説明

荷電粒子線装置及び該装置を用いたデバイス製造方法

【課題】試料全体にわたりチャージアップのない状態で試料表面の観察及び評価を可能にした荷電粒子線装置及び該装置を使用した半導体デバイス製造方法を提供すること。
【解決手段】 荷電粒子線装置は、一次荷電粒子線を試料19に向けて照射する手段1、2、3と、一次荷電粒子線の試料19へ向けた照射によって試料19の表面の情報を得た二次荷電粒子線を検出器Dへ導く手段と、検出器Dに導かれた二次荷電粒子線を画像として合成する手段と14を備える。この荷電粒子線装置は、試料19の表面の帯電電荷量を計測する計測手段24と、計測手段24によって計測された帯電電荷量に基づいて、試料19の表面における帯電電荷量を低減又は消滅させる帯電解消手段6、17とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線を試料の表面に照射することにより、試料表面の構造や電気的導通状態(電子ビームテスティング)等の検査、観察、評価を行う荷電粒子線装置、及び該装置を使用する半導体デバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料表面に荷電粒子線を照射して試料表面から放出される二次荷電粒子を検出し、その検出結果から画像を合成して試料表面の情報を得る荷電粒子線装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図4は、絶縁物に一次電子線を照射した場合の、一次電子線照射エネルギーと二次電子の放出効率σとの関係を示す。照射される一次電子線のエネルギーが約50eV以上で1500〜2000eV以下の範囲では、二次電子の放出効率σが1以上となり、入射した一次電子線よりも多くの二次電子が放出される。このため、絶縁物の表面は正にチャージアップされる。しかし、一次電子線のエネルギーが上記範囲の上又は下にある場合には放出効率σが1以下となり、絶縁物の表面は負にチャージアップされる。このような正の又は負のチャージアップが大きくなると、二次電子から形成される観察・評価用の画像に歪みが生じ、試料表面の正確な情報が得られないという問題があった。
【0004】
負へのチャージアップに対しては、キャピラリーチューブを用い、試料上の観察位置にガスを局所的に供給してガス分子を試料表面に衝突させ、この衝突によりガス分子と電子を結合させてガス分子をイオン化することによって試料表面の電荷を中和する方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。しかし、広い面積に荷電粒子線を照射する写像投影方式の荷電粒子線装置では、荷電粒子線で照射される部分全体に均一にガスを供給することは不可能であるため、この中和方法は写像投影方式の荷電粒子線装置には適していない。
【0005】
一方、正のチャージアップに対しては、タングステンなどの熱フィラメント型電子源によって試料に電子照射を行い、そのチャージアップを中和する方法も考えられるが、その場合、絶縁物が正帯電から電荷ゼロの状態に移行し、更に負帯電に進行してしまいやすく、その制御は困難であるという問題がある。
【0006】
試料の表面にガスを均一に供給してチャージアップを低減する方法も提案されている(例えば特許文献3参照)。しかし、通常は試料の表面での圧力は0.01〜0.1Paという大きな値を有するので、試料表面に荷電粒子線を照射した場合には収差が発生してしまって、観察・評価用の画像にボケが発生する。このため、この方法は線幅0.1μm以下の試料の観察には適していない。しかも、チャンバ内の圧力も0.001〜0.1Paと高くなるため、チャンバ内が汚染され、高電圧が印加される部分に放電が発生するといった問題が存在する。
【0007】
また、試料表面にレーザ光を照射してチャージアップを低減する方法も提案されている(例えば特許文献4参照)。しかし、レーザ光の照射強度が10W/cm程度必要であるため、多大なエネルギーを消費し、非経済的である。
【特許文献1】特開平5−258703号公報
【特許文献2】特開平10−275583号公報
【特許文献3】特願2003−20126号
【特許文献4】特開2003−331774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために提案されたものであって、試料全体にわたりチャージアップのない状態で試料表面の観察及び評価を可能にした荷電粒子線装置及び該装置を使用した半導体デバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の書目的を達成するために、請求項1の発明は、
一次荷電粒子線を試料に向けて照射する手段と、
前記一次荷電粒子線の前記試料へ向けた照射によって前記試料の表面の情報を得た二次荷電粒子を検出器へ導く手段と、
前記検出器に導かれた前記二次荷電粒子を画像として合成する手段と、
を備える荷電粒子線装置であって、
