説明

落雷保護を有する構造物の形成方法

落雷保護を有する構造物(20,120,220)を形成する方法であって:
少なくとも1つの構造層(60,160,260)を付与する工程;
少なくとも1つの補強層(40,140,240)に配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)を得る工程;
前記少なくとも1つの補強層(40,140,240)に配置された前記1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)を、前記少なくとも1つの構造層(60,160,260)へ付与する工程;そして
前記少なくとも1つの構造層と、落雷保護ストリップと、補強層とから構造物を形成する工程;
を含む、前記方法。少なくとも1つの落雷保護ストリップは、第1材料を含み、そして、少なくとも1つの補強層は、前記第1材料とは異なる材料の第2材料を含む。或る実施態様において、前記方法は、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造装置との少なくとも1つを使用して、落雷保護を有する複合構造物を自動的に形成する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する相互参照】
【0001】
本出願は、米国仮出願第61/179,539号(2009年5月19日出願,発明の名称「落雷保護を有する構造物の形成方法」)の優先権を主張する。前記出願の全開示は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、概して、構造物用の落雷保護(lightning strike protection)に関するものであり、特に、構造物(例えば、複合構造物)を形成する間に落雷保護を自動的に付与する方法に関するものである。
【発明の背景】
【0003】
落雷の極めて高いエネルギーは、適当な保護が施されていない構造物に損傷を与えることができる。複合構造物は、金属と比べて比較的導電率が低いため特に損傷を受けやすい。複合材料は、重量配分比に対するそれらの強度が高いために航空及び航空宇宙用途で頻繁に使用され、落雷による損傷から保護されることが望ましい。
【0004】
伝統的に、複合構造物は、落雷保護を加えられた導電層を手で重ねるように手作業で加工されていた。重量を最小化するために、落雷保護は非常に軽量且つ極めて脆弱である。現在では、例えば、ファイバープレイスメント及びテープ敷設(tape laying)機の自動化法を使用して複合構造物を自動的に加工するが、壊れやすい落雷保護の付与は依然として手作業で行われている。
【0005】
複合構造物用の落雷保護としては、例えば、Paszkowskiによる米国特許第3,755,713号明細書を挙げることができ、これには、落雷保護用の複合構造物中に埋め込まれたメタルワイヤーメッシュが開示されている。メタルメッシュ、メタルホイル及び/又はメタルワイヤーは、手作業の工程を使用して構造物中に埋め込まれる。
【0006】
Lundeによる米国特許第6,692,681号明細書には、例えば、航空機胴体の複合構造物を製造するための方法及び装置が開示されている。前記方法では、カーボンファイバー外皮のファイバープレイスメントの後に、その他の層を手作業で配置することがある。例えば、落雷保護用の金属フィラメントを含む布帛層を手作業で付与することがある。
【0007】
構造物用の更なる落雷保護が、特に、構造物(例えば、複合構造物)を形成する間に落雷保護を自動的に付与する方法が、必要とされている。
【発明の要約】
【0008】
第一の観点において、本発明は、落雷保護を有する構造物の形成方法を提供する。前記方法は、少なくとも1つの構造層を得る工程、そして、少なくとも1つの補強層へ配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップを得る工程を含み、ここで、前記少なくとも1つの落雷保護ストリップは第1材料を含み、そして、前記少なくとも1つの補強層は第1材料と異なる材料の第2材料を含むものである。少なくとも1つの補強層へ配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップを、少なくとも1つの構造層へ付与し、そして、少なくとも1つの構造層と落雷保護ストリップと補強層とから構造物を形成する。
【0009】
第二の観点において、本発明は、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、落雷保護を有する複合構造物を自動的に形成する方法を提供する。前記方法は、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの補強層へ配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップを、少なくとも1つの複合層へ自動的に付与することを含み、そして、前記方法は、少なくとも1つの構造層と、少なくとも1つの落雷保護ストリップと、少なくとも1つの補強層との構造物への硬化及び/又は溶融接合の少なくとも1つを含む。
【0010】
第三の観点において、本発明は、落雷保護を有する構造物の自動形成で使用する落雷保護手段を提供する。前記落雷保護手段は:
