説明

荷電粒子線露光装置、荷電粒子線露光方法、および、デバイス製造方法

【課題】所望のパターン寸法精度を得られる荷電粒子線露光装置を提供する。
【解決手段】露光される基板に対して荷電粒子線の遮蔽と露光を繰り返すブランキング手段を用いて前記基板を露光する荷電粒子線露光装置において、ブランキングの方向を調整する。ブランキングの方向は、例えばラスタースキャン方向と垂直な方向または荷電粒子線の基板上でのビーム径が最も短い方向となるように調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線やイオンビーム等の荷電粒子線を用いて露光を行う荷電粒子線露光装置および方法に関し、特に、荷電粒子線をブランキングしながら被露光基板に描画する荷電粒子線露光装置および方法に関するものである。このような装置および方法は、主に半導体集積回路等の露光に用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来のラスタースキャン型電子ビーム露光装置を図11に示す。
電子源101から放出された電子ビームは電磁レンズ102によって電子源101の像103を形成する。その電子源像103は電磁レンズ105、108から成る縮小電子光学系を介してウエハ109上に縮小投影される。ブランカー104は電子源像103の位置にある静電型偏向器で、ウエハ109に対する電子ビームの照射と遮蔽を制御する。すなわち、電子ビームをウエハ109に対して照射する場合は、ブランカー104を用いずに、ウエハ109上に電子ビームを照射する。一方、電子ビームをウエハ109に対して遮蔽する場合は、ブランカー104を用いて電子ビームを偏向させ、縮小電子光学系の瞳上に位置するブランキングアパーチャ106で電子ビームを遮蔽する。また、電子ビームは静電偏向器107によってウエハ上を走査される。
【0003】
次にラスタースキャンでウエハ109を描画する方法を図12を用いて説明する。例えばパターン「A」を描画したい場合、まず描画領域を複数のピクセル201に分割する。そして、静電偏向器を用いて電子ビーム202をX方向に走査しながら、電子ビーム202の照射と遮蔽を制御することで、描画すべきパターン部分のピクセル203においてのみ電子ビームの照射を行う。X方向の走査が終了すると、電子ビーム202はY方向にステップし、X方向の走査を同様に行うことでパターン「A」全体を描画する。
【特許文献1】特開平09−245708号公報
【非特許文献1】電子・イオンビームハンドブック 日本学術振興会第132委員会編 日刊工業新聞社 P.519
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子ビームをラスタースキャンしてピクセルを露光する場合、図13(A)に示すように、電子ビームのピクセル内での位置は、ラスタースキャン方向(X方向)では時間とともに変化するが、ラスタースキャン方向と直交する方向(Y方向)では時間とともに変化しない。すなわち、ラスタースキャン方向(X方向)のピクセル内でのビーム電流強度分布は、図13(B)に示すように、電子ビームがピクセル内を移動した時の移動平均となる。図13(C)にその結果であるピクセル内のビーム電流強度分布を示す。したがって、たとえビーム電流強度分布が軸対称なガウス分布であったとしても、ラスタースキャンで描画するとラスタースキャン方向(X方向)にビーム電流強度分布が広がり、あたかもその方向にぼけたかのようになる。そのため、所望のパターン寸法精度を得ることが難しい。
【0005】
さらに、電子ビームが電磁レンズや偏向器の影響で非点収差やコマ収差を持っており、ビーム電流強度分布がガウス分布でない場合も、所望のパターン寸法精度を得ることが難しい。この問題は、ラスタースキャン型であるか否かに関わらず、生じる問題である。
本発明は、上述の従来例における問題点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る第1の荷電粒子線露光装置は、荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光装置であって、前記荷電粒子線を少なくとも2つの方向に偏向する偏向器を有し、前記荷電粒子線を偏向して前記被露光基板への照射を制御するブランキング手段と、前記荷電粒子線の偏向方向を設定する設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第2の荷電粒子線露光装置は、複数の荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光装置であって、前記荷電粒子線を少なくとも2つの方向に偏向する偏向器をそれぞれ有し、前記荷電粒子線をそれぞれ偏向して前記被露光基板への照射を制御するブランキングアレイ手段と、前記荷電粒子線の偏向方向を設定する設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記ブランキング手段またはブランキングアレイ手段としては、前記荷電粒子線を通過させるための開口部を有し、前記偏向器は、前記開口部を挟んで異なる4つの方向に配置された4対の電極を含み、前記荷電粒子線は少なくとも4つの方向に偏向可能であるものを用いることができる。
