノ−およびジ−アリール化生成物への転換および量は、粗反応生成物のNMRにより決定した。実験結果を表9にまとめる。式Iのリガンドを用いた反応のみが、芳香族一級アミンへの望ましい転換を達成し(登録1および2)、前形成した(CyPF−t−Bu)PdClがより良い選択性を与えた。
【0154】
【表10】

【0155】
実施例29 リチウムアミドでの3−ブロモアニソールの触媒化アミノ化の促進における塩化亜鉛の有利な効果の証明
塩化亜鉛をアミノ化反応に加える有利な効果は、3−ブロモアニソールのアミノ化反応で証明され、その結果を表10にまとめる。3−ブロモアニソールをリチウムアミド(10当量)を使用してDEM中、(CyPF−t−Bu)PdCl(1モル%)の存在下で標準的なリチウムアミドのアミノ化条件下で反応させる場合、生成物の複雑な混合物が得られた(表10、登録1)。しかし塩化亜鉛およびTMEDAの存在下で行う場合、反応は成功裏に所望のモノアリール化生成物、3−メトキシアニリンを与えることができたが、高濃度のN,N−ジメチル−3−メトキシアニリンが副産物として有意な量で形成された(表10、登録3および4)。最適な条件下で(表10、登録8および9)、3−メトキシアニリンは良好な収率の選択性で形成された。
【0156】
【表11】