補強層と、前記補強層に配置された落雷保護ストリップとを含み;
落雷保護ストリップは第1材料を含み、そして、補強層は第1材料と異なる材料の第2材料を含み;
ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、前記補強層及び前記落雷保護ストリップが自動的に付与されるように機能でき;そして、
前記補強層が構造物の一部分を形成する。
【0011】
第四の観点において、本発明は、前記方法を使用して形成された構造物及び複合構造物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明とみなされる主題は、特に、明細書の末部で指摘され且つ明確にクレームされている。しかしながら、本発明は、以下の種々の実施態様の詳細な説明及び添付の図面を参照することにより最も良く理解することができる。
【0013】
【図1】本発明の第一の観点による落雷保護手段を有する複合構造物の或る実施態様の斜視図である。
【0014】
【図2】リリースシート又は裏当てシート(release or backing sheet)上に配置された落雷保護手段の斜視図である。
【0015】
【図3】図1の落雷保護手段を有する複合構造物を自動的に形成するテープ敷設装置の或る実施態様の模式的な側面図である。
【0016】
【図4】隣接する落雷保護ストリップの一部が重複している、落雷保護手段を有する本発明の別の観点による複合構造物の別の実施態様の斜視図である。
【0017】
【図5】隣接する落雷保護の部分同士を離間して間隙を設ける、落雷保護手段を有する本発明の別の観点による複合構造物の別の実施態様の斜視図である。
【0018】
【図6】本発明の或る観点による落雷保護を有する構造物の形成方法の或る実施態様のフローチャートである。
【0019】
【図7】ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、本発明の或る観点による落雷保護を有する複合構造物を自動的に形成する方法の別の実施態様のフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本発明は、構造物(例えば、複合構造物、及び、特に、ファイバープレイスメントされた又はテープ敷設された複合構造物)の落雷保護を対象とするものである。高性能の構造物(以下に限定されるわけではないが、例えば、ヘリコプター、飛行機、UAV及びミサイル)は、現在では、ファイバープレイスメントと、テープ敷設技術と、その他の自動化加工手段とを使用して加工されているため、航空及び航空宇宙構造物が特に適用可能である。
【0021】
本明細書において使用される下記用語は、以下のように定義される。
【0022】
落雷保護ストリップ:落雷の電気エネルギーを消散させる目的で任意の構造物に付与される導電性材料の単数又は複数の任意の層。前記層は、メタルホイル、エキスパンドホイル、ワイヤーメッシュ、ワイヤー、導電性繊維、ナノチューブ、導電性プラスチック、母材中の導電性充填剤、あるいは任意のその他の適当な材料又は構造からなることができる。
【0023】
テープ敷設(Tape laying):広いプレプレグテープを隣り合わせて又は重ねて敷設して比較的平坦な構造物を形成する加工方法。
【0024】
自動化ファイバープレイスメント:自動化ファイバープレイスメント(Automated Fiber Placement;AFP)は、細長い個々のスリットテープ又は麻くず(tows)を大量に使用して、プレプレグバンドの一定の全幅を作りあげる方法を検討する点で、テープ敷設とは従来から区別化される。複数の0.125インチ〜0.250インチ麻くず又はテープでの、複雑なファイバープレイスメントを必要とする複雑な形状は、通常、当業界から引き合いがある。
【0025】
熱可塑性材料:熱を与えることによって繰り返し軟化し、そして、冷却することによって繰り返し硬化することのできるプラスチック材料。熱可塑性材料にとって、軟化及び硬化は可逆的である。
【0026】
熱硬化性材料:熱又は触媒によって不溶融性及び不溶性材料へ硬化することのできるプラスチック材料。一度硬化すると、熱硬化性材料は未硬化状態へ戻ることができない。従って、熱硬化性材料にとって硬化は付加逆的である。
【0027】
本発明の観点は、以下に限定されるものではないが、複合構造物を含む任意の表面に対して落雷保護を付与する方法を対象とする。例えば、複合構造物は、複数の層から形成されることができる。複合構造物は、例えば、結合剤又は樹脂のマトリックス材料(matrix material)を含むことができ、そして、例えば、複数の繊維又はその他の構造の補強材料(グラファイト、ファイバーグラス、アラミド又はその他の材料から形成される)を含むことができる。例えば、熱可塑性又は熱硬化性材料のマトリックス材料は、補強材料をそれらの相対位置を維持することによって包囲且つ支持する。層は、テープの厚さと比べて広いテープの形態であることができる。例えば、複合テープは、約1インチ〜約12インチの幅を有することができ、複合構造物インチ(complex structure inches)には約1インチが好ましく、そして、通常の構造物の平面には約6インチ又は約12インチが好ましい。