本発明において、前記設定手段は、例えば、前記被露光基板上での前記荷電粒子線のビーム形状に基づいて前記荷電粒子線の偏向方向を設定する。この場合、前記設定手段は、前記荷電粒子線の偏向方向を前記被露光基板上での前記荷電粒子線のビーム径が最も短い方向に設定することが好ましい。
本発明は、前記被露光基板に対して前記荷電粒子線を相対的に走査させる走査手段を備える走査型荷電粒子線露光装置に適用して好適である。この場合、前記設定手段は、前記荷電粒子線の走査方向に基づいて前記荷電粒子線の偏向方向を設定することが好ましい。前記設定手段は、例えば、前記荷電粒子線の偏向方向を前記荷電粒子線の走査方向と略垂直な方向に設定する。
【0009】
本発明に係る第1の荷電粒子線露光方法は、荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光方法であって、前記被露光基板上の露光フィールドを、複数のブランキングフィールドに分割するステップと、前記ブランキングフィールド毎に、ビーム形状を検出するステップと、前記ブランキングフィールド毎に、検出された前記ビーム形状からビーム短径方向を算出するステップと、前記ブランキングフィールド毎に、算出された前記ビーム短径方向に前記荷電粒子線を偏向して前記被露光基板への照射を制御するステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る第2の荷電粒子線露光方法は、複数の荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光方法であって、前記荷電粒子線のビーム形状をそれぞれ検出するステップと、前記荷電粒子線毎に、検出された前記ビーム形状からビーム短径方向を算出するステップと、前記荷電粒子線毎に、算出された前記ビーム短径方向に前記荷電粒子線をそれぞれ偏向して前記被露光基板への照射を制御するステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パターン寸法精度の良い荷電粒子線露光装置および露光方法を提供することができる。また、この装置または方法を用いてデバイスを製造すれば、従来以上に高精度なデバイスを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を実施例を挙げて説明する。
ここでは、荷電粒子線露光装置の例として、(1)ラスタースキャン方向と垂直な方向にブランキングを行う(以下、ブランキングのために電子ビームを偏向する方向をブラン
キング方向という)電子ビーム露光装置、(2)ビーム径が最も短い方向にブランキングを行う電子ビーム露光装置(1本の電子ビームを用いる場合)、(3)ビーム径が最も短い方向にブランキングを行う電子ビーム露光装置(複数の電子ビームを用いる場合)の例を示す。なお、本発明は、電子ビームに限らずイオンビームを用いた露光装置にも同様に適用できる。
【0013】
[第1の実施例]
(1)ラスタースキャン方向と垂直な方向にブランキングを行う電子ビーム露光装置 本実施例のラスタースキャン方向と垂直な方向にブランキングを行う電子ビーム露光装置について、ラスタースキャン方向と垂直な方向に電子ビームをブランキングさせることで、描画パターンの寸法精度を向上出来ることを示す。
【0014】
まず、ブランキング方向にビーム電流強度分布が広がることを、図1を用いて示す。 図1(A)に示すように、ブランキング動作は、ブランカーを作動させずブランキングアパーチャを電子ビームが通過している状態から、ブランカーを作動させ電子ビームをX方向に移動してブランキングアパーチャで遮蔽された状態にする動作である。その際、電子ビームは一定の遷移時間をかけてX方向に移動する。その時、ウエハ上のビーム電流強度分布は、図1(B)に示すように、電子ビームがブランキングアパーチャに遮蔽されながら移動する時の移動平均となる。その結果、ブランキング遷移過程でのビーム電流強度分布は図1(C)のようになる。たとえ電子ビームの強度分布が軸対称なガウス分布であったとしても、ブランキング遷移過程でブランキング方向(X方向)にビーム電流強度分布が広がり、あたかもその方向にぼけたかのようになる。