【0157】
実施例30 芳香族一級アミンを生じるためのパラジウム錯体の化学量論的反応
パラジウム種がC−N結合の形成に関与することを示すために、一級アミンを生じるPd(CyPF−t−Bu)(4−MeOPh)(Br)とアンモニアとの化学量論的反応を行った。
(a)(CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(Br)の調製
2.0mLのベンゼン中のCyPF−t−Bu(0.277g,0.500ミリモル)を、Pd[P(o−Tol)(0.357g,0.500ミリモル)および4−ブロモアニソール(0.467g,5.00ミリモル)の混合物(20mlのベンゼン中)に加えた。混合物を室温で30分間、撹拌した。生じた赤い溶液を濾過し、そして溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を2mLのTHFに再溶解した。このTHF溶液をペンタンと層化し、そして−10℃に冷却した。生成物が赤い結晶として沈積した。結晶を濾過し、そしてペンタンで洗浄し、そして真空下で乾燥させて、356mg(84%)の単一異性体の生成物を得た。 H NMR(CDCl)δ 0.80−2.80(m,22 CyH),1.16(d,J=12.8Hz,9H),1.66(d,J=11.6Hz,9H),1.80−1.84(THFからm,4H),1.96(t,J=7.6Hz,3H),3.17(dq,J=6.0,5.6Hz,1H),3.74(s,3H),3.71−3.76(THFからm,4H),4.23(s,5H),4.30(t,J=2.4Hz,1H),4.49(s,br,1H),4.85(s,br,1H),6.55(d,J=7.2Hz,1H),6.77(d,J=6.8Hz,1H),7.10−7.25(s,br,1H),7.25−7.40(s,br,1H);31P{H}NMR(CHCl,−30℃) 72.83(d,J=34.5Hz),18.08(d,J=34.8Hz);C4367BrFeOPd・THFに関する理論値:C,56.13;H,7.34.分析値:C,56.35;H,7.65.
(b) (CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(Br)とアンモニアおよびNaOtBuとの化学量論的反応
(CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(Br)(8.2mg,1.0×10
−3ミリモル)、NaOtBu(1.0mg,1.0×10−3ミリモル)およびP(Ph−d(2.7mg,2.0×10−3ミリモル)を、1,3,5−トリメトキシベンゼン(0.29mg,1.7×10−3ミリモル)を含有する0.5mL Cに溶解した。H NMRスペクトルを記録した。NH(0.1気圧で5.0cm)を真空輸送により加えた。試験管を密閉し、そして油浴中、90℃で加熱した。31P{H}NMR分光法により、出発物質の消失および(CyPF−t−Bu)Pd P(Ph−dの形成が示された。H NMRスペクトルを記録し、そしてモノアリール化およびジアリール化生成物として4−t−ブチルアニリンおよびジ(4−t−ブチルフェニル)アミンの収率が、内部対照に対するアミンの芳香性C−H共鳴を統合することにより測定された。H NMRにより測定されるように、アリール化生成物はNMR分光法により80%の収率で3:1の比率のモノアリール化対ジアリール化生成物が得られた。
【0158】
実施例31 アリールパラジウム−NH錯体の調製およびアリール生成物を形成する錯体からの還元的脱離
実施例29に記載する反応中、スキーム2に示す触媒的サイクルで記載されるような式IVに従う構造のアリールパラジウムアミド種と思われる中間体が、31P NMR分光法により検出された。この仮説の証拠を提供するために、式IVに従うアリールパラジウムアミド錯体を、以下に記載する独立した経路により調製した。
(a)[(CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(NH)]OTfの調製
(CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(Br)1(220mg,25.9ミリモル)を、高真空バルブに密閉した反応試験管中、5mLのCHClに溶解した。50cmのアンモニアを0.3気圧で真空輸送により反応試験管中に圧縮した。試験管を乾燥ボックスに入れ、AgOTf(66.0mg,25.9ミリモル)を加えた。溶液は直ちに曇った。室温で30分間撹拌した後、溶液を慎重に捨て、そして珪藻土のプラグ(“Celite商標”)を通して濾過した。生じた溶液を元の容量の約1/10に蒸発させた。溶液をトルエンと層化し、そして−35℃で一晩静置した。生成物は、淡黄色の粉末として単離された。X線回折に適する結晶は、室温で錯体のトルエン溶液をゆっくりと結晶化することにより得た。 