【0028】
本発明の技術は、従来の自動化ファイバープレイスメント設備、テープ敷設設備あるいはその他の設備又は装置を使用して、下方にある複合構造物内のその他の層と同じような方法で落雷保護を配置するものである。この場合、製造者は、既存の設備の使用を拡張し、最終生成物を改良し、そして、製造効率を改良することができる。
【0029】
図1は、本発明の或る観点による構造物20(例えば、複合構造物)の或る実施態様の斜視図である。構造物20は、少なくとも1つの補強層40に配置された落雷保護ストリップ50を含む落雷保護手段30を含んでおり、ここで、前記少なくとも1つの補強層40は、少なくとも1つの構造層60に配置される。
【0030】
図2は、リリースシート又は裏当てシート70に配置された落雷保護手段30の或る実施態様の斜視図であり、ここで、前記落雷保護手段30は、前記裏当てシート70から剥がされる前であって、そして、例えば自動配置によって構造層60へ配置される(図1)前の状態である。
【0031】
例えば、図3に関して、本発明の或る観点を、完全に自動化された装置10で実施して、樹脂含浸繊維テープの層で種々の構造物をラミネートすることができる。装置は、使用されるテープ又は構造層から除去可能な裏当てテープを剥がして、裏当てされていないテープを構造物の表面に積層させ、そして、積層されるテープの端部を最終的に切り落とすことができる。自動切断及び再開処理を使用して、テープ処理量を増やすことができる。このような完全な自動化装置は、Hauberらによる米国特許第7,063,118号明細書に開示されており、この特許の全体は参照することにより本明細書中に組み込まれる。本発明の技術を適当なその他の自動化ファイバープレイスメント設備、自動化テープ敷設設備及び同様の自動化配置手段に対して実施できることは、当業者に自明の事項である。
【0032】
図1及び図2に関して、本発明の或る観点によると、補強層を落雷保護ストリップへ付与することで、ファイバープレイスメント、テープ敷設又はその他の適当な加工の間に前記落雷保護ストリップを支持する。補強層は、一方向(unidirectional)のもの、クロスプライ(cross-ply)のもの、織られたもの、不織のもの又は他の形状のものであることができ、そして、前記補強層は、引張応力が補強層によってもたらされ、比較的脆い落雷保護へかかる応力を最小化することを保証する充分な強度/剛性を有するものであることができる。補強層は、例えば、グラファイト、ファイバーグラス、アラミド、線状ポリオレフィン、セラミック、金属などの任意の適当な材料を、これらの材料の追加によって落雷保護ストリップの強度及び/又は剛性がもたらされる限り、任意の適当な長さで含むこともできる。例えば、補強層は、約1インチ〜約12インチの幅を有することができ、複合構造物インチには約1インチが好ましく、そして、構造物の通常の平面用には約6インチ又は約12インチが好ましい。以下に説明されるような、隣接する落雷保護ストリップとの間に間隙を形成する場合又は落雷保護ストリップ同士を重複させる場合、落雷保護ストリップは、補強層と同じ幅を有するか、あるいは、補強層よりも幅が広いか又は狭いものであることができる。
【0033】
例えば、落雷保護ストリップは、第1材料(例えば、金属)を含むことができ、そして、補強層は、第2材料(例えば、繊維及び母材を含む複合材料)を含むことができる。構造物又は構造層は第3材料を含むことができ、そして、補強層の第2材料は前記第3材料と同じであることができる。例えば、補強層は、下にある構造物(例えば、複合材料)と同じ材料であることもできる。
【0034】
補強層は、ファイバープレイスメントの前に、落雷保護へ接合されるか、又は、接合されないことができる。補強層は、構造物の残りの部分で使用されるものと同じ接着剤を使用して落雷保護へ接合されることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。例えば、エポキシ複合ラミネートの場合には熱硬化性エポキシ接着剤を使用し、そして、熱可塑性複合ラミネートの場合には熱可塑性接着剤を使用することができる。これによって、構造物の種々の層の間での密接な接合を保証することができる。
【0035】
或る実施態様において、落雷保護ストリップは約0.0035インチの厚さを有し、そして、補強層は約0.005インチの厚さを有することができる。例えば、落雷保護ストリップは、0.0035インチ厚のエキスパンドコッパーメタルホイルを含むことができ、そして、補強層は0.005インチ厚のグラファイトファイバー強化PEEK複合テープであることができる。本明細書の記載によると、その他の材料及び厚さを適当に使用できることが認められている。
【0036】
本発明のいくつかの観点では、落雷材料の複数のストリップの端部を互いに隣接するように配置して、隣接する層の間の電気伝導を最適化することによって、導電経路を形成して構造物内の落雷のエネルギーを消散させることについての問題を解消することができる。
【0037】