【0015】
前記したように、ラスタースキャンでラスタースキャン方向に電子ビームはぼけ、ブランキングでもブランキング方向に電子ビームはぼける。よって、ラスタースキャン方向と垂直な方向に電子ビームをブランキングさせることで、電子ビームのラスタースキャン方向のぼけを相殺することができ、描画パターンの寸法精度を向上させることが出来る。
【0016】
図2(A)に、ラスタースキャン方向とブランキング方向を一致させた場合のパターン寸法精度のグラフを、図2(B)に、ラスタースキャン方向とブランキング方向を垂直にした場合のパターン寸法精度のグラフを、それぞれ示す。図2(A)、(B)は計算から求めたグラフである。横軸はフォーカスのずれ量、縦軸はパターン寸法精度である。+2ミクロンのフォーカスのずれがある場合、パターン寸法精度が3倍以上向上していることが分かる。 つまり、ブランキング手段を用いて基板を露光する電子ビーム露光装置において、ブランキングの方向をあらかじめ決められた方向に調整する機能を有することで、パターン寸法精度を向上することが出来る。
【0017】
[第2の実施例]
(2)ビーム径が最も短い方向にブランキングを行う電子ビーム露光装置
(1本の電子ビームを用いる場合)
図3を用いて本実施例の電子ビーム露光装置の動作について説明する。
(ステップ61)
図4に示すように、電子ビームを用いて露光すべき基板内の露光フィールド701を複数の小領域であるブランキングフィールド702に分割する。図4では露光すべきフィールドを4×4のブランキングフィールドに分割している。露光フィールド701をブランキングフィールド702に分割後、ステップ62に移行する。
(ステップ62)
各ブランキングフィールド702の中心位置もしくは最大偏向位置でのビーム形状を検出する。全ブランキングフィールド702でのビーム形状を検出後、ステップ63に移行する。
(ステップ63)
各ブランキングフィールド702でのビーム形状からビーム径が最も短くなる方向を算出する。全ブランキングフィールド702でのビーム短径方向を算出後、ステップ65に移行する。
(ステップ64)
あらかじめ収差計算等から求めたビーム径から、ビーム径が最も短くなる方向を算出する。全ブランキングフィールド702でのビーム短径方向を算出後、ステップ65に移行する。
(ステップ65)
ステップ4もしくはステップ5から、ビーム径が最も短くなる方向を各ブランキングフィールドのブランキング方向として決定する。全ブランキングフィールド702でのブランキング方向を決定後、ステップ66に移行する。
(ステップ66)
各ブランキングフィールドに電子ビームが偏向されたとき、ステップ65で決定したブランキング方向に電子ビームをブランキングしながら描画を行う。
【0018】
以上の動作ステップを行うことで、もともと電子ビームが持っている像高に依存した非点収差やコマ収差によるぼけと、ブランキングによる電子ビームのぼけと、を相殺することができ、描画パターンの寸法精度を向上させることが出来る。
【0019】
図5に、電子ビームのぼけの方向とブランキング方向の計算による比較結果を示す。 図5(A)は、もともとの電子ビームのビーム径が最も長くなる方向とブランキング方向を一致させた場合のパターン寸法精度のグラフである。図5(B)は、もともとの電子ビームのビーム径が最も短くなる方向とブランキング方向を一致させた場合のパターン寸法精度のグラフである。
横軸はフォーカスのずれ量、縦軸はパターン寸法精度を示している。+2ミクロンのフォーカスのずれがある場合、パターン寸法精度が4倍以上向上していることが分かる。
つまり、ブランキング手段を用いて基板を露光する電子ビーム露光装置において、ブランキングの方向をあらかじめ決められた方向に調整する機能を有することで、パターン寸法精度を向上することが出来る。
【0020】
[第3の実施例]
(3)ビーム径が最も短い方向にブランキングを行う電子ビーム露光装置
(複数の電子ビームを用いる場合)
図6は本発明に係るマルチビーム方式の電子ビーム露光装置の要部概略図である。 901から909は複数の電子源像を形成し、その電子源像から電子ビームを放射するマルチソースモジュールで、図6の場合、マルチソースモジュールは5×5の25個が2次元配列されている。901は、電子銃が形成する電子源(クロスオーバー像)である。この電子源901から放射される電子ビームは、コンデンサーレンズ902によって略平行な電子ビームとなる。903は、開孔が2次元配列して形成されたアパーチャアレイ、904は、同一の光学パワーを有する静電レンズが2次元配列して形成されたレンズアレイ、905、906、907、908は、個別に駆動可能な静電偏向器が2次元配列して形成されたマルチ偏向器アレイ、909は、個別に駆動可能な静電のブランカーが2次元配列して形成されたブランカーアレイである。
