説明

蒸気による表面作用薬品を付与するための混合チャンバおよび関連する散布装置

混合と、混合生成剤の協働作用とを利用して、蒸気で消毒薬を付与するための、また沈静ゾーンと、前記沈静ゾーンに蒸気を取込むための少なくとも一部分(15)と、蒸気を送出し、その蒸気を付与ノズルへ導くための少なくとも一部分(7)とを含む蒸気によって表面作用薬品を付与するための混合チャンバであって、適当なタンク(3)から表面作用薬を吸入し、前記沈静ゾーンに加圧された表面作用薬品を取込むスプレー・ノズル(5)を含むことを特徴とする混合チャンバ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面洗浄のための、およびそれに伴い消毒薬消毒薬、植物用薬剤、殺虫剤などを付与するための、蒸気で表面作用薬品をするための混合チャンバ、および関連する散布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、さまざまな理由により水ジェットで直接に処理することのできない表面を洗浄する広汎な方法は、各種の市販されている入手可能な機械においては適当なボイラーで水を沸点まで加熱して得た水蒸気を使用する方法である。
【0003】
そのような方法は、蒸気の熱および溶解作用によって、また機械的な作用によって被処理面の浄化を保証するが、完全な消毒は保証しない。消毒薬などを水と一緒にボイラー・タンクに直接に加えることでその薬品を蒸気と組合せる試みが行われてきたが、いまだに炭酸カルシウムが沈着するとともに残物として底に生成物の大きな分屑が沈殿する結果をもたらしている。さらに、熱に対して過度にさらされて薬品が化学的に変質してしまうことは確実である。
【0004】
他の解決策によれば、付与ノズルで薬品を水蒸気と混合することが好ましいとされたが、良好な混合レベルを得られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる技術的な問題点は、従来技術を参照して言及される欠点を克服した混合チャンバ、およびそれを使用する関連の散布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題点は、沈静ゾーンと、前記沈静ゾーンに蒸気を取込むための少なくとも一部分と、蒸気を送出し、その蒸気を付与ノズルへ導くための少なくとも一部分とを含む混合チャンバであって、適当なタンクから表面作用薬を吸入し、前記沈静ゾーンに加圧された表面作用薬品を取込むスプレー・ノズルを含むことを特徴とする上述した混合チャンバによって解決される。
【0007】
本発明による混合チャンバの主な利点は、薬品の劣化や無駄を生じないで、蒸気に表面作用薬品を均一に混合した混合液を圧力状態のもとで付与ノズルから噴射できることにある。
【0008】
本発明はさらに、上述した混合チャンバを含む付与装置に関するものである。
【0009】
本発明によるチャンバおよび装置は、洗浄可能な表面に消毒薬、および一般的に衛生状態にする薬品を付与するために有利に使用できることが理解される。したがって、この装置は家庭内での洗浄、公共環境場所およびさまざまな自然環境の洗浄に特に適している。
【0010】
同様に、この装置は農業において、消毒薬、殺虫薬、枯葉剤、除草剤、植物保護製品の表面付与に有利に使用できる。
【0011】
除草作用は、蒸気付与および除草剤付与の協働作用を得られることによって、前記装置を使用することが有利となる。蒸気は除草作用に寄与し、また、局部作用薬品の表面吸収を促進する。
【0012】
さらに、本発明によるチャンバおよび装置はいずれの表面作用薬品の表面付与にも適当であることが理解される。事実、蒸気は濃縮して付与され、被処理面を特に均一に覆う。したがって、表面剤の拡散はまさに同じように均一となる。
【0013】
以下に本発明は添付図面を参照して、例として与えられた限定の目的ではない好ましい実施例によって説明される。
【実施例1】
【0014】
図1〜図2を参照すれば、本発明の実施例による散布装置、特に表面を衛生状態にする装置は、混合の行われる耐熱容器1と、前記容器1を収容するジャケット2とを含み、耐熱容器1を所定温度に加熱保持するために温熱用オイル16または他の熱担持(熱を運ぶ)流体が熱せられる。この加熱は、ジャケット2の内部に挿入されたカートリッジ式抵抗器17により行われる。
【0015】