H NMR(THF−d,−30℃)δ 7.48−7.56(m,1H),7.05−7.22(m,1H),7.05−7.22(トルエンからm),6.80−6.90(m,1H),6.65−6.69(m,1H),5.07(s,br,0.74H,主要),4.96(微量からs,br,0.20H),4.83(主要からs,br,0.78H),4,68(微量からs,br,0.27H),4.63(s,br,1H),4.27(微量からs,1H),4.36(主要からs,4H),3.70(s,3H),3.57−3.61(THFからm,2.7H),3.22−3.32(主要からm,0.77H),3.06(微量からs,br,0.21H),2.94(微量からs,br,0.62H),2.74(主要からs,b,2.37H),2.31(トルエンからs,2.39H),2.03(t,J=7.6Hz,3H),1.56(d,J=11.6Hz,9H),1.05(d,J=11.6Hz,9H),0.80−2.50(m,22 CyH);31P{H]NMR(THF−d,−30℃)70.96(d,J=29.1Hz,主要),68.74(d,J=27.5Hz,微量),25.82(d,J=27.5Hz,微量),20.12(d,J=29.1Hz,主要). IR:ν(NH)3088,3172,3255,3321,3364cm−1.C4062FeNOPd・0.8当量のトルエンに関する理論値 :C,54.34;H,6.83;N,1.39.測定値:C,54.16;H,6.50;N,1.32.
(b) (CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(NH)の調製
[(CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(NH)]OTf(147mg,0.150ミリモル)を5mLのTHFに溶解した。KN(SiMe(33.0mg,0.160ミリモル)を固体として撹拌溶液に加えた。反応は室温で30分間撹拌し
ておき、そしてこれはわずかに淡黄緑色となった。溶媒を真空下で蒸発させた。生じた固体を3mLのベンゼンに溶解した。ベンゼン溶液は珪藻土のプラグ(“Celite商標”)を通して濾過し、そしてベンゼンを真空下で蒸発させた。固体を1mLのTHFに溶解し、そしてペンタンと層化した。純粋に黄色の結晶(47.0mg,40%)は、層化した溶液を−35℃で2日間冷却することにより得た。 H NMR(C)δ 7.88(br,1H),7.64(br,1H),7.04(d,J=7.2Hz,1H),6.94(d,J=6.0Hz,1H),4.56(s,br,1H),4.06(s,br,1H),4.01(s,6H),3.55−3.57(THFからm,0.4H),3.48(s,3H),3.00−3.10(m,1H),1.69(t,J=6.8Hz,3H),1.56(d,J=10.8Hz,9H),1.30(d,J=12.8Hz,9H),0.80−2.5(m,22 CyH),0.47(s,br,2H);31P{H]NMR(THF−d8,−30℃) 65.03(d,J=31.9Hz,主要),64.74(d,J=30.1Hz,微量),17.98(d,J=30.8Hz,微量),11.45(d,J=30.8Hz,主要). IR:ν(NH)3278,3356cm−1. 適切な元素分析は、化合物が固体として室温で12〜24時間で分解するために得られなかった。
(c)(CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(NH)からの還元的脱離反応
(CyPF−t−Bu)Pd(4−MeOPh)(NH)(8.2mg,1.0×10−3ミリモル)およびP(Ph−d(2.7mg,2.0×10−3ミリモル)を、1,3,5−トリメトキシベンゼン(0.29mg,1.7×10−3ミリモル)を含有する0.5mLのCに溶解した。H NMRスペクトルを記録した。試験管を密閉し、そして油浴中、90℃で加熱した。31P{H}NMR分光法により、出発物質の消失および(CyPF−t−Bu)Pd P(Ph−dの形成が示された。H NMRスペクトルを記録し、そして4−t−ブチルアニリンおよびジ(4−t−ブチルフェニル)アミンの収率が、内部対照に対するアミンの芳香性C−H共鳴を統合することにより測定された。
【0159】
本明細書に引用するすべての参考文献は参考により編入する。本発明は本発明の精神または本質的特性から逸脱することなく他の具体的形態で具現化することもでき、したがって前記の明細書よりもむしろ、本発明の範囲を示すような添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族一級アミンの調製法であって、該芳香族一級アミンが芳香族環に結合したアミノ基を含んでなり、該方法が:
(a)芳香族環に結合した脱離基を含んでなるアリール化剤;および
(b)
(i)アンモニア:および
(ii)金属アミド
からなる群から選択されるアンモニエーティング剤
を:
(a)第VIII族金属原子またはイオン;および
(b)リガンド、ここでリガンドは式I:
【化1】