【0021】
図7を用いて各機能を説明する。コンデンサーレンズ902からの略平行な電子ビームは、アパーチャアレイ903によって複数の電子ビームに分割される。分割された電子ビームは、対応するレンズアレイ904の静電レンズを介して、ブランカーアレイ909の対応するブランカー上に、電子源901の中間像1001を形成する。この時、マルチ偏向器アレイ905、906、907、908は、ブランカーアレイ909上に形成される
電子源の中間像1001の位置(光軸と直交する面内の位置)を個別に調整する。また、ブランカーアレイ909で偏向された電子ビームは、図6のブランキングアパーチャ910によって遮断されるため、ウエハ920には照射されない。一方、ブランカーアレイ909で偏向されない電子ビームは、図6のブランキングアパーチャ910によって遮断されないため、ウエハ920には照射される。
【0022】
図6に戻り、マルチソースモジュールで形成された電子源の複数の中間像は、磁界レンズ915、916、917、918の縮小投影系を介して、ウエハ920に投影される。この時、複数の中間像がウエハ920に投影される際、焦点位置は、ダイナミックフォーカスレンズ(静電もしくは磁界レンズ)911、912で調整できる。913、914は各電子ビームを露光すべき個所へ偏向させる主偏向器と副偏向器である。919はウエハ920上に形成された電子源の各中間像の位置を計測するための反射電子検出器である。921はウエハを移動させるためのステージである。922は電子ビームの位置およびビーム形状を検出するためのマークである。
【0023】
図8を用いて本実施例の電子ビーム露光装置の動作について説明する。
(ステップ111)
複数の電子ビーム一本毎のビーム形状を検出する。全電子ビームのビーム形状を検出後、ステップ112に移行する。
(ステップ112)
各電子ビームの形状からビーム径が最も短くなる方向を算出する。全電子ビームの短径方向を算出後、ステップ113もしくはステップ114に移行する。
(ステップ113)
ビーム径が最も短くなる方向を、電子ビーム1本毎にブランキング方向として決定する。電子ビーム1本毎のブランキング方向を決定後、ステップ115に移行する。(ステップ114)
あらかじめ決められた近接電子ビーム複数本の中心位置もしくは最大軸外位置にある電子ビームのビーム径が最も短くなる方向を、近接電子ビーム複数本のブランキング方向として決定する。近接電子ビーム複数本のブランキング方向を決定後、ステップ115に移行する。
(ステップ115)
各電子ビームをステップ113もしくはステップ114で決定したブランキング方向に電子ビームをブランキングしながら描画を行う。
【0024】
以上の動作ステップを行うことで、複数の電子ビームが各々持っているビームのぼけとブランキングによる電子ビームのぼけとを相殺することができ、複数の電子ビームによる描画パターンの寸法精度を向上させることが出来る。つまり、ブランキング手段を用いて基板を露光する電子ビーム露光装置において、ブランキングの方向をあらかじめ決められた方向に調整する機能を有することで、パターン寸法精度を向上することが出来る。
【0025】
なお、上記実施例において、ブランカーとしての偏向器は、偏向電極を複数対有し、荷電粒子線を光軸回りの360度方向に偏向可能なものを用いることが好ましい。
例として、8極子偏向器を上から見た図を図14に示す。
例えばY方向の正側に電子ビームを変更したい場合には、8極の電極(a)から(h)それぞれに、(a)(√2−1)Vy、(b)Vy、(c)Vy、(d)(√2−1)Vy、(e)−(√2−1)Vy、(f)−Vy、(g)−Vy、(h)−(√2−1)Vyの電圧を印加する。ただしVyは任意の電圧である。
ブランキングの際に用いるブランカーは、12極子偏向器でも20極子偏向器でも良い。
【0026】
また、偏向電極を一対しか持たず、光軸と垂直な1つの直線方向にしか荷電粒子線を偏向できないものを用いる場合にも本発明は適用可能である。この場合、調整手段は、ブランカーを光軸回りに回転させることにより、ブランキング方向を調整する。または、一対の偏向電極を多段並べて、ブランキング方向を増やしても良い。また、複数ビームを用いる場合は、ブランカーを光軸回りに90度回転させるものであってもよい。さらに、ラスタースキャンを行う装置では、荷電粒子線のスキャン方向と必要に応じて基板の向きを調整してもよい。
【0027】
[第4の実施例]
次に以上説明した電子ビーム露光装置を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。