耐熱容器1−ジャケット2の組立体が混合チャンバを形成し、このチャンバはボイラー6から蒸気を取込むカップリング15で代表して示される蒸気取込み部によって蒸気を供給されるようになっており、ボイラー6は水入口キャップ14およびチャンバ連結ダクトを含み、このダクトは流量調整器11とその蒸気取込みダクトを開閉する第一のソレノイド・バルブ19とを有する。
【0016】
混合チャンバはさらに、適当な消毒薬のタンク3に連結されているポンプ4によって圧送される消毒薬を、その取込みダクトを開閉するための第二のソレノイド・バルブ18を経て取込むためのスプレー・ノズルを含む。
【0017】
噴霧化して取込む効果によって、混合チャンバ内では消毒薬の噴霧粒子が形成され、チャンバの沈静ゾーン内に分散される。前記ゾーン内には蒸気流9が生じ、蒸気は混合チャンバを横切って、蒸気+消毒薬の混合生成剤のための出口集合器7を含む出口処理部へ進む。
【0018】
パイプ10を経て前記生成剤は蒸気付与ノズルに達する。
【0019】
蒸気によって消毒薬を付与するための上述で説明した2相混合チャンバの作動は、次のように説明できる。
【0020】
混合チャンバ内部には、カップリング15を経て、また第一のソレノイド・バルブ19の作動により、水12を沸騰させて蒸気13に変えるボイラー6からの水蒸気が導入される。
【0021】
これに付随的に、第二のソレノイド・バルブ18の作動により、ポンプ4でタンク3から抜出された液体消毒薬8が加圧されてスプレー・ノズル5により混合チャンバ内へ噴射される。したがって、一変2相系の流れが形成されて集合器7から流出され、パイプ10を経て、いずれかの表面に消毒混合液を付与するのに適当ないずれかのノズルを含む使用装置へ送られる。
【0022】
本発明によるジャケット2は、内部に温熱オイルが存在する水密式のボックスを形成しており、サーモスタットで制御される図示していない抵抗器17が混合チャンバを正しい温度に保持するために理想的な温度にオイル温度を保ち、取込み蒸気が消毒薬および冷えた壁面と接触して凝縮することを防止するのであり、このような状態は良好な2相の蒸気−消毒薬の混合液にとって重要である。
【0023】
流量調整器11の作用により、混合チャンバに流入する蒸気13の量が調整され、したがって蒸気−消毒薬の比率は使用条件に合わせるように変化される。
【0024】
混合チャンバの一定した温度はカートリッジ式抵抗器を内部に挿入すること、またはチャンバ自体を蒸気発生ボイラーと接触させること、またはこれに適当とされる他のいずれかの加熱システムを使用することによっても達成される。
【0025】
前記チャンバの幾何形状およびオリフィスの位置は内部の乱れを最小限にする、これにより衛生処理および消毒用の混合液の流出を最適化するように設計される。混合チャンバの位置はこれにとらわれず、ボイラー6の近くや、蒸気が流れるパイプの他のいずれの箇所とすることができる。形状や、オリフィス個数および形状を含むさまざまな構造細部は、適当とされるいずれか一つの本発明においても変化できる。
【0026】
図3および図4を参照すれば、上述した混合チャンバが衛生処理装置21にどのように組付けられるかが分かる。衛生処理装置21は車輪23および引きハンドル24を含む底部22を含む。装置21はさらに混合チャンバ、すなわち内部に耐熱容器1を有するジャケット2を収容しているケース25を含む。さらに、先の装置21はボイラー6と、上述したように適当に連結されている消毒薬のタンク3を収容している。
【0027】
さらに、装置21は浄化部材28に組みつけられた一つ以上の付与ノズルで終端している操作管27へ混合した生成剤を運ぶ柔軟ホース26を含む。
【0028】
本発明の基礎となる技術的に解決しようとする目的は、蒸気の洗浄力と特別な消毒力とを組合せることである。この結果は、水蒸気と消毒薬との2相混合チャンバでの組合せおよび協働作用によって得られる。チャンバ形状およびオリフィス配置に加えて、混合チャンバの予熱によって完全な混合が達成される。この発明により、どのような表面に対しても凝縮して消毒薬フィルムを形成することで最適結果を得られる衛生処理蒸気の散布ができるようになる。
【0029】
上述した装置は、浄化に加えて、特別な生成剤の寄与によって消毒処理することを要求されるあらゆる状況においての使用を見出そうとするものである。この装置は非常に簡単な構造であり、最適作動を得るために蒸気と消毒薬とが混合される混合チャンバを予熱することができ、これにより過度に凝縮が生じること防止し、また化学的性質を変化させずに衛生処理を遂行できるようにする。