前記試料の表面の帯電電荷量を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された前記帯電電荷量に基づいて、前記試料の表面における帯電電荷量を低減又は消滅させる帯電解消手段と、
を具備し、
前記帯電解消手段が、前記試料の全体を覆うカバーと、前記試料に光を照射するために前記カバーに設けられた光源と、前記カバー内にガスを供給するためのガス供給手段と
を備え、前記帯電電荷量、導入ガスの電離確率、電気素量及び前記導入ガスの第一電離電圧に基づいて前記光源の強度を算出することを特徴とする荷電粒子線装置、
を提供する。
【0010】
請求項2の発明は、前記一次荷電粒子線の電流密度を10A/cm以下に設定したことを特徴とする。
請求項3の発明は、前記一次荷電粒子線のエネルギーを1eV以上20keV以下に設定したことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記計測手段が、前記試料の表面における一次荷電粒子照射領域の電位を計測する手段を備えることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記光源がレーザ光源と光源ランプとのうちのいずれかであり、前記レーザ光源からのレーザ光又は前記光源ランプからのインコヒーレント光の波長帯域が300nm〜600nm又はそれ以下であることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、前記レーザ光又は前記インコヒーレント光の照射密度が1W/cm以上であることを特徴とする。
請求項7の発明は、前記試料を載置するためのステージを更に備え、前記カバーが、前記ステージ上に載置された前記試料を覆い且つ少なくとも一つのガス導入口を有することを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、前記カバーによって覆われた空間におけるガス圧が0.0001〜0.1Paであることを特徴とする。
請求項9の発明は、前記ガスが、窒素、水蒸気、電子親和力の高いハロゲン系のガス、及びそれらの化合物のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、前記帯電解消手段が、前記計測手段の出力に基づいて、前記ガス供給手段によって供給されるガスの量と前記光源から発される光の強度とを制御する機構を更に備えることを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、前記帯電解消手段が、前記試料の配線間の静電容量C[F]と前記計測手段によって計測された前記試料の表面電位V[V]とに基づき、前記試料の帯電電荷量Q[c]をQ=C×Vの式により求め、更に、前記帯電解消手段が、前記帯電電荷量、導入ガスの分子量、温度、前記導入ガスの電離確率、電気素量、チャージアップの時定数及び前記カバーの差動排気速度を基に導入ガス量を算出することを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明は、前記帯電解消手段が、前記試料の配線間の静電容量C[F]と前記計測手段によって計測された前記試料の表面電位V[V]とに基づき、前記試料の帯電電荷量Q[c]をQ=C×Vの式により求めることを特徴とする。
【0017】
請求項13の発明は、請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載の荷電粒子線装置を用いて、プロセス途中のウエハ評価を行うことを特徴とする半導体デバイス製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る荷電粒子線装置の実施の形態を説明する。当業者は理解するように、以下に説明する実施の形態は単なる例示であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図1〜図3において、同一の参照数字は同じ又は同様の構成要素を指すものとする。
【0019】
図1は、本発明に係る荷電粒子線装置の第1の実施の形態の構成を概略的に示しており、荷電粒子線装置は写像投影方式の電子ビーム装置として実現されている。この写像投影型電子ビーム装置は、直交する3つの軸の方向に移動可能且つ1つの軸の周りに回転可能なステージ18を備えており、ステージ18の上に試料(例えば、LSI製造途中の回路パターンが形成されている8〜12インチのシリコンウエハ)19が載置される。この試料19に対して、カソード1から放出された一次電子ビームが、ウェーネルト電極2、アノード3、アパーチャ5、静電レンズ4、E×Bフィルタ等のビームスプリッタ8を備える一次電子光学系を介して照射される。この照射により試料19の表面から放出される二次電子(後方散乱電子及び反射電子を含む)は、二次電子光学系を構成する写像光学系の静電レンズ7、9、10により50〜1000倍に拡大されて検出器Dに結像される。