図9に微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ121(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ122(EBデータ変換)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ123(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ124(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した露光制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ125(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ124によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ126(検査)ではステップ125で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ127)される。
【0028】
図10は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ131(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ132(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ133(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ134(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ135(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ136(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ137(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ138(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ139(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。 本実施例の製造方法を用いれば、高集積度の半導体デバイスをパターン寸法精度良く製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施例に係る、ブランキング方向に電子ビームの電流強度分布が広がることを示す図。
【図2】本発明の第1の実施例に従い、ラスタースキャン方向とブランキング方向を垂直にすることによって、パターン寸法精度が良くなることを説明する図。
【図3】本発明の第2の実施例に係る、一本の電子ビームを用いる電子ビーム露光装置において、ビーム径がもっとも短い方向にブランキングを行うフローを説明する図。
【図4】本発明の第2の実施例に係る、全露光フィールドとブランキングフィールドを示す図。
【図5】本発明の第2の実施例に従い、電子ビームのビーム径がもっとも短くなる方向とブランキング方向を一致させることによって、パターン寸法精度が良くなることを説明する図。
【図6】本発明の第3の実施例に係る、本発明に係るマルチビーム方式の電子ビーム露光装置の要部概略図を示す図。
【図7】図6における、マルチソースモジュールの機能を説明する図。
【図8】図6の複数の電子ビームを用いる電子ビーム露光装置において、ビーム径がもっとも短い方向にブランキングを行うフローを説明する図。
【図9】本発明の第3の実施例に係る、微小デバイスの製造フローを説明する図。
【図10】図9におけるウエハプロセスを説明する図。
【図11】従来のラスタースキャン型電子ビーム露光装置の要部概略を示す図。
【図12】ラスタースキャンでウエハを描画する方法を説明する図。
【図13】ラスタースキャン方向に電子ビームの電流強度分布が広がることを示す図。
【図14】8極子偏向器の上から見た図。
【符号の説明】
【0030】
101 電子源
102 電磁レンズ
103 電子源の像
104 ブランカー
105 電磁レンズ
106 電磁レンズ
107 静電偏向器
108 電磁レンズ
109 ウエハ
201 ピクセル
202 電子ビーム
203 描画すべきピクセル
701 露光フィールド
702 ブランキングフィールド
901 電子源(クロスオーバー像)
902 コンデンサーレンズ
903 アパーチャアレイ
904 レンズアレイ
905 マルチ偏向器アレイ
906 マルチ偏向器アレイ