【0030】
しかしながら、混合チャンバのサーモスタット動作を、蒸気の劣化を防ぐために十分高温なチャンバ環境を維持できるのであるならば同等システムによっても得られることは理解される。
【0031】
そのようなサーモスタット動作は、チャンバ内への蒸気の取込みならびに取込み温度を適当に調整することによっても達成できる。
【0032】
上述で説明した混合チャンバに対して、また関連する衛生処理装置に対して、当業者は、この他のおよび予測できない必要性を満たすために幾つかの別の変更および変形を行えるが、それらの全ては添付の特許請求の範囲に記載された本発明の保護範囲に包含されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による混合チャンバを備えた散布装置の主構造要素の概略断面図を示す。
【図2】本発明による混合チャンバの概略斜視図を示す。
【図3】本発明による散布装置の部分的断面図を示す。
【図4】図3の装置の平面図を示す。
【符号の説明】
【0034】
1 耐熱容器
2 ジャケット
3 タンク
4 ポンプ
5 スプレー・ノズル
6 ボイラー
7 出口集合器
8 消毒薬
9 蒸気流
10 パイプ
11 流量調整器
12 水
13 蒸気
14 水入口キャップ
15 カップリング
16 温熱用オイル
17 抵抗器
18,19 ソレノイド・バルブ
21 衛生処理装置
22 底部
23 車輪
24 引きハンドル
25 ケース
26 柔軟ホース
27 操作管
28 浄化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈静ゾーンと、前記沈静ゾーンに蒸気を取込むための少なくとも一部分(15)と、蒸気を送出し、その蒸気を付与ノズルへ導くための少なくとも一部分(7)とを含む蒸気によって表面作用薬品を付与するための混合チャンバであって、適当なタンク(3)から表面作用薬を吸入し、前記沈静ゾーンに加圧された表面作用薬品を取込むスプレー・ノズル(5)を含むことを特徴とする混合チャンバ。
【請求項2】
前記少なくとも一つのスプレー・ノズル(5)がポンプ(4)によって供給を受ける請求項1に記載された混合チャンバ。
【請求項3】
混合チャンバを熱する加熱システムを含む請求項1に記載された混合チャンバ。
【請求項4】
前記加熱システムが水密ジャケット(2)内に収容されているオイルや他の温熱用流体で全体的または部分的に囲まれることで達成され、その流体の加熱は抵抗器(17)で達成される請求項3に記載された混合チャンバ。
【請求項6】
前記表面作用薬品が消毒薬である請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された混合チャンバ。
【請求項7】
前記表面作用薬品が枯葉剤である請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された混合チャンバ。
【請求項8】
前記表面作用薬品が除草剤である請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された混合チャンバ。
【請求項9】
前記表面作用薬品が植物保護生成剤である請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された混合チャンバ。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載された混合チャンバを含む散布装置(21)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−536083(P2007−536083A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512604(P2007−512604)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051038
【国際公開番号】WO2005/107966
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(506375554)
【Fターム(参考)】