隣接する複数のストリップのこのような配置は、電気伝導を改良するための落雷保護ストリップの重複を含む。例えば、図4に示されるように、構造物120は、補強層140よりも広い落雷保護ストリップ150の一部分を含むことができ、前記落雷保護ストリップ150は、隣接する落雷保護ストリップ150の一部分のそれと重複して、隣接するストリップ同士の間の電気伝導を高めることができる。このような伝導は、その他の材料(以下に限定されるものではないが、例えば、導電性カーボンフィラメント、ナノチューブ、導電性充填剤又は任意のその他の適当な手段)の選択的な応用によって、更に最適化することができる。
【0038】
隣接する複数のストリップのこのような配置は、構造物におけるエネルギーを選択された方向で消散させるための調節された間隙を含む。例えば、図5に示されるように、構造物220は落雷保護ストリップ250の一部分を含むことができる。ここで、この落雷保護ストリップ250の一部分を、落雷保護ストリップ250同士の間に間隙を形成するように、隣接する落雷保護ストリップ250の一部分から離間して、構造物にわたってエネルギーを消散させることができる。更に、隣接するストリップの制御された重複及び離間配置を利用して、構造物にわたってエネルギーの伝導及び消散を調節することができる。
【0039】
本発明の更なる観点は、落雷保護に対して平滑な表面仕上げを施すことを含むことができる。構造物の外側表面に、又は、前記外側表面の近くに落雷保護が配置されるので、落雷保護が平滑な表面仕上げを有することが望ましい。例えば、ファイバープレイスメント、テーププレイスメント又はその他の製造設備を用いて、落雷保護ストリップをマトリックス材中へ組み込み、落雷保護にわたって表面ベールを付与し、そして、落雷保護に追加の単回又は複数回の平滑パスを施して、表面仕上げそれ自体を改良するか又はその他の加工方法との組合せでの表面仕上げを改良することができる。
【0040】
その他の実施例では、落雷保護ストリップにわたって支持層を付与して、落雷保護を損なうことなく表面犠牲層(sacrificial surfacing layer)を提供し、電気的導通(electrical continuity)を提供し、そして、その後の機械加工工程で平滑な表面仕上げと正確な外部形状とをもたらす能力、並びに、改良した表面仕上げを提供することができる。このような外側犠牲層を、種々の色を有する種々の材料又は同一の材料の1つ以上の層として付与することができる。その結果、或る層が破損してしまった場合及び落雷保護が損傷を受ける前に、その後の機械加工工程ではっきりと示される。
【0041】
ファイバープレイスメント及びテープ敷設機械等は、比較的脆い落雷保護を構造物へ単に配置するだけのために設計されるのではなく、比較的丈夫な複合繊維を配置することを目的としている。本発明は、落雷保護へ補強層を加えて、ファイバーリプレイスメント、テープ敷設又はその他の適当な加工の間に落雷保護を支持することによって、自動製造で生じる落雷手段に対する損傷の問題を解決するものである。補強層を使用することにより、脆弱な落雷保護手段を、形状の単純さ又は複雑さにかかわらず、ファイバーリプレイスメント及びテープ敷設機械等を使用して構造物へ容易に付与することができる。
【0042】
図6は、本発明の或る観点による落雷保護を有する構造物を形成する方法300の或る実施態様のフローチャートである。前記方法において、310では、少なくとも1つの構造層を得る工程が含まれ、そして、320では、少なくとも1つの補強層に配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップを得る工程が含まれる。少なくとも1つの落雷保護ストリップは第1材料を含み、そして、少なくとも1つの補強層は前記第1材料と異なる材料の第2材料を含む。330では、少なくとも1つの補強層に配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップが、少なくとも1つの構造層へ付与され、そして、340では、少なくとも1つの構造層と、落雷保護ストリップと、補強層とから構造物が形成される。
【0043】
図7は、本発明の或る観点による、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、落雷保護を有する複合構造物を自動的に製造する方法400のその他の実施態様のフローチャートである。前記方法において、410では、少なくとも1つの複合層を自動的に得る工程が含まれ、そして、420では、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの複合層を自動的に付与する工程が含まれる。430では、少なくとも1つの補強層に配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップを自動的に得る。少なくとも1つの落雷保護ストリップは第1材料を含み、そして、少なくとも1つの補強層は前記第1材料とは異なる材料の第2材料を含む。440では、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの補強層に配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップが、少なくとも1つの複合層へ自動的に付与される。450では、少なくとも1つの複合層と、少なくとも1つの落雷保護ストリップと、少なくとも1つの補強層とが、構造物への硬化及び溶融接合の少なくとも1つを受ける。
【0044】