907 マルチ偏向器アレイ
908 マルチ偏向器アレイ
909 ブランカーアレイ
910 ブランキングアパーチャ
911 ダイナミックフォーカスレンズ
912 ダイナミックフォーカスレンズ
913 主偏向器
914 副偏向器
915 磁界レンズ
916 磁界レンズ
917 磁界レンズ
918 磁界レンズ
919 反射電子検出器
920 ウエハ
921 ステージ
922 マーク
1001 電子源の中間像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光装置であって、
前記荷電粒子線を少なくとも2つの方向に偏向する偏向器を有し、前記荷電粒子線を偏向して前記被露光基板への照射を制御するブランキング手段と、
前記荷電粒子線の偏向方向を設定する設定手段と、を備えることを特徴とする荷電粒子線露光装置。
【請求項2】
前記ブランキング手段は、前記荷電粒子線を通過させるための開口部を有し、前記偏向器は、前記開口部を挟んで異なる4つの方向に配置された4対の電極を含み、前記荷電粒子線は少なくとも4つの方向に偏向可能であることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線露光装置。
【請求項3】
前記被露光基板に対して前記荷電粒子線を相対的に走査させる走査手段をさらに備え、前記設定手段は、前記荷電粒子線の走査方向に基づいて前記荷電粒子線の偏向方向を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の荷電粒子線露光装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記荷電粒子線の偏向方向を前記荷電粒子線の走査方向と略垂直な方向に設定することを特徴とする請求項3に記載の荷電粒子線露光装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記被露光基板上での前記荷電粒子線のビーム形状に基づいて前記荷電粒子線の偏向方向を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の荷電粒子線露光装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記荷電粒子線の偏向方向を前記被露光基板上での前記荷電粒子線のビーム径が最も短い方向に設定することを特徴とする請求項5に記載の荷電粒子線露光装置。
【請求項7】
複数の荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光装置であって、
前記荷電粒子線を少なくとも2つの方向に偏向する偏向器をそれぞれ有し、前記荷電粒子線をそれぞれ偏向して前記被露光基板への照射を制御するブランキングアレイ手段と、
前記荷電粒子線の偏向方向を設定する設定手段と、を備えることを特徴とする荷電粒子線露光装置。
【請求項8】
荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光方法であって、
前記被露光基板上の露光フィールドを、複数のブランキングフィールドに分割するステップと、
前記ブランキングフィールド毎に、ビーム形状を検出するステップと、 前記ブランキングフィールド毎に、検出された前記ビーム形状からビーム短径方向を算出するステップと、
前記ブランキングフィールド毎に、算出された前記ビーム短径方向に前記荷電粒子線を偏向して前記被露光基板への照射を制御するステップと、を備えることを特徴とする荷電粒子線露光方法。
【請求項9】
複数の荷電粒子線を用いて被露光基板上に所望のパターンを露光する荷電粒子線露光方法であって、
前記荷電粒子線のビーム形状をそれぞれ検出するステップと、
前記荷電粒子線毎に、検出された前記ビーム形状からビーム短径方向を算出するステップと、
前記荷電粒子線毎に、算出された前記ビーム短径方向に前記荷電粒子線をそれぞれ偏向して前記被露光基板への照射を制御するステップと、を備えることを特徴とする荷電粒子線露光方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の荷電粒子線露光装置を用いて被露光基板を露光する工程と、露光された前記被露光基板を現像する工程と、を備えるデバイス製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−19439(P2006−19439A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194775(P2004−194775)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】