[式中、
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【化2】

式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル,−OR
、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは固相支持体への結合点である]
の化合物である、
を含んでなる錯体を含んでなる組成物中で反応させることを含んでなるが、ただしアンモニエーティング剤がアンモニアである場合、組成物はさらに塩基を含んでなる錯体を含んでなり;
これによりアリール化剤の脱離基がアミノ基により置換されて芳香族一級アミンを形成する、上記方法。
【請求項2】
第VIII族金属がニッケル、パラジウムおよび白金からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第VIII族金属がパラジウムである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
脱離基がクロライド、ブロマイドおよびアイオダイドからなる群から選択されるハロゲンである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
アンモニエーティング剤がアンモニアである請求項3に記載の方法。
【請求項6】
塩基がアルカリ金属アルコキシド、カーボネートおよびホスフェートからなる群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
塩基がナトリウムt−ブトキシド、炭酸セシウムおよび三塩基性リン酸カリウムからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
塩基がナトリウムt−ブトキシドである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
アンモニエーティング剤が金属アミドである請求項3に記載の方法。
【請求項10】
金属アミドがアルカリ金属アミドである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
組成物がさらにハロゲン化亜鉛を含んでなる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ金属アミドがリチウムアミドである請求項9に記載の方法。
【請求項13】
組成物がさらに塩化亜鉛を含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
が1もしくは少数の存在で水素以外である請求項3に記載の方法。
【請求項15】
各Rが水素である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
が水素またはメチルである請求項14に記載の方法。
【請求項17】
がメチルである請求項15に記載の方法。
【請求項18】
各RおよびRが独立して二級または三級アルキルである請求項14に記載の方法。
【請求項19】
各RおよびRが独立して二級または三級アルキルである請求項17に記載の方法。
【請求項20】
各RおよびRが三級アルキルである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各RおよびRがt−ブチルである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式Iの化合物が、1−[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン、1−[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]−エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニ
ル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィンからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項23】
式Iの化合物が、[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン、[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)
ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;および[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィンからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項24】
式Iの化合物が、1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
式Iの化合物が、1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンである請求項3に記載の方法。
【請求項26】
式Iの化合物が、(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン、(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキ
シルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;またはそのラセミ混合物である請求項3に記載の方法。
【請求項27】
アンモニエーティング剤がアンモニアである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
塩基がナトリウムt−ブトキシドである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
アンモニエーティング剤がアルカリ金属アミドである請求項26に記載の方法。
【請求項30】
アンモニエーティング剤がリチウムアミドである請求項29に記載の方法。
【請求項31】
脱離基がクロライド、ブロマイドおよびアイオダイドからなる群から選択される請求項27に記載の方法。
【請求項32】
脱離基がクロライド、ブロマイドおよびアイオダイドからなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項33】
脱離基がクロライド、ブロマイドおよびアイオダイドからなる群から選択される請求項29に記載の方法。
【請求項34】
脱離基がクロライド、ブロマイドおよびアイオダイドからなる群から選択される請求項30に記載の方法。
【請求項35】
(a)
(i)アンモニア:および
(ii)金属アミド
からなる群から選択されるアンモニエーティング剤、および
(b)
(i)第VIII族金属原子またはイオン;および
(ii)リガンド、ここでリガンドは式I:
【化3】

[式中、
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−PRは式II:
【化4】

式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル,−OR、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは固相支持体への結合点である]
の化合物である
を含んでなる錯体:
を含んでなる組成物であるが、ただしアンモニエーティング剤がアンモニアである場合、組成物はさらに塩基を含んでなる上記組成物。
【請求項36】
第VIII族金属がニッケル、パラジウムおよび白金からなる群から選択される請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
第VIII族金属がパラジウムである請求項35に記載の組成物。
【請求項38】
アンモニエーティング剤がアンモニアである請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
塩基がアルカリ金属アルコキシド、カーボネートおよびホスフェートからなる群から選択される請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
塩基がナトリウムt−ブトキシド、炭酸セシウムおよび三塩基性リン酸カリウムからなる群から選択される、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
塩基がナトリウムt−ブトキシドである請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
アンモニエーティング剤が金属アミドである請求項37に記載の組成物。
【請求項43】
金属アミドがアルカリ金属アミドである請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
さらにハロゲン化亜鉛を含んでなる請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
アルカリ金属アミドがリチウムアミドである請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
さらに塩化亜鉛を含んでなる請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
が1もしくは少数の存在で水素以外である請求項37に記載の組成物。
【請求項48】
各Rが水素である請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
が水素またはメチルである請求項47に記載の組成物。
【請求項50】
がメチルである請求項48に記載の組成物。
【請求項51】
各RおよびRが独立して二級または三級アルキルである請求項47に記載の組成物。
【請求項52】
各RおよびRが独立して二級または三級アルキルである請求項49に記載の組成物。
【請求項53】
各RおよびRが三級アルキルである請求項51に記載の組成物。
【請求項54】
各RおよびRがt−ブチルである請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
式Iの化合物が、1−[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン、1−[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]−エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ
(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィンからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項56】
式Iの化合物が、[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン、[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェ
ロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;および[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニ
ル]メチルジフェニルホスフィンからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項57】
式Iの化合物が、1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項58】
式Iの化合物が、1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンである請求項37に記載の組成物。
【請求項59】
式Iの化合物が、(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン、(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;またはそのラセミ混合物である請求項37に記載の組成物。
【請求項60】
アンモニエーティング剤がアンモニアである請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
塩基がナトリウムt−ブトキシドである請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
アンモニエーティング剤がアルカリ金属アミドである請求項59に記載の組成物。
【請求項63】
アンモニエーティング剤がリチウムアミドである請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
式IV:
【化5】