本発明は、特に、特定の好適態様に関して示唆及び説明されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに種々の変更及び改変を行えることは、当業者にとって自明の事項である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
落雷保護を有する構造物(20,120,220)を形成する方法であって:
少なくとも1つの構造層(60,160,260)を得る工程;
少なくとも1つの補強層(40,140,240)へ配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)を得る工程であって、ここで、前記少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)は第1材料を含み、そして、前記少なくとも1つの補強層(40,140,240)は第1材料と異なる材料の第2材料を含むものとする、前記工程;
前記少なくとも1つの補強層(40,140,240)へ配置された前記少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)を、前記少なくとも1つの構造層(60,160,260)へ付与する工程;そして、
前記少なくとも1つの構造層(60,160,260)と、前記落雷保護ストリップ(50,150,250)と、前記補強層(40,140,240)とから、構造物(20,120,220)を形成する工程;
を含む、前記方法。
【請求項2】
付与工程が、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの補強層(40,140,240)へ配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)を、少なくとも1つの構造層(60,160,260)へ自動的に付与する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの構造層(60,160,260)が第3材料を含み、そして、少なくとも1つの補強層(40,140,240)の第2材料が前記第3材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)が金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)が、少なくとも1つの補強層(40,140,240)よりも広い、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)の付与工程が、複数の落雷保護ストリップの付与工程を含み、ここで、前記複数の落雷保護ストリップの少なくとも1つを、前記複数の落雷保護ストリップの別の少なくとも1つに重複させるものとする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)の付与工程が、複数の落雷保護ストリップの付与工程を含み、ここで、前記複数の落雷保護ストリップの少なくとも1つの端部を、別の少なくとも1つの落雷保護ストリップの端部から離間させるものとする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
落雷保護ストリップ(50,150,250)にわたって表面層を付与する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
表面層が第1の色を含み、そして、落雷保護ストリップ(50,150,250)が第1の色とは異なる色の第2の色を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの構造層(60,160,260)を得る工程が、少なくとも1つの複合層を得る工程を含み、そして、形成工程が、前記少なくとも1つの複合層と、少なくとも1つの落雷保護ストリップと、少なくとも1つの補強層との構造物への硬化及び溶融接合の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
付与工程が、ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの補強層(40,140,240)へ配置された少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)を、少なくとも1つの構造層(60,160,260)へ自動的に付与する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、少なくとも1つの複合層を自動的に付与する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの複合層が母材及び補強材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの補強層が母材及び補強材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの複合層が第3材料を含み、そして、少なくとも1つの補強層の第2材料が前記第3材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