【0020】
検出器Dは、マイクロチャンネルプレート(MCP)11、蛍光板12及びTDI(Time Delayed Integration)13を備えている。二次電子はMCP11により増倍され、蛍光板12にて2次元の光信号に変換され、この2次元の光信号がTDI13に導かれて画像として検出される。ステージ18の上下方向及び左右方向の連続的移動と共に、その上に載置された試料19も連続的に移動され、TDI13によって2次元画像信号が高速に取得される。TDI13から出力された画像信号は画像処理機構14に供給され、画像処理機構14において、試料19の電子像が形成されるとともに試料19の欠陥検出、欠陥分類判別がなされ、製造工程管理にフィードバックされる。
【0021】
更に、図1に示す電子ビーム装置は、試料19のチャージアップを解消するために、以下に説明する手段を有する。図1及び図2に示す如く、ステージ18上に載置された試料19全体を覆うように、カバー20が設けられ、カバー20にはガス導入口21が形成され、ガス導入口21に、流量調整器16を介してガスボンベ17が接続される。試料19の表面全体において均一にチャージアップを解消するためには、カバー20の内部にガスをなるべく均一に導入することが重要である。このため、ガス導入口21は、カバー20の周囲に等間隔に複数個(例えば8個)設けられることが望ましい。ガスボンベ17から供給するガスとしては、N、He、Ar、乾燥空気、SF、Xe、Ne、H、Oなどを用いることができる。
【0022】
カバー20の内部の適所には光源6が設置され、光源6から発せられた光により試料19を照射する。この光の強度を調整するために光強度調整器26が設けられる。光源6としては、レーザ光を発するレーザ光源とインコヒーレント光を発する光源ランプとのいずれかを用いることができる。レーザ光及びインコヒーレント光の波長帯域は300nm〜600nm又はそれ以下であることが望ましい。また、それらの照射密度は1W/cm以上であることが好ましい。レーザ光源としては例えばHe−Cdレーザを用いることができ、この場合、レーザ光の波長は500nm以下であることが望ましく、特に325nm及び420nmの2種類の波長のものがこのましい。また、照射強度は2W/cm以下、特に1W/cm以下が好ましく、照射面積は1mm以下であることが望ましい。その他のレーザ光源としては、レーザダイオード、YAG、エキシマレーザ、TiAlなどを用いることができる。レーザ光の照射方法としては、連続照射方法、パルス照射方法などを用いることができる。
【0023】
なお、図1における実施の形態においては1個の光源6しか用いていないが、光強度を高めるために、光源6を複数個設けることも有効である。この場合、試料19の中心軸に関して対称に複数の光源を設置して、対称な方向からの複数の光によって試料19を照射して照射効率を上げることができるようにしてもよい。
【0024】
更に、試料19の表面が一次電子ビームによって照射される領域の電位計測を行うために、カバー20の内部には表面電位計24が設けられる。ガス導入量及び光強度制御機構25は、表面電位計によって計測された電位から試料19の表面の帯電電荷量を算出するとともに、この帯電電荷量を低減し又は消滅するために必要な、カバー20内へ導入されるべきガス量と光源6から発せられる光の強度とを算出し、この算出結果を設定値としてガス流量調整器16及び光強度調整器26に供給してそれらの制御を行う。
【0025】
なお、試料19の表面の帯電電荷量は、例えば、式Q=C×Vを用いて算出することができる。ただし、Qは帯電電荷量[c]、Cは配線間の静電容量[F]、Vは表面電位[V]であり、配線間の静電容量は回路設計時に確定される。
【0026】
帯電電荷量から導入ガス量を算出するには、例えば、式
【0027】
【数1】

【0028】
を用いることができる。ただし、Gはガス導入量[L/sec]、Pは試料表面圧力[Pa]、Seffはカバー20の差動排気速度[L/sec]、Mは導入ガスの分子数、Tは温度[K]、ηは導入ガスの電離確率、qは電気素量[c]、τはチャージアップの時定数[sec]である。また、帯電電荷量からレーザ強度を算出するには、例えば、式
【0029】
【数2】

【0030】
を用いることができる。ただし、Wはレーザ強度[w]、Vgは導入ガスの第一電離電圧[V]、Nmは導入ガスの単位体積当たりの分子数[個/cm]である。