[式中、
Mは第VIII族金属原子またはイオンを含んでなり;
Arは芳香族環を含んでなる部分を表し、ここで芳香族環の炭素原子はMの第VIII族金属原子またはイオンにシグマ結合し;
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、または−P
は式II:
【化6】

式中、αおよびβは場合により置換されてもよい芳香族環である
の基であり:
およびRは独立して(C−C12)アルキル、(C−C12)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択されるか、あるいは−PRは式IIの基であり;
は水素、(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキルおよび場合により置換されてもよい芳香族環からなる群から選択され;
各Rは独立して水素および(C−C)アルキルからなる群から選択され;
ここで各該場合により置換されてもよい芳香族環は非置換であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)ヘテロアルキル、(C−C)弗化アルキル、−OR、−SRおよびNRからなる群から独立して選択される1もしくは複数の置換基により任意の置換可能な位置で置換され;
各Rは独立して(C−C)アルキルおよび(C−C)ヘテロアルキルからなる群から選択されるか、あるいはNRが存在する場合において、他に存在するNRから独立して、2個のR基は組合わさって(C−C)アルキレンまたは(C−C)ヘテロアルキレンを形成し;
あるいは任意の1個のR、または任意の1つの基R、R、R、R、RおよびRの任意の1つの置換可能な位置は、直接もしくは連結基を介してポリマーもしくは固相支持体への結合点である]
の遷移金属錯体。
【請求項65】
第VIII族金属がニッケル、パラジウムおよび白金からなる群から選択される請求項64に記載の遷移金属錯体。
【請求項66】
第VIII族金属がパラジウムである請求項64に記載の遷移金属錯体。
【請求項67】
が1もしくは少数の存在で水素以外である請求項66に記載の遷移金属錯体。
【請求項68】
各Rが水素である請求項67に記載の遷移金属錯体。
【請求項69】
が水素またはメチルである請求項67に記載の遷移金属錯体。
【請求項70】
がメチルである請求項68に記載の遷移金属錯体。
【請求項71】
各RおよびRが独立して二級または三級アルキルである請求項67に記載の遷移金属錯体。
【請求項72】
各RおよびRが独立して二級または三級アルキルである請求項70に記載の遷移金属錯体。
【請求項73】
各RおよびRが三級アルキルである請求項72に記載の遷移金属錯体。
【請求項74】
各RおよびRがt−ブチルである請求項73に記載の遷移金属錯体。
【請求項75】
1−[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン、1−[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]−エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;1−[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチル−ジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロ
ヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]エチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィンからなる群から選択されるリガンドを含んでなる請求項66に記載の遷移金属錯体。
【請求項76】
[2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン、[2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)−フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(S)−
2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(S)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(S)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチル−ジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ(3,5−ビス−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィノ)フェロセニル]メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジ−2−フリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−3,5−キシリルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィン;[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]メチルジ−t−ブチルホスフィン;[(R)−2−(ジ−p−トリルホスフィノ)フェロセニル]メチルジシクロヘキシルホスフィン;および[(R)−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)フェロセニル]メチルジフェニルホスフィンからなる群から選択されるリガンドを含んでなる請求項66に記載の遷移金属錯体。
【請求項77】
1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;1−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(R)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィン;および(S)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンからなる群から選択されるリガンドを含んでなる請求項66に記載の遷移金属錯体。
【請求項78】
1−[2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンであるリガンドを含んでなる請求項66に記載の遷移金属錯体。
【請求項79】
(R)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンまたは(S)−1−[(R)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンであるリガンドを含んでなる請求項66に記載の遷移金属錯体。

【公表番号】特表2009−530403(P2009−530403A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501585(P2009−501585)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/007290
【国際公開番号】WO2007/109365
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(504026203)イエール・ユニバーシテイ (7)
【Fターム(参考)】