)が金属を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)が、少なくとも1つの補強層(40,140,240)よりも広い、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)の付与工程が、複数の落雷保護ストリップの付与工程を含み、ここで、前記複数の落雷保護ストリップの少なくとも1つを、前記複数の落雷保護ストリップの別の少なくとも1つに重複させるものとする、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)の付与工程が、複数の落雷保護ストリップの付与工程を含み、ここで、前記複数の落雷保護ストリップの少なくとも1つの端部の一部分を、別の少なくとも1つの落雷保護ストリップの端部から離間させて、前記複数の落雷保護ストリップ同士の間に間隙を設ける、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
落雷保護ストリップ(50,150,250)にわたって表面層を付与する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
表面層が第1の色を含み、そして、落雷保護ストリップが第1の色とは異なる色の第2の色を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
落雷保護を有する構造物(20,120,220)の自動形成での使用のための落雷保護手段(30,130,230)であって:
前記落雷保護手段が、補強層(40,140,240)と、前記補強層へ配置された落雷保護ストリップ(50,150,250)とを含み;
前記落雷保護ストリップが第1材料を含み、そして、前記補強層が第1材料とは異なる材料の第2材料を含み;
ファイバープレイスメント装置と、テープ敷設装置と、同様の自動製造手段との少なくとも1つを使用して、前記補強層及び前記落雷保護ストリップが自動的に付与されるように機能でき;そして、
前記補強層が構造物(20,120,220)の一部分を形成する;
前記落雷保護手段。
【請求項23】
落雷保護ストリップ(50,150,250)が金属を含む、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項24】
落雷保護ストリップ(50,150,250)がエキスパンドメタルホイルを含む、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項25】
補強層(40,140,240)が繊維を含み、そして、前記繊維が、グラファイト、ファイバーグラス、及びアラミド、線状ポリオレフィン、セラミック、及び金属からの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項26】
補強層(40,140,240)が複合層を含み、そして、前記複合層が母材及び結合剤を含む、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項27】
落雷保護ストリップ(50,150,250)が約0.0035インチの厚さを含み、そして、補強層(40,140,240)が約0.005インチの厚さを含む、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項28】
落雷保護ストリップ(50,150,250)がエキスパンドメタルホイルを含み、そして、補強層(40,140,240)が繊維強化複合テープを含む、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項29】
少なくとも1つの落雷保護ストリップ(50,150,250)が、少なくとも1つの補強層(40,140,240)よりも広い、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項30】
リリースシート(70)を更に含む、請求項22に記載の落雷保護手段。
【請求項31】
請求項22に記載の落雷保護手段(30,130,230)を含む、構造物(20,120,220)。
【請求項32】
請求項1に記載の方法を使用して形成する構造物(20,120,220)。
【請求項33】
請求項10に記載の方法を使用して形成する構造物(20,120,220)。
【請求項34】
請求項14に記載の方法を使用して形成する構造物(20,120,220)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−527375(P2012−527375A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511960(P2012−511960)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/035243
【国際公開番号】WO2010/135318
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(503191324)エーディーシー アクイジション カンパニー (1)
【Fターム(参考)】