そこで、ガスボンベ17からガス導入口21を介してカバー20内へガスを導入し、カバー20内がガス導入量及び光強度制御機構25から出力される設定値に対応するガス圧力に達した後、光源6を起動して光の照射を開始する。こうして光源6から放出される光の強度も、ガス導入量及び光強度制御機構25から出力される設定値に対応する。光源6からの光によって照射されたガスは、イオン化したガスとして試料19の表面に達する。このような状態で一次電子ビームを試料19に照射した場合、試料19の表面に正負どちらのチャージアップが発生したとしても、光の照射によってイオン化されたガスの中和作用が働くため、試料19の表面の電荷を平衡状態(すなわち、電荷ゼロの状態)とすることができる。また、光によって試料19を直接照射することで、試料19の表面の導電性を上げ、金属と絶縁物との表面電位の均一性を向上させることができるため、イオン化用のガスの中和作用との相乗効果により一層良好な電荷平衡状態が得られる。このため、図1に示す構成の電子ビーム装置を用いることにより、チャージアップ及び歪みのない良好な画像を得ることができる。
【0031】
図3は、本発明に係る荷電粒子装置の第2の実施の形態の構成を概略的に示す図で、荷電粒子装置は走査型の電子ビーム装置として実現されている。なお、図3においては、図1及び図2におけると同一の又は同様の素子には同一の参照数字が付されている。
【0032】
図3において、カソード1から放出された電子ビームはウェーネルト電極2を通過してからアノード3によって加速される。加速された電子ビームはアパーチャ5を通過し、静電レンズ4と走査コイル23によって所望の倍率で試料19の表面の走査を行う。電子ビームの照射により試料19から放出された二次電子、後方散乱電子又は反射電子は、ホトマルなどの検出器22によって検出され、二次元画像等の取得が可能となる。この実施の形態においても、図1及び図2に関して上述したような手段及び方法を用いて、試料19の表面の電荷を平衡状態とすることにより、チャージアップ及び歪みのない良好な画像が得られる。
【実施例1】
【0033】
以下、本発明に係る荷電粒子装置の実施例について説明する。実施例1は図1に示す第1の実施の形態に関する実施例である。図1に示す写像投影方式の電子ビーム装置において、試料19及びステージ18を含む試料室(図示せず)の全体を1.0×10−6Pa程度まで排気を行った後、ガスボンベ17から窒素ガスをレギュレータ(図示せず)を介して0.1MPa程度に減圧し、流量調整器16にて5sccmに調整した後、ガス導入口21からカバー20内に窒素ガスを導入した。このガス導入により、カバー20内の圧力は1.0×10−3Pa程度となる。一次電子光学系コラム、二次電子光学系コラム、検出器などの、動作環境が高真空であることが要求される箇所は、差動排気機構により1.0×10−5Pa程度の高真空に維持した。
【0034】
この圧力条件下において、レーザ光の強度を、窒素ガスをイオン化可能な値に設定した後、試料19の一次電子ビーム照射領域付近にレーザ光を照射して試料表面の観察・評価用画像の取得を行った。レーザ光の照射によって窒素ガスはイオン化され、その中和作用によって試料19の表面電荷はゼロに近づいて平衡状態とされた。この結果、特に像高の高い周辺部や絶縁物の領域においてもチャージアップ及び画像歪みのない良好な画像を得ることが出来た。
【実施例2】
【0035】
図1に示す電子ビーム装置において、上記実施例1における窒素に代えて、窒素よりも電子親和力の強いハロゲン系のガスを導入して前記プロセスを実施したところ、試料19の表面の電荷が平衡状態に達するまでの時間を短縮することができ、ウエハなどの試料の検査を行う場合に検査を高スループット化できることがわかった。
【0036】
以上、本発明に係る荷電粒子装置について詳述したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、多くの変形や修正を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、試料表面の帯電電荷量を低減又は消滅させるようにしたので、画像歪みのない良好な画像を得ることができ、写像投影方式や走査型の荷電粒子装置に適用すると有効である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る荷電粒子装置の第1の実施の形態の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1におけるガス導入量及びレーザ強度制御機構の構成の一例を概略的に示す図である。
【図3】本発明に係る荷電粒子装置の第2の実施の形態の構成を概略的に示す図である。
【図4】SiO2製の絶縁物に電子線を照射したときの、照射電子線のエネルギーと二次電子放出効率σとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0039】
1:カソード、 2:ウェーネルト電極、 3:アノード、
4:静電レンズ、 5:アパーチャ、 6:光源、 7:静電レンズ、 8:E×Bフィルタ、 9:静電レンズ、 10:静電レンズ、 11:マイクロチャンネルプレート、 12:蛍光板、 13:TDI、 14:画像処理機構、 16:流量調整器、 17:ガスボンベ、 18:ステージ、 19:試料、 20:カバー、 21:ガス導入口、 22:検出器、 23:走査コイル、 24:表面電位計、 25:ガス導入量及び光強度制御機構、 26:光強度調整器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次荷電粒子線を試料に向けて照射する手段と、
前記一次荷電粒子線の前記試料へ向けた照射によって前記試料の表面の情報を得た二次荷電粒子を検出器へ導く手段と、
前記検出器に導かれた前記二次荷電粒子を画像として合成する手段と、
を備える荷電粒子線装置であって、
前記試料の表面の帯電電荷量を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された前記帯電電荷量に基づいて、前記試料の表面における帯電電荷量を低減又は消滅させる帯電解消手段と、
を具備し、
前記帯電解消手段が、前記試料の全体を覆うカバーと、前記試料に光を照射するために前記カバーに設けられた光源と、前記カバー内にガスを供給するためのガス供給手段と
を備え、前記帯電電荷量、導入ガスの電離確率、電気素量及び前記導入ガスの第一電離電圧に基づいて前記光源の強度を算出することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項2】
前記一次荷電粒子線の電流密度を10A/cm以下に設定したことを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項3】
前記一次荷電粒子線のエネルギーを1eV以上20keV以下に設定したことを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項4】
前記計測手段が、前記試料の表面における一次荷電粒子照射領域の電位を計測する手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項5】
前記光源がレーザ光源と光源ランプとのうちのいずれかであり、
前記レーザ光源からのレーザ光又は前記光源ランプからのインコヒーレント光の波長帯域が300nm〜600nm又はそれ以下であることを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項6】
前記レーザ光又は前記インコヒーレント光の照射密度が1W/cm以上であることを特徴とする、請求項5に記載の荷電粒子線装置。
【請求項7】
前記試料を載置するためのステージを更に備え、
前記カバーが、前記ステージ上に載置された前記試料を覆い且つ少なくとも一つのガス導入口を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項8】
前記カバーによって覆われた空間におけるガス圧が0.0001〜0.1Paであることを特徴とする、請求項7に記載の荷電粒子線装置。
【請求項9】
前記ガスが、窒素、水蒸気、電子親和力の高いハロゲン系のガス、及びそれらの化合物のうちのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項10】
前記帯電解消手段が、前記計測手段の出力に基づいて、前記ガス供給手段によって供給されるガスの量と前記光源から発される光の強度とを制御する機構を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項11】
前記帯電解消手段が、前記試料の配線間の静電容量C[F]と前記計測手段によって計測された前記試料の表面電位V[V]とに基づき、前記試料の帯電電荷量Q[c]をQ=C×Vの式により求め、更に、前記帯電解消手段が、前記帯電電荷量、導入ガスの分子量、温度、前記導入ガスの電離確率、電気素量、チャージアップの時定数及び前記カバーの差動排気速度を基に導入ガス量を算出することを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項12】
前記帯電解消手段が、前記試料の配線間の静電容量C[F]と前記計測手段によって計測された前記試料の表面電位V[V]とに基づき、前記試料の帯電電荷量Q[c]をQ=C×Vの式により求めることを特徴とする、請求項1に記載の荷電粒子線装置。
【請求項13】
請求項1〜12のうちのいずれか1つに記載の荷電粒子線装置を用いて、プロセス途中のウエハ評価を行うことを特徴とする半導体デバイス製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−140935(P2009−140935A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19535(P2009−19535)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【分割の表示】特願2006−246249(P2006−246249)の分割